JP3464407B2 - 電子写真感光体およびその製造方法 - Google Patents

電子写真感光体およびその製造方法

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    • G03G5/0675Azo dyes
    • G03G5/0679Disazo dyes

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば、複写機、
レーザープリンタなどの電子写真出力装置に用いられる
電子写真感光体およびその製造方法に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】従来、電子写真感光体の光導電性材料
(電荷生成物質・電荷輸送物質)として、例えば、S
e、CdS、Zn等の無機材料が用いられていた。しか
しながらこれらの無機材料は、光感度(特に、長波長域
における光感度)、熱安定性、毒性等の点で問題を有し
ている。そのため、近年では成膜性に優れ、加えて上記
問題を有しない材料の選択幅の広さから、光導電性材料
(電荷生成物質および/または電荷輸送物質)として有
機材料を用いた電子写真感光体の開発が盛んに行われて
いる。
【0003】光導電性材料として有機材料を用いた電子
写真感光体としては、例えば、a)バインダ樹脂(結着
剤)中に、有機材料よりなる電荷生成物質と、電荷輸送
物質とを分散させた単層型の電子写真感光体、b)有機
材料よりなる電荷生成物質を含む電荷生成層と、電荷輸
送物質を含む電荷輸送層とを導電性支持体上に積層した
積層型(機能分離型)の電子写真感光体が挙げられる。
【0004】上記単層型の電子写真感光体としては、例
えば特公昭50−10496号公報、および特開平3−
65961号公報等に開示された、ペリレン顔料やフタ
ロシアニン顔料を電荷生成物質として用いてなる電子写
真感光体を挙げることができる。単層型の電子写真感光
体は、生産が容易で、かつ有害物質(オゾン)が発生し
にくい動作プロセスを有し、さらに、低コストでの提供
が可能である。尚、単層型の電子写真感光体は、材料性
能上の制約から、正帯電型が主流となっている。
【0005】また、上記積層型の電子写真感光体は、処
方設計が容易であること、高感度・高安定性であること
等の利点を有し、光導電性材料として有機材料を用いた
電子写真感光体の主流を占めている。積層型の電子写真
感光体としては、例えば、特公昭55−42380号公
報等に、特定有機化合物を含有した電荷生成層と電荷輸
送物質とを組み合わせたものが開示されている。
【0006】一方、近年のデジタル化・ネットワーク化
に対する要求に応えるために、電子写真出力装置とし
て、例えば、レーザービームプリンターやデジタル複写
機等、半導体レーザーおよびLED(Light Emitted di
ode)等を光源とするものが急増している。
【0007】上記のような、デジタル光源を利用した電
子写真出力装置には、従来のアナログ用の感光体を利用
することができない。これは、従来のアナログ用の感光
体は可視光領域に感度を有し、その多くが550nm付
近にピーク波長をもつため、半導体レーザ等のデジタル
光源(一般に、670nm付近や、780nm付近にピ
ーク波長をもつ)に対しては感度を持たないためであ
る。すなわち、デジタル光源を用いてなる電子写真出力
装置用の感光体の開発には、単層型・積層型にかかわら
ず、近赤外光領域の光に対しても強い吸収を有する電荷
生成物質を用いる必要がある。
【0008】近赤外光領域の光に対して高感度を有す
る、光導電性の電荷生成顔料(電荷生成物質)の代表的
なものとして、例えば、チタニルフタロシアニン、バナ
ジルフタロシアニン、アルミクロロフタロシアニン、イ
ンジウムクロロフタロシアニン、ガリウムヒドロキシフ
タロシアニン、ガリウムクロルフタロシアニン等の含金
属フタロシアニン顔料;中心部に金属原子をもたない無
金属フタロシアニン顔料;等が挙げられる。また比較的
特異な材料であるがピロール系顔料・トリスアゾ系顔料
等も、光導電性の電荷生成顔料として挙げることができ
る。
【0009】上記例示の有機顔料は、それぞれ数種〜数
十種の固有の結晶型を持つことが報告されており、各結
晶型により光に対する感度が異なっている。例えば、チ
タニルフタロシアニンに代表される含金属フタロシアニ
ン顔料は、無金属フタロシアニン顔料と比べて特定の結
晶型では高感度となる。しかしながら、該結晶型の含金
属フタロシアニン顔料の製造工程は、工業的に複雑な結
晶転換処理を要する等複雑であり、製造コストが非常に
高くなる。
【0010】また、ピロール系顔料やトリスアゾ系顔料
等も非常に特殊な材料であり、一般的な無金属フタロシ
アニン顔料や、アナログ用の感光体に多く使用されてい
るビスアゾ顔料と比較した場合、同様に高価な材料とな
っている。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】上記の理由により、電
荷生成物質として比較的安価である無金属フタロシアニ
ン顔料を用いた電子写真感光体が数多く提案されている
(特開昭62−150255号公報、特開昭62−22
6156号公報、特開平7−128890号公報、特開
平8−278649号公報等参照)。しかしながら、無
金属フタロシアニン顔料を用いた電子写真感光体では、
材料コストを低減することは出来るものの、感光体とし
て要求される十分な特性(電子写真実用特性)を得るこ
とが困難となる。
【0012】具体的には、例えば、上記電子写真感光体
は、感度の安定性に劣り、また、繰り返し使用時には、
帯電電位の低下や、残留電位の上昇などの静電特性の安
定性にかかる問題が発生する。その結果、該電子写真感
光体を用いてなる電子写真出力装置においては、実使用
時に画像濃度不良や地肌かぶりが発生し、高信頼性が得
ることが困難となる。上記の問題は、電荷生成物質とし
て無金属フタロシアニン顔料を用いてなる単層型の感光
体のみならず、単層型と比較して特性的に優れている積
層型の感光体においても発生する。
【0013】本発明は、上記問題点を解決するためにな
されたものであって、その目的は、汎用性が高く低コス
ト材料として知られているX型無金属フタロシアニンを
電荷生成物質とした電子写真感光体において、実用上問
題のない十分な感度を有し、かつ、繰り返し使用時にお
いても、帯電電位の低下や残留電位の上昇などの静電特
性の安定性にかかる問題の発生しない電子写真感光体、
およびその製造方法を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】本願発明者等は、電子写
真感光体およびその製造方法について鋭意検討した。そ
の結果、感光層中に、電荷生成物質として近赤外光領域
に高感度を有するX型無金属フタロシアニン(X型無金
属フタロシアニン顔料)と、可視光領域に高感度を有す
る特定のジスアゾ化合物(ビスアゾ化合物)とを含有さ
せることにより、1)上記構造のジスアゾ化合物または
X型無金属フタロシアニンをそれぞれ単独に用いた場合
の感度の総和以上の増感効果を有し、2)繰り返し使用
時においても帯電電位の低下や残留電位の上昇などがな
い、すなわち、静電特性が安定した電子写真感光体を提
供することができることを見い出して、本発明を完成さ
せるに至った。
【0015】即ち、請求項1記載の発明の電子写真感光
体は、上記の課題を解決するために、電荷生成物質と電
荷輸送物質とを含んでなる感光層を、導電性支持体上に
設けた電子写真感光体において、上記感光層が、電荷生
成物質を含んでなる電荷生成層と、下記一般式(20)
【化36】 で表される電荷輸送物質を含んでなる電荷輸送層とを有
し、上記電荷生成物質としてX型無金属フタロシアニン
と、下記一般式(1)
【0016】
【化8】
【0017】(ただし、上記一般式(1)中、Aおよび
Bはそれぞれ、下記一般式(2)、(4)、(6)で表
されるカプラー残基のいずれか一つを示す。また、Aと
Bと、同一構造のカプラー残基とする。)
【0018】
【化9】
【0019】
【0020】
【化11】
【0021】
【0022】
【化13】
【0023】
【0024】(上記一般式(2)、(4)、(6)中、
1 は、水素原子もしくはCONHR(Rは、水素原
子、置換基を有していてもよいアルキル基、アリール
基、または複素環基を表す)を表し、Zは、ベンゼン環
と縮合して芳香族環あるいは芳香族複素環を形成する残
基を表し、X 5 は独立に、置換基を有していてもよいア
ルキル基、アリール基、または複素環基を表し、X 6
独立に、水素原子、シアノ基、カルバモイル基、カルボ
キシル基、エステル基またはアシル基を表し、X 7 およ
びX8 は独立に、水素原子、ハロゲン基、ニトロ基、置
換基を有していてもよいアルキル基、アルコキシ基を表
し、Yは芳香族複素環を形成する残基を表す。)で表さ
れるジスアゾ化合物とが含まれているとともに、上記電
荷生成層における、上記X型無金属フタロシアニンに対
する上記ジスアゾ化合物の量が、X型無金属フタロシア
ニン100重量部に対して、10重量部〜70重量部の
範囲内であることを特徴としている。
【0025】請求項2記載の発明の電子写真感光体は、
上記の課題を解決するために、請求項1記載の構成にお
いて、上記X型無金属フタロシアニン、および、上記ジ
スアゾ化合物の粒子メジアン径が、1.0μm以下であ
ることを特徴としている。
【0026】請求項3記載の発明の電子写真感光体は、
上記の課題を解決するために、請求項1または2に記載
の構成において、電荷生成物質を結着する結着剤を含
み、上記結着剤が、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体系
樹脂であることを特徴としている。
【0027】請求項4記載の発明の電子写真感光体は、
上記の課題を解決するために、請求項1ないし3の何れ
か1項に記載の構成において、上記感光層と上記導電性
支持体との間には、さらに中間層が設けられており、上
記中間層は、導電性粉体と、中間層結着剤と、金属酸化
物粒子、あるいは、該金属酸化物粒子にシランカップリ
ング剤、チタンカップリング剤、クロムカップリング剤
の何れかにより表面処理を施したものとを含むことを特
徴としている。
【0028】上記の構成によれば、1)上記構造のジス
アゾ化合物またはX型無金属フタロシアニンをそれぞれ
単独に用いた場合の感度の総和以上の増感効果を有し、
加えて、2)繰り返し使用時においても静電特性が安定
した電子写真感光体を提供することができる。
【0029】さらに、結着剤(特に、塩化ビニル−酢酸
ビニル共重合体系樹脂)中に、上記2系統の電荷生成物
質が共分散された構成の感光体とすれば、より良好な特
性を有する電子写真感光体を提供することができる。
【0030】したがって、本発明にかかる電子写真感光
体を用いることにより、可視光〜近赤外光領域の光に対
して、むらのない極めて優れた感度を有し、さらに、繰
り返し使用時においても画像濃度の低下や地肌汚れの発
生しない電子写真出力装置を実現することができる。
【0031】また、請求項5記載の発明の電子写真感光
体の製造方法は、上記の課題を解決するために、請求項
1ないし4のいずれか一項に記載の電子写真感光体の製
造方法であって、上記ジスアゾ化合物を、上記X型無金
属フタロシアニンの共存下で粉砕処理する工程を含んで
いることを特徴としている。
【0032】請求項6記載の発明の電子写真感光体の製
造方法は、上記の課題を解決するために、請求項1ない
し4のいずれか一項に記載の電子写真感光体の製造方法
であって、上記X型無金属フタロシアニン、および、上
記ジスアゾ化合物を含んでなる電荷生成層用または感光
層用の塗液を調製する工程を含み、上記塗液に含まれる
電荷生成物質分散溶媒として、メチルエチルケトン、シ
クロヘキサノン、テトラヒドロフランのいずれか一つを
少なくとも含んでなる溶媒が使用されることを特徴とし
ている。
【0033】上記の方法によれば、1)上記構造のジス
アゾ化合物またはX型無金属フタロシアニンをそれぞれ
単独に用いた場合の感度の総和以上の増感効果を有し、
加えて、2)繰り返し使用時においても静電特性が安定
した電子写真感光体を提供することができる。
【0034】したがって、本発明にかかる製造方法によ
り製造された電子写真感光体を用いることで、可視光〜
近赤外光領域の光に対して、むらのない極めて優れた感
度を有し、さらに、繰り返し使用時においても画像濃度
の低下や地肌汚れの発生しない電子写真出力装置を実現
することができる。
【0035】
【発明の実施の形態】本発明にかかる電子写真感光体
(以下、単に感光体と称する)は、導電性支持体上に電
荷生成物質と電荷輸送物質とを含んでなる感光層(光導
電層)を設けた感光体において、上記電荷生成物質とし
てX型無金属フタロシアニン(X型無金属フタロシアニ
ン顔料)と、特定の構造を有するジスアゾ化合物(ジス
アゾ顔料)とを含んでいる構成である。
【0036】上記の導電性支持体は、感光体の電極とし
て機能すると同時に、他の各層(具体的には、導電性支
持体上に積層される感光層、中間層などを指す)の支持
体として機能している。該導電性支持体の形状は、特に
限定されるものではなく、具体的には、例えば、円筒
状、板状、フィルム状、ベルト状等を挙げることができ
る。また、その材質も、導電性を有すれば特に限定され
るものではなく、例えば、アルミニウム、ステンレス
鋼、ニッケル等の金属;あるいは、ガラス、樹脂などの
上に導電処理を施したもの;等であってもよい。
【0037】上記導電性支持体の導電性は特に限定され
るものではないが、体積抵抗が1010Ωcm以下であれ
ばより好ましい。導電性支持体をなす材質によっては、
体積抵抗を好適な値に調整する目的で表面に酸化処理を
施してもよい。
【0038】上記の感光層は、以下に述べる特定の構造
を有するジスアゾ化合物・X型無金属フタロシアニン
(電荷生成物質)、並びに、電荷輸送物質とを含んでな
るものである。
【0039】感光層の構造としては、a)単一の感光層
中に、電荷生成物質と電荷輸送物質とが分散されてなる
単層型のもの、b)感光層が、電荷生成物質を分散して
なる電荷生成層と、電荷輸送物質を分散してなる電荷輸
送層とにより構成される積層型のものが挙げられる。
【0040】電荷輸送物質としては、電子輸送物質(電
子輸送性物質)と正孔輸送物質とを挙げることができ
る。電子輸送物質としては、2,4,7−トリニトロ−
9−フルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロ−9
−フルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロキサン
トン、ジフェノキノン誘導体、ベンゾキノン誘導体、等
が挙げられるが、特にこれらに限定されるものではな
い。
【0041】また、正孔輸送物質としては、ヒドラゾン
誘導体、ピレン誘導体、ピレン−ホルムアルデヒド縮合
物およびその誘導体、オキサゾール誘導体、オキサジア
ゾール誘導体、イミダゾール誘導体、モノアリールアミ
ン誘導体、ジアリールアミン誘導体、スチルベン誘導
体、エナミン誘導体、α−フェニルスチルベン誘導体、
ベンジジン誘導体、ジアリールメタン誘導体、トリアリ
ールメタン誘導体、アントラセン誘導体、ピラゾリン誘
導体、インデン誘導体、ブタジエン誘導体、ポリシラン
化合物、ポリゲルマン化合物、等が挙げられるが、特に
これらに限定されるものではない。これらの電荷輸送物
質は、必要に応じて、二種類以上を同時に用いてもよ
い。
【0042】電荷生成物質としてのX型無金属フタロシ
アニンは、例えば、α型無金属フタロシアニンをミリン
グ処理することにより製造される。該X型無金属フタロ
シアニンの種類は特に限定されるものではなく、従来公
知のものを使用することができる。X型無金属フタロシ
アニンは、近赤外光領域に高感度を有するものである。
X型無金属フタロシアニンは、一種類のみを用いてもよ
く、二種類以上を同時に用いてもよい。
【0043】電荷生成物質としてのジスアゾ化合物は、
上記一般式(1)で表される構造を有するものであれ
ば、特に限定されるものではない。上記のジスアゾ化合
物は、一種類のみを用いてもよく、二種類以上を同時に
用いてもよい。
【0044】上記のジスアゾ化合物として、具体的に
は、下記化学構造式(8)〜(11)、および、化学構
造式(21)、(22)に示すものを挙げることができ
るが、特にこれらに限定されるものではない。
【0045】
【化15】
【0046】
【化16】
【0047】
【化17】
【0048】
【化18】
【0049】尚、以下に示す実施例においては、化学構
造式(8)〜(11)に示すジスアゾ化合物を、順に、
ジスアゾ化合物(1)〜ジスアゾ化合物(4)と称する
ものとする。
【0050】上記ジスアゾ化合物の製造方法は特に限定
されるものではないが、例えば、相当するジアゾニウム
塩化合物とA・Bに相当するカプラーとを2段階で順次
反応させることにより製造することができる。尚、Aと
Bとが同一の構造を有する場合には、反応は一段階で行
えばよい。尚、上記ジスアゾ化合物は、一般に可視光領
域に高感度を有する。
【0051】本発明にかかる感光体は上記説明のよう
に、感光層中に、電荷生成物質として近赤外光領域に高
感度を有するX型無金属フタロシアニン(X型無金属フ
タロシアニン顔料)と、可視光領域に高感度を有する特
定のジスアゾ化合物(ジスアゾ顔料)とを含有させた構
成である。
【0052】上記構成によれば、例えば、以下に示す効
果を奏する。
【0053】1)上記構造のジスアゾ化合物またはX型
無金属フタロシアニンをそれぞれ単独に用いた場合の感
度の総和以上の増感効果を有すること、2)繰り返し使
用時においても帯電電位の低下や残留電位の上昇などが
ない、すなわち、静電特性が安定していること。
【0054】したがって、本発明にかかる感光体を用い
ることにより、可視光〜近赤外光領域の光に対して、む
らのない極めて優れた感度を有し、さらに、繰り返し使
用時においても画像濃度の低下や地肌汚れの発生しない
電子写真出力装置(例えば、具体的には、複写機や各種
プリンタ等)を実現することができる。上記説明の電荷
生成物質の組み合わせで、良好な感光体特性が得られる
理由は明確ではないが、その理由の一つとして、上記構
造のジスアゾ化合物とX型無金属フタロシアニンとが、
エネルギーレベル的にマッチング性が良いことが推察さ
れる。
【0055】さらに、後述する結着剤(電荷生成層用結
着剤・感光層用結着剤)中に、上記2系統の電荷生成物
質が共分散された構成の感光体とすれば、より良好な特
性を得ることができる。この理由は明確ではないが、そ
の理由の一つとして、電荷生成物質粒子の接触界面で光
−電子的な相互作用が起こっていることが推察される。
【0056】以下、本発明にかかる感光体を、図1ない
し図3を適宜参照しながら具体的に説明する。
【0057】本発明にかかる感光体としては、電荷の生
成過程と輸送過程とが感光層中の同一の層において行わ
れる単層型のものと、上記2つの過程が感光層中の別々
の層において行われる積層型(機能分離型)のものとの
が挙げられる。
【0058】本発明にかかる積層型の感光体は、例え
ば、図1に示すように、導電性支持体11上に、電荷生
成物質13aを含んでなる電荷生成層(電荷発生層)1
3と、電荷輸送物質14aを含んでなる電荷輸送層14
とが積層された感光層15が設けられた構成である。
【0059】また、上記積層型の感光体は、例えば、図
2に示すように、導電性支持体11と感光層15との問
に、導電性粉体となる金属微粒子又は金属酸化物微粒子
等を、中間層用結着剤(バインダ樹脂等)中に分散した
中間層(下引き層)12をさらに設けた構成とすること
もできる。
【0060】電荷生成層13は、より具体的には、電荷
生成物質13aとしてのX型無金属フタロシアニンと、
上記一般式(1)で表されるジスアゾ化合物とが、電荷
生成層用結着剤(結着剤)中に分散された構成である。
該電荷生成層13は、これらの成分(電荷生成物質13
aおよび電荷生成層用結着剤)を、以下に述べる適当な
電荷生成層用溶媒(電荷生成物質分散溶媒、以下、溶媒
Aと称する)中に分散・溶解して電荷生成層用塗液を調
製し、これを導電性支持体11あるいは中間層12上に
塗布し、乾燥することにより形成される。
【0061】電荷生成層13の形成方法として、具体的
には、1)電荷生成層用結着剤を適当な溶媒A中に溶解
してなる溶液に、電荷生成物質13aの粒子を分散して
電荷生成層用塗液を調製し、該塗液を導電性支持体11
あるいは中間層12上に塗布し乾燥する方法、2)適当
な溶媒A中に電荷生成物質13aの粒子をあらかじめ分
散し、続いて、該溶媒A中に電荷生成層用結着剤を溶解
して電荷生成層用塗液を調製し、該塗液を導電性支持体
11あるいは中間層12上に塗布し乾燥する方法、3)
X型無金属フタロシアニン、および上記ジスアゾ化合物
を、溶媒A・Aに別々に分散処理した後に、分散液同士
を混合して電荷生成層用塗液を調製し、該塗液を導電性
支持体11あるいは中間層12上に塗布し乾燥する方
法、等を挙げることができるが特にこれらに限定される
ものではない。尚、上記のX型無金属フタロシアニン
と、上記のジスアゾ化合物とを一つの溶媒Aに分散する
際の順序等は特に限定されるものではない。
【0062】溶媒Aへの、電荷生成層用結着剤の溶解、
および/または、電荷生成物質13aの分散を行う際に
は、超音波分散器等のほかにも、例えば、ボールミル、
ペイントシェーカー、サンドミル、ダイノーミルなどの
機器を使用してもよい。これらの機器を使用することに
より、電荷生成物質13aの混合および粉砕処理(ミリ
ング処理であってもよい)を同時に行うことができる。
【0063】尚、上記のX型無金属フタロシアニンと、
上記のジスアゾ化合物とを同一の溶媒Aに投入し(すな
わち、上記のジスアゾ化合物・X型無金属フタロシアニ
ン共存下で)、同時に粉砕処理を行なったものを電荷生
成層用塗液として用いれば、最終的に製造される感光体
が、より高感度で安定性に優れたものとなるため好まし
い。この理由については明らかではないが、その一つと
して、電荷生成物質13a同士の相互作用が生じやすく
なり特性が向上することが考えられる。また、上記のX
型無金属フタロシアニンと、上記のジスアゾ化合物と
を、溶媒Aに投入する以前の工程で、同時に(共存下
で)粉砕処理を行なうことによっても、同様の効果を得
ることができる。
【0064】電荷生成層用結着剤としては、具体的に
は、例えば、ポリアミド、ポリウレタン、エポキシ樹
脂、ポリカーボネート樹脂、シリコーン樹脂、アクリル
樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルホルマー
ル、ポリスチレン、ポリアクリルアミド、ポリエステ
ル、フェノキシ樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合
体、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合
体、塩化ビニル−酢酸ビニル−ビニルアルコール共重合
体、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール等のバイン
ダ樹脂;カゼイン等のタンパク質;等を挙げることがで
きるが、特に限定されるものではない。上記電荷生成層
用結着剤として、例えば、塩化ビニル−酢酸ビニル共重
合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合
体、塩化ビニル−酢酸ビニル−ビニルアルコール共重合
体等の、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体系樹脂を使用
すれば、特に感度面でより良好な結果が得られ、なかで
も、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合体
を使用すれば、特に良好な結果が得られる。塩化ビニル
−酢酸ビニル共重合体系樹脂を使用することで、良好な
結果が得られる理由は明らかではないが、該共重合体特
異の電子的な性質、または、マトリックス的な構造的性
質によるものであると推察される。
【0065】電荷生成物質13aおよび電荷生成層用結
着剤を分散・溶解するための溶媒Aとしては、イソプロ
ピルアルコール、シクロヘキサノン、シクロヘキサン、
トルエン、キシレン、アセトン、メチルエチルケトン、
テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチルセルソルブ、
酢酸エチル、酢酸メチル、ジクロロメタン、ジクロロエ
タン、モノクロルベンゼン、エチレングリコールジメチ
ルエーテル等が挙げられる。基本的にここで挙げたもの
以外でも良く、アルコール系、ケトン系、アミド系、エ
ステル系、エーテル系、炭化水素系、塩素化炭化水素
系、芳香族系のいずれの溶媒系の単独あるいはブレンド
系でもよい。
【0066】上記の溶媒Aの種類は、特に限定されるも
のではないが、電荷生成物質13aの粉砕及びミリング
時の結晶転移に基づく感度低下、ポットライフによる特
性低下を考慮した場合、ジスアゾ化合物・X型無金属フ
タロシアニンの双方において結晶転移を起こしにくいシ
クロヘキサノン、メチルエチルケトン、および、テトラ
ヒドロフランの何れかを含んでなるものがより好まし
い。
【0067】X型無金属フタロシアニンと、上記ジスア
ゾ化合物との混合比率は、特に限定されるものではない
が、X型無金属フタロシアニン100重量部に対して、
ジスアゾ化合物が10重量部〜70重量部の範囲内であ
ればより好ましい。ジスアゾ化合物の混合比率を上記範
囲内とすることにより、ジスアゾ化合物の不足による感
度の低下や、ジスアゾ化合物の過多による帯電性の低
下、特に、繰り返し使用時における帯電性の低下を有効
に防止することができる。
【0068】また、電荷生成層用結着剤に対する、X型
無金属フタロシアニンと上記のジスアゾ化合物との総量
は、特に限定されるものではないが、X型無金属フタロ
シアニンとジスアゾ化合物との混合比率が上記の範囲内
にあるときには、電荷生成層用結着剤100重量部に対
して100〜400重量部の範囲内であることがより好
ましく、100〜200重量部の範囲内であることがさ
らに好ましい。
【0069】X型無金属フタロシアニン、および上記の
ジスアゾ化合物は、それぞれ粒子状として利用されるこ
とが好ましい。該粒子の(二次)粒子メジアン径は、特
に限定されるものではないが、1.0μm以下であるこ
とがより好ましく、0.7μm以下であることがさらに
好ましい。粒子メジアン径を上記範囲内とすることによ
り、X型無金属フタロシアニン粒子とジスアゾ化合物粒
子との接触確率を高めることができ、加えて、感光体の
帯電性の低下を有効に防止することができる。よって、
該粒子を共分散することによる増感効果を一層向上させ
ることができる。
【0070】また、電荷生成層13の層厚は、特に限定
されるものではないが、0.01μm〜5μmの範囲内
であることがより好ましく、0.1μm〜2μmの範囲
内であればさらに好ましい。
【0071】尚、電荷生成層13は、場合によっては、
X型無金属フタロシアニンと上記ジスアゾ化合物のみか
ら形成されていても良い。すなわち、導電性支持体11
あるいは中間層12上に、電荷生成物質13aを蒸着す
る等の方法により、電荷生成層用結着剤を使用すること
なく電荷生成層13を形成することもできる。また、電
荷生成物質13aの粒子を、上記例示の溶媒Aに分散し
てなる分散液を調製し、続いて、該分散液を導電性支持
体11上に塗布・乾燥することで、電荷生成層用結着剤
を使用することなく電荷生成層13を形成してもよい。
【0072】また、場合によっては、電荷生成層13
に、電荷生成物質13aとしての上記ジスアゾ化合物・
X型無金属フタロシアニンに加えて、増感剤や、他の電
荷生成物質等を分散してもよい。
【0073】電荷輸送層14は、電荷輸送物質14a、
および、電荷輸送層用結着剤(バインダ樹脂等)を適当
な電荷輸送層用溶媒(以下、溶媒Bと称する)に分散・
溶解し、これを電荷生成層13上に塗布し、乾燥するこ
とにより形成できる。また、電荷輸送層14には、必要
に応じ可塑剤、レベリング剤、酸化防止剤等を添加する
こともできる。尚、例えば、PVK等のポリマー系の電
荷輸送物質により電荷輸送層が形成される場合には、電
荷輸送物質を結着するための電荷輸送層用結着剤を特に
必要としない。
【0074】電荷輸送層用結着剤としては、上記の電荷
生成層用結着剤と同様のものを、また、溶媒Bとして
は、上記電荷生成層13の説明で挙げた溶媒Aと同様の
ものを使用することができる。電荷輸送物質14aの量
は、特に限定されるものではないが、電荷輸送層用結着
剤100重量部に対し、30〜200重量部の範囲内で
あればより好ましく、40〜150重量部の範囲内であ
ればさらに好ましい。また、電荷輸送層14の層厚は特
に限定されるものではないが、5〜40μm程度とする
ことがより好ましく、10〜40μm程度とすることが
さらに好ましい。
【0075】上記のレベリング剤としては、例えば、シ
リコーンオイル類や、側鎖にパーフルオロアルキル基を
有するポリマーあるいはオリゴマー等が使用できる。レ
ベリング剤の使用量は、特に限定されるものではない
が、電荷輸送層用結着剤100重量部に対し、1重量部
未満の範囲内であればより好ましい。また、酸化防止剤
としては、ヒンダードフェノール系化合物、リン系化合
物、硫黄系化合物、ヒンダードアミン系化合物などの、
一般に樹脂などに添加して利用される酸化防止剤をその
まま使用できる。酸化防止剤の添加量は、特に限定され
るものではないが、電荷輸送層用結着剤100重量部に
対し、10重量部未満の範囲内であればより好ましく、
5重量部未満の範囲内であればさらに好ましい。
【0076】尚、上記説明の電荷生成層13と電荷輸送
層14との積層順序は、特に限定されるものではない。
すなわち、本発明の積層型の感光体は、電荷生成層上層
系であっても、電荷輸送層上層系であっても構わない。
【0077】中間層12は、通常、導電性粉体が適当な
中間層用結着剤(バインダ樹脂等)に分散されてなり、
例えば、1)導電性支持体11と感光層15との接着性
を向上させる、2)導電性支持体11からの電荷(電
荷)の注入を制御することで、繰り返し使用時の帯電電
位の低下、残留電位の上昇等の発生を防止し、感光体の
静電特性を向上させる、等の機能を有するものである。
【0078】本発明にかかる感光体は、特に中間層12
を設ける必要はないが、該中間層12を設けることによ
り、例えば、電荷生成層13にて余剰電荷が発生し易い
場合であっても、該電荷生成層13から導電性支持体1
1への余剰電荷の注入に起因すると考えられる、繰り返
し特性の低下を有効に防止することができる。
【0079】上記導電性粉体としては、具体的には、例
えば、ニッケル、鉄、亜鉛、ニッケルクロム合金(ニク
ロム)、銅、アルミニウム、カーボンブラック、銀など
の金属粉;あるいは導電性酸化チタン、導電性酸化ス
ズ、ITO(Indium-Tin Oxide) などの導電性金属酸化
物粉体;等が挙げられるが特に限定されるものではな
い。
【0080】また、中間層用結着剤としては、具体的に
は、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチ
レン、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニ
ル、ポリエステル、シリコーン樹脂、ポリビニルブチラ
ール樹脂、ポリアミド樹脂、上記樹脂の共重合体(例え
ば、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体等)、スチレン−
アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重
合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリビニル
アルコール、ポリアリレート樹脂、フェノキシ樹脂、ポ
リカーボネート、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、(ポ
リ)ウレタン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド樹脂、
アルキッド−メラミン樹脂などの、水溶性、アルコール
可溶性、熱可塑性、熱硬化樹脂および光硬化樹脂等;カ
ゼイン、ゼラチン等のタンパク質;エステルセルロース
等;が挙げられるが、分散される導電性粉体等の種類に
応じて適宜選択すればよく、特に限定されるものではな
い。
【0081】また、感光体特性上の問題点となるモアレ
対策、残留電位の低減対策、画像不良対策として、酸化
チタン、酸化スズ、および、酸化アルミニウム(アルミ
ナ)等の金属酸化物粒子や、該金属酸化物粒子にシラン
カップリング剤、チタンカップリング剤、クロムカップ
リング剤等により表面処理を施したもの等を必要に応じ
て加えてもよい。
【0082】中間層12(以下に説明する)の形成方法
は、特に限定されるものではなく、例えば、1)上記導
電性粉体等を中間層用結着剤中に分散して得られた分散
液を、導電性支持体11上に塗布・乾燥する方法、2)
導電性粉体等と中間層用結着剤とを適当な溶媒Cに分散
して、導電性支持体11上に塗布・乾燥する方法等を挙
げることができる。尚、中間層12の層厚は、特に限定
されるものではないが、5μm未満がより好ましい。ま
た、場合によっては、中間層12は、中間層用結着剤の
みで構成されていてもよい。
【0083】次に単層型の感光体について述べる。本発
明にかかる単層型の感光体は、例えば、図3に示すよう
に導電性支持体11上に設けられた単一の感光層16中
に、上記説明の電荷生成物質13aと電荷輸送物質14
aとが分散されてなる構成である。上記の電荷生成物質
13a・電荷輸送物質14aは、通常、感光層用結着剤
(結着剤)としてのバインダ樹脂中に分散されている。
【0084】電荷生成物質13aには、X型無金属フタ
ロシアニン及び上記一般式(1)で示されるジスアゾ化
合物を用い、電荷輸送物質14aには、積層型の感光体
の説明において例示した化合物を用いることができる。
【0085】感光層用結着剤としては、積層型の感光体
の説明において例示した電荷輸送層用結着剤(または、
電荷生成層用結着剤)を使用することができる。該感光
層用結着剤としては、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体
系樹脂がより好適である。
【0086】上記電荷生成物質の粒子メジアン径は、特
に限定されるものではないが、1.0μm以下であるこ
とがより好ましく、0.7μm以下であることがさらに
好ましい。また、電荷生成物質13aおよび電荷輸送物
質14aの混合量は、特に限定されるものではないが、
感光層用結着剤100重量部に対し、電荷生成物質13
aの量が3〜30重量部の範囲内であることがより好ま
しく、電荷輸送物質14aの量が50〜150重量部の
範囲内であることがより好ましい。
【0087】上記の単層型の感光体は、例えば、以下の
ように製造することができる。始めに、感光層用結着剤
を適当な溶媒(電荷生成物質分散溶媒)Dに溶解してな
る溶液中に、電荷生成物質13aと電荷輸送物質14a
とを分散させることで分散液を調製する。続いて、該分
散液を導電性支持体11上に塗布し、乾燥することで感
光層16を形成する。溶媒Dの種類は、特に限定される
ものではなく、例えば、積層型の感光体の説明において
例示した溶媒Aと同様のものであってもよい。尚、例え
ば、PVK(ポリビニルカルバゾール)等のポリマー系
の電荷輸送物質が使用される場合には、該電荷輸送物質
を感光層用結着剤としても機能させることができるの
で、該結着剤を特に必要としない。
【0088】電荷生成物質13a、電荷輸送物質14
a、および感光層用結着剤を、適当な溶媒D中に分散・
溶解して分散液を調製する工程においては、分散器等を
用いてもよい。分散器等を使用する場合には、上記ジス
アゾ化合物を、上記X型無金属フタロシアニンの共存下
で溶媒D中に分散処理することがより好ましい。
【0089】さらに、該分散液を導電性支持体11上に
塗布する工程は、浸漬塗布法;スプレーコート、アプリ
ケーターなどの機器を用いる方法;等の方法によれば良
い。感光層16の層厚は、特に限定されるものではない
が、5〜40μmの範囲内であることがより好ましい。
【0090】上記感光層16は、必要に応じて、他の電
荷生成物質、可塑剤、レベリング剤、酸化防止剤等を添
加することができる。また、必要に応じて、導電性支持
体11と感光層16との間に中間層を設けてもよい。
【0091】尚、上記の図1および図2に示すのは、負
帯電型の感光体であり、図3に示すのは、正帯電型の感
光体であるが、これらの帯電特性は特に限定されない。
すなわち、電荷輸送物質14aを適宜変更することによ
り、その帯電特性を変更することができる。
【0092】
【実施例】以下、実施例および比較例により、本発明を
さらに詳細に説明するが、本発明はこれらにより何ら限
定されるものではない。
【0093】始めに、以下に示す実施例および比較例に
おいて評価の対象とされた、感光体の各種特性(静電特
性および繰り返し特性)の測定方法について説明を行
う。
【0094】感光体の静電特性は、EPA−8200
(川口電気製作所製)を用い、スタティックモードに設
定して行った。
【0095】具体的には、感光体の表面電位(Vo)
が、500Vとなるように、コロナ放電電圧を調整し、
続いて、バンドパスフィルターを用いて780nmの波
長の光を露光し、表面電位が250Vとなるに必要な露
光量:E/2(μJ/cm2 )、および、表面電位が1
00Vとなるに必要な露光量:E/5(μJ/cm2
を測定した。
【0096】また、感光体の繰り返し特性の評価は、上
記感光体をアルミ素管に貼り付けて複写機(AR−51
30:シャープ株式会社製)に搭載して、5000枚連
続コピーを行い、複写機動作前後の帯電電位変化(ΔV
o)、露光後電位変化(ΔVL)、および残留電位変化
(ΔVr)を測定することにより行った。尚、EPA−
8200、およびAR−5130(複写機)のコロナ放
電電圧は、積層型の感光体を扱う場合には、マイナス放
電とし、単層型の感光体を扱う場合には、プラス放電と
した。
【0097】〔実施例1〕X型無金属フタロシアニン
(Fastagen Blue :大日本インキ化学工業株式会社製)
3重量部、および上記化学構造式(8)で示すジスアゾ
顔料(ジスアゾ化合物、以下、ジスアゾ化合物(1)と
称する)2重量部を、溶媒DとしてのTHF(テトラヒ
ドロフラン)195重量部に加え、ボールミルにより4
8時間、分散処理し、顔料分散液Eを調製した。
【0098】次に、感光層用結着剤としてのZ型ポリカ
ーボネート樹脂(TS−2050:帝人化成株式会社
製)100重量部、下記化学構造式(12)で示す電荷
輸送物質(以下、電荷輸送物質(1)と称する)100
重量部、シリコーンオイル0.02重量部を、溶媒Dと
してのTHF467重量部に分散・溶解して樹脂溶液F
を調製した。
【0099】
【化19】
【0100】続いて、顔料分散液Eと樹脂溶液Fとの重
量比が1:2となるように両液を調合し、ボールミルに
より2時間、分散処理を行い、感光層用塗液(以下、塗
液と称する)を作製した。
【0101】このように作製した塗液を、表面にアルミ
が蒸着されてなるPET(ポリエチレンテレフタラー
ト)フィルム(導電性支持体)上に、アプリケータを用
いて30μmの層厚で成膜し、さらに、80℃で1時間
乾燥を行い、本発明にかかるシート状電子写真感光体
(単層型)を作製した。続いて、該感光体の各種特性の
測定を行った。
【0102】上記感光体の各種特性の測定結果等は、以
下に示す実施の形態2〜12および比較例1の結果とと
もに、下記の表1にまとめて示す。
【0103】〔実施例2〜12〕上記実施例1におい
て、電荷生成物質としてのジスアゾ顔料(ジスアゾ化合
物)、および電荷輸送物質の組合せを、下記の表1に示
すように変更した以外は、同一の操作・条件により感光
体の作製および該感光体の特性評価を行った。感光体の
特性評価の結果も、下記の表1にまとめて示す。尚、下
記の表1において、電荷輸送物質(2)〜(9)とは、
順に、以下に示す一般式(13)〜(20)に示すもの
を指すものとする。
【0104】
【化20】
【0105】
【化21】
【0106】
【化22】
【0107】
【化23】
【0108】
【化24】
【0109】
【化25】
【0110】
【化26】
【0111】
【化27】
【0112】〔比較例1〕下記の表1に示すように、上
記実施例1において、ジスアゾ化合物1を省略した以外
は、同一の操作・条件により感光体の作製および該感光
体の特性評価を行った。感光体の特性評価の結果も、下
記の表1にまとめて示す。
【0113】
【表1】
【0114】表1より明らかなように、上記一般式
(1)に示すジスアゾ化合物を、X型無金属フタロシア
ニンとともに含んでなる感光層を有する感光体(本発明
にかかる感光体)は、上記ジスアゾ化合物を含有しない
感光体(比較例1)と比較して、感度に優れ、加えて、
繰り返し使用時においても、静電特性(特に、複写機動
作前後の帯電電位変化(ΔVo)、および残留電位変化
(ΔVr))が安定していることが分かる。
【0115】〔実施例13〕X型無金属フタロシアニン
15重量部、上記ジスアゾ化合物(1)10重量部、お
よび、電荷生成層用結着剤としてのブチラール樹脂(S
−LEC BL−2:積水化学工業株式会社製)10重
量部を、溶媒Aとしてのメチルエチルケトン1400重
量部に加え、ボールミルにより48時間、分散処理し、
電荷生成層用塗液を調製した。
【0116】そして、電荷生成層用塗液を、表面にアル
ミが蒸着されてなるPETフィルム(導電性支持体)上
に、アプリケータを用いて0.2μmの層厚で成膜した
後に、乾燥し、電荷生成層を形成した。
【0117】次に、電荷輸送層用結着剤としてのポリカ
ーボネート樹脂(C−1400:帝人化成株式会社製)
100重量部、上記の電荷輸送物質(1)100重量
部、シリコーンオイル0.02重量部を、溶媒Bとして
のジクロロメタン1000重量部に分散・溶解し、電荷
輸送層用塗液を調製した。
【0118】そして、電荷輸送層用塗液を、電荷生成層
上に、アプリケータを用いて20μmの層厚で成膜し、
さらに、80℃で1時間乾燥を行い、本発明にかかるシ
ート状電子写真感光体(積層型)を作製した。続いて、
該感光体の各種特性の測定を行った。
【0119】尚、電荷生成層に含まれる、X型無金属フ
タロシアニン、および、ジスアゾ化合物(1)の粒子径
の測定は、遠心沈降型粒度分布計(株式会社 島津製作
所製)を用いて、電荷生成層用塗液中の二次粒子メジア
ン径の測定(粒度分布の計測)を行う方法によった。
【0120】上記感光体の各種特性の測定結果等は、以
下に示す実施の形態14〜24および比較例2の結果と
ともに、下記の表2にまとめて示す。
【0121】〔実施例14〜24〕上記実施例13にお
いて、電荷生成物質としてのジスアゾ顔料(ジスアゾ化
合物)、および電荷輸送物質の組合せ、並びに、ボール
ミルによる分散処理時間を下記の表2に示すように変更
した以外は、同一の操作・条件により感光体の作製およ
び該感光体の特性評価を行った。感光体の特性評価の結
果も、下記の表2にまとめて示す。
【0122】〔比較例2〕下記の表2に示すように、上
記実施例13において、ジスアゾ化合物1を省略し、ボ
ールミルによる分散処理時間を変更した以外は、同一の
操作・条件により感光体の作製および該感光体の特性評
価を行った。感光体の特性評価の結果も、下記の表2に
まとめて示す。
【0123】
【表2】
【0124】表2より明らかなように、本発明にかかる
感光体は、上記一般式(1)に示すジスアゾ化合物を含
有しない感光体(比較例2)と比較して、感度に優れ、
加えて、繰り返し使用時においても、静電特性(特に、
複写機動作前後の帯電電位変化(ΔVo)、および残留
電位変化(ΔVr))が安定していることが分かる。
【0125】また、実施例14〜17の結果より、電荷
生成物質の(二次)粒子メジアン径が小さくなれば、よ
り感度に優れ、加えて、繰り返し使用時においても、静
電特性がより安定することが分かる。
【0126】〔実施例25〕上記ジスアゾ化合物(1)
5重量部、および、電荷生成層用結着剤としてのブチラ
ール樹脂(S−LEC BL−2)5重量部を、溶媒A
としてのメチルエチルケトン700重量部に加え、ボー
ルミルにより72時間、分散処理し、顔料分散液Gを調
製した。続いて、X型無金属フタロシアニン7.5重量
部、および、電荷生成層用結着剤としてのブチラール樹
脂(S−LEC BL−2)5重量部を、溶媒Aとして
のメチルエチルケトン700重量部に加え、ボールミル
により72時間、分散処理し、顔料分散液Hを調製し
た。そして、顔料分散液GとHとを、ボールミルにより
2時間混合して、電荷生成層用塗液とした。
【0127】上記電荷生成層用塗液を、表面にアルミが
蒸着されてなるPETフィルム(導電性支持体)上に、
アプリケータを用いて0.2μmの層厚で成膜した後
に、乾燥し、電荷生成層を形成した。
【0128】次に、電荷輸送層用結着剤としてのポリカ
ーボネート樹脂(C−1400)100重量部、上記の
電荷輸送物質(1)100重量部、シリコーンオイル
0.02重量部を、ジクロロメタン1000重量部に分
散・溶解し、電荷輸送層用塗液を調製した。
【0129】そして、電荷輸送層用塗液を、電荷生成層
上に、アプリケータを用いて20μmの層厚で成膜し、
さらに、80℃で1時間乾燥を行い、本発明にかかるシ
ート状電子写真感光体(積層型)を作製した。続いて、
該感光体の各種特性の測定を行った。
【0130】上記感光体の各種特性の測定結果等は、以
下に示す実施の形態26〜33の結果とともに、下記の
表3にまとめて示す。
【0131】〔実施例26〜33〕上記実施例25にお
いて、電荷生成物質としてのジスアゾ顔料(ジスアゾ化
合物)、および電荷輸送物質の組合せを下記の表3に示
すように変更した以外は、同一の操作・条件により感光
体の作製および該感光体の特性評価を行った。感光体の
特性評価の結果も、下記の表3にまとめて示す。
【0132】
【表3】
【0133】表3より明らかなように、本発明にかかる
感光体は、電荷輸送物質の種類によらず、感度に優れ、
加えて、繰り返し使用時においても、静電特性が安定し
ていることが分かる。
【0134】〔実施例34〕アルコール可溶性ポリアミ
ド(CM−8000:東レ株式会社製)5重量部、およ
び、酸化チタン(ITO−55N:石原産業株式会社
製)2重量部を、メチルアルコールとn−ブチルアルコ
ールとを体積比7:3で含んでなる混合溶液100重量
部に加え、ペイントシェーカーにより分散処理し、中間
層用塗液を調製した。
【0135】そして、中間層用塗液を、表面にアルミが
蒸着されてなるPETフィルム(導電性支持体)上に、
アプリケータを用いて1μmの層厚で成膜した後に、乾
燥し、中間層を形成した。
【0136】続いて、X型無金属フタロシアニン15重
量部、上記ジスアゾ化合物(1)10重量部、および、
電荷生成層用結着剤としてのブチラール樹脂(S−LE
CBL−2)10重量部を、溶媒Aとしてのメチルエチ
ルケトン1400重量部に加え、ボールミルにより72
時間、分散処理し、電荷生成層用塗液を調製した。そし
て、電荷生成層用塗液を、上記の中間層上に、アプリケ
ータを用いて0.2μmの層厚で成膜した後に、乾燥
し、電荷生成層を形成した。
【0137】次に、電荷輸送層用結着剤としてのポリカ
ーボネート樹脂(C−1400:帝人化成株式会社製)
100重量部、上記の電荷輸送物質(1)100重量
部、シリコーンオイル0.02重量部を、溶媒Bとして
のジクロロメタン1000重量部に分散・溶解し、電荷
輸送層用塗液を調製した。
【0138】そして、電荷輸送層用塗液を、電荷生成層
上に、アプリケータを用いて20μmの層厚で成膜し、
さらに、80℃で1時間乾燥を行い、本発明にかかる中
間層を有するシート状電子写真感光体(積層型)を作製
した。続いて、該感光体の各種特性の測定を行った。
【0139】上記感光体の各種特性の測定結果等は、以
下に示す実施の形態35、36、および比較例3の結果
とともに、下記の表4にまとめて示す。
【0140】〔実施例35・36〕上記実施例34にお
いて、電荷生成物質としてのジスアゾ顔料(ジスアゾ化
合物)、および電荷輸送物質の組合せを下記の表4に示
すように変更した以外は、同一の操作・条件により感光
体の作製および該感光体の特性評価を行った。感光体の
特性評価の結果も、下記の表4にまとめて示す。
【0141】〔比較例3〕下記の表4に示すように、上
記実施例34において、ジスアゾ化合物1を省した以外
は、同一の操作・条件により感光体の作製および該感光
体の特性評価を行った。感光体の特性評価の結果も、下
記の表4にまとめて示す。
【0142】
【表4】
【0143】表4より明らかなように、本発明にかかる
感光体は、上記一般式(1)に示すジスアゾ化合物を含
有しない感光体(比較例3)と比較して、感度に優れ、
加えて、繰り返し使用時においても、静電特性が安定し
ていることが分かる。
【0144】〔実施例37〜40〕上記実施例34にお
いて、電荷生成層用結着剤を下記の表5に示すように変
更した以外は、同一の操作・条件により感光体の作製お
よび該感光体の特性評価を行った。感光体の特性評価の
結果も、下記の表5にまとめて示す。
【0145】尚、下記の表5において、S−LEC B
M−2、SOLBIN C、SOLBIN A、SOL
BIN TA2、とは順に、ブチラール樹脂(積水化学
工業株式会社製)、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹
脂(積水化学工業株式会社製)、塩化ビニル−酢酸ビニ
ル−ビニルアルコール共重合体樹脂(塩化ビニル−酢酸
ビニル共重合体系樹脂:積水化学工業株式会社製)、塩
化ビニル−酢酸ビニル−ヒドロキシアルキルアクリレー
ト共重合体樹脂(塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体系樹
脂:積水化学工業株式会社製)である。
【0146】
【表5】
【0147】表5より明らかなように、本発明にかかる
感光体は、電荷生成層用結着剤の種類にかかわらず、感
度に優れ、加えて、繰り返し使用時においても、静電特
性が安定していることが分かる。さらに、電荷生成層用
結着剤として、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体系樹脂
を使用することで、感光体の感度がより良好となること
が分かる。
【0148】〔実施例41〜49〕上記実施例34にお
いて、電荷生成層用結着剤(S−LEC BL−2)1
0重量部に対する、ジスアゾ顔料(ジスアゾ化合物)、
並びにX型無金属フタロシアニンの組成比を、下記の表
6に示すように変更した以外は、同一の操作・条件によ
り感光体の作製および該感光体の特性評価を行った。感
光体の特性評価の結果も、下記の表6にまとめて示す。
【0149】
【表6】
【0150】表6より明らかなように、本発明にかかる
感光体は、電荷生成物質の組成比にかかわらず、感度に
優れ、加えて、繰り返し使用時においても、静電特性が
安定していることが分かる。
【0151】〔実施例50〜54〕上記実施例34にお
いて、電荷生成層用結着剤を、塩化ビニル−酢酸ビニル
−マレイン酸共重合樹脂である、SOLBIN M(塩
化ビニル−酢酸ビニル共重合体系樹脂:積水化学工業株
式会社製)に、また、電荷輸送物質を以下の表7に示す
ように変更した以外は、同一の操作・条件により感光体
の作製および該感光体の特性評価を行った。感光体の特
性評価の結果も、下記の表7にまとめて示す。
【0152】
【表7】
【0153】表7より明らかなように、本発明にかかる
感光体は、選択される電荷輸送物質の種類にかかわら
ず、感度に優れ、加えて、繰り返し使用時においても、
静電特性が安定していることが分かる。
【0154】〔実施例55〜66〕実施例55は、上記
実施例34において、電荷生成層用塗液をなす溶媒Aの
種類、および、電荷生成層用塗液の調製後、該塗液を中
間層上に塗工するまでの経過時間、を下記の表8に示す
ように変更した以外は、同一の操作・条件により感光体
の作製および該感光体の特性評価を行った。また、実施
例56〜66は、上記実施例34において、電荷生成層
用結着剤を、SOLBIN M(塩化ビニル−酢酸ビニ
ル共重合体系樹脂)に変更し、さらに、溶媒Aの種類、
および、電荷生成層用塗液の調製後、該塗液を中間層上
に塗工するまでの経過時間、を下記の表8に示すように
変更した以外は、同一の操作・条件により感光体の作製
および該感光体の特性評価を行った。感光体の特性評価
の結果も、下記の表8にまとめて示す。
【0155】
【表8】
【0156】表8より明らかなように、本発明にかかる
感光体はいずれも、感度に優れ、加えて、繰り返し使用
時においても、静電特性が安定していることが分かる。
さらに、溶媒Aとして、メチルエチルケトン、シクロヘ
キサノン、テトラヒドロフランのいずれかを使用すれ
ば、該感光体の感度が、より優れたものとなることが分
かる(特に、実施例59〜61参照)。
【0157】また、一般に、電荷生成層用塗液の調製
後、該塗液を中間層上に塗工するまでの経過時間が短い
程、感度に優れ、加えて、繰り返し使用時においても、
静電特性が安定した感光体を作製することができること
が推察される。
【0158】
【発明の効果】本発明の請求項1記載の電子写真感光体
は、以上のように、電荷生成物質と電荷輸送物質とを含
んでなる感光層を、導電性支持体上に設けた電子写真感
光体において、上記感光層が、電荷生成物質を含んでな
る電荷生成層と、下記一般式(20)
【化37】 で表される電荷輸送物質を含んでなる電荷輸送層とを有
し、上記電荷生成物質としてX型無金属フタロシアニン
と、下記一般式(1)
【0159】
【化28】
【0160】(ただし、上記一般式(1)中、Aおよび
Bはそれぞれ、下記一般式(2)、(4)、(6)で表
されるカプラー残基のいずれか一つを示す。また、Aと
Bと、同一構造のカプラー残基とする。)
【0161】
【化29】
【0162】
【0163】
【化31】
【0164】
【0165】
【化33】
【0166】
【0167】(上記一般式(2)、(4)、(6)中、
1 は、水素原子もしくはCONHR(Rは、水素原
子、置換基を有していてもよいアルキル基、アリール
基、または複素環基を表す)を表し、Zは、ベンゼン環
と縮合して芳香族環あるいは芳香族複素環を形成する残
基を表し、X 5 は独立に、置換基を有していてもよいア
ルキル基、アリール基、または複素環基を表し、X 6
独立に、水素原子、シアノ基、カルバモイル基、カルボ
キシル基、エステル基またはアシル基を表し、X 7 およ
びX8 は独立に、水素原子、ハロゲン基、ニトロ基、置
換基を有していてもよいアルキル基、アルコキシ基を表
し、Yは芳香族複素環を形成する残基を表す。)で表さ
れるジスアゾ化合物とが含まれているとともに、上記電
荷生成層における、上記X型無金属フタロシアニンに対
する上記ジスアゾ化合物の量が、X型無金属フタロシア
ニン100重量部に対して、10重量部〜70重量部の
範囲内である構成である。
【0168】本発明の請求項2記載の電子写真感光体
は、以上のように、請求項1記載の構成において、上記
X型無金属フタロシアニン、および、上記ジスアゾ化合
物の粒子メジアン径が、1.0μm以下である構成であ
る。
【0169】請求項3記載の発明の電子写真感光体は、
上記の課題を解決するために、請求項1または2に記載
の構成において、電荷生成物質を結着する結着剤を含
み、上記結着剤が、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体系
樹脂であることを特徴としている。
【0170】請求項4記載の発明の電子写真感光体は、
上記の課題を解決するために、請求項1ないし3の何れ
か1項に記載の構成において、上記感光層と上記導電性
支持体との間には、さらに中間層が設けられており、上
記中間層は、導電性粉体と、中間層結着剤と、金属酸化
物粒子、あるいは、該金属酸化物粒子にシランカップリ
ング剤、チタンカップリング剤、クロムカップリング剤
の何れかにより表面処理を施したものとを含むことを特
徴としている。
【0171】上記の構成によれば、1)上記構造のジス
アゾ化合物またはX型無金属フタロシアニンをそれぞれ
単独に用いた場合の感度の総和以上の増感効果を有し、
加えて、2)繰り返し使用時においても、静電特性が安
定した電子写真感光体を提供することができる。さら
に、結着剤中に、上記2系統の電荷生成物質が共分散さ
れた構成の感光体とすれば、より良好な特性を有する電
子写真感光体を提供することができるという効果を奏す
る。
【0172】したがって、本発明にかかる電子写真感光
体を用いることで、可視光〜近赤外光領域の光に対し
て、むらのない極めて優れた感度を有し、さらに、繰り
返し使用時においても画像濃度の低下や地肌汚れの発生
しない電子写真出力装置を実現することができる。
【0173】本発明の請求項5記載の電子写真感光体の
製造方法は、以上のように、請求項1ないし4のいずれ
か一項に記載の電子写真感光体の製造方法であって、上
記ジスアゾ化合物を、上記X型無金属フタロシアニンの
共存下で粉砕処理する工程を含んでいる方法である。
【0174】本発明の請求項6記載の電子写真感光体の
製造方法は、以上のように、請求項1ないし4のいずれ
か一項に記載の電子写真感光体の製造方法であって、上
記X型無金属フタロシアニン、および、上記ジスアゾ化
合物を含んでなる電荷生成層用または感光層用の塗液を
調製する工程を含み、上記塗液に含まれる電荷生成物質
分散溶媒として、メチルエチルケトン、シクロヘキサノ
ン、テトラヒドロフランのいずれか一つを少なくとも含
んでなる溶媒が使用される方法である。
【0175】上記の方法によれば、1)上記構造のジス
アゾ化合物またはX型無金属フタロシアニンをそれぞれ
単独に用いた場合の感度の総和以上の増感効果を有し、
加えて、2)繰り返し使用時においても、静電特性が安
定した電子写真感光体を提供することができるという効
果を奏する。
【0176】したがって、本発明にかかる製造方法によ
り製造された電子写真感光体を用いることで、可視光〜
近赤外光領域の光に対して、むらのない極めて優れた感
度を有し、さらに、繰り返し使用時においても画像濃度
の低下や地肌汚れの発生しない電子写真出力装置を実現
することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態にかかる積層型の電子写真
感光体の構成を示す概略の断面図である。
【図2】図1に示す積層型の電子写真感光体の変形例と
しての、中間層を有する電子写真感光体の構成を示す概
略の断面図である。
【図3】本発明の実施の形態にかかる単層型の電子写真
感光体の構成を示す概略の断面図である。
【符号の説明】
11 導電性支持体 13 電荷生成層 13a 電荷生成物質 14 電荷輸送層 14a 電荷輸送物質 15 感光層 16 感光層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI G03G 5/05 101 G03G 5/05 101 (72)発明者 上杉 さやか 大阪府大阪市阿倍野区長池町22番22号 シャープ株式会社内 (72)発明者 森田 和茂 大阪府大阪市阿倍野区長池町22番22号 シャープ株式会社内 (72)発明者 下田 嘉英 大阪府大阪市阿倍野区長池町22番22号 シャープ株式会社内 (56)参考文献 特開 平11−95467(JP,A) 特開 平10−39528(JP,A) 特開 平8−278649(JP,A) 特開 平8−129263(JP,A) 特開 平7−244390(JP,A) 特開 平7−239561(JP,A) 特開 平3−65961(JP,A) 特開 平2−139571(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G03G 5/00

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】電荷生成物質と電荷輸送物質とを含んでな
    る感光層を、導電性支持体上に設けた電子写真感光体に
    おいて、上記感光層が、電荷生成物質を含んでなる電荷生成層
    と、下記一般式(20) 【化35】 で表される電荷輸送物質を含んでなる電荷輸送層とを有
    し、 上記電荷生成物質としてX型無金属フタロシアニンと、
    下記一般式(1) 【化1】 (ただし、上記一般式(1)中、AおよびBはそれぞ
    れ、下記一般式(2)、(4)、(6)で表されるカプ
    ラー残基のいずれか一つを示す。また、AとBと、同
    一構造のカプラー残基とする。) 【化2】 【化4】 【化6】 (上記一般式(2)、(4)、(6)中、X1 は、水素
    原子もしくはCONHR(Rは、水素原子、置換基を有
    していてもよいアルキル基、アリール基、または複素環
    基を表す)を表し、Zは、ベンゼン環と縮合して芳香族
    環あるいは芳香族複素環を形成する残基を表し、X 5
    独立に、置換基を有していてもよいアルキル基、アリー
    ル基、または複素環基を表し、X 6 は独立に、水素原
    子、シアノ基、カルバモイル基、カルボキシル基、エス
    テル基またはアシル基を表し、X 7 およびX8 は独立
    に、水素原子、ハロゲン基、ニトロ基、置換基を有して
    いてもよいアルキル基、アルコキシ基を表し、Yは芳香
    族複素環を形成する残基を表す。)で表されるジスアゾ
    化合物とが含まれているとともに、 上記電荷生成層における、上記X型無金属フタロシアニ
    ンに対する上記ジスアゾ化合物の量が、X型無金属フタ
    ロシアニン100重量部に対して、10重量部〜70重
    量部の範囲内である ことを特徴とする電子写真感光体。
  2. 【請求項2】上記X型無金属フタロシアニン、および、
    上記ジスアゾ化合物の粒子メジアン径が、1.0μm以
    下であることを特徴とする請求項1記載の電子写真感光
    体。
  3. 【請求項3】電荷生成物質を結着する結着剤を含み、 上記結着剤が、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体系樹脂
    であることを特徴とする請求項1または2記載の電子写
    真感光体。
  4. 【請求項4】上記感光層と上記導電性支持体との間に
    は、さらに中間層が設けられており、 上記中間層は、導電性粉体と、中間層結着剤と、金属酸
    化物粒子、あるいは、該金属酸化物粒子にシランカップ
    リング剤、チタンカップリング剤、クロムカップリング
    剤の何れかにより表面処理を施したものとを含む ことを
    特徴とする請求項1ないし3の何れか1項に記載の電子
    写真感光体。
  5. 【請求項5】請求項1ないし4のいずれか一項に記載の
    電子写真感光体の製造方法であって、 上記ジスアゾ化合物を、上記X型無金属フタロシアニン
    の共存下で粉砕処理する工程を含んでいることを特徴と
    する電子写真感光体の製造方法。
  6. 【請求項6】請求項1ないし4のいずれか一項に記載の
    電子写真感光体の製造方法であって、 上記X型無金属フタロシアニン、および、上記ジスアゾ
    化合物を含んでなる電荷生成層用または感光層用の塗液
    を調製する工程を含み、 上記塗液に含まれる電荷生成物質分散溶媒として、メチ
    ルエチルケトン、シクロヘキサノン、テトラヒドロフラ
    ンのいずれか一つを少なくとも含んでなる溶媒が使用さ
    れることを特徴とする電子写真感光体の製造方法。
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