JP3691739B2 - 電子写真感光体および電子写真装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、導電性支持体、下引き層および光導電層から成る電子写真感光体、その感光体を用いる電子写真装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、電子写真方式の画像形成装置として、より高機能のものが要求されている。その要求の1つは、きわめて高速でコピーできる高速複写機である。このような複写機に搭載できる電子写真感光体(以下、単に「感光体」とも称す)としては、高感度かつ繰返し使用時の安定性に優れたものが要求される。要求される感光体性能を得るためには、高性能な感光層材料を使用することがきわめて重要である。そのような感光層材料として有機化合物が挙げられ、特にフタロシアニン化合物、アゾ化合物および多環キノン化合物などが注目されている。
【0003】
もう1つの大きな要求は、コンピュータなどの出力装置または種々の画像処理が可能な出力装置として使用できる画像形成装置である。具体的にはレーザビームプリンタおよびデジタル複写機である。
【0004】
前述のように要求される高速複写機および半導体レーザ露光の画像形成装置などを実現するには、感光層材料を改良するだけでは困難で、他の構成要件についても様々な技術検討が必要である。
【0005】
その技術検討の1つとして、下引き層の改良がある。下引き層は、導電性支持体と感光層との間に位置し、機械的には接着性の向上および電気的には画像欠陥の抑制などの目的で設けられる。これまで下引き層の樹脂について、特開昭51−114132号公報、特開昭52−25638号公報、特開昭56−21129号公報、特開昭58−95351号公報、特開昭61−179464号公報、特開昭61−254951号公報および特開平2−181158号公報などで提案されている。下引き層の樹脂は、感光層用塗布液の溶剤に不溶であることが望ましく、一般的にアルコール溶解性または水溶性樹脂が使用されている。このような樹脂層を下引き層として設けるだけでは、低湿条件下では、数万回の繰返し使用による残留電位の著しい上昇や、黒字部分の濃度低下などの画像欠陥が発生し、高湿条件下では、帯電電位の低下による地肌かぶりなどが生じて鮮明な画像が得られないという問題がある。
【0006】
また特開昭63−125946号公報には、下引き層にポリフッ化ビニリデンおよびフッ化ビニリデン−トリフルオロエチレン共重合体のうちの少なくとも1種を含有する電子写真感光体が開示されている。この下引き層は、電位の立上がり低下の防止には効果があるものの、繰返し使用時における電位の安定性に対する効果が充分ではない。
【0007】
前述のように要求されている画像形成装置に搭載できる感光体としては、半導体レーザなどの長波長光源に対して充分な感度を有することが必要である。長波長域にも高感度を有する感光層材料としては、フタロシアニン化合物が注目されている。特にオキソチタニウムフタロシアニンは、高感度および高画質を実現できる感光層材料として大変注目されている。オキソチタニウムフタロシアニンは、長波長域、具体的には600nm以上850nm以下の範囲において充分な光感度を有する。このことからオキソチタニルフタロシアニンは、半導体レーザを始め、長波長域に主たるエネルギピークを有するLED(Light Emitting Diode:発光ダイオード),EL(Electro Luminescence:エレクトロルミネッサンス)およびLCD(Liquid Crystal Display:液晶シャッタ)などを光源とする画像形成装置用の感光層材料として好適である。
【0008】
積層型電子写真用感光体は、本来、感光体として基本的に要求される機能、すなわち電位の保持、光吸収による電荷担体の発生および電荷担体の輸送を、電荷発生層および電荷輸送層の2つの層に分離した感光体である。この積層型感光体には、材料の組合せによって、帯電電位の立上がりが悪く、実用上支障をきたすものが多数あるのが実情である。帯電電位が低いと、光吸収によるキャリアの電荷分離の効率が悪くなり、結局、感度が悪くなる。従来から提案されている下引き層には、絶縁性材料が用いられることが多いので、下引き層を厚くすると残留電位が蓄積して地汚れを生じる。下引き層を薄くする場合、下引き層としての効果が充分に発揮されなかったり、部分的な塗布ムラを生じやすく、その部分が画像欠陥となる問題があり、製造上の難しさもある。
【0009】
また特に電荷発生層に含有する電荷発生物質としてフタロシアニンを使用した感光体は、前述のように長波長で高感度であるが、1回転目の帯電電位が低く、2回転目からようやく帯電電位が安定するという欠点がある。これは、電荷発生層に電荷が蓄積する、または導電性支持体から電荷が感光層へ注入されて蓄積するという現象が生じるためと考えられる。
【0010】
前述のような樹脂層の下引き層と、感光層材料として前記オキソチタニウムフタロシアニンとを組合せた感光体を、高速機に搭載して使用すれば、コントラスト解像度の優れた画像が得られる。ただし、これは常温常湿環境下で使用した場合であり、その優れた性能も、初期においてしか安定に得られない。高温高湿環境下および低温低湿環境下などの温湿度環境下、ならびに大量連続コピーなどの使用環境下などでは、いくつかの大きな問題が生じる。たとえば高温高湿環境下における帯電電位の低下による画像欠陥、および低温低湿環境下における繰返し使用での残留電位の著しい上昇による画質低下などの問題がある。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、繰返し使用時において電位安定性に優れかつ画像欠陥を防止するとともに、生産性の高い電子写真感光体、ならびにこれを使用する電子写真装置を提供することである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明は、導電性支持体上に少なくとも下引き層および感光層を有する電子写真感光体において、下引き層が少なくともフッ化ビニリデン−トリフルオロエチレン共重合体樹脂およびフッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体樹脂のうちいずれかの結着樹脂と、無機顔料とを含有することを特徴とする電子写真感光体である。
【0013】
本発明に従えば、導電性支持体上に少なくとも下引き層および感光層を有する電子写真感光体において、下引き層が少なくともフッ化ビニリデン−トリフルオロエチレン共重合体樹脂およびフッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体樹脂のうちのいずれかと無機顔料とを含有するので、繰返し使用時において電位安定性に優れ、かつ黒ポチなどの画像欠陥が発生しない。
【0014】
【0015】
【0016】
また本発明は、前記無機顔料が表面未処理の酸化チタンまたは表面未処理の酸化亜鉛であることを特徴とする。
【0017】
本発明に従えば、前記無機顔料が表面未処理の酸化チタンまたは酸化亜鉛であるので、繰返し使用時において電位安定性に優れ、かつ黒ポチなどの画像欠陥が発生しない。
【0018】
また本発明は、前記無機顔料が表面処理された酸化チタンまたは表面処理された酸化亜鉛であることを特徴とする。
【0019】
本発明に従えば、前記無機顔料が表面処理された酸化チタンまたは酸化亜鉛であるので、繰返し使用時において電位安定性に優れ、かつ黒ポチなどの画像欠陥の発生がなく、塗布液の安定性に優れている。
【0020】
また本発明は、前記無機顔料がアルミナ処理されていることを特徴とする。
本発明に従えば、前記酸化チタンまたは酸化亜鉛がアルミナ処理されているので、繰返し使用時において電位安定性に優れ、かつ黒ポチなどの画像欠陥の発生がなく、塗布液の安定性に優れている。
【0021】
また本発明は、前記無機顔料がシランカップリング剤処理されていることを特徴とする。
【0022】
本発明に従えば、前記酸化チタンまたは酸化亜鉛がシランカップリング剤処理されているので、繰返し使用時において電位安定性に優れ、かつ黒ポチなどの画像欠陥の発生がなく、塗布液の安定性に優れている。
【0023】
また本発明は、前記無機顔料がシロキサン化合物で処理されていることを特徴とする。
【0024】
本発明に従えば、前記酸化チタンまたは酸化亜鉛がシロキサン化合物処理されているので、繰返し使用時において電位安定性に優れ、かつ黒ポチなどの画像欠陥の発生がなく、塗布液の安定性に優れている。
【0025】
また本発明は、前記表面処理された酸化チタンがジルコニア処理された酸化チタンであることを特徴とする。
【0026】
本発明に従えば、前記酸化チタンがジルコニア処理されているので、繰返し使用時において電位安定性に優れ、かつ黒ポチなどの画像欠陥の発生がなく、塗布液の安定性に優れている。
【0027】
また本発明は、前記下引き層の膜厚が1μm以上であることを特徴とする。
本発明に従えば、前記下引き層の膜厚が特定範囲であるので、繰返し使用時において電位の安定性に優れ、1回転目の帯電電位低下を防止できるとともに、感光体製造上難しくなったり、塗布膜である下引き層の機械的強度が低下することもない。
【0028】
また本発明は、前記下引き層中の無機顔料/結着樹脂の含有比率は、重量比で1以上であることを特徴とする。
【0029】
本発明に従えば、無機顔料および結着樹脂は、特定の重量比で含有されているので、繰返し使用時において電位安定性に優れ、1回転目の帯電電位低下を防止できる。
【0030】
また本発明は、前記感光層にフタロシアニンを含有することを特徴とする。
本発明に従えば、感光層にフタロシアニンを含有するので、繰返し使用時において電位安定性に優れ、1回転目の帯電電位低下を防止できる。
【0031】
また本発明は、前記フタロシアニンが、X型無金属フタロシアニン、τ型無金属フタロシアニン、オキソチタニウムフタロシアニンであることを特徴とする。
【0032】
本発明に従えば、感光層にX型無金属フタロシアニン、τ型無金属フタロシアニンまたはオキソチタニウムフタロシアニンを含有するので、繰返し使用時において電位安定性に優れ、1回転目の帯電電位低下を防止できる。
【0033】
また本発明は、前記オキソチタニウムフタロシアニンが、X線回折スペクトルにおいて、ブラッグ角(2θ±0.2°)7.3°、9.4°、9.6°、11.6°、13.3°、17.9°、24.1°および27.2°に主要な回折ピークを示し、そのうち9.4°と9.6°との重なったピーク束が最大ピークを示し、かつ27.2°のピークが第2の最大ピークであることを特徴とする結晶型オキソチタニウムフタロシアニンであることを特徴とする。
【0034】
本発明に従えば、前記オキソチタニウムフタロシアニンが、X線回折スペクトルにおいて、ブラッグ角(2θ±0.2°)7.3°、9.4°、9.6°、11.6°、13.3°、17.9°、24.1°および27.2°に主要な回折ピークを示し、そのうちの9.4°と9.6°との重なったピーク束が最大ピークを示し、かつ27.2°のピークが2番目に大きなピークであることを特徴とする結晶型オキソチタニウムフタロシアニンであるので、繰返し使用時において電位安定性に優れ、1回転目の帯電電位低下を防止できる。
【0035】
また本発明は、前記オキソチタニウムフタロシアニンが、X線回折スペクトルにおいて、ブラッグ角(2θ±0.2°)9.5°、9.7°、11.7°、15.0°、23.5°、24.1°および27.3°に主要な回折ピークを示すことを特徴とする結晶型オキソチタニウムフタロシアニンであることを特徴とする。
【0036】
本発明に従えば、前記オキソチタニウムフタロシアニンが、X線回折スペクトルにおいて、ブラッグ角(2θ±0.2°)9.5°、9.7°、11.7°、15.0°、23.5°、24.1°および27.3°に主要な回折ピークを示すことを特徴とするので、繰返し使用時において電位安定性に優れ、1回転目の帯電電位低下を防止できる。
【0037】
また本発明は、前記オキソチタニウムフタロシアニンが、X線回折スペクトルにおいて、ブラッグ角(2θ±0.2°)9.0°、14.2°、23.9°および27.1°に主要な回折ピークを示すことを特徴とする結晶型オキソチタニウムフタロシアニンであることを特徴とする。
【0038】
本発明に従えば、前記オキソチタニウムフタロシアニンが、X線回折スペクトルにおいて、ブラッグ角(2θ±0.2°)9.0°、14.2°、23.9°および27.1°に主要な回折ピークを示すことを特徴とする結晶型オキソチタニウムフタロシアニンであるので、繰返し使用時において電位安定性に優れ、1回転目の帯電電位低下を防止できる。
【0039】
本発明は、前記電子写真感光体を備えたことを特徴とする。
本発明に従えば、電子写真装置において特定の結着樹脂と無機顔料とを含有する下引き層を有する感光体を具備するので、繰返し使用時においても高品位な画像を得ることができる。
【0040】
また本発明は、反転現像を適用していることを特徴とする。
本発明に従えば、特定の結着樹脂と無機顔料とを含有する下引き層を有する電子写真感光体を、反転現像法において使用するので、黒ポチなどの画像欠陥のない高品位な画像を得ることができる。
【0041】
また本発明は、前記下引き層中の無機顔料/結着樹脂の含有比率が、重量比で1以上であり、前記感光層にフタロシアニンを含有し、画像形成動作開始時に、電子写真感光体をその1回転目から画像形成に使用することを特徴とする。
【0042】
本発明に従えば、特定の重量比の無機顔料および結着樹脂と、フタロシアニンとを含有する感光体を、画像形成開始時の1回転目から画像形成に使用するので、ファーストコピーの時間を短縮できる。
【0043】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態による電子写真感光体は、導電性支持体と感光層との間に下引き層を設けて構成される。
【0044】
導電性支持体としては、アルミニウム、アルミニウム合金、銅、亜鉛、ニッケル、ステンレスおよびチタンなどの金属製ドラムならびにシートが挙げられる。またポリエチレンテレフタレート、フェノール樹脂、ナイロンおよびポリスチレンなどの高分子材料、ガラスならびに硬質紙上に、処理を施したドラム、シートおよびシームレスベルトなどが挙げられる。処理には、金属箔ラミネート処理、金属蒸着処理、ならびに酸化チタン、酸化スズ、酸化インジウムおよびカーボンブラックなどの導電性物質を適当なバインダとともに塗布する導電処理など挙げられる。
【0045】
下引き層の材料として、結着樹脂と無機顔料とを用いる。
下引き層に使用する結着樹脂としては、その上に光導電層を溶剤で塗布することを考えると、一般の有機溶剤に対して耐溶剤性の高い樹脂であることが望ましい。このような樹脂としては、疎水性のポリフッ化ビニリデン樹脂の共重合体であるフッ化ビニリデン−トリフルオロエチレン共重合体樹脂およびフッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体樹脂が挙げられる。
【0046】
疎水性のポリフッ化ビニリデンの共重合体樹脂であるフッ化ビニリデン−トリフルオロエチレン共重合体樹脂またはフッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体樹脂を下引き層に使用する場合、下引き層の膜厚を厚くすることができる。したがって、層を薄くする場合のように、下引き層としての効果が充分に発揮されなかったり、部分的な塗布ムラを生じて画像欠陥となることがないだけでなく、製造上の難しさもないので生産性の面でも優れている。
【0047】
そのような優れた特性が得られる理由としては、以下のことが考えられる。すなわちポリフッ化ビニリデンの共重合体であるフッ化ビニリデン−トリフルオロエチレン共重合体樹脂およびフッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体樹脂は、従来の下引き層の材料と比較して誘電率が約7〜13と大きいので、層中で自発分極しているのではないかと考えられる。そのため、膜厚が厚くなっても電気的には従来の材料を用いて薄くした層と同様に作用し、また導電性支持体からの反対電荷の注入を防げているものと考えられる。したがって、画像形成装置において反転現象する際に、導電性支持体から電荷がリークすることが原因と考えられる黒ポチなどの画像欠陥の防止効果や、導電性支持体と感光層との間で、下引き層がバリア層として作用することによる静電疲労特性の改良効果を期待できる。
【0048】
また前記結着樹脂とともに下引き層に含有する無機顔料としては、酸化チタンおよび酸化亜鉛などを用いることができる。酸化チタンおよび酸化亜鉛は、結着樹脂中に分散させて使用するという目的のため、平均粒径0.3μm以下のものが望ましい。酸化チタンおよび酸化亜鉛は、分散性および電気特性改良のため、アルミナ、シリカ、ジルコニアおよび有機物などで表面処理して使用することもできる。なおシリカを用いる処理には、シランカップリング剤処理およびシロキサン化合物処理などがある。
【0049】
このように下引き層の材料として、疎水性のポリフッ化ビニリデンの共重合体樹脂であるフッ化ビニリデン−トリフルオロエチレン共重合体樹脂またはフッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体樹脂と、酸化チタンまたは酸化亜鉛とを使用すれば、帯電電位の立上がりおよび感度向上に効果があり、かつ1回転目の帯電電位低下を改良した感光体とすることができる。特に無機顔料/結着樹脂の重量比が1以上で無機顔料および結着樹脂を含有する感光体は、繰返し使用時において電位安定性に優れ、1回転目の帯電電位低下を防止することができる。
【0050】
下引き層の膜厚としては、前述のように厚くすることができ、好ましくは0.1μm〜50.0μm、より好ましくは1.0μm〜10.0μmの範囲である。0.1μmより薄ければ、実質的に下引き層として機能しなくなり、導電性支持体の欠陥を被覆して均一な表面性が得られず、導電性支持体からの電荷の注入を防止することができなくなり、導電性の低下が生じる。50.0μmより厚いと、感光体の製造が困難になる。特に1.0μmを超える場合、繰返し使用時において電位安定性に優れ、感光体の1回転目の帯電電位低下を防止できる。また特に下引き層を浸漬塗布によって形成する場合には、10.0μm以上に厚くすると、感光体の製造が困難になるだけでなく、塗布膜である下引き層の機械的強度が低下するので10.0μm未満がより好ましい。
【0051】
下引き層は、前述の結着樹脂と、酸化チタンまたは酸化亜鉛とが、溶媒に分散された下引き層塗布液を、導電性支持体上に塗布することによって形成する。
【0052】
下引き層塗布液の分散方法としては、ボールミル、サンドミル、アトライタ、振動ミル、コロイドミルおよび超音波分散機などがあり、塗布手段としては、浸漬法、スプレイ法、ビード法およびノズル法などの一般的な方法が適用できる。
【0053】
下引き層の上に形成される感光層の構造としては、電荷発生層と電荷輸送層との2層から成る機能分離型、およびこれらが分離されずに単一層で形成される単層型があるが、いずれを用いてもよい。
【0054】
機能分離型の場合、下引き層の上に電荷発生層および電荷輸送層が順次積層されて形成される。電荷発生層は、電荷発生物質を真空蒸着、または電荷発生物質を結着樹脂溶液中に分散した電荷発生層塗布液を塗布することによって形成される。一般に電荷発生層塗布液を塗布する方法がより好ましい。
【0055】
電荷発生物質としては、クロロダイアンブルーなどのビスアゾ系化合物、ジブロモアンサンスロンなどの多環キノン系化合物、ペリレン系化合物、キナクリドン系化合物、フタロシアニン系化合物およびアズレニウム塩系化合物などが知られ、1種または2種以上併用することが可能である。特に無機顔料/結着樹脂の重量比が1以上で無機顔料および結着樹脂を含有する感光体において、フタロシアニン系化合物を含有すると、繰返し使用時において、より電位安定性に優れ、1回転目の帯電電位低下を防止することができる。フタロシアニン系化合物としては、X型無金属フタロシアニン、τ型無金属フタロシアニンおよびオキソチタニウムフタロシアニンなどが挙げられる。
【0056】
電荷発生層塗布液を塗布する方法においては、下引き層塗布液を用いる場合と同様にして、電荷発生層用の結着樹脂を溶媒に溶解させた結着樹脂溶液中へ、電荷発生物質を混合分散することによって電荷発生層塗布液を調製し、該電荷発生層塗布液を下引き層上に塗布する。
【0057】
電荷発生層用の結着樹脂としては、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、シリコン樹脂、ポリウレタン樹脂、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂、フェノキシ樹脂、ブチラール樹脂、およびこれらの樹脂を構成する2種以上のモノマの共重合体樹脂が挙げられる。たとえば塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂およびアクリロニトリル−スチレン共重合体樹脂などの絶縁性樹脂を挙げることができるが、これらに限定されるものではなく、一般に用いられる全ての樹脂を単独または2種以上混合して使用することができる。
【0058】
これらの樹脂を溶解させる溶媒としては、塩化メチレンなどのハロゲン化炭化水素類、アセトン、メチルエチルケトンおよびシクロヘキサノンなどのケトン類、酢酸エチルおよび酢酸ブチルなどのエステル類、テトラヒドラロフランおよびジオキサンなどのエーテル類、ベンゼン、トルエンおよびキシレンなどの芳香族炭化水素類、ならびにN,N−ジメチルアセトアミドなどの非プロトン性極性溶媒などを用いることができる。
【0059】
電荷発生層の膜厚は、好ましくは0.05μm〜5.0μm、より好ましくは0.1μm〜1.0μmの範囲である。
【0060】
電荷輸送層は、下引き層塗布液および電荷発生層塗布液を用いて各層を形成する場合と同様にして、結着樹脂を溶媒に溶解させた結着樹脂溶液中に、電荷輸送物質を溶解させた電荷輸送層塗布液を調製し、該電荷輸送層塗布液を電荷発生層上に塗布して成膜する。
【0061】
電荷輸送物質としては、ヒドラゾン系化合物、トリフェニルアミン系化合物、トリフェニルメタン系化合物、スチルベン系化合物、オキサジアゾール系化合物およびエナミン系化合物などが知られ、1種または2種以上併用することも可能である。電荷輸送層用の結着樹脂としては、前記電荷発生層用の樹脂を1種または2種以上混合して使用することができる。電荷輸送層の膜厚は、好ましくは5μm〜50μm、より好ましくは10μm〜40μmの範囲である。
【0062】
感光層が単層型構造の場合には、機能分離型の感光体における電荷輸送層と同様の材料配合比の電荷輸送層塗布液中に、前記電荷発生物質が分散されて感光層塗布液が調製され、該感光層塗布液が下引き層上に塗膜されることによって感光層が形成される。単層型の感光層の膜厚は、好ましくは5μm〜50μm、より好ましくは10μm〜40μmの範囲である。
【0063】
必要に応じて、感光層表面を保護するために保護層を設けてもよい。保護層には、熱可塑性樹脂および、光または熱硬化性樹脂を用いることができる。保護層中に、紫外線防止剤、酸化防止剤、金属酸化物などの無機材料、有機金属化合物および電子受容性物質などを含有させることもできる。また感光層および保護層には、必要に応じて、二塩基酸エステル、脂肪酸エステル、リン酸エステル、フタル酸エステルおよび塩素化パラフィンなどの可塑剤を混合させて、加工性および可撓性を付与し、機械的物性の改良を施してもよく、シリコン樹脂などのレベリング剤を使用することもできる。
【0064】
以上のような材料を用いて作製された電子写真感光体は、複写機などに装着して用いれば、繰返し使用時においても高品位な画像を得ることができる。特に反転現像プロセスを採用するデジタル複写機において、前記電子写真感光体を用いれば、繰返し使用時において電位安定性に優れ、反転現像の際に導電性支持体から電荷がリークすることが原因と考えられる黒ポチなどの画像欠陥を発生することがない。また電子写真感光体が、感光層にフタロシアニンを含有する場合には、1回転目の帯電電位が低くなるが、無機顔料および結着樹脂を重量比で無機顔料/結着樹脂が1以上で含有する下引き層と組合わせれば、1回転目から帯電電位が安定する。これによれば、ファーストコピーの時間を短縮することができる。
【0065】
【実施例】
以下、本発明による電子写真感光体、電子写真装置について、実施例に基づいて説明するが、これによって本発明の態様が限定されるものではない。
【0066】
(実施例1)
[下引き層塗布液]
表面未処理の酸化チタン(STR60NS:堺化学社製) 6重量部
フッ化ビニリデン−トリフルオロエチレン共重合体樹脂
(KYNAR7201:エルフ・アトムジャパン社製) 4重量部
アセトン 80重量部
N,N−ジメチルアセトアミド 10重量部
【0067】
前記下引き層塗布液の成分をペイントシェーカで10時間分散し、下引き層塗布液を調整した。この塗布液における結着樹脂と酸化チタンとの重量比は、酸化チタン/結着樹脂=1.5である。直径65mmおよび長さ333mmのアルミニウムドラム上に、調製した下引き層塗布液を浸漬塗工し、100℃で15分間乾燥し、膜厚3μmの下引き層を形成した。
【0068】
[電荷発生層塗布液]
オキソチタニウムフタロシアニン 2重量部
ポリビニルブチラール(樹脂BX−1:積水化学社製) 2重量部
シクロヘキサノン 100重量部
【0069】
図1は、実施例1の電荷発生層塗布液に用いるオキソチタニウムフタロシアニンのX線回折スペクトル図である。該オキソチタニウムフタロシアニンについて、CuKα=1.54050ÅをX線源として、θ/2スキャン法で回折スペクトルを測定した。図1から、このオキソチタニウムフタロシアニンが、ブラッグ角(2θ±0.2°)7.3°、9.4°、9.6°、11.6°、13.3°、17.9°、24.1°および27.2°に主要な回折ピークを示し、そのうち9.4°と9.6°との重なったピーク束が最大ピークを示し、かつ27.2°のピークが2番目に大きなピークを示すことが判る。
【0070】
前記電荷発生層塗布液の成分をペイントシェーカで2時間分散し、電荷発生層塗布液を調整した。下引き層上に、調製した電荷発生層塗布液を浸漬塗工し、120℃で10分間乾燥し、膜厚0.3μmの電荷発生層を形成した。
【0071】
[電荷輸送層塗布液]
下記構造式(I)で示される電荷輸送物質 8重量部
ポリカーボネート樹脂(K1300:帝人化成社製) 10重量部
シリコーンオイル(KF50:信越化学社製) 0.002重量部
ジクロロメタン 82重量部
【0072】
【化1】
【0073】
前記電荷輸送層塗布液の成分を撹拌・溶解し、電荷輸送層塗布液を調整した。電荷発生層上に、調製した電荷輸送層塗布液を浸漬塗工し、110℃で60分間乾燥し、膜厚30μmの電荷輸送層を形成して、実施例1の電子写真感光体を得た。
【0074】
【0075】
【0076】
(実施例2)
[下引き層塗布液]
表面未処理の酸化チタン(STR60NS:堺化学社製) 6重量部
フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体樹脂
(KYNAR2751:エルフ・アトムジャパン社製) 4重量部
アセトン 80重量部
N,N−ジメチルアセトアミド 10重量部
【0077】
前記下引き層塗布液の成分をペイントシェーカで10時間分散し、下引き層塗布液を調整した。該下引き層塗布液を、実施例1で調製した下引き層塗布液の替わりに使用した以外は、実施例1と同様にして実施例2の電子写真感光体を作製した。
【0078】
【0079】
【0080】
【0081】
【0082】
【0083】
【0084】
【0085】
【0086】
【0087】
【0088】
(実施例3)
[下引き層塗布液]
表面未処理の酸化亜鉛
(NANOFINE P−1:堺化学社製) 6重量部
フッ化ビニリデン−トリフルオロエチレン共重合体樹脂
(KYNAR7201:エルフ・アトムジャパン社製) 4重量部
アセトン 80重量部
N,N−ジメチルアセトアミド 10重量部
【0089】
前記下引き層塗布液の成分をペイントシェーカで10時間分散し、下引き層塗布液を調整した。該下引き層塗布液を、実施例1で調製した下引き層塗布液の替わりに使用した以外は、実施例1と同様にして実施例3の電子写真感光体を作製した。
【0090】
(実施例4)
[下引き層塗布液]
表面未処理の酸化亜鉛
(NANOFINE P−1:堺化学社製) 6重量部
フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体樹脂
(KYNAR2751:エルフ・アトムジャパン社製) 4重量部
アセトン 80重量部
N,N−ジメチルアセトアミド 10重量部
【0091】
前記下引き層塗布液の成分をペイントシェーカで10時間分散し、下引き層塗布液を調整した。該下引き層塗布液を、実施例1で調製した下引き層塗布液の替わりに使用した以外は、実施例1と同様にして実施例4の電子写真感光体を作製した。
【0092】
(実施例5)
[下引き層塗布液]
表面アルミナ処理済酸化亜鉛
(NANOFINE W−1:堺化学社製) 6重量部
フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体樹脂
(KYNAR2751:エルフ・アトムジャパン社製) 4重量部
アセトン 80重量部
N,N−ジメチルアセトアミド 10重量部
【0093】
前記下引き層塗布液の成分をペイントシェーカで10時間分散し、下引き層塗布液を調整した。該下引き層塗布液を、実施例1で調製した下引き層塗布液の替わりに使用した以外は、実施例1と同様にして実施例5の電子写真感光体を作製した。
【0094】
(実施例6)
[下引き層塗布液]
表面シランカップリング剤処理済酸化亜鉛
(NANOFINE−50A:堺化学社製) 6重量部
フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体樹脂
(KYNAR2751:エルフ・アトムジャパン社製) 4重量部
アセトン 80重量部
N,N−ジメチルアセトアミド 10重量部
【0095】
前記下引き層塗布液の成分をペイントシェーカで10時間分散し、下引き層塗布液を調整した。該下引き層塗布液を、実施例1で調製した下引き層塗布液の替わりに使用した以外は、実施例1と同様にして実施例6の電子写真感光体を作製した。
【0096】
(実施例7)
[下引き層塗布液]
表面シロキサン化合物処理済酸化亜鉛
(FINEX−50LP:堺化学社製) 6重量部
フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体樹脂
(KYNAR2751:エルフ・アトムジャパン社製) 4重量部
アセトン 80重量部
N,N−ジメチルアセトアミド 10重量部
【0097】
前記下引き層塗布液の成分をペイントシェーカで10時間分散し、下引き層塗布液を調整した。該下引き層塗布液を、実施例1で調製した下引き層塗布液の替わりに使用した以外は、実施例1と同様にして実施例7の電子写真感光体を作製した。
【0098】
【0099】
【0100】
【0101】
【0102】
【0103】
【0104】
【0105】
【0106】
【0107】
【0108】
【0109】
【0110】
【0111】
【0112】
【0113】
【0114】
【0115】
(比較例1)
[下引き層塗布液]
ポリフッ化ビニリデン樹脂
(KYNAR761:エルフ・アトムジャパン社製) 4重量部
アセトン 80重量部
N,N−ジメチルアセトアミド 10重量部
【0116】
前記下引き層塗布液の成分をペイントシェーカで10時間分散し、下引き層塗布液を調整した。該下引き層塗布液を、実施例1で調製した下引き層塗布液の替わりに使用した以外は、実施例1と同様にして比較例1の電子写真感光体を作製した。
【0117】
(比較例2)
[下引き層塗布液]
表面未処理の酸化チタン(STR60NS:堺化学社製) 6重量部
ポリアミド樹脂(CM8000:東レ社製) 4重量部
メタノール 67重量部
ジクロロエタン 123重量部
【0118】
前記下引き層塗布液の成分をペイントシェーカで10時間分散し、下引き層塗布液を調整した。該下引き層塗布液を、実施例1で調製した下引き層塗布液の替わりに使用した以外は、実施例1と同様にして比較例2の電子写真感光体を作製した。
【0119】
(比較例3)
電荷発生層塗布液において、オキソチタニウムフタロシアニンに替えて、下記構造式(II)で示されるトリスアゾ顔料を使用した以外は、比較例1と同様にして比較例3の電子写真感光体を作製した。
【化2】
【0120】
(比較例4)
電荷発生層塗布液において、オキソチタニウムフタロシアニンに替えて、τ型無金属フタロシアニン(Liophoton TPA−891:東洋インキ社製)を使用した以外は、比較例1と同様にして比較例4の電子写真感光体を作製した。
【0121】
(比較例5)
電荷発生層塗布液において、オキソチタニウムフタロシアニンに替えて、X型無金属フタロシアニン(Fastogen Blue 8120BS:大日本インキ社製)を使用した以外は、比較例1と同様にして比較例5の電子写真感光体を作製した。
【0122】
(比較例6)
図2は、比較例6の電荷発生層塗布液に用いるオキソチタニウムフタロシアニンのX線回折スペクトル図である。該オキソチタニウムフタロシアニンについて、CuKα=1.54050ÅをX線源として、θ/2スキャン法で回折スペクトルを測定した。図2から、このオキソチタニウムフタロシアニンが、ブラッグ角(2θ±0.2°)9.5°、9.7°、11.7°、15.0°、23.5°、24.1°および27.3°に主要な回折ピークを示すことが判る。
電荷発生層塗布液において、図1のX線回折スペクトルを示すオキソチタニウムフタロシアニンに替えて、図2のX線回折スペクトルを示すオキソチタニウムフタロシアニンを使用した以外は、比較例1と同様にして比較例6の電子写真感光体を作製した。
【0123】
(比較例7)
図3は、比較例7の電荷発生層塗布液に用いるオキソチタニウムフタロシアニンのX線回折スペクトル図である。該オキソチタニウムフタロシアニンについて、CuKα=1.54050ÅをX線源として、θ/2スキャン法で回折スペクトルを測定した。図3から、このオキソチタニウムフタロシアニンが、ブラッグ角(2θ±0.2°)9.0°、14.2°、23.9°および27.1°に主要な回折ピークを示すことが判る。
電荷発生層塗布液において、図1のX線回折スペクトルを示すオキソチタニウムフタロシアニンに替えて、図3のX線回折スペクトルを示すオキソチタニウムフタロシアニンを使用した以外は、比較例1と同様にして比較例7の電子写真感光体を作製した。
【0124】
(評価1)
実施例1〜7、比較例1および比較例2で作製した電子写真感光体を、デジタル複写機(AR−5130:シャープ社製)の改造機に装着し、初期および3万(30K)枚複写動作後の暗部電位(Vo)、ならびに明部電位(VL)を測定した。また30K枚複写動作後の感光体を2時間暗所にて放置し、その後の感光体の1回転目の暗部電位と、5回転目の暗部電位との差をdVoとして、1回転目の帯電電位低下のパラメータとした。
dVo=|1回転目のVo|−|5回転目のVo|
【0125】
さらにAR−5130改造機にて反転現像プロセスで白ベタ画像を出し、画像上に現れる画像欠陥(黒ポチ)を評価した。
【0126】
評価結果を表1に示す。
【表1】
【0127】
表1から、下引き層に、フッ化ビニリデン樹脂−トリフルオロエチレン共重合体樹脂またはフッ化ビニリデン樹脂−ヘキサフルオロプロピレン共重合体樹脂と、無機顔料とを含有する実施例1〜7は、繰返し使用時の電位安定性が良好で、1回転目の帯電電位低下が小さく、反転現像プロセスでの黒ポチが発生しないことが判る。
【0128】
ポリフッ化ビニリデン樹脂のみで、無機顔料を含まない比較例1は、VL上昇が大きく、1回転目帯電電位低下が大きいことが判る。下引き層にポリアミド樹脂と、無機顔料とを含有する比較例2は、黒ポチが発生することが判る。
【0129】
(評価2)
実施例5〜7の下引き層塗布液を1週間静置保存し、塗布液の分散安定性を評価した。
【0130】
実施例5〜7では、1週間後の無機顔料の沈降はなく、安定した分散性を示していた。この結果から、表面処理した無機顔料を使用した実施例5〜7は、分散安定性に優れていることが判る。
【0131】
【0132】
【0133】
【0134】
【0135】
【0136】
【0137】
(評価3)
比較例1および比較例3で作製した電子写真感光体を、デジタル複写機(AR−5130:シャープ社製)の改造機に装着し、初期および30K枚複写動作後の暗部電位(Vo)、ならびに明部電位(VL)を測定した。また30K枚複写動作後の感光体を2時間暗所にて放置し、その後の感光体の1回転目の暗部電位と、5回転目の暗部電位の差をdVoとして、1回転目の帯電電位低下のパラメータとした。
dVo=|1回転目のVo|−|5回転目のVo|
【0138】
評価結果を表2に示す。
【表2】
【0139】
【0140】
(評価4)
比較例1および比較例4〜7で作製した電子写真感光体を、デジタル複写機(AR−5130:シャープ社製)の改造機に装着し、初期および30K枚複写動作後の暗部電位(Vo)、ならびに明部電位(VL)を測定した。また30K枚複写動作後の感光体を2時間暗所にて放置し、その後の感光体の1回転目の暗部電位と、5回転目の暗部電位の差をdVoとして、1回転目の帯電電位低下のパラメータとした。
dVo=|1回転目のVo|−|5回転目のVo|
【0141】
評価結果を表3に示す。
【表3】
【0142】
【0143】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、導電性支持体上に少なくとも下引き層および感光層を有する電子写真感光体において、下引き層が少なくともフッ化ビニリデン−トリフルオロエチレン共重合体樹脂およびフッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体樹脂のうちのいずれかと無機顔料とを含有するので、繰返し使用時において電位安定性に優れ、かつ黒ポチなどの画像欠陥が発生しない。
【0144】
また本発明によれば、前記電子写真感光体を具備することによって、繰返し使用時においても高品位な画像を得ることができる電子写真装置を提供することができる。
【0145】
また本発明によれば、特定の結着樹脂と無機顔料とを含有する下引き層を有する感光体を使用することによって、繰返し使用時において電位の安定性に優れ、かつ黒ポチが発生しない画像形成方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例1の電荷発生層塗布液に用いるオキソチタニウムフタロシアニンのX線回折スペクトル図である。
【図2】 比較例6の電荷発生層塗布液に用いるオキソチタニウムフタロシアニンのX線回折スペクトル図である。
【図3】 比較例7の電荷発生層塗布液に用いるオキソチタニウムフタロシアニンのX線回折スペクトル図である。
Claims (17)
- 導電性支持体上に少なくとも下引き層および感光層を有する電子写真感光体において、下引き層が少なくともフッ化ビニリデン−トリフルオロエチレン共重合体樹脂およびフッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体樹脂のうちいずれかの結着樹脂と、無機顔料とを含有することを特徴とする電子写真感光体。
- 前記無機顔料が表面未処理の酸化チタンまたは表面未処理の酸化亜鉛であることを特徴とする請求項1記載の電子写真感光体。
- 前記無機顔料が表面処理された酸化チタンまたは表面処理された酸化亜鉛であることを特徴とする請求項1記載の電子写真感光体。
- 前記無機顔料がアルミナ処理されていることを特徴とする請求項3記載の電子写真感光体。
- 前記無機顔料がシランカップリング剤処理されていることを特徴とする請求項3記載の電子写真感光体。
- 前記無機顔料がシロキサン化合物で処理されていることを特徴とする請求項3記載の電子写真感光体。
- 前記表面処理された酸化チタンがジルコニア処理された酸化チタンであることを特徴とする請求項3記載の電子写真感光体。
- 前記下引き層の膜厚が1μm以上であることを特徴とする請求項1記載の電子写真感光体。
- 前記下引き層中の無機顔料/結着樹脂の含有比率は、重量比で1以上であることを特徴とする請求項1記載の電子写真感光体。
- 前記感光層にフタロシアニンを含有することを特徴とする請求項1または9記載の電子写真感光体。
- 前記フタロシアニンが、X型無金属フタロシアニン、τ型無金属フタロシアニン、オキソチタニウムフタロシアニンであることを特徴とする請求項10記載の電子写真感光体。
- 前記オキソチタニウムフタロシアニンが、X線回折スペクトルにおいて、ブラッグ角(2θ±0.2°)7.3°、9.4°、9.6°、11.6°、13.3°、17.9°、24.1°および27.2°に主要な回折ピークを示し、そのうち9.4°と9.6°との重なったピーク束が最大ピークを示し、かつ27.2°のピークが第2の最大ピークであることを特徴とする結晶型オキソチタニウムフタロシアニンであることを特徴とする請求項11記載の電子写真感光体。
- 前記オキソチタニウムフタロシアニンが、X線回折スペクトルにおいて、ブラッグ角(2θ±0.2°)9.5°、9.7°、11.7°、15.0°、23.5°、24.1°および27.3°に主要な回折ピークを示すことを特徴とする結晶型オキソチタニウムフタロシアニンであることを特徴とする請求項11記載の電子写真感光体。
- 前記オキソチタニウムフタロシアニンが、X線回折スペクトルにおいて、ブラッグ角(2θ±0.2°)9.0°、14.2°、23.9°および27.1°に主要な回折ピークを示すことを特徴とする結晶型オキソチタニウムフタロシアニンであることを特徴とする請求項11記載の電子写真感光体。
- 請求項1記載の電子写真感光体を備えたことを特徴とする電子写真装置。
- 反転現像を適用していることを特徴とする請求項15記載の電子写真装置。
- 前記下引き層中の無機顔料/結着樹脂の含有比率が、重量比で1以上であり、前記感光層にフタロシアニンを含有し、画像形成動作開始時に、電子写真感光体をその1回転目から画像形成に使用することを特徴とする請求項15記載の電子写真装置。
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