JPH11258021A - 熱式空気流量センサ - Google Patents

熱式空気流量センサ

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JPH11258021A
JPH11258021A JP6560898A JP6560898A JPH11258021A JP H11258021 A JPH11258021 A JP H11258021A JP 6560898 A JP6560898 A JP 6560898A JP 6560898 A JP6560898 A JP 6560898A JP H11258021 A JPH11258021 A JP H11258021A
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JP
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temperature
air flow
resistor
temperature measuring
flow sensor
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JP6560898A
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English (en)
Inventor
Masamichi Yamada
雅通 山田
Kaoru Uchiyama
内山  薫
Izumi Watanabe
渡辺  泉
Keiichi Nakada
圭一 中田
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Hitachi Ltd
Hitachi Automotive Systems Engineering Co Ltd
Original Assignee
Hitachi Ltd
Hitachi Car Engineering Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】本発明の目的は、発熱抵抗体として多結晶ケイ
素を用いた場合において、温度特性の向上した熱式空気
流量センサを提供することにある。 【解決手段】半導体基板110上には、電気絶縁膜を介
して発熱抵抗体120A,120Bと第1の空気温度測
温抵抗体120Cの他に、第2の空気温度測温抵抗体1
20D,支持部温度測温抵抗体120Eが備えられてい
る。これらの抵抗体120は、ドープ処理された多結晶
ケイ素(Si)半導体薄膜によって構成する。発熱抵抗
体120A,120Bと第1の空気温度測温抵抗体12
0Cの不純物濃度は、第2の空気温度測温抵抗体120
D,支持部温度測温抵抗体120Eの不純物濃度より大
きくされている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、熱式空気流量セン
サに係り、特に、内燃機関の吸入空気量を測定するのに
好適な熱式空気流量センサに関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、自動車などの内燃機関の吸入
通路に設けられ、吸入空気量を測定する空気流量センサ
として、熱式空気流量センサが、質量空気量を直接検知
できることから主流となってきている。熱式空気流量セ
ンサによって検出された空気流量信号を用いて、内燃機
関の電子制御燃料噴射装置は、燃料噴射量を制御してい
る。
【0003】熱式空気流量センサとしては、例えば、特
開平8−54269号公報に記載されているように、半
導体基板上に、半導体マイクロマシニング技術により製
造された空気流量センサが、コストが低減でき且つ低電
力で駆動することができることから注目されている。
【0004】特開平8−54269号公報に記載された
熱式空気流量センサにおいては、発熱抵抗体として、耐
熱性および材料コストの利点から、多結晶ケイ素(ポリ
シリコン)が使用されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】特開平8−54269
号公報に記載された熱式空気流量センサにおいては、半
導体基板上に電気絶縁膜を介して発熱抵抗体として多結
晶ケイ素(ポリシリコン)が使用されているが、空気温
度を検出するための空気温度測温抵抗体が形成されてい
ないため、空気温度が変化した場合に被測定空気の流量
に対応した出力が誤差が生じるという問題がある。
【0006】従来の白金線を用いている熱式空気流量計
においては、空気温度を検出するための空気温度測温抵
抗体を用いて空気温度の補正をするようにしている。し
かしながら、空気温度測温抵抗体の考え方を、特開平8
−54269号公報に記載された熱式空気流量センサに
適用したとしても、多結晶ケイ素特有の問題として、温
度特性が悪いという問題がある。即ち、発熱抵抗体とし
て、多結晶ケイ素を用いる場合には、発熱抵抗体の抵抗
値はできるだけ小さくする必要があるが、抵抗値を小さ
くするために抵抗率を小さくすると、抵抗温度係数が小
さくなる。多結晶ケイ素の抵抗温度係数は、従来から熱
式空気流量センサに用いられている白金線の抵抗温度係
数に比べて小さいため、温度特性が低下することにな
る。温度特性としては、例えば、吸気温度特性や壁温度
特性がある。吸気温度特性は、空気の物性値である密
度,動粘性係数,熱伝導率等の温度変化によって計測精
度が低下するものである。壁温度特性は、熱式空気流量
センサが自動車等の過酷な条件で使用される場合、内燃
機関の温度上昇により熱式空気流量センサの発熱抵抗体
及び空気温度測温抵抗体に熱が伝導し、計測精度が低下
するものである。
【0007】本発明の目的は、発熱抵抗体として多結晶
ケイ素を用いた場合において、温度特性の向上した熱式
空気流量センサを提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】(1)上記目的を達成す
るために、本発明は、半導体基板上に電気絶縁膜を介し
て形成された発熱抵抗体と複数の測温抵抗体を有し、発
熱抵抗体を用いて空気流量を測定するする熱式空気流量
センサにおいて、上記発熱抵抗体及び測温抵抗体をドー
プ処理された多結晶ケイ素(Si)半導体薄膜によって
構成し、上記発熱抵抗体と少なくとも一つの測温抵抗体
の不純物濃度を他の測温抵抗体の不純物濃度より大きく
するようにしたものである。かかる構成により、他の測
温抵抗体の抵抗温度係数を大きくして、温度特性の補正
精度を向上し得るものとなる。
【0009】(2)上記(1)において、好ましくは、
上記発熱抵抗体と少なくとも一つの上記測温抵抗体のド
ープ処理された多結晶ケイ素(Si)半導体薄膜の不純
物濃度を等しくしたものである。かかる構成により、発
熱抵抗体と少なくとも一つの測温抵抗体の抵抗温度係数
が等しくなるため、これらの抵抗体によりブリッジ回路
を構成する際に、ブリッジ回路に用いる他の抵抗の抵抗
値の設定が容易に行えるものとなる。
【0010】(3)上記(1)において、好ましくは、
上記他の測温抵抗体は、空気温度を検出する空気温度測
温抵抗体であり、上記絶縁膜上であって上記発熱抵抗体
から離れた位置に形成するようにしたものである。かか
る構成により、空気温度測温抵抗体は、発熱抵抗体の発
熱の影響を受けることなく、空気温度の検出精度を向上
し得るものとなる。
【0011】(4)上記(1)において、好ましくは、
上記他の測温抵抗体は、上記半導体基板を支持する支持
部の温度を検出する支持部温度測温抵抗体であり、上記
絶縁膜上であって上記発熱抵抗体と外部と接続する端子
電極の間の位置に形成するようにしたものである。かか
る構成により、支持部温度測温抵抗体は、支持部から発
熱抵抗体への伝熱の影響を検出して、壁温度特性の補正
精度を向上し得るものとなる。
【0012】(5)上記(1)において、好ましくは、
上記発熱抵抗体と少なくとも一つの測温抵抗体の不純物
濃度を3×1019cm-3以上とし、他の測温抵抗体の不
純物濃度を3×1019cm-3より小さくしたこともので
ある。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、図1〜図11を用いて、本
発明の一実施形態による熱式空気流量センサについて説
明する。最初に、図1及び図2を用いて、本実施形態に
よる熱式空気流量センサ素子の構成について説明する。
図1は、本発明の一実施形態による熱式空気流量センサ
素子の構成を示す平面図であり、図2は、図1のA−A
断面図である。
【0014】本実施形態による熱式空気流量素子100
は、シリコン基板110の上に形成された上流側発熱抵
抗体120Aと下流側発熱抵抗体120Bと第1の空気
温度測温抵抗体120Cとに加えて、温度特性を改善す
るために、第1の空気温度測温抵抗体120Dと、支持
部温度測温抵抗体120Eとを備えている。
【0015】上流側発熱抵抗体120Aは、吸入空気流
Airの方向(順流)に対して、上流側に配置されてお
り、下流側発熱抵抗体120Bは、上流側発熱抵抗体1
20Aの下流側に配置されている。第1の空気温度測温
抵抗体120Cは、吸入空気の温度を測定するものであ
る。
【0016】第2の空気温度測温抵抗体120Dも、第
1の空気温度測温抵抗体120Cに同様にして、吸入空
気の温度を測定するものである。但し、後述するよう
に、第2の空気温度測温抵抗体120Dは、第1の空気
温度測温抵抗体120Cに比べて抵抗温度係数が大きく
なるように構成されており、吸気温補正のために配置さ
れている。
【0017】また、支持部温度測温抵抗体120Eは、
センサ支持部の温度を測定するもので、内燃機関側から
の熱伝導による壁温度補正のために配置されているもの
であり、第2の空気温度測温抵抗体120D同様に、抵
抗温度係数が大きくなるように構成されている。
【0018】シリコン基板110の大きさは、例えば、
図示の例では、短辺が2mmであり、長辺が6mm程度
の小型なものである。
【0019】上流側発熱抵抗体120Aと、下流側発熱
抵抗体120Bとは、図2を用いて後述するように、シ
リコン基板110に形成された空洞部112の上に形成
されている。
【0020】シリコン基板110の端部には、端子電極
130AB,130B,130E1,130E2,13
0AC,130C,130D1,130D2が形成され
ている。上流側発熱抵抗体120Aの一端及び第1の空
気温度測温抵抗体120Cの一端は、両者に共通の引出
線140ACによって端子電極130ACに接続され、
上流側発熱抵抗体120Aと下流側発熱抵抗体120B
の接続点は、引出線140ABによって端子電極130
ABに接続され、下流側発熱抵抗体120Bの一端は、
引出線140Bによって端子電極130Bに接続されて
いる。第1の空気温度測温抵抗体120Cの他端は、引
出線140Cによって端子電極130Cに接続されてい
る。また、第2の空気温度測温抵抗体120Dの両端
は、それぞれ、引出線140D1,140D2によって
端子電極130D1,130D2に接続されており、支
持部温度測温抵抗体120Eの両端は、それぞれ、引出
線140E1,140E2によって端子電極130E
1,130E2に接続されている。
【0021】次に、図2を用いて、本実施形態による熱
式空気流量素子100の断面構造について説明する。図
2は、図1のA−A断面を示している。
【0022】シリコン基板110の上には、電気絶縁膜
150が形成される。電気絶縁膜150としては、二酸
化ケイ素(SiO2)若しくは、窒化ケイ素(Si
34)が用いられる。また、電気絶縁膜150として
は、二酸化ケイ素(SiO2)の上に窒化ケイ素(Si3
4)を積層されたものでもよい。電気絶縁膜150と
して、二酸化ケイ素(SiO2)と窒化ケイ素(Si3
4)を積層したものを用いると、二酸化ケイ素は、シリ
コン基板に比べて熱膨張係数が約1/10と小さいた
め、シリコン基板より熱膨張係数の若干大きく、しか
も、機械的強度が高い窒化ケイ素を用いることにより、
シリコン基板110と電気絶縁膜150の間の熱応力を
低減して、強度を向上することができる。
【0023】電気絶縁膜150の上に、多結晶ケイ素
(PolyーSi)に不純物をドープした半導体薄膜に
よって抵抗体120A,120B,120C,120
D,120Eが形成される。なお、第2の空気温度測温
抵抗体120D,及び支持部温度測温抵抗体120Eの
抵抗温度係数を、発熱抵抗体120A,120B及び第
1の空気温度測温抵抗体120Cの抵抗温度係数に比べ
て大きくするために、第2の空気温度測温抵抗体120
D,及び支持部温度測温抵抗体120Eにドープ処理さ
れる不純物濃度を、発熱抵抗体120A,120B及び
第1の空気温度測温抵抗体120Cにドープされる不純
物濃度に比べて小さくしている。
【0024】抵抗体120の上に、保護膜155が形成
される。保護膜155としては、二酸化ケイ素(SiO
2)若しくは窒化ケイ素(Si34)が用いられる。ま
た、保護膜155としては、二酸化ケイ素(SiO2
と窒化ケイ素(Si34)を積層したものとすることも
できる。保護膜155は、吸入空気中に含まれる油や水
等の異物から抵抗体120を保護するために形成され
る。
【0025】また、シリコン基板110の中央部であっ
て、発熱抵抗体120A,120B及び測温抵抗体12
0Cの下の領域には、空洞部112が形成される。空洞
部112は、シリコン基板110を異方性エッチングす
ることにより、電気絶縁膜150との境界面まで形成さ
れる。空洞部112を形成することにより、発熱抵抗体
120A,120B及び測温抵抗体120Cは、電気絶
縁膜150と保護膜155とからなる薄いダイヤフラム
115によって支持される構造となり、空洞部112に
より熱絶縁された構造となるため、空洞部112の所に
シリコン基板が存在する場合に比べて、発熱抵抗体12
0A,120B及び測温抵抗体120Cからなる空気流
量を測定するセンサ部分の熱容量を小さくして、熱式空
気流量素子の応答性を向上することができる。
【0026】次に、図3を用いて、図1に示した熱式空
気流量センサ素子を支持体に取り付けた構成の本実施形
態による熱式空気流量センサの構成について説明する。
図3は、本発明の一実施形態による熱式空気流量センサ
の構成を示す平面図である。
【0027】抵抗体120A,120B,120C,1
20D,120Eが取り付けられた熱式空気流量センサ
素子100は、支持体170の先端部に固定される。ま
た、支持体170の上には、アルミナ等の電気絶縁基板
上に端子電極180および駆動制御回路200が、固定
される。熱式空気流量センサ素子100と駆動制御回路
200は、端子電極130及び端子電極180の間を、
金線190等でワイヤボンディングにより電気的に接続
される。
【0028】さらに、金線190、電極端子130,1
80や駆動制御回路200を保護するために、これらの
上側から支持体172により密封保護される。支持体1
72は、支持部温度測温抵抗体120Eも密封してお
り、吸入空気Airに直接晒されないようにしている。
なお、支持部温度測温抵抗体120Eは、吸入空気Ai
r中に露出する構成とすることも可能である。
【0029】次に、図4を用いて、本実施形態による熱
式空気流量計を内燃機関の吸気管に取り付けた状態につ
いて説明する。図4は、本発明の一実施形態による熱式
空気流量計の内燃機関の吸気管への取付状態を示す断面
図である。
【0030】熱式空気流量素子100は、支持体170
の先端部に取り付けられている。支持体170の他端部
には、支持体174が固定されている。熱式空気流量素
子100,支持体170,及び支持体174は、一体化
されており、インサート型の熱式空気流量計を構成して
いる。
【0031】自動車等の内燃機関の吸気通路300の中
には、空気流の一部を流通する副通路310が設けられ
ている。吸気通路300の側壁には、支持体170が挿
入可能な開口が形成されており、先端に熱式空気流量素
子100を備えた支持体170が、この開口内に挿入さ
れ、支持体174を用いて、吸気通路400に固定され
る。このとき、熱式空気流量素子100は、副通路31
0の中に挿入される。
【0032】通常、吸入空気は、矢印で示す空気流Ai
rの方向に流れているが、内燃機関の運転条件によって
は、矢印の方向とは逆方向(逆流)に吸入空気が流れ
る。
【0033】次に、図5を用いて、本実施形態による熱
式空気流量素子を用いた熱式空気流量計の回路構成につ
いて説明する。図5は、本発明の一実施形態による熱式
空気流量素子を用いた熱式空気流量計の回路図である。
【0034】上流側発熱抵抗体120A,下流側発熱抵
抗体120B及び抵抗210からなる直列回路に対し
て、第1の空気温度測温抵抗体120C及び抵抗215
からなる直列回路が並列に接続されており、ブリッジ回
路を構成している。このブリッジ回路には、トランジス
タ220を介して、電源230から加熱電流が供給され
る。ブリッジ回路の中点電圧である抵抗210の両端電
圧(電位Ea)及び抵抗215の両端電圧(電位Ed)
は、それぞれ、入力回路250に取り込まれる。入力回
路250は、A/D変換器を含んでいる。CPU260
は、演算処理を行うものであり、上流側発熱抵抗体12
0A及び下流側発熱抵抗体120Bの温度(Th)が、
第1の空気温度測温抵抗体120Cによって検出される
空気温度(Ta)よりも一定温度(ΔTh=Th−Ta
=150℃)高くなるように制御する。CPU260
は、出力回路270から制御信号をトランジスタ220
に出力して、トランジスタ220をオン/オフして、発
熱抵抗体120A,120Bを流れる電流を制御して、
発熱抵抗体120A,120Bの発熱量を制御する。出
力回路270は、D/A変化器を含んでいる。発熱抵抗
体120A,120Bの温度が設定温度よりも低いと、
トランジスタ220をオンして加熱電流を流し、設定温
度よりも高くなると、トランジスタ220をオフするよ
うに制御して、発熱抵抗体120A,120Bの温度
が、空気温度よりも一定温度高くなるように制御する。
【0035】発熱抵抗体120A,120Bを流れる加
熱電流は、抵抗210の両端電圧(電位Ea)として、
入力回路250に取り込まれ、空気流量の検出に用いら
れる。また、上流側発熱抵抗体120A及び下流側発熱
抵抗体120Bの両端電圧(電位Ea,Eb,Ec)
は、それぞれ、入力回路250に取り込まれ、空気流の
方向の検出に用いられる。
【0036】ここで、発熱抵抗体120A,120B及
び第1の空気温度測温抵抗体120Cは、ブリッジ回路
を構成している。従って、発熱抵抗体120A,120
B及び第1の空気温度測温抵抗体120Cの抵抗温度係
数(α)を等しくすると、発熱抵抗体120A,120
Bの温度(Th)を設定する際(例えば、ΔTh=15
0℃)に、抵抗210,215の抵抗値が単純な比の関
係となるため、抵抗値の設定が容易になる。発熱抵抗体
120A,120Bは高温に加熱されるため、熱式空気
流量センサの消費電流を少なくするためには、発熱抵抗
体120A,120Bの抵抗値を、例えば、50〜90
0Ω程度まで小さくする必要がある。しかしながら、発
熱抵抗体120A,120B及び第1の空気温度測温抵
抗体120Cとして、多結晶ケイ素に不純物をドープ処
理したものを用いる場合には、抵抗値を小さくするため
に抵抗率を小さくすると、抵抗温度係数(α)も小さく
なる。従って、発熱抵抗体120A,120B及び第1
の空気温度測温抵抗体120Cの抵抗温度係数(α)を
等しくすると、第1の空気温度測温抵抗体120Cの抵
抗温度係数(α)が小さくなる。抵抗温度係数(α)が
小さいと、吸気温度や壁温度等の温度特性の補正精度が
低下することになる。
【0037】そこで、本実施形態においては、第2の空
気温度測温抵抗体120D、及び支持部温度測温抵抗体
120Eを備えている。第2の空気温度測温抵抗体12
0Dと抵抗240の直列回路、及び支持部温度測温抵抗
体120Eと抵抗245の直列回路は、それぞれ、基準
電源Vrefに接続されている。第2の空気温度測温抵
抗体120Dの両端電圧(電位Ee)は、入力回路25
0に取り込まれる。また、支持部温度測温抵抗体120
Eの両端電圧(電位Ef)も、入力回路250に取り込
まれる。第2の空気温度測温抵抗体120Dの抵抗値
は、吸入空気の温度によって変化するため、CPU26
0は、取り込まれた電位Eeに基づいて吸気温度を求め
る。また、支持部温度測温抵抗体120Eの抵抗値は、
熱式空気流量センサの支持部の温度によって変化するた
め、CPU260は、取り込まれた電位Efに基づい
て、支持部の温度を求め、さらに、支持部温度に基づい
て、吸気管の壁温度を求める。メモリ回路280には、
吸気温度及び壁温度に対する吸入空気量の補正値が記憶
されており、CPU260は、この補正値に基づいて、
空気流量の補正演算を行い、出力回路270から空気流
量Qと空気温度Taの信号を出力する。なお、吸気温度
補正と壁温度補正の詳細については、図6を用いて後述
する。
【0038】次に、図5に示した回路の動作について説
明する。最初に、本実施形態による熱式空気流量素子の
空気流量検知動作について説明する。上流側発熱抵抗体
120A及び下流側発熱抵抗体120Bは、トランジス
タ220を介して電源230から加熱電流が供給されて
おり、発熱する。上流側発熱抵抗体120A及び下流側
発熱抵抗体120Bの温度(Th)は、抵抗体210の
両端電圧として検出され、電位Eaとして、制御回路3
00に入力する。一方、吸入空気通路に流入する吸入空
気の温度(Ta)は、第1の空気温度測温抵抗体120
Cにより検出され、電位Edとして、制御回路300に
入力する。制御回路300は、発熱抵抗体120A,1
20Bの温度(Th)が、吸入空気の温度(Ta)に対
して、所定温度ΔTh(例えば、150℃)だけ高くな
るように、トランジスタ220をオン/オフして、発熱
抵抗体120A,120Bに供給する加熱電流を制御す
る。第1の空気温度測温抵抗体120Cの温度が設定値
よりも低い場合には、CPU260は、トランジスタ2
20をオンして、測温抵抗体120Cの温度が設定値よ
りも高い場合には、CPU260は、トランジスタ22
0をオフする。発熱抵抗体120A,120Bから奪わ
れる熱量は吸入空気の量に比例するため、発熱抵抗体1
20A,120Bを加熱する加熱電流の値が、空気量に
対応した値となる。そこで、抵抗210の両端電圧(電
位Ea)がCPU260に入力して加熱電流を検出し、
第2の空気温度測温抵抗体120Dによって検出された
吸気温度と支持部温度測温抵抗体120Eによって検出
された支持部温度に基づいて、メモリ回路280に記憶
されている補正値を用いて吸気温度特性及び壁温度特性
を補正した後、空気流量Q,空気温度Taとして出力す
る。
【0039】次に、本実施形態による熱式空気流量素子
による空気流Airの方向検知動作について説明する。
空気流Airの流量が零のときは、上流側発熱抵抗体1
20Aと下流側発熱抵抗体120Bの間に温度差は生じ
ない。それに対して、図1に示したような空気流Air
の方向(順流)の場合には、上流側発熱抵抗体120A
の方が、下流側発熱抵抗体120Bより空気流Airに
よる冷却効果が大きく、また、上流側発熱抵抗体120
A,120Bは直列接続であり、同じ加熱電流が流れて
いるため、発熱量は一定であることから、上流側発熱抵
抗体120Aの温度が、下流側発熱抵抗体120Bより
低い値となる。また、空気流Airが、図示する方向と
逆(逆流)の場合には、先程の場合とは反対に、下流側
発熱抵抗体120Bの方が上流側発熱抵抗体120Aよ
り空気流Airによる冷却効果が大きく、下流側発熱抵
抗体120Bの方が上流側発熱抵抗体120Aの温度よ
りも低くなる。
【0040】そこで、CPU260は、上流側発熱抵抗
体120Aの両端電圧(電位Ecと電位Eb)と、下流
側発熱抵抗体120Bの両端電圧(電位Ebと電位E
a)を比較して、両抵抗体の温度(抵抗値)を比較する
ことにより、空気流の方向を検知する。
【0041】次に、図6〜図10を用いて、本実施形態
による温度特性の補正について説明する。最初に、図6
を用いて、本実施形態による熱式空気流量センサによる
温度特性の補正原理について説明する。図6は、本発明
の一実施形態による熱式空気流量センサによる温度特性
の補正原理の説明図である。
【0042】自動車等の内燃機関では、内燃機関の熱に
より、図4に示す吸気通路300および支持体170の
温度(壁温度)が上昇する。支持体170の温度が上昇
すると、図6(B)に示すように、支持体170の熱が
熱式空気流量センサ100に伝熱して、空気流量の計測
に誤差を生じさせ、温度特性を悪くする。
【0043】図6(B)は、支持体170及び支持体1
70に支持された熱式空気流量センサ100及び駆動制
御回路200の平面形状を示しており、図6(A)は、
図6(B)のB−B’線上の温度分布を示している。
【0044】図6(A)に示すように、内燃機関の熱が
支持体170から駆動制御回路200へ、更に、熱式空
気流量センサ100の端子電極部130、支持部温度測
温抵抗体120E、発熱抵抗体120A,120B、第
1及び第2の空気温度測温抵抗体120C,120Dへ
と熱伝搬する。吸気温度をTaとし、発熱抵抗体120
A,120Bの温度Thを、吸気温度Taに対して、Δ
Thだけ高くなるように制御する場合、壁温度Twの影
響によって、空気流量を計測する発熱抵抗体120A,
120Bおよび第1の空気温度測温抵抗体120Cに不
要な熱が伝搬し、空気流量の計測精度に悪影響を与え
る。
【0045】また、駆動制御回路200自身の発熱で
も、同様に不要な熱伝搬がおき、計測精度に悪影響を与
える。この影響が壁温度特性である。本実施形態におい
ては、支持部温度Tw’を検出する支持部温度測温抵抗
体120Eを、発熱抵抗体120A,120Bと端子電
極130間に形成し、補正を行うことにより壁温度特性
を改善している。
【0046】また、吸気温度の補正のために設けられて
いる第2の空気温度測温抵抗体120Cは、できるだけ
正確に、吸気温度Taを測定する必要がある。支持体1
70は、内燃機関の壁温度Twによって加熱されている
ため、第2の空気温度測温抵抗体120Cは、支持体1
70の基部(吸気管に近い側)から離れた位置,即ち、
支持体170の先端部寄りに設けるようにしている。ま
た、発熱抵抗体120A,120Bは、高温に加熱され
ており、発熱抵抗体120A,120Bが配置されてい
るダイヤフラム115の部分は熱容量が小さいため、第
2の空気温度測温抵抗体120Cは、発熱抵抗体120
A,120Bから離れた位置であって、ダイヤフラム1
15の外側に配置するようにしている。
【0047】次に、図7を用いて、壁温度特性及びその
補正について説明する。図7は、本発明の一実施形態に
よる熱式空気流量センサにおける壁温度特性の説明図で
ある。
【0048】図7において、横軸は空気流量(Q)を示
しており、縦軸は、壁温度(Tw)が25℃を基準とし
た空気流量の計測誤差(△Q/Q)を示している。壁温
度(Tw)が80℃であって、壁温度補正を行わない場
合には、特に低流量側において誤差が10%程度発生し
ている。
【0049】そこで、本実施形態においては、図5を用
いて説明したように、支持部温度測温抵抗体120Eの
電位Efから壁温度(Tw)に比例した支持部温度(T
w’)が、また加熱電流(空気流量)に対応する電位E
aがCPU260に入力される。また、図7に示した壁
温度特性に基づいた壁温度補正データが、予めメモリ回
路280に記憶されている。CPU260は、メモリ回
路280に記憶された壁温度補正データを用いて、支持
部温度測温抵抗体120Eによって検出された支持部温
度(Tw’)に基づいて、壁温度補正が可能となる。本
実施形態による壁温度補正を適用した場合、図中に矢印
で示したようにほぼ流量誤差が零となる。
【0050】メモリ回路280には、予め個々の熱式空
気流量計毎に、固有の壁温度特性を記憶しておき、計測
空気流量(Q),支持部温度(Tw’)と補正値をマッ
プとして記憶しても、また、近似的な誤差関数として記
憶しても壁温度補正が可能である。
【0051】次に、図8を用いて、吸気温度特性及びそ
の補正について説明する。図8は、本発明の一実施形態
による熱式空気流量センサにおける吸気温度特性の説明
図である。
【0052】図8において、横軸は空気流量(Q)を示
しており、縦軸は、吸気温度(Ta)が25℃基準の空
気流量の計測誤差(△Q/Q)を示している。図中の実
線は、図5に示した発熱抵抗体120A,120Bと第
1の吸気温度測温抵抗体120Cからなるブリッジ回路
だけで吸入空気量を検出した場合の吸気温度特性を示し
ている。
【0053】吸気温度(Ta)が低温(−30℃)の場
合には、空気流量が低流量域ではマイナス誤差で高流量
域ではプラス誤差となる。一方、吸気温度(Ta)が高
温(80℃)の場合には、逆の符号の誤差になる。
【0054】本実施形態における吸気温度補正は、第2
の空気温度測温抵抗体120Dの電位Eeから吸気温度
(Ta)が高精度で計測可能であり、また、加熱電流
(空気流量)に対応する電位EaからCPU260に入
力される。また、図8に示した吸気温度特性に基づいた
吸気温度補正データが、予めメモリ回路280に記憶さ
れている。CPU260は、メモリ回路280に記憶さ
れた吸気温度補正データを用いて、第2の空気温度測温
抵抗体120Dによって検出された吸気温度(Ta)に
基づいて、吸気温度補正が可能となる。本実施形態によ
る吸気温度補正を適用した場合、図中に矢印で示したよ
うに、空気の物性値である密度,動粘性係数,熱伝導率
等の温度変化に関しては考慮して補正することにより、
ほぼ流量誤差が零となる。
【0055】メモリ回路280には、予め個々の熱式空
気流量計毎に、固有の吸気温度特性を記憶しておき、計
測空気流量(Q)、吸気温度(Ta)と補正値をマップ
として記憶してもよい。また、補正した空気流量(Q)
とともに第2の空気温度測温抵抗体120Dから検出さ
れる高精度の吸気温度(Ta)を同時に出力することも
可能である。
【0056】次に、図9及び図10を用いて、本実施形
態の各抵抗体に不純物のドープ量について説明する。図
9は、抵抗率と抵抗温度係数の関係を示す説明図であ
り、図10は、不純物濃度と抵抗率の関係を示す説明図
である。
【0057】本実施形態では、発熱抵抗体4120A,
120B、第1及び第2の空気温度測温抵抗体120
C,120Dおよび支持部温度測温抵抗体120Eとし
て、ドープ処理された多結晶ケイ素(Si)半導体薄膜
を用いている。この様にドープ処理された多結晶ケイ素
(Si)半導体薄膜を用いることにより、白金等の貴金
属に比較して材料コストが低減でき、また、不純物濃度
を制御することにより各抵抗体に最適の抵抗率(ρ)及
び抵抗温度係数(α)が選択できるという利点がある。
【0058】本実施形態における発熱抵抗体120A,
120B及び第1の空気温度測温抵抗体120Cとして
は、上述したようにブリッジ回路を構成することから抵
抗温度係数を一致させる必要があり、且つ発熱抵抗体と
しては駆動電圧を低減するために低抵抗にする必要があ
る、一方、第2の空気温度測温抵抗体120D及び支持
部温度測温抵抗体120Eとしては、感度を上げるため
に抵抗温度係数(α)を大きくする必要がある。
【0059】そこで、本実施形態においては、発熱抵抗
体120A,120B及び第1の空気温度測温抵抗体1
20Cの不純物浸度を、第2の空気温度測温抵抗体12
0D及び支持部温度測温抵抗体120Eの不純物濃度よ
り大きくし、最適化を図っている。
【0060】図9は、ドープ処理された多結晶ケイ素
(Si)半導体薄膜において、不純物濃度を変化させた
場合の抵抗率(ρ)と抵抗温度係数(α)の関係を示し
ている。多結晶ケイ素(Si)半導体薄膜では、不純物
濃度が増すに従い実線で示すように抵抗率(ρ)が小さ
くなるとともに抵抗温度係数(α)も減少する。多結晶
ケイ素(Si)半導体膜は、一般的にサーミスタ的な抵
抗一温度特性を示すが、温度範囲が比較的狭く且つ不純
物ドープ処理された場合には、下記の式(1)で示され
る金属的な抵抗−温度特性を示す。
【0061】 R=RO(1+α(T−TO)) ……… (1) ここで、Rは温度(T)における半導体膜の抵抗値であ
り、ROは温度(T0)における半導体膜の抵抗値であ
り、αは抵抗温度係数である。
【0062】抵抗温度係数(α)が大きいほうが温度に
対しての抵抗値の変化が大きくとれることから、第2の
空気温度測温抵抗体120D及び支持部温度測温抵抗体
120Eに対しては、不純物濃度の低い領域DLの不純
物濃度が選択される。
【0063】一方、発熱抵抗体120A,120Bとし
ては、測温抵抗体120D,120Eと同じ不純物濃度
領域DLでは抵抗率(ρ)が大きくなり過ぎる。従っ
て、所望の温度(△T=150℃)に発熱抵抗体120
A,120Bを加熱しようとすると、発熱抵抗体120
A,120Bの抵抗値が大きくなり、高い駆動電圧が必
要となり十分に加熱出来ないという問題が生ずる。そこ
で、発熱抵抗体120A,120Bの抵抗値を下げるた
めには、多結晶ケイ素(Si)半導体膜の膜厚を厚くす
る対応が考えられるが、膜厚を厚くすると所望のパター
ンに精度良くエッチングすることが難しくなり、材料コ
ストの面からも好ましくない。エッチングが精度良く実
現出来る多結晶ケイ素(Si)半導体膜の膜厚は約1ミ
クロンが限界であり、この厚さで10ボルト以下の駆動
電圧で駆動出来る発熱抵抗体120A,120Bの抵抗
値は1kΩ以下であり、従って、領域DHで示した抵抗
率(ρ)が小さく、不純物濃度が高い領域が選択され
る。また、第1の空気温度測温抵抗体120Cは、発熱
抵抗体120A,120Bとブリッジ回路を構成するこ
とから、抵抗温度係数(α)を一致させる必要があり、
発熱抵抗体120A,120Bと同じ不純物濃度が選択
される、本実施形態における発熱抵抗体120A,12
0Bの抵抗値としては、電源電圧および発熱量の関係か
ら50〜900Ω、第1及び第2の空気温度測温抵抗体
120C,120Dおよび支持部温度測温抵抗体120
Eの抵抗値としては、1〜5kΩを選択した。
【0064】例えば、発熱抵抗体120A,120B
は、膜厚を1μmとし、幅を100μmとし、長さを4
00μmとし、抵抗率を1×10-2Ωcmとすることに
より、抵抗値を400Ωとすることができる。抵抗率が
1×10-2Ωcmのときの抵抗温度係数は、図9から、
1000×10-6/℃となる。また、不純物濃度は、図
10から、1×1019cm-3とする必要がある。
【0065】また、例えば、第2の空気温度測温抵抗体
120Dおよび支持部温度測温抵抗体120Eは、膜厚
を1μmとし、幅を50μmとし、長さを1mmとし、
抵抗率を1×10-1Ωcmとすることにより、抵抗値を
5kΩとすることができる。抵抗率が1×10-1Ωcm
のときの抵抗温度係数は、図9から、約3000×10
-6/℃となる。また、不純物濃度は、図10から、1×
1017cm-3とする必要がある。
【0066】次に、図11を用いて、本実施形態による
熱式空気流量センサ素子の製造工程について説明する。
図11は、本発明の一実施形態による熱式空気流量セン
サ素子の製造工程を示す工程図である。
【0067】図11(a)に示すように、シリコン半導
体基板110の上下面に熱酸化処理により二酸化ケイ素
(Si02)層150,150Aを約O.5μmの厚さ
に形成する。ここで、シリコン半導体基板110の上面
に形成した電気絶縁膜150としては、二酸化ケイ素以
外の構成材でも可能である。例えば、機械強度が高く熱
膨張係数がシリコン半導体基板110より若干大きい窒
化ケイ素(Si34)を用いても、或いは熱膨張係数が
シリコン半導体基板110の1/10である二酸化ケイ
素と熱膨張係数がシリコン半導体基板110より若干大
きい窒化ケイ素の多層構成とし、熱膨張係数のマッチン
グを図った構成とすることにより、温度変化によるシリ
コン半導体基板110と電気絶縁膜150間の熱応力が
低減でき強度向上が図られる。
【0068】次に、同図(b)に示すように、電気絶縁
膜150上に発熱抵抗体120A,120B、第一及び
第二の空気温度測温抵抗体120C,120D及び支持
体温度測温抵抗体120E(図示せず)として、多結晶
ケイ素(Si)半導体薄膜を約1ミクロンの厚さでCV
D等の方法で形成後、公知のホトリソグラフィ技術によ
りレジストを所定の形状に形成した後、反応性イオンエ
ッチング等の方法により半導体薄膜をパターニングす
る。ここで、多結晶ケイ素(Si)半導体薄膜は、プラ
ズマを用いたLPCVDあるいは電子サイク口トロン共
鳴を用いたECR−PCVD、マイクロ波を用いたCV
D等の方法にて形成する。原料ガスは、モノシラン(S
iH4)、ホスフィン(PH3)、水素(H2)を用い、
不純物ドープ材としての燐(P)の量はホスフィン(P
3)ガスの流量により制御でき、不純物濃度としては
3×1019(cm-3)以下になるように制御する。ここ
で、不純物ドープ処理は上記以外の方法でも可能であ
り、未ドープ処理の多結晶ケイ素(Si)半導体薄膜を
形成した後、熱拡散あるいはイオン打ち込み等の方法に
より不純物のドープ処理を行っても良いものである。
【0069】次に、同図(c)に示すように、発熱抵抗
体120A,120B及び第1の空気温度測温抵抗体1
20Cの不純物濃度のみを3×1019(cm-3)以上に
高めるために、更に不純物ドープ処理を加える。第2の
空気温度測温抵抗体120D及び支持部温度測温抵抗体
120Eは、二酸化ケイ素等のマスク材MSKにより被
覆された後、発熱抵抗体120A,120B及び第1の
空気温度測温抵抗体120Cに対して、熱拡散あるいは
イオン打ち込み等の方法により、更にP(燐)等の不純
物ドープ処理がなされ、不純物濃度を3×1019(cm
-3)以上の高濃度にドープ処理される。マスク材MSK
は、ドープ処理終了後、ドライエッチング等により除去
される。その後、図示していない端子電極及び各抵抗体
と端子電極を接続するための引出線が、アルミニーム,
金等で形成される。
【0070】次に、同図(d)に示すように、端子電極
以外の部分を保護するために、保護膜155を先の電気
絶縁膜150と同様に約0.5ミクロンの厚さに形成す
る。次に、シリコン半導体基板110に空洞112を形
成するために、基板裏面のエッチングのマスク材150
Aを所定の形状にパターニングし、半導体基板110の
エッチング部110Xのみを露出させる。マスク材とし
ては二酸化ケイ素あるいはよりエッチング選択比の高い
窒化ケイ素等が用いられる。
【0071】さらに、同図(e)に示すように、最後
に、シリコン半導体基板110の裏面を水酸化カリウム
(KOH)等のエッチング液を用いて異方性エッチング
することにより、空洞112を形成する。
【0072】なお、上述の説明では、不純物としてP
(燐)を用いているが、同じくn形の不純物としてはN
(窒素)、Sb(アンチモン)、As(ヒ素)が、一方
P形の不純物としてはAl(アルミニュム)、B(ボロ
ン)等を用いても良いものである。
【0073】以上説明したように、本実施形態によれ
ば、発熱抵抗体120A,120B及び第1の空気温度
測温抵抗体120Cの不純物濃度を、第2の空気温度測
温抵抗体120D及び支持部温度測温抵抗体120Eの
不純物濃度より大きく構成したことにより、発熱抵抗体
120A,120Bの抵抗率(ρ)を比較的小さくでき
ることから、発熱抵抗体の抵抗値の設計自由度が向上す
る。
【0074】また、第2の空気温度測温抵抗体120D
及び支持部温度測温抵抗体120Eの抵抗温度係数
(α)を比較的大きく保つことができ、測温感度の向上
が図られる。従って、吸気温度補正と壁温度補正を精度
よく行え、温度特性が向上する。
【0075】さらに、各抵抗体を不純物濃度を変えた多
結晶ケイ素(Si)半導体薄膜で構成することにより、
高価な白金等の様に別個の材料で構成する必要がなく、
一括して同時に多結晶ケイ素(Si)半導体薄膜を形成
できるので、熱式空気流量センサを低コストで製作する
ことができる。
【0076】また、発熱抵抗体120Aと第1の空気温
度測温抵抗体120Cの接続端子は共通の引出線で取り
出されるように配置されるので、端子電極の数が低減で
きるので、熱式空気流量センサを低コストで製作するこ
とができる。
【0077】なお、以上の説明では、測温抵抗体とし
て、第1及び第2の空気温度測温抵抗体120C,12
0Dと支持部温度測温抵抗体120Eの場合について記
載したが、必ずしも、この構成に限定するものではな
い。支持部温度測温抵抗体120Eがない場合において
も、また、新たに、例えば発熱抵抗体の温度を検出する
測温抵抗体を追加した場合等、複数の測温抵抗体の構成
にて本発明が適用できることは自明である。
【0078】
【発明の効果】本発明によれば、発熱抵抗体として多結
晶ケイ素を用いた場合において、熱式空気流量センサの
温度特性の向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態による熱式空気流量センサ
素子の構成を示す平面図である。
【図2】図1のA−A断面図である。
【図3】本発明の一実施形態による熱式空気流量センサ
の構成を示す平面図である。
【図4】本発明の一実施形態による熱式空気流量計の内
燃機関の吸気管への取付状態を示す断面図である。
【図5】本発明の一実施形態による熱式空気流量素子を
用いた熱式空気流量計の回路図である。
【図6】本発明の一実施形態による熱式空気流量センサ
による温度特性の補正原理の説明図である。
【図7】本発明の一実施形態による熱式空気流量センサ
における壁温度特性の説明図である。
【図8】本発明の一実施形態による熱式空気流量センサ
における吸気温度特性の説明図である。
【図9】抵抗率と抵抗温度係数の関係を示す説明図であ
る。
【図10】不純物濃度と抵抗率の関係を示す説明図であ
る。
【図11】本発明の一実施形態による熱式空気流量セン
サ素子の製造工程を示す工程図である。
【符号の説明】
100…熱式空気流量センサ素子 110…シリコン基板 112…空洞部 115…ダイヤフラム 120A…上流側発熱抵抗体 120B…下流側発熱抵抗体 120C…第1の空気温度測温抵抗体 120D…第2の空気温度測温抵抗体 120E…支持部温度測温抵抗体 130…端子電極 150…電気絶縁膜 155…保護膜 170,172,174…支持体 200…制御回路 300…吸入空気通路 310…副通路
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 渡辺 泉 茨城県ひたちなか市高場2477番地 株式会 社日立カーエンジニアリング内 (72)発明者 中田 圭一 茨城県ひたちなか市大字高場2520番地 株 式会社日立製作所自動車機器事業部内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】半導体基板上に電気絶縁膜を介して形成さ
    れた発熱抵抗体と複数の測温抵抗体を有し、発熱抵抗体
    を用いて空気流量を測定するする熱式空気流量センサに
    おいて、 上記発熱抵抗体及び測温抵抗体をドープ処理された多結
    晶ケイ素(Si)半導体薄膜によって構成し、 上記発熱抵抗体と少なくとも一つの測温抵抗体の不純物
    濃度を他の測温抵抗体の不純物濃度より大きくしたこと
    を特徴とする熱式空気流量センサ。
  2. 【請求項2】請求項1記載の熱式空気流量センサにおい
    て、 上記発熱抵抗体と少なくとも一つの上記測温抵抗体のド
    ープ処理された多結晶ケイ素(Si)半導体薄膜の不純
    物濃度を等しくしたことを特徴とする熱式空気流量セン
    サ。
  3. 【請求項3】請求項1記載の熱式空気流量センサにおい
    て、 上記他の測温抵抗体は、空気温度を検出する空気温度測
    温抵抗体であり、上記絶縁膜上であって上記発熱抵抗体
    から離れた位置に形成されていることを特徴とする熱式
    空気流量センサ。
  4. 【請求項4】請求項1記載の熱式空気流量センサにおい
    て、 上記他の測温抵抗体は、上記半導体基板を支持する支持
    部の温度を検出する支持部温度測温抵抗体であり、上記
    絶縁膜上であって上記発熱抵抗体と外部と接続する端子
    電極の間の位置に形成されていることを特徴とする熱式
    空気流量センサ。
  5. 【請求項5】請求項1記載の熱式空気流量センサにおい
    て、 上記発熱抵抗体と少なくとも一つの測温抵抗体の不純物
    濃度を3×1019cm-3以上とし、他の測温抵抗体の不
    純物濃度を3×1019cm-3より小さくしたことを特徴
    とする熱式空気流量センサ。
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