JP4019171B2 - 誤対合修復系を利用したdnaの解析方法および操作方法 - Google Patents

誤対合修復系を利用したdnaの解析方法および操作方法 Download PDF

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Description

詳細な説明
本研究は、米国政府、すなわち助成金番号GM23719号により支持されたものである。米国政府は、本発明の権利を有し得る。
発明の分野
本発明は、デオキシリボ核酸(「DNA」)分子中の遺伝子の相異、特に、2種の相同性DNA分子の塩基配列の間の単一塩基に相異を含む突然変異をマッピングする方法に関する。
発明の背景
本出願は、図面を含む、(出典明示して本明細書の一部とみなす)1989年、5月12日に出願された「遺伝子突然変異をマッピングする方法(Methods For Mapping Genetic Mutations)」なる標題の米国出願番号07/350,983号の継続出願である、1993年1月11日に出願されたモドリッチ(Modrich)ら、「遺伝子突然変異をマッピングする方法(Methods For Mapping Genetic Mutations)」なる標題の米国出願番号08/002,529号の一部継続出願である。
以下の記載は従来技術に関して論じているが、これらはいずれも添付した請求の範囲に対する先行技術として許容されるものではない。
個体間の遺伝子の相異をマッピングすることは、法廷および医療的な適用の双方においてますます重要となっている。例えば、DNA「フィンガープリンティング」法は、たとえ少量の血液または精液であっても分析に利用可能である場合には、犯罪者の同定に適用されている。かかる手段を用いて、子供と予期される親とのDNAを比較することによって、生物学的な親を同定するすることもできる。さらに、DNAの構造分析の方法を用いて、イン・ユーテロ(in utero)でさえ、病徴が始まる前に、数多くの遺伝病理状態を診断することもできる。最後に、全ヒトゲノムをコードするDNAの物理的マッピングを、究極的には塩基配列を決定する主要な国際的研究が現在進行しており、研究的および商業的の双方の背景で勢いづいていることは注記すべきである。
DNA分子とは、ヌクレオチドと呼称されるサブユニットの線状ポリマーである。各ヌクレオチドは、共通の環状糖分子よりなり、これは、DNA中で反対側のリン酸基によって、隣接するヌクレオチドの糖に結合しており、数種の環状置換基の1つは塩基と呼ばれる。天然起源からのDNAに共通して見出される4種の塩基は、アデニン、グアニン、シトシンおよびチミンであり、以後、各々、A、G、CおよびTという。個体のDNA中のこれら塩基の線状配列は、その個体の遺伝性の特徴を決定する遺伝情報をコードしている。
全ての細胞性生物の染色体で起こるごとく、二本鎖-DNAにおいては、2本のDNA鎖が、塩基を内側に突出しつつ正確ならせん立体構造でからみ合い、よって反対の鎖からの塩基間で相互作用できるように配列している。2種の鎖は、特異的塩基対の構造の相補性によって該塩基の間で可能な主に水素結合によって正確な配列でともに支持される。この構造相補性は、各塩基の置換基の化学的性質および位置によって決定される。従って、二本鎖DNAにおいては、通常、一方の鎖上の各Aは反対の鎖からのTと対形成し、同様にして、各Gは反対のCと対形成する。
細胞が増殖する場合には、そのDNA分子が複製され、正確なコピーがその子孫に伝えられる。DNA分子の線状塩基配列は、DNAデュプレックスの各鎖を鋳型として遊離ヌクレオチドをその重合したヌクレオチドに配列させる相補的塩基対によって第一に複製の間に子孫に維持される。かく配列された相補的ヌクレオチドは、鋳型鎖のものに全体として相補的な塩基配列で新たなDNA鎖に生物学的に重合される。
時として、不正確な塩基対形成が複製の間に起き、このことは、新たな鎖のさらなる複製の後に、親DNA分子のものとは異なる遺伝性の単一塩基相異を含む配列を有する二本鎖DNA子孫を生じる。かかる遺伝性の変化は、遺伝的突然変異、またはこの場合にはさらに特には、「単一塩基対」または「点」突然変異と呼称されている。点突然変異の結果は、そのDNAによってコードされる遺伝情報に関連する配列変化の位置および効果に依存して、無視できるものから死に至るものまでの範囲となり得る。
塩基AおよびGは、プリンと呼称される、一方TおよびCはプリンと呼称されるクラスの化合物である。DNAにおける通常の塩基対形成(AとT、GとC)には、1のプリンおよび1のピリミジンが含まれるが、最も通常の単一塩基突然変異には、「トランジション」といわれるタイプの突然変異である、他への1のプリンまたはピリミジンの置換が含まれる(例えば、AがCに、またはCがTに、あるいはその反対)。プリンがピリミジンに置換される、またはその反対の突然変異はほとんど起こらず、「トランスバージョン」と呼称される。普通ほとんどないのは、複製プロセスのあるステージでDNAデュプレックスの1本の鎖に生じる少数(1、2または3)のヌクレオチドの付加または消失よりなる点突然変異である。かかる突然変異は、各々、小さな「挿入」または「欠損」と呼称されており、1または2個のヌクレオチドの挿入/欠損の場合には、「フレームシフト」突然変異としても知られており、遺伝コードの蛋白質への翻訳に対するその効果に帰する。より大きな配列の再配列を含む突然変異も起き、医学遺伝学においては重要となり得るが、その発生は前記に要約したクラスに比して比較的稀である。
遺伝的突然変異のマッピングには、実質的に同一(すなわち、相同性)の塩基配列よりなるDNA分子間の配列相異の検出、および比較した分子中の幾つかのサブセットの配列内の相異の物理学的位置付けの双方が含まれる。原則的には、2の個体DNA分子中の塩基の配列を直接比較することによって、それらの遺伝配列内の点突然変異を含む、限定された遺伝的相異を検出し、かつ位置付けすることが可能である。
DNA配列間の相異を検出するもう1の方法も開発されている。例えば、単一塩基で異なる配列を有する一本鎖DNA断片の幾つかの対は、変性勾配ゲル電気泳動におけるごとく、電界におけるそれらの異なった移動速度によって識別することができる。
細菌に見出されるDNA制限系は、例えば、4〜6またはそれを超える塩基対よりなる二本鎖DNA中の特異的配列を一般的に認識する蛋白質よりなる。ある種の修飾(例えば、共有結合したメチル基)が制限認識配列内の特定位置にない場合には、制限系のエンドヌクレアーゼ成分が認識配列内またはその付近の特異的部位でDNA分子の両方の鎖を切断するであろう。かかる短い認識配列は、認識配列長に依存して、数百または数千塩基対に一度で、すべての天然DNA配列で偶然に起こる。かくして、種々の制限エンドヌクレアーゼでDNA分子を消化し、続いて得られた断片のサイズを分析する(例えば、ゲル電気泳動により)ことを用いて、選択した短い配列のDNA分子中の位置の物理的地図(「フィンガー・プリント」)を作成することができる。
2種の相同性DNA配列のかかる制限地図の比較により、利用可能な地図で用いる制限酵素により認識されるこれら特異的配列内の相異を明らかにすることができる。制限地図の比較により、ある種の条件のゲル電気泳動下のおよそ制限認識配列長の内に必須であるDNA断片サイズ決定の溶解力により最終的に決定された制限内のいずれの検出可能な相異も位置決定できる。
実際問題としては、例えば、遺伝的欠損が数十万または、時として数万塩基対の比較的に低い精度で位置し得るヒトゲノムの物理的地図を作製するのに、制限断片長中の選択した遺伝性の相異(すなわち、制限断片長多型(restriction fragment length polymorphisms)「RELP」)は非常に有用である。典型的に、RELPは、目的の遺伝子に相補的な放射性同位元素標識したDNA断片を用いることによって、小組織または血液試料から単離されたヒトDNAにおいて検出する。これらの「プローブ」は、電気泳動によって分離した後のヒトDNAの制限断片とDNA超らせんを形成することができ、得られた放射能標識デュプレックス断片は、写真(例えば、X-線感光性)フィルムに暴すことによって視覚化され、それによって、ゲノムDNA中の無数の他のものの中から対応する遺伝子配列のみを選択的に検出することができる。
DNA配列相異の探索が公知の配列の特定領域に限定できる場合には、最近開発された「ポリメラーゼ連鎖反応」(「PCR」)技術を用いることができる。簡単には、この方法は、分析すべき位置のいずれかの側上の配列に相補的な短いDNA断片を用いて、精製DNAポリメラーゼによるDNA合成開始点として供する(すなわち、「プライマー」)。その結果生じるDNA合成の循環プロセスは、分析に選択した配列の大規模な生化学的増幅を生じ、次いで、このことによって容易に検出でき、要すれば、さらに、例えば、制限マッピングまたは直接DNA配列決定法により分析することができる。このようにして、数kbpよりなるヒト遺伝子の選択領域を増幅し、配列変化につき検査することができる。
相同性DNA分子内の単一塩基相異を検出し位置決定するもう1の公知の方法には、DNAのうちの1本に相補的な塩基配列を有する放射性同位体標識RNA断片と一本鎖RNAを認識し切断するヌクレアーゼとの使用が含まれる。RNAの構造は、異なる糖およびTの代わりにウラシル(U)が存在することを除いてDNAに非常に似ており;相補的配列を有するRNAおよびDNA鎖は、AとTの代わりにAとUとの間の塩基対形成でもって、二本鎖DNAに似たヘリカルデュプレックス(「DNA:RNAハイブリッド」)を形成できる。酵素リボヌクレアーゼA(「RNアーゼA」)は、DNA:RNAハイブリッド中の幾つかの単一対の誤対合塩基(すなわち「塩基誤対形成」)を認識することができ、その誤対形成部位でRNA鎖を切断できることが知られている。RNアーゼA消化から生じた生成物のサイズを分析することによって、RNAサイズ測定分析の解像度の限界によって決まる相同性配列長内の正確な配列位置の可能性のある、単一塩基誤対合を位置決定することができる(メイアーズ,アール・エム(Myers,R.M.)ら、1985年、サイエンス(Science)第230巻、1242-1246頁)。RNAサイズ測定は、DNA配列決定で用いる標準的なゲル電気泳動法によるこの方法で行う。
一本鎖核酸に特異的なエンドヌクレアーゼであるS1ヌクレアーゼは、DNA:DNAまたはDNA:RNAデュプレックス中の誤対合塩基対の制限された領域を認識し切断できる。少なくとも約4つの連続した塩基対の誤対合が、実際には、S1ヌクレアーゼによるデュプレックスの認識および切断に一般に必要である。
フォード(Ford)ら(米国特許第4,794,075号)は、誤対形成グアニンおよびチミジンを検出し位置決定し、関連する個体から得た2種の試料からのハイブリッドDNAのプールを分画する化学修飾法を開示している。カルボジイミドを用いて、DNAらせんと共有結合したままの、対形成していないGおよびTを特異的に誘導化する。
本発明は、生物学的に機能して、二本鎖DNA中の誤対合塩基対を認識する蛋白質(従って、「誤対形成認識蛋白質」と呼称する)の使用、ならびにDNA中の点突然変異を検出しマッピングするための規定系におけるその適用に関する。従って、本発明の目的は、デュプレックスDNA分子、特に数kbpよりなるDNA中の塩基対誤対合を検出し位置決定し、かかる誤対合を含む分子操作するために、単独または他の蛋白質と組み合わせて、かかる誤対形成認識蛋白質を使用する方法を提供することにある。加えて、本発明の目的は、DNA間で異なる特異的な塩基を同定する方法をさらに単純化するために、修飾形態の誤対合認識蛋白質を開発することにもある。以下の記載は、誤対合認識蛋白質および系に関する技術の簡単な概説であるが、そのいずれも本発明に対する先行技術として許容されるものではない。
DNAらせん内の塩基対合エラーを認識し修正できる酵素系が、細菌、糸状菌および哺乳動物細胞で証明されているが、誤対合修正の機作および機能はエスシェリキア・コリ((Escherichia coli)以後、イー・コリとする)で最もよく理解されている。イー・コリ(E.coli)で同定されている幾つかの誤対合修復系の1つは、DNA生合成エラーを修復するメチル-指向性経路(methyl-directed pathway)である。イー・コリにおけるDNA複製の忠実度は、この複製後誤対合修正系によって100-1000倍高められる。この系は、DNAメチル化のパターンを利用することによって、鎖-特異的様式でらせん内の塩基対形成エラーを処理する。DNAメチル化は、合成後の修飾であるため、ヘミメチル化デュプレックス内の新たなDNA鎖に対して誤対合修正を行うGATC配列上のアデニンメチル化を過渡的に欠きつつ、新たに合成された鎖は一時的に未メチル化状態で存在する。
イー・コリ(E.coli)におけるイン・ビボ(in vivo)の分析により、種々の誤対合の各々の選択例が異なった効率で修正に付されるということが示されている。G-T、A-C、G-GおよびA-A誤対合は、典型的に効率的な修復に付される。A-G、C-T、T-TおよびC-Cは弱い基質であるが、よく修復された例外がこのクラス内に存在する。誤対合塩基対の配列環境は、イン・ビボ(in vivo)の修復の効率性を決定する重要な因子となり得る。誤対合修正系は、単一塩基の挿入または欠損を含むデュプレックス化鎖の間の相異をイン・ビボ(in vivo)にて修正することもできる。さらに、遺伝分析により、誤対合修正プロセスには、mutH、mutLおよびmutS遺伝子の産物、ならびにDNAヘリカーゼIIおよび一本鎖DNA結合蛋白質(SSB)を含む幾つかの蛋白質の無傷の遺伝子が必要である。以下のものは、本題の問題を論議するさらなる例である。
ルー(Lu)ら、プロシーディングズ・オブ・ナショナル・アカデミー・オブ・サイエンシズ・イン・ユーエスエイ(Proc.Natl.Acad.Sci.USA)第80巻、4639頁、1983年は、イン・ビトロ(in vitro)における誤対合の修正を支持するための可溶性イー・コリ系の使用を開示している。
パンズ(Pans)ら、ジャーナル・オブ・バクテリオロジー(J.Bact.)第163巻、1007頁、1985年は、サルモネラ・チフィムリウム((Salmonella typhimurium)以後、エス・チフィムリウムという)のmusSおよびmutL遺伝子のクローニングを開示している。
イー・コリ誤対形成修正系の特異的成分が単離され、その生化学的機能が決定されている。実質的に他の蛋白質を含まないMutS蛋白質の調製が報告されている((出展明示して本明細書の一部とみなす)スー(Su)およびモドリッチ(Modrich)、1986年、プロシーディングズ・オブ・ナショナル・アカデミー・オブ・サイエンシズ・イン・ユーエスエイ(Proc.Natl.Acad.Sci.USA)第84巻、5057-5061頁)。単離されたMutS蛋白質は、8種の可能性のある誤対合塩基対のうちの4種を認識することが示された(特に、G-T、A-C、A-GおよびC-T誤対形成)。
スー(Su)ら、ジャーナル・オブ・バイオロジカル・ケミストリー(J.Biol.Chem.)第263巻、6829頁、1988年は、mutS遺伝子産物が、8種の塩基対誤対合の各々に異なる効率で結合することを開示している。
ジリクニー(Jiricny)ら、ヌクレイック・アシッズ・リサーチ(Nucleic Acids Research)第16巻、7843頁、1988年は、イー・コリのmutS遺伝子産物の誤対合を含む合成DNAデュプレックスへの結合が、イン・ビボ(in vivo)の誤対形成の認識および修正の効率と相互に関連があることを開示している。
ニトロセルロース・フィルター結合アッセイおよびバンド-シフト・アッセイを利用した。
ウェルシュ(Welsh)ら、ジャーナル・オブ・バイオロジカル・ケミストリー(J.Biol.Chem.)第262巻、15624頁、1987年は、MutH遺伝子の産物を均質近くまで精製し、MutH遺伝子産物がd(GATC)部位認識に寄与し、ヘミメチル化DNA5'の非メチル化鎖をd(GATC)配列のGに切断する潜在的なエンドヌクレアーゼを有することを証明している。
オウ(Au)ら、ジャーナル・オブ・バイオロジカル・ケミストリー(J.Biol.Chem.)第267巻、12142頁、1992年は、MutHエンドヌクレアーゼの活性化にはMutS、MutLおよびATPが必要なことを示している。
グリレイ(Grilley)ら、ジャーナル・オブ・バイオロジカル・ケミストリー(J.Biol.Chem.)第264巻、1000頁、1989年は、イー・コリmutL遺伝子産物を均質近くまで精製し、該mutL遺伝子産物がMutSヘテロデュプレックスDNAコンプレックスと相互作用することを示している。
ラヒュー(Lahue)ら、サイエンス(Science)第245巻、160頁、1989年は、8種の可能性のある塩基対誤対合のうちの7種をイン・ビトロ(in vitro)で修正するよう機能する、イー・コリのメチル-指向性誤対合修復系の成分を詳記している。かかる再現系は、MutH、MutLおよびMutS蛋白質、DNAヘリカーゼII、一本鎖DNA結合蛋白質、DNAポリメラーゼIIIホロ酵素、エキソヌクレアーゼI、DNAリガーゼ、ATPおよび4種のデオキシリボヌクレオシド三リン酸よりなる。
スー(Su)ら、ゲノム(Genome)第31巻、104頁、1989年は、制限DNA合成または限定濃度のdNTPの条件下か、あるいは、ddNTPを反応物に補給することによって、誤対合およびd(GATC)部位を含む分子の領域中の一本鎖ギャップよりなる切断束(excision tract)が存在することを示している。
グリレイ(Grilley)ら、ジャーナル・オブ・バイオロジカル・ケミストリー(J.Biol.Chem.)第268巻、11830頁、1993年は、メチル-指向性系の二指向性能を示す誤対合とd(GATC)部位との間の短い距離を切断束がつなげることを示している。
ホルメス(Holmes)ら、プロシーディングズ・オブ・ナショナル・アカデミー・オブ・サイエンシズ・イン・ユウエスエイ(Proc.Natl.Acad.Sci.USA)第87巻、5837頁、1990年は、イン・ビトロ(in vitro)で鎖誤対合修正を支持するHelaおよびドロソフィラ・メラノガスター(Drosofhila melanogaster)Kc細胞系由来の核抽出物を開示している。
クーパー(Cooper)ら、ジャーナル・オブ・バイオロジカル・ケミストリー(J.Biol.Chem.)第268巻、11823頁、1993年は、誤対合修復反応における5'→3'エキソヌクレアーゼとしてのRecJおよびエキソヌクレアーゼVIIの役割について記載している。再現系においては、DNAポリメラーゼIIIホロ酵素のある種の調製によって、かかる5'→3'エキソヌクレアーゼ機能が得られる。
オウ(Au)ら、プロシーディングズ・オブ・ナショナル・アカデミー・オブ・サイエンシズ・イン・ユウエスエイ(Proc.Natl.Acad.Sci.USA)第86巻、8877頁、1989年は、イー・コリのMutY遺伝子産物の均質近くまでの精製を記載しており、該MutY蛋白質が誤対合アデニン(G-A)をデオキシリボースに連結するグルコシル結合を加水分解するDNAグルコシラーゼであるという立場である。MutY蛋白質、AP-エンドヌクレアーゼ、DNAポリメラーゼIおよびDNAリガーゼは、イン・ビトロ(in vitro)にてG-AをG-C誤対合修正に再現することが示された。
関連するが非対立である配列の間の制御された組換えにおけるイー・コリ誤対合修復系の役割が、示されている(フェインシュタイン(Feinstein)およびロウ(Low)ジェネティクス(Genetics)第113巻、13頁、1986年;レイシグイアー(Rayssiguiuer)ネイチャー(Nature)第342巻、396頁、1989年;シェン(Shen)モレキュラー・アンド・ジェネラル・ジェネティクス(Mol.Gen.Genetics)第218巻、358頁、1989年;ペチ(Petit)、ジェネティクス(Genetics)第129巻、327頁、1991年)。塩基対レベルで数%またはそれを超えて異なる配列間の交差の頻度は稀である。メチル-指向性誤対合修復を欠損した細菌突然変異においては、かかる事象の頻度が顕著に増加する。最も大きな増加は、MutSおよびMutL欠損株で認められる(レイシグイアー(Rayssinguier)前掲;およびペチ(Petit)、前掲)。
ネルソン(Nelson)ら、ネイチャー・ジェネティクス(Nature Genetics)第4巻、11頁、1993年は、ゲノム連鎖分析用のゲノム誤対合(GMS)法を開示している。その方法により、誤対合-遊離ハイブリッド分子を形成するその能力に基づき、2種の比較の間の低下による同定(identity-by-descent)の領域からDNA断片を単離することができる。
該方法は、突出3'末端を生成する制限エンドヌクレアーゼで2種の起源からのDNAを消化することよりなる。突出3'末端は、エキソヌクレアーゼIIIからある程度の保護を提供し、これを後の工程で用いる。2つの起源は、1のみの起源からのDNAをメチル化することによって識別される。双方の起源からの分子を変性させ、再アニーリングさせると4種のタイプのデュプレックス分子:同一の起源由来の鎖から形成されるホモハイブリッド、および異なる起源からのDNA鎖よりなるヘテロハイブリッドを形成する。ヘテロハイブリッドは、相同性樹脂の同一性の程度に依存して、誤対合を含まないか、または塩基対誤対合を含むかのいずれかとなり得る。
ホモハイブリッドは、完全にメチル化されたか、または非メチル化のGATC部位を切断する制限エンドヌクレアーゼの使用によって、ヘテロハイブリッドから識別される。ホモハイブリッドはより小さなデュプレックス分子に切断されるが、ヘテロハイブリッドは切断に対して抵抗性である。誤対合(群)を含むヘテロハイブリッドは、イー・コリのメチル-指向性誤対合修復系を用いることによって、無誤対合分子から識別される。メチル-指向性誤対合修復系の3種の蛋白質MutH、MutLおよびMutSをATPとともに組合せて、誤対合を含むデュプレックス中のGATC部位の非メチル化鎖上に一本鎖ニックを導入する。誤対合を含まないヘテロハイブリッドにはニックが導入されない。次いで、すべての分子をエキソヌクレアーゼIII(ExoIII)による消化に付し、これによってニック、平滑末端または5'重複部位で消化を開始させることができ、一本鎖ギャップが作製される。無誤対合ヘテロハイブリッドのみが、ExoIIIによる攻撃に付されず、全ての他の分子は該酵素によって導入された一本鎖-ギャップを有する。一本鎖領域を有する分子は、ベンゾイル化ナフトイル化DEAEセルロースに吸着することによって除去される。残りの分子は、無誤対合ヘテロハイブリッドよりなり、これは一定水準により同一な領域を表し得る。
発明の概要
本出願は、単一DNA塩基誤対形成認識蛋白質が、他の相同性DNAデュプレックス中にある8種の可能性のある誤対合塩基対のいずれととも特異的コンプレックスを形成できることを決定した。また、もう1種の誤対形成認識蛋白質が1種の特異的塩基対誤対合A-Gを主に認識でき、そうする過程において、それが誤対形成部位でヌクレオチドを化学的に修飾することも明らかになった。加えて、メチル-指向性誤対合修復プロセスを行う規定イン・ビトロ(in vitro)系が確立されている。従って、本発明は、DNA中の点突然変異を検出し位置決定するためのかかる誤対形成認識蛋白質、および関連する修正系成分の使用をその要旨とする。加えて、本発明は、規定修復系の全体または一部の使用を通して塩基対誤対合を潜在的に含有するDNAデュプレックス分子集団を分析し操作する方法にも関する。
本発明は、ヘテロデュプレックスマッピング分析の5つの基本的な方法および操作:
(i)誤対合認識蛋白質、例えばMutSの1またはそれを超える誤対形成を含むDNA分子への結合性;
(ii)修飾形態の誤対合認識蛋白質による誤対合付近におけるヘテロデュプレックスの切断;
(iii)誤対合修復系依存性反応、例えば、MutHLSを介した1またはそれを超えるGATC部位における誤対合-誘発性切断;
(iv)誤対合修復系の反応を介したヘテロデュプレックスDNA中の誤対合-誘発性ギャップの形成、ならびに(V)完全誤対合修復系を用いた、ヌクレオチド・アナログ、例えば、ビオチニル化ヌクレオチドでの誤対合-含有ヌクレオチドの標識を利用する。
以下の議論を明確にするために、DNA塩基誤対形成を認識するある種蛋白質は単なるDNA結合蛋白質にすぎないが、ある種のものは誤対合認識の結果としてDNAを修飾するという事実に関連するある種の識別が存在することは注記しなければならない。後者の場合においてはDNAを修飾する蛋白質がDNAと一時的にのみ結合できるという事実にもかかわらず、その後は、誤対合認識蛋白質がDNAに結合することのみができるか、またはDNAを修飾することもできるかのいずれかであり、そのいずれの場合も蛋白質がDNA誤対形成を認識するといい、二本鎖DNA中のDNA誤対形成中のDNA誤対形成「と特異的コンプレックスを形成する」または「に特異的に結合する」というに等しい。DNAの修飾に関し、DNA誤対形成認識に関する発現がない場合においては、結果として生ずるDNAの修飾は含まれない。さらに、「DNAを修飾する」なる句には、DNA誤対形成認識蛋白質が生来のDNA修飾機能を有する場合(例えば、グリコシラーゼ)、ならびに、該誤形成認識蛋白質が単純に誤対形成と特異的コンプレックスを形成し、次いでそのコンプレックスの付近でDNAを修飾する他の蛋白質によって該コンプレックスが認識されるに過ぎない場合の双方が含まれる。
従って、本発明は、誤対形成と特異的コンプレックスを形成する誤対合認識蛋白質を用い、適当な分析法によって得られたDNA:蛋白質コンプレックスを検出することによって、DNAデュプレックス中の塩基対誤対合を検出する方法をその要旨とする。
単に塩基対誤対合を検出するよう設計した方法に加えて、本発明には、誤対合修復系の成分を用いることによって塩基対誤対合を検出し位置決定する方法も含まれる。
また、本発明は、結合した誤対合認識蛋白質付近のDNAデュプレックス中の少なくとも1本の鎖を修飾する遺伝性手段を供するために改変した誤対形成認識蛋白質もその要旨とする。
また、本発明は、A-G特異的誤対形成認識蛋白質を利用する系、例えば、ヘミメチル化のいずれの明白な要求性なしに、A-G誤対形成のみを認識するイー・コリDNA誤対形成認識蛋白質にも関する。mutY遺伝子の産物であるこの蛋白質は、DNAデュプレックス中のA-G誤対形成からアデニンを特異的に除去するグリコシラーゼである。従って、このMutY蛋白質は、本発明の実施によるA-G誤対形成の特異的検出に有用である。
また、本発明には、リコンビナーゼ蛋白質と合わせての、誤対合修復系の成分の合わせた使用も包含される。リコンビナーゼ蛋白質は、復元反応によって、種々の起源から得た一本鎖分子で出発するデュプレックス分子の形成を触媒するよう機能する。かかるリコンビナーゼ蛋白質は1つの起源からの一本鎖分子と、異なる起源から得た二重鎖分子との間隔の、鎖移動反応も触媒することができる。塩基対誤対合が存在する場合、かかるリコンビナーゼ蛋白質によって触媒されるデュプレックス領域の形成は、誤対合修復系の成分、例えば、イー・コリMutSおよびMutL蛋白質によって阻害される。誤対合修復系の成分によるリコンビナーゼ活性の調節には、誤対合塩基対を生じる領域を通しての分岐移動の阻害が含まれ得る。DNA誤対合修復系およびリコンビナーゼ系を組み合わせることによって、新たに形成したヘテロデュプレックス分子集団からの塩基対誤対合を含有する分子を除去できる非常に感度のよい選抜工程が提供される。この方法により、実際の誤対合修復反応とは独立して、または結合して利用することができる選抜スキームが提供される。
また、本発明は、DNA分子集団間の遺伝子同一性領域をマッピングするのに用いる、ネルソン(Nelson)ら、ネイチャー・ジェネティクス(Nature Genetics)第4巻、11頁、1993年のゲノム誤対合走査技術(GMS)の2種の改善法もその要旨とする。
本発明により提供される1つの改善法は、前記したごとき、遺伝子変化を測定するさらなる選抜工程をその要旨とする。遺伝子誤対合走査(GMS)法には、ハイブリッド形成後に行う1つの選抜工程が含まれる。本発明には、誤対合修復系の成分と合わせてのリコンビナーゼ活性を有する蛋白質の使用を介して、ハイブリッド形成の間に起こすさらなる工程が含まれる。さらなる選抜工程によって提供される遺伝子変化をスクリーニングするための感度が上昇することにより、より大きなゲノム、例えばヒトゲノムでGMS技術を使用することが可能となる。
本発明により提供される第二の改善法は、GMS法に用いるエキソヌクレアーゼIII消化工程の置換または修飾をその要旨とする。GSM法においては、エキソヌクレアーゼIIIを用いて、誤対合を含まないヘテロハイブリッドを除き、全てのDNA分子が一本鎖領域を含む分子に分解され、これは続いて除去される。ヘテロハイブリッドとは、他の分子(例えば、異なる起源からのもの)と以前は塩基対形成していた2種の分子からの方法で形成されるデュプレックス分子である。本発明においては、誤対合修復径全てまたは幾つかのの成分を用いる方法によって、この工程が置換されている。ExoIIIとは、二本鎖DNAに特異的な3'→5'エキソヌクレアーゼであり、それは平滑または5'突出末端で好ましく開始する。
GMS法においては、突出3'末端を生成する制限酵素でDNA分子を消化する。突出3'末端を含有する分子はExoIIIに対する好ましい基質でないが、かかる分子は、該酵素による制限攻撃に付すことができる。かくして、誤対合を含まないヘテロハイブリッドでさえ、ExoIIIによってある程度は分解され、下落による同一性を表す分子の最終集団から間違って除去されるであろう。本発明は、ジデオキシまたはビオチニル化ヌクレオチドと併せて誤対合修復系の成分を用いて、ExoIIIの使用、および誤対合を含まないヘテロハイブリッド分子の潜在的な損失を回避けている。ホモハイブリッドは、exoVI RecJおよびexo I、例えば誤対合修復反応に含まれる天然エキソヌクレアーゼにより、ヘリカーゼIIの存在下にて消化される。また、本発明は、閉環モノマー分子が形成されるように、希薄濃度のデュプレックスDNA分子の連結よりなるExoIIIを利用する工程の修飾をもその要旨とし、従ってExoIIIにより分解に付することができるいずれの3'末端も除去される。
本発明には、核酸分子の酵素的増幅プロセスによって産生された集団中の塩基対誤対合を検出し、除去または修正するための誤対合修復系の使用が含まれる。酵素的増幅のサイクルの間に生じるDNAポリメラーゼエラーは、産生分子集団中の誤対合塩基対(群)の存在を生じ得る。かかるエラーが続くサイクルで永存化された場合、それらは最終増幅産物の価値を損ないかねない。増幅法の忠実性は、の誤対合塩基対(群)を修正するか、または誤対合塩基対(群)を含む分子を増幅集団から削除するための誤対合修復系の1またはそれを超える成分を含ませることによって向上することができる。塩基対誤対合を含有する分子の削除は、完全なサイズの産物が続くラウンドの増幅で産生されないように、MutSのごとき蛋白質に結合させるか、またはデュプレックスの一方の鎖にニックを導入することによって達成できる。
また、本発明は、誤対合修復系の成分に誤対合を結合させることを介するか、あるいは、誤対合のコンプレックスおよび誤対合修復系の成分を他の細胞蛋白質に結合させることによって、塩基対誤対合を含有する分子を除去する方法をもその要旨とする。誤対合を含む分子を除去するための本発明のもう1つの態様は、ビオチンをかかる分子に導入し、続いてアビジンに結合させることによって除去することを介する。
本発明のもう1つの態様は、エキソヌクレアーゼVIIまたはRecJエキソヌクレアーゼによって供される、規定5'→3'エキソヌクレアーゼ機能を有する誤対合修復系の使用をその要旨とする。他の系においては、DNAポリメラーゼIIIホロ酵素の大部分の調製物に存在するエキソヌクレアーゼVIIによって、5'→3'エキソヌクレアーゼ機能が提供される。
また、本発明には、本発明の方法を行うために必要な成分を有するキットが包含される。
本発明の誤対合修復系、例えば、イー・コリは、誤対合を検出し位置決定する特異的かつ効率的な方法、ならびにその生物学的機能の反映である誤対合を含有するDNAの操作を提供する。この系によって、全8種の可能性のある塩基対誤対合が認識され、8種の誤対合のうちの7種が処理され修正される。C-C誤対合は修復の基質ではないが、MutSはその検出を可能とするこの誤対形成に弱いながらも結合する。電気泳動移動法、RAアーゼ法または化学修飾法とは反対に、この系は、誤対合を検出する、または該誤対合に結合するDNAデュプレックスの不安定化に依存しない。この系は、正確な特異性をその要旨とし、線状DNAの末端の塩基との非-特異的相互作用、または長分子中の非-誤対合部位の非-特異的相互作用に付されない。
誤対形成を含む断片の検出は、例えば、300キロベース当たり1個のG-T誤対形成よりも良好な検出のように、系固有の特異性によってのみ制限される。誤対合は、6,400塩基対の基質でルーチンに検出されており、該系は、40-50kbほど大きな分子に適用しなければならない。このことにより、長DNA配列間、例えば、一個体からの完全な遺伝子ともう一個体の全ゲノムとの間のように、可能性のある単一塩基の相異の検出が可能である。また、本発明は、1またはそれを超える完全遺伝子をコードし、数kbpのDNAよりなるもののごとき長DNA分子の相同性領域の配列内のいずれの可能性のある単一塩基の相異を位置決定することもできる。
本発明の幾つかの方法は、DNA分子のホスホジエステル骨格の共有結合改変を生じる。この共有結合改変は、特に電気泳動法による産生DNA分子の分析を促進する。
本発明の他の要旨および利点は、以下の本発明の好ましい具体例の記載、および請求の範囲から明らかであろう。
【図面の簡単な説明】
図1.イン・ビトロ誤対合修正用のヘテロデュプレックス。幾つかの例で用いる基質は、バクテリオファージf1由来であって、ポジション5632の2種の制限エンドヌクレアーゼの重複認識部位内に位置する単一の塩基-塩基誤対合を含有する、6440-塩基対で、共有結合閉環で、環状ヘテロデュプレックスのものである。例においては、HindIIIおよびXhoIエンドヌクレアーゼによって認識される重複配列内のG-T誤対合残基を示す。誤対合の存在は、この部位をいずれかのエンドヌクレアーゼによる切断に対して抵抗性とするが、相補的(c)DNA鎖上に生じる修復はA-T塩基対を供し、HindIII-感受性部位を生じる。一方、ウイルス(v)鎖上の修正はG-C対を生じ、XhoI-感受性とする。また、該ヘテロデュプレックスには、ポジション216の誤対合(より短い経路)からの1024塩基対の単一d(GATC)配列も含んでいる。この部位における鎖メチル化の状態は制御でき、従って、修正の鎖特異性上のDNAメチル化の効果を評価することができる。
図2.誤対合修正におけるDNAリガーゼの必要性
ヘミメチル化G-TヘテロデュプレックスDNA(図1、0.6μg、相補的DNA鎖上のd(GATC)メチル化)を、復元条件下、60μl反応物(表3、閉環ヘテロデュプレックス)中にてMutS蛋白質またはリガーゼを欠くか、または両方の活性を欠く20μl反応物(DNA0.2μg)中の誤対合修復に付した。各反応物の一部(DNA0.1μg)を、EDTA(最終濃度10mM)で処理し、臭化エチジウム存在下のアガロースゲル電気泳動(1.5μg/ml;上図、レーン1-4)に付した。ポジションは、未反応、超らせん基質(SC)、鎖開裂を含有する開環(OC)、ならびに共有閉環した弛緩環状分子(RC)を示す。DNA0.1μgを含有する各反応物の第二試料を、XhoIおよびClaIエンドヌクレアーゼで加水分解し(図1)、G-TからG-Cへの誤対合修正を記録し、前記した試料と平行して電気泳動に付す(下図、レーン5-8)。残りの完全な反応物(DNA0.4μg、レーン1で分析した試料に相当する)をEDTA中で10mMに調製し、前記のごとく電気泳動に付す。閉環した弛緩分子を含有するゲル片を切り出し、そのDNAを溶出する。この試料をXhoIおよびClaIで切断し、その生成物を電気泳動によって分析した(レーン9)。
図3.精製系中の誤対合修正のメチル-指向性
G-Tヘテロデュプレックスでの修復反応(図1)は、反応容量が20μl(DNA0.2μg)であって、インキュベート時間が60分間である以外は表3(閉環へテロデュプレックス)に記載のごとく行った。その反応物を55℃にて10分間加熱し、各々を2部に分けて、修復の鎖特異性を試験した。修復が相補的(c)DNAで起こるG-TからA-Tへの誤対合修正は、HindIIIおよびClaIエンドヌクレアーゼで切断することによって記録し、一方、XhoIおよびClaIでの加水分解を用いてウイルス(v)鎖上に生じたG-TからG-Cへの修復を検出した。左側の2レーンに示す試料は別として、ポジション216の単一d(GATC)配列のメチル化状態を除いて、全てのヘテロデュプレックスは同一であった(図1)。この部位における2種のDNA鎖の修飾状態を、+および−表示によって示す。左側の2レーンに示す実験に用いたG-Tヘテロデュプレックス(0/0と示す)には、ポジション216のd(GATC)の代わりに配列d(GATT)が含まれるが、他の点では他の基質に配列で同一である。
図4.MutH蛋白質不存在下の単一の鎖切断を含むヘテロデュプレックスの鎖-特異的修復
ウイルス鎖または相補鎖上にd(GATC)修飾を有するヘミメチル化G-TヘテロデュプレックスDNA(図1、5μg)を、均質に近いMutH蛋白質とともに部位-特異的切断に付した。MutH-関連エンドヌクレアーゼは、他の誤対合修復蛋白質不存在下では非常に弱いため、精製蛋白質によってd(GATC)部位を切断するには、復元反応で用いるものの80倍のMutH濃度が必要である。フェノール抽出によってMutHを除去した後、DNAをエタノール沈殿し、遠心によって採取し、真空下にて乾燥し、10mM トリス-HCl(pH7.6)、1mM EDTA中に再懸濁した。MutH-切断および共有結合閉環の対照ヘテロデュプレックスの誤対合修正は、リガーゼおよびNAD+を省略した以外は表2の脚注に記載のごとく行った。ここに図示するヘテロデュプレックスの外側および内側の鎖は、各々、相補鎖およびウイルス鎖に相当する。括弧内の値は、メチル化された連続DNA鎖に生じた修復を示している。切断ヘテロデュプレックスの調製物中のMutH蛋白質の不存在は、2種の方法で確認した。切断d(GATC)部位にMutH蛋白質が強固に結合していないことを証明するDNAリガーゼ(>80%)による閉環に切断分子の調製物を付した。さらに、各MutH-切断ヘテロデュプレックスを閉環基質と混合する対照実験は、MutH蛋白質が反応物から除かれた場合には開環形態のみが修復されるが、MutH蛋白質が存在する場合には両方の基質が修正されることを示した(データは示さず)。
図5.DNAリガーゼ存在下で修正するためのMutH蛋白質およびd(GATC)配列の必要性
d(GATC)配列で非メチル化鎖上を切断するヘミメチル化G-Tヘテロデュプレックスは、図4で前記したごとく調製した。d(GATC)部位を欠き、HincII部位(ポジション1)で相補的DNA鎖内に一本鎖開裂を含有するG-Tヘテロデュプレックス(図4)は、前記されているごとく構築した(ラヒュー(Lahue)ら、前掲)。誤対合修正アッセイは、示したごとく存在するリガーゼ(25μM NAD+存在下の20ng)およびMutH蛋白質(0.26ng)で、表3記載のごとく行った。表の挿入値は、連続鎖上の修復の程度を示す挿入値とともに、切断DNA鎖上に生じた修正に相当する。示していないが、d(GATC)配列を欠くニック分子(3欄の最初の記載)の修復は、MutL、MutS、SSBまたはDNAポリメラーゼIIIホロ酵素が省略される際には1桁を超えて減少した。
図6は、RecA触媒鎖移動に対するMutSおよびMutL効果を評価するのに用いたモデル系の模式図である。
図7は、相同性および準-相同性DNA配列の間のRecA-触媒鎖移動に対するMutSおよびMutLの効果を図示している。実線はfd-fd鎖移動を示し、一方、点線はfd-M13鎖移動に相当する。鎖移動は、MutL(●)またはMutS(■)の存在下で評価した。
図8は、誤対合塩基対に応答しての鎖移動に対するMutS遮断のMutL潜在能力を図示している。実線:fd-fd鎖移動;点線:fd-M13鎖移動;RecA(●);RecAおよびMutL(◆);RecAおよびMutS(■);RecA、MutLおよびMutS(▲)。
図9は、誤対合塩基対を生じた領域を通しての分岐移動のMutSおよびMutL遮断を図示している。実線:M-13-M13鎖移動;点線:fd-M13鎖移動。RecAのみ(●および■);RecA、MutSおよびMutL(○および□)。
好ましい具体例の記載
本発明は、DNA塩基対誤対合を検出し、位置決定し、かかる誤対合を含有する分子を操作するための誤対合修復系の成分を利用する方法、ならびにそれよりなるキットよりなる。また、本発明は、改変誤対形成認識蛋白質、ならびに前記の方法およびキットにおけるその利用もその要旨とする。また、本発明には、リコンビナーゼ活性を有する蛋白質と合わせて誤対合修復系の成分よりなる方法およびキットも包含される。また、本発明は、GMS技術を改善して低下による相同性領域を検出する方法からもなる。
誤対合認識蛋白質とコンプレックス形成することにより誤対合塩基対の存在を検出し位置決定する方法
本発明の1つの具体例は、DNAデュプレックス中の塩基対誤対合を検出する診断方法をその要旨とする。該方法は、塩基対形成が起こるような条件下にて、第一DNA分子の少なくとも1本の鎖と第二DNA分子の相補鎖とを接触させ、該蛋白質が塩基対誤対合を有するDNAデュプレックスとのみ特異的なコンプレックスを形成し、かつ塩基対誤対合を欠くDNAデュプレックスとは形成しないのに適した条件下にて、塩基対誤対合を潜在的に含むDNAデュプレックスと該誤対合認識蛋白質とを接触させ、次いで、DNAデュプレックス中の塩基対誤対合の存在を尺度としてデュプレックスを検出する工程よりなる。
「誤対合」とは、DNAの相補鎖に位置する2本のヌクレオチドの塩基間の不正確な対、すなわちA:TまたはG:Cでない塩基対の形成を意味する。
本発明の実施においては、比較すべき2種のDNAまたは2種のDNA試料は、ヒトを含む生物の全体ゲノムまでをコードする天然または合成配列よりなっていてもよく、これは、よく知られた方法によって調製できる。本発明のこの方法による塩基配列相異の検出は、該2種のDNAのいずれかの(例えば、制限ヌクレアーゼによる)切断を要しないが、相補的単一鎖DNA断片の間の塩基対形成の速度がそれらのサイズに反比例することは当該分野でよく知られている。この検出法には、2種のDNA分子間で相同性の少なくとも約14連続の塩基対(安定なDNAデュプレックスを形成するのに一般的に必要なおよそ最小数の塩基対)よりなる相同性領域内に存在する塩基対誤対合として、塩基配列相異が検出されることを要する。第一DNAの一方または双方の鎖を実験に選択できるが、選択した第一DNA鎖に相補的な第二DNAの少なくとも1本の鎖を用いなければならない。DNA鎖、特に第二DNAのものは、当該分野でよく知られた方法に従って有利に放射性同位体標識して、直接検出を促進することができる。
「誤対形成認識蛋白質」とは、塩基対誤対合を特異的に認識し、それに結合する誤対合修復系の蛋白質、例えば、イー・コリMutSを意味する。
塩基対形成が起こるような条件下で2種のDNAのDNA鎖を接触させる方法および条件も、当該分野で広く知られている。
本発明のこの態様の好ましい具体例において、該誤対合認識蛋白質は、イー・コリのmutS遺伝子の産物またはその種突然変異、あるいは認識ドメインをコードするその部分である。該蛋白質は全8種の可能性のある塩基対誤対合を認識し、DNA:蛋白質コンプレックスの検出は、蛋白質:DNAコンプレックスは吸収剤上に保持されるが、蛋白質とコンプレックスを形成しないDNAは保持されないような条件下にて、選択的な吸着剤と該コンプレックスを接触させ、保持えたコンプレックス中のDNA量を測定することよりなり、該吸着剤は膜状ニトロセルロースフィルターであり、DNA:蛋白質コンプレックスの検出には、塩基誤対形成認識蛋白質に特異的な抗体を用いる工程がさらに含まれ、塩基誤対形成認識蛋白質は、エス・チフィムリウムのmutS遺伝子、エス・ニューモニエのhexA遺伝子、または酵母のMSH1およびMSH2遺伝子の産物であり、ここに、DNA:蛋白質コンプレックスを検出する工程には、さらにDNA:蛋白質コンプレックスの電気泳動移動度を非コンプレックス化DNAと比較する工程が含まれる。
二本鎖DNA内の全8種の単一塩基対誤対合の例を認識するMutS蛋白質の能力は、イン・ビボ(in vivo)で修正されるようではないC-C誤対形成をも含んで、最近報告されているごとく(スー,エス.-エス.(Su,S.-S.)ら、ジャーナル・オブ・バイオロジカル・ケミストリー(J.Biol.Chem.)第263巻、6829-6835頁、1988年)、MutS蛋白質がDNアーゼIによる加水分解からの各誤対合を含有するDNA領域保護するという事実(すなわち、「DNアーゼIフットプリント」分析)によって証明されている。試験した種々の誤対合に対するMutS蛋白質の親和性はかなり変動する。局所配列環境も、いずれかの所定の塩基誤対形成に対するMutS蛋白質の親和性に影響する;換言すれば、例えば、種々の配列によって取り囲まれたA-C誤対号の2種の特異的な場合の親和性は、同一とはなり得ない。それにも拘わらず、単離MutS蛋白質により認識されない塩基誤対形成の例は全く認められていない。従って、本発明のこの方法は、全種類の誤対合塩基対を検出する。
MutSが認識するDNAデュプレックスは、GATC配列を含んでいる必要はなく、よって、それは、イン・ビボ(in vivo)のメチル-指向性誤対合修正の完全なプロセスのための特異的シグナルであるGATC配列中のAのヘミメチル化を必要とせず;従って、この方法におけるMutSの使用により、かかるメチル化を欠くDNA中、例えば、ヒト組織から単離されたDNA中のDNA塩基誤対合を認識することができる。
(「種突然変異」とは、機能的に、かつ少なくとも一部は、構造的にイー・コリMutS蛋白質に類似するような蛋白質を意味する。かかる蛋白質の一例は、サルモネラ・チフィムリウム(Salmonella typhimurium)細菌におけるメチル-指向性誤対形成修正系においても発見されている(パン(Pang)ら、ジャーナル・オブ・バクテリオロジー(J.Bacteriol.)第163巻、1007-1015頁、1985年)。この蛋白質の遺伝子は、mutS遺伝子を不活化する突然変異を有するイー・コリ株に相補的であることが示されており、その産物のアミノ酸配列は、イー・コリMutS蛋白質のものと相同性を示す。従って、このエス・チフィムリウム蛋白質も、本発明のこの態様の実施に適している。ヒトを含む他の生物は、MutS蛋白質に機能的に類似する誤対形成認識蛋白質よりなる、DNA誤対形成を認識し修復する種々の系を有していることが知られており、このことは、当業者が理解できるであろう。HeLaおよびドロソフィラ・メラノガスターKc細胞系由来の核抽出物は、イン・ビトロ(in vitro)で効率的な鎖特異的誤対合修正を支持することが示されており((出典明示して本明細書の一部とみなす)ホルメス(Holmes)ら、プロシーディングズ・オブ・ナショナル・アカデミー・オブ・サイエンシズ・イン・ユーエスエイ(Proc.Natl.Acad.Sci.USA)第87巻、5837-5841頁、1990年)、細菌反応の機構に似た機構によってこの反応が起こることが示されている(ファニー(Fany)およびモドリッチ(Modrich)、ジャーナル・オブ・バイオロジカル・ケミストリー(J.Biol.Chem.)第268巻、11838頁、1993年)。さらに、アミノ酸配列レベルで細菌MutSに相同性である蛋白質をコードする遺伝子はヒトで(フジイ(Fujii)およびシマダ(Shimada)、ジャーナル・オブ・バイオロジカル・ケミストリー(J.Biol.Chem.)第264巻、10057頁、1989年)および酵母(リーナン(Reenan)およびコロドナー(Kolodner)、ジェネティクス(Genetics)第132巻、963頁、1992年)およびエス・ニューモニエ(プリーブ(Priebe)ら、ジャーナル・オブ・バクテリオロジー(J.Bacteriol.)第170巻、190頁、1988年)で証明されている。従って、かかるDNA塩基誤対形成認識蛋白質は、本発明の使用にも適し得ると考えられる。
「認識ドメインをコードする蛋白質」とは、誤対合認識および結合に関与する誤対合認識蛋白質の領域を意味する。かかるドメインは、完全未満の誤対形成認識蛋白質よりなる。
「選択的な吸着剤」とは、蛋白質:DNAコンプレックスは該剤上に保持されるが、蛋白質とコンプレックスを形成しないDNAは保持されないいずれの固形基体をも意味し、かかる剤は当業者に知られている。放射性同位体標識していない少なくとも1本の鎖を用いてDNAデュプレックスを形成させれば、放射性DNAの相補鎖とのアニーリングを含む、固形基体上のDNAを検出する技術のいずれかの通常の手段によって、フィルター上のコンプレックス中のDNAを検出できる。
DNA中の塩基誤対形成とMutS蛋白質とのコンプレックスを検出するニトロセルロース・フィルター法は詳細に報告されている((出典明示して本明細書の一部とみなす)ジリクニー,ジェイ(Jiricny,J.)ら、ヌクレイック・アシッズ・リサーチ(Nuc.Acids Res.)第16巻、7843-7853頁、1988年)。単純性に加えて、DNA:蛋白質コンプレックスを検出する本法の他の適当な方法を上主な利点は、DNA:蛋白質デュプレックス中に検出できるDNA分子のサイズ上の制限の事実上の欠如である。従って、本法のこの具体例は、原則として、剪断することなしに事実上扱うことができるほどの大きさのDNA断片間の単一塩基配列相異を検出するのに有用である。
「電気泳動移動度」とは、電界影響下のゲル媒質中の移動度度に基づいて、DNA:蛋白質コンプレックスを形成しないDNAからDNA:タンパク質コンプレックスを分離する方法を意味する。DNA:蛋白質コンプレックスは、裸のDNAよりもより少なく移動する。電気泳動移動度に基づくかかる方法は、当業者に知られている。DNA:蛋白質コンプレックス中のDNAは、色素で染色するか、放射性DNAの相補鎖とアニーリングさせることを含む、ゲル電気泳動においてDNAを検出する通常の標準的ないずれかの手段によってでも検出することができる。MutS塩基誤対形成認識蛋白質およびDNA二重らせん中の誤対形成よりなるコンプレックスの検出も、前記の参照に記載されている(ジリクニー,ジェイ(Jiricny,J.)ら、ヌクレイック・アシッズ・リサーチ(Nucl.Acids Res.)第16巻、7843-7853頁、1988年)。ゲル電気泳動によって特異的DNA:蛋白質コンプレックスを検出する技術で用いられる通常の条件下にて、数百塩基対にのぼる二本鎖DNA断片と蛋白質とのコンプレックス形成は、識別できる移動度の相異を生じることが知られている。
DNA誤対形成認識蛋白質に特異的な抗体は、当業者に知られている標準的な免疫学的技術によって調製できる。
DNA:蛋白質コンプレックスを検出する他の適当な分析方法には、塩基誤対形成認識蛋白質に特異的な抗体を用いる免疫検出法が含まれる。例えば、イー・コリMutS蛋白質に特異的な抗体が調製されている。従って、DNAとMutS蛋白質とのコンプレックスの1つの免疫検出法は、MutS蛋白質に特異的な抗体と免疫沈降させることによってDNA:蛋白質コンプレックスを形成しないDNAからDNA:蛋白質コンプレックスを分離し、該沈殿中のDNAを検出し、する工程よりなる。本発明のこの態様の実施に従って、当該分野で知られている定量免疫アッセイ法を用いて、既知数の誤対形成を有するDNAデュプレックスと所定の誤対形成認識蛋白質のコンプレックスを用いて確立できる補正曲線に基づいて、2種のDNA分子の相同性領域中の単一塩基誤対形成の数を測定することができる。
本発明のもう1つの態様は、DNAデュプレックス中の塩基対誤対合を検出し位置決定する方法をその要旨とする。この方法には、塩基対形成が起こるような条件下にて、第一DNA分子の少なくとも1本の鎖と第二DNA分子の相補鎖とを接触させ、該蛋白質が誤対形成と特異的コンプレックスを形成するような条件下にて、得られた二本鎖DNAデュプレックスと誤対形成認識蛋白質とを接触させ、該コンプレックスが加水分解を遮断するような条件下にて、該デュプレックス分子をエキソヌクレアーゼによる加水分解に付し、次いで適当な分析法によって、加水分解の遮断位置を決定することが含まれる。
「エキソヌクレアーゼによる加水分解」とは、当業者に知られている方法であって、二本鎖特異的エキソヌクレアーゼ活性を有する酵素、例えば、イー・コリのエキソヌクレアーゼIII、RecBCDエキソヌクレアーゼ、ラムダ・エキソヌクレアーゼおよびT7遺伝子6エキソヌクレアーゼを利用する。
「加水分解を遮断する」とは、エキソヌクレアーゼによる加水分解の妨害を意味する。かかる保護は、結合しているDNAを保護する誤対形成認識蛋白質から生じ得る。
「適当な分析法」とは、ゲル電気泳動による分子の分析のごとく、エキソヌクレアーゼ消化の遮断を検出できるいずれの方法をも意味する。
誤対合修復系鎖修飾反応により塩基対誤対合を検出し位置決定する方法
塩基配列相異を検出する方法に加えて、本発明は、DNAデュプレックス中の塩基対誤対合を検出し、かつ位置決定する方法を提供する。1の方法には、塩基対形成が起こるような条件下にて第一DNA分子の少なくとも1本の鎖と第二DNAの相補鎖とを接触させ、誤対合認識蛋白質が誤対形成と特異的コンプレックスを形成するような条件下にて、得られた二重鎖DNAデュプレックスと該蛋白質とを接触させ、それによって得られたDNA:蛋白質コンプレックス付近において該DNA:蛋白質コンプレックス中の少なくとも1本のDNA鎖を修飾し、次いで、適当な分析法によって得られたDNA修飾の位置を決定することが含まれる。
「修飾」とは、例えば、少なくとも1本のDNA鎖のヌクレオチド間の切断またはヌクレオチドの糖残基からの塩基の除去を生じる化学結合の開裂を含む化学修飾のごとき、検出手段が存在するいずれの改変をも意味する。DNA:蛋白質コンプレックス付近においてDNAを修飾する特異的手段は、本発明のこの態様の幾つかの具体例の各々における修飾アプローチの実践的な制限に適当な「〜付近における」なる句の解釈と共に、各例を以下に供する。
修飾位置を決定するのに適した分析法は当業者に知られている。かかる決定には、修飾DNA分子と相同性非修飾DNA分子との比較が含まれる。
本発明のこの態様の好ましい具体例において、該誤対合認識蛋白質は、イー・コリのmutS遺伝子の産物または他の機能的に類似した蛋白質であり;その工程において、DNAをDNA:蛋白質コンプレックス付近において修飾する工程は、さらに、DNA:MutS蛋白質コンプレックスを、、誤対合付近のDNAデュプレックスの一方または双方の鎖に不連続が生成するような条件下にて、規定セットまたはサブセットのイー・コリDNA誤対合修復蛋白質(イー・コリMutH、MutL、DNAヘリカーゼII、一本鎖DNA結合蛋白質、DNAポリメラーゼIIIホロ酵素、エキソヌクレアーゼI、およびエキソヌクレアーゼVII(またはRecJエキソヌクレアーゼ)、またはその種突然変異よりなる)ATP、および1またはそれを超える外因性ジデオキシヌクレオシド-5'-三リン酸、またはデオキシリボヌクレオシド-5'-三リン酸不存在と接触させることよりなる。
かかる分析に用いるDNAは、GATC配列中のアデニン塩基の6-位で非メチル化またはヘミメチル化されている。数種の細菌種からのDNAを除いて、大部分の生物の染色体はこの修飾を生来欠いている。その他のGATC非修飾分子のヘミメチル化が望ましい場合においては、これは、当該分野でよく知られているイー・コリDamメチラーゼの使用によって達成することができる。この酵素を使用することによって調製した対称メチル化DNAを変性し、続いて相同性(またはそれよりより大きな)DNAを示す一本鎖配列と再アニーリングさせる。要すれば、非メチル化から分離できるこの復元法によって産生されるヘミメチル化分子は、アニーリング方法から生じさせることもできる対称メチル化デュプレックスである。当該分野でよく知られているように、このことは、アニーリングした産物をDpnIおよびMboIエンドヌクレアーゼによる切断に付することによって成し遂げることができる。前者の活性はGATC部位でメチル化デュプレックスDNAを対称的に切断するが、非修飾デュプレックスDNAは、非修飾GATC部位でのみ後者の活性による二本鎖切断に付される。ヘミ修飾DNAはDpnIおよびMboIの双方による二本鎖切断に対して抵抗性であるため、所望のヘミメチル化産物はDpnIおよびMboI切断によるより小さな断片生成物からのサイズに基づいて、例えば、電気泳動法により分離することができる。
「DNAデュプレックスの一方または両方の鎖における不連続性」とは、一方または両方の鎖中のホスホジエステル骨格中の開裂よりなる領域、またはデュプレックス分子中の一本鎖ギャップを意味する。
この好ましい具体例の1つの態様には、ATPおよび適当な二価カチオン補助因子(例えば、Mg2+)存在下にて、該誤対形成付近の1またはそれを超えるGATC部位における切断に誤対合-含有分子が付されるように、DNA:MutS蛋白質コンプレックスとイー・コリMutLおよびMutH蛋白質(またはその種突然変異)とを接触させることが含まれる。かかる切断事象は、変成条件下の電気泳動のごとき、サイズ検出する適当な分析方法によってモニターできる。
この好ましい具体例の第二の態様には、コンプレックズ蛋白質付近に一本鎖ギャップが生成されるように、外因性デオキシリボヌクレオシド-5'-三リン酸の存在下あるいは1またはそれを超えるジデオキシヌクレオシド-5'-三リン酸不存在下にて、DNA:MutSコンプレックスと、イー・コリMutH、MutL、DNAヘリカーゼII、一本鎖DNA結合蛋白質、DNAポリメラーゼIIIホロ酵素、エキソヌクレアーゼIおよびエキソヌクレアーゼVII(またはRecJエキソヌクレアーゼ)あるいはこれらの活性の種突然変異、ATPよりなる規定イー・コリ誤対合修正系とを接触させることが含まれ;DNAデュプレックスで一本鎖ギャップの位置を決定する方法には、さらに、一本鎖特異的エンドヌクレアーゼでDNAを切断する工程の変性条件下にて、処理試料の電気泳動移動度の分析、ならびに、非変性条件下における非修飾DNA断片と切断断片との電位泳動移動度の比較;エンドヌクレオチド加水分解切断がデュプレックス分子中の1またはそれを超えるGATC配列に導入されるような条件下にて、該コンプレックスと誤対合修復系、ATPおよび二価カチオンとを接触させることよりなるコンプレックス付近でDNAデュプレックスを修飾する工程が含まれる。
完全な規定誤対合修正系の一例は、以下の精製成分:イー・コリMutH、MutL、およびMμtS蛋白質、DNAヘリカーゼII、一本鎖DNA結合蛋白質、DNAポリメラーゼIIIホロ酵素、エキソヌクレアーゼI、DNAリガーゼ、ATP、および4種のデオキシヌクレオシド-5'-三リン酸よりなる。このセットの蛋白質は、鎖-特異的反応において8種の塩基-塩基誤対合のうちの7種を処理することができ、これは誤対合から1kbに位置する単一GATC配列のメチル化状態により方向付けられる。この規定系は、さらに以下の実施例1に記載する。5'→3'エキソヌクレアーゼ機能は、この活性を含むDNAポリメラーゼIIIホロ酵素調製物、または、エキソヌクレアーゼVIIまたはRecJエキソヌクレアーゼよりなる別々の規定成分のいずれかによって供給することができる。ハイブリダイゼーション途中にC-C誤対合を生じるであろう突然変異は相補的鎖をハイブリダイズさせた場合にG-G誤対合も生じるであろうため、本発明のこの態様のこの具体例におけるC-C塩基誤対形成を修復する能力の欠損は、2本の天然に生じるDNA配列の間の全ての可能性のある塩基配列相異を検出する方法の主な制限でないことは注意しなければならない。
DNA:MutS蛋白質コンプレックス付近に一本鎖ギャップを生じさせるためには、以下の相異点:
(i)外因性dNTPを省略する;または
(ii)適当な濃度(10〜100μM)の2',3'-ジデオキシヌクレオシド-5'-三リン酸(ddNTP)をdNTPに代用する;または
(iii)一本鎖ギャップお秋雨区を阻害するのに十分な鎖停止頻度を得るために、dNTPを含有する反応物を適当な濃度のddNPPで補足する
を除いて実施例1、表3記載の標準的な条件下にて、誤対形成塩基対を含有するデュプレックスを、明確な誤対合修正系と接触させる。(i)-(iii)の場合においては、DNAリガーゼを反応から省略することができる。(ii)および(iii)の場合においては、4種全てのddNTPを入れることができるが;
しかしながら、1、2または3種のddNTPが存在することにより、鎖停止事象を介した一本鎖ギャップを安定させるのに十分に改善されるであろう。プロトコールを形成するこれらのギャップの大部分の適用はMutHを利用するであろうと予想されるが、MutHによるメチル-指向性鎖切断の要件が、実施例1図5に記載されているように、誤対形成付近の他の幾つかの手段による一本鎖ニックの供給によって事前に回避することができることは注意すべきである。DNA中にかかるニックを誘導するのに適当な手段は、当該分野でよく知られている条件下にて、ヌクレアーゼ、DNアーゼIとの制限接触であり、例えば、当該分野でよく知られた条件下においては、このアプローチは、該誤対合修正系にDNA中のどこかの誤対形成付近に一本鎖ギャップを生成させるのに適した間隔で二本鎖DNA分子全体にランダムにニックを生成する。
誤対合塩基対を位置決定するこの方法のこの具体例において、「〜付近の」とは上記条件下で典型的に認められた一本鎖ギャップのサイズによる実際の定義、すなわち、誤対合塩基対から約1kbpまでである。
「DNAデュプレックス内の一本鎖ギャップの位置を決定する」とは:
(i)(誤対合修復活性を有する調製物と接触させる前またはそれに続いて)少なくとも1種の制限エンドヌクレアーゼでDNAを切断し、続いて、得られた修飾DNA断片と規定誤対合修復系と接触させていないDNA制限断片とを、変性条件下の電気泳動移動度を比較する;または、
(ii)少なくとも1種の制限エンドヌクレアーゼおよび一本鎖特異的エンドヌクレアーゼでDNAを切断し、続いて、得られた修飾DNA断片と規定誤対合修復系と接触させていないDNA制限断片との天然条件下の電気泳動移動度を比較する工程を必要とする。適当な一本鎖特異的エンドヌクレアーゼには、例えば、S1一本鎖特異的ヌクレアーゼ、または当該分野でよく知られている他の機能的に同様のヌクレアーゼが含まれる。(i)および(ii)の場合においては、所望により、塩基配列相異付近において2つのDNA分子の配列を直接比較するために、直接配列決定に簡便なサイズの制限断片が得られるまで、必要に応じてさらなる制限マッピングを行って、方法の最初の適用で認められたいずれの断片修飾をもさらに位置決定する。
「誤対合修復系の蛋白質」とは、誤対形成認識蛋白質であるGATCエンドヌクレアーゼ、およびエンドヌクレアーゼの活性化に寄与する蛋白質を包含する蛋白質を意味する。
「二価カチオン」とは、GATCエンドヌクレアーゼの補助因子、例えば、MgCl2を意味する。
「エンドヌクレアーゼ加水分解切断」とは、誤対合付近のヘミメチル化GATC配列の非メチル化に誤対合塩基対を含有するDNA断片の切断を意味する。
「変性条件下での電気泳動移動度によるサイズ分画」とは、当業者によりよく知られている方法である。ゲル電気泳動は、慣用的またはパルスフィールドのいずれかとすることができる。
誤対形成認識蛋白質の修飾およびその使用
また、本発明は、改変されて結合誤対形成認識蛋白質付近の少なくとも1本鎖のDNAデュプレックスで修飾する手段を提供する、誤対形成認識蛋白質の形態も包含する。
本発明のこの態様の好ましい具体例において、改変された誤対形成認識蛋白質は、イー・コリのmutS遺伝子の修飾産物またはヒドロキシル基切断機能を結合した他の機能的に類似の修飾蛋白質であり;該改変誤対合認識蛋白質は、誤対形成認識ドメインを含む天然分子のセグメントのみよりなっていてもよく;該ヒドロキシル基切断機能は、改変誤対形成認識蛋白質よりなる群から選択され、ここに、ヒドロキシル基切断機能は、1,10-フェナントロリン-銅錯体、EDTA鉄錯体、および血清アルブミンの銅結合ドメインよりなる群から選択され;改変誤対形成認識蛋白質は、イー・コリのmutS遺伝子の産物、または二本鎖DNAを切断することができるDNAエンドヌクレアーゼ活性を結合した他の機能的に類似の蛋白質であり;該エンドヌクレアーゼ活性は、FokIエンドヌクレアーゼのDNA切断ドメインによって供される。
「改変誤対形成認識蛋白質」とは、塩基対誤対合を認識し結合するのみならず、かかる誤対合を含有するDNA分子鎖を修飾する能力を有する誤対形成認識蛋白質を意味する。
DNA結合蛋白質にヒドロキシル基切断機能を結合する幾つかの方法は、当該分野で知られている。例えば、リジル残基は、1,10-フェナンスロリン-銅錯体をリジン残基に化学的に結合して、DNアーゼI・フットプリンティングにより決定されるごとく、該蛋白質の結合部位の20塩基対以内で(共反応物として過酸化水素存在下にて)両方のDNA鎖を切断する高効率部位-特異的ヌクレアーゼにDNA結合蛋白質を転化させる(シイ・エイチ・チェン(C.-H.Chen)およびディー・エス・シグマン(D.S.Sigman)、サイエンス(Science)第237巻、1197頁、1987年))。もう1つのDNA結合蛋白質のアミノ末端へのEDTA-鉄錯体の化学的結合は、同様のサイズの認識部位の数塩基以内で標的DNAの両方の鎖を切断する配列特異的DNA切断蛋白質を同様に産生する(ジェイ・ピイ・スルカ(J.P.Sluka)ら、サイエンス(Science)第235巻、777頁、1987年)。
ヒドロキシル基切断機能をこの同一の蛋白質に結合させる別の方法には、血清アルブミンの銅-結合ドメインの共通配列である3個のアミノ酸Gly-Gly-Hisでアミノ末端を伸長させることが含まれる(ディー・ピイ・ハック(D.P.Hack)ら、ジャーナル・オブ・アメリカン・ケミカル・ソサイエティー(J.Am.Chem.Soc.)第110巻、7572-7574頁、1988年)。このアプローチにより、該ペプチドがこの場合のように十分に短い場合には(3個のさらなるアミノ酸を含む55残基)、組換え法により、または標準的な固相法を用いた直接合成により、直接的にかかる人工DNA切断蛋白質を調製することができ、これにより、大量スケール産生においては時間がかかり困難な試薬のさらなる化学修飾工程の必要が回避される。EDTA-鉄錯体とは反対に、この例で構築した特定のペプチド配列は、種々の配列環境における4種の認識部位のうちの1種のみの例を切断する。
それにも拘わらず、蛋白質エンジニアリングの当業者であれば、水素基切断機能を結合することによってDNA結合蛋白質をDNA切断蛋白質に転化するこの一般的アプローチが広く適用できることは理解できるであろう。従って、当該分野で教示される適当な変形、特に蛋白質と金属結合部位との間の「スペーサー」の化学的性質および長さを調整することにより、実験を行うことなしに、本発明のこの態様の実施に従って、普通はDNAに結合するのみのDNA塩基誤対形成認識蛋白質を修飾して、ヒドロキシル基切断機能を結合することによってDNAを切断する。
本発明による結合蛋白質付近のDNA:蛋白質コンプレックスのDNAの少なくとも1本の鎖を修飾する誤対形成認識蛋白質のさらなる改変形態には、DNA誤対形成への結合に必須である非修飾塩基対誤対形成認識酵素の部分または「ドメイン」よりなる蛋白質が含まれる。これらの必須のDNA結合ドメインは、さらに、進化の間に最も高度に保存されたペプチド配列よりなり;かかる保存ドメインは、例えば、イー・コリMutS蛋白質と、エス・チフィムリウムの機能的に類似の蛋白質および構造的に同一の蛋白質との比較において明白である。従って、DNA中の誤対合と特異的コンプレックスを形成することによってプロテアーゼから保護されるDNA塩基誤対形成認識蛋白質のペプチド配列は、かかるペプチドが無傷の蛋白質容積の半分未満しか構成せず、よって産生に有利であり、かつ要すれば、DNA塩基誤対形成の部位に特異的なDNA切断蛋白質に該DNA結合蛋白質を転化するための切断機能を結合する化学修飾に有利であるため、加えて、または別法として、進化的に保存され、本発明のこの態様の特に好ましい具体例の基礎をなす。
FokIエンドヌクレアーゼのDNA切断ドメインは明確にされている(リー(Li)ら、プロシーディングズ・オブ・ナショナル・アカデミー・オブ・サイエンシズ・イン・ユウエスエイ(Proc.Natl.Acad.Sci.USA)第89巻:4275頁、1992年)。
本発明のこの態様のもう1つの具体例は、塩基形成が起こるような条件下にて、第一DNA分子の少なくとも1本の鎖と、第二DNA分子の相補鎖とを接触させ;蛋白質が誤対形成と特異的コンプレックスを形成するような条件下にて、得られたデュプレックス分子と、改変誤対合認識蛋白質とを接触させ、それによってDNA蛋白質コンプレックス付近の得られたDNA蛋白質コンプレックス中のDNAの少なくとも1本の鎖を修飾し、次いで、適当な分析法によってDNAの修飾の位置を決定する工程を含む、DNAデュプレックス内の塩基対誤対合を検出し位置決定する方法よりなる。
この具体例による塩基対誤対合の検出および位置決定法においては、改変誤対形成認識蛋白質を利用し、修飾は、いずれの塩基対誤対形成付近のDNAの2本鎖切断よりなり、ここに、「付近」とは、塩基対誤対形成へ蛋白質が結合することにより保持されるDNAの配列、一般的にはその約20塩基内に実質的に対応する。一本鎖特異的ヌクレアーゼ、S1は、例えば、一本鎖偏倚(bias)が、それと蛋白質が特異的コンプレックスを形成するいずれのDNAの切断が予想される事象において、改変塩基誤対形成認識蛋白質による切断の上昇に用いることができる。別法として、修飾誤対形成認識蛋白質による切断に付したDNAは、変性条件下の電位泳動により分析することができる。修飾の位置は、当業者によく知られた適当な分析方法による。
A-G塩基対誤対形成を検出するために誤対合修復系を利用する方法
好ましい具体例において、DNAデュプレックス中のA-G誤対形成を検出し位置決定する方法には、塩基対形成が起こるような条件下にて、第一DNA分子の少なくとも1本の鎖と第二DNA分子の相補鎖とを接触させ;誤対合が存在し、デュプレックス分子にエンドヌクレアーゼ加水分解切断が導入されるような条件下にて、得られたデュプレックスDNA分子とA-G誤対形成を認識する誤対形成認識蛋白質およびAP-エンドヌクレアーゼまたはリアーゼとを接触させ、次いで、適当な分析法により切断の位置を決定する工程が含まれる。
好ましい具体例において、該A-G誤対形成認識蛋白質は、イー・コリのmutY遺伝子の産物であり;該分析法にはゲル電気泳動が含まれる。
また、本発明は、ヘミメチル化のいずれも明らかな要求なしに、主にA-G誤対形成を認識するDNA誤対形成認識蛋白質からもなる。この蛋白質の一例は、DNAデュプレックス中のA-G誤対形成からアデニンを特異的に除去するグリコシラーゼであるイー・コリのmutY遺伝子の産物である。該MutY蛋白質は、以下の実施例2に記載するごとく、イー・コリのmutS、mutY二重突然変異株の無細胞抽出物にA-GをC・G誤対合修正を回復させるその能力によって、均質近くまで精製されている(ケイ・ジイ・オウ(K.G.Au)ら、プロシーディングズ・オブ・ナショナル・アカデミー・オブ・サイエンシズ・イン・ユウエスエイ(Proc.Natl.Acad.Sci.USA)第85巻、9163頁、1988年)。硫酸ドデシル存在下のその電気泳動移動度は、分子量36kDaと一致し、それは溶液中にモノマーとして明らかに存在する。MutY、APエンドヌクレアーゼ、DNAポリメラーゼIおよびDNAリガーゼは、イン・ビトロ(in vitro)におけるMutY依存性のA-GからC・G修復を復元するのに十分である。かくMutY蛋白質により脱プリン化されたDNA鎖は、当該分野でよく知られている条件下の、数タイプのAPエンドヌクレアーゼまたはリガーゼ(例えば、ヒトAPエンドヌクレアーゼII)のいずれかによる、あるいはピペラジンによる切断に感受性である。次いで、切断産物を変性条件下のゲル電気泳動によって分析する。従って、このMutY蛋白質は、本発明の実施により、A-G誤対形成を特異的に検出し位置決定する方法に有用であり、よってA・TからC・GあるいはG・CからT・Aへの突然変異を同定する方法に有用である。
分析すべきDNA断片の起源
本発明のもう1つの具体例において、DNA分子は以下の起源から得る:同一種の異なる個体、異なる種の個体、異なる生物界の個体、異なる組織型、異なる成長段階の同一組織型、異なる細胞型、異なる成長段階の同一型細胞、および異なる分化段階の同一起源細胞、ならびに異なる体細胞突然変異を起し得る同一型細胞、例えば、パーカンセラス(percancerous)突然変異(群)を有し得る1クラス。
好ましい具体例において、該DNA分子は、少なくとも部分的には特徴付けられているプローブ配列よりなる。
「少なくとも部分的には特徴付けられているプローブ配列」とは、制限マッピングまたは配列分析により特徴付けられているいずれの起源からのDNA分子を意味し、かかる技術は当業者に知られている。
誤対合認識蛋白質よりなるキット
本発明のもう1つの態様は、本発明の方法を実施するための要素を提供するよう設計されたアッセイキットをその要旨とする。
1つの態様において、本発明は、DNAデュプレックス中の塩基対誤対合を検出するアッセイキットをその要旨とする。該キットは、1またはそれを超える以下の成分:アリコットの誤対合認識蛋白質、アリコットの対照オリゴヌクレオチド、およびエキソヌクレアーゼよりなる。
好ましい具体例において、該誤対形成認識蛋白質は、イー・コリのmutS遺伝子の産物である。
「対照オリゴヌクレオチド」とは、誤対合修復蛋白質が塩基対誤対合に結合するのをアッセイするためのオリゴヌクレオチドを意味する。1セットのオリゴヌクレオチドは、完全に相同性(陰性対照)であり、よって誤対形成認識蛋白質により結合されない。もう1セットのオリゴヌクレオチドは塩基対誤対合(陽性対照)を含有し、よって誤対合認識蛋白質により結合される。
「エキソヌクレアーゼ」とは、二本鎖特異的エキソヌクレアーゼ活性を有する酵素、例えば、イー・コリのエキソヌクレアーゼIII、RecBCDエキソヌクレアーゼ、ラムダエキソヌクレアーゼならびにT7遺伝子6エキソヌクレアーゼを意味する。
本発明のもう1つの態様は、DNAデュプレックス中の塩基対誤対合を検出し位置決定するアッセイキットをその要旨とする。該キットは、1またはそれを超える以下の成分:アリコットの全体または部分的な誤対合修復系、アリコットのジデオキシヌクレオシド三リン酸;および一本鎖特異的エンドヌクレアーゼよりなる。
「全体または部分的な誤対合修復系」とは、塩基対誤対合を修復できる完全系、例えば、3種のイー・コリ蛋白質MutH、MutLおよびMutS、DNAヘリカーゼII、一本鎖結合蛋白質、DNAポリメラーゼIII、エキソヌクレアーゼI、エキソヌクレアーゼVIIまたはRecJエキソヌクレアーゼ、DNAリガーゼおよびATP、あるいは、続く修復反応を起こすことなくGATC部位にエンドヌクレアーゼ加水分解切断を起こす、ATPと合わせた3種の蛋白質MutH、MutLおよびMutSのみかのいずれかを意味する。
好ましい具体例において、該誤対合修復系には:イー・コリmutH、mutLおよびmutS遺伝子の産物、またはその種突然変異、ヘリカーゼII、一本鎖DNA結合蛋白質、DNAポリメラーゼIIIホロ酵素、エキソヌクレアーゼI、エキソヌクレアーゼVIIまたはRecJエキソヌクレアーゼ、DNAリガーゼ、およびATPが含まれ、該誤対合修復系にはイー・コリmutH、mutLおよびmutS遺伝子の産物またはその種変形およびATPのみが含まれている。
本発明のもう1つの具体例は、アリコットの改変誤対形成認識蛋白質よりなる、DNAデュプレックス中の塩基対誤対合を検出し位置決定するアッセイキットをその要旨とする。
好ましい具体例において、該誤対合認識蛋白質はイー・コリのmutS遺伝子の産物である。
本発明のこの態様のさらなる具体例は、DNAデュプレックス内のA-G誤対形成を検出し位置決定するアッセイキットをその要旨とする。該キットは、1またはそれを超える以下の成分:アリコットのA-G誤対形成認識蛋白質;およびアリコットのAP-エンドヌクレアーゼまたはリアーゼよりなる。
好ましい具体例において、A-G誤対形成認識蛋白質は、イー・コリのmutY遺伝子の産物である。
誤対合修復系およびリコンビナーゼ蛋白質を利用する方法
さらなる態様において、本発明は、第一起源および第二起源から得た一本鎖DNA分子の塩基対形成により形成されたヘテロハイブリッドデュプレックスDNA分子集団から、1またはそれを超える誤対合を含有するDNA分子を排除する方法をその要旨とする。該方法には、制限エンドヌクレアーゼで第一起源および第二起源からゲノムDNAを消化し、1の起源のDNAをメチル化し、リコンビナーゼ蛋白質、該リコンビナーゼ蛋白質を調節する誤対合修復系の蛋白質、一本鎖結合蛋白質、ならびにATP存在下、第一起源および第二起源からのDNA分子の相同性領域にDNAデュプレックスが形成され、かつ一本鎖のまま残っている領域に生じる塩基対誤対合が存在する条件下にて、第一起源および第二起源からのDNA分子を混合し、次いで、一本鎖領域を含有する分子を集団から除去することが含まれる。
「ヘテロハイブリッド」とは、デュプレックスのうちの1本の鎖は1の起源(第一起源)からのものであって、もう1つの鎖は他の起源(第二起源)からのものであるようような、2種の異なる起源から発生した塩基対形成鎖よりなるデュプレックスDNA分子を意味する。
DNA分子の「起源」とは、本法で用いるゲノムDNAの起源を示す。第一および第二の起源は異なる、すなわち、同一個体の同一細胞からのものでない。
「制限エンドヌクレアーゼ」とは、二本鎖DNA中の特異的配列を認識し、両方の鎖のホスホジエステル骨格に開壊を導入する酵素を意味する。本発明の使用には、ゲノムDNAまたはcDNAを約4〜20キロベースの断片に消化する制限エンドヌクレアーゼが好ましい。
「メチル化」とは、それにより配列「GATC」のアデニン残基にメチル基が結合されるプロセスを意味する。この反応は、イー・コリのDAM系のごとき、当該分野でよく知られている酵素によって行う。
「変性させる」とは、それによってデュプレックスDNA分子の鎖がもはや水素結合による塩基対を形成せず、一本鎖分子に分離するプロセスを意味する。変性の方法は、当業者によく知られており、熱変性およびアルカリ変性が含まれる。
「リコンビナーゼ蛋白質」とは、DNAデュプレックス分子の形成を触媒する蛋白質を意味する。かかる分子は、一本鎖分子および二本鎖分子の間の鎖移動反応を復元または触媒することによって、相補的一本鎖分子からのデュプレックスDNA分子の形成を触媒することができる。かかる蛋白質の例は、イー・コリおよびエス・チフィムリウムののRecA蛋白質である。
「リコンビナーゼ蛋白質を調節する誤対合修復系の蛋白質」とは、デュプレックスDNA分子中の塩基対形成エラーを認識し修正し、また、リコンビナーゼ蛋白質の活性にも影響する系の成分を意味する。例えば、誤対形成認識蛋白質、例えば、MutS、ならびに誤対合修復蛋白質、例えば、MutLと相互作用する蛋白質は、塩基対誤対合存在下にてリコンビナーゼ蛋白質により触媒されるデュプレックス形成を共に阻害する。リコンビナーゼ蛋白質のかかる調節は、該塩基対誤対合の下流に一本鎖領域を生じる。
好ましい具体例において、該リコンビナーゼ蛋白質はイー・コリRecA蛋白質であり、該誤対合修復系はイー・コリからのものであり、該成分はMutSおよびMutL蛋白質であり、該DNAの起源は異なる体細胞突然変異を生じ得る同一種の異なる個体、異なる種の個体、異なる生物界の個体、異なる組織型、異なる成長段階の同一組織型、異なる細胞型、異なる発生段階の同一型の細胞、異なる分化段階の同一起源の細胞、および同一起源の細胞であり、一本鎖領域を含有する分子を除去する方法は、ベンゾイル化ナフトイル化DEAE上のクロマトグラフィーにより、一本鎖領域を含有する分子を除去する方法は、一本鎖特異的ヌクレアーゼで処理することによる。
MutS、MutL蛋白質は、一本鎖結合蛋白質およびATPと共に、ヘテロデュプレックス形成の触媒におけるイー・コリRecA蛋白質の調節に関与している。
ベンゾイル化ナフトイル化DEAEを有するクロマトグラフィーを使用することによる二本鎖分子から一本鎖を含有する分子を除去する方法は、当業者によく知られている。
「一本鎖特異的ヌクレアーゼ」とは、DNA分子の一本鎖領域は特異的に分解するが、二本鎖領域は分解しない酵素を意味する。かかるヌクレアーゼの例は:S1、マングビーン、T7遺伝子3エンドヌクレアーゼおよびP1ヌクレアーゼである。
もう1つの態様において、本発明は、第一起源から得られたデュプレックスDNA分子および第二起源からの変性DNA分子の間の鎖移動反応により形成されたヘテロハイブリッドデュプレックスDNA分子の集団から、1またはそれを超える誤対合を含有するDNA分子を排除する方法をその要旨とする。該方法には、第一起源および第二起源からのゲノムDNAを制限エンドヌクレアーゼで消化し、該起源のうちの1つのDNAをメチル化し、第二起源からのDNAを変性し、鎖移動反応を触媒する蛋白質、鎖移動活性で該蛋白質を調節する誤対合修復系の蛋白質、一本鎖結合蛋白質およびATPの存在下、かつ鎖移動反応により第一起源および第二起源からのDNA分子の相同性領域にDNAヘテロデュプレックスが形成され、一本鎖誤対合の存在が一本鎖のままの領域に生じる条件下にて、第一起源および第二起源からのDNA分子を混合し、次いで、該集団から一本鎖領域を含む分子を除去することが含まれる。
「鎖移動反応」とは、その中で、デュプレックスのうちの1本の鎖が一本鎖分子によって置換される、1の起源からのデュプレックスDNAと他の起源からの一本鎖DNAとの間の3本鎖反応を意味する。
「鎖移動反応を触媒する蛋白質」とは、RecA、RecAの相同物、およびRuvA、RuvB、RecGのごとき分岐移動を上昇させる活性を有する蛋白質のごとき蛋白質を意味する。
好ましい具体例において、該鎖トランスフェラーゼ蛋白質はイー・コリRecA蛋白質であり、誤対合修復系はイー・コリからのものであり、成分はMutSおよびMutL蛋白質であり、起源は同一種の異なる個体、異なる種の個体、異なる生物界の個体、異なる細胞型、異なる成長状態の同一組織型、異なる生物型、異なる発生状態の同一起源の細胞、異なる体細胞変異を起こし得る同一起源の細胞(例えば、前-腫瘍細胞に対立する正常細胞)、少なくとも部分的には特徴付けられているプローブ配列であり、一本鎖を含有する分子を除去する方法は、ベンゾイル化ナフトイル化DEAE上のクロマトグラフィーにより、一本鎖領域を含む分子を除去する方法は、一本鎖特異的ヌクレアーゼによる。
ゲノム誤対合走査技術を改善する方法
もう1つの態様において、本発明は、ゲノム誤対合走査技術のハイブリダイゼーション工程において、リコンビナーゼまたは鎖トランスフェラーゼを調節する誤対合修復系の蛋白質とリコンビナーゼまたは鎖トランスフェラーゼを利用することをその要旨とする。誤対合修復系の成分によって調節されるリコンビナーゼまたは鎖トランスフェラーゼ蛋白質により触媒されるデュプレックス分子の形成は、GMS法にさらなる選抜工程を提供する。
「ゲノム誤対合走査」とは、2種の関連する個体の間の遺伝子同一性の領域を同定する技術を意味する。かかる技術は、ネルソン(Nelson)ら、ネイチャー(Nature)第4巻、11頁、1993年によって記載されている。
さらなる具体例において、本発明は、エキソヌクレアーゼIIIを使用することなしに、塩基対誤対合を含むヘテロハイブリッドDNA分子が除去されるようなゲノム走査の方法をその要旨とする。該方法は、dNTP不存在下または1またはそれを超えるジデオキシヌクレオシド三リン酸の存在下、一本鎖ギャップが塩基対誤対合を含むDNA断片に生じるような条件下にて、塩基対誤対合を潜在的に含有するヘテロハイブリッドDNA分子の集団とDNA誤対合修復系の全ての成分とを接触させ、次いで、一本鎖ギャップを含む分子を除去する工程よりなる。
好ましい具体例において、該DNA誤対合修復系はイー・コリのメチル-指向性誤対合修復系であり;一本鎖領域を含む分子の除去は、ベンゾイル化ナフトイル化DEAE上のクロマトグラフィーにより;一本鎖領域を含む分子の除去は一本鎖特異的ヌクレアーゼによる。
さらなる具体例において、本発明は、エイソヌクレアーゼIIIを使用することなしに、塩基対誤対合を含むヘテロハイブリッドDNA分子が除去されるようなゲノム誤対合走査の方法のもう1つの変形をその要旨とする。該方法は、塩基対誤対合を含むDNA断片にビオチニル化ヌクレオチドが導入されるような条件下にて、塩基対誤対合を潜在的に含むヘテロハイブリッドDNA分子の集団とDNA誤対合修復系の全ての成分およびビオチニル化ヌクレオシド三リン酸とを接触させ、次いで、アビジンに結合させることによりビオチニル化分子を含む分子を除去する工程よりなる。
ビオチニル化ヌクレオチドでの置換およびこれらのヌクレオチドを取り込んだ分子の結合は、当業者によく知られた方法である。この方法により、ハイブリッドDNA分子の集団を2種に分画:
(i)アビジンに粘着することができなかった誤対合遊離画分;および
(ii)元来誤対合を含み、アビジンに結合する集団に分画することができる。
前者は、GMS法に利用することができる。後者のアビジン-結合クラスは他の目的に用いることができる。例えば、2種のハプロイド生物からのDNAをアニーリングさせることによって作製したヘテロハイブリッドDNAを用いて調製する場合、ビオチニル化配列は2種の生物の間で遺伝的に変動するDNA領域に相当する。従って、かかる配列は、問題の生物の遺伝的変動、例えば、病原性-対-非病原性微生物亜種の分子基礎の決定に適用することができる。
好ましい具体例において、該誤対合修復系はイー・コリのメチル-指向性誤対合修復系である。
さらなる具体例において、本発明は、デュプレックスDNA分子がモノマー環に連結された後にのみ、エキソヌクレアーゼIII消化に付されるようなゲノム誤対合走査法をその要旨とする。
「モノマー環への連結」とは、同一分子の末端が連結されるような希薄濃度条件下における分子の連結を意味する。かかる方法は当業者によく知られている。これらの方法においては、誤対合を有しないものから、誤対合を有する分子を分離するのが時として有利である。適当な分離方法の使用によって、かかる集団の分子の両方を選抜することができる。
増幅分子集団に誤対合修復系を適用する方法
もう1つの態様において、本発明は、1またはそれを超える誤対合を潜在的に含有し、酵素増幅により産生したDNAデュプレックスの集団中の塩基対誤対合を修正する方法をその要旨とする。該方法には、塩基対誤対合が修正されるように、DNAデュプレックスの集団とDNAメチラーゼおよび誤対合修復系とを接触させることが含まれる。
「酵素的増幅」とは、それによりDNA分子が増幅される反応を意味する。かかる反応の例には、ポリメラーゼ連鎖反応、ならびに、逆転写酵素を用いて1またはそれを超える発現RNA配列をDNA増幅する反応が含まれる。
「誤対合修復系」とは、塩基対誤対合が検出され修正されるような完全系を意味する。
好ましい具体例において、該誤対合修復系は、イー・コリのメチル-指向性誤対合修復系である。誤対合を修正できる規定系の成分には、MutH、MutLおよびMutS蛋白質、DNAヘリカーゼII、一本鎖結合蛋白質、DNAポリメラーゼIIIホロ酵素、エキソヌクレアーゼI、エキソヌクレアーゼVIIまたはRecJ、DNAリガーゼ、ATPならびに4種のデオキシヌクレオシド三リン酸が含まれる。
さらなる態様において、本発明は、1またはそれを超える塩基対誤対合を潜在的に含み酵素的な増幅によって産生した分子集団中の1またはそれを超える塩基対を含むDNA分子を除去する方法をもその要旨とする。該方法には、DNAデュプレックス中に含まれる塩基対誤対合と修復系の1またはそれを超える成分が特異的コンプレックスを形成するような条件下にて、酵素的に増幅した分子集団と誤対合修復系の成分とを接触させ、次いで、デュプレックス分子の集団から該コンプレックスを含むDNAデュプレックスを除去することが含まれる。
「コンプレックス」とは、誤対合修復系の少なくとも1種の成分が塩基対誤対合に特異的に結合した結果生じるものを意味する。
好ましい具体例において、該誤対合修復系は、イー・コリのメチル指向性誤対合修復系であり、該系の成分はMutS蛋白質であり、該MutS蛋白質は固形支持体に固定されていて、該コンプレックスを含むDNAデュプレックスの除去はこの支持体への結合による。
固形支持体系への蛋白質の付着方法、および特異的分子が除去されるようクロマトグラフィーを行うためのこの系の使用は、当業者によく知られている。
もう1つの具体例において、本発明は、潜在的に1またはそれを超える塩基対誤対合を含む、酵素的増幅によって産生されたDNAデュプレックス集団中の1またはそれを超える塩基対誤対合を含有するDNA分子を除去する方法をその要旨とする。該方法は、酵素的増幅の次段階で分子が完全なサイズの産生物を産生できないように、塩基対誤対合を含むDNAデュプレックス分子の新たに合成された鎖上にエンドヌクレアーゼ加水分解切断が形成されるような条件下にて、DNAデュプレックス集団と誤対合修復系の成分とを接触させる工程よりなる。
「エンドヌクレアーゼ加水分解切断」とは、誤対合修復系の成分による、GATC配列のヘミメチレート上の非メチル化鎖切断を意味する。
「完全なサイズの産物」とは、増幅に付する目的の全体の領域を含む分子を意味する。エンドヌクレアーゼ加水分解切断を含む分子は、完全なサイズの産物を産生する次段階で増幅できず、よって最終増幅産物集団から排除されるであろう。
好ましい具体例において、該誤対合修復系はイー・コリのメチル-指向性誤対合修復系であって、該成分はMutS、MutLおよびMutH蛋白質、ならびにATPである。
塩基対誤対合を含む分子集団から除去する方法
さらなる具体例において、本発明は、異なる起源から産生されたヘテロデュプレックスDNA分子集団中の塩基対誤対合を含むDNAデュプレックス分子を除去する方法をもその要旨とする。該方法は、成分はたは成分群が、塩基対誤対合を有するDNAとはコンプレックスを形成するが、塩基対誤対合を欠くDNAデュプレックスとは形成しないような条件下にて、塩基対誤対合を潜在的に含むDNAデュプレックス分子集団と誤対合修復系のある種または全ての成分とを接触させ、次いで、該コンプレックスまたは該コンプレックスの産物を含むDNA分子を除去することよりなる。
「コンプレックスの産物」とは、取り込まれたビオチニル化ヌクレオチドを有するDNAデュプレックスを意味する。
「誤対合修復系のある種または全ての成分」とは、完全な反応が行われるような完全な誤対合修復系、または誤対合に特異的に結合する該系の蛋白質のみのいずれかを意味する。
好ましい具体例において、該誤対合修復系はイー・コリのメチル-指向性誤対合修復系であり;該誤対合修復系のある種または全ての蛋白質は固形指示体に固定されていて吸着により除去され;該コンプレックスは他の細胞蛋白質と相互作用し、該コンプレックスの除去は該相互作用を通して起こり;かつ、該条件には、塩基対誤対合を含むデュプレックス分子にヌクレオチドが取り込まれ、かかるデュプレックスがアビジンへの結合によって除去されるようなビオチニル化ヌクレオチドの使用が含まれる。
「ある種または全ての蛋白質」とは、例えば、イー・コリ蛋白質MutS、MutLおよびMutHを意味する。
「固形指示体へ結合する」とは、それによって、蛋白質が固形指示体系に付着し、機能性のまま残っている、例えば、グルタチオン・トランスフェラーゼとの融合によるごときを意味する。
「吸着」とは、蛋白質を固定化した支持体に結合しない他の分子から分離されるように、固形指示体へ固定化された該誤対合修復系のある種または全ての蛋白質への特異的結合を意味する。
「他の細胞蛋白質との相互作用」とは、誤対合修復系蛋白質間またはこれらの蛋白質と他の蛋白質との間の相互作用を意味する。例えば、誤対合を含むデュプレックスDNAへ結合したMutSと、MutLまたはRecAとの相互作用である。
誤対合修復系を含むキット
好ましい具体例において、デュプレックスDNA分子中の塩基対誤対合を修正するキットは、以下の精製成分よりなる1またはそれを超える以下の成分:アリコットのイー・コリMutH、MutL、およびMutS蛋白質またはその種突然変異、アリコットのDNAヘリカーゼII、アリコットの一本鎖-DNA結合蛋白質、アリコットのDNAポリメラーゼIIIホロ酵素、アリコットのエキソヌクレアーゼI、アリコットのExoIIまたはRecJ、アリコットのDNAリガーゼ、アリコットのATP、およびアリコットの4種のヌクレオシド三リン酸よりなる。
この態様のさらなる好ましい具体例において、本発明には1またはそれを超える以下の成分:アリコットの誤対合修復系の蛋白質およびアリコットのリコンビナーゼ蛋白質よりなる、第一および第二起源から得た一本鎖DNA分子の塩基対形成により形成されたヘテロハイブリッドデュプレックス分子の集団から1またはそれを超える塩基対形成誤対合を含むDNA分子を除去するアッセイキットが含まれる。
「誤対合修復系の蛋白質」とは、リコンビナーゼ蛋白質の活性を調節する蛋白質を意味する。
好ましい具体例において、該誤対合修正系の蛋白質はイー・コリのMutSおよびMutL蛋白質である。
本発明のもう1つの態様は、カラム支持体に固定化された誤対合修復系の1またはそれを超える蛋白質のアリコットよりなる、1またはそれを超える塩基対誤対合を含むDNA分子を除去するアッセイキットをその要旨とする。
好ましい具体例において、該誤対合修復系の蛋白質は、イー・コリのMutS蛋白質である。
本発明のもう1つの態様は、ヘテロデュプレックスDNA集団を2つのプールに分画するキットをその要旨とし、その内の1つ目は該方法の最初の無誤対合であり、その2つ目は方法の最初の誤対合塩基を含むデュプレックスを示す。このキットは、1またはそれを超える以下の成分:アリコットの完全誤対合修復系のすべての成分;アリコットのビオチニル化ヌクレオチド;およびアリコットのアビジンまたはアビジン-ベースの指示体よりなる。
好ましい具体例において、該誤対合修復系はイー・コリからのものであり、mutH、mutLおよびmutS遺伝子の産物、DNAヘリカーゼII、一本鎖DNA結合蛋白質、DNAポリメラーゼIIIホロ酵素、エキソヌクレアーゼI、エキソヌクレアーゼVIIまたはRecJエキソヌクレアーゼ、DNAリガーゼおよびATPよりなる。
以下の実施例は、本発明の種々の態様および具体例をさらに説明するために供されるものであって、いかなる場合においても本発明の範囲を限定するものではない。
実施例1.規定系のDNA誤対合修正
メチル指向性誤対合修正の生化学を位置付けるために、図1に説明する型の基質を用いて、反応物をアッセイした。イー・コリの無細胞抽出物(エイ・エル・ルー(A.L.Lu)、エス・クラーク(S.Clark)、ピー・モドリッチ(P.Modrich))へのこの方法の適用は、メチル指向性修復に4種の突然変異誘発遺伝子mutH、mutL、mutS、およびuvrD(mutUとも呼称される)の産物が必要であるというイン・ビボ知見を確認し、また、イー・コリ一本鎖DNA結合蛋白質(SSB)の要求性をも証明した。mutH、mutLおよびmutS遺伝子産物上のイン・ビトロ修正の依存性により、生物学的に活性な形態の均質に近いこれらの蛋白質が単離できる。MutS蛋白質は誤対合DNA塩基対に結合し;MutL蛋白質はMutS-ヘテロデュプレックスに結合し(エム・グリレー(M.Grilley)、ケイ・エム・ウェルシュ(K.M.Weish)、エス・-エス・スー(S.-S.Su)、ピー・モドリッチ(P.Modrich)、ジャーナル・オブ・バイオロジカル・ケミストリー(J.Biol.Chem.)第264巻、1000頁、1989年);該25-kD MutH蛋白質は、ATP存在下のMutSおよびMutLとヘテロデュプレックスとの相互作用に依存するこの活性の活性化で、ヘミメチル化d(GATC)部位の非メチル化鎖を切断する潜在的なエンドヌクレアーゼを有する(ケイ・エム・ウェルシュ(K.M.Welsh)、エイ・-エル・ルー(A.-L.Lu)、エス・クラーク(S.Clark)、ピー・モドリッチ(P.Modrich)ジャーナル・オブ・バイオロジカル・ケミストリー(J.Biol.Chem.)第262巻、15624頁、1987年)。しかしながら、SSBと-緒のこれら3種のMut蛋白質およびuvrD(mutU)遺伝子のDNAヘリカーゼII産物(アイ・ディー・ヒックソン(I.D.Hickson)、エイチ・エム・アーサー(H.M.Arthur)、ディー・ブラムヒル(D.Bramhill)、ピー・ティー・エマーソン(P.T.Emmerson)、モレキュラー・アンド・ジェネラル・ジェネチクス(Mol.Gen.Genet.)第190巻、265頁、1983年)では、メチル-指向性修復を媒介するのに十分でない。以下に、規定系の反応の残りの必要な成分および復元の同定を記載する。
蛋白質および補助因子が誤対合修復には必要である。メチル-指向性誤対合修正は切断修復反応によって起こり、その中で数キロベース程大きな非メチル化DNA鎖が切断され、再合成される(エイ・エル・リン(A.-L.Lin)、ケイ・ウェルシュ(K.Welsh)、エス・クラーク(S.Clark)、エス・-エス・スー(S.-S.Su)、ピー・モドリッチ(P.Modrich)、コールド・スプリング・ハーバー・シンポジウム・クオンティ・バイオル(Cold Spring Harbor Symp.Quant.Biol.)第49巻、589頁、1984年)。数多くのDNA修復経路で機能する酵素であるDNAポリメラーゼIは、polA欠損株からの抽出物は正常レベルの活性を示さないため、メチル-指向性修正への主経路に寄与していない。しかしながら、dazts株由来の抽出物は、イン・ビトロ(in vitro)のメチル-指向性修復について温度感受性である(表1)。
Figure 0004019171
株AX727(lac thi strR dnaZ20-16)およびAX729(purE dnaZ+以外はAX727と同様)からの抽出物は、記載のごとく調製した(エイ・-エル・リン(A.-L.Lin)、エス・クラーク(S.Clark)、ピー・モドリッチ(P.Modrich)、プロシーディングズ・オブ・ナショナル・アカデミー・オブ・サイエンシズ・イン・ユウエスエイ(Proc.Natl.Acad.Sci.USA)第80巻、4639頁、1983年)。試料(蛋白質110μg)を1M KCl0.8μlおよび水と混合して容量7.2μlとし、42°または34°にて2.5分間、前インキュベートした。次いで、全ての加熱試料を34℃に置き、ヘミメチル化G-TヘテロデュプレックスDNA0.1μg(24fmol)、MutL蛋白質16ng、MutS蛋白質50ng、ならびに緩衝液および誤対合修正アッセイのヌクレオチド成分を補足した(エイ・-エル・ルー(A.-L.Lu)、エス・クラーク(S.Clark)、ピー・モドリッチ(P.Modrich)、プロシーディングズ・オブ・ナショナル・アカデミー・オブ・サイエンシズ・イン・ユウエスエイ(Proc.Natl.Acad.Sci.USA)第80巻、4639頁、1983年)。次いで、DNAホロ酵素(0.6μl中の57ng)または酵素緩衝液を添加し、34℃にてのインキュベートを60分間続けた。加熱抽出物に精製MutLおよBIMutS蛋白質を補足する。これらの成分は42℃にてラービルであるためである。活性測定はヘテロデュプレックス部位の修正を反映している。
dnaZ遺伝子はDNAポリメラーゼIIIホロ酵素のτおよびγサブユニット(エム・コダイラ(M.Kodaira)、エス・ビイ・ビスバス(S.B.Biswas)、エイ・コーンバーグ(A.Kornerg)、モレキュラー・アンド・ヘネラル・ジェネティクス(Mol.Gen.Genet.)第192巻、80頁、1983年;ディー・エイ・ムリン(D.A.Mullin)、シイ・エル・ボールディン(C.L.Woldringh)、ジェイ・エム・ヘンソン(J.M.Henson)、ジェイ・アール・ウォーカー(J.R.Walker)、モレキュラー・アンド・ジェネラル・ジェネティクス(Mol.Gen.Gent.)第192巻、73頁、1983年)をコードしており、精製ポリメラーゼIIIホロ酵素の添加によって、温度感受性突然変異株の熱抽出物に誤対合修正活性が大幅に回復される。DNA結合事象当たり数千ヌクレオチドを取り込むDNAポリメラーゼIIIホロ酵素は高度に処理可能なために、この活性が複雑なことは、メチル-指向性反応に関連する大きな修復鎖と一貫している。
さらなるデータは、精製MutH、MutLおよびMutS蛋白質、DNAヘリカーゼII、SSB、およびDNAポリメラーゼIIIホロ酵素がメチル-指向性誤対合修正を支持していることを示しているが、この反応は、修復された鎖に連続して共有結合を回復するのに必要な以下に示す酵素であるDNAリガーゼによって阻害される。この知見により、リガーゼ阻害に必須の55-kD刺激性蛋白質の単離につながる。この蛋白質の分子量およびN-末端配列は、エキソヌクレアーゼIに同一であること(ジイ・ジェイ・フィリップス(G.J.Phillips)およびエス・アール・クスナー(S.R.Kushner)ジャーナル・オブ・バイオロジカル・ケミストリー(J.Biol.Chem.)第262巻、455頁、1987年)、および55-kD刺激活性についてエキソヌクレアーゼIを容易に置換するエキソヌクレアーゼIに相同であることを示した(表2)。かくして、前記のエキソヌクレアーゼIおよび6種の活性がリガーゼの存在下にて効率的なメチル-指向性誤対合修正を媒介して、両方のDNA鎖がその中で共有的に連続している産物分子が得られる。
Figure 0004019171
反応物(10μl)には、0.05M HEPES(カリウム塩、pH8.0)、0.02M KCl、6mM MgCl2、牛血清アルブミン(0.05mg/ml)、1mMジチオスレイトール、2mM ATP、100μl(各々)dATP、dCTP、dGTPおよびdTTP、25μM β-NAD+、ヘミメチル化物0.1μg、共有的に結合したG-TヘテロデュプレックスDNA(図1、c鎖上のメチル化、24fmol)、MutH0.26ng(ケイ・エム・ウェルシュ(K.M.Welsh)、エイ・-エル・リン(A.-L.Lin)、エス/クラーク(S.Clark)、ピー・モドリッチ(P.Modrich)、ジャーナル・オブ・バイオロジカル・ケミストリー(J.Biol.Chem.)第262巻、15624頁、1987年)、MutL 17ng(エム・グリレー(M.Grilley)、ケイ・アール・ウェルシュ(K.R.Welsh)、エス・-エス・スー(S.-S.Su)、ピイ・モドリッチ(P.Modrich)、ジャーナル・オブ・バイオロジカル・ケミストリー(J.Biol.Chem.)第264巻、1000頁、1989年)、MutS 35ng(エス・-エス・シン(S.-S.Sin)およびピイ・モドリッチ(P.Modrich)、プロシーディングズ・オブ・ナショナル・アカデミー・オブ・サイエンシズ・イン・ユウエスエイ(Proc.Natl.Acad.Sci.USA)第83巻、5057巻、1986年)、SSB 200ng(ティー・アール・ローマン(T.R.Lohman)、ジェイ・アール・グリーン(J.R.Green)、アール・エス・バイアー(R.S.Beyer)バイオケミストリー(Biochemistry)第25巻、21頁、1986年;ユウ・エス・バイオケミカル・コーポレイション(U.S.Biochemical Corp.))、DNAヘリカーゼII 10ng(ケイ・キムラ(K.Kimura)およびエム・セキグチ(M.Sekiguchi)、ジャーナル・オブ・バイオロジカル・ケミストリー(J.Biol.Chem.)第259巻、1560頁、1984年)、イー・コリDNAヘリカーゼ20mg(ユウ・エス・バイオケミカル・コーポレイション(U.S.Biochemical Corp.))、DNAポリメラーゼIIIホロ酵素95ng(シイ・マッケンリー(C.McHenry)およびエイ・コーンバーグ(A.Kornberg)ジャーナル・オブ・バイオロジカル・ケミストリー(J.Biol.Chem.)第252巻、6478頁、1977年)、および55-kD蛋白質またはエキソヌクレアーゼI 1ng(ユウ・エス・バイオケミカル・コーポレイション(U.S.Biochemical Corp.))が前記のように含まれる。反応物を37℃にて20分間インキュベートし、55℃にて10分間クエンチし、氷上で冷凍し、次いで、XhoIまたはHindIIIエキソヌクレアーゼで消化して、修正をモニターする。G-T誤対合の修正は、G-Cを含有するXhoI-感受性産物のみが得られる。
共有的に閉鎖したヘテロデュプレックス(図1)の修復の要件を表3に要約する(●)。MutH、MutLまたはMutS蛋白質不存在下では全く検出可能な修復は認められず、SSBまたはエキソヌクレアーゼIを省くと活性が85〜90%低下した。
Figure 0004019171
反応物は、共有的に閉鎖したG-Tヘテロデュプレックス(c鎖上の修飾)を用いる反応は、エキソヌクレアーゼI 1.8ngを用いた以外は、表2の脚注に記載されているように行った。開鎖環状DNAの修復は、全ての反応からRutH、DNAリガーゼおよびβ-NAD+を省く以外は同様の様式で行い、ヘミメチル化G-Tヘテロデュプレックス(c鎖上の修飾)は図4の脚注に前記したごとくMutH蛋白質で切断した。存在する場合には、ヘリカーゼIIに対するウサギ抗血清または免疫血清(蛋白質5μg)を、MgCl2を欠く反応混合物と共に0℃にて20分間インキュベートし;次いで、その補助因子を点火し、前記のごとくアッセイを行った。示していないが、抗血清阻害は、続く2以上のヘリカーゼIIの添加によって逆転された。DNAヘリカーゼII(テキスト)1を約15重力%含むDNAポリメラーゼIII調製物を除いては、個々の蛋白質画分の純度は
Figure 0004019171
であった。
NT--試験せず
これらの知見は、メチル-指向性反応の要件に関する以前の結論と一致する。しかしながら、uvrD産物に関する要件を示すイン・ビボ(in vivo)および粗製抽出物における知見に反して、復元した反応は、添加したDNAヘリカーゼIIの不存在下にては容易に進行した(表2)。それにもかかわらず、相同性ヘリカーゼIIに対する抗血清によって該反応が阻害されることは、この活性の要件、および他の蛋白質の1つの汚染物としてそれが存在し得ることを示している。uvrD(mutU)突然変異由来の抽出物に誤対合修復を回復させるそれらの能力、ならびにイムノブロットアッセイによるヘリカーゼIIの物理的存在についてのこれら調製物の分析により、規定系において認められる誤対合修正レベルを計数するのに十分なヘリカーゼIIをDNAポリメラーゼIIIホロ酵素調製物を含んでいることが判明した(全蛋白質の13〜15重量%)。同様な結果が、2つの他の研究室から得たホロ酵素調製物で得られた。それ故、精製系には、以前にメチル-指向性修復が示唆されている全ての蛋白質を要される。
閉鎖ヘテロ二重鎖の修正の比は、DNAリガーゼの省略により影響を受けなかった(表3)が、その活性が存在することにより共有的に閉鎖された産物産生を生じる。DNAリガーゼ存在下の修正に必要なヘミメチル化され、超らせん構造化したG-Tヘテロ二重鎖と全ての7種の蛋白質とのインキュベートは、共有的に閉鎖し、弛緩した環状分子の広範な形成を生じる。弛緩DNAの産生はMutS(図2)およびMutL蛋白質に依存し、この種の生成は、ヘテロデュプレックス修復と関連している(図2)。修正はリガーゼ不存在下でも起こるが、しかしこの場合の修復産物は開鎖分子であり、その形成はMutSの存在に依存する(図2)。MutSは全くエンドヌクレアーゼ活性を有していないことが示されているが、しかし誤対合を認識するため、該開鎖環状分子は、誤対合-誘発切断修復プロセスの中間産物であると推論できる。この種に存在する鎖破壊(群)のリガーゼ閉鎖は、完全系で認められた共有的に閉鎖し、弛緩した環状産物が得られるであろう。
メチル-指向性修復に重要であるとここに同定された精製活性のセットは、効率的な修正を指示している。表3に要約した実験において、公知の特異的活性測定値から算出した修正のための、標準粗製抽出物アッセイに存在すると概算される濃度にて、個々の蛋白質を用いた。かかる条件下では、精製系中の誤対合修復の速度および程度は、無細胞抽出物で認められるものに、実質的に同一である。
精製系による修復に関与すうDNA部位
図1に示すG-Tヘテロデュプレックス内の単一のd(GATAC)配列は、誤対形成から1024塩基対に位置する。これら2箇所の部位が離れているにも拘わらず、精製系による修復の訂正は、d(GATC)配列の修飾の状態、ならびにヘテロデュプレックス内のその存在に応答する(図3)。d(GATC)メチル化を両方のDNA鎖上に載せている基体は、誤対合修復を支持せず、d(GATC)配列がdに置換された(Gatt)により置換される。しかしながら、2のヘテロメチル化ヘテロデュプレックスの各々を、非修飾DNAに制限される各場合において修正しつつ、鎖-特異的修正に付す。両方の鎖ともメチル化されていないヘテロデュプレックスで、幾つかの分子が1の鎖上で修正され、かつ幾つかは他の上で修正される。見られるように、相補的DNA鎖上にメチル化を載せているヘミメチル化ヘテロデュプレックスは、いずれかの鎖が非メチル化である基体と明白にされたウイルス鎖の修復と同様の優先で、修飾がウイルス鎖上にある別の立体構造よりも良好な基体であった。d(GATC)部位修飾の存在および状態に対する精製系のセットの応答性は、以前にイン・ビボ(in vivo)および粗製抽出実験で証明された効果(アール・エス・ラヒュー(R.S.Lahue)、エス・-エス・スー(S.S.Su)、ピイ・モドリッチ(P.Modrich)、プロシーディングズ・オブ・ナショナル・アカデミー・オブ・サイエンシズ・イン・ユウエスエイ(Proc.Natl.Acad.Sci.USA)第84巻、1482頁、1987年)を再現している。
Figure 0004019171
Figure 0004019171
メチル-指向性経路による修復の効率は、誤対形成の性質のみならず、該誤対合が埋め込まれている配列環境にも依存する(ピイ・モドリッチ(P.Modrich)、アニュアル・レビュー・オブ・バイオケミストリー(Ann.Rev.Biochem.)第56巻、435頁、1987年)。配列効果が最小限である条件下にて精製系の誤対合特異性を評価するため、各誤対合の位置および近隣の配列環境が実質的に同一である1セットのヘテロデュプレックスを用いた(エス・-エス・スー(S.-S.Su)アール・エス・ラヒュー(R.S.Lahue)、ケイ・ジイ・オウ(K.G.Au)、ピイ・モドリッチ(P.Modrich)ジャーナル・オブ・バイオロジカル・ケミスオリー(J.Biol.Chem.)第263巻、6829頁、1988年)。この分析は、C-Cは重要な修正に付されなかった唯一の誤対形成であったが、8種の可能な塩基-塩基誤対合の内のメチル-指向性様式の7種で精製系が認識し、修復できることを示した。表3も、7種の修正誤対合が等しい効率で修復されず、各ヘテロデュプレックスの場合には、相補的DNA鎖上で修飾されたヘミメチル化立体構造が、メチル基がウイルス鎖上にある他の立体構造よりも良好な基体であることを示した。これらの知見は、イー・コリ抽出物中のこのセットのヘテロデュプレックスで認められた修復のパターンとよく一致する(抽出物および精製系で認められた基体活性のパターンは質的に同一であるが、認められた変形の程度は2つの系で異なる)。相補的DNA鎖上で修飾されたヘミメチル化ヘテロデュプレックスは、双方の系において良好な基体であるが、しかし、抽出物においては、かかる分子はウイルス鎖上でメチル化された分子の比率の約2倍で修復される。精製系においては、これらの相対比率は、2〜4の因子によって異なる。同様な効果は、得られたヘミメチル化ファミリー内の誤対合優先性に関しても存在し得る。双方の系ともC-Cを修復しないが、他の誤対合の修復の比率は、抽出物においては1.5〜2の因子によって変動するが、規定系においては2〜3の因子によって変動する。
鎖-特異的修復は、DNA鎖破壊により起こされる。イー・コリ抽出物におけるメチル-施行性修復上の初期の実験は、鎖-特異性反応がd(GATC)配列の非メチル化DNA鎖のエンドヌクレアーゼ加水分解切断から生じるという提唱につながった。このアイデアは、精製したMutH蛋白質が、MutL、MutSおよびATPを要する反応において誤対合-依存性様式で活性化される、関連するが極めて弱いd(GATC)エンドヌクレアーゼを有するという知見によって支持された。精製系を用いて、より完全にこの効果が開発されている。
図1に示すG-Tヘテロデュプレックスの2種のヘミメチル化型は、高濃度の精製MutH蛋白質を用いて切断し、d(GATC)配列の非メチル化DNA鎖が切除される(≫pGpApTpC)。該蛋白質を除去した後、これらの開環ヘテロデュプレックスを、DNAリガーゼ不存在の精製系用の基体として試験した。両方の開環種は、鎖-特異的様式で、かつ、対応する共有的に閉鎖しているヘテロデュプレックスのものと同様の比率で修正された(図4)。閉環ヘテロデュプレックスで認められたごとく、MutH-切断分子の修復は、MuTL、MutS、SSB、DNAポリメラーゼIIIホロ酵素、およびDNAヘリカーゼII(図4および表2の○挿入物)を要したが、閉環基体の挙動とは反対に、開環分子内の誤対合の修復はMutH蛋白質不存在下でも容易に起こった。かくして、d(GATC)部位の非メチル化鎖の切断は、鎖-特異的誤対合修正におけるMutH蛋白質の要求性を回避することができる。
MutH-独立性修復の性質をさらに検査して、該反応に対するリガーゼの効果を評価することができ、d(GATC)以外の配列の鎖破壊がMutH蛋白質不存在下でも修正させることができるか否かを決定することができる(図5)。前記したごとく、d(GATC)配列を欠く共有的に閉鎖したG-Tヘテロデュプレックスは、DNAリガーゼの存在(図3)または不存在下の精製系による修復に付されない。しかしながら、一本鎖-特異的、部位-特異的破壊の存在は、このヘテロデュプレックスを、リガーゼおよびRutH蛋白質の不存在下の精製系の基質とするのに十分である(図5)。この開環ヘテロデュプレックスの修復は切断された相補的DNA鎖に限定され、MutLおよびMutS蛋白質、DNAポリメラーゼIIIおよびSSBの存在を要し、該分子の修正は、相補鎖内のd(GATC)配列においてMutHにおり切断されたヘミメチル化ヘテロデュプレックスで認められるごとく効率的であった。破壊鎖の存在性はMutHおよびリガーゼ不存在下のヘテロデュプレックスの鎖-特異的修正を行うのに十分であるが、後者の活性の存在はd(GATC)配列を欠くヘテロデュプレックス上のみならず、MutH蛋白質で予め切断した両方のヘミメチル化分子上の修復を阻害した(図5)。リガーゼによるこの阻害は、MutH蛋白質の存在により回避されるが、該基質がd(GATC)配列を含む場合にのみであり、この効果は、同一の反応に両方の型のヘテロデュプレックスが存在する存在する場合に証明できる。この知見により、MutH蛋白質がd(GATC)部位を認識することが証明され、誤対合修正におけるこの蛋白質の機能がこの配列における非メチル化鎖の切断であるという目的とも一致する。
実施例2:MutY蛋白質の精製
MutY蛋白質を精製するために、イー・コリRK1517を2.5mM KH2PO4、7.5mM Na2HPO4(培地pH=7.4)および1%グルコースを含有するLブロス170l中、37℃にて増殖させた。その培養物は、A590が4となるまで増殖させ、10℃にて冷蔵し、連続フロー遠心により細胞を採取した。細胞ペレットは70℃にて保存した。MutY精製の概要を表1に表す。分画工程は0℃-4℃で行い、遠心は13,000×gで行い、グリセリン濃度は容量%として表す。
凍結細胞ペレット(290g)を4℃にて解凍し、0.05Mトリス-HCl(pH7.5)900ml、0.1M NaCl、1mM ジチオスライトール、0.1mM EDTA中に懸濁し、超音波処理によって細胞を破砕した。1時間遠心して清澄化した後、その溶解物(画分I、970ml)を25%硫酸ストレプトマイシン(0.05Mトリス-HCl(pH7.5)中の重量/容積)185mlで処理し、これを撹拌しつつ、徐々に添加した。さらに30分間撹拌した後、その溶液を1時間遠心し、上清(1120ml)を固体硫酸アンモニウム252gで処理し、これを撹拌しつつ徐々に添加した。さらに30分間撹拌した後、1時間遠心することによってその沈殿を採取し、0.02Mリン酸カリウム41ml、0.1mM EDTA、10%(容量/容量)グリセリン、1mMジチオスライトールの最終容積に再懸濁し、0.02Mリン酸カリウム(pH7.5)、0.1M KCl、0.1mM EDTA、1mMイチオスライトール、10%グリセリンの2l部で2回に対して透析した(2時間毎に交換)。透析した物質を10分間遠心することによって清澄化し、画分II(45ml)を得た。
希釈溶液の伝導度が0.1M KClを含有する希釈緩衝液のものに匹敵するように、画分IIを0.02Mリン酸カリウム(pH7.5)、0.1M EDTA、1mMジチオスライトール、10%グリセリンに10倍希釈した。該溶液を画分IIの少量のアリコットとし、0.02Mリン酸カリウム(pH7.5)、0.1M KCl、0.1mM EDTA、1mMジチオスライトール、10%グリセリンで平衡化した14.7cm×12.6cm2ホスホセルロースカラム上に1ml/分で希釈した試料を直ちに負荷した。そのカラムを平衡化した緩衝液400mlで洗浄し、0.02Mリン酸カルシウム(pH7.5)中のKCl(0.1−1.0M)、0.1mM EDTA、1mMジチオスライトール、10%グリセリンの線形勾配2lで展開した。約0.4M KClで溶出されるMutY活性を含む画分を保存した(画分III、169ml)。
画分IIIを、電伝度が透析緩衝液のものに匹敵するまで、5mMリン酸カリウム(pH7.5)、0.05M KCl、0.1mM EDTA、1mMジチオスライトール、10%グリセリンの500ml部に対して透析した(2時間毎に交換)。10分間遠心することによって清澄化した後、その溶液を、5mMリン酸カルシウム、pH7.5、0.05M KCl、0.1mM EDTA、1mMジチオスライトール、10%グリセリンで平衡化した21cm×2.84cm2のヒドロキシアパタイトカラムに0.5ml/分で負荷した。平衡緩衝液130mlで洗浄した後に、該カラムを0.05M KCl、1mMジチオスライトール、10%グリセリンを含有するリン酸カリウム(5mM−0.4M、pH7.5)の線形勾配600mlで溶出した。該カラムから溶出された画分にEDTAを補足して0.1mMとした。約0.1Mリン酸カリウムに溶出される、全回収活性の60%を含むピーク画分を保存した(画分IV、24ml)。残りの側の画分は不純物を含んでおり、これは、モノS(Mono S)クロマトグラフィーによるMutYからの溶解できなかった。
当量の0.1mM EDTA、1ジスライトール、10%グリセリンを添加することにより、画分IVを希釈した。15分間遠心することにより清澄化した後、0.05Mリン酸ナトリウム(pH7.5)、0.1M NaCl、0.1mM EDTA、0.5mMジチオスライトール、10%グリセリンで平衡化したファルマシア(Pharmacia)HR 5/5 モノS FPLCカラム上に0.75ml/分で負荷した。該カラムを平衡緩衝液17mlで0.5ml/分にて洗浄し、05ml/分で展開した。
実施例2/表1
Figure 0004019171
無細胞抽出物における特異的A・GからC-Gへの修正は、反応物からATPおよびグルタチオンを省き、1時間の代わりに30分間インキュベートしたことを除き、以前に記載されているように測定した(オウ(Au)ら、1988年)。相補アッセイには、各0.01mlの反応物には、10mg/ml蛋白質の濃度のRK1517-Y33抽出物(mutS mutY)が含まれている。1単位のMutY活性は、相補的な条件下にて、1時間当たり1fmolのA・G誤対合をC-G塩基対に転化するのに要する量として定義される。0.05Mリン酸ナトリウム(pH7.5)、0.1mM EDTA、0.5mMジチオスライトール、10%グリセリン中のNaCl(0.1−0.4M)の線形勾配20ml。約0.2M NaClに溶出されるMutY活性を有する画分を保存した(画分V、2.6ml)。画分Vを少量のアリコットに分割し、-70℃にて保存した。
MutY-依存性A?G-特異的グリコシラーゼのアッセイ
DNA制限断片は、3'または5'末端のいずれかを32Pで標識した。次いで、グリコシダーゼ活性を、末端標識DNA断片10ng、0.02Mトリス-HCl、pH7.6、EDTA lmM、0.05mg/ml牛血清アルブミン、およびMutY2.7ngを含有する反応物0.01ml中でグリコシダーゼ活性を測定した。37℃にて30分間インキュベートした後、該反応混合物を、11mM MgCl2および0.005%トリトンX-100が存在する2.5×10-3単位のHeLa APエンドヌクレアーゼIIで37℃にて10分間処理した。等量の80%ホルムアミド、0.025%キシレンシアノール、0.025%ブロモフェノールブルーを添加することによって反応をクエンチし、80℃に2分間加熱し、その生成物を8%配列決定用ゲル上で分析した。対称反応は、MutYを含まないか、A・G誤対合を含まないか、またはAPエンドヌクレアーゼIIを含まないかのいずれかである。
MutYにより生成したAP部位における鎖切断は、APエンドヌクレアーゼIIの代わりにピペリジンで処理することによって達成することができる。前記したごとく、MutYと共に37℃にて30分間インキュベートした後、担体tRNA存在下エタノールで該反応混合物を沈殿させ、次いで、1Mピペリジンに再懸濁し、90℃にて30分間加熱した。さらに2回エタノール沈殿させた後に、各回にチューブを取り換え、ペレットを最小容量の水に再懸濁し、これに当量の80%ホルムアルデヒド、0.025%キシレン・シアノール、0.025%ブロモフェノールブルーを添加した。次いで、該生成物を8%配列決定用ゲル上で分析した。
実施例3:ヒトゲノムにおける点突然変異の遺伝子マッピング
本発明の完全な新規性および利用性は、ヒトゲノムの点突然変異の遺伝子マッピングに共通の問題点への適用としての本発明の種々の好ましい形態を有利に用いている選択した特異的具体例の以下の簡単な説明を参照することによってさらに理解できる。遺伝子連結マッピングを作成する工程においては、例えば、クローン化DNA断片の配列とヒト組織試料から抽出したDNA中の相同性配列とを比較することがしばしば望ましい。クローン化DNA断片の全体相同性配列中の自室的に全ての塩基対を、ヒト組織DNAのものと、最も有利には、本発明による単一試験で、単に塩基対形成が起こるような条件下にて、ヒト組織DNA分子の両方の鎖と第二DNA分子の両方とも放射性同位体標識した相補的鎖と接触させ、蛋白質がその同族の誤対形成と特異的コンプレックスを形成するような条件下にて、得られたDNAデュプレックスと実質的に全ての塩基対誤対合を認識するイー・コリMutS蛋白質と接触させ、蛋白質:DNAコンプレックスは保持されるが、蛋白質とコンプレックスを形成しないDNAは保持されないような条件下にて、該コンプレックスと膜状ニトロセルロースとを接触させ、標準的な放射線法によって、または本発明の他の方法のいずれか;例えば、改変電気泳動移動度を用いることによって、保持されたコンプレックス中のDNA量を測定し、あるいは抗体を使用することによってそれを検出する。
前記の検出試験が、ヒト組織DNAとクローン化DNAの相異を示し、かつ位置決定を要する場合、または別法として、かかる相異が予想され、その位置決定および検出が最初の分析において望ましい場合には、本発明の他の方法をこれらの目的に適用することができる。最も有利に用いることができる本発明のこの具体例は、塩基対形成が起こるような条件下にて、ヒト組織DNA分子の両方の鎖と第二DNA分子の両方の放射性同位体標識した相補鎖とを(通常は、クローニングベクターDNAと分離することなしに)接触させ、実質的に全てのDNA塩基対誤対形成の約20塩基対内のDNAの両方の鎖をヒドロキシル基切断機能が切断するような条件下にて、得られたDNAデュプレックスとMutHLSとを接触させて、GATC切断反応または該基切断機能が結合した修飾形態のイー・コリのMutS蛋白質を産生させる工程よりなる。ヒト組織の相補鎖およびクローン化DNAよりなるDNAデュプレックス中にいずれのDNA塩基対誤対形成が存在しない場合には、クローン化DNA(まだ結合している場合には、+ベクターDNA)よりも小さなDNA断片は全く検出されないであろう。クローン化DNA内の数kbpまたはそれ未満のある種の制限酵素切断部位内に、修飾MutS蛋白質蛋白質によるいずれの二本鎖DNA切断の位置の決定は、標準的な制限酵素マッピングアプローチによって決定する。より正確な単一塩基相異の位置決定および同定が望ましい場合には、この方法により位置決定した少なくとも1塩基配列相異にわたるクローン化DNAの特定の断片に配列決定を限定することができ、直接マッピング用にこれらの配列相異の最も簡便な距離で制限酵素によって切断することができる。
本明細書の実施例は、フィルター結合アッセイならびにMutSおよびMutLでのニッキング(nicking)反応のごとき、他の分離方法の使用を変化させて誤対合を同定することができる。大きな(少なくとも20kbp)または小さなDNA分子をこれらの方法に用いることができるが、1-10kbpのものが好ましい。
実施例4:DNA誤対合検出キット
キットには、MutS蛋白質、希釈緩衝液、アニーリング緩衝液、相補的および誤対合対照デュプレックスを生成するための試薬ならびにフィルター結合プロトコールが含まれる。それを用いて、オリゴヌクレオチド中の単一塩基誤対合を検出することができる。
MutSキット成分:
保存緩衝液中のMutS蛋白質:50mM HEPES pH7.2、100mM KCl、1mM EDTA、1mM DTT;
MutS1:水中の16重体のオリゴヌクレオチドGATCCGTCGACCTGCA(2μM)(本明細書において、かかる全てのオリゴヌクレオチドは5'から3'に記載する);
MutS2:アニーリング緩衝液1μM中の1μM 16重体のオリゴヌクレオチドTGCAGGTTGACGGATC:20mMトリス/HCl、pH7.6、5mM MgCl2、0.1mM DTT、0.01mM EDTA;
MutS3:アニーリング緩衝液中の1μM 16重体オリゴヌクレオチド
TGCAGGTTGACGGATC;
アッセイ緩衝液/アニーリング緩衝液/洗浄緩衝液、20mMトリス/HCl pH7.6、5mM MgCl2、0.1mM DTT、0.01mM EDTA;
蛋白質保存/希釈緩衝液:50mM HEPES pH7.2、100mMKCl、1mM EDTA、1mM DTT。
DNA誤対合検出キットには、MutS蛋白質の性能を試験するための3種の16-重体オリゴヌクレオチド標識MUTS1、MUTS2、およびMUTS3が含まれる。MUTS1およびMUTS2がアニーリングした場合、完全に対合したデュプレックスが得られる。MUTS1とMUTS3がアニーリングした場合、単一のG-T誤対合を含むデュプレックスが得られる。これらは、MutS結合の対照基体として供される。
MUTS1オリゴヌクレオチドのキナーゼ標識
このプロトコールは、キットに含まれる半分の量のオリゴヌクレオチドを用いる。氷上の微量遠心チューブに以下のものを添加する:
MUTS1 オリゴヌクレオチド(2μm) 15μl(30pmol)
10×T4ポリヌクレオチソ・キナーゼ緩衝液 3μl
32-P-ATP(3000Ci/mmol) 1μl
ATP(10μM) 2.5μl
蒸留水 7.5μl
T4 ポリヌクレオチド・キナーゼ 1μl(30単位)
反応混合物を37℃にて10分間インキュベートする。次いで、70℃にて10分間インキュベートする。該混合物のアリコット1μlの独立した2つをシュアチェック(SureCheck)TLCプレートにスポットし、別のレーンに32P-ATP(水中の1:30)の希釈液もスポットし、溶出混合液で負荷する。展開したプレートをX-線フィルムに5分間暴露する。プレートの両方の実験レーンから全ての放射性スポットを掻き取り、液体シンチレーションカウンター中でそれらを計数して標識の%取り込みを算出する。この値は、典型的には40-60%である。プレート上のキナーゼ反応レーン中に大きな標識ATPスポットが存在する場合、標識オリゴヌクレオチドは使用する前に精製しなければならない(TLCまたはゲル)。なぜなら、32-P-ATPがフィルター結合アッセイでバックグラウンドの原因となるであろうためである。本発明者らの実験において、このことは通常必要でない。
MUTS1オリゴのストックが2pmol/μlであって、最終濃度は1pmol/μlでなければならないことは心に留めておく。最終濃度によって次工程(アニーリング)におけるMUTSの量が決定し、よって、蛋白質による結合に利用できるDNAの量が決定されるため、この最終濃度が可能な限り正確であることが重要である。
アニーリング反応
2種の別々の反応を行う:
MUTS1/MUTS2およびMUTS1および/MUTS3
両方の場合において、工程1からの32P-標識MUTS1を用いる。
Figure 0004019171
MUTS2/MUTS1の比およびMUTSS3/MUTS1の比は前記反応物中の2:1であって、これは最高の結果を維持しなければならない。標識鎖に対する非修飾の比を下げると、恐らくは修飾ssDNAがニトロセルロースに粘着することによって、フィルター結合アッセイにおける非常に高いバックグラウンドを起こす。
ゲルシフト法によるMutS結合のアッセイ
誤対合に対するMutSの結合は、遺伝子発現を調節できる蛋白質-DNA相互作用を同定するのに有用なツールであるゲルシフト移動度アッセイ(GSMA)の技術を用いて評価することができる。以下の記載は、誤対合検出キットに含まれるMUTS1/MUTS3誤対合デュプレックス上でGSMAを行うプロトコールである。最高の条件は、検出される特定の誤対合またはオリゴヌクレオチド長に依存して変動し得る。すべての結合反応は、氷上で行わなければならない。全結合反応容量は10μlである。0.5-5pmol(0.125-1.25単位)MutS蛋白質(1pmol=97ng)を含有するMutS蛋白質希釈液(キット中の希釈緩衝液を用いて調製した)4μlを、32P-標識MUTS1/MUTS3ヘテロデュプレックス6μl=1.2pmolに添加する。また、匹敵する量のMutS蛋白質を標識MUTS1/MUTS2対合デュプレックスに添加して、対照として供する。誤対合ヘテロデュプレックス(MutS蛋白質を含まない)のみよりなる対照インキュベートも負荷しなければならない。全ての反応物を氷上で30分間インキュベートする。
各インキュベート物からのDNA/MutS混合物3μlを50%w/vスクロース溶液1μlに添加する。
工程2からの混合物2μlを、トリス-酢酸-EDTA(TAE)緩衝液中に調製した6%非-変性ポリアクリルアミドゲル上に負荷し(サムブルック(Sambrook)ら、「モレキュラー・クローニング:ア・ラボラトリー・マニュアル(Molecular Cloning:A Laboratory Manual)」第2版、コールドスプリング・ハーバー研究所(Cold Spring Harbor Laboratory)、ニューヨーク(New York)(1989年))、これにMgCl2を添加して最終濃度1mMとし、ゲルのおよそ下半分までブロモフェノールブルー色素(隣接のウェルに負荷する)が移動するまで、1mM MgCl2を含有するTAE緩衝液中、10V/cm2、4℃にてゲルを負荷するゲル中にMg++が存在すること、および負荷緩衝液が、MutS蛋白質のGSMAアッセイにおける最適の結果に重要である。
フィルター結合アッセイ
全結合反応容量は10μlである。それは、デュプレックスDNA6μlまたは1.2pmolとMutS蛋白質(1pmol=97ng)0.5-5pmol(0.125=1.25単位)を含有するMutS蛋白質希釈液4μlとからなる。相補的および誤対合である各型のデュプレックスは、基質のバックグラウンドとして供されるであろう、各アニーリングの無蛋白質対照と合わせて、2回または3回アッセイしなければならない。
フィルター結合アッセイを用いるためには、洗浄工程で用いるさらなるアニーリング緩衝液を調製する必要があるであろう。1Mトリス-HCl(pH7.6)20ml、1M MgCl25ml、1M DTT0.1ml、および0.5M EDTA0.02mlを蒸留水に添加し1lとする。
各結合アッセイには、以下のものを氷上にて0.5ml卓上遠心チューブに添加する:
MUTS1/MUTS2(対照)または
MUTS1/MUTS3(誤対合)
アニーリング混合物 6μl
濾過器具を準備し、ニトロセルロースフィルターをアニーリング緩衝液に予め浸漬しておく。
MutS蛋白質希釈液4μlを氷上にてアニーリング混合物に添加する。また、これには、各アニーリングのための無蛋白質対照も含まれる。
30分後に、試料の濾過を開始する。低速の濾過を用いることに注意する。少なくとも第二または2回の試料10μlを濾過しなければならない。
ただちに、冷アニーリング緩衝液各5mlでフィルターを洗浄する。これには、20-30秒かける。
そのフィルターを液体シンチレーションバイアルに入れ、流体を添加し、各2分間計測する。
各アニーリングの入力cpmは以下のごとく測定する:アニーリング混合物6μlに、水54μlを添加し、2-3のアリコット各6μlをシンチレーション流体中で計測する。次いで、入力cpmは、希釈液のcpmの平均値×10である。
cpm/DNAのpmolを以下のごとく算出する:
Figure 0004019171
1.2pmolDNAの典型的なキナーゼ反応を含有するアニーリング6μlは、42%取り込みを供し得る(以前に算出)。
×10希釈液のアリコット6μlは10,600cpmとなり得る。
Figure 0004019171
種々のpmolのMutSにより、DNA結合pmolを測定する。最初に、結合反応物中のMutS蛋白質のpmolを算出する:
Figure 0004019171
実施例:250μg/ml MutSの6倍希釈液4μlを用いる場合には:
Figure 0004019171
次いで、結合したDNAのpmolを算出する:
Figure 0004019171
実施例:MutSでのフィルター上に15,470cpmが、無蛋白質では340cpmが得られたもの
Figure 0004019171
1pmolDNAへの結合に要するMutSのpmol数(すなわち、MutS単位)算出する。
上記実施例においては、1.72PmolのMutSが0.409pmolのDNAに結合し、よって1単位=1.72/0.408=4.2Pmol MutS/mol DNA
実施例5:RecA-触媒鎖移動に対するMutSおよびMutLの効果
RecA触媒鎖移動に対するMutSおよびMutLの効果を評価するのに用いたモデル系を図6に図示する。線状デュプレックスDNAからの1本の鎖が相同性である一本鎖DNA環に移動する3本鎖反応には、相同性および類似-相同性DNA配列の間のRecA-触媒鎖移動のアッセイを用いた(コックス(Cox)プロシーディングズ・オブ・ナショナル・アカデミー・オブ・サイエンシズ・イン・ユウエスエイ(Proc.Natl.Acad.Sci.USA)第78巻、3433頁、1981年)。これらの実験は、関連するfdおよびM13 DNAの間の鎖移動をRecAが支持することができるという以前の知見を活用している(ビアンキ(Bianchi)ら、セル(Cell)第35巻、511頁、1983年;ダスグプタ(DasGupta)ら、プロシーディングズ・オブ・ナショナル・アカデミー・オブ・サイエンシズ・イン・ユウエスエイ(Proc.Natl.Acad.Sci.USA)第79巻、762頁、1982年、これらは、ヌクレオチドレベルで約97%相同性である)し、以下による硬化。膨大な数のこの変形は単一塩基対変化による。
相同性および類似-相同性DNA配列間のRecA-触媒鎖移動に対するMutSおよびMutLの効果の実験の結果を図7に示す。反応物(50μl)には、50mM HEPES(pH7.5)、12mM MgCl2、2mM ATP、0.4mMジチオスライトール、6mMホスホクレアチン、10U/mlホスホクレアチン・キナーゼ、0.6nM一本鎖環状DNA(分子)、RecA蛋白質7.6μg、SSB0.54μg、および示したMutSまたはMutLが含まれる。この反応物を37℃にて10分間予めインキュベートし、線状デュプレックスfd DNA(HpaIで切断することにより線状化したRf DNA、分子としての最終濃度0.6nM)鎖交換を添加することにより鎖交換を開始され、次いで、インキュベートを70分間続ける。MutSまたはMutLは、デュプレックスDNAの添加1分前に添加した。EDTA(25mM)、ドデシル硫酸ナトリウム(0.1%)、およびプロテイナーゼK(150μg/ml)を添加することにより反応物(50μl)をクエンチし、続いて42℃にて30分間インキュベートした。
MutSまたはMutLの存在は線状デュプレックスfd DNAと環状fd一本鎖との間の鎖移動に対して何等重要な効果はなく、MutSは、類似-相同性線状デュプレックスfd DNAおよびM13一本鎖の間の鎖移動を阻害した。同様な結果は、デュプレックスM13 DNAおよび一本鎖fdの間の鎖移動についても得られた(データは示さず)。それとは反対に、MutL単独では、これらの種々のDNAの間のRecA触媒鎖移動により形成された環状デュプレックス産物の収量を大きく変化させなかった。
実施例6:鎖移動のMutS遮断のMutL強化
誤対合塩基対に応答した鎖移動に対するMutS遮断のMutL強化に関する実験の結果を図8に示す。反応混合物(210μl)には、50mM HEPES(pH7.5)、12mM MgCl2、2mM ATP、0.4mMジチオスライトール、6mMホスホクレアチン、10U/mlホスホクレアチン・キナーゼ、0.6nM(分子)一本鎖環状DNA、RecA蛋白質32μg、およびSSB2.3μgが含まれる。この反応物を37℃にて10分間予めインキュベートし、二重えらせんfd DNA(HpaIでの切断により線状化したRf DNA、分子としての最終濃度0.6nM)を添加することによって鎖交換を開始された。存在する場合には、MutS(2.9μg)および/またはMutL(1.3μg)を、デュプレックスDNAを添加する1分前に添加した。実施例5に記載するごとく、示す時間に試料を除去し、クエンチした。
MutLは、MutSで認められたヘテロデュプレックス形成の阻害を強化する。完全長、環状のヘテロデュプレックス産物の形成は、MutSおよびMutLの存在により実質的に阻害される。完全な相同鎖の間のヘテロデュプレックス形成は、いずれかまたは両方の蛋白質の存在で容易に起こった。
実施例7:分岐移動のMutSおよびMutL遮断
MutS、およびMutLと共のMutSは完全なデュプレックスの形成を遮断するが、完全なデュプレックスで、ニック化環状産物よりもアガロースゲル中でより遅く移動する鎖移動「中間体」が起こったことにより証明されたごとく、これらの反応では鎖移動はほとんど起こらない(データは示さず)。これらの構造の性質は、安定なヘテロデュプレックス形成の平均長を測定するためのコックス(Cox)およびレーマン(Lehman)のS1ヌクレアーゼ法を用いて測定した。この分析は図9に示す。
反応混合物(510μl)は、50mM HEPES(pH7.5)、12mM MgCl2、2mM ATP、0.4mMジチオスライトール、6mMホスホクレアチン、10U/mLホスホクレアチン・キナーゼ、0.6nM一本鎖環状DNA(分子)、RecA蛋白質77μg、SSB5.5μg、および示す場合には、MutS6.9μgおよびMutL3.2μgが含まれる。その反応物を37℃にて10分間インキュベートし、線状デュプレックス[3H]M13 DNA(HpaIによる切断によって線状化したRf DNA、分子としての最終濃度0.6nM)を添加することによって鎖交換を開始させた。MutSまたはMutLは、M13 DNAを添加する1分前に添加した。示したように試料(100μl)を付し、ドデシル硫酸ナトリウム(0.8%)でクエンチし、次いで、10mMトリス-HCl(pH8.0)、0.1mM EDTAで平衡化したフェノール:クロロホルム:イソアミルアルコール(24:24:1)で抽出した。その有機相を50mM HEPES(pH5.5)0.5容量で再度-抽出した。水層を合わせ、H2O-飽和エーテルで洗浄し、37℃にて30分間インキュベートすることにより残渣エーテルを分離させる。次いで、コックス(Cox)およびレーマン(Lehman)(コックス(Cox)、1981年、前掲)に従ってS1ヌクレアーゼ(10U/ml)を用いて測定した。
ある種の鎖移動はMutSおよびMutLの存在下のfdおよびM13 DNAの間で起こるが、ヘテロデュプレックス形成は、可能な6.4キロベースの約1キロベースに限定される。組換えに対するMutSおよびMutLの効果は、少なくとも一部は、誤対合塩基対に応答しての分岐移動反応を制御するそれらの能力による。
他の具体例も以下の請求の範囲の範囲内である。

Claims (8)

  1. 誤対合修復系の1またはそれを超える成分が、塩基対誤対合を有するDNAデュプレックスに含まれた塩基対誤対合と特異的コンプレックスを形成するような条件下にて、DNAデュプレックスの集団と該誤対合修復系とを接触させ、次いで
    除去に先立ち、該DNAデュプレックスを消化するエキソヌクレアーゼIIIの使用なくしてデュプレックス分子の集団から該コンプレックスまたは該コンプレックスの産物を含む該DNAデュプレックスを除去する:
    工程を含むことを特徴とする、1またはそれを超える塩基対誤対合を潜在的に含有し、酵素的増幅によって生じたDNAデュプレックスの集団中の1またはそれを超える塩基対誤対合を含むDNA分子を除去する方法。
  2. 該誤対合修復系が、イー・コリ誤対合修復系またはその種突然変異であり、ここに、該種突然変異がエス・チフィムリウム(S.typhimurium)のMutS遺伝子、エス・ニューモニエ(S.pneumoniae)のhexA遺伝子、酵母のMSH1およびMSH2遺伝子によってコードされる蛋白質、またはHelaおよびドロソフィラ・メラノガスター(Drosophila melanogaster)K c 細胞系の核抽出物を含む請求項1記載の方法。
  3. 成分または成分群が、塩基対誤対合を含むDNAデュプレックス分子とコンプレックスを形成し、塩基対誤対合を欠くDNAデュプレックス分子とはコンプレックスを形成しないような条件下にて、塩基対誤対合を潜在的に含むDNAデュプレックス分子の集団と誤対合修復系のある種または全ての成分とを接触させ、次いで
    除去に先立ち、該DNAデュプレックスを消化するエキソヌクレアーゼIIIの使用なくしてヘテロデュプレックス分子の集団から該コンプレックスまたは該コンプレックスの産物を含むDNA分子を除去する:
    工程を含むことを特徴とする、異なる起源から産生されたヘテロデュプレックスDNA分子の集団中の1またはそれを超える塩基対誤対合を含むDNAデュプレックス分子を除去する方法。
  4. 該誤対合修復系が、イー・コリ誤対合修復系またはその種突然変異であり、ここに、該種突然変異がエス・チフィムリウム(S.typhimurium)のMutS遺伝子、エス・ニューモニエ(S.pneumoniae)のhexA遺伝子、酵母のMSH1およびMSH2遺伝子によってコードされる蛋白質、またはHelaおよびドロソフィラ・メラノガスター(Drosophila melanogaster)Kc細胞系の核抽出物を含む請求項3記載の方法。
  5. 誤対合修復系のある種または全ての蛋白質が固形支持体に付着し、該コンプレックスの除去が吸着によることを特徴とする請求項3記載の方法。
  6. 該コンプレックスがMutLまたはRecAと相互作用し、該コンプレックスの除去が該相互作用を通して起こることを特徴とする請求項3記載の方法。
  7. 該条件が、塩基対誤対合を含むデュプレックス分子にビオチニル化ヌクレオチドが取り込まれ、かかるデュプレックスがアビジンへの結合により除去されるような該ビオチニル化ヌクレオチドの使用を含むことを特徴とする請求項3記載の方法。
  8. アリコットの、mutH、mutLおよびmutS遺伝子の産物、DNAヘリカーゼII、一本鎖DNA結合蛋白質、DNAポリメラーゼIIIホロ酵素、エキソヌクレアーゼI、ExoVIIエキソヌクレアーゼまたはRecJエキソヌクレアーゼ、DNAリガーゼおよびATPを含む、イー・コリからの完全誤対合修復系の全ての成分;
    アリコットのビオチニル化ヌクレオチド;および
    アリコットのアビジンまたはアビジンを基礎とする支持体
    を含む、ヘテロデュプレックスDNA集団を、工程の初期に1つは無誤対合デュプレックスよりなり、もう一つは誤対合を含むデュプレックスよりなる2つの部分に分画するためのキット。
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