JP3652689B2 - 用紙カートリッジ，及びプリント機器 - Google Patents
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Description
【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は用紙カートリッジにおいて，より詳しくは，プリント機器に着脱自在に設けられ，用紙を供給するプリント機器の用紙カートリッジに関するものである。
【０００２】
【従来の技術】
一般に，複写機やレーザープリンタなどのようなプリント機器では，印刷機器の本体内へピックアップされる用紙を受容する用紙カートリッジが備えられる。用紙カートリッジは，通常印刷機器の本体に着脱自在に設けられ，所定のピックアップ手段によって受容された用紙が１枚ずつ供給される。
【０００３】
図１に示すように，従来の用紙カートリッジでは，用紙カートリッジ本体１０にピックアップローラ１１が設けられる。ピックアップローラ１１の下側に圧力板１３が上昇できるように設けられる。圧力板１３と用紙カートリッジ本体１０の底面との間にはバネ１５が設けられる。バネ１５の加圧力によってピックアップローラ１１と圧力板１３とが一定圧力で接触し，用紙に所定のピックアップ力を加えることができる。
【０００４】
また，ピックアップローラ１１と圧力板１３との間に用紙を載せるとき，圧力板１３をピックアップローラ１１から離隔させるためのレバー１７が更に設けられる。
【０００５】
上記の構成において，レバー１７を右側に回転させると，レバー１７の突起１７ａが圧力板１３を押し下げ，仮想線にて示すように，圧力板を下降させその状態のまま停止する。この状態で，ピックアップローラ１１と圧力板１３との間に用紙を載せた後，再びレバー１７を元の位置に戻すと，バネ１５の復元力によって圧力板１３が上昇する。よって，用紙がピックアップローラ１１に所定の圧力で接触するようになる。
【０００６】
【発明が解決しようとする課題】
ところが，上記のような構成を有する従来の用紙カートリッジにて，レバー１７を回転させてピックアップローラ１１と圧力板１３とを離隔させた後，用紙を圧力板１３の上に載せるとき，使用者がレバー１７を元の位置に戻さないと，ピックアップローラ１１と圧力板１３との間で圧力が形成されないので用紙を正常にピックアップすることができなかった。よって，使用者がそれを認知できず，レバー１７を元の位置に戻していないとき，用紙へのプリント作業が行えないという問題があった。
【０００７】
また，従来構成の用紙カートリッジでは，レバー１７を設けなければならないので，設計上が複雑になり，デザイン上の制約があった。更に，用紙を載せる圧力板１３が装置外部に開放されているので，埃や異物質などによって用紙が汚染される問題があった。
【０００８】
本発明は，従来の用紙カートリッジ，及びプリント機器が有する上記問題点に鑑みてなされたものであり，本発明の目的は，用紙とピックアップガイド面の接触角を可変にして，滑らかに用紙が供給できるようにした新規かつ改良された用紙カートリッジ，及びプリント機器を提供することである。
【０００９】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため，本発明の第１の観点によれば，カートリッジ本体と，カートリッジ本体内に上昇可能に設置される圧力板と，圧力板に載せられた用紙をピックアップするピックアップローラと，圧力板をピックアップローラ側に弾性加圧するバネと，圧力板に載せられた用紙の先端を支持してピックアップされる用紙を１枚ずつ分離するクローユニットと，用紙カートリッジに回動自在に設けられ，圧力板に載せられた用紙を覆う埃防止用カバー部材と，カバー部材がオープンした状態でピックアップローラが駆動される時は，圧力板及びクローユニットを元の位置に戻し，カバー部材を自動的に閉める自動駆動ユニットと，を含む用紙カートリッジが提供される。
【００１０】
ここで，カバー部材がオープンする時に，カバー部材とクローユニットとが連動して，クローユニットと圧力板との間を離隔させて用紙が載せられるようにする連動ユニットを更に含むことが望ましい。
【００１１】
また，連動ユニットは，カバー部材の回転軸に連結して共に回動し，カバー部材がオープンするときに前記圧力板を下降させる第１回動レバーと，カートリッジ本体に回動自在に設けられ，下降する圧力板によって一方向に回動しながらクローユニットを押し上げて圧力板から離隔させる第２回動レバーと，を含むことが望ましい。
【００１３】
また，自動駆動ユニットは，カバー部材の回転軸に設けられて共に回転し，圧力板を選択的に加圧して押し下げ，外周の所定位置に歯車が形成された第１回動レバーと，カートリッジ本体に回転自在に設けられ，第１回動レバーの所定の回転位置にて第１回動レバーの歯車に選択的に連結されるアイドルギヤと，ピックアップローラの動力をアイドルギヤに伝達するメインギヤと，を含むことが望ましい。
【００１４】
また，メインギヤは，ピックアップローラの回転方向の逆方向にアイドルギヤに一定トルクが発生すると，ピックアップローラの回転力がアイドルギヤに伝達されることを選択的に遮断するクラッチの役割をすることが望ましい。
【００１５】
また，メインギヤは，ピックアップローラの回転軸に結合される内側ギヤと，内側ギヤの外側に結合され，アイドルギヤにギヤ連結される外側ギヤと，を含み，内側ギヤと外側ギヤとの間に作用する摩擦力により，内側及び外側ギヤが共に回転し，摩擦力より大きいトルクが外側ギヤに作用する場合には，内側ギヤのみが独立的に回転してアイドルギヤへの動力伝達を制御することが望ましい。
【００１６】
また，外側ギヤの内周にはその回転方向に曲率半径が繰り返し増加または縮小するように形成された摩擦グルーブが形成され，内側ギヤは，回転時に摩擦グルーブに接触してガイドされつつ弾性変形される１つ以上の弾性部を有し，弾性部と摩擦グルーブとの間の摩擦力によって，内側及びギヤが共に回転自在であることが望ましい。
【００１７】
また，カバー部材がオープンした状態では第１回動レバーの歯車とアイドルギヤとがギヤ連結され，カバー部材が閉った状態では互いに離隔されることが望ましい。
【００１８】
また，本発明の第２の観点によれば，第１位置及び第２位置に移動し，用紙が載せられる圧力板と，圧力板上の用紙をピックアップするピックアップローラと，第１位置で圧力板上の用紙を覆うカバー部材と，ピックアップローラによってピックアップされる用紙を１枚ずつ分離するクローユニットと，ピックアップローラが第２位置でカバー部材と共に駆動される時は，カバー部材を第１位置に自動的に移動させる，自動駆動ユニットと，を含み，クローユニットは第１位置で圧力板に接触し，第２位置で圧力板と離隔されることを特徴とする用紙カートリッジが提供される。
【００１９】
上記用紙カートリッジはさらに，圧力板をピックアップローラ側に弾性加圧するバネを備えることが好ましい。また，第１の観点と同様にカバー部材に連結される回転軸及び連動ユニットを更に備え，連動ユニットは第１回動レバーと，第２回動レバーとを含むことができる。
【００２０】
また，自動駆動ユニットを更に備え，前記回転軸に設けられ，前記回転軸と共に回転し，前記第１位置へ前記圧力板を加圧して移動させ，外周には歯車が形成された第１回動レバーと，アイドルギヤと，メインギヤと，を含んで構成されることが好ましい。さらに第１回動レバーの歯車は，第２位置にあるときにアイドルギヤに連結され，第１位置にあるときにアイドルギヤから離隔されることが望ましい。
【００２１】
また，本発明の第３の観点によれば，用紙が載せられる圧力板と，圧力板上の用紙をピックアップするピックアップローラと，圧力板上の用紙を第１位置で覆い，第２位置で開放するように移動するカバー部材と，カバー部材が第２位置にある時にピックアップローラが駆動する際に，カバー部材を第１位置に自動的に移動させる自動駆動ユニットと，を含むことを特徴とする用紙カートリッジが提供される。
【００２２】
またさらに，本発明の第４の観点によれば，本体と，本体内に設けられる用紙カートリッジと，を含み，その用紙カートリッジは，用紙を載せて第１位置または第２位置に移動する圧力板と，圧力板上の用紙をピックアップするピックアップローラと，圧力板上の用紙を第１位置で覆い，第２位置で開放するように移動するカバー部材と，ピックアップローラによりピックアップされる用紙を１枚ずつ分離するクローユニットと，ピックアップローラが第２位置でカバー部材と共に駆動される時は，カバー部材を第１位置に自動的に移動させる，自動駆動ユニットと，を含み，クローユニットは，第１位置では圧力板に接触し，第２位置では圧力板から離隔されることを特徴とするプリント機器が提供される。
【００２３】
こうして，圧力板に載せられる用紙を覆うことのできるカバー部材を備えることにより，用紙が埃などの異物質で汚染することが防止でき，また，用紙を積載するためにカバー部材をオープンした状態で，カバー部材をピックアップローラの回転駆動力を用いて自動的に閉めることができ，よって用紙がピックアップローラに一定の圧力で接触して正常にピックアップできるようにすることができる。
【００２４】
更に，ピックアップローラが回転する状態でカバー部材を無理にオープンする場合に，ピックアップローラの回転力がカバー部材に伝達されることを防止することにより，部品の損傷や誤動作を防止できる信頼性のある製品を供給することができる。
【００２５】
【発明の実施の形態】
以下に添付図面を参照しながら，本実施形態にかかる用紙カートリッジ，及びプリント機器について詳細に説明する。なお，本明細書及び図面において，実質的に同一の機能構成を有する構成要素については，同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【００２６】
図２，図３，及び図４に示すように，本発明の実施の形態によるプリント機器の用紙カートリッジは，カートリッジ本体２０と，カートリッジ本体２０内で上昇できるように設けられる圧力板３０と，圧力板３０に載せられる用紙をピックアップするピックアップローラ４０と，圧力板３０をピックアップローラ４０側に弾性バイアスさせるバネ５０と，圧力板３０からピックアップされる用紙を１枚ずつ分離するクローユニット６０，及び埃防止用カバー部材７０とを備える。
【００２７】
カートリッジ本体２０は，プリント機器に取付けられ，印刷される用紙を供給するためのものである。カートリッジ本体２０には，積載される用紙を整列させるための用紙ガイド２１がスライド自在に設けられる。用紙ガイド２１は，カートリッジ本体２０でピックアップローラ４０と平行方向に往復移動できるように設けられ，使用者の操作によって積載された用紙を整列させることができる。
【００２８】
圧力板３０は用紙が積載されるところであり，その一端はカートリッジ本体２０にヒンジ連結され，他端はバネ５０によってピックアップローラ４０側へ弾性バイアスされ，上下に移動自在になる。
【００２９】
バネ５０が圧力板３０をピックアップローラ４０側へ弾性バイアスさせることにより，圧力板３０に載せられた用紙がピックアップローラ４０に所定の圧力で接触する。よって，用紙とピックアップローラとの間で一定の摩擦力が発生し，ピックアップローラ４０が回転するときに摩擦力によって用紙がピックアップされる。
【００３０】
ピックアップローラ４０は，カートリッジ本体２０の両側壁に対し回転自在に，回転軸４１と回転軸４１に所定間隔を隔てて設けられた複数のローラ胴体４３とを有する。ローラ胴体４３は，通常のピックアップローラと同様にゴム材質からなる。回転軸４１は，プリント機器の本体（図示せず）から動力伝達ギヤ列４５を介して動力が伝達されて回転する。
【００３１】
クローユニット（ｃｌａｗ ｕｎｉｔ）６０では，圧力板３０に載せられた用紙からピックアップローラ４０によってピックアップされる用紙が１枚ずつ分離されるようにする。かかるクローユニット６０は，カートリッジ本体２０の側壁に一端が回動自在に連結されるクローレバー６１と，クローレバー（ｃｌａｗ ｌｅｖｅｒ）６１の他端を下側へ即ち，圧力板３０側へ弾性バイアスさせるバネ６３とを備える。クローレバー６１の他端はバネ６３に連結され，クローレバーは圧力板３０に積載された用紙の先端の角を支持して１枚ずつピックアップ分離されるようにする。
【００３２】
埃防止用カバー部材７０は，圧力板３０に積載された用紙を埃などの異物質から保護するためのものである。カバー部材７０は，プレート型カバー本体７１と，カバー本体７１の一端に備えられたカバー部材の回転軸７３とを備える。カバー部材の回転軸７３は両端が，用紙カートリッジ本体２０の両側壁それぞれに対して回転自在になるように支持される。圧力板３０に用紙を積載する場合，カバー部材７０を回動させてオープンした後用紙を積載し，再びカバー部材７０を元の位置へ回動させて閉じる。
【００３３】
また，カバー部材７０とクローユニット６０とを連動させる連動ユニット７４を更に含む。連動ユニット７４は，カバー部材７０をオープンするときにクローユニット６０と圧力板３０とを互いに離隔させて用紙を積載できるようにするためのものである。カバー部材７０が圧力板３０に積載された用紙を覆っている時の圧力板３０の位置を第１位置とし，カバー部材７０をオープンした時の圧力板３０の位置を第２位置とする。
【００３４】
連動ユニット７４は，カバー部材７０の回転軸７３に結合される第１回動レバー７５と，カートリッジ本体２０に回動自在に設けられる第２回動レバー７７とを備える。第１回動レバー７５は，胴体７５ａから所定長さ延ばされたレバー突起７５ｂを有する。レバー突起７５ｂは，カバー部材７０をオープンするときにＡ方向に回転して圧力板３０を干渉して下降させる。
【００３５】
第２回動レバー７７は，カートリッジ本体２０の側壁に対し回転自在に設けられる。第２回動レバー７７は，互いに長さが異なる第１及び第２レバー突起７７ａ，７７ｂを有する。第１レバー突起７７ａは，第１回動レバー７５に連動して下降する圧力板３０に押されてＡ方向に回転する。また，第２レバー突起７７ｂはＡ方向に回転しつつクローレバー６１を押し上げる。すると，クローレバー６１が上昇し，圧力板３０が下降して互いに離隔される。
【００３６】
また，カバー部材７０がオープンした状態でピックアップローラ４０を駆動するとき，カバー部材７０が自動的に閉められ，圧力板３０及びクローユニット６０が元に位置に戻るようにする自動駆動ユニット８０を更に備える。自動駆動ユニット８０は，第１回動レバー７５の外周に形成された歯車７５ｃと，カートリッジ本体２０に対し回転自在に設けられるアイドルギヤ８１と，ピックアップローラ４０の回転軸４１に設けられるメインギヤ８３とを備える。
【００３７】
歯車７５ｃは，第１回動レバー７５の胴体７５ａの外周の所定位置に形成される。よって，第１回動レバー７５の回転位置によってアイドルギヤ８１とギヤ連結，または分離する。つまり，カバー部材７０がオープンすると歯車７５ｃがアイドルギヤ８１にギヤ連結し，カバー部材７０が閉った状態では歯車７５ｃがアイドルギヤ８１から離隔する。また，歯車７５ｃが形成された部分では，所定長さのスリット７５ｄが形成される。スリット７５ｄは，歯車７５ｃがアイドルギヤ８１に連結するとき，滑らかに連結及び分離するように歯車７５ｃに弾性力を提供する。
【００３８】
アイドルギヤ８１はメインギヤ８３と第１回動レバー７５との間に回転自在に設けられる。アイドルギヤ８１はメインギヤ８３にギヤ連結し，歯車７５ｃに選択的にギヤ連結されて動力を伝達するか分離する。
【００３９】
メインギヤ８３は，カバー部材７０がオープンした状態でピックアップローラ４０を駆動するときに駆動力を用いてカバー部材７０が自動的に閉まるようにするために，ピックアップローラ４０の回転力をアイドルギヤ８１を介してカバー部材７０に伝達する。
【００４０】
また，かかるメインギヤ８３は，アイドルギヤ８１に一定のトルクがかかったとき，ピックアップローラ４０の回転軸４１の動力がアイドルギヤ８１へ伝達されるのをトルクの大きさに応じて選択的に遮断するクラッチ機能を有する。このためにメインギヤ８３は，ピックアップローラ４０の回転軸４１に固定される内側ギヤ８４と，内側ギヤ８４を受容するように結合される外側ギヤ８５とを有する。
【００４１】
外側ギヤ８５の外周には歯車が形成されてアイドルギヤ８１にギヤ連結する。また，内側ギヤ８４と外側ギヤ８５との間の接触部位では所定の摩擦力が生じる。摩擦力によって内側ギヤ８４と外側ギヤ８５が共に回転できるようになる。また，外側ギヤ８５に摩擦力より大きいトルクがかかると，内側ギヤ８４が摩擦力に勝って滑りながらそれ自体で回転しつつクラッチ機能を有するようになる。
【００４２】
このために，外側ギヤ８５の内周にはその回転方向に曲率半径が繰り返し増加または縮小して形成されたグルーブ８５ａが形成される。また，内側ギヤ８４には，グルーブ８５ａに弾力的に接触する１対の弾性部８４ａが形成される。
【００４３】
弾性部８４ａは互いに対称になるように備えられ，その端部がグルーブ８５ａに係止して摩擦力を発生させる。弾性部８４ａは，隣り合うグルーブへ滑って通過するときに圧縮し，再び復元しつつ外側ギヤ８５と一定の摩擦力を維持することになる。
【００４４】
以下，上記構成を有する本発明の実施の形態によるプリント機器の用紙カートリッジの動作について説明する。
【００４５】
先ず，図４に示すように，カバー部材７０を引き上げると，第１回動レバー７５がＡ方向に回転する。すると，レバー突起７５ｂは圧力板３０を干渉して下降させる。よって，圧力板３０はピックアップローラ４０から離隔する。また，圧力板３０は下降しつつ第１レバー突起７７ａを干渉して回転させる。
【００４６】
すると，第２レバー突起７７ｂが回転しつつクローレバー６１を干渉して押し上げる。クローレバー６１はＢ方向に回転し，圧力板３０と離隔される。このように，カバー部材７０をオープンさせると，圧力板３０が下降しつつそれと連動してクローレバー６１が上昇することにより，用紙を圧力板に容易に積載できる。上記状態で用紙を載せた後，再びカバー部材７０を閉じると，圧力板３０とクローレバー６１などが元の位置に戻る。
【００４７】
一方，上記のようにカバー部材７０がオープンした状態で，使用者がカバー部材７０を閉じきっていない状態のままでもプリント動作を行うことができる。この場合，ピックアップローラ４０は，プリント機器の本体から動力が伝達されＢ方向に回転駆動される。すると，ピックアップローラ４０の回転軸４１と共にメインギヤ８３の内側ギヤ８４がＢ方向に回転する。また，内側ギヤ８４の弾性部８４ａと外側ギヤ８５との間の摩擦力によって外側ギヤ８５も共にＢ方向に回転する。
【００４８】
すると，アイドルギヤ８１が外側ギヤ８３に連動して回転しつつ第１回動レバー７５をＢ方向に回転させる。即ち，カバー部材７０がオープンした状態では，アイドルギヤ８１と第１回動レバー７５の歯車７５ｃがギヤ連結しているため，アイドルギヤ８１が回転するにつれて第１回動レバー７５が回転する。
【００４９】
よって，カバー部材７０は，図５に示すように，Ｂ方向に下降して閉じられる。また，カバー部材７０が閉った状態になると，アイドルギヤ８１と歯車７５ｃとが分離し，それ以上動力が第１回動レバー７５に伝達できなくなる。
【００５０】
また，図５に示すように，カバー部材７０が閉められた状態でピックアップローラ４０が回転しつつ用紙をピックアップする動作中に，使用者がカバー部材７０をオープンする場合がある。この場合にも，第１回動レバー７５がＡ方向に回転し，圧力板３０及びクローレバー６１などが図４のような状態に移される。
【００５１】
そして，アイドルギヤ８１は，メインギヤ８３から動力が伝達され，Ａ方向に回転している。このような状態で，第１回動レバー７５の歯車７５ｃがアイドルギヤ８１にギヤ連結すると，互いに逆方向の負荷が作用し，アイドルギヤ８１のＡ方向への回転が停止する。
【００５２】
また，アイドルギヤ８１の回転が停止すると，アイドルギヤ８１にギヤ連結された外側ギヤ８５の回転も停止する。すると，図６に示すように，内側ギヤ８４の弾性部８４ａが繰り返し圧縮または復元するように弾性変形し，内側ギヤ８４のみが回転軸４１に沿ってＢ方向に回転する。
【００５３】
即ち，弾性部８４ａは，外側ギヤ８５のグルーブ８５ａとの摩擦力に勝って隣り合うグルーブ８５ａに繰り返し移動する。このように，カバー部材７０を無理にオープンすることにより，外側ギヤ８５にかかる負荷が弾性部８４ａとグルーブ８５ａとの間の摩擦力より大きい場合，内側ギヤ８４が回転されることにより，ピックアップローラ４０が正常に回転動作することができる。また，逆方向にかかる負荷によって各種部品が損傷することを防止できる。
【００５４】
つまり，メインギヤ８３がクラッチ役割をすることにより，カバー部材７０を自動的に閉まるようにするだけでなく，カバー部材７０を無理矢理にオープンするときの誤動作や部品の損傷を防止して製品の安定性を向上できる。
【００５５】
以上，添付図面を参照しながら本実施形態にかかる用紙カートリッジ，及びプリント機器の好適な実施形態について説明したが，本発明はかかる例に限定されない。当業者であれば，特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり，それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【００５６】
【発明の効果】
以上説明したように，本発明による用紙カートリッジ，及びプリント機器においては，圧力板に載せられる用紙を覆うことのできるカバー部材を備えることにより，用紙が埃などの異物質で汚染することが防止できる。また，用紙を積載するためにカバー部材をオープンした状態で，カバー部材をピックアップローラの回転駆動力を用いて自動的に閉めることができ，よって用紙がピックアップローラに一定の圧力で接触して正常にピックアップできるようにすることができる。
【００５７】
更に，ピックアップローラが回転する状態でカバー部材を無理にオープンする場合に，ピックアップローラの回転力がカバー部材に伝達されることを防止することにより，部品の損傷や誤動作を防止できる信頼性のある製品を供給することができる。
【図面の簡単な説明】
【図１】従来の用紙カートリッジの用紙カートリッジを示す概略説明図である。
【図２】本実施の形態による用紙カートリッジの用紙カートリッジを示す斜視図である。
【図３】図２のギヤ部を示す拡大斜視図である。
【図４】本実施の形態による用紙カートリッジの用紙カートリッジの動作を説明するための概略説明図である。
【図５】本実施の形態による用紙カートリッジの用紙カートリッジの動作を説明するための概略説明図である。
【図６】図３のメインギヤ部の動作を説明する概略説明図である。
【符号の説明】
２０ カートリッジ本体
２１ 用紙ガイド
３０ 圧力板
４０ ピックアップローラ
４１ 回転軸
４３ ローラ胴体
５０ バネ
６０ クローユニット
６１ クローレバー
７０ カバー部材
７３ カバー部材の回転軸
７４ 連動ユニット
７５ 第１回動レバー
７５ｃ 歯車
７７ 第２回動レバー
８０ 自動駆動ユニット
８１ アイドルギヤ
８３ メインギヤ
８４ 内側ギヤ
８４ａ 弾性部
８５ 外側ギヤ
８５ａ グルーブ
【発明の属する技術分野】
本発明は用紙カートリッジにおいて，より詳しくは，プリント機器に着脱自在に設けられ，用紙を供給するプリント機器の用紙カートリッジに関するものである。
【０００２】
【従来の技術】
一般に，複写機やレーザープリンタなどのようなプリント機器では，印刷機器の本体内へピックアップされる用紙を受容する用紙カートリッジが備えられる。用紙カートリッジは，通常印刷機器の本体に着脱自在に設けられ，所定のピックアップ手段によって受容された用紙が１枚ずつ供給される。
【０００３】
図１に示すように，従来の用紙カートリッジでは，用紙カートリッジ本体１０にピックアップローラ１１が設けられる。ピックアップローラ１１の下側に圧力板１３が上昇できるように設けられる。圧力板１３と用紙カートリッジ本体１０の底面との間にはバネ１５が設けられる。バネ１５の加圧力によってピックアップローラ１１と圧力板１３とが一定圧力で接触し，用紙に所定のピックアップ力を加えることができる。
【０００４】
また，ピックアップローラ１１と圧力板１３との間に用紙を載せるとき，圧力板１３をピックアップローラ１１から離隔させるためのレバー１７が更に設けられる。
【０００５】
上記の構成において，レバー１７を右側に回転させると，レバー１７の突起１７ａが圧力板１３を押し下げ，仮想線にて示すように，圧力板を下降させその状態のまま停止する。この状態で，ピックアップローラ１１と圧力板１３との間に用紙を載せた後，再びレバー１７を元の位置に戻すと，バネ１５の復元力によって圧力板１３が上昇する。よって，用紙がピックアップローラ１１に所定の圧力で接触するようになる。
【０００６】
【発明が解決しようとする課題】
ところが，上記のような構成を有する従来の用紙カートリッジにて，レバー１７を回転させてピックアップローラ１１と圧力板１３とを離隔させた後，用紙を圧力板１３の上に載せるとき，使用者がレバー１７を元の位置に戻さないと，ピックアップローラ１１と圧力板１３との間で圧力が形成されないので用紙を正常にピックアップすることができなかった。よって，使用者がそれを認知できず，レバー１７を元の位置に戻していないとき，用紙へのプリント作業が行えないという問題があった。
【０００７】
また，従来構成の用紙カートリッジでは，レバー１７を設けなければならないので，設計上が複雑になり，デザイン上の制約があった。更に，用紙を載せる圧力板１３が装置外部に開放されているので，埃や異物質などによって用紙が汚染される問題があった。
【０００８】
本発明は，従来の用紙カートリッジ，及びプリント機器が有する上記問題点に鑑みてなされたものであり，本発明の目的は，用紙とピックアップガイド面の接触角を可変にして，滑らかに用紙が供給できるようにした新規かつ改良された用紙カートリッジ，及びプリント機器を提供することである。
【０００９】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため，本発明の第１の観点によれば，カートリッジ本体と，カートリッジ本体内に上昇可能に設置される圧力板と，圧力板に載せられた用紙をピックアップするピックアップローラと，圧力板をピックアップローラ側に弾性加圧するバネと，圧力板に載せられた用紙の先端を支持してピックアップされる用紙を１枚ずつ分離するクローユニットと，用紙カートリッジに回動自在に設けられ，圧力板に載せられた用紙を覆う埃防止用カバー部材と，カバー部材がオープンした状態でピックアップローラが駆動される時は，圧力板及びクローユニットを元の位置に戻し，カバー部材を自動的に閉める自動駆動ユニットと，を含む用紙カートリッジが提供される。
【００１０】
ここで，カバー部材がオープンする時に，カバー部材とクローユニットとが連動して，クローユニットと圧力板との間を離隔させて用紙が載せられるようにする連動ユニットを更に含むことが望ましい。
【００１１】
また，連動ユニットは，カバー部材の回転軸に連結して共に回動し，カバー部材がオープンするときに前記圧力板を下降させる第１回動レバーと，カートリッジ本体に回動自在に設けられ，下降する圧力板によって一方向に回動しながらクローユニットを押し上げて圧力板から離隔させる第２回動レバーと，を含むことが望ましい。
【００１３】
また，自動駆動ユニットは，カバー部材の回転軸に設けられて共に回転し，圧力板を選択的に加圧して押し下げ，外周の所定位置に歯車が形成された第１回動レバーと，カートリッジ本体に回転自在に設けられ，第１回動レバーの所定の回転位置にて第１回動レバーの歯車に選択的に連結されるアイドルギヤと，ピックアップローラの動力をアイドルギヤに伝達するメインギヤと，を含むことが望ましい。
【００１４】
また，メインギヤは，ピックアップローラの回転方向の逆方向にアイドルギヤに一定トルクが発生すると，ピックアップローラの回転力がアイドルギヤに伝達されることを選択的に遮断するクラッチの役割をすることが望ましい。
【００１５】
また，メインギヤは，ピックアップローラの回転軸に結合される内側ギヤと，内側ギヤの外側に結合され，アイドルギヤにギヤ連結される外側ギヤと，を含み，内側ギヤと外側ギヤとの間に作用する摩擦力により，内側及び外側ギヤが共に回転し，摩擦力より大きいトルクが外側ギヤに作用する場合には，内側ギヤのみが独立的に回転してアイドルギヤへの動力伝達を制御することが望ましい。
【００１６】
また，外側ギヤの内周にはその回転方向に曲率半径が繰り返し増加または縮小するように形成された摩擦グルーブが形成され，内側ギヤは，回転時に摩擦グルーブに接触してガイドされつつ弾性変形される１つ以上の弾性部を有し，弾性部と摩擦グルーブとの間の摩擦力によって，内側及びギヤが共に回転自在であることが望ましい。
【００１７】
また，カバー部材がオープンした状態では第１回動レバーの歯車とアイドルギヤとがギヤ連結され，カバー部材が閉った状態では互いに離隔されることが望ましい。
【００１８】
また，本発明の第２の観点によれば，第１位置及び第２位置に移動し，用紙が載せられる圧力板と，圧力板上の用紙をピックアップするピックアップローラと，第１位置で圧力板上の用紙を覆うカバー部材と，ピックアップローラによってピックアップされる用紙を１枚ずつ分離するクローユニットと，ピックアップローラが第２位置でカバー部材と共に駆動される時は，カバー部材を第１位置に自動的に移動させる，自動駆動ユニットと，を含み，クローユニットは第１位置で圧力板に接触し，第２位置で圧力板と離隔されることを特徴とする用紙カートリッジが提供される。
【００１９】
上記用紙カートリッジはさらに，圧力板をピックアップローラ側に弾性加圧するバネを備えることが好ましい。また，第１の観点と同様にカバー部材に連結される回転軸及び連動ユニットを更に備え，連動ユニットは第１回動レバーと，第２回動レバーとを含むことができる。
【００２０】
また，自動駆動ユニットを更に備え，前記回転軸に設けられ，前記回転軸と共に回転し，前記第１位置へ前記圧力板を加圧して移動させ，外周には歯車が形成された第１回動レバーと，アイドルギヤと，メインギヤと，を含んで構成されることが好ましい。さらに第１回動レバーの歯車は，第２位置にあるときにアイドルギヤに連結され，第１位置にあるときにアイドルギヤから離隔されることが望ましい。
【００２１】
また，本発明の第３の観点によれば，用紙が載せられる圧力板と，圧力板上の用紙をピックアップするピックアップローラと，圧力板上の用紙を第１位置で覆い，第２位置で開放するように移動するカバー部材と，カバー部材が第２位置にある時にピックアップローラが駆動する際に，カバー部材を第１位置に自動的に移動させる自動駆動ユニットと，を含むことを特徴とする用紙カートリッジが提供される。
【００２２】
またさらに，本発明の第４の観点によれば，本体と，本体内に設けられる用紙カートリッジと，を含み，その用紙カートリッジは，用紙を載せて第１位置または第２位置に移動する圧力板と，圧力板上の用紙をピックアップするピックアップローラと，圧力板上の用紙を第１位置で覆い，第２位置で開放するように移動するカバー部材と，ピックアップローラによりピックアップされる用紙を１枚ずつ分離するクローユニットと，ピックアップローラが第２位置でカバー部材と共に駆動される時は，カバー部材を第１位置に自動的に移動させる，自動駆動ユニットと，を含み，クローユニットは，第１位置では圧力板に接触し，第２位置では圧力板から離隔されることを特徴とするプリント機器が提供される。
【００２３】
こうして，圧力板に載せられる用紙を覆うことのできるカバー部材を備えることにより，用紙が埃などの異物質で汚染することが防止でき，また，用紙を積載するためにカバー部材をオープンした状態で，カバー部材をピックアップローラの回転駆動力を用いて自動的に閉めることができ，よって用紙がピックアップローラに一定の圧力で接触して正常にピックアップできるようにすることができる。
【００２４】
更に，ピックアップローラが回転する状態でカバー部材を無理にオープンする場合に，ピックアップローラの回転力がカバー部材に伝達されることを防止することにより，部品の損傷や誤動作を防止できる信頼性のある製品を供給することができる。
【００２５】
【発明の実施の形態】
以下に添付図面を参照しながら，本実施形態にかかる用紙カートリッジ，及びプリント機器について詳細に説明する。なお，本明細書及び図面において，実質的に同一の機能構成を有する構成要素については，同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【００２６】
図２，図３，及び図４に示すように，本発明の実施の形態によるプリント機器の用紙カートリッジは，カートリッジ本体２０と，カートリッジ本体２０内で上昇できるように設けられる圧力板３０と，圧力板３０に載せられる用紙をピックアップするピックアップローラ４０と，圧力板３０をピックアップローラ４０側に弾性バイアスさせるバネ５０と，圧力板３０からピックアップされる用紙を１枚ずつ分離するクローユニット６０，及び埃防止用カバー部材７０とを備える。
【００２７】
カートリッジ本体２０は，プリント機器に取付けられ，印刷される用紙を供給するためのものである。カートリッジ本体２０には，積載される用紙を整列させるための用紙ガイド２１がスライド自在に設けられる。用紙ガイド２１は，カートリッジ本体２０でピックアップローラ４０と平行方向に往復移動できるように設けられ，使用者の操作によって積載された用紙を整列させることができる。
【００２８】
圧力板３０は用紙が積載されるところであり，その一端はカートリッジ本体２０にヒンジ連結され，他端はバネ５０によってピックアップローラ４０側へ弾性バイアスされ，上下に移動自在になる。
【００２９】
バネ５０が圧力板３０をピックアップローラ４０側へ弾性バイアスさせることにより，圧力板３０に載せられた用紙がピックアップローラ４０に所定の圧力で接触する。よって，用紙とピックアップローラとの間で一定の摩擦力が発生し，ピックアップローラ４０が回転するときに摩擦力によって用紙がピックアップされる。
【００３０】
ピックアップローラ４０は，カートリッジ本体２０の両側壁に対し回転自在に，回転軸４１と回転軸４１に所定間隔を隔てて設けられた複数のローラ胴体４３とを有する。ローラ胴体４３は，通常のピックアップローラと同様にゴム材質からなる。回転軸４１は，プリント機器の本体（図示せず）から動力伝達ギヤ列４５を介して動力が伝達されて回転する。
【００３１】
クローユニット（ｃｌａｗ ｕｎｉｔ）６０では，圧力板３０に載せられた用紙からピックアップローラ４０によってピックアップされる用紙が１枚ずつ分離されるようにする。かかるクローユニット６０は，カートリッジ本体２０の側壁に一端が回動自在に連結されるクローレバー６１と，クローレバー（ｃｌａｗ ｌｅｖｅｒ）６１の他端を下側へ即ち，圧力板３０側へ弾性バイアスさせるバネ６３とを備える。クローレバー６１の他端はバネ６３に連結され，クローレバーは圧力板３０に積載された用紙の先端の角を支持して１枚ずつピックアップ分離されるようにする。
【００３２】
埃防止用カバー部材７０は，圧力板３０に積載された用紙を埃などの異物質から保護するためのものである。カバー部材７０は，プレート型カバー本体７１と，カバー本体７１の一端に備えられたカバー部材の回転軸７３とを備える。カバー部材の回転軸７３は両端が，用紙カートリッジ本体２０の両側壁それぞれに対して回転自在になるように支持される。圧力板３０に用紙を積載する場合，カバー部材７０を回動させてオープンした後用紙を積載し，再びカバー部材７０を元の位置へ回動させて閉じる。
【００３３】
また，カバー部材７０とクローユニット６０とを連動させる連動ユニット７４を更に含む。連動ユニット７４は，カバー部材７０をオープンするときにクローユニット６０と圧力板３０とを互いに離隔させて用紙を積載できるようにするためのものである。カバー部材７０が圧力板３０に積載された用紙を覆っている時の圧力板３０の位置を第１位置とし，カバー部材７０をオープンした時の圧力板３０の位置を第２位置とする。
【００３４】
連動ユニット７４は，カバー部材７０の回転軸７３に結合される第１回動レバー７５と，カートリッジ本体２０に回動自在に設けられる第２回動レバー７７とを備える。第１回動レバー７５は，胴体７５ａから所定長さ延ばされたレバー突起７５ｂを有する。レバー突起７５ｂは，カバー部材７０をオープンするときにＡ方向に回転して圧力板３０を干渉して下降させる。
【００３５】
第２回動レバー７７は，カートリッジ本体２０の側壁に対し回転自在に設けられる。第２回動レバー７７は，互いに長さが異なる第１及び第２レバー突起７７ａ，７７ｂを有する。第１レバー突起７７ａは，第１回動レバー７５に連動して下降する圧力板３０に押されてＡ方向に回転する。また，第２レバー突起７７ｂはＡ方向に回転しつつクローレバー６１を押し上げる。すると，クローレバー６１が上昇し，圧力板３０が下降して互いに離隔される。
【００３６】
また，カバー部材７０がオープンした状態でピックアップローラ４０を駆動するとき，カバー部材７０が自動的に閉められ，圧力板３０及びクローユニット６０が元に位置に戻るようにする自動駆動ユニット８０を更に備える。自動駆動ユニット８０は，第１回動レバー７５の外周に形成された歯車７５ｃと，カートリッジ本体２０に対し回転自在に設けられるアイドルギヤ８１と，ピックアップローラ４０の回転軸４１に設けられるメインギヤ８３とを備える。
【００３７】
歯車７５ｃは，第１回動レバー７５の胴体７５ａの外周の所定位置に形成される。よって，第１回動レバー７５の回転位置によってアイドルギヤ８１とギヤ連結，または分離する。つまり，カバー部材７０がオープンすると歯車７５ｃがアイドルギヤ８１にギヤ連結し，カバー部材７０が閉った状態では歯車７５ｃがアイドルギヤ８１から離隔する。また，歯車７５ｃが形成された部分では，所定長さのスリット７５ｄが形成される。スリット７５ｄは，歯車７５ｃがアイドルギヤ８１に連結するとき，滑らかに連結及び分離するように歯車７５ｃに弾性力を提供する。
【００３８】
アイドルギヤ８１はメインギヤ８３と第１回動レバー７５との間に回転自在に設けられる。アイドルギヤ８１はメインギヤ８３にギヤ連結し，歯車７５ｃに選択的にギヤ連結されて動力を伝達するか分離する。
【００３９】
メインギヤ８３は，カバー部材７０がオープンした状態でピックアップローラ４０を駆動するときに駆動力を用いてカバー部材７０が自動的に閉まるようにするために，ピックアップローラ４０の回転力をアイドルギヤ８１を介してカバー部材７０に伝達する。
【００４０】
また，かかるメインギヤ８３は，アイドルギヤ８１に一定のトルクがかかったとき，ピックアップローラ４０の回転軸４１の動力がアイドルギヤ８１へ伝達されるのをトルクの大きさに応じて選択的に遮断するクラッチ機能を有する。このためにメインギヤ８３は，ピックアップローラ４０の回転軸４１に固定される内側ギヤ８４と，内側ギヤ８４を受容するように結合される外側ギヤ８５とを有する。
【００４１】
外側ギヤ８５の外周には歯車が形成されてアイドルギヤ８１にギヤ連結する。また，内側ギヤ８４と外側ギヤ８５との間の接触部位では所定の摩擦力が生じる。摩擦力によって内側ギヤ８４と外側ギヤ８５が共に回転できるようになる。また，外側ギヤ８５に摩擦力より大きいトルクがかかると，内側ギヤ８４が摩擦力に勝って滑りながらそれ自体で回転しつつクラッチ機能を有するようになる。
【００４２】
このために，外側ギヤ８５の内周にはその回転方向に曲率半径が繰り返し増加または縮小して形成されたグルーブ８５ａが形成される。また，内側ギヤ８４には，グルーブ８５ａに弾力的に接触する１対の弾性部８４ａが形成される。
【００４３】
弾性部８４ａは互いに対称になるように備えられ，その端部がグルーブ８５ａに係止して摩擦力を発生させる。弾性部８４ａは，隣り合うグルーブへ滑って通過するときに圧縮し，再び復元しつつ外側ギヤ８５と一定の摩擦力を維持することになる。
【００４４】
以下，上記構成を有する本発明の実施の形態によるプリント機器の用紙カートリッジの動作について説明する。
【００４５】
先ず，図４に示すように，カバー部材７０を引き上げると，第１回動レバー７５がＡ方向に回転する。すると，レバー突起７５ｂは圧力板３０を干渉して下降させる。よって，圧力板３０はピックアップローラ４０から離隔する。また，圧力板３０は下降しつつ第１レバー突起７７ａを干渉して回転させる。
【００４６】
すると，第２レバー突起７７ｂが回転しつつクローレバー６１を干渉して押し上げる。クローレバー６１はＢ方向に回転し，圧力板３０と離隔される。このように，カバー部材７０をオープンさせると，圧力板３０が下降しつつそれと連動してクローレバー６１が上昇することにより，用紙を圧力板に容易に積載できる。上記状態で用紙を載せた後，再びカバー部材７０を閉じると，圧力板３０とクローレバー６１などが元の位置に戻る。
【００４７】
一方，上記のようにカバー部材７０がオープンした状態で，使用者がカバー部材７０を閉じきっていない状態のままでもプリント動作を行うことができる。この場合，ピックアップローラ４０は，プリント機器の本体から動力が伝達されＢ方向に回転駆動される。すると，ピックアップローラ４０の回転軸４１と共にメインギヤ８３の内側ギヤ８４がＢ方向に回転する。また，内側ギヤ８４の弾性部８４ａと外側ギヤ８５との間の摩擦力によって外側ギヤ８５も共にＢ方向に回転する。
【００４８】
すると，アイドルギヤ８１が外側ギヤ８３に連動して回転しつつ第１回動レバー７５をＢ方向に回転させる。即ち，カバー部材７０がオープンした状態では，アイドルギヤ８１と第１回動レバー７５の歯車７５ｃがギヤ連結しているため，アイドルギヤ８１が回転するにつれて第１回動レバー７５が回転する。
【００４９】
よって，カバー部材７０は，図５に示すように，Ｂ方向に下降して閉じられる。また，カバー部材７０が閉った状態になると，アイドルギヤ８１と歯車７５ｃとが分離し，それ以上動力が第１回動レバー７５に伝達できなくなる。
【００５０】
また，図５に示すように，カバー部材７０が閉められた状態でピックアップローラ４０が回転しつつ用紙をピックアップする動作中に，使用者がカバー部材７０をオープンする場合がある。この場合にも，第１回動レバー７５がＡ方向に回転し，圧力板３０及びクローレバー６１などが図４のような状態に移される。
【００５１】
そして，アイドルギヤ８１は，メインギヤ８３から動力が伝達され，Ａ方向に回転している。このような状態で，第１回動レバー７５の歯車７５ｃがアイドルギヤ８１にギヤ連結すると，互いに逆方向の負荷が作用し，アイドルギヤ８１のＡ方向への回転が停止する。
【００５２】
また，アイドルギヤ８１の回転が停止すると，アイドルギヤ８１にギヤ連結された外側ギヤ８５の回転も停止する。すると，図６に示すように，内側ギヤ８４の弾性部８４ａが繰り返し圧縮または復元するように弾性変形し，内側ギヤ８４のみが回転軸４１に沿ってＢ方向に回転する。
【００５３】
即ち，弾性部８４ａは，外側ギヤ８５のグルーブ８５ａとの摩擦力に勝って隣り合うグルーブ８５ａに繰り返し移動する。このように，カバー部材７０を無理にオープンすることにより，外側ギヤ８５にかかる負荷が弾性部８４ａとグルーブ８５ａとの間の摩擦力より大きい場合，内側ギヤ８４が回転されることにより，ピックアップローラ４０が正常に回転動作することができる。また，逆方向にかかる負荷によって各種部品が損傷することを防止できる。
【００５４】
つまり，メインギヤ８３がクラッチ役割をすることにより，カバー部材７０を自動的に閉まるようにするだけでなく，カバー部材７０を無理矢理にオープンするときの誤動作や部品の損傷を防止して製品の安定性を向上できる。
【００５５】
以上，添付図面を参照しながら本実施形態にかかる用紙カートリッジ，及びプリント機器の好適な実施形態について説明したが，本発明はかかる例に限定されない。当業者であれば，特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり，それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【００５６】
【発明の効果】
以上説明したように，本発明による用紙カートリッジ，及びプリント機器においては，圧力板に載せられる用紙を覆うことのできるカバー部材を備えることにより，用紙が埃などの異物質で汚染することが防止できる。また，用紙を積載するためにカバー部材をオープンした状態で，カバー部材をピックアップローラの回転駆動力を用いて自動的に閉めることができ，よって用紙がピックアップローラに一定の圧力で接触して正常にピックアップできるようにすることができる。
【００５７】
更に，ピックアップローラが回転する状態でカバー部材を無理にオープンする場合に，ピックアップローラの回転力がカバー部材に伝達されることを防止することにより，部品の損傷や誤動作を防止できる信頼性のある製品を供給することができる。
【図面の簡単な説明】
【図１】従来の用紙カートリッジの用紙カートリッジを示す概略説明図である。
【図２】本実施の形態による用紙カートリッジの用紙カートリッジを示す斜視図である。
【図３】図２のギヤ部を示す拡大斜視図である。
【図４】本実施の形態による用紙カートリッジの用紙カートリッジの動作を説明するための概略説明図である。
【図５】本実施の形態による用紙カートリッジの用紙カートリッジの動作を説明するための概略説明図である。
【図６】図３のメインギヤ部の動作を説明する概略説明図である。
【符号の説明】
２０ カートリッジ本体
２１ 用紙ガイド
３０ 圧力板
４０ ピックアップローラ
４１ 回転軸
４３ ローラ胴体
５０ バネ
６０ クローユニット
６１ クローレバー
７０ カバー部材
７３ カバー部材の回転軸
７４ 連動ユニット
７５ 第１回動レバー
７５ｃ 歯車
７７ 第２回動レバー
８０ 自動駆動ユニット
８１ アイドルギヤ
８３ メインギヤ
８４ 内側ギヤ
８４ａ 弾性部
８５ 外側ギヤ
８５ａ グルーブ
Claims (17)
- カートリッジ本体と，
前記カートリッジ本体内に上昇可能に設置される圧力板と，
前記圧力板に載せられた用紙をピックアップするピックアップローラと，
前記圧力板を前記ピックアップローラ側に弾性加圧するバネと，
前記圧力板に載せられた用紙の先端を支持し，前記ピックアップローラによってピックアップされる用紙を１枚ずつ分離するクローユニットと，
前記カートリッジ本体に回動自在に設置され，前記圧力板に載せられた用紙を覆う埃防止用のカバー部材と，
前記カバー部材がオープンした状態で前記ピックアップローラが駆動される時は，前記圧力板及び前記クローユニットを元の位置に戻し，前記カバー部材を自動的に閉める自動駆動ユニットと，
を含むことを特徴とする用紙カートリッジ。 - 前記カバー部材がオープンする時には，前記クローユニットと前記圧力板との間を離隔して，用紙の積載を可能にする連動ユニットを更に含むことを特徴とする請求項１に記載の用紙カートリッジ。
- 前記連動ユニットは，
前記カバー部材の回転軸に連結して回動し，前記カバー部材がオープンする時に前記圧力板を下降させる第１回動レバーと，
前記カートリッジ本体に回動自在に設けられ，前記下降する圧力板により一方向に回動することにより，前記クローユニットを押し上げて圧力板から離隔させる第２回動レバーと，
を含むことを特徴とする請求項２に記載の用紙カートリッジ。 - 前記自動駆動ユニットは，
前記カバー部材の回転軸に連結して回動し，前記圧力板を選択的に下降させる，外周の所定位置に歯車が形成された第１回動レバーと，
前記カートリッジ本体に回転自在に設けられ，前記第１回動レバーの歯車に選択的にギヤ連結されるアイドルギヤと，
前記ピックアップローラの動力を前記アイドルギヤに伝達するメインギヤと，
を含むことを特徴とする請求項１〜３のいずれかに記載の用紙カートリッジ。 - 前記メインギヤは，前記アイドルギヤに前記ピックアップローラの回転と逆方向に一定トルクが発生すると，前記ピックアップローラから前記アイドルギヤへの回転力の伝達を選択的に遮断するクラッチとして働くことを特徴とする請求項４に記載の用紙カートリッジ。
- 前記メインギヤは，
前記ピックアップローラの回転軸に結合される内側ギヤと，
前記内側ギヤの外側で前記アイドルギヤにギヤ連結される外側ギヤと，
を含み，
前記内側ギヤと外側ギヤとの間に作用する摩擦力により，前記内側ギヤ及び外側ギヤが共に回転し，前記摩擦力より大きいトルクが前記外側ギヤに作用する際には，内側ギヤのみが独立的に回転して，前記アイドルギヤへの動力伝達が制御されることを特徴とする請求項４または５に記載の用紙カートリッジ。 - 前記外側ギヤは，内周に曲率半径が回転方向に繰り返し増加または縮小するように形成された摩擦グルーブが形成され，前記内側ギヤは，回転時に前記摩擦グルーブに接触してガイドされ，弾性変形する少なくとも１つの弾性部を有し，前記弾性部と前記摩擦グルーブとの間の摩擦力によって，前記内側及び外側ギヤが共に回転することを特徴とする請求項６に記載の用紙カートリッジ。
- 前記カバー部材がオープンした状態では，前記第１回動レバーの歯車と前記アイドルギヤとがギヤ連結され，前記カバー部材が閉った状態では，前記第１回動レバーの歯車と前記アイドルギヤとが互いに離隔されることを特徴とする請求項４〜７のいずれかに記載の用紙カートリッジ。
- 第１位置及び第２位置に移動し，用紙が載せられる圧力板と，
前記圧力板上の用紙をピックアップするピックアップローラと，
前記第１位置で前記圧力板上の用紙を覆うカバー部材と，
前記ピックアップローラによってピックアップされる用紙を１枚ずつ分離するクローユニットと，
前記ピックアップローラが前記第２位置で前記カバー部材と共に駆動される時は，前記カバー部材を前記第１位置に自動的に移動させる，自動駆動ユニットと，
を含み，
前記クローユニットは前記カバー部材の前記第１位置で前記圧力板に接触し，前記第２位置で前記圧力板と離隔されることを特徴とする用紙カートリッジ。 - 前記圧力板を前記ピックアップローラ側に弾性加圧するバネを更に備えることを特徴とする請求項９に記載の用紙カートリッジ。
- 前記カバー部材に連結される回転軸及び連動ユニットを更に備え，
前記連動ユニットは，
前記回転軸に連結して回転し，前記カバー部材が前記第２位置に移動した際には前記圧力板に接触して，前記第１位置に移動させる第１回動レバーと，
前記第１位置に移動する前記圧力板に接触して回転し，前記第２位置にクローユニットを押し出し，前記圧力板を前記クローユニットから分離する第２回動レバーと，
を含むことを特徴とする請求項９または１０に記載の用紙カートリッジ。 - 前記カバー部材は回転軸を備え，
前記自動駆動ユニットは，
前記回転軸に設けられ，前記回転軸と共に回転し，前記第１位置へ前記圧力板を加圧して移動させ，外周には歯車が形成された第１回動レバーと，
前記第１回動レバーの所定の回転位置で前記第１回動レバーの歯車に選択的に連結されるアイドルギヤと，
前記ピックアップローラの動力を前記アイドルギヤに伝達するメインギヤと，
を含むことを特徴とする請求項９〜１１のいずれかに記載の用紙カートリッジ。 - 前記第１回動レバーの歯車は，前記カバー部材が前記第２位置にあるときに前記アイドルギヤに連結され，前記カバー部材が前記第１位置にあるときにアイドルギヤから離隔されることを特徴とする請求項１２に記載の用紙カートリッジ。
- 用紙が載せられる圧力板と，
前記圧力板上の用紙をピックアップするピックアップローラと，
前記圧力板上の用紙を第１位置で覆い，第２位置で開放するように移動するカバー部材と，
前記カバー部材が前記第２位置にある時に前記ピックアップローラが駆動する際に，前記カバー部材を前記第１位置に自動的に移動させる自動駆動ユニットと，
を含むことを特徴とする用紙カートリッジ。 - 前記カバー部材は回転軸を備え，
前記自動駆動ユニットは，
前記回転軸に設けられ，前記回転軸と共に回転し，前記第１位置に前記圧力板を加圧して移動させ，外周には歯車が形成された第１回動レバーと，
前記第１回動レバーの所定回転位置で前記第１回動レバーの歯車に選択的に連結されるアイドルギヤと，
前記ピックアップローラの動力を前記アイドルギヤに伝達するメインギヤと，
を含むことを特徴とする請求項１４に記載の用紙カートリッジ。 - 前記第１回動レバーの歯車は，前記カバー部材が第２位置にあるときは前記アイドルギヤに連結され，前記カバー部材が第１位置にあるときは前記アイドルギヤから隔離されることを特徴とする請求項１５に記載の用紙カートリッジ。
- 本体と，
前記本体内に設けられる用紙カートリッジと，
を含み，
前記用紙カートリッジは，
用紙を載せて第１位置または第２位置に移動する圧力板と，
前記圧力板上の用紙をピックアップするピックアップローラと，
前記圧力板上の用紙を前記第１位置で覆い，前記第２位置で開放するように移動するカバー部材と，
前記ピックアップローラによりピックアップされる用紙を１枚ずつ分離するクローユニットと，
前記ピックアップローラが前記第２位置で前記カバー部材と共に駆動される時は，前記カバー部材を前記第１位置に自動的に移動させる，自動駆動ユニットと，
を含み，
前記クローユニットは，前記第１位置では前記圧力板に接触し，前記第２位置では前記圧力板から離隔されることを特徴とするプリント機器。
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