JP4360090B2 - 半導体センサの製造方法 - Google Patents
半導体センサの製造方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP4360090B2 JP4360090B2 JP2003020408A JP2003020408A JP4360090B2 JP 4360090 B2 JP4360090 B2 JP 4360090B2 JP 2003020408 A JP2003020408 A JP 2003020408A JP 2003020408 A JP2003020408 A JP 2003020408A JP 4360090 B2 JP4360090 B2 JP 4360090B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- semiconductor
- thin film
- resistor
- semiconductor thin
- manufacturing
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
Images
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、抵抗体を用いて所定の物理量を感知する半導体センサの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
流体の流路に配置された発熱体を発熱制御する際、発熱体の生ずる熱が同発熱体付近を流通する流体によって奪われることを利用して流体の流量を検出する熱式のフローメータが周知である。すなわち、このフローメータでは、発熱体に生じる熱のうち流体によって奪われる熱量が流体の流量が多いほど増加することに着目し、流体によって奪われる熱量に基づき発熱体付近の流体の流量を検出するようにしている。
【0003】
具体的には、例えば、感温体を通じて感知される発熱体の近傍の温度を所定の温度に維持するように上記発熱体へ供給する電力量を制御するとともに、上記発熱体の熱のうち流体によって奪われた熱量の指標としての同発熱体に供給される電力量等に基づいて流体の流量を検出する。また、例えば、発熱体を所定の温度に制御するとともに、上記発熱体の熱のうち流体によって奪われた熱量の指標としての同発熱体の付近の温度を感温体を通じて感知することで流体の流量を検出する。なおこの感温体は、抵抗体として構成されるとともに自身の抵抗値の変化を利用して温度を感知するものであることが多い。
【0004】
こうしたフローメータに備えられるフローセンサは、通常、半導体プロセスによって製造される。ただし、このように半導体プロセスを用いる場合、上記発熱体や感温体を例えば白金(Pt)等を用いて製造すると、同半導体プロセスにおいては汚染となるという問題があった。
【0005】
そこで従来は、例えば下記特許文献1に見られるように、上記発熱体や感温体を単結晶シリコンや多結晶シリコンにて形成することも提案されている。
また、同特許文献1には、上記発熱体や感温体を、シリコンに不純物を注入した後、「1150℃」で「60分」のアニールを行うことも提案されている。これにより、発熱体や感温体を構成するシリコンには、その上面から下面まで不純物が十分にドーピングされることとなり、ひいては、抵抗値変化の抑制を図ることができるようになる。
【0006】
【特許文献1】
特開2001−215141号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記態様にてシリコンを用いて発熱体や感温体を製造する場合には、通常、これら発熱体や感温体を構成するシリコン薄膜に膜厚ばらつきが生じることがある。すなわち、上記半導体プロセスで用いられる半導体ウエハについて、各異なる半導体ウエハを用いた場合は勿論、同一の半導体ウエハにおいてもウエハ面内で上記シリコン薄膜に膜厚ばらつきが生じることがある。
【0008】
そしてこの場合、上記のように発熱体や感温体を構成するシリコンの上面から下面まで不純物が十分にドーピングされていると、各発熱体を構成するシリコン薄膜間或いは各感温体を構成するシリコン薄膜間で不純物濃度分布が異なることとなる。そして、このように不純物濃度分布が異なると、これら発熱体や感温体の電気的な特性も自ずと異なってくる。
【0009】
なお、上記フローセンサに限らず、例えばガスセンサ等、半導体からなる抵抗体を用いて所定の物理量を感知する半導体センサにあっては、不純物濃度分布のばらつきに起因して電気特性にばらつきが生じるこうした実情も概ね共通したものとなっている。
【0010】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、半導体からなって所定の物理量を感知する抵抗体の電気的な特性ばらつきを好適に抑制することのできる半導体センサの製造方法を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
こうした目的を達成すべく、請求項1記載の半導体センサの製造方法では、前記半導体薄膜に不純物のドーピング及び熱処理を行った後に、この半導体薄膜をパターニングすることを前提として、前記抵抗体とする半導体薄膜の表面から不純物を拡散させることで同不純物のドーピングを行うに際し、前記拡散にかかる拡散係数を「D」とし、拡散時間を「t」とするとき、半導体ウエハ内及び半導体ウエハ間のいずれか一方における前記半導体薄膜の膜厚ばらつきにかかる最小の膜厚が「4√(Dt)」以上となるように前記不純物のドーピングを行う。上記拡散にかかる条件では、半導体薄膜において深度が「4√(Dt)」よりも深いところにドーピングされる不純物は、略ゼロとなる。このため、抵抗体の抵抗値のばらつきを許容範囲とすることができるようになる。
また、請求項1記載の半導体センサの製造方法では、前記半導体薄膜として、SOI基板において絶縁膜上に形成されている半導体薄膜を用い、製造対象となる半導体センサが発熱体及び該発熱体の近傍の温度を感知する感温体を備えるとともに、これら発熱体及び感温体の少なくとも一方が前記抵抗体にて形成されるフローセンサであるとしている。上記抵抗体を形成する半導体薄膜は、通常非常に薄いため、この薄い半導体薄膜を備えるSOI基板では、その膜厚ばらつきも大きなものとなりやすい。このため、請求項1記載の半導体センサの製造方法では、発熱体及び感温体の少なくとも一方が前記抵抗体にて形成されるフローセンサとしての作用効果を好適に奏することができる。
【0018】
なお、一般に、半導体薄膜の膜厚のばらつきは、同一半導体ウエハ内よりも各半導体ウエハ間の方が顕著となることに鑑み、上記半導体薄膜のばらつきとしては、半導体ウエハ間における膜厚のばらつきを考慮することが望ましい。
【0019】
また、請求項2記載の半導体センサの製造方法では、前記半導体薄膜に不純物のドーピング及び熱処理を行った後に、この半導体薄膜をパターニングすることを前提として、前記抵抗体とする半導体薄膜に対してイオン注入法及び熱処理にて不純物のドーピングを行うに際し、前記イオン注入法による不純物注入の深度を「Rp」とし、前記熱処理にかかる拡散係数を「D」とするとともに拡散時間を「t」とするとき、半導体ウエハ内及び半導体ウエハ間のいずれか一方における前記半導体薄膜の膜厚ばらつきにかかる最小の膜厚が「Rp+4√(Dt)」以上となるように前記不純物のドーピングを行う。上記イオン注入条件及び熱処理条件では、半導体薄膜において深度が「Rp+4√(Dt)」よりも深いところにドーピングされる不純物は、略ゼロとなる。このため、抵抗体の抵抗値のばらつきを許容範囲とすることができるようになる。
また、請求項2記載の半導体センサの製造方法では、前記半導体薄膜として、SOI基板において絶縁膜上に形成されている半導体薄膜を用い、製造対象となる半導体センサが発熱体及び該発熱体の近傍の温度を感知する感温体を備えるとともに、これら発熱体及び感温体の少なくとも一方が前記抵抗体にて形成されるフローセンサであるとしている。上記抵抗体を形成する半導体薄膜は、通常非常に薄いため、この薄い半導体薄膜を備えるSOI基板では、その膜厚ばらつきも大きなものとなりやすい。このため、請求項2記載の半導体センサの製造方法では、発熱体及び感温体の少なくとも一方が前記抵抗体にて形成されるフローセンサとしての作用効果を好適に奏することができる。
【0020】
なお、一般に、半導体薄膜の膜厚のばらつきは、同一半導体ウエハ内よりも各半導体ウエハ間の方が顕著となることに鑑み、上記半導体薄膜のばらつきとしては、半導体ウエハ間における膜厚のばらつきを考慮することが望ましい。
【0021】
また、請求項3記載の半導体センサの製造方法では、前記不純物としてボロンを用いる。これにより、抵抗体の経時変化を好適に抑制することができるようになる。
【0022】
また、請求項4記載の半導体センサの製造方法では、前記抵抗体とする半導体薄膜として、単結晶半導体を用いる。これにより、抵抗体への通電時の抵抗値変化を好適に抑制することができるようになる。
【0024】
なお、上記半導体センサの製造方法におけるSOI基板としては、請求項5記載の半導体センサの製造方法によるように、シリコンダイレクトボンディングによって形成されたものを用いてもよい。このシリコンダイレクトボンディングによるSOI基板は形成しやすい反面、膜厚ばらつきが大きくなりやすいため、上記各請求項1〜4のいずれかに記載の半導体センサの作用効果をいっそう好適に奏することができる。
【0026】
【発明の実施の形態】
(比較例)
以下、本発明にかかる半導体センサの製造方法を車載用内燃機関の吸入空気量を検出するフローメータの製造方法に適用した比較例を図面を参照しつつ説明する。
【0027】
図1に、上記フローメータFMの回路構成を示す。同図1に示されるように、このフローメータFMは、熱式のフローセンサFSと、該フローセンサFSの感知結果に基づき電気信号を生成する信号生成回路SGとを備えている。
【0028】
ここで、フローセンサFSは、上流側ヒータRhaと下流側ヒータRhbと、当該フローメータFMの環境温度を感知する上流側温度計Rkaと下流側温度計Rkbとを備えている。
【0029】
本比較例においては、これら上流側ヒータRhaと下流側ヒータRhbは、発熱体であるとともに自身の温度を感知する感温体としても機能する。すなわち、これら上流側ヒータRhaと下流側ヒータRhbは、電流の供給によって発熱する抵抗体としての機能に加えて、同抵抗体の抵抗値の変化に基づいて自身の温度をも感知するものである。そして、フローセンサFSでは、上流側ヒータRhaと下流側ヒータRhbとの生じる熱のうち流体によって奪われる熱に基づき流体の流量を感知する。また、フローセンサFSでは、上流側ヒータRhaと下流側ヒータRhbとのそれぞれの生じる熱のうち流体によって奪われる熱量の差に基づき、流体の流通方向を感知する。
【0030】
一方、信号生成回路SGは、上記フローセンサFSによる流体の流量及び流体の流通方向の感知結果に応じた検出信号を生成する。詳しくは、上流側ヒータRha及び上流側温度計Rkaの温度差と、下流側ヒータRhb及び下流側温度計Rkbの温度差とをそれぞれ所定値(例えば「200℃」)とするように、フローセンサFSへ供給する電流を制御する。そして、このフローセンサFSで消費される電力に基づき上記流体の流量及び流体の流通方向に応じた検出信号を生成する。
【0031】
ここで、上記フローセンサFS及び信号生成回路SGを備えるフローメータFMの具体的な回路構成について更に説明する。
フローメータFMは、吸気通路の上流側に対応した上流側ホィーストンブリッジUHBと、吸気通路の下流側に対応した下流側ホィーストンブリッジDHBとを備えている。
【0032】
ここで、上流側ホィーストンブリッジUHBは、上流側ヒータRhaから抵抗R1aへと、また、上流側温度計Rkaから抵抗R2aへとそれぞれ電流が流れる態様にて、上流側ヒータRha及び抵抗R1aと上流側温度計Rka及び抵抗R2aとが並列接続された回路である。そして、上流側ヒータRhaと上流側温度計Rkaとの接続点PaにトランジスタUTを介してバッテリBから電流が供給される。そして、上流側ヒータRhaでの電圧降下と上流側温度計Rkaでの電圧降下とは差動増幅回路UOPに取り込まれる。そして、この差動増幅回路UOPにより、これら2つの電圧降下を等しくすべく、換言すればブリッジの平衡条件を成立させるべく、これらの電圧降下の差に応じてトランジスタUTが制御される。
【0033】
ここで、上流側ホィーストンブリッジUHBは、平衡条件が成立したときに、上流側ヒータRhaの温度が上流側温度計Rkaの温度よりも上記所定値だけ高くなるように設定されている。なお、環境温度にかかわらず、上流側ヒータRhaの温度が上流側温度計Rkaの温度よりも上記所定値だけ高くなるときに上記平衡条件が成立するようにすべく、これら上流側ヒータRhaと上流側温度計Rkaとは、抵抗温度係数が互いに等しく設定されている。
【0034】
一方、下流側ホィーストンブリッジDHBは、下流側ヒータRhbから抵抗R1bへと、また、下流側温度計Rkbから抵抗R2bへとそれぞれ電流が流れる態様にて、下流側ヒータRhb及び抵抗R1bと下流側温度計Rkb及び抵抗R2bとが並列接続された回路である。この下流側ホィーストンブリッジDHBも、上流側ホィーストンブリッジUHBと同様、平衡条件を成立させるべく、トランジスタDT及び差動増幅回路DOPを備えている。なお、この下流側ホィーストンブリッジDHBの構成は、上流側ホィーストンブリッジUHBの構成と同様であるため、その説明を割愛する。
【0035】
これら上流側ホィーストンブリッジUHBの上流側ヒータRhaでの電圧降下と、下流側ホィーストンブリッジDHBの下流側ヒータRhbでの電圧降下とは、差動増幅回路COPに取り込まれる。そして、これら2つの電圧降下の差に応じた信号が差動増幅回路COPにて生成され、増幅回路ACによって増幅された後、信号生成回路SGの端子P7を介して外部に出力される。この端子P7を介して出力される検出信号が流体の流量及び流通方向の検出信号である。
【0036】
図2に、上記フローセンサFSの構成を示す。このフローセンサFSは、半導体基板10を備えて構成されている。そして、半導体基板10上に積層されているシリコン酸化膜20上には、上流側ヒータRhaや下流側ヒータRhb、上流側温度計Rkaや下流側温度計Rkbが形成されている。そして、これら上流側ヒータRhaや下流側ヒータRhb、上流側温度計Rka、下流側温度計Rkbは、リード部L1〜L6を介して、先の図1に示した信号生成回路SGとの接続端子となるパッドP1〜P6と接続されている。
【0037】
ちなみに、半導体基板10は、空洞部Hを有する。詳しくは、半導体基板10は、その裏面側において図2に1点鎖線にて示す矩形状の領域が開口されているとともに、この開口面積が半導体基板10の上面側へ行くほど縮小され、同半導体基板10の上面では図2に破線にて示されるような矩形状の領域となっている。
【0038】
このように空洞部Hを有するために、上流側ヒータRhaや下流側ヒータRhbは、フローセンサFSのうち、半導体基板10の空洞部Hを架橋するようにして形成されている薄膜部MBに備えられることとなる。この薄膜部MBは、フローセンサFSの他の箇所と比べてその膜厚が薄く形成されているために、熱容量が低く抑えられ、また、フローセンサFSの他の箇所との熱的な絶縁が図られている。
【0039】
次に、上記フローセンサFSのうち、特に上記薄膜部MBについて更に説明する。
図3に、フローセンサFSのうち薄膜部MB近傍の断面構成を示す。この図3は、先の図2のA−A断面を示している。同図3に示すように、シリコンからなる半導体基板10には、上記シリコン酸化膜20が形成されている。そして、シリコン酸化膜20上には、上流側ヒータRha、下流側ヒータRhb、リード部L2、L5、上流側温度計Rkaがそれぞれ単結晶シリコンにて形成されている。そして、これら上流側ヒータRhaや、下流側ヒータRhb、リード部L2、L5、上流側温度計Rkaを覆うようにして、シリコン窒化膜40が積層されている。ちなみに、上記シリコン酸化膜20やシリコン窒化膜40は、空洞部Hを含めて半導体基板10の上方の略全ての領域に積層形成されている。
【0040】
ここで、上流側ヒータRha及び下流側ヒータRhb、上流側温度計Rka及び下流側温度計Rkb、リード部L1〜L6(以下、これらを総称して抵抗体という)について更に説明する。
【0041】
本比較例では、抵抗体は、ボロン(B)が注入されることでP型の導電型を有する単結晶シリコンにて形成されている。このように、不純物としてボロンを用いることで、抵抗体への通電における経時変化の抑制を図る。図4(b)及び図4(c)は、図4(a)に示す単結晶シリコンからなるヒータhにボロン及びリンをそれぞれ添加したものについての経時変化を示している。ちなみに、図4(a)は、シリコンからなる半導体基板1に、シリコン酸化膜2、膜厚「2μm」のヒータh、シリコン酸化膜3がそれぞれ積層形成されたものを示している。
また、図4(b)及び図4(c)に示す「R0」は、温度「0℃」のときの抵抗値であり、これら図4(b)及び図4(c)に示す縦軸は、温度「0℃」のときの抵抗値の変化率を示している。
【0042】
図4(b)及び図4(c)から、ボロン及びリンを添加した場合、いずれもその不純物の添加量が多いほど、経時変化を抑制することができることがわかる。そして、リンを添加した場合と比較してボロンを添加した場合は、経時変化が極めて小さいことがわかる。
【0043】
また、本比較例では、半導体薄膜を用いて抵抗体を形成するに際し、半導体薄膜の膜厚ばらつきを考慮して不純物のドーピングを行う。以下、これについて説明する。
【0044】
一般に、半導体薄膜を用いて抵抗体を形成する際には、異なる半導体ウエハ上の半導体薄膜の間での膜厚ばらつきは勿論、単一の半導体ウエハ上の半導体薄膜についても膜厚ばらつきが生じることがある。例えば、図5(a)及び図5(b)に例示するように、シリコン酸化膜上に形成される半導体薄膜としてのシリコンの膜厚にはばらつきが生じる。この際、図5(a)に示すシリコンの膜厚が最も厚いところよりも、図5(b)に示すシリコンの膜厚が最も薄いところの方が不純物の添加量(表面に対する単位面積当たりの添加量)が少なくなる。
【0045】
そして、このように不純物の添加量にばらつきが生じると、抵抗値や抵抗温度係数等、電気的特性にばらつきが生じることとなる。すなわち、各フローセンサFS間で、上流側ヒータRhaや、下流側ヒータRhb等、抵抗体の電気的特性にばらつきが生じることとなる。
【0046】
この電気的特性のばらつきは、上記信号生成回路SGによって調整されることとなる。しかし、上記電気的特性のばらつきが大きすぎると、上記信号生成回路SGによっては調整することができなくなる。ちなみに、この電気的特性のばらつきとしての抵抗値のばらつきが、その中心値に対し「±20%」を超えると調整が極めて困難となる。
【0047】
そこで、本比較例では、上記抵抗値のばらつきを「±20%」以内に納めるように不純物のドーピングを行う。以下、これについて詳述する。
まず、図5(a)に示す最大の膜厚の領域における不純物の(単位面積当たりの)添加量を「N0」とする。そしてこのうち、図5(a)に示す最大の膜厚の領域において、その深度が図5(b)に示す最小の膜厚に対応した深度Dminと一致するところから底面までの区間の不純物の(単位面積当たりの)添加量を「Na」とする。このとき、図5(b)に示す最小の膜厚の領域における(単位面積当たりの)不純物の添加量は、通常、「N0−Na」よりも大きくなる。これは、膜厚が異なると所定の深度における不純物の添加量が変化するためであり、図5(b)にハッチングをつけて示す領域における不純物だけ「N0−Na」に対して大きくなるためである。
【0048】
ただし、図5(b)にハッチングをつけて示す量は通常それほど大きな量とならないという理由、及び、マージンを持たせた調整を行うという理由から、本比較例では、最小の膜厚の領域における不純物の添加量を「N0−Na」で近似する。
【0049】
一方、各抵抗体の抵抗値は不純物の添加量に反比例するため、適宜の比例係数ρを用いると、最大の膜厚の領域における(単位面積当たりの)抵抗値Rmin、最小の膜厚の領域における(単位面積当たりの)抵抗値Rmaxは、それぞれ下式(c1)、(c2)にて表記される。
【0050】
Rmin=ρ/N0 …(c1)
Rmax=ρ/(N0−Na) …(c2)
したがって、抵抗値の中心値をRcとすると、これは下式(c3)にて表記される。
【0051】
Rc=(Rmax+Rmin)/2
=ρ(2N0―Na)/{2N0(N0―Na)} …(c3)
したがって、抵抗値のばらつきΔR/Rcは、下式(c4)となる。
【0052】
ΔR/Rc=(Rmax―Rc)/Rc
=Na/(2N0−Na) …(c4)
したがって、抵抗値として許容されるばらつきの百分率を「±(100×α)%」とすると、下式(c5)を満たすようにドーピング条件を設定することとなる。
【0053】
Na/(2N0−Na)<α …(c5)
または、
(Na/N0)<{2α/(1+α)} …(c6)
特に、本比較例では、「α=0.2」であるから
(Na/N0)<0.33… …(c7)
となる。
【0054】
ところで、本比較例では、上記フローセンサFSの製造にあたって、SOI(Silicon On Insulator)基板を用いる。特に、このSOI基板のうち絶縁膜上に形成されている半導体薄膜を用いて上記抵抗体を形成する。そして、この半導体薄膜には予め不純物が添加されているため、SOI基板を用いたフローセンサFSの製造時のドーピングによって(c7)となるよう調整する際、そのドーピング条件に、予め添加されている不純物の添加量を反映させる。以下、これについて詳述する。
【0055】
図6は、濃度Coの不純物が予め添加されているシリコンに不純物をドーピングしたときの、不純物の添加状態を示すものである。ここで、図6(a)及び図6(b)は、図6(c)及び図6(d)と比較して予め添加されている不純物の濃度Coが高い場合を示している。また、図6(a)及び図6(c)は、最小の膜厚の領域を、図6(b)及び図6(d)は最大の膜厚の領域をそれぞれ示している。ちなみに、これら図6(a)〜図6(d)においては、いずれも最小の膜厚に対応する深度Dminよりも浅い領域に略全ての不純物が添加されるようなドーピングを行った場合を示している。
【0056】
まず、同一の添加量の不純物が予め添加されている状態を示す図6(a)及び図6(b)について、これらに添加される不純物の総量の差は、図6(b)にハッチングをつけて示す部分である。一方、同一の添加量の不純物が予め添加されている状態を示す図6(c)及び図6(d)について、これらに添加される不純物の総量の差は、図6(d)にハッチングをつけて示す部分である。これらはいずれも「2Δt×Co」と表記され、図6(b)にハッチングにて示す領域の方が図6(d)にハッチングにて示す領域よりも大きくなっている。したがって、膜厚ばらつきに起因した不純物の添加量のばらつきを低減するためには、予め添加されている不純物の添加量を低減させることが望ましい。
【0057】
ここで、抵抗値として許容されるばらつきの百分率を「±(100×α)%」以内とする条件について詳述する。
ここでは、予め添加されている不純物の濃度を「Co(cm―3)」、単位面積当たりのドーピング量を「D(cm-2)」、膜厚ばらつきを「t±Δt(μm)」とする。このとき、最大の膜厚の領域における抵抗値Rmin、最小の膜厚の領域における抵抗値Rmaxは、上記比例係数ρを用いると、それぞれ下式(c1)、(c2)にて表記される。
【0058】
Rmin
=ρ/{D×104+(t―Δt)×10-6×Co×106}…(c8)
Rmax
=ρ/{D×104+(t+Δt)×10-6×Co×106}…(c9)
したがって、抵抗値の中心値をRcとし、これを上式(c3)と同様に定義すると、抵抗値のばらつきΔR/Rcは、下式(c10)となる。
【0059】
ΔR/Rc=(Rmax―Rc)/Rc
=Δt×Co/(D×104+t×Co) …(c10)
したがって、抵抗値として許容されるばらつきの百分率が「±(100×α)%」以内となる条件は、下式(c11)となる。
【0060】
Δt×Co/(D×104+t×Co)<α …(c11)
ここで、上式(c11)を満たすようにして抵抗体を形成する本比較例にかかるフローセンサFSの製造工程について図7及び図8を用いて説明する。ちなみに、図7及び図8に示す断面も、先の図2に示したA−A断面である。
【0061】
この一連の製造工程においては、まず図7(a)に示すようなSOI基板を用意する。このSOI基板は、例えばN型の導電型を有する単結晶シリコンからなる半導体基板10上に、シリコン酸化膜20と、例えばP型の導電型を有する単結晶シリコン膜30とが積層されたものである。
【0062】
詳しくは、このSOI基板は、シリコンダイレクトボンディング(SDB:Silicon Direct Bonding)によって形成されたものである。このSDBは、半導体基板の一主面を熱酸化処理するとともに、この熱酸化された側の面に半導体基板を貼り合わせることで形成されるものである。これによって形成されたSOI基板は、形成が容易であるため入手もしやすいものとなっている反面、各ウエハ面内やウエハ間における単結晶シリコン膜30の膜厚ばらつきが顕著となる。ちなみに、市販のSOI基板を使用する場合、通常、予め各半導体ウエハ間での単結晶シリコン膜30の膜厚ばらつきについての情報が記載されている。
【0063】
なお、上記単結晶シリコン膜30には、例えば「1×1015cm―2」のボロンが添加されることで、P型の導電型が付与されている。また、半導体基板10の厚さは例えば「625μm」とし、シリコン酸化膜20の膜厚は、例えば「1μm」とし、また、単結晶シリコン膜30の膜厚は例えば「0.5〜2.0μm」とすればよい。
【0064】
これに続く図7(b)及び図7(c)に示す工程は、単結晶シリコン膜30に不純物をドーピングする工程である。
すなわちまず、図7(b)に示す工程において、上記単結晶シリコン膜30にボロンを所定の濃度(例えば「2×1016cm―2」)にて注入する。次に、図7(c)に示す工程において、上記単結晶シリコン膜30に注入された不純物を拡散させるとともに、これを活性化すべく、所定温度(例えば「1150℃」)にて所定時間(例えば「10分」)の熱処理を行う。
【0065】
ここで、上記イオン注入に際しては、その注入にかかる深度が膜厚ばらつきにかかる最小の膜厚に対応する深度よりも浅いところとなるようにする。また、上記熱処理は、これにより不純物が拡散する領域が膜厚ばらつきにかかる最小の膜厚に対応する深度よりも深くならないように設定される。実際には、イオン注入にかかる深度が熱処理時の拡散にかかる深度に影響するため、これら2つのパラメータ(注入にかかる深度、熱処理にかかるパラメータ)を調整することで、膜厚ばらつきにかかる最小の膜厚に対応する深度よりも浅いところに略全ての不純物をドーピングする。
【0066】
なお、このボロンの注入量を「D(cm-2)」、単結晶シリコン膜30に予め添加されているボロンの濃度を「Co(cm―3)」、単結晶シリコン膜30の膜厚ばらつきを「t±Δt(μm)」とすると、これらが上式(c11)を満たすようにする。ちなみに、ここで、膜厚ばらつき「t±Δt(μm)」とは、例えば上述したように市販のSOI基板に付与されている各ウエハ間における単結晶シリコン30膜の膜厚ばらつきとすればよい。
【0067】
次に、図8(a)に示す工程において、上記単結晶シリコン膜30を反応性イオンエッチングにてパターニングすることで、上流側温度計Rkaや、上流側ヒータRha、下流側ヒータRhb、リード部L2、L5を形成する。なお、ここでは図示しないが、この工程においては、下流側温度計Rkbや、リード部L1、L3、L4、L6も形成する。
【0068】
このように、上流側ヒータRhaと上流側温度計Rkaとを、また、下流側ヒータRhbと下流側温度計Rkbとを同一工程にて形成することで、上流側ヒータRha及び上流側温度計Rkaの抵抗温度係数や、下流側ヒータRhb及び下流側温度計Rkbの抵抗温度係数を簡易に一致させることができる。
【0069】
更に、図8(b)に示す工程において、低圧CVD法にてシリコン窒化膜40を所定の膜厚(例えば「1.5μm」)にて堆積する。このときの成膜条件を以下に例示する。
【0070】
ガス流量比 SiH2Cl2:NH3=4:1
雰囲気温度 850℃
圧力 20Pa
次に、図8(c)に示す工程において、シリコン窒化膜40を反応性イオンエッチングにてエッチングすることでコンタクトホール41を形成する。更に、図8(c)に示すように、メタル(例えばアルミニウム)を所定の膜厚(例えば「1.0μm」)に成膜した後、パターニングすることで上記コンタクトホール41に先の図2に示したパッドP5を形成する。なお、この図8(c)に示す工程においては、図示しないパッドP1〜P4、P6も同様にして形成される。
【0071】
続いて、同図8(c)に示すように、半導体基板10の裏面側に、シリコン窒化膜50を、プラズマCVD法により所定の膜厚(例えば「1μm」)にて成膜する。更に、同図8(c)に示すように、先の図2に一点鎖線にて示した領域に対応した開口部を形成すべく、反応性イオンエッチングにてシリコン窒化膜50をエッチングする。
【0072】
更に、シリコン窒化膜50をマスクとして半導体基板10をエッチングすることで、半導体基板10に先の図3に示した空洞部Hを形成する。これにより、空洞部Hを架橋するように薄膜部MBが形成されることとなる。
【0073】
なお、この図8(c)に示すエッチングは、以下のようにして行うことが望ましい。
A.エッチング液としてKOHやTMAH等のアルカリ性のエッチング液を用いたウェットエッチングとする。
B.半導体基板10の裏面を単結晶シリコンの基本格子の等価な6面である{100}とする。
C.上記シリコン窒化膜50の開口部を矩形にして形成すると共に、その各辺を結晶方位<110>と一致させる。
【0074】
これにより、半導体基板10を上記エッチング液により{111}面に沿ってエッチングすることができる。したがって、薄膜部MBを矩形に形成することができる。更に、この際、薄膜部MBの2つの辺を流通方向に直交させるような設定とすることも容易となる。
【0075】
もっとも、薄膜部MBの形成に際しては、必ずしもウェットエッチングに限らず、ドライエッチングによって行うようにしてもよい。このようにドライエッチングを用いる場合には、少なくとも同ドライエッチングからの要請として半導体基板10の面方位が規定されることはない。
【0076】
以上詳述した本比較例によれば、以下の効果が得られるようになる。
(1)「(Co×Δt)/(104×D+t×Co)<α」となるようにすることで、抵抗体の抵抗値のばらつきを許容範囲とすることができるようになる。
【0077】
(2)抵抗体の抵抗値として許容されるばらつきの百分率を「±20%」とした。これにより、信号生成回路SGによって、ばらつきの補正等、チューニングを的確に行うことができるようになる。
【0078】
(3)不純物としてボロンを用いることで、抵抗体の経時変化を好適に抑制することができるようになる。
(4)抵抗体を、単結晶半導体にて構成することで、抵抗体への通電時の抵抗値変化を好適に抑制することができるようになる。
【0079】
(5)SDBによって形成されたSOI基板を用いた。このため、単結晶シリコン膜30の膜厚ばらつきが大きくなりやすいのであるが、上式(c11)の設定により抵抗体の抵抗値のばらつきを好適に抑制することができる。
【0080】
(第1の実施形態)
次に、本発明にかかる半導体センサの製造方法を車載用内燃機関の吸入空気量を検出するフローメータの製造方法に適用した第1の実施形態について、上記比較例との相違点を中心に図面を参照しつつ説明する。なお、本実施形態では、先の比較例と同一の機能を有する部材の一部には、便宜上、同一の符号を用いる。
【0081】
上記フローメータも先の図1と同様の構成を有する。また、本実施形態にかかるフローセンサの平面構成も、先の図2に示した構成と同様である。
上記比較例では、上式(c11)を満たすように抵抗体への不純物のドーピングを行った。これに対し、本実施形態では、以下に示す態様にて不純物のドーピングを行う。
【0082】
まず、本実施形態では、抵抗体とする半導体薄膜の表面から不純物を拡散させる処理を行うことで、不純物をドーピングする。こうした不純物のドーピングとしては、(イ)表面濃度を一定として拡散させるもの。(ロ)不純物濃度を一定として拡散させるもの。がある。
【0083】
ここで、(イ)の場合、拡散による不純物の濃度分布は、誤差関数(erfc)で表記できる。また、(ロ)の場合、拡散による不純物の濃度分布は、ガウス関数となる。なお、これについては、「S.M.ジィー著、半導体デバイス、産業図書」に詳しい記述がある。
【0084】
図9に、シリコンに対する上記(イ)及び(ロ)の拡散処理による不純物の濃度分布について示す。同図9において、横軸は表面からの深度を示し、また、縦軸は、表面濃度を「1」として規格化された濃度を示す。「D」は上記熱拡散処理にかかる拡散係数、「t」は同熱拡散処理にかかる拡散時間である。同図9に示されるように、深度が「4√(Dt):「√(Dt)」は、Dtの平方根を示す」以上のところでは、上記(イ)及び(ロ)の拡散処理のいずれにおいても不純物濃度が略ゼロとなる。
【0085】
したがって、本実施形態では、上記単結晶シリコン膜30の膜厚ばらつきにかかる最小の膜厚が「4√(Dt)」以上となるようにドーピング条件を設定するようにする。
【0086】
ここで、拡散係数Dは、温度に依存し、振動因子D0、不純物の拡散にかかる活性化エネルギΔQ、絶対温度Tを用いて、下式(c12)にて表記される。なお、これについては「原留美吉、半導体物性工学の基礎、工業調査会」に詳しい記述がある。
【0087】
D=D0×exp(―ΔQ/kT) …(c12)
したがって、上記最小の膜厚Fminを、下式(c13)を満たすように設定する。
【0088】
Fmin>4√(Dt)
=4√{D0×exp(―ΔQ/kT)t} …(c13)
図10に、拡散時間を「10分」、「30分」、「1時間」、「3時間」、「10時間」としてシリコン中にボロンをドーピングさせる際の深度「4√(Dt)」の値と温度との関係を示す。
【0089】
なお、本実施形態にかかるフローセンサFSの製造工程も、先の図7及び図8に準じたものとなっている。ただし、本実施形態では、ドーピングにかかる処理である図7(b)及び図7(c)にかかる処理において、上記(イ)の場合は気相又は酸化膜ソース等の固相からの不純物拡散を、また上記(ロ)の場合はRpが略ゼロとなるような低エネルギのイオン注入をそれぞれ想定している。
【0090】
以上説明した本実施形態によれば、先の比較例の上記(3)〜(5)の効果に加えて、更に以下の効果が得られるようになる。
(6)最小の膜厚が「4√(Dt)」以上となるようすることで、深度が「4√(Dt)」よりも深いところにドーピングされる不純物の濃度を略ゼロとすることができる。このため、抵抗体の抵抗値のばらつきを許容範囲とすることができるようになる。
【0091】
(第2の実施形態)
次に、本発明にかかる半導体センサの製造方法を車載用内燃機関の吸入空気量を検出するフローメータの製造方法に適用した第2の実施形態について、上記第1の実施形態との相違点を中心に図面を参照しつつ説明する。なお、本実施形態では、先の比較例と同一の機能を有する部材の一部には、便宜上、同一の符号を用いる。
【0092】
上記フローメータも先の図1と同様の構成を有する。また、本実施形態にかかるフローセンサの平面構成も、先の図2に示した構成と同様である。
上記第1の実施形態では、単結晶シリコン膜30の表面から不純物を拡散させる処理を行うことで不純物をドーピングした。これに対し、本実施形態では、比較例と同様、イオン注入と熱処理による不純物のドーピングを行う。
【0093】
ただし、この場合、イオン注入によって単結晶シリコン膜30の所定の深度Rpをターゲットとして不純物が注入されることとなるため、最小の膜厚に対する条件が上記第1の実施形態とは相違する。
【0094】
図11(a)に、イオン注入直後の不純物濃度の分布を示す。同図11(a)において、横軸は表面からの深度を示し、また、縦軸は不純物濃度を示している。同図11(a)に示すように、イオン注入においては、所定の深度Rpにおいて不純物濃度が最大となるようにして不純物が注入される。そして、その後の熱拡散処理においては、この深度Rpを中心として不純物が拡散することとなる。このため、拡散係数D、拡散時間tを用いると、深度が「Rp+4√(Dt)」よりも深いところでは、図11(b)に示すように、不純物濃度が略ゼロとなる。したがって、本実施形態では、単結晶シリコン膜30の最小の膜厚が「Rp+4√(Dt)」となるようにドーピングを行うようにする。
【0095】
ちなみに、例えばRpを「100nm」とし、「1050℃」で「10分」のアニールを実行した場合、「4√(Dt)」は「300nm」となり、「Rp+4√(Dt)」は「400nm」となる。このため、膜厚ばらつきが例えば「1μm±0.5μm」の大きなSOI基板であってもこれを用いることができる。
【0096】
以上説明した本実施形態によっても、先の第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。
なお、上記比較例及び各実施形態は、以下のように変更して実施してもよい。
【0097】
・上記比較例では、抵抗体の抵抗値として許容されるばらつきの百分率を「±20%」としたが、例えば「±10%」、「±5%」としてもよい。これにより、信号生成回路SGによって、ばらつきの補正等、チューニングを簡易に行うことができるようになる。
【0098】
・最大の膜厚となる領域における不純物の添加量から最小の膜厚となる領域における不純物の添加量を差し引いた値である「Na」の設定態様は、上記比較例において例示したものに限らない。
【0099】
・上記第2の実施形態について、不純物のドーピング手法としては、イオン注入法及び熱処理による手法に限らない。例えば、気相から半導体中へドーパント原子(不純物)を拡散させる手法や、ドーパント原子(不純物)のドープされた酸化膜ソースを使って表面から半導体中へ上記ドーパント原子(不純物)を拡散させる手法等でもよい。
【0100】
・上記各実施形態では、いずれも予め単結晶シリコン膜に不純物が添加されているものを用いたがこれに限らない。特に比較例において、予め不純物の添加されていない場合には、上式(c11)の代わりに、上式(c5)、(c6)を用いればよい。
【0101】
・抵抗体にドーピングする(或いは添加されている)不純物としては、ボロンに限らない。例えばリンをドーピングした場合であれ、膜厚ばらつきに起因した抵抗値のばらつきを抑制することはできる。
【0102】
・SOI基板としては、シリコンダイレクトボンディングによって形成されるものに限らない。更に、フローセンサの製造に際してSOI基板を用いるものにも限らない。なお、例えば、抵抗体とする半導体薄膜を成膜する場合には、その膜厚ばらつきを計測によって取得することが望ましい。これは、例えば光学的な手法によって行うことができる。ちなみに、こうした計測によって取得される膜厚ばらつきについての情報も、上記実施形態同様、各半導体ウエハ間での膜厚ばらつきとすることが望ましい。すなわち、こうした膜厚ばらつきは、通常、半導体ウエハ内におけるよりも異なる半導体ウエハ間におけるものの方が顕著となるため、各半導体ウエハ毎に例えば数カ所の計測点における平均値から膜厚を定義するなどして、各ウエハ間での膜厚のばらつきの情報を生成することが望ましい。
【0103】
また、半導体薄膜を成膜する場合には、ドーピング条件のみならず、成膜条件を調整することによっても、上記各実施形態やその変形例にかかる条件を調整することができる。
【0104】
・抵抗体とする半導体薄膜としては、単結晶シリコン膜に限らず、多結晶シリコン膜でもよい。更に、シリコンに限らず、任意の単結晶半導体や多結晶半導体でもよい。
【0105】
・上記各実施形態では、上流側温度計Rka及び下流側温度計Rkb、上流側ヒータRha及び下流側ヒータRhb、リード部L1〜L6の全てについて、膜厚ばらつきに起因する抵抗値のばらつきを抑制すべく同一の条件を設定した。これに代えて、例えば上流側ヒータRha及び下流側ヒータRhbについてのみこうした条件を設定するようにしてもよい。
【0106】
・当該フローメータFMの環境温度を感知する上流側温度計Rkaや下流側温度計RkbをフローセンサFSに備える構成とする代わりに、信号生成回路SGに備える構成としてもよい。この場合であれ、上流側ヒータRhaと上流側温度計Rkaとの抵抗温度係数や、下流側ヒータRhbと下流側温度計Rkbとの抵抗温度係数は、互いに一致させるようにする。
【0107】
・発熱体と、該発熱体の近傍(発熱体自身又は発熱体の付近)の温度を感知する感温体とを上流側ヒータRhaや下流側ヒータRhbのように同一とする代わりに、これらを別部材にて構成してもよい。
【0108】
・上流側ヒータRhaや下流側ヒータRhbを備えなくても、単一のヒータ(発熱体、及び該発熱体の近傍の温度を感知する感温体)を備える構成であっても、発熱体に供給される電力量等に基づいて流体の流量を感知することはできる。更に、例えば、発熱体自身を第2の感温体としてこれによって自身の温度を感知しつつ発熱体を所定に制御するとともに、この付近の温度を上記感温体によって感知し、これに基づいて発熱体の生じる熱量のうち流体によって奪われた熱量を感知する構成としてもよい。
【0109】
・フローセンサFSの構成としては、先の図2、図3に例示したものに限らない。例えば、上流側ヒータRhaや下流側ヒータRhbを覆う保護膜は、シリコン窒化膜に限らず、シリコン酸化膜としてもよい。
【0110】
・フローセンサFSとしては、車載用内燃機関の吸入空気量を感知するものに限らず、適宜の流体の流量を感知するものであればよい。
・半導体からなる抵抗体により所定の物理量を感知する半導体センサとしては、フローセンサに限らず、例えば、ガスセンサやIRセンサ、赤外線センサ等であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】比較例及び第1、第2の実施形態にかかるフローメータの回路図。
【図2】同比較例及び第1、第2の実施形態にかかるフローセンサの構成を示す平面図。
【図3】同比較例及び第1、第2の実施形態にかかるフローセンサの構成を示す断面図。
【図4】ボロンとリンとがそれぞれ添加された単結晶シリコンの抵抗値変動特性を示す図。
【図5】膜厚ばらつきに起因した不純物濃度のばらつきを示す図。
【図6】膜厚ばらつきに起因した不純物濃度のばらつきを示す図。
【図7】上記比較例及び第1、第2の実施形態の製造工程を示す断面図。
【図8】上記比較例及び第1、第2の実施形態の製造工程を示す断面図。
【図9】不純物の拡散態様を示す図。
【図10】シリコン中への不純物の拡散態様と熱処理温度、熱処理時間との関係を示す図。
【図11】イオン注入法を用いた場合のシリコン中への不純物の拡散態様を示す図。
【符号の説明】
1…半導体基板、2…シリコン酸化膜、3…シリコン酸化膜、10…半導体基板、20…シリコン酸化膜、30…単結晶シリコン膜、40…シリコン窒化膜、41…コンタクトホール、50…シリコン窒化膜。
Claims (5)
- 半導体薄膜からなる抵抗体を用いて所定の物理量を感知する半導体センサを1枚の半導体ウエハ内に複数個製造する製造方法において、
半導体薄膜として、SOI基板において絶縁膜上に形成されている半導体薄膜を用いることを特徴とし、
前記半導体薄膜に不純物のドーピング及び熱処理を行った後に、この半導体薄膜をパターニングするものであり、
前記抵抗体とする半導体薄膜の表面から不純物を拡散させることで同不純物のドーピングを行うに際し、前記拡散にかかる拡散係数を「D」とし、拡散時間を「t」とするとき、半導体ウエハ内及び半導体ウエハ間のいずれか一方における前記半導体薄膜の膜厚ばらつきにかかる最小の膜厚が「4√(Dt)」以上となるように前記不純物のドーピングを行うことを特徴とし、
製造対象となる半導体センサが、発熱体及び該発熱体の近傍の温度を感知する感温体を備えるとともに、これら発熱体及び感温体の少なくとも一方が前記抵抗体にて形成されるフローセンサである
ことを特徴とする半導体センサの製造方法。 - 半導体薄膜からなる抵抗体を用いて所定の物理量を感知する半導体センサを1枚の半導体ウエハ内に複数個製造する製造方法において、
半導体薄膜として、SOI基板において絶縁膜上に形成されている半導体薄膜を用いることを特徴とし、
前記半導体薄膜に不純物のドーピング及び熱処理を行った後に、この半導体薄膜をパターニングするものであり、
前記抵抗体とする半導体薄膜に対してイオン注入法及び熱処理にて不純物のドーピングを行うに際し、前記イオン注入法による不純物注入の深度を「Rp」とし、前記熱処理にかかる拡散係数を「D」とするとともに拡散時間を「t」とするとき、半導体ウエハ内及び半導体ウエハ間のいずれか一方における前記半導体薄膜の膜厚ばらつきにかかる最小の膜厚が「Rp+4√(Dt)」以上となるように前記不純物のドーピングを行うことを特徴とし、
製造対象となる半導体センサが、発熱体及び該発熱体の近傍の温度を感知する感温体を
備えるとともに、これら発熱体及び感温体の少なくとも一方が前記抵抗体にて形成されるフローセンサである
ことを特徴とする半導体センサの製造方法。 - 前記不純物としてボロンを用いる
請求項1または2に記載の半導体センサの製造方法。 - 前記抵抗体とする半導体薄膜として、単結晶半導体を用いる
請求項1〜3のいずれかに記載の半導体センサの製造方法。 - 前記SOI基板として、シリコンダイレクトボンディングによって形成されたものを用いる
請求項1〜4のいずれかに記載の半導体センサの製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003020408A JP4360090B2 (ja) | 2003-01-29 | 2003-01-29 | 半導体センサの製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003020408A JP4360090B2 (ja) | 2003-01-29 | 2003-01-29 | 半導体センサの製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004235315A JP2004235315A (ja) | 2004-08-19 |
JP4360090B2 true JP4360090B2 (ja) | 2009-11-11 |
Family
ID=32950044
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2003020408A Expired - Fee Related JP4360090B2 (ja) | 2003-01-29 | 2003-01-29 | 半導体センサの製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP4360090B2 (ja) |
-
2003
- 2003-01-29 JP JP2003020408A patent/JP4360090B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2004235315A (ja) | 2004-08-19 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP3698679B2 (ja) | ガス流量計及びその製造方法 | |
US8356514B2 (en) | Sensor with improved thermal stability | |
JP5683192B2 (ja) | 熱式流量センサ | |
KR100728314B1 (ko) | 열식 공기유량센서, 이에 사용되는 검출소자 및 내연 기관용 제어 시스템 | |
WO2012117446A1 (ja) | 熱式流量計 | |
JP2004257870A (ja) | 流量センサ | |
JP2007309914A (ja) | 物理量センサの製造方法 | |
JP4497165B2 (ja) | 半導体装置の製造方法 | |
US20130068013A1 (en) | Sensor element with engineered silicide | |
JP4360090B2 (ja) | 半導体センサの製造方法 | |
JP4736307B2 (ja) | 半導体センサの製造方法 | |
JP5109777B2 (ja) | フローセンサ | |
JP2002048616A (ja) | 熱式空気流量センサ及び内燃機関制御装置 | |
JP2001012985A (ja) | 熱式空気流量センサ及び内燃機関制御装置 | |
JP4526766B2 (ja) | 半導体センサ及びその製造方法 | |
JP2002071416A (ja) | 熱式空気流量センサ及び内燃機関制御装置 | |
JP2004205353A (ja) | フローセンサ及びその製造方法 | |
JP4788729B2 (ja) | 半導体センサの製造方法 | |
JP2004205498A (ja) | フローセンサ | |
JP2004219080A (ja) | 半導体センサ及びその製造方法 | |
JP4770820B2 (ja) | 半導体センサ及びその製造方法 | |
JP4062083B2 (ja) | フローセンサ及びその製造方法 | |
CN117269254B (zh) | 一种氢气传感器及其制备方法 | |
JPH1183580A (ja) | 熱式空気流量センサ | |
JPH05307045A (ja) | 流速センサ |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20050413 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20080613 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20080624 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20080820 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20080916 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20081105 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20090602 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20090622 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20090721 |
|
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20090803 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120821 Year of fee payment: 3 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130821 Year of fee payment: 4 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |