JP3726358B2 - 用紙搬送装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、着脱可能に装着した用紙カセット内の用紙から1枚ずつ送り出す給紙装置およびプリンタに関する。
【0002】
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】
従来、小型のプリンタ等では、装置本体を小さくしかつ梱包時の体積を小さくするなどの目的で、用紙カセットを装置本体から突出する状態で着脱可能に装着することが行われている。また、複写機等では、用紙交換などのために各種のサイズの用紙カセットを着脱可能に装着することが行われている。
【0003】
前者のものでは、一般に用紙カセットに給紙ローラが一緒に組み込まれ、構造が複雑になるだけでなく、用紙カセットの装着時に給紙ローラを駆動源に接続しなければならない。後者のものでは、用紙カセットに用紙を装填する際、用紙カセットを取り外さなければならない。
【0004】
本発明は、用紙カセットの構造を簡単にし、容易に装着できるようにするとともに、取り外さなくても用紙カセットに容易に用紙を装填できるようにするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段および発明の効果】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の給紙装置は、送出機構を備えた装置本体に用紙カセットを着脱自在に装着し、その用紙カセット内の用紙から送出機構によって1枚ずつ送り出す給紙装置において、前記用紙カセットは、前記用紙を前記送出機構と対向する位置に支持する用紙台と、その用紙台を前記送出機構に向けて押し上げ付勢する付勢手段と、前記用紙台の上面を開閉可能に覆うカバーと、そのカバーに設けられ、カバーの開放時前記用紙台を送出機構から離す方向に移動させる移動部と、また、前記カバーの閉鎖時、前記用紙カセットを取り外した状態で、前記用紙台の上面が前記送出機構にほぼ接する位置以上の前記用紙台の上昇を規制する規制部とを有し、前記送出機構は、用紙に接する円弧状の外周部と、その外周部よりも半径方向中心側に後退した切欠部とを有する給紙ローラと、この給紙ローラと同軸上に回転自在に備えられ、前記円弧状の外周部よりも小径のカラーとを備え、前記規制部は、前記給紙ローラの円弧状の外周部にほぼ接する位置以上の前記用紙台の上昇を規制し、前記用紙カセットを装置本体に装着した状態で、前記用紙台は前記カラーによって上昇を規制され、前記規制部は前記用紙台からほぼ離れることを特徴とする。
【0006】
これにより、用紙カセットの取り外し状態で、カバーの閉鎖時用紙台の上面が送出機構にほぼ接する位置以上の用紙台の上昇を規制されているため、用紙カセットを装置本体に装着する際、用紙台が送出機構と対向する位置に容易に入る。また、用紙を装填するとき、カバーを開放することで、用紙台を送出機構から離し、用紙台と送出機構間に用紙を容易に装填することができる。また、用紙カセットを装置本体に装着する際、用紙台が給紙ローラと対向する位置へ、給紙ローラに触れることなく一層容易に入ることができる。さらに、用紙カセットを装置本体に装着する前、用紙台は規制部によってその上昇が規制され、装置本体に装着すると、規制部からカラーへ引き継がれて上昇が規制され、用紙台が給紙ローラと対向する位置へ容易に入ることができる。その際、用紙台がカラーに突き当たっても、カラーは自在に回転し、用紙台の挿入を積極的に案内することができる。
【0007】
上記構成において、好ましくは前記移動部と規制部は、前記カバーから前記用紙台に向け突出して設けられたアーム部材に設けられている構成とすることができる。これにより、カバーの開閉で用紙台の上昇の規制、送出機構からの離間の両方の動作を行うことができ、構造が簡単になるだけでなく、操作も容易にすることができる。
【0008】
【0009】
【0010】
また上記構成は、前記送出機構の下流側に、用紙の送り出し方向において上昇する、用紙分離のための傾斜面を有するものにおいて好適である。つまり、用紙のコーナに作用して用紙分離をするものでは、使用する用紙の種類(薄いか、厚いか)が制限されるだけでなく、分離部材の下に用紙を挿入するように注意しなければならないが、この構成では、送出機構と用紙台との間に用紙をあまり注意をはらうことなく挿入するだけでよく、用紙の装填を容易にすることができる。さらに、上記給紙装置は、前記送出機構により送り出された用紙に向けて、インク滴を吐出して印字するインクジェット式印字ヘッドを設けたプリンタに好適で、用紙カセットの着脱が容易でかつ用紙の装填が容易なプリンタを実現することができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明をインクジェット式のプリンタに具体化した図面を参照して説明する。
【0012】
このプリンタは、給紙装置2から用紙Sを一枚ずつ送り出し、さらに搬送装置7によりその用紙を印字機構1の前面に搬送し、用紙Sに所定の印字を行う。用紙Sは、一定寸法の矩形状に裁断されたいわゆる単票用紙である。
【0013】
印字機構1には、ガイドレール10に沿って往復移動するキャリッジ11と、キャリッジ11に支持されたインクカートリッジ12及び印字ヘッド13が設けられる。ガイドレール10は、給紙装置2から供給される用紙Sの幅方向、すなわち用紙Sの表面と平行でかつ用紙Sの送り方向と直交する方向に配置される。印字時には、キャリッジ11が不図示の駆動源(例えばモータ)にて往復駆動されつつ印字ヘッド13からその下方を通過する用紙Sに向かってインク滴が吐出され、それにより用紙Sに文字や図形が印字される。
【0014】
搬送機構7は、搬送ローラ70と従動ローラ71とから構成される。給紙装置2から送られた用紙Sは、その先端を両ローラにレジストされ、その後、印字機構1に対向するまで送られ、印字機構1が1行印字するごとに所定量ずつおくられる。
【0015】
給紙装置2は、用紙Sを積層状態で収容する用紙カセット3と、用紙カセット3から用紙Sを送り出すための送出機構4と、用紙カセット3から送り出される用紙Sが突き当たるように設けられた分離用の傾斜面5とを有し、傾斜面5よりも用紙Sの送り方向下流側に上記搬送機構7が位置する。
【0016】
用紙カセット3は、装置本体20に対して一部を突出した状態で着脱可能に装着される。給紙カセット3は、装置本体20に形成されたカセット装着部81に、その前端側(用紙Sの排出端側)を下にして斜めに傾いた状態で支持され、同端に突出形成された突起部30cを装着部81側の溝81aに嵌合して用紙カセット3の倒れが防止されている。
【0017】
給紙カセット3は、底壁30aとその底壁の左右両側から立ち上がった側壁30bからなる、前面を開放した断面ほぼコ字状の箱部を有し、その内部には用紙を積層支持する用紙台31が設けられる。用紙台31は、その後端側の左右両側で軸34により側壁30bに水平軸線のまわりに揺動可能に支持され、前端側が付勢手段例えばバネ35により送出機構4側に押し上げ付勢されている。
【0018】
用紙カセット3には、用紙台31の上面を開閉可能に覆うカバー32が設けられる。用紙台31の前端部分は送出機構4と対向するため、カバー32はそれよりも後方部分に位置する。カバー32には、その左右両側に用紙台31側へ突出した一対のアーム部材33が形成され、そのアーム部材の中間部分において軸36により側壁30bに水平軸線のまわりに回転可能に支持されている。
【0019】
アーム部材33の軸36よりも先端側33aは、カバー32を開放したとき図5に示すように、用紙台31を送出機構4から離すように押し下げる長さに形成されている。つまり、先端側33aは用紙台31を移動操作する移動部として機能する。その際、移動部33aの端部は、用紙台31の凹部31bに嵌合し、バネ35の付勢力によってカバー32を開放状態に保持する。また、カバー32の閉鎖状態において、移動部33aはその長さ方向を前方へ延ばし、下側の側縁33bを用紙台31に対向させ、用紙台31のバネ35による上昇を規制する。つまり、側縁33bは、用紙台31の上昇を規制する規制部として機能する。カバー32の閉鎖状態において、用紙カセット3のカセット装着部8に対する位置決め部位すなわち用紙カセット3の底面から規制部33bまでの高さh1は、カセット装着部8の内底面から後述する送出機構4のカラー42の外周までの高さh2よりもわずか大きく、カセット装着部8の内底面から給紙ローラの切欠部412よりも小さい。これにより、規制部33bは、カバー32の閉鎖状態において用紙台31を、カラー42の外周および給紙ローラ41の外周部411にほぼ接する(詳細には両者に少し圧接する程度に接する)位置以上の上昇を規制する。図2に示すように、用紙台31は前端部分において側壁30bの内面よりも外方へ突出した部分31aを有し、その突出部分31a上に上記凹部31bが設けられている。アーム部材33の移動部33の先端側および規制部33bはその突出部分31aと対向して位置する。これにより、用紙Sを側壁30bの内面に当てて用紙台31上に載置したとき、アーム部材33が用紙Sに干渉しないように位置する。
【0020】
送出機構4は、カセット装着部81の上方において装置本体20に取り付けられた、用紙Sの幅方向と平行な支持軸40と、支持軸40上に間隔をおいて取付けられた一対の給紙ローラ41および複数個のカラー42を有する。
【0021】
支持軸40は、不図示の駆動源により図1の反時計方向に回転可能である。給紙ローラ41は、支持軸40と同軸の円弧を描くように湾曲する外周部410と、その外周部410よりも半径方向中心側に後退した切欠部411とを有する。給紙ローラ41は支持軸40と一体に回転可能とされ、用紙に対する摩擦係数を高めるためにゴム等の摩擦部材によって構成される。外周部410は、その周方向に関して一枚の用紙Sを搬送機構7の搬送ローラ70と従動ローラ71との間(図1参照)まで送り出すのに必要な長さを有する。
【0022】
カラー42は、曲率一定の外周面を有する円板状に形成され、支持軸40に対して相対的に回転自在である。カラー42の外径は給紙ローラ41の外周部410の外径よりも僅かに小さく、切欠部42よりも大きく設定されている。支持軸40が図1の反時計方向に回転して給紙ローラ41の外周部410が用紙台31と対向すると、用紙台31にて押し上げられた用紙Sが給紙ローラ41の外周に押し付けられ、それにより用紙カセット3の最上位の用紙Sが押し出される。給紙ローラ41の回転が進行して切欠部411が用紙カセット3側に繰り出されると、用紙カセット3内に残された用紙Sがカラー42の外周面に突き当てられる。これにより、用紙Sの送出完了後、給紙ローラ41が用紙Sから離れた状態に保持されながら、搬送機構7により搬送される用紙Sに追従してカラー42が回転される。そして次の用紙Sの送り出しが開始される迄の間、用紙Sの浮き上がりが阻止される。
【0023】
給紙ローラ41と対向する用紙台31の上面には、摩擦部材例えばコルク36が貼付され、その摩擦部材によって最下層の用紙と用紙台31との所定の摩擦が確保される。
【0024】
傾斜面5は装置本体20に一体に形成される。傾斜面5は、給紙カセット3の前端から下降する用紙Sを受け止める用紙受け面50から上方に連続し、かつ用紙Sの送り方向において上昇するように傾斜している。給紙カセット3から送り出される用紙Sは傾斜面5で一枚ずつに分離されて搬送機構7側へ移動する。この傾斜面での分離は、薄紙だけでなくハガキのような厚紙または剛性の大きい用紙にも適応できる。また傾斜面5には、必要に応じて摩擦部材等を貼付することができる。
【0025】
用紙カセット3を装置本体20に装着するとき、図3に示すように、カバー32を閉鎖しておくと、用紙台31はアーム部材33の規制部33bに当たるまでバネ35の付勢で上昇する。用紙カセット3をカセット装着部81に挿入すると、用紙台31の前端がカラー42の外周に当たるが、カラー42は自在に回転し、用紙台31を少し押し下げつつその外周の下に案内する。そして、図4に示すように用紙台31は規制部33bから離れ、カラー42によって上昇を規制される。
【0026】
この状態で用紙カセット3に用紙Sを装填するとき、図5に示すように、カバー32を軸36のまわりに回転して開放すると、アーム部材33の移動部33aによって用紙台31が押し下げられ、用紙台31と給紙ローラ41との間隔が広がる。カバー32は上記のように開放状態に保持される。この状態で、その両者間に用紙を用紙カセット3の上方から挿入することができる。用紙は、前端を用紙受け面50に当てて用紙台31上に積層される。
【0027】
そしてカバー32を閉鎖すると、用紙台31はバネ35の付勢で給紙ローラ41に向け押し上げられ、図1に示すように用紙がカラー42に押し当てられる。このときアーム部材33の規制部33bがカラー42の外周よりもわずか上に位置するので、給紙ローラ41による用紙の送り出しには支障はない。
【0028】
なお、上記のように用紙カセット3をカセット装着部81に挿入するとき、用紙台31の前端がカラー42の外周に当たってカラー42が回転するが、給紙ローラ41は通常回転することはない。しかし、このときの万が一の給紙ローラ41の回転を防止するために、給紙ローラ42への動力伝達経路に、板ばねの先端を凹部に係合させたクリックストップ機構または制動機構を設けて、小さな外力での給紙ローラの回転を防止することができる。もちろん給紙ローラ41の駆動源の駆動力は、クリックストップ機構または制動機構による抵抗よりも大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を具体化したインクジェット式プリンタの縦断面図。
【図2】図1の平面図。
【図3】用紙カセットの装着過程を示す縦断面図。
【図4】図3の装着完了状態を示す縦断面図。
【図5】用紙カセットのカバー開放状態を示す縦断面図。
【符号の説明】
20 装置本体
3 用紙カセット
31 用紙台
32 カバー
33 アーム部材
33a 移動部
33b 規制部
35 付勢手段(バネ)
41 給紙ローラ
42 カラー

Claims (4)

  1. 送出機構を備えた装置本体に用紙カセットを着脱自在に装着し、その用紙カセット内の用紙から送出機構によって1枚ずつ送り出す給紙装置において、
    前記用紙カセットは、
    前記用紙を前記送出機構と対向する位置に支持する用紙台と、
    その用紙台を前記送出機構に向けて押し上げ付勢する付勢手段と、
    前記用紙台の上面を開閉可能に覆うカバーと、
    そのカバーに設けられ、カバーの開放時前記用紙台を送出機構から離す方向に移動させる移動部と、
    また、前記カバーの閉鎖時、前記用紙カセットを取り外した状態で、前記用紙台の上面が前記送出機構にほぼ接する位置以上の前記用紙台の上昇を規制する規制部とを有し、
    前記送出機構は、用紙に接する円弧状の外周部と、その外周部よりも半径方向中心側に後退した切欠部とを有する給紙ローラと、この給紙ローラと同軸上に回転自在に備えられ、前記円弧状の外周部よりも小径のカラーとを備え、
    前記規制部は、前記給紙ローラの円弧状の外周部にほぼ接する位置以上の前記用紙台の上昇を規制し、
    前記用紙カセットを装置本体に装着した状態で、前記用紙台は前記カラーによって上昇を規制され、前記規制部は前記用紙台からほぼ離れることを特徴とする給紙装置。
  2. 請求項1において、前記移動部と規制部は、前記カバーから前記用紙台に向け突出して設けられたアーム部材に設けられていることを特徴とする給紙装置。
  3. 請求項1〜2のいずれかにおいて、さらに前記送出機構の下流側に、用紙の送り出し方向において上昇する、用紙分離のための傾斜面を有することを特徴とする給紙装置。
  4. 請求項1〜3のいずれかの給紙装置を備え、前記送出機構により送り出された用紙に向けて、インク滴を吐出して印字するインクジェット式印字ヘッドを設けたことを特徴とするプリンタ。
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