JP3597759B2 - 顔料分散液の製造方法、顔料分散液、電子写真感光体の製造方法、電子写真感光体および電子写真装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、顔料分散液の製造方法、電子写真感光体の製造方法、および電子写真感光体に関し、詳しくは特定の結晶型を有するオキソチタニウムフタロシアニンを含有する顔料分散液の製造方法、該顔料分散液を塗液として使用する電子写真感光体の製造方法、該顔料分散液中のオキソチタニウムフタロシアニンを含有する電子写真感光体に関する。
【0002】
【従来の技術】
電子写真感光体(以下、単に「感光体」とも称す)の感光層を構成する材料として、従来からセレン、硫化カドミウムおよび酸化亜鉛などの無機光導電性材料が知られている。
【0003】
これらの光導電性材料は、数多くの利点、たとえば暗所で適当な電位に帯電できること、暗所で電荷の逸散が少ないこと、および光照射によって速やかに電荷を逸散できることなどの利点を有する反面、各種の欠点を有する。たとえば、セレン系感光体では、製造する条件が難しく、製造コストが高く、また熱および機械的な衝撃に弱いので取扱いに注意を要する。硫化カドミウム系感光体および酸化亜鉛感光体では、多湿の環境下で安定した感度が得られない点や、増感剤として添加した色素がコロナ帯電による帯電劣化や露光による光退色を生じるので、長期にわたって安定した特性を与えることができない欠点を有している。
【0004】
また感光層を構成する有機光導電材料として、ポリビニルカルバゾールをはじめとする各種の有機光導電性ポリマが提案されている。これらのポリマは、前述の無機光導電性材料に比べ、成膜性および軽量性などの点で優れているが、未だ充分な感度、耐久性および環境変化による安定性の点で無機光導電性材料に比べ劣っている。
【0005】
近年、これらの感光体の欠点や問題を解決するため、種々の研究開発が行われている。光導電性機能の電荷発生機能と電荷輸送機能とをそれぞれ別個の物質に分担させた、積層型または分散型の機能分離型の感光体が提案されている。このような機能分離型感光体において、各々の物質の選択範囲が広く、各々の最良の物質を組合せることによって、帯電特性、感度、残留電位、繰返し特性および耐刷性などの電子写真特性が高性能な感光体を提供することができる。また塗工で生産できるので、極めて生産性が高く、安価な感光体を提供でき、しかも電荷発生物質を適当に選択することによって感光波長域を自在にコントロールすることができる。
【0006】
最近、高画質な画像を得たり、入力画像を記憶して自由に編集するために、画像形成のデジタル化が急速に進行している。デジタル的に画像形成する機器としては、これまでの、ワープロおよびパソコンの出力機器であるレーザプリンタ、LED(Light Emitting Diode)プリンタおよび一部のカラーレーザコピアなどに限らず、従来アナログ的画像形成が主流であった普通の複写機も挙げることができ、このような複写機の分野にもデジタル化が進行している。
【0007】
このようなデジタル的画像形成において、感光体には、コンピュータ情報を直接使う場合にはその電気信号を変換した光信号が、また原稿から情報を入力する場合には原稿情報を光情報として読取った後、一度デジタル電気信号に変換して再度変換した光信号が、それぞれ入力される。いずれの場合でも感光体に対しては光信号として入力され、このようなデジタル信号の光入力には、主としてレーザ光やLED光が用いられている。現在最もよく使用される入力光の発振波長は、780nmまたは660nmの近赤外線光やそれに近い長波長光である。これらの長波長光に対して感度を持つことが、デジタル的画像形成に使用される感光体に最も要求されることであり、これまで多種多様な材料が検討されている。
【0008】
なかでもフタロシアニン化合物は、合成が比較的簡単で、長波長光に感度を示すものが多いので、幅広く検討され実用に供されている。たとえば特公平5−55860号公報にはオキソチタニウムフタロシアニンを用いた感光体が、特開昭59−155851号公報にはβ型インジウムフタロシアニンを用いた感光体が、特開平2−233769号公報にはX型無金属フタロシアニンを用いた感光体が、特開昭61−28557号公報にはバナジルオキシフタロシアニンを用いた感光体がそれぞれ開示されている。
【0009】
また最近、特定の結晶型を有するオキソチタニウムフタロシアニンが特に高感度であることが見いだされ、特許番号2128593号公報にはX線回折スペクトルにおいてブラッグ角(2θ±0.2°)27.3°に最大回折ピーク、7.4°,9.7°および24.2°にピークを有するオキソチタニウムフタロシアニンが、特許番号2700859号公報にはX線回折スペクトルにおいてブラッグ角(2θ±0.2°)9.5°,9.7°,11.7°,15.0°,23.5°,24.1°および27.3°にピークを有するオキソチタニウムフタロシアニンが開示されている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
前述のように特定の結晶型を有するオキソチタニウムフタロシアニンのなかでも、特願平10−306547号公報に開示されている、X線回折スペクトルにおいてブラッグ角(2θ±0.2°)7.3°,9.4°,9.6°,11.6°,13.3°,17.9°,24.1°および27.2°に主要な回折ピークを示し、そのうちの9.4°と9.6°との重なったピーク束が最大回折ピークを示し、かつ27.2°のピークが2番目に大きなピークを示すオキソチタニウムフタロシアニンは、特に高感度、かつ繰返し使用時の安定性が良好である。しかし該オキソチタニウムフタロシアニンは、電子写真感光体用の塗布液に分散する際に結晶型が変化しやすく、その結晶型を維持して有する電子写真感光体用塗布液を得ることが困難であるという欠点がある。
【0011】
また特開平7−110587号には、特定のアゾ顔料を脂環式ケトンで分散し、その後バインダ樹脂を添加する製造方法が開示されている。これは特定のアゾ顔料の分散安定性を目的とし、オキソチタニウムフタロシアニンの結晶型を安定させるものではない。
【0012】
本発明の目的は、容易に、かつ再現性よく所望の結晶型のオキソチタニウムフタロシアニンを含有することができる顔料分散液の製造方法、顔料分散液、電子写真感光体の製造方法、電子写真感光体および電子写真装置を提供することである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明は、オキソチタニウムフタロシアニンを含有する顔料を、脂環式ケトン系溶媒または芳香族系溶媒を含む分散媒を用い、樹脂を含有させずにまたは前記顔料重量の10重量%以下の樹脂を含有させて分散する初期分散工程と、前記顔料が分散された溶媒に、バインダ樹脂が溶媒に溶解された溶液を添加することによって、少なくともX線回折スペクトルにおいてブラッグ角(2θ±0.2°)7.3°,9.4°,9.6°,11.6°,13.3°,17.9°,24.1°および27.2°に主要な回折ピークを示し、そのうちの9.4°と9.6°との重なったピーク束が最大回折ピークを示し、かつ27.2°のピークが2番目に大きなピークを示す結晶型オキソチタニウムフタロシアニンを有する顔料分散液を得る工程とを含むことを特徴とする顔料分散液の製造方法である。
【0014】
本発明に従えば、初期分散工程における分散媒として脂環式ケトン系溶媒または芳香族系溶媒を主とする溶媒を用い、樹脂を含有させずにまたは前記顔料重量の10重量%以下の樹脂を含有させて分散を行った後に、溶媒およびバインダ樹脂を添加することによって、X線回折スペクトルにおいてブラッグ角(2θ±0.2°)7.3°,9.4°,9.6°,11.6°,13.3°,17.9°,24.1°および27.2°に主要な回折ピークを示し、そのうちの9.4°と9.6°との重なったピーク束が最大回折ピークを示し、かつ27.2°のピークが2番目に大きなピークを示す結晶型オキソチタニウムフタロシアニンの分散液を再現性よく製造することができる。
【0015】
本発明は、少なくともX線回折スペクトルにおいてブラッグ角(2θ±0.2°)7.3°,9.4°,9.6°,11.6°,13.3°,17.9°,24.1°および27.2°に主要な回折ピークを示し、そのうちの9.4°と9.6°の重なったピーク束が最大回折ピークを示し、かつ27.2°のピークが2番目に大きなピークを示す結晶型オキソチタニウムフタロシアニンを含有する顔料を、脂環式ケトン系溶媒または芳香族系溶媒を含む分散媒を用い、樹脂を含有させずにまたは前記顔料重量の10重量%以下の樹脂を含有させて分散する初期分散工程と、前記顔料が分散された溶媒に、バインダ樹脂が溶媒に溶解された溶液を添加することによって、少なくともX線回折スペクトルにおいてブラッグ角(2θ±0.2°)7.3°,9.4°,9.6°,11.6°,13.3°,17.9°,24.1°および27.2°に主要な回折ピークを示し、そのうちの9.4°と9.6°との重なったピーク束が最大回折ピークを示し、かつ27.2°のピークが2番目に大きなピークを示す結晶型オキソチタニウムフタロシアニンを有する顔料分散液を得る工程とを含むことを特徴とする顔料分散液の製造方法である。
【0016】
本発明に従えば、少なくともX線回折スペクトルにおいてブラッグ角(2θ±0.2°)7.3°,9.4°,9.6°,11.6°,13.3°,17.9°,24.1°および27.2°に主要な回折ピークを示し、そのうちの9.4°と9.6°との重なったピーク束が最大回折ピークを示し、かつ27.2°のピークが2番目に大きなピークを示す結晶型オキソチタニウムフタロシアニン顔料を使用して分散を行い、その際、初期分散工程における分散媒として脂環式ケトン系溶媒または芳香族系溶媒を主とする溶媒を用い、樹脂を含有させずにまたは前記顔料重量の10重量%以下の樹脂を含有させて分散を行った後に、溶媒およびバインダ樹脂を添加することによって、X線回折スペクトルにおいてブラッグ角(2θ±0.2°)7.3°,9.4°,9.6°,11.6°,13.3°,17.9°,24.1°および27.2°に主要な回折ピークを示し、そのうちの9.4°と9.6°との重なったピーク束が最大回折ピークを示し、かつ27.2°のピークが2番目に大きなピークを示す結晶型オキソチタニウムフタロシアニンの分散液を再現性よく製造することができる。
【0017】
本発明は、少なくともX線回折スペクトルにおいてブラッグ角(2θ±0.2°)27.3°に最大回折ピークを示し、かつ7.4°,9.7°および24.2°に回折ピークを示す結晶型オキソチタニウムフタロシアニンを含有する顔料を、脂環式ケトン系溶媒または芳香族系溶媒を含む分散媒を用い、樹脂を含有させずにまたは前記顔料重量の10重量%以下の樹脂を含有させて分散する初期分散工程と、前記顔料が分散された溶媒に、バインダ樹脂が溶媒に溶解された溶液を添加することによって、少なくともX線回折スペクトルにおいてブラッグ角(2θ±0.2°)7.3°,9.4°,9.6°,11.6°,13.3°,17.9°,24.1°および27.2°に主要な回折ピークを示し、そのうちの9.4°と9.6°との重なったピーク束が最大回折ピークを示し、かつ27.2°のピークが2番目に大きなピークを示す結晶型オキソチタニウムフタロシアニンを有する顔料分散液を得る工程とを含むことを特徴とする顔料分散液の製造方法である。
【0018】
本発明に従えば、少なくともX線回折スペクトルにおいてブラッグ角(2θ±0.2°)27.3°に最大回折ピークを示し、かつ7.4°,9.7°および24.2°に回折ピークを示す結晶型オキソチタニウムフタロシアニン顔料を使用して分散を行い、その際、分散操作初期における分散媒として脂環式ケトン系溶媒または芳香族系溶媒を主とする溶媒を用い、樹脂を含有させずにまたは前記顔料重量の10重量%以下の樹脂を含有させて分散を行った後に、溶媒およびバインダ樹脂を添加することによって、X線回折スペクトルにおいてブラッグ角(2θ±0.2°)7.3°,9.4°,9.6°,11.6°,13.3°,17.9°,24.1°および27.2°に主要な回折ピークを示し、そのうちの9.4°と9.6°との重なったピーク束が最大回折ピークを示し、かつ27.2°のピークが第2の最大ピークを示すことを特徴とする結晶型オキソチタニウムフタロシアニンの分散液を再現性よく製造することができる。
【0023】
また本発明は、前記初期分散工程における分散媒が、脂環式ケトン系溶媒および芳香族系溶媒のうちのいずれかの溶媒のみを単独で含み、初期分散工程において分散媒が含む脂環式ケトン系溶媒または芳香族系溶媒と、脂肪族ケトン系溶媒、エステル系溶媒およびエーテル系溶媒のうちのいずれかの溶媒との混合溶媒を有する顔料分散液が得られることを特徴とする。
【0024】
本発明に従えば、前記初期分散工程における分散媒が脂環式ケトン系溶媒または芳香族系溶媒の単独溶媒で、最終状態の顔料分散液が、脂環式ケトン系溶媒または芳香族系溶媒と、脂肪族ケトン系溶媒、エステル系溶媒およびエーテル系溶媒のうちのいずれかの溶媒との混合溶媒であるので、分散安定性に優れる。
【0025】
また本発明は、前記初期分散工程における分散媒が、脂環式ケトン系溶媒および芳香族系溶媒のうちのいずれかの溶媒と、脂肪族ケトン系溶媒、エステル系溶媒およびエーテル系溶媒のうちのいずれかの溶媒との混合溶媒であることを特徴とする。
【0026】
本発明に従えば、前記初期分散工程における分散媒が脂環式ケトン系溶媒または芳香族系溶媒と、脂肪族ケトン系溶媒、エステル系溶媒およびエーテル系溶媒のうちのいずれかの溶媒との混合溶媒であることによって、分散安定性に優れる。
【0027】
また本発明は、前記混合溶媒において、脂環式ケトン系溶媒または芳香族系溶媒の割合が50重量%以上であることを特徴とする。
【0028】
本発明に従えば、前記初期分散工程における分散媒が混合溶媒で、脂環式ケトン系溶媒または芳香族系溶媒の割合を50重量%以上とすることによって、X線回折スペクトルにおいてブラッグ角(2θ±0.2°)7.3°,9.4°,9.6°,11.6°,13.3°,17.9°,24.1°および27.2°に主要な回折ピークを示し、そのうち9.4°と9.6°との重なったピーク束が最大回折ピークを示し、かつ27.2°のピークが2番目に大きなピークを示す結晶型のオキソチタニウムフタロシアニンの分散液を再現性よく製造することができる。
【0029】
また本発明は、前記脂環式ケトン系溶媒がシクロヘキサノンであることを特徴とする。
【0030】
本発明に従えば、前記脂環式ケトン系溶媒がシクロヘキサノンであることによって、X線回折スペクトルにおいてブラッグ角(2θ±0.2°)7.3°,9.4°,9.6°,11.6°,13.3°,17.9°,24.1°および27.2°に主要な回折ピークを示し、そのうちの9.4°と9.6°との重なったピーク束が最大回折ピークを示し、かつ27.2°のピークが2番目に大きなピークを示す結晶型のオキソチタニウムフタロシアニンの分散液を再現性よく製造することができる。
【0031】
また本発明は、前記芳香族系溶媒がモノクロロベンゼンであることを特徴とする。
【0032】
本発明に従えば、前記芳香族系溶媒がモノクロロベンゼンであることによって、X線回折スペクトルにおいてブラッグ角(2θ±0.2°)7.3°,9.4°,9.6°,11.6°,13.3°,17.9°,24.1°および27.2°に主要な回折ピークを示し、そのうち9.4°と9.6°の重なったピーク束が最大回折ピークを示し、かつ27.2°のピークが2番目に大きなピークを示す結晶型のオキソチタニウムフタロシアニンの分散液を再現性よく製造することができる。
【0033】
本発明は、オキソチタニウムフタロシアニンを含有する顔料が、シクロヘキサノンを単独溶媒として含む分散媒を用い、樹脂を含有させずにまたは前記顔料重量の10重量%以下の樹脂を含有させて分散された初期分散液に、バインダ樹脂が溶媒に溶解された溶液が添加された顔料分散液であって、少なくともX線回折スペクトルにおいてブラッグ角(2θ±0.2°)7.3°,9.4°,9.6°,11.6°,13.3°,17.9°,24.1°および27.2°に主要な回折ピークを示し、そのうちの9.4°と9.6°との重なったピーク束が最大回折ピークを示し、かつ27.2°のピークが2番目に大きなピークを示す結晶型オキソチタニウムフタロシアニンを有し、シクロヘキサノンと、脂肪族ケトン系溶媒、エステル系溶媒およびエーテル系溶媒のうちのいずれかの溶媒との混合溶媒を含み、該混合溶媒にシクロヘキサノンが50重量%以下の割合で含まれていることを特徴とする顔料分散液である。
【0034】
本発明に従えば、初期分散液における分散媒がシクロヘキサノンを単独溶媒として含み、最終状態の分散液の分散媒中のシクロヘキサノンの割合が50重量%以下であることによって、ドラムに塗布する際に短時間で乾燥でき、優れた静電特性を有する電子写真感光体を提供することができる。
【0035】
本発明は、オキソチタニウムフタロシアニンを含有する顔料が、シクロヘキサノンと、脂肪族ケトン系溶媒、エステル系溶媒およびエーテル溶媒のうちのいずれかの溶媒との混合溶媒を含む分散媒を用い、樹脂を含有させずにまたは前記顔料重量の10重量%以下の樹脂を含有させて分散された初期分散液に、バインダ樹脂が溶媒に溶解された溶液が添加された顔料分散液であって、少なくともX線回折スペクトルにおいてブラッグ角(2θ±0.2°)7.3°,9.4°,9.6°,11.6°,13.3°,17.9°,24.1°および27.2°に主要な回折ピークを示し、そのうちの9.4°と9.6°との重なったピーク束が最大回折ピークを示し、かつ27.2°のピークが2番目に大きなピークを示す結晶型オキソチタニウムフタロシアニンを有し、シクロヘキサノンと、脂肪族ケトン系溶媒、エステル系溶媒およびエーテル系溶媒のうちのいずれかの溶媒との混合溶媒を含み、該混合溶媒にシクロヘキサノンが50重量%以下の割合で含まれていることを特徴とする顔料分散液である。
【0036】
本発明に従えば、初期分散液における分散媒が、シクロヘキサノンと、脂肪族ケトン系溶媒、エステル系溶媒およびエーテル溶媒のうちのいずれかの溶媒との混合溶媒を含み、最終状態の分散液の分散媒中のシクロヘキサノンの割合が50重量%以下であることによって、ドラムに塗布する際に短時間で乾燥でき、優れた静電特性を有する電子写真感光体を提供することができる。
【0037】
本発明は、オキソチタニウムフタロシアニンを含有する顔料が、モノクロロベンゼンを単独溶媒として含む分散媒を用い、樹脂を含有させずにまたは前記顔料重量の10重量%以下の樹脂を含有させて分散された初期分散液に、バインダ樹脂が溶媒に溶解された溶液が添加された顔料分散液であって、少なくともX線回折スペクトルにおいてブラッグ角(2θ±0.2°)7.3°,9.4°,9.6°,11.6°,13.3°,17.9°,24.1°および27.2°に主要な回折ピークを示し、そのうちの9.4°と9.6°との重なったピーク束が最大回折ピークを示し、かつ27.2°のピークが2番目に大きなピークを示す結晶型オキソチタニウムフタロシアニンを有し、モノクロロベンゼンと、脂肪族ケトン系溶媒、エステル系溶媒およびエーテル系溶媒のうちのいずれかの溶媒との混合溶媒を含み、該混合溶媒にモノクロロベンゼンが50重量%以下の割合で含まれていることを特徴とする顔料分散液である。
【0038】
本発明に従えば、初期分散液における分散媒がモノクロロベンゼンを単独溶媒として含み、最終状態の分散液の分散媒中のモノクロロベンゼンの割合が50重量%以下であることによって、ドラムに塗布する際に短時間で乾燥でき、優れた静電特性を有する電子写真感光体を提供することができる。
【0039】
本発明は、オキソチタニウムフタロシアニンを含有する顔料が、モノクロロベンゼンと、脂肪族ケトン系溶媒、エステル系溶媒およびエーテル溶媒のうちのいずれかの溶媒との混合溶媒を含む分散媒を用い、樹脂を含有させずにまたは前記顔料重量の10重量%以下の樹脂を含有させて分散された初期分散液に、バインダ樹脂が溶媒に溶解された溶液が添加された顔料分散液であって、少なくともX線回折スペクトルにおいてブラッグ角(2θ±0.2°)7.3°,9.4°,9.6°,11.6°,13.3°,17.9°,24.1°および27.2°に主要な回折ピークを示し、そのうちの9.4°と9.6°との重なったピーク束が最大回折ピークを示し、かつ27.2°のピークが2番目に大きなピークを示す結晶型オキソチタニウムフタロシアニンを有し、モノクロロベンゼンと、脂肪族ケトン系溶媒、エステル系溶媒およびエーテル系溶媒のうちのいずれかの溶媒との混合溶媒を含み、該混合溶媒にモノクロロベンゼンが50重量%以下の割合で含まれていることを特徴とする顔料分散液である。
【0040】
本発明に従えば、初期分散液における分散媒が、モノクロロベンゼンと、脂肪族ケトン系溶媒、エステル系溶媒およびエーテル溶媒のうちのいずれかの溶媒との混合溶媒を含み、最終状態の分散液の分散媒中のモノクロロベンゼンの割合が50重量%以下であることによって、ドラムに塗布する際に短時間で乾燥でき、優れた静電特性を有する電子写真感光体を提供することができる。
【0041】
また本発明は、導電性支持体上に、前記顔料分散液の製造方法によって製造された顔料分散液を感光層塗工液として用いて、感光層を形成することを特徴とする電子写真感光体の製造方法である。
【0042】
本発明に従えば、前記顔料分散液の製造方法によって製造された顔料分散液であるオキソチタニウムフタロシアニン顔料を感光層塗工液として用いることによって、分散液を塗布した後に要する乾燥時間が短く、生産性がよく低原価であるとともに、優れた静電特性を有する電子写真感光体を安定して製造することができる。
【0043】
また本発明は、導電性支持体と、該導電性支持体上に形成された感光層とを含む電子写真感光体であって、前記感光層は、前記顔料分散液が塗工されて成ることを特徴とする電子写真感光体である。
【0044】
本発明に従えば、前記顔料分散液(オキソチタニウムフタロシアニン顔料)が塗工された感光層を含むことによって、優れた静電特性を有する電子写真感光体を提供することができる。
【0045】
また本発明は、導電性支持体と、該導電性支持体上に形成された感光層とを含む電子写真感光体であって、前記感光層は、電荷発生物質を含有する電荷発生層と、電荷輸送物質を含有する電荷輸送層とを含み、該電荷発生層が、前記顔料分散液が塗工されて成り、顔料分散液中のオキソチタニウムフタロシアニンが電荷発生物質として含有されていることを特徴とする電子写真感光体である。
【0046】
本発明に従えば、前記感光層が、前記顔料分散液が塗工された電荷発生層を含み、顔料分散液中のオキソチタニウムフタロシアニンが電荷発生物質として含有されていることによって、優れた静電特性を有する電子写真感光体を提供することができる。
【0047】
また本発明は、電子写真方式によって画像を形成する電子写真装置において、前記電子写真感光体が備えられていることを特徴とする電子写真装置である。
【0048】
本発明に従えば、前記電子写真感光体を備えることによって、良好な画像特性を安定して得ることができる電子写真装置を提供することができる。
【0049】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の一形態による電子写真感光体は、導電性支持体と、該導電性支持体上に形成された感光層とで構成されている。該感光層の構造としては、電荷発生物質を含有する電荷発生層と電荷輸送物質を含有する電荷輸送層との二層から成る機能分離型、および電荷発生物質と電荷輸送物質とを含有する単一層で形成される単層型があり、これらのうちのいずれでもよい。なお導電性支持体と感光層との間には、必要に応じて下引き層が設けられていてもよい。
【0050】
前記導電性支持体としては、アルミニウム、アルミニウム合金、銅、亜鉛、ニッケル、ステンレスおよびチタンなどの金属製ドラムおよびシート、ポリエチレンテレフタレート、フェノール樹脂、ナイロンおよびポリスチレンなどの高分子材料、ガラスならびに硬質紙上に金属箔ラミネート、金属蒸着処理または酸化チタン、酸化スズ、酸化インジウムおよびカーボンブラックなどの導電性物質を適当なバインダとともに塗布して導電処理を施したドラム、シートおよびシームレスベルトなどが挙げられる。
【0051】
前記下引き層は、接着性および電荷ブロッキング性を向上させるために、光導電層である感光層と導電性支持体との間に設けられる。下引き層は、一般に樹脂を主成分とする。この樹脂は、その上に光導電層である感光層を有機溶剤を用いた塗布液で塗布するので、有機溶剤に対して耐溶剤性が高いことが望ましい。
【0052】
このような樹脂としては、ポリビニルアルコール、カゼインおよびポリアクリル酸ナトリウムなどの水溶性樹脂、共重合ナイロンおよびメトキシメチル化ナイロンなどのアルコール可溶性樹脂、アクリル樹脂、ポリウレタン、メラミン樹脂、フェノール樹脂およびエポキシ樹脂などの三次元網目構造を形成する硬化型樹脂などが挙げられる。なお下引き層にはモアレ防止および残留電位の低減などのために、たとえば酸化チタン、シリカ、アルミナ、酸化ジルコニウム、酸化スズおよび酸化インジウムなどの金属酸化物の微粉末顔料を加えることができる。
【0053】
下引き層の膜厚としては、好ましくは0.1μm以上20μm以下、より好ましくは1μm以上5μm以下の範囲である。下引き層の膜厚が0.1μmより薄ければ、実質的に下引き層として機能しなくなり、導電性支持体の欠陥を被覆して均一な表面性が得られず、導電性支持体からのキャリアの注入を防止することができなくなり、帯電性が低下する。20μmより厚くすることは、下引き層を浸漬塗布する場合、感光体を製造する上で難しくなり塗布膜の機械的強度が低下するので好ましくない。
【0054】
下引き層は、前述の樹脂を分散した下引き層用塗布液に、前述の導電性支持体を浸漬することによって、その導電性支持体上に塗布して形成される。前記下引き層用塗布液の分散方法としては、ボールミル、サンドミル、アトライタ、振動ミル、コロイドミルおよび超音波分散機などがあり、塗布手段としては、浸漬法、スプレイ法、ビード法およびノズル法など従来公知の方法が適用可能である。
【0055】
前記感光層は、前述のように、機能分離型および単層型のうちのいずれかである。機能分離型の場合、電荷発生層が電荷発生物質を含有する電荷発生層用塗布液によって形成され、その上に電荷輸送物質を含有する電荷輸送層用塗布液によって電荷輸送層が形成される。単層型の場合、電荷発生物質および電荷輸送物質を含有する感光層用塗布液によって、感光層が形成される。このように電荷発生物質を含有する層の塗布液、すなわち電荷発生層用塗布液および感光層用塗布液は、顔料分散液を使用して作製される。
【0056】
前記顔料分散液は、分散操作初期における分散媒としての溶媒を用いて、オキソチタニウムフタロシアニン顔料を分散した後、バインダ樹脂分散用溶媒にバインダ樹脂を溶解した溶液を、顔料を分散した分散液に添加することによって調製する。なお分散操作初期における分散媒としての溶媒を用いてオキソチタニウムフタロシアニン顔料を分散することを、「1次分散」と定義する。なお、1次分散の際には、樹脂を含有させずにまたはオキソチタニウムフタロシアニン顔料重量の10重量%以下の樹脂を含有させて分散を行う。
【0057】
前記オキソチタニウムフタロシアニン顔料は、X線回折スペクトルにおいてブラッグ角(2θ±0.2°)7.3°,9.4°,9.6°,11.6°,13.3°,17.9°,24.1°および27.2°に主要な回折ピークを示し、そのうち9.4°と9.6°との重なったピーク束が最大回折ピークを示し、かつ27.2°のピークが2番目に大きなピークを示す結晶型を有することが要求される。
【0058】
前記バインダ樹脂としては、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、シリコン樹脂、ポリウレタン樹脂、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂、フェノキシ樹脂およびブチラール樹脂など、ならびに、たとえば塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂、およびアクリロニトリル−スチレン共重合体樹脂などの絶縁性樹脂などの2つ以上の繰返し単位を含む共重合体樹脂を挙げることができる。これらに限定されるものではなく、従来公知の種々の樹脂を単独または2種以上混合して使用することができる。
【0059】
前記分散操作初期における分散媒は、脂環式ケトン系溶媒または芳香族系溶媒を単独または主として使用する溶媒である。また前記バインダ樹脂分散用溶媒は、調製しようとする顔料分散液を単独溶媒または混合溶媒としたい場合に応じて、脂環式ケトン系溶媒、芳香族系溶媒またはその他の溶媒が使用される。
【0060】
前記脂環式ケトン系溶媒としては、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、イソホロン、メチルシクロヘキサノンおよびショウノウなどが挙げられ、特にシクロヘキサノンが良好に用いられる。
【0061】
前記芳香族系溶媒としては、トルエン、キシレン、ベンゼン、モノクロロベンゼン、ブロモベンゼンおよびフルオロベンゼンなどが挙げられ、特にトルエンおよびモノクロロベンゼンが良好に用いられる。
【0062】
前記他の溶媒、すなわち脂環式ケトン系溶媒もしくは芳香族系溶媒と混合する他の溶媒としては、脂肪族ケトン系溶媒、エステル系溶媒およびエーテル系溶媒が好ましい。
【0063】
前記脂肪族ケトン系溶媒としては、アセトン、メチルエチルケトン、2−ペンタノン、3−ペンタノン、2−ヘキサノン、メチルイソブチルケトン、2−ヘプタノン、4−ヘプタノン、ジイソブチルケトン、アセトニルアセトン、メシチルオキシドおよびホロンなどが挙げられ、特にメチルエチルケトンおよびメチルイソブチルケトンが良好である。
【0064】
前記エステル系溶媒としては、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、2−エチルブチルアセタートおよび2−エチルヘキシルアセタートなどが挙げられ、特に酢酸メチル、酢酸エチルおよび酢酸ブチルが特に良好である。
【0065】
前記エーテル系溶媒としては、1,1−ジメトキシエタン、1,2−ジメトキシエタン、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、アニソール、ジオキサン、ジオキソラン、テトラヒドロフランおよびテトラヒドロピランなどが挙げられ、特に1,1−ジメトキシエタン、1,2−ジメトキシエタンおよびジオキソランが良好である。
【0066】
以上のような溶媒を用いて本実施の一形態における顔料分散液を調製する。本実施の一形態においては、前記オキソチタニウムフタロシアニン顔料を、まず脂環式ケトン系溶媒または芳香族系溶媒で分散することによって、1次分散を行って1次分散液を調製する。1次分散が終了した後、バインダ樹脂分散用溶媒にバインダ樹脂を溶解する。この溶解液を1次分散液に添加することによって、顔料分散液を調製する。なおバインダ樹脂を溶解した溶液を加えた後、分散操作を行ってもよいし、分散操作を行うことなく撹拌などの手段で混合するだけでもよい。
【0067】
前記1次分散のとき、バインダ樹脂は、全く添加しないか、または顔料固形分に対して10%以下のごく少量の添加に止める。すなわち前述の結晶型を有するオキソチタニウムフタロシアニンの顔料分散液を作成するためには、バインダ樹脂を含まないか、または、ごく少量の樹脂を溶解した、脂環式ケトン系溶媒または芳香族系溶媒で分散することが有効である。しかし分散後の分散安定性を考慮すると、バインダ樹脂を添加する必要があるので、1次分散終了後にバインダ樹脂を添加する。
【0068】
また脂環式ケトン系溶媒または芳香族系溶媒の単独溶媒では、電子写真感光体塗工液としての塗布性および分散安定性などに不具合を有する場合がある。すなわち脂環式ケトン系溶媒または芳香族系溶媒のうち、最も好ましい溶媒であるシクロヘキサノン、モノクロロベンゼンおよびトルエンなどは、沸点110℃以上の高沸点を有するので、塗工後の乾燥に時間がかかり生産性が低下するという不具合点が発生する場合がある。その際には、混合溶媒の構成にする。顔料分散液を混合溶媒とする場合、1次分散の段階で混合溶媒にしてもよい。その場合、脂環式ケトン系溶媒または芳香族系溶媒の成分を多くして、全体の50%以上とすることが好ましい。これによって前述の結晶型を有するオキソチタニウムフタロシアニンの顔料分散液を作製することができる。
【0069】
さらに前記バインダ樹脂分散用溶媒には、調製しようとする顔料分散液を単独溶媒または混合溶媒とする場合に応じ、単独溶媒とする場合は1次分散に使用した溶媒と同一の溶媒を用い、混合溶媒の場合には1次分散に使用した溶媒とは異なる溶媒を用いて、バインダ樹脂を溶解する。
【0070】
具体的に、好ましい顔料分散液の調製方法を説明する。1次分散において、前述のように塗工後の乾燥に時間がかかるシクロヘキサノンおよびモノクロロベンゼンなどの高沸点溶媒と低沸点溶媒との混合溶媒に、樹脂を添加しない状態または顔料重量の10重量%以下の樹脂を添加した状態で、前記顔料を分散する。このとき、混合溶媒における低沸点溶媒に対する高沸点溶媒の比率は、目的の結晶型を安定して得るという観点から、高沸点溶媒/低沸点溶媒が95/5〜50/50の範囲が好ましい。その後、沸点100℃以下の低沸点を有する脂肪族ケトン系溶媒、エステル系溶媒およびエーテル系溶媒から選ばれる溶媒に樹脂が溶媒に溶解された溶液を、1次分散液に追加して、最終塗工液とする。溶媒追加後の最終塗工液では、生産性の観点から、高沸点溶媒/低沸点溶媒が50/50〜5/95の範囲であることが好ましい。
【0071】
以上のようにして調製された顔料分散液は、電子写真感光体塗工液である電荷発生層用塗布液または感光層用塗布液として用いられる。
【0072】
機能分離型感光体を作製する場合には、前記顔料分散液を電荷発生層用塗布液として用い、下引き層と同様の方法によって電荷発生層が形成される。電荷発生層は、膜厚が、好ましくは0.05μm以上5μm以下、より好ましくは0.1μm以上1μm以下の範囲で塗布されて形成される。
【0073】
形成された電荷発生層の上には、電荷輸送層が設けられる。電荷輸送層の形成方法としては、結着性樹脂溶液中に電荷輸送物質を溶解させた電荷輸送用塗布液を調製し、これを塗布して成膜する方法が一般的である。
【0074】
前記電荷輸送物質としては、ヒドラゾン系化合物、ピラゾリン系化合物、トリフェニルアミン系化合物、トリフェニルメタン系化合物、スチルベン系化合物、オキサジアゾール系化合物およびエナミン系化合物などが知られている。これらのうちの1種または2種以上併用することも可能である。前記結着性樹脂溶液中の結着性樹脂としては、前記電荷発生層用の樹脂を1種または2種以上混合して使用することができる。
【0075】
電荷輸送層の形成方法としては、下引き層と同様の方法が用いられ、電荷輸送層の膜厚は、好ましくは5μm以上50μm以下、より好ましくは10μm以上40μm以下の範囲である。
【0076】
感光層が単層構造の単層型感光体を作製する場合には、前記顔料分散液を感光層用塗布液として用い、下引き層と同様の方法によって感光層が形成される。感光層は、膜厚が、好ましくは5μm以上50μm以下、より好ましくは10μm以上40μm以下の範囲で塗布されて形成される。
【0077】
前記感光層には、感度の向上、残留電位上昇の抑制および繰返し使用時の疲労低減などを目的として、電荷輸送物質としての電子受容性物質をすくなくとも1種、添加することができる。たとえばパラベンゾキノン、クロラニル、テトラクロロ−1,2−ベンゾキノン、ハイドロキノン、2,6−ジメチルベンゾキノン、メチル−1,4−ベンゾキノン、α−ナフトキノンおよびβ−ナフトキノンなどのキノン系化合物、2,4,7−トリニトロ−9−フルオレノン、1,3,6,8−テトラニトロカルバゾール、p−ニトロベンゾフェノン、2,4,5,7−テトラニトロ−9−フルオレノンおよび2−ニトロフルオレノンなどのニトロ化合物、テトラシアノエチレン、7,7,8,8−テトラシアノキノジメタン、4−(P−ニトロベンゾイルオキシ)−2’,2’−ジシアノビニルベンゼンおよび4−(m−ニトロベンゾイルオキシ)−2’,2’−ジシアノビニルベンゼンなどのシアノ化合物などを挙げることができる。
【0078】
これらのうち、フルオレノン系、キノン系化合物ならびにCl,CNおよびNO2などの電子吸引性の置換基のあるベンゼン誘導体が特に好ましい。また安息香酸、スチルベン化合物およびその誘導体、ならびに、トリアゾール化合物、イミダゾール化合物、オキサジアゾール化合物、チアゾール化合物およびこれらの誘導体などの含窒素化合物類などのような紫外線吸収剤および酸化防止剤を含有させることもできる。
【0079】
前記感光層上には、必要であれば、感光層表面を保護するために表面保護層を設けてもよい。該表面保護層には、熱可塑性樹脂、光硬化性樹脂および熱硬化性樹脂を用いることができる。表面保護層中に、前記紫外線防止剤、酸化防止剤、金属酸化物などの無機材料、有機金属化合物および電子受容性物質などを含有させることもできる。
【0080】
また感光層および表面保護層に、必要に応じて、二塩基酸エステル、脂肪酸エステル、リン酸エステル、フタル酸エステルおよび塩素化パラフィンなどの可塑剤を混合させて、加工性および可撓性を付与し、機械的物性の改良を施してもよく、シリコン樹脂などのレベリング剤を使用することもできる。
【0081】
以下、本発明による顔料分散液の製造方法および電子写真感光体について、実施例にもとづいて説明する。これによって本発明の態様が限定されるものではない。
【0082】
(製造例1)
o−フタロジニトリル40g、4塩化チタン18gおよびα−クロロナフタレン500mlを窒素雰囲気下200〜250℃で3時間加熱撹拌して反応させ、100〜130℃まで放冷した。放冷後、熱時濾過し、100℃に加熱したα−クロロナフタレン200mlで洗浄して、ジクロロチタニウムフタロシアニン粗生成物を得た。この粗生成物を室温にて、まずα−クロロナフタレン200ml、ついでメタノール200mlで洗浄後、さらにメタノール500ml中で1時間熱懸洗を行った。これを濾過して得られた粗生成物を濃硫酸100ml中で撹拌、溶解させた後、不溶物を濾取した。その硫酸溶液を水300ml中に注ぎ、析出した結晶を濾取し、水500ml中で、pHが6〜7になるまで、熱懸洗を繰返した。熱懸洗後、また濾取してウェットケーキをジクロロメタンで処理し、メタノールで洗浄した後、乾燥して製造例1のオキチタニウムフタロシアニンを得た。
【0083】
(製造例2)
製造例1と同様にして、ジクロロチタニウムフタロシアニン粗生成物を得た。この粗生成物を室温にて、まずα−クロロナフタレン200ml、ついでメタノール200mlで洗浄後、さらにメタノール500ml中で1時間熱懸洗を行った。これを濾過して得られた粗生成物を水500ml中で、pHが6〜7になるまで、熱懸洗を繰返した。熱懸洗後、乾燥して製造例2の結晶を得た。
【0084】
図1は、製造例1の結晶のX線回折スペクトルを示す図である。図2は、製造例2の結晶のX線回折スペクトルを示す図である。図1および図2に示すX線回折スペクトルは、以下の条件で測定した結果である。
【0085】
X線源CuKα=1.54050Å
電圧 30kV
電流 50mA
スタート角度 5.0deg.
ストップ角度 35.0deg.
ステップ角度 0.01deg.
測定時間 1deg./min.
測定方法 θ/2θスキャン方法
【0086】
図1から、製造例1の結晶は、ブラッグ角(2θ±0.2°)7.3°,9.4°,9.6°,11.6°,13.3°,17.9°,24.1°および27.2°に主要な回折ピークを示し、そのうちの9.4°と9.6°との重なったピーク束が最大回折ピークを示し、かつ27.2°のピークが2番目に大きなピークを示すことが判る。前述のように、この結晶型のオキソチタニウムフタロシアニンは、特に高感度かつ繰返し使用時の安定性が良好であるので、当該結晶型を顔料分散液に安定して存在させるようにする。図2から、製造例2の結晶は、ブラッグ角(2θ±0.2°)27.3°に最大回折ピークを示し、かつ7.4°,9.7°および24.2°に回折ピークを有する特許番号2128593明細書に記載のオキソチタニウムフタロシアニンであることが判る。この結晶型のオキソチタニウムフタロシアニンは、前述のように高感度であるが、製造例1の結晶型ほどではなく、後述の実施例が示すように、顔料分散液の調製方法によって製造例1の結晶型と相互に変化する。
【0087】
(実施例1)
製造例1のオキソチタニウムフタロシアニン1重量部と、シクロヘキサノン20重量部とをガラスビーズとともにペイントシェーカで1時間分散して、1次分散液を得た。つぎにブチラール樹脂(BX−1:積水化学社製)1重量部と、シクロヘキサノン50重量部とを撹拌して溶解した後、この溶液を1次分散液に混合して希釈することによって、オキソチタニウムフタロシアニン分散液を調製した。
【0088】
(実施例2)
製造例2のオキソチタニウムフタロシアニン1重量部と、シクロヘキサノン20重量部とをガラスビーズとともにペイントシェーカで1時間分散して、1次分散液を得た。つぎにブチラール樹脂(BX−1:積水化学社製)1重量部と、シクロヘキサノン50重量部とを撹拌して溶解した後、この溶液を1次分散液に混合して希釈することによって、オキソチタニウムフタロシアニン分散液を調製した。
【0089】
(評価1)
図3は、実施例1の分散液中の結晶のX線回折スペクトルを示す図である。図4は、実施例2の分散液中の結晶のX線回折スペクトルを示す図である。実施例1および2で調製したオキソチタニウムフタロシアニン分散液は、室温にて減圧乾燥し、溶媒を除去して固形物とし、X線回折スペクトルを測定した。図3および図4に示すX線回折スペクトルは、図1および図2と同様の条件で測定した結果である。
【0090】
図3および図4から、実施例1および実施例2の分散液は、両方ともブラッグ角(2θ±0.2°)7.3°,9.4°,9.6°,11.6°,13.3°,17.9°,24.1°および27.2°に主要な回折ピークを示し、そのうちの9.4°と9.6°との重なったピーク束が最大回折ピークを示し、かつ27.2°のピークが2番目に大きなピークを示すことが判る。
【0091】
(実施例3)
製造例1のオキソチタニウムフタロシアニン1重量部と、シクロヘキサノン20重量部とをガラスビーズとともにペイントシェーカで1時間分散して、1次分散液を得た。つぎにブチラール樹脂(BX−1:積水化学社製)1重量部と、メチルエチルケトン50重量部とを撹拌して溶解した後、この溶液を1次分散液に混合して希釈することによって、オキソチタニウムフタロシアニン分散液を調製した。
【0092】
(実施例4)
製造例2のオキソチタニウムフタロシアニン1重量部と、シクロヘキサノン20重量部とをガラスビーズとともにペイントシェーカで1時間分散して、1次分散液を得た。つぎにブチラール樹脂(BX−1:積水化学社製)1重量部と、メチルエチルケトン50重量部とを撹拌して溶解した後、この溶液を1次分散液に混合して希釈することによって、オキソチタニウムフタロシアニン分散液を調製した。
【0093】
(実施例5)
製造例1のオキソチタニウムフタロシアニン1重量部と、モノクロロベンゼン20重量部とをガラスビーズとともにペイントシェーカで1時間分散して、1次分散液を得た。つぎにブチラール樹脂(BX−1:積水化学社製)1重量部と、メチルエチルケトン50重量部とを撹拌して溶解した後、この溶液を1次分散液に混合して希釈することによって、オキソチタニウムフタロシアニン分散液を調製した。
【0094】
(実施例6)
製造例2のオキソチタニウムフタロシアニン1重量部と、モノクロロベンゼン20重量部とをガラスビーズとともにペイントシェーカで1時間分散して、1次分散液を得た。つぎにブチラール樹脂(BX−1:積水化学社製)1重量部と、メチルエチルケトン50重量部とを撹拌して溶解した後、この溶液を1次分散液に混合して希釈することによって、オキソチタニウムフタロシアニン分散液を調製した。
【0095】
(比較例1)
製造例1のオキソチタニウムフタロシアニン1重量部と、ブチラール樹脂(BX−1:積水化学社製)1重量部と、シクロヘキサノン20重量部とをガラスビーズとともにペイントシェーカで1時間分散して、1次分散液を得た。つぎにシクロヘキサノン50重量部を1次分散液に混合して希釈することによって、オキソチタニウムフタロシアニン分散液を調製した。
【0096】
(比較例2)
製造例2のオキソチタニウムフタロシアニン1重量部と、ブチラール樹脂(BX−1:積水化学社製)1重量部と、シクロヘキサノン20重量部とをガラスビーズとともにペイントシェーカで1時間分散して、1次分散液を得た。つぎにシクロヘキサノン50重量部を1次分散液に混合して希釈することによって、オキソチタニウムフタロシアニン分散液を調製した。
【0097】
(比較例3)
製造例1のオキソチタニウムフタロシアニン1重量部と、メチルエチルケトン20重量部とをガラスビーズとともにペイントシェーカで1時間分散して、1次分散液を得た。つぎにブチラール樹脂(BX−1:積水化学社製)1重量部と、メチルエチルケトン50重量部とを撹拌して溶解した後、この溶液を1次分散液に混合して希釈することによって、オキソチタニウムフタロシアニン分散液を調製した。
【0098】
(比較例4)
製造例2のオキソチタニウムフタロシアニン1重量部と、メチルエチルケトン20重量部とをガラスビーズとともにペイントシェーカで1時間分散して、1次分散液を得た。つぎにブチラール樹脂(BX−1:積水化学社製)1重量部と、メチルエチルケトン50重量部とを撹拌して溶解した後、この溶液を1次分散液に混合して希釈することによって、オキソチタニウムフタロシアニン分散液を調製した。
【0099】
(比較例5)
製造例1のオキソチタニウムフタロシアニン1重量部と、ブチラール樹脂(BX−1:積水化学社製)1重量部と、メチルエチルケトン20重量部とをガラスビーズとともにペイントシェーカで1時間分散して、1次分散液を得た。つぎにメチルエチルケトン50重量部を1次分散液に混合して希釈することによって、オキソチタニウムフタロシアニン分散液を調製した。
【0100】
(比較例6)
製造例2のオキソチタニウムフタロシアニン1重量部と、ブチラール樹脂(BX−1:積水化学社製)1重量部と、メチルエチルケトン20重量部とをガラスビーズとともにペイントシェーカで1時間分散して、1次分散液を得た。つぎにメチルエチルケトン50重量部を1次分散液に混合して希釈することによって、オキソチタニウムフタロシアニン分散液を調製した。
【0101】
(評価2)
実施例3〜6および比較例1〜6で調製したオキソチタニウムフタロシアニン分散液は、室温にて減圧乾燥し、溶媒を除去して固形物とし、X線回折スペクトルを測定した。X線スペクトルは、製造例1と同様の条件で測定した。測定結果を表1に示す。
【0102】
また実施例1〜6および比較例1〜6で調製したオキソチタニウムフタロシアニン分散液を用いて、アルミ蒸着したPETフィルム上にブレード塗工し、厚さ0.2μmの電荷発生層を形成した。その後、下記構造式(I)で示す電荷輸送物質10重量部と、ポリカーボネート樹脂(K1300:帝人化成社製)10重量部と、シリコーンオイル(KF50:信越化学社製)0.02重量部と、ジクロロメタン120重量部とを撹拌して溶解し、電荷輸送層用塗液を調製した。該電荷輸送層用塗液を、電荷発生層上にブレード塗工し、厚さ20μmの電荷輸送層を形成し、110℃、20分乾燥し、電子写真感光体を得た。
【0103】
【化1】
【0104】
得られた電子写真感光体について、EPA8200(川口電機社製)を用いて、ダイナミックモードで−600Vに帯電した後、780nmの光を露光し、−300Vまで減衰するのに必要な露光量から、感度(μJ/cm2)を求めた。結果を表1に示す。
【0105】
【表1】
【0106】
表1において、結晶型の欄で、Aの表記は、X線回折結果において、ブラッグ角(2θ±0.2°)7.3°,9.4°,9.6°,11.6°,13.3°,17.9°,24.1°および27.2°に主要な回折ピークを示し、そのうちの9.4°と9.6°との重なったピーク束が最大回折ピークを示し、かつ27.2°のピークが2番目に大きなピークを示す結晶型であって、本発明において目的とする結晶型であることを示している。またBの表記は、ブラッグ角(2θ±0.2°)27.3°に最大回折ピークを示し、かつ7.4°,9.7°および24.2°に回折ピークを有する結晶型であることを示している。
【0107】
表1の結果から、1次分散において、脂環式ケトン系溶媒であるシクロヘキサノンまたは芳香族系溶媒であるモノクロロベンゼンを、樹脂なしで使用した場合のみ、Aの結晶型の顔料分散液を作製できることが判る。また初期感度は、Aの結晶型をとったときが最も良好であった。
【0108】
(実施例7)
製造例1のオキソチタニウムフタロシアニン1重量部と、シクロヘキサノン20重量部とをガラスビーズとともにペイントシェーカで1時間分散して、1次分散液を得た。つぎにブチラール樹脂(BM−2:積水化学社製)1重量部と、シクロヘキサノン50重量部とを撹拌して溶解した後、この溶液を1次分散液に混合して希釈することによって、オキソチタニウムフタロシアニン分散液を調製した。
【0109】
(実施例8)
製造例1のオキソチタニウムフタロシアニン1重量部と、ブチラール樹脂(BM−2:積水化学社製)0.05重量部と、シクロヘキサノン20重量部とをガラスビーズとともにペイントシェーカで1時間分散して、1次分散液を得た。つぎにブチラール樹脂(BM−2:積水化学社製)0.95重量部と、シクロヘキサノン50重量部とを撹拌して溶解した後、この溶液を1次分散液に混合して希釈することによって、オキソチタニウムフタロシアニン分散液を調製した。
【0110】
(実施例9)
製造例1のオキソチタニウムフタロシアニン1重量部と、ブチラール樹脂(BM−2:積水化学社製)0.1重量部と、シクロヘキサノン20重量部とをガラスビーズとともにペイントシェーカで1時間分散して、1次分散液を得た。つぎにブチラール樹脂(BM−2:積水化学社製)0.9重量部と、シクロヘキサノン50重量部とを撹拌して溶解した後、この溶液を1次分散液に混合して希釈することによって、オキソチタニウムフタロシアニン分散液を調製した。
【0111】
(比較例7)
製造例1のオキソチタニウムフタロシアニン1重量部と、ブチラール樹脂(BM−2:積水化学社製)0.2重量部と、シクロヘキサノン20重量部とをガラスビーズとともにペイントシェーカで1時間分散して、1次分散液を得た。つぎにブチラール樹脂(BM−2:積水化学社製)0.8重量部と、シクロヘキサノン50重量部とを撹拌して溶解した後、この溶液を1次分散液に混合して希釈することによって、オキソチタニウムフタロシアニン分散液を調製した。
【0112】
(比較例8)
製造例1のオキソチタニウムフタロシアニン1重量部と、ブチラール樹脂(BM−2:積水化学社製)1重量部と、シクロヘキサノン20重量部とをガラスビーズとともにペイントシェーカで1時間分散して、1次分散液を得た。つぎにシクロヘキサノン50重量部を1次分散液に混合して希釈することによって、オキソチタニウムフタロシアニン分散液を調製した。
【0113】
(評価3)
実施例7〜9ならびに比較例7および8のオキソチタニウムフタロシアニン分散液について、評価2と同様にしてX線回折スペクトルを測定した。
【0114】
また実施例7〜9ならびに比較例7および8のオキソチタニウムフタロシアニン分散液を用いて、評価2と同様にして電子写真感光体を作成し、感度を測定した。測定結果を表2に示す。
【0115】
【表2】
【0116】
表2の結果から、1次分散において、樹脂なしの場合、または、顔料に対して10%以下の樹脂を添加した場合に、目的のAの結晶型の分散液が得られることが判る。
【0117】
(実施例10)
製造例1のオキソチタニウムフタロシアニン1重量部と、シクロペンタノン20重量部とをガラスビーズとともにペイントシェーカで1時間分散して、1次分散液を得た。つぎにポリカーボネート樹脂(Z200:三菱瓦斯化学社製)1重量部と、シクロペンタノン50重量部とを撹拌して溶解した後、この溶液を1次分散液に混合して希釈することによって、オキソチタニウムフタロシアニン分散液を調製した。
【0118】
(比較例9)
製造例1のオキソチタニウムフタロシアニン1重量部と、ポリカーボネート樹脂(Z200:三菱瓦斯化学社製)1重量部と、シクロペンタノン20重量部とをガラスビーズとともにペイントシェーカで1時間分散して、1次分散液を得た。つぎにシクロペンタノン50重量部を1次分散液に混合して希釈することによって、オキソチタニウムフタロシアニン分散液を調製した。
【0119】
(実施例11)
製造例1のオキソチタニウムフタロシアニン1重量部と、トルエン20重量部とをガラスビーズとともにペイントシェーカで1時間分散して、1次分散液を得た。つぎにポリカーボネート樹脂(Z200:三菱瓦斯化学社製)1重量部と、トルエン50重量部とを撹拌して溶解した後、この溶液を1次分散液に混合して希釈することによって、オキソチタニウムフタロシアニン分散液を調製した。
【0120】
(比較例10)
製造例1のオキソチタニウムフタロシアニン1重量部と、ポリカーボネート樹脂(Z200:三菱瓦斯化学社製)1重量部と、トルエン20重量部とをガラスビーズとともにペイントシェーカで1時間分散して、1次分散液を得た。つぎにトルエン50重量部を1次分散液に混合して希釈することによって、オキソチタニウムフタロシアニン分散液を調製した。
【0121】
(評価4)
実施例10、実施例11、比較例9および比較例10のオキソチタニウムフタロシアニン分散液について、評価2と同様にしてX線回折スペクトルを測定した。測定結果から、実施例10および11はAの結晶型で、比較例9および10はBの結晶型であった。
【0122】
以上の結果から、脂環式ケトン系溶媒のシクロペンタノンまたは芳香族系溶媒のトルエンで、樹脂を添加しない条件で1次分散した後に、樹脂を添加することによって、Aの結晶型のオキソチタニウムフタロシアニンを得ることができることが判る。
【0123】
(実施例12)
製造例1のオキソチタニウムフタロシアニン1重量部と、シクロヘキサノン20重量部とをガラスビーズとともにペイントシェーカで1時間分散して、1次分散液を得た。つぎに塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合体(SOLBIN M:日信化学社製)1重量部と、シクロヘキサノン50重量部とを撹拌して溶解した後、この溶液を1次分散液に混合して希釈することによって、オキソチタニウムフタロシアニン分散液を調製した。
【0124】
(実施例13)
製造例1のオキソチタニウムフタロシアニン1重量部と、シクロヘキサノン20重量部とをガラスビーズとともにペイントシェーカで1時間分散して、1次分散液を得た。つぎに塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合体(SOLBIN M:日信化学社製)1重量部と、メチルイソブチルケトン50重量部とを撹拌して溶解した後、この溶液を1次分散液に混合して希釈することによって、オキソチタニウムフタロシアニン分散液を調製した。
【0125】
(実施例14)
製造例1のオキソチタニウムフタロシアニン1重量部と、シクロヘキサノン20重量部とをガラスビーズとともにペイントシェーカで1時間分散して、1次分散液を得た。つぎに塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合体(SOLBIN M:日信化学社製)1重量部と、酢酸ブチル50重量部とを撹拌して溶解した後、この溶液を1次分散液に混合して希釈することによって、オキソチタニウムフタロシアニン分散液を調製した。
【0126】
(実施例15)
製造例1のオキソチタニウムフタロシアニン1重量部と、シクロヘキサノン20重量部とをガラスビーズとともにペイントシェーカで1時間分散して、1次分散液を得た。つぎに塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合体(SOLBIN M:日信化学社製)1重量部と、テトラヒドロフラン50重量部とを撹拌して溶解した後、この溶液を1次分散液と混合して希釈することによって、オキソチタニウムフタロシアニン分散液を調製した。
【0127】
(実施例16)
製造例1のオキソチタニウムフタロシアニン1重量部と、モノクロロベンゼン20重量部とをガラスビーズとともにペイントシェーカで1時間分散して、1次分散液を得た。つぎに塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合体(SOLBIN M:日信化学社製)1重量部と、モノクロロベンゼン50重量部とを撹拌して溶解した後、この溶液を1次分散液に混合して希釈することによって、オキソチタニウムフタロシアニン分散液を調製した。
【0128】
(実施例17)
製造例1のオキソチタニウムフタロシアニン1重量部と、モノクロロベンゼン20重量部とをガラスビーズとともにペイントシェーカで1時間分散して、1次分散液を得た。つぎに塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合体(SOLBIN M:日信化学社製)1重量部と、メチルイソブチルケトン50重量部とを撹拌して溶解した後、この溶液を1次分散液に混合して希釈することによて、オキソチタニウムフタロシアニン分散液を調製した。
【0129】
(実施例18)
製造例1のオキソチタニウムフタロシアニン1重量部と、モノクロロベンゼン20重量部とをガラスビーズとともにペイントシェーカで1時間分散して、1次分散液を得た。つぎに塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合体(SOLBIN M:日信化学社製)1重量部と、酢酸ブチル50重量部とを撹拌して溶解した後、この溶液を1次分散液に混合して希釈することによって、オキソチタニウムフタロシアニン分散液を調製した。
【0130】
(実施例19)
製造例1のオキソチタニウムフタロシアニン1重量部と、モノクロロベンゼン20重量部とをガラスビーズとともにペイントシェーカで1時間分散して、1次分散液を得た。つぎに塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合体(SOLBIN M:日信化学社製)1重量部と、テトラヒドロフラン50重量部とを撹拌して溶解した後、この溶液を1次分散液に混合して希釈することによって、オキソチタニウムフタロシアニン分散液を調製した。
【0131】
(評価5)
実施例12〜19のオキソチタニウムフタロシアニン分散液について、評価2と同様にしてX線回折スペクトルを測定した。測定結果から、実施例12〜19の全ては、Aの結晶型であった。
【0132】
また実施例12〜19の分散液を1週間静置し、分散状態を観察したところ、実施例12および16の分散液において一部沈降が観察されたが、実施例13、14、15、17、18および19において沈降は観察されなかった。
【0133】
以上の結果から、脂環式ケトン系溶媒または芳香族系溶媒と、脂肪族ケトン系溶媒、エステル系溶媒およびエーテル系溶媒のうちから選ばれる溶媒との混合溶媒の構成にすることによって、分散安定性に優れることが判る。
【0134】
(実施例20)
製造例1のオキソチタニウムフタロシアニン1重量部と、シクロヘキサノン20重量部とをガラスビーズとともにペイントシェーカで1時間分散して、1次分散液を得た。つぎにフェノキシ樹脂(PKHH:UCC社製)1重量部と、シクロヘキサノン50重量部とを撹拌して溶解した後、この溶液を1次分散液に混合して希釈することによって、オキソチタニウムフタロシアニン分散液を調製した。
【0135】
(実施例21)
製造例1のオキソチタニウムフタロシアニン1重量部と、シクロヘキサノン16重量部と、メチルエチルケトン4重量部とをガラスビーズとともにペイントシェーカで1時間分散して、1次分散液を得た。つぎにフェノキシ樹脂(PKHH:UCC社製)1重量部と、シクロヘキサノン50重量部とを撹拌して溶解した後、この溶液を1次分散液に混合して希釈することによって、オキソチタニウムフタロシアニン分散液を調製した。
【0136】
(実施例22)
製造例1のオキソチタニウムフタロシアニン1重量部と、シクロヘキサノン16重量部と、酢酸エチル4重量部とをガラスビーズとともにペイントシェーカで1時間分散して、1次分散液を得た。つぎにフェノキシ樹脂(PKHH:UCC社製)1重量部と、シクロヘキサノン50重量部とを撹拌して溶解した後、この溶液を1次分散液に混合して希釈することによって、オキソチタニウムフタロシアニン分散液を調製した。
【0137】
(実施例23)
製造例1のオキソチタニウムフタロシアニン1重量部と、シクロヘキサノン16重量部と、ジメトキシエタン4重量部とをガラスビーズとともにペイントシェーカで1時間分散して、1次分散液を得た。つぎにフェノキシ樹脂(PKHH:UCC社製)1重量部と、シクロヘキサノン50重量部とを撹拌して溶解した後、この溶液を1次分散液に混合して希釈することによって、オキソチタニウムフタロシアニン分散液を調製した。
【0138】
(実施例24)
製造例1のオキソチタニウムフタロシアニン1重量部と、モノクロロベンゼン20重量部とをガラスビーズとともにペイントシェーカで1時間分散して、1次分散液を得た。つぎにフェノキシ樹脂(PKHH:UCC社製)1重量部と、モノクロロベンゼン50重量部とを撹拌して溶解した後、この溶液を1次分散液に混合して希釈することによって、オキソチタニウムフタロシアニン分散液を調製した。
【0139】
(実施例25)
製造例1のオキソチタニウムフタロシアニン1重量部と、モノクロロベンゼン16重量部と、メチルエチルケトン4重量部とをガラスビーズとともにペイントシェーカで1時間分散して、1次分散液を得た。つぎにフェノキシ樹脂(PKHH:UCC社製)1重量部と、モノクロロベンゼン50重量部とを撹拌して溶解した後、この溶液を1次分散液に混合して希釈することによって、オキソチタニウムフタロシアニン分散液を調製した。
【0140】
(実施例26)
製造例1のオキソチタニウムフタロシアニン1重量部と、モノクロロベンゼン16重量部と、酢酸エチル4重量部とをガラスビーズとともにペイントシェーカで1時間分散して、1次分散液を得た。つぎにフェノキシ樹脂(PKHH:UCC社製)1重量部と、モノクロロベンゼン50重量部を撹拌して溶解した後、この溶液を1次分散液に混合して希釈することによってオキソチタニウムフタロシアニン分散液を調製した。
【0141】
(実施例27)
製造例1のオキソチタニウムフタロシアニン1重量部と、モノクロロベンゼン16重量部と、ジメトキシエタン4重量部とをガラスビーズとともにペイントシェーカで1時間分散して、1次分散液を得た。つぎにフェノキシ樹脂(PKHH:UCC社製)1重量部と、モノクロロベンゼン50重量部とを撹拌して溶解した後、この溶液を1次分散液に混合して希釈することによって、オキソチタニウムフタロシアニン分散液を調製した。
【0142】
(評価6)
実施例20〜27のオキソチタニウムフタロシアニン分散液について、評価2と同様にしてX線回折スペクトルを測定した。測定結果から、実施例20〜27の全ては、Aの結晶型であった。
【0143】
また実施例20〜27の分散液を1週間静置し、遠心分離沈降型の粒度分布測定器を用いて平均粒径を測定した。測定結果を表3に示す。
【0144】
【表3】
【0145】
表3の結果から、脂環式ケトン系溶媒または芳香族系溶媒と、脂肪族ケトン系溶媒、エステル系溶媒およびエーテル系溶媒のうちから選ばれる溶媒との混合溶媒を用いて、1次分散することによって、より安定性に優れた分散液が得られることが判る。
【0146】
(実施例28)
製造例1のオキソチタニウムフタロシアニン1重量部と、シクロヘキサノン20重量部とをガラスビーズとともにペイントシェーカで1時間分散して、1次分散液を得た。つぎにブチラール樹脂(BL−1:積水化学社製)1重量部と、メチルエチルケトン50重量部とを撹拌して溶解した後、この溶液を1次分散液に混合して希釈することによって、オキソチタニウムフタロシアニン分散液を調製した。
【0147】
(実施例29)
製造例1のオキソチタニウムフタロシアニン1重量部と、シクロヘキサノン16重量部と、メチルエチルケトン4重量部とをガラスビーズとともにペイントシェーカで1時間分散して、1次分散液を得た。つぎにブチラール樹脂(BL−1:積水化学社製)1重量部と、メチルエチルケトン50重量部
とを撹拌して溶解した後、この溶液を1次分散液に混合して希釈することによって、オキソチタニウムフタロシアニン分散液を調製した。
【0148】
(実施例30)
製造例1のオキソチタニウムフタロシアニン1重量部と、シクロヘキサノン10重量部と、メチルエチルケトン10重量部とをガラスビーズとともにペイントシェーカで1時間分散して、1次分散液を得た。つぎにブチラール樹脂(BL−1:積水化学社製)1重量部と、メチルエチルケトン50重量部とを撹拌して溶解した後、この溶液を1次分散液に混合して希釈することによって、オキソチタニウムフタロシアニン分散液を調製した。
【0149】
(比較例12)
製造例1のオキソチタニウムフタロシアニン1重量部と、シクロヘキサノン4重量部と、メチルエチルケトン16重量部とをガラスビーズとともにペイントシェーカで1時間分散して、1次分散液を得た。つぎにブチラール樹脂(BL−1:積水化学社製)1重量部と、メチルエチルケトン50重量部とを撹拌して溶解した後、この溶液を1次分散液に混合して希釈することによって、オキソチタニウムフタロシアニン分散液を調製した。
【0150】
(比較例13)
製造例1のオキソチタニウムフタロシアニン1重量部と、メチルエチルケトン20重量部とをガラスビーズとともにペイントシェーカで1時間分散して、1次分散液を得た。つぎにブチラール樹脂(BL−1:積水化学社製)1重量部と、メチルエチルケトン50重量部とを撹拌して溶解した後、この溶液を1次分散液に混合して希釈することによって、オキソチタニウムフタロシアニン分散液を調製した。
【0151】
(実施例31)
製造例1のオキソチタニウムフタロシアニン1重量部と、モノクロロベンゼン20重量部とをガラスビーズとともにペイントシェーカで1時間分散して、1次分散液を得た。ブチラール樹脂(BL−1:積水化学社製)1重量部と、メチルエチルケトン50重量部とを撹拌して溶解した後、この溶液を1次分散液に混合して希釈することによって、オキソチタニウムフタロシアニン分散液を調製した。
【0152】
(実施例32)
製造例1のオキソチタニウムフタロシアニン1重量部と、モノクロロベンゼン16重量部と、メチルエチルケトン4重量部とをガラスビーズとともにペイントシェーカで1時間分散して、1次分散液を得た。つぎにブチラール樹脂(BL−1:積水化学社製)1重量部と、メチルエチルケトン50重量部とを撹拌して溶解した後、この溶液を1次分散液に混合して希釈することによって、オキソチタニウムフタロシアニン分散液を調製した。
【0153】
(実施例33)
製造例1のオキソチタニウムフタロシアニン1重量部と、モノクロロベンゼン10重量部と、メチルエチルケトン10重量部とをガラスビーズとともにペイントシェーカで1時間分散して、1次分散液を得た。つぎにブチラール樹脂(BL−1:積水化学社製)1重量部と、メチルエチルケトン50重量部とを撹拌して溶解した後、この溶液を1次分散液に混合して希釈することによって、オキソチタニウムフタロシアニン分散液を調製した。
【0154】
(比較例14)
製造例1のオキソチタニウムフタロシアニン1重量部と、モノクロロベンゼン4重量部と、メチルエチルケトン16重量部とをガラスビーズとともにペイントシェーカで1時間分散して、1次分散液を得た。つぎにブチラール樹脂(BL−1:積水化学社製)1重量部と、メチルエチルケトン50重量部とを撹拌して溶解した後、この溶液を1次分散液に混合して希釈することによって、オキソチタニウムフタロシアニン分散液を調製した。
【0155】
(評価7)
実施例28〜33および比較例12〜14のオキソチタニウムフタロシアニン分散液について、評価2と同様にしてX線回折スペクトルを測定した。測定結果を表4に示す。
【0156】
【表4】
【0157】
表4の結果から、実施例28〜33のように、1次分散液中の脂環式ケトン系溶媒または芳香族系溶媒が50重量%以上のときに、目的のAの結晶型を得ることができることが判る。
【0158】
(実施例34)
製造例1のオキソチタニウムフタロシアニン1重量部と、シクロヘキサノン20重量部とをガラスビーズとともにペイントシェーカで1時間分散して、1次分散液を得た。つぎにブチラール樹脂(BM−S:積水化学社製)1重量部と、メチルエチルケトン50重量部とを撹拌して溶解した後、この溶液を1次分散液に混合して希釈することによって、オキソチタニウムフタロシアニン分散液を調製した。
【0159】
(実施例35)
製造例1のオキソチタニウムフタロシアニン1重量部と、シクロヘキサノン20重量部とをガラスビーズとともにペイントシェーカで1時間分散して、1次分散液を得た。つぎにブチラール樹脂(BM−S:積水化学社製)1重量部と、シクロヘキサノン15重量部と、メチルエチルケトン35重量部
とを撹拌して溶解した後、この溶液をオキソチタニウムフタロシアニン分散液に混合、希釈した。
【0160】
(実施例36)
製造例1のオキソチタニウムフタロシアニン1重量部と、シクロヘキサノン20重量部とをガラスビーズとともにペイントシェーカで1時間分散して、1次分散液を得た。つぎにブチラール樹脂(BM−S:積水化学社製)1重量部と、シクロヘキサノン30重量部と、メチルエチルケトン20重量部
とを撹拌して溶解した後、この溶液を1次分散液に混合して希釈することによって、オキソチタニウムフタロシアニン分散液を調製した。
【0161】
(実施例37)
製造例1のオキソチタニウムフタロシアニン1重量部と、シクロヘキサノン20重量部とをガラスビーズとともにペイントシェーカで1時間分散して、1次分散液を得た。つぎにブチラール樹脂(BM−S:積水化学社製)1重量部と、シクロヘキサノン50重量部とを撹拌して溶解した後、この溶液を1次分散液に混合して希釈することによって、オキソチタニウムフタロシアニン分散液を調製した。
【0162】
(実施例38)
製造例1のオキソチタニウムフタロシアニン1重量部と、モノクロロベンゼン20重量部とをガラスビーズとともにペイントシェーカで1時間分散して、1次分散液を得た。つぎにブチラール樹脂(BM−S:積水化学社製)1重量部と、メチルエチルケトン50重量部とを撹拌して溶解した後、この溶液を1次分散液に混合して希釈することによって、オキソチタニウムフタロシアニン分散液を調製した。
【0163】
(実施例39)
製造例1のオキソチタニウムフタロシアニン1重量部と、モノクロロベンゼン20重量部とをガラスビーズとともにペイントシェーカで1時間分散して、1次分散液を得た。つぎにブチラール樹脂(BM−S:積水化学社製)1重量部と、シクロヘキサノン15重量部と、モノクロロベンゼン35重量部とを撹拌して溶解した後、この溶液を1次分散液に混合して希釈することによって、オキソチタニウムフタロシアニン分散液を調製した。
【0164】
(実施例40)
製造例1のオキソチタニウムフタロシアニン1重量部と、モノクロロベンゼン20重量部とをガラスビーズとともにペイントシェーカで1時間分散して、1次分散液を得た。つぎにブチラール樹脂(BM−S:積水化学社製)1重量部と、モノクロロベンゼン30重量部と、メチルエチルケトン20重量部とを撹拌して溶解した後、この溶液を1次分散液に混合して希釈することによって、オキソチタニウムフタロシアニン分散液を調製した。
【0165】
(実施例41)
製造例1のオキソチタニウムフタロシアニン1重量部と、モノクロロベンゼン20重量部とをガラスビーズとともにペイントシェーカで1時間分散して、1次分散液を得た。つぎにブチラール樹脂(BM−S:積水化学社製)1重量部と、モノクロロベンゼン50重量部とを撹拌して溶解した後、この溶液を1次分散液に混合して希釈することによって、オキソチタニウムフタロシアニン分散液を調製した。
【0166】
(評価8)
実施例34〜41のオキソチタニルフタロシアニン分散液を、評価2と同様にしてX線回折スペクトルを測定した。測定結果は、実施例34〜41の全ては、Aの結晶型であった。
【0167】
また実施例34〜41の分散液を用いて、直径65mm、長さ330mmのアルミドラムを浸漬塗工し、該アルミドラム上に付着した分散液が乾燥するまでの時間を計測した。計測結果を表5に示す。
【0168】
【表5】
【0169】
表5の結果から、アルミドラム上に付着した分散液は、分散液中のシクロヘキサノンまたはモノクロロベンゼンの比率が50%以下の場合に、5分以内に乾燥し、生産性に優れていることが判る。
【0170】
【発明の効果】
以上のようにして、本発明によれば、初期分散工程における分散媒として脂環式ケトン系溶媒または芳香族系溶媒を主とする溶媒を用い、樹脂を含有させずにまたは顔料重量の10重量%以下の樹脂を含有させて1次分散を行った後に、溶媒およびバインダ樹脂を添加することによって、容易に、かつ再現性よく目的の結晶型を保持したオキソチタニウムフタロシアニン分散液を得ることができる分散液の製造方法を提供することができる。
【0171】
また本発明によれば、前記分散液の製造方法によって得られる結晶型のオキソチタニウムフタロシアニン分散液を塗布することによって、優れた静電特性を有する電子写真感光体の製造方法を提供することができる。
【0172】
また本発明によれば、前記電子写真感光体の製造方法によって得られる電子写真感光体を備えることによって、良好な画像特性を安定してうることができる電子写真装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】製造例1の結晶のX線回折スペクトルを示す図である。
【図2】製造例2の結晶のX線回折スペクトルを示す図である。
【図3】実施例1の分散液中の結晶のX線回折スペクトルを示す図である。
【図4】実施例2の分散液中の結晶のX線回折スペクトルを示す図である。
Claims (16)
- オキソチタニウムフタロシアニンを含有する顔料を、脂環式ケトン系溶媒または芳香族系溶媒を含む分散媒を用い、樹脂を含有させずにまたは前記顔料重量の10重量%以下の樹脂を含有させて分散する初期分散工程と、前記顔料が分散された溶媒に、バインダ樹脂が溶媒に溶解された溶液を添加することによって、少なくともX線回折スペクトルにおいてブラッグ角(2θ±0.2°)7.3°,9.4°,9.6°,11.6°,13.3°,17.9°,24.1°および27.2°に主要な回折ピークを示し、そのうちの9.4°と9.6°との重なったピーク束が最大回折ピークを示し、かつ27.2°のピークが2番目に大きなピークを示す結晶型オキソチタニウムフタロシアニンを有する顔料分散液を得る工程とを含むことを特徴とする顔料分散液の製造方法。
- 少なくともX線回折スペクトルにおいてブラッグ角(2θ±0.2°)7.3°,9.4°,9.6°,11.6°,13.3°,17.9°,24.1°および27.2°に主要な回折ピークを示し、そのうちの9.4°と9.6°の重なったピーク束が最大回折ピークを示し、かつ27.2°のピークが2番目に大きなピークを示す結晶型オキソチタニウムフタロシアニンを含有する顔料を、脂環式ケトン系溶媒または芳香族系溶媒を含む分散媒を用い、樹脂を含有させずにまたは前記顔料重量の10重量%以下の樹脂を含有させて分散する初期分散工程と、前記顔料が分散された溶媒に、バインダ樹脂が溶媒に溶解された溶液を添加することによって、少なくともX線回折スペクトルにおいてブラッグ角(2θ±0.2°)7.3°,9.4°,9.6°,11.6°,13.3°,17.9°,24.1°および27.2°に主要な回折ピークを示し、そのうちの9.4°と9.6°との重なったピーク束が最大回折ピークを示し、かつ27.2°のピークが2番目に大きなピークを示す結晶型オキソチタニウムフタロシアニンを有する顔料分散液を得る工程とを含むことを特徴とする顔料分散液の製造方法。
- 少なくともX線回折スペクトルにおいてブラッグ角(2θ±0.2°)27.3°に最大回折ピークを示し、かつ7.4°,9.7°および24.2°に回折ピークを示す結晶型オキソチタニウムフタロシアニンを含有する顔料を、脂環式ケトン系溶媒または芳香族系溶媒を含む分散媒を用い、樹脂を含有させずにまたは前記顔料重量の10重量%以下の樹脂を含有させて分散する初期分散工程と、前記顔料が分散された溶媒に、バインダ樹脂が溶媒に溶解された溶液を添加することによって、少なくともX線回折スペクトルにおいてブラッグ角(2θ±0.2°)7.3°,9.4°,9.6°,11.6°,13.3°,17.9°,24.1°および27.2°に主要な回折ピークを示し、そのうちの9.4°と9.6°との重なったピーク束が最大回折ピークを示し、かつ27.2°のピークが2番目に大きなピークを示す結晶型オキソチタニウムフタロシアニンを有する顔料分散液を得る工程とを含むことを特徴とする顔料分散液の製造方法。
- 前記初期分散工程における分散媒が、脂環式ケトン系溶媒および芳香族系溶媒のうちのいずれかの溶媒のみを単独で含み、初期分散工程において分散媒が含む脂環式ケトン系溶媒または芳香族系溶媒と、脂肪族ケトン系溶媒、エステル系溶媒およびエーテル系溶媒のうちのいずれかの溶媒との混合溶媒を有する顔料分散液が得られることを特徴とする請求項1〜3のうちのいずれか1記載の顔料分散液の製造方法。
- 前記初期分散工程における分散媒が、脂環式ケトン系溶媒および芳香族系溶媒のうちのいずれかの溶媒と、脂肪族ケトン系溶媒、エステル系溶媒およびエーテル系溶媒のうちのいずれかの溶媒との混合溶媒であることを特徴とする請求項1〜3のうちのいずれか1記載の顔料分散液の製造方法。
- 前記混合溶媒において、脂環式ケトン系溶媒または芳香族系溶媒の割合が50重量%以上であることを特徴とする請求項5記載の顔料分散液の製造方法。
- 前記脂環式ケトン系溶媒がシクロヘキサノンであることを特徴とする請求項1、2、3、4、5または6記載の顔料分散液の製造方法。
- 前記芳香族系溶媒がモノクロロベンゼンであることを特徴とする請求項1、2、3、4、5または6記載の顔料分散液の製造方法。
- オキソチタニウムフタロシアニンを含有する顔料が、シクロヘキサノンを単独溶媒として含む分散媒を用い、樹脂を含有させずにまたは前記顔料重量の10重量%以下の樹脂を含有させて分散された初期分散液に、バインダ樹脂が溶媒に溶解された溶液が添加された顔料分散液であって、少なくともX線回折スペクトルにおいてブラッグ角(2θ±0.2°)7.3°,9.4°,9.6°,11.6°,13.3°,17.9°,24.1°および27.2°に主要な回折ピークを示し、そのうちの9.4°と9.6°との重なったピーク束が最大回折ピークを示し、かつ27.2°のピークが2番目に大きなピークを示す結晶型オキソチタニウムフタロシアニンを有し、シクロヘキサノンと、脂肪族ケトン系溶媒、エステル系溶媒およびエーテル系溶媒のうちのいずれかの溶媒との混合溶媒を含み、該混合溶媒にシクロヘキサノンが50重量%以下の割合で含まれていることを特徴とする顔料分散液。
- オキソチタニウムフタロシアニンを含有する顔料が、シクロヘキサノンと、脂肪族ケトン系溶媒、エステル系溶媒およびエーテル溶媒のうちのいずれかの溶媒との混合溶媒を含む分散媒を用い、樹脂を含有させずにまたは前記顔料重量の10重量%以下の樹脂を含有させて分散された初期分散液に、バインダ樹脂が溶媒に溶解された溶液が添加された顔料分散液であって、少なくともX線回折スペクトルにおいてブラッグ角(2θ±0.2°)7.3°,9.4°,9.6°,11.6°,13.3°,17.9°,24.1°および27.2°に主要な回折ピークを示し、そのうちの9.4°と9.6°との重なったピーク束が最大回折ピークを示し、かつ27.2°のピークが2番目に大きなピークを示す結晶型オキソチタニウムフタロシアニンを有し、シクロヘキサノンと、脂肪族ケトン系溶媒、エステル系溶媒およびエーテル系溶媒のうちのいずれかの溶媒との混合溶媒を含み、該混合溶媒にシクロヘキサノンが50重量%以下の割合で含まれていることを特徴とする顔料分散液。
- オキソチタニウムフタロシアニンを含有する顔料が、モノクロロベンゼンを単独溶媒として含む分散媒を用い、樹脂を含有させずにまたは前記顔料重量の10重量%以下の樹脂を含有させて分散された初期分散液に、バインダ樹脂が溶媒に溶解された溶液が添加された顔料分散液であって、少なくともX線回折スペクトルにおいてブラッグ角(2θ±0.2°)7.3°,9.4°,9.6°,11.6°,13.3°,17.9°,24.1°および27.2°に主要な回折ピークを示し、そのうちの9.4°と9.6°との重なったピーク束が最大回折ピークを示し、かつ27.2°のピークが2番目に大きなピークを示す結晶型オキソチタニウムフタロシアニンを有し、モノクロロベンゼンと、脂肪族ケトン系溶媒、エステル系溶媒およびエーテル系溶媒のうちのいずれかの溶媒との混合溶媒を含み、該混合溶媒にモノクロロベンゼンが50重量%以下の割合で含まれていることを特徴とする顔料分散液。
- オキソチタニウムフタロシアニンを含有する顔料が、モノクロロベンゼンと、脂肪族ケトン系溶媒、エステル系溶媒およびエーテル溶媒のうちのいずれかの溶媒との混合溶媒を含む分散媒を用い、樹脂を含有させずにまたは前記顔料重量の10重量%以下の樹脂を含有させて分散された初期分散液に、バインダ樹脂が溶媒に溶解された溶液が添加された顔料分散液であって、少なくともX線回折スペクトルにおいてブラッグ角(2θ±0.2°)7.3°,9.4°,9.6°,11.6°,13.3°,17.9°,24.1°および27.2°に主要な回折ピークを示し、そのうちの9.4°と9.6°との重なったピーク束が最大回折ピークを示し、かつ27.2°のピークが2番目に大きなピークを示す結晶型オキソチタニウムフタロシアニンを有し、モノクロロベンゼンと、脂肪族ケトン系溶媒、エステル系溶媒およびエーテル系溶媒のうちのいずれかの溶媒との混合溶媒を含み、該混合溶媒にモノクロロベンゼンが50重量%以下の割合で含まれていることを特徴とする顔料分散液。
- 導電性支持体上に、請求項1〜8のうちのいずれか1項に記載の顔料分散液の製造方法によって製造された顔料分散液を感光層塗工液として用いて、感光層を形成することを特徴とする電子写真感光体の製造方法。
- 導電性支持体と、該導電性支持体上に形成された感光層とを含む電子写真感光体であって、前記感光層は、請求項9〜12のうちのいずれか1項に記載の顔料分散液が塗工されて成ることを特徴とする電子写真感光体。
- 導電性支持体と、該導電性支持体上に形成された感光層とを含む電子写真感光体であって、前記感光層は、電荷発生物質を含有する電荷発生層と、電荷輸送物質を含有する電荷輸送層とを含み、該電荷発生層が、請求項9〜12のうちのいずれか1項に記載の顔料分散液が塗工されて成り、顔料分散液中のオキソチタニウムフタロシアニンが電荷発生物質として含有されていることを特徴とする電子写真感光体。
- 電子写真方式によって画像を形成する電子写真装置において、請求項14または15記載の電子写真感光体が備えられていることを特徴とする電子写真装置。
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