JP3681729B2 - 塩基置換の検出方法 - Google Patents

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    • C12Q1/683Hybridisation assays for detection of mutation or polymorphism involving restriction enzymes, e.g. restriction fragment length polymorphism [RFLP]

Description

技術分野
本発明は遺伝子上の塩基置換の検出に有用なヌクレオチド、該ヌクレオチドを使用する遺伝子上の塩基置換の検出方法、ならびにそのためのキットに関する。
背景技術
同一種に属する生物個体のゲノム上に含有される遺伝暗号は同一ではなく、多型(polymorphism)と呼ばれる塩基配列上の差違が存在することが知られている。多型には1〜数十塩基の欠失や挿入、特定の塩基配列が重複するものなどが知られているが、1個の塩基が他の塩基に置換されているものは一塩基置換多型(single nucleotide polymorphism、SNP)と呼ばれている。
一塩基置換多型は数百塩基から1000塩基に1ヶ所程度の割合で存在するといわれ、ヒトのゲノム上には300万〜1000万のSNPがあると推定されている。SNPは疾病に関連する遺伝子の探索、疾病へのかかりやすさ、薬に対する感受性(作用、副作用)の違いを知るための指標として注目されており、その検出方法についても研究が進められている。
従来のSNPの検出手段は、ハイブリダイゼーションに基づくもの、プライマー伸長に基づくものあるいは酵素の基質特異性を利用するものに大別される。
ハイブリダイゼーション法は、塩基置換の有無を核酸試料とプローブとのハイブリダイゼーションによって検出するものである。該方法は一塩基の違いによってハイブリダイゼーションが左右されるようなプローブ、ならびにハイブリダイゼーション条件を見出す必要があり、高い再現性を有する検出系の構築が困難である。
例えば、米国特許第5660988号公報記載のサイクルプローブ反応(cycle probe reaction)を用いた変異検出方法が挙げられる。該方法においては、開裂し易い結合を有する核酸プローブを目的とする核酸分子にハイブリダイズさせる。目的とする核酸分子中に塩基置換がない場合には、当該プローブは開裂し、塩基置換がある場合には、当該プローブは開裂しない。その後、開裂したプローブ由来の遊離断片の発生度合いを検出、定量することにより塩基置換を検出することを特徴とする。しかしながら、該方法では標的核酸が微量の場合、該プローブの開裂化物の量が少ないため開裂化物量が検出できるレベルに到達するまでに相当のタイムラグがある。
別法として、米国特許第5210015号、第5487972号公報記載のTaqMan法を用いた変異検出方法が挙げられる。該方法では、蛍光色素及びクエンチャーが付加したTaqManプローブを使用する。該プローブは、塩基置換を含むものと、塩基置換を含まないものの2種類を使用する。該プローブを目的とする核酸分子にハイブリダイズさせ、その上流からプライマーが伸長してくると、DNAポリメラーゼの5’→3’エキソヌクレアーゼ活性により、目的とする核酸分子が塩基置換を含まない場合のみ、当該プローブが分解され、発生する蛍光を検出することにより塩基置換を検出することを特徴とする。しかしながら、該方法において、5’→3’エキソヌクレアーゼ活性を有するポリメラーゼ、ならびに3’末端がブロックされた標識ヌクレオチドを用いてPCRを行う必要があり、厳密な温度調整が必要であり、検出するまでに要する時間も長いという問題がある。
酵素を利用する方法としては、まずDNAポリメラーゼを使用する方法があり、該方法にはさらに(1)米国特許第5137806号公報記載の塩基置換を検出しようとする塩基部分に3’末端がアニーリングするプライマーを使用し、プライマー伸長反応の有無から塩基置換を検出する方法、(2)国際公開パンフレット第01/42498号記載の3’末端から2番目のヌクレオチドに検出しようとする塩基置換部位が位置するプライマーを使用し、プライマー伸長反応の有無から塩基置換を検出する方法、(3)塩基置換を検出しようとする塩基の3’側に隣接する塩基に3’末端がアニーリングするプライマーを使用し、当該プライマーに取り込まれる塩基を判別して目的部分の変異の有無とその塩基を決定する方法、の3つがある。
次に、DNAリガーゼを使用する方法がある。当該方法はプローブの末端部分を塩基置換を検出しようとする塩基部分に対応させることにより、ここに隣接したプローブとのライゲーションの有無から塩基置換を検出する。
DNAポリメラーゼ、DNAリガーゼを使用する方法は、塩基置換に基づくプライマーもしくはプローブと標的核酸の間のミスマッチを正確に検出できない可能性がある。すなわち、これらの酵素はミスマッチを有するプライマー、プローブの場合でも酵素反応を開始し、誤った結果を与えることがある。
すなわち、標的核酸と当該プライマーとのアニーリングエラー及び使用するリガーゼあるいはポリメラーゼのエラーに起因する擬陽性の場合があり、反応条件特に反応温度等を非常に厳密にコントロールする必要があり、再現性に問題がある。
最後に、米国特許第5846717号記載のインベーダー(Invader)法のように、二本鎖核酸の特殊な構造を認識して切断する活性を有する酵素を利用する方法が挙げられる。このような酵素としてはcleavaseが知られており、塩基置換が存在する(あるいは存在しない)場合に当該酵素に認識されるような構造を形成するプローブを設計し、当該プローブの切断を調べることによって塩基置換を検出することが可能である。しかしながら、二本鎖核酸の特殊な構造を認識して切断する活性を有する酵素を使用する方法はその感度に問題を有する。すなわち、当該方法は異分子の標的核酸から1つのシグナルが生成する方法であり、微量の核酸試料からでは塩基置換の検出に十分なシグナルを得られない。もちろんプローブ切断反応を反復してシグナルを増強することも可能であるが、強いシグナルを得るためには前もって標的核酸を増幅する必要がある。すなわち、該方法では標的核酸が微量の場合、該プローブの切断物の量が少ないため該切断物量が検出できるレベルに到達するまでに相当のタイムラグがある。
以上のように、上記の方法はいくつかの問題点を有しており、塩基置換を正確に検出できる方法が求められていた。
発明の目的
従って本発明の目的は、上記方法の問題を解決し、微量の核酸試料を使用して正確、かつ再現性に優れた塩基置換、例えばSNPを検出する手段を提供することにある。
発明の概要
上記課題を解決するためには、塩基置換を正確に検出し、かつその結果を強いシグナルとして得ることが可能な方法が望まれている。
本発明者らは、塩基置換を検出しようとする標的核酸にアニーリング可能であり、インタクトな状態ではその3’末端からはDNAポリメラーゼによるDNA伸長反応が開始されることがなく、かつ、アニーリングした鋳型鎖の塩基配列に応じてヌクレアーゼによる切断が左右されるようなヌクレオチドを作成した。さらに、当該ヌクレオチドを使用した、標的核酸上の塩基置換を正確、かつ高感度に検出可能な方法を構築し、本発明を完成させた。
本発明を概説すれば、本発明の第1の発明は標的核酸上の特定の塩基における塩基置換の有無を検出する方法に関し、
(1)標的核酸を含有する試料とヌクレオチドとを混合する工程:ここで当該ヌクレオチドは、
A)その3’末端が当該末端からのDNAポリメラーゼによる伸長が起こらないように修飾されており、
B)標的核酸上の前記特定の塩基を含有する領域にアニーリングしうる塩基配列を有しており、
C)当該ヌクレオチドと標的核酸とから形成される複合体において、前記特定の塩基と該塩基に対応するヌクレオチド上の塩基との間にミスマッチが存在しない場合にはヌクレオチドはヌクレアーゼによる切断を受けず、かつ、前記特定の塩基と該塩基に対応するヌクレオチド上の塩基との間にミスマッチが存在する場合にはヌクレオチドがヌクレアーゼにより切断されて新たな3’末端を生じるような配列を含有しており、
(2)前記混合物をヌクレアーゼ、およびDNAポリメラーゼで処理する工程:および
(3)ヌクレアーゼによるヌクレオチドの切断の有無を検出する工程、
を包含することを特徴とする。
第1の発明の塩基置換の検出方法としては、ヌクレアーゼとしてリボヌクレアーゼH、ヌクレオチドとして特定の塩基に対応する塩基を含有する領域にリボヌクレオチドを含有するヌクレオチドを使用する方法、ヌクレアーゼとして制限酵素、ヌクレオチドとして特定の塩基に対応する塩基を含有する領域に制限酵素の認識配列を含有するヌクレオチドを使用する方法が例示される。
本発明の第2の発明は標的核酸の塩基置換の検出方法に関し、
(1)標的核酸を含有する試料とヌクレオチドとを混合する工程:ここで当該ヌクレオチドは、
A)その3’末端が当該末端からのDNAポリメラーゼによる伸長が起こらないように修飾されており、
B)標的核酸上の前記特定の塩基を含有する領域にアニーリングしうる塩基配列を有しており、
C)当該ヌクレオチドと標的核酸とから形成される複合体において、前記特定の塩基と該塩基に対応するヌクレオチド上の塩基との間にミスマッチが存在する場合にはヌクレオチドはヌクレアーゼによる切断を受けず、かつ、前記特定の塩基と該塩基に対応するヌクレオチド上の塩基との間にミスマッチが存在しない場合にはヌクレオチドがヌクレアーゼにより切断されて新たな3’末端を生じるような配列を含有しており、
(2)前記混合物をヌクレアーゼ、およびDNAポリメラーゼで処理する工程:および
(3)ヌクレアーゼによるヌクレオチドの切断の有無を検出する工程、
を包含することを特徴とする。
第2の発明の検出方法としては、ヌクレアーゼとしてミスマッチ特異的ヌクレアーゼを使用する方法が例示される。
第1、第2の発明の検出方法に使用されるヌクレオチドは、標的核酸に塩基置換が存在しない場合に標的核酸と形成される複合体にミスマッチを生じないような配列を有するヌクレオチド、標的核酸に塩基置換が存在する場合に標的核酸と形成される複合体にミスマッチを生じないような配列を有するヌクレオチドのいずれであってもよい。
第1、第2の発明の態様としては、DNAポリメラーゼの作用によって生成する伸長産物の有無によって塩基置換の有無を判定する方法、ヌクレアーゼの作用によって生成する遊離したヌクレオチドの3’側断片の有無によって塩基置換の有無を判定する方法が例示される。また、標識されたヌクレオチドを使用し、当該標識を利用して前記伸長産物、もしくは前記のヌクレオチドの3’側断片を検出することが可能である。前記標識には蛍光物質を使用することができる。さらに、蛍光物質、蛍光を消光しうる物質が付加されており、ヌクレアーゼによる切断、もしくはそれに続くDNAの伸長によって蛍光を発するヌクレオチドを使用することも可能である。前記蛍光標識されたヌクレオチドを使用する態様においては、検出に蛍光偏光法を利用することができる。
第1、第2の発明の塩基置換の検出方法に使用されるヌクレオチドにおいて、3’末端の修飾としてはリボースの3位の水酸基の修飾が例示される。また、本発明の塩基置換の検出方法に使用されるヌクレオチドは、ヌクレオチドアナログ及び/又は修飾ヌクレオチドを含有していてもよい。該ヌクレオチドアナログとしては特に限定はされないが例えば、デオキシリボイノシンヌクレオチドあるいはデオキシリボウラシルヌクレオチド等が、修飾リボヌクレオチドとしては(α−S)リボヌクレオチドが好適に使用できる。さらに、第1、第2の発明の方法には、DNAポリメラーゼの作用によって生成する伸長産物を鋳型とした核酸増幅の工程をさらに包含することができる。
本発明の第3の発明は、本発明の第1、第2の発明の塩基置換の検出方法を用いた対立遺伝子の遺伝子型を解析する方法に関する。
本発明の第4の発明は標的核酸上の特定の塩基における塩基置換の検出に使用されるヌクレオチドに関し、
A)その3’末端が当該末端からのDNAポリメラーゼによる伸長が起こらないように修飾されており、
B)標的核酸上の前記特定の塩基を含有する領域にアニーリングしうる塩基配列を有しており、
C)当該ヌクレオチドと標的核酸とから形成される複合体において、前記特定の塩基と該塩基に対応するヌクレオチド上の塩基との間にミスマッチが存在する場合にはヌクレオチドはヌクレアーゼによる切断を受けず、かつ、前記特定の塩基と該塩基に対応するヌクレオチド上の塩基との間にミスマッチが存在しない場合にはヌクレオチドがヌクレアーゼにより切断されて新たな3’末端を生じるような配列を含有する、
ことを特徴とするヌクレオチドに関する。
第4の発明のヌクレオチドとしては、標的核酸上の特定の塩基に対応する塩基を含有する領域にリボヌクレオチドを含有し、当該ヌクレオチドと標的核酸とから形成される複合体において、前記特定の塩基と該塩基に対応するヌクレオチド上の塩基との間にミスマッチが存在しない場合にはリボヌクレアーゼHによって切断されるもの、標的核酸上の特定の塩基にに対応する塩基を含有する領域に制限酵素の認識配列を含有し、当該ヌクレオチドと標的核酸とから形成される複合体において、前記特定の塩基と該塩基に対応するヌクレオチド上の塩基との間にミスマッチが存在しない場合には制限酵素によって切断されるものが例示される。
本発明の第5の発明は標的核酸上の特定の塩基における塩基置換の検出に使用されるヌクレオチドであって、
A)その3’末端が当該末端からのDNAポリメラーゼによる伸長が起こらないように修飾されており、
B)標的核酸上の前記特定の塩基を含有する領域にアニーリングしうる塩基配列を有しており、
C)当該ヌクレオチドと標的核酸とから形成される複合体において、前記特定の塩基と該塩基に対応するヌクレオチド上の塩基との間にミスマッチが存在しない場合にはヌクレオチドはヌクレアーゼによる切断を受けず、かつ、前記特定の塩基と該塩基に対応するヌクレオチド上の塩基との間にミスマッチが存在する場合にはヌクレオチドがヌクレアーゼにより切断されて新たな3’末端を生じるような配列を含有する、
ことを特徴とするヌクレオチド。
第5の発明のヌクレオチドとしては、標的核酸と形成される複合体において標的核酸との間にミスマッチが存在する場合にミスマッチ特異的ヌクレアーゼにより切断されるヌクレオチドが例示される。
第4、第5の発明のヌクレオチドは、標的核酸に塩基置換が存在しない場合に、標的核酸と形成される複合体にミスマッチを生じないような配列を有するもの、標的核酸に塩基置換が存在する場合に、標的核酸と形成される複合体にミスマッチを生じないような配列を有するもののいずれであってもよい。
また、第4、第5の発明のヌクレオチドは標識化合物が付加されたものでもよく、その位置はヌクレアーゼによる切断箇所の3’側部分あるいは5’側部分のいずれであってもよい。前記標識化合物としては、例えば蛍光物質を使用することができ、さらに、蛍光を消光しうる物質が付加することにより、ヌクレアーゼによる切断、もしくはそれに続くDNAの伸長によって蛍光を発するヌクレオチドとすることができる。
第4、第5の発明のヌクレオチドにおいて、3’末端の修飾としてはリボースの3位の水酸基の修飾が例示される。また、本発明のヌクレオチドは、ヌクレオチドアナログ及び/又は修飾ヌクレオチドを含有していてもよい。該ヌクレオチドアナログとしては特に限定はされないが例えば、デオキシリボイノシンヌクレオチドあるいはデオキシリボウラシルヌクレオチド等が、修飾ヌクレオチドとしては(α−S)リボヌクレオチドが好適に使用できる。
本発明の第6の発明は標的核酸上の塩基置換の検出に使用されるキットに関し、第4、第5の発明のヌクレオチドを含有することを特徴とする。
第6の発明のキットとしては、ヌクレアーゼおよび/またはDNAポリメラーゼを含有するもの、DNA伸長の有無を検出するための試薬をさらに含有するもの、核酸増幅法を実施するための試薬をさらに含有するものが挙げられる。
【図面の簡単な説明】
図1:本発明の塩基置換の検出方法による、ヒト遺伝子上の塩基置換の検出の結果を示す図である。
図2:本発明の塩基置換の検出方法による、ヒト遺伝子上の塩基置換の検出の結果を示す図である。
図3:本発明の塩基置換の検出方法による、ヒト遺伝子上の塩基置換の検出の結果を示す図である。
図4:本発明の塩基置換の検出方法による、ヒト遺伝子上の塩基置換の検出の結果を示す図である。
図5:本発明の塩基置換の検出方法による、ヒト遺伝子上の塩基置換の検出の結果を示すグラフである。
図6:本発明の塩基置換の検出方法による、ヒト遺伝子上の塩基置換の検出の結果を示す図である。
図7:本発明の塩基置換の検出方法による、ヒト遺伝子上の塩基置換の検出の結果を示す図である。
図8:本発明の塩基置換の検出方法による、ヒト遺伝子上の塩基置換の検出の結果を示す図である。
発明の詳細な説明
本明細書に記載の「塩基置換」とは、核酸上の特定の部位において、その一部の塩基が他の塩基に置換されていることを指す。「塩基置換」により生物個体間の遺伝情報の違いが生じ、この遺伝情報の違いは多型(polymorphism)、もしくはバリエーション(variation)と呼ばれている。本明細書において「塩基置換」とは、上記の多型、バリエーションにおける塩基置換を包含する。また、核酸に人為的に導入された塩基置換も本明細書における「塩基置換」に含まれる。
本明細書に記載の「塩基置換」において、置換されている塩基の数には特に限定はなく、1塩基もしくはそれ以上の置換が存在してもよい。
本発明は、ゲノム多型やバリエーションの検出、特に、遺伝子上のSNP(一塩基置換多型)の検出に特に好適である。
以下に本発明を詳細に説明する。
(1)本発明のヌクレオチド
本発明のヌクレオチドは標的核酸上の塩基置換を検出しようとする箇所を含む領域にアニーリングしうる塩基配列を有している。インタクトな状態ではDNAポリメラーゼによるDNA伸長のプライマーとして機能することはないが、ヌクレアーゼによって切断を受けた後に初めてプライマーとして機能することができる。上記のような性質を有するものであればその鎖長には特に限定はなく、オリゴヌクレオチド、ポリヌクレオチドのいずれもが本発明に使用できる。通常、8〜50塩基、好ましくは10〜40塩基、特に好ましくは12〜30塩基のオリゴヌクレオチドが本発明のヌクレオチドとして使用される。
本発明のヌクレオチドは、通常、デオキシリボヌクレオチドを含有するオリゴヌクレオチドである。必要に応じ、リボヌクレオチド、ヌクレオチドのアナログや誘導体(修飾物)を含有することができる。ヌクレオチドのアナログとしては、例えば塩基部分にイノシン、7−デアザグアニン等の塩基を有するヌクレオチドアナログあるいはリボースの誘導体を有するヌクレオチドアナログを使用することができる。また、修飾ヌクレオチドとしてはリン酸基に結合する酸素原子が硫黄原子に置換された(α−S)ヌクレオチドや標識化合物が付加されたヌクレオチド等が例示される。さらに、本発明のヌクレオチドはペプチド核酸[PNA、Peptide Nucleic Acid、ネイチャー(Nature)、第365巻、第566〜568頁(1993)]を含有するものであってもよい。本発明を特に限定するものではないが、好ましくは、上記のヌクレオチドのアナログや誘導体等は使用されるヌクレアーゼの作用に影響を与えない部位に導入される。本発明のヌクレオチドへのヌクレオチドアナログの導入は、ヌクレオチド自身の高次構造形成の抑制、標的核酸とヌクレオチドとのアニーリングの安定化の観点から有効である。すなわち、本発明の塩基置換の検出方法に用いることのできるヌクレオチドとしての機能を保持する範囲で、ヌクレオチドアナログ及び/又は修飾ヌクレオチドを含んでいてもよい。
本発明において使用されるヌクレオチドは、標的核酸上の特定の塩基における塩基置換を検出するために、下記に示すような性質を有している。
A)その3’末端が当該末端からのDNAポリメラーゼによる伸長が起こらないように修飾されている。
B)標的核酸上の前記特定の塩基を含有する領域にアニーリングしうる塩基配列を有している。
C)当該ヌクレオチドと標的核酸とから形成される複合体において、前記特定の塩基と該塩基に対応する、すなわち該塩基と水素結合を形成するヌクレオチド上の塩基との間にミスマッチが存在する(または存在しない)場合にはヌクレオチドはヌクレアーゼによる切断を受けず、かつ、前記特定の塩基と該塩基に対応するヌクレオチド上の塩基との間にミスマッチが存在しない(または存在する)場合にはヌクレオチドがヌクレアーゼにより切断されて新たな3’末端を生じるような配列を含有している。
ここで、ヌクレアーゼにより切断されたヌクレオチドの5’側断片は標的核酸とアニーリングした状態を保持することができる。また、このヌクレオチドの5’側断片の3’末端ではリボースまたはデオキシリボースの3位に水酸基が存在しており、該末端からのDNAポリメラーゼによるDNA伸長が可能である。すなわち、上記ヌクレオチドはヌクレアーゼによって切断される塩基配列を有する場合にはプライマーの前駆体として機能する。
上記のように、本発明のヌクレオチドはその3’末端がDNAポリメラーゼによるDNA伸長反応に使用できない形に修飾されている。上記目的を達成可能であればその修飾手段には特に限定はないが、例えば、3’末端にジデオキシヌクレオチド、リボースの3位の水酸基が修飾されたヌクレオチド、DNAポリメラーゼによる伸長が立体障害により妨害されるような修飾を付されたヌクレオチド等を付加することがあげられる。上記のヌクレオチドのリボースの3位の水酸基の修飾方法としては、アルキル化やその他の公知の修飾方法を利用することができ、例えばアミノアルキル化することにより、DNA伸長反応を防ぐことができる。
また、本発明のヌクレオチドは、使用される条件において標的核酸の塩基置換を検出しようとする領域にアニーリングしうる塩基配列を有している。すなわち、標的核酸と実質的に相補的な配列を有していればよく、目的とする塩基における置換の検出に支障をきたさない範囲であれば標的核酸に完全に相補的な塩基配列を有している必要はない。
上記の本発明のヌクレオチドを標的核酸とアニーリングさせ、適切なヌクレアーゼとDNAポリメラーゼの存在下にインキュベートを行った場合、標的核酸に塩基置換が存在するか否か、すなわち当該ヌクレオチドと標的核酸とがアニーリングして形成された二本鎖核酸にミスマッチ部位が存在するか否かでヌクレオチドの切断が左右される。ヌクレオチドが切断されて新たな3’末端が生じた場合にのみ標的核酸を鋳型としたDNA伸長が起こることから、DNA伸長の有無によってミスマッチの有無、すなわち塩基置換の有無を知ることができる。
本発明においては、検出しようとする塩基置換が存在する場合にミスマッチが生じるように前記ヌクレオチドを作成すること、逆に塩基置換が存在した場合にはミスマッチが生じないように作成することのどちらも可能である。さらに、目的の塩基に対応する位置に4種の塩基のいずれかを配置した4種のヌクレオチドを作成して使用し、どの塩基を有するプライマーで伸長が起こるかを調べることにより、塩基置換の存在と置換している塩基の種類とを同時に知ることもできる。
本発明のヌクレオチドは、上記のようにヌクレアーゼによる切断によってDNA伸長が可能なプライマーに変換される。ここで、ヌクレオチドのヌクレアーゼによる切断箇所より5’側の部分がDNA伸長におけるプライマーとして機能する。当該ヌクレアーゼとしては、ヌクレオチドと標的核酸とがアニーリングして形成された二本鎖核酸中のミスマッチの存在に対応して前記ヌクレオチドを切断もしくは切断しないものであれば特に限定はないが、例えば、リボヌクレアーゼH、制限酵素、ミスマッチ特異的ヌクレアーゼ等があげられる。
リボヌクレアーゼH(RNaseH)はDNAとRNAから形成された二本鎖核酸を認識し、RNA鎖を選択的に切断する酵素である。本発明のヌクレオチドの置換を検出しようとする塩基に対応する部分にリボヌクレオチドを配置しておくことにより、ミスマッチが存在しない場合にのみリボヌクレアーゼHで切断されるヌクレオチドとすることができる。
本発明に使用されるリボヌクレアーゼとしては、上記のリボヌクレオチドを含有する本発明のヌクレオチドと、これと相補的なDNAから形成された二本鎖核酸を認識し、当該リボヌクレオチド部分を選択的に切断する活性を有していれば特に限定はない。このような酵素としては、例えば、大腸菌由来のリボヌクレアーゼHの他、好熱性バチルス属細菌、サーマス属細菌、ピロコッカス属細菌、サーモトガ属細菌あるいはアルカエオグロバス属細菌等由来のリボヌクレアーゼH等も好適に使用できる。リボヌクレアーゼHは、同時に使用されるDNAポリメラーゼと同じ反応条件で高い活性を示すものが好ましいが、特に限定されるものではない。本発明のヌクレオチドを核酸増幅反応と組み合わせて使用する場合には、当該反応の実施される条件において活性を示すリボヌクレアーゼHを使用することが好ましく、例えば、PCR法のような高温での反応、処理を含む核酸増幅反応を利用する場合には耐熱性リボヌクレアーゼHを使用することが有利である。耐熱性リボヌクレアーゼHとしては、例えばバチルス・カルドテナクス(Bacillus caldotenax)、ピロコッカス・フリオサス(Pyrococcus furiosus)、ピロコッカス・ホリコシイ(Pyrococcus horikoshii)、サーモコッカス・リトラリス(Thermococcus litoralis)、サーモトガ・マリチマ(Thermotoga maritima)、アルカエオグロバス・フルギダス(Archaeoglobus fulgidus)、メタノコッカス・ヤナシ(Methanococcus jannashi)由来のリボヌクレアーゼH等を使用することができる。
制限酵素はDNAの特定の塩基配列(4〜8塩基)を認識し、当該配列内部、もしくはその周辺部を切断する酵素である。置換を検出しようとする塩基部分が制限酵素の認識配列と重複する場合には、当該配列を含むヌクレオチドを作成し、塩基置換の検出に使用することができる。ヌクレオチドと標的核酸との間にミスマッチが生じる場合には制限酵素による切断が起こらず、これによって塩基置換の有無を知ることができる。このようなヌクレオチドを使用するにあたっては標的核酸側が制限酵素によって切断を受けないようにする必要があるが、使用する制限酵素に対応する修飾メチラーゼを使用して特定の塩基をメチル化するなどの方法により、標的核酸特異的に制限酵素への耐性を付与することが可能である。
上記の2種のヌクレアーゼとは逆に、標的核酸とヌクレオチドとの間のミスマッチを認識して切断するような酵素を使用してもよい。このような酵素としてはMutH等を使用することができる。
本発明のヌクレオチドが上記のヌクレアーゼによる切断を受け、新たな3’末端が生じると、当該末端よりDNAの伸長が開始される。この工程に使用されるDNAポリメラーゼとしては、鋳型DNAの配列に依存してプライマーの3’末端よりDNA伸長が可能なものであれば特に限定はない。例えば、大腸菌DNAポリメラーゼI、クレノウ・フラグメント、T7 DNAポリメラーゼ、好熱性バチルス属細菌由来DNAポリメラーゼ(Bst DNAポリメラーゼ、Bca DNAポリメラーゼ)、サーマス属細菌由来DNAポリメラーゼ(Taq DNAポリメラーゼ等)、好熱性古細菌由来α型DNAポリメラーゼ(Pfu DNAポリメラーゼ等)が挙げられる。
本発明のヌクレオチドを遺伝子増幅反応と組み合わせて使用する場合には、それぞれの遺伝子増幅反応に適したDNAポリメラーゼを選択して使用すればよい。
本発明のヌクレオチドがヌクレアーゼにより切断されて生じる3’側部分の断片は、その鎖長が短い場合には標的核酸から遊離するが、十分な鎖長を有している場合には標的核酸とのアニーリングを維持することが可能である。DNAポリメラーゼとして鎖置換活性を有するものを使用した場合には、当該断片はDNAポリメラーゼによるDNAの伸長とともに標的核酸から解離させられる。また、5’→3’エキソヌクレアーゼ活性を有するDNAポリメラーゼを使用した場合には、当該断片はDNAポリメラーゼによって分解される。
上記の、ヌクレアーゼとしてリボヌクレアーゼHを使用する本発明のヌクレオチドとしては、特に限定するものではないが、例えば、下記一般式で表す構造をもつオリゴヌクレオチドを本発明に使用することができる。
一般式:5’−dN−N−dN−N’−3’
(a:11以上の整数、b:1以上の整数、c:0または1以上の整数、dN:デオキシリボヌクレオチド、N:リボヌクレオチド、N’:DNAポリメラーゼによる伸長が起こらないように修飾されたヌクレオチド。)
上記一般式において、Nで表される部位は置換の検出の対象となる塩基に対応する塩基を含んでいる。また、上記の各ヌクレオチドはその機能を損なわない範囲でヌクレオチドのアナログや誘導体(修飾ヌクレオチド)を含有していてもよい。
例えば、上記一般式において、N’が修飾デオキシリボヌクレオチドであり、aが11以上の任意の整数、b=1〜3、c=0〜2のキメラオリゴヌクレオチドであるヌクレオチドが例示される。塩基置換の検出の対象となる塩基に対応する塩基は、Nで表される部分に位置していれば特に限定はない。本発明の実施態様の一つとしては、例えば(dNc−N’)で表される部分の長さが3塩基であり、塩基置換を検出しようとする塩基に対応する塩基をNbで表される部分の最も3’側に測定したヌクレオチドが好適に使用でき、該ヌクレオチドは塩基置換の検出に関する良好な特異性を示す。
本発明のヌクレオチドに適切な標識を施すことにより、ヌクレアーゼによる切断、あるいはそれに続くDNA伸長反応により生じる産物(伸長産物)によってヌクレオチドから分離した3’側断片の検出を容易にし、塩基置換の存在を簡便に確認することができる。
ヌクレオチドの標識方法には限定はなく、例えば放射性同位体(32P等)、色素、蛍光物質、発光物質、種々のリガンド(ビオチン、ジゴキシゲニン等)、酵素等が使用できる。標識されたヌクレオチド由来の産物は当該標識に応じた検出方法でその存在を確認することができる。直接検出できないリガンドの場合には、検出可能な標識を付されたリガンド結合性の物質と組み合わせればよい。例えば、リガンド標識したヌクレオチド由来の産物と酵素標識した抗リガンド抗体とを組み合せ、シグナルを増幅することによって標的核酸を高感度に検出することが可能である。
ヌクレオチドを蛍光標識する態様としては、例えば当該ヌクレオチドを蛍光物質と該蛍光物質の発する蛍光を消光する作用を有する物質の両者で、適当な間隔をとって標識したものが包含される。このようなプライマーはインタクトな状態では蛍光を発することはないが、ヌクレアーゼにより切断されて蛍光物質と消光物質との距離が離れた場合には蛍光を発するようになる。このようなヌクレオチドはDNA伸長反応の開始と同時に蛍光が発せられるため、反応中の反応液を直接観察することによって塩基置換の有無を知ることができる。
(2)本発明の塩基置換の検出方法
本発明の塩基置換の検出方法は、上記(1)に記載された本発明のヌクレオチドを使用し、下記の工程;
1)標的核酸を含有する試料と前記ヌクレオチドとを混合する工程:
2)前記混合物をヌクレアーゼ、およびDNAポリメラーゼで処理する工程:および
3)ヌクレアーゼによるヌクレオチドの切断の有無を検出する工程、
により実施されることを特徴とする。上記(1)に記載された本発明のヌクレオチドの特徴に従い、ヌクレアーゼによるその切断の有無から塩基置換が存在するか否かを判定する。
本発明の塩基置換の検出方法に使用される標的核酸としては一本鎖、二本鎖の核酸、すなわちDNA、RNAを使用することができる。使用するヌクレアーゼによってはRNAを標的核酸とすることが困難な場合もあるが、その場合には当該RNAを鋳型として調製したcDNAを標的核酸として使用することにより、RNA上の塩基置換を検出することが可能である。
本発明においては、標的核酸を含有する試料を検出反応に使用することができる。
上記試料には特に限定はなく、核酸、もしくは生物を含む可能性のあるあらゆる試料、例えば、細胞、組織(生検試料等)、全血、血清、脳脊髄液、精液、唾液、喀痰、尿、糞便、毛髪、細胞培養物等を使用することができる。上記の検体は、特に限定するものではないが、好ましくは適切な処理によって、例えばDNAポリメラーゼの反応を実施が可能な形態としたうえ、本発明の方法に供することができる。このような処理には細胞の溶解や試料からの核酸の抽出、精製が包含される。
本発明の塩基置換の検出方法においては、使用されるヌクレオチドの切断の有無、ならびにそれに続いて起こるDNA伸長反応の有無から塩基置換の存在が判定される。その方法には特に限定はなく、公知の核酸分析手法を使用することができる。例えば、DNA伸長反応の有無を調べる方法としては、生成した伸長産物をゲル電気泳動法(アガロースゲル、ポリアクリルアミドゲル等)あるいはキャピラリー電気泳動法によって分離して確認する方法、伸長産物の鎖長の増加をマススペクトルによって測定する方法等を挙げることができる。また、別の態様としては、例えば、伸長産物へのヌクレオチドの取り込みを調べる方法がある。当該方法では、適切な標識を付加したヌクレオチド3リン酸が高分子の伸長産物に取り込まれる量として伸長産物の合成量を知ることができる。伸長産物は、例えば酸による沈殿処理やゲル電気泳動によって未反応のヌクレオチドと分離し、その生成量を測定することができる。さらに、DNA伸長反応によって生成するピロリン酸を酵素的に検出する方法を使用してもよい。
本発明の検出方法において、さらに公知の核酸増幅反応を用いて当該伸長産物を増幅してもよい。このような態様は、高感度に塩基置換を検出する観点から有用である。
上記の核酸増幅反応には特に限定はなく、鋳型核酸に相補的な配列を有するプライマーが使用される種々の核酸増幅方法が使用できる。例えばポリメラーゼ連鎖反応法(PCR;polymerase chain reaction、米国特許第4,683,195号、第4,683,202号および第4,800,159号)、鎖置換型増幅法(SDA;strand displacement amplification、特公平7-114718号)、自立複製法(3SR;self-sustained sequence replication)、NASBA法(nucleic acid sequence based amplification、特許第2650159号)、TMA法(transcription-mediated amplification)、ICAN法(Isothermal and Chimeric primer-initiated Amplification of Nucleic acids、国際公開第00/56877号パンフレット)等の公知の増幅方法を使用することができる。これらの方法において、鋳型DNA鎖に相補的なDNAを合成する際のプライマーとして本発明のヌクレオチドを使用することにより、標的核酸上の塩基置換を検出することができる。
上記のような核酸増幅法を利用して本発明の塩基置換の検出方法を実施する場合には、各方法に使用されるプライマーの少なくとも一つとして本発明のヌクレオチドを使用し、さらに反応系中に当該ヌクレオチドに適したヌクレアーゼを共存させればよい。
上記のような、核酸増幅反応を利用した塩基置換の検出においては、当該反応による特異的な増幅産物の生成から塩基置換の存在を判定することができる。増幅産物の生成は、特に限定するものではないが、例えばゲル電気泳動、増幅産物に相補的な配列を有するプローブを使用したハイブリダイゼーション法、蛍光標識ヌクレオチドを利用した蛍光偏光法、タックマン法等が使用でき、さらに各遺伝子増幅方法に特有の検出反応も利用することができる。
本発明の検出方法を用いてゲノムレベルでの塩基置換を解析する場合には、大量の塩基配列を解析するために反応系を微量化し、さらに集積度を高める手段を組み合わせてもよい。その手段の一つとして、最先端の超微細加工技術を駆使して、本発明の検出方法あるいは解析方法の基本プロセス、例えば、DNAの細胞からの抽出、核酸増幅反応、目的DNAの検出等のプロセスを数cm角〜指先大のマイクロチップ上に集積化したものを組み合わせてもよい。さらに、必要に応じてゲル或いはキャピラリー電気泳動、検出用プローブとのハイブリダイゼーションのプロセスを組み合わせてもよい。該システムは、マイクロチップ、マイクロCE(capillary electophoesis)チップあるいはナノチップとも呼ばれている。
このようなシステムにおける核酸増幅反応としては目的のDNA断片が増幅されるものであればいずれの核酸増幅反応も利用することができる。特に限定はされないが例えば、ICAN法のような等温条件下で核酸を増幅できる方法が好適に使用できる。該方法を組み合わせることにより、当該システムの単純化が可能となり、上記のような集積化されたシステムでの利用に非常に好適である。さらに、本発明の技術を利用してさらに高い集積度のシステムの構築が可能となる。
本発明の方法において、本発明のヌクレオチドに修飾ヌクレオチドを含ませること及び/又は反応温度を適宜調整することにより塩基置換の検出の特異性を向上させることができる。
上記(1)に記載された、標識が付加された本発明のヌクレオチドは、DNA伸長反応の有無の確認を容易にすることができ、本発明の塩基置換の検出方法に有用である。この場合、当該ヌクレオチド由来の標識物質を上記のような各標識に適した方法で検出し、伸長反応の有無を確認すればよい。
例えば、蛍光物質が付加された本発明のヌクレオチドを使用する場合、標識がプライマーとして利用される部分に付加されていれば、伸長産物をその蛍光を利用して検出することができる。また、ヌクレオチドのヌクレアーゼによる切断箇所よりも3’側に付加されていれば、3’側断片の標的核酸からの解離やDNAポリメラーゼの有する5’→3’エキソヌクレアーゼによる該断片の低分子化等に基づいて伸長反応の有無を検出することができる。このような、蛍光標識されたヌクレオチドの分子量の変化を伴う態様においては蛍光偏光法の利用が好適である。
また、蛍光物質と該蛍光物質の発する蛍光を消光する作用を有する物質とを付加して蛍光を発することのないように標識した本発明のヌクレオチドを使用する場合、伸長反応が起こると同時に蛍光が発せられるようになるため、極めて容易に塩基置換を検出することができる。
上記の各態様において、塩基置換を検出しようとする位置に対応してアデニン(A)、シトシン(C)、グアニン(G)、チミン(T)あるいはウラシル(U)のそれぞれを有し、かつそれぞれが互いに区別可能な異なる標識を付されたヌクレオチドを利用することにより、塩基置換の存在とともに、塩基置換がある場合には置換している塩基の種類を同時に知ることができる。
本発明のヌクレオチドを使用し、PCR法によって塩基置換を使用することもできる。この場合、PCR法の一方のプライマーのかわりに本発明のヌクレオチドを使用し、通常のPCR用反応液にさらに前記ヌクレオチドに応じたヌクレアーゼを添加すればよい。この場合、ヌクレアーゼとしてPCRの条件において失活しないものを選択することにより、高感度に塩基置換を検出することができる。
ヒトを含む高等動物の細胞は、通常1対の染色体を有する二倍体である。そのため、染色体上の特定の塩基について塩基置換が存在する可能性がある場合、当該細胞は両染色体ともに塩基置換を有しないホモ接合体(ホモ型)、両染色体ともに塩基置換が存在するホモ接合体(ホモ型)、あるいは一方の染色体のみに塩基置換を有するヘテロ接合体(ヘテロ型)の3通りの可能性がある。
二倍体の細胞より調製した核酸試料について本発明の塩基置換の検出方法を適用することにより、遺伝子上の任意の塩基について当該細胞、すなわち当該細胞を有する個体の遺伝子型がホモ型あるいはヘテロ型のいずれかであるかを調べることができる。特に限定はないが例えば、4通りの塩基のそれぞれに対応し、ミスマッチが存在しない場合に切断を受けるタイプのヌクレオチドを使用して本発明の方法を実施した場合、遺伝子型がヘテロ型である細胞由来の核酸試料では2種のヌクレオチドについてヌクレオチドの切断にともなうシグナルが検出される。一方、遺伝子型がホモ型である細胞由来の核酸試料では1種のヌクレオチドのみでシグナルが検出され、さらにこのホモ型が塩基置換を有する、あるいは有しないことも同時に判定することができる。このように、本発明の方法は、上記のような対立遺伝子上の塩基置換の検出にも有用である。
(3)本発明の塩基置換の検出に使用されるキット
本発明は、上記の本発明の塩基置換の検出に使用されるキットを提供する。1つの実施態様において、該キットは本発明のヌクレオチドを含有することを特徴とする。塩基置換の有無と同時に置換した塩基を特定できるような、4種の塩基それぞれを含有するヌクレオチドのセットを含有するものでもよい。さらに、当該ヌクレオチドに適したヌクレアーゼ、DNAポリメラーゼやその基質(dNTP)、反応に適した緩衝液等を含有するものやプライマー伸長産物の検出のための試薬を含有するものであってもよい。核酸増幅法と組み合わせて塩基置換を検出するためのキットとしては、当該増幅法に使用される反応液を調製するための試薬を含有するものが好適である。
実施例
以下に実施例によって本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は実施例の範囲に限定されるものではない。
参考例1 ピロコッカス フリオサスのRNaseHII遺伝子のクローニング
(1)ピロコッカス フリオサス ゲノムDNAの調製
トリプトン(ディフコラボラトリーズ社製)1%、酵母エキス(ディフコラボラトリーズ社製)0.5%、可溶性でんぷん(ナカライテスク社製)1%、ジャマリンS・ソリッド(ジャマリンラボラトリー社製)3.5%、ジャマリンS・リキッド(ジャマリンラボラトリー社製)0.5%、MgSO4 0.003%、NaCl 0.001%、FeSO4・7H2O 0.0001%、CoSO4 0.0001%、CaCl2・7H2O 0.0001%、ZnSO4 0.0001%、CuSO4・5H2O 0.1ppm、KAl(SO42 0.1ppm、H3BO4 0.1ppm、Na2MoO4・2H2O 0.1ppm、NiCl2・6H2O 0.25ppmの組成の培地2リットルを2リットル容のメジュウムボトルにいれ、120℃、20分間殺菌した後、窒素ガスを吹き込み、溶存酸素を除去し、これにピロコッカス フリオサス(Pyrococcus furiosus、ドイッチェ ザムルンク フォン ミクロオルガニスメンより購入:DSM3638)を接種して、95℃、16時間静置培養した後、遠心分離によって菌体を得た。
次に、得られた菌体を4mlの25%ショ糖、50mM Tris−HCl(pH8.0)に懸濁し、0.4mlの10mg/ml塩化リゾチーム(ナカライテスク社製)水溶液を加えて、20℃で1時間反応させた。反応終了後、この反応液に24mlの150mM NaCl、1mM EDTA、20mM Tris−HCl(pH8.0)、0.2mlの20mg/ml プロテイナーゼK(宝酒造社製)及び2mlの10%ラウリル硫酸ナトリウム水溶液を加え、37℃で1時間保温した。
反応終了後、フェノール−クロロホルム抽出、続いてエタノール沈殿を行い、約1mgのゲノムDNAを調製した。
(2)RNaseHII遺伝子のクローニング
ピロコッカス ホリコシ(Pyrococcus horikoshii)の全ゲノム配列が公開されており〔DNA リサーチ(DNA Research)、第5巻、第55−76頁(1998)〕、RNaseHIIのホモログをコードする遺伝子(PH1650)が1つ存在することが明らかになっている(配列番号1、独立行政法人 製品評価技術基盤機構 ホームページ:http://www.nite.go.jp/)。
そこで、このPH1650遺伝子(配列番号1)と一部公開されているピロコッカス フリオサス(Pyrococcus furiosus)のゲノム配列(University of Utah,Utah Genome Center ホームページ:http://www.genome.utah.edu/sequence.html)でホモロジー検索をおこなった。その結果、非常にホモロジーの高い配列が見つかった。
得られた配列をもとにプライマー1650Nde(配列番号2)及び1650Bam(配列番号3)を合成した。
参考例1−(1)で得たピロコッカス フリオサス ゲノムDNA 200ngを鋳型にして、20pmolの1650Nde及び20pmolの1650Bamをプライマーに用い、100μlの容量でPCRを行った。PCRでのDNAポリメラーゼはタカラExタック(宝酒造社製)を添付のプロトコールに従って用い、PCRは94℃で30秒、55℃で30秒、72℃で1分を1サイクルとし、30サイクル行った。増幅した約0.7kbのDNA断片をNdeI及びBamHI(ともに宝酒造社製)で消化し、得られたDNA断片をプラスミドベクターpET3a(ノバジェン社製)のNdeI及びBamHI間に組込んだプラスミドpPFU220を作製した。
(3)RNaseHII遺伝子を含むDNA断片の塩基配列の決定
参考例1−(2)で得られたpPFU220の挿入DNA断片の塩基配列をジデオキシ法によって決定した。
得られた塩基配列の結果を解析したところ、RNaseHIIをコードすると考えられるオープンリーディングフレーム(open resding frame;ORF)が見出された。このオープンリーディングフレームの塩基配列を配列表の配列番号4に示す。また、該塩基配列から推定されるRNaseHIIのアミノ酸配列を配列表の配列番号5に示す。
なお、プラスミドpPFU220で形質転換された大腸菌JM109は、Escherichia coli JM109/pPFU220と命名、表示され、平成12年9月5日より日本国〒305−8566茨城県つくば市東1丁目1番地1中央第6、独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センターに受託番号FERM P−18020として寄託され、また前記独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センターに受託番号FERM BP−7654[国際寄託への移管請求日:平成13年7月9日]として寄託されている。
(4)精製RNaseHII標品の調製
参考例1−(2)で得られたpPFU220を大腸菌HMS174(DE3)(ノバジェン社製)に形質転換し、得られたpPFU220を含む大腸菌HMS174(DE3)を100μg/mlのアンピシリンを含む2リットルのLB培地に植菌し、37℃で16時間振盪培養した。培養終了後、遠心分離によって集めた菌体を66.0mlのソニケーションバッファー〔50mM Tris−HCl(pH8.0)、1mM EDTA、2mM フェニルメタンスルフォニルフルオライド〕に懸濁し、超音波破砕機にかけた。この破砕液を12000rpmで10分間の遠心分離を行い、得られた上清を60℃、15分間の熱処理にかけた。その後、再度12000rpmで10分の遠心分離を行い、上清を集め、61.5mlの熱処理上清液を得た。
この熱処理上清液をバッファーA〔50mM Tris−HCl(pH8.0)、1mM EDTA〕で平衡化したRESOURSE Qカラム(アマシャム ファルマシア バイオテク社製)に供し、FPLCシステム(アマシャム ファルマシア バイオテク社製)を用いてクロマトグラフィーを行なった。その結果、RNaseHIIはRESOURSE Qカラムを素通りした。
素通りしたRNaseHII画分60.0mlをバッファーAで平衡化したRESOURSE Sカラム(アマシャム ファルマシア バイオテク社製)に供し、FPLCシステムを用いて0〜500mM NaCl直線濃度勾配により溶出し、約150mM NaClのところに溶出されたRNaseHII画分を得た。
このRNaseHII画分2.0mlをセントリコン−10(アミコン社製)を用いた限外ろ過により濃縮し、250μlの濃縮液を100mM NaCl、0.1mM EDTAを含む50mM Tris−HCl(pH8.0)で平衡化したSuperdex200ゲルろ過カラム(アマシャム ファルマシア バイオテク社製)に供し、同じバッファーで溶出を行った結果、RNaseHIIは、17キロダルトンの分子量に相当する位置に溶出された。この分子量は、RNaseHIIが1量体として存在する場合に相当する。
こうして溶出されたRNaseHIIをPfu RNaseHII標品とした。上記で得られたPfu RNaseHII標品を用いて下記の方法によりRNaseH活性を測定した。
10mM Tris−HCl(pH8.0)、1mM ジチオスレイトール(ナカライテスク社製)、0.003%ウシ血清アルブミン(フラクションV、シグマ社製)、4%グリセロール、20μg/ml ポリ(dT)(アマシャムファルマシア バイオテク社製)、30μg/ml ポリ(rA)(アマシャムファルマシア バイオテク社製)を混合し、37℃で10分間保温した。これをRNaseH活性を測定するための基質液として使用した。
100μlの基質液に1μlの1M MnCl2を加えて40℃で保温し、これに上記のPfu RNaseHII標品を適当に希釈したものを加えて反応を開始した。40℃で30分間反応を行った後、10μlの0.5M EDTAを加えて反応を停止し、260nmにおける吸光度を測定した。
その結果、上記のPfu RNaseHII標品を添加した反応液では、先に10μlの0.5M EDTAを加えた後にこれを添加したものに比べて260nmにおける吸光度の値が高かった。よって、当該標品がRNaseH活性を有することが明らかになった。
(5)精製RNaseH活性の測定
a)使用する試薬液の調製
力価測定用反応液:最終濃度がそれぞれ40mM Tris−HCl(pH7.7、37℃)、4mM 塩化マグネシウム、1mM DTT、0.003% BSA、4%グリセロール、24μM ポリ(dT)になるように滅菌水で調製した。
ポリ[8−3H]アデニル酸溶液:370kBqのポリ[8−3H]アデニル酸溶液を200μlの滅菌水に溶解した。
ポリアデニル酸溶液:ポリアデニル酸を3mMになるように滅菌超純水で希釈した。
酵素希釈液:最終濃度がそれぞれ25mM Tris−HCl(pH7.5、37℃)、5mM 2−メルカプトエタノール、0.5mM EDTA(pH7.5、37℃)、30mM 塩化ナトリウム、50%グリセロールになるように滅菌水で調製した。
熱変性子牛胸腺DNAの調製:子牛胸腺DNA 200mgをTEバッファー100mlに懸濁し、膨潤させた。該溶液のUV260nmの吸光度を測定し、1mg/mlの濃度に滅菌超純水で希釈した。次に、該溶液を100℃で10分間加熱後、氷浴中で急冷した。
b)活性測定方法
上記a)で調製した力価測定用反応液 985μlにポリ[8−3H]アデニル酸溶液7μlを加え37℃で10分間保持した。次にポリアデニル酸を最終濃度が24μMになるように8μl加え、さらに37℃で5分間保持した。このようにしてポリ[8−3H]rA−ポリdT反応液 1000μlを調製した。次に、該反応液200μlを分取し、30℃で5分間保持した後、任意の希釈系列で希釈した酵素液1μlを加え、これらの反応液を経時的に50μlずつサンプリングして、後の測定に用いた。酵素添加からサンプリングまでの間の時間をY分とした。また、全CPM用反応液 50μlおよびブランク用反応液50μlは、酵素液の代わりに酵素希釈液を1μl加えて調製した。該サンプリング溶液に100mM ピロリン酸ナトリウム 100μl、熱変性子牛胸腺DNA溶液 50μlおよび10%トリクロロ酢酸 300μl(全CPM測定の場合は、超純水 300μl)を加え、0℃で5分間保持後、10000rpmで10分間遠心した。遠心後、得られた上清 250μlをバイアルに入れ、アクアゾル−2(NENライフサイエンスプロダクツ社製)10mlを加え、液体シンチレーションカウンターでCPMを測定した。
c)ユニット計算
各酵素のユニット(Unit)数は、以下の計算式で算出した。
Unit/ml={(測定したCPM−ブランクCPM)×1.2*×20×1000×希釈率}×200(μl)/(全CPM×Y分×50(μl)×9**
1.2*:全CPM中に含まれるポリ[8−3H]rA−ポリdTの50μl当たりのnmol数
**:補正係数
参考例2 アルカエオグロバス フルギダスのRNaseHII遺伝子のクローニング
(1)アルカエオグロバス フルギダス ゲノムDNAの調製
アルカエオグロバス フルギダス(Archaeoglobus fulgidus、ドイッチェ ザムルンク フォン ミクロオルガニスメン ウント ツェルクルツレンGmbHより購入:DSM4139)8ml相当分の菌体を集め、100μlの25%ショ糖、50mM Tris−HCl(pH8.0)に懸濁し、20μlの0.5M EDTA、10μlの10mg/ml 塩化リゾチーム(ナカライテスク社製)水溶液を加えて、20℃で1時間反応させた。反応終了後、この反応液に800μlの150mM NaCl、1mM EDTA、20mM Tris−HCl(pH8.0)、10μlの20mg/ml プロテイナーゼK(宝酒造社製)及び50μlの10%ラウリル硫酸ナトリウム水溶液を加え、37℃で1時間保温した。反応終了後、フェノール−クロロホルム抽出、エタノール沈殿、風乾した後に50μlのTEに溶解してゲノムDNA溶液を得た。
(2)RNaseHII遺伝子のクローニング
アルカエオグロバス フルギダス(Archaeoglobus fulgidus)は全ゲノム配列が公開されており〔Klenk,HPら、ネイチャー(Nature)、第390巻、第364−370頁(1997)〕、RNaseHIIのホモログをコードする遺伝子(AF0621)が1つ存在することが明らかになっている(配列番号13、http://www.tigr.org/tdb/CMR/btm/htmls/SplashPage.html)。
そこで、このAF0621遺伝子(配列番号13)の配列をもとにプライマーAfuNde(配列番号14)及びAfuBam(配列番号15)を合成した。
参考例2−(1)で得たアルカエオグロバス フルギダス ゲノムDNA 30ngを鋳型にして、20pmolのAfuNde及び20pmolのAfuBamをプライマーに用い、100μlの容量でPCRを行なった。PCRでのDNAポリメラーゼはパイロベストDNAポリメラーゼ(宝酒造社製)を添付のプロトコールに従って用い、PCRは94℃で30秒、55℃で30秒、72℃で1分を1サイクルとし、40サイクル行った。増幅した約0.6kbのDNA断片をNdeI及びBamHI(ともに宝酒造社製)で消化し、得られたDNA断片をプラスミドベクターpTV119Nd(pTV119NのNcoIサイトをNdeIサイトに変換したもの)のNdeI及びBamHI間に組込んだプラスミドpAFU204を作製した。
(3)RNaseHII遺伝子を含むDNA断片の塩基配列の決定
参考例2−(2)で得られたpAFU204の挿入DNA断片の塩基配列をジデオキシ法によって決定した。
得られた塩基配列の結果を解析したところ、RNaseHIIをコードすると考えられるオープンリーディングフレームが見出された。このオープンリーディングフレームの塩基配列を配列表の配列番号16に示す。また、該塩基配列から推定されるRNaseHIIのアミノ酸配列を配列表の配列番号17に示す。
なお、プラスミドpAFU204で形質転換された大腸菌JM109は、Escherichia coli JM109/pAFU204と命名、表示され、平成13年2月22日より日本国〒305−8566茨城県つくば市東1丁目1番地1中央第6、独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センターに受託番号FERM P−18221として寄託され、また前記独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センターに受託番号FERM BP−7691[国際寄託への移管請求日:平成13年8月2日]として寄託されている。
(4)精製RNaseHII標品の調製
参考例2−(2)で得られたpAFU204で大腸菌JM109を形質転換し、得られたpAFU204を含む大腸菌JM109を100μg/mlのアンピシリンを含む2リットルのLB培地に植菌し、37℃で16時間振盪培養した。培養終了後、遠心分離によって集めた菌体を37.1mlのソニケーションバッファー〔50mM Tris−HCl(pH8.0)、1mM EDTA、2mMフェニルメタンスルフォニルフルオライド〕に懸濁し、超音波破砕機にかけた。この破砕液を12000rpmで10分間の遠心分離を行い、得られた上清を70℃、15分間の熱処理にかけた。その後、再度12000rpmで10分の遠心分離を行い、上清を集め、40.3mlの熱処理上清液を得た。
この熱処理上清液をバッファーA〔50mM Tris−HCl(pH8.0)、1mM EDTA〕で平衡化したRESOURSE Qカラム(アマシャム ファルマシア バイオテク社製)に供し、FPLCシステム(アマシャム ファルマシア バイオテク社製)を用いてクロマトグラフィーを行なった。その結果、RNaseHIIはRESOURSE Qカラムを素通りした。
バッファーAで平衡化したRESOURSE Sカラム(アマシャム ファルマシア バイオテク社製)に供し、FPLCシステム(アマシャム ファルマシア バイオテク社製)を用いてクロマトグラフィーを行なった。その結果、RNaseHIIはRESOURSE Sカラムを素通りした。
素通りしたRNaseHII画分 40.0mlを50mM NaClを含むバッファーB〔50mM Tris−HCl(pH7.0)、1mM EDTA〕2リットルを外液として、2時間の透析を3回行なった。透析後の酵素液40.2mlを50mM NaClを含むバッファーBで平衡化したHiTrap−heparinカラム(アマシャム ファルマシア バイオテク社製)に供し、FPLCシステムを用いて50〜550mM NaCl直線濃度勾配により溶出した。その結果、約240mM NaClのところに溶出されたRNaseHII画分を得た。
このRNaseHII画分7.8mlをセントリコン−10(アミコン社製)を用いた限外ろ過により濃縮し、約600μlの濃縮液を4回に分けて100mM NaCl、0.1mM EDTAを含む50mM Tris−HCl(pH7.0)で平衡化したSuperose6ゲルろ過カラム(アマシャム ファルマシア バイオテク社製)に供し、同じバッファーで溶出を行った結果、RNaseHIIは、30.0キロダルトンの分子量に相当する位置に溶出された。この分子量は、RNaseHIIが1量体として存在する場合に相当する。
こうして溶出されたRNaseHIIをAfu RNaseHII標品とした。
上記で得られたAfu RNaseHII標品を用いて、参考例1−(5)に記載の方法により酵素活性を測定した結果、AfuRNaseHII標品にRNaseH活性が認められた。
以下の実施例における耐熱性RNaseHのunit数は、以下の方法により算出した。
ポリ(rA)及びポリ(dT)(ともにアマシャム ファルマシア バイオテク製)1mgをそれぞれ1mM EDTAを含む40mM トリス−HCl(pH7.7)1mlに溶解し、ポリ(rA)溶液及びポリ(dT)溶液を調製した。
次に、4mM MgCl2、1mM DTT、0.003%BSA、4%グリセロールを含む40mM トリス−HCl(pH7.7)に、終濃度20μg/mlとなるポリ(rA)溶液、終濃度30μg/mlとなるポリ(dT)溶液を加え、37℃で10分間反応後、4℃に冷却し、ポリ(rA)−ポリ(dT)溶液を調製した。このポリ(rA)−ポリ(dT)溶液100μlに任意に希釈した酵素液1μlを加え、40℃で10分間反応させ、0.5M EDTA 10μlを加えて反応を停止させた後、260nmの吸光度を測定した。対照として、上記反応液に0.5M EDTA 10μlを加えた後、40℃で10分間反応させ、吸光度を測定した。その後、EDTA非存在下で反応させ求めた吸光度から対象の吸光度を引いた値(吸光度差)を求めた。すなわち、酵素反応によってポリ(rA)−ポリ(dT)ハイブリッドから遊離したヌクレオチドの濃度を吸光度差から求めた。RNaseHの1単位は、1nmolのリボヌクレオチドが遊離したのに相当するA260を10分間に増加させる酵素量とし、下記の式に従って算出した。
単位(unit)=〔吸光度差×反応液量(ml)〕/0.0152×(110/100)×希釈率
実施例1 ヒトc−Ki−ras遺伝子上の塩基置換の検出
(1)テンプレートの作成
ヒトc−Ki−rasエクソン1のコドン12にそれぞれGGT(Gly)、CGT(Arg)、TGT(Cys)、AGT(Ser)の配列を有したDNA断片を調製した。すなわち、ラス・ミュータント・セット(ras Mutant Set c-Ki-ras codon 12、宝酒造社製)中の上記のコドンに対応するテンプレートDNAとラス・ジーン・プライマーセット(ras Gene Primer Set c-Ki-ras/12、宝酒造社製)を用いたPCRによって得られた増幅産物をpT7−Blueベクター(ノバジェン社製)にクローニングした。こうして得られた組換えプラスミドを鋳型とし、M13プライマーM4、RV(いずれも宝酒造社製)を用いたPCRを実施し、得られた増幅断片を回収してそれぞれテンプレート12G、12R、12C、12Sとした。
(2)塩基置換の検出
ヒトc−Ki−rasエクソン1の塩基配列に従って、上記テンプレート12Gを特異的に検出するためのフォワード側ヌクレオチドとして、それぞれ配列番号7〜9記載の塩基配列を有する3種のキメラオリゴヌクレオチドを合成した。これらは3’末端のヌクレオチドのリボース部分の3位の水酸基がアミノヘキシル化されたキメラオリゴヌクレオチドである。また、該ヌクレオチドは、コドン12がGlyをコードしているヒトc−Ki−rasエクソン1の塩基配列に相補的な配列を有している。また、核酸増幅のためのアンチセンスプライマーとして配列番号6の塩基配列を有するオリゴヌクレオチドを合成した。
それぞれ50pmolのフォワード側ヌクレオチドとアンチセンスプライマー、1μlの0.25%プロピレンジアミン水溶液、鋳型としてテンプレート12G、12C、12R、12Sのいずれか1pgを含む全量5μlの反応液を調製し、サーマルサイクラーパーソナル(宝酒造社製)で98℃、2分間加熱処理の後、53℃の加熱処理を行って鋳型にプライマー側ヌクレオチドならびにアンチセンスプライマーをアニーリングさせた。上記加熱処理を行った各溶液に0.625mM dNTP混合液、40mM Hepes−KOH緩衝溶液(pH7.8)、125mM 酢酸カリウム、5mM 酢酸マグネシウム、0.0125%ウシ血清アルブミン、1.25%ジメチルスルホキシド、16Uの参考例1に記載のPfu RNaseHII及び、5.5UのBcaBest DNAポリメラーゼ(宝酒造社製)及び滅菌水を含む全液量 20μlを添加し、最終容量を25μlとした。該反応液は53℃、1時間保持した。反応終了後、該反応液 5μlを3.0%アガロースゲル電気泳動に供した。この結果を図1に示す。図1−1〜3に示されたアガロースゲルにおいて、レーン1〜4はそれぞれテンプレート12G、12C、12R、12Sを用いた場合の反応液がアプライされている。また、図1−1、2、3は、それぞれ配列番号7、8、9のヌクレオチドを使用した反応の結果を示す。
図1に示されるように、配列番号7〜9記載のヌクレオチドを用いた場合には、いずれもテンプレート12Gを使用した場合のみ、すなわち標的核酸がコドン12にGlyをコードしている場合のみに増幅産物が観察された。このことから、本発明のヌクレオチドを使用することにより、標的核酸上の塩基置換の判別が可能であることが示された。さらに、イノシンを含有したヌクレオチドを用いることにより、特異的増幅を向上させることができることを確認した。
実施例2 c−Ki−rasコドン12の他のアレルの検出
実施例1の結果を基に、実施例1−(1)で調製した、12R、12C、12S上のコドン12の塩基を特異的に判別可能なヌクレオチドとして、それぞれ配列番号10〜12に示す塩基配列をするキメラオリゴヌクレオチドを合成した。配列番号10、11、12はそれぞれコドン12がCys、Arg、Serであるアレルに対応する塩基配列を有している。また、これらはいずれも3’末端のヌクレオチドのリボーヌ部分の3位の水酸基がアミノヘキシル化されたヌクレオチドである。これらのヌクレオチドと配列番号6記載のアンチセンスプライマーとを使用し、実施例1−(2)と同一反応条件下、反応を行なった。反応終了後、該反応液5μlを3.0%アガロースゲル電気泳動に供した。この結果を図2に示す。図2−1〜3に示されたアガロースゲルにおいて、レーン1〜4はそれぞれテンプレート12G、12C、12R、12Sを用いた場合の反応液がアプライされている。また、図2−1、2、3は、それぞれ配列番号10、11、12のヌクレオチドを使用した反応の結果を示す。
図2に示されるように、配列番号10、11、12のヌクレオチドを用いた場合には、それぞれテンプレート12C、12R、12Sと組み合わせた場合のみに特異的な増幅産物が認められた。すなわち、本発明のヌクレオチドは目的とする塩基を正確に判別する能力を有していた。さらに、イノシンを含有したオリゴヌクレオチドを用いる事により、特異的増幅を向上させることができることを確認した。
実施例3 ゲノムDNA上のアレル特異的なDNA増幅
c−Ki−rasエクソン1のコドン12がGly(GGT)である事を確認されている、ヒトゲノムDNA(クロンテック社製)150ng、または30ngを用い、実施例1、2においてコドン12の4種のアレルを特異的に検出する事が示された配列番号7、10、11、12記載のヌクレオチド(それぞれコドン12がGly、Cys、Arg、Serの場合に対応)、ならびに配列番号6記載のアンチセンスプライマーを使用し(2)と同一条件下、反応を行った。反応終了後、該反応液5μlを3.0%アガロースゲル電気泳動に供した。その結果を図3に示す。
図3−1、2に示されたアガロースゲルにおいて、レーン1〜4はそれぞれ配列番号7、10、11、12記載のヌクレオチドを用いた場合の反応液がアプライされている。また、図3−1、2は、それぞれ150ng、30ngのヒトゲノムDNAを使用した反応の結果を示す。
図3に示されるように、上記のヒトゲノムDNAの使用量にかかわらず、配列番号7のヌクレオチドのみにおいてDNA断片の増幅が認められ、他のヌクレオチドでのDNA断片の増幅は見られなかった。このことから、本発明の塩基置換の検出方法により、ゲノムDNA上の特定のアレルを検出可能であることが確認された。
実施例4 種々のRNaseHを用いた検出
実施例1に示された塩基置換の検出を、種々のRNaseHを使用して試みた。
すなわち、Pfu RNaseHIIにかえて参考例2に記載のAfu RNaseHII、ストラクチャー(Structure)、第8巻、第897〜904頁に記載の方法で調製したメタノコッカス・ヤナシ(Methanococcus jannashi)由来のRNaseHであるMja RNaseHIIをそれぞれ使用した。フォワード側ヌクレオチドとして配列番号7のヌクレオチド、アンチセンスプライマーとして配列番号6のオリゴヌクレオチドを使用し、実施例1と同じ条件で反応を行なった。反応終了後、該反応液5μlを3.0%アガロースゲル電気泳動に供した。この結果を図4に示す。図4−1〜2に示されたアガロースゲルにおいて、レーン1〜4はそれぞれテンプレート12G、12C、12R、12Sを用いた場合の反応液がアプライされている。また、図4−1、2は、それぞれAuf RNaseHII、Mja RNaseHIIを使用した反応の結果を示す。
図4に示されるように、Auf RNaseHII、Mja RNaseHIIを用いた場合には、いずれもテンプレート12Gを使用した場合のみ、すなわち標的核酸がコドン12にGlyをコードしている場合のみに増幅産物が観察されており、これらのRNaseHによって標的核酸上の塩基置換の判別が可能であることが示された。
実施例5 変性操作の必要なDNA増幅反応系(PCR)を用いたSNPの検出
変性操作の必要なDNA増幅反応系における本発明の方法について検討した。まず、ヒトc−Ki−rasエクソン1の塩基配列に従って、上記テンプレート12Gを特異的に検出するためのセンス側ヌクレオチドとして配列表の配列番号25記載のキメラオリゴヌクレオチドを合成した。該ヌクレオチドは、3’末端のヌクレオチドのリボース部分の3位の水酸基がアミノヘキシル化されたヌクレオチドである。また、同様にアンチセンスプライマーとして配列番号18の塩基配列を有するプライマーを合成した。上記各50pmolの上記合成ヌクレオチド及びプライマー(センス方向ヌクレオチドとアンチセンス方向プライマー)と2.5μlのEx Taqバッファー(宝酒造社製)、2μlの2.5mM dNTP混合液、50UのAfu RNaseHII、0.625UのEx Taq DNAポリメラーゼ(宝酒造社製)を含む全量24μlの反応液を調製した。この反応液に、実施例1で調製したテンプレート12G、12C、12R、12Sの10ng/μl溶液をそれぞれ1μl添加し、サーマルサイクラー(宝酒造社製)を用い、94℃ 5秒、59℃ 2分、72℃ 5秒のPCR反応を25、30サイクル行った。反応終了後、得られた各反応液1μlをアジレント2100バイオアナライザ(ヒューレットパッカード社製)で分析した。その結果を図5に示す。図5は、各テンプレートにおける目的の増幅産物量を示すグラフであり、縦軸は目的の増幅産物量、横軸はPCRのサイクル数を示す。図5に示した用に、検出に用いたプライマーとalleleの一致するテンプレート12Gを用いた場合にのみ特異的に目的のDNAの増幅が確認された。すなわち、本発明の方法が、鋳型となる核酸の変性操作が必要なDNA増幅反応系においても有効であることが確認できた。
実施例6 K−rasコドン61のアレル特異的な検出
別の塩基置換の検出の場合について検討した。すなわち、ヒトc−Ki−ras エクソン2のコドン61にそれぞれCAA(Glu)、AAA(Lys)、GAA(Gln)の配列を有したDNA断片を、配列表の配列番号19、20に記載のDNAプライマーを用いてPCRで増幅し、pT7−Blueベクターにクローニングした。これらのDNA断片がクローニングされたベクターのそれぞれを常法で精製し、それぞれ61Q、61K、61Eとした。次に実施例1−(2)の結果を基に、ヒトc−Ki−ras エクソン2の塩基配列に基いて61Q、61K、61Eの各ベクターを特異的に検出するヌクレオチドとして、それぞれ配列表の配列番号21、22、23記載のキメラオリゴヌクレオチドを合成した。これらはいずれも3’末端のヌクレオチドのリボース部分の3位の水酸基がアミノヘキシル化されたヌクレオチドである。これらのヌクレオチドをセンスプライマーとして、配列表の配列番号24記載のプライマーをアンチセンスプライマーとして用いて以下の反応を行った。上記各50pmolの合成オリゴヌクレオチドプライマー(センス方向とアンチセンス方向プライマー)と1μlの0.05%プロピレンジアミン水溶液、61Q、61K、61Eの各テンプレートDNA 10pgを含む全量5μlの反応液をサーマルイクラーパーソナル(宝酒造社製)で98℃で2分間の後、53℃の加熱処理により鋳型にプライマーをアニーリングさせた。上記熱処理をした各溶液に0.625mM dNTP混合液、40mM Hepes−KOH緩衝溶液(pH7.8)、125mM酢酸カリウム、5mM 酢酸マグネシウム、0.0125%ウシ血清アルブミン、1.25%ジメチルスルホキシド、11UのAfu RNaseHII(宝酒造社製)及び、5.5UのBcaBest DNAポリメラーゼ(宝酒造社製)及び滅菌水を含む全液量20μlを添加し、最終容量を25μlとした。該反応液は58℃、1時間保持した。反応終了後、該反応液5μlを3.0%アガロースゲル電気泳動に供した。その結果を図6に示す。すなわち、図6Aは、配列番号21記載の61Q検出用プライマーを用いた場合の検出結果を示す電気泳動パターンであり、レーン1はテンプレート61Q、レーン2はテンプレート61K、レーン3はテンプレート61Eをそれぞれ鋳型に用いた場合を示す。また、図6Bは、配列番号22記載の61K検出用プライマーを用いた場合の検出結果を示す電気泳動パターンであり、レーン1はテンプレート61Q、レーン2はテンプレート61K、レーン3はテンプレート61Eをそれぞれ用いた場合を示す。さらに、図6Cは、配列番号23記載の61E検出用プライマーを用いた場合の検出結果を示す電気泳動パターンであり、レーン1はテンプレート61Q、レーン2はテンプレート61K、レーン3はテンプレート61Eをそれぞれ用いた場合を示す。
図6A、B、Cに示したように配列表の配列番号21,22,23を用いた場合に各allele特異的にICAN反応によって目的のDNA増幅産物が得られる事を確認した。すなわち、塩基置換の対象が変わっても本発明の方法が有効であることを確認した。
実施例7 CYP2C19(636)のアレル特異的な検出
(1) 遺伝子的にホモ型あるいはヘテロ型であるかの検出方法について検討した。対象として、ヒトCYP2C19の636番目の塩基のalleleを選択した。まず、ヒトCYP2C19の636番目の塩基がGあるいはAであるDNA断片を、配列表の配列番号26、27に記載のDNAプライマーを用いたPCR反応で増幅し、pT7−Blueベクターにクローニングした。これらDNA断片がクローニングされたプラスミドをそれぞれ常法で精製し、それぞれプラスミド636G、636Aとした。
上記プラスミド636G、636Aならびにプラスミド636Gと636Aを1:1に混合したプラスミド636G/Aを鋳型として用いた。すなわち、プラスミド636Gならびにプラスミド636Aは遺伝子的にホモ型、プラスミド636G/Aが遺伝子的にヘテロ型のモデルである。次に、上記636Gならびに636Aを特異的に検出するヌクレオチドとして、それぞれ配列表の配列番号28、29記載のヌクレオチドを合成した。これらのヌクレオチドをセンスプライマー、配列表の配列番号30記載のプライマーをアンチセンスプライマーとして用い、以下の反応を行った。上記各50pmolの合成オリゴヌクレオチドプライマー(センス方向とアンチセンス方向プライマー)と1μlの0.05%プロピレンジアミン水溶液、プラスミド636G、636Aならびに636G/Aの各テンプレートDNA 1pg含む全量5μlの反応液をサーマルサイクラーパーソナル(宝酒造社製)で98℃で2分間の後、53℃の加熱処理により鋳型にプライマーをアニーリングさせた。上記熱処理をした各溶液に0.625mM dNTP混合液、40mM Hepes−KOH緩衝溶液(pH7.8)、125mM 酢酸カリウム、5mM 酢酸マグネシウム、0.0125%ウシ血清アルブミン、1.25%ジメチルスルホキシド、11UのAfu RNaseHII、5.5UのBcaBest DNAポリメラーゼおよび滅菌水を含む全液量20μlを添加し、最終容量を25μlとした。該反応液は、53℃、1時間保持した。反応終了後、該反応液5μlを3.0%アガロースゲル電気泳動に供した。その結果を図7A及び7Bに示す。すなわち、図7Aは、ヌクレオチド636Gを用いた場合の検出結果を示す電気泳動パターンであり、レーン1はテンプレートがプラスミド636Gの場合、レーン2はプラスミド636Aの場合、レーン3はプラスミド636G/Aを用いた場合を示す。
また、図7Bは、ヌクレオチド636Aを用いた場合の検出結果を示す電気泳動パターンであり、レーン1はテンプレートがプラスミド636Gの場合、レーン2はプラスミド636Aの場合、レーン3はプラスミド636G/Aを用いた場合を示す。図7A及び7Bに示したように、いずれのヌクレオチドを用いた場合でもallele特異的な検出が行えることが確認できた。
(2) ヒトゲノムDNAをテンプレートに用いた場合について、PCR−RFLP法と解析の比較を行った。まず、ヒトゲノムDNA(クローンテック社製)を150ngを鋳型として上記(1)と同様の方法でSNPタイピングを行った。その結果を図7Cに示す。すなわち、図7Cは、ヒトゲノムDNAのSNPタイピングした結果を示す電気泳動パターンであり、レーン1はヌクレオチド636Gを用いた場合、レーン2はヌクレオチド636Aを用いた場合である。
図7Cに示したようにヌクレオチド636Gを用いた場合にのみ目的の増幅DNAが検出され、このゲノムDNAのCYP2C19 636塩基目のalleleは、(636G/G)のホモ型であると判断された。
一方、上記ヒトゲノムDNAを用いてPCR−RFLP法によるタイピングを行った。まず、ゲノムDNA 150ngを用いて、配列表の配列番号26および27のプライマーを用いてPCR反応を行った。得られたPCR増幅産物をBamHIで処理した後、該反応液を3.0%アガロースゲル電気泳動に供した。その結果を図7Dに示す。すなわち、図7Dは、ヒトゲノムDNAを鋳型としPCR−RFLP法によりタイピングを行った結果を示す電気泳動パターンであり、レーン1はPCR増幅産物、レーン2は該PCR増幅産物をBamHIで処理した場合である。
図7Dに示したように、PCR増幅産物がBamHIにより完全消化されたことから、PCR−RFLP法においてもこのゲノムDNAのCYP2C19 636塩基目のalleleは(636G/G)のホモ型であると判断された。
また、本発明の塩基置換の検出方法と従来のPCR−RFLP法によるSNPタイピングの結果が一致することが確認できた。
(3) 上記(1)で調製したプラスミド636G、636A、636G/Aを用いて相同染色体上のジェノタイプを想定した検出方法を検討した。反応は、以下のようにして行った。まず、ヌクレオチド636Gならびにヌクレオチド636Aの5’末端にお互いに識別可能な蛍光標識Rox(ABI社製)、Fam(ABI社製)をそれぞれ結合させたものを合成した。当該蛍光標識ヌクレオチドは等量づつ混合して用いた。検出方法は、上記(1)と同様の方法で行った。反応終了後、該反応液の一部を3.0%アガロースゲル電気泳動に供し、増幅産物と未反応の蛍光標識ヌクレオチドが十分に分離するまで泳動を行った。電気泳動後のアガロースゲルをFM−BIO II Multi−View(宝酒造社製)にて解析した。その結果、鋳型がプラスミド636Gの場合は蛍光標識Roxの蛍光シグナルのみが確認できた。また、鋳型がプラスミド636Aの場合は蛍光標識Famの蛍光シグナルのみが確認できた。さらに、鋳型がプラスミド636G/Aの場合はRox及びFamの両方の蛍光シグナルが確認できた。以上のことから、本発明の方法が相同染色体上のジェノタイプ(ホモ型あるいはヘテロ型)を解析できる方法として有用であることを確認した。
実施例8 全血から抽出したゲノムDNAを用いたタイピング
インフォームドコンセントの得られた健常人全血200μl(サンプル番号1〜6)よりGenとるくんTM(宝酒造社製)を用いて、ゲノムDNAを調製した。調製したゲノムDNA160ngを鋳型として、636G、636Aの各alleleを特異的に検出するプライマーとして、それぞれ配列番号28、29記載のヌクレオチドを用い、実施例7−(1)と同様の方法でSNPタイピングを行った。その結果を図8A〜Fに示す。すなわち図8のA〜Fは、それぞれ血液サンプル1〜6から抽出したゲノムDNAを鋳型とし実施例7−(1)の方法でタイピングした結果を示す電気泳動パターンであり、各図のレーン1は配列番号28(636G検出用)、レーン2は配列番号29(636A検出用)をそれぞれヌクレオチドとして用いた場合である。図8のA〜Fに示した増幅産物のパターンから、各血液サンプルのCYP2C19 636塩基目のalleleは(サンプル1:G/A、2:G/G、3:G/A、4:G/G、5:G/G、6:G/G)とタイピングされた。一方、同じゲノムDNAを鋳型に、実施例7−(2)と同様の方法でPCR−RFLP法によりタイピングを行った。その結果を図7Gに示す。すなわち図7Gは血液サンプル1〜6から調製したゲノムDNAを鋳型とし、PCR−RFLP法によりタイピングを行った結果を示す電気泳動パターンであり、レーン1〜6はそれぞれ血液サンプル1〜6から抽出したゲノムDNAを鋳型とした場合である。図8Gに示す電気泳動結果から、これら各血液サンプルから調製したDNAを鋳型としたPCR増幅産物の切断パターンよりCYP2C19 636塩基目のalleleは(サンプル1:G/A、2:G/G、3:G/A、4:G/G、5:G/G、6:G/G)とタイピングされ、前記の結果と一致した。
以上のことから、本発明の方法が実際の臨床検体を用いた場合においても有効であることを確認した。
産業上の利用の可能性
上記の、本発明のヌクレオチド、ならびに該ヌクレオチドを使用する塩基置換の検出方法は、天然に存在する、あるいは人為的に導入された塩基置換の検出に有用である。
本発明によれば、標的核酸上の塩基置換の有無を簡便、かつ再現性よく検出することができる。本発明の方法は公知の核酸増幅方法と容易に組み合せることができ、高感度に塩基置換を検出することが可能である。さらに、適切な配列のヌクレオチドを組み合わせて使用することにより、塩基置換の有無と同時にどのような塩基への置換が起こっているかを知ることもできる。
本発明は、多型やバリエーションのような生物のゲノムDNA上に生じた塩基置換、例えばSNPの検出、同定に使用することができ、ヒトにおける疾患遺伝子の検索、薬剤感受性の解析など、ゲノム創薬、ゲノム医療の分野においても有用である。
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【配列表】
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Claims (24)

  1. 標的核酸上の特定の塩基における塩基置換の有無を検出する方法であって、
    (1)標的核酸を含有する試料とヌクレオチドとを混合する工程:ここで当該ヌクレオチドは、
    A)その3’末端が当該末端からのDNAポリメラーゼによる伸長が起こらないように修飾されており、
    B)標的核酸上の前記特定の塩基を含有する領域にアニーリングしうる塩基配列を有しており、
    C)当該ヌクレオチドと標的核酸とから形成される複合体において、前記特定の塩基と該塩基に対応するヌクレオチド上の塩基との間にミスマッチが存在する場合にはヌクレオチドはヌクレアーゼによる切断を受けず、かつ、前記特定の塩基と該塩基に対応するヌクレオチド上の塩基との間にミスマッチが存在しない場合にはヌクレオチドがヌクレアーゼにより切断されて新たな3’末端を生じるような配列を含有しており、
    (2)前記混合物をヌクレアーゼ、およびDNAポリメラーゼで処理する工程:および
    (3)ヌクレアーゼによるヌクレオチドの切断の有無を検出する工程、
    を包含することを特徴とする塩基置換の検出方法。
  2. ヌクレアーゼとしてリボヌクレアーゼH、ヌクレオチドとして特定の塩基に対応する塩基を含有する領域にリボヌクレオチドを含有するヌクレオチドを使用する請求項1記載の塩基置換の検出方法。
  3. ヌクレアーゼとして制限酵素、ヌクレオチドとして特定の塩基に対応する塩基を含有する領域に制限酵素の認識配列を含有するヌクレオチドを使用する請求項1記載の塩基置換の検出方法。
  4. 標的核酸に塩基置換が存在しない場合に、標的核酸と形成される複合体にミスマッチを生じないような配列を有するヌクレオチドが使用される請求項1記載の塩基置換の検出方法。
  5. 標的核酸に塩基置換が存在する場合に、標的核酸と形成される複合体にミスマッチを生じないような配列を有するヌクレオチドが使用される請求項1記載の塩基置換の検出方法。
  6. DNAポリメラーゼの作用によって生成する伸長産物の有無によってヌクレオチドの切断が検出される請求項1記載の塩基置換の検出方法。
  7. ヌクレアーゼの作用によって生成する遊離したヌクレオチドの3’側断片の有無によってヌクレオチドの切断が検出される請求項1記載の塩基置換の検出方法。
  8. ヌクレオチドに標識化合物が付加されており、該標識を用いてヌクレオチドの切断が検出される請求項1記載の塩基置換の検出方法。
  9. 標識化合物が、ヌクレオチドのヌクレアーゼによる切断箇所の3’側部分に付加されていることを特徴とする請求項8記載の塩基置換の検出方法。
  10. 標識化合物が、ヌクレオチドのヌクレアーゼによる切断箇所の5’側部分に付加されていることを特徴とする請求項8記載の塩基置換の検出方法。
  11. ヌクレオチドに標識化合物として蛍光物質が付加されている請求項8記載の塩基置換の検出方法。
  12. さらに、蛍光を消光しうる物質がヌクレオチドに付加されており、ヌクレアーゼによる切断に伴って蛍光が発生する請求項11記載の塩基置換の検出方法。
  13. 蛍光偏光法によってヌクレオチドの切断を検出することを特徴とする請求項11記載の塩基置換の検出方法。
  14. ヌクレオチドの3’末端の修飾が、リボースの3位の水酸基の修飾である請求項1記載の塩基置換の検出方法。
  15. ヌクレオチドが、ヌクレオチドアナログ及び/又は修飾ヌクレオチドを含有することを特徴とする請求項1記載の塩基置換の検出方法。
  16. ヌクレオチドアナログが、デオキシリボイノシンヌクレオチドあるいはデオキシリボウラシルヌクレオチドであり、修飾リボヌクレオチドが(α−S)リボヌクレオチドである請求項15記載の塩基置換の検出方法。
  17. DNAポリメラーゼの作用によって生成する伸長産物を鋳型とした核酸増幅の工程をさらに包含する請求項1記載の塩基置換の検出方法。
  18. 請求項17記載の塩基置換の検出方法を用いた対立遺伝子の遺伝子型を解析する方法。
  19. 請求項1記載の塩基置換の検出方法に使用されるキットであって、下記A)〜C)記載のヌクレオチドを含有することを特徴とするキット:
    A)その3’末端が当該末端からのDNAポリメラーゼによる伸長が起こらないように修飾されており、
    B)標的核酸上の前記特定の塩基を含有する領域にアニーリングしうる塩基配列を有しており、
    C)当該ヌクレオチドと標的核酸とから形成される複合体において、前記特定の塩基と該塩基に対応するヌクレオチド上の塩基との間にミスマッチが存在する場合にはヌクレオチドはヌクレアーゼによる切断を受けず、かつ、前記特定の塩基と該塩基に対応するヌクレオチド上の塩基との間にミスマッチが存在しない場合にはヌクレオチドがヌクレアーゼにより切断されて新たな3’末端を生じるような配列を含有する。
  20. ヌクレアーゼおよび/またはDNAポリメラーゼを含有することを特徴とする請求項19記載のキット。
  21. DNA伸長の有無を検出するための試薬をさらに含有する請求項19記載のキット。
  22. 核酸増幅法を実施するための試薬をさらに含有する請求項19記載のキット。
  23. 請求項1記載の塩基置換の検出方法に使用される反応液であって、下記A)〜C)記載のヌクレオチドを含有することを特徴とする反応液:
    A)その3’末端が当該末端からのDNAポリメラーゼによる伸長が起こらないように修飾されており、
    B)標的核酸上の前記特定の塩基を含有する領域にアニーリングしうる塩基配列を有しており、
    C)当該ヌクレオチドと標的核酸とから形成される複合体において、前記特定の塩基と該塩基に対応するヌクレオチド上の塩基との間にミスマッチが存在する場合にはヌクレオチドはヌクレアーゼによる切断を受けず、かつ、前記特定の塩基と該塩基に対応するヌクレオチド上の塩基との間にミスマッチが存在しない場合にはヌクレオチドがヌクレアーゼにより切断されて新たな3’末端を生じるような配列を含有する。
  24. ヌクレアーゼおよび/またはDNAポリメラーゼを含有することを特徴とする請求項23記載の反応液。
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