JP3698679B2 - ガス流量計及びその製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ガス流量計及びその製造方法に係り、特に、ケイ素(Si)半導体薄膜により発熱抵抗体を構成した熱式のガス流量計及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、自動車などの内燃機関の電子制御燃料噴射装置に設けられ吸入空気量の流量計や、半導体製造に用いる各種ガスおよび燃料電池に用いる水素/酸素の流量計として、熱式のガス流量計が質量ガス量を直接検知できることから主流となってきている。この中で特に、半導体マイクロマシニング技術により製造されたガス流量計が、コストが低減でき、且つ低電力で駆動することができることから注目されてきた。
【0003】
このような従来の半導体基板を用いたガス流量計としては、例えば、特許第2880651号公報に記載されているように、発熱抵抗体として耐熱性および材料コストの利点から、従来使用されていた白金に置き換えて多結晶ケイ素(ポリシリコン)を用いたものが知られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許第2880651号公報に記載のように、発熱抵抗体として多結晶ケイ素(ポリシリコン)を用いた場合、発熱抵抗体の抵抗値が時間の経過とともに変化する経時変化の問題があることが最近判明した。
【0005】
そこで、本発明の目的は、経時変化を低減できるガス流量計及びその製造法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
(1)上記目的を達成するために、本発明は、空洞部が形成された半導体基板と、この半導体基板の空洞部の上に絶縁膜を介して形成された少なくとも発熱抵抗体を有し、被測定ガスの流量を計測するガス流量計において、上記発熱抵抗体は、高濃度に不純物ドープ処理されたケイ素(Si)半導体薄膜であり、このケイ素(Si)半導体薄膜の上層と下層であって、少なくとも上記空洞部を覆う領域に所定温度以下にて水素を透過しにくく且つ吸収しにくいバリア層を形成し、上記発熱抵抗体の発熱温度範囲を上記所定温度以下としたものである。
かかる構成により、バリア層を用いることで、発熱抵抗体の抵抗値の経時変化を低減して、ガス流量計の経時変化を低減し得るものとなる。
【0007】
(2)上記(1)において、好ましくは、上記バリア層は、化学量論的に安定な窒化ケイ素(Si)薄膜であり、上記発熱抵抗体の発熱温度範囲を550℃以下としたものである。
【0008】
(3)上記(1)において、好ましくは、上記ケイ素(Si)半導体薄膜は、不純物ドープ処理された多結晶ケイ素(Si)半導体薄膜であり、この多結晶ケイ素(Si)半導体薄膜は、不純物としてリン(P)又はボロン(B)が高濃度ドープ処理されているものである。
【0009】
(4)上記(1)において、好ましくは、上記ケイ素(Si)半導体薄膜の抵抗率が8×10−4Ωcm以下になるように高濃度ドープ処理されるものである。
【0010】
(5)上記目的を達成するために、本発明は、空洞部が形成された半導体基板と、この半導体基板の空洞部の上に絶縁膜を介して形成された少なくとも発熱抵抗体を有し、水素定ガスの流量を計測するガス流量計において、上記発熱抵抗体は、不純物ドープ処理された多結晶ケイ素(Si)半導体薄膜であり、この多結晶ケイ素(Si)半導体薄膜は、不純物としてリン(P)又はボロン(B)が高濃度ドープ処理されており、上記ケイ素(Si)半導体薄膜の上層と下層であって、少なくとも上記空洞部を覆う領域に所定温度以下にて水素を透過しにくく且つ吸収しにくいバリア層を形成し、上記発熱抵抗体の発熱温度範囲を上記所定温度以下としたものである。
かかる構成により、バリア層を用いることで、発熱抵抗体の抵抗値の経時変化を低減して、ガス流量計の経時変化を低減し得るものとなる。
【0011】
(6)上記(5)において、好ましくは、上記ケイ素(Si)半導体薄膜の抵抗率が8×10−4Ωcm以下になるように高濃度ドープ処理されるようにしたものである。
【0012】
(7)上記目的を達成するために、本発明は、空洞部が形成された半導体基板と、この半導体基板の空洞部の上に絶縁膜を介して形成された少なくとも発熱抵抗体を有し、被測定ガスの流量を計測するガス流量計の製造方法において、上記半導体基板は、シリコン半導体基板であり、このシリコン半導体基板の表面に形成する絶縁膜として、少なくとも第一の水素を透過しにくく且つ吸収しにくいバリア層として化学量論的に安定な窒化ケイ素(Si)薄膜を含む第1の絶縁膜を形成する工程と、この第1の絶縁膜の上層に、ケイ素半導体薄膜を形成する工程と、このケイ素半導体薄膜に、熱拡散処理にて不純物ドープ処理を行い、不純物を高濃度ドープ処理する工程と、上記ケイ素半導体薄膜をパターニングし、少なくとも、上記発熱抵抗体のパターンを形成する工程と、上記発熱抵抗体の上層に、更に、絶縁膜として少なくとも第二の水素を透過しにくく且つ吸収しにくいバリア層として化学量論的に安定な窒化ケイ素(Si)薄膜を含む第2の絶縁膜を積層し、上記発熱抵抗体を第1および第2のバリア層によって包含する工程と、上記発熱抵抗体を、少なくとも水素を含むガス雰囲気、または不活性ガス雰囲気にて熱処理アニールを施す工程と、上記発熱抵抗体と外部回路との電気接続をするために上記第2の絶縁膜にスルーホールを形成した後に電極膜を形成する工程と、上記シリコン基板の裏面に空洞を形成する工程と、を備え、上記熱処理アニールは、550℃以上で900℃以下の熱処理である。
かかる方法により、バリア層を用いることで、発熱抵抗体の抵抗値の経時変化を低減して、ガス流量計の経時変化を低減し得るものとなる。
【0014】
)上記(7)において、好ましくは、上記熱処理アニールは、上記被測定ガスに水素が含まれる場合には、少なくとも水素ガスを含む雰囲気中で熱処理するようにしたものである。
【0015】
)上記(7)において、好ましくは、上記熱処理アニールは、上記被測定ガスに水素が含まれない場合には、不活性ガスを含む雰囲気中で熱処理するようにしたものである。
【0016】
10)上記目的を達成するために、本発明は、空洞部が形成された半導体基板と、この半導体基板の空洞部の上に絶縁膜を介して形成された少なくとも発熱抵抗体を有し、被測定ガスの流量を計測するガス流量計の製造方法において、上記半導体基板は、シリコン半導体基板であり、このシリコン半導体基板の表面に第1の二酸化ケイ素膜、第1の水素を透過しにくく且つ吸収しにくいバリア層として化学量論的に安定な窒化ケイ素(Si)薄膜および第2の二酸化ケイ素膜を積層形成する工程と、この第2の二酸化ケイ素膜の上層に、ケイ素半導体薄膜を形成する工程と、このケイ素半導体薄膜に、熱拡散処理にて不純物ドープ処理を行い、抵抗率が8×10−4Ωcm以下となるリン(P)を高濃度ドープ処理する工程と、上記ケイ素半導体薄膜をパターニングし、少なくとも、上記発熱抵抗体のパターンを形成する工程と、上記発熱抵抗体の上層に更に、第3の二酸化ケイ素膜、第2の水素を透過しにくく且つ吸収しにくいバリア層として化学量論的に安定な窒化ケイ素(Si)薄膜および第4の二酸化ケイ素膜を積層し、上記発熱抵抗体を水素が透過しにくい第1および第2のバリア層によって包含する工程と、上記発熱抵抗体を、少なくとも水素を含むガス雰囲気、または不活性ガス雰囲気にて550℃以上で900℃以下の温度で熱処理アニールを施す工程と、上記発熱抵抗体と外部回路との電気接続をするために上記第2の二酸化ケイ素膜,第2のバリア層及び第4の二酸化ケイ素膜にスルーホールを形成した後に電極膜を形成する工程と、上記シリコン基板の裏面に空洞を形成する工程と、を備えるようにしたものである。
かかる方法により、バリア層を用いることで、発熱抵抗体の抵抗値の経時変化を低減して、ガス流量計の経時変化を低減し得るものとなる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、図1〜図13を用いて、本発明の第1の実施形態によるガス流量計の構成について説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態によるガス流量計のセンサ素子の平面図である。図2は、図1のA−A断面図である。
【0018】
センサ素子1は、全体が半導体基板2をベースとして形成されている。半導体基板2は、単結晶ケイ素(Si)の板である。半導体基板2の下面側には、図2に示すように、空洞部9が形成されており、その上側には、ダイヤフラム部3が形成されている。ここで、空洞部9は、図1に点線で示すように、平面形状が略矩形の孔として形成されている。
【0019】
図2に示すように、半導体基板2の一方の面には、絶縁膜7a,バリア層8a,絶縁膜7bの3層膜が、順次積層されている。これらの3層膜は、空洞部9を含め半導体基板2の全面を覆う構造である。ここで、絶縁膜7a,7bは、二酸化ケイ素(SiO)からなる。バリア層8aは、発熱抵抗体4の発熱温度範囲において水素を透過しにくく且つ吸収しにくい化学量論的に安定な窒化ケイ素(Si)薄膜で作られている。ダイヤフラム部3を構成する絶縁膜7bの表面には、発熱抵抗体4と、上流側測温抵抗体5a,5b及び下流側測温抵抗体5c,5dが形成されている。また、ダイヤフラム部3の外側の領域の絶縁膜7bの表面には、ガス温度測温抵抗体6が形成されている。
【0020】
図1に示すように、発熱抵抗体4,ガス温度測温抵抗体6,測温抵抗体5a〜5d,ガス温度測温抵抗体6および各抵抗体の配線接続部11(11a,11b,11c,11d,11e,11f,11g,11h,11i,11j,11k,11l)は、リン(P)又はボロン(B)を高濃度ドープ処理された多結晶或は単結晶ケイ素半導体薄膜により、所定の導電性(抵抗値)を持つ細条として作られる。
【0021】
絶縁膜7bおよび各抵抗体の上層には、絶縁膜7c,バリア層8b,絶縁膜7dの3層膜が、順次積層されている。これらの3層膜は、空洞部9を含め半導体基板2の全面を覆う構造である。ここで、絶縁膜7a,7bは、二酸化ケイ素(SiO)からなる。バリア層8aは、発熱抵抗体4の発熱温度範囲において水素を透過しにくく且つ吸収しにくい化学量論的に安定な窒化ケイ素(Si)薄膜で作られている。絶縁膜7c,バリア層8b,絶縁膜7dの3層膜は、各抵抗体を保護するために設けられている。
【0022】
以上のように、各抵抗体の上層と下層は、それぞれ、発熱抵抗体4の発熱温度範囲において水素を透過しにくく且つ吸収しにくいバリア層8a,8bによって包含されるように構成されている。
【0023】
各抵抗体であるケイ素半導体薄膜は、高温通電時の抵抗経時変化を低減するため、550℃以上で900℃以下の熱処理アニールが行なわれる。
【0024】
端子電極部12(12a,12b,12c,12d,12e,12f,12g,12h)は、絶縁膜7c,バリア層8b,絶縁膜7dの3層膜にスルーホール(図示せず)が形成された後に、アルミニウム(Al)や、金(Au)などの薄膜パッド(電極膜)が形成され、各抵抗体との電気接続がなされる。
【0025】
ここで、発熱抵抗体4は、矢印10で示した被測定ガスの流れ方向に直交する方向に沿って、ほぼ直線上に配置されており、測温抵抗体5a,5b,5c,5dは、発熱抵抗体4に対して、ガスの流れ方向の上流側と下流側、及び直交する方向のそれぞれで離間して、それぞれが対になるようにして設けられている。被測定ガスとしては、空気,水素,窒素,酸素,炭酸ガス,都市ガス,メタン,プロパン,ブタン,水蒸気が対象となる。
【0026】
以上のような構成を有する本実施形態のガス流量計では、絶縁膜7a,7b,7c,7dおよびバリア層8a,8bからなるダイヤフラム部3が、空洞部9を全面覆う構造となっているため、ダイヤフラム部3の機械強度が保たれるとともに、塵埃,油,水等が内部の空洞部に進入することが無く、長期間に渡る信頼性の高い計測が可能となる。
【0027】
次に、本実施形態によるガス流量計によるガス流量計測動作について説明する。
まず、空洞部9により熱絶縁状態にあるダイヤフラム3上の発熱抵抗体4に電流を供給し、その温度がガス流10の温度よりも一定の温度だけ高くなるように制御する。このときの被測定ガスの温度は、ガス温度測温抵抗体6の抵抗値から、後述するようにして計測される。
【0028】
このときのガスの流量と、ガスが流れる方向は、発熱抵抗体4の上流と下流に設けられている上流側測温抵抗体5a,5bと、下流側測温抵抗体5c,5dの温度(抵抗値)を比較することにより計測される。
【0029】
すなわち、まず、ガス流量がゼロのときは上流側測温抵抗体5a,5bと下流側測温抵抗体5c,5dは、発熱抵抗体4の発熱による加熱条件が同じなので、同じ温度を示すことになり、温度差は生じない。
次に、ガスの流れが矢印10方向(これを「順流」という)のときは、上流側に配置された上流側測温抵抗体5a,5bの方が、下流側に配置された下流側測温抵抗体5c,5dよりガス流10による冷却効果が大きいことから、上流側測温抵抗体5a,5bと下流側測温抵抗体5c,5dの温度に差が生じ、この温度差からガス流量が計測される。
【0030】
一方、ガスの流れが矢印10と反対の方向(「逆流」という)のときには、今度は下流側測温抵抗体5c,5dの温度の方が上流側測温抵抗体5a,5bの温度より低くなり、上流側測温抵抗体5a,5bと下流側測温抵抗体5c,5dの温度差を表す符号が逆転する。
以上のようにして、温度差の大きさによりガス流量が計測でき、温度差の符号からガスの流れ方向が判別できる。
【0031】
次に、図3を用いて、本発明の第1の実施形態によるガス流量計を用いた内燃機関用空気流量計の構成について説明する。
図3は、本発明の第1の実施形態によるガス流量計を用いた内燃機関用空気流量計の実装状態を示す断面図である。
【0032】
図3に示すように、図1に示したセンサ素子1は、例えば自動車の内燃機関の吸気通路13に実装される。センサ素子1は、支持体15と外部回路16を含んだ形で、吸気通路13の内部にある副通路14の中に配置される。従って、外部回路16は、支持体15を介してセンサ測定素子1の端子電極部(図1に示した端子電極部12)に電気的に接続されることになる。
【0033】
ここで、内燃機関の吸入空気は、通常は矢印10で示す方向に流れる(順流)。また、内燃機関の運転条件によっては、矢印10とは反対の方向に流れる場合(逆流)もある。このように、内燃機関の吸気通路を流れる空気流は、順流と逆流があるが、このような場合でも、本実施形態のガス流量計を用いることにより、順流と逆流の何れの場合でも空気流量が正しく計測でき、且つ、それらの判別も可能である。
【0034】
なお、他の半導体製造に用いる各種ガスおよび燃料電池に用いる水素/酸素の流量を計測する場合でも、図3と同様の構成にてセンサ素子1をガス通路に配置してガス流量を計測する。特に、水素,酸素,都市ガス,メタン,プロパン,ブタン等の可燃ガスの流量計測には、安全性を確保するために、外部回路16等の回路部分は可燃ガスが漏れこまないように十分気密が保てる構造とする。
【0035】
次に、図4を用いて、本発明の第1の実施形態によるガス流量計の回路構成について説明する。
図4は、本発明の第1の実施形態によるガス流量計の回路図である。なお、図1と同一符号は、同一部分を示している。
【0036】
発熱抵抗体4とガス温度測温抵抗体6は、抵抗20a,20bと共にブリッジ回路を形成する。ブリッジ回路には、電源18からトランジスタ19を介して電力が供給される。ブリッジ回路の端子12a,12cの電圧が制御回路17に入力される。制御回路17は、A/D変換器など含む入力回路と、D/A変換器などを含む出力回路と、それに演算処理などを行うCPUとで構成されている。ブリッジ回路は、加熱抵抗体4の温度(Th)がガス温度に対応するガス温度測温抵抗体6の温度(Ta)より、或る一定値(ΔTh=Th−Ta=150℃)だけ高くなるように、各抵抗値20a、20bの抵抗値が設定されている。
【0037】
制御回路17は、トランジスタ19を制御して、加熱抵抗体4の温度(Th)がガス温度に対応するガス温度測温抵抗体6の温度(Ta)より、或る一定値(ΔTh)だけ高くなるように制御する。すなわち、発熱抵抗体4の温度が設定値より低い場合には、制御回路17の出力によりトランジスタ19がオンし、発熱抵抗体4に加熱電流が流れる。また、設定温度より高くなるとトランジスタ19がオフし、発熱抵抗体4の加熱電流がゼロにされるようにし、これにより温度の設定値が保たれるように制御する。
【0038】
また、上流側測温抵抗体5a,5bと、下流側測温抵抗体5c,5dとによって、ブリッジ回路が形成される。このブリッジ回路の端子12g,12eの電位差は、制御回路17に入力される。制御回路17は、ブリッジ回路の端子12g,12eの電位差により、上流側測温抵抗体5a,5bと、下流側測温抵抗体5c,5dの温度差を検出する。温度差の検出前に、予め、ガス流量がゼロの時には、ブリッジ回路の端子12g,12eの電位が一致するように、調整抵抗(図示せず)の抵抗値を調整する。または、メモリ22に予めガス流量がゼロの時の端子12g、12eの電位差を記憶する。
【0039】
ガス流量の計測は、予めガスの種類毎にガス流量(Q)とブリッジ回路の端子12g,12eの電位差との関係をメモリ22にマップとして記憶しておき、端子12g,12eの電位差及び大小関係から、ガス流量(Q)の計測値と流れの方向を判定して出力する。
【0040】
ここで、本実施形態では、図示のブリッジ回路構成を前提として、発熱抵抗体4とガス温度測温抵抗体6の抵抗温度係数(α)が等しくなるように、これらを同じ不純物濃度にしたケイ素半導体薄膜で形成してあり、これにより、加熱抵抗体4の温度(Th)を設定(例えばΔTh=150℃)する際に必要な各抵抗20a、20bの抵抗値が単純な比例関係になるので、これらの設定が容易で簡便にできる。
【0041】
また、本実施形態では、4個の測温抵抗体5a,5b,5c,5dを用い、温度差検出のためのブリッジ回路を上流側測温抵抗体5a,5bと下流側測温抵抗体5c,5dが交差する形で構成してあり、これにより、端子12g,12e間に現れる電位差が、一対の測温抵抗体からなるブリッジ回路に比して、約2倍になるので、感度が上り、精度が向上する。
【0042】
なお、ガス流量(Q)の検出方法としては、上流側測温抵抗体5a、5bと下流側測温抵抗体5c、5dの温度差を検出する方法の他に、加熱抵抗体4に流す加熱電流(図4における端子12cの電位に相当)を流量検出信号とする方法も可能である。また、上流側測温抵抗体5a,5bと下流側測温抵抗体5c,5dの温度差の信号に、加熱抵抗体4に流す加熱電流(図4における端子12cの電位に相当)を乗算することにより、流量検出信号とする方法も可能である。
【0043】
次に、図5を用いて、本発明の第1の実施形態によるガス流量計のセンサ素子の製造工程について説明する。
図5は、本発明の第1の実施形態によるガス流量計のセンサ素子の製造工程を示す工程図である。なお、図1と同一符号は、同一部分を示している。
【0044】
図5(a)に示すように、シリコン半導体基板2の上下面に、熱酸化処理により、二酸化ケイ素(SiO)層7a,22を約0.2ミクロン厚に形成する。次に、バリア層8aとして、発熱抵抗体4の発熱温度範囲(<550℃)において水素を透過しにくく且つ吸収しにくい化学量論的に安定な窒化ケイ素(Si)薄膜を、770〜800℃の温度で、減圧CVD(Chenical Vapor Deposition:以下LPCVD法とする)法により、約0.15ミクロン厚に形成する。この化学量論的に安定な窒化ケイ素(Si)薄膜は、緻密な膜質となっており、引張り残留応力を有する機械強度が高い膜であるとともに、発熱抵抗体4の発熱温度範囲(<550℃)において水素を透過しにくく且つ吸収しにくい特性を有している。
【0045】
なお、同じ窒化ケイ素薄膜でも、形成温度が低くプラズマ雰囲気で膜形成するプラズマCVD法やスパッタリング法による窒化ケイ素薄膜(プラズマ窒化ケイ素薄膜)は、上述の化学量論的に安定な窒化ケイ素(Si)薄膜とは異なり、Si(x、y=不定)の化学構造となり、膜質が疎で不安定であり、機械強度が低く且つ水素を多量に含有するとともに容易に水素を透過するために、本実施形態のバリア層としては不適である。
【0046】
次に、バリア層8aの上層に、二酸化ケイ素(SiO)層7bを約0.5ミクロン厚に、LPCVD法により形成する。LPCVD法により形成された二酸化ケイ素(SiO)膜は、上記の窒化ケイ素(Si)薄膜と比較して、膜応力が逆の圧縮応力となり且つ熱伝導率が一桁小さくなる。
【0047】
従って、二酸化ケイ素(SiO)層7a,7bと窒化ケイ素(Si)薄膜8aの多層構成とし、窒化ケイ素(Si)薄膜は、膜応力が引張応力を有し、二酸化ケイ素(SiO)膜は、膜応力が圧縮応力を有するため、残留応力が互いに打ち消す方向に作用するため、ダイヤフラム部3の残留応力による撓みが低減でき、強度向上が図られる。
【0048】
次に、図5(b)に示すように、絶縁膜7b上に、図1に示した発熱抵抗体4と測温抵抗体5a〜5d、6を形成するための多結晶ケイ素(Si)半導体薄膜23を、約1ミクロンの厚さで、LPCVD等の方法で形成する。ここで、多結晶ケイ素(Si)半導体薄膜は、他の製造方法であるプラズマを用いたLPCVD,電子サイクロトロン共鳴を用いたECR−PCVD,あるいはマイクロ波を用いたCVD等の方法にて形成することも可能である。ケイ素(Si)半導体薄膜23として、ここでは多結晶ケイ素(Si)半導体薄膜としたが、エピタキシャル成長させた単結晶構造のケイ素(Si)半導体薄膜を形成してもよいものである。
【0049】
次に、形成したケイ素(Si)半導体薄膜23に熱拡散処理にて不純物ドープ処理を行う。リンガラス(POCl3)をケイ素(Si)半導体薄膜23の表面に形成し、1000℃,30分以上の熱処理により、抵抗率(ρ)が8×10−4Ωcm以下となるリン(P)が高濃度ドープ処理されたケイ素(Si)半導体薄膜23が形成される。
【0050】
なお、この工程にて不純物としてリン(P)を用いたが、ボロン(B)を不純物に用いて高濃度ドープ処理を行うことも可能であるが、形成したケイ素(Si)半導体薄膜の抵抗値の安定性(経時変化)に関しては不純物としてリン(P)を用いた方がより効果が得られる。
【0051】
次に、図5(c)に示すように、公知のホトリソグラフィ技術により、レジストを所定の形状に形成した後、反応性ドライエッチング等の方法により、ケイ素(Si)半導体薄膜23をパターニングし、発熱抵抗体4,測温抵抗体5a〜5d,ガス温度測温抵抗体6(図示せず)および各抵抗体と端子電極12を接続するための配線接続部11(11a〜11l)(図示せず)を形成する。
【0052】
次に、図5(d)に示すように、図5(a)の工程と同様に、絶縁膜7cとして二酸化ケイ素(SiO)層を約0.5ミクロン厚に、バリア層8bとして化学量論的に安定な窒化ケイ素(Si)薄膜を、770〜800℃の温度でLPCVD法により約0.15ミクロン厚に、絶縁膜7dとして二酸化ケイ素(SiO)層を約0.2ミクロン厚に積層する。
【0053】
絶縁膜7c,7dおよびバリア層8bを形成した後に、多結晶ケイ素(Si)半導体薄膜の抵抗値の安定性(経時変化)を高めるために熱処理を行う。被測定ガスに水素が含まれる場合は、少なくとも水素ガスを含む雰囲気中にて熱処理アニールが施され、被測定ガスに水素が含まれない場合は、不活性ガス雰囲気中にて、熱処理アニールが550℃以上で900℃以下の熱処理アニールが施される。
【0054】
以上のように、発熱抵抗体4の下層には、絶縁膜7c,7dとバリア層8bの3層構造が形成され、上層には、絶縁膜7c、7dとバリア層8bの3層構造が形成される。これらは、ケイ素(Si)半導体薄膜23の上下方向に対して対称な膜構成となるため、ダイヤフラム部3の熱応力による撓みが低減でき、強度向上が図られる。
【0055】
その後、図示していないが絶縁膜7c,7dバリア層8bの所定の位置にスルーホールを形成後、端子電極12(12a〜12h)が、アルミニーム,金等で形成されて、端子電極と抵抗体間の電気接続がなされる。次に、シリコン半導体基板2に空洞9を形成するために、エッチングのマスク材22を所定の形状にパターニングし半導体基板2のエッチング部のみを露出させる。マスク材22としては、二酸化ケイ素あるいはよりエッチング選択比の高い窒化ケイ素等が用いられる。
【0056】
次に、図5(e)に示すように、シリコン半導体基板2の裏面より、二酸化ケイ素あるいは窒化ケイ素等をマスク材22として、水酸化カリウム(KOH)等のエッチング液を用いて異方性エッチングすることにより、空洞9を形成する。
【0057】
上記の半導体製造プロセスの最終工程又は上記端子電極12としてアルミニーム、金等を形成した後に、アルミニーム,金等の電極材の膜質を高め電気接続を確実にするために、水素或は不活性ガス雰囲気にて400℃以下で1時間以上の熱処理アニールを施す。400℃以下で1時間以上の熱処理アニール工程においては、被測定ガスが、空気,窒素,酸素,炭酸ガス,水蒸気等の場合は、被測定ガスあるいは不活性ガスである窒素,アルゴン,ヘリウム,フッ素等のガス雰囲気にて熱処理アニールを施す。また、被測定ガスが、水素,都市ガス,メタン,プロパン,ブタン等の水素原子を含むガスの場合には、被測定ガスあるいは水素ガス雰囲気にて熱処理アニールを施す。これらの熱処理アニールにより、更に、ケイ素(Si)半導体薄膜の抵抗値の安定性(経時変化)が高められる。
【0058】
また、発熱抵抗体4及び測温抵抗体5a〜5d,6をリン(P)又はボロン(B)を高濃度ドープ処理し、抵抗率(ρ)が8×10−4Ωcm以下となるように設定したことにより、発熱抵抗体4及び測温抵抗体5a〜5d,6の抵抗温度係数(α)を比較的大きく保つことができる。このため測温感度の向上が図られた低コストなガス流量計が提供できる。
【0059】
次に、図6及び図7を用いて、本発明の第1の実施形態によるガス流量計に用いる抵抗体の抵抗率と抵抗温度係数について説明する。
図6は、本発明の第1の実施形態によるガス流量計に用いるケイ素(Si)半導体薄膜の抵抗率(ρ)と不純物濃度の関係の説明図である。図7は、本発明の第1の実施形態によるガス流量計に用いるケイ素(Si)半導体薄膜の抵抗温度係数(α)と抵抗率(ρ)の関係の説明図である。
【0060】
ケイ素(Si)半導体膜は、一般的にサーミスタ的な抵抗ー温度特性を示すが、温度範囲が比較的狭く且つ高濃度に不純物ドープ処理された場合には、以下の式(1)に示すような金属的な抵抗ー温度特性を示す。
【0061】
R=R0(1+α(T−T0)) …(1)
ここで、Rは温度(T)における半導体膜の抵抗値、R0は温度(T0)における半導体膜の抵抗値、αは抵抗温度係数である。
【0062】
ここで、測温抵抗体5a〜5d,6としては、抵抗温度係数(α)の大きいことが検出感度を向上することから望まれる。また、発熱抵抗体4としては、抵抗率(ρ)が小さいことが、所望の温度(例えば200℃)に加熱しようとしたときの発熱抵抗体を駆動する電圧を低減する上で望まれる。
【0063】
図7の実線26は、抵抗温度係数(α)と抵抗率(ρ)の関係を示している。図7において、抵抗率(ρ)が8×10−4Ωcm以下の領域27で抵抗温度係数(α)が増加する。測温抵抗体5a〜5d,6としては、抵抗温度係数(α)の大きいことが検出感度を向上することから望まれ、また、発熱抵抗体4としては、抵抗率(ρ)が小さいことが望まれるため、図7に示した抵抗率(ρ)が8×10−4Ωcm以下の領域27では、低い抵抗率(ρ)で、大きい抵抗温度係数(α)(1000(×10−6/℃)以上)が実現できる。
【0064】
特に、発熱抵抗体4としては、抵抗値を下げるためには、ケイ素(Si)半導体膜の膜厚を厚くする対応が考えられるが、膜厚を厚くすると所望のパターンに精度良くエッチングすることが難しくなり、材料コストの面からも好ましくないものである。エッチングが精度良く実現できる多結晶ケイ素(Si)半導体膜の膜厚は約1ミクロンが限界であり、この厚さで10ボルト以下の駆動電圧で駆動できる発熱抵抗体4の抵抗値は1kΩ以下である。ここで、上述したように、抵抗率(ρ)が8×10−4Ωcm以下とした場合、発熱抵抗体4の寸法を、長さ1mm,幅0.1mm,厚さ1μmとすると、発熱抵抗体4の抵抗値は、80Ωとなる。さらに、発熱抵抗体4に接続される配線接続部11の抵抗まで含めると、全体の抵抗値は200Ω程度となり、1kΩ以下となる。
【0065】
そこで、図6に実線24で示すケイ素(Si)半導体薄膜の抵抗率(ρ)と不純物濃度の関係から、抵抗率(ρ)を8×10−4Ωcm以下とする場合の不純物濃度は、図6の領域25で示した2×1020(cm−3)以上の領域となる。本実施形態における発熱抵抗体4の抵抗値としては、電源電圧および発熱量の関係から50〜900Ω、測温抵抗体5a〜5d,6の抵抗値としては1〜10kΩを選択した。
【0066】
次に、図8〜図10を用いて、本発明の第1の実施形態によるガス流量計のセンサ素子に用いるバリア層について説明する。
図8〜図10は、本発明の第1の実施形態によるガス流量計のセンサ素子に用いるバリア層の説明図である。なお、図1と同一符号は、同一部分を示している。
【0067】
図8は、図2のB部の拡大図を示しており、図1に示したバリア層8a,8bが無い場合である。多結晶ケイ素(Si)半導体膜からなる発熱抵抗体4の上下には、二酸化ケイ素(SiO)からなる絶縁膜7a,7b,7c,7dが形成されている。多結晶ケイ素(Si)半導体膜4には、ケイ素(Si)の結晶粒29,粒界28,二酸化ケイ素(SiO)との境界面30が存在する。
【0068】
ここで、図8のケイ素(Si)の結晶粒29内では、図9(a)に示したように、ケイ素(Si)原子が規則的に配列結合した単結晶状態であり、化学的に安定していて理想の構造となっている。一方、図8の粒界28、二酸化ケイ素(SiO)との境界面30および結晶粒29内の欠陥(図示せず)では、図9(b)に示す様に、ケイ素(Si)原子の規則的に配列結合が寸断されて不安定な状態となる。特に、多結晶ケイ素(Si)半導体膜や二酸化ケイ素(SiO)膜を形成するLPCVD法では、製造プロセス中に水素ガス成分発生し、多結晶ケイ素(Si)半導体薄膜の粒界28や、欠陥領域または境界面30では、図9(b)に示した様に、規則的に配列結合が寸断されたケイ素(Si)と水素(H)の結合(ダングリングボンド)が形成される。Si−Hの結合(ダングリングボンド)エネルギーは、3.1eVと他のガスのSi−N、Si−F結合等に比べて小さく、温度上昇等により容易にダングリングボンドの形成および解離が起こる。図9(b)のように、Si−Hのダングリングボンドが形成された状態では、多結晶ケイ素(Si)半導体薄膜の粒界または欠陥領域におけるエネルギー障壁が下がることから抵抗値が低減する。
【0069】
しかし、図8に示すバリア層8a,8bが無い構造では、発熱抵抗体を加熱して長時間に渡って流量計測を行った場合には、図9(c)のようにSi−Hのダングリングボンドが容易に解離し、水素が二酸化ケイ素(SiO)膜内を拡散脱離することにより、多結晶ケイ素(Si)半導体薄膜の粒界または欠陥領域におけるエネルギー障壁が増大し、抵抗値が増大し、経時変化する。
【0070】
それに対して、図10は、本実施形態におけるバリア層8a,8bを形成した構成を示している。バリア層8a,8bが水素の拡散脱離を止めることから、Si−Hのダングリングボンドが安定し、発熱抵抗体を加熱して長時間に渡って流量計測を行った場合でも抵抗の経時変化が低減される。
【0071】
次に、図11を用いて、本発明の第1の実施形態によるガス流量計のセンサ素子に用いるバリア層の有無による経時変化について説明する。
図11は、本発明の第1の実施形態によるガス流量計のセンサ素子に用いるバリア層の有無による経時変化の説明図である。
【0072】
図11は、バリア層8a,8bを多結晶ケイ素(Si)半導体膜からなる発熱抵抗体4の上下層に形成した場合(実線32)と、バリア層が無い構成の場合(実線31)における発熱抵抗体4の抵抗経時変化の実験結果を示している。図11において、横軸は通電時間であり、縦軸は通電後の抵抗の変化を示している。この実験において、発熱抵抗体4は250℃に加熱通電されている。
【0073】
実線31で示すように、バリア層の無い構成では、加熱通電時間1000時間後の抵抗経時変化は約1%である。それに対して、実線32で示すように、バリア層8a,8bを多結晶ケイ素(Si)半導体膜からなる発熱抵抗体4の上下層に形成したことにより、発熱抵抗体4の経時変化が大幅に改善されることが分る。
【0074】
なお、図示は省略しているが、バリア層を片方の8aのみ形成した場合には、バリア層が無い場合の結果とほぼ同じ結果であった。バリア層8a,8bを多結晶ケイ素(Si)半導体膜からなる発熱抵抗体4の上下の両層に形成し、バリア層により発熱抵抗体4を包含することが、発熱抵抗体の経時変化の抑制に効果的である。
【0075】
さらに、図12及び図13を用いて、本発明の第1の実施形態によるガス流量計のセンサ素子におけるさらなる経時変化防止方法について説明する。
【0076】
図12及び図13は、本発明の第1の実施形態によるガス流量計のセンサ素子におけるさらなる経時変化防止方法の説明図である。
【0077】
その経時変化防止方法とは、バリア層8a,8bを形成した後に、被測定ガスに水素が含まれる場合は、少なくとも水素ガスを含む雰囲気中にて熱処理アニールを、被測定ガスに水素が含まれない場合は、不活性ガス雰囲気中にて熱処理アニールを、それぞれ、550℃から900℃の温度範囲で施す方法である。
【0078】
図12および図13は、被測定ガスに水素が含まれない場合のバリア層8a,8bを形成した多結晶ケイ素(Si)半導体膜からなる発熱抵抗体4の、抵抗および抵抗経時変化の不活性ガス(窒素,アルゴン,ヘリウム,フッ素等)雰囲気中での熱処理アニール効果を示したものである。
【0079】
バリア層8a、8bの化学量論的に安定な窒化ケイ素(Si)薄膜は、550℃以下では水素を透過しにくく且つ吸収しにくいが、550℃以上の温度では水素を透過し易くなる特性を有する。このことから、被測定ガスに水素が含まれない場合には、バリア層8a、8bに包含された多結晶ケイ素(Si)半導体膜の余分なSi−Hのダングリングボンドを形成する水素を予め550℃以上の熱処理アニールにて外部へ排除することにより、その後の発熱抵抗体4の発熱温度範囲(<550℃)において抵抗経時変化を更に低減することが可能となる。
【0080】
550℃以上の熱処理アニールにて、余分なSi−Hのダングリングボンドを形成する水素が排除されたことにより、図12に示した抵抗値33がエネルギー障壁の増大により若干増大するが、図13に示した抵抗経時変化34は大幅に改善される。
【0081】
一方、熱処理アニール温度が900℃以上では、多結晶ケイ素(Si)半導体膜に高濃度に不純物ドープされたリン(P)が活性化し、多量に析出していた粒界および境界から結晶粒内にリン(P)が拡散し始め、粒界および境界でのリン(P)の減少がSi−Hのダングリングボンドの増大を招くことから、抵抗経時変化が逆に大きくなる。このことから、熱処理アニールとしては550℃から900℃の温度範囲が最適である。
【0082】
以上は、被測定ガスに水素が含まれない場合についてであるが、被測定ガスに水素が含まれる場合には、逆に被測定ガス中の水素が時間の経過とともに多結晶ケイ素(Si)半導体膜に取り込まれてSi−Hのダングリングボンドが増大して発熱抵抗体4の抵抗値が減少する経時変化を示す。従って、被測定ガスに水素が含まれる場合には、バリア層8a,8bに包含された多結晶ケイ素(Si)半導体膜のSi−Hのダングリングボンドを形成する水素を予め十分に取り込んでおく必要がある。このために、水素ガスを含む雰囲気中にて550℃から900℃の温度範囲にて熱処理アニールを施して外部(熱処理雰囲気)からバリア層8a、8bを介して水素を取り込むことにより、被測定ガスに水素が含まれる場合でも抵抗経時変化の少ない発熱抵抗体4が実現できる。
【0083】
なお、以上の説明は、発熱抵抗体4についてであるが、測温抵抗体5a〜5d、ガス温度測温抵抗体6および各抵抗体と端子電極12を接続するための配線接続部11(11a〜11l)等のケイ素(Si)半導体膜に対しても同様の効果が得られる。
【0084】
更に、ケイ素(Si)半導体薄膜の抵抗率(ρ)が8×10−4Ωcm以下になるようにリン(P)等の不純物を高濃度ドープ処理することにより、各抵抗体として最適な抵抗値および抵抗温度係数が実現できるとともに、ケイ素(Si)半導体膜の粒界、欠陥および境界に多量に析出したリン(P)がSi−Hのダングリングボンドの形成を阻害することからより各抵抗体の抵抗経時変化を低減することができる。
【0085】
また、バリア層8a,8bとして、化学量論的に安定な窒化ケイ素(Si)薄膜を適用したの実施例を説明したが、発熱抵抗体4の発熱温度範囲において水素を透過しにくく且つ吸収しにくい特性を有しているバリア膜材料,例えば、金(Au)や、銀(Ag)であれば同様の効果が得られる。
【0086】
ここで、バリア層8a,8b材料として、チタン(Ti,Ti合金)系、或はニッケル(Ni,Ni合金)系の水素吸収・貯蔵型の金属の適用は不向きである。水素吸収・貯蔵型のバリア層では、一度バリア層が貯蔵された水素が発熱抵抗体4の発熱の時間経過とともに析出および貯蔵を繰り返す。このため、ケイ素(Si)半導体膜のSi−Hのダングリングボンドの形成が時間とともに変動し、発熱抵抗体4の抵抗値が不安定で一定しなくなるためである。
【0087】
また、バリア層8a,8b材料として、二酸化ケイ素(SiO)は発熱抵抗体4の発熱温度範囲において水素を容易に透過することから不向きであり、ケイ素(Si)半導体膜も水素吸収、貯蔵型であることからバリア層材料として向かない。
【0088】
ここで、水素が含まれない被測定ガスとしは、空気,窒素,酸素,炭酸ガス,水蒸気等であり、水素が含まれる被測定ガスとしは、水素,都市ガス,メタン,プロパン,ブタン等が対象となる。
【0089】
なお、以上の説明では、ケイ素(Si)半導体膜が多結晶であるとしたが、単結晶ケイ素(Si)半導体膜でも、図8に示した二酸化ケイ素(SiO)との境界面30および結晶粒29内の欠陥(図示せず)では、図9(b)に示す様に、ケイ素(Si)原子の規則的に配列結合が寸断されて不安定な状態となり、図9(b)に示した様に、規則的に配列結合が寸断されたケイ素(Si)と水素(H)の結合(ダングリングボンド)が形成される。したがって、本実施形態は、単結晶ケイ素(Si)半導体膜に対しても、同様に効果があるものである。
【0090】
以上説明したように、本実施形態によれば、高濃度に不純物ドープ処理されたケイ素(Si)半導体薄膜である発熱抵抗体の上層と下層にそれぞれ、発熱抵抗体の発熱温度範囲において水素を透過しにくく且つ吸収しにくいバリア層で発熱抵抗体を包含するように形成することにより、ガス流量計測時の経時変化を低減できることから信頼性の高いガス流量計測が可能となる。
【0091】
さらに、被測定ガスに水素が含まれる場合は、上記の上層バリア層を形成した後、少なくとも水素ガスを含む雰囲気中にて、被測定ガスに水素が含まれない場合は、バリア層を形成した後、不活性ガス雰囲気中にて550℃以上で900℃以下の熱処理アニールすることにより、ガス流量計測時の経時変化を低減できることから信頼性の高いガス流量計測が可能となる。
【0092】
次に、図14を用いて、本発明の第2の実施形態によるガス流量計の構成について説明する。なお、本実施形態によるガス流量計のセンサ素子の平面構成は図1に示したものと同様である。
図14は、本発明の第2の実施形態によるガス流量計の構成を示す断面図である。なお、図1と同一符号は、同一部分を示している。
【0093】
本実施形態におけるガス流量計の主たる構成は、図1〜図2に示したものと同様であるが、図2に示した第1の実施形態において備えているバリア層8a,8bに挟まれる絶縁膜7b,7cを省略した点にある。
【0094】
このような構造とすることにより、ケイ素(Si)半導体薄膜の各抵抗体4,5b,5dがバリア層8a,8bにより確実に包含されることから、ガス流量計測時の経時変化を低減できる。
【0095】
本実施形態によれば、高濃度に不純物ドープ処理されたケイ素(Si)半導体薄膜である発熱抵抗体の上層と下層にそれぞれ、発熱抵抗体の発熱温度範囲において水素を透過しにくく且つ吸収しにくいバリア層で発熱抵抗体を包含するように形成することにより、ガス流量計測時の経時変化を低減できることから信頼性の高いガス流量計測が可能となる。
【0096】
次に、図15を用いて、本発明の第3の実施形態によるガス流量計の構成について説明する。なお、本実施形態によるガス流量計のセンサ素子の平面構成は図1に示したものと同様である。
図15は、本発明の第3の実施形態によるガス流量計の構成を示す断面図である。なお、図1と同一符号は、同一部分を示している。
【0097】
本実施形態におけるガス流量計の主たる構成は、図14に示したものと同様であるが、さらに、図14に示した第2の実施形態において備えている絶縁膜7cを省略した点にある。なお、絶縁膜7bを省略することも可能である。
【0098】
本実施形態によれば、高濃度に不純物ドープ処理されたケイ素(Si)半導体薄膜である発熱抵抗体の上層と下層にそれぞれ、発熱抵抗体の発熱温度範囲において水素を透過しにくく且つ吸収しにくいバリア層で発熱抵抗体を包含するように形成することにより、ガス流量計測時の経時変化を低減できることから信頼性の高いガス流量計測が可能となる。
【0099】
【発明の効果】
本発明によれば、ガス流量計の経時変化を低減できるものとなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態によるガス流量計のセンサ素子の平面図である。
【図2】図1のA−A断面図である。
【図3】本発明の第1の実施形態によるガス流量計を用いた内燃機関用空気流量計の実装状態を示す断面図である。
【図4】本発明の第1の実施形態によるガス流量計の回路図である。
【図5】本発明の第1の実施形態によるガス流量計のセンサ素子の製造工程を示す工程図である。
【図6】本発明の第1の実施形態によるガス流量計に用いるケイ素(Si)半導体薄膜の抵抗率(ρ)と不純物濃度の関係の説明図である。
【図7】本発明の第1の実施形態によるガス流量計に用いるケイ素(Si)半導体薄膜の抵抗温度係数(α)と抵抗率(ρ)の関係の説明図である。
【図8】本発明の第1の実施形態によるガス流量計のセンサ素子に用いるバリア層の説明図である。
【図9】本発明の第1の実施形態によるガス流量計のセンサ素子に用いるバリア層の説明図である。
【図10】本発明の第1の実施形態によるガス流量計のセンサ素子に用いるバリア層の説明図である。
【図11】本発明の第1の実施形態によるガス流量計のセンサ素子に用いるバリア層の有無による経時変化の説明図である。
【図12】本発明の第1の実施形態によるガス流量計のセンサ素子におけるさらなる経時変化防止方法の説明図である。
【図13】本発明の第1の実施形態によるガス流量計のセンサ素子におけるさらなる経時変化防止方法の説明図である。
【図14】本発明の第2の実施形態によるガス流量計の構成を示す断面図である。
【図15】本発明の第3の実施形態によるガス流量計の構成を示す断面図である。
【符号の説明】
1…センサ素子
2…半導体基板
3…ダイヤフラム部
4…発熱抵抗体
5a,5b…上流側測温抵抗体
5c,5d…下流側測温抵抗体
6…ガス温度測温抵抗体
7a,7b,7c,7d,22…絶縁膜
9…空洞部
10…ガス流
13…吸気通路
11,11a〜11l…配線接続部
12,12a〜12h…端子電極
14…副通路
15…支持体
16…外部回路
17…制御回路
18…電源
19…トランジスタ
20a,20b…抵抗
21…メモリ
23…ケイ素(Si)半導体膜
28…ケイ素(Si)半導体膜の粒界
29…ケイ素(Si)半導体膜の結晶粒
30… ケイ素(Si)半導体膜の境界面

Claims (10)

  1. 空洞部が形成された半導体基板と、この半導体基板の空洞部の上に絶縁膜を介して形成された少なくとも発熱抵抗体を有し、被測定ガスの流量を計測するガス流量計において、
    上記発熱抵抗体は、高濃度に不純物ドープ処理されたケイ素(Si)半導体薄膜であり、
    このケイ素(Si)半導体薄膜の上層と下層であって、少なくとも上記空洞部を覆う領域に所定温度以下にて水素を透過しにくく且つ吸収しにくいバリア層を形成し、
    上記発熱抵抗体の発熱温度範囲を上記所定温度以下としたことを特徴とするガス流量計。
  2. 請求項1記載のガス流量計において、
    上記バリア層は、化学量論的に安定な窒化ケイ素(Si)薄膜であり、
    上記発熱抵抗体の発熱温度範囲を550℃以下としたことを特徴とするガス流量計。
  3. 請求項1記載のガス流量計において、
    上記ケイ素(Si)半導体薄膜は、不純物ドープ処理された多結晶ケイ素(Si)半導体薄膜であり、
    この多結晶ケイ素(Si)半導体薄膜は、不純物としてリン(P)又はボロン(B)が高濃度ドープ処理されていることを特徴とするガス流量計。
  4. 請求項1記載のガス流量計において、
    上記ケイ素(Si)半導体薄膜の抵抗率が8×10−4Ωcm以下になるように高濃度ドープ処理されることを特徴とするガス流量計。
  5. 空洞部が形成された半導体基板と、この半導体基板の空洞部の上に絶縁膜を介して形成された少なくとも発熱抵抗体を有し、水素定ガスの流量を計測するガス流量計において、
    上記発熱抵抗体は、不純物ドープ処理された多結晶ケイ素(Si)半導体薄膜であり、
    この多結晶ケイ素(Si)半導体薄膜は、不純物としてリン(P)又はボロン(B)が高濃度ドープ処理されており、
    上記ケイ素(Si)半導体薄膜の上層と下層であって、少なくとも上記空洞部を覆う領域に所定温度以下にて水素を透過しにくく且つ吸収しにくいバリア層を形成し、
    上記発熱抵抗体の発熱温度範囲を上記所定温度以下としたことを特徴とするガス流量計。
  6. 請求項5記載のガス流量計において、
    上記ケイ素(Si)半導体薄膜の抵抗率が8×10−4Ωcm以下になるように高濃度ドープ処理されることを特徴とするガス流量計。
  7. 空洞部が形成された半導体基板と、この半導体基板の空洞部の上に絶縁膜を介して形成された少なくとも発熱抵抗体を有し、被測定ガスの流量を計測するガス流量計の製造方法において、
    上記半導体基板は、シリコン半導体基板であり、
    このシリコン半導体基板の表面に形成する絶縁膜として、少なくとも第一の水素を透過しにくく且つ吸収しにくいバリア層として化学量論的に安定な窒化ケイ素(Si)薄膜を含む第1の絶縁膜を形成する工程と、
    この第1の絶縁膜の上層に、ケイ素半導体薄膜を形成する工程と、
    このケイ素半導体薄膜に、熱拡散処理にて不純物ドープ処理を行い、不純物を高濃度ドープ処理する工程と、
    上記ケイ素半導体薄膜をパターニングし、少なくとも、上記発熱抵抗体のパターンを形成する工程と、
    上記発熱抵抗体の上層に、更に、絶縁膜として少なくとも第二の水素を透過しにくく且つ吸収しにくいバリア層として化学量論的に安定な窒化ケイ素(Si)薄膜を含む第2の絶縁膜を積層し、上記発熱抵抗体を第1および第2のバリア層によって包含する工程と、
    上記発熱抵抗体を、少なくとも水素を含むガス雰囲気、または不活性ガス雰囲気にて熱処理アニールを施す工程と、
    上記発熱抵抗体と外部回路との電気接続をするために上記第2の絶縁膜にスルーホールを形成した後に電極膜を形成する工程と、
    上記シリコン基板の裏面に空洞を形成する工程と、
    を備え
    上記熱処理アニールは、550℃以上で900℃以下の熱処理であることを特徴とするガス流量計の製造方法。
  8. 請求項7記載のガス流量計の製造方法において、
    上記熱処理アニールは、上記被測定ガスに水素が含まれる場合には、少なくとも水素ガスを含む雰囲気中で熱処理されることを特徴とするガス流量計の製造方法。
  9. 請求項7記載のガス流量計の製造方法において、
    上記熱処理アニールは、上記被測定ガスに水素が含まれない場合には、不活性ガスを含む雰囲気中で熱処理されることを特徴とするガス流量計の製造方法。
  10. 空洞部が形成された半導体基板と、この半導体基板の空洞部の上に絶縁膜を介して形成された少なくとも発熱抵抗体を有し、被測定ガスの流量を計測するガス流量計の製造方法において、
    上記半導体基板は、シリコン半導体基板であり、
    このシリコン半導体基板の表面に第1の二酸化ケイ素膜、第1の水素を透過しにくく且つ吸収しにくいバリア層として化学量論的に安定な窒化ケイ素(Si)薄膜および第2の二酸化ケイ素膜を積層形成する工程と、
    この第2の二酸化ケイ素膜の上層に、ケイ素半導体薄膜を形成する工程と、
    このケイ素半導体薄膜に、熱拡散処理にて不純物ドープ処理を行い、抵抗率が8×10−4Ωcm以下となるリン(P)を高濃度ドープ処理する工程と、
    上記ケイ素半導体薄膜をパターニングし、少なくとも、上記発熱抵抗体のパターンを形成する工程と、
    上記発熱抵抗体の上層に更に、第3の二酸化ケイ素膜、第2の水素を透過しにくく且つ吸収しにくいバリア層として化学量論的に安定な窒化ケイ素(Si)薄膜および第4の二酸化ケイ素膜を積層し、上記発熱抵抗体を水素が透過しにくい第1および第2のバリア層によって包含する工程と、
    上記発熱抵抗体を、少なくとも水素を含むガス雰囲気、または不活性ガス雰囲気にて550℃以上で900℃以下の温度で熱処理アニールを施す工程と、
    上記発熱抵抗体と外部回路との電気接続をするために上記第2の二酸化ケイ素膜,第2のバリア層及び第4の二酸化ケイ素膜にスルーホールを形成した後に電極膜を形成する工程と、
    上記シリコン基板の裏面に空洞を形成する工程と、
    を備えることを特徴とするガス流量計の製造方法。
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