JP6074036B2 - 拡大された基質範囲を有する新規のdnaポリメラーゼ - Google Patents

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Description

本発明は、改善された逆転写酵素活性及びDNAポリメラーゼ活性等の拡大された基質範囲、並びに修飾ヌクレオチドの組み込み及び延長のための改善された活性を示すDNAポリメラーゼに関する。特に、本発明は、野生型アミノ酸配列においてS515R、I638F及びM747Kの変異を含む野生型Thermusaquaticus(Taq)ポリメラーゼに由来するDNAポリメラーゼに関する。さらに、本発明は、本発明のDNAポリメラーゼをコードする核酸、該核酸を含むベクター、該ベクター又は核酸を含む宿主細胞、該DNAポリメラーゼを用いてDNA分子を生成するための方法、該DNAポリメラーゼを含むキット、及びそれらの使用に関する。
広く普及し、確立されたRNA分子の検出のための技術は、いわゆる逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT−PCR)である。RT−PCRにおいて、RNAは、そのDNA相補鎖(相補的DNA又はcDNA)に逆転写され、その後、生じたcDNAは、PCRを用いて増幅される。RT−PCRは、低い又は極めて低いコピー数のRNA分子の検出のための高感度の技術を提供する。それは、例えば遺伝性疾患の診断、細胞若しくは組織における特定のRNA分子の量の測定、又はインフルエンザウィルスA若しくはヒト免疫不全ウィルス(HIV)等のRNAウィルスの研究に用いられる。
RT−PCR技術の他の重要な用途は、例えば食品媒介性の微生物等の雑菌の検出である。食品媒介性の病原体の感染は、今日における最も深刻な公衆衛生被害に属する。世界的な旅行及び貿易の増大により、危険な病原体が広がるリスクが一貫して増大している。その対抗策として、食品の生産及び処理における微生物学的品質管理方法は、ますます重要となっている。従って、より速く、より強力であり、より信頼でき、より選択的な微生物の検出及び特徴付けのための方法が、最も関心が持たれ且つ最も重要である。
従来の微生物の検出方法は、例えば、後にそれぞれの微生物の生化学的及び/又は血清学的同定が続くような、疑いがあるコロニー又はサンプルの培養を含む。これらの方法は、所定の微生物の検出感度の欠損及び検出能力の欠如等のいくつかの重大な欠点を示すため、極めて少量の微生物の検出を可能とするPCRによる微生物の特定のゲノム配列の検出が広範に用いられている。しかしながら、それぞれの方法は、まだいくつかの欠点を有している。例えば、特異性の欠陥は、宿主細胞DNA等の非細菌DNAのバックグラウンドで細菌DNAの検出を妨げる。さらに、そのような方法は、生存微生物と死滅微生物との識別を可能としない。従って、生存している微生物にのみ存在する特定のmRNA分子の検出のためのRT−PCRは、微生物の検出のための魅力的な代替手段として出現している。しかしながら、RT−PCR技術は、まだ所望の選択性及び感度を欠いていることが多く、改善の余地があり、さらなる発展を必要とする。
本技術分野において周知である多くのRT−PCR技術は、2つの異なる酵素、すなわち、RNAをcDNAに逆転写するための逆転写酵素、及びその後の該cDNAの増幅のためのDNAポリメラーゼの使用に基づくものである。これらの技術は、逆転写後のRNA切断又は異なるバッファーの添加等の逆転写と増幅との間にサンプルの操作を必要とすることが多い。これらのサンプル操作は、時間及び労力が多くかかるのみならず、サンプルのコンタミネーションのリスクが生じる。
残念ながら、逆転写酵素は、DNAポリメラーゼほどの耐熱性を有していないことが多く、適用温度範囲が制限される。従って、本技術分野において周知の逆転写酵素は、第1ストランドcDNAを合成するために高温で用いられない場合が多い。従って、二次構造を有するRNAからのcDNAの合成は、顕著に阻害され得る。DNAポリメラーゼ活性に加えて逆転写酵素活性を有するThermusthermophilus由来のDNAポリメラーゼ(Tth ポリメラーゼ)の使用は、2つの異なる酵素の必要性を取り除き、高温における逆転写の可能性を提供する。しかしながら、Tthポリメラーゼは、逆転写のためにMn2+イオンの存在が必要である。それにもかかわらず、DNA増幅の際の該イオンの存在は望まれない。従って、それぞれの技術は、逆転写とDNA増幅との間に、例えばEDTA等のキレート剤の添加等のサンプル操作のステップを必要とする。従って、1つの酵素を用いるRT−PCR技術は、逆転写と増幅との間にサンプル操作を必要とし、ハイスループットフォーマットでの使用が制限され、サンプルのコンタミネーションの更なる原因となる。
RT−PCR技術に用いるための逆転写酵素活性及びDNAポリメラーゼ活性の両方を有する更なる酵素が開発されている。これらは、野生型Taqポリメラーゼに対して、L322M、L459M、S515R、I638F、S739G及びE773Gの変異を有するM1ポリメラーゼ等のTaqポリメラーゼ由来の酵素を含む。しかしながら、このポリメラーゼは、例えばその酵素活性及び熱安定性等に関して、さらなる改善の余地を未だ残している。
従って、鋳型としてRNAを許容できる能力を有し、増大された逆転写酵素活性及びDNAポリメラーゼ活性を有する改善された酵素の必要性がある。それぞれの酵素は、さらに、PCRに用いられる温度範囲内で改善された熱安定性を示すべきであり、それは高温でのみ除かれ得る強い二次構造を有するRNA分子の検出を可能とし得る。
色素又は親和性タグ等の広い修飾を用いて機能化された多くの2’−デオキシヌクレオシド三リン酸(dNTPs)は、DNAポリメラーゼの基質となる。そのような修飾型dNTPs及び鋳型を受け入れるためのDNAポリメラーゼの能力は、次世代シークエンシングアプローチ、単分子シークエンシング、例えばマイクロアレイ分析のためのDNAのラベル化及びPCR増幅、DNA接合、又はSELEX(指数関数的濃縮によるリガンドの系統的発生)によるアプタマー等のリガンドのインビトロ選択を含む多くの重要な生物工学的適用に利用される。さらに、化学的に導入された機能と組み合わせてDNAの内在特性を用いることは、核酸ベースのハイブリッド材料の新たな分類への入口を提供する。それにもかかわらず、本技術分野に周知のDNAポリメラーゼは、より多くの周知で、未だ確立されていない修飾型ヌクレオチドをDNAに組み込むための増大された活性を示すための更なる最適化を未だ必要とする。
興味深いKlen TaqM747Kポリメラーゼは、DNA損傷を回避するための高い性能を有する野生型Taqポリメラーゼに対してM747Kの変異を含ませたものとして報告されている。
従って、本発明の基礎となる技術的課題は、上記有利な特性を有する新規の酵素を提供することにある。
上記技術的課題の解決は、特許請求の範囲に特徴付けられた実施形態により達成される。
特に、第1の態様において、本発明は、野生型Thermusaquaticus (Taq)DNAポリメラーゼ由来のDNAポリメラーゼに関し、これは、野生型TaqDNAポリメラーゼのアミノ酸配列(SEQID NO: 1)においてS515R、I638F及びM747Kの変異のうちの少なくとも1つを含むものである。
本発明のDNAポリメラーゼの特に好ましい実施形態において、該DNAポリメラーゼは、野生型TaqDNAポリメラーゼのアミノ酸配列(SEQID NO: 1)においてS515R、I638F及びM747Kの3つ全ての変異を含む。このDNAポリメラーゼは、以下「C12DNAポリメラーゼ」ということもある。
本明細書で用いられる「DNAポリメラーゼ」の用語は、例えば翻訳語プロセシング等の自然プロセス、又は化学修飾等の非自然プロセスにより修飾されたDNAポリメラーゼを含む。そのような修飾は、ペプチド骨格、アミノ酸側鎖、又はN若しくはC末端で起こり得る。修飾は、例えばアセチル化、アシル化、ADPリボシル化、アミド化、フラビン、ヘム基、ヌクレオチド若しくはヌクレオチド誘導体、脂質若しくは脂質誘導体の共有結合、環化、ジスルフィド架橋、メチル化、脱メチル化、シスチン結合、ホルミル化、γカルボキシル化、グリコシル化、ヒドロキシル化、リン酸化、及びtRNAを介するアミノ酸の付加を含む。
本明細書で用いられる「野生型Taqポリメラーゼ由来」の表現は、上記の変異の少なくとも1つがあるという条件で本発明のDNAポリメラーゼが野生型Taqポリメラーゼと実質的に同一である事実に関する。しかしながら、該表現は、そのDNAポリメラーゼが上記の変異の少なくとも1つがあり、逆転写酵素活性及びDNAポリメラーゼ活性を維持することを条件として、そのアミノ酸配列が野生型Taqポリメラーゼのアミノ酸配列に対して1つ又はそれ以上の更なるアミノ酸置換、欠失又は付加を有するDNAポリメラーゼをも含む。特に、本発明のDNAポリメラーゼは、上記変異の少なくとも1つがあるという条件で、SEQID NO: 1に対して70%を超える、80%を超える、85%を超える、90%を超える、92%を超える、94%を超える、96%を超える、97%を超える、98%を超える、又は99%を超える同一性を有するアミノ酸配列を含み得る。特定の実施形態において、本発明のDNAポリメラーゼは、SEQID NO: 1に示すようなアミノ酸配列において上記変異の少なくとも1つを含む配列を有する。他の実施形態において、本発明のDNAポリメラーゼは、SEQID NO: 1のアミノ酸位置293〜832に対応するアミノ酸配列であり、その配列において上記変異の少なくとも1つを有する配列を含む。さらなる実施形態において、本発明のDNAポリメラーゼは、Klen TaqDNAポリメラーゼとして知られるSEQ IDNO: 2に示されるようなアミノ酸配列であり、その配列において上記変異の少なくとも1つを含む配列を含む。これに関して、SEQID NO: 2のアミノ酸位置1〜540は、SEQID NO: 1のアミノ酸位置293〜832に対応し、すなわちKlen TaqDNAポリメラーゼは、TaqポリメラーゼのC末端断片である。
本明細書で用いられるような変異の表記法は、本技術分野に周知の標準的な表記法である。一例を挙げると、変異S515Rは、515の位置における変異であり、セリン(S)がアルギニン(R)に置換された変異である。
本明細書で用いられる「SEQID NO: 1において」の表現は、本願で述べた全ての変異がSEQID NO: 1で得られるTaqポリメラーゼの野生型配列において見られるものであるということを意味する。一例を挙げると、本発明に係るDNAポリメラーゼは、SEQID NO: 1におけるS515R、I638F及びM747Kの変異を含むSEQID NO: 2に示されるアミノ酸配列を有し得る。これらの変異は、DNAポリメラーゼの事実上のアミノ酸配列の223、346及び455の位置に実際にある。しかしながら、それらの変異は、全ての変異がSEQID NO: 1において見られるものであるため、S515R、I638F及びM747Kと示される。
好ましい実施形態において、本発明のDNAポリメラーゼは、SEQID NO: 1におけるS515R、I638F及びM747Kの3つ全ての変異と、SEQID NO: 1におけるL322M、L459M、S739G、E773G及びL789Fからなる群から選択される1つ又は複数の変異とを含む。本発明のDNAポリメラーゼの特定の実施形態は、SEQID NO: 1におけるS515R、I638F及びM747Kの上記変異を有するDNAポリメラーゼ(C12DNAポリメラーゼ)、これらの変異とさらに(i)SEQID NO: 1におけるL459Mの変異(D9DNAポリメラーゼ)、(ii)SEQID NO: 1におけるL322M及びL459Mの変異(F4DNAポリメラーゼ)、(iii)SEQID NO: 1におけるL322M、L459M及びE773Gの変異(E9DNAポリメラーゼ)、又は(iv)SEQID NO: 1におけるL322M、L459M、S739G及びE773Gの変異(M1/M747KDNAポリメラーゼ)をさらに含むDNAポリメラーゼを含む。以下、これらのDNAポリメラーゼは、例えば「D9DNAポリメラーゼ」、又は全長TaqDNAポリメラーゼ由来の場合「TaqD9」、又はTaqDNAポリメラーゼのKlenTaq断片由来の場合「KlenTaqD9」と示される。
特定の好ましい実施形態において、本発明のDNAポリメラーゼは、SEQID NO: 3 (KlenTaq C12 DNAポリメラーゼ), SEQ ID NO: 4 (KlenTaqD9DNAポリメラーゼ),SEQ ID NO: 5 (KlenTaq F4DNAポリメラーゼ), SEQ ID NO: 6 (KlenTaqE9DNAポリメラーゼ),SEQ ID NO: 7 (KlenTaq M1/M747KDNAポリメラーゼ), SEQ IDNO: 8 (Taq C12DNAポリメラーゼ), SEQ ID NO: 9 (Taq D9DNAポリメラーゼ),SEQ ID NO: 10 (Taq F4DNAポリメラーゼ), SEQ ID NO: 11 (Taq E9DNAポリメラーゼ),又はSEQID NO: 12 (Taq M1/M747KDNAポリメラーゼ)に示されるようなアミノ酸配列を含む、又はそのようなアミノ酸配列からなる。
さらなる態様において、本発明は、本発明に係るDNAポリメラーゼをコードするヌクレオチド配列を含む核酸に関する。
他の態様において、本発明は、本発明に係る核酸を含むベクターに関する。本明細書で用いられる「ベクター」の用語は、細胞に核酸を輸送するための媒体に関する。特に、該用語は、プラスミドベクター、ウイルスベクター、コスミドベクター及び人工染色体を含み、プラスミドベクターが特に好ましい。好ましくは、プラスミドベクターは、原核細胞又は真核細胞における本発明のDNAポリメラーゼの発現に適するものである。それぞれのプラスミドベクターは、本技術分野に周知である。
さらなる態様において、本発明は、本発明のベクター及び/又は核酸を含む宿主細胞に関する。本発明のDNAポリメラーゼの組換え発現に使用され得る適当な宿主細胞は、特に限定されず、本技術分野において周知である。それらは、例えば適当な細菌細胞、酵母細胞、植物細胞、昆虫細胞及び哺乳動物細胞を含む。
さらなる態様において、本発明は、本発明のDNAポリメラーゼと共に適当な鋳型分子をインキュベートするステップを含むDNA分子の生成のための方法に関する。
それぞれの方法は、特に限定されず、本発明のDNAポリメラーゼがDNA分子の生成に用いられる全ての方法を含む。適当な鋳型分子は、特に限定されず、天然又は合成DNA又はRNA分子を含む。本技術分野において周知であるように、DNAポリメラーゼは、新規のDNA分子の合成のために単量体ヌクレオチドを必要とする。これらは、天然ヌクレオチド、合成ヌクレオチド、及び2’−デオキシヌクレオチド等の修飾型ヌクレオチドを含む。例えばインキュベーション時間及びインキュベーション温度といった本発明のDNAポリメラーゼの助けによりDNA分子を生成するのに適当な条件は、本技術分野において周知である。
特定の実施形態において、本発明の方法は、1つのステップ(すなわちワンステップ法)での、RNA分子からcDNAへの逆転写、及びポリメラーゼ連鎖反応(PCR)による該cDNAの増幅のための方法であり、該ステップは、該RNA分子を本発明のDNAポリメラーゼと共にインキュベートすることを含み、該逆転写及び増幅の両方は、該DNAポリメラーゼにより進められる。
本発明のこの方法において、RNA分子からcDNAへの逆転写、及び該cDNAの増幅の両方は、本発明のDNAポリメラーゼにより媒介される。有利には、一方では、更なる酵素が必要でなく、好ましくは反応混合液にそのような酵素は存在せず、他方では、本発明の方法は逆転写後で且つcDNA増幅前に該反応混合液のいずれの操作も必要としない。従って、逆転写及び増幅は、1つのステップで行われる(すなわちワンステップ法)。有利には、逆転写ステップは、70℃を超える高温で行われ得る。本発明のDNAポリメラーゼを用いたRT−PCR反応に用いるのに適当なバッファーは、特に限定されず、本技術分野において周知である。さらに、適当なRT−PCRプログラム、すなわちRT−PCR反応のそれぞれのステップの時間及び温度を規定するレジームは、特に限定されず、本技術分野において周知である。
本発明の方法の特定の例において、前記ワンステップ法は、dNTPs、適当なプライマー及び本発明のDNAポリメラーゼを含む適当なバッファーと、RNA分子を含むサンプルとを混合することと、PCR装置に反応混合液を置くことと、特定のRT−PCRプログラムを実行することとから単純に構成され、さらなるサンプル操作のステップは必要としない。
他の特定の実施形態において、本発明の方法は、修飾型ヌクレオチドを含むDNA分子の生成のための方法であり、該修飾型ヌクレオチドの存在下で本発明のDNAポリメラーゼと共に適当な鋳型分子をインキュベートするステップを含む。
本発明のこの方法において、「修飾型ヌクレオチド」の用語は、特に限定されず、天然型ヌクレオチドが修飾されてなるいずれかのヌクレオチドを含む。それらは、例えば2’‐デオキシヌクレオチドを含む。
しかしながら、70℃を超える温度での増大された熱安定性及び活性により、本発明のDNAポリメラーゼは、2ステップ法、逆転写のみの方法、又は更なる酵素と組み合わせて行う方法を含むさらなる方法においても有利に用いられ得る。
さらなる態様において、本発明は、本発明に係るDNAポリメラーゼを含むキットに関する。好ましい実施形態において、本発明のキットは、適当なバッファー及び/又は適当な使い捨て品及び/又は適当な酵素をさらに含む。
最後の態様において、本発明は、DNA分子の生成のための本発明のDNAポリメラーゼの使用に関する。好ましい実施形態において、本発明は、RNA分子からcDNAへの逆転写、及びポリメラーゼ連鎖反応(PCR)による該cDNAの増幅のための本発明のDNAポリメラーゼの使用に関する。他の好ましい実施形態において、本発明は、修飾型ヌクレオチドを含むDNA分子の生成のための本発明のDNAポリメラーゼの使用に関する。
本発明のDNAポリメラーゼは、M747K DNAポリメラーゼで知られる変異、すなわちM747Kの変異と、M1DNAポリメラーゼで知られる変異、すなわちS515R及びI638Fの変異と、任意にL322M、L459M、S739G及びE773Gの変異の1つ又はそれ以上とを含むことが好ましい。しかしながら、本発明のDNAポリメラーゼは、上記のDNAポリメラーゼの変異の組み合わせから合理的に期待され得る特性を顕著に超える逆転写活性及び熱安定性に関する特性を示す(実施例1及び2を参照)。従って、上記変異の組み合わせは、極めて有利な特性を有するDNAポリメラーゼを生じる驚くべき且つ予測しない相乗効果を提供する。
KlenTaqD9DNAポリメラーゼの変異領域を示すKlenTaqDNAポリメラーゼの三次元の三次構造を示し、L459M、S515R、I638F及びM747Kの変異の位置を示す図である。 RNA鋳型を用いて経時的なdNTPsの変換により測定された本発明のKlenTaqDNAポリメラーゼの逆転写酵素活性を示す図である。 本発明のKlenTaqDNAポリメラーゼの熱安定性を示す図であり、ここでは相関的な酵素活性を、図に示す時間で95℃の温度で酵素をインキュベートした後に測定し、95℃でインキュベートしない酵素活性を100%と設定した。 野生型KlenTaq(レーン1)、KlenTaqM1(レーン2)、KlenTaqM747K(レーン3)、KlenTaqM1/M747K(レーン4)及び異なるKlenTaq変異体(レーン5:C12、レーン6:D9、レーン7:E9、レーン8:F4)を用いた逆転写プライマー伸長反応を示す図であり、ここで、反応混合液(20μl)は、50mM Tris-HCl (pH 9.2), 16 mM (NH4)2SO4, 0.1%Tween 20, 2.5 mM MgCl2, 200 μMの各dNTP,150 nM F20 プライマー, 225 nM F30 RNA 及び25nM の各KlenTaqDNA ポリメラーゼを含み、反応混合液を72℃でインキュベートし、Pはプライマーを表す。 野生型KlenTaq、KlenTaqM1、KlenTaqM747K、KlenTaqM1/M747K及びKlenTaqD9を用いたRT−PCRの結果を示す図であり、(A)では鋳型として50pg/μl MS2 RNA (Roche)を用い、(B)では鋳型として40pg/μl 16S rRNA 及び23S rRNA(Roche)を用い、反応混合液(20μl)は、50mM Tris-HCl (pH 9.2), 16 mM (NH4)2SO4, 0.1%Tween 20, 2.5 mM MgCl2, 200 μMの各dNTP,100 nMの各プライマー,0.6x SYBRgreen I、5 nMの各KlenTaqDNAポリメラーゼ、及びそれぞれのRNA鋳型を含む。 野生型Taq(レーン1),Taq M1 (レーン2),Taq M747K(レーン3), Taq M1/M747K (レーン4)及びTaqD9 (レーン5)を用いて逆転写プライマー伸長反応を行った結果を示し、ここで、反応混合液(20μl)は、50mM Tris-HCl (pH 9.2), 16 mM (NH4)2SO4, 0.1%Tween 20, 2.5 mM MgCl2, 200 μMの各dNTP,150 nM F20プライマー, 225 nM F30 RNA 及び25nMの各TaqDNAポリメラーゼを含み、反応混合液を72℃でインキュベートし、Pはプライマーを表す。 野生型Taq, TaqM1, Taq M747K, Taq M1/M747K及びTaq D9を用いたRT−PCRの結果を示し、ここでは、50pg/μl MS2 RNA (Roche)を鋳型として用い、反応混合液(20μl)は、50mM Tris-HCl (pH 9.2), 16 mM (NH4)2SO4, 0.1%Tween 20, 2.5 mM MgCl2, 200 μMの各dNTP,100 nMの各プライマー,0.6x SYBRgreen I, 5 nMのそれぞれのTaq DNAポリメラーゼ、及びそれぞれのRNA鋳型を含む。 TaqDNAポリメラーゼ由来のDNAポリメラーゼを用いたヌクレアーゼ反応の結果を示し、(A)は鋳型のヘアピン構造及び22‐nt基質(太字)を示し、矢印は予測される切断部位を示す。(B)は変性PAGEにより分離された反応生成物を示し、Sは22‐nt基質を示し、ここで、反応混合液(60μl)は、50mM Tris-HCl (pH 9.2), 16 mM (NH4)2SO4, 0.1%Tween 20, 2.5 mM MgCl2, 50 nMの各dNTP, 150nM 22-nt基質,225 nM鋳型、及び150nMの各TaqDNAポリメラーゼを含み、反応混合液は30℃でインキュベートした。 フルオレセイン‐12‐dUTP、5‐(2‐(4‐エチニルフェニル)エチニル)‐dUTP又はビオチン11‐dUTPの存在下でのプライマー伸長実験の結果を示し、(A)はフルオレセイン‐12‐dUTP、5‐(2‐(4‐エチニルフェニル)エチニル)‐dUTP又はビオチン11‐dUTPの構造を示し、(B)は野生型KlenTaq(レーン1),KlenTaq M1 (レーン2), KlenTaq M747K (レーン3),KlenTaq M1/M747K (レーン4), 及びKlenTaqD9 (レーン5)を用いたプライマー伸長反応の結果を示す。ここで、反応混合液(20μl)は、50mM Tris-HCl (pH 9.2), 16 mM (NH4)2SO4, 0.1%Tween 20, 2.5 mM MgCl2, 100 μMの各dNTP, 150nM BRAF23Cプライマー, 200 nM 鋳型及び30nMのそれぞれのKlenTaqDNAポリメラーゼを含み、反応混合液は、72℃で1時間インキュベートした(天然TTPを含むものは5分間インキュベートした)。Pはプライマーを示す。
本発明は、本発明を限定するものではない以下の実施例においてさらに詳細に説明される。
実施例1:本発明のDNAポリメラーゼの逆転写酵素活性
本発明のDNAポリメラーゼの逆転写酵素活性を、RNA鋳型を用いて経時的なdNTPsの変換を測定することにより測定した。
特に、野生型KlenTaq,KlenTaq M1, KlenTaq M747K及び本発明のKlenTaq DNAポリメラーゼを用いた逆転写プライマー伸長反応を、50mM Tris-HCl (pH 9.2), 16 mM (NH4)2SO4, 0.1%Tween 20及び2.5mM MgCl2を含む溶液中に150nMの放射性ラベルプライマー F20(5’-d(CGTTGG TCC TGA AGG AGG AT)-3’)、225nMのRNA鋳型F30(5’-AAAUCA ACC UAU CCU CCU UCA GGA CCA ACG-3’)、200μMの各dNTP、及び25nMのKlenTaqDNAポリメラーゼを含む溶液を用いて72℃で行った。反応混合液の反応を、10秒、30秒及び60秒で停止し、95℃で5分間変性し、12%変性PAGEゲルを用いて分離した。放射線イメージングにより可視化した。得られたバンドを分析し、それらの強度をdNTPの変換に換算する。
図2から得られ得るように、M747K DNAポリメラーゼの変異及びM1DNAポリメラーゼの変異を含む本発明のKlenTaq DNAポリメラーゼは、顕著に改善された逆転写酵素活性を有する。特に、KlenTaqM1 DNAポリメラーゼは、RNA鋳型において60秒で約2pmolのdNTPsを重合し、一方、M747KDNAポリメラーゼは、上記同一の時間で約1pmolのdNTPsを重合する。しかしながら、本発明のDNAポリメラーゼは、上記同一の時間で20pmolに至るdNTPsを重合する。この増大は、M1及びM747KDNAポリメラーゼにおけるデータから合理的に予測されるものを顕著に超えるものであり、それぞれの変異の驚くべき且つ予測されない相乗効果を証明する。
実施例2:本発明のDNAポリメラーゼの熱安定性
本発明のKlenTaqDNAポリメラーゼの熱安定性は、特定の時間で95℃で該KlenTaqDNAポリメラーゼをインキュベートし、該インキュベーションの後にそれらの活性を測定することにより測定された。
詳細には、KlenTaqDNAポリメラーゼ(20nM)を50mM Tris-HCl (pH 9.2), 16 mM (NH4)2SO4, 0.1%Tween 20及び2.5mM MgCl2中において、95℃でインキュベートした。異なる時点で、15μlのサンプルを取り、氷上に保存した。その後、プライマー伸長反応を総容量15μl、5分間、72℃で行った。特に、プライマー、鋳型及びdNTPsを含む反応混合液を、3.75μlのポリメラーゼサンプルと混合し、50mM Tris-HCl (pH 9.2), 16 mM (NH4)2SO4, 0.1%Tween 20 and 2.5 mM MgCl2中に、最終濃度が150 nMの放射性ラベルプライマーF23 (5’-d(CGT TGG TCC TGA AGG AGG ATA GG)-3’), 225 nMのDNA鋳型F33A (5’-d(AAA TCA ACC TAT CCT CCT TCA GGA CCA ACG TAC)-3’), 200 μMの各dNTP及び5nMのそれぞれのポリメラーゼを含む溶液を得た。反応混合液を12%変性PAGEゲルを用いて分離し、放射線イメージングにより可視化した。得られたバンドを分析し、それらの強度をdNTPの変換に換算した。DNAポリメラーゼサンプルを加熱しなかった反応の変換を100%の活性と設定した。
図3から得られ得るように、KlenTaqC12, KlenTaq D9, KlenTaq E9及びKlenTaq F4 DNAポリメラーゼは、M1DNAポリメラーゼと比較して増大された熱安定性を示す。
実施例3:プライマー伸長実験における本発明のKlenTaqDNAポリメラーゼの逆転写酵素活性
野生型KlenTaq,KlenTaq M1, KlenTaq M747K及び本発明のKlenTaq DNAポリメラーゼの逆転写酵素活性を、鋳型としてRNAを用い、プライマーとしてDNAを用いてプライマー伸長実験で比較した。
反応を、50 mMTris-HCl (pH 9.2), 16 mM (NH4)2SO4, 0.1% Tween20及び2.5mM MgCl2中に、150 nM放射性ラベルプライマーF20(5’-d(CGT TGG TCC TGA AGG AGG AT)-3’), 225 nM RNA鋳型 F30 RNA(5’-AAA UCA ACC UAU CCU CCU UCA GGA CCA ACG-3’), 200 μMの各dNTP及び25nMのそれぞれのKlenTaqDNAポリメラーゼを含む溶液を用いて72℃で行った。反応混合液の反応を、30秒、1分及び5分後に停止した。95℃で5分の変性後、反応混合液を、12%変性PAGEゲルを用いて分離した。放射線イメージングにより可視化した。コントロール試験を、鋳型としてDNA(5’-d(AAA TCA ACC TAT CCT CCT TCA GGA CCA ACG TAC)-3’)を用い、1分間のインキュベートを行い、他は上記と同様に行った。
図4から得られ得るように、本発明のKlenTaqDNAポリメラーゼは、KlenTaqM1及びKlenTaqM747Kと比較して増大された逆転写酵素活性を示す。
本発明のKlenTaqDNAポリメラーゼは、各時点においてより効率的にプライマーを伸長し、30秒後であっても全長の生成物を生成できた。従って、この試験は、1つの酵素におけるM747K変異とM1変異との組み合わせで得られる本発明のDNAポリメラーゼの増大された逆転写酵素活性を確証する。
実施例4:本発明のKlenTaqDNAポリメラーゼを用いたリアルタイムRT−PCR
リアルタイムRT−PCR試験を、野生型KlenTaq,KlenTaq M1, KlenTaq M747K, KlenTaq M1/M747K及びKlenTaqD9を用いて行った。
反応混合液(20μl)には、50 mM Tris-HCl (pH 9.2), 16 mM(NH4)2SO4, 0.1% Tween 20, 2.5 mM MgCl2,200 μMの各dNTP, 100nMの各プライマー(5’-d(ATC GCT CGA GAA CGC AAG TT)-3’; 5’-d(CG GAC TTC ATG CTG TCG GTG)-3’),0.6x SYBRgreen I, 5 nMのそれぞれのDNAポリメラーゼ、及び50pg/μlMS2 RNA (Roche)を含有させた。
まず、95℃で30秒の最初の変性ステップ、55℃で35秒のアニーリングステップ、及び72℃で7.5分の伸長ステップを用いて逆転写を行った。95℃で1分の変性の後、95℃で30秒、55℃で35秒、及び72℃で40秒のPCRサイクルを50回行った。
E. coliからの 40 pg/μl16S-rRNA 及び23S-rRNA (Roche)を含む反応を、66℃のアニーリング温度、40回のPCRサイクル、及びそれぞれのプライマー(5’-d(CTGGCG GCA GGC CTA ACA CA)-3’; 5’-d(GCA GTT TCC CAG ACA TTA CT)-3’)以外は上述と同様にして行った。二本鎖DNAの形成をSYBRgreenIの結合、従って蛍光の増大により検出した。正しい生成物の形成をアガロースゲル分析により確認した。
鋳型としてRNAを用いることにより、本発明のKlenTaqDNAポリメラーゼは、(図5に示すように)KlenTaqM1及びKlenTaqM747Kと比較して少ないサイクル後に蛍光の増大を示し、M1では極めて乏しい性能を示す条件において増大されたRT−PCR活性を示す。これは、この酵素のより広い適用範囲を可能にさせる。
実施例5:プライマー伸長試験における本発明のTaqDNAポリメラーゼの逆転写酵素活性
野生型Taq, Taq M1, Taq M747K, Taq M1/M747K及びTaqD9の逆転写酵素活性を、鋳型としてRNAを用い、プライマーとしてDNAを用いてプライマー伸長試験で比較した。
反応を、50 mM Tris-HCl (pH 9.2), 16 mM(NH4)2SO4, 0.1% Tween 20及び2.5mM MgCl2を含む溶液中に、150 nM放射性ラベルプライマーF20(5’-d(CGT TGG TCC TGA AGG AGG AT)-3’), 225 nM RNA鋳型 F30(5’-AAA UCA ACC UAU CCU CCU UCA GGA CCA ACG-3’), 200 μMの各dNTP及び25nMのそれぞれのDNAポリメラーゼを含む溶液を用いて72℃で行った。反応混合液の反応を30秒、1分、5分及び10分後に停止した。95℃で5分の変性後、反応混合液を、12%変性PAGEゲルを用いて分離した。放射線イメージングにより可視化した。
図6から得られ得るように、本発明のTaqDNAポリメラーゼは、Taq M1及びTaqM747Kと比較して増大された逆転写酵素活性を示す。
本発明のTaqDNAポリメラーゼは、各時点でより効率的にプライマーを伸長する。従って、この試験は、1つの酵素におけるM747K変異とM1変異との組み合わせで得られる本発明のDNAポリメラーゼの増大された逆転写酵素活性を確証する。
実施例6:本発明のTaqDNAポリメラーゼを用いたリアルタイムRT−PCR
リアルタイムRT−PCR試験を、野生型Taq, Taq M1, Taq M747K,Taq M1/M747K及びTaq D9を用いて行った。
反応混合液(20μl)には、50 mM Tris-HCl (pH 9.2), 16 mM(NH4)2SO4, 0.1% Tween 20, 2.5 mM MgCl2,200 μMの各dNTP,100 nMの各プライマー(5’-d(ATCGCT CGA GAA CGC AAG TT)-3’; 5’-d(CG GAC TTC ATG CTG TCG GTG)-3’), 0.6xSYBRgreen I, 5 nM のそれぞれのDNAポリメラーゼ及び50pg/μlMS2 RNA (Roche)を含有させた。
まず、95℃で30秒の最初の変性ステップ、55℃で35秒のアニーリングステップ、及び72℃で7.5分の伸長ステップを用いて逆転写を行った。95℃で1分の変性の後、95℃で30秒、55℃で35秒、及び72℃で40秒のPCRサイクルを50回行った。
二本鎖DNAの形成をSYBRgreenIの結合、従って蛍光の増大により検出した。
鋳型としてRNAを用いることにより、本発明のTaq DNAポリメラーゼは、(図7に示すように)KlenTaqM1及びKlenTaqM747Kと比較して少ないサイクル後に蛍光の増大を示し、M1及びM747Kでは極めて乏しい性能を示す条件においてより高い逆転写酵素PCR活性を示す。これは、この酵素のより広い適用範囲を可能にさせる。
実施例7:本発明のTaqDNAポリメラーゼ由来のDNAポリメラーゼのヌクレアーゼ活性
Taq M1/M747K及びTaq D9のヌクレアーゼ活性を、野生型Taq,Taq M1及びTaqM747Kのヌクレアーゼ活性と比較した。安定DNAヘアピン構造及び相補的放射性ラベル基質を用いた。これらの2つのオリゴヌクレオチドのアニーリングは、基質オリゴヌクレオチドの切断が生じるずれた5’末端及び解かれた3’プライマー末端を残す。この基質の切断を、異なる時点(0、5、15、30、60分)で測定した。反応混合液には、50mM Tris-HCl (pH 9.2), 16 mM (NH4)2SO4, 0.1%Tween 20, 2.5 mM MgCl2, 50 nMの各dNTP, 150nM 22-nt基質(5’-d(CCCCCC CCC CTC ATA CGT ACA C)-3’), 225 nM鋳型(5’-d(GTGTAC GTA TGA TCA TGC AGG TAG CCG ATG AAC TGG TCG AAA GAC CAG TTC ATC GGC TAC CTGCAT GAT)-3’)及び150 nMのそれぞれのTaq DNAポリメラーゼを含有させた。反応混合液を30℃でインキュベートした。
Taq M1, Taq M747K及びTaqD9のヌクレアーゼ活性は、図8に見られるように類似する。TaqM1/M747Kのみが、わずかに低減されたヌクレアーゼ活性を示したが、そうであっても、活性ヌクレアーゼドメインを表し、基質を切断する。
実施例8:プライマー伸長試験における本発明のKlenTaqDNAポリメラーゼによる修飾型2’‐デオキシヌクレオシド三リン酸の変換
核酸塩基での修飾をもつ2’‐デオキシヌクレオシドの許容性を野生型KlenTaq,KlenTaq M1, KlenTaq M747K, KlenTaq M1/M747K及びKlenTaqD9を用いたプライマー伸長試験で試験した。
反応を、50 mM Tris-HCl (pH 9.2), 16 mM(NH4)2SO4, 0.1% Tween 20及び2.5mM MgCl2の中に、150 nM放射性ラベルプライマーBRAF23C(5’-d(GAC CCA CTC CAT CGA GAT TTC TC)-3’), 200 nM鋳型(5’-d(A46GA GAA ATC TCG ATG GAG TGG GTC)-3’), 100 μMのそれぞれのdNTP及び30nM のKlenTaqDNAポリメラーゼを含む溶液を用いて72℃で行った。反応混合液の反応を、TTPの場合では5分後に、他の全ての場合では1時間後に停止し、95℃で5分間変性し、12%変性PAGEゲルを用いて分離した。放射線イメージングにより可視化を行った。コントロール試験を、dNTP非存在下で、又は修飾型dNTPsの代わりに天然型TTPを用いて上述のように行った。
図9から得られ得るように、本発明のKlenTaq DNAポリメラーゼは、KlenTaqM1及びKlenTaqM747Kと比較して、顕著に増大された修飾型dNTPsの許容性を示す。特に、プライマー結合領域の後に2’‐デオキシアデノシン残基のみを有するDNA鋳型を、フルオレセイン‐12‐dUMP(ThermoScientific)、5‐(2‐(4‐エチニルフェニル)エチニル)‐dUMP(Obeid S.et al., Chem. Commun., 2012, Interactions of non-polar and “Click-able”nucleotides in the confines of a DNA polymerase active site; DOI:10.1039/C2CC34181F)又はビオチン‐11‐dUMP(JenaBioscience)の複数組み込みに用いた。
陽性コントロールでは、全ての試験されたDNAポリメラーゼで5分後に全長の生成物の形成を示す。修飾型基質とのインキュベーションでは、全長の生成物は得られないが、全てのDNAポリメラーゼはいくつかの修飾型ヌクレオチドを組み込むことができる。しかしながら、KlenTaqM1/M747K及びKlenTaqD9は、親酵素のKlenTaqM1及びKlenTaqM747Kと比較して、フルオレセイン‐12‐dUTP及び5‐(2‐(4‐エチニルフェニル)エチニル)‐dUTPの増大された許容性を示す。ビオチン‐11‐dUTPの存在下で、KlenTaqM1及びKlenTaqM747Kは、連続する約10の修飾型ヌクレオチドを組み込むことができる。しかしながら、本発明のKlenTaqM1/M747K及びKlenTaqD9のDNAポリメラーゼでは、18に至る組み込まれた修飾型ヌクレオチドを示す生成物を生じ、25に至る組み込まれたヌクレオチドのより長い生成物でさえも合成できる。
3つ全ての試験は、KlenTaq D9及びKlenTaqM1/M747KがKlenTaqM1及びKlenTaqM747Kと比較して修飾型基質の増大された組み込み及び伸長の効率を有することを示す。

Claims (17)

  1. 野生型Thermus aquaticus(Taq)DNAポリメラーゼ(SEQ ID NO: 1)のアミノ酸配列においてS515R、I638F及びM747Kの変異の全てを含む、野生型TaqDNAポリメラーゼ由来のDNAポリメラーゼ。
  2. 前記SEQ ID NO: 1のアミノ酸の位置293〜832の配列に対応するアミノ酸配列において前記変異の全てを有するアミノ酸配列を含む請求項1に記載のDNAポリメラーゼ。
  3. SEQIDNO: 2に示すアミノ酸配列において前記変異の全てを有するアミノ酸配列を含む
    請求項に記載のDNAポリメラーゼ。
  4. 前記SEQ ID NO: 1においてL322M、L459M、S739G、E773G及びL789Fからなる群から選択される1つ又はそれ以上の変異をさらに含むアミノ酸配列を含む請求項1〜のいずれか1項に記載のDNAポリメラーゼ。
  5. 前記SEQ ID NO: 1においてL459Mの変異を含むアミノ酸配列を含む請求項に記載のDNAポリメラーゼ。
  6. 前記SEQ ID NO: 1においてL322M及びL459Mの変異を含むアミノ酸配列を含む請求項に記載のDNAポリメラーゼ。
  7. 前記SEQ ID NO: 1においてL322M、L459M及びE773Gの変異を含むアミノ酸配列を含む請求項に記載のDNAポリメラーゼ。
  8. 前記SEQ ID NO: 1においてL322M、L459M、S739G及びE773Gの変異を含むアミノ酸配列を含む請求項に記載のDNAポリメラーゼ。
  9. SEQ ID NOs: 3〜12のいずれか1つに示すアミノ酸配列を含む請求項1に記載のDNAポリメラーゼ。
  10. 請求項1〜のいずれか1項に記載のDNAポリメラーゼをコードするヌクレオチド配列を含む核酸。
  11. 請求項10に記載の核酸を含むベクター。
  12. 請求項11に記載のベクター、又は請求項10に記載の核酸を含む宿主細胞。
  13. 請求項1〜のいずれか1項に記載のDNAポリメラーゼと適切な鋳型とを共にインキュベートするステップを含むDNA分子の製造方法。
  14. 前記方法は、RNA分子からcDNAへの逆転写と、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)による前記cDNAの増幅とを1つのステップで行うための方法であり、
    前記ステップは、前記RNA分子を請求項1〜のいずれか1項に記載のDNAポリメラーゼと共にインキュベートすることを含み、
    前記逆転写及び増幅の両方は、前記DNAポリメラーゼにより進められる請求項13に記載の方法。
  15. 前記方法は、修飾型ヌクレオチドを含むDNA分子の生成のための方法であり、
    前記修飾型ヌクレオチドの存在下で請求項1〜のいずれか1項に記載のDNAポリメラーゼと適切な鋳型分子とを共にインキュベートするステップを含む請求項13に記載の方法。
  16. DNA分子の生成のための請求項1〜のいずれか1項に記載のDNAポリメラーゼの使用。
  17. 請求項1〜のいずれか1項に記載のDNAポリメラーゼを含むキット。
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