JP2003075222A - ガス流量計及びその製造方法 - Google Patents

ガス流量計及びその製造方法

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JP2003075222A
JP2003075222A JP2001267790A JP2001267790A JP2003075222A JP 2003075222 A JP2003075222 A JP 2003075222A JP 2001267790 A JP2001267790 A JP 2001267790A JP 2001267790 A JP2001267790 A JP 2001267790A JP 2003075222 A JP2003075222 A JP 2003075222A
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Masamichi Yamada
雅通 山田
Izumi Watanabe
渡辺  泉
Junichi Horie
潤一 堀江
Keiichi Nakada
圭一 中田
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Hitachi Automotive Systems Engineering Co Ltd
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Hitachi Ltd
Hitachi Car Engineering Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】被測定ガスが空気以外のガスであっても、長期
に渡り信頼性が高いガス流量計を実現する。 【解決手段】発熱抵抗体4、測温抵抗体5a〜5dを多
結晶ケイ素半導体薄膜で形成する。被測定ガスが、空
気、窒素ガス、酸素ガス、炭酸ガス、水蒸気の場合は被
測定ガス又は窒素、アルゴン、ヘリウム、フッ素等で抵
抗体4、5a〜5dに熱処理アニールを施す。被測定ガ
スが、水素ガス、都市ガス、メタンガス、プロパンガ
ス、ブタンガスの場合には被測定ガス又は水素ガスで抵
抗体4、5a〜5d熱処理アニールを施す。これによ
り、上記半導体薄膜の粒界又は欠陥領域で被測定ガスの
少なくとも一成分元素とダングリングボンドを形成でき
被測定ガスに対して長期のガス流量計測をした場合にも
上記半導体薄膜の粒界又は欠陥領域で被測定ガスとの安
定したダングリングボンドが形成され抵抗値が安定され
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、発熱抵抗体を多結
晶ケイ素(Si)半導体薄膜とする熱式のガス流量計及
びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から、自動車などの内燃機関の電子
制御燃料噴射装置に設けられ、吸入空気量や、半導体製
造に用いる各種ガス、又は燃料電池に用いる水素/酸素
の流量を測定する流量計としては、熱式のものがガス量
を直接検知できることから主流となってきている。
【0003】この中で特に、半導体マイクロマシニング
技術により製造されたガス流量計は、コストを低減する
ことができ、且つ低電力で駆動することが出来ることか
ら注目されている。
【0004】このような従来の半導体マイクルマシニン
グ技術を用いたガス流量計としては、例えば、特許公報
第2880651号に開示されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記特
許公報第2880651号に記載された技術では、発熱
抵抗体として耐熱性及び材料コストの利点から多結晶ケ
イ素(ポリシリコン)が使用されてはいるものの、吸入
空気量の測定に際してのみ記載され、水素ガス等の空気
以外の他のガスに関しては考慮されていない。
【0006】このため、被測定ガスが空気以外の場合に
は、検出出力に誤差が生じるという問題があった。
【0007】また、発熱抵抗体を長時間通電加熱した場
合には、発熱抵抗体の抵抗値は経時変化するが、この点
に関しては、上記従来技術では考慮されておらず、長期
間に渡る流量計測精度が十分でないという問題があっ
た。
【0008】また、上記従来技術である公報には、発熱
抵抗体として多結晶ケイ素(ポリシリコン)を用い不純
物ドープ処理の記載がなされているが、発熱抵抗体とし
て重要な評価項目である不純物ドープ処理による抵抗率
(ρ)及び抵抗温度係数(α)への影響に関しての記載
がなされておらず、長期に渡り安定した抵抗値を維持し
得るか否かが不明であった。
【0009】また、長期間に渡る加熱通電をした場合の
信頼性(長期性能信頼性)に関する検討も十分とは言え
なかった本発明の目的は、被測定ガスが空気以外のガス
であっても、長期に渡り信頼性が高いガス流量計を実現
することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明は次のように構成される。 (1)空洞部が形成された半導体基板と、上記空洞部上
に絶縁膜を介して形成された発熱抵抗体及び測温抵抗体
とを有し、被測定ガスの流量を計測するガス流量計にお
いて、上記発熱抵抗体及び測温抵抗体は、不純物ドープ
処理された多結晶ケイ素(Si)半導体薄膜であり、こ
の多結晶ケイ素(Si)半導体薄膜は、不純物としてリ
ン(P)又はボロン(B)が高濃度ドープ処理され、粒
界又は欠陥領域で上記被測定ガスの少なくとも一成分元
素とダングリングボンドが形成される。
【0011】(2)好ましくは、上記(1)において、
上記被測定ガスは、空気、水素、窒素、酸素、炭酸ガ
ス、都市ガス、メタンガス、プロパンガス、ブタンガ
ス、水蒸気のいずれか一つ又はこれらを含むガスであ
る。
【0012】(3)空洞部が形成された半導体基板と、
上記空洞部上に絶縁膜を介して形成された発熱抵抗体及
び測温抵抗体とを有し、水素ガス流量を計測するガス流
量計において、上記発熱抵抗体及び測温抵抗体は、不純
物ドープ処理された多結晶ケイ素(Si)半導体薄膜で
あり、この多結晶ケイ素(Si)半導体薄膜は、不純物
としてリン(P)又はボロン(B)が高濃度ドープ処理
され、粒界又は欠陥領域で上記水素とダングリングボン
ドが形成される。
【0013】(4)好ましくは、上記(1)又は(3)
において、上記多結晶ケイ素(Si)半導体薄膜の抵抗
率が8×10−4Ωcm以下になるように高濃度ドープ
処理される。
【0014】(5)また、好ましくは、上記(1)、
(2)、(3)又は(4)において、上記多結晶ケイ素
(Si)半導体薄膜は、半導体製造プロセスの最終工程
で上記被測定ガス雰囲気中にて熱処理アニールが施され
る。
【0015】(6)また、好ましくは、上記(5)にお
いて、上記熱処理アニールは、400℃以下で1時間以
上の熱処理である。
【0016】(7)また、好ましくは、上記(1)にお
いて、上記被測定ガスに水素が含まれる場合は、上記多
結晶ケイ素(Si)半導体薄膜は、半導体製造プロセス
の最終工程で水素ガス雰囲気中にて熱処理アニールが施
され、上記被測定ガスに水素が含まれない場合は、上記
多結晶ケイ素(Si)半導体薄膜は、半導体製造プロセ
スの最終工程で不活性ガス雰囲気中にて熱処理アニール
が施される。
【0017】(8)空洞部が形成された半導体基板と、
上記空洞部上に絶縁膜を介して形成された発熱抵抗体及
び測温抵抗体とを有し、被測定ガスの流量を計測するガ
ス流量計の製造方法において、シリコン半導体基板の上
下面に熱酸化処理により二酸化ケイ素膜を形成する工程
と、上記シリコン基板の一方の面に形成された二酸化ケ
イ素膜の上に、非晶質ケイ素半導体薄膜を形成する工程
と、上記非晶質ケイ素半導体薄膜に熱拡散処理にて不純
物ドープ処理を行い、抵抗率が8×10−4Ωcm以下
となるリンを高濃度ドープ処理し、多結晶化したケイ素
半導体薄膜を形成する工程と、上記多結晶化したケイ素
半導体薄膜をパターニングし、少なくとも、発熱抵抗体
及び測温抵抗体を形成する工程と、電気絶縁膜を、上記
発熱抵抗体及び測温抵抗体に形成する工程と、上記シリ
コン基板の他方の面に空洞を形成する工程と、上記発熱
抵抗体及び測温抵抗体を被測定ガス雰囲気にて熱処理ア
ニールを施す工程とを備える。
【0018】発熱抵抗体及び測温抵抗体を、不純物ドー
プ処理された多結晶ケイ素(Si)半導体薄膜で構成
し、多結晶ケイ素(Si)半導体薄膜は、不純物として
リン(P)又はボロン(B)が高濃度ドープ処理された
後、粒界または欠陥領域において被測定ガスの少なくと
も一成分元素とダングリングボンドを形成したことによ
り長期の加熱通電においても抵抗値の安定化が図れる。
【0019】また、多結晶ケイ素(Si)半導体薄膜の
抵抗率が8×10−4Ωcm以下になるように高濃度ド
ープ処理することにより発熱抵抗体として最適な抵抗値
および抵抗温度係数が実現できる。
【0020】多結晶ケイ素(Si)半導体薄膜は、半導
体製造プロセスの最終工程で被測定ガス雰囲気にて熱処
理アニールを施され、特に400℃以下で1時間以上の
熱処理アニールにより長期の加熱通電においても抵抗値
の安定化が図れる。
【0021】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態である熱
式ガス流量計について、添付図面を参照して説明する。
図1は、本発明の一実施形態であるガス流量計のセンサ
素子の平面図である。また、図2は、図1のA−A’線
に沿った断面図である。
【0022】図1及び図2において、センサ素子1は、
全体が半導体基板2をベースとして形成されている。
【0023】半導体基板2は、空洞部8が形成されてい
る単結晶ケイ素(Si)の板であり、その一方の面(図2で
は上側の面)にダイヤフラム部3が形成されている。こ
こで、空洞部8は、平面形状が略矩形の孔として形成さ
れている。
【0024】また、ダイヤフラム部3は、半導体基板2
の一方の面に設けてある電気絶縁膜7aの空洞部8の全
面を覆う構造であり、その表面には、発熱抵抗体4と上
流側測温抵抗体5a、5b及び下流側測温抵抗体5c、
5dが形成してある。
【0025】ここで、電気絶縁膜7aは二酸化ケイ素
(SiO2)と窒化ケイ素(Si34)の多層薄膜で作られて
いる。
【0026】また、上流側測温抵抗体5a、5bのさら
に上流側であって、ダイヤフラム3上では無い部分にガ
ス温度測温抵抗体6が形成されている。
【0027】発熱抵抗体4、ガス温度測温抵抗体6及び
測温抵抗体5a〜5dは、リン(P)又はボロン(B)
を高濃度ドープ処理した後、粒界又は欠陥領域において
被測定ガスの少なくとも一成分元素とダングリングボン
ドを形成した多結晶ケイ素半導体薄膜により、所定の導
電性(抵抗値)を持つ細条として作られたものである。
【0028】ここで、ダングリングボンド(Dangling B
ond)とは、化学結合できないで余っている結合手であ
る。
【0029】一方、ダイヤフラム部3の周辺の電気絶縁
膜7aの表面には、上述したガス温度測温抵抗体6と、
各抵抗体4、5a〜5d、6の配線接続部11(11
a、11b、11c、11d、11e、11f、11
g、11h、11i、11j、11k、11l)、これ
ら配線接続部の端子電極部12(12a、12b、12
c、12d、12e、12f、12g、12h)が形成
されている。
【0030】端子電極部12は、アルミニウム(Al)、
金(Au)などの薄膜パッドで形成されている。そして、
電気絶縁膜7aの表面には、各抵抗体4、5a〜5d、
6などを保護するための電気絶縁膜7bが、電気絶縁膜
7aと同じ材料構成で、図2に示すように、各抵抗体
4、5a〜5dを覆うようにして形成されている。
【0031】ここで、発熱抵抗体4は、矢印9で示した
被測定ガスの流れ方向に直交する方向に沿って、ほぼ一
直線上に配置されている。そして、測温抵抗体5a、5
b、5c、5dは、この発熱抵抗体4に対して、ガスの
流れ方向9の上流側に、測温抵抗体5a、5bが配置さ
れ、発熱抵抗体4の下流側に、測温抵抗体5c、5dが
配置されている。
【0032】また、測温抵抗体5aと5bとは対とな
り、これら測温抵抗体5aと5bとを結ぶ線がガスの流
れ9の方向に直交するように配置される。測温抵抗体5
cと5dも対となり、これら測温抵抗体5cと5dとを
結ぶ線がガスの流れ方向9に直交するように配置され
る。
【0033】なお、被測定ガスとしては、空気、水素ガ
ス、窒素ガス、酸素ガス、炭酸ガス、都市ガス、メタン
ガス、プロパンガス、ブタンガス、水蒸気である。
【0034】上述のような構成である、本発明の一実施
形態であるガス流量計では、電気絶縁膜7a、7bによ
り形成されたダイヤフラム部3が空洞部8を全面に渡っ
て覆う構造となっているため、塵埃、油、水等が内部の
空洞部8に侵入することが無く、長期間に渡り、信頼性
の高い計測が可能となる。次に、この発明の一実施形態
であるガス流量計のガス流量計測動作について説明す
る。まず、空洞部8により熱絶縁状態にあるダイヤフラ
ム3上の発熱抵抗体4に電流を供給し、その温度がガス
流9の温度よりも一定の温度だけ高くなるように制御す
る。このときの被測定ガスの温度は、ガス温度測温抵抗
体6の抵抗値から、後述するようにして計測される。
【0035】そして、このときのガスの流量とガスが流
れる方向とは、発熱抵抗体4の上流側と下流側とに設け
られている上流側測温抵抗体5a、5bと下流側測温抵
抗体5c、5dとの温度(抵抗値)を比較することにより
計測される。
【0036】すなわち、ガス流量がゼロのときは上流側
測温抵抗体5a、5bと下流側測温抵抗体5c、5d
は、発熱抵抗体4の発熱による加熱条件が同じなので、
同じ温度を示すことになり、抵抗体5a、5bと5c、
5dとは温度差は生じない。
【0037】次に、ガスの流れが矢印9方向(これを順
流という)のときは、発熱抵抗体4の上流側に配置され
た上流側測温抵抗体5a、5bの方が、発熱抵抗体4の
下流側に配置された下流側測温抵抗体5c、5dよりガ
ス流9による冷却効果が大きいことから、上流側測温抵
抗体5a、5bと下流側測温抵抗体5c、5dの温度に
差が生じ、この温度差からガス流量が計測される。
【0038】一方、ガスの流れが矢印9と反対の方向
(これを逆流という)のときには、下流側測温抵抗体5
c、5dの温度の方が上流側測温抵抗体5a、5bの温
度より低くなり、上流側測温抵抗体5a、5bと下流側
測温抵抗体5c、5dの温度差を表す符号が、順流の場
合と逆転する。従って、このことから、温度差の大きさ
によりガス流量が計測でき、温度差の符号からガスの流
れ方向を判別することができる。
【0039】次に、図3は、図1に示したセンサ素子1
を、例えば、自動車の内燃機関の吸気通路10に実装
し、内燃機関制御装置の構成部分とした場合の例を示す
断面図である。
【0040】自動車の内燃機関に適用する場合、センサ
素子1は、センサ素子1を通路10に支持する支持体1
4と外部回路15とを含んだ形で、吸気通路10の内部
にある副通路13の中に配置される。
【0041】従って、外部回路15は、支持体14を介
してセンサ素子1の端子電極部12(図1に示す)に電気
的に接続されることになる。
【0042】ここで、内燃機関の吸入空気は、通常は、
矢印9で示す方向に流れる(順流)。しかし、内燃機関の
運転条件によっては、矢印9とは反対の方向に流れる場
合(逆流)もあるが、この実施形態によれば、順流と逆流
の何れの場合でも空気流量が正しく計測でき、且つ、そ
れらの判別も可能である。図3は、内燃機関の空気流量
測定に本発明を適用した場合の例であるが、それ以外
に、半導体製造に用いる各種ガスや、燃料電池に用いる
水素/酸素の流量を計測する場合でも、図3と同様の構
成にて、センサ素子1を被測定ガスの通路内に配置して
ガス流量を計測することが可能である。
【0043】図4は、センサ素子1と支持体14とを拡
大して示した部分拡大図である。図4において、センサ
素子1は、絶縁体からなる支持体14に取付けられ、ア
ルミナ等の電気絶縁基板上に端子電極部17と信号処理
回路とが形成された外部回路15が、同じく支持体14
上に取付けられている。
【0044】また、センサ素子1と外部回路15は、端
子電極部12と端子電極部17との間を金線18などで
ワイヤボンディングして電気的に接続され、金線18、
電極端子12、17と外部回路15とを保護するため、
上側から図示してない支持体を設けることにより保護さ
れる。
【0045】また、水素、酸素、都市ガス、メタンガ
ス、プロパンガス、ブタンガス等の可燃性ガスの流量を
計測する場合には、安全性を確保する為に、上記の外部
回路15等の回路部分に可燃性ガスが侵入しないように
十分気密が保てる構造とすればよい。
【0046】次に、図5により、この実施形態の回路構
成について説明する。図5は、センサ素子1の各抵抗体
4、5a、5b、5c、5d、6と、それらを駆動し制
御する回路を示す図であり、この図5において、19は
電源、20はトランジスタ、21a、21bは抵抗、1
6は制御回路、22はメモリ回路である。
【0047】制御回路16は、A/D変換器など含む入
力回路と、D/A変換器などを含む出力回路と、演算処
理などを行うCPUとを備えている。
【0048】そして、発熱抵抗体4とガス温度測温抵抗
体6は、抵抗21a、21bと共にブリッジ回路を形成
し、その端子12a(抵抗体6と抵抗21bとの接続中
点)、端子12c(抵抗体4と抵抗21aとの接続中
点)の電位差が制御回路16に入力される。
【0049】制御回路16は、入力された電位差に基づ
いて、加熱抵抗体4の温度(Th)がガス温度に対応する
ガス温度測温抵抗体6の温度(Ta)より、或る一定値
(ΔTh=Th−Ta=150℃)だけ高くなるように各
抵抗値21a、21bの抵抗値を設定し、制御する。
【0050】すなわち、発熱抵抗体4の温度が設定値よ
り低い場合には、制御回路16の出力によりトランジス
タ20がオンとなり、発熱抵抗体4に端子12hを介し
て加熱電流が流れ、設定温度より高くなるとトランジス
タ20がオフとなり、発熱抵抗体4の加熱電流がゼロと
される。これにより、温度の設定値が保たれるように制
御する。
【0051】また、上流側測温抵抗体5a、5bと下流
側測温抵抗体5c、5dとの温度差は、上流側測温抵抗
体5a、5bと、下流側測温抵抗体5c、5dとにより
形成されたブリッジ回路の端子12g(抵抗体5aと抵
抗体5cとの接続中点)と、12e(抵抗体5dと抵抗
体5bとの接続中点)との電位差により検出する。
【0052】ここで、ガス流量がゼロのとき、ブリッジ
回路の端子12gの電位と、12eの電位とが一致する
ように、調整抵抗(図示せず)の抵抗値を調整するか、メ
モリ22に、予めガス流量がゼロの時の、端子12g、
12eとの電位差を記憶しておく。
【0053】ガス流量の計測は、予めガス流量(Q)と、
ブリッジ回路の端子12g、12e間の電位差との関係
をメモリ22にマップとして記憶しておき、端子12
g、12e間の電位差及び電位の大小関係から、ガス流
量(Q)の計測値と流れの方向を判定することができる。
【0054】ここで、この実施形態では、図5に示した
ブリッジ回路構成を前提として、発熱抵抗体4とガス温
度測温抵抗体6との抵抗温度係数(α)が等しくなるよう
に、これらを同じ不純物濃度にした多結晶ケイ素半導体
薄膜で形成してある。
【0055】これにより、加熱抵抗体4の温度(Th)を
設定(例えばΔTh=150℃)する際に必要な各抵抗2
1a、21bの抵抗値が単純な比例関係になるので、こ
れらの設定を容易かつ簡便に行うことができる。
【0056】また、この実施形態では、4個の測温抵抗
体5a、5b、5c、5dを用い、温度差検出のための
ブリッジ回路を上流側測温抵抗体5a、5bが互いに交
差し、下流側測温抵抗体5c、5dが互いに交差する形
で構成してある。
【0057】これにより、端子12g、12e間に現れ
る電位差が、一対の測温抵抗体からなるブリッジ回路に
比して、約2倍になるので、感度を上げることができ、
測定精度を向上することができる。
【0058】なお、ガス流量(Q)の検出に際しては、
上流側測温抵抗体5a、5bと下流側測温抵抗体5c、
5dとの温度差を検出するのに加え、加熱抵抗体4に流
す加熱電流(図5における端子12cの電位に相当)を
上記温度差に乗算して流量検出信号とする方法も可能で
ある。
【0059】次に、本発明の一実施形態であるガス流量
計のセンサ素子の製造方法について、図6を参照して説
明する。
【0060】図6の(a)において、シリコン半導体基
板2の上下面に熱酸化処理により二酸化ケイ素(SiO
)層7aと23とを、電位絶縁膜として、約0.5ミ
クロン厚に形成する。
【0061】ここで、シリコン半導体基板2の上面側に
形成した電気絶縁膜7aとしては、二酸化ケイ素以外の
材料でも可能である。例えば、機械強度が高く熱膨張係
数がシリコン半導体基板2より若干大きく引張り残留応
力を有する窒化ケイ素(Si )を用いる事もでき
る。或いは、電気絶縁膜7aとして、二酸化ケイ素と窒
化ケイ素との多層構成とし、熱膨張係数及び残留応力の
マッチングを図った構成とすることにより、熱応力及び
残留応力による撓みを低減することができ、強度向上を
図ることができる。
【0062】次に、図6の(b)において、電気絶縁膜
7a上に、発熱抵抗体4と測温抵抗体5a〜5d、6を
形成するため、非晶質ケイ素(Si)半導体薄膜24を
約1ミクロンの厚さでCVD等の方法で形成する。
【0063】ここで、非晶質ケイ素(Si)半導体薄膜
24は、プラズマを用いたLPCVDあるいは電子サイ
クロトロン共鳴を用いたECR−PCVD、マイクロ波
を用いたCVD等の方法にて形成する。薄膜の形成温度
を600℃以下に制御することにより非晶質ケイ素(S
i)半導体薄膜24を得ることが出来る。
【0064】次に、形成した非晶質ケイ素(Si)半導
体薄膜24に熱拡散処理にて不純物ドープ処理を行う。
リンガラス(POCl)を非晶質ケイ素(Si)半導
体薄膜24表面に形成し、1050℃、30分以上の熱
処理を行い、抵抗率(ρ)が8×10−4Ωcm以下と
なるリン(P)が高濃度ドープ処理され、多結晶化した
ケイ素(Si)半導体薄膜24が形成される。
【0065】ここでは、ケイ素(Si)半導体薄膜24
として非晶質膜を形成した後に熱拡散工程にて多結晶化
したが、この工程の方が、先に多結晶膜を形成して熱拡
散した場合に比較して、より、リン(P)の高濃度ドー
プ処理が可能となり抵抗率(ρ)の低減が図れるととも
に抵抗温度係数(α)が大きくなり抵抗体として適切な
材料特性となる。また、この工程にて不純物としてリン
(P)を用いたが、ボロン(B)を不純物として用いて
高濃度ドープ処理を行うことも可能である。ただし、形
成した多結晶ケイ素(Si)半導体薄膜24の抵抗値の
安定性(経時変化)に関しては不純物としてリン(P)
を用いた方がより好ましい。次に、図6の(c)におい
て、公知のホトリソグラフィ技術によりレジストを所定
の形状に形成した後、反応性イオンエッチング等の方法
により半導体薄膜24をパターニングし、発熱抵抗体
4、測温抵抗体5a〜5d、ガス温度測温抵抗体6(図
示せず)および各抵抗体と端子電極12を接続するため
の配線接続部11(11a〜11l)(図示せず)を形
成する。これにより、多結晶ケイ素(Si)半導体薄膜
からなる、発熱抵抗体4、測温抵抗体5a〜5d、ガス
温度測温抵抗体6および配線接続部11(11a〜11
l)が形成される。
【0066】続いて、図6の(d)において、端子電極
12以外の部分を保護する為に電気絶縁膜7bを、発熱
抵抗体4、測温抵抗体5a〜5d、ガス温度測温抵抗体
6および配線接続部11を含めて、先に形成した電気絶
縁膜7aと同様に、約0.5ミクロンの厚さに形成す
る。その後、図示していないが、電気絶縁膜7bの所定
の位置にスルーホールを形成した後に、端子電極12
(12a〜12h)が、アルミニウム、金等で形成され
る。次に、シリコン半導体基板2に空洞8を形成する為
に、エッチングのマスク材23を、シリコン半導体基板
2の発熱抵抗体4等が形成された面とは反対側の面に、
所定の形状にパターニングし、エッチングし、そのエッ
チング部分のみ、半導体基板2の面を露出させる。な
お、マスク材23としては二酸化ケイ素あるいは、より
エッチング選択比の高い窒化ケイ素等を用いることがで
きる。
【0067】また、ダイヤフラムを構成し、電気絶縁膜
7aの上層に形成する電気絶縁膜7bも、電気絶縁膜7
aと同様の膜構成とし、多結晶ケイ素(Si)半導体薄
膜24からなる抵抗4等を間にして、互いに対称な膜構
成とすることにより、更に熱応力および残留応力による
撓みが低減でき強度向上が図られる。次に、図6の
(e)において、最後に、シリコン半導体基板2の裏面
(発熱抵抗体4等が形成された面とは反対側の面)側か
ら二酸化ケイ素あるいは窒化ケイ素等をマスク材23と
して、水酸化カリウム(KOH)等のエッチング液を用
いて異方性エッチングすることにより空洞8を形成す
る。上記の半導体製造プロセスの最終工程では、多結晶
ケイ素(Si)半導体薄膜24の抵抗値の安定性(経時
変化)を図る為に、被測定ガス雰囲気にて400℃以下
(好ましくは、200℃以上)で1時間以上(好ましく
は、20時間)の熱処理アニールを施す。ここで、被測
定ガスが、空気、窒素ガス、酸素ガス、炭酸ガス、水蒸
気の場合は、被測定ガスあるいは不活性ガスである窒
素、アルゴン、ヘリウム、フッ素等のガス雰囲気にて熱
処理アニールを施す。また、被測定ガスが、水素ガス、
都市ガス、メタンガス、プロパンガス、ブタンガス等の
水素原子を含むガスの場合には、被測定ガスあるいは水
素ガス雰囲気にて熱処理アニールを施す。上述した、本
発明による熱処理により、多結晶ケイ素(Si)半導体
薄膜の粒界または欠陥領域において、被測定ガスの少な
くとも一成分元素と、上述したダングリングボンドを形
成することができる。このため、被測定ガスに対して、
長期間のガス流量計測をした場合にも、多結晶ケイ素
(Si)半導体薄膜の粒界または欠陥領域において、被
測定ガスとの安定したダングリングボンドが形成される
ことから抵抗値の安定性(経時変化の抑制)が維持さ
れ、ガス流量計測の高精度化を図ることができる。ま
た、発熱抵抗体4及び測温抵抗体5a〜5d、6をリン
(P)又はボロン(B)を高濃度ドープ処理し抵抗率
(ρ)が8×10−4Ωcm以下となるように設定した
ことにより、発熱抵抗体4及び測温抵抗体5a〜5d、
6の抵抗温度係数(α)を比較的大きく保つことが出来
る。このため、測温感度の向上が可能なガス流量計を実
現することができる。図7は、ケイ素(Si)半導体薄
膜の抵抗率(ρ)と不純物濃度との関係を示すグラフで
あり、図8は、ケイ素半導体膜の抵抗温度係数(α)と
抵抗率(ρ)との関係を示すグラフである。ここで、ケ
イ素(Si)半導体膜は、一般的にサーミスタ的な抵抗
−温度特性を示すが、温度範囲が比較的狭く、且つ不純
物ドープ処理された場合には、次式(1)に示すような
金属的な抵抗−温度特性を示す。 R=R0(1+α(T−T0)) ----(1) ただし、Rは温度(T)における半導体膜の抵抗値、R
0は温度(T0)における半導体膜の抵抗値、αは抵抗
温度係数である。ここで、特に測温抵抗体5a〜5d、
6としては、抵抗温度係数(α)の大きいことが検出感
度の向上という観点から望まれる。また、発熱抵抗体4
としては、抵抗率(ρ)が小さいことが、所望の温度
(例えば200℃)に加熱しようとしたときの発熱抵抗
体の駆動電圧低減から望ましい。特に、発熱抵抗体4と
しては、抵抗値を下げるためには、多結晶ケイ素(S
i)半導体膜の膜厚を厚くする対応が考えられるが、多
結晶ケイ素半導体膜の膜厚を厚くすると、所望のパター
ンに精度良くエッチングすることが難しくなり、かつ、
材料コストの面からも好ましくない。エッチングが精度
良く実現出来る多結晶ケイ素(Si)半導体膜の膜厚は
約1ミクロンが限界であり、この厚さで10ボルト以下
の駆動電圧で駆動出来る発熱抵抗体4の抵抗値は1kΩ
以下である。このため、図7の低効率曲線25が領域2
6で示す不純物濃度が2×1020(cm-3)以上で抵抗
率(ρ)が8×10−4Ωcm以下の領域が選択され
る。また、図8に示すように、抵抗温度係数(α)と抵
抗率(ρ)との関係曲線27から、抵抗率(ρ)が8×
10−4Ωcm以下の領域28で抵抗温度係数(α)が
増加する。従って、図8に示した抵抗率(ρ)が8×1
−4Ωcm以上であって、抵抗温度係数が1000
(×10-6/℃)以上の領域28を選択するようにすれ
ば、低い抵抗率(ρ)にて大きい抵抗温度係数(α)
(1000(×10-6/℃)以上)を有するケイ素半導
体膜の抵抗体を実現することできる。なお、本発明の一
実施形態における発熱抵抗体4の抵抗値としては、電源
電圧及び発熱量の関係から50〜900Ωに設定し、測
温抵抗体5a〜5d、6の抵抗値としては1〜10kΩ
に設定した。次に、図9は、形成した多結晶ケイ素(S
i)半導体膜の各ガス雰囲気中での熱処理アニールでの
抵抗変化を示すグラフである。図9において、半導体製
造プロセスの最終工程で、窒素ガス雰囲気中にて500
℃で1時間の熱処理アニールを施した後の抵抗値を符号
29で示す。また、上記の条件で窒素ガス雰囲気中にて
施した熱処理アニールに続き、水素ガス雰囲気中にて4
00℃で1時間の熱処理アニールを施した後の抵抗値を
符号30で示す。さらに、上記の条件で水素ガス雰囲気
中にて施した熱処理アニールに続き、再度、窒素ガス雰
囲気中にて500℃で1時間の熱処理アニールを施した
後の抵抗値を符号31で示す。図9に示すように、半導
体製造プロセスの最終工程での熱処理アニールは、その
熱処理アニール時にどのような種類の雰囲気ガスを使用
したかにより、多結晶ケイ素(Si)半導体膜の抵抗値
への影響が異なるものとなる。発熱抵抗体を加熱して、
長時間に渡って流量計測を行うことから、被測定ガスの
種類によっては、図9に示すような抵抗の経時変化が発
生し流量計測の低下を招く恐れがある。抵抗の経時変化
に特に影響が大きいのは水素ガスである。多結晶ケイ素
(Si)半導体薄膜の粒界又は欠陥領域におけるケイ素
(Si)と水素(H)とのダングリングボンドを形成し
た場合、そのSi−Hの結合エネルギーは3.1eVと
他のガスのSi−N、Si−F等の結合エネルギーに比
べて小さく、容易にダングリングボンドの形成及び解離
が起こる。図9に示した抵抗値30については、水素ガ
ス雰囲気中にて400℃で1時間の熱処理アニールが施
されたものであるから、簡単にSi−Hのダングリング
ボンドが形成されて多結晶ケイ素(Si)半導体薄膜の
粒界または欠陥領域におけるエネルギー障壁が下がる。
これにより、抵抗値30のように低減する。一方、図9
に示した抵抗値31については、再度、窒素ガス雰囲気
中にて500℃で1時間の熱処理アニールを施したもの
であるから、抵抗値30の場合とは、逆に、容易にSi
−Hのダングリングボンドが解離する。これにより、多
結晶ケイ素(Si)半導体薄膜の粒界又は欠陥領域にお
けるエネルギー障壁が元の状態に上がることから、元の
値(29)に増大し、抵抗値31となる。以上のことか
ら、被測定ガスが水素ガスの場合であって、半導体製造
プロセスの最終工程での熱処理アニールが窒素ガス雰囲
気中で施されたとき(第1の条件)は、多結晶ケイ素
(Si)半導体薄膜の抵抗値は、図9に示す初期値29
であったものが、水素ガス流量の長時間計測とともに、
図9に示す抵抗値30へと徐々に経時的に減少すること
になる。一方、被測定ガスが空気、窒素ガス、酸素ガ
ス、炭酸ガス、水蒸気等の場合であって、半導体製造プ
ロセスの最終工程での熱処理アニールが水素ガス雰囲気
中で施されたとき(第2の条件)は、上記第1の条件の
ときとは逆に、初期抵抗値は、図9に示す抵抗値30と
なり上記ガス流量の長時間計測とともに図9に示す抵抗
値31へと徐々に経時的に、抵抗値が増大することにな
る。このように、被測定ガスの種類と熱処理アニールに
おける雰囲気ガスの種類との組み合わせにより、抵抗値
の経時変化が異なる場合のガス流量計測において、多結
晶ケイ素(Si)半導体薄膜の抵抗値の経時変化を防ぐ
為には以下のようにする。つまり、被測定ガスが、空
気、窒素ガス、酸素ガス、炭酸ガス、水蒸気等の場合
は、半導体製造プロセスの最終工程で被測定ガスあるい
は不活性ガスである窒素、アルゴンガス、ヘリウムガ
ス、フッ素ガス等のガス雰囲気中にて熱処理アニールを
施す。また、被測定ガスが、水素ガス、都市ガス、メタ
ンガス、プロパンガス、ブタンガス等の水素原子を含む
ガスの場合には、被測定ガスあるいは水素ガス雰囲気中
にて熱処理アニールを施す。その理由は、次のとおりで
ある。被測定ガスが、空気、窒素ガス、酸素ガス、炭酸
ガス、水蒸気の場合は、被測定ガスあるいは不活性ガス
である窒素ガス、アルゴンガス、ヘリウムガス、フッ素
ガスの雰囲気中にて熱処理アニールを施すことにより、
Si−Hのダングリングボンドの形成が阻止され、図9
に示す抵抗値30から抵抗値31への抵抗値変動を防止
することが出来る。一方、被測定ガスが、水素、都市ガ
ス、メタン、プロパン、ブタンの水素原子を含むガスの
場合には、被測定ガスあるいは水素ガス雰囲気にて熱処
理アニールすることにより、予めSi−Hのダングリン
グボンドを形成しておくことにより、図9に示す抵抗値
29から抵抗値30への抵抗値変動の防止が出来る。本
発明の一実施形態における半導体製造プロセスの最終工
程における熱処理アニールでは、各ガス雰囲気にて40
0℃〜200℃で1時間以上、望ましくは、20時間程
度の熱処理アニールを施す。これは、400℃を超える
熱処理温度では、電極端子12に用いたAl等の材質に
悪影響を及ぼす可能性があり、構成材料の熱膨張差によ
る熱応力の増大等の可能性も高まるからである。熱処理
アニールの効果をより高めるのであれば、温度よりも熱
処理時間を1時間以上の長時間とする方が効果を得るこ
とができる。図10は、本発明の一実施形態であるガス
流量計の発熱抵抗体4が、ガス流量計測により、その抵
抗が経時変化する様子を示すグラフである。図10にお
いて、線33が本発明の一実地形態における発熱抵抗体
4の抵抗経時変化を示し、横軸は加熱通電時間、縦軸
は、加熱通電時間が0時間のときの抵抗値を基準とした
抵抗の変化率を示す。また、線34は、被測定ガスが水
素で半導体製造プロセスの最終工程での熱処理アニール
が窒素ガス雰囲気であった場合の発熱抵抗体の抵抗経時
変化を示す。図10からわかるように、線34は、水素
ガス流量の長時間計測、つまり、加熱通電時間の経過と
ともに抵抗値が減少する。図10の線32は、被測定ガ
スが空気、窒素、酸素、炭酸ガス、水蒸気等で半導体製
造プロセスの最終工程での熱処理アニールが水素ガス雰
囲気中であった場合の発熱抵抗体の抵抗経時変化を示
す。線32の場合は、上記の線34の場合とは逆に、ガ
ス流量の計測時間の経過とともにその抵抗値増大する。
本発明の一実施形態における発熱抵抗体4のガス流量計
測による抵抗経時変化を示す線33では、加熱通電時間
の経過によらず、ほぼ一定の抵抗値を示している。した
がって、本発明の一実施形態のよれば、被測定ガスに対
して適切なガス雰囲気中における熱処理アニールを施す
ことにより、ガス流量計測時の経時変化を低減できる、
信頼性の高いガス流量測を実現することができる。
【0068】なお、上述した本発明の一実施形態におい
ては、発熱抵抗体と測温抵抗体とについて、説明した
が、測温抵抗体が無く、発熱抵抗体のみの構成の場合で
あっても、また、その他いかなる方式の場合であって
も、半導体基板2上に少なくとも発熱抵抗体を有するガ
ス流量計に、本発明を適用することができる。
【0069】
【発明の効果】本発明によれば、空洞部を有した半導体
基板を用い、この空洞部上に電気絶縁膜を介して少なく
とも発熱抵抗体及び測温抵抗体を形成し、これら発熱抵
抗体及び測温抵抗体を不純物ドープ処理された多結晶ケ
イ素(Si)半導体薄膜とし、不純物としてリン(P)
又はボロン(B)を高濃度ドープ処理された後、粒界ま
たは欠陥領域において被測定ガスの少なくとも一成分元
素とダングリングボンドを形成する。
【0070】これにより、発熱抵抗体、測温抵抗体に長
期に渡り加熱通電を行っても、これら抵抗体の抵抗値を
安定化することができ、信頼性の高いガス流量計を実現
することができる。
【0071】また、上記ガス流量計を安価に製造可能な
製造方法を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態であるガス流量計のセンサ
素子の平面図である。
【図2】図1に示した例のA−A’線に沿った断面図で
ある。
【図3】本発明の一実施形態であるガス流量計における
センサ素子を自動車の内燃機関の吸気通路に実装した場
合の断面図である。
【図4】本発明の一実施形態であるガス流量計のセンサ
素子と支持体とを拡大して示す部分拡大図である。
【図5】本発明の一実施形態であるガス流量計の回路図
である。
【図6】本発明の一実施形態であるガス流量計の製造方
法を説明するためのプロセス図である。
【図7】本発明の一実施形態であるガス流量計の抵抗体
の抵抗率と不純物濃度との関係特性を示すグラフであ
る。
【図8】本発明の一実施形態であるガス流量計の抵抗体
の抵抗率と抵抗温度係数との関係特性を示すグラフであ
る。
【図9】ガス流量計の抵抗体の抵抗値と各種熱処理アニ
ールと関係を説明する図である。
【図10】本発明の一実施形態であるガス流量計と従来
例との発熱抵抗体のガス流量計測による経時変化の比較
特性図である。
【符号の説明】
1 センサ素子 2 半導体基板 3 ダイヤフラム部 4 発熱抵抗体 5a、5b 上流側測温抵抗体 5c、5d 下流側測温抵抗体 6 ガス温度測温抵抗体 7a、23 電気絶縁膜 7b 保護膜 8 空洞部 9 ガス流 10 吸気通路 11a〜11l 配線接続部 12a〜12h 端子電極 13 副通路 14 支持体 15 外部回路 16 制御回路 17 端子電極 18 金線 19 電源 20 トランジスタ 21a、21b 抵抗 22 メモリ 24 多結晶ケイ素(Si)半導体膜
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 渡辺 泉 茨城県ひたちなか市高場2477番地 株式会 社日立カーエンジニアリング内 (72)発明者 堀江 潤一 茨城県ひたちなか市大字高場2520番地 株 式会社日立製作所自動車機器グループ内 (72)発明者 中田 圭一 茨城県ひたちなか市大字高場2520番地 株 式会社日立製作所自動車機器グループ内 Fターム(参考) 2F030 CA10 CC11 2F035 AA00 AA02 EA03 EA05 EA08 5F038 AR09 DF03 DF04 DF05 EZ12 EZ14 EZ20

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】空洞部が形成された半導体基板と、上記空
    洞部上に絶縁膜を介して形成された発熱抵抗体及び測温
    抵抗体とを有し、被測定ガスの流量を計測するガス流量
    計において、 上記発熱抵抗体及び測温抵抗体は、不純物ドープ処理さ
    れた多結晶ケイ素(Si)半導体薄膜であり、この多結
    晶ケイ素(Si)半導体薄膜は、不純物としてリン
    (P)又はボロン(B)が高濃度ドープ処理され、粒界
    又は欠陥領域で上記被測定ガスの少なくとも一成分元素
    とダングリングボンドが形成されることを特徴とするガ
    ス流量計。
  2. 【請求項2】請求項1記載のガス流量計において、上記
    被測定ガスは、空気、水素、窒素、酸素、炭酸ガス、都
    市ガス、メタンガス、プロパンガス、ブタンガス、水蒸
    気のいずれか一つ又はこれらを含むガスであることを特
    徴とするガス流量計。
  3. 【請求項3】空洞部が形成された半導体基板と、上記空
    洞部上に絶縁膜を介して形成された発熱抵抗体及び測温
    抵抗体とを有し、水素ガス流量を計測するガス流量計に
    おいて、 上記発熱抵抗体及び測温抵抗体は、不純物ドープ処理さ
    れた多結晶ケイ素(Si)半導体薄膜であり、この多結
    晶ケイ素(Si)半導体薄膜は、不純物としてリン
    (P)又はボロン(B)が高濃度ドープ処理され、粒界
    又は欠陥領域で上記水素とダングリングボンドが形成さ
    れることを特徴とするガス流量計。
  4. 【請求項4】請求項1又は3記載のガス流量計におい
    て、上記多結晶ケイ素(Si)半導体薄膜の抵抗率が8
    ×10−4Ωcm以下になるように高濃度ドープ処理さ
    れることを特徴とするガス流量計。
  5. 【請求項5】請求項1、2、3又は4のうちのいずれか
    一項記載のガス流量計において、上記多結晶ケイ素(S
    i)半導体薄膜は、半導体製造プロセスの最終工程で上
    記被測定ガス雰囲気中にて熱処理アニールが施されるこ
    とを特徴とするガス流量計。
  6. 【請求項6】請求項5記載のガス流量計において、上記
    熱処理アニールは、400℃以下で1時間以上の熱処理
    であることを特徴とするガス流量計。
  7. 【請求項7】請求項1記載のガス流量計において、上記
    被測定ガスに水素が含まれる場合は、上記多結晶ケイ素
    (Si)半導体薄膜は、半導体製造プロセスの最終工程
    で水素ガス雰囲気中にて熱処理アニールが施され、上記
    被測定ガスに水素が含まれない場合は、上記多結晶ケイ
    素(Si)半導体薄膜は、半導体製造プロセスの最終工
    程で不活性ガス雰囲気中にて熱処理アニールが施される
    ことを特徴とするガス流量計。
  8. 【請求項8】空洞部が形成された半導体基板と、上記空
    洞部上に絶縁膜を介して形成された発熱抵抗体及び測温
    抵抗体とを有し、被測定ガスの流量を計測するガス流量
    計の製造方法において、 シリコン半導体基板の上下面に熱酸化処理により二酸化
    ケイ素膜を形成する工程と、 上記シリコン基板の一方の面に形成された二酸化ケイ素
    膜の上に、非晶質ケイ素半導体薄膜を形成する工程と、 上記非晶質ケイ素半導体薄膜に熱拡散処理にて不純物ド
    ープ処理を行い、抵抗率が8×10−4Ωcm以下とな
    るリンを高濃度ドープ処理し、多結晶化したケイ素半導
    体薄膜を形成する工程と、 上記多結晶化したケイ素半導体薄膜をパターニングし、
    少なくとも、発熱抵抗体及び測温抵抗体を形成する工程
    と、 電気絶縁膜を、上記発熱抵抗体及び測温抵抗体に形成す
    る工程と、上記シリコン基板の他方の面に空洞を形成す
    る工程と、 上記発熱抵抗体及び測温抵抗体を被測定ガス雰囲気にて
    熱処理アニールを施す工程と、 を備えることを特徴とするガス流量計の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2012117446A1 (ja) * 2011-03-02 2012-09-07 日立オートモティブシステムズ株式会社 熱式流量計

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WO2012117446A1 (ja) * 2011-03-02 2012-09-07 日立オートモティブシステムズ株式会社 熱式流量計

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