JP2001215141A - 熱式流量センサ - Google Patents

熱式流量センサ

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JP2001215141A
JP2001215141A JP2000023943A JP2000023943A JP2001215141A JP 2001215141 A JP2001215141 A JP 2001215141A JP 2000023943 A JP2000023943 A JP 2000023943A JP 2000023943 A JP2000023943 A JP 2000023943A JP 2001215141 A JP2001215141 A JP 2001215141A
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flow sensor
silicon
heater
silicon diaphragm
diaphragm
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Kiyomitsu Suzuki
清光 鈴木
Masahiro Komachiya
昌宏 小町谷
Masamichi Yamada
雅通 山田
Susumu Murakami
進 村上
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Hitachi Ltd
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Hitachi Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】ヒータ抵抗値が変化せず、ヒータを形成するダ
イアフラム自体が破壊しない高信頼度の熱式流量センサ
を実現する。 【解決手段】シリコンダイヤフラム5にドーピングを行
い、シリコンダイヤフラム5の内部にヒータ7、センサ
8、9を形成し、シリコンダイヤフラム5の上下面には
絶縁膜4、6を施すとともにシリコンダイヤフラム5の
内部にてヒータ7とシリコンダイヤフラム5との間には
絶縁層10が施される。これによりヒータ7はピエゾ抵
抗効果による抵抗変化が抑制されイオン拡散による抵抗
値の増加、シリコンダイヤフラム5に表面に付着する水
滴の悪影響も抑制される。さらに、シリコンダイヤフラ
ム5の厚みが厚く(2ミクロン以上)、ヒータ7の厚み
も厚く、シリコンダイヤフラム5はその面方向の中心線
に対してほぼ上下対称の構造となっている。これにより
シリコンダイヤフラム5の強度が向上される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ガスメータ、半導
体製造装置等における各種ガス、自動車エンジンヘの吸
入空気等の広範囲な分野における気体の流量を測定する
センサに係わり、特に、高精度で高信頼度を有する熱式
流量センサに関する。
【0002】
【従来の抜術】熱式流量センサは、ヒータに通電して、
ヒータ部を所定の温度(例えば、被測定気体の温度より
150℃高い温度)に自己加熱し、気体の流量に応じて
変化するヒータからの放熱量やヒータの近傍に配置した
温度センサの温度変化から気体の流量を検出するもので
ある。
【0003】熱式流量センサのヒータ素材としては、白
金を用いたものが特開平8−271308号公報に記載
されている。また、ヒータ素材としてシリコンを用いた
ものが、特開平11−83580号公報に記載されてい
る。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上述したように、熱式
流量センサは、ヒータ部を所定の温度に自已加熱して、
温度センサの温度変化から気体の流量を検出するもので
ある。それ故、所定の温度へ正確に自己加熱できないと
検出誤差が大きくなる。
【0005】ところが、ヒータ素材にシリコンを用いた
従来例にあっては、ヒータの抵抗値が経時変化し、ヒー
タ部を所定の温度へ正確に加熱できない間題点があっ
た。この結果、経時的に流量の検出誤差が次第に大きく
なってしまっていた。
【0006】また、ヒータ素材にシリコンもしくは白金
を用いた従来例にあっては、微粒子の衝突や水滴の付着
する悪環境下では、ヒータを形成したダイアフラムが破
壊され、流量を全く検出できなくなるという信頼性上の
間題があった。
【0007】これらの信頼性に関する間題点の原因を以
下に述べる。まず、シリコンよりなるヒータの抵抗値が
経時変化する要因を示す。ヒータの抵抗変化は少なくと
も0.1%以下にする必要があるが、実際にはその数倍
から数十倍程度変化していた。
【0008】(イ)ピエゾ抵抗効果による抵抗値の変化
のためである。従来例のヒータはSi02やSi34
るいはこれらの複合膜などからなる絶縁性の極めて薄い
(約1ミクロン)ダイアフラム中に帯状に形成されてい
た。これらの絶縁性のダイアフラムは空所を有するシリ
コン基板の上に形成されている。これらの絶縁性のダイ
アフラムを構成するSi02やSi34は、シリコン基
板に対して、加工後にそれぞれ−0.28Gpa(圧縮
応力)、1GPa(引っ張り応力)の残留応力を持って
いる。この残留応力は、ヒータへの通電による自己加熱
や吸湿によって微妙に変化し、絶縁性のダイアフラムに
曲げ変形を発生させていた。この曲げ変形によるピエゾ
抵抗効果によって、ヒータの抵抗値を経時変化させてい
た。また、帯状のパターンを有するヒータの上側と下側
とに形成された絶縁層の厚さやその材料がヒータに対し
て対称構造でなかったため、ピエゾ抵抗効果による抵抗
値の変化を拡大させていた。
【0009】(ロ)絶縁性ダイアフラム中のイオン拡散
(ナトリウムイオンやカリウムイオンなどの拡散)によ
るヒータ表面の蓄積層の減少による抵抗値の増加のため
である。
【0010】(ハ)ヒータ通電によって、Si34中へ
負の電荷がトラップされ、ヒータ抵抗値が僅かに変化す
るためである。
【0011】(二)Si34中にトラップされた水素が
ヒータ表面に拡敵してきて、ヒータ部のシリコンと結合
する。そして、ヒータ抵抗値を僅かに変化させるためで
ある。
【0012】(ホ)帯状のヒータパターンの設計不良や
水滴が付着したときのバーンアウト現象によって、ヒー
タの一部が極部的に高温に加熱される。このヒータの極
部加熱によってドーピングされたリンやボロンなどの不
純物の濃度勾配が変わり、抵抗値を変化させるためであ
る。
【0013】(へ)上述したヒータの極部加熱によっ
て、ヒータの素材が多結晶シリコンの場合、その結晶構
造が変わり抵抗値を変化させるためである。
【0014】次に、ダイアフラムが破壊する要因につい
て述べる。
【0015】(a)被測定気体中にサイズが約10ミク
ロン以上で、かつ数十m/s以上の速度で運動する微粒
子が存在する悪環境下で使用されるとき、この微粒子が
絶縁性のダイアフラムに衝突し、ダイアフラム自体を破
壊させる恐れがあった。即ち、従来の絶縁性のダイアフ
ラムの厚さは約1ミクロン程度と薄く、またシリコンな
どに比べて強度も弱いため、ダイアフラム自体が破壊さ
れる確率が非常に高かった。
【0016】(b)絶縁性のダイアフラム中に形成され
たヒータ部の表面に水滴が付着すると、バーンアウト現
象によって所定の温度よりはるかに高い温度までダイア
フラム自体を自已加熱させる。このとき、ダイアフラム
中に発生した大きな熱応力によってダイアフラムが破壊
する。
【0017】なお、ヒータ部への水滴の付着は、被測定
気体中をその流れに乗ってくる水滴と、ヒータ通電前に
露結によって生じた水滴との2種類の水滴によってもた
らされる。
【0018】本発明は、以上の間題に鑑みてなされたも
ので、その目的は、ヒータ抵抗値が変化せず、ヒータを
形成するダイアフラム自体が破壊しない高信頼度の熱式
流量センサを実現することである。
【0019】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明は次のように構成される。 (1)熱式流量センサにおいて、上面及び下面の両面に
少なくとも1層以上の絶縁膜を被覆したシリコンダイア
フラムの一部へ不純物をドーピングすることによってヒ
ータを形成する。
【0020】(2)好ましくは、上記(1)において、
シリコンダイアフラムが多結晶シリコンあるいは単結晶
シリコンで形成され、不純物としてリンあるいはボロン
がドーピングされる。
【0021】(3)また、好ましくは、上記(2)にお
いて、シリコンダイアフラムの両面に形成した絶縁膜の
厚さ、材料及びその層数は、上記上面と下面とは同等で
あり、上記シリコンダイアフラムに対して対称である。
【0022】(4)また、好ましくは、上記(3)にお
いて、上記絶縁膜はSi02単層あるいはSi34単層
あるいはSi02とSi34の多層構造あるいはSi02
とSi02の多層構造あるいはSi34とSi34の多
層構造よりなる。
【0023】(5)また、好ましくは、上記(4)にお
いて、多層構造の絶縁膜の中にシリコン層を介在させ、
このシリコン層を所定の電位に固定されている。
【0024】(6)また、好ましくは、上記(1)から
(5)において、シリコンダイアフラムとその両面に形
成された絶縁膜のトータル厚さが2ミクロン以上であ
る。
【0025】(7)また、好ましくは、上記(1)から
(6)において、シリコンダイアフラムはシリコン基板
に形成された凹部の薄肉部により形成され、シリコンダ
イヤフラムにはヒータが形成され、上記薄肉部とシリコ
ン基板の厚肉部との境界部と上記ヒータと間に、上記シ
リコンダイアフラムの上面から下面に到達するような複
数の絶縁層が形成されている。
【0026】(8)また、好ましくは、上記(1)から
(7)において、シリコンダイアフラム中にヒータが形
成され、このヒータの不純物濃度が上記シリコンダイア
フラムの上面から下面に至る単位長当たりの抵抗値がほ
ぼ一定となるようにドーピングされている。
【0027】(9)また、好ましくは、上記(1)から
(8)サにおいて、シリコンダイアフラム中にヒータが
形成され、このヒータのパターンの幅寸法は、上記シリ
コンダイアフラムの中央部より、上記シリコンダイアフ
ラムの端部側が小となっている。
【0028】(10)また、好ましくは、上記(1)か
ら(8)において、シリコンダイアフラム中にヒータが
形成され、このヒータのパターンの不純物濃度は、上記
シリコンダイアフラムの中央部より、上記シリコンダイ
アフラムの端部側が低くなっている。
【0029】(11)また、好ましくは、上記(1)か
ら(10)において、シリコンダイアフラムとその両面
に形成された絶縁膜が厚さが少なくとも数百ミクロン以
上のシリコン基板の上に形成された後、上記シリコン基
板の中央部が裏面からエッチングで除去されることによ
って凹部が加工され、上記絶縁膜中に上記シリコンダイ
アフラムの温度を検出するための温度センサが形成され
るとともに、上記シリコン基板の未エッチング部である
厚手部分に被測定流体の温度を検出する温度センサが形
成される。
【0030】(12)熱式流量センサにおいて、シリコ
ンダイアフラムの上面と下面とに絶縁膜が形成され、上
記上面の絶縁膜上にヒータが形成される。
【0031】(13)好ましくは、上記(12)におい
て、ヒータがシリコンあるいは白金などの金属材料で構
成される。
【0032】(14)また、好ましくは、上記(12)
又は(13)において、シリコンダイアフラムとその両
面に形成された絶縁膜のトータル厚さが少なくとも2ミ
クロン以上である。
【0033】上述の熱式流量センサの信頼性を悪化させ
る要因は、上記本発明により解消され、ヒータ抵抗値が
変化せず、且つヒータを形成したダイアフラム自体が破
壊しない高信頼度な熱式流量センサを提供することが可
能となる。
【0034】そして、本発明は以下のような作用を有す
る。
【0035】(イ)両面に少なくとも1層以上の絶縁膜
を被覆したシリコンダイアフラムの一部へ不純物をドー
ピングすることによって、帯状のヒータパターンを形成
する。このとき、シリコンダイアフラムに対して絶縁膜
の厚さを相対的に薄くすることにより、ヒータを内蔵す
るダイアフラムを絶縁性のダイアフラムから実質的にシ
リコン性のダイアフラムに変更する。
【0036】そして、シリコンダイアフラムの両面に形
成した絶縁膜の厚さ、材料及びその層数は同じで、シリ
コンダイアフラムに対して対称構造にする。あるいはヒ
ータを内蔵した従来の絶縁性のダイアフラムの下面にシ
リコンダイアフラムを設け、両者のダイアフラムを複合
化することによりダイアフラムの経時的な曲げ変形を抑
制する。
【0037】(ロ)シリコンダイアフラムの両面に多層
構造の絶縁膜を形成し、この多層構造の絶縁膜の中にシ
リコン層を介在させ、このシリコン層を所定の電位に固
定する。これによって、露出した絶縁膜中をイオンが拡
散してもヒータ表面の蓄積層の減少を防止することがで
きる。
【0038】(ハ)特に、高い精度で気体の流量を計測
する用途の場合、絶縁膜の材料にSi34を使用しな
い。
【0039】(二)特に、高い精度で気体の流量を計測
する用途の場合、絶縁膜の材料にSi34を使用しな
い。
【0040】(ホ)ヒータ部の長手方向の温度分布が一
様になるように、帯状のヒータパターンをその中央部で
幅を広く、シリコンダイアフラムの端部側で狭くする。
あるいは、帯状のヒータパターンの不純物濃度をその中
央部で高く、シリコンダイアフラムの端部側で低くす
る。
【0041】また、水滴付着によるバーンアウト現象に
よってヒータの」部が極部的に高温に加熱されても、ド
ーピングされたリンやボロンなどの不純物の濃度勾配の
変化の影響を受けにくいように、あらかじめシリコンダ
イアフラムの上面から下面にいたるまで十分に不純物を
ドーピングしておく。
【0042】(へ)水滴付着によるバーンアナウト現象
によって、ヒータの一部が極部的に高温に加熱される頻
度が非常に多い用途の場合、ヒータ素材のシリコンには
単結晶シリコンを用いる。
【0043】次に、ダイアフラムの破壊を防止するため
には、以下の構成によって達成される。
【0044】(a)両面に少なくとも1層以上の絶縁膜
を被覆したシリコンダイアフラムの一部へ不純物をドー
ピングすることによって、帯状のヒータパターンを形成
する。あるいはヒータを内蔵した絶縁性のダイアフラム
の下面にシリコンダイアフラムを設け、両者を複合化し
たダイアフラム構造にする。
【0045】いずれの場合も、ダイアフラムの主たる材
料に強度の高いシリコンを使用し、且つシリコンダイア
フラムとその両面に形成した絶縁膜のトータル厚さを少
なくとも2ミクロン以上にする。実験によれば、トータ
ル厚さが2ミクロンになると、微粒子の衝突によるダイ
アフラムの破壊確率は急激に低下した。トータル厚さが
3ミクロンになると悪環境下でも破壊は皆無になった。
【0046】(b)上記(a)項と同様の手段によって
解決され、トータル厚さと破壊確率の関係もほぼ似たよ
うな傾向を示した。また、ダイアフラムの主たる材料を
絶縁性の材料から熱伝尊率の高いシリコンにすることに
より、ヒータ部からダイアフラムを支持する基板側への
熱の移動量が大きくなる。そして、水滴付着によるバー
ンアウト時の加熱温度の上昇を従来より低い温度に抑制
することができる。結果として、ダイアフラムの破壌確
率の低下に結びつく。
【0047】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態を添付図
面に基づいて詳細に説明する。図1は本発明の第1の実
施形態である熱式流量センサの概略断面図である。図1
に示すように、シリコン基板1の裏面に形成したエッチ
ング用マスク材2を用いて、シリコン基板1の中央部に
凹部3を加工している。そして、凹部3を覆うように、
上面と下面にそれぞれ絶縁膜6と4とを有するシリコン
ダイアフラム5がシリコン基板1の表面に形成されてい
る。つまり、シリコンダイアフラム5はシリコン基板1
に形成された凹部の薄肉部により形成され、その周囲は
厚肉部集となっている。
【0048】約数Ω・cmの抵抗率を有するシリコンダ
イアフラム5にはリンやボロンなどの不純物をドーピン
グすることによって、ヒータ7、温度センサ8と9、導
体路25と26などの抵抗体をシリコンダイアフラム5
中に形成している。
【0049】なお、約数百μΩ・cmの抵抗率を持つヒ
ータ7、温度センサ8と9、導体路25と26などの抵
抗体は、絶縁層10によってシリコンダイアフラム5と
電気的に絶縁されている。
【0050】また、図1に示すように、上面と下面とに
それぞれ絶縁膜6と4とを有するシリコンダイアフラム
5は平坦で、そのトータル厚さTは少なくとも2ミクロ
ン以上となっている。
【0051】また、シリコンダイアフラム5の上面と下
面とに設けた絶縁膜6と4とは、同じ材料(例えば、S
i02やSi34など)とほぼ同じ厚さ(図1に示した
例の場合、約0.2〜0.5ミクロン)で構成される。
【0052】なお、シリコンダイアフラム5には単結晶
シリコンあるいは多結晶シリコンが用いられる。検出部
を図1に示すような構造となっている、つまり、シリコ
ンダイヤフラム5にドーピングを行って、シリコンダイ
ヤフラム5の内部にヒータ7、センサ8、9を形成し、
シリコンダイヤフラム5の上下面には絶縁膜4、6を施
すとともに、シリコンダイヤフラム5の内部にてヒータ
7とシリコンダイヤフラム5との間には絶縁層10が施
されている。これによって、ヒータ7はピエゾ抵抗効果
による抵抗変化が抑制され、イオン拡散による抵抗値の
増加、並びに、シリコンダイヤフラム5に表面に付着す
る水滴の悪影響も抑制される。
【0053】さらに、シリコンダイヤフラム5の厚みが
厚く(2ミクロン以上)、ヒータ7の厚みも厚く、シリ
コンダイヤフラム5は、その面方向の中心線(破線A)
に対してほぼ上下対称となる構造となっている。
【0054】これによって、シリコンダイヤフラム5の
強度が向上される。したがって、本発明の第1の実施形
態によれば、ピエゾ抵抗効果による抵抗値変化を防止
し、悪環境下でもダイアフラムが破壊しない高精度で高
信頼度を有する熱式流量センサを得ることができる。
【0055】また、絶縁膜6と4とにSi34を用いな
ければ(SiO2を用いれば)、負のトラップ電荷の影
響と水素結合の影響を防止することができる。
【0056】図2は、図1に示した熱式流量センサの概
略平面図である。なお、この図2は、説明の都合上、シ
リコンダイアフラム5の上面の絶縁膜6を除去して見た
ときの平面図である。
【0057】また、図1に示した参照符号と後述する参
照符号とが同一の場合は、同一の要素を示し、それらの
要素は全て同じ機能を有するものとして、以下の説明を
行うことにする。また、図1は、図2のX−X線に沿っ
て切った断面図を示したものである。
【0058】図2に示すように、Y−Y線方向(太い矢
印で示す空気流の方向にほぼ垂直な方向)に折れ曲がっ
た帯状のパターンを有するヒータ7と温度センサ8及び
9とは凹部3上に形成される。
【0059】被測定気体の流量を計測するとき、空気流
を太い矢印で示すように、温度センサ8は、ヒータ7の
上流側に配置され、温度センサ9は、ヒータ7の下流側
に配置される。また、被測定気体の温度を検出する温度
センサ12は、ヒータ7からの影響を受けないように、
未エッチング部分であるシリコン基板1の厚手部分11
に配置される。
【0060】図2に示すように、ヒータ7、温度センサ
8、9、12は、それぞれ導体路13と14、17と1
8、21と22、25と26を介して、パッド15と1
6、19と20、23と24、27と28に電気的に接
続されている。ヒータ7と温度センサ8、9、12のパ
ターン幅は数〜数十ミクロン、導体路13、14、1
7、18、21、22、25、26の幅は数百ミクロン
の値に設定される。
【0061】ヒータ7と温度センサ8、9、12の抵抗
値を、外部に設けた信号処理回路で高精度に検出するた
めには、導体路部分の抵抗値を極力小さな値にするの
が、より望ましい。このためには、導体路のパターン幅
をより広くすると同時に、リンやボロンなどの不純物の
濃度をヒータや温度センサよりもより高濃度にドーピン
グするのが望ましい。
【0062】ヒータ7、温度センサ8、9、12はアル
ミなどの金属材料で構成されるパッドから、ワイヤボン
デイングを介して外部の信号処理回路(但し、図には記
載していない)と結線される。外部の信号処理回路によ
って、ヒータ7は被測定気体の温度より所定値だけ高い
温度(使用目的によって異なるが、例えば温度差は15
0°Cなど)に通電することにより正確に自己加熱され
る。
【0063】このとき、温度センサ9と8との温度差を
検出することによって、被測定気体の流量を計測するこ
とができる。この計測方法は温度差型として良く知られ
た手法であり、被測定気体の流量が増加するにつれて、
温度センサ9と8との間の温度差は増加するものであ
る。
【0064】これに対して、同じく良く知られた直熱型
の手法を本発明に適用した場合、ヒータ7の放熱量から
気体の流量を直接的に検出できるので、ヒータ7の両側
に配置した温度センサ8と9とは不要である。
【0065】温度差型又は直熱型のどちらの手法を用い
るかは使用目的、例えば計測のレンジャビリテイなどか
ら選定される。
【0066】次に、図1及び図2に示した第1の実施形
態である熱式流量センサの概略製造プロセスを図3に示
す。
【0067】この図3を用いて、本発明の実施形態であ
る熱式流量センサの製造方法を簡単に説明する。なお、
図3及び以下の説明においては、(a)〜(f)は製造
工程を示す。
【0068】(a)単結晶のシリコン基板1の表面に熱
酸化膜(Si02)よりなる絶縁膜4を形成し、同様に
シリコン基板1の裏面に絶縁膜2aを形成する。
【0069】(b)CVD(Chemica1 Vap
er Deposition)法により、絶縁膜4の上
に多結晶シリコンよりなるシリコンダイアフラム5と酸
化膜(Si02)6aとを成膜する。
【0070】(c)酸化膜6aをホトエッチングによっ
て、部分的に開口する。この開口部からリンやボロンな
どの不純物をドーピングして、シリコンダイアフラム5
中ヘヒータ7、温度センサ8、9及び導体路25、26
となる抵抗体を形成する。
【0071】(d)酸化膜6aを除去して、シリコンダ
イアフラム5の表面に新たな酸化膜6bをCVD法で成
膜する。そして、ホトエッチングでこの酸化膜6bを部
分的に開口する。この酸化膜6bをマスク材として、開
口部のドライエッチングによりヒータ7、温度センサ
8、9及び導体路25、26の側面部分のシリコンダイ
アフラム5を除去する。そして、このシリコンダイアフ
ラム5を除去した部分がスリット29になる。
【0072】(e)CVD法でスリット29を封止する
ように絶縁層10(Si02やSi34などよりなる)
を成膜する。次に、シリコンダイアフラム5の表面に絶
縁膜6を成膜する。なお、絶縁層10と絶縁膜6とは同
じ材料でも良く、このとき絶縁層10と絶縁膜6とは連
続的に成膜される。
【0073】(f)最後に、シリコン基板1の裏面にエ
ッチング用マスク材2(Si02やSi34などよりな
る)を成膜して、ホトエッチングによりその中央部分を
除去する。エッチング用マスク材2を開口した部分から
KOHなどのアルカリエッチング液中でシリコン基板1
が除去され、凹部3が形成される。
【0074】なお、エッチングは絶縁膜4で停止するの
で、凹部3上のダイアフラム部分の厚さはCVD時の成
膜厚さによってのみ決定される。
【0075】また、シリコンダイアフラム5の素材とし
て単緒晶シリコンを用いるときは、SOI(Si1ic
on On Insu1ator)基板を用いることに
なる。この場合の製造プロセスの説明は省略する。
【0076】以上説明した製造方法によれば、ピエゾ抵
抗効果による抵抗値変化を防止し、悪環境下でもダイア
フラムが破壊しない高精度で高信頼度を有する本発明の
第1の実施形態である熱式流量センサを製造することが
できる。
【0077】図4は、本発明による第2の実施形態であ
る熱式流量センサの概略断面図である。図4に示した本
発明の第2の実施形態は、折れ曲がった帯状のパターン
形状に形成されたヒータ7及び温度センサ8、9のパタ
ーン同士の間のシリコン(図1中の5a部分)がない場
合の例である。他の構成については、図1の例と図4の
例とは、同様となっている。また、製造方法について
も、図3に示した方法と同様な方法により製造すること
ができる。
【0078】本発明の第2の実施形態によれば、第1の
実施形態と同様な効果を得ることができる他、より微細
で小型な検出部を有する熱式流量センサを得ることがで
きる。
【0079】図5は、本発明による第3の実施形態であ
る熱式流量センサの概略断面図である。図5に示した第
3の実施形態は、シリコンダイアフラム5中に形成した
ヒータ7、温度センサ8、9及び導体路25、26の側
面に形成した絶縁層10がない場合の例である。他の構
成は、図1に示した例と同様である。
【0080】この図5の例においては、予めシリコンダ
イアフラム5の材料として抵抗率が少なくとも数百Ω・
cm以上のものを使用すれば、この図5のように絶縁層
10を省略した構成としてもシリコンダイアフラム5中
のシリコン部分5aを介したヒータ7と温度センサ8、
9との間のリーク電流が測定精度に対して無視できるオ
ーダになり、この図5に示すような検出部構造が可能に
なる。
【0081】結果として、本発明の第3の実施形態によ
れば、第1の実施形態と同様な効果を得ることができる
他、製造方法の容易な熱式流量センサを実現することが
できる。
【0082】図6は、本発明による第4の実施形態であ
る熱式流量センサの概略断面図である。この図6の例
は、シリコンダイアフラム5の上面と下面とに形成され
た絶縁膜が多層の絶縁膜より構成されるものである。図
6に示すように、シリコンダイアフラム5の上面にはS
i02よりなる絶縁膜6とSi34よりなる絶縁膜31
が形成され、下面にはSi02よりなる絶縁膜4とSi3
4よりなる絶縁膜30が形成されている。
【0083】つまり、圧縮残留応力を持つSi02より
なる絶縁膜と引張り残留応力を持つSi34よりなる絶
縁膜とを複合化した多層の絶縁膜をシリコンダイアフラ
ム5の両面に形成している。
【0084】こうすることにより、多層絶縁膜の圧縮と
引っ張りの残留応力が多少変動しても、シリコンダイア
フラム5に発生する曲げ変形を極力小さな値に抑制する
ことができる。
【0085】結果として、本発明の第4の実施形態によ
れば、第1の実施形態と同様な効果を得ることができる
他、ヒータ7や温度センサ8、9のピエゾ抵抗効果によ
る抵抗値変化を防止することができる。
【0086】なお、シリコンダイアフラム5の上面と下
面とに設けた多層絶縁膜はほぼ同じ厚さ(トータル厚さ
で約0.3〜0.6ミクロン)で構成される。
【0087】図7は、本発明による第5の実施形態であ
る熱式流量センサの概略断面図である。
【0088】この図7に示した例は、図6に示した例に
対して、圧縮残留応力を持つSi0 2よりなる絶縁膜と
引張り残留応力を持つSi34よりなる絶縁膜のシリコ
ンダイアフラム5に対する配置を逆にした例である。
【0089】すなわち、シリコンダイアフラム5の面に
近い方にSi34膜30、31を形成し、その上にSi
2膜4、6を形成しものである。
【0090】この第5の実施形態においても、図6に示
した第4の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0091】図8は、本発明による第6の実施形態であ
る熱式流量センサの概略断面図である。図8に示した第
6の実施形態は、ヒータ7、温度センサ8、9及び導体
路25、26を内蔵するシリコンダイアフラム5の両面
に絶縁膜と導体膜からなる複合膜を形成した例である。
【0092】すなわち、シリコンダイアフラム5の上面
には絶縁膜6と35との間に導体膜33を介在させた複
合膜を形成し、シリコンダイヤフラム5の下面には絶縁
膜4と34との間に導体膜32を介在させた複合膜を形
成する。それぞれの複合膜は、CVD法でシリコンダイ
ヤフラム5の上面及び下面に成膜している。図8中には
記載されていないが、これらの導体膜33と32とは所
定の電位(例えば、検出部に接続された信号処理回路中
の定電圧やグランド)に保持される。他の構成は図1に
示した例と同様となっている。
【0093】本発明の第6の実施形態によれば、第1の
実施形態と同様な効果を得ることができる他、上述のよ
うな構成とすることによって、熱式流量センサの製造時
や使用時に各種のイオンが絶縁膜35と34の表面に付
着して、これらの絶縁膜中を動き回っても、ヒータ7や
温度センサ8、9の抵抗値は経時変化することはない。
【0094】すなわち、抵抗値が経時変化することはな
いのは、導体路33と32を所定の電位に保持すること
によって、ヒータ7や温度センサ8、9の表面に蓄積層
が発生したり、蓄積層を変化させる現象がなくなるから
である。
【0095】なお、シリコンダイアフラム5の両面に形
成されるこれらの複合膜の厚さは、シリコンダイアフラ
ム5の厚さより薄い厚さ(例えば、トータル厚さで約
0.3〜0.6ミクロン)に設定される。
【0096】図9は、本発明による第7の実施形態であ
る熱式流量センサの概略断面図である。この図9に示し
た第7の実施形態は、シリコンダイアフラム5の両面に
3層の絶縁膜からなる多層絶縁膜を成膜した例である。
なお、トータル厚さがシリコンダイアフラム5より薄け
れば、シリコンダイアフラム5の両面に形成する多層絶
縁膜は3層以上の絶縁膜で構成されても良い。
【0097】3層の絶縁膜で構成される場合、Si02
/Si34/Si02多層膜やSi34/Si02/Si
34多層膜などが考えられる。この図9に示す例は、前
者の場合を示している。すなわち、シリコンダイアフラ
ム5の上面にはSi02よりなる絶縁膜6と、Si34
よりなる絶縁膜31と、Si02よりなる絶縁膜38と
を形成する。そして、シリコンダイヤフラム5の下面に
はSi02よりなる絶縁膜4と、Si34よりなる絶縁
膜30と、Si02よりなる絶縁膜37とを形成する。
【0098】以上のように、本発明の第7の実施形態に
よれば、第1の実施形態と同様な効果を得ることができ
る他、ピエゾ抵抗効果による抵抗値変化を防止し、悪環
境下でもダイアフラムの破壊しない高信頼度な熱式流量
センサを実現することができる。
【0099】図10は、本発明による第8の実施形態で
ある熱式流量センサの概略断面図である。熱式流量セン
サの用途によっては、少ない消費電力で動作するものや
高応答のものが要求される場合がある。前者の例として
は、ガスメータ、後者の例としては、自動車用のエアフ
ローメータなどがある。
【0100】このような少ない消費電力で動作するもの
や高応答のものの例では、シリコンダイアフラムからこ
れを支持するシリコン基板への熱伝導量を極力少なくす
るのが解決方法の一つである。一方、絶縁材料Si02
の熱伝導率と比較すると、多結晶シリコンの熱伝導率は
約10倍、単結晶シリコンは約100倍と大きい値を有
する。本発明の第8の実施形態は、熱伝導量を考慮した
例である。
【0101】図10において、凹部3の境界部と温度セ
ンサ8と間、並びに凹部3の境界部と温度センサ8と間
のシリコンダイアフラム5中へ、シリコンダイアフラム
5の上面から下面に到達するような複数の絶縁層36を
形成している。これら絶縁層36を熱伝導率の小さいS
i02などで構成することにより、ヒータ7からシリコ
ン基板1側へ逃げる熱量を減らすことが可能になる。な
お、1本の絶縁層36の幅寸法は数ミクロン以下であ
る。
【0102】結果として、本発明の第8の実施形態によ
れば、第1の実施形態と同様な効果を得ることができる
他、絶縁膜6と4とでサンドイッチされたシリコンダイ
アフラム5のトータル厚さTを2ミクロン以上にして
も、少ない消費電力で動作し且つ高応答の熱式流量セン
サを実現することができる。
【0103】次に、ヒータや温度センサの縦方向(深さ
方向)の不純物濃度について述べる。不純物のドーピン
グ条件と深さ方向の濃度分布との関係を図11に示す。
この図11は、厚さ1ミクロンのシリコンダイアフラム
にリンを950°C、30分の条件でドーピングしたと
きと、1150℃、60分の条件でドーピングしたとき
のヒータや温度センサの表面から深さ方向に至るリンの
濃度分布を示したものである。
【0104】図11に示すように、前者(950°C、
30分)はシリコンダイアフラムの下面までリンがドー
ピングされないのに対して、後者(1150°C、60
分)はシリコンダイアフラムの上面から下面にいたるま
で十分に高濃度のリンがドーピングされる条件である。
【0105】両ドーピング条件による熱式流量センサを
試作し、ヒータを極部的に過加熱する苛酷な評価を実施
してみた。
【0106】上述したように、帯状のヒータパターンの
設計不良や水滴が付着したときのバーンアウト現象によ
って、ヒータの一部が極部的に高温に加熱される。前者
のドーピング条件ではヒータの抵抗値が大きく変動した
(例えば、−1%)。一方、後者のドーピング条件では
ヒータ抵抗値の変化は大幅に抑制された。
【0107】これは、ヒータの極部加熱によってドーピ
ングされたリンの濃度勾配が変わり、抵抗値を変化させ
るためと考えられる。
【0108】それ故、シリコンダイアフラム中に形成し
たヒータの不純物濃度は、シリコンダイアフラムの上面
から下面に至るまで十分にドーピングされていることが
重要である。種々の苛酷試験によると、望ましくはヒー
タ下部の不純物濃度は、ヒータ上部の不純物濃度の0.
1倍以上であることが分かった。
【0109】したがって、本発明の実施形態において
は、シリコンダイアフラムの上面から下面に至るまで十
分にドーピングされている、つまり、上面から下面に至
る単位長当たりの抵抗値(抵抗率)がほぼ一定となるよ
うにドーピングされている。
【0110】図12は、本発明による第9の実施形態で
ある熱式流量センサの概略平面図である。この図12に
示す第9の実施形態は、帯状のヒータパターンの温度分
布を改善する例である。帯状のパターンを有するヒータ
7を通電によって自已加熱させると、ヒータ7で発生し
た熱の一部はシリコンダイアフラムを介して、シリコン
基板の厚手部分11へ伝導する。
【0111】ヒータパターンの長手方向(Y−Y線に沿
った方向)の温度分布は、ヒータパターンの単位長さ当
たりの発熱量が同じであれば、帯状のヒータパターンの
中央部で高く、シリコンダイアフラムの凹部3の境界部
側で低くなる。結果として、外部の信号処理回路によっ
てヒータ7の平均温度を所定の値に自已加熱できても、
ヒータ7の中央部が高温に過加熱される。
【0112】このため、本発明の第9の実施形態におい
ては、Y−Y線に沿う方向の温度分布が一様となるよう
に、帯状のヒータパターンをその中央部で幅を広く(中
央部を7aで示す)、シリコンダイアフラムの端部側で
狭く(端部側のヒータパターンを7b、7cで示す)し
たものである。
【0113】なお、ヒータパターンの幅は、図示したよ
うに、段階的に変わるのではなく、中央部から端部側へ
運続的に次第に幅が狭くなるようなパターンにすれば、
より好ましい。一方、シリコンダイアフラム中にドーピ
ングする不純物の濃度が高くなるほど、ヒータの抵抗値
は小さくなる。
【0114】それ故、帯状のヒータパターンの不純物濃
度をその中央部で高く、シリコンダイアフラムの端部側
で低くしても同様の効果が得られる。
【0115】このように、本発明の第9の実施形態によ
れば、帯状のヒータパターンの温度分布を一様にできる
ため、被測定気体の流量を高精度に検出できると同時
に、信頼性の高い熱式流量センサを実現することができ
る。
【0116】図13は、本発明による第10の実施形態
である熱式流量センサの概略断面図である。この図13
に示す例は、ヒータを内蔵した従来の絶縁性のダイアフ
ラムの下面にシリコンダイアフラムを設け、両者のダイ
アフラムを複合化することによりダイアフラムの経時的
な曲げ変形を抑制する例である。図13において、絶縁
膜41と39とでサンドイッチされたシリコンダイアフ
ラム40の上に帯状のパターンを有するヒータ7、温度
センサ8、9及び導体路25、26が形成されている。
【0117】そして、ヒータ7や温度センサ8、9、導
体路25、26は、絶縁膜42で被覆されている。絶縁
膜41、42、シリコンダイアフラム40及び絶縁膜3
9からなる複合膜のトータル厚さTが少なくとも2ミク
ロン以上で、且つヒータ7や温度センサ8、9の厚さ
が、上記トータル厚さのT寸法に対して十分に小さけれ
ば、検出部構造の対称性が若干くずれても、図1の実施
形態とほぼ同様な効果が得られる。
【0118】すなわち、本発明の第10の実施形態にお
いても、ピエゾ抵抗効果による抵抗値変化を防止し、悪
環境下でもダイアフラムの破壊しない高精度で高信頼度
な熱式流量センサを得ることができる。
【0119】なお、この第10の実施形態における検出
部構造をヒータ7や温度センサ8、9の素材として白金
を用いた方式の熱式流量センサに適用した場合でも、悪
環境下でダイアフラムの破壊しない高信頼度なセンサを
得ることができる。
【0120】最後に、本発明による熱式流量センサと、
本発明によらない熱式流量センサの検出部構造とを比較
するため、上記本発明によらない熱式流量センサの検出
部構造を図14に示す。
【0121】図14に示すように、ヒータ7や温度セン
サ8、9は、薄い(約0.5ミクロン)絶縁膜43の表
面にCVDなどで形成され、絶縁膜44で被覆した構造
である。絶縁膜44と絶縁膜43とからなる多層絶縁膜
が実質的なダイアフラムとなる。
【0122】このダイアフラムは実質的に非シリコン材
料で構成され、そのトータル厚さtは1ミクロン程度と
薄いものである。また、ヒータ7とダイアフラムの積層
体構造は、厚さ方向に対して全体として極端な非対称構
造となっている。それ故、本発明によらない熱式流量セ
ンサは、上述したように、ピエゾ抵抗効果によってヒー
タや温度センサの抵抗値が大きく変動する。また、ダイ
アフラム自体の強度が弱く破壊しやすかった。
【0123】これに対して、上述した本発明の実施形態
によれば、ピエゾ抵抗効果によるヒータや温度センサの
抵抗値の大きな変動がなく、ダイアフラム自体の強度が
強く、破壊しにくい構造となっている。
【0124】
【発明の効果】以上のように、本発明によれば、ヒータ
抵抗値が変化せず、ヒータを形成するダイアフラム自体
が破壊しない高信頼度の熱式流量センサを実現すること
ができる。
【0125】また、本発明によれば、ヒータ抵抗値が変
化せず、ヒータを形成するダイアフラム自体が破壊しな
い高信頼度の熱式流量センサを製造する製造方法を実現
することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態である熱式流量センサ
の概略断面図である。
【図2】図1に示した熱式流量センサの概略平面図であ
る。
【図3】第1の実施形態である熱式流量センサの概略製
造プロセスを示す図である。
【図4】本発明の第2の実施形態である熱式流量センサ
の概略断面図である。
【図5】本発明の第3の実施形態である熱式流量センサ
の概略断面図である。
【図6】本発明による第4の実施形態である熱式流量セ
ンサの概略断面図である。
【図7】本発明による第5の実施形態である熱式流量セ
ンサの概略断面図である。
【図8】本発明による第6の実施形態である熱式流量セ
ンサの概略断面図である。
【図9】本発明による第7の実施形態である熱式流量セ
ンサの概略断面図である。
【図10】本発明による第8の実施形態である熱式流量
センサの概略断面図である。
【図11】不純物のドーピング条件と深さ方向の濃度分
布との関係を示した図である。
【図12】本発明による第9の実施形態である熱式流量
センサの概略平面図である。
【図13】本発明による第10の実施形態である熱式流
量センサの概略断面図である。
【図14】本発明による熱式流量センサと、本発明によ
らない熱式流量センサの検出部構造とを比較するための
説明図である。
【符号の説明】
1 シリコン基板 2 エッチング用マスク材 3 凹部 4 絶縁膜 5 シリコンダイアフラム 5a シリコンダイアフラムの一部 6 絶縁膜 6a、6b 酸化膜 7 ヒータ 7a、7b ヒータパターン 7c ヒータパターン 8 温度センサ 9 温度センサ 10 絶縁層 11 シリコン基板の厚手部分 12 温度センサ 13、14 導体路 15、16 パッド 17、18 導体路 19、20 パッド 21、22 導体路 23、24 パッド 25、26 導体路 27、28 パッド 29 スリット 30、31 絶縁膜 32、33 導体膜 34、35 絶縁膜 36、37 絶縁層 38、39 絶縁膜 40 シリコンダイアフラム 41、42 絶縁膜 43、44 絶縁膜
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 山田 雅通 茨城県日立市大みか町七丁目1番1号 株 式会社日立製作所日立研究所内 (72)発明者 村上 進 茨城県日立市大みか町七丁目1番1号 株 式会社日立製作所日立研究所内 Fターム(参考) 2F035 AA02 EA04 EA05 EA08

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】上面及び下面の両面に少なくとも1層以上
    の絶縁膜を被覆したシリコンダイアフラムの一部へ不純
    物をドーピングすることによってヒータを形成したこと
    を特徴とする熱式流量センサ。
  2. 【請求項2】請求項1記載の熱式流量センサにおいて、
    シリコンダイアフラムが多結晶シリコンあるいは単結晶
    シリコンで形成され、不純物としてリンあるいはボロン
    がドーピングされていることを特徴とする熱式流量セン
    サ。
  3. 【請求項3】請求項2記載の熱式流量センサにおいて、
    シリコンダイアフラムの両面に形成した絶縁膜の厚さ、
    材料及びその層数は、上記上面と下面とは同等であり、
    上記シリコンダイアフラムに対して対称であることを特
    徴とする熱式流量センサ。
  4. 【請求項4】請求項3記載の熱式流量センサにおいて、
    上記絶縁膜はSi02単層あるいはSi34単層あるい
    はSi02とSi34の多層構造あるいはSi02とSi
    2の多層構造あるいはSi34とSi34の多層構造
    よりなることを特徴とする熱式流量センサ。
  5. 【請求項5】請求項4記載の熱式流量センサにおいて、
    多層構造の絶縁膜の中にシリコン層を介在させ、このシ
    リコン層を所定の電位に固定されていることを特徴とす
    る熱式流量センサ。
  6. 【請求項6】請求項1から5のうちのいずれか一項記載
    の熱式流量センサにおいて、シリコンダイアフラムとそ
    の両面に形成された絶縁膜のトータル厚さが2ミクロン
    以上であることを特徴とする熱式流量センサ。
  7. 【請求項7】請求項1から6のうちのいずれか一項記載
    の熱式流量センサにおいて、シリコンダイアフラムはシ
    リコン基板に形成された凹部の薄肉部により形成され、
    シリコンダイヤフラムにはヒータが形成され、上記薄肉
    部とシリコン基板の厚肉部との境界部と上記ヒータと間
    に、上記シリコンダイアフラムの上面から下面に到達す
    るような複数の絶縁層が形成されていることを特徴とす
    る熱式流量センサ。
  8. 【請求項8】請求項1から7のうちのいずれか一項記載
    の熱式流量センサにおいて、シリコンダイアフラム中に
    ヒータが形成され、このヒータの不純物濃度が上記シリ
    コンダイアフラムの上面から下面に至る単位長当たりの
    抵抗値がほぼ一定となるようにドーピングされているこ
    とを特徴とする熱式流量センサ。
  9. 【請求項9】請求項1から8のうちのいずれか一項記載
    の熱式流量センサにおいて、シリコンダイアフラム中に
    ヒータが形成され、このヒータのパターンの幅寸法は、
    上記シリコンダイアフラムの中央部より、上記シリコン
    ダイアフラムの端部側が小となっていることを特徴とす
    る熱式流量センサ。
  10. 【請求項10】請求項1から8のうちのいずれか一項記
    載の熱式流量センサにおいて、シリコンダイアフラム中
    にヒータが形成され、このヒータのパターンの不純物濃
    度は、上記シリコンダイアフラムの中央部より、上記シ
    リコンダイアフラムの端部側が低くなっていることを特
    徴とする熱式流量センサ。
  11. 【請求項11】請求項1から10のうちのいずれか一項
    記載の熱式流量センサにおいて、シリコンダイアフラム
    とその両面に形成された絶縁膜が厚さが少なくとも数百
    ミクロン以上のシリコン基板の上に形成された後、上記
    シリコン基板の中央部が裏面からエッチングで除去され
    ることによって凹部が加工され、上記絶縁膜中に上記シ
    リコンダイアフラムの温度を検出するための温度センサ
    が形成されるとともに、上記シリコン基板の未エッチン
    グ部である厚手部分に被測定流体の温度を検出する温度
    センサが形成されることを特徴とする熱式流量センサ。
  12. 【請求項12】シリコンダイアフラムの上面と下面とに
    絶縁膜が形成され、上記上面の絶縁膜上にヒータが形成
    されることを特徴とする熱式流量センサ。
  13. 【請求項13】請求項12記載の熱式流量センサにおい
    て、ヒータがシリコンあるいは白金などの金属材料で構
    成されることを特徴とする熱式流量センサ。
  14. 【請求項14】請求項12又は13記載の熱式流量セン
    サにおいて、シリコンダイアフラムとその両面に形成さ
    れた絶縁膜のトータル厚さが少なくとも2ミクロン以上
    であることを特徴とする熱式流量センサ。
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