JP2808379B2 - 電子写真感光体 - Google Patents

電子写真感光体

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JP2808379B2
JP2808379B2 JP6844692A JP6844692A JP2808379B2 JP 2808379 B2 JP2808379 B2 JP 2808379B2 JP 6844692 A JP6844692 A JP 6844692A JP 6844692 A JP6844692 A JP 6844692A JP 2808379 B2 JP2808379 B2 JP 2808379B2
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  • Organic Low-Molecular-Weight Compounds And Preparation Thereof (AREA)
  • Photoreceptors In Electrophotography (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は電子写真感光体に関す
る。特にプリンタなどに使用され、LED光、半導体レ
ーザ光に対して有効な感光体に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、電子機器の発達は著しいものがあ
り、コンピュータからのアウトに使うプリンタやデジタ
ル複写機の需要が高まっている。これらの機器は光源に
半導体レーザやLEDを使う関係で赤から近赤外光に感
応する感光体が必要である。これには従来のセレン系な
どの無機感光体では不十分であり、フタロシアニン類を
分散した有機感光体(OPC)が数多く検討されてい
る。
【0003】その中でもチタニルフタロシアニン、特に
27.2度と9.6度にピークを持つことが特徴のY型チタニ
ルフタロシアニンは0.94と言う高い光量子効率を有する
優れた素材である(Japan Hardcopy 89,論文集 103,(19
89))。
【0004】しかしながら、この物は湿度によって感度
が多少変動する欠点がある。
【0005】これではON-OFFの2値しかないプリンタに
は使用できても、より高度の画像を望み、露光量に応じ
て階調を出そうと言う試みに対しては好ましい事ではな
い。さらにY型の欠点としてこの物が準安定結晶であ
り、安定型結晶に転移しやすい事が上げられる。熱によ
る結晶転移は約250℃であり、感光体にしてしまえば実
用上問題は無い。しかし、感光体製造時の分散液中では
溶媒の種類によっては低温でも結晶転移を起こし、塗布
液の寿命が短くなると言った問題を生じる。
【0006】塗布分散液の寿命が短くなると言う事はデ
ィッピング塗布に於いて、顔料が感光体として充分消費
尽される前に廃棄される事を意味する。つまりコスト高
になる。
【0007】
【発明の目的】本発明の目的は上記した事情に鑑み、高
感度かつ感度の湿度依存性のない感光体を提供すること
にある。本発明の第二の目的は有機溶媒に対して安定
で、結晶転移を生じにくい分散液を与えるチタニルフタ
ロシアニン結晶を提供することにある。
【0008】
【発明の構成とその作用】本発明は特定のチタニルフタ
ロシアニン結晶を含む感光体によって達せられた。
【0009】特定のチタニルフタロシアニン結晶とはチ
タニルフタロシアニンと2,3-ブタンジオールの付加体の
事である。この中で好ましいものはチタニルフタロシア
ニンと2,3-ブタンジオールの付加体でかつCuKαに対
するX線回折スペクトルにおいてブラッグ角(2θ±0.
2)の少なくとも9.5, 26.3度にピークを有する結晶であ
る(P型結晶と名付ける)。さらに好ましくは2,3-ブタ
ンジオールの付加体で少なくとも8.4, 9.5, 12.2, 15.
2, 19.0, 23.8, 26.3度に回折ピークを有する結晶の事
である。
【0010】付加体は後述の合成例にその一例を示した
ようにチタニルフタロシアニン類と1,2-ブタンジオール
から成り、加熱されると2,3-ブタンジオールを放出する
ことからそれと判明する。また付加体である証拠として
昇温速度10℃/分で熱分析(TG)を測定すると2,3-ブ
タンジオールの沸点より50℃以上高い温度で重量減少が
見られるなどの特色があり、単なる混合と区別される。
本発明のチタニルフタロシアニン-2,3-ブタンジオール
付加体のうち、特に好ましいものは2,3-ブタンジオール
/チタニルフタロシアニン=1/2付加体である。本発
明の付加体の合成には色々な手段が考えられるがアモル
ファス化したチタニルフタロシアニン類を2,3-ブタンジ
オールの存在下に処理するのが好ましい。処理の方法は
2,3-ブタンジオール単独にチタニルフタロシアニンをそ
のまま混合させてもよいし、他の溶媒で希釈してもよ
い。溶媒としてはメチルエチルケトン、シクロペンタノ
ンなどのケトン類、ブチルメタアクリレートなどのエス
テル類、テトラヒドロフランなどのエーテル類、オルト
ジクロルベンゼンなどの芳香族などをあげることができ
る。温度は2,3-ブタンジオールが液体で存在する広い範
囲で処理可能だが室温から190℃の範囲が好ましい。結
晶変換操作としては一般の合成化学実験およびそれらを
工業化したものに見られるような溶媒中での単なる攪拌
の他、フタロシアニン類で良く見られるようにミリング
などの機械的シェアを掛けながらの操作も本発明に含ま
れる。中間体であるチタニルフタロシアニン類のアモル
ファス化は硫酸に溶かして水に注ぐ(アシッドペースト
処理)、あるいは機械的粉砕、ミリングなど公知の方法
を採用することができる。
【0011】チタニルフタロシアニン類は次の一般式で
表される。
【0012】式中 X1〜X4は水素原子、ハロゲン原
子、アルキル基、あるいはアルコキシ基を表し、n,
m,l,kは0〜4の整数を表す。
【0013】
【化1】
【0014】上記のX線回折スペクトルは次の条件で測
定した。
【0015】 X線管球 Cu 電圧 40.0 kv 電流 100 mA スタート角度 6.00 deg. ストップ角度 35.00 deg. ステップ角度 0.020 deg. 測定時間 0.50 sec. 本発明のチタニルフタロシアニン付加体を含む感光体は
感度もよく、かつ湿度依存性もない優れたものである。
この優れた性質を示す原因については良く分からない。
X線回折スペクトルで現される結晶構造が原因か、また
は付加している2,3-ブタンジオールが原因か、そのいづ
れかであろう。付加している2,3-ブタンジオールが主原
因との考えに立てば次のように説明できるであろう。
【0016】藤巻は高感度な素材チタニルフタロシアニ
ンのY型結晶が加熱または乾燥窒素雰囲気によって脱水
処理されると感度が低下することを見出した。
【0017】これは常温常湿度で水を再吸収すると再び
感度が回復する事からY型結晶は水を吸着した結晶であ
り、水分子が光が当たって生じたチタニルフタロシアニ
ン励起子からのホールと光電子の解離を幇助し、それが
Y型チタニルフタロシアニンの高感度の一原因ではない
かと推測している(Y.Fujimaki:IS&T's 7th Inter
national Congress on Advance in Nonimpact Printing
Technologies,PaperSummaries,269,(1991)) 。その考
えからすれば本発明の結晶はまさに水の代りに2,3-ブタ
ンジオールが付加したものと言えよう。水と違って離れ
にくいのは沸点が高い事もさりながら2,3-ブタンジオー
ルだと同一分子中にOH基が二つあるため二つの吸着点
から同時に離れる確率は一つの吸着点しかない化合物の
それより遥かに低くなっているためと推測される。
【0018】次に本発明のチタニルフタロシアニンの製
造方法について具体的に例示する。
【0019】(合成例1) (チタニルフタロシアニン−アモルファス品の合成)1,
3-ジイミノイソインドリン;29.2gをオルトジクロルベ
ンゼン 200mlに分散し、チタニウムテトラ-n-ブトキシ
ド;20.4gを加えて窒素雰囲気下に150〜160℃で5時間
加熱した。放冷後、析出した結晶を濾過し、クロロホル
ムで洗浄、2%塩酸水溶液で洗浄、水洗、メタノール洗
浄して、乾燥の後26.2g(91.0%)の粗チタニルフタロシ
アニンを得た。このものの結晶型を図1に示す。ついで
この粗チタニルフタロシアニン 20.0gを5℃以下で濃
硫酸 200ml中で1時間攪拌して溶かし、これを20℃の水
4lに注ぎ込む。析出した結晶を濾過し、水で充分に洗
ってウエットペースト品 180gを得た。このものを乾燥
し、粉末とした結晶型は図2に示すごとく、アモルファ
ス状態である。
【0020】(本発明のチタニルフタロシアニン結晶の
作成)フラスコにオルトジクロルベンゼン100mlと2,3-
ブタンジオール50mlをとり、これに上記のチタニルフタ
ロシアニン−アモルファス乾燥粉末8gを加えた。つい
でこの混合物を室温で10時間攪拌した。一夜放置後、こ
れをメタノール800mlに注いで結晶を析出させた。濾過
し、メタノールで洗浄し、乾燥して目的とするチタニル
フタロシアニン結晶 8.4gを得た。図3に示す。ブラッ
グ角2θ;8.4,9.5, 12.2, 15.2, 19.0, 23.8, 26.3度
にピークを有する(P型結晶)である。
【0021】(合成例2)フラスコにオルトジクロルベ
ンゼン100mlと2,3-ブタンジオール50mlをとり、これに
実施例1の方法で得た、チタニルフタロシアニン−アモ
ルファス乾燥粉末8gを加えた。ついでこの混合物を7
時間加熱還流させた。放冷後、これをメタノール800ml
に注いで結晶を析出させた。濾過し、メタノールで洗浄
し、乾燥して目的とするチタニルフタロシアニン結晶
8.4gを得た。図4に示す。ピークの強度比率は異なる
ものの実施例1と同様にブラッグ角2θ;8.4, 9.5, 1
2.2, 15.2, 19.0, 23.8, 26.3度にピークを有する(P
型結晶)である。
【0022】比較のため既存のチタニルフタロシアニン
Y型結晶を作った。
【0023】比較合成例(1) (Y型チタニルフタロシアニン結晶の作成)ビーカにメ
チルエチルケトン60mlと水20ml、合成例1で述べたチタ
ニルフタロシアニン−ウエットペースト品 40g(固形分
11%)を加え、室温にて8時間攪拌、一夜放置した。こ
の粘稠な混合物にメタノールを500ml加えて結晶を析出
させる。濾過し、メタノールで洗浄し、乾燥して目的と
するチタニルフタロシアニン結晶 4.2gを得た。このも
のの結晶型を図5に示す。ブラッグ角2θ;9.5度と27.
2度に著しく発達したピークがあるのが特徴である(Y
型結晶)。
【0024】次に本発明のチタニルフタロシアニン結晶
の基本的性質を調べるためにTGおよびDSCを測定し
た。
【0025】TG(昇温速度10℃/分)を図6に示す。
【0026】比較合成例(1)のY型チタニルフタロシ
アニンは水の分子量が小さいためわずかではあるが100
℃付近に重量減少が観測される。これに対して合成例
1,2に記載した本発明のP型チタニルフタロシアニン
は重量減少が認められるのは共に345℃付近であり、2,3
-ブタンジオールの沸点184℃を大きく上回っている。2,
3-ブタンジオールが単にチタニルフタロシアニン粒子の
側に存在しているだけでなく、何らかの力である種の結
合(吸着)をしていることを表す。なお345℃付近にお
ける重量変化量は実施例1の物で約7.3%、実施例2の
物で約7.5%であった、2,3-ブタンジオールがチタニル
フタロシアニンに対して1/2モル付加したと想定した
計算値7.2%によく一致している。
【0027】DSC(昇温速度30℃/分)を図7に示す
比較合成例(1)のY型チタニルフタロシアニンは105
℃付近に水の脱着と見られる吸熱ピークが見られる。こ
れに対して合成例1,2の本発明のP型チタニルフタロ
シアニンは共に400℃付近に吸熱ピークがありTG同様
に沸点を大幅に越えている。
【0028】次に本発明の感光体の構成について記載す
る。
【0029】本発明の感光体は上記のチタニルフタロシ
アニン化合物のほかに更に他のキャリア発生物質を併用
してもよい。具体的には本発明のものと事なる結晶型を
有するチタニルフタロシアニン結晶、例えばA,B,Y
型を上げることができる。
【0030】その他、バナジルフタロシアニン、X型無
金属フタロシアニン、τ型無金属フタロシアニン、ε型
銅フタロシアニンなどの各種フタロシアニン類、更には
アゾ顔料、アントラキノン顔料、ペリレン顔料などの縮
合多環顔料を上げることができる。
【0031】本発明の感光体ではキャリア輸送物質を併
用することができる。使用されるキャリア輸送物質は特
に制限はないが代表的なものとして、オキサゾール誘導
体、オキサジアゾール誘導体、スチリル化合物、ビドラ
ゾン化合物、オキサゾロン化合物、ピラゾリン誘導体、
アミノスチルベン誘導体、トリフェニルアミン誘導体、
ポリ-N-ビニルカルバゾールなどをあげることができ
る。
【0032】代表的な物としては次の化合物をあげるこ
とができる。
【0033】
【化2】
【0034】
【化3】
【0035】
【化4】
【0036】
【化5】
【0037】
【化6】
【0038】
【化7】
【0039】本発明の感光体の感光層を構成するために
は前述のキャリア発生物質をバインダ中に分散せしめた
層を導電性支持体上にもうければよい。或いはこのキャ
リア発生物質とキャリア輸送物質とを組合せ、積層型の
いわゆる機能分離型感光層を設けてもよい。これら単
層、積層各々の感光層と支持体との間に接着、あるいは
導電性支持体からのフリーエレクトロンの注入防止を目
的として中間層をもうけたり、更には表面保護層を設け
てもよい。
【0040】キャリア発生層およびキャリア輸送層の形
成には使用される溶媒あるいは分散媒としては、アセト
ン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、トルエ
ン、ジクロルベンゼン、ジクロルメタン、ジクロルエタ
ン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、メタノール、エ
タノール、イソプロパノール、酢酸エチル、酢酸ブチル
などを上げることができる。
【0041】キャリア発生層もしくはキャリア輸送層の
形成にバインダを用いる場合には任意のものを用いるこ
とができるが、特に疎水性の電気絶縁性フィルムを形成
する高分子重合体が好ましい。以下にその例を述べるが
勿論これらに限定されるものではない。
【0042】1)ポリカーボネート 2)ポリエステル 3)メタクリル樹脂 4)アクリル樹脂 5)ポリ塩化ビニル 6)ポリ塩化ビニリデン 7)ポリスチレン 8)ポリピニルアセテート 9)スチレン−ブタジエン共重合体 10)塩化ビニリデン−アクリロニトリル共重合体 11)塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体 12)塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合体 13)シリコーン樹脂 14)シリコーン−アルキッド樹脂 15)フェノール−ホルムアルデヒド樹脂 16)スチレン−アクリル共重合樹脂 17)スチレン−アルキッド樹脂 18)ポリ-N-ビニルカルバゾール 19)ポリビニルブチラール 20)ポリカーボネートZ樹脂 これらのバインダは単独、或いは2種以上の混合物とし
て用いることができる。
【0043】またバインダ100に対するキャリア発生物
質の割合は10〜600wt/wt、好ましくは20〜400wt
/wt、キャリア輸送物質は10〜400wt/wtとする
のがよい。
【0044】この様にして形成されるキャリア発生層の
厚さは0.05〜30μmである事が好ましい、特に積層の場
合は0.5〜5μmが好ましい。キャリア輸送層の厚みは2
〜100μm好ましくは 5〜30μmである。
【0045】さらに上記感光層には感度の向上、残留電
位および反復使用時の疲労低減を目的として一種または
二種以上の電子需要物質を含有せしめることができる。
ここに用いることができる電子需要物質とは例えば無水
マレイン酸、テトラクロル無水フタル酸、テトラシアノ
エチレン、テトラシアノキノンジメタン、ジニトロベン
ゼン、ニトロベンゾニトリル、クロラニル、アントラキ
ノン、ニトロ安息香酸、ニトロフルオレノンなどの電子
親和力の大きい化合物をあげることができる。
【0046】また上記感光層中には保存性、耐久性、対
環境依存性を向上させる目的で酸化防止剤や光安定剤な
どの劣化防止剤を含有させることができる。その様な目
的に用いられる化合物としては例えば、トコフェノール
などのクロマノール誘導体およびそのエーテル化もしく
はエステル化化合物、ポリアリールアルカン化合物、ハ
イドロキノン誘導体、ベンゾトリアゾール誘導体、亜燐
酸エステル、ヒンダードフェノール化合物、ヒンダード
アミン化合物などをあげることができる。
【0047】具体的には『IRGANOX1010』,『IRGANOX56
5』(チバガイギー社製)、『スミライザーBHT』,『ス
ミライザーMDP』(住友化学工業社製)等のヒンダード
フェノール化合物、『サノール LS-2626』,『サノール
LS-622LD』等のヒンダードアミン化合物があげられ
る。
【0048】中間層、保護層に用いられるバインダとし
ては前述のキャリア発生層およびキャリア輸送層にあげ
たものを用いる事ができる。更にポリアミド樹脂、エチ
レン−酢ビ共重合体、ポリビニルアルコール、セルロー
ス誘導体などが有効である。尚、この感光層を設ける支
持体は金属板、金属ドラムの他、導電性ポリマー、酸化
インジウム等の導電性化合物もしくはアルミニウム、パ
ラジウム、金などの金属をからなる導電性薄膜を、紙プ
ラステックフィルム等の基体上に塗布、蒸着、ラミネー
ト等の手段により設けたものを用いることができる。
【0049】接着層あるいはバリヤ層として機能する中
間層としては前述のバインダ樹脂として説明したような
高分子重合体、ポリビニルアルコール、エチルセルロー
ス、カルボキシメチルセルロース等の有機高分子物質ま
たは酸化アルミニウム、酸化チタンなどより成るものを
用いることができる。
【0050】
【実施例】本発明は以上説明したように特定のチタニル
フタロシアニン結晶を用いる事によってLED光および
半導体レーザ光に対して有効な電子写真感光体を得る物
である。本発明の感光体は感度が高く、環境(湿度)依
存性のない優れたものである。以下実施例をもって本発
明の特徴を説明する。
【0051】実施例1 合成例1で得た本発明のチタニルフタロシアニンP型結
晶(図3)3部、シリコーン樹脂(『KR−5240、15%
キシレンブタノール溶液』信越化学社製)10部、メチル
エチルケトン100部(wt)をサンドグラインダで粉砕分
散して分散液を得た。一方、ポリアミド樹脂(『CM80
00』東レ社製)をメタノールに溶解させアルミ蒸着ポリ
エステルベースに塗布して膜厚0.2μmの下引き層を形成
した。この上に前述のP型結晶分散液を塗布して膜厚0.
2μmのキャリア発生層を形成した。一方、キャリア輸送
物質(19)1部とポリカーボネート樹脂(『ユーピロン
Z200』三菱瓦斯化学社製)2部(wt)およびシリコー
ンオイル(『KF−54』信越化学社製)0.01部を1,2-ジ
クロルエタン15部(wt)に溶かし、これを前記のキャ
リア発生層上にブレード塗布して乾燥膜厚25μmのキャ
リア輸送層を形成し感光体を作った。サンプル1とす
る。
【0052】実施例2 実施例1におけるチタニルフタロシアニン顔料を合成例
2で得たP型結晶に代えたほかは同様にして感光体を作
成した。サンプル2とする。
【0053】比較例(1) 実施例1におけるチタニルフタロシアニンP型結晶を比
較合成例(1)で得たY型結晶に代えたほかは同様にし
て感光体を作成した。比較サンプル(1)とする。
【0054】比較例(2) 実施例1におけるチタニルフタロシアニンP型結晶をX
型無金属フタロシアニンに代えたほかは同様にして感光
体を作成した。比較サンプル(2)とする。
【0055】(評価1)以上で得られたそれぞれのサン
プルをペーパアナライザEPA-8100(川口電気社製)
を用いて評価した。−80μAの放電条件で5秒間帯電
し、帯電直後の表面電位[Va]、5秒間暗中放置後の
表面電位[Vi]、表面照度が2(lux)になるように
露光し、表面電位が1/2Viになるまでの露光量[E
1/2(lux.sec)]を求めた。さらに式: D=(V
a−Vi)/Va×100 により暗所における電位の減衰率[D (%)]を求め
た。結果を表1に示す。
【0056】
【表1】
【0057】比較に挙げたX型は感度が悪い。これに対
して本発明のP型結晶は感度、暗減衰ともに優れてい
る。比較に挙げたY型はこの方法の評価では、常温常湿
度(湿度45〜55%)で測定する限り感度に関しては本発
明の物より優れてはいる。
【0058】(評価2)半導体レーザを光源に使ったカ
ラープリンタ9028(コニカ社製)改造機のドラムにサン
プル1,2および比較サンプル(1),(2)を張り付
け、サンプル1の未露光部での表面電位が約800vになる
ように帯電電極を調整した。そしてレーザ光量を振り、
各光量での表面電位を測定した。さらにこれを湿度20%
RHの雰囲気下に持っていき、同様のレーザパワーで表面
電位の低下を見た。
【0059】
【表2】
【0060】比較サンプル(2)のX型は感度が悪い。
これに反して本発明のP型は感度もよく電位も乗ってい
る。比較サンプル(1)であげたY型は感度こそ良いも
のの、その湿度に対する変化が大きい。これだとレーザ
光と雖も現実にはその光強度が正規分布している事(図
8)を考えると、階調を要求されるより高度の画像の再
現がその時の湿度によって変化する欠点があることを意
味する。その点、本発明のN型結晶は湿度によって感度
の変化は見られず環境の変化に強いことが判る。
【0061】(評価3)本発明のP型結晶を使った実施
例1,2の分散液、およびY型チタニルフタロシアニン
を使った比較例(1)の分散液を50℃にて20日間保存
し、これで感光体サンプルを作成した。そして(評価
1)と同様の方法で電子写真特性を測定した。その結果
を表3に示す。
【0062】
【表3】
【0063】本発明の化合物であるP型結晶をつかった
サンプル1,2は性能が変化していないがY型をつかっ
た比較サンプルは感度低下が著しい。Y型は優れた結晶
であり劣化後も性能は良い部類に属するが、製造での安
定性を考えると感度の絶対値ではなく経時による変化そ
のものが問題とされる。即ち、感度の低下した塗布液は
廃棄の止むなきに至る。その点、本発明は変化がなく安
定生産に適する。
【0064】
【発明の効果】本発明のP型チタニルフタロシアニン
は、感度、電位の乗りがよくかつ暗所減衰が少く、湿度
安定性がよい。しかも塗料安定性がよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】合成例1における粗チタニルフタロシアニンの
X線回折スペクトル図。
【図2】合成例1で得られたウェットペーストチタニル
フタロシアニンのX線回折スペクトル図。
【図3】合成例1で得られたP型液晶チタニルフタロシ
アニンのX線回折スペクトル図。
【図4】合成例2で得られたP型液晶チタニルフタロシ
アニンのX線回折スペクトル図。
【図5】比較例(1)で得られたY型液晶チタニルフタ
ロシアニンX線回折スペクトル図。
【図6】合成例1,2及び比較合成例(1)で得られた
P型液晶並びにY型チタニルフタロシアニンのTG図。
【図7】Y,P型液晶チタニルフタロシアニンのDSC
図。
【図8】レーザビームの輝度分布図。
フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) G03G 5/00 - 5/16

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 導電性支持体上にチタニルフタロシアニ
    ン結晶を含む感光層を有し、該チタニルフタロシアニン
    結晶がチタニルフタロシアニンと2,3-ブタンジオールの
    付加体であることを特徴とする電子写真感光体。
  2. 【請求項2】 チタニルフタロシアニンの2,3-ブタンジ
    オール付加体がCuKαに対するX線回折スペクトルに
    おいてブラッグ角(2θ±0.2)の少なくとも9.5, 26.3
    度にピークを有する結晶である事を特徴とする請求項1
    に記載の電子写真感光体。
  3. 【請求項3】 チタニルフタロシアニンのアモルファス
    体を2,3-ブタンジオールの存在下に処理して製造された
    チタニルフタロシアニンの2,3-ブタンジオール付加体を
    含む電子写真感光体。
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