JP2004219080A - 半導体センサ及びその製造方法 - Google Patents

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弘幸 和戸
Takao Iwaki
隆雄 岩城
Toshimasa Yamamoto
山本  敏雅
Yoshikazu Nakae
吉一 中江
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Abstract

【課題】抵抗体として半導体を用いる場合であれ、その抵抗値の変化による感知精度の低下の抑制と製造工程の簡易化との好適な両立を図ることのできる半導体センサを提供する。
【解決手段】単結晶シリコンからなる半導体基板10には、シリコン酸化膜20が形成されている。そして、シリコン酸化膜20上には、上流側ヒータRha、下流側ヒータRhb、リード部L2、L5、上流側温度計Rka、下流側温度計Rkbがそれぞれシリコンにて形成されている。これら上流側ヒータRha、下流側ヒータRhb、上流側温度計Rka、下流側温度計Rkbに隣接してその両側には、除去領域R1〜R5が形成されている。上流側ヒータRha、下流側ヒータRhb等は、除去領域R1〜R5によって露出した半導体基板10をシードとして非晶質シリコンが固相成長することで単結晶化されたシリコンからなる。
【選択図】 図3

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体からなる抵抗体を用いて所定の物理量を感知する半導体センサ及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
流体の流路に配置された発熱体を発熱制御する際、発熱体の生ずる熱が同発熱体付近を流通する流体によって奪われることを利用して流体の流量を検出する熱式のフローメータが周知である。すなわち、このフローメータでは、発熱体の生じる熱のうち、流体によって奪われる熱量が流体の流量が多いほど増加することに着目し、この流体によって奪われる熱量に基づいて発熱体付近の流体の流量を検出するようにしている。
【0003】
具体的には、例えば、感温体を通じて感知される発熱体の近傍の温度を所定の温度に維持するように上記発熱体へ供給する電力量を制御するとともに、上記発熱体の熱のうち、流体によって奪われた熱量の指標としての同発熱体に供給される電力量等に基づいて流体の流量を検出する。また、例えば、発熱体を所定の温度に制御するとともに、上記発熱体の熱のうち、流体によって奪われた熱量の指標としての同発熱体の付近の温度を感温体を通じて検知することで流体の流量を検出する。なおこの感温体は、抵抗体として構成されるとともに、自身の抵抗値の変化を利用して温度を感知するものであることが多い。
【0004】
ところで、こうしたフローメータの備えるフローセンサは通常、半導体プロセスによって製造される。ただし、このように半導体プロセスを用いる場合、上記発熱体や感温体を例えば白金(Pt)等を用いて製造すると、同半導体プロセスにおいては汚染となる問題があった。このため、上記フローセンサを半導体プロセスによって製造する際には、上記発熱体や感温体も半導体にて形成することが望ましい。
【0005】
しかし、例えば発熱体や感温体をポリシリコンによって形成する場合には、通電による抵抗値変化が大きく、フローセンサの流量検出精度を高く維持することが困難である。
【0006】
また、例えばフローセンサを車載内燃機関の吸気通路に配置する場合、同吸気通路内の圧力変動が「数十KPa」となることから、圧力変動に対する抵抗値の変化を示すピエゾ抵抗係数は極力小さいことが望まれる。しかし、一般にシリコン材料は、金属と比較してピエゾ抵抗係数が大きいため、圧力変動による抵抗値の変化が金属と比較してより顕著であり、流量検出精度を確保することが困難となる。
【0007】
そこで従来は、下記特許文献1に見られるように、単結晶シリコンを用いて発熱体や感温体を構成するとともに、この単結晶シリコンの結晶方位のうちのピエゾ抵抗係数を極小とする方位を発熱体や感温体の電流の流通方向と一致させるようにすることなども提案されている。このように、単結晶シリコンを用いることで、通電による抵抗値変化の問題に対処することができるとともに、単結晶シリコンの結晶方位を上述の態様で調整することで、圧力変動による抵抗値の変化をも抑制することができるようになる。
【0008】
【特許文献1】
特開2001―12985号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記特許文献1に記載の技術では、上記発熱体や感温体を構成する単結晶シリコンの結晶方位を上記態様とすべく、(ア)単結晶基板同士を貼り合わせる、あるいは(イ)SIMOX(Separation by Implanted Oxygen)基板を製造する、等々の方法を採用している。しかし、上記(ア)のように、結晶方位の関係を維持して2つの単結晶基板を貼り合わせる場合には、張り合わせの後、発熱体や感温体を構成する側の単結晶シリコン基板を研磨せざるを得ない等、その製造工程が複雑となる問題がある。また、上記(イ)のように、SMOX基板を製造する場合には、酸素イオンを注入する工程や同酸素イオンの注入された基板の結晶性を回復させる工程等が必須となるため、やはりこの場合も製造工程の複雑化は避けられず、ウエハコストが高くなり、センサも高価となる。
【0010】
なお、上記フローセンサに限らず、半導体からなる抵抗体を用いて所定の物理量を感知する半導体センサにあっては、その抵抗値の変化による感知精度の低下の抑制と製造工程の簡易化との両立が困難であるこうした実情も概ね共通したものとなっている。
【0011】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、抵抗体として半導体を用いる場合であれ、その抵抗値の変化による感知精度の低下の抑制と製造工程の簡易化との好適な両立を図ることのできる半導体センサ及びその製造方法を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
こうした目的を達成すべく、請求項1記載の半導体センサでは、下地膜に、その一部が除去された除去領域を設けるとともに、抵抗体を、半導体基板の結晶方位と等しい結晶方位を有する単結晶化された半導体として形成した。このため、半導体基板及び下地膜上に上記抵抗体とする非晶質半導体を形成した後、下地膜の除去された領域における半導体基板の結晶面をシードとして非晶質半導体を固相成長させることができる。これにより、固相成長により単結晶化された半導体の結晶方位のうちピエゾ抵抗係数を極小とする方向を、抵抗体の電流の流通方向と簡易に一致させることができるようになる。したがって、上記半導体センサによれば、その抵抗値の変化による感知精度の低下の抑制と製造工程の簡易化との好適な両立を図ることができるようになる。
【0013】
また、請求項2記載の半導体センサでは、半導体基板には空洞部を有して形成し、下地膜を、該空洞部を架橋するかたちで形成するとともに、抵抗体を、同空洞部に対応する領域である薄膜部に形成した。このため、抵抗体は、外力に対して敏感に反応するものとなり、また、下地膜との熱膨張係数の違いに起因して温度変化による力も受けやすい。この点、上記半導体センサによれば、この抵抗体の電流の流通方向をピエゾ抵抗係数を極小とする方向とすることで、外力等の影響による抵抗値の変動を抑制することができるようになる。
【0014】
また、請求項3記載の半導体センサでは、除去領域を抵抗体と隣接して同抵抗体と平行に形成した。このため、上記非晶質半導体を固相成長させることによって抵抗体を単結晶化された半導体にて一層簡易に形成することができる。すなわち、固相成長を簡易に行うためには、非晶質半導体を炉アニール等の熱処理によって行うことが望ましいが、この場合、シードから下地膜上への固相成長距離には限界がある。これに対し、上記半導体センサによれば、除去領域を抵抗体と隣接して同抵抗体と平行に形成されるようにしたために、炉アニール等の熱処理によっても抵抗体を単結晶化された半導体にて確実に形成することができるようになる。
【0015】
また、請求項4記載の半導体センサでは、除去領域を、抵抗体の幅方向の両側に形成した。これにより、上記非晶質半導体を固相成長させることによって抵抗体を単結晶化された半導体にて形成するに際し、同抵抗体の線幅を簡易に確保することができる。すなわち、非晶質半導体を抵抗体とする領域の両側から単結晶化させることで、この単結晶化された半導体の成長距離の限界値は、片側から固相成長をさせる場合の「2倍」となる。
【0016】
また、請求項5記載の半導体センサでは、抵抗体を、除去領域から水平方向に「2μm」以上離間して形成した。これにより、抵抗体の膜厚を略均一に形成することが容易となる。すなわち、上記固相成長に際しては、面方位による成長速度の違いに起因して、除去領域から水平方向に「2μm」以内の領域にはファセットが形成されやすい。この点、上記半導体センサによれば、ファセットの形成されない領域に抵抗体を形成するために、固相成長により単結晶化された半導体から抵抗体を形成するに際し、その膜厚を均一とすることが容易となる。
【0017】
また、請求項6記載の半導体センサでは、下地膜のうちの薄膜部の形成されている領域以外の領域に、その一部が除去された除去領域を設けるようにした。このように、薄膜部の形成されている領域以外の領域に除去領域を設けるために、薄膜部の強度の低下を抑制することができる。
【0018】
また、請求項7記載の半導体センサでは、除去領域を、抵抗体の長手方向の全体に渡って、同長手方向と直交する方向への同抵抗体の投影領域の下方を包含する態様にて形成した。このため、下地膜の除去された領域における半結晶半導体基板の結晶面をシードとして非晶質半導体を固相成長させる際、抵抗体の長手方向の全領域にわたって簡易に非晶質半導体を単結晶化することができる。
【0019】
また、請求項8記載の半導体センサでは、半導体基板の上面の結晶面を{100}とするとともに、抵抗体を、N型の導電型を有して且つその電流の流通方向が半導体基板の結晶方位<110>に一致する方向に敷設した。このように、半導体基板の上面の結晶面が{100}である場合には、例えば同半導体基板の裏面を開口させる際、アルカリ溶液を用いたウェットエッチングにて結晶面{111}に沿って開口させることができる。したがって、例えば当該半導体基板を薄膜部を有して構成する場合、同薄膜部を矩形状に形成することが容易となる。
【0020】
更に、N型の導電型を有する抵抗体を、その電流の流通方向が半導体基板の結晶方位<110>に一致する方向に敷設したために、ピエゾ抵抗係数を極小とすることができるようになる。
【0021】
また、請求項9記載の半導体センサでは、半導体基板の上面の結晶面を{110}とするとともに、抵抗体を、P型の導電型を有して且つその電流の流通方向が半導体基板の結晶方位<100>に一致する方向に敷設した。このように、半導体基板の上面が結晶面{110}である場合には、例えば同半導体基板の裏面を開口させる際、アルカリ溶液を用いたウェットエッチングにて結晶面{111}にほぼ沿ったかたちで開口させることができる。したがって、例えば当該半導体基板を薄膜部を有して構成する場合、同薄膜部を矩形状に形成することが容易となる。
【0022】
更に、P型の導電型を有する抵抗体を、その電流の流通方向が単結晶半導体基板の結晶方位<100>に一致する方向に敷設したために、ピエゾ抵抗係数を極小とすることができるようになる。
【0023】
また、請求項10記載の半導体センサでは、下地膜において、抵抗体に隣接した領域及び同抵抗体の直下の領域の少なくとも一方にその一部が除去された除去領域を有するようにした。更に、抵抗体を、P型の導電型を有して半導体基板の結晶方位と等しい結晶方位を有する単結晶化された半導体が除去領域に延設されるかたちで形成した。
【0024】
このため、半導体基板及び下地膜上に上記抵抗体とする非晶質半導体を形成した後、下地膜の除去された領域における半導体基板の結晶面をシードとして非晶質半導体を固相成長させることができる。これにより、固相成長させることで生成された単結晶シリコンの結晶方位のうちピエゾ抵抗係数を極小とする方向を、抵抗体の電流の流通方向と簡易に一致させることができるようになる。したがって、上記半導体センサによれば、その抵抗値の変化による感知精度の低下の抑制と製造工程の簡易化との好適な両立を図ることができるようになる。
【0025】
しかも、下地膜上に形成されている抵抗体が除去領域に延設されるかたちで形成されるため、抵抗体の線幅を十分に確保することが容易となる。そして、この際、抵抗体がP型の導電型を有するために、同抵抗体の形成される箇所において半導体基板に空洞部を形成する場合には、アルカリ溶液によるウェットエッチングを用いる場合であれ、選択比を好適に確保することができる。
【0026】
また、請求項11記載の半導体センサでは、半導体基板の上面の結晶面を{110}とするとともに、抵抗体を、その電流の流通方向が前記半導体基板の結晶方位<100>に一致する方向に敷設した。このように、半導体基板の上面が結晶面{110}である場合には、例えば同半導体基板の裏面を開口させる際、アルカリ溶液を用いたウェットエッチングにて結晶面{111}にほぼ沿ったかたちで開口させることができる。したがって、例えば当該半導体基板を薄膜部を有して構成する場合、同薄膜部を矩形状に形成することが容易となる。
【0027】
更に、P型の導電型を有する抵抗体を、その電流の流通方向が単結晶半導体基板の結晶方位<100>に一致する方向に敷設したために、ピエゾ抵抗係数を極小とすることができるようになる。
【0028】
また、請求項12記載の半導体センサでは、下地膜の除去領域を、抵抗体の形成面側に開口面積が徐々に拡大されるテーパ状に形成するようにした。これにより、上記非晶質半導体を固相成長させることによる下地膜上での単結晶化された半導体の形成を促進することができるようになる。
【0029】
なお、請求項12記載の半導体センサは、請求項13記載の半導体センサによるように、除去領域のテーパ角を「40°」以下としてもよい。これにより、下地膜上での単結晶化された半導体の形成をいっそう促進することができるようになる。
【0030】
また、請求項14記載の半導体センサでは、当該半導体センサは、発熱体と、該発熱体の近傍の温度を感知する感温体とを備えて流体の流量を感知するフローセンサであるとともに、前記発熱体及び前記感温体の少なくとも一方が前記抵抗体にて形成されるものであるようにした。こうしたフローセンサにあっては、上記発熱体や感温体としての抵抗体への圧力の印加に起因した抵抗値の変化がフローセンサの感知精度に大きく影響することとなる。これに対し、上記半導体センサによれば、抵抗体の電流の流通方向をピエゾ抵抗係数を極小とする方向と簡易に一致させることができるため、フローセンサの感知精度の低下の抑制と製造工程の簡易化との好適な両立を図ることができるようになる。
【0031】
また、請求項15記載の半導体センサでは、当該半導体センサの環境温度を感知する単結晶化された半導体からなる温度計を更に備え、且つ前記温度計と隣接して同温度計と平行に前記下地膜が除去された領域を更に備えるようにした。このため、この温度計に隣接して下地膜の除去された領域における半導体基板の結晶面をシードとして非晶質半導体を固相成長させることができる。これにより、固相成長により単結晶化された半導体の結晶方位のうちピエゾ抵抗係数を極小とする方向を、温度計の電流の流通方向と簡易に一致させることができるようになる。したがって、圧力印加に起因した抵抗値の変化による温度計の感知精度の低下を抑制することができる。
【0032】
また、抵抗体と膜質を近似させることができることから、抵抗温度係数等の特性を上記抵抗体と簡易に一致させることもできる。
また、請求項16記載の半導体センサでは、感温体は、前記抵抗体にて構成されるものであるとともに、前記温度計と前記抵抗体とが同一の線幅にて構成されてなるようにした。このため、抵抗体とその膜質をいっそう近似させることができ、ひいては、抵抗温度係数等の特性を上記抵抗体といっそう簡易に一致させることもできる。
【0033】
また、請求項17記載の半導体センサでは、発熱体は抵抗体が複数並列に接続されて構成されるようにした。これにより、発熱体として必要な合計の線幅を確保しつつも、同発熱体の製造を簡易に行うことができる。すなわち、発熱体を上記抵抗体の並列接続体として形成することで、各抵抗体の線幅についてはこれを縮小することができるため、上記固相成長距離の限界値以下の設定に容易にすることができる。
【0034】
また、請求項18記載の半導体センサでは、半導体薄膜を、少なくとも抵抗体を構成する領域が局所的に半導体基板の結晶方位と等しい結晶方位を有して単結晶化されてなるようにした。このように、半導体薄膜を半導体基板の結晶方位と等しい結晶方位を有して局所的に単結晶化するために、半導体基板の結晶面をシードとして用いた固相成長にて上記抵抗体を簡易に形成することができる。
【0035】
すなわち、半導体基板及び下地膜上に上記抵抗体とする非晶質半導体を形成した後、下地膜の一部を除去することにより露出した半導体基板の結晶面をシードとして非晶質半導体を固相成長させることで簡易に上記抵抗体を形成することができる。これにより、固相成長させることで生成された単結晶シリコンの結晶方位のうちピエゾ抵抗係数を極小とする方向を、抵抗体の電流の流通方向と簡易に一致させることができるようになる。したがって、上記半導体センサによれば、その抵抗値の変化による感知精度の低下の抑制と製造工程の簡易化との好適な両立を図ることができるようになる。
【0036】
また、請求項19記載の半導体センサは、半導体基板には空洞部を有して形成し、下地膜を、該空洞部を架橋するかたちで形成するとともに、抵抗体を、同空洞部に対応する領域である薄膜部に形成した。このため、抵抗体は、外力に対して敏感に反応するものとなり、また、下地膜との熱膨張係数の違いに起因して温度変化による力も受けやすい。この点、上記半導体センサによれば、この抵抗体の電流の流通方向をピエゾ抵抗係数を極小とする方向とすることで、外力等の影響による抵抗値の変動を抑制することができるようになる。
【0037】
また、請求項20記載の半導体センサは、当該半導体センサは、発熱体と、該発熱体の近傍の温度を感知する感温体とを備えて流体の流量を感知するフローセンサであるとともに、発熱体及び感温体の少なくとも一方を上記単結晶化された抵抗体にて形成した。こうしたフローセンサにあっては、上記発熱体や感温体としての抵抗体への圧力の印加に起因した抵抗値の変化がフローセンサの感知精度に大きく影響することとなる。これに対し、上記半導体センサによれば、抵抗体の電流の流通方向をピエゾ抵抗係数を極小とする方向と簡易に一致させることができるため、フローセンサの感知精度の低下を抑制することと製造工程を簡易化することとの好適な両立を図ることができるようになる。
【0038】
一方、請求項21記載の半導体センサの製造方法では、半導体基板上に下地膜を形成する工程と、下地膜のうちの抵抗体とする領域に隣接した領域を半導体基板の表面が露出されるまで除去する工程と、除去する領域も含めて、下地膜上に非晶質半導体を形成する工程と、非晶質半導体に熱処理を施すことで、下地膜の除去された領域における半導体基板の結晶面をシードとし該非晶質半導体の固層成長に基づき、同非晶質半導体の少なくとも前記抵抗体とする部分を単結晶化する工程と、単結晶化された半導体をパターニングして抵抗体を形成する工程とを備えるようにした。
【0039】
これにより、固相成長により単結晶化された半導体の結晶方位のうちピエゾ抵抗係数を極小とする方向を、抵抗体の電流の流通方向と簡易に一致させることができるようになる。したがって、上記半導体センサの製造方法によれば、その抵抗値の変化による感知精度の低下の抑制と製造工程の簡易化との好適な両立を図ることができるようになる。
【0040】
また、請求項22記載の半導体センサの製造方法では、半導体基板に空洞部を形成することで、下地膜が空洞部を架橋して薄膜部を形成するようにする工程を更に有し、且つ抵抗体を、薄膜部に形成するようにした。このように抵抗体を薄膜部に形成するため、抵抗体は、外力に対して敏感に反応するものとなり、また、下地膜との熱膨張係数の違いに起因して温度変化による力も受けやすい。この点、上記半導体センサの製造方法によれば、この抵抗体の電流の流通方向をピエゾ抵抗係数を極小とする方向とすることで、外力等の影響による抵抗値の変動を抑制することができるようになる。
【0041】
また、請求項23記載の半導体センサの製造方法では、非晶質半導体を単結晶化する工程に先立つ工程として、非晶質半導体に不純物を予めドーピングする工程を更に備えた。これにより、上記固相成長の成長距離を増大させることができるようになる。
【0042】
この請求項23に記載の半導体センサの製造方法は、請求項24記載の半導体センサの製造方法によるように、ドーピングする不純物の濃度を、「5×1019〜5×1020cm―」の範囲とするようにしてもよい。これにより、上記固相成長の成長距離をいっそう好適に増大させることができるようになる。
【0043】
また、請求項25記載の半導体センサの製造方法では、非晶質半導体を単結晶化する工程の後、少なくとも抵抗体とする部分に再度不純物をドーピングする工程を更に備えた。これにより、抵抗体の抵抗率を十分に低下させることができるようになる。
【0044】
なお、上記請求項25記載の半導体センサの製造方法は、請求項26記載の半導体センサの製造方法によるように、非晶質半導体を単結晶化する工程に先立ってドーピングする不純物の濃度を「1×1020cm―」程度とし、同非晶質半導体を単結晶化した後に再度ドーピングする不純物の濃度Aを、「1×1020cm―<A<5×1020cm―」の範囲とした。これにより、固相成長距離を好適に増大させることができるとともに、抵抗体の抵抗率を好適に低下させることができるようになる。
【0045】
また、請求項27記載の半導体センサの製造方法では、下地膜のうち、抵抗体とする領域に隣接した領域を除去する工程は、同下地膜の開口が抵抗体の形成面側に開口面積が徐々に拡大されるテーパ状となる態様で行われる。これにより、上記非晶質半導体を固相成長させることによる下地膜上での単結晶化を促進することができるようになる。
【0046】
また、請求項28記載の半導体センサの製造方法では、非晶質半導体の単結晶化に際しての熱処理を、「570〜600℃」の炉アニール処理として行った。これにより、固相成長距離の確保と固相成長の工程にかかる時間の短縮との好適な両立を図ることができる。
【0047】
また、請求項29記載の半導体センサの製造方法では、半導体基板上に下地膜を形成する工程と、薄膜部を構成する部分以外の部分において下地膜を半導体基板の表面が露出するまで部分的に除去する工程と、除去した部分も含めて、下地膜上に非晶質半導体を形成する工程と、非晶質半導体に熱処理を施すことで、下地膜の除去された領域における半導体基板の結晶面をシードとした該非晶質半導体の固層成長に基づき、少なくとも抵抗体とする部分まで非晶質半導体を単結晶化する工程と、単結晶化された半導体をパターニングして抵抗体を形成する工程とを備えた。
【0048】
これにより、固相成長により単結晶化された半導体の結晶方位のうちピエゾ抵抗係数を極小とする方向を、抵抗体の電流の流通方向と簡易に一致させることができるようになる。したがって、上記半導体センサの製造方法によれば、その抵抗値の変化による感知精度の低下の抑制と製造工程の簡易化との好適な両立を図ることができるようになる。
【0049】
また、請求項30記載の半導体センサの製造方法では、非晶質半導体の単結晶化に際しての熱処理が、同非晶質半導体に対するレーザ照射によって行われる。これにより、固相成長距離を好適に確保することができるようになる。
【0050】
また、請求項31記載の半導体センサの製造方法では、当該半導体センサを、発熱体と、該発熱体の近傍の温度を感知する感温体とを備えて流体の流量を感知するフローセンサとし、且つ発熱体及び感温体の少なくとも一方を単結晶化された半導体からなる抵抗体にて形成した。こうしたフローセンサにあっては、上記発熱体や感温体としての抵抗体への圧力の印加に起因した抵抗値の変化がフローセンサの感知精度に大きく影響することとなる。これに対し、上記半導体センサの製造方法によれば、抵抗体の電流の流通方向をピエゾ抵抗係数を極小とする方向と簡易に一致させることができるため、フローセンサの感知精度の低下の抑制と製造工程の簡易化との好適な両立を図ることができるようになる。
【0051】
【発明の実施の形態】
(第1の実施形態)
以下、本発明にかかるフローセンサを車載用内燃機関の吸入空気量を検出するフローメータに適用した第1の実施形態を図面を参照しつつ説明する。
【0052】
図1に、上記フローメータFMの回路構成を示す。同図1に示されるように、このフローメータFMは、熱式のフローセンサFSと、該フローセンサFSの感知結果に基づき電気信号を生成する信号生成回路SGとを備えている。
【0053】
ここで、フローセンサFSは、上流側ヒータRhaと下流側ヒータRhbと、当該フローメータFMの環境温度を感知する上流側温度計Rkaと下流側温度計Rkbとを備えている。
【0054】
本実施形態においては、これら上流側ヒータRhaと下流側ヒータRhbは、発熱体であるとともに自身の温度を感知する感温体としても機能する。すなわち、これら上流側ヒータRhaと下流側ヒータRhbは、電流の供給によって発熱する抵抗体としての機能に加えて、同抵抗体の抵抗値の変化に基づいて自身の温度をも感知するものである。そして、フローセンサFSでは、上流側ヒータRhaと下流側ヒータRhbとの生じる熱のうち流体によって奪われる熱に基づき流体の流量を感知する。また、フローセンサFSでは、上流側ヒータRhaと下流側ヒータRhbとのそれぞれの生じる熱のうち流体によって奪われる熱量の差に基づき、流体の流通方向を感知する。
【0055】
一方、信号生成回路SGは、上記フローセンサFSによる流体の流量及び流体の流通方向の感知結果に応じた検出信号を生成する。詳しくは、上流側ヒータRha及び上流側温度計Rkaの温度差と、下流側ヒータRhb及び下流側温度計Rkbの温度差とをそれぞれ所定値(例えば「200℃」)とするように、フローセンサFSへ供給する電流を制御する。そして、このフローセンサFSで消費される電力に基づき上記流体の流量及び流体の流通方向に応じた検出信号を生成する。
【0056】
ここで、上記フローセンサFS及び信号生成回路SGを備えるフローメータFMの具体的な回路構成について更に説明する。
フローメータFMは、吸気通路の上流側に対応した上流側ホィーストンブリッジUHBと、吸気通路の下流側に対応した下流側ホィーストンブリッジDHBとを備えている。
【0057】
ここで、上流側ホィーストンブリッジUHBは、上流側ヒータRhaから抵抗R1aへと、また、上流側温度計Rkaから抵抗R2aへとそれぞれ電流が流れる態様にて、上流側ヒータRha及び抵抗R1aと上流側温度計Rka及び抵抗R2aとが並列接続された回路である。そして、上流側ヒータRhaと上流側温度計Rkaとの接続点PaにトランジスタUTを介してバッテリBから電流が供給される。そして、上流側ヒータRhaでの電圧降下と上流側温度計Rkaでの電圧降下とは差動増幅回路UOPに取り込まれる。そして、この差動増幅回路UOPにより、これら2つの電圧降下を等しくすべく、換言すればブリッジの平衡条件を成立させるべく、これらの電圧降下の差に応じてトランジスタUTが制御される。
【0058】
ここで、上流側ホィーストンブリッジUHBは、平衡条件が成立したときに、上流側ヒータRhaの温度が上流側温度計Rkaの温度よりも上記所定値だけ高くなるように設定されている。なお、環境温度にかかわらず、上流側ヒータRhaの温度が上流側温度計Rkaの温度よりも上記所定値だけ高くなるときに上記平衡条件が成立するようにすべく、これら上流側ヒータRhaと上流側温度計Rkaとは、抵抗温度係数が互いに等しく設定されている。
【0059】
一方、下流側ホィーストンブリッジDHBは、下流側ヒータRhbから抵抗R1bへと、また、下流側温度計Rkbから抵抗R2bへとそれぞれ電流が流れる態様にて、下流側ヒータRhb及び抵抗R1bと下流側温度計Rkb及び抵抗R2bとが並列接続された回路である。この下流側ホィーストンブリッジDHBも、上流側ホィーストンブリッジUHBと同様、平衡条件を成立させるべく、トランジスタDT及び差動増幅回路DOPを備えている。なお、この下流側ホィーストンブリッジDHBの構成は、上流側ホィーストンブリッジUHBの構成と同様であるため、その説明を割愛する。
【0060】
これら上流側ホィーストンブリッジUHBの上流側ヒータRhaでの電圧降下と、下流側ホィーストンブリッジDHBの下流側ヒータRhbでの電圧降下とは、差動増幅回路COPに取り込まれる。そして、これら2つの電圧降下の差に応じた信号が差動増幅回路COPにて生成され、増幅回路ACによって増幅された後、信号生成回路SGの端子P7を介して外部に出力される。この端子P7を介して出力される検出信号が流体の流量及び流通方向の検出信号である。
【0061】
図2に、上記フローセンサFSの構成を示す。このフローセンサFSは、半導体基板10を備えて構成されている。そして、半導体基板10上に積層されているシリコン酸化膜20上には、上流側ヒータRhaや下流側ヒータRhb、上流側温度計Rkaや下流側温度計Rkbが形成されている。そして、これら上流側ヒータRhaや下流側ヒータRhb、上流側温度計Rka、下流側温度計Rkbは、リード部L1〜L6を介して、先の図1に示した信号生成回路SGとの接続端子となるパッドP1〜P6と接続されている。
【0062】
ちなみに、半導体基板10は、空洞部Hを有する。詳しくは、半導体基板10は、その裏面側において図2に1点鎖線にて示す矩形状の領域が開口されているとともに、この開口面積が半導体基板10の上面側へ行くほど縮小され、同半導体基板10の上面では図2に破線にて示されるような矩形状の領域となっている。
【0063】
このように空洞部Hを有するために、上流側ヒータRhaや下流側ヒータRhbは、フローセンサFSのうち、半導体基板10の空洞部Hを架橋するようにして形成されている薄膜部MBに備えられることとなる。この薄膜部MBは、フローセンサFSの他の箇所と比べてその膜厚が薄く形成されているために、熱容量が低く抑えられ、また、フローセンサFSの他の箇所との熱的な絶縁が図られている。更に、薄膜部MBの2辺と、上流側ヒータRhaや下流側ヒータRhbの長手方向とが平行となるように設定されており、これにより、フローセンサFSの感度の向上が図られている。
【0064】
なお、上記フローセンサFSは、車載内燃機関において、流体の流通方向が、上流側ヒータRhaや下流側ヒータRhbの長手方向と直交する方向となるように配置される。
【0065】
次に、上記フローセンサFSのうち、特に上記薄膜部MBについて更に説明する。
図3に、フローセンサFSのうち薄膜部MB近傍の断面構成を示す。この図3は、先の図2のA−A断面を示している。同図3に示すように、単結晶シリコンからなる半導体基板10には、上記シリコン酸化膜20が形成されている。そして、シリコン酸化膜20上には、上流側ヒータRha、下流側ヒータRhb、リード部L2、L5、上流側温度計Rka、下流側温度計Rkbがそれぞれシリコンにて形成されている。そして、これら上流側ヒータRha、下流側ヒータRhb、リード部L2、L5、上流側温度計Rka、下流側温度計Rkbを覆うようにして、シリコン窒化膜40が積層されている。ちなみに、上記シリコン酸化膜20やシリコン窒化膜40は、空洞部Hを含めて半導体基板10の上方の略全ての領域に積層形成されている。
【0066】
本実施形態では、半導体基板10は、単結晶シリコンからなるとともに、その上面(シリコン酸化膜20との界面)が基本格子の等価な6面のいずれかである{100}面に設定されている。そして、薄膜部MBの端部の辺を、半導体基板10の結晶方位<110>に一致させる。すなわち、例えば半導体基板10の上面を結晶面(100)とすると、薄膜部MB近傍の拡大平面図である図4に例示すように、薄膜部MBの端部の辺は、それぞれ半導体基板10の結晶方位[011]等と一致している。
【0067】
そして、上述したように、上流側ヒータRhaと下流側ヒータRhbとの長手方向は、薄膜部MBの2辺と平行となっているため、これら上流側ヒータRhaと下流側ヒータRhbとの長手方向も、半導体基板10の結晶方位<110>と一致している。
【0068】
一方、上流側ヒータRha、下流側ヒータRhb、上流側温度計Rka、下流側温度計Rkbは、単結晶化されたシリコン(単結晶シリコンに近似した特性を有する膜)にて形成されている。これに対し、リード部L1〜L6は、多結晶シリコンにて形成されている。
【0069】
そして、上記単結晶化されたシリコンからなる上流側ヒータRha、下流側ヒータRhb、上流側温度計Rka、下流側温度計Rkbは、N型の導電型を有するとともに、そのピエゾ抵抗係数が極小となるように設定されている。次に、このピエゾ抵抗係数の極小化について説明する。
【0070】
上流側ヒータRha、下流側ヒータRhb、上流側温度計Rka、下流側温度計Rkbを構成する単結晶化されたシリコンは、それぞれ上記半導体基板10の結晶方位と等しくなるように配置されている。すなわち、例えば、上流側ヒータRha、下流側ヒータRhb、上流側温度計Rka、下流側温度計Rkbを構成する単結晶化されたシリコンは、その上面が結晶面{100}となっている。また、例えば、上流側ヒータRhaと下流側ヒータRhbとの長手方向は、これらを構成する単結晶化されたシリコンの結晶方位<110>ともなっている。そしてこれにより、上流側ヒータRhaと下流側ヒータRhbとは、その電流の流通方向においてピエゾ抵抗係数が極小となる。また、上流側温度計Rkaと下流側温度計Rkbとは、その長手方向においてピエゾ抵抗係数が極小となる。
【0071】
図5に、結晶方位とピエゾ抵抗係数との関係を示す。
図5(a)は、N型の導電型を有する単結晶シリコンの上面が結晶面{100}であるものについて、その結晶方位とピエゾ抵抗係数との関係を示している。同図5(a)において、(πl)は、電流の流通方向と平行な方向に加わる応力の変化に対する抵抗値の変化を示す抵抗係数であり、(πt)は、電流の流通方向と垂直な方向に加わる応力の変化に対する抵抗値の変化を示す抵抗係数である。同図5(a)に示されるように、N型の導電型を有する単結晶シリコンの上面が結晶面{100}であるときには、結晶方位<110>において上記2つの係数である(πl)、(πt)は、いずれも極小値を取ることがわかる。
【0072】
一方、図5(b)は、P型の導電型を有する単結晶シリコンの上面が結晶面{100}であるものについて、その結晶方位とピエゾ抵抗係数との関係を示している。同図5(b)に示されるように、この場合、結晶方位<110>においては、ピエゾ抵抗係数が大きな値となっている。
【0073】
次に、上流側ヒータRha、下流側ヒータRhb、上流側温度計Rka、下流側温度計Rkbを構成する単結晶化されたシリコンと、半導体基板10との結晶方位を互いに簡易に等しくための上記フローセンサFSの構成について説明する。
【0074】
先の図3に示すように、上流側ヒータRhaや、下流側ヒータRhb等の下地膜としてのシリコン酸化膜20は、その一部が除去された除去領域R1〜R5を有して形成されている。詳しくは、先の図4に示すように、上流側ヒータRhaや、下流側ヒータRhbと隣接してこれらと平行に、除去領域R1〜R3が形成されている。更に、上流側温度計Rka、下流側温度計Rkbと隣接してこれらと平行に除去領域R4、5が形成されている。しかも、これら上流側ヒータRhaや、下流側ヒータRhb等の幅方向の両側に除去領域R1〜R5が形成されている。
【0075】
更に、これら除去領域R1〜R3は、上流側ヒータRhaや、下流側ヒータRhbの長手方向(図4、縦方向)の全体に渡って、同長手方向と直交する方向(図4、横方向)への投影領域の下方を包含する態様にて形成されている。また、除去領域R4やR5は、上流側温度計Rka、下流側温度計Rkbの長手方向(図4、縦方向)と直交する方向(図4、横方向)への投影領域の下方を包含する態様にて形成されている。
【0076】
上記除去領域Rを設けることで、図6に示すように、半導体基板10及びシリコン酸化膜20上に上流側ヒータRhaや下流側ヒータRhbとする非晶質シリコンを堆積した後、炉アニール処理により、除去領域Rにおける半導体基板10の結晶面をシードとして非晶質シリコンを固相成長させることができる。そして、これにより、シード上方から下地基板と同じ結晶方位の結晶が成長し、その後、横方向に、換言すればシリコン酸化膜20上に、結晶が成長する。ただし、この横方向への結晶の成長距離には限界がある。すなわち、固相成長がある程度進む頃には、非晶質シリコン内で結晶核が生じるため、これを核とした結晶成長が生じ多結晶シリコンとなる。本実施形態では、上記シードから固相成長することで単結晶である半導体基板10と同じ面方位を有して単結晶化されたシリコンを用いて上流側ヒータRhaや下流側ヒータRhb等を形成する。
【0077】
そして、上記半導体基板10と同じ面方位を有する単結晶化されたシリコンを用いて上流側ヒータRhaや、下流側ヒータRhb等を形成すべく、上記除去領域Rは、上流側ヒータRhaや、下流側ヒータRhb等と隣接するとともにこれらと平行に形成されるようにした。そして、除去領域Rは、上流側ヒータRhaや、下流側ヒータRhbの長手方向をカバーするようにした。これにより、上記非晶質シリコンを固相成長させることによって、上流側ヒータRhaや、下流側ヒータRhb等に対応した領域を確実に単結晶化することが可能となる。
【0078】
更に、上流側ヒータRhaや、下流側ヒータRhb等の両側に除去領域R1〜R5を形成して両側からの固相成長を利用することで、単結晶化されるシリコンの幅の限界値を「2」倍とすることができる。
【0079】
ここで、上記固相成長を好適に行うための条件について考察する。
図7に、図6に示すシリコン酸化膜20が、上流側ヒータRhaや、下流側ヒータRhb等の形成面側に開口面積が徐々に拡大されるテーパ状に形成される除去領域Rのテーパ角θと、固相成長との関係を示す。同図7では、テーパ角θが「20°」であるときの成長距離を「1」としたときの、テーパ角θに対する成長距離の関係を示している。同図7に示されるように、テーパ角θが「40°」を超えると、テーパ角θが増大するほど成長距離が低減する。このため、本実施形態では、テーパ角θを「40°」以下に設定することとする。
【0080】
また、先の図6に示すように、上記固相成長により単結晶化されるシリコンの成長速度には面方位による差があることから、除去領域R端部上方には、結晶面{111}面のファセットFが形成される。同図6に示すように、このファセットFの形成される部分は、単結晶化されたシリコンの膜厚が厚くなる。このため、ファセットFの形成されている部分を含んで上流側ヒータRhaや、下流側ヒータRhb等を形成すると、薄膜部MB(保護膜としてのシリコン窒化膜40)上面の段差が大きくなる。このため、ファセットFは除去領域R端部から水平方向の距離Wが「2μm」以内に形成されることを考慮して、本実施形態では、除去領域R端部から水平方向の距離Wを「2μm」以上離間して上流側ヒータRhaや、下流側ヒータRhb等を形成する。
【0081】
次に、上記横方向への固相成長の距離について図8を用いて考察する。
図8において、曲線f1は、リンのドープされた非晶質シリコン中の不純物濃度と上記横方向の成長距離との関係を示すものである。同図8に示されるように、不純物濃度を大きくすることで横方向の成長距離を拡大することができる。この不純物濃度が「5×1019cm―」以上であると、成長距離を「30μm」以上とすることができ望ましい。特に、不純物濃度が「1×1020cm―」程度であるときに成長距離が最大となる。そしてこのとき、成長距離は「40μm」となる。このため、本実施形態のように、上流側ヒータRhaや、下流側ヒータRhb等に隣接して両側に除去領域を設けることで、線幅「80μm」程度の単結晶化されたシリコンを得ることができる。
【0082】
一方、当該フローセンサFSは、低電圧(例えば「14V」以下)駆動が望まれるため、上流側ヒータRhaや、下流側ヒータRhb等は低抵抗が望ましい。このため、これら上流側ヒータRhaや、下流側ヒータRhb等の抵抗率の低下を図る上では、不純物濃度は高濃度であるほど望ましい。
【0083】
ただし、図8の曲線f2に、不純物濃度と高温通電時における抵抗値の変化との関係を示すように、不純物濃度が所定の濃度以上となると高温通電時における抵抗値の変化が顕著となる。この抵抗値が顕著に変化する不純物濃度は、不純物種や、上流側ヒータRha及び下流側ヒータRhb等を製造する際のプロセス温度によって若干変化するが、通常のプロセス温度においては「5×1020cm―」程度の濃度となる。
【0084】
以上から、本実施形態では、不純物濃度を「5×1019cm―〜5×1020cm―」とする。更に、上記横方向の固相成長距離を最大化しつつ抵抗率を極力低下させるためには、不純物濃度を「1×1020cm―」程度として固相成長を行った後、再度不純物をドーピングするようにすることが望ましい。
【0085】
ここで、本実施形態にかかる膜厚条件や成膜条件を満たす薄膜部MBの製造手順の一例を図9及び図10に基づいて説明する。図9及び図10に示す断面は、先の図2に示したA−A断面である。
【0086】
この一連の工程においては、まず図9(a)に示すように、単結晶シリコンからなる半導体基板10を、その上面が結晶面{100}となるようにして配置する。次に、同半導体基板10上にパッド酸化膜11及びシリコン窒化膜12を順次積層形成する。そして、上記除去領域R1〜R5に対応してこれらパッド酸化膜11及びシリコン窒化膜12をパターニングする。
【0087】
一方、図9(b)に示す工程においては、上記シリコン窒化膜12をマスクとして半導体基板10を熱酸化することにより、シリコン酸化膜20を形成する。このように、本実施形態では、LOCOS法を用いてシリコン酸化膜20を形成することで、上記除去領域R1〜R5をシリコン酸化膜20がテーパ状に開口されることによって形成される領域とする。
【0088】
続く図9(c)に示す工程では、上記パッド酸化膜11及びシリコン窒化膜12を除去した後、多結晶シリコンからなる半導体薄膜30を、低圧CVD法にて例えば膜厚「1.0μm」にて堆積する。このときの成膜温度は、例えば「600℃」とすればよい。次に、図9(d)に示す工程において、半導体薄膜30に不純物(リン)を所定量(例えば「1×1020cm―」程度)注入する。この不純物の注入量は、上記横方向の固相成長速度の増大を図ることができるのみならず、上記半導体薄膜30の非晶質化を図ることのできる量とする。
【0089】
このように、多結晶シリコンからなる半導体薄膜30を低圧CVD法にて成膜後、この非晶質化を図ることで非晶質シリコンを形成する場合、非晶質シリコンを直接堆積するよりも高い成膜速度を確保することができる。
【0090】
こうして不純物の注入された後、図9(e)に示す工程において、炉アニール(熱処理)を行う。この熱処理により、除去領域R1〜R5と隣接するシリコン酸化膜20上の非晶質シリコンは、その両側から単結晶化が進むこととなる。なお、この熱処理の条件は、例えば「570℃〜600℃」で所定時間(例えば「20時間」)の熱処理とする条件であることが望ましい。こうした温度設定により、固相成長距離と製造時間との好適な両立を図ることができる。
【0091】
なお、この熱処理によって、リード部L1〜L6とする領域は、多結晶化される。
こうして上流側ヒータRhaや、下流側ヒータRhb等とする部分の単結晶化を図った後、これら上流側ヒータRhaや、下流側ヒータRhb等の抵抗率を更に低下させる場合には、図10(a)に示す工程おけるように、不純物(リン)を更に注入すればよい。
【0092】
次に、図10(b)に示す工程において、半導体薄膜30をパターニングすることで、上流側ヒータRha、下流側ヒータRhb、上流側温度計Rka、下流側温度計Rkb、リード部L2、L5を形成する。ちなみに、この図10や先の図9等では、フローセンサFSの製造時の断面図を模式的に示しており、そのサイズ比は正確ではない。実際には、上流側ヒータRha、下流側ヒータRhb等の線幅は、その膜厚の数十倍とすることが望ましい。
【0093】
なお、ここでは図示しないが、これら図9(c)〜図10(b)に示す工程において、先の図2に示したリード部L1、L3、L4、L6をも同時に形成する。
【0094】
次に、図10(c)に示す工程において、熱CVD法にてシリコン窒化膜40を例えば膜厚「3.0μm」にて堆積する。このときの成膜条件を以下に例示する。
【0095】
ガス流量比 SiHCl:NH=4:1
雰囲気温度 850℃
圧力 20Pa
次に、図10(d)に示すように、半導体基板10の裏面側に、シリコン窒化膜50を、プラズマCVD法により所定の膜厚(例えば「1μm」)にて成膜する。続いて、先の図2に一点鎖線にて示した領域に対応した開口部を形成すべく、反応性イオンエッチングにてシリコン窒化膜50をエッチングする。更に、シリコン窒化膜50をマスクとして半導体基板10をエッチングすることで、半導体基板10に空洞部Hを形成する。これにより、空洞部Hを架橋するように薄膜部MBが形成されることとなる。
【0096】
ここで、この図10(d)に示す半導体基板10のエッチングは、KOHやTMAH等のアルカリ性のエッチング液を用いたウェットエッチングにて行う。これにより、半導体基板10を上記エッチング液により{111}面に沿ってエッチングすることができる。
【0097】
なお、この図10(d)に示す工程の前又は後の工程において、シリコン窒化膜40にコンタクトホールを形成するとともに、ここに金属を充填して先の図2に示したパッドP1〜P6を形成する。
【0098】
以上詳述した本実施形態によれば、以下の効果が得られるようになる。
(1)上流側ヒータRhaや、下流側ヒータRhb等を構成する単結晶化されたシリコンと半導体基板10との結晶方位を同一とするとともに、シリコン酸化膜20の一部が除去された除去領域R1〜R5を有するようにした。これにより、上流側ヒータRhaや、下流側ヒータRhb等を構成する単結晶シリコンの結晶方位のうちピエゾ抵抗係数を極小とする方向を、抵抗体の電流の流通方向と簡易に一致させることができるようになる。
【0099】
(2)除去領域R1〜R5を上流側ヒータRhaや、下流側ヒータRhb等と隣接してこれらと平行に形成した。このため、炉アニール処理によっても、必要な領域に単結晶シリコンを簡易に形成することができる。
【0100】
(3)除去領域を、上流側ヒータRhaや、下流側ヒータRhb等の幅方向の両側に形成した。これにより、単結晶シリコンから構成される上流側ヒータRhaや、下流側ヒータRhb等の線幅を十分に確保することができるようになる。
【0101】
(4)上流側ヒータRhaや、下流側ヒータRhb等を、除去領域から水平方向に「2μm」以上離間して形成した。これにより、ファセット等を含めず、これら上流側ヒータRhaや、下流側ヒータRhb等の膜厚を略均一に形成することができる。
【0102】
(5)除去領域を、シリコン酸化膜20がテーパ状に開口された領域として形成した。これにより、横方向の固相成長距離を十分に確保することができる。
(6)半導体基板10の上面を結晶面{100}とするとともに、アルカリ性のエッチング液にてウェットエッチングにより同半導体基板10をエッチングした。これにより、半導体基板10を{111}面に沿って開口させることができ、薄膜部MBを簡易に矩形状に形成することができる。
【0103】
(7)上流側ヒータRhaや、下流側ヒータRhb等において、その電流の流通方向を結晶方位<110>とした。これにより、ピエゾ抵抗係数を極小とすることができる。
【0104】
(8)不純物を注入した後、固相成長を行った。これにより、横方向の固相成長距離を拡大することができる。
(9)シリコン酸化膜20をLOCOS法にて形成した。これにより、除去領域との境界近傍がテーパ状に開口された形状を有するシリコン酸化膜20を簡易に形成することができる。
【0105】
(10)低圧CVD法にて多結晶シリコンを堆積後、これに高濃度の不純物を注入することで、非晶質シリコンを形成した。これにより、成膜速度を高く維持することができる。
【0106】
(第2の実施形態)
次に、本発明にかかるフローセンサを車載用内燃機関の吸入空気量を検出するフローメータに適用した第2の実施形態について、先の第1の実施形態との相違点を中心に図面を参照しつつ説明する。
【0107】
上記フローメータも先の図1と同様の構成を有する。また、本実施形態にかかるフローセンサFSの平面構成も、先の図2に示した構成と同様である。
図11に、本実施形態にかかるフローセンサFSの断面構成を示す。この図11は、先の図2に示したA−A断面と同様の断面を示している。同図11に示すように、単結晶シリコンからなる半導体基板110上には、シリコン酸化膜120が形成されている。このシリコン酸化膜120上には、上流側ヒータRhaや、下流側ヒータRhb、リード部L2、L5、上流側温度計Rka、下流側温度計Rkbがそれぞれシリコンにて形成されている。そして、これら上流側ヒータRha、下流側ヒータRhb、リード部L2、L5、上流側温度計Rka、下流側温度計Rkbを覆うようにして、シリコン窒化膜140が積層されている。ちなみに、上記シリコン窒化膜140やシリコン酸化膜120も、空洞部Hを含めて半導体基板110の上方の略全ての領域に積層形成されている。
【0108】
本実施形態では、半導体基板110は、単結晶シリコンからなるとともに、その上面(シリコン酸化膜20との界面)が基本格子の等価な6面のいずれかである{110}面に設定されている。そして、薄膜部MBの端部を、半導体基板110の結晶方位<100>及び結晶方位<110>とする。すなわち、例えば半導体基板110の上面を結晶面(110)とすると、薄膜部MB近傍の拡大平面図である図12に例示すように、薄膜部MBの端部は、それぞれ半導体基板110の結晶方位[001]等とする。
【0109】
ただし、本実施形態では、半導体基板110の裏面側の開口部は、図12に1点鎖線にて示されるように、略8角形状となっている。このようなマスクによりエッチングすることで、エッチングの終点部である半導体基板110の上面側では、図12に破線にて示すように略矩形状にすることができる。
【0110】
そして、上流側ヒータRha及び、下流側ヒータRhbの長手方向は、薄膜部MBの2辺と平行となっている。特に、本実施形態では、これら上流側ヒータRha及び、下流側ヒータRhbの長手方向を、半導体基板110の結晶方位<100>と一致させている。
【0111】
一方、上流側ヒータRha、下流側ヒータRhb、上流側温度計Rka、下流側温度計Rkbも、単結晶化されたシリコン(単結晶シリコンに近似した特性を有する膜)にて形成されている。これに対し、リード部L1〜L6は、多結晶シリコンにて形成されている。
【0112】
ここで、上記単結晶化されたシリコンからなる上流側ヒータRha、下流側ヒータRhb、上流側温度計Rka、下流側温度計Rkbは、P型の導電型を有するとともに、そのピエゾ抵抗係数が極小となるように設定されている。次に、このピエゾ係数の極小化について説明する。
【0113】
ここで、上流側ヒータRha、下流側ヒータRhb、上流側温度計Rka、下流側温度計Rkbを構成する単結晶化されたシリコンは、それぞれ上記半導体基板110の結晶方位と等しくなるように敷設されている。すなわち、例えば、上流側ヒータRha、下流側ヒータRhb、上流側温度計Rka、下流側温度計Rkbを構成する単結晶化されたシリコンは、その上面が結晶面{110}となっている。また、例えば、上流側ヒータRhaと下流側ヒータRhbとの長手方向は、これらを構成する単結晶化されたシリコンの結晶方位<100>となっている。そしてこれにより、上流側ヒータRhaと下流側ヒータRhbとは、その電流の流通方向においてピエゾ抵抗係数が極小となる。また、上流側温度計Rkaと下流側温度計Rkbとは、その長手方向においてピエゾ抵抗係数が極小となる。
【0114】
図13に、結晶方位とピエゾ抵抗係数との関係を示す。
図13(a)は、P型の導電型を有する単結晶シリコンの上面が結晶面{110}であるときに、その結晶方位とピエゾ抵抗係数との関係を示している。同図13(a)においても、先の図5同様、(πl)は、電流の流通方向と平行な方向に加わる応力の変化に対する抵抗値の変化を示す抵抗係数であり、(πt)は、電流の流通方向と垂直な方向に加わる応力の変化に対する抵抗値の変化を示す抵抗係数である。同図13(a)に示されるように、P型の導電型を有する単結晶シリコンの上面が結晶面{110}であるときには、結晶方位<100>において上記2つの係数である(πl)、(πt)は、いずれも極小値を取ることがわかる。
【0115】
これに対し、図13(b)は、N型の導電型を有する単結晶シリコンの上面が結晶面{110}であるときに、その結晶方位とピエゾ抵抗係数との関係を示している。
【0116】
なお、シリコン酸化膜120の有するテーパ角や除去領域R1〜R5の形状及び配置態様等については、先の第1の実施形態と同様である。また、本実施形態でも、シリコン酸化膜120の端部において{111}面のファセットが生じることを考慮して、上流側ヒータRhaや、下流側ヒータRhb等は、除去領域R1〜R5から水平方向に離間して形成する。
【0117】
更に、本実施形態にかかるフローセンサFSも、先の図9及び図10に示したのと同様のプロセスにて製造することができる。ただし、この際、上流側ヒータRhaや、下流側ヒータRhb等を構成する単結晶シリコンに注入される不純物は、ボロンとする。また、不純物(ボロン)の注入量と固相成長距離との関係もリンの場合と若干異なるが、例えば「3×1020cm―」程度の不純物を注入することで固相成長距離が「11μm」程となり、不純物を注入しない場合の「2倍」程度となる。このため、本実施形態においても、固相成長に先立って、不純物を注入する。
【0118】
以上説明した本実施形態によれば、先の第1の実施形態の上記(1)〜(5)、(8)〜(10)の効果に準じた効果に加えて、更に以下の効果を得ることができる。
【0119】
(11)半導体基板10の上面を結晶面{110}とするとともに、アルカリ性のエッチング液にてウェットエッチングにより同半導体基板110をエッチングした。これにより、半導体基板110を{111}面を利用して開口させることができ、薄膜部MBを簡易に矩形状に形成することができる。
【0120】
(12)上流側ヒータRhaや、下流側ヒータRhb等において、その電流の流通方向を結晶方位<100>とした。これにより、ピエゾ抵抗係数を極小とすることができる。
【0121】
(第3の実施形態)
次に、本発明にかかるフローセンサを車載用内燃機関の吸入空気量を検出するフローメータに適用した第3の実施形態について、先の第2の実施形態との相違点を中心に図面を参照しつつ説明する。
【0122】
上記フローメータも先の図1と同様の構成を有する。また、本実施形態にかかるフローセンサの平面構成も、先の図2に示した構成と同様である。
図14(a)に、本実施形態にかかるフローセンサFSのうち、上流側ヒータRhaや、下流側ヒータRhbの平面構成を示す。同図14(a)に示すように、上流側ヒータRhaや、下流側ヒータRhbは発熱抵抗体hが複数(例えば「7本」)並列に接続されて構成されるようにした。更に、これら各発熱抵抗体hの幅方向の両側に除去領域Rを設けるようにした。
【0123】
これにより、上流側ヒータRhaや、下流側ヒータRhbとして必要な合計の線幅を確保しつつも、同上流側ヒータRhaや、下流側ヒータRhbの製造を簡易に行うことができる。すなわち、上流側ヒータRhaや、下流側ヒータRhbを上記発熱抵抗体hの並列接続体として形成することで、各発熱抵抗体hの線幅についてはこれを縮小することができるため、上記固相成長距離の限界値以下の設定に容易にすることができる。ちなみに、これら各発熱抵抗体hの線幅は、固相成長距離の限界値の「2倍」以下に設定する。
【0124】
特に、本実施形態のように、これら上流側ヒータRhaや、下流側ヒータRhbを構成する単結晶化されたシリコンにドーピングされる不純物としてボロンを用いる場合には、リンを用いた場合と比較して横方向の成長距離が短い。これに対し、本実施形態のように、複数の発熱抵抗体hの並列接続体として上流側ヒータRhaや、下流側ヒータRhbを構成することで、成長距離が短い場合であれ、所望の(合計の)線幅にてこれらを形成することができる。
【0125】
更に、本実施形態では、これら各発熱抵抗体hの線幅Δを同一とするとともに、この線幅Δを図14(b)に示す上流側温度計Rkaや、図14(c)に示す下流側温度計Rkbの線幅と同一とするようにした。これにより、上流側温度計Rkaや、下流側温度計Rkbを構成する単結晶化されたシリコンの膜質を、上流側ヒータRhaや、下流側ヒータRhbを構成する単結晶化されたシリコンの膜質と近似させる。そして、これにより、上流側ヒータRha及び上流側温度計Rkaの抵抗温度係数や、下流側ヒータRhb及び下流側温度計Rkbの抵抗温度係数の好適な一致を図る。
【0126】
以上説明した本実施形態によれば、先の第1の実施形態の上記(1)〜(5)、(8)〜(10)の効果や、先の第2の実施形態の上記(11)及び(12)の効果に準じた効果に加えて、更に以下の効果が得られるようになる。
【0127】
(13)上流側ヒータRhaや、下流側ヒータRhbを、発熱抵抗体hが複数(例えば「7本」)並列に接続されて構成されるようにした。これにより、上流側ヒータRhaや、下流側ヒータRhbとして必要な(合計の)線幅を確保しつつも、同上流側ヒータRhaや、下流側ヒータRhbの製造を簡易に行うことができる。
【0128】
(14)各発熱抵抗体hの線幅Δを同一とするとともに、この線幅Δを上流側温度計Rkaや、下流側温度計Rkbの線幅と同一とするようにした。これにより、上流側ヒータRhaや、下流側ヒータRhbを構成する単結晶化されたシリコンの膜質を、上流側温度計Rkaや、下流側温度計Rkbを構成する単結晶化されたシリコンの膜質と好適に近似させることができる。
【0129】
(第4の実施形態)
次に、本発明にかかるフローセンサを車載用内燃機関の吸入空気量を検出するフローメータに適用した第4の実施形態について、先の第2の実施形態との相違点を中心に図面を参照しつつ説明する。
【0130】
上記フローメータも先の図1と同様の構成を有し、また、先の図2に示したフローセンサFSと同様の構成を有する。
図15は、本実施形態にかかるフローセンサFSの平面図である。同図15に示すように、本実施形態のフローセンサFSは、単結晶シリコンからなる半導体基板210上に形成されたシリコン窒化膜220上に、上流側ヒータRhaや下流側ヒータRhb、上流側温度計Rka、下流側温度計Rkb、リード部L1〜L6がそれぞれ単結晶化されたシリコンにて形成されている。
【0131】
ここで、上流側ヒータRhaや、下流側ヒータRhb等の下地膜としてのシリコン窒化膜220も、その一部が除去された除去領域R1〜R5を有して形成されている。更に、シリコン窒化膜220は、上流側ヒータRhaや、下流側ヒータRhbの直下の領域にも除去領域R6、R7を有している。そして、上流側ヒータRhaや、下流側ヒータRhbを、これら除去領域R6、R7に延設されるかたちで形成した。
【0132】
これにより、上流側ヒータRhaについては、除去領域R1、R2、R6からの固相成長により単結晶化されたシリコンを用いることができ、また、下流側ヒータRhbについては、除去領域R1、R3、R7からの固相成長により単結晶化されたシリコンを用いることができる。このため、上流側ヒータRhaや下流側ヒータRhbの線幅を十分に確保することが容易となる。また、上流側ヒータRhaや下流側ヒータRhbが除去領域R6、R7に延設して形成されるため、これらの抵抗値を低減させることができる。また、上流側ヒータRhaや下流側ヒータRhbhaを、その不純物濃度が「1×1020cm―」を超える高濃度のP型の導電型を有して構成する。これにより、半導体基板210に空洞部Hを形成する際、アルカリ溶液によるウェットエッチングを用いる場合であれ、半導体基板210と上流側ヒータRhaや下流側ヒータRhbとの選択比を好適に確保することができる。
【0133】
ここで、図15に示したフローセンサFSの製造工程の一例を図16及び図17を用いて説明する。図16及び図17に示す断面は、先の図2に示したA−A断面と同様の断面である。
【0134】
この一連の工程においては、まず図16(a)に示すように、例えばN型の導電型を有する単結晶シリコンからなる半導体基板210を、その上面が結晶面{110}となるようにして配置する。次に、同半導体基板210上に、シリコン窒化膜220を所定の膜厚(例えば「2μm」)にて成膜する。このときの成膜条件は、先の図10(c)に示した工程におけるものと同様である。
【0135】
次に、図16(b)に示す工程において、等方性ドライエッチングにてシリコン窒化膜220をパターニングすることで、上記除去領域R1〜R7を形成する。次に、図16(c)に示す工程において、非晶質シリコンからなる半導体薄膜230を所定の膜厚(例えば「1μm」)にて成膜する。ちなみに、この半導体薄膜230の成膜は、スパッタ法や、例えば「500℃」程度の温度での低圧CVD法、ECRプラズマCVD法等を用いて行えばよい。
【0136】
次に、図16(d)に示す工程において、半導体薄膜30に不純物(ボロン)を所定量(例えば「1×1020cm―」以上)注入する。
こうして不純物の注入された後、図16(e)に示す工程において、所定温度(例えば「570℃〜600℃」)で所定時間(例えば「20時間」)の炉アニール(熱処理)を行う。この熱処理により、除去領域R1〜R7と隣接するシリコン窒化膜220上の非晶質シリコンは、その両側から単結晶化が進むこととなる。
【0137】
こうして上流側ヒータRhaや、下流側ヒータRhb等とする部分の単結晶化を図った後、これら上流側ヒータRhaや、下流側ヒータRhb等の抵抗率を更に低下させる場合には、図17(a)に示すように、不純物(ボロン)を更に注入すればよい。
【0138】
次に、図17(b)に示す工程において、半導体薄膜30をパターニングすることで、上流側ヒータRha、下流側ヒータRhb、上流側温度計Rka、下流側温度計Rkb、リード部L2、L5を形成する。ちなみに、この図17や先の図16等でも、フローセンサFSの製造時の断面図を模式的に示しており、そのサイズ比は正確ではない。実際には、上流側ヒータRha、下流側ヒータRhb等の線幅は、その膜厚の数十倍とすることが望ましい。
【0139】
なお、ここでは図示しないが、これら図16(c)〜図17(b)に示す工程において、先の図2に示したリード部L1、L3、L4、L6をも同時に形成する。
【0140】
次に、図17(c)に示す工程において、熱CVD法にてシリコン窒化膜240を例えば膜厚「2.0μm」にて堆積する。このときの成膜条件は、先の図10(c)に示したものと同様である。
【0141】
次に、図17(d)に示すように、半導体基板210の裏面側に、シリコン窒化膜250を、プラズマCVD法により所定の膜厚(例えば「1μm」)にて成膜する。続いて、先の図12に示した薄膜部MBに対応した空洞部Hを形成すべく、反応性イオンエッチングにてシリコン窒化膜250をパターニングする。更に、シリコン窒化膜250をマスクとして半導体基板210をエッチングすることで、半導体基板210に空洞部Hを形成する。これにより、空洞部Hを架橋するように薄膜部MBが形成されることとなる。
【0142】
ここで、この図17(d)に示す半導体基板210のエッチングは、KOHやTMAH等のアルカリ性のエッチング液を用いたウェットエッチングにて行う。これにより、半導体基板210を上記エッチング液により{111}を利用してエッチングすることができる。
【0143】
なお、この図17(d)に示す工程の前又は後の工程において、シリコン窒化膜40にコンタクトホールを形成するとともに、ここに金属を充填して先の図2に示したパッドP1〜P6を形成する。
【0144】
以上説明した本実施形態によれば、先の第1の実施形態の上記(1)〜(5)、(8)の効果や、先の第2の実施形態の上記(11)及び(12)の効果に準じた効果に加えて、更に以下の効果が得られるようになる。
【0145】
(15)上流側ヒータRhaや、下流側ヒータRhbを、除去領域R6、R7に延設されるかたちで形成した。これにより、上流側ヒータRhaや下流側ヒータRhbの線幅を十分に確保することが容易となる。また、上流側ヒータRhaや下流側ヒータRhbの抵抗値を低減させることができる。
【0146】
(第5の実施形態)
次に、本発明にかかるフローセンサを車載用内燃機関の吸入空気量を検出するフローメータに適用した第5の実施形態について、先の第2の実施形態との相違点を中心に図面を参照しつつ説明する。
【0147】
上記フローメータも先の図1と同様の構成を有する。また、本実施形態にかかるフローセンサの平面構成も、先の図2に示した構成と同様である。
図18に、本実施形態にかかるフローセンサFSのうち、薄膜部MB近傍の平面構成を示す。同図18に示すように、上流側ヒータRhaや下流側ヒータRhbの下地膜としてのシリコン酸化膜320は、除去領域R1〜R3を有している。しかも、これら除去領域R1〜R3は、いずれも薄膜部MB以外の領域に形成されている。これにより、除去領域を薄膜部MBに形成した場合と比較して、同薄膜部MBの強度低下が抑制される。
【0148】
ただし、この場合、例えば除去領域R8は、上流側ヒータRhaや下流側ヒータRhbとは隣接しないために、固相成長距離を十分に確保する必要がある。これに対し、本実施形態では、炉アニール処理に代えて、レーザアニール処理を行うようにする。詳しくは、図18に示すように、先の図9(a)及び図9(b)に示した工程に代えて、除去領域R8〜R10を、それぞれ上流側ヒータRha及び下流側ヒータRhb、上流側温度計Rka、下流側温度計Rkbの左側に形成する。この際、除去領域R8〜10は、それぞれ上流側ヒータRha及び下流側ヒータRhb、上流側温度計Rka、下流側温度計Rkb(抵抗体)の長手方向の全体に渡って、同長手方向と直交する方向(図中、横方向)への同抵抗体の投影領域の下方を包含する態様にて形成する。そして、先の図9(e)に示す工程に代えて、レーザを図中、左から右へと走査させることで、上流側ヒータRha及び下流側ヒータRhbや、上流側温度計Rka、下流側温度計Rkbの領域における半導体薄膜を単結晶化させる。
【0149】
このように、上記投影領域を包含する態様にて除去領域R8〜10を形成することで、非晶質シリコンを固相成長させる際、上記各抵抗体の長手方向の全領域にわたって簡易に非晶質シリコンを単結晶化することができる。
【0150】
なお、これら除去領域を右側に形成してもよいが、上流側ヒータRha及び下流側ヒータRhbに対する除去領域R8の関係と、上流側温度計Rkaに対する除去領域R9の関係と、下流側温度計Rkbに対する除去領域R10の関係とは互いに等しくする。すなわち、全てが右側であるか左側であるようにする。そして、除去領域が右側に形成されている場合には、レーザを右から左に走査させる。
【0151】
以上説明した本実施形態によれば、先の第1の実施形態の上記(1)、(4)、(5)、(8)〜(10)の効果、先の第2の実施形態の上記(11)及び(12)の効果に加えて、更に以下の効果が得られるようになる。
【0152】
(16)レーザを用いた熱処理により固相成長させることで、その成長距離を十分に確保することができるようになる。
(17)除去領域を薄膜部MB以外の領域に形成した。これにより、薄膜部MBの強度低下を抑制することができる。
【0153】
なお、上記各実施形態は、以下のように変更して実施してもよい。
・上記第1〜第3、及び第5の実施形態において、上流側ヒータRhaや下流側ヒータRhb等の下地膜となるシリコン酸化膜の形成手法としては、LOCOS法に限らない。例えば等方性エッチングによってもよい。いずれにせよ、このシリコン酸化膜は、除去領域との境界近傍がテーパ状となるように形成することが望ましい。
【0154】
・上記第1〜第3、及び第5の実施形態において、上流側ヒータRhaや下流側ヒータRhb等の下地膜としては、シリコン酸化膜に限らない。例えば上記第4の実施形態で用いたシリコン窒化膜等でもよく、シリコン酸化膜及びシリコン窒化膜からなる多層膜でもよい。
【0155】
・上記第1〜3、及び第5の実施形態及びそれらの変形例においては、非晶質シリコンを形成する手法は、一旦多結晶シリコンを成膜する手法に限らない。例えば、上記第4の実施形態と同様、非晶質シリコンを直接成膜してもよい。
【0156】
・上記第4の実施形態において、上流側ヒータRhaや下流側ヒータRhb等の下地膜としては、シリコン窒化膜に限らない。例えば上記第1〜3の実施形態やその変形例等で用いたシリコン酸化膜等でもよく、シリコン酸化膜及びシリコン窒化膜からなる多層膜でもよい。
【0157】
・上記第4の実施形態及びそれらの変形例における非晶質シリコンを形成する手法は、上述したものに限らず、例えば、上記第1の実施形態と同様、一旦多結晶シリコンを成膜するものであってもよい。
【0158】
・上記第1〜第4の実施形態において、上流側ヒータRhaや下流側ヒータRhb等の幅方向の両側に除去領域を形成しなくても、すなわち片側に形成するのみでも固相成長により単結晶化されたシリコンを形成することはできる。
【0159】
・上記第1〜3、及び第5の実施形態において、上流側ヒータRhaや下流側ヒータRhb等を除去領域から「2μm」以上離間させなくても、単結晶化されたシリコンにて上流側ヒータRhaや下流側ヒータRhb等を形成することはできる。
【0160】
・上記第1〜第5の実施形態において、不純物を注入する以前に非晶質シリコンに熱処理を施すようにしても、固相成長により単結晶化されたシリコンを形成することはできる。
【0161】
・除去領域の形状や配置態様も上記第1〜第5の実施形態及びそれらの変形例に例示したものに限らない。例えば、レーザによる固相成長距離が「数mm」程度であることから、フローセンサFS上に除去領域を一カ所設けるのみであっても、これにより露出した半導体基板面をシードとして用いて上流側ヒータRhaや下流側ヒータRhb等とする領域の単結晶化を図ることができる。
【0162】
・上記第1の実施形態及びその変形例において、N型の導電型を有する単結晶化されたシリコンとしては、必ずしもリンの注入されたシリコンに限らない。
・上記第2〜5の実施形態及びそれらの変形例において、P型の導電型を有する単結晶化されたシリコンとしては、必ずしもボロンの注入されたシリコンに限らない。
【0163】
・上記第4の実施形態においては、上流側ヒータRhaや下流側ヒータRhbの直下に除去領域を形成するとともに、これら上流側ヒータRhaや下流側ヒータRhbを同除去領域に延設するかたちで形成したが、これに限らない。例えば上流側ヒータRhaや下流側ヒータRhbに隣接して形成される除去領域に延設されるようにしてもよい。
【0164】
・上記各実施形態では、上流側ヒータRha及び下流側ヒータRhb、上流側温度計Rka及び下流側温度計Rkbを単結晶化されたシリコンにて形成したが、上流側ヒータRha及び下流側ヒータRhbのみを単結晶化されたシリコンにて形成してもよい。また、上流側ヒータRha及び下流側ヒータRhb、上流側温度計Rka及び下流側温度計Rkbに加えて、リード部L1〜L6も単結晶化されたシリコンにて形成してもよい。
【0165】
・半導体への不純物のドーピング手法としては、イオン注入法に限らない。例えば、気相から半導体中へドーパント原子(不純物)を拡散させる手法や、ドーパント原子(不純物)のドープされた酸化膜ソースを使って表面から半導体中へ上記ドーパント原子(不純物)を拡散させる手法等でもよい。
【0166】
・薄膜部MBを形成すべく、半導体基板を開口して空洞部を形成する手法については、上記ウェットエッチングを用いたものに限らず、例えばドライエッチングを用いたものであってもよい。
【0167】
・単結晶半導体や非晶質半導体等の半導体としては、シリコンに限らない。
・当該フローメータFMの環境温度を感知する上流側温度計Rkaや下流側温度計RkbをフローセンサFSに備える構成とする代わりに、信号生成回路SGに備える構成としてもよい。この場合であれ、上流側ヒータRhaと上流側温度計Rkaとの抵抗温度係数や、下流側ヒータRhbと下流側温度計Rkbとの抵抗温度係数は、互いに一致させるようにする。
【0168】
・発熱体と、該発熱体の近傍(発熱体自身又は発熱体の付近)の温度を感知する感温体とを上流側ヒータRhaや下流側ヒータRhbのように同一とする代わりに、これらを別部材にて構成してもよい。この際、発熱体及び感温体の少なくとも一方を、上記各実施形態及びそれらの変形例に示す態様にて単結晶化された半導体からなる抵抗体にて構成することは有効である。ちなみに、本実施形態に例示するように、発熱体に供給される電力量等に基づいて流体の流量を感知するフローセンサにあっては、上記発熱体と感温体を別部材とした場合、発熱体はその抵抗値の変化が検出されるものではない。しかし、この場合であれ、抵抗値の変化は発熱体に供給される電力量に影響するため、ピエゾ抵抗係数を極小とすることは有効である。
【0169】
・上流側ヒータRhaや下流側ヒータRhbを備えなくても、単一のヒータ(発熱体、及び該発熱体の近傍の温度を感知する感温体)を備える構成であっても、発熱体に供給される電力量等に基づいて流体の流量を感知することはできる。更に、例えば上記特許文献1に記載のように、発熱体自身を第2の感温体としてこれによって自身の温度を感知しつつ発熱体を所定に制御するとともに、この付近の温度を上記感温体によって感知し、これに基づいて発熱体の生じる熱量のうち流体によって奪われた熱量を感知する構成としてもよい。
【0170】
・フローセンサFSの構成としては、a.発熱体及び該発熱体の近傍の温度を感知する感温体の少なくとも一方からなる抵抗体が単結晶半導体からなる半導体基板の結晶方位と等しい結晶方位を有する単結晶化された半導体にて形成される。b.これら抵抗体の下地膜に、その一部が除去された除去領域が設けられる。という2つの構成要件を備える範囲において、適宜変更してよい。
【0171】
更に、フローセンサFSの構成としては、上記抵抗体の下地膜と同抵抗体を覆う保護膜とを同一材料且つ同一の成膜手法にて成膜された膜とするものであってもよい。この場合、必ずしも下地膜には除去領域としての痕跡が残らない。
【0172】
・フローセンサFSとしては、車載用内燃機関の吸入空気量を感知するものに限らず、適宜の流体の流量を感知するものであればよい。
・単結晶半導体からなる半導体基板上に下地膜及び抵抗体が積層形成され、抵抗体を用いて所定の物理量を感知する半導体センサとしては、フローセンサに限らず、例えば、ガスセンサやIRセンサ、赤外線センサ等であってもよい。こうしたセンサにあっては、必ずしも抵抗体にセンサの外部から圧力が印加されることによる影響は大きくないものもある。しかし、こうした場合であれ、半導体センサを構成する各部材の熱膨張係数が違うことに起因して、温度変化によって抵抗体が力を受ける場合には、その抵抗値が変化することがある。この場合であれ、本発明によれば、ピエゾ抵抗係数を極小とするように抵抗体を配置することで、温度補正にかかる処理を簡易化、又は削除しつつも感知精度を好適に確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施形態にかかるフローメータの回路図。
【図2】同実施形態にかかるフローセンサの構成を示す平面図。
【図3】同実施形態にかかるフローセンサの断面構成を示す断面図。
【図4】同実施形態にかかるフローセンサの薄膜部近傍の平面構成を示す平面図。
【図5】結晶方位とピエゾ抵抗係数との関係を示す図。
【図6】同実施形態における固相成長の態様を模式的に示す断面図。
【図7】下地膜のテーパ角と固相成長割合との関係を示す図。
【図8】単結晶シリコンの不純物濃度と成長距離との関係を示す図。
【図9】上記実施形態にかかるフローセンサの製造工程を示す断面図。
【図10】同実施形態にかかるフローセンサの製造工程を示す断面図。
【図11】第2の実施形態にかかるフローセンサの断面構成を示す断面図。
【図12】同実施形態にかかるフローセンサの薄膜部近傍の平面構成を示す平面図。
【図13】結晶方位とピエゾ抵抗係数との関係を示す図。
【図14】第3の実施形態にかかるフローセンサの抵抗体の構成を示す平面図。
【図15】第4の実施形態にかかるフローセンサの構成を示す断面図。
【図16】同実施形態にかかるフローセンサの製造工程を示す断面図。
【図17】同実施形態にかかるフローセンサの製造工程を示す断面図。
【図18】第5の実施形態にかかるフローセンサの薄膜部近傍の平面構成を示す平面図。
【符号の説明】
10…半導体基板、20…シリコン酸化膜、30…半導体薄膜、40…シリコン窒化膜、50…シリコン窒化膜、110…半導体基板、120…シリコン酸化膜、140…シリコン窒化膜、210…半導体基板、220…シリコン窒化膜、230…半導体薄膜、240…シリコン窒化膜、320…シリコン酸化膜、Rha…上流側ヒータ、Rhb…下流側ヒータ。

Claims (31)

  1. 単結晶半導体からなる半導体基板上に下地膜を介して形成された抵抗体を用いて所定の物理量を感知する半導体センサにおいて、
    前記下地膜には、その一部が除去された除去領域が設けられてなり、前記抵抗体は、前記半導体基板の結晶方位と等しい結晶方位を有する単結晶化された半導体として形成されてなる
    ことを特徴とする半導体センサ。
  2. 請求項1記載の半導体センサにおいて、
    前記半導体基板は空洞部を有して形成されてなり、前記下地膜は、該空洞部を架橋するかたちで形成されるとともに、前記抵抗体は、同空洞部に対応する領域である薄膜部に形成されてなる
    ことを特徴とする半導体センサ。
  3. 前記除去領域は、前記抵抗体と隣接して同抵抗体と平行に形成されてなる
    請求項1又は2記載の半導体センサ。
  4. 前記除去領域は、前記抵抗体の幅方向の両側に形成されてなる
    請求項3記載の半導体センサ。
  5. 前記抵抗体は、前記除去領域から水平方向に「2μm」以上離間して形成されてなる
    請求項1〜4のいずれかに記載の半導体センサ。
  6. 前記除去領域は、前記下地膜のうち、前記薄膜部の形成されている領域以外の領域に設けられてなる
    請求項2記載の半導体センサ。
  7. 前記除去領域は、前記抵抗体の長手方向の全体に渡って、同長手方向と直交する方向への同抵抗体の投影領域の下方を包含する態様にて形成されてなる
    請求項1〜6のいずれかに記載の半導体センサ。
  8. 前記半導体基板は、その上面の結晶面が{100}であり、前記抵抗体は、N型の導電型を有して且つ、その電流の流通方向が前記半導体基板の結晶方位<110>に一致する方向に敷設されてなる
    請求項1〜7のいずれかに記載の半導体センサ。
  9. 前記半導体基板は、その上面の結晶面が{110}であり、前記抵抗体は、P型の導電型を有して且つ、その電流の流通方向が前記半導体基板の結晶方位<100>に一致する方向に敷設されてなる
    請求項1〜7のいずれかに記載の半導体センサ。
  10. 単結晶半導体からなる半導体基板上に成膜された下地膜が前記半導体基板に設けられた空洞部を架橋して薄膜部を構成するとともに、該薄膜部を構成する下地膜上に形成された抵抗体によって所定の物理量を感知する半導体センサにおいて、
    前記下地膜は、前記抵抗体に隣接した領域及び同抵抗体の直下の領域の少なくとも一方にその一部が除去された除去領域を有し、前記抵抗体は、P型の導電型を有して前記半導体基板の結晶方位と等しい結晶方位を有する単結晶化された半導体が前記除去領域に延設されるかたちで形成されてなる
    ことを特徴とする半導体センサ。
  11. 前記半導体基板は、その上面の結晶面が{110}であり、前記抵抗体は、その電流の流通方向が前記半導体基板の結晶方位<100>に一致する方向に敷設されてなる
    請求項10記載の半導体センサ。
  12. 前記下地膜の除去領域は、前記抵抗体の形成面側に開口面積が徐々に拡大されるテーパ状に形成されてなる
    請求項1〜11のいずれかに記載の半導体センサ。
  13. 前記除去領域のテーパ角が「40°」以下である
    請求項12記載の半導体センサ。
  14. 請求項1〜13のいずれかに記載の半導体センサにおいて、
    当該半導体センサは、発熱体と、該発熱体の近傍の温度を感知する感温体とを備えて流体の流量を感知するフローセンサであり、前記発熱体及び前記感温体の少なくとも一方が前記単結晶化された半導体からなる抵抗体にて形成されてなる
    ことを特徴とする半導体センサ。
  15. 請求項14記載の半導体センサにおいて、
    当該半導体センサの環境温度を感知する単結晶化された半導体からなる温度計を更に備え、前記下地膜は、前記温度計についてもこれに隣接且つ平行してその一部が除去された除去領域を備えてなる
    ことを特徴とする半導体センサ。
  16. 請求項15記載の半導体センサにおいて、
    少なくとも前記感温体が、前記単結晶化された半導体からなる抵抗体にて形成されてなり、前記温度計と前記抵抗体とは同一の線幅にて敷設されてなる
    ことを特徴とする半導体センサ。
  17. 前記発熱体は、前記単結晶化された半導体からなる抵抗体が複数並列に接続されて構成されてなる
    請求項14〜16のいずれかに記載の半導体センサ。
  18. 単結晶半導体からなる半導体基板上に下地膜を介して形成される抵抗体と、該抵抗体と接続してこれに電流を供給する配線であるリード部とが半導体薄膜にて構成されるとともに、前記抵抗体により所定の物理量を感知する半導体センサにおいて、
    前記半導体薄膜は、少なくとも前記抵抗体を構成する領域が局所的に前記半導体基板の結晶方位と等しい結晶方位を有して単結晶化されてなる
    ことを特徴とする半導体センサ。
  19. 請求項18記載の半導体センサにおいて、
    前記半導体基板は空洞部を有して形成されてなり、前記下地膜は、該空洞部を架橋するかたちで形成されるとともに、前記抵抗体は、同空洞部に対応する領域である薄膜部に形成されてなる
    ことを特徴とする半導体センサ。
  20. 請求項18又は19記載の半導体センサにおいて、
    当該半導体センサは、発熱体と、該発熱体の近傍の温度を感知する感温体とを備えて流体の流量を感知するフローセンサであり、前記発熱体及び前記感温体の少なくとも一方が前記抵抗体にて形成されてなる
    ことを特徴とする半導体センサ。
  21. 単結晶半導体からなる半導体基板上に下地膜を介して形成された抵抗体を用いて所定の物理量を感知する半導体センサを製造する方法において、
    前記半導体基板上に前記下地膜を形成する工程と、
    前記下地膜のうちの前記抵抗体とする領域に隣接した領域を前記半導体基板の表面が露出されるまで除去する工程と、
    前記除去する領域も含めて、前記下地膜上に非晶質半導体を形成する工程と、
    前記非晶質半導体に熱処理を施すことで、前記下地膜の除去された領域における前記半導体基板の結晶面をシードとし該非晶質半導体の固層成長に基づき、同非晶質半導体の少なくとも前記抵抗体とする部分を単結晶化する工程と、
    前記単結晶化された半導体をパターニングして前記抵抗体を形成する工程とを備える
    ことを特徴とする半導体センサの製造方法。
  22. 請求項21記載の半導体センサの製造方法において、
    前記半導体基板に空洞部を形成することで、前記下地膜が前記空洞部を架橋して薄膜部を形成するようにする工程を更に有し、且つ前記抵抗体を、前記薄膜部に形成する
    ことを特徴とする半導体センサの製造方法。
  23. 請求項21又は22記載の半導体センサの製造方法において、
    前記非晶質半導体を単結晶化する工程に先立つ工程として、前記非晶質半導体に不純物を予めドーピングする工程を更に備える
    ことを特徴とする半導体センサの製造方法。
  24. 前記ドーピングする不純物の濃度を、「5×1019〜5×1020cm―」の範囲とする
    請求項23記載の半導体センサの製造方法。
  25. 請求項23又は24記載の半導体センサの製造方法において、
    前記非晶質半導体を単結晶化する工程の後、少なくとも前記抵抗体とする部分に再度不純物をドーピングする工程を更に備える
    ことを特徴とする半導体センサの製造方法。
  26. 前記非晶質半導体を単結晶化する工程に先立ってドーピングする不純物の濃度を「1×1020cm―」程度とし、同非晶質半導体を単結晶化した後に再度ドーピングする不純物の濃度Aを、
    「1×1020cm―<A<5×1020cm―
    の範囲とする
    請求項25記載の半導体センサの製造方法。
  27. 前記下地膜のうち、前記抵抗体とする領域に隣接した領域を除去する工程は、同下地膜の開口が前記抵抗体の形成面側に開口面積が徐々に拡大されるテーパ状となる態様で行われる
    請求項21〜26のいずれかに記載の半導体センサの製造方法。
  28. 前記非晶質半導体の単結晶化に際しての熱処理が、「570〜600℃」の炉アニール処理として行われる
    請求項21〜27のいずれかに記載の半導体センサの製造方法。
  29. 単結晶半導体からなる半導体基板上に成膜された下地膜が前記半導体基板に設けられた空洞部を架橋して薄膜部を構成するとともに、該薄膜部を構成する下地膜上に備えられている抵抗体によって所定の物理量を感知する半導体センサにおいて、
    前記半導体基板上に前記下地膜を形成する工程と、
    前記薄膜部を構成する部分以外の部分において前記下地膜を前記半導体基板の表面が露出するまで部分的に除去する工程と、
    前記除去した部分も含めて、前記下地膜上に非晶質半導体を形成する工程と、
    前記非晶質半導体に熱処理を施すことで、前記下地膜の除去された領域における前記半導体基板の結晶面をシードとした該非晶質半導体の固層成長に基づき、少なくとも前記抵抗体とする部分まで前記非晶質半導体を単結晶化する工程と、
    前記単結晶化された半導体をパターニングして前記抵抗体を形成する工程とを備える
    ことを特徴とする半導体センサの製造方法。
  30. 前記非晶質半導体の単結晶化に際しての熱処理が、同非晶質半導体に対するレーザ照射によって行われる
    請求項29記載の半導体センサの製造方法。
  31. 請求項21〜30のいずれかに記載の半導体センサの製造方法において、
    当該半導体センサは、発熱体と、該発熱体の近傍の温度を感知する感温体とを備えて流体の流量を感知するフローセンサであり、前記発熱体及び前記感温体の少なくとも一方が前記単結晶化された半導体からなる抵抗体にて形成されてなることを特徴とする半導体センサの製造方法。
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