JP3669179B2 - インクカートリッジ装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、インクジェットプリンタ用のインクカートリッジ装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図10は、従来のインクカートリッジを示している。このインクカートリッジ80は、イエロー、マゼンタ、シアン(YMC)の3つのインクタンク81を有するカートリッジ本体82と、カートリッジ本体82のインク供給口83を封止する供給口フィルム84と、カートリッジ本体82のインク注入口85および通気口86を封止する通気口フィルム87とを備えており、この状態で、アルミパック(図示省略)に封入されて出荷される。その際、カートリッジ本体82内に充填したインクは、空気に触れると劣化し易くなるため、インクカートリッジ80は、インク供給口83を供給口フィルム84で封止した後、減圧室中において、これにインク注入口85からインクを注入し、さらにこの状態でインク注入口85および通気口86を通気口フィルム87で封止するようにしている。そして、この状態でアルミパックに真空パックされ、ユーザーに提供される。
【0003】
一方、ユーザーが、このインクカートリッジ80の使用するときには、先ず、アルミパックを開封してインクカートリッジ80を取り出し、次に、通気口フィルム87の一部(剥離部87a)を引き剥して通気口(実際には、通気口に連なる蛇行通路の上流端)86を大気に開放すると共に、供給口フィルム84を引き剥してインク供給口83を開放し、この状態でインクカートリッジ80をプリンタに装着する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
このような従来のインクカートリッジでは、カートリッジ本体から供給口フィルムを剥離(引き剥す)するときに、インク供給口の部分に貯留されているインクが飛散(こぼれる)し、或いは供給口フィルムに付着(インク供給口を封止していた部位)しているインクにより、ユーザーの手や机上を汚すなどの不具合があった。また、供給口フィルムの剥離を忘れてプリンタに装着してしまうおそれがあった。さらに、カートリッジ本体の内部は減圧されているため、取扱説明書に従って通気口フィルム、供給口フィルムの順でフィルムの剥離を行わないと、インク内にエアーが混入し、印刷不良を生ずるおそれがあった。
【0005】
本発明は、供給口フィルムを確実に剥離することができると共に、供給口フィルムを剥離するときにインクが外部に飛散することのないインクカートリッ装置を提供することをその目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明のインクカートリッジ装置は、インク供給口を有するインクカートリッジと、箱本体および蓋体を有すると共にインクカートリッジを収容する収容箱と、インク供給口の縁部に引剥し可能に溶着され当該インク供給口を封止する封止部、および当該封止部に連なる開封操作部を有する供給口フィルムとを備え、開封操作部は、封止部に対しUターン方向に延在すると共に、箱本体のスリットから当該収容箱の外部に繰り出され、閉蓋状態の蓋体の内側には、収容箱の外部に繰り出された開封操作部の先端部が折り込まれ、箱本体には、収容箱の外部に繰り出された開封操作部を外側から覆う帯状片が延設され、帯状片は、開封操作部を箱本体の側面に添うように保持する保持部と、開封操作部の先端部と共に蓋体の内側に折り込まれる折込み部とを有し、保持部と折込み部とは、その境界部分に形成されたミシン目により切離し可能に連なると共に、折込み部には開封操作部の先端部が固着されていることを特徴とする。
【0007】
この構成によれば、収容箱を押さえておいて、箱本体のスリットから外部に繰り出されている開封操作部を引くと、開封操作部に連なる封止部がUターンするように引かれて、インク供給口の縁部から引き剥がされてゆく。この場合、引き剥がされる封止部は、インク供給口の軸線に直交する方向に引かれるため、インク供給口からのインクの飛散りを抑制することができる。また、インクが飛散しても、これを箱本体内で受けることができる。さらに、閉蓋状態の蓋体の内側には、開封操作部の先端部が折り込まれていることで、インクカートリッジの使用を欲しない場合に、誤って開封操作部が引かれ、供給口フィルムが引き剥がされてしまうのを防止することができる。また、開封操作部の収容箱の外部に繰り出され部分が、梱包などの際に邪魔になることがない。しかも、帯状片により、開封操作部を邪魔にならないように、箱本体の側面に添うように保持することができる。また、折込み部を保持部から切り離して引くことにより、折込み部を摘み部分として供給口フィルムを引き剥がすことができる。またその際、引き剥がされた封止部が収容箱の外部に引き出されてきても、封止部のインク付着側の面が保持部に摺接するため、インクが机上などに付着することがない。
【0008】
この場合、封止部における開封操作部と逆側の端部は、箱本体に固着されていることが、好ましい。
【0009】
この構成によれば、供給口フィルムの引剥しが完了すると、供給口フィルムが引けなくなるため、引剥し部分が見えなくても、引剥し完了を認識させることができる。また、インクの付着した供給口フィルムを収容箱と共に廃棄することができる。
【0014】
これらの場合、インク供給口に対応する箱本体の内面には、インクを吸収可能なインク吸収部が設けられていることが、好ましい。
【0015】
この構成によれば、供給口フィルムを引き剥がしたときに飛び散ったインクや、引き剥がした供給口フィルムに付着しているインクを、箱本体の内面で効率良く吸収することができる。
【0016】
これらの場合、インク供給口に対応するインクカートリッジの通気口の端部を大気に開放する通気口フィルムを更に備え、通気口フィルムは、通気口の縁部に引剥し可能に溶着された通気封止部、および通気封止部に連なる通気開封操作部を有し、通気開封操作部は蓋体に固着され、蓋体の開蓋動作により引き剥がされることが、好ましい。
【0017】
この構成によれば、蓋体に折り込まれた開封操作部を取り出すべく蓋体を開放すると、通気口フィルムが自動的に引かれ、通気口フィルムがインクカートリッジから引き剥がされる。すなわち、蓋体を開放するときに通気口フィルムが引き剥がされ、続いて開封操作部を引くことにより供給口フィルムが引き剥がされ、通気口、インク供給口の順で大気に開放される。したがって、内部を減圧して提供されるインクカートリッジであっても、エアーがインク内に混入することがない。
【0018】
この場合、蓋体は、これを開放するため引き上げられる開放片を有し、通気開封操作部は、開放片に固着されていることが、好ましい。
【0019】
この構成によれば、開放片を摘んで引くことにより、蓋体が開放すると同時に通気口フィルムが引き剥がされる。この場合、通気口フィルムの開封操作片部が開放片に固着されているため、ユーザーは通気開封操作部を直接的に引くことになり、剛性の低い蓋体であっても、通気口フィルムの剥離を確実に行うことができる。
【0020】
これらの場合、箱本体の蓋体側上端部には、収容したインクカートリッジを把持して引き出すための切欠き部が形成されていることが、好ましい。
【0021】
この構成によれば、最終的にインクカートリッジを収容箱から取り出すときに、切欠き部を介してインクカートリッジを把持することで、インクカートリッジを上下反転(逆さ)させなくても、これを簡単に取り出すことができる。
【0022】
本発明の他のインクカートリッジ装置は、インクジェットヘッドにインクを供給するインク供給口を有するインクカートリッジと、インク供給口を下側にしてインクカートリッジを収容する収容箱と、インク供給口の縁部に引剥し可能に溶着され当該インク供給口を封止する封止部、および当該封止部に連なると共に収容箱に固着された開封操作部を有する供給口フィルムとを備え、インクカートリッジを収容箱から引き出す動作に伴って、封止部を当該収容箱内で引き剥がすようにしたインクカートリッジ装置において、封止部が引き剥がされた後、収容箱からインクカートリッジを引き出す動作を制動する制動手段とを備えたことを特徴とする。
【0023】
インクカートリッジを収容箱から引き出す動作を利用して、供給口フィルムを収容箱内で引き剥がす場合、引出し動作が急激に行われると、インク供給口から漏れるインクも引出し方向に運動性を有しているため、収容箱の外部に飛び散るおそれがある。
この構成によれば、封止部が引き剥がされた後のインクカートリッジの引出し動作を制動することにより、封止部が引き剥がされた後のインクカートリッジの引出しが強制的にゆっくり行われることになり、供給口フィルムの剥離伴って、収容箱の外部にインクが飛散するのを有効に防止することができる。
【0024】
この場合、制動手段は、一端をインクカートリッジに引剥し可能に溶着され、他端を収容箱に固着した補助フィルムであり、補助フィルムの引剥し動作により引出し動作の制動が行われることが、好ましい。
【0025】
同様に、制動手段は、インクカートリッジのインク供給口側の側面に形成した外向き突部と、収容箱の引出し口側の内面に形成された内向き突部とで構成され、外向き突部と内向き突部とが摺接することにより引出し動作の制動が行われることが、好ましい。
【0026】
同様に、制動手段は、封止部の開封操作部とは逆側に連なりインクカートリッジに引剥し可能に溶着した溶着部であり、溶着部の引剥し動作により引出し動作の制動が行われることが、好ましい。
【0027】
これら構成によれば、インクカートリッジを引き出す過程で、インクカートリッジがつえる感じを抱かせずに、これを自然に制動することができる。なお、供給口フィルムの引剥しが完了した直後に、この制動が働くようにすることが好ましい。
【0032】
【発明の実施の形態】
以下、添付の図面を参照して、本発明の一実施形態に係るプリンタのインクカートリッジ装置について説明する。図1はインクカートリッジ装置の断面図であり、インクカートリッジ装置1は、4色のインクを充填したインクカートリッジ2と、インクカートリッジ2を収容する収容箱3とを備えている。収容箱3は、箱本体3aと、箱本体3aに開閉自在に設けた蓋体3bとで構成されている。また、インクカートリッジ2には、その上面に通気口フィルム4が熱溶着され、下面に供給口フィルム5が熱溶着されている。そして、この状態でインクカートリッジ装置1は、図外のパッケージに収容・密封されて、提供される。
【0033】
ユーザーは、パッケージを開封して収容箱3を取り出し、収容箱3の蓋体3bを開放することで、インクカートリッジ2から通気口フィルム(の一部)4を自動的に引き剥がすことになり、続いて収容箱3から外部に繰り出されている供給口フィルム5の先端部を引くことにより、インクカートリッジ2から供給口フィルム5を引き剥がす。これにより、インクカートリッジ2がプリンタに装着可能となる。
【0034】
図1および図2に示すように、インクカートリッジ2は、下ケース21aと、下ケース21aの上端に溶着した蓋状の上ケース21bとから成るカートリッジケース21を備えており、上ケース21bは下ケース21aの上端に対し、その周縁部22がフランジ状にわずかに突出している。カートリッジケース21は、下ケース21aに形成した3枚の隔板により、内部がイエロー、マゼンタ、シアン、ブラック用の4つのインクタンク23に分割されている。各インクタンク23には、インク吸収材に吸収した状態で各インクが貯留されている。
【0035】
下ケース21aの下端部には、4つのインクタンク23に連なる4つのインク供給口24が形成されている。4つのインク供給口24の近傍には、2条のプロテクトリブ25,25が突設され、この2条のプロテクトリブ25,25間に、4つのインク供給口24を一括して封止する供給口フィルム5が、その縁部に対し引剥し可能に熱溶着されている。供給口フィルム5は、インク供給口24を封止する封止部31とこれに連なる開封操作部32とから成り、封止部31の各インク供給口24に臨む部分は、熱溶着によりインク供給口24内に窪入してこれを封止している。また、インクカートリッジ2が収容箱3に収容された状態で封止部31の外端部33は、収容箱3の内側面に沿って上方に延び、この内側面に固着されている。なお、封止部31の外端部33を、例えば後述するスリット63から外部に持ち出して収容箱3の外面に固着してもよい。特に、供給口フィルム5の表裏一方の面が、いわゆる糊面となっている場合には、かかる構成が好ましい。
【0036】
開封操作部32は、インクカートリッジ2が収容箱3に収容された状態で、封止部31側の基端部で「U」字状に折曲げられ、収容箱3の底面に沿って延びて後述する収容箱3のスリット63から外部に繰り出され、さらに収容箱3の側面に沿ってインクカートリッジ2の上面まで延びている。この場合、開封操作部32の外部に繰り出された部分は、後述する収容箱3の帯状片59で収容箱3の側面に接するように覆われており、その先端部34は、帯状片59の先端部(折込み部59b)と共に蓋体3bの内側に折り込まれている。そして、開封操作部32の先端部34は、帯状片59の折込み部59bの内側に固着されている。
【0037】
このように構成された供給口フィルム5は、収容箱3の蓋体3bを開放した後、帯状片56を展開し、帯状片59の折込み部59bを介して開封操作部32の先端部34を引くことにより、封止部31がUターンするように引かれて、端から引き剥がされてゆく。そして、封止部31がインクカートリッジ2から完全に引き剥がされると、次に封止部31の外端部33を介して収容箱3を引くことなり、引抜きが阻止されて供給口フィルム5の剥離完了が確認される。
【0038】
一方、上ケース21bには、各インク供給口24に対応するように円形の4つのインク注入口26と、4つの通気口27が貫通形成されている。また、上ケース21bの上面には、下流端が各通気口27にそれぞれ連なる4本の通気溝28が形成されている。各通気溝28は経路を長く取り得るように、上ケース21bの上面に蛇行状に形成されており、その4本の上流端部は、揃えられるようにして上ケース21bの中央まで延びている。なお、図中の符号22aは、インクカートリッジ2のプリンタへの誤装着(前後左右の誤り)を防止する位置決め突起である。
【0039】
また、上ケース21bの上面には、インク注入口26、通気口27および通気溝28の開放部分を上側から覆う(封止)ように、すなわち上面全域を覆うように通気口フィルム4が引剥し可能に熱溶着されている。そして、熱溶着した通気口フィルム4と4本の通気溝28とにより、各通気口27を介して各インクタンク23に連なる4本の通気通路29が形成されている。すなわち、4本の通気通路29は、その上流端部29aが上ケース21bの上面の中央に揃えるように相互に平行に配設され、この上流端部29aからそれぞれに蛇行して延び、下流端が各通気口27に連通している。そして、この蛇行状の通気通路29の上流端部29aを大気に開放することで、各通気口27が大気に開放される。
【0040】
通気口フィルム4は、上記の通気通路29の上流端部29aに面する部分が、これに直交するように帯状に長く延びており、この長く延びた部分が通気口フィルム4の一部を剥離操作する剥離操作部(通気開封操作部)41と、また上流端部29aに臨む部分がミシン目で区画され、実際に引き剥がされる剥離部(通気封止部)42となっている。すなわち、請求項で規定した通気口フィルムは、この剥離操作部41と剥離部42とで構成されている。
【0041】
インクカートリッジ2が収容箱3に収容された状態で剥離操作部41は、剥離部42に対して「U」字状に折曲げられ、その先端部が後述する蓋体3bの開放片52の内側に固着されている。蓋体3bを開放すべく開放片52を上側に引き上げると、剥離操作片41が引かれ、剥離部42がミシン目に沿って破れながらインクカートリッジ2から引き剥がされる。なお、通気口フィルム4は一軸延伸フィルムなどで構成してもよく、かかる場合には、剥離部42の幅を規制するミシン目は不要となる。
【0042】
一方、収容箱3は、図1および図3の半展開図に示すように、段ボールを展開状態で裁断して箱状に形成したものであり、箱本体3aと、箱本体3aの上部を折曲げ自在に閉蓋する蓋体3bとで一体に形成されている。蓋体3bの先端部には上折曲げ片51が形成されており、閉蓋状態でこの上折曲げ片51が箱本体3aの内側に重なるように挿入される。また、上折曲げ片51の側端部は、上記上ケース21bの位置決め突起22aを逃げるべく、切り欠かれている。蓋体3bの中央には、上折曲げ片51の基部から「U」字状に切込み線が形成され、この切込み線で囲まれた部分に開放片52が形成されている。そして、開放片52の内側の面に上記した通気口フィルム4の剥離操作部41が固着されている。
【0043】
箱本体3aは、前板部54、後板部55および両側板部56から成る胴部53と、底板部58、帯状片59および下折曲げ片60から成る底部57とで、構成されている。後板部55の上端からは蓋体3bが折曲げ自在に延び、前板部54の下端からは底部57が折曲げ自在に延びている。両側板部56の上端部は切り欠かれており、この上切欠き部61に上ケース21bの周縁部22が臨むようになっている。また、一方の側板部56の下端部も切り欠かれており、この下切欠き部62は、折り込んだ底板部58との間で、上記の開封操作部(供給口フィルム5)32を外部に繰り出すためのスリット63を構成している。
【0044】
帯状片59および下折曲げ片60は、底板部58の端から折曲げ自在に延びている。帯状片59は、収容箱3の一部として折り込んだときに側板部56に接する帯状片本体59aと、蓋体3bの内側に折り込まれる折込み部59bとで構成されている。帯状片本体59aと折込み部59bとの境界部分にはミシン目59cが形成され、折込み部59bを帯状片本体59aから切り離し得るようになっている。折り込んだ帯状片59の内側には、側板部56との間にスリット63から繰り出した開封操作部32が挟み込まれる。そして、折込み部59bの内側には、開封操作部32の先端部34が固着されている。
【0045】
ところで、底板部58の内面には、引き剥がされてゆく供給口フィルム5の封止部31が摺接する。すなわち、封止部31のインクが付着している部分が摺接する。したがって、この摺接部分を毛羽立たせて、この部分にインクを吸収するインク吸収部64を形成することが、好ましい(図1参照)。もちろん、インク吸収部64として、インク吸収紙を摺接部分に貼着するようにしてもよい。また、後述するように収容箱3の外部に引き出された封止部31は、帯状片本体59aにも摺接する。したがって、帯状片本体59aにもインク吸収部64を設けることが、より好ましい。
【0046】
このように構成された収容箱3は、展開した状態から前板部54、後板部55および両側板部56を折り込んむと共に一方の側板部56の端片を後板部55に接着して胴部53を構成し、次に、底板部58を折り込むと共に下折曲げ片60を胴部53の内側に差し込んで底部57を構成する。さらに、帯状片本体59aを側板部56に沿うように折り込む共に、折込み部59bを上部の開口に臨むように折り込む。最後に、上折曲げ片51を胴部53の内側に差し込むようにして、蓋体3bを折り込むようにする。
【0047】
ここで、図4および図5を参照して、収容箱3からインクカートリッジ2を取り出す手順について説明する。図4(a)に示すように、立方体形状に折り込まれた収容箱3には、新品のインクカートリッジ2が収容されている。この状態から先ず、開放片52を引き上げる(図4(b))と共に、開放片52を上方に引いて蓋体3bを開放する。蓋体3bが開放されるとこれに伴って、通気口フィルム4の剥離部42がインクカートリッジ2から引き剥がされる(図4(c))。
【0048】
次に、帯状片59を展開し(図5(d))、収容箱3を押さえておいて折込み部59bを帯状片本体59aから切り離すと共に、折込み部59bを水平方向に引く。これにより、収容箱3内では、インクカートリッジ2から供給口フィルム5が引き剥がされ、引き剥がされた供給口フィルム5が外部に引き出されて来る(図5(e))。その際、供給口フィルム5のインクが付着している部分が、全て(4箇所)帯状片本体59aの上に表れ、引出し不能になったら、供給口フィルム5の引剥し完了が確認されるため、供給口フィルム5の引出し作業を停止する。
【0049】
次に、両側板部56の上切欠き部61に臨んでいる上ケース21bの周縁部22を手で把持し、インクカートリッジ2を引き出すようにする。引き出したインクカートリッジ2は、そのままプリンタに装着し、収容箱3は、通気口フィルム4の一部および供給口フィルム5と共に廃棄する。
【0050】
以上のように上記実施形態によれば、蓋3b体を開放しないと帯状片59を展開することができないため、必然的に、通気口フィルム(の剥離部42)4、供給口フィルム5の順で、剥離操作(開封操作)が行われることになる。このため、減圧されているインクカートリッジ2内には、インク供給口24からインクの中に直接、エアーが吹き込まれることがなく、インクにエアーが混入するのを適切に防止することができる。
【0051】
また、供給口フィルム5を引き剥がす(インク供給口24の開封)作業を、収容箱3内で行うことできるため、インク供給口24からインクが飛散或いはこぼれても、これを収容箱3内で受けることができる。しかも、供給口フィルム5は、インク供給口24の軸線に対して直交する方向に引き剥がされるため、引剥し作業が比較的ゆっくり行われると共に、引剥しの際のショックがインクが漏れ出る方向に加わることがなく、インクの飛散を極力少なくすることができる。また、引き出された供給口フィルム5のインク付着部分も帯状片本体59aで受けることができる。したがって、供給口フィルム5を引き剥がす際に、ユーザーの手や机上をインクで汚すのを防止することができる。さらに、通気口フィルム4および供給口フィルム5を、収容箱3に固着したまま廃棄することができる。
【0052】
次に、図6を参照して、第2実施形態について説明する。この実施形態における通気口フィルム4は、上記の実施形態と同一の形態で設けられているが(図示省略)、供給口フィルム5は、その開封操作部32の先端部34が収容箱3の底板部58を貫通して、底板部58の下面に固着されている。或いは、開封操作部32の先端部34は底板部58の上面に固着されている。また、一方の端部をインクカートリッジ2の下面に引剥し可能に熱溶着すると共に、他方の端部を収容箱3の底板部58を貫通して底板部58の下面に固着した補助フィルム6が設けられている。補助フィルム6は、供給口フィルム5と同質のフィルムで構成されており、インクカートリッジ2の収容箱3からの引出し動作を制動する機能を有している。
【0053】
すなわち、収容箱3の蓋体3bを開放すると、上記実施形態と同様に通気口フィルム4が引き剥がされ、続いて収容箱3からインクカートリッジ2を引き出すと、インクカートリッジ2のほぼ半部が引き出された状態で、供給口フィルム5が引き剥がされ、さらにインクカートリッジ2が完全に引き出される直前に、補助フィルム6が引き剥がされる。
【0054】
このように、供給口フィルム5を引き剥がすときには、インクカートリッジ2が、収容箱3内に留まっており、供給口フィルム5の剥離に伴って、インク供給口24からインクが飛散或いはこぼれても、これを収容箱3内で受けることができる。その際また、供給口フィルム5が収容箱3内に残るため、インクが付着した供給口フィルム5を収容箱3内に封じ込めることができる。
【0055】
また、インクカートリッジ2が完全に引き出される直前に、補助フィルム6が引き剥がされるため、インクカートリッジ2の引出し動作が制動され、インクカートリッジ2が収容箱3から急激に引き出されることがない。このため、インクカートリッジ2を引き出した勢いで、インク供給口24から漏れ出たインクが、収容箱3の外部に飛散するのを防止することができる。
【0056】
次に、図7を参照して、第3実施形態について説明する。この実施形態における通気口フィルム4および供給口フィルム5は、上記の第2実施形態と同一の形態で設けられている。この実施形態では、インクカートリッジ2の下部外面に外向き突起が突設され、また収容箱(箱本体3a)3の上部内面に内向き突起72が突設されている。この場合には、この外向き突起71と内向き突起72とは、協働してインクカートリッジ2の収容箱3からの引出し動作を制動する。
【0057】
すなわち、蓋体3bの開放により通気口フィルム4が引き剥がされた後、収容箱3からインクカートリッジ2を引き出すと、インクカートリッジ2のほぼ半部が引き出された状態で、供給口フィルム5が引き剥がされ、さらにインクカートリッジ2が完全に引き出される直前に、外向き突起71と内向き突起72とが摺接してインクカートリッジ2の収容箱3からの引出し動作が制動される。
【0058】
この実施形態でも、第2実施形態と同様に、供給口フィルム5の剥離に伴って、インク供給口24からインクが飛散或いはこぼれても、これを収容箱3内で受けることができ、且つインクが付着した供給口フィルム5を収容箱3内に封じ込めることができる。また、インク供給口24から漏れ出たインクが、収容箱3の外部に飛散するのを防止することができる。
【0059】
次に、図8を参照して、第4実施形態について説明する。この実施形態における通気口フィルム4および供給口フィルム5は、上記の第2実施形態と同一の形態で設けられている。ただし、供給口フィルム5における封止部31の外端部は、更に先方に延長されており、この延長部(溶着部)35が、インクカートリッジ2の下面に引剥し可能に熱溶着されている。そして、この延長部35は、インクカートリッジ2の収容箱3からの引出し動作を制動する機能を有している。
【0060】
すなわち、収容箱3の蓋体3bを開放すると、上記実施形態と同様に通気口フィルム4が引き剥がされ、続いて収容箱3からインクカートリッジ2を引き出すと、インクカートリッジ2のほぼ半部が引き出された状態で、供給口フィルム5の封止部31が引き剥がされ、さらにインクカートリッジ2が完全に引き出される直前に、延長部35が引き剥がされる。
【0061】
したがって、この実施形態でも、第2実施形態と同様に、供給口フィルム5の剥離に伴って、インク供給口24からインクが飛散或いはこぼれても、これを収容箱3内で受けることができ、且つインクが付着した供給口フィルム5を収容箱3内に封じ込めることができる。また、インク供給口24から漏れ出たインクが、収容箱3の外部に飛散するのを防止することができる。
【0062】
次に、図9を参照して、第5実施形態について説明する。この実施形態では、インクカートリッジ2の下面に、供給口フィルム5の引剥し操作をUターン方向に規制する引剥しガイド部7が、一体に形成されている。引剥しガイド部7は、「U」字状に形成されており、両プロテクトリブ25に端部に近接し且つこれに直交するように配設されている。供給口フィルム5は、その封止部31に対して開封操作部32がUターンして延び、引剥しガイド部7をくぐってインクカートリッジ2の側面まで延びている。
【0063】
また、インクカートリッジ2の下半部には、上記の収容箱3に代えて段ボール製の飛散防止トレイ(飛散防止部材)8が着脱自在に装着されている。この場合、インクカートリッジ2を装着すると、摘み部分となる開封操作部32の先端部34が、飛散防止トレイ8からはみ出しており、この先端部34を引くと飛散防止トレイ8の切込み受け部8aが破れて倒れ、さらに封止部31がインクカートリッジ2から引き剥がされる。もちろん、この引剥し操作に先行して通気口フィルム(一部)4を引き剥がしておく。また、供給口フィルム5を引き剥がした後、飛散防止トレイ8をインクカートリッジ2から引き抜いて、これを廃棄する。
【0064】
この構成によれば、供給口フィルム5の剥離に伴って、インク供給口24からインクが飛散或いはこぼれても、これを飛散防止トレイ8内で受けることができ、且つインクが付着した供給口フィルム5を飛散防止トレイ8内で受けることができる。なお、上述したように、供給口フィルム(封止部31)5をUターンするようにして引き剥がすと、比較的インクの飛散が抑制される。したがって、飛散防止トレイ8を省略し、インクカートリッジ2を上下反転させた状態で、供給口フィルム5を引き剥がすようにしてもよい。
【0065】
【発明の効果】
以上のように本発明のインクカートリッジ装置によれば、封止部がUターン方向に引き剥がされるため、インク供給口からのインクの飛散を抑制することができ、且つインクが飛散しても、これを収容箱内で受けることができる。このため、供給口フィルムを確実に剥離することができると共に、供給口フィルムを剥離するときにインクが外部に飛散することのなく、供給口フィルムの剥離動作に伴って、ユーザーの手や机上がインクで汚れることがない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態に係るインクカートリッジ装置の断面図である。
【図2】インクカートリッジの外観斜視図である。
【図3】収容箱の半展開状態の外観斜視図である。
【図4】収容箱からインクカートリッジを取り出す手順(1)を示すインクカートリッジ装置の斜視図である。
【図5】収容箱からインクカートリッジを取り出す手順(2)を示すインクカートリッジ装置の斜視図である。
【図6】第2実施形態に係るインクカートリッジ装置の断面図である。
【図7】第3実施形態に係るインクカートリッジ装置の断面図である。
【図8】第4実施形態に係るインクカートリッジ装置の断面図である。
【図9】第5実施形態に係るインクカートリッジ装置の分解斜視図である。
【図10】従来のインクカートリッジの構造図である。
【符号の説明】
1 インクカートリッジ装置
2 インクカートリッジ
3 収容箱
3a 箱本体
3b 蓋体
4 通気口フィルム
5 供給口フィルム
6 補助フィルム
7 引剥しガイド部
8 飛散防止トレイ
21 カートリッジケース
21a 下ケース
21b 上ケース
22 周縁部
24 インク供給口
27 通気口
29a 上流端部
31 封止部
32 開封操作部
33 外端部
34 先端部
35 延長部
41 剥離操作部
42 剥離部
52 開放片
59 帯状片
59a 帯状片本体
59b 折込み部
63 スリット
64 インク吸収部
71 外向き突起
72 内向き突起

Claims (9)

  1. インク供給口を有するインクカートリッジと、
    箱本体および蓋体を有すると共に前記インクカートリッジを収容する収容箱と、
    前記インク供給口の縁部に引剥し可能に溶着され当該インク供給口を封止する封止部、および当該封止部に連なる開封操作部を有する供給口フィルムとを備え、
    前記開封操作部は、前記封止部に対しUターン方向に延在すると共に、前記箱本体のスリットから当該収容箱の外部に繰り出され、
    閉蓋状態の前記蓋体の内側には、前記収容箱の外部に繰り出された前記開封操作部の先端部が折り込まれ、
    前記箱本体には、前記収容箱の外部に繰り出された前記開封操作部を外側から覆う帯状片が延設され、
    前記帯状片は、前記開封操作部を前記箱本体の側面に添うように保持する保持部と、前記開封操作部の先端部と共に前記蓋体の内側に折り込まれる折込み部とを有し、
    前記保持部と前記折込み部とは、その境界部分に形成されたミシン目により切離し可能に連なると共に、前記折込み部には前記開封操作部の先端部が固着されていることを特徴とするインクカートリッジ装置。
  2. 前記封止部における前記開封操作部と逆側の端部は、前記箱本体に固着されていることを特徴とする請求項1に記載のインクカートリッジ装置。
  3. 前記インク供給口に対応する前記箱本体の内面には、インクを吸収可能なインク吸収部が設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載のインクカートリッジ装置。
  4. 前記インク供給口に対応する前記インクカートリッジの通気口の端部を大気に開放する通気口フィルムを更に備え、
    前記通気口フィルムは、前記通気口の縁部に引剥し可能に溶着された通気封止部、および当該通気封止部に連なる通気開封操作部を有し、
    前記通気開封操作部は前記蓋体に固着され、当該蓋体の開蓋動作により引き剥がされることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載のインクカートリッジ装置。
  5. 前記蓋体は、これを開放するため引き上げられる開放片を有し、
    前記通気開封操作部は、前記開放片に固着されていることを特徴とする請求項4に記載のインクカートリッジ装置。
  6. 前記箱本体の蓋体側上端部には、収容した前記インクカートリッジを把持して引き出すための切欠き部が形成されていることを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載のインクカートリッジ装置。
  7. インクジェットヘッドにインクを供給するインク供給口を有するインクカートリッジと、
    前記インク供給口を下側にして前記インクカートリッジを収容する収容箱と、
    前記インク供給口の縁部に引剥し可能に溶着され当該インク供給口を封止する封止部、および当該封止部に連なると共に前記収容箱に固着された開封操作部を有する供給口フィルムとを備え、
    前記インクカートリッジを前記収容箱から引き出す動作に伴って、前記封止部を当該収容箱内で引き剥がすようにしたインクカートリッジ装置において、
    前記封止部が引き剥がされた後、前記収容箱から前記インクカートリッジを引き出す動作を制動する制動手段をさらに備え、
    前記制動手段は、一端を前記インクカートリッジに引剥し可能に溶着され、他端を前記収容箱に固着した補助フィルムであり、
    前記補助フィルムの引剥し動作により前記引出し動作の制動が行われることを特徴とするインクカートリッジ装置。
  8. インクジェットヘッドにインクを供給するインク供給口を有するインクカートリッジと、
    前記インク供給口を下側にして前記インクカートリッジを収容する収容箱と、
    前記インク供給口の縁部に引剥し可能に溶着され当該インク供給口を封止する封止部、および当該封止部に連なると共に前記収容箱に固着された開封操作部を有する供給口フィルムとを備え、
    前記インクカートリッジを前記収容箱から引き出す動作に伴って、前記封止部を当該収容箱内で引き剥がすようにしたインクカートリッジ装置において、
    前記封止部が引き剥がされた後、前記収容箱から前記インクカートリッジを引き出す動作を制動する制動手段をさらに備え、
    前記制動手段は、前記インクカートリッジの前記インク供給口側の側面に形成した外向き突部と、前記収容箱の引出し口側の内面に形成された内向き突部とで構成され、
    前記外向き突部と前記内向き突部とが摺接することにより前記引出し動作の制動が行われることを特徴とするインクカートリッジ装置。
  9. インクジェットヘッドにインクを供給するインク供給口を有するインクカートリッジと、
    前記インク供給口を下側にして前記インクカートリッジを収容する収容箱と、
    前記インク供給口の縁部に引剥し可能に溶着され当該インク供給口を封止する封止部、および当該封止部に連なると共に前記収容箱に固着された開封操作部を有する供給口フィルムとを備え、
    前記インクカートリッジを前記収容箱から引き出す動作に伴って、前記封止部を当該収容箱内で引き剥がすようにしたインクカートリッジ装置において、
    前記封止部が引き剥がされた後、前記収容箱から前記インクカートリッジを引き出す動作を制動する制動手段をさらに備え、
    前記制動手段は、前記封止部の前記開封操作部とは逆側に連なり前記インクカートリッジに引剥し可能に溶着した溶着部であり、
    前記溶着部の引剥し動作により前記引出し動作の制動が行われることを特徴とするインクカートリッジ装置。
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