JP3657138B2 - 電子写真感光体およびそれを用いた画像形成装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、導電性を有する支持体上に下引き層と感光層とをこの順番に形成した電子写真感光体およびそれを用いた画像形成装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
現在実用化されている電子写真感光体(以下、単に「感光体」ともいう)として、導電性を有する支持体と感光層との間に下引き層を設けた構成がある。下引き層は、支持体からのキャリア注入の発生を抑制し、表面電荷の微視的な消失または減少による画像欠陥の発生を防止するために、また支持体表面の欠陥の被覆、支持体の導電性改善、感光層の接着性向上および感光層の塗布性改善などを目的として設けられる。
【0003】
下引き層は、樹脂単独または結着樹脂に無機顔料を含有して構成される。樹脂単独の下引き層に用いられる樹脂材料としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、アクリル樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリウレタン、エポキシ樹脂、ポリエステル、アルキド樹脂、メラミン樹脂、シリコン樹脂、ポリビニルブチラール、ポリアミド、これらの繰返し単位のうち2以上を含む共重合体樹脂、カゼイン、ゼラチン、ポリビニルアルコール、エチルセルロース樹脂および水溶性ポリビニルアセタールが挙げられる。しかし、このような下引き層を備える感光体は、繰返し使用時の残留電位の上昇や画像欠陥の発生の点で問題がある。
【0004】
一方、上述したような問題を抑制するために、結着樹脂に無機顔料を含有して下引き層が形成される。このような下引き層に関して、特開昭55−25030ではAg、Cu、NiおよびCなどを含有し、特開昭56−52757では表面未処理の酸化チタンを含有し、特開昭59−93453および特開平2−181158ではアルミナ表面処理を施した酸化チタンを含有し、特開平4−172362ではチタネート系カップリング剤で表面処理を施した金属酸化物を含有し、特開平4−229872ではシラン化合物で表面処理を施した金属酸化物を含有している。また、特許番号第2575129では酸化チタンと結着樹脂との比率を選択し、特開平6−282086および特開平8−29999ではさらにフタロシアニンを含有した感光層と組合せている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、結着樹脂に無機顔料を含有した下引き層を備える従来技術の感光体では、結着樹脂と無機顔料の組合せ、結着樹脂と無機顔料の比率および感光体の構成などが未だ適切ではなく、繰返し使用時の残留電位の上昇や画像欠陥の発生を充分に抑制できず、充分な感光特性が得られていない。
【0006】
本発明の目的は、繰返し使用時の残留電位の上昇や画像欠陥の発生を充分に抑制することができ、さらに、下引き層の接着性が高い電子写真感光体およびそれを用いた画像形成装置を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、導電性支持体上に下引き層と感光層とがこの順番に形成された電子写真感光体において、
前記下引き層は無機顔料と硬化性樹脂で実現される結着樹脂とを含有し、
前記下引き層中の結着樹脂(R)に対する無機顔料(P)の体積比率(P/R)は、0.3以上1.0以下の範囲に選ばれ、
前記硬化性樹脂は、アルキド樹脂とメラミン樹脂とエポキシ樹脂の混合物およびアクリル樹脂とメラミン樹脂とエポキシ樹脂の混合物のうちのいずれかであることを特徴とする電子写真感光体である。
【0008】
本発明に従えば、導電性支持体上に、硬化性樹脂で実現される結着樹脂と無機顔料との体積比率を上述のように最適化した下引き層を設け、該下引き層上に感光層を設けて感光体を構成することによって、繰返し使用時の残留電位の上昇や画像欠陥の発生を充分に抑制することができる。
【0009】
また、結着樹脂として、アルキド樹脂とメラミン樹脂とエポキシ樹脂の混合物およびアクリル樹脂とメラミン樹脂とエポキシ樹脂の混合物のうちのいずれかの硬化性樹脂を含有した下引き層を設けることによって、感光体の繰返し使用時の残留電位の上昇や画像欠陥の発生を充分に抑制することができ、さらに、下引き層の接着性が向上する。
【0011】
また本発明は、前記無機顔料は、酸化チタン、酸化亜鉛および硫酸バリウムのうちのいずれかであることを特徴とする。
【0012】
本発明に従えば、無機顔料として酸化チタン、酸化亜鉛および硫酸バリウムのうちのいずれかを含有した下引き層を設けることによって、感光体の繰返し使用時の残留電位の上昇や画像欠陥の発生を充分に抑制することができる。
【0013】
また本発明は、前記酸化チタンおよび酸化亜鉛は、表面未処理であることを特徴とする。
【0014】
本発明に従えば、無機顔料として表面未処理の酸化チタンまたは表面未処理の酸化亜鉛を含有した下引き層を設けることによって、感光体の繰返し使用時の残留電位の上昇や画像欠陥の発生を充分に抑制することができる。
【0015】
また本発明は、表面未処理の前記酸化チタンは、純度が99.0重量%以上であることを特徴とする。
【0016】
本発明に従えば、無機顔料としての表面未処理の酸化チタンの純度を上述のように最適化することによって、画像欠陥の発生をさらに充分に抑制することができる。
【0026】
また本発明は、前記感光層は、フタロシアニンを含有することを特徴とする。本発明に従えば、フタロシアニンを含有した感光層を設けることによって、感光体の繰返し使用時の残留電位の上昇や画像欠陥の発生を充分に抑制することができる。
【0027】
また本発明は、前記フタロシアニンは、
(a)X線回折スペクトルにおいて、ブラッグ角(2θ±0.2°)7.3°,9.4°,9.6°,11.6°,13.3°,17.9°,24.1°および27.2°に主要なピークを示し、9.4°と9.6°との重なったピーク束が最大のピーク強度を示し、かつ27.2°のピークが第2のピーク強度を示す結晶型オキソチタニルフタロシアニン、
(b)X線回折スペクトルにおいてブラッグ角(2θ±0.2°)9.5°,9.7°,11.7°,15.0°,23.5°,24.1°および27.3°に主要なピークを示す結晶型オキソチタニルフタロシアニンおよび
(c)X線回折スペクトルにおいてブラッグ角(2θ±0.2°)9.0°,14.2°,23.9°および27.1°に主要なピークを示す結晶型オキソチタニルフタロシアニンのうちのいずれかであることを特徴とする。
【0028】
本発明に従えば、(a)〜(c)のX線回折スペクトルを有する結晶型オキソチタニルフタロシアニンを含有した感光層を設けることによって、感光体の繰返し使用時の残留電位の上昇や画像欠陥の発生をさらに充分に抑制することができる。
【0032】
また本発明は、導電性支持体上に下引き層と感光層とがこの順番に形成された電子写真感光体を備える画像形成装置において、
前記電子写真感光体は、上述のうちのいずれか1つに記載の電子写真感光体であることを特徴とする画像形成装置である。
【0033】
本発明に従えば、上述したような感光体を設けることによって、画像形成装置において、感光体の繰返し使用時の残留電位の上昇や画像欠陥の発生を充分に抑制して高品位な画像を形成することができる。
【0034】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の実施の一形態である電子写真感光体1を示す断面図である。感光体1は、導電性を有する支持体2の上に少なくとも下引き層3と感光層4をこの順番に設けて構成される。図1の感光層4は電荷発生層5と電荷輸送層6を積層した機能分離型であるが、感光層4は電荷発生機能と電荷輸送機能を兼ね備えた単一層型であっても構わない。また、感光層4の上に表面保護層を設けても構わない。
【0035】
支持体1としては、アルミニウム、アルミニウム合金、銅、亜鉛、ニッケル、ステンレスおよびチタンなどの金属製ドラムが挙げられる。また、上記金属から成るシート、ポリエチレンテレフタレート、フェノール樹脂、ナイロンおよびポリスチレンなどの高分子樹脂から成るシート、ガラス板、および硬質紙などの上に金属箔をラミネートしてまたは金属を蒸着して導電処理を施したドラム、シートおよびシームレスベルトが挙げられる。さらに、上記金属シート、高分子樹脂シート、ガラス板および硬質紙などの上に酸化チタン、酸化錫、酸化インジウムおよびカーボンブラッグなどの導電性物質を適当な結着樹脂とともに塗布して導電処理を施したドラム、シートおよびシームレスベルトが挙げられる。
【0036】
下引き層3には、結着樹脂(R)としての硬化性樹脂と無機顔料(P)とが含有される。繰返し使用時の残留電位の上昇および画像欠陥の発生を抑制する上で、結着樹脂(R)に対する無機顔料(P)の体積比率(P/R)は0.3以上1.0以下の範囲に選ばれ、かつ下引き層3の膜厚は2.0μm以下の範囲に選ばれる。
【0037】
特に、結着樹脂(R)中での無機顔料(P)の分散性を考慮して、無機顔料の平均粒径を1μm以下の範囲に選ぶことが好ましい。
【0038】
下引き層3の結着樹脂(R)としては、生産性を考慮して熱硬化性樹脂を用いることが好ましい。このような樹脂としては、たとえばアクリル樹脂、アルキド樹脂、ポリウレタン、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂、ポリアミド、ポリエステル、マレイン酸樹脂、イソシアネート樹脂およびシリコン樹脂などの3次元網目構造を形成する樹脂が挙げられるが、特に、アルキド樹脂とメラミン樹脂とエポキシ樹脂の混合物およびアクリル樹脂とメラミン樹脂とエポキシ樹脂の混合物のうちのいずれかを用いることが好ましい。
【0039】
下引き層3の無機顔料(P)としては、酸化チタン、酸化錫、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、酸化アンチモン、酸化インジウムおよび酸化ジルコニウムなどが挙げられるが、特に酸化チタン、酸化亜鉛および硫酸バリウムのうちのいずれかが好ましい。また特に、表面未処理の酸化チタン、表面処理された酸化チタン、表面未処理の酸化亜鉛が好ましい。
【0040】
なお、表面未処理の無機顔料(P)を用いる場合、その純度を99重量%以上に選ぶことが好ましい。また、表面処理としては、アルミナやシリカなどの無機化合物またはステアリン酸などの有機化合物による表面処理が挙げられる。
【0041】
下引き層用塗布液は、ボールミル、サンドミル、アトライタ、振動ミル、コロイドミルおよび超音波分散機などを用いて分散され、また浸漬法、スプレー法、ビード法およびノズル法などの一般的な塗布方法で下引き層3が形成される。
【0042】
下引き層3の上に形成される感光層4の構造としては、上述したように電荷発生層5と電荷輸送層6との2層から成る機能分離型およびこれらの機能を単一層で実現した単一層型のいずれであっても構わない。
【0043】
機能分離型の感光層4では、たとえば下引き層3の上に電荷発生層5が形成される。電荷発生層5には電荷発生物質としてフタロシアニンが含有される。フタロシアニンとしては、(a)X線回折スペクトルにおいて、ブラッグ角(2θ±0.2°)7.3°,9.4°,9.6°,11.6°,13.3°,17.9°,24.1°および27.2°に主要なピークを示し、9.4°と9.6°との重なったピーク束が最大のピーク強度を示し、かつ27.2°のピークが第2のピーク強度を示す図2に示されるような結晶型オキソチタニルフタロシアニン、(b)X線回折スペクトルにおいて、ブラッグ角(2θ±0.2°)9.5°,9.7°,11.7°,15.0°,23.5°,24.1°および27.3°に主要なピークを示す図3に示されるような結晶型オキソチタニルフタロシアニンおよび(c)X線回折スペクトルにおいて、ブラッグ角(2θ±0.2°)9.0°,14.2°,23.9°および27.1°に主要なピークを示す図4に示されるような結晶型オキソチタニルフタロシアニンのうちのいずれかを用いることが好ましい。また、フタロシアニンとしては、τ型またはX型の無金属フタロシアニンを用いることが好ましい。
【0044】
なお、電荷発生物質としては、前記フタロシアニンの他に、クロロダイアンブルーなどのビスアゾ系化合物、ジブロモアンサンスロンなどの多環キノン系化合物、ペリレン系化合物、キナクリドン系化合物およびアズレニウム塩系化合物などを1種もしくは2種以上併用しても構わない。
【0045】
電荷発生層5の作成方法としては、電荷発生物質を真空蒸着することによって形成する方法および結着樹脂溶液中に電荷発生物質を分散し塗布して成膜する方法などがあるが、一般に後者の塗布方法が好ましい。塗布方法によって電荷発生層5を作成する場合、結着樹脂溶液中へ電荷発生物質を混合し分散する方法および塗布する方法としては、下引き層と同様の方法を採用することができる。
【0046】
電荷発生層用の結着樹脂としては、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、シリコン樹脂、ポリウレタン、アクリル樹脂、ポリカーボネート、ポリアリレート、フェノキシ樹脂、ブチラール樹脂および2以上の繰返し単位を含む共重合体樹脂などの絶縁性樹脂が挙げられる。2以上の繰返し単位を含む共重合体樹脂としては、たとえば塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂、アクリロニトリル−スチレン共重合体樹脂が挙げられる。電荷発生層用の結着樹脂は、これらの絶縁性樹脂に限定されるものではなく、一般的な樹脂を単独あるいは2種以上混合して使用することができる。
【0047】
電荷発生層用結着樹脂を溶解する溶媒としては、たとえば塩化メチレンおよび2塩化エタンなどのハロゲン化炭化水素、アセトン、メチルエチルケトンおよびシクロヘキサンなどのケトン類、酢酸エチルおよび酢酸ブチルなどのエステル類、テトラヒドロフランおよびジオキサンなどのエーテル類、ベンゼン、トルエンおよびキシレンなどの芳香族炭化水素類、およびN,N−ジメチルホルムアミドおよびN,N−ジメチルアセトアミドなどの非プロトン性極性溶媒を用いることができる。
【0048】
電荷発生層5の膜厚は、0.05μm以上5μm以下の範囲、特に0.1μm以上1μm以下の範囲に選ぶことが好ましい。
【0049】
機能分離型の感光層4において、電荷発生層5の上には電荷輸送層6が設けられる。電荷輸送層6の作成方法としては、下引き層3と同様の方法が用いられ、結着樹脂溶液中に電荷輸送物質を溶解させた電荷輸送用塗布液を作成し、これを塗布して成膜する方法が一般的である。電荷輸送物質としては、ヒドラゾン系化合物、ピラゾリン系化合物、トリフェニルアミン系化合物、トリフェニルメタン系化合物、スチルベン系化合物、オキサジアゾール系化合物およびエナミン系化合物などが知られており、これらを1種もしくは2種以上併用することができる。電荷輸送層用の結着樹脂としては、前記電荷発生層用の結着樹脂を1種もしくは2種以上混合して使用することができる。電荷輸送層6の膜厚は、5μm以上50μm以下の範囲、特に10μm以上40μm以下の範囲に選ぶことが好ましい。
【0050】
単一層構造の感光層4の膜厚は、5μm以上50μm以下の範囲、特に10μm以上40μm以下の範囲に選ぶことが好ましい。
【0051】
また、感度の向上、残留電位の低減および繰返し使用時の疲労低減などを目的として、感光層4に1種以上の電子受容性物質を添加しても構わない。電子受容性物質としては、たとえばパラベンゾキノン、クロラニル、テトラクロロ1,2−ベンゾキノン、ハイドロキノン、2,6−ジメチルベンゾキノン、メチル1,4−ベンゾキノン、α−ナフトキノンおよびβ−ナフトキノンなどのキノン系化合物、2,4,7−トリニトロ−9−フルオレノン、1,3,6,8−テトラニトロカルバゾール、p−ニトロベンゾフェノン、2,4,5,7−テトラニトロ−9−フルオレノンおよび2−ニトロフルオレノンなどのニトロ化合物、およびテトラシアノエチレン、7,7,8,8−テトラシアノキノジメタン、4−(p−ニトロベンゾイルオキシ)−2′,2′−ジシアノビニルベンゼンおよび4−(m−ニトロベンゾイルオキシ)−2′,2′−ジシアノビニルベンゼンなどのシアノ化合物を挙げることができる。これらの電子受容性物質のうち、フルオレノン系、キノン系化合物、およびCl、CNおよびNO2などの電子吸引性の置換基を有するベンゼン誘導体が特に好ましい。
【0052】
また、安息香酸、スチルベン化合物やその誘導体、およびトリアゾール化合物、イミダゾール化合物、オキサジアゾール化合物、チアゾール化合物およびその誘導体などの含窒素化合物類などの紫外線吸収剤や酸化防止剤を感光層4に添加しても構わない。
【0053】
また、必要に応じて、二塩基酸エステル、脂肪酸エステル、リン酸エステル、フタル酸エステルおよび塩素化パラフィンなどの可塑剤やシリコン樹脂などのレベリング剤を感光層4に混合して、加工性および可撓性を付与し、機械的物性を改良しても構わない。
【0054】
さらに、必要であれば、感光層4の表面を保護するために保護層を設けても構わない。表面保護層としては、熱可塑性樹脂、光または熱硬化性樹脂を用いることができる。また、表面保護層中に、前記紫外線吸収剤、酸化防止剤、金属酸化物などの無機材料、有機金属化合物、電子受容性物質、可塑剤およびレベリング剤などを含有させても構わない。
【0055】
なお、上述したような電子写真感光体1を備える画像形成装置も本発明の範囲に属するものである。
【0056】
以下、本発明を実施例によって説明するが、これにより本発明の態様が限定されるものではない。
【0057】
(実施例1)
直径65mm、長さ332mmのアルミニウム製のドラム形状の支持体2の上に、ペイントシェーカで10時間分散処理した下記組成の下引き層塗工液を浸漬塗工し、130℃で20分間乾燥して、膜厚1μmの下引き層3を形成した。下引き層塗工液において、酸化チタン(無機顔料)の比重は4.2であり、アルキド樹脂、メラミン樹脂およびエポキシ樹脂(結着樹脂)の比重は1.3であり、酸化チタン(P)/結着樹脂(R)は、体積比で、0.50/1.00である。また酸化チタンPT−101の平均粒径は0.07μmであり、純度は99.96重量%である。
【0058】
[下引き層塗工液]
酸化チタン
PT−101(石原産業社製) 64.6重量部
アルキド樹脂(固形分濃度50重量%)
M6402−50(大日本インキ社製) 56重量部
メラミン樹脂(固形分濃度60重量%)
L121−60(大日本インキ社製) 13.3重量部
エポキシ樹脂(固形分濃度70重量%)
1050−70X(大日本インキ社製) 5.7重量部
メチルエチルケトン 262.7重量部
【0059】
次に、下引き層3の上に、ペイントシェーカで2時間分散処理した下記組成の電荷発生層塗工液を浸漬塗工し、120℃で10分間乾燥して、膜厚0.3μmの電荷発生層5を形成した。
【0060】
【0061】
実施例1で用いた結晶型オキソチタニルフタロシアニンをCuKα=1.54050ÅをX線源として、θ/2θスキャン法で回折スペクトルを測定したところ、図2のようなX線回折スペクトルが得られた。図2から、この結晶型オキソチタニルフタロシアニンは、ブラッグ角(2θ±0.2°)7.3°,9.4°,9.6°,11.6°,13.3°,17.9°,24.1°および27.2°に主要な回折ピークを示し、特に9.4°と9.6°の重なったピーク束が最大ピーク強度を示し、かつ27.2°のピークが第2のピーク強度を示すことが判る。
【0062】
次に、電荷発生層5の上に、撹拌・溶解処理した下記組成の電荷輸送層塗工液を浸漬塗工し、120℃で20分間乾燥して、膜厚20μmの電荷輸送層6を形成し、感光体1を得た。
【0063】
[電荷輸送層塗工液]
下記構造式(I)の電荷輸送物質 8重量部
【0064】
【化1】
【0065】
【0066】
(実施例2)
実施例1で作成した下引き層塗工液を以下のように代えた以外は、実施例1と同様にして感光体1を作成した。下引き層塗工液において、酸化チタンの比重は4.2であり、アクリル樹脂、メラミン樹脂およびエポキシ樹脂の比重は1.3であり、P/Rは体積比で0.50/1.00である。
【0067】
[下引き層塗工液]
酸化チタン
PT−101(石原産業社製) 64.6重量部
アクリル樹脂(固形分濃度60重量%)
A460−60(大日本インキ社製) 43.3重量部
メラミン樹脂(固形分濃度60重量%)
G821−60(大日本インキ社製) 16.7重量部
エポキシ樹脂(固形分濃度70重量%)
1050−70X(大日本インキ社製) 5.7重量部
メチルエチルケトン 262.7重量部
【0068】
(比較例1)
実施例1で作成した下引き層塗工液を以下のように代えた以外は、実施例1と同様にして感光体1を作成した。下引き層塗工液において、酸化チタンの比重は4.2であり、アルキド樹脂およびメラミン樹脂の比重は1.3であり、P/Rは体積比で0.50/1.00である。
【0069】
[下引き層塗工液]
酸化チタン
PT−101(石原産業社製) 64.6重量部
アルキド樹脂(固形分濃度50重量%)
M6402−50(大日本インキ社製) 64重量部
メラミン樹脂(固形分濃度60重量%)
L121−60(大日本インキ社製) 13.3重量部
メチルエチルケトン 262.7重量部
【0070】
(比較例2)
実施例1で作成した下引き層塗工液を以下のように代えた以外は、実施例1と同様にして感光体1を作成した。下引き層塗工液において、酸化チタンの比重は4.2であり、アクリル樹脂およびメラミン樹脂の比重は1.3であり、P/Rは体積比で0.50/1.00である。
【0071】
[下引き層塗工液]
酸化チタン
PT−101(石原産業社製) 64.6重量部
アクリル樹脂(固形分濃度60重量%)
A460−60(大日本インキ社製) 50重量部
メラミン樹脂(固形分濃度60重量%)
G821−60(大日本インキ社製) 16.7重量部
メチルエチルケトン 262.7重量部
【0110】
(評価1)
実施例1,2および比較例1,2で作成した感光体1をシャープ社製デジタル複写機AR−5130改造機に装着し、初期と30K枚複写動作後の暗部電位(VO)および明部電位(VL)を測定した。また、反転現像方式にて画像を形成して画像上の粒状の地汚れ(黒ポチ)の有無を確認した。その結果を表1に示す。また、感光体1の上に2mm間隔で5×5の合計25個の碁盤目状の切れ目をつけ、これをセロハンテープで剥離して感光体1の上に残った升目の数を評価する接着性評価を行った結果を表1にともに示す。なお、接着性はセロハンテープ剥離後感光層に残った升目の数/25で表している。
【0111】
【表1】
【0112】
上記の結果から、導電性支持体2上に、硬化性樹脂で実現される結着樹脂(R)に対する無機顔料(P)との体積比率(P/R)を0.3以上1.0以下である下引き層3を設け、下引き層3上に感光層4を設けて構成する感光体(実施例1,2および比較例1,2)において、複写機内で繰返し使用したときの電位変動が小さく、かつ黒ポチのない良好な画像が得られることが判る。
【0113】
さらに、アルキド系樹脂、メラミン系樹脂およびエポキシ系樹脂の混合樹脂を用いること(実施例1)によって、またアクリル系樹脂、メラミン系樹脂およびエポキシ系樹脂の混合樹脂を用いること(実施例2)によって、接着性が向上することが判る。
【0137】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、導電性支持体上に下引き層を設け、該下引き層上に感光層を設け、前記下引き層として、無機顔料と硬化性樹脂で実現される結着樹脂を、下引き層中の結着樹脂に対する無機顔料の体積比率が0.3以上1.0以下の範囲となるようにして含有して、下引き層における結着樹脂と無機顔料との比率を最適化したので、繰返し使用時の残留電位の上昇や画像欠陥の発生を充分に抑制することができる。
【0138】
さらに、結着樹脂として、アルキド樹脂とメラミン樹脂とエポキシ樹脂の混合物およびアクリル樹脂とメラミン樹脂とエポキシ樹脂の混合物のうちのいずれかの硬化性樹脂を用いることが特に好ましい。
【0139】
また本発明によれば、無機顔料として酸化チタン、酸化亜鉛および硫酸バリウムのうちのいずれかを用いることが特に好ましい。
【0140】
また本発明によれば、特に表面未処理の酸化チタンまたは表面未処理の酸化亜鉛を用いることが好ましい。
【0141】
また本発明によれば、表面未処理の前記酸化チタンの純度を99.0重量%以上となるように最適化することによって、画像欠陥の発生をさらに充分に抑制することができる。
【0143】
また本発明によれば、特にフタロシアニンを含有する感光層を設けることが好ましい。
【0144】
また本発明によれば、フタロシアニンとして(a)X線回折スペクトルにおいて、ブラッグ角(2θ±0.2°)7.3°,9.4°,9.6°,11.6°,13.3°,17.9°,24.1°および27.2°に主要なピークを示し、9.4°と9.6°との重なったピーク束が最大のピーク強度を示し、かつ27.2°のピークが第2のピーク強度を示す結晶型オキソチタニルフタロシアニン、(b)X線回折スペクトルにおいてブラッグ角(2θ±0.2°)9.5°,9.7°,11.7°,15.0°,23.5°,24.1°および27.3°に主要なピークを示す結晶型オキソチタニルフタロシアニンおよび(c)X線回折スペクトルにおいてブラッグ角(2θ±0.2°)9.0°,14.2°,23.9°および27.1°に主要なピークを示す結晶型オキソチタニルフタロシアニンのうちのいずれかを用いることが特に好ましい。
【0145】
また本発明によれば、上述したような電子写真感光体を備える画像形成装置では、感光体の繰返し使用時の残留電位の上昇や画像欠陥の発生を充分に抑制して高品位な画像を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の一形態である電子写真感光体1を示す断面図である。
【図2】結晶型オキソチタニルフタロシアニンのX線スペクトルを示すグラフである。
【図3】他の結晶型オキソチタニルフタロシアニンのX線スペクトルを示すグラフである。
【図4】さらに他の結晶型オキソチタニルフタロシアニンのX線スペクトルを示すグラフである。
【符号の説明】
1 電子写真感光体
2 導電性支持体
3 下引き層
4 感光層
5 電荷発生層
6 電荷輸送層
Claims (7)
- 導電性支持体上に下引き層と感光層とがこの順番に形成された電子写真感光体において、
前記下引き層は無機顔料と硬化性樹脂で実現される結着樹脂とを含有し、
前記下引き層中の結着樹脂(R)に対する無機顔料(P)の体積比率(P/R)は、0.3以上1.0以下の範囲に選ばれ、
前記硬化性樹脂は、アルキド樹脂とメラミン樹脂とエポキシ樹脂の混合物およびアクリル樹脂とメラミン樹脂とエポキシ樹脂の混合物のうちのいずれかであることを特徴とする電子写真感光体。 - 前記無機顔料は、酸化チタン、酸化亜鉛および硫酸バリウムのうちのいずれかであることを特徴とする請求項1記載の電子写真感光体。
- 前記酸化チタンおよび酸化亜鉛は、表面未処理であることを特徴とする請求項2記載の電子写真感光体。
- 表面未処理の前記酸化チタンは、純度が99.0重量%以上であることを特徴とする請求項3記載の電子写真感光体。
- 前記感光層は、フタロシアニンを含有することを特徴とする請求項1記載の電子写真感光体。
- 前記フタロシアニンは、
(a)X線回折スペクトルにおいて、ブラッグ角(2θ±0.2°)7.3°,9.4°,9.6°,11.6°,13.3°,17.9°,24.1°および27.2°に主要なピークを示し、9.4°と9.6°との重なったピーク束が最大のピーク強度を示し、かつ27.2°のピークが第2のピーク強度を示す結晶型オキソチタニルフタロシアニン、
(b)X線回折スペクトルにおいてブラッグ角(2θ±0.2°)9.5°,9.7°,11.7°,15.0°,23.5°,24.1°および27.3°に主要なピークを示す結晶型オキソチタニルフタロシアニンおよび
(c)X線回折スペクトルにおいてブラッグ角(2θ±0.2°)9.0°,14.2°,23.9°および27.1°に主要なピークを示す結晶型オキソチタニルフタロシアニンのうちのいずれかであることを特徴とする請求項5記載の電子写真感光体。 - 導電性を有する支持体上に下引き層と感光層とがこの順番に形成された電子写真感光体を備える画像形成装置において、
前記電子写真感光体は、請求項1〜6のうちのいずれか1つに記載の電子写真感光体であることを特徴とする画像形成装置。
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