JP2001012985A - 熱式空気流量センサ及び内燃機関制御装置 - Google Patents

熱式空気流量センサ及び内燃機関制御装置

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JP2001012985A
JP2001012985A JP11181065A JP18106599A JP2001012985A JP 2001012985 A JP2001012985 A JP 2001012985A JP 11181065 A JP11181065 A JP 11181065A JP 18106599 A JP18106599 A JP 18106599A JP 2001012985 A JP2001012985 A JP 2001012985A
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resistor
air flow
semiconductor thin
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JP11181065A
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English (en)
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Masamichi Yamada
雅通 山田
Shinya Igarashi
信弥 五十嵐
Izumi Watanabe
渡辺  泉
Keiichi Nakada
圭一 中田
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Hitachi Ltd
Hitachi Automotive Systems Engineering Co Ltd
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Hitachi Ltd
Hitachi Car Engineering Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】信頼性が高く、計測精度の向上した熱式空気流
量センサを提供する。 【解決手段】半導体基板2a上に電気絶縁膜8aを介し
て発熱抵抗体4及び複数の測温抵抗体5a,5b,6を
ドープ処理された単結晶ケイ素(Si)半導体薄膜2b
で構成し、パターン形成された前記抵抗体の長手方向と
単結晶ケイ素(Si)半導体薄膜2bのピエゾ抵抗係数
が極小となる結晶方位とをほぼ一致させ、製造工程等で
生ずる応力影響を少なく信頼性が高く高精度の熱式空気
流量センサ。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、熱式空気流量セン
サに係り、特に内燃機関の吸入空気量を測定するのに好
適な熱式空気流量センサ及び内燃機関制御装置に関す
る。
【0002】
【従来の技術】従来より自動車などの内燃機関の電子制
御燃料噴射装置に設けられ吸入空気量を測定する空気流
量センサとして、熱式のものが質量空気量を直接検知で
きることから主流となってきている。
【0003】この中で特に、半導体マイクロマシニング
技術により製造された空気流量センサが、コストが低減
でき且つ低電力で駆動することが出来ることから注目さ
れてきた。このような従来の半導体基板を用いた熱式空
気流量センサとしては、例えば、特開平8−54269号公報
に開示されている。
【0004】上記特開平8−54269号公報に記載の技術で
は、発熱抵抗体として材料コストの利点から多結晶ケイ
素(ポリシリコン)が使用されているが、吸入空気量の
測定に際して、空気温度の温度依存に関して考慮されて
おらず流量計測精度が十分でないこと、また、多結晶ケ
イ素が加熱されると時間と共に抵抗値に経時変化が生じ
流量計測精度が十分確保できないという問題があった。
【0005】多結晶ケイ素に比較して抵抗値の経時変化
が少ないのが単結晶ケイ素である。単結晶ケイ素を発熱
抵抗体に利用した従来例としては、特開平10−221144号
公報に記載の技術がある。しかし、この従来技術におい
ても空気温度の温度依存に関して考慮されておらず流量
計測精度が十分でないこと、また、発熱抵抗体が単結晶
ケイ素基板に形成された掘りの上に架橋され発熱抵抗体
の回りに空間が存在し、自動車等の過酷な使用環境の内
燃機関に使用するとき塵埃等が発熱抵抗体の開口した空
間領域に付着し吸入空気量の計測精度が劣化する等の信
頼性に問題がある。また、発熱抵抗体を構成する単結晶
ケイ素薄膜に関して、その結晶方位に関して検討されて
おらず、流量計測精度および信頼性に問題があった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】従来技術には次のよう
な課題がある。上記特開平8−54269号公報において、半
導体基板上に電気絶縁膜を介して発熱抵抗体として多結
晶ケイ素(ポリシリコン)が使用されているが、空気温度
を検出する為の空気温度測温抵抗体が形成されていない
為に空気温度が変化した場合に被測定空気の流量に対応
した出力が誤差を持つという問題がある。また、多結晶
ケイ素が加熱されると時間と共に抵抗値に経時変化が生
じ流量計測精度が十分確保できないという問題があっ
た。
【0007】一方、単結晶ケイ素を発熱抵抗体に利用し
た特開平10−221144号公報に記載の従来技術では、以下
の様な問題がある。
【0008】図17(a),(b)に、特開平10−221144
号公報の図2の(A),(C)に記載の空気流量センサの
平面図および断面図を示す。図17の2bが半導体基
板、2cが単結晶ケイ素薄膜からなる発熱抵抗体で、7
が半導体基板に形成された空洞(掘り)、8cが電気絶
縁膜、28が引出電極である。
【0009】この様に構成された従来の空気流量センサ
では、単結晶ケイ素を発熱抵抗体に利用したことにより
多結晶ケイ素に比較して単晶粒界が存在しないことによ
り抵抗値の経時変化が低減されるが、上記特開平8−542
69号公報に記載した従来例と同じく空気温度を検出する
為の空気温度測温抵抗体が形成されていない為に空気温
度が変化した場合に被測定空気の流量に対応した出力が
誤差を持つという問題がある。
【0010】更に、従来の空気流量センサでは、発熱抵
抗体2cが単結晶ケイ素基板2bに形成された空洞(掘
り)7の上に架橋され発熱抵抗体の回りに空間が存在し
ている。このように構成された熱式空気流量センサを、
自動車等の過酷な使用環境の内燃機関に使用すると、吸
入空気に含まれる塵埃等が発熱抵抗体2cの開口した空
間領域及び空洞7の表面に付着し、空気流の流れを乱す
とともに塵埃の付着による熱伝導効果により発熱抵抗体
2cから単結晶ケイ素基板2bへの熱の逃げが増大し吸
入空気量の計測精度が劣化する等の信頼性に問題があ
る。
【0011】更には、上記従来例では、単結晶ケイ素を
発熱抵抗体2cに適用しているが、発熱抵抗体2cの上
下層に形成された電気絶縁膜8cの残留応力の影響で発
熱抵抗体2cを構成する単結晶ケイ素に応力が加わった
場合に抵抗値が変化するピエゾ効果が存在するが、この
発熱抵抗体2cを構成する単結晶ケイ素の結晶方位に関
しては十分に考慮されておらず流量計測精度を十分確保
することができない。本発明の目的は、信頼性が高く、
計測精度の向上した熱式空気流量センサ及び内燃機関制
御装置を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記の目的は、半導体基
板上の全面に電気絶縁膜を介して発熱抵抗体及び複数の
測温抵抗体を形成して空気流量を計測する熱式空気流量
センサにおいて、前記発熱抵抗体及び測温抵抗体をドー
プ処理された単結晶半導体薄膜で構成し、且つパターン
形成された前記抵抗体の長手方向と単結晶半導体薄膜の
ピエゾ抵抗係数が極小となる結晶方位とをほぼ一致させ
ることにより達成され、電気絶縁膜の残留応力の影響を
少なくでき抵抗値の経時変化が改善され、また抵抗体の
回りが空気流に対して開口していないので塵埃等の付着
が低減され安定した流量計測精度が実現できる。
【0013】上記のドープ処理された単結晶半導体薄膜
をドープ処理された単結晶ケイ素(Si)半導体薄膜と
することにより、同じく電気絶縁膜の残留応力の影響を
少なくでき、単晶粒界が存在しないことから抵抗値の経
時変化が改善される。
【0014】上記のドープ処理された単結晶半導体薄膜
をドープ処理された単結晶炭化ケイ素(SiC)半導体
薄膜とすることにより、同じく電気絶縁膜の残留応力の
影響を少なくでき、結晶粒界が存在しないことから抵抗
値の経時変化が改善される。上記のドープ処理された単
結晶半導体薄膜をドープ処理された単結晶ガリウム砒素
(GaAs)半導体薄膜とすることにより、同じく電気
絶縁膜の残留応力の影響を少なくでき、結晶粒界が存在
しないことから抵抗値の経時変化が改善される。
【0015】前記発熱抵抗体と少なくとも一つの前記測
温抵抗体(空気温度計測用)の不純物濃度を他の測温抵
抗体の不純物濃度より大きくしたことにより、測温抵抗
体(他の温度計測用)では抵抗温度係数が大きく出来、
発熱抵抗体では抵抗値を低減でき各々最適の特性の選択
が可能となる。
【0016】前記発熱抵抗体と少なくとも一つの前記測
温抵抗体(空気温度計測用)のドープ処理された単結晶
半導体薄膜の不純物濃度を等しくしたことにより、発熱
抵抗体と空気温度の測温抵抗体の抵抗温度係数が同じに
なり、吸気温度補償の為のブリッジ回路を構成した場合
に高精度の流量計測精度が実現できる。
【0017】前記発熱抵抗体と少なくとも一つの前記測
温抵抗体(空気温度計測用)のドープ処理された単結晶
ケイ素(Si)半導体薄膜の不純物濃度が3×1019(c
m-3)以上とすることにより、より高精度の流量計測精度
が実現できる。
【0018】前記抵抗体の内少なくとも発熱抵抗体は、
空洞を有する半導体基板上の電気絶縁膜上に形成するこ
とにより、熱絶縁がより得られ、高精度の流量計測精度
が実現できる。
【0019】前記ドープ処理された単結晶ケイ素(Si)
半導体薄膜が、燐(P)等の不純物がドープされたn型半
導体からなり、且つ薄膜面が(001)面で更に<11
0>結晶方位がパターン形成された前記抵抗体の長手方
向とすることにより、電気絶縁膜の残留応力の影響を少
なくでき安定した流量計測精度が実現できる。
【0020】前記ドープ処理された単結晶ケイ素(Si)
半導体薄膜が、燐(P)等の不純物がドープされたn型半
導体からなり、且つ薄膜面が(211)面で更に<11
1>結晶方位がパターン形成された前記抵抗体の長手方
向とすることにより、電気絶縁膜の残留応力の影響を少
なくでき安定した流量計測精度が実現できる。
【0021】前記ドープ処理された単結晶ケイ素(Si)
半導体薄膜が、燐(P)等の不純物がドープされたn型半
導体からなり、且つ薄膜面が(011)面に更に<21
1>から<111>間の結晶方位がパターン形成された
前記抵抗体の長手方向とすることにより、電気絶縁膜の
残留応力の影響を少なくでき安定した流量計測精度が実
現できる。
【0022】前記ドープ処理された単結晶ケイ素(S
i)半導体薄膜が、ボロン(B)等の不純物がドープ処
理されたp型半導体からなり、且つ薄膜面が(001)
面で更に<100>或いは<010>結晶方位がパター
ン形成された前記抵抗体の長手方向とすることにより、
電気絶縁膜の残留応力の影響を少なくでき安定した流量
計測精度が実現できる。
【0023】前記ドープ処理された単結晶ケイ素(S
i)半導体薄膜が、ボロン(B)等の不純物がドープさ
れたp型半導体からなり、且つ薄膜面が(011)面で
更に<100>結晶方位がパターン形成された前記抵抗
体の長手方向とすることにより、電気絶縁膜の残留応力
の影響を少なくでき安定した流量計測精度が実現でき
る。
【0024】前記ドープ処理された単結晶ケイ素(S
i)半導体薄膜が、ボロン(B)等の不純物がドープさ
れたp型半導体からなり、且つ薄膜面が(211)面で
更に<120>或いは<102>の結晶方位がパターン
形成された前記抵抗体の長手方向とすることにより、電
気絶縁膜の残留応力の影響を少なくでき安定した流量計
測精度が実現できる。
【0025】前記熱式空気流量センサを用いて内燃機関
の吸入空気量を計測し、燃料噴射量を制御することによ
り、信頼性が高く安定した高精度の内燃機関制御装置が
実現できる。
【0026】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施例について、
図面を参照して説明する。
【0027】図1は、本発明の実施例の熱式空気流量セ
ンサ素子1を示す平面図、図2は、図1の測定素子1の
A−A′断面図である。
【0028】図1,図2において、素子1は、空洞7を
有する単結晶ケイ素(Si)等の半導体基板2a,電気
絶縁膜8a,空洞7上の電気絶縁膜からなるダイヤフラ
ム3に形成された発熱抵抗体4,上流側測温抵抗体5a
と下流側測温抵抗体5b,基板2aの上流部に形成され
た発熱抵抗体4とブリッジ回路(図示せず)を構成し空気
温度を計測する為の空気温度測温抵抗体6,素子1の信
号を駆動制御回路と接続するための端子電極10(10
a,10b,10c,10d,10e,10f,10
g,10h)、各抵抗体と端子電極10を接続するため
の配線接続部9(9a,9b,9c,9d,9e,9
f,9g,9h)、各抵抗体を保護するための電気絶縁
膜8bよりなる。
【0029】ここで、各抵抗体4,5a,5b,6は燐
(P)等の不純物ドープ処理されたn型−単結晶ケイ素
(Si)半導体薄膜層2bよりなり、発熱抵抗体4及び
空気温度測温抵抗体6は測温抵抗体5a,5bに対して
燐(P)等の不純物濃度が大きくなるように形成されて
いる。また、上記単結晶ケイ素(Si)半導体薄膜層2
bの結晶方位は、膜面が(001)面で抵抗体4,5
a,5b,6のパターンの長手方向が<110>となる
ように選定されている。
【0030】本発明の実施例である熱式空気流量センサ
は、以下の様な動作を行う。
【0031】空洞7および電気絶縁膜8aにより熱絶縁
され、電気絶縁膜8a上に形成された発熱抵抗体4に
は、発熱抵抗体4の温度が空気流11の温度を示す空気
温度測温抵抗体6の温度より一定温度高くなるように、
加熱電流が流されている。
【0032】空気流11の流量および流れ方向は、発熱
抵抗体4の上下流に形成された上流側測温度抵抗体5a
と下流側測温抵抗体5bの温度(抵抗値)を比較するこ
とにより検知される。つまり、上流側測温抵抗体5aと
下流側測温抵抗体5bは、空気流が零のときはほぼ同じ
温度を示し温度差が生じない。一方、図1の空気流11
の方向(順流)ではおもに上流側に配置された上流側測
温抵抗体5aの方が下流側に配置された下流側測温抵抗
体5bより空気流11による冷却効果が大きいことか
ら、上流側測温抵抗体5aと下流側測温抵抗体5bの温
度差から流量が計測される。一方、空気流11が図1の
方向と反対(逆流)のときには、今度は下流側測温抵抗
体5bの温度の方が上流側測温抵抗体5aの温度より低
くなり、上流側測温抵抗体5aと下流側測温抵抗体5b
の温度差の符号が逆転することから、温度差から空気流
量がまた温度差の符号から空気流11の方向が検知でき
る。
【0033】図3は、図1の素子1の実装した熱式空気
流量センサの実施例を示す断面図である。例えば、自動
車等の内燃機関の吸気通路に実装した熱式空気流量セン
サの実施例を示す断面図である。熱式空気流量センサ
は、図のように、素子1と支持体32と外部回路33と
を含み構成される。そして吸気通路30の内部にある副
通路31に素子1が配置される。外部回路33は支持体
32を介して測定素子1の端子電極10に電気的に接続
されている。ここで、通常では吸入空気は11で示され
た方向に流れており、ある内燃機関の条件によって11
とは逆の方向(逆流)に吸入空気が流れる。
【0034】図4は、図3の素子1および支持体32の
拡大図である。図4に見るように、素子1は支持体32
上に固定され、更に、アルミナ等の電気絶縁基板上に端
子電極34および信号処理回路が形成された外部回路3
3が、同じく支持体32上に固定される。この素子1と
外部回路33は、端子電極10および34間を金線35
等でワイヤボンディングにより電気的に接続された後、
前記の金線35,電極端子10,34や外部回路33を
保護するために上側から支持体(図示せず)により保護
される。また、計測された吸入空気量の出力が内燃機関
制御装置に出力され、空気流量に見合った適切な燃料を
算出し内燃機関の燃料噴霧量を制御する。
【0035】次に、図8を参照し、本発明の実施例の回
路動作について説明する。図8は、図1の素子1の抵抗
体4,5a,5b,6と駆動制御回路を示したものであ
る。図中、18は電源、19は発熱抵抗体4に加熱電流
を流すためのトランジスタ、22a,22b,22c,
22dは抵抗、20はA/D変換器等を含む入力回路と
D/A変換器等を含む出力回路と演算処理等を行うCP
Uからなる制御回路、21はメモリ回路である。
【0036】ここで、発熱抵抗体4,空気温度測温抵抗
体6,抵抗22a,22bよりなるブリッジ回路の端子
J,Kの電圧が制御回路20に入力され、加熱抵抗体4
の温度(Th)が空気温度に対応する空気温度測温抵抗
体6の温度(Ta)よりある一定値(例えばΔTh=T
h−Ta=150℃)高くなるよう各抵抗値22a,2
2bが設定され制御回路22により制御される。発熱抵
抗体4の温度が設定値より低い場合には、制御回路20
の出力によりトランジスタ19がオンし発熱抵抗体4に
加熱電流が流れ、設定温度より高くなるとトランジスタ
19がオフするように制御し設定値が一定になるよう制
御される。
【0037】上流側測温抵抗体5aと下流側測温抵抗体
5bの温度差は、上流側測温抵抗体5a,下流側温測抵
抗体5b,抵抗22c,22dのブリッジ回路の端子
L,Mの電位差より検出する。空気流量がゼロの時に
は、ブリッジ回路の端子L,Mの電位が一致するように
各抵抗22c,22dの抵抗値を調整しておき、また、
空気流量とブリッジ回路の端子L,Mの電位差との関係
を予めメモリ21に記憶しておけば、端子L,Mの電位
差および大小関係から空気流量および流れの方向を計測
し出力することが出来る。
【0038】ブリッジ回路を構成する前記発熱抵抗体4
及び空気温度測温抵抗体6は、燐(P)ドープ処理され
た単結晶ケイ素(Si)半導体薄膜で構成し、且つ同じ
不純物濃度としたことにより抵抗温度係数(α)が等し
くなる。従って、加熱抵抗体4の温度(Th)を設定す
る際(例えばΔTh=150℃)の各抵抗値22a,2
2bの設定が単純な比の関係になることから簡便にな
る。
【0039】上記のように空気温度測温抵抗体6と発熱
抵抗体4とブリッジ回路を構成したことにより、従来例
の熱式空気流量センサでは発熱抵抗体のみで構成されて
いたのに対して空気温度の変化を考慮した空気流の流量
検出及び方向検知が可能となる。
【0040】次に、図5,図6及び図7を用いて、燐
(P)ドープ処理された単結晶ケイ素(Si)半導体薄
膜について説明する。
【0041】本実施例では、発熱抵抗体4,上流側測温
抵抗体5a,下流側測温抵抗体5b、および空気温度測
温抵抗体6を燐(P)ドープ処理された単結晶ケイ素
(Si)半導体薄膜2bで構成している。この様にドープ
処理された単結晶ケイ素(Si)半導体薄膜を用いたこと
により、白金等の貴金属に比較して材料コストが低減で
きる。また、多結晶ケイ素(Si)半導体薄膜に較べ結
晶粒界が存在しないことから、多結晶ケイ素(Si)半
導体薄膜に見られる結晶粒界でのドープ処理された燐
(P)等の不純物の凝集と拡散等による抵抗値の経時変
化がなくなり信頼性の高い抵抗体が実現出来る。更に、
結晶方位および不純物濃度を制御することにより各抵抗
体に最適のピエゾ抵抗係数(π)、抵抗率(ρ)および
抵抗温度係数(α)が選択できるという利点がある。
【0042】図5に燐(P)ドープ処理されたn型−単
結晶ケイ素(Si)半導体薄膜の(001)面のピエゾ
抵抗係数(π)の結晶方位依存を示した。ピエゾ抵抗係
数(π)と抵抗変化(ΔR/R)の関係は(1)式の様
に記述できる。
【0043】 (ΔR/R)=(π1)×Δσ1+(πt)×Δσt …(1) ここで、(π1)は抵抗体(R)に流れる電流と平行方
向に加わる応力変化(Δσ1)に対するピエゾ抵抗係数
で、(πt)は抵抗体(R)に流れる電流と垂直方向に
加わる応力変化(Δσt)に対するピエゾ抵抗係数であ
る。各ピエゾ抵抗係数(π1),(πt)は結晶方位によ
り異なり、特に<110>の結晶方位ではピエゾ抵抗係
数(π1),(πt)ともに極小値(B点,C点)を示し
ている。
【0044】熱式空気流量センサとしては、抵抗体の抵
抗変化(ΔR/R)は前記したように温度変化以外に対し
ては不感であることが望ましい。このピエゾ抵抗係数
(π1),(πt)ともに極小値を示す<110>の結晶
方位の方向を図1に示した抵抗体4,5a,5bおよび
6の長さ方向と一致させることにより、抵抗体の上下に
薄膜構造体8a,8bを形成する工程およびエッチング
等の製造工程にて発生する応力変化(Δσ1),(Δσ
t)に対する抵抗変化(ΔR/R)を低減することが出
来る。ピエゾ抵抗係数(π1),(πt)ともに極小値を
示す結晶方位を抵抗体の長さ方向に選択することによ
り、より信頼性の高い流量計測が可能となる。次に、抵
抗率(ρ)および抵抗温度係数(α)に関して説明す
る。
【0045】本実施例の発熱抵抗体4及び空気温度測温
抵抗体6としては、前記したようにブリッジ回路を構成
することから抵抗温度係数を一致させる必要があり、且
つ発熱抵抗体としては駆動電圧を低減するために高抵抗
はあまり好ましくない。一方、上流側測温抵抗体5a,
下流側測温抵抗体5bとしては、感度を上げるために抵
抗温度係数(α)が大きいことが望まれる。この為、本
実施例では、発熱抵抗体4及び空気温度測温抵抗体6の
不純物濃度を上流側測温抵抗体5a,下流側測温抵抗体
5bの不純物濃度より大きく最適化を図っている。
【0046】図6は、単結晶ケイ素(Si)半導体薄膜
の抵抗率(ρ)と不純物濃度の関係を示したものであ
る。また、図7は、単結晶ケイ素(Si)半導体薄膜の
抵抗温度係数(α)と抵抗率(ρ)の関係を示したもの
である。図6,図7を見て分かるように、不純物濃度が
高くなるに従い単結晶ケイ素(Si)半導体薄膜の抵抗
率(ρ)および抵抗温度係数(α)ともに小さくなる。
【0047】単結晶ケイ素(Si)半導体膜は一般的に
サーミスタ的な抵抗−温度特性を示すが、温度範囲が比
較的狭く且つ不純物ドープ処理された場合には金属的な
抵抗−温度特性(2)式を示す。
【0048】 R=R0(1+α(T−T0)) …(2) ここで、Rは温度(T)における半導体膜の抵抗値、R
0は温度(T0)における半導体膜の抵抗値、αは抵抗温
度係数である。抵抗温度係数(α)が大きいほうが温度
に対しての抵抗値の変化が大きくとれることから、測温
抵抗体5a,5bとしては抵抗温度係数(α)が大きい
ほうが検出感度が上がり空気流量の測定精度が向上する
ことから望まれる。測温抵抗体5a,5bとしては、図
7で示される領域17の抵抗温度係数(α)が1000
(×10-6/℃)以上で、図6で見れば不純物濃度が3
×1019(cm-3)以下の14の領域が選択される。
【0049】一方、発熱抵抗体4としては、前記の測温
抵抗体5a,5bと同じ不純物濃度領域14では抵抗率
(ρ)が大きくなり過ぎる。所望の温度(例えば200
℃)に発熱抵抗体4を加熱しようとすると、発熱抵抗体
4の抵抗値が大きくなり高い駆動電圧が必要となり十分
に加熱出来ないという問題が生ずる。発熱抵抗体4の抵
抗値を下げるためには、単結晶ケイ素(Si)半導体膜
の膜厚を厚くする対応が考えられるが、膜厚を厚くする
と所望のパターンに精度良くエッチングすることが難し
くなり材料コストの面からも好ましくない。エッチング
が精度良く実現出来る単結晶ケイ素(Si)半導体膜の
膜厚は約1ミクロンが限界であり、この厚さで10ボル
ト以下の駆動電圧で駆動出来る発熱抵抗体4の抵抗値は
1kΩ以下であり、図4の領域13で示した不純物濃度
が3×1019(cm-3)以上で抵抗率(ρ)が30(×1
-4Ω−cm)以下の領域が選択される。
【0050】この様に、発熱抵抗体4の不純物濃度を3
×1019(cm-3)以上とし、且つ、前記測温抵抗体5
a,5bの不純物濃度より大きく構成したことにより、
発熱抵抗体4の抵抗率(ρ)を比較的小さく出来ること
から発熱抵抗体の抵抗値の設計自由度が向上するととも
に、測温抵抗体5a,5bの抵抗温度係数(α)を比較
的大きく保つことが出来、測温感度の向上が図られる。
【0051】また、空気温度測温抵抗体6は前記したよ
うに発熱抵抗体4とブリッジ回路を構成することから、
抵抗温度係数(α)を一致させる必要から発熱抵抗体4
と同じ不純物濃度(領域13)が選択される。
【0052】本実施例の発熱抵抗体4の抵抗値として
は、電源電圧および発熱量の関係から50〜1000
Ω、測温抵抗体5a,5bおよび空気温度測温抵抗体6
の抵抗値としては1〜5kΩを選択した。
【0053】次に、本実施例の熱式空気流量センサ素子
1の製造工程の具体例について、図9,図10および図
11を参照して説明する。
【0054】本実施例では、単結晶ケイ素(Si)等の
半導体基板2a,電気絶縁膜8aおよび燐(P)ドープ
処理された単結晶ケイ素(Si)半導体薄膜2bとして
はSOI(Silicon on Insulator)基板を用いた。この
SOI基板の作製方法としては幾つかの方法がある。図
9に、結合SOI基板を、図10にSIMOX(Separa
tion by Implanted Oxygen)基板の作製方法を示す。
【0055】図9の結合SOI基板では、燐(P)ドー
プ処理された単結晶ケイ素(Si)半導体薄膜2bとし
て、予め所定の結晶方位で3×1019(cm-3)以下の濃
度で燐(P)ドープ処理された単結晶ケイ素(Si)基
板23を用いる。また、半導体基板2aとしては、任意
の結晶方位と不純物濃度で構わないが、図9(a)では
ボロン(B)をドープ処理したp型の(011)面の単
結晶ケイ素(Si)基板24を用いた。
【0056】まず、(b)の工程にて、単結晶ケイ素
(Si)基板23を熱酸化して所定の厚さ約0.4μm
の二酸化ケイ素(SiO2)の薄膜層25を形成する。
この二酸化ケイ素(SiO2 )の薄膜層25は、最終的
には電気絶縁膜8aとなる。次に、工程(c)にて、基
板23と基板24を所定の結晶方位関係を維持して貼り
合わせ1100℃で2時間酸化雰囲気にて結合アニール
を行い結合強度を確実にする。更に、工程(d)にて、
基板23側から研削および研磨をすることにより薄肉加
工し所定の厚さ約1μmの燐(P)ドープ処理された単
結晶ケイ素(Si)半導体薄膜2b、約0.4μmの二
酸化ケイ素(SiO2)の電気絶縁膜8aおよび半導体
基板2aからなる結合SOI基板が得られる。
【0057】一方、図10のSIMOX基板では、燐
(P)ドープ処理された単結晶ケイ素(Si)半導体薄
膜2bとして、予め所定の結晶方位で3×1019(c
m-3)以下の濃度で燐(P)ドープ処理された単結晶ケ
イ素(Si)基板23を用いる。工程(a)では、29
で示す様に約200keVに加速された酸素イオンを高
濃度に基板23面上からイオン注入する。酸素イオンの
加速電圧と濃度により、埋込まれた二酸化ケイ素(Si
2 )の電気絶縁膜8aの深さおよび厚さを制御するこ
とが出来る。工程(b)では、結晶性を回復させるため
に1300℃以上の温度でアニールすることにより、所
定の厚さ約1μmの燐(P)ドープ処理された単結晶ケ
イ素(Si)半導体薄膜2b、約0.4μmの二酸化ケ
イ素(SiO2)の電気絶縁膜8aおよび半導体基板2
aからなるSIMOX基板が得られる。但し、このSI
MOX基板では上記の作製方法から分かるように、半導
体薄膜2bと半導体基板2aは同じ結晶方位と不純物濃
度の単結晶ケイ素(Si)半導体となる。この作製方法
では、一枚の単結晶ケイ素(Si)基板23から前記ド
ープ処理された単結晶ケイ素(Si)半導体薄膜2bと
前記半導体基板2aが得られることから、製造工程等で
生ずる応力影響が少なくできるとともに製造コストの低
減が実現できる。
【0058】次に、図11にて、作製されたSOI基板
以降の製造工程について説明する。図11(a)が、上
記のSOI基板であり、所定の厚さ約1μmで3×10
19(cm-3)以下の濃度で燐(P)ドープ処理された単結
晶ケイ素(Si)半導体薄膜2b、約0.4μmの二酸
化ケイ素(SiO2)の電気絶縁膜8aおよび半導体基
板2aからなる。
【0059】工程(b)では、不純物拡散のマスク材と
して二酸化ケイ素(SiO2 )層26a,26bを約
0.3μm 程度の厚さにCVD等の方法で形成する。工
程(c)では、発熱抵抗体4,空気温度測温抵抗体6お
よび配線部の不純物濃度を3×1019(cm-3)以上とす
るために、測温抵抗体5a,5bが形成される領域以外
のマスク材26aをエッチングにて除去する。マスク材
26aが除去された領域27a,27bの単結晶ケイ素
(Si)半導体薄膜2bに対して熱拡散あるいはイオン
打ち込み等の方法により更にP(燐)等の不純物ドープ
処理がなされ不純物濃度を3×1019(cm-3)以上の高
濃度にドープ処理する。
【0060】工程(d)では、公知のホトリソグラフィ
技術によりレジストを所定の形状に形成した後反応性イ
オンエッチング等の方法により、単結晶ケイ素(Si)
半導体薄膜2bをパターニングし、不純物濃度を3×1
19(cm-3)以上の高濃度にドープ処理した発熱抵抗体
4,空気温度測温抵抗体6と不純物濃度が3×10
19(cm-3)以下の測温抵抗体5a,5bが形成される。
その後、図示していないが端子電極10及び各抵抗体と
端子電極11を接続するための配線接続部9が、アルミ
ニウム,金等で形成される。
【0061】工程(e)では、保護膜8bとして、二酸
化ケイ素(SiO2)を約0.5ミクロン厚にCVD法等
により形成する。ここで、保護膜8bとしては、前記の
二酸化ケイ素以外の構成材でも可能である。例えば、機
械強度が高く熱膨張係数が単結晶ケイ素(Si)半導体
基板2aより若干大きい窒化ケイ素(Si34)を用い
ても、或いは熱膨張係数が単結晶ケイ素(Si)半導体
基板2aの1/10である二酸化ケイ素と熱膨張係数が
単結晶ケイ素(Si)半導体基板2aより若干大きい窒
化ケイ素の多層構成とし熱膨張係数のマッチングを図っ
た構成とすることにより、温度変化による単結晶ケイ素
(Si)半導体基板2aと保護膜8b間の熱応力が低減
でき強度向上が図られる。
【0062】工程(f)では、単結晶ケイ素(Si)半
導体基板2aに空洞7を形成する為に、基板裏面のエッ
チングのマスク材26bを所定の形状にパターニングし
単結晶ケイ素(Si)半導体基板2aのエッチング部を
露出させる。マスク材としては二酸化ケイ素あるいはよ
りエッチング選択比の高い窒化ケイ素等が用いられる。
【0063】最終工程(g)では、最後に、単結晶ケイ
素(Si)半導体基板2aの裏面を水酸化カリウム(K
OH)等のエッチング液を用いて異方性エッチングする
ことにより空洞7を形成して、本実施例の熱式空気流量
センサ素子1が完成する。
【0064】上記の様に、半導体基板2a上に電気絶縁
膜8aを介して発熱抵抗体4及び複数の測温抵抗体5
a,5b,6をドープ処理された単結晶ケイ素(Si)
半導体薄膜2bで構成したことにより、空洞7が電気絶
縁膜8aにより覆われ開口部が存在しない。従って、従
来例にて問題のあった抵抗体の回りの開口した領域に塵
埃等が付着して計測誤差が発生する問題を解決できる。
【0065】また、発熱抵抗体4及び複数の測定抵抗体
5a,5b,6をドープ処理された単結晶ケイ素(S
i)半導体薄膜2bで構成したことにより、結晶粒界が
存在しないことから抵抗値の経時変化が改善され、更
に、パターン形成された前記抵抗体の長手方向と単結晶
ケイ素(Si)半導体薄膜ピエゾ抵抗係数が極小となる結
晶方位とをほぼ一致させたことにより、製造工程等で生
ずる電気絶縁膜8a,8bの残留応力の影響を少なくで
き安定した流量計測精度が実現できる。
【0066】更に、発熱抵抗体4と空気温度測温抵抗体
6の不純物濃度を他の測温抵抗体5a,5bの不純物濃
度より大きくしたことにより、測温抵抗体5a,5bで
は抵抗温度係数が大きく出来、発熱抵抗体4の抵抗値を
低減でき各々最適の特性の選択が可能となる。且つ、発
熱抵抗体4と空気温度測温抵抗体6の不純物濃度を等し
くしたことにより、両者の抵抗温度係数が同じになり、
吸気温度補償の為のブリッジ回路を構成した場合に高精
度の流量計測精度が実現できる。
【0067】図5に示した前記単結晶ケイ素(Si)半
導体薄膜2bとしては、燐(P)ドープ処理されたn型
−単結晶ケイ素(Si)半導体薄膜の(001)面を用
いていたが、これに限定されるものでない。
【0068】次に、本発明の前記単結晶ケイ素(Si)
半導体薄膜2bとしての他の実施例に関して、図12,
図13,図14,図15および図16を用いて説明す
る。
【0069】図12は、前記ドープ処理された単結晶ケ
イ素(Si)半導体薄膜2bが、燐(P)等の不純物が
ドープされたn型半導体の薄膜面が(211)面におけ
るピエゾ抵抗係数(π1),(πt)の結晶方位依存を示
したものである。図から分かるように、<111>結晶
方位がパターン形成された前記抵抗体の長手方向とする
ことにより、ピエゾ抵抗係数(π1),(πt)がD点に
てほぼゼロとなり製造工程等で生ずる応力影響を少なく
でき安定した流量計測精度が実現できる。
【0070】図13は、前記ドープ処理された単結晶ケ
イ素(Si)半導体薄膜2bが、燐(P)等の不純物が
ドープされたn型半導体の薄膜面が(011)面におけ
るピエゾ抵抗係数(π1),(πt)の結晶方位依存を示
したものである。図から分かるように、<211>から
<111>間の結晶方位がパターン形成された前記抵抗
体の長手方向とすることにより、ピエゾ抵抗係数(π
1),(πt)がE点にてほぼゼロとなり製造工程等で生
ずる応力影響を少なくでき安定した流量計測精度が実現
できる。
【0071】図14は、前記ドープ処理された単結晶ケ
イ素(Si)半導体薄膜2bが、ボロン(B)等の不純
物がドープされたp型半導体の薄膜面が(001)面に
おけるピエゾ抵抗係数(π1),(πt)の結晶方位依存
を示したものである。図から分かるように、<100>
或いは<010>結晶方位がパターン形成された前記抵
抗体の長手方向とすることにより、ピエゾ抵抗係数(π
1),(πt)がF点にてほぼゼロとなり製造工程等で生
ずる応力影響を少なくでき安定した流量計測精度が実現
できる。
【0072】図15は、前記ドープ処理された単結晶ケ
イ素(Si)半導体薄膜2bが、ボロン(B)等の不純
物がドープされたp型半導体の薄膜面が(011)面に
おけるピエゾ抵抗係数(π1),(πt)の結晶方位依存
を示したものである。図から分かるように、<100>
結晶方位がパターン形成された前記抵抗体の長手方向と
することにより、ピエゾ抵抗係数(π1),(πt)がG
点にてほぼゼロとなり製造工程等で生ずる応力影響を少
なくでき安定した流量計測精度が実現できる。図16
は、前記ドープ処理された単結晶ケイ素(Si)半導体
薄膜2bが、ボロン(B)等の不純物ドープされたp型
半導体の薄膜面が(211)面におけるピエゾ抵抗係数
(π1),(πt)の結晶方位依存を示したものである。
図から分かるように、<120>或いは<102>結晶
方位がパターン形成された前記抵抗体の長手方向とする
ことにより、ピエゾ抵抗係数(π1),(πt)がH,I
点にて極小となり製造工程等で生ずる応力影響を少なく
でき安定した流量計測精度が実現できる。
【0073】上記実施例の半導体基板2aおよび単結晶
半導体膜2bとしては、ケイ素(Si)についてのみ記載し
たが、同じ半導体である炭化ケイ素(SiC)或いはガ
リウム砒素(GaAs)を用いた場合においても上記の
実施例と同様の効果が得られることは明らかである。
【0074】また、上記実施例の不純物はP(燐)とし
たが、同じくn形の不純物としてはN(窒素),Sb
(アンチモン),As(ヒ素)が、一方p形の不純物と
してはAl(アルミニウム),B(ボロン)等を用いて
も良い。
【0075】本実施例では、発熱抵抗体4の上下流に配
した測温抵抗体5a,5bの温度差から流量および流れ
の方向を計測する温度差検知方式を採用しているが、発
熱抵抗体4の加熱電流から流量を計測する直熱方式にお
いても、また他の用途の複数の測温抵抗体を配した構成
においても、本発明に適用出来ることは自明である。本
実施例によれば、半導体基板2a上に電気絶縁膜8aを
介して発熱抵抗体4及び複数の測温抵抗体5a,5b,
6をドープ処理された単結晶ケイ素(Si)半導体薄膜
2bで構成したことにより、発熱抵抗体4と半導体基板
2a間の熱絶縁および電気絶縁が確実に確保され、且
つ、結晶粒界が存在しないことから抵抗値の経時変化が
改善される。また、パターン形成された前記抵抗体の長
手方向と単結晶ケイ素(Si)半導体薄膜2bのピエゾ
抵抗係数が極小となる結晶方位とをほぼ一致させたこと
により、製造工程等で生ずる応力影響を少なくでき安定
した流量計測精度が実現できる。更には、発熱抵抗体4
と空気温度測温抵抗体6の不純物濃度の他の測温抵抗体
の不純物濃度より大きく3×1019(cm-3)以下とし且
つ同じにしたことにより、測温抵抗体5a,5bでは抵
抗温度係数が大きく出来、発熱抵抗体4では抵抗値を低
減でき各々最適の特性の選択が可能となり、より高精度
の熱式空気流量センサが提供できる。
【0076】
【発明の効果】本発明によれば、信頼性が高く、計測精
度の良い熱式空気流量計が実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例の熱式空気流量センサ素子1の
平面を示す図である。
【図2】図1の素子のA−A′断面を示す図である。
【図3】熱式空気流量センサ素子1の実装構造を示す図
である。
【図4】図3の拡大図である。
【図5】n型単結晶ケイ素(001)面のピエゾ抵抗係
数の結晶方位依存を示す図である。
【図6】多結晶ケイ素半導体薄膜の抵抗率(ρ)と不純
物濃度の関係を示す図である。
【図7】多結晶ケイ素(Si)半導体薄膜の抵抗温度係
数(α)と抵抗率(ρ)の関係を示す図である。
【図8】抵抗体4,5a,5b,6の電気回路を示す図
である。
【図9】SOI基板の製造工程を説明する図である。
【図10】SIMOX基板の製造工程を説明する図であ
る。
【図11】素子1の製造工程を説明する図である。
【図12】n型単結晶ケイ素(211)面のピエゾ抵抗
係数の結晶方位依存を示す図である。
【図13】n型単結晶ケイ素(011)面のピエゾ抵抗
係数の結晶方位依存を示す図である。
【図14】p型単結晶ケイ素(001)面のピエゾ抵抗
係数の結晶方位依存を示す図である。
【図15】p型単結晶ケイ素(011)面のピエゾ抵抗
係数の結晶方位依存を示す図である。
【図16】p型単結晶ケイ素(211)面のピエゾ抵抗
係数の結晶方位依存を示す図である。
【図17】従来例の熱式空気流量センサ素子1の平面お
よび断面を示す図である。
【符号の説明】
1…素子、2a,23,24…半導体基板、2b,27
a,27b…ドープ処理された単結晶ケイ素(Si)半
導体薄膜、3…ダイヤフラム、4…発熱抵抗体、5a…
上流側測温抵抗体、5b…下流側測温抵抗体、6…空気
温度測温抵抗体、7…空洞、8a,25…電気絶縁層、
8b…保護膜、9a,9b,9c,9d,9e,9f,
9g,9h…配線接続部、10,10a,10b,10
c,10d,10e,10f,10g,10h,34…端
子電極、11…空気流、18…電源、19…トランジス
タ、22a,22b,22c,22d…抵抗、20…制
御回路、21…メモリ、29…酸素イオン、26a,2
6b…マスク材、30…主通路、31…副通路、32…
支持体、33…外部回路、35…金線。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 五十嵐 信弥 茨城県ひたちなか市高場2477番地 株式会 社日立カーエンジニアリング内 (72)発明者 渡辺 泉 茨城県ひたちなか市高場2477番地 株式会 社日立カーエンジニアリング内 (72)発明者 中田 圭一 茨城県ひたちなか市大字高場2520番地 株 式会社日立製作所自動車機器事業部内 Fターム(参考) 2F035 AA02 EA03 EA04 EA08 3G084 DA04 FA08

Claims (16)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】半導体基板上に電気絶縁膜を介して発熱抵
    抗体及び測温抵抗体を形成して空気流量を計測する熱式
    空気流量センサにおいて、前記発熱抵抗体及び測温抵抗
    体をドープ処理された単結晶半導体薄膜で構成し、前記
    抵抗体の長手方向と前記抵抗体を構成する単結晶半導体
    薄膜のピエゾ抵抗係数が極小となる結晶方位とをほぼ一
    致させたことを特徴とする熱式空気流量センサ。
  2. 【請求項2】半導体基板上に電気絶縁膜を介して発熱抵
    抗体及び測温抵抗体を形成して空気流量を計測する熱式
    空気流量センサにおいて、前記発熱抵抗体及び測温抵抗
    体をドープ処理された単結晶半導体薄膜で構成し、前記
    半導体薄膜のピエゾ抵抗係数が極大となる2つの結晶方
    位の間に前記抵抗体の長手方向を形成したことを特徴と
    する熱式空気流量センサ。
  3. 【請求項3】請求項1または2において、前記単結晶半
    導体薄膜が単結晶ケイ素(Si)半導体薄膜であること
    を特徴とする熱式空気流量センサ。
  4. 【請求項4】請求項1または2において、前記単結晶半
    導体薄膜が単結晶炭化ケイ素(SiC)半導体薄膜であるこ
    とを特徴とする熱式空気流量センサ。
  5. 【請求項5】請求項1または2において、前記単結晶半
    導体薄膜が単結晶ガリウム砒素(GaAs)半導体薄膜
    であることを特徴とする熱式空気流量センサ。
  6. 【請求項6】請求項1ないし請求項5の何れかにおい
    て、前記発熱抵抗体と少なくとも一つの前記測温抵抗体
    の不純物濃度を他の測温抵抗体の不純物濃度より大きく
    したことを特徴とする熱式空気流量センサ。
  7. 【請求項7】請求項1ないし請求項6の何れかにおい
    て、前記発熱抵抗体と少なくとも一つの前記測温抵抗体
    のドープ処理された単結晶半導体薄膜の不純物濃度が等
    しいことを特徴とする熱式空気流量センサ。
  8. 【請求項8】請求項1,2,3,6又は7において、前
    記抵抗体をドープ処理された単結晶ケイ素(Si)半導
    体薄膜とし、且つ前記発熱抵抗体と少なくとも一つの前
    記測温抵抗体のドープ処理された単結晶ケイ素(Si)
    半導体薄膜の不純物濃度が3×1019(/cm3 )以上で
    あることを特徴とする熱式空気流量センサ。
  9. 【請求項9】請求項1ないし請求項8の何れかにおい
    て、前記抵抗体の内少なくとも発熱抵抗体は、空洞を有
    する半導体基板上の電気絶縁膜上に形成されたことを特
    徴とする熱式空気流量センサ。
  10. 【請求項10】請求項1,2,3,6,7,8又は9に
    おいて、前記抵抗体をドープ処理された単結晶ケイ素
    (Si)半導体薄膜とし、且つ前記ドープ処理された単
    結晶ケイ素(Si)半導体薄膜が、燐(P)等の不純物
    がドープされたn型半導体からなり、且つ薄膜面が(0
    01)面で更に<110>結晶方位がパターン形成され
    た前記抵抗体の長手方向であることを特徴とする熱式空
    気流量センサ。
  11. 【請求項11】請求項1,2,3,6,7,8又は9に
    おいて、前記抵抗体をドープ処理された単結晶ケイ素
    (Si)半導体薄膜とし、且つ前記ドープ処理された単
    結晶ケイ素(Si)半導体薄膜が、燐(P)等の不純物
    がドープされたn型半導体からなり、且つ薄膜面が(2
    11)面で更に<111>結晶方位が前記抵抗体の長手
    方向であることを特徴とする熱式空気流量センサ。
  12. 【請求項12】請求項1,2,3,6,7,8又は9に
    おいて、前記抵抗体をドープ処理された単結晶ケイ素
    (Si)半導体薄膜とし、且つ前記ドープ処理された単
    結晶ケイ素(Si)半導体薄膜が、燐(P)等の不純物
    がドープされたn型半導体からなり、且つ薄膜面が(0
    11)面で更に<211>から<111>間の結晶方位
    パターン形成された前記抵抗体の長手方向であることを
    特徴とする熱式空気流量センサ。
  13. 【請求項13】請求項1,2,3,6,7,8又は9に
    おいて、前記抵抗体をドープ処理された単結晶ケイ素
    (Si)半導体薄膜とし、且つ前記ドープ処理された単
    結晶ケイ素(Si)半導体薄膜が、ボロン(B)の不純
    物がドープされたp型半導体からなり、且つ薄膜面が
    (001)面で更に<100>或いは<010>結晶方
    位がパターン形成された前記抵抗体の長手方向であるこ
    とを特徴とする熱式空気流量センサ。
  14. 【請求項14】請求項1,2,3,6,7,8又は9に
    おいて、前記抵抗体をドープ処理された単結晶ケイ素
    (Si)半導体薄膜とし、且つ前記ドープ処理された単
    結晶ケイ素(Si)半導体薄膜が、ボロン(B)等の不
    純物がドープされたp型半導体からなり、且つ薄膜面が
    (011)面で更に<100>結晶方位がパターン形成
    された前記抵抗体の長手方向であることを特徴とする熱
    式空気流量センサ。
  15. 【請求項15】請求項1,2,3,6,7,8又は9に
    おいて、前記抵抗体をドープ処理された単結晶ケイ素
    (Si)半導体薄膜とし、且つ前記ドープ処理された単
    結晶ケイ素(Si)半導体薄膜が、ボロン(B)等の不
    純物がドープされたp型半導体からなり、且つ薄膜面が
    (211)面が更に<120>或いは<102>結晶方
    位がパターン形成された前記抵抗体の長手方向であるこ
    とを特徴とする熱式空気流量センサ。
  16. 【請求項16】請求項1から請求項15のいずれか記載
    の前記熱式空気流量センサを用いて内燃機関の吸入空気
    量を計測し、燃料噴射量を制御する内燃機関制御装置。
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