JPH11218947A - オキシチタニウムフタロシアニン分散液、それを用いた電子写真感光体の製造方法及び電子写真感光体 - Google Patents
オキシチタニウムフタロシアニン分散液、それを用いた電子写真感光体の製造方法及び電子写真感光体Info
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- JPH11218947A JPH11218947A JP3661398A JP3661398A JPH11218947A JP H11218947 A JPH11218947 A JP H11218947A JP 3661398 A JP3661398 A JP 3661398A JP 3661398 A JP3661398 A JP 3661398A JP H11218947 A JPH11218947 A JP H11218947A
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- dispersion
- tiopc
- oxytitanium phthalocyanine
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- resin
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 電子写真感光体の静電特性を低下させる要因
となる不純物の含有量を最小限にし、且つ熱分解の恐れ
がある高温の熱処理等を必要としない安定なA型TiO
Pcを含む分散液の作製方法及びそれを用いた電子写真
感光体を提供すること。 【解決手段】 Cu−Kα特性X線(波長1.54Å)
を用いたX線回析スペクトルにおいて、ブラッグ角2θ
の主要ピークが少なくとも9.6°±0.2°、24.
0°±0.2°および27.2°±0.2°に有する結
晶形を示すオキシチタニウムフタロシアニンを非水溶媒
中にて分散を行なうことによって得られる、ブラッグ角
2θの主要ピークが少なくとも9.3°±0.2°、1
3.1°±0.2°および26.2°±0.2°に有す
る結晶形を示すオキシチタニウムフタロシアニンを含有
する分散液。
となる不純物の含有量を最小限にし、且つ熱分解の恐れ
がある高温の熱処理等を必要としない安定なA型TiO
Pcを含む分散液の作製方法及びそれを用いた電子写真
感光体を提供すること。 【解決手段】 Cu−Kα特性X線(波長1.54Å)
を用いたX線回析スペクトルにおいて、ブラッグ角2θ
の主要ピークが少なくとも9.6°±0.2°、24.
0°±0.2°および27.2°±0.2°に有する結
晶形を示すオキシチタニウムフタロシアニンを非水溶媒
中にて分散を行なうことによって得られる、ブラッグ角
2θの主要ピークが少なくとも9.3°±0.2°、1
3.1°±0.2°および26.2°±0.2°に有す
る結晶形を示すオキシチタニウムフタロシアニンを含有
する分散液。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、オキシチタニウム
フタロシアニン(以下TiOPcと略記する)の結晶形
を変換すると同時に分散を行ない、電子写真感光体の感
光層を形成するために必要な分散液を作製する方法及び
それを用いて作られた電子写真感光体に関するものであ
る。
フタロシアニン(以下TiOPcと略記する)の結晶形
を変換すると同時に分散を行ない、電子写真感光体の感
光層を形成するために必要な分散液を作製する方法及び
それを用いて作られた電子写真感光体に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】近年、電子写真方式を用いた情報処理シ
ステム機の発展は目覚ましいものがある。特に情報をデ
ジタル信号に変換して光によって情報記録を行なう光プ
リンタは、そのプリント品質、信頼性において向上が著
しい。このデジタル記録技術はプリンタのみならず通常
の複写機にも応用され、いわゆるデジタル複写機が開発
されている。また、従来からあるアナログ複写にこのデ
ジタル記録技術を搭載した複写機は、種々様々な情報処
理機能が付加されるため、今後その需要性が益々高まっ
ていくと予想される。
ステム機の発展は目覚ましいものがある。特に情報をデ
ジタル信号に変換して光によって情報記録を行なう光プ
リンタは、そのプリント品質、信頼性において向上が著
しい。このデジタル記録技術はプリンタのみならず通常
の複写機にも応用され、いわゆるデジタル複写機が開発
されている。また、従来からあるアナログ複写にこのデ
ジタル記録技術を搭載した複写機は、種々様々な情報処
理機能が付加されるため、今後その需要性が益々高まっ
ていくと予想される。
【0003】光プリンタの光源としては、現在のところ
小型で安価で信頼性の高い半導体レーザ(LD)や、発
光ダイオード(LED)が多く使われている。現在よく
使われているLEDの発光波長は660nm又は720
nmであり、LDの発光波長域は近赤外光領域にある。
このため可視光領域から近赤外光領域に高い感度を有
し、且つ繰り返し疲労特性の安定な電子写真感光体の開
発が望まれている。
小型で安価で信頼性の高い半導体レーザ(LD)や、発
光ダイオード(LED)が多く使われている。現在よく
使われているLEDの発光波長は660nm又は720
nmであり、LDの発光波長域は近赤外光領域にある。
このため可視光領域から近赤外光領域に高い感度を有
し、且つ繰り返し疲労特性の安定な電子写真感光体の開
発が望まれている。
【0004】電子写真感光体の感光波長域は、感光体に
使用される電荷発生物質の感光波長域によってほぼ決ま
ってしまう。そのため、従来から各種アゾ顔料、多環キ
ノン系顔料、三方晶形セレン、各種フタロシアニン顔料
等多くの電荷発生物質が開発されている。それらの内、
TiOPcは600〜800nmの長波長光に対して高
感度を示すため、光源がLEDやLDである電子写真プ
リンタやデジタル複写機用の感光体用材料として極めて
重要かつ有用である。
使用される電荷発生物質の感光波長域によってほぼ決ま
ってしまう。そのため、従来から各種アゾ顔料、多環キ
ノン系顔料、三方晶形セレン、各種フタロシアニン顔料
等多くの電荷発生物質が開発されている。それらの内、
TiOPcは600〜800nmの長波長光に対して高
感度を示すため、光源がLEDやLDである電子写真プ
リンタやデジタル複写機用の感光体用材料として極めて
重要かつ有用である。
【0005】TiOPcには種々の結晶形が知られてお
り、特開昭59−49544号公報、特開昭59−16
6959公報、特開昭61−239248号公報、特開
昭62−67094号公報、特開昭63−366号公
報、特開昭63−116158号公報、特開昭63−1
96067号公報、特開昭64−17066号公報等に
各々結晶形の異なるTiOPcが開示されている。本発
明に使用されるTiOPcは、公知の結晶形のものすべ
てが使用できるが、とりわけ、Cu−Kα特性X線(波
長1.54Å)を用いたX線回折スペクトルにおいて、
(i)ブラッグ角2θの主要ピークが少なくとも9.6
°±0.2°、24.0°±0.2°及び27.2°±
0.2°にある結晶形を有するもの(一般にY型TiO
Pc)、(ii)ブラッグ角2θの主要ピークが少なくと
も7.5°±0.2°、25.3°±0.2°及び2
8.6°±0.2°にある結晶形を有するもの(一般に
B型TiOPc)、(iii)ブラッグ角2θの主要ピー
クが少なくとも9.3°±0.2°、13.1°±0.
2°及び26.2°±0.2°にある結晶形を有するも
の(一般にA型TiOPc)である。
り、特開昭59−49544号公報、特開昭59−16
6959公報、特開昭61−239248号公報、特開
昭62−67094号公報、特開昭63−366号公
報、特開昭63−116158号公報、特開昭63−1
96067号公報、特開昭64−17066号公報等に
各々結晶形の異なるTiOPcが開示されている。本発
明に使用されるTiOPcは、公知の結晶形のものすべ
てが使用できるが、とりわけ、Cu−Kα特性X線(波
長1.54Å)を用いたX線回折スペクトルにおいて、
(i)ブラッグ角2θの主要ピークが少なくとも9.6
°±0.2°、24.0°±0.2°及び27.2°±
0.2°にある結晶形を有するもの(一般にY型TiO
Pc)、(ii)ブラッグ角2θの主要ピークが少なくと
も7.5°±0.2°、25.3°±0.2°及び2
8.6°±0.2°にある結晶形を有するもの(一般に
B型TiOPc)、(iii)ブラッグ角2θの主要ピー
クが少なくとも9.3°±0.2°、13.1°±0.
2°及び26.2°±0.2°にある結晶形を有するも
の(一般にA型TiOPc)である。
【0006】これらの結晶形を有するTiOPcの中
で、最も安定な結晶形はブラッグ角2θの主要ピークが
少なくとも9.3°±0.2°、13.1°±0.2°
及び26.2°±0.2°にある結晶形を有するもので
あり、一般に広く用いられている。したがって、上記の
結晶形を得るために様々な方法によって結晶変換を行な
い、TiOPcの作製が試みられている。
で、最も安定な結晶形はブラッグ角2θの主要ピークが
少なくとも9.3°±0.2°、13.1°±0.2°
及び26.2°±0.2°にある結晶形を有するもので
あり、一般に広く用いられている。したがって、上記の
結晶形を得るために様々な方法によって結晶変換を行な
い、TiOPcの作製が試みられている。
【0007】最も安定なA型TiOPcの結晶形を得る
方法としては、種々の合成法によって直接作製する方
法、種々の結晶形のTiOPcを濃硫酸に溶解し、水に
て析出(一般にアシッドペースティング処理と呼ばれて
いる)させた後、有機溶媒中で加熱処理を行なう方法
(特開昭63−80263号公報)、更にY型TiOP
cを300℃の熱処理を行なう方法(電子写真学会誌、
29,3,250(1990年))等が知られている。
しかしながら、合成によって直接得られたA型TiOP
cはアシッドペースティング処理を行なわないため不純
物による影響が大きく、加熱処理を行なう方法は加熱温
度によって変換速度が変化し、さらにTiOPcが熱分
解を起こす恐れがある。したがって、不純物含有量が少
なく、且つ安定にA型TiOPcを分散する方法が熱望
されていた。
方法としては、種々の合成法によって直接作製する方
法、種々の結晶形のTiOPcを濃硫酸に溶解し、水に
て析出(一般にアシッドペースティング処理と呼ばれて
いる)させた後、有機溶媒中で加熱処理を行なう方法
(特開昭63−80263号公報)、更にY型TiOP
cを300℃の熱処理を行なう方法(電子写真学会誌、
29,3,250(1990年))等が知られている。
しかしながら、合成によって直接得られたA型TiOP
cはアシッドペースティング処理を行なわないため不純
物による影響が大きく、加熱処理を行なう方法は加熱温
度によって変換速度が変化し、さらにTiOPcが熱分
解を起こす恐れがある。したがって、不純物含有量が少
なく、且つ安定にA型TiOPcを分散する方法が熱望
されていた。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、電子
写真感光体の静電特性を低下させる要因となる不純物の
含有量を最小限にし、且つ熱分解の恐れがある高温の熱
処理等を必要としない安定なA型TiOPcを含む分散
液の作製方法及びそれを用いた電子写真感光体を提供す
ることである。
写真感光体の静電特性を低下させる要因となる不純物の
含有量を最小限にし、且つ熱分解の恐れがある高温の熱
処理等を必要としない安定なA型TiOPcを含む分散
液の作製方法及びそれを用いた電子写真感光体を提供す
ることである。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、電子写真
感光体の静電特性を低下させる要因となる不純物の含有
量を最小限にし、且つ熱分解の恐れがある高温の熱処理
等を必要としない安定なA型TiOPcを含む分散液の
作製方法及びそれを用いた電子写真感光体について鋭意
検討を行なった結果、本発明を完成するに至った。
感光体の静電特性を低下させる要因となる不純物の含有
量を最小限にし、且つ熱分解の恐れがある高温の熱処理
等を必要としない安定なA型TiOPcを含む分散液の
作製方法及びそれを用いた電子写真感光体について鋭意
検討を行なった結果、本発明を完成するに至った。
【0010】すなわち、上記課題は本発明の(1)「C
u−Kα特性X線(波長1.54Å)を用いたX線回析
スペクトルにおいて、ブラッグ角2θの主要ピークが少
なくとも9.6°±0.2°、24.0°±0.2°お
よび27.2°±0.2°に有する結晶形を示すオキシ
チタニウムフタロシアニンを非水溶媒中にて分散を行な
うことによって得られる、ブラッグ角2θの主要ピーク
が少なくとも9.3°±0.2°、13.1°±0.2
°および26.2°±0.2°に有する結晶形を示すオ
キシチタニウムフタロシアニンを含有する分散液」によ
り達成される。
u−Kα特性X線(波長1.54Å)を用いたX線回析
スペクトルにおいて、ブラッグ角2θの主要ピークが少
なくとも9.6°±0.2°、24.0°±0.2°お
よび27.2°±0.2°に有する結晶形を示すオキシ
チタニウムフタロシアニンを非水溶媒中にて分散を行な
うことによって得られる、ブラッグ角2θの主要ピーク
が少なくとも9.3°±0.2°、13.1°±0.2
°および26.2°±0.2°に有する結晶形を示すオ
キシチタニウムフタロシアニンを含有する分散液」によ
り達成される。
【0011】また、(2)「Cu−Kα特性X線(波長
1.54Å)を用いたX線回析スペクトルにおいて、ブ
ラッグ角2θの主要ピークが少なくとも9.6°±0.
2°、24.0°±0.2°および27.2°±0.2
°に有する結晶形を示すオキシチタニウムフタロシアニ
ンの分散において、はじめに非水溶媒中にて分散を行な
い、次にバインダー樹脂と非水溶媒の混合溶液を添加し
た後、再度分散を行なうことを特徴とする前記(1)項
に記載のオキシチタニウムフタロシアニンを含有する分
散液の製造方法」、(3)「非水溶媒中への分散手法と
してボールミル分散を行ない、さらに使用するメディア
の粒径が直径3mm以下であることを特徴とする前記
(1)項に記載のオキシチタニウムフタロシアニンを含
有する分散液の製造方法」、(4)「導電性支持体上に
少なくともオキシチタニウムフタロシアニンを含有する
感光層を設けてなる電子写真感光体において、オキシチ
タニウムフタロシアニンを含有する層が前記(1)項に
記載のオキシチタニウムフタロシアニンを含有する分散
液を用いて形成されることを特徴とする電子写真感光体
の製造方法」により達成される。
1.54Å)を用いたX線回析スペクトルにおいて、ブ
ラッグ角2θの主要ピークが少なくとも9.6°±0.
2°、24.0°±0.2°および27.2°±0.2
°に有する結晶形を示すオキシチタニウムフタロシアニ
ンの分散において、はじめに非水溶媒中にて分散を行な
い、次にバインダー樹脂と非水溶媒の混合溶液を添加し
た後、再度分散を行なうことを特徴とする前記(1)項
に記載のオキシチタニウムフタロシアニンを含有する分
散液の製造方法」、(3)「非水溶媒中への分散手法と
してボールミル分散を行ない、さらに使用するメディア
の粒径が直径3mm以下であることを特徴とする前記
(1)項に記載のオキシチタニウムフタロシアニンを含
有する分散液の製造方法」、(4)「導電性支持体上に
少なくともオキシチタニウムフタロシアニンを含有する
感光層を設けてなる電子写真感光体において、オキシチ
タニウムフタロシアニンを含有する層が前記(1)項に
記載のオキシチタニウムフタロシアニンを含有する分散
液を用いて形成されることを特徴とする電子写真感光体
の製造方法」により達成される。
【0012】また、(5)「導電性支持体上に少なくと
もオキシチタニウムフタロシアニンを含有する感光層を
設けてなる電子写真感光体において、オキシチタニウム
フタロシアニンを含有する層が前記(4)項に記載され
た方法によって製造されることを特徴とする電子写真感
光体」によって達成される。
もオキシチタニウムフタロシアニンを含有する感光層を
設けてなる電子写真感光体において、オキシチタニウム
フタロシアニンを含有する層が前記(4)項に記載され
た方法によって製造されることを特徴とする電子写真感
光体」によって達成される。
【0013】以下に、本発明を詳しく説明する。本発明
で用いられるTiOPc顔料の基本構造は次の一般式
(I)で表わされる。
で用いられるTiOPc顔料の基本構造は次の一般式
(I)で表わされる。
【0014】
【化1】 (式中、X1、X2、X3、X4は各々独立に各種ハロゲン
を表わし、n、m、l、kは各々独立的に0〜4の数字
を表わす。)
を表わし、n、m、l、kは各々独立的に0〜4の数字
を表わす。)
【0015】本発明におけるA型TiOPcを含有する
分散液の一連の作製方法は以下のとおりである。公知の
方法によって合成されたA型TiOPcにアシッドペー
スティング処理を施し、得られた無定形のウエットケー
キを有機溶媒と水の混合液中にて撹拌させることにより
結晶変換を行ない、濾過、水洗及び乾燥工程を経てY型
TiOPc粉末を得た。得られたY型TiOPcを有機
溶媒中にて分散(一次分散)し、この一次分散過程でA
型TiOPcへ結晶変換を行なった後、バインダー樹脂
と有機溶媒との混合溶液を添加し、さらに分散操作(二
次分散)を行なうことによって作製される。
分散液の一連の作製方法は以下のとおりである。公知の
方法によって合成されたA型TiOPcにアシッドペー
スティング処理を施し、得られた無定形のウエットケー
キを有機溶媒と水の混合液中にて撹拌させることにより
結晶変換を行ない、濾過、水洗及び乾燥工程を経てY型
TiOPc粉末を得た。得られたY型TiOPcを有機
溶媒中にて分散(一次分散)し、この一次分散過程でA
型TiOPcへ結晶変換を行なった後、バインダー樹脂
と有機溶媒との混合溶液を添加し、さらに分散操作(二
次分散)を行なうことによって作製される。
【0016】公知の方法によって合成されたA型TiO
Pcは不純物の含有量が多く、それを直接用いて作製さ
れた電子写真感光体の静電特性では、帯電性の低下及び
残留電位の増加等、疲労特性の大幅な変化が確認され
た。本発明によって得られた分散液による感光体の静電
特性は疲労特性が大幅に改善されており、アシッドペー
スティング処理及びY型TiOPcへの結晶変換処理を
経ることによって、大量の不純物除去が確認された。こ
の大量の不純物除去も疲労特性改善の一因と推定してい
る。
Pcは不純物の含有量が多く、それを直接用いて作製さ
れた電子写真感光体の静電特性では、帯電性の低下及び
残留電位の増加等、疲労特性の大幅な変化が確認され
た。本発明によって得られた分散液による感光体の静電
特性は疲労特性が大幅に改善されており、アシッドペー
スティング処理及びY型TiOPcへの結晶変換処理を
経ることによって、大量の不純物除去が確認された。こ
の大量の不純物除去も疲労特性改善の一因と推定してい
る。
【0017】また、本発明によれば、結晶変換によって
得たY型TiOPcを有機溶媒中にて分散を行なうこと
により、A型に結晶変換しているため高温による熱処理
等は必要としないことから、TiOPcの熱分解を回避
させるだけでなく、作業上非常に簡易で且つ安全であ
る。更に、TiOPcの有機溶媒への分散工程も同時に
行なわれるため、作業効率が大幅に向上する効果も有す
る。
得たY型TiOPcを有機溶媒中にて分散を行なうこと
により、A型に結晶変換しているため高温による熱処理
等は必要としないことから、TiOPcの熱分解を回避
させるだけでなく、作業上非常に簡易で且つ安全であ
る。更に、TiOPcの有機溶媒への分散工程も同時に
行なわれるため、作業効率が大幅に向上する効果も有す
る。
【0018】本発明による分散液を上記のように、一次
分散で有機溶媒中にY型TiOPcを分散し、その後の
二次分散でバインダー樹脂を添加することによって作製
される。分散によって得られるTiOPcの結晶形は、
一次分散の分散条件、例えばメディア粒径、溶媒種、分
散時間、固形分等で変わり、目的とする結晶形を得るた
めには分散条件の設定が重要である。また、それらの分
散条件にはバインダー樹脂の添加時期が最も重要な要素
として含まれることを我々は見い出し、本発明に至っ
た。
分散で有機溶媒中にY型TiOPcを分散し、その後の
二次分散でバインダー樹脂を添加することによって作製
される。分散によって得られるTiOPcの結晶形は、
一次分散の分散条件、例えばメディア粒径、溶媒種、分
散時間、固形分等で変わり、目的とする結晶形を得るた
めには分散条件の設定が重要である。また、それらの分
散条件にはバインダー樹脂の添加時期が最も重要な要素
として含まれることを我々は見い出し、本発明に至っ
た。
【0019】一次分散よりバインダー樹脂を含有させて
分散を行なうと、分散によるA型TiOPcへの結晶変
換効率が著しく低下し、分散時間の大幅な増加を余儀な
くされるが、バインダー樹脂を含まないで有機溶媒のみ
で分散を行なうと、結晶変換は効率よく行なわれる。分
散時間の必要以上の長期化は顔料粒子の凝集及び結晶成
長による顔料粒子の粗大化を引き起こすとともに、A型
TiOPcの分解を引き起こす可能性がある。したがっ
て、分散時間は必要最小限の時間に設定する必要があ
り、それはバインダー樹脂を一次分散後に添加すること
で達成される。一次分散は目的とする結晶形に変換さ
れ、且つ凝集等の影響が見られない状態で終える必要が
ある。目的とする結晶形に変換されたことはX線回析で
確認できる。
分散を行なうと、分散によるA型TiOPcへの結晶変
換効率が著しく低下し、分散時間の大幅な増加を余儀な
くされるが、バインダー樹脂を含まないで有機溶媒のみ
で分散を行なうと、結晶変換は効率よく行なわれる。分
散時間の必要以上の長期化は顔料粒子の凝集及び結晶成
長による顔料粒子の粗大化を引き起こすとともに、A型
TiOPcの分解を引き起こす可能性がある。したがっ
て、分散時間は必要最小限の時間に設定する必要があ
り、それはバインダー樹脂を一次分散後に添加すること
で達成される。一次分散は目的とする結晶形に変換さ
れ、且つ凝集等の影響が見られない状態で終える必要が
ある。目的とする結晶形に変換されたことはX線回析で
確認できる。
【0020】得られたX線回析パターンのピーク位置に
よりA型TiOPcの結晶形が得られたことを確認する
ことによって一次分散の時間が決められる。一方、バイ
ンダー樹脂を添加した後行なう二次分散の時間は顔料、
樹脂及び溶媒が均一になれば十分であり、数時間の分散
を行なうことによって完了する。二次分散の必要以上の
長期化もまた粒子の凝集等を引き起こす原因となる。
よりA型TiOPcの結晶形が得られたことを確認する
ことによって一次分散の時間が決められる。一方、バイ
ンダー樹脂を添加した後行なう二次分散の時間は顔料、
樹脂及び溶媒が均一になれば十分であり、数時間の分散
を行なうことによって完了する。二次分散の必要以上の
長期化もまた粒子の凝集等を引き起こす原因となる。
【0021】分散媒としての有機溶媒には、テトラヒド
ロフラン、シクロヘキサノン、ジオキサン、2−ブタノ
ン、アセトン、シクロヘキサン等の溶媒、ならびにそれ
らの混合溶媒が用いられる。バインダー樹脂としては、
ポリウレタン、エポキシ樹脂、ポリケトン、ポリカーボ
ネート、シリコン樹脂、アクリル樹脂、ポリビニルブチ
ラール、ポリビニルホルマール、ポリビニルケトン、ポ
リスチレン、ポリスルホン、ポリ−N−ビニルカルバゾ
ール、ポリアクリルアミド、ポリビニルベンザール、ポ
リエステル、フェノキシ樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル
共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリフェニレンオキシド、
ポリアミド、ポリビニルピリジン、セルロース系樹脂、
ポリビニルピロリドン等が挙げられるが、好ましい樹脂
は、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポ
リエステル、フェノキシ樹脂、ポリ酢酸ビニル、セルロ
ース系樹脂等である。顔料と結着樹脂との比率は、1/
10〜10/1が好ましく、より好ましくは1/3〜3
/1、更に好ましくは1/2〜2/1である。本発明に
おける分散液は、A型TiOPc、バインダー樹脂及び
有機溶媒を主成分とするが、この中には増感剤、酸化防
止剤等の添加剤を添加してもよい。
ロフラン、シクロヘキサノン、ジオキサン、2−ブタノ
ン、アセトン、シクロヘキサン等の溶媒、ならびにそれ
らの混合溶媒が用いられる。バインダー樹脂としては、
ポリウレタン、エポキシ樹脂、ポリケトン、ポリカーボ
ネート、シリコン樹脂、アクリル樹脂、ポリビニルブチ
ラール、ポリビニルホルマール、ポリビニルケトン、ポ
リスチレン、ポリスルホン、ポリ−N−ビニルカルバゾ
ール、ポリアクリルアミド、ポリビニルベンザール、ポ
リエステル、フェノキシ樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル
共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリフェニレンオキシド、
ポリアミド、ポリビニルピリジン、セルロース系樹脂、
ポリビニルピロリドン等が挙げられるが、好ましい樹脂
は、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポ
リエステル、フェノキシ樹脂、ポリ酢酸ビニル、セルロ
ース系樹脂等である。顔料と結着樹脂との比率は、1/
10〜10/1が好ましく、より好ましくは1/3〜3
/1、更に好ましくは1/2〜2/1である。本発明に
おける分散液は、A型TiOPc、バインダー樹脂及び
有機溶媒を主成分とするが、この中には増感剤、酸化防
止剤等の添加剤を添加してもよい。
【0022】湿式分散によって分散液を得るための分散
手段としては、ボールミル、アトライター、サンドミ
ル、ビーズミル、振動ミル、円盤振動ミル、ペイントシ
ェーカー、ジェットミル等の公知の方法が挙げられ用い
られる。ただし、本発明が目的とする分散液の作製条件
は、各分散手段により異なるため、画一的に定義するこ
とはできない。その理由としては分散手段ないしその使
用条件により粉砕力、分散力、錬磨力等の比率が異なる
ためと考えることができる。いずれの方法を用いてもよ
いが、本発明における分散液の分散手段としては、一次
分散でTiOPcの結晶変換を安定に行なうために、外
部からの汚染が少なく、且つ粉砕力・分散力・錬磨力が
比較的小さなボールミルやビーズミルが適しているが、
ボールミルが最も好ましい。
手段としては、ボールミル、アトライター、サンドミ
ル、ビーズミル、振動ミル、円盤振動ミル、ペイントシ
ェーカー、ジェットミル等の公知の方法が挙げられ用い
られる。ただし、本発明が目的とする分散液の作製条件
は、各分散手段により異なるため、画一的に定義するこ
とはできない。その理由としては分散手段ないしその使
用条件により粉砕力、分散力、錬磨力等の比率が異なる
ためと考えることができる。いずれの方法を用いてもよ
いが、本発明における分散液の分散手段としては、一次
分散でTiOPcの結晶変換を安定に行なうために、外
部からの汚染が少なく、且つ粉砕力・分散力・錬磨力が
比較的小さなボールミルやビーズミルが適しているが、
ボールミルが最も好ましい。
【0023】使用するメディアの材質としては、ジルコ
ニア、ガラス、アルミナ、金属などが挙げられるが、メ
ディアの材質についてはいずれのものも使用することが
可能である。ただし、これらのメディアの中で、ジルコ
ニアのメディアは耐摩耗性が高いため汚染が少なく、結
晶変換のための適切な分散条件を得やすいため、ジルコ
ニアのメディアを使用することがより好ましい。
ニア、ガラス、アルミナ、金属などが挙げられるが、メ
ディアの材質についてはいずれのものも使用することが
可能である。ただし、これらのメディアの中で、ジルコ
ニアのメディアは耐摩耗性が高いため汚染が少なく、結
晶変換のための適切な分散条件を得やすいため、ジルコ
ニアのメディアを使用することがより好ましい。
【0024】メディアの粒径としては、3mm以下、好
ましくは2mm以下の球状のメディアが使用される。こ
れらのメディアを使用して作製された分散液は、粒径が
3mmよりも大きなメディアによって作製された分散液
よりも明らかに平均粒径が減少し、粗大粒子の割合も大
幅に減少した分散状態で、目的とする結晶変換を達成で
きる。また、これらの分散状態の傾向は分散時間に無関
係に成り立っており、短時間の分散だけでなく長時間に
及ぶ分散においても直径3mm以下のメディアを使用し
た方が平均粒径を減少させることが可能になり、分散性
が良好で且つ目的とするA型TiOPcへの結晶変換の
効率を大幅に向上させた分散液を作製することができ
る。変換効率が高いことは分散時間の短縮が可能になる
ことを意味しており、故に粒子の凝集及び結晶成長によ
る顔料粒子の粗大化等の影響を最小限にすることが可能
になる。メディアはより小粒径の方がメディア同士の衝
突回数、接触点が多くなることが、結晶変換の効率を大
幅に向上させる一つの原因であると考えられる。
ましくは2mm以下の球状のメディアが使用される。こ
れらのメディアを使用して作製された分散液は、粒径が
3mmよりも大きなメディアによって作製された分散液
よりも明らかに平均粒径が減少し、粗大粒子の割合も大
幅に減少した分散状態で、目的とする結晶変換を達成で
きる。また、これらの分散状態の傾向は分散時間に無関
係に成り立っており、短時間の分散だけでなく長時間に
及ぶ分散においても直径3mm以下のメディアを使用し
た方が平均粒径を減少させることが可能になり、分散性
が良好で且つ目的とするA型TiOPcへの結晶変換の
効率を大幅に向上させた分散液を作製することができ
る。変換効率が高いことは分散時間の短縮が可能になる
ことを意味しており、故に粒子の凝集及び結晶成長によ
る顔料粒子の粗大化等の影響を最小限にすることが可能
になる。メディアはより小粒径の方がメディア同士の衝
突回数、接触点が多くなることが、結晶変換の効率を大
幅に向上させる一つの原因であると考えられる。
【0025】本発明における分散液の作製後には超音波
処理を施すことが好ましい。超音波処理によって、粒子
間の凝集状態を緩和させ、バインダー樹脂の顔料粒子へ
の吸着率を高め、平均粒径を減少させることが可能にな
る。処理時間としては数十分程度でも効果はあるが、長
時間に及んでも静電特性や粒度分布、その他の特性への
悪影響はほとんど認められない。また、超音波処理を一
度施した分散液は、その後の経時での凝集等が起こりに
くく、分散液の安定性が増すことが見いだされた。した
がって、作製された分散液に対して超音波処理を施すこ
とは効果的でありかつ有用である。
処理を施すことが好ましい。超音波処理によって、粒子
間の凝集状態を緩和させ、バインダー樹脂の顔料粒子へ
の吸着率を高め、平均粒径を減少させることが可能にな
る。処理時間としては数十分程度でも効果はあるが、長
時間に及んでも静電特性や粒度分布、その他の特性への
悪影響はほとんど認められない。また、超音波処理を一
度施した分散液は、その後の経時での凝集等が起こりに
くく、分散液の安定性が増すことが見いだされた。した
がって、作製された分散液に対して超音波処理を施すこ
とは効果的でありかつ有用である。
【0026】
【発明の実施の形態】本発明によって得られた分散液を
用いて、公知の方法により電子写真感光体を作製するこ
とができる。これに関する詳細な説明を以下に示す。図
1は、本発明に用いられる電子写真感光体を表わす断面
図であり、導電性支持体(31)上に、電荷発生材料と
電荷輸送材料を主成分とする単層感光層(33)が設け
られている。図2及び図3は、本発明に用いられる電子
写真感光体の別の構成例を示す断面図であり、電荷発生
材料を主成分とする電荷発生層(35)と、電荷輸送材
料を主成分とする電荷輸送層(37)とが、積層された
構成をとっている。
用いて、公知の方法により電子写真感光体を作製するこ
とができる。これに関する詳細な説明を以下に示す。図
1は、本発明に用いられる電子写真感光体を表わす断面
図であり、導電性支持体(31)上に、電荷発生材料と
電荷輸送材料を主成分とする単層感光層(33)が設け
られている。図2及び図3は、本発明に用いられる電子
写真感光体の別の構成例を示す断面図であり、電荷発生
材料を主成分とする電荷発生層(35)と、電荷輸送材
料を主成分とする電荷輸送層(37)とが、積層された
構成をとっている。
【0027】導電性支持体(31)としては、体積抵抗
1010Ωcm以下の導電性を示すもの、例えば、アルミ
ニウム、ニッケル、クロム、ニクロム、銅、金、銀、白
金などの金属、酸化スズ、酸化インジウムなどの金属酸
化物を、蒸着またはスパッタリングにより、フィルム状
もしくは円筒状のプラスチック、紙に被覆したもの、或
いは、アルミニウム、アルミニウム合金、ニッケル、ス
テンレス等の板およびそれらを押し出し、引き抜き等の
工法で素管化後、切削、超仕上げ、研磨等で表面処理し
た管等を使用することができる。また、特開昭52−3
6016号公報に開示されたエンドレスニッケルベル
ト、エンドレスステンレスベルトも導電性支持体(3
1)として用いることができる。
1010Ωcm以下の導電性を示すもの、例えば、アルミ
ニウム、ニッケル、クロム、ニクロム、銅、金、銀、白
金などの金属、酸化スズ、酸化インジウムなどの金属酸
化物を、蒸着またはスパッタリングにより、フィルム状
もしくは円筒状のプラスチック、紙に被覆したもの、或
いは、アルミニウム、アルミニウム合金、ニッケル、ス
テンレス等の板およびそれらを押し出し、引き抜き等の
工法で素管化後、切削、超仕上げ、研磨等で表面処理し
た管等を使用することができる。また、特開昭52−3
6016号公報に開示されたエンドレスニッケルベル
ト、エンドレスステンレスベルトも導電性支持体(3
1)として用いることができる。
【0028】この他、上記支持体上に導電性粉体を適当
な結着樹脂に分散して塗工したものも、本発明の導電性
支持体(31)として用いることができる。この導電性
粉体としては、カーボンブラック、アセチレンブラッ
ク、また、アルミニウム、ニッケル、鉄、ニクロム、
銅、亜鉛、銀等の金属粉或いは導電性酸化スズ、ITO
等の金属酸化物粉体等が挙げられる。また、同時に用い
られる結着樹脂には、ポリスチレン、スチレン−アクリ
ロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、
スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリエステル、ポ
リ塩化ビニル、塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共
重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリア
リレート樹脂、フェノキシ樹脂、ポリカーボネート、酢
酸セルロース樹脂、エチルセルロース樹脂、ポリビニル
ブチラール、ポリビニルホルマール、ポリビニルトルエ
ン、ポリ−N−ビニルカルバゾール、アクリル樹脂、シ
リコーン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ウレタン
樹脂、フェノール樹脂、アルキッド樹脂等の熱可塑性、
熱硬化性樹脂または光硬化性樹脂が挙げられる。このよ
うな導電性層は、これらの導電性粉体と結着樹脂を適当
な溶剤、例えば例えばTHF(テトラヒドロフラン)、
MDC(ジクロロメタン)、MEK(メチルエチルケト
ン)、トルエン等に分散して塗布することにより設ける
ことができる。
な結着樹脂に分散して塗工したものも、本発明の導電性
支持体(31)として用いることができる。この導電性
粉体としては、カーボンブラック、アセチレンブラッ
ク、また、アルミニウム、ニッケル、鉄、ニクロム、
銅、亜鉛、銀等の金属粉或いは導電性酸化スズ、ITO
等の金属酸化物粉体等が挙げられる。また、同時に用い
られる結着樹脂には、ポリスチレン、スチレン−アクリ
ロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、
スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリエステル、ポ
リ塩化ビニル、塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共
重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリア
リレート樹脂、フェノキシ樹脂、ポリカーボネート、酢
酸セルロース樹脂、エチルセルロース樹脂、ポリビニル
ブチラール、ポリビニルホルマール、ポリビニルトルエ
ン、ポリ−N−ビニルカルバゾール、アクリル樹脂、シ
リコーン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ウレタン
樹脂、フェノール樹脂、アルキッド樹脂等の熱可塑性、
熱硬化性樹脂または光硬化性樹脂が挙げられる。このよ
うな導電性層は、これらの導電性粉体と結着樹脂を適当
な溶剤、例えば例えばTHF(テトラヒドロフラン)、
MDC(ジクロロメタン)、MEK(メチルエチルケト
ン)、トルエン等に分散して塗布することにより設ける
ことができる。
【0029】更に、適当な円筒基体上にポリ塩化ビニ
ル、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリスチレン、ポ
リ塩化ビニリデン、ポリエチレン、塩化ゴム、テフロン
等の素材に前記導電性粉体を含有させた熱収縮チューブ
によって導電性層を設けてなるものも、本発明の導電性
支持体(31)として良好に用いることができる。
ル、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリスチレン、ポ
リ塩化ビニリデン、ポリエチレン、塩化ゴム、テフロン
等の素材に前記導電性粉体を含有させた熱収縮チューブ
によって導電性層を設けてなるものも、本発明の導電性
支持体(31)として良好に用いることができる。
【0030】次に感光層について説明する。感光層は単
層でも積層でもよいが、積層の方が単層の場合よりも課
題とされた帯電性の向上や残留電位の抑制等に有利であ
る。したがって、説明の都合上、まず電荷発生層(3
5)と電荷輸送層(37)で構成される積層感光体の場
合について述べる。電荷発生層(35)に用いられるバ
インダー樹脂や有機溶媒については、前述のとおりであ
るが、上記のTiOPcの他にその他の電荷発生材料を
併用することも可能であり、その代表例として、モノア
ゾ顔料、ジスアゾ顔料、トリスアゾ顔料、ペリレン系顔
料、ペリノン系顔料、キナクリドン系顔料、キノン系縮
合多環化合物、スクアリック酸系染料、フタロシアニン
系顔料、ナフタロシアニン系顔料、アズレニウム塩系染
料等が挙げられ用いられる。塗工液の塗工法としては、
浸漬塗工法、スプレーコート、ビートコート、ノズルコ
ート、スピナーコート、リングコート等の方法を用いる
ことができる。この中でもとりわけ浸漬塗工法が好まし
く使用される。電荷発生層(35)の膜厚は0.01〜
5μm程度が適当であり、好ましくは0.1〜2μmで
ある。
層でも積層でもよいが、積層の方が単層の場合よりも課
題とされた帯電性の向上や残留電位の抑制等に有利であ
る。したがって、説明の都合上、まず電荷発生層(3
5)と電荷輸送層(37)で構成される積層感光体の場
合について述べる。電荷発生層(35)に用いられるバ
インダー樹脂や有機溶媒については、前述のとおりであ
るが、上記のTiOPcの他にその他の電荷発生材料を
併用することも可能であり、その代表例として、モノア
ゾ顔料、ジスアゾ顔料、トリスアゾ顔料、ペリレン系顔
料、ペリノン系顔料、キナクリドン系顔料、キノン系縮
合多環化合物、スクアリック酸系染料、フタロシアニン
系顔料、ナフタロシアニン系顔料、アズレニウム塩系染
料等が挙げられ用いられる。塗工液の塗工法としては、
浸漬塗工法、スプレーコート、ビートコート、ノズルコ
ート、スピナーコート、リングコート等の方法を用いる
ことができる。この中でもとりわけ浸漬塗工法が好まし
く使用される。電荷発生層(35)の膜厚は0.01〜
5μm程度が適当であり、好ましくは0.1〜2μmで
ある。
【0031】電荷輸送層(37)は、電荷輸送物質及び
結着樹脂を適当な溶剤に溶解ないし分散し、これを電荷
発生層上に塗布、乾燥することにより形成できる。ま
た、必要により可塑剤、レベリング剤、酸化防止剤等を
添加することもできる。
結着樹脂を適当な溶剤に溶解ないし分散し、これを電荷
発生層上に塗布、乾燥することにより形成できる。ま
た、必要により可塑剤、レベリング剤、酸化防止剤等を
添加することもできる。
【0032】電荷輸送物質には、正孔輸送物質と電子輸
送物質とがある。電子輸送物質としては、例えば、クロ
ルアニル、ブロムアニル、テトラシアノエチレン、テト
ラシアノキノジメタン、2,4,7−トリニトロ−9−
フルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロ−9−フ
ルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロキサント
ン、2,4,8−トリニトロチオキサントン、2,6,
8−トリニトロ−4H−インデノ[1,2−b]チオフ
ェン−4−オン、1,3,7−トリニトロジベンゾチオ
フェン−5,5−ジオキサイド、ベンゾキノン誘導体等
の電子受容性物質が挙げられる。
送物質とがある。電子輸送物質としては、例えば、クロ
ルアニル、ブロムアニル、テトラシアノエチレン、テト
ラシアノキノジメタン、2,4,7−トリニトロ−9−
フルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロ−9−フ
ルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロキサント
ン、2,4,8−トリニトロチオキサントン、2,6,
8−トリニトロ−4H−インデノ[1,2−b]チオフ
ェン−4−オン、1,3,7−トリニトロジベンゾチオ
フェン−5,5−ジオキサイド、ベンゾキノン誘導体等
の電子受容性物質が挙げられる。
【0033】正孔輸送物質としては、ポリ−N−カルバ
ゾール及びその誘導体、ポリ−γ−カルバゾリルエチル
グルタメート及びその誘導体、ピレン−ホルムアルデヒ
ド縮合物及びその誘導体、ポリビニルピレン、ポリビニ
ルフェナントレン、ポリシラン、オキサゾール誘導体、
オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、モノア
リールアミン誘導体、ジアリールアミン誘導体、トリア
リールアミン誘導体、スチルベン誘導体、α−フェニル
スチルベン誘導体、ベンジジン誘導体、ジアリールメタ
ン誘導体、トリアリールメタン誘導体、9−スチリルア
ントラセン誘導体、ピラゾリン誘導体、ジビニルベンゼ
ン誘導体、ヒドラゾン誘導体、インデン誘導体、ブタジ
エン誘導体、ピレン誘導体等、ビススチルベン誘導体、
エナミン誘導体等その他公知の材料が挙げられる。これ
らの電荷輸送物質は、単独または2種以上混合して用い
られる。
ゾール及びその誘導体、ポリ−γ−カルバゾリルエチル
グルタメート及びその誘導体、ピレン−ホルムアルデヒ
ド縮合物及びその誘導体、ポリビニルピレン、ポリビニ
ルフェナントレン、ポリシラン、オキサゾール誘導体、
オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、モノア
リールアミン誘導体、ジアリールアミン誘導体、トリア
リールアミン誘導体、スチルベン誘導体、α−フェニル
スチルベン誘導体、ベンジジン誘導体、ジアリールメタ
ン誘導体、トリアリールメタン誘導体、9−スチリルア
ントラセン誘導体、ピラゾリン誘導体、ジビニルベンゼ
ン誘導体、ヒドラゾン誘導体、インデン誘導体、ブタジ
エン誘導体、ピレン誘導体等、ビススチルベン誘導体、
エナミン誘導体等その他公知の材料が挙げられる。これ
らの電荷輸送物質は、単独または2種以上混合して用い
られる。
【0034】結着樹脂としては、ポリスチレン、スチレ
ン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン
共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリエ
ステル、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重
合体、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアリ
レート、フェノキシ樹脂、ポリカーボネート、酢酸セル
ロース樹脂、エチルセルロース樹脂、ポリビニルブチラ
ール、ポリビニルホルマール、ポリビニルトルエン、ポ
リ−N−ビニルカルバゾール、アクリル樹脂、シリコー
ン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、
フェノール樹脂、アルキッド樹脂等の熱可塑性、または
熱硬化性樹脂が挙げられる。電荷輸送物質の量は、結着
樹脂100重量部に対し、20〜300重量部、好まし
くは40〜150重量部が適当である。また、電荷輸送
層の膜厚は、5〜100μm程度とするのが好ましい。
ここで用いられる溶剤としては、テトラヒドロフラン、
ジオキサン、トルエン、ジクロロメタン、モノクロロベ
ンゼン、ジクロロエタン、シクロヘキサノン、メチルエ
チルケトン、アセトンなどが用いられる。
ン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン
共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリエ
ステル、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重
合体、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアリ
レート、フェノキシ樹脂、ポリカーボネート、酢酸セル
ロース樹脂、エチルセルロース樹脂、ポリビニルブチラ
ール、ポリビニルホルマール、ポリビニルトルエン、ポ
リ−N−ビニルカルバゾール、アクリル樹脂、シリコー
ン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、
フェノール樹脂、アルキッド樹脂等の熱可塑性、または
熱硬化性樹脂が挙げられる。電荷輸送物質の量は、結着
樹脂100重量部に対し、20〜300重量部、好まし
くは40〜150重量部が適当である。また、電荷輸送
層の膜厚は、5〜100μm程度とするのが好ましい。
ここで用いられる溶剤としては、テトラヒドロフラン、
ジオキサン、トルエン、ジクロロメタン、モノクロロベ
ンゼン、ジクロロエタン、シクロヘキサノン、メチルエ
チルケトン、アセトンなどが用いられる。
【0035】本発明において、電荷輸送層(37)中に
可塑剤やレベリング剤を添加してもよい。可塑剤として
は、ジブチルフタレート、ジオクチルフタレートなど一
般の樹脂の可塑剤として使用されているものがそのまま
使用でき、その使用量としては結着樹脂に対して0〜3
0重量%程度が適当である。レベリング剤としては、ジ
メチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオ
イルなどのシリコーンオイル類や、側鎖にパーフルオロ
アルキル基を有するポリマーあるいはオリゴマーが使用
され、その使用量は結着樹脂に対して0〜1重量%程度
が適当である。
可塑剤やレベリング剤を添加してもよい。可塑剤として
は、ジブチルフタレート、ジオクチルフタレートなど一
般の樹脂の可塑剤として使用されているものがそのまま
使用でき、その使用量としては結着樹脂に対して0〜3
0重量%程度が適当である。レベリング剤としては、ジ
メチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオ
イルなどのシリコーンオイル類や、側鎖にパーフルオロ
アルキル基を有するポリマーあるいはオリゴマーが使用
され、その使用量は結着樹脂に対して0〜1重量%程度
が適当である。
【0036】次に感光層が単層構成(33)の場合につ
いて説明する。単層感光層は、電荷発生物質及び結着樹
脂を適当な溶剤に溶解ないし分散し、これを塗布、乾燥
することによって形成できる。更に、この感光層には上
述した電荷輸送材料を添加した機能分離タイプとしても
よく、良好に使用できる。また、必要により、可塑剤や
レベリング剤、酸化防止剤等を添加することもできる。
いて説明する。単層感光層は、電荷発生物質及び結着樹
脂を適当な溶剤に溶解ないし分散し、これを塗布、乾燥
することによって形成できる。更に、この感光層には上
述した電荷輸送材料を添加した機能分離タイプとしても
よく、良好に使用できる。また、必要により、可塑剤や
レベリング剤、酸化防止剤等を添加することもできる。
【0037】結着樹脂としては、先に電荷輸送層(3
7)で挙げた結着樹脂をそのまま用いるほかに、電荷発
生層(35)で挙げた結着樹脂を混合して用いてもよ
い。結着樹脂100重量部に対する電荷発生物質の量は
5〜40重量部が好ましく、電荷輸送物質の量は0〜1
90重量部が好ましく、更に好ましくは50〜150重
量部である。単層感光層は、電荷発生物質、結着樹脂を
必要ならば電荷輸送物質とともにテトラヒドロフラン、
ジオキサン、ジクロロエタン、シクロヘキサン等の溶媒
を用いて分散機等で分散した塗工液を、浸漬塗工法やス
プレーコート、ビードコート等で塗工して形成できる
が、とりわけ浸漬塗工法が好ましく使用される。単層感
光層の膜厚は5〜100μm程度が適当である。
7)で挙げた結着樹脂をそのまま用いるほかに、電荷発
生層(35)で挙げた結着樹脂を混合して用いてもよ
い。結着樹脂100重量部に対する電荷発生物質の量は
5〜40重量部が好ましく、電荷輸送物質の量は0〜1
90重量部が好ましく、更に好ましくは50〜150重
量部である。単層感光層は、電荷発生物質、結着樹脂を
必要ならば電荷輸送物質とともにテトラヒドロフラン、
ジオキサン、ジクロロエタン、シクロヘキサン等の溶媒
を用いて分散機等で分散した塗工液を、浸漬塗工法やス
プレーコート、ビードコート等で塗工して形成できる
が、とりわけ浸漬塗工法が好ましく使用される。単層感
光層の膜厚は5〜100μm程度が適当である。
【0038】本発明に用いられる電子写真感光体には、
導電性支持体(31)と感光層との間に下引き層を設け
ることができる。特に、感光層が図2で示した構成の場
合は、導電性支持体(31)と電荷発生層(35)との
間に下引き層を設けることが好ましい。下引き層を設け
ることによって、更に疲労における帯電性の低下を減少
させることができる。下引き層は一般には樹脂を主成分
とするが、これらの樹脂はその上に感光層を溶剤で塗布
することを考えると、一般の有機溶剤に対して耐溶剤性
の高い樹脂であることが望ましい。このような樹脂とし
ては、ポリビニルアルコール、カゼイン、ポリアクリル
酸ナトリウム等の水溶性樹脂、共重合ナイロン、メトキ
シメチル化ナイロン等のアルコール可溶性樹脂、ポリウ
レタン、メラミン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド−
メラミン樹脂、エポキシ樹脂等、三次元網目構造を形成
する硬化型樹脂などが挙げられる。また、下引き層には
モアレ防止、残留電位の低減等のために酸化チタン、シ
リカ、アルミナ、酸化ジルコニウム、酸化スズ、酸化イ
ンジウム等で例示できる金属酸化物の微粉末顔料を加え
てもよい。これらの下引き層は、前述の感光層の場合と
同様、適当な溶媒、塗工法を用いて形成することができ
る。
導電性支持体(31)と感光層との間に下引き層を設け
ることができる。特に、感光層が図2で示した構成の場
合は、導電性支持体(31)と電荷発生層(35)との
間に下引き層を設けることが好ましい。下引き層を設け
ることによって、更に疲労における帯電性の低下を減少
させることができる。下引き層は一般には樹脂を主成分
とするが、これらの樹脂はその上に感光層を溶剤で塗布
することを考えると、一般の有機溶剤に対して耐溶剤性
の高い樹脂であることが望ましい。このような樹脂とし
ては、ポリビニルアルコール、カゼイン、ポリアクリル
酸ナトリウム等の水溶性樹脂、共重合ナイロン、メトキ
シメチル化ナイロン等のアルコール可溶性樹脂、ポリウ
レタン、メラミン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド−
メラミン樹脂、エポキシ樹脂等、三次元網目構造を形成
する硬化型樹脂などが挙げられる。また、下引き層には
モアレ防止、残留電位の低減等のために酸化チタン、シ
リカ、アルミナ、酸化ジルコニウム、酸化スズ、酸化イ
ンジウム等で例示できる金属酸化物の微粉末顔料を加え
てもよい。これらの下引き層は、前述の感光層の場合と
同様、適当な溶媒、塗工法を用いて形成することができ
る。
【0039】さらに、本発明における感光体の下引き層
として、シランカップリング剤、チタンカップリング
剤、クロムカップリング剤等を使用することもできる。
この他に、本発明の下引き層にはAl2O3を陽極酸化に
て設けたものや、ポリパラキシリレン(パリレン)等の
有機物や、SiO2、SnO2、TiO2、ITO、Ce
O2等の無機物を真空薄膜作製法にて設けたものも良好
に使用できる。この他にも公知のものを用いることがで
きる。下引き層の膜厚は0〜10μmが適当である。
として、シランカップリング剤、チタンカップリング
剤、クロムカップリング剤等を使用することもできる。
この他に、本発明の下引き層にはAl2O3を陽極酸化に
て設けたものや、ポリパラキシリレン(パリレン)等の
有機物や、SiO2、SnO2、TiO2、ITO、Ce
O2等の無機物を真空薄膜作製法にて設けたものも良好
に使用できる。この他にも公知のものを用いることがで
きる。下引き層の膜厚は0〜10μmが適当である。
【0040】本発明に用いられる電子写真感光体には、
感光層保護の目的で、保護層が感光層の上に設けられる
こともある。保護層に使用される材料としては、ABS
樹脂、ACS樹脂、オレフィン−ビニルモノマー共重合
体、塩素化ポリエーテル、アリル樹脂、フェノール樹
脂、ポリアセタール、ポリアミド、ポリアミドイミド、
ポリアクリレート、ポリアリルスルホン、ポリブチレ
ン、ポリブチレンテレフタレート、ポリカーボネート、
ポリエーテルスルホン、ポリエチレン、ポリエチレンテ
レフタレート、ポリイミド、アクリル樹脂、ポリメチル
ペンテン、ポリプロピレン、ポリフェニレンオキシド、
ポリスルホン、ポリスチレン、AS樹脂、ブタジエン−
スチレン共重合体、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、ポ
リ塩化ビニリデン、エポキシ樹脂等が挙げられる。
感光層保護の目的で、保護層が感光層の上に設けられる
こともある。保護層に使用される材料としては、ABS
樹脂、ACS樹脂、オレフィン−ビニルモノマー共重合
体、塩素化ポリエーテル、アリル樹脂、フェノール樹
脂、ポリアセタール、ポリアミド、ポリアミドイミド、
ポリアクリレート、ポリアリルスルホン、ポリブチレ
ン、ポリブチレンテレフタレート、ポリカーボネート、
ポリエーテルスルホン、ポリエチレン、ポリエチレンテ
レフタレート、ポリイミド、アクリル樹脂、ポリメチル
ペンテン、ポリプロピレン、ポリフェニレンオキシド、
ポリスルホン、ポリスチレン、AS樹脂、ブタジエン−
スチレン共重合体、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、ポ
リ塩化ビニリデン、エポキシ樹脂等が挙げられる。
【0041】保護層には、その他、耐摩耗性を向上する
目的で、ポリテトラフルオロエチレンのようなフッ素樹
脂、シリコーン樹脂、及びこれらの樹脂に酸化チタン、
酸化錫、チタン酸カリウム等の無機材料を分散したもの
等を添加することができる。保護層の形成法としては、
通常の塗布法が採用される。なお、保護層の厚さは0.
1〜10μm程度が適当である。また、以上の他に真空
薄膜作製法にて形成したa−カーボン、a−SiC等公
知の材料を保護層として用いることができる。
目的で、ポリテトラフルオロエチレンのようなフッ素樹
脂、シリコーン樹脂、及びこれらの樹脂に酸化チタン、
酸化錫、チタン酸カリウム等の無機材料を分散したもの
等を添加することができる。保護層の形成法としては、
通常の塗布法が採用される。なお、保護層の厚さは0.
1〜10μm程度が適当である。また、以上の他に真空
薄膜作製法にて形成したa−カーボン、a−SiC等公
知の材料を保護層として用いることができる。
【0042】本発明においては感光層と保護層との間に
中間層を設けることも可能である中間層には、一般にバ
インダー樹脂を主成分として用いる。これら樹脂として
は、ポリアミド、アルコール可溶性ナイロン、水溶性ポ
リビニルブチラール、ポリビニルブチラール、ポリビニ
ルアルコール等が挙げられる。中間層の形成法として
は、前述のごとく通常の塗布法が採用される。なお、中
間層の厚さは0.05〜2μm程度が適当である。
中間層を設けることも可能である中間層には、一般にバ
インダー樹脂を主成分として用いる。これら樹脂として
は、ポリアミド、アルコール可溶性ナイロン、水溶性ポ
リビニルブチラール、ポリビニルブチラール、ポリビニ
ルアルコール等が挙げられる。中間層の形成法として
は、前述のごとく通常の塗布法が採用される。なお、中
間層の厚さは0.05〜2μm程度が適当である。
【0043】
【実施例】以下、本発明を実施例にて具体的に説明する
が、本発明はこれら実施例により制約を受けるものでは
ない。なお、実施例中の「部」はすべて重量部である。
まず、実施例に用いるオチシチタニルフタロシアニン顔
料の具体的な合成例を述べる。
が、本発明はこれら実施例により制約を受けるものでは
ない。なお、実施例中の「部」はすべて重量部である。
まず、実施例に用いるオチシチタニルフタロシアニン顔
料の具体的な合成例を述べる。
【0044】製造例1 フタロジニトリル52.5部と、1−クロロナフタレン
400部を撹拌混合し、窒素気流下で四塩化チタン19
部を滴下する。滴下終了後、徐々に200℃まで昇温
し、反応温度を190℃〜210℃の間に保ちながら、
5時間撹拌して反応を行なった。反応終了後、放冷し1
30℃になったところ熱時濾過し、次いで、1−クロロ
ナフタレンで粉体が青色になるまで洗浄、次に、メタノ
ールで数回洗浄し、更に80℃の熱水で数回洗浄した
後、乾燥し42.2部の粗TiOPc顔料を得た。得ら
れた熱水洗浄処理した粗TiOPc顔料のうち6部を9
6%硫酸100gに3〜5℃下撹拌、溶解し、濾過し
た。得られた硫酸溶液を氷水3.5リットル中に撹拌し
ながら滴下し、析出した結晶を濾過、次いで洗浄液が中
性になるまで水洗いを繰り返し、TiOPc顔料のウエ
ットケーキを得た。このウエットケーキに1,2−ジク
ロロエタン150部を加え、室温下2時間撹拌した後、
メタノール250部を更に加え撹拌、濾過した。これを
メタノール洗浄し、更に乾燥してTiOPc顔料4.9
部を得た。
400部を撹拌混合し、窒素気流下で四塩化チタン19
部を滴下する。滴下終了後、徐々に200℃まで昇温
し、反応温度を190℃〜210℃の間に保ちながら、
5時間撹拌して反応を行なった。反応終了後、放冷し1
30℃になったところ熱時濾過し、次いで、1−クロロ
ナフタレンで粉体が青色になるまで洗浄、次に、メタノ
ールで数回洗浄し、更に80℃の熱水で数回洗浄した
後、乾燥し42.2部の粗TiOPc顔料を得た。得ら
れた熱水洗浄処理した粗TiOPc顔料のうち6部を9
6%硫酸100gに3〜5℃下撹拌、溶解し、濾過し
た。得られた硫酸溶液を氷水3.5リットル中に撹拌し
ながら滴下し、析出した結晶を濾過、次いで洗浄液が中
性になるまで水洗いを繰り返し、TiOPc顔料のウエ
ットケーキを得た。このウエットケーキに1,2−ジク
ロロエタン150部を加え、室温下2時間撹拌した後、
メタノール250部を更に加え撹拌、濾過した。これを
メタノール洗浄し、更に乾燥してTiOPc顔料4.9
部を得た。
【0045】得られたTiOPc顔料についてのX線回
折スペクトルを以下に示す条件で測定した。 X線管球:Cu 電圧:40kV 電流:20mA 走査速度:1°/分 走査範囲:3°〜40° 時定数:2秒
折スペクトルを以下に示す条件で測定した。 X線管球:Cu 電圧:40kV 電流:20mA 走査速度:1°/分 走査範囲:3°〜40° 時定数:2秒
【0046】以上により得られたTiOPc顔料のX線
回折スペクトルを図4に示す。得られたTiOPc顔料
はブラッグ角2θの主要ピークが少なくとも9.6°±
0.2°、24.0°±0.2°及び27.2°±0.
2°にある結晶形を有していることがわかる。
回折スペクトルを図4に示す。得られたTiOPc顔料
はブラッグ角2θの主要ピークが少なくとも9.6°±
0.2°、24.0°±0.2°及び27.2°±0.
2°にある結晶形を有していることがわかる。
【0047】また、以上により得られたTiOPc顔料
10部を2mmφのジルコニアビーズとともにガラスポ
ットに入れ、更に2−ブタノン200部を加えて、25
℃の室温で20時間ボールミリングを行なった。その
後、ポリビニルブチラール(積水化学社製、エスレック
BX−1)を溶解させた2−ブタノン溶液を添加して、
更に2時間ボールミリングを行なうことによって、電荷
発生層用塗工液を作製した。
10部を2mmφのジルコニアビーズとともにガラスポ
ットに入れ、更に2−ブタノン200部を加えて、25
℃の室温で20時間ボールミリングを行なった。その
後、ポリビニルブチラール(積水化学社製、エスレック
BX−1)を溶解させた2−ブタノン溶液を添加して、
更に2時間ボールミリングを行なうことによって、電荷
発生層用塗工液を作製した。
【0048】以上により得られたTiOPc顔料のX線
回折スペクトルを図5に示す。得られたTiOPc顔料
はブラッグ角2θの主要ピークが少なくとも9.3°±
0.2°、13.1°±0.2°及び26.2°±0.
2°にある結晶形を有していることがわかる。
回折スペクトルを図5に示す。得られたTiOPc顔料
はブラッグ角2θの主要ピークが少なくとも9.3°±
0.2°、13.1°±0.2°及び26.2°±0.
2°にある結晶形を有していることがわかる。
【0049】製造例2 製造例1と同様の方法で得られたブラッグ角2θの主要
ピークが少なくとも9.6°±0.2°、24.0°±
0.2°及び27.2°±0.2°にある結晶形を有す
るTiOPc顔料10部を2mmφのジルコニアビーズ
とともにガラスポットに入れ、更にテトラヒドロフラン
200部を加えて、25℃の室温で20時間ボールミリ
ングを行なった。その後、ポリビニルブチラール(積水
化学社製、エスレックBX−1)を溶解させたテトラヒ
ドロフラン溶液を添加して、更に2時間ボールミリング
を行なうことによって、電荷発生層用塗工液を作製し
た。
ピークが少なくとも9.6°±0.2°、24.0°±
0.2°及び27.2°±0.2°にある結晶形を有す
るTiOPc顔料10部を2mmφのジルコニアビーズ
とともにガラスポットに入れ、更にテトラヒドロフラン
200部を加えて、25℃の室温で20時間ボールミリ
ングを行なった。その後、ポリビニルブチラール(積水
化学社製、エスレックBX−1)を溶解させたテトラヒ
ドロフラン溶液を添加して、更に2時間ボールミリング
を行なうことによって、電荷発生層用塗工液を作製し
た。
【0050】以上により得られたTiOPc顔料のX線
回折スペクトルを図6に示したが、図5とほぼ同様なパ
ターンを示した。すなわち、得られたTiOPc顔料は
ブラッグ角2θの主要ピークが少なくとも9.3°±
0.2°、13.1°±0.2°及び26.2°±0.
2°にある結晶形を有していることがわかる。
回折スペクトルを図6に示したが、図5とほぼ同様なパ
ターンを示した。すなわち、得られたTiOPc顔料は
ブラッグ角2θの主要ピークが少なくとも9.3°±
0.2°、13.1°±0.2°及び26.2°±0.
2°にある結晶形を有していることがわかる。
【0051】実施例1、2 アルミニウム基板上に、下記組成の分散液をブレード塗
工によって塗布し、下引き層を形成した。下引き層塗工液の組成 二酸化チタン粉末 15部 ポリビニルブチラール 3部 エポキシ樹脂 3部 2−ブタノン 150部 次に、製造例1及び2で得られたTiOPc分散液に2
0分間超音波処理を施し、下引き層上にブレード塗工に
よって塗布し、電荷発生層を形成した。その上に、下記
組成の電荷輸送層を同様に形成した。電荷輸送層塗工液の組成 ポリカーボネート樹脂 10部 塩化メチレン 80部 下記構造式の電荷輸送物質 7部
工によって塗布し、下引き層を形成した。下引き層塗工液の組成 二酸化チタン粉末 15部 ポリビニルブチラール 3部 エポキシ樹脂 3部 2−ブタノン 150部 次に、製造例1及び2で得られたTiOPc分散液に2
0分間超音波処理を施し、下引き層上にブレード塗工に
よって塗布し、電荷発生層を形成した。その上に、下記
組成の電荷輸送層を同様に形成した。電荷輸送層塗工液の組成 ポリカーボネート樹脂 10部 塩化メチレン 80部 下記構造式の電荷輸送物質 7部
【0052】
【化2】
【0053】以上のようにして作製された電子写真感光
体は、静電複写紙試験装置(EPA−8100、(株)
川口電機製作所製)を用いて評価を行なった。帯電性は
暗所にて−6kVのコロナ放電によって20秒間帯電さ
せたときの表面電位(Vm)、その後20秒間暗所にて
放置したときの表面電位(V0)、及び暗減衰率(V0
/Vm)にて評価される。残留電位(V30)はその後
単色光(波長780nm、露光照度5μmW/cm2)
の照射を行ない、30秒後の表面電位で表わされる。感
度(E1/5)は−800Vに帯電させた後光照射を行
ない、表面電位が1/5になるのに必要な露光量として
表わされる。測定においては、感光体の初期特性の他、
感光体に−5.6μA、−800Vで光照射と帯電の繰
り返しによる疲労を15分間行ない、疲労特性の評価に
ついても行なった。以下に示す結果には15分疲労後の
表面電位(V0)、暗減衰率(V0/Vm)、残留電位
(V30)及び感度(E1/5)を記載した。一方、作
製された分散液の粒度分布の測定を行ない、得られた平
均粒径についても記載した。それらの結果を表1に示し
た。
体は、静電複写紙試験装置(EPA−8100、(株)
川口電機製作所製)を用いて評価を行なった。帯電性は
暗所にて−6kVのコロナ放電によって20秒間帯電さ
せたときの表面電位(Vm)、その後20秒間暗所にて
放置したときの表面電位(V0)、及び暗減衰率(V0
/Vm)にて評価される。残留電位(V30)はその後
単色光(波長780nm、露光照度5μmW/cm2)
の照射を行ない、30秒後の表面電位で表わされる。感
度(E1/5)は−800Vに帯電させた後光照射を行
ない、表面電位が1/5になるのに必要な露光量として
表わされる。測定においては、感光体の初期特性の他、
感光体に−5.6μA、−800Vで光照射と帯電の繰
り返しによる疲労を15分間行ない、疲労特性の評価に
ついても行なった。以下に示す結果には15分疲労後の
表面電位(V0)、暗減衰率(V0/Vm)、残留電位
(V30)及び感度(E1/5)を記載した。一方、作
製された分散液の粒度分布の測定を行ない、得られた平
均粒径についても記載した。それらの結果を表1に示し
た。
【0054】
【表1】
【0055】実施例3〜7 X線回析において、ブラッグ角2θの主要ピークが少な
くとも9.6°±0.2°、24.0°±0.2°及び
27.2°±0.2°にある結晶形を有するTiOPc
顔料の分散において、メディア粒径及び分散時間を下記
の条件に変更した以外は、実施例1と同様にしてサンプ
ルを作製し、静電特性及び粒度分布の評価を行なった。
それらの結果を表2に示した。
くとも9.6°±0.2°、24.0°±0.2°及び
27.2°±0.2°にある結晶形を有するTiOPc
顔料の分散において、メディア粒径及び分散時間を下記
の条件に変更した以外は、実施例1と同様にしてサンプ
ルを作製し、静電特性及び粒度分布の評価を行なった。
それらの結果を表2に示した。
【0056】
【表2】
【0057】粒径3mm以下のメディアを使用して作製
した塗工液より得られた電子写真感光体は、粒径3mm
以上のメディアを使用したそれよりも疲労後の帯電低下
や暗減衰率が小さく、残留電位も低く抑えられているこ
とが明らかになった。更に、粒径が3mm以下のメディ
アを使用した場合、帯電性の低下や残留電位の増加を抑
制するだけでなく、平均粒径がより小さくなっており、
凝集等の影響が比較的小さくなることが明らかになっ
た。故に、本発明にしたがって、粒径が3mm以下のメ
ディアを使用して分散することにより、結晶変換効率が
向上して分散時間の短縮が実現されただけでなく、粗大
粒子を減少させ、且つ作製された電子写真感光体の帯電
性及び残留電位が大幅に改善されることが明らかになっ
た。
した塗工液より得られた電子写真感光体は、粒径3mm
以上のメディアを使用したそれよりも疲労後の帯電低下
や暗減衰率が小さく、残留電位も低く抑えられているこ
とが明らかになった。更に、粒径が3mm以下のメディ
アを使用した場合、帯電性の低下や残留電位の増加を抑
制するだけでなく、平均粒径がより小さくなっており、
凝集等の影響が比較的小さくなることが明らかになっ
た。故に、本発明にしたがって、粒径が3mm以下のメ
ディアを使用して分散することにより、結晶変換効率が
向上して分散時間の短縮が実現されただけでなく、粗大
粒子を減少させ、且つ作製された電子写真感光体の帯電
性及び残留電位が大幅に改善されることが明らかになっ
た。
【0058】比較例1〜3 フタロジニトリル52.5部と、1−クロロナフタレン
400部を撹拌混合し、窒素気流下で四塩化チタン19
部を滴下する。滴下終了後、徐々に200℃まで昇温
し、反応温度を190℃〜210℃の間に保ちながら、
5時間撹拌して反応を行なった。反応終了後、放冷し、
130℃になったところ熱時濾過し、次いで、1−クロ
ロナフタレンで粉体が青色になるまで洗浄、次にメタノ
ールで数回洗浄し、更に80℃の熱水で数回洗浄した
後、乾燥し、42.2部の粗TiOPc顔料を得た。得
られた粗TiOPc顔料は、X線回析より、ブラッグ角
2θの主要ピークが少なくとも9.3°±0.2°、1
3.1°±0.2°及び26.2°±0.2°にある結
晶形を有していることが確認された。得られたTiOP
c顔料10部を2mmφのジルコニアビーズとともにガ
ラスポットに入れ、更に2−ブタノン200部を加え
て、25℃の室温で20時間ボールミリングを行なっ
た。その後、ポリビニルブチラール(積水化学社製、エ
スレックBX−1)を溶解させた2−ブタノン溶液を添
加して、更に2時間ボールミリングを行なうことによっ
て、電荷発生層用塗工液を作製した。得られた塗工液を
実施例1と同様にして塗工し、電子写真感光体を作製
し、特性評価を行なった。その結果を表3に示した。
400部を撹拌混合し、窒素気流下で四塩化チタン19
部を滴下する。滴下終了後、徐々に200℃まで昇温
し、反応温度を190℃〜210℃の間に保ちながら、
5時間撹拌して反応を行なった。反応終了後、放冷し、
130℃になったところ熱時濾過し、次いで、1−クロ
ロナフタレンで粉体が青色になるまで洗浄、次にメタノ
ールで数回洗浄し、更に80℃の熱水で数回洗浄した
後、乾燥し、42.2部の粗TiOPc顔料を得た。得
られた粗TiOPc顔料は、X線回析より、ブラッグ角
2θの主要ピークが少なくとも9.3°±0.2°、1
3.1°±0.2°及び26.2°±0.2°にある結
晶形を有していることが確認された。得られたTiOP
c顔料10部を2mmφのジルコニアビーズとともにガ
ラスポットに入れ、更に2−ブタノン200部を加え
て、25℃の室温で20時間ボールミリングを行なっ
た。その後、ポリビニルブチラール(積水化学社製、エ
スレックBX−1)を溶解させた2−ブタノン溶液を添
加して、更に2時間ボールミリングを行なうことによっ
て、電荷発生層用塗工液を作製した。得られた塗工液を
実施例1と同様にして塗工し、電子写真感光体を作製
し、特性評価を行なった。その結果を表3に示した。
【0059】
【表3】
【0060】以上の結果より、合成によって作製された
粗TiOPc顔料をそのまま分散して得られた塗工液に
より作製した電子写真感光体の静電特性は、帯電性が低
く、残留電位の上昇を引き起こしていることが明らかに
なった。分散時間の増加によって暗減衰は減少する傾向
を示しているものの、表面電位(V0)は低く、残留電
位の著しい増加が見られる。したがって、本発明にした
がい、アシッドペースト処理及び結晶変換処理を経由す
ることにより、合成によって直接的に得られたA型Ti
OPcと比較して高い帯電性を有し、且つ残留電位上昇
を最小限にすることが可能になり、より優れた電子写真
特性を有することが明らかになった。
粗TiOPc顔料をそのまま分散して得られた塗工液に
より作製した電子写真感光体の静電特性は、帯電性が低
く、残留電位の上昇を引き起こしていることが明らかに
なった。分散時間の増加によって暗減衰は減少する傾向
を示しているものの、表面電位(V0)は低く、残留電
位の著しい増加が見られる。したがって、本発明にした
がい、アシッドペースト処理及び結晶変換処理を経由す
ることにより、合成によって直接的に得られたA型Ti
OPcと比較して高い帯電性を有し、且つ残留電位上昇
を最小限にすることが可能になり、より優れた電子写真
特性を有することが明らかになった。
【0061】比較例4、5 X線回析において、ブラッグ角2θの主要ピークが少な
くとも9.6°±0.2°、24.0°±0.2°及び
27.2°±0.2°にある結晶形を有するTiOPc
顔料の分散において、一次分散によりバインダー樹脂を
添加して分散を行なった以外は、実施例1と同様にして
サンプルを作製し、静電特性及び粒度分布の評価を行な
った。それらの結果を表4に示しす。また、図7には比
較例5にて得られたTiOPcのX線回析パターンを示
した。
くとも9.6°±0.2°、24.0°±0.2°及び
27.2°±0.2°にある結晶形を有するTiOPc
顔料の分散において、一次分散によりバインダー樹脂を
添加して分散を行なった以外は、実施例1と同様にして
サンプルを作製し、静電特性及び粒度分布の評価を行な
った。それらの結果を表4に示しす。また、図7には比
較例5にて得られたTiOPcのX線回析パターンを示
した。
【0062】
【表4】
【0063】以上の結果から、一次分散よりバインダー
樹脂を含有させて分散した場合、ブラッグ角2θの主要
ピークが少なくとも9.6°±0.2°、24.0°±
0.2°及び27.2°±0.2°にある結晶形のまま
であり、結晶変換されていないことが明らかになった。
それは感度の値からも裏付けられる。また、これらの結
晶形を有する感光体は帯電性が低くなることが明らかに
なった。よって、本発明にしたがって、一次分散よりバ
インダー樹脂を含有させずに溶媒のみで分散を行なうこ
とにより、結晶変換効率を著しく向上させ、分散時間の
短縮が実現できた。
樹脂を含有させて分散した場合、ブラッグ角2θの主要
ピークが少なくとも9.6°±0.2°、24.0°±
0.2°及び27.2°±0.2°にある結晶形のまま
であり、結晶変換されていないことが明らかになった。
それは感度の値からも裏付けられる。また、これらの結
晶形を有する感光体は帯電性が低くなることが明らかに
なった。よって、本発明にしたがって、一次分散よりバ
インダー樹脂を含有させずに溶媒のみで分散を行なうこ
とにより、結晶変換効率を著しく向上させ、分散時間の
短縮が実現できた。
【0064】
【発明の効果】以上、詳細且つ具体的な説明より明らか
なように、従来、ブラッグ角2θの主要ピークが少なく
とも9.3°±0.2°、13.1°±0.2°及び2
6.2°±0.2°にある結晶形を有するA型TiOP
c顔料を製造する場合、合成によって作製するか、Y型
或いは他の結晶形のTiOPcを高温熱処理することに
よって作製したため、含有不純物による電子写真特性へ
の影響や高温熱処理によるTiOPcの分解等の影響が
懸念されていたが、本発明における請求項1記載の方法
により得られた分散液より作製された電子写真感光体
は、静電特性、特に静電疲労による特性の安定化が実現
され、帯電低下や残留電位上昇を改善することが可能に
なった。さらに、請求項2及び請求項3記載の方法によ
って得られた分散液により結晶変換効率の大幅な向上が
実現でき、分散時間の短縮、更には顔料粒子の凝集の影
響を低くすることが可能になった。以上の分散液の作製
方法は高温熱処理等の危険性を伴わずに不純物の含有量
を大幅に減少することが可能になり、その結果として電
子写真感光体の帯電性や残留電位等の特性の改善が実現
できた。
なように、従来、ブラッグ角2θの主要ピークが少なく
とも9.3°±0.2°、13.1°±0.2°及び2
6.2°±0.2°にある結晶形を有するA型TiOP
c顔料を製造する場合、合成によって作製するか、Y型
或いは他の結晶形のTiOPcを高温熱処理することに
よって作製したため、含有不純物による電子写真特性へ
の影響や高温熱処理によるTiOPcの分解等の影響が
懸念されていたが、本発明における請求項1記載の方法
により得られた分散液より作製された電子写真感光体
は、静電特性、特に静電疲労による特性の安定化が実現
され、帯電低下や残留電位上昇を改善することが可能に
なった。さらに、請求項2及び請求項3記載の方法によ
って得られた分散液により結晶変換効率の大幅な向上が
実現でき、分散時間の短縮、更には顔料粒子の凝集の影
響を低くすることが可能になった。以上の分散液の作製
方法は高温熱処理等の危険性を伴わずに不純物の含有量
を大幅に減少することが可能になり、その結果として電
子写真感光体の帯電性や残留電位等の特性の改善が実現
できた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の感光体の層構造を示す断面図である。
【図2】本発明の感光体の別の層構造を示す断面図であ
る。
る。
【図3】本発明の感光体の更に別の層構造を示す断面図
である。
である。
【図4】本発明におけるTiOPc粉末のX線回析スペ
クトルを示す図である。
クトルを示す図である。
【図5】本発明におけるTiOPc粉末のX線回析スペ
クトルを示す図である。
クトルを示す図である。
【図6】本発明におけるTiOPc粉末のX線回析スペ
クトルを示す図である。
クトルを示す図である。
【図7】比較例におけるTiOPc粉末のX線回析スペ
クトルを示す図である。
クトルを示す図である。
31 導電性支持体 33 感光層 35 電荷発生層 37 電荷輸送層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 丹野 隆善 東京都大田区中馬込1丁目3番6号 株式 会社リコー内 (72)発明者 島田 知幸 東京都大田区中馬込1丁目3番6号 株式 会社リコー内
Claims (5)
- 【請求項1】 Cu−Kα特性X線(波長1.54Å)
を用いたX線回析スペクトルにおいて、ブラッグ角2θ
の主要ピークが少なくとも9.6°±0.2°、24.
0°±0.2°および27.2°±0.2°に有する結
晶形を示すオキシチタニウムフタロシアニンを非水溶媒
中にて分散を行なうことによって得られる、ブラッグ角
2θの主要ピークが少なくとも9.3°±0.2°、1
3.1°±0.2°および26.2°±0.2°に有す
る結晶形を示すオキシチタニウムフタロシアニンを含有
する分散液。 - 【請求項2】 Cu−Kα特性X線(波長1.54Å)
を用いたX線回析スペクトルにおいて、ブラッグ角2θ
の主要ピークが少なくとも9.6°±0.2°、24.
0°±0.2°および27.2°±0.2°に有する結
晶形を示すオキシチタニウムフタロシアニンの分散にお
いて、はじめに非水溶媒中にて分散を行ない、次にバイ
ンダー樹脂と非水溶媒の混合溶液を添加した後、再度分
散を行なうことを特徴とする請求項1に記載のオキシチ
タニウムフタロシアニンを含有する分散液の製造方法。 - 【請求項3】 非水溶媒中への分散手法としてボールミ
ル分散を行ない、さらに使用するメディアの粒径が直径
3mm以下であることを特徴とする請求項1に記載のオ
キシチタニウムフタロシアニンを含有する分散液の製造
方法。 - 【請求項4】 導電性支持体上に少なくともオキシチタ
ニウムフタロシアニンを含有する感光層を設けてなる電
子写真感光体において、オキシチタニウムフタロシアニ
ンを含有する層が請求項1に記載のオキシチタニウムフ
タロシアニンを含有する分散液を用いて形成されること
を特徴とする電子写真感光体の製造方法。 - 【請求項5】 導電性支持体上に少なくともオキシチタ
ニウムフタロシアニンを含有する感光層を設けてなる電
子写真感光体において、オキシチタニウムフタロシアニ
ンを含有する層が請求項4に記載された方法によって製
造されることを特徴とする電子写真感光体。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP3661398A JPH11218947A (ja) | 1998-02-04 | 1998-02-04 | オキシチタニウムフタロシアニン分散液、それを用いた電子写真感光体の製造方法及び電子写真感光体 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP3661398A JPH11218947A (ja) | 1998-02-04 | 1998-02-04 | オキシチタニウムフタロシアニン分散液、それを用いた電子写真感光体の製造方法及び電子写真感光体 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH11218947A true JPH11218947A (ja) | 1999-08-10 |
Family
ID=12474663
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP3661398A Pending JPH11218947A (ja) | 1998-02-04 | 1998-02-04 | オキシチタニウムフタロシアニン分散液、それを用いた電子写真感光体の製造方法及び電子写真感光体 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH11218947A (ja) |
Cited By (9)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2008304861A (ja) * | 2007-06-11 | 2008-12-18 | Ricoh Co Ltd | チタニルフタロシアニン結晶、及びその製造方法 |
JP2008304863A (ja) * | 2007-06-11 | 2008-12-18 | Ricoh Co Ltd | 電子写真感光体、画像形成装置、及び画像形成装置用プロセスカートリッジ |
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JP2009003347A (ja) * | 2007-06-25 | 2009-01-08 | Ricoh Co Ltd | 電子写真感光体、並びにこれを用いた画像形成装置及びプロセスカートリッジ |
JP2009003344A (ja) * | 2007-06-25 | 2009-01-08 | Ricoh Co Ltd | 電子写真感光体、並びにこれを用いた画像形成装置及びプロセスカートリッジ |
JP2009042344A (ja) * | 2007-08-07 | 2009-02-26 | Ricoh Co Ltd | 電子写真感光体、これを用いた画像形成装置及び画像形成装置用プロセスカートリッジ |
JP2009047728A (ja) * | 2007-08-13 | 2009-03-05 | Ricoh Co Ltd | 電子写真感光体、これを用いた画像形成装置及び画像形成装置用プロセスカートリッジ |
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-
1998
- 1998-02-04 JP JP3661398A patent/JPH11218947A/ja active Pending
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