JP3160771B2 - 電子写真感光体 - Google Patents

電子写真感光体

Info

Publication number
JP3160771B2
JP3160771B2 JP05524192A JP5524192A JP3160771B2 JP 3160771 B2 JP3160771 B2 JP 3160771B2 JP 05524192 A JP05524192 A JP 05524192A JP 5524192 A JP5524192 A JP 5524192A JP 3160771 B2 JP3160771 B2 JP 3160771B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
titanyl phthalocyanine
crystal
type
propanediol
present
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP05524192A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH05257307A (ja
Inventor
一雅 渡邉
明彦 伊丹
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Konica Minolta Inc
Original Assignee
Konica Minolta Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Konica Minolta Inc filed Critical Konica Minolta Inc
Priority to JP05524192A priority Critical patent/JP3160771B2/ja
Publication of JPH05257307A publication Critical patent/JPH05257307A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3160771B2 publication Critical patent/JP3160771B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Photoreceptors In Electrophotography (AREA)
  • Organic Low-Molecular-Weight Compounds And Preparation Thereof (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は電子写真感光体に関す
る。特にプリンタなどに使用され、LED光、半導体レ
ーザ光に対して有用な感光体に関する。
【0002】
【従来技術】近年、電子機器の発達は著しいものがあ
り、コンピュータからのアウトに使うプリンタやデジタ
ル複写機の需要が高まっている。これらの機器は光源に
半導体レーザやLEDを使う関係で赤から近赤外光に感
応する感光体が必要である。これには従来のセレン系な
どの無機感光体では不十分であり、フタロシアニン類を
分散した有機感光体(OPC)が数多く検討されてい
る。
【0003】その中でもチタニルフタロシアニン、特に
27.2度と9.6度にピークを持つことが特徴のY型チタニ
ルフタロシアニンは0.94と言う高い光量子効率を有する
優れた素材である(Japan Hardcopy 89,論文集 103,(19
89))。
【0004】しかしながら、この物は湿度によって感度
が多少変動する欠点がある。
【0005】これではON-OFFの2値しかないプリンタに
は使用できても、より高度の画像を望み、露光量に応じ
て階調を出す試みに対しては好ましい事ではない。さら
にY型の欠点としてこの物が準安定結晶であり、安定型
結晶に転移しやすい事が挙げられる。熱による結晶転移
は約250℃であり、感光体にしてしまえば実用上問題は
無い。しかし、感光体製造時の分散液中では溶媒の種類
によっては低温でも結晶転移を起し、塗布液の寿命が短
くなると言った問題を生じる。
【0006】塗布分散液の寿命が短くなると言う事はデ
ィッピング塗布に於いて、顔料が感光体として充分消費
尽される前に廃棄される事を意味する。つまりコスト高
になる。
【0007】
【本発明の目的】本発明の目的は上記した事情に鑑み、
高感度かつ感度の湿度依存性のない感光体を提供するこ
とにある。本発明の第二の目的は有機溶媒に対して安定
で、結晶転移を生じにくい分散液を与えるチタニルフタ
ロシアニン結晶を提供することにある。
【0008】
【発明の構成とその作用】本発明は特定のチタニルフタ
ロシアニン結晶を含む感光体によって達せられた。
【0009】特定のチタニルフタロシアニン結晶とはチ
タニルフタロシアニンと1,2-プロパンジオールの付加体
結晶の事である。好ましくはCuKαに対するX線回折
スペクトルにおいてブラッグ角(2θ±0.2)の26.6度に
最大ピークを有する結晶である(Q型結晶と名付け
る)。さらに好ましくは付加体でかつ26.6度のほかに少
なくとも12.9, 16.2度に回折ピークを有する結晶(Q1
型結晶)、または26.6度のほかに少なくとも7.8, 8.0,
11.2, 12.9, 16.3度に回折ピークを有する結晶(Q2型
結晶)の事である。
【0010】付加体は後述の合成例にその一例を示した
ようにチタニルフタロシアニン類と1,2-プロパンジオー
ルから成り、加熱されると1,2-プロパンジオールを放出
することからそれと判明する。また付加体である証拠と
して昇温速度10℃/分で熱分析(TG)を測定すると1,
2-プロパンジオールの沸点198℃より50℃以上高い温度
で重量減少が見られるなどの特色があり、単なる混合と
区別される。 本発明のチタニルフタロシアニン−1,2-
プロパンジオール付加体結晶のうち、特に好ましいもの
は1,2-プロパンジオール/チタニルフタロシアニン=1
/2付加体結晶である。本発明の付加体の合成には色々
な手段が考えられるがアモルファス化したチタニルフタ
ロシアニン類を1,2-プロパンジオールの存在下に処理す
るのが好ましい。処理の方法は1,2-プロパンジオール単
独にチタニルフタロシアニンをそのまま混合させても良
いし、他の溶媒で希釈しても良い。溶媒としてはメチル
エチルケトン、シクロペンタノンなどのケトン類、ブチ
ルメタアクリレートなどのエステル類、テトラヒドロフ
ランなどのエーテル類、オルトジクロルベンゼンなどの
芳香族などをあげることができる。温度は1,2-プロパン
ジオールが液体で存在する広い範囲で処理可能であるが
室温から170℃の範囲が好ましい。結晶変換操作として
は一般の合成化学実験およびそれらを工業化したものに
見られるような溶媒中での単なる攪拌の他、フタロシア
ニン類でよく見られるようにミリングなどの機械的シェ
アを掛けながらの操作も本発明に含まれる。中間体であ
るチタニルフタロシアニン類のアモルファス化は硫酸に
溶かして水に注ぐ(アシッドペースト処理)、あるいは
機械的粉砕、ミリングなど公知の方法を採用することが
できる。
【0011】チタニルフタロシアニン類は次の一般式で
表される。
【0012】
【化1】
【0013】式中 X1〜X4は水素原子、ハロゲン原
子、アルキル基、あるいはアルコキシ基を表し、n,
m,l,kは0〜4の整数を表す。
【0014】上記のX線回折スペクトルは次の条件で測
定した。
【0015】 X線管球 Cu 電圧 40.0 kv 電流 100 mA スタート角度 6.00 deg. ストップ角度 35.00 deg. ステップ角度 0.020 deg. 測定時間 0.50 sec. 本発明のチタニルフタロシアニン付加体結晶を含む感光
体は感度もよく、かつ湿度依存性もない優れたものであ
る。この原因については良く分からない。X線回折スペ
クトルで現される結晶構造そのもの、または付加した1,
2-プロパンジオールが好ましい作用をしたものであろ
う。付加した1,2-プロパンジオールが主原因との説に立
てば次のような説明ができる。
【0016】藤巻は高感度な素材チタニルフタロシアニ
ンのY型結晶が加熱または乾燥窒素雰囲気によって脱水
処理されると感度が低下することを見出した。
【0017】これは常温常湿度で水を再吸収すると再び
感度が回復する事からY型粒子は水を吸着した結晶であ
り、水分子が光が当って生じたチタニルフタロシアニン
励起子からのホールと光電子の解離を幇助し、それがY
型チタニルフタロシアニンの高感度の一原因ではないか
と推測している(Y.Fujimaki : IS&T's 7th Inte
rnational Congress on Advance in Nonimpact Printin
g Technologies, Paper Summaries,269,(1991))。その
考えから本発明の結晶は特に水の代りに1,2-プロパン
ジオールが付加したものと言えよう。水と違って離れに
くいのは沸点が高い事もさりながら、1,2-プロパンジオ
ールだと同一分子中にOH基が二つあるため二つの吸着
点から同時に離れる確率は一つの吸着点しかない化合物
のそれより遥かに低くなっているためと推測している。
【0018】次ぎに本発明のチタニルフタロシアニンの
製造方法について具体的に例示する。
【0019】(合成例1) (チタニルフタロシアニン−アモルファス品の合成)1,
3-ジイミノイソインドリン;29.2gをオルトジクロルベ
ンゼン 200mlに分散し、チタニウムテトラ-n-ブトキシ
ド;20.4gを加えて窒素雰囲気下に150〜160℃で5時間
加熱した。放冷後、析出した結晶を濾過し、クロロホル
ムで洗浄、2%塩酸水溶液で洗浄、水洗、メタノール洗
浄して、乾燥の後26.2g(91.0%)の粗チタニルフタロシ
アニンを得た。このものの結晶型を図1に示す。ついで
この粗チタニルフタロシアニン 20.0gを5℃以下で濃硫
酸 200ml中で1時間攪拌して溶し、これを20℃の水4l
に注ぎ込む。析出した結晶を濾過し、水で充分に洗って
ウエットペースト品 180gを得た。このものを乾燥し、
粉末とした結晶型は図2に示すごとく、アモルファス状
態である。
【0020】(本発明のチタニルフタロシアニン結晶の
) フラスコにオルトジクロルベンゼン 100mlと1,2-プロパ
ンジオール 50mlをとり、これに上記のチタニルフタロ
シアニン−アモルファス乾燥粉末8gを加えた。ついで
この混合物を室温で10時間攪拌した。これをメタノール
800mlに注いで結晶を析出させた。濾過し、メタノール
で洗浄し、乾燥して目的とするチタニルフタロシアニン
と1,2-プロパンジオール付加体結晶 8.4gを得た。図3
に示す。ブラッグ角2θ;26.6度に最大ピークを有する
がその他に12.9, 16.2度にピークを有する結晶(Q1型
結晶)である。
【0021】(合成例2) フラスコにオルトジクロルベンゼン 100mlと1,2-プロパ
ンジオール 50mlをとり、これに合成例1の方法で得
た、チタニルフタロシアニン−アモルファス乾燥粉末8
gを加えた。ついでこの混合物を7時間加熱還流させ
た。放冷後、これをメタノール 800mlに注いで結晶を析
出させた。濾過し、メタノールで洗浄し、乾燥して目的
とするチタニルフタロシアニンと1,2-プロパンジオール
付加体結晶 8.4gを得た。図4に示す。合成例1と同様
にブラッグ角2θ;26.6度に最大ピークを有するが、そ
の他に7.8, 8.0, 11.2, 12.9, 16.3度にピークを有する
結晶(Q2型結晶)である。
【0022】(合成例3) フラスコにテトラヒドロフラン 100mlと1,2-プロパンジ
オール 50mlをとり、これに合成例1の方法で得た、チ
タニルフタロシアニン−アモルファス乾燥粉末8gを加
えた。ついでこの混合物を20時間室温で攪拌した。次い
で、これをメタノール 800mlに注いで結晶を析出させ
た。濾過し、メタノールで洗浄し、乾燥して目的とする
チタニルフタロシアニンと1,2-プロパンジオール付加体
結晶 8.4gを得た。図5に示す。実施例1と同様にブラ
ッグ角2θ;26.6度に最大ピークを有し、その他に12.
9, 16.2度にピークを有する結晶(Q1型結晶)であ
る。
【0023】比較のため既存のチタニルフタロシアニン
結晶を作ったが以下にその例を示す (比較合成例(1)) (Y型チタニルフタロシアニン結晶の作成)ビーカにメ
チルエチルケトン 60mlと水 20ml、合成例1で述べたチ
タニルフタロシアニン−ウエットペースト品 40g(固形
分11%)を加え、室温にて8時間攪拌した。この粘稠混
合物にメタノールを500ml加えて結晶を析出させる。濾
過し、メタノールで洗浄し、乾燥して目的とするチタニ
ルフタロシアニン結晶 4.2gを得た。このものの結晶型
を図6に示す。ブラッグ角2θ;9.5度と27.2度に著し
く発達したピークがあるのが特徴である。(Y型結晶) (比較合成例(2)) (B型チタニルフタロシアニンの合成)前述のチタニル
フタロシアニン−アモルファス乾燥粉末5gを酢酸300m
lに懸濁し、8時間加熱還流した。放冷後、濾過しB型
チタニルフタロシアニンを得た。このもののX線回折ス
ペクトルを図7に示す。これは特開昭61-217050号に記
載されているものと同じ結晶型である。
【0024】(比較合成例(3)) (A型チタニルフタロシアニンの合成)前述のチタニル
フタロシアニン−アモルファス乾燥粉末5gをクロルナ
フタレン 150mlから再結晶してA型チタニルフタロシア
ニンを得た。このもののX線回折スペクトルを図8に示
す。これは特開昭62-67094号に記載されているものと同
じ結晶型である。
【0025】次ぎに本発明のチタニルフタロシアニン結
晶の基本的性質を調べるためにTGおよびDSCを測定
した。
【0026】TG(昇温速度10℃/分)を図9に示す。
【0027】比較合成例(1)のY型チタニルフタロシア
ニンは100℃付近に重量減少が観測される。これに対し
て合成例1,2の本発明のQ型チタニルフタロシアニン
は重量減少が認められるのは355℃付近であり、1,2-プ
ロパンジオールの沸点192℃を大きく上回っている。1,2
-プロパンジオールが単にチタニルフタロシアニン粒子
の側に存在しているだけでなく、何らかの力で、ある種
の結合(吸着)をしていることを表す。なお355℃付近
における重量変化量は合成例1,2,3でそれぞれ6.5
%,6.3%,6.4%であり、1,2-プロパンジオールがチタ
ニルフタロシアニンに対して1/2モル付加したと想定し
た計算値6.2%に近い。
【0028】比較例のA、B型はY型や本発明のような
重量変化はない。
【0029】DSC(昇温速度30℃/分)を図10に示
す。
【0030】比較合成例(1)のY型チタニルフタロシア
ニンは105℃付近に水の脱着と見られる吸熱ピークが見
られる。これに対して合成例1,2,3の本発明のQ型
チタニルフタロシアニンは400℃付近に吸熱ピークがあ
りTG同様に沸点を大幅に越えている。
【0031】次ぎに本発明の感光体の構成について記載
する。
【0032】本発明の感光体は上記のチタニルフタロシ
アニン化合物の結晶のほかに更に他のキャリア発生物質
を併用してもよい、具体的には本発明のものと異なる結
晶型を有するチタニルフタロシアニン結晶、例えばA,
B,Y型を挙げることができる。
【0033】その他、バナジルフタロシアニン、X型無
金属フタロシアニン、τ型無金属フタロシアニン、ε型
銅フタロシアニンなどの各種フタロシアニン類、更には
アゾ顔料、アントラキノン顔料、ペリレン顔料などの縮
合多環顔料を上げることができる。
【0034】本発明の感光体ではキャリア輸送物質を併
用することができる。使用されるキャリア輸送物質は特
に制限はないが代表的なものとして、オキサゾール誘導
体、オキサジアゾール誘導体、スチリル化合物、ヒドラ
ゾン化合物、オキサゾロン化合物、ピラゾリン誘導体、
アミノスチルベン誘導体、トリフェニルアミン誘導体、
ポリ-N-ビニルカルバゾールなどを上げることができ
る。
【0035】代表的な物としては次ぎの化合物をあげる
ことができる。
【0036】
【化2】
【0037】
【化3】
【0038】
【化4】
【0039】
【化5】
【0040】
【化6】
【0041】
【化7】
【0042】本発明の感光体の感光層を構成するために
は前述のキャリア発生物質をバインダ中に分散せしめた
層を導電性支持体上に設ければよい。或いはこのキャリ
ア発生物質とキャリア輸送物質とを組合せ、積層型のい
わゆる機能分離型感光層を設けてもよい。これら層構成
において単層、積層各々の感光層と支持体との間に接
着、あるいは導電性支持体からのフリーエレクトロンの
注入防止を目的として中間層をもうけたり、更には表面
に保護層を設けても良い。キャリア発生層およびキャリ
ア輸送層の形成に使用される溶媒あるいは分散媒として
は、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノ
ン、トルエン、ジクロルベンゼン、ジクロルメタン、ジ
クロルエタン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、メタ
ノール、エタノール、イソプロパノール、酢酸エチル、
酢酸ブチルなどを上げることができる。
【0043】キャリア発生層もしくはキャリア輸送層の
形成にバインダを用いる場合には任意のものを用いるこ
とができるが、特に疎水性の電気絶縁性フィルムを形成
する高分子重合体が好ましい。以下にその例を述べるが
勿論これらに限定されるものではない。
【0044】1 )ポリカーボネート 2 )ポリエステル 3 )メタクリル樹脂 4 )アクリル樹脂 5 )ポリ塩化ビニル 6 )ポリ塩化ビニリデン 7 )ポリスチレン 8 )ポリビニルアセテート 9 )スチレン−ブタジエン共重合体 10)塩化ビニリデン−アクリロニトリル共重合体 11)塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体 12)塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合体 13)シリコーン樹脂 14)シリコーン−アルキッド樹脂 15)フェノール−ホルムアルデヒド樹脂 16)スチレン−アクリル共重合樹脂 17)スチレン−アルキッド樹脂 18)ポリ-N-ビニルカルバゾール 19)ポリビニルブチラール 20)ポリカーボネートZ樹脂 これらのバインダは単独、或いは2種以上の混合物とし
て用いることができる。
【0045】またバインダ100に対するキャリア発生物
質の割合は10〜600wt/wt、好ましくは20〜400wt/wt、キ
ャリア輸送物質は10〜400wt/wtとするのがよい。
【0046】この様にして形成されるキャリア発生層の
厚さは0.05〜30μmである事が好ましく、特に積層の場
合は0.5〜5μmが好ましい。キャリア輸送層の厚みは 2
〜100μm、好ましくは 5〜30μmである。
【0047】さらに上記感光層には感度の向上、残留電
位および反復使用時の疲労低減を目的として一種または
二種以上の電子受容物質を含有せしめることができる。
ここに用いることができる電子受容物質とは例えば無水
マレイン酸、テトラクロル無水フタル酸、テトラシアノ
エチレン、テトラシアノキノンジメタン、ジニトロベン
ゼン、ニトロベンゾニトリル、クロラニル、アントラキ
ノン、ニトロ安息香酸、ニトロフルオレノンなどの電子
親和力の大きい化合物をあげることができる。
【0048】また上記感光層中には保存性、耐久性、対
環境依存性を向上させる目的で酸化防止剤や光安定剤な
どの劣化防止剤を含有させることができる。その様な目
的に用いられる化合物としては例えば、トコフェノール
などのクロマノール誘導体およびそのエーテル化もしく
はエステル化化合物、ポリアリールアルカン化合物、ハ
イドロキノン誘導体、ベンゾトリアゾール誘導体、亜燐
酸エステル、ヒンダードフェノール化合物、ヒンダード
アミン化合物などをあげることができる。
【0049】具体的には『IRGANOX1010』,『IRGANOX56
5』(チバガイギー社製)、『スミライザーBHT』,『ス
ミライザーMDP』(住友化学工業社製)等のヒンダード
フェノール化合物、『サノール LS-2626』、『サノール
LS-622LD』等のヒンダードアミン化合物があげられ
る。
【0050】中間層、保護層に用いられるバインダとし
ては前述のキャリア発生層およびキャリア輸送層にあげ
たものを用いる事ができる。更にポリアミド樹脂、エチ
レン−酢ビ共重合体、ポリビニルアルコール、セルロー
ス誘導体などが有効である。尚、この感光層を設ける支
持体は金属板、金属ドラムの他、導電性ポリマー、酸化
インジウム等の導電性化合物もしくはアルミニウム、パ
ラジウム、金などの金属からなる導電性薄膜を、紙プラ
スティックフィルム等の基体上に塗布、蒸着、ラミネー
ト等の手段により設けたものを用いることができる。
【0051】接着層あるいはバリヤ層として機能する中
間層としては前述のバインダ樹脂として説明したような
高分子重合体、ポリビニルアルコール、エチルセルロー
ス、カルボキシメチルセルロース等の有機高分子物質ま
たは酸化アルミニウム、酸化チタンなどより成るものを
用いることができる。
【0052】
【実施例】本発明は以上説明したように特定のチタニル
フタロシアニン結晶を用いる事によってLED光および
半導体レーザ光に対して有効な電子写真感光体を得る物
である。本発明の感光体は感度が高く、環境(湿度)依
存性のない優れたものである。以下実施例をもって本発
明の特徴を説明する。
【0053】実施例1 合成例1で得た本発明のチタニルフタロシアニンQ1型
結晶(図3)3部、シリコーン樹脂(『KR−524
0、15%キシレンブタノール溶液』信越化学社製)20
部、メチルエチルケトン100部(wt)をサンドグラインダ
で粉砕分散して分散液を得た。一方、アルミ蒸着ポリエ
ステルベースにポリアミド樹脂(『CM8000』東レ
社製)を塗布して膜厚0.3μmの下引き層を作り、この上
に前述のQ1型結晶分散液を塗布して膜厚0.2μmのキャ
リア発生層を形成した。さらにキャリア輸送物質(1)
1部(wt)とポリカーボネート樹脂(『ユーピロンZ2
00』三菱瓦斯化学社製)2部(wt)およびシリコーン
オイル(『KF−54』信越化学社製)0.01部を1,2-ジ
クロルエタン15部(wt)に溶かし、これを前記のキャリ
ア発生層上にブレード塗布して乾燥膜厚22μmのキャリ
ア輸送層を形成し感光体を作った。サンプル1とする。
【0054】実施例2 実施例1におけるチタニルフタロシアニン顔料を合成例
2で得たQ2型結晶に代えたほかは同様にして感光体を
作成した。サンプル2とする。
【0055】実施例3 実施例1におけるチタニルフタロシアニン顔料を合成例
3で得たQ1型結晶に代えたほかは同様にして感光体を
作成した。サンプル3とする。
【0056】比較例(1) 実施例1におけるチタニルフタロシアニンQ1型結晶を
比較合成例(1)で得たY型結晶に代えたほかは同様にし
て感光体を作成した。比較サンプル(1)とする。
【0057】比較例(2) 実施例1におけるチタニルフタロシアニンQ1型結晶を
比較合成例2で得たB型結晶に代えたほかは同様にして
感光体を作成した。比較サンプル(2)とする。
【0058】比較例(3) 実施例1におけるチタニルフタロシアニンQ1型結晶を
比較合成例(3)で得たA型結晶に代えたほかは同様にし
て感光体を作成した。比較サンプル(3)とする。
【0059】(評価1)以上で得られたそれぞれのサン
プルをペーパアナライザEPA-8100(川口電気社製)
を用いて評価した。 -80μAの放電条件で5秒間帯電
し、帯電直後の表面電位[Va]、5秒間暗中放置後の
表面電位[Vi]、表面照度が2(lux)になるように
露光し、表面電位が 1/2Viになるまでの露光量[E1/
2(lux.sec)]を求めた。さらに式: D=(Va−Vi)/Va×100 により暗所における電位の減衰率[D (%)]を求めた。
結果を表1に示す。
【0060】
【表1】
【0061】比較に挙げたA型は感度が悪く、B型はD
が大きい、すなわち暗所での表面電位の保持ができな
い。これに対して本発明のQ型結晶(Q1型結晶、およ
びQ2型結晶)感度、暗減衰ともに優れている。比較に
挙げたY型はこの方法の評価では,常温常湿度(湿度45
〜55%)で測定する限り本発明の物より優れてはいる。
【0062】(評価2)半導体レーザを光源に使ったカ
ラープリンタ9028(コニカ社製)改造機のドラムに
サンプル1,2,3および比較サンプル(1),
(2),(3)を張り付け、サンプル1の未露光部での
表面電位が約800vになるように帯電電極を調整した。そ
してレーザ光量を振り、各光量での表面電位を測定し
た。さらにこれを湿度20%の雰囲気下におき、同様のレ
ーザパワーで表面電位の低下を見た。表2に示す。
【0063】
【表2】
【0064】比較サンプル(2)のB型は電位が乗りにく
い、またA型は感度が悪い。これに反して本発明のQ型
(Q1型およびQ2型)は感度もよく電位も乗ってい
る。比較サンプル(1)であげたY型は感度こそ良いもの
の、その湿度に対する変化が大きい。これだとレーザ光
と言えども現実にはその光強度が正規分布している事
(図11)を考えると、階調を要求される更に高度の画像
の再現がその時の湿度によって変化する欠点があること
を意味する。その点、本発明のQ型結晶は湿度によって
感度の変化は見られず環境の変化に強いことが判る。
【0065】(評価3)本発明のQ型結晶を使った実施
例1,2の分散液、およびY型チタニルフタロシアニン
を使った比較例(1)の分散液を室温にて50日間保存し、
これで感光体サンプルを作成した。そして(評価1)と
同様の方法で電子写真特性を測定した。その結果を表3
に示す。
【0066】
【表3】
【0067】本発明の化合物であるQ型結晶を使ったサ
ンプル1,2,3は性能が変化していないがY型を使っ
た比較サンプルは感度低下が著しい。Y型は優れた結晶
であり劣化後も性能は良い部類に属するが、製造での安
定性を考えると感度の絶対値ではなく経時による変化そ
のものが問題とされる。即ち、感度の低下した塗布液は
廃棄の止むなきに至る。その点、本発明は変化がなく安
定生産に適する。
【0068】
【発明の効果】本発明のQ型チタニルフタロシアニン
は、感度、電位の乗りがよくかつ暗所減衰が少く、湿度
安定性がよい。しかも塗料安定性がよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】合成例1における粗チタニルフタロシアニンの
X線回折スペクトル図
【図2】合成例1で得られたウェットペーストチタニル
フタロシアニンのX線回折スペクトル図
【図3】Q1型結晶チタニルフタロシアニンのX線回折
スペクトル図
【図4】Q2型結晶チタニルフタロシアニンのX線回折
スペクトル図
【図5】合成例2で得られたQ1型結晶チタニルフタロ
シアニンX線回折スペクトル図
【図6】Y型結晶チタニルフタロシアニンのX線回折ス
ペクトル図
【図7】B型結晶チタニルフタロシアニンのX線回折ス
ペクトル図
【図8】A型結晶チタニルフタロシアニンのX線回折ス
ペクトル図
【図9】Y,Q1及びQ2型結晶チタニルフタロシアニ
ンのTG図
【図10】Y,Q型結晶チタニルフタロシアニンのDS
C図
【図11】レーザビームの輝度分布図
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G03G 5/06

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 導電性支持体上にチタニルフタロシアニ
    ン結晶を含む感光層を有し、該チタニルフタロシアニン
    結晶がチタニルフタロシアニンと1,2-プロパンジオール
    の付加体であることを特徴とする電子写真感光体。
  2. 【請求項2】 チタニルフタロシアニンの1,2-プロパン
    ジオール付加体がCuKαに対するX線回折スペクトル
    において、ブラッグ角(2θ±0.2)の26.6度に最大ピー
    クを有する結晶である事を特徴とする請求項1に記載の
    電子写真感光体。
  3. 【請求項3】 チタニルフタロシアニンの1,2-プロパン
    ジオール付加体がCuKαに対するX線回折スペクトル
    において、ブラッグ角(2θ±0.2)の少なくとも12.9,
    16.2, 26.6度にピークを有する結晶又は少なくとも7.8,
    8.0, 11.2,12.9, 16.3, 26.6度にピークを有する結晶
    から選ばれることを特徴とする請求項1又は2に記載の
    電子写真感光体。
  4. 【請求項4】 チタニルフタロシアニンのアモルファス
    体を1,2-プロパンジオールの存在下に処理して製造した
    チタニルフタロシアニンの1,2-プロパンジオール付加体
    結晶を含む事を特徴とする電子写真感光体。
JP05524192A 1992-03-13 1992-03-13 電子写真感光体 Expired - Fee Related JP3160771B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP05524192A JP3160771B2 (ja) 1992-03-13 1992-03-13 電子写真感光体

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP05524192A JP3160771B2 (ja) 1992-03-13 1992-03-13 電子写真感光体

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH05257307A JPH05257307A (ja) 1993-10-08
JP3160771B2 true JP3160771B2 (ja) 2001-04-25

Family

ID=12993106

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP05524192A Expired - Fee Related JP3160771B2 (ja) 1992-03-13 1992-03-13 電子写真感光体

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3160771B2 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR200497594Y1 (ko) * 2021-09-10 2023-12-29 김도연 서빙용 쟁반

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR200497594Y1 (ko) * 2021-09-10 2023-12-29 김도연 서빙용 쟁반

Also Published As

Publication number Publication date
JPH05257307A (ja) 1993-10-08

Similar Documents

Publication Publication Date Title
CA1264978A (en) Dual layer photoreceptor for use in electrophotography
US5494767A (en) Phthalocyanine composition, process for preparing the same and electrophotographic photoreceptor using the same
US5938980A (en) Phthalocyanine composition, process for preparing the same, electrophotographic photoreceptor using the same and coating solution for charge generation layer containing the same
JPH04221962A (ja) 電子写真感光体
JP2808379B2 (ja) 電子写真感光体
JP3160771B2 (ja) 電子写真感光体
JP2899871B2 (ja) チタニルフタロシアニンと2,3−ブタンジオールの付加体化合物
JPH0782504A (ja) フッ素置換チタニルフタロシアニン結晶および電子写真感光体
JPH05273776A (ja) 電子写真感光体
JP2976313B2 (ja) 電子写真感光体
JP2861090B2 (ja) 電子写真感光体の製造方法
JP3219492B2 (ja) 電子写真感光体
JP2867045B2 (ja) 電子写真感光体
JP2973055B2 (ja) チタニルフタロシアニン結晶分散液
JPH05273774A (ja) 電子写真感光体
JP3232738B2 (ja) フタロシアニン組成物、その製造法およびそれを用いた電子写真感光体ならびに電荷発生層用塗工液
JPH05257308A (ja) 電子写真感光体
JP3861481B2 (ja) チタニルフタロシアニン結晶とそれを用いた電子写真感光体
JP3597759B2 (ja) 顔料分散液の製造方法、顔料分散液、電子写真感光体の製造方法、電子写真感光体および電子写真装置
JP2657839B2 (ja) 電子写真感光体
JPH07104490A (ja) 感光層用塗液及び電荷輸送層用塗液並びにこれらを用いた電子写真感光体
JP3230175B2 (ja) 電子写真感光体
JPH10142818A (ja) 電子写真感光体
JP2976312B2 (ja) 電子写真感光体
JP3284637B2 (ja) フタロシアニン組成物の製造法およびそれを用いた電子写真感光体

Legal Events

Date Code Title Description
FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080223

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090223

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090223

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100223

Year of fee payment: 9

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100223

Year of fee payment: 9

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110223

Year of fee payment: 10

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110223

Year of fee payment: 10

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120223

Year of fee payment: 11

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees