JP4736307B2 - 半導体センサの製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体からなる抵抗体を用いて所定の物理量を感知する半導体センサの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
流体の流路に配置された発熱体を発熱制御する際、発熱体の生ずる熱が同発熱体付近を流通する流体によって奪われることを利用して流体の流量を検出する熱式のフローメータが周知である。すなわち、このフローメータでは、発熱体の生じる熱のうち、流体によって奪われる熱量が流体の流量が多いほど増加することに着目し、この流体によって奪われる熱量に基づいて発熱体付近の流体の流量を検出するようにしている。
【0003】
具体的には、例えば、上記感温体を通じて感知される発熱体の近傍の温度を所定の温度に維持するように上記発熱体へ供給する電力量を制御するとともに、上記発熱体の熱のうち、流体によって奪われた熱量の指標としての同発熱体に供給される電力量等に基づいて流体の流量を検出する。またあるいは、例えば、発熱体を所定の温度に制御するとともに、上記発熱体の熱のうち、流体によって奪われた熱量の指標としての同発熱体の付近の温度を上記感温体を通じて検知することで流体の流量を検出する。
【0004】
ところで、こうしたフローメータの備えるフローセンサは通常、半導体プロセスによって製造される。ただし、このように半導体プロセスを用いる場合、上記発熱体や感温体を例えば白金(Pt)等を用いて製造すると、同半導体プロセスにおいては汚染となる問題があった。
【0005】
そこで従来は、例えば下記特許文献1や特許文献2に見られるように、上記発熱体や感温体を多結晶シリコンや単結晶シリコン等の半導体にて形成することも提案されている。
【0006】
また、特許文献1では、上記半導体にて形成される発熱体の上面から下面に至る単位長さ当たりの抵抗値が略一定となるように、同発熱体を構成する半導体の不純物濃度の分布を設定することも提案されている。こうした態様にて不純物濃度分布が設定された発熱体においては、その上面から下面に至るキャリア濃度の変化が少なくなる。そして、このように上面から下面に至るキャリア濃度の変化が少ない発熱体は、これを数100℃程度に加熱する使用環境においても、同発熱体内部でのキャリアの分布が変化しにくくなり、ひいては同発熱体としての抵抗値の変化も抑制されるようになる。
【0007】
【特許文献1】
特開2001−215141号公報
【特許文献2】
特開2001−194202号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記のようにキャリアの拡散による抵抗値変化を抑制することのできる発熱体は、その製造に際し、以下のような様々な不都合を生じることも否めない。
【0009】
例えば、発熱体を「1.0μm」程度の膜厚にて形成する場合、この上面から下面までキャリア濃度を略均一にするためには、例えば「1150℃」程度の高温で熱処理を行う場合であれ、その熱処理に要する時間は「5〜10時間」と極めて長時間となる。このように、長時間の熱処理を行うことは、いわゆるスループットの悪化をもたらすことともなる。
【0010】
また、例えば発熱体を酸化膜上に形成する場合、この発熱体とする半導体に注入する不純物の中には、半導体や酸化膜が高温となる処理を経ることで酸化膜に吸収されるものがある。そして、フローセンサの製造工程においても通常、不純物の注入及び活性化のための熱処理の後の工程には、成膜処理等、半導体や酸化膜が高温となる処理が含まれるため、こうした不純物を用いる際には、例えば図9に示すように濃度分布が変化する。
【0011】
この図9では、ボロンをイオン注入し、活性化及び熱拡散のための熱処理をした直後の濃度分布を一点鎖線で示すとともに、同活性化及び熱拡散後の製造工程において高温となる処理をしたときの発熱体の濃度分布を実線にて示す。同図9に示されるように、所望の量の不純物をイオン注入したとしても、高温となる処理を経ることで酸化膜中に不純物が拡散するために、その後の不純物濃度は活性化及び熱拡散のための上記熱処理時とは異なったものとなる。このため、上記高温となる処理における温度のばらつき等によっては、上記発熱体にも電気抵抗のばらつきが生じることとなる。
【0012】
なお、上記フローセンサに限らず、半導体からなる抵抗体を用いて所定の物理量を感知する半導体センサにあっては、キャリア濃度の略均一な抵抗体を製造する際に困難が生じるこうした実情も概ね共通したものとなっている。
【0013】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、キャリア濃度の略均一な半導体として抵抗体をより適切に製造することのできる半導体センサの製造方法を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、請求項1記載の半導体センサの製造方法では、半導体からなる抵抗体を用いて所定の物理量を感知する半導体センサを製造するに際し、抵抗体の形成には、半導体基板上に絶縁膜と単結晶シリコン膜とが順に積層されたSOI基板の単結晶シリコン膜を用い、a.単結晶シリコン膜の表面全体に互いに異なる少なくとも2つの注入エネルギ量にて不純物をイオン注入することによって、注入エネルギ量毎に単結晶シリコン膜の表面からの深度が重ならない領域に不純物の注入領域を形成する工程、及びb.不純物の注入された単結晶シリコン膜を熱処理することで該単結晶シリコン膜の上面に対する下面の不純物濃度を「1/10」以上とする工程、及びc.熱処理の後に単結晶シリコン膜をパターニングする工程、の各工程をイオン注入の各々によって注入される不純物の量が活性化及び熱拡散のための熱処理温度によって決まる固溶度よりも大きい条件のもとに行って抵抗体を形成するとともに、SOI基板からなる半導体基板の一部を、該半導体基板における絶縁膜が積層されていない側の面から該絶縁膜までエッチングすることによって上記形成した抵抗体の裏面に薄膜部を形成した。これにより、該不純物の注入された単結晶シリコン膜を熱処理して、不純物を熱拡散することで抵抗体の上面に対する下面の不純物濃度を「1/10」以上とするために要する時間を低減させることができる。
【0018】
更に、少なくとも2つの異なる注入エネルギにて不純物をイオン注入する場合、単一の注入エネルギ量にて不純物のイオン注入を行う場合と比較して、結晶欠陥の発生を抑制することができる。
【0019】
したがって、キャリア濃度の略均一な半導体として抵抗体をより適切に製造することができる。
さらに、請求項2に記載の半導体センサの製造方法では、単結晶シリコン膜の上面に対する下面の不純物濃度を「1/3」以上となるようにした。
【0020】
また、請求項3記載の半導体センサの製造方法では、イオン注入は、それぞれ単結晶シリコン膜の膜厚を「t」としたとき、その表面からの注入深度が「t/2n+kt/n(k=0、1、…n−1)」となるn個(nは2以上の整数)の異なる注入エネルギ量によって行うようにした。これにより、イオン注入後の活性化及び熱拡散のための熱処理において、一回のイオン注入を行った場合の「(1/n)2」倍以上の処理時間で上面から下面までキャリア濃度を略均一とすることができるようになる。
【0021】
また、請求項4記載の半導体センサの製造方法では、熱処理の直後の不純物の濃度を、「1×1020cm−3」となるようにした。これにより、製造ばらつきによってキャリア濃度がばらつくことを抑制することができる。
【0025】
また、上記各請求項1〜4記載の半導体センサの製造方法は、請求項5記載の半導体センサの製造方法のように、当該半導体センサは、発熱体と、該発熱体の近傍の温度を感知する感温体とを備えて流体の流量を感知するフローセンサであるとともに、前記発熱体及び前記感温体の少なくとも一方が前記抵抗体にて形成されるものであるとしてもよい。
【0026】
【発明の実施の形態】
(参考例)
以下、本発明にかかる半導体センサを車載用内燃機関の吸入空気量を検出するフローメータに適用した実施形態の説明に先立ち、その参考例について図面を参照しつつ説明する。
【0027】
図1に、上記フローメータFMの回路構成を示す。同図1に示されるように、このフローメータFMは、熱式のフローセンサFSと、該フローセンサFSの感知結果に基づき電気信号を生成する信号生成回路SGとを備えている。
【0028】
ここで、フローセンサFSは、上流側ヒータRhaと下流側ヒータRhbと、当該フローメータFMの環境温度を感知する上流側温度計Rkaと下流側温度計Rkbとを備えている。
【0029】
本参考例においては、これら上流側ヒータRhaと下流側ヒータRhbは、発熱体であるとともに自身の温度を感知する感温体としても機能する。すなわち、これら上流側ヒータRhaと下流側ヒータRhbは、電流の供給によって発熱する抵抗体としての機能に加えて、同抵抗体の抵抗値の変化に基づいて自身の温度をも感知するものである。そして、フローセンサFSでは、上流側ヒータRhaと下流側ヒータRhbとの生じる熱のうち流体によって奪われる熱に基づき流体の流量を感知する。また、フローセンサFSでは、上流側ヒータRhaと下流側ヒータRhbとのそれぞれの生じる熱のうち流体によって奪われる熱量の差に基づき、流体の流通方向を感知する。
【0030】
一方、信号生成回路SGは、上記フローセンサFSによる流体の流量及び流体の流通方向の感知結果に応じた検出信号を生成する。詳しくは、上流側ヒータRha及び上流側温度計Rkaの温度差と、下流側ヒータRhb及び下流側温度計Rkbの温度差とをそれぞれ所定値(例えば「200℃」)とするように、フローセンサFSへ供給する電流を制御する。そして、このフローセンサFSで消費される電力に基づき上記流体の流量及び流体の流通方向に応じた検出信号を生成する。
【0031】
ここで、上記フローセンサFS及び信号生成回路SGを備えるフローメータFMの具体的な回路構成について更に説明する。
フローメータFMは、吸気通路の上流側に対応した上流側ホィーストンブリッジUHBと、吸気通路の下流側に対応した下流側ホィーストンブリッジDHBとを備えている。
【0032】
ここで、上流側ホィーストンブリッジUHBは、上流側ヒータRhaから抵抗R1aへと、また、上流側温度計Rkaから抵抗R2aへとそれぞれ電流が流れる態様にて、上流側ヒータRha及び抵抗R1aと上流側温度計Rka及び抵抗R2aとが並列接続された回路である。そして、上流側ヒータRhaと上流側温度計Rkaとの接続点PaにトランジスタUTを介してバッテリBから電流が供給される。そして、上流側ヒータRhaでの電圧降下と上流側温度計Rkaでの電圧降下とは差動増幅回路UOPに取り込まれる。そして、この差動増幅回路UOPにより、これら2つの電圧降下を等しくすべく、換言すればブリッジの平衡条件を成立させるべく、これらの電圧降下の差に応じてトランジスタUTが制御される。
【0033】
ここで、上流側ホィーストンブリッジUHBは、平衡条件が成立したときに、上流側ヒータRhaの温度が上流側温度計Rkaの温度よりも上記所定値だけ高くなるように設定されている。なお、環境温度にかかわらず、上流側ヒータRhaの温度が上流側温度計Rkaの温度よりも上記所定値だけ高くなるときに上記平衡条件が成立するようにすべく、これら上流側ヒータRhaと上流側温度計Rkaとは、抵抗温度係数が互いに等しく設定されている。
【0034】
一方、下流側ホィーストンブリッジDHBは、下流側ヒータRhbから抵抗R1bへと、また、下流側温度計Rkbから抵抗R2bへとそれぞれ電流が流れる態様にて、下流側ヒータRhb及び抵抗R1bと下流側温度計Rkb及び抵抗R2bとが並列接続された回路である。この下流側ホィーストンブリッジDHBも、上流側ホィーストンブリッジUHBと同様、平衡条件を成立させるべく、トランジスタDT及び差動増幅回路DOPを備えている。なお、この下流側ホィーストンブリッジDHBの構成は、上流側ホィーストンブリッジUHBの構成と同様であるため、その説明を割愛する。
【0035】
これら上流側ホィーストンブリッジUHBの上流側ヒータRhaでの電圧降下と、下流側ホィーストンブリッジDHBの下流側ヒータRhbでの電圧降下とは、差動増幅回路COPに取り込まれる。そして、これら2つの電圧降下の差に応じた信号が差動増幅回路COPにて生成され、増幅回路ACによって増幅された後、信号生成回路SGの端子P7を介して外部に出力される。この端子P7を介して出力される検出信号が流体の流量及び流通方向の検出信号である。
【0036】
図2に、上記フローセンサFSの構成を示す。このフローセンサFSは、半導体基板10を備えて構成されている。そして、半導体基板10上に積層されているシリコン酸化膜20上には、上流側ヒータRhaや下流側ヒータRhb、上流側温度計Rkaや下流側温度計Rkbが形成されている。そして、これら上流側ヒータRhaや下流側ヒータRhb、上流側温度計Rka、下流側温度計Rkbは、リード部L1〜L6を介して、先の図1に示した信号生成回路SGとの接続端子となるパッドP1〜P6と接続されている。
【0037】
ちなみに、半導体基板10は、空洞部Hを有する。詳しくは、半導体基板10は、その裏面側において図2に1点鎖線にて示す矩形状の領域が開口されているとともに、この開口面積が半導体基板10の上面側へ行くほど縮小され、同半導体基板10の上面では図2に破線にて示されるような矩形状の領域となっている。
【0038】
このように空洞部Hを有するために、上流側ヒータRhaや下流側ヒータRhbは、フローセンサFSのうち、半導体基板10の空洞部Hを架橋するようにして形成されている薄膜部MBに備えられることとなる。この薄膜部MBは、フローセンサFSの他の箇所と比べてその膜厚が薄く形成されているために、熱容量が低く抑えられ、また、フローセンサFSの他の箇所との熱的な絶縁が図られている。
【0039】
次に、上記フローセンサFSのうち、特に上記薄膜部MBについて更に説明する。
図3に、フローセンサFSのうち薄膜部MB近傍の断面構成を示す。この図3は、先の図2のA−A断面を示している。同図3に示すように、シリコンからなる半導体基板10には、上記シリコン酸化膜20が形成されている。そして、シリコン酸化膜20上には、上流側ヒータRha、下流側ヒータRhb、リード部L2、L5、上流側温度計Rka、下流側温度計Rkbがそれぞれ単結晶シリコンにて形成されている。そして、これら上流側ヒータRhaや、下流側ヒータRhb、リード部L2、L5、上流側温度計Rka、下流側温度計Rkbを覆うようにして、シリコン酸化膜35、シリコン窒化膜40が積層されている。ちなみに、上記シリコン酸化膜20、35やシリコン窒化膜40は、空洞部Hを含めて半導体基板10の上方の略全ての領域に積層形成されている。
【0040】
ここで、上流側ヒータRha及び下流側ヒータRhbについて更に説明する。
本参考例では、これら上流側ヒータRha及び下流側ヒータRhbは、ボロン(B)が注入されることでP型の導電型を有する単結晶シリコンにて形成されている。更に、これら単結晶シリコンからなる上流側ヒータRha及び下流側ヒータRhbは、図4(a)に実線にて示すような不純物濃度の分布を有する。ちなみに、図4(a)の実線は、本参考例についての2次イオン質量分析法(SIMS)による分析結果である。
【0041】
同図4(a)は、上記シリコン酸化膜20(図中、SiO2)上の上流側ヒータRha及び下流側ヒータRhbを形成するシリコン抵抗体(図中、Si)の不純物濃度分布を示すものである。ここでは、シリコン抵抗体の膜厚を「t(μm)」としている。
【0042】
この図4(a)に示すように、シリコン抵抗体は、深度「t/2」の領域において不純物濃度がピーク値を有すると共に、それ以外の深度の領域においては、不純物濃度がその上面から下面まで略均一化されている。こうした不純物濃度分布を有するシリコン抵抗体は、図4(b)に示す態様にて同シリコン抵抗体とする半導体薄膜に不純物を注入することで形成される。すなわち、イオン注入後の活性化及び熱拡散のための熱処理の温度によって決まる固溶度を「S(cm―3)」としたとき、深度「t/2」の領域に、単位面積当たりの注入量D(cm―2)が下式(c1)となるようにイオン注入することで形成される。
【0043】
D×104>(t×10―6)×(S×106) …(c1)
この図4(b)に示す態様にてイオン注入がなされ、更に活性化及び熱拡散のための熱処理のなされた後の上記シリコン抵抗体の不純物濃度の分布を、図4(a)に一点鎖線で示す。同図4(b)において、深度「t/2」以外の領域では、この一点鎖線は実線と重なっている。これは、上記活性化及び熱拡散のための熱処理のよって決まる固溶度Sと一致した濃度である。そして、深度「t/2」の領域においては、この固溶度Sを超えた不純物濃度となっている。すなわち、シリコン抵抗体は、その上面から下面まで上記固溶度Sと一致したキャリア濃度を有すると共に、深度「t/2」近傍の領域においては同キャリア濃度を上回る過剰な不純物(ボロン)を有している。ちなみに、ここでキャリア濃度とは、シリコン抵抗体に注入された不純物濃度のうち、実際にキャリアとして寄与する濃度のことである。
【0044】
このため、上記活性化及び熱拡散のための熱処理の後、上記抵抗体が高温となる処理を経ることで上記シリコン酸化膜20によってボロンが吸収されたとしても、これによるキャリア濃度の低減は、固溶度Sを超えて注入された過剰なボロンによって補償される。すなわち、図4(a)に示す深度「t/2」の近傍の領域において、一点鎖線して示すボロンの濃度が実線で示すボロンの濃度へと低減することで、シリコン酸化膜20によって吸収されたボロンが補償される。その結果、上記活性化及び熱拡散のための熱処理の後、上記高温となる処理があったとしてもその前後でキャリア濃度はほとんど変化しない。
【0045】
厳密には、上記高温となる処理の温度が上記活性化及び熱拡散のための熱処理の温度と異なる場合、これらによって決まる固溶度は厳密には等しくない。しかし、シリコン酸化膜20に吸収されるボロンの量の温度依存性と比較して、シリコンに注入されるボロンの固溶度の温度依存性は遙かに小さい。したがって、上記高温となる処理の温度が活性化及び熱拡散のための熱処理の温度と相違したとしてもこれら活性化及び熱拡散の熱処理と高温となる処理とにおける固溶度には大きな差はない。これに対し、シリコン酸化膜20によるボロンの吸収量は、高温となる処理時の温度に大きく依存する。そして、この高温となる処理の温度にばらつきが生じるとボロンの吸収量には大きな差が生じることとなるが、このばらつきは、同温度のばらつきによる固溶度のばらつき程度に緩和されることとなる。
【0046】
これに対し、図4(c)には、深度「t/2」の領域に不純物を注入するに際し、単位面積当たりの注入量D(cm―2)が下式(c2)となるようにする場合について示す。
【0047】
D×104<(t×10―6)×(S×106) …(c2)
この図4(c)において破線にて示される不純物濃度は、イオン注入直後の不純物濃度である。また、図4(c)において一点鎖線にて示される不純物濃度は、イオン注入後、活性化及び熱拡散のための熱処理を行った直後の不純物濃度である。更に、図4(c)に実線にて示す不純物濃度は、上記活性化及び熱拡散のための熱処理の後、更に抵抗体が高温となる処理がなされた後の不純物濃度を示す。このように、上記活性化及び熱拡散のための熱処理の後、更に高温となる処理がなされると、不純物濃度(キャリア濃度)が低減することとなる。
【0048】
次に、本参考例にかかるフローセンサFSの製造工程を図5及び図6を用いて説明する。図5及び図6に示す断面は、先の図2に示したB−B断面である。
この一連の製造工程においては、まず図5(a)に示すようなSOI(Silicon On Insulator)基板を用意する。ここでは、このSOI基板は、例えばN型の導電型を有する単結晶シリコンからなる半導体基板10上に、例えば膜厚「1μm」からなるシリコン酸化膜20、例えばP型の導電型を有して所定の膜厚(例えば「0.6〜1.5μm」)からなる単結晶シリコン膜30が積層されたものである。
【0049】
次に、図5(b)に示す工程において、上記単結晶シリコン膜30に、上式(c1)を満たす濃度(例えば「2×1015cm―2」)のボロンを注入する。このときの注入エネルギ量は、上記単結晶シリコン膜30の中間の深度に対応した所定のエネルギ量(例えば「100keV」)とする。また、注入角度を鉛直方向に対して「7〜8°」ほど傾けて行うことでチャネリングを抑制する。
【0050】
そして、上記単結晶シリコン膜30内で上記ボロンを拡散させるとともにこれを活性化すべく、所定温度(例えば「1150℃」)にて所定時間(例えば「5〜10時間」)の熱処理を行う。この熱処理は、上記ボロンを拡散させることで単結晶シリコン膜30内におけるキャリア濃度を略均一化するための熱拡散時間を短縮するため、活性化のために必要な熱処理の温度よりも高くして行うことが望ましい。
【0051】
上記熱処理により、単結晶シリコン膜30の不純物濃度の分布は、先の図4(a)に示した一点鎖線にて示したものとなる。
次に、図5(c)に示す工程において、上記単結晶シリコン膜30を反応性イオンエッチングにてパターニングすることで、上流側温度計Rkaや、上流側ヒータRha、下流側ヒータRhb、リード部L2、L5を形成する。なお、ここでは図示しないが、この工程においては、下流側温度計Rkbや、リード部L1、L3、L4、L6も形成する。
【0052】
このように、上流側ヒータRha及び上流側温度計Rkaとを、また、下流側ヒータRhb及び下流側温度計Rkbとを同一工程にて形成することで、上流側ヒータRha及び上流側温度計Rkaとの抵抗温度係数や、下流側ヒータRhb及び下流側温度計Rkbとの抵抗温度係数を簡易に一致させることができる。
【0053】
更に、図5(d)に示す工程において、プラズマCVD法にてシリコン酸化膜35を、例えば膜厚「0.5μm」にて堆積する。その後、このシリコン酸化膜35の応力の安定化を図るべく、所定温度(例えば「1100℃」)にて所定時間(例えば「2時間」)の熱処理を行う。更に、低圧CVD法にてシリコン窒化膜40を例えば膜厚「1.0」にて堆積する。このときの成膜条件を以下に例示する。
【0054】
ガス流量比 SiH2Cl2:NH3=4:1
雰囲気温度 850℃
圧力 20Pa
次に、図6(a)に示す工程において、シリコン窒化膜40やシリコン酸化膜35を反応性イオンエッチングにてエッチングすることでコンタクトホール41を形成する。更に、図6(b)に示すように、メタル(例えばアルミニウム)を所定の膜厚(例えば「1.0μm」)に成膜した後、パターニングすることで上記コンタクトホール41に先の図2に示したパッドP5を形成する。なお、図6(a)〜図6(b)に示す工程においては、図示しないパッドP1〜P4、P6も同様にして形成される。
【0055】
続いて、同図6(b)に示すように、半導体基板10の裏面側に、シリコン窒化膜50を、プラズマCVD法により所定の膜厚(例えば「1μm」)にて成膜する。更に、同図6(b)に示すように、先の図2に一点鎖線にて示した領域に対応した開口部を形成すべく、反応性イオンエッチングにてシリコン窒化膜50をエッチングする。
【0056】
更に、図6(c)に示すように、シリコン窒化膜50をマスクとして半導体基板10をエッチングすることで、半導体基板10に空洞部Hを形成する。これにより、空洞部Hを架橋するように薄膜部MBが形成されることとなる。
【0057】
なお、この図6(c)に示すエッチングは、以下のようにして行うことが望ましい。
A.エッチング液としてKOHやTMAH等のアルカリ性のエッチング液を用いたウェットエッチングとする。
B.半導体基板10の裏面を単結晶シリコンの基本格子の等価な6面である{100}とする。
C.上記シリコン窒化膜50の開口部を矩形にして形成すると共に、その各辺を結晶方位<110>と一致させる。
【0058】
これにより、半導体基板10を上記エッチング液により{111}面に沿ってエッチングすることができる。したがって、薄膜部MBを矩形に形成することができる。更に、この際、薄膜部MBの2つの辺を流通方向に直交させるような設定とすることも容易となる。
【0059】
もっとも、薄膜部MBの形成に際しては、必ずしもウェットエッチングに限らず、ドライエッチングによって行うようにしてもよい。このようにドライエッチングを用いる場合には、少なくとも同ドライエッチングからの要請として半導体基板10の面方位が規定されることはない。
【0060】
上述した製造工程においては、例えば先の図5(d)に示したシリコン酸化膜35等の形成工程において、上流側ヒータRhaや下流側ヒータRhb、シリコン酸化膜20等は高温となる。そして、こうした工程を経ることによって、上流側ヒータRhaや下流側ヒータRhbをはじめ上流側温度計Rka、下流側温度計Rkb、リード部L1〜L6に注入されているボロンがシリコン酸化膜20に吸収されることとなる。そして、これにより、上流側ヒータRhaや下流側ヒータRhb、上流側温度計Rka、下流側温度計Rkb、リード部L1〜L6の不純物濃度分布は、先の図4(a)に実線にて示したものとなる。そして、この際、注入されたボロンのうち、実際にキャリアとして機能するボロンの濃度であるキャリア濃度自体の変化は好適に抑制されることとなる。
【0061】
以上詳述した本参考例によれば、以下の効果が得られるようになる。
(1)単結晶シリコン膜30へのボロンの単位面積当たりの注入量を、上式(c1)に設定するようにした。これにより、先の図5(c)に示す工程等において熱ばらつき等が生じたとしても、上流側ヒータRhaや下流側ヒータRhb、上流側温度計Rka、下流側温度計Rkb、リード部L1〜L6のキャリア濃度のばらつきを好適に抑制することができる。
【0062】
(2)上流側ヒータRha及び上流側温度計Rkaとを、また、下流側ヒータRhb及び下流側温度計Rkbとを同一工程にて形成した。これにより、上流側ヒータRha及び上流側温度計Rkaとの抵抗温度係数や、下流側ヒータRhb及び下流側温度計Rkbとの抵抗温度係数を簡易に一致させることができる。
【0063】
(実施形態)
以下、本発明にかかる半導体センサを車載用内燃機関の吸入空気量を検出するフローメータに適用した一実施形態について、上記参考例との相違点を中心に図面を参照しつつ説明する。なお、本実施形態においては、上記参考例と同様の機能を有する部材には、便宜上、同一の符号を付して説明する。
【0064】
本実施形態では、上流側ヒータRhaや下流側ヒータRhb、上流側温度計Rka、下流側温度計Rkb、リード部L1〜L6の上面から下面の不純物濃度を固溶度と略等しくなるようにした。そして、上記単結晶シリコン膜30への不純物の注入を、図7(a)に破線で示すように、単結晶シリコン膜30の膜厚を「t」としたとき、その表面からの注入深度が「t/2n+kt/n(k=0、1、…n−1)」となるn個(n=3)の異なる注入エネルギ量によって行うようにした。これにより、熱拡散によって注入した不純物を拡散させる熱処理時間を短縮することができる。
【0065】
これは、半導体内への不純物の拡散距離Lは、同半導体に対する不純物の拡散係数Kと拡散時間Tとの積KTの平方根に略比例することによる。したがって、拡散距離が「1/n」倍となれば、拡散時間は「(1/n)2」倍となる。このため、図7(a)に破線にて示す態様にて3回のイオン注入を行った場合には、図7(b)に破線にて示す態様にて1回のイオン注入を行った場合と比較して、不純物を拡散させることでその上面から下面までの不純物濃度を略均一化するのに要する時間は、「1/9」倍に短縮されることとなる。
【0066】
更に、イオン注入を複数回に分割し、それぞれ異なる注入エネルギ量にて行うことで、イオン注入による結晶欠陥の発生を抑制することもできる。
次に、本実施形態にかかるフローセンサFSの製造工程を図8を用いて説明する。図8に示す断面は、先の図2に示したB−B断面である。
【0067】
この一連の製造工程においても、先の図5(a)に示した工程と同様、まず図8(a)に示すようなSOI基板を用意する。ここでも、このSOI基板は、例えばN型の導電型を有する単結晶シリコンからなる半導体基板10上に、例えば膜厚「1μm」からなるシリコン酸化膜20、例えばP型の導電型を有して所定の膜厚(例えば「0.6〜1.5μm」)からなる単結晶シリコン膜30が積層されたものである。
【0068】
次に、図8(b)〜図8(d)に示す工程において、上記単結晶シリコン膜30に、先の図7(a)に示す態様にて複数回のイオン注入を行う。これら図8(b)〜図8(d)に示す工程おいては、いずれもリンを同一の濃度(例えば「7×1015cm―2」)ずつ注入する。
【0069】
ここで、図8(b)〜図8(d)に例示するように、これら各イオン注入時の注入エネルギ量は、例えば「30keV」、「100keV」、「170keV」とする。なお、これらイオン注入における注入角度は、鉛直方向に対して「7〜8°」ほど傾けて行う。そして、これによりチャネリングを抑制する。
【0070】
こうして3回のイオン注入が終了すると、上記単結晶シリコン膜30内で不純物を拡散させるとともにこれを活性化すべく、所定温度(例えば「1150℃」)にて所定時間(例えば「60分」)の熱処理を行う。この熱処理も、その不純物濃度を単結晶シリコン膜30の上面から下面まで略均一にするように不純物を拡散させるのにようする時間を短縮すべく、活性化に必要な熱処理よりも高い温度にて行うことが望ましい。
【0071】
こうした熱処理によって、単結晶シリコン膜30内のキャリア濃度も上面から下面まで略均一化されることとなる。
なお、本実施形態では、略均一化とは、その不純物濃度のばらつきが「100%」以下とすることとする。
【0072】
更に、先の図5(c)〜図6(c)に示した工程によってフローセンサを製造する。
以上説明した本実施形態によれば、以下の効果が得られるようになる。
【0073】
(3)イオン注入を、図7(a)に破線で示す態様にて行うようにした。これにより、熱拡散によって注入した不純物を拡散させる熱処理時間を短縮することができる。更に、これにより、単結晶シリコン膜30の結晶欠陥を抑制しつつイオン注入をすることができるようにもなる。
【0074】
(4)各イオン注入時のイオン注入量を同一とした。これにより、図7(a)に破線で示した態様にてイオン注入をする場合、不純物濃度を単結晶シリコン膜30の上面から下面まで略均一にする熱拡散時間を最短時間とすることができる。
【0075】
なお、上記参考例及び実施形態は、以下のように変更して実施してもよい。
・上記参考例においては、抵抗体の不純物濃度が、その膜厚の「1/2」の深度の領域においてピークを有するとともに、それ以外の深度においてはその上面から下面まで略均一化されるようにしたが、これに限らない。不純物濃度が、例えばその膜厚の「1/3」及び「2/3」の深度の領域においてそれぞれピークを有するとともに、それ以外の深度においてはその上面から下面まで略均一化されるようにしてもよい。
【0076】
・上記参考例及びその変形例におけるように単結晶シリコンからなるシリコン抵抗体を用いるものに限らず、例えば多結晶シリコン等、任意の半導体に不純物の注入された抵抗体を用いてもよい。
【0077】
・上記参考例及びその変形例について、抵抗体の下地膜は、必ずしもシリコン酸化膜に限らない。また、不純物としてもボロンに限らない。この際、特に偏析係数が高い等、下地膜や抵抗体が高温となる処理を経ることで下地膜への不純物の吸収が大きなものにあっては、上記参考例の上記(1)の効果を好適に奏することができる。
【0078】
・上記実施形態におけるように注入エネルギ量として3つの異なる値を有して行うものに限らない。単結晶シリコン膜30の表面からの注入深度が「t/2n+kt/n(k=0、1、…n−1)」となるn個(nは2以上の整数)の異なる注入エネルギ量となるものであればよい。
【0079】
・上記実施形態及びその変形例におけるように各注入エネルギ量でのイオン注入の注入量は一定でなくても、熱拡散時間を縮小することはできる。
・上記実施形態及びその変形例におけるように注入エネルギ量の設定は、単結晶シリコン膜30の表面からの注入深度が「t/2n+kt/n(k=0、1、…n−1)」となるものに限らない。こうした場合であれ、互いに異なる少なくとも2つの注入エネルギ量により不純物をイオン注入することで、熱拡散時間を短縮することができる。
【0080】
・上記実施形態及びその変形例について、上記不純物としては、リンに限らない。
【0081】
・上記実施形態及びその変形例における抵抗体の不純物濃度は、適宜設定してよい。この際、抵抗体の不純物濃度を活性化や熱拡散のための熱処理の温度によって決まる固溶度と略等しくするなら、不純物濃度のプロセスばらつきを好適に抑制することができる。
【0082】
なお、固溶度と略等しい不純物濃度は、通常の活性化や熱拡散のための熱処理の温度では、「1×1020cm−3」以上の濃度となる。
【0083】
・上記参考例、実施形態及びそれらの変形例において、不純物濃度(キャリア濃度)を略均一化するとは、その濃度分布のばらつきが「100%」以下であるものに限らない。例えば、使用時の抵抗値変化を抑制する観点からすれば、上面に対する下面の不純物濃度が「1/10」以上となるようにすれば、換言すれば上記ばらつきを「1000%」以下とすればよい。更に、この際、上面に対する下面の不純物濃度が「1/3」以上となるようにすることが、換言すれば上記ばらつきを「300%」以下とすることがより望ましい。
【0084】
・発熱体と、該発熱体の近傍(発熱体自身又は発熱体の付近)の温度を感知する感温体とを上流側ヒータRhaや下流側ヒータRhbのように同一とする代わりに、これらを別部材にて構成してもよい。この際、発熱体及び感温体の少なくとも一方を、上記参考例、実施形態及びそれらの変形例に示す態様にて不純物濃度の設定された半導体からなる抵抗体にて構成することは有効である。
【0085】
・当該フローメータFMの環境温度を感知する上流側温度計Rkaや下流側温度計RkbをフローセンサFSに備える構成とする代わりに、信号生成回路SGに備える構成としてもよい。この場合であれ、上流側ヒータRhaと上流側温度計Rkaとの抵抗温度係数や、下流側ヒータRhbと下流側温度計Rkbとの抵抗温度係数は、互いに一致させるようにする。
【0086】
・上流側ヒータRhaや下流側ヒータRhbを備えなくても、単一のヒータ(発熱体、及び該発熱体の近傍の温度を感知する感温体)を備える構成であっても、発熱体に供給される電力量等に基づいて流体の流量を感知することはできる。更に、例えば上記特許文献1に記載のように、発熱体自身を第2の感温体としてこれによって自身の温度を感知しつつ発熱体を所定に制御するとともに、この付近の温度を上記感温体によって感知し、これに基づいて発熱体の生じる熱量のうち流体によって奪われた熱量を感知する構成としてもよい。
【0087】
・フローセンサFSの構成としては、発熱体と、該発熱体の近傍の温度を感知する感温体とを備える限りにおいて、適宜変更してよい。すなわち例えば、例えば薄膜部MBを構成する絶縁膜としては、シリコン酸化膜や、シリコン窒化膜に限らず、これ以外の絶縁膜を用いてもよい。
【0088】
・更に、フローセンサFSの製造方法としても、先の図5及び図6等に例示する工程によるものに限らない。例えば、先の図5(b)及び図5(c)に示した工程において、上流側ヒータRhaや下流側ヒータRhb等のパターニングした後、不純物の注入を行うなどしてもよい。
【0089】
・フローセンサFSとしては、車載用内燃機関の吸入空気量を感知するものに限らず、適宜の流体の流量を感知するものであればよい。
・抵抗体を用いて所定の物理量を感知する半導体センサとしては、フローセンサに限らず、例えば、ガスセンサ等であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態及びその参考例にかかるフローメータの回路図。
【図2】実施形態及びその参考例にかかるフローセンサの構成を示す平面図。
【図3】実施形態及びその参考例にかかるフローセンサの断面構成を示す断面図。
【図4】参考例における上流側ヒータや下流側ヒータの不純物濃度の分布を示す図。
【図5】実施形態及びその参考例にかかるフローセンサの製造工程を示す断面図。
【図6】実施形態及びその参考例にかかるフローセンサの製造工程を示す断面図。
【図7】一実施形態にかかるイオン注入態様を示す図。
【図8】同実施形態にかかるフローセンサの製造工程を示す断面図。
【図9】従来のフローセンサにおける発熱体の不純物濃度の分布態様を示す図。
【符号の説明】
10…半導体基板、20…シリコン酸化膜、30…単結晶シリコン膜、35…シリコン酸化膜、40…シリコン窒化膜、41…コンタクトホール、50…シリコン窒化膜、Rha…上流側ヒータ、Rhb…下流側ヒータ。
Claims (5)
- 半導体からなる抵抗体を用いて所定の物理量を感知する半導体センサを製造する方法であって、
前記抵抗体の形成には、半導体基板上に絶縁膜と単結晶シリコン膜とが順に積層されたSOI基板の前記単結晶シリコン膜を用い、
a.前記単結晶シリコン膜の表面全体に互いに異なる少なくとも2つの注入エネルギ量にて不純物をイオン注入することによって、前記注入エネルギ量毎に前記単結晶シリコン膜の表面からの深度が重ならない領域に不純物の注入領域を形成する工程、及び
b.前記不純物の注入された単結晶シリコン膜を熱処理することで前記単結晶シリコン膜の上面に対する下面の不純物濃度を「1/10」以上とする工程、及び
c.前記熱処理の後に前記単結晶シリコン膜をパターニングする工程、
の各工程を前記イオン注入の各々によって注入される不純物の量が活性化及び熱拡散のための熱処理温度によって決まる固溶度よりも大きい条件のもとに行って前記抵抗体を形成するとともに、
前記SOI基板からなる前記半導体基板の一部を、該半導体基板における前記絶縁膜が積層されていない側の面から前記絶縁膜までエッチングすることによって前記形成した抵抗体の裏面に薄膜部を形成する
ことを特徴とする半導体センサの製造方法。 - 前記単結晶シリコン膜の上面に対する下面の不純物濃度を「1/3」以上とする
請求項1記載の半導体センサの製造方法。 - 前記イオン注入は、前記単結晶シリコン膜の膜厚を「t」とするとき、その表面からの注入深度が「t/2n+kt/n(k=0、1、…n−1)」となるn個(nは2以上の整数)の異なる注入エネルギ量によって行う
請求項1又は2記載の半導体センサの製造方法。 - 前記熱処理の直後の前記単結晶シリコン膜の不純物の濃度が、「1×1020cm−3」以上となるように前記イオン注入による不純物の注入量を設定する
請求項1〜3のいずれか1項に記載の半導体センサの製造方法。 - 請求項1〜4のいずれか1項に記載の半導体センサの製造方法において、
当該半導体センサは、発熱体と、該発熱体の近傍の温度を感知する感温体とを備えて流体の流量を感知するフローセンサであるとともに、前記発熱体及び前記感温体の少なくとも一方が前記抵抗体にて形成されるものである
ことを特徴とする半導体センサの製造方法。
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