JPH0782504A - フッ素置換チタニルフタロシアニン結晶および電子写真感光体 - Google Patents

フッ素置換チタニルフタロシアニン結晶および電子写真感光体

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JPH0782504A
JPH0782504A JP22597393A JP22597393A JPH0782504A JP H0782504 A JPH0782504 A JP H0782504A JP 22597393 A JP22597393 A JP 22597393A JP 22597393 A JP22597393 A JP 22597393A JP H0782504 A JPH0782504 A JP H0782504A
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JP
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crystal
fluorine
titanyl phthalocyanine
phthalocyanine crystal
ray diffraction
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JP22597393A
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Kazumasa Watanabe
一雅 渡邉
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Konica Minolta Inc
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 高感度かつ感度の湿度依存性のない感光体を
提供することにある。本発明の第二の目的は有機溶媒に
対して安定で、結晶転移を生じにくい分散液を与えるチ
タニルフタロシアニン結晶を提供することにある。 【構成】 CuKαに対するX線回折スペクトルにおい
てブラッグ角(2θ±0.2)27.1度に最大ピークを有し、
かつ示差熱分析(DSC)において室温〜400℃に至る
まで何の熱変化の観測されない特定のフッ素置換チタニ
ルフタロシアニン結晶を含む感光体及び特定のフッ素置
換チタニルフタロシアニン結晶。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は電子写真感光体に関す
る。特にプリンターなどに使用され、LED光、半導体
レーザー光に対して有効な感光体に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、電子機器の発達は著しいものがあ
り、コンピューターからのアウトプット用に使うプリン
ターやデジタルコピアの需要が高まっている。これらの
機器は光源に半導体レーザーやLEDを使う関係で赤外
から近赤外光に感応する感光体が必要である。 これに
は従来のセレン系などの無機感光体では不十分であり、
フタロシアニン類を分散した有機感光体(OPC)が数
多く検討されている。その中でもチタニルフタロシアニ
ン、特にX線回折スペクトルにおいて、ブラッグ角が2
7.2度と9.6度にピークを持つY型チタニルフタロシアニ
ン結晶(Y型結晶と略す場合がある。)は0.94という高
い光量子効率を有する優れた素材である(JapanHardcop
y 89,論文集 103,(1989))。
【0003】しかしながら、この物質は示差熱分析(D
SC)で水の吸脱着に伴う吸熱ピークがある事からも判
るとおり本質的に水を含む結晶である。そして水がキャ
リヤ発生に重要な働きをすることが報告されている。そ
の機構としては水が励起イオン対からの自由キャリヤへ
の解離を促進するものと推定されている(IS&T's7t
h International Congress on Advance in Nonimpact P
rinting Technologies, paper summaries, 269, (199
1))。極端な条件(相対湿度0%)まで制御できる実験
とは異なり実用範囲では相対湿度が20〜80%程度の変動
であるため、上記実験程の差はないが湿度によって感度
の多少の変動が見られる。従って、ON-OFFの2値しかな
いプリンターでの使用時にはあまり問題が無くとも、よ
り高度の画質を望み、露光量に応じて階調を出す必要が
ある場合には支障が出る。
【0004】さらにY型結晶の欠点としてこの物質が準
安定結晶であり、安定型結晶に転移しやすいことが上げ
られる。熱による結晶転移は約250℃であり、感光体に
組み込まれた後は実用上問題は無い。しかし、感光体製
造時の分散液中では溶媒の種類によって低温でも結晶転
移を起こし、塗布液の寿命が短くなると言った問題を生
じる。塗布分散液の寿命が短くなると言う事はディッピ
ング塗布に於いて、分散液が感光体として充分消費尽さ
れる前に廃棄せざるを得ないことを意味しコスト高にな
る。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は上記し
た事情に鑑み、高感度かつ感度の湿度依存性のない感光
体を提供することにある。 本発明の第二の目的は有機
溶媒に対して安定で、結晶転移を生じにくい分散液を与
えるチタニルフタロシアニン結晶を提供することにあ
る。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は特定のフッ素置
換チタニルフタロシアニン結晶を含む感光体によって達
せられた。特定のフッ素置換チタニルフタロシアニン結
晶とはCuKαに対するX線回折スペクトルにおいてブ
ラッグ角(2θ±0.2)27.1度に最大ピークを有し、かつ
示差熱分析(DSC)において室温〜400℃に至るまで
何の熱変化の観測されないフッ素置換チタニルフタロシ
アニン結晶であり、さらに好ましくはF型テトラフルオ
ロチタニルフタロシアニン結晶で少なくともブラック角
7.40,15.82, 24.3, 27.1度に回折ピークを有する結晶
の事である(F型結晶と略す場合がある)。
【0007】このものは熱安定性の大きな結晶であり、
かつ水を本質的に含まない事は昇温速度10℃/分で熱分
析(DSC)を測定すると室温から450℃まで何等熱の
出入りがない事から判明する。これに対してY型チタニ
ルフタロシアニン結晶では90℃付近に水の脱着に伴う吸
熱ピークがあり、255℃付近に結晶転移に伴う発熱ピー
クがある。
【0008】本発明のフッ素置換チタニルフタロシアニ
ンの合成には色々な手段が考えられる。フッ素置換フタ
ロニトリルを四塩化チタンと高温で反応させる、あるい
はフッ素置換チタニルフタロシアニンをアンモニアと反
応させてフッ素化ジイミノイソインドリンを得て、これ
とチタンアルコキシドと反応させて造ることもできる。
本発明の結晶型は生成したフッ素置換チタニルフタロシ
アニンを昇華処理をすることによって得ることができる
が、その他にも硫酸に溶解してアモルファス化しついで
溶媒で処理して得ることができる。溶媒としてはオルト
ジクロルベンゼンなどの芳香族,テトラヒドロフランな
どを挙げる事ができる。
【0009】この方法はフタロシアニン類の結晶形成で
良く用いられるミリング処理と比べて機械的な力を加え
る必要はなく従って装置形状の影響を受けることがない
ので工業的にスケールアップが容易に行なえる利点があ
る。原料となるフッ素置換フタロニトリルはオルトキシ
レンより出発し、ニトロ化、還元、ジアゾ化を経てフッ
素化キシレンを合成し、ついでこれを酸化してフタル酸
となし、アンモニアと反応させてアミドを合成、脱水し
てフッ素化フタロニトリルとすることができる。あるい
はフタロニトリルをニトロ化し、これをフッ化カリウム
によって置換基の交換をさせることで得ることができ
る。
【0010】フッ素置換チタニルフタロシアニン類は次
の一般式で表される。
【0011】
【化1】
【0012】式中 X1〜X4はフッ素原子を表す。n,
m,l,kは0〜4の整数を表し、少なくとも一つは0
ではない。好ましくはn=m=l=kで、1または2で
ある。
【0013】上記化合物の結晶の状態を調べるためにX
線回折スペクトルは次の条件で測定した。
【0014】X線管球 Cu 電圧 40.0 kv 電流 100 mA スタート角度 6.00 deg. ストップ角度 35.00 deg. ステップ角度 0.020 deg. 測定時間 0.50 sec. 本発明のフッ素置換チタニルフタロシアニン結晶を含む
感光体は感度もよく、かつ湿度依存性もない優れたもの
である。この優れた性質を示す原因については良く分か
らない。X線回折を見れば、本発明のフッ素置換チタニ
ルフタロシアニン結晶はY型結晶と同様に27.2度に
最大ピークを有する。しかしながらDSCを測定すると
Y型チタニルフタロシアニン結晶は90℃に吸熱ピークと
255℃に発熱ピークが見られ、それぞれ水の脱離、A型
結晶への熱転移と考えられている。これに反して、本発
明のフッ素置換チタニルフタロシアニン結晶は室温から
450℃まで熱変化はみられない。このように安定結晶で
あることが本発明をして湿度依存性のない、かつ分散塗
布液も安定な電子写真用素材としているものと思われ
る。
【0015】
【作用】次ぎに本発明のチタニルフタロシアニン結晶の
製造方法について具体的に例示する。
【0016】<合成例1> (中間体 4-フルオロフタロジニトリルの合成)4ーニト
ロフタロジニトリル 100gと硫酸水素カリウム100g、そ
してフッ化カリウム100gをジメチルスルホキシド(DM
SO)1 中に分散し 150℃に2時間加熱する。放冷
後、このものを水4l中に注ぎ析出した結晶を濾過、水
で十分洗浄した。ついで熱トルエン3lで抽出し、濃縮
後、減圧蒸留した。(b.p.160℃、25mmHg)。
【0017】さらに酢酸より再結晶してmp96℃の白色結
晶40gを得た。
【0018】(中間体 4-フルオロ-1.3-ジイミノイソイ
ンドリンの合成)上記の 4-フルオロフタロジニトリル
40gをメタノール400mlに分散し、ナトリウムメチラート
0.1gを加えアンモニアを吹き込みながら35〜40℃で5
時間反応させる。一夜放置後、反応液を濃縮し、生じた
結晶を濾過、酢酸エチル50mlで洗浄し、mp 210℃の白色
結晶28gを得た。
【0019】(テトラフルオロチタニルフタロシアニン
粗品の合成)4-フロオロ-1.3-ジイミノイソインドリ
ン;29.2gをオルトジクロロベンゼン 200mlに分散し、
チタニウムテトラ-n-ブトキシド;20.4gを加えて窒素雰
囲気下に150〜160℃で5時間加熱した。放冷後、析出し
た結晶を濾過し、クロロホルムで洗浄、2%塩酸水溶液
で洗浄、水洗、メタノール洗浄して、乾燥の後26.2g(9
1.0%)の粗チタニルフタロシアニンを得た。ついでこの
粗チタニルフタロシアニン 20.0gを5℃以下で濃硫酸 2
00ml中で1時間攪拌して溶かし、これを20℃の水4l中
に注ぎ込む。析出した結晶を濾過し、水で充分に洗って
ウエットペースト品 180gを得た。このものを乾燥し、
粉末とした結晶型は図1に示すごとく、アモルファス状
態である。
【0020】(本発明のフッ素置換チタニルフタロシア
ニン結晶の作成)フラスコにオルトジクロロベンゼン 1
00mlをとりこれに上記のテトラフルオロチタニルフタロ
シアニン−アモルファス乾燥粉末8gを加えた。ついで
この混合物を加熱還流2時間、一夜放置後、これをメタ
ノール 800mlに注いで結晶を析出させた。濾過し、メタ
ノールで洗浄し、乾燥して目的とするチタニルフタロシ
アニン結晶 6.4gを得た。このX線回折スペクトルを図
2に示す。ブラッグ角2θが7.40,15.82, 24.3, 27.1
度にピークを有することがわかった。(F型結晶)つぎ
に比較のため既存のチタニルフタロシアニンY型結晶を
作った。
【0021】<比較合成例1> (Y型テトラフルオロチタニルフタロシアニン結晶の作
成)ビーカーにメチルエチルケトン 60mlと水 20ml、合
成例1で述べたチタニルフタロシアニン−ウエットペー
スト品 40g(固形分11%)を加え、室温にて8時間攪拌、
一夜放置した。この粘調な混合物にメタノールを500ml
加えて結晶を析出させる。濾過し、メタノールで洗浄
し、乾燥して目的とするチタニルフタロシアニン結晶
4.2gを得た。このものの結晶型のX線回折スペクトルを
図3に示す。ブラッグ角2θが9.5度と27.2度に著しく
発達したピークがあるのが特徴である(Y型結晶)。
【0022】さらに比較のために同じテトラフルオロチ
タニルフタロシアニンで27.1度に最大ピークのない結晶
を以下の手順で作製した。
【0023】<比較合成例2> (C型テトラフルオロチタニルフタロシアニン結晶の合
成)フラスコにジメチルスルホキキシド 100mlをとりこ
れに上記のテトラフルオロチタニルフタロシアニン−ア
モルファス乾燥粉末8gを加えた。ついでこの混合物を
150℃で2時間、一夜放置後、これをメタノール 800ml
に注いで結晶を析出させた。濾過し、メタノールで洗浄
し、乾燥して目的とするチタニルフタロシアニン結晶
5.6gを得た(C型結晶と呼ぶ)。X線回折スペクトルを
図4に示す。本結晶は、ブラッグ角2θ; 6.7度,9.5
度.15.1度に特徴的なピークがある。
【0024】次ぎに本発明のチタニルフタロシアニン結
晶の基本的性質を調べるために示差熱分析(DSC)を
−20℃〜450℃まで測定した。DSC(昇温速度10℃/
分)の結果を図5に示す。
【0025】比較合成例1のY型結晶は100℃付近に吸
熱ピークそして255℃付近に発熱ピークが観測される。
この発熱ピークは結晶転移を伴いA型結晶に転移すると
報告されている。(Japan Hardcopy'89 論文集 103,19
89)これに対して合成例1に記載した本発明のF型結晶
では熱変化が認められない。この事はX線回折において
同じ27.1度に最大ピークを有する結晶であってもY型結
晶は準安定結晶であるのに反して本発明のF型結晶は熱
安定結晶であることを示す。尚、C型結晶も熱的に安定
である。
【0026】本発明の感光体は上記のチタニルフタロシ
アニン化合物のほかに更に他のキャリア発生物質を併用
してもよい、具体的には本発明のものと異なる結晶型を
有するチタニルフタロシアニン結晶、例えばA,B,Y
型結晶を上げることができる。
【0027】その他、バナジルフタロシアニン、X型無
金属フタロシアニン、τ型無金属フタロシアニン、ε型
銅フタロシアニンなどの各種フタロシアニン類、更には
アゾ顔料、アントラキノン顔料、ペリレン顔料などの縮
合多環顔料を上げることが出来る。
【0028】又、本発明の感光体ではキャリヤ輸送物質
を併用することもできる。使用されるキャリヤ輸送物質
は特に制限はないが代表的なものとして、オキサゾール
誘導体、オキサジアゾール誘導体、スチリル化合物、ビ
ドラゾン化合物、オキサゾロン化合物、ピラゾリン誘導
体、アミノスチルベン誘導体、トリフェニルアミン誘導
体、ポリ-N-ビニルカルバゾールなどを上げることがで
きる。これらの代表的な具体的化合物例をあげれば、下
記のごときものがある。
【0029】
【化2】
【0030】
【化3】
【0031】
【化4】
【0032】
【化5】
【0033】
【化6】
【0034】
【化7】
【0035】本発明の感光体の感光層を構成するために
は前述のキャリヤ発生物質をバインダー中に分散せしめ
た層を導電性支持体上にもうければよい。或いはこのキ
ャリヤ発生物質とキャリヤ輸送物質とを組み合わせ、積
層型のいわゆる機能分離型感光層を設けても良い。これ
ら単層、積層各々の感光層と支持体との間に接着、ある
いは導電性支持体からのフリーエレクトロンの注入防止
を目的として中間層をもうけたり、更には表面保護層を
設けても良い。
【0036】キャリア発生層およびキャリア輸送層の形
成に使用される溶媒あるいは分散媒としては、アセト
ン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、トルエ
ン、ジクロロベンゼン、ジクロロメタン、ジクロロエタ
ン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、メタノール、エ
タノール、イソプロパノール、酢酸エチル、酢酸ブチル
などを上げることができる。
【0037】キャリア発生層もしくはキャリヤ輸送層の
形成にバインダを用いる場合には任意のものを用いるこ
とができるが、特に疎水性の電気絶縁性フィルムを形成
する高分子重合体が好ましい。以下にその例を述べるが
勿論これらに限定されるものではない。
【0038】1 )ポリカーボネート 2 )ポリエステル 3 )メタクリル樹脂 4 )アクリル樹脂 5 )ポリ塩化ビニル 6 )ポリ塩化ビニリデン 7 )ポリスチレン 8 )ポリピニルアセテート 9 )スチレン−ブタジエン共重合体 10)塩化ビニリデン−アクリロニトリル共重合体 11)塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体 12)塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合体 13)シリコーン樹脂 14)シリコーン−アルキッド樹脂 15)フェノール−ホルムアルデヒド樹脂 16)スチレン−アクリル共重合樹脂 17)スチレン−アルキッド樹脂 18)ポリ-N-ビニルカルバゾール 19)ポリビニルブチラール 20)ポリカーボネートZ樹脂 これらのバインダは単独、或いは2種以上の混合物とし
て用いることができる。またバインダー100重量部に対
するキャリア発生物質の割合は10〜600重量部、好まし
くは20〜400重量部、キャリア輸送物質は10〜400重量部
とするのがよい。
【0039】この様にして形成されるキャリア発生層の
厚さは0.05〜30μmである事が好ましい、特に積層の場
合は0.5〜5μmが好ましい。キャリア輸送層の厚みは
2〜100μm好ましくは 5〜30μmである。
【0040】さらに上記感光層には感度の向上、残留電
位および反復使用時の疲労低減を目的として一種または
二種以上の電子需要物質を含有せしめることができる。
ここに用いることができる電子需要物質とは例えば無水
マレイン酸、テトラクロル無水フタル酸、テトラシアノ
エチレン、テトラシアノキノンジメタン、ジニトロベン
ゼン、ニトロベンゾニトリル、クロラニル、アントラキ
ノン、ニトロ安息香酸、ニトロフルオレノンなどを電子
親和力の大きい化合物をあげることができる。
【0041】また上記感光層中には保存性、耐久性、対
環境依存性を向上させる目的で酸化防止剤や光安定剤な
どの劣化防止剤を含有させることができる。その様な目
的に用いられる化合物としては例えば、トコフェノール
などのクロマノール誘導体およびそのエーテル化もしく
はエステル化化合物、ポリアリールアルカン化合物、ハ
イドロキノン誘導体、ベンゾトリアゾール誘導体、亜燐
酸エステル、ヒンダードフェノール化合物、ヒンダード
アミン化合物などをあげることができる。
【0042】具体的には『IRGANOX1010』,『IRGANOX56
5』(チバ.ガイギー社製).『スミライザーBHT』、
『スミライザーMDP』(住友化学工業社製)等のヒンダ
ードフェノール化合物、『サノール LS-2626』、『サノ
ール LS-622LD』等のヒンダードアミン化合物があげら
れる。
【0043】中間層、保護層に用いられるバインダとし
ては前述のキャリア発生層およびキャリア輸送層にあげ
たものを用いる事ができる。更にポリアミド樹脂、エチ
レン−酢ビ共重合体、ポリビニルアルコール、セルロー
ス誘導体などが有効である。
【0044】尚、この感光層を設ける支持体は金属板、
金属ドラムの他、導電性ポリマー、酸化インジウム等の
導電性化合物もしくはアルミニウム、パラジウム、金な
どの金属をからなる導電性薄膜を、紙プラステックフィ
ルム等の基体上に塗布、蒸着、ラミネート等の手段によ
り設けたものを用いることができる。
【0045】接着層あるいはバリヤ層として機能する中
間層としては前述のバインダ樹脂として説明したような
高分子重合体、ポリビニルアルコール、エチルセルロー
ス、カルボキシメチルセルロース等の有機高分子物質ま
たは酸化アルミニウム、酸化チタンなどより成るものを
用いることができる。
【0046】本発明は以上説明したように特定のチタニ
ルフタロシアニン結晶を用いる事によってLED光およ
び半導体レーザー光に対して有効な電子写真感光体を得
る物である。本発明の感光体は感度が高く、環境(湿
度)依存性のない優れたものである。
【0047】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明す
るが、本発明の態様はこれに限定されない。なお、実施
例において部とは重量部をさす。
【0048】実施例1 合成例1で得た本発明のF型テトラフルオロチタニルフ
タロシアニン結晶3部、シリコーン樹脂(『KR−524
0、15%キシレンブタノール溶液』信越化学社製)10
部、メチルエチルケトン100部をサンドグラインダーで
粉砕分散して分散液を得た。 一方、ポリアミド樹脂
(『CM8000』東レ社製)をメタノールに溶解させアル
ミ蒸着ポリエステルベースに塗布して膜厚0.2μmの下引
き層を形成した。この上に前述のF型結晶分散液を塗布
して膜厚0.2μmのキャリア発生層を形成した。一方、キ
ャリア輸送物質(19)1部とポリカーボネート樹脂
(『ユーピロンZ200』三菱瓦斯化学社製)2部および
シリコーンオイル(『KF−54』信越化学社製)0.01部
を1,2-ジクロルエタン15部に溶かし、これを前記のキャ
リア発生層上にブレード塗布して乾燥膜厚25μmのキャ
リア輸送層を形成し感光体を作った、サンプル1とす
る。
【0049】比較例1 実施例1におけるF型テトラフルオロチタニルフタロシ
アニン結晶を比較合成例1で得たY型結晶に代えたほか
は同様にして感光体を作成した。比較サンプル1とす
る。
【0050】比較例2 実施例1におけるF型テトラフルオロチタニルフタロシ
アニン結晶を比較合成例2で得たC型結晶に代えたほか
は同様にして感光体を作成した。比較サンプル2とす
る。
【0051】(評価1)以上で得られたそれぞれのサン
プルをペーパーアナライザーEPA-8100(川口電気社
製)を用いて評価した。 −80μAの放電条件で5秒間
帯電し、帯電直後の表面電位〔Va〕、5秒間暗中放置
後の表面電位〔Vi〕、表面照度が2(lux)になるよ
うに露光し表面電位が 1/2Viになるまでの露光量〔E
1/2(lux.sec)〕を求めた。
【0052】さらに 式: D=(Va−V
i)/Va×100 により暗所における電位の減衰率〔D (%)〕を求め
た。結果を表1に示す。
【0053】
【表1】
【0054】比較に挙げたC型結晶は同じテトラフルオ
ロチタニルフタロシアニンではあるが、感度が低い。こ
れに対して本発明のF型結晶は感度、暗減衰ともに優れ
ている。比較に挙げたY型はこの方法の評価では、常温
常湿度(湿度45〜55%)で測定する限り感度に関しては
本発明の物質と同等と言える。
【0055】(評価2)半導体レーザーを光源に使った
カラー複写機Konica9028(コニカ社製)改造機のドラム
にサンプル1および比較サンプル1,2を張り付け、サ
ンプル1の未露光部での表面電位が約800vになるように
帯電電極を調整した。そしてレーザー光量を変化させ
て、各光量での表面電位を測定した。さらにこれを湿度
20%の雰囲気下にて、同様のレーザーパワーで表面電位
の低下を見た。結果を表2−1,表2−2に示す
【0056】
【表2】
【0057】比較サンプル2のC型結晶は感度が低い、
これに反して本発明のF型テトラフルオロチタニルフタ
ロシアニン結晶は感度もよく帯電電位も高い。比較サン
プル1であげたY型結晶は感度こそ良いものの、その湿
度に対する変化が大きい。レーザー光と言えども現実に
はその光強度が正規分布していることを考慮すると、階
調性をも要求されるより高画質画像の再現性では湿度に
よって変化する欠点を有することを意味する。その点、
本発明のF型結晶は湿度によって感度の変化は見られず
環境の変化に強いことが判る。
【0058】(評価3)本発明のF型結晶を使った実施
例1の分散液、およびY型結晶を使った比較例1の分散
液を50℃にて20日間保存し、その後感光体サンプルを作
製した。そして(評価1)と同様の方法で電子写真特性
を測定した。
【0059】
【表3】
【0060】本発明の化合物であるF型結晶を使ったサ
ンプル1は性能が変化していないがY型結晶をつかった
比較サンプルは感度低下が大きい。Y型結晶は優れた結
晶であり劣化後も性能は良い部類に属するが、製造での
安定性を考えると感度の絶対値ではなく経時による変化
そのものが問題とされる。即ち、感度の低下した塗布液
は廃棄の止むなきに至る。その点、本発明は変化がなく
安定生産に適する。
【0061】
【発明の効果】本発明により、高感度かつ感度の湿度依
存性のない感光体を提供することが出来、又、有機溶媒に
対して安定で、結晶転移を生じにくい分散液を与えるチ
タニルフタロシアニン結晶を提供することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を説明するX線回折スペクトル図(アモ
ルファス)。
【図2】本発明を説明するX線回折スペクトル図(F型
結晶)。
【図3】本発明を説明するX線回折スペクトル図(Y型
結晶)。
【図4】本発明を説明するX線回折スペクトル図(C型
結晶)。
【図5】本発明のフッ素置換チタニルフタロシアニン結
晶の示差熱分析(DSC)結果の図。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 CuKαに対するX線回折スペクトルに
    おいてブラッグ角(2θ±0.2)27.1度に最大ピークを有
    し、かつ示差熱分析(DSC)にて室温〜400℃にいた
    るまで熱変化の見られないことを特徴とするフッ素置換
    チタニルフタロシアニン結晶。
  2. 【請求項2】 フッ素置換チタニルフタロシアニン結晶
    がCuKαに対するX線回折スペクトルにおいて少なく
    ともブラッグ角(2θ±0.2)7.40,15.82, 24.3, 27.1
    度にピークを持つテトラフルオロチタニルフタロシアニ
    ン結晶である事を特徴とする請求項1記載のフッ素置換
    チタニルフタロシアニン結晶。
  3. 【請求項3】 請求項1及び請求項2記載のフッ素置換
    チタニルフタロシアニン結晶の製造においてアシッドペ
    ースト処理によって無定型化した後、溶剤処理によって
    得ることを特徴とするフッ素置換チタニルフタロシアニ
    ン結晶の製造方法。
  4. 【請求項4】 導電性支持体上にフッ素置換チタニルフ
    タロシアニン結晶を含む感光層を有し、該フッ素置換チ
    タニルフタロシアニン結晶がCuKαに対するX線回折
    スペクトルにおいてブラッグ角(2θ±0.2)27.1度に最
    大ピークを有し、かつ示差熱分析(DSC)にて室温〜
    400℃にいたるまで熱変化の見られないことを特徴とす
    る電子写真感光体。
  5. 【請求項5】 フッ素置換チタニルフタロシアニンがテ
    トラフルオロチタニルフタロシアニンであることを特徴
    とする請求項4記載の電子写真感光体。
  6. 【請求項6】 フッ素置換チタニルタロシアニン結晶が
    CuKαに対するX線回折スペクトルにおいて少なくと
    もブラッグ角(2θ±0.2)7.40,15.82, 24.3, 27.1度
    にピークを持つチタニルフタロシアニン結晶である事を
    特徴とする請求項4及び請求項5記載の電子写真感光
    体。
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Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP0807857A1 (en) * 1996-05-17 1997-11-19 Eastman Kodak Company Electrophotographic elements containing preferred pigment particle size distribution
JP2002221807A (ja) * 2001-01-26 2002-08-09 Kyocera Mita Corp 特定のポリエステル樹脂と電荷発生剤を使用した単層型電子写真感光体
US6528645B1 (en) 1999-10-14 2003-03-04 Kyocera Mita Corporation Titanyl phthalocyanine crystal and production method of the same, and electrophotosensitive material and production method of the same
JP2007161992A (ja) * 2005-11-16 2007-06-28 Kyocera Mita Corp チタニルフタロシアニン結晶、その製造方法、及び電子写真感光体
JP2012246487A (ja) * 2005-11-16 2012-12-13 Kyocera Document Solutions Inc チタニルフタロシアニン結晶、及び電子写真感光体

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