JP3648196B2 - 健康食品 - Google Patents
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Description
【発明が属する技術分野】
本発明は、ケール末を含有する健康食品に関する。より詳細には、ケール末と難消化性デキストリンとを含有する、健康食品に関する。
【0002】
【従来の技術】
健康食品がブームとなり、生活習慣病を改善するといわれる種々の食品が開発されているが、その多くは、単一の食品素材に賦形剤を添加して成型されたものである。ところが最近では、複数の食品素材を組み合わせて、相乗作用を訴求したものが開発され、市販されるようになってきた。
【0003】
しかし、このように複数の食品素材を組み合わせた場合には、お互いの効果が逆に相殺されてしまうこともあるため、その組み合わせには注意が必要である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
そこで複数の食品素材を組み合わせて相乗的な作用を奏する健康食品が望まれている。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、種々の栄養成分を豊富に含有するケール末を用いた健康食品について鋭意検討した結果、ケール末と難消化性デキストリンとを組み合わせることにより、胃腸の調子を整え、かつ肌質を改善することができることを見出して本発明を完成させた。
【0006】
すなわち、本発明は、ケール末と難消化性デキストリンとを含有する、健康食品を提供する。
【0007】
好ましい実施態様において、上記健康食品は、さらにスピルリナを含有する。
【0008】
好ましい実施態様において、上記健康食品は、さらに緑茶または抹茶を含有する。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の健康食品について説明する。なお、以下に説明する構成は、本発明を限定するものでなく、本発明の趣旨の範囲内で種々改変することができるものである。
【0010】
本発明の健康食品に含まれるケール末の原料であるケールは、アブラナ科植物の1種であり、葉にはキャベツと同様にビタミンCが多く含まれている。また、ケールは、胃炎や胃潰瘍の予防、肝機能や便秘に有効であることが知られている。
【0011】
本発明では、ケールとして、キッチンケール、ツリーケール、ブッシュケール、マローケール、コラードおよび緑葉カンランなどを用いる。ケールは、葉部および茎部のいずれも、原料として用いることができる。
【0012】
次に、本発明の健康食品に含まれるケール末の調製方法について説明する。
【0013】
まず、ケールを収穫した後、付着した泥などを洗い流す洗浄工程を行う。この洗浄工程は、冷水(20℃以下の水)を用いて行うと好適である。洗浄工程において冷水を用いるのは、後の裁断工程においてケール処理中のケールの温度が過度に上昇するのを防止し、酸化反応、酵素反応によるケールの変質を防止することが可能となるからである。なお、ケールは、風味などの品質劣化防止のため、収穫後直ちに洗浄工程などの処理を行うのがよい。
【0014】
次いで、水気を切った後、通常用いられる切断具(カッター、スライサーなど)を用いて、ケールの葉部および茎部を適当な大きさ(例えば、5cm程度)に裁断する、裁断工程を行う。なお、この裁断工程は、後述する粉砕工程と同時に行ってもよい。
【0015】
さらに必要に応じて、ケール中に含まれ、ケールの変質に関与する酵素を失活させるための、ブランチング処理を行う。なお、ここでいう、変質に関与する酵素とは、クロロフィラーゼ、ペルオキシダーゼなどである。
【0016】
ブランチング処理としては、熱水処理、水蒸気処理などが挙げられる。通常90〜100℃の熱水で1〜5分間、ケールを処理する。
【0017】
上記ブランチング工程を行った後、ブランチング工程で処理されたケールを冷却する冷却工程を行う。冷却工程は、ケールを冷水に浸漬することにより行う。その他、冷蔵、凍結や、冷風または温風による気化冷却、冷風と温風を同時または交互に吹き付けて行う気化冷却を行ってもよい。いずれの方法により冷却する場合も、色止め、すなわち、鮮やかな緑を保持するため、急冷することが好ましい。
【0018】
次に、ブランチング処理され冷却されたケールを、必要に応じて、遠心分離などによりある程度の水を脱水した後、乾燥させる。
【0019】
乾燥は、ブランチングされたケールの水分含量が10%以下、好ましくは5%以下となるように行う。水分含量が高いと保存安定性が悪くなる。例えば、菌が繁殖したりする。
【0020】
乾燥方法は、温風乾燥、高圧蒸気乾燥、電磁波乾燥、凍結乾燥などの任意の乾燥法を用いることができる。加熱による変色防止のため、乾燥はできるだけ低温で行い、加熱する場合でも60℃以下で行うことが好ましい。
【0021】
次いで、乾燥したケールを、クラッシャー、ミル、ブレンダー、石臼などを用いて粉砕する。
【0022】
粉砕された乾燥ケールを、必要に応じて篩にかける。通常、ケール乾燥粉末として種々の健康食品の原料として用いるために粉末とする場合、250〜30メッシュの篩を通過するものが用いられる。これに対し、本発明では、ケール乾燥粉末の粒径の90%以上が200〜100メッシュ(75〜100μm)で、かつ平均径(メジアン径)が20〜80μmとなるように、乾燥ケールを粉砕する。これは、80μmよりも小さい方が触感が良好であり、そして20μmよりも小さいと加工の際に成形しにくいからである。
【0023】
このようにして、本発明の健康食品に含まれるケール末を調製することができる。
【0024】
本発明では、γ−アミノ酪酸(GABA)富化処理したケール末を使用してもよい。
【0025】
ケールをGABA富化処理する方法には、例えば、嫌気処理または保温処理を包含する方法が挙げられる。GABA富化処理は、上記洗浄の前、裁断後、粉砕後のいずれの段階で行ってもよい。
【0026】
嫌気処理とは、嫌気状態におくことをいい、ほとんど酸素を含まないまたは無酸素の気体で処理することを意味する。真空状態も含む。気体としては、二酸化炭素ガス、窒素ガスが好ましく用いられる。
【0027】
保温処理の方法は特に限定されない。温水処理、赤外線照射処理、温風処理、インキュベーター処理などが挙げられる。
【0028】
嫌気処理および/または保温処理の時間は、通常30分間〜24時間行われ得る。好ましくは、1時間〜6時間である。嫌気処理および/または保温処理の温度は、約25〜50℃が好ましく、約30〜45℃がより好ましく、40℃前後が最も好ましい。25℃に満たないか、50℃を超えるとGABAの含量が上がりにくい。
【0029】
また、ケールを、一定の温度(例えば、25〜50℃)の恒温室で保存、保管することもGABA処理に含まれる。
【0030】
嫌気処理および/または保温処理は、ケールが乾燥しないような条件が好ましいが、乾燥するような条件でもよい。
【0031】
このようにして得られたケールは、処理していないケールに比べてGABAの含量が高く、通常2倍以上、好ましくは3倍以上、より好ましくは5倍以上高められている。
【0032】
なお、上記のGABA富化処理の他に、ケールをグルタミン酸溶液に浸漬するか、あるいはケール細片化物またはケール末にグルタミン酸を添加することにより、GABAを富化処理することもできる。ケール由来の物質に内在している酵素の作用により、グルタミン酸がGABAに変化し、GABA含有量が増加するからである。
【0033】
グルタミン酸溶液は、グルタミン酸のみならず、グルタミン酸ナトリウム、グルタミン酸カリウム、グルタミン酸カルシウムのようなグルタミン酸の塩を用いて作成することができる。また、グルタミン酸および/またはその塩を含有する食品素材によっても、グルタミン酸溶液を調製することができる。
【0034】
グルタミン酸および/またはその塩を含有する食品素材としては、例えば、昆布、ワカメなどの海藻、シイタケ、マイタケなどのキノコ類、かつお(かつお節を含む)、いわしなどの魚類、あさり、しじみなどの貝類、米、小麦、大豆(これらの胚芽を含む)、茶葉、桑葉、野菜(例えば、トマト)、柑橘類(中果皮、じょうのう膜)などが挙げられる。このように、グルタミン酸および/またはその塩を比較的高濃度に含む食品素材が好ましく用いられる。このような食品素材には、可食性タンパク質に酵素処理、加熱処理などを施してグルタミン酸を遊離または生成させたものなども含まれる。
【0035】
グルタミン酸および/またはその塩を含有する食品素材は、そのままの形態で、ケールの細片化物またはケールを浸漬する溶液に添加してもよく、必要に応じて細片化するか、あるいは食品素材を搾汁または水溶液として、ケールの細片化物または浸漬溶液に添加してもよい。また、これらの食品素材の乾燥粉末をケール末あるいはケールの細片化物または浸漬溶液に添加してもよい。
【0036】
また、これらの食品素材に含まれるグルタミン酸の成分を、必要に応じて加熱して溶出してもよい。あるいは、溶出した成分の乾燥粉末を、ケール末あるいはケールの細片化物または浸漬溶液に添加してもよい。例えば、乾燥昆布を細片化してケールの細片化物または浸漬溶液に添加、攪拌することにより、効率的にGABAが増加する。
【0037】
グルタミン酸によるGABA富化処理中のケールの細片化物もしくは搾汁または浸漬溶液の温度については、グルタミン酸からGABAへの変換を触媒する酵素が失活されない範囲で行われるのが好ましく、通常20〜50℃、より好ましくは25〜40℃で行われる。
【0038】
グルタミン酸によるGABA富化処理中の細片化物または浸漬溶液のpHは、適宜調整してもよい。pHの調整は、GABA富化処理を促進させる目的と製品の色を鮮やかな緑色にする目的で行われる。pHの調整方法は、pH調整剤を用いる方法でよく、通常3.5〜9.0、好ましくは4.0〜7.0、より好ましくは5.0〜6.0である。また、pHをアルカリ性側に調整すれば、ケールを酸性で処理したものおよび未処理のものと比較して、鮮やかな緑色を呈するようになる。pHが4以下の条件で処理を行うと、GABA富化効率が低下する場合があることに加え、ケールが褐色になるため好ましくない。
【0039】
グルタミン酸によるGABAの富化処理の時間は、10分〜24時間行うのがよい。30分以上行えば、GABA含有量は飛躍的に増加する。
【0040】
グルタミン酸によるGABAの富化処理に用いられるグルタミン酸の量は、富化させるべきGABAの量に応じて、適宜調整すればよい。通常は、グルタミン酸もしくはその塩は、ケール末またはケールの細片化物の0.01〜40重量%、好ましくは0.2〜20重量%、より好ましくは0.5〜10重量%添加するのがよい。
【0041】
グルタミン酸溶液にピリドキサールリン酸、食塩などの無機塩化物を添加するか、または、有機酸、ATPなどの阻害剤を反応系から取り除くことによって、GABA富化効率を高めることもできる。
【0042】
本発明の健康食品に含まれる難消化性デキストリンとは、デンプンを加熱により加水分解した後、アミラーゼにより加水分解して得られるものであり、その難消化性成分は、デンプンが元来有する、α−1,4結合を主とする。難消化性デキストリンには、食後血糖上昇抑制効果のほか、血中脂質の改善効果、整腸効果があると言われている。難消化性デキストリンは、粉末、細粒、顆粒などの形態で市販されており、いずれの形態のものも使用可能である。また、難消化性デキストリンは水溶性であるため、水溶液の形態で用いてもよい。
【0043】
本発明の健康食品に含まれ得るスピルリナは、スピルリナ属に属する藍藻類である。これには、例えば、スピルリナ・ゲイトレリ、スピルリナ・プラテンシス、スピルリナ・マキシマ、スピルリナ・メイヤー、スピルリナ・ラキシシマ、スピルリナ・アルダリアが挙げられる。スピルリナは、クロロフィル、カロチン、ビタミンB群、カリウム、マグネシウムなどのミネラルに富み、高脂血症、糖尿病に効果があるといわれている。
【0044】
スピルリナは、本発明の健康食品に配合される場合、どのような形態でもよく、液体培地中で培養した藻体であっても良く、乾燥藻体であっても良い。
【0045】
本発明の健康食品は、1日あたり、ケール末が1g以上、好ましくは2g以上と難消化性デキストリンが4g以上、好ましくは5g以上摂取されるような形態とする。例えば、本発明の健康食品を顆粒状に成型し分包に充填する場合、その分包が0.5gのケール末と2gの難消化性デキストリンとを含有している場合、この分包を1日に3回飲むようにする。これにより、1日あたり、1.5gのケール末と6gの難消化性デキストリンとを摂取でき、胃腸の調子を整える効果や肌質改善効果などの優れた効果が得られ得る。
【0046】
また、本発明の健康食品は、栄養分を補充するなどの目的で、さらにスピルリナを含有することができる。その場合、1日あたり、スピルリナが0.05g以上、好ましくは0.1g以上摂取されるように含有されていることが望ましい。
【0047】
また、本発明の健康食品は、嗜好性を上げるなどの目的で、緑茶粉末や抹茶を含有することができる。緑茶粉末や抹茶は、カテキン類を主とする豊富なポリフェノールを含有し、嗜好性を上げる以外にも、健康増進に役立つ。緑茶または抹茶は、1日あたり、0.5g以上、好ましくは1g以上摂取されることが望ましい。
【0048】
上記素材に加えて、オリゴ糖または乳酸菌、あるいはそれらの両方を添加しても良い。これにより、腸内の善玉菌を資化し、あるいは供給し、胃腸の調子をさらに整えることができる。
【0049】
オリゴ糖は、腸内細菌によって資化され、一般に腸内環境を整備すると考えられているので、不溶性食物繊維と同じ機能、すなわち、大腸がん予防効果、腸内環境の改善に作用すると考えられる。
【0050】
オリゴ糖としては、ラクチュロース、パラチノース、パラチノースオリゴ糖、フラクトオリゴ糖、ラフィノース、スタキオース、キシロオリゴ糖、マルトオリゴ糖、イソマルトオリゴ糖、トレハロース、ガラクトオリゴ糖、大豆オリゴ糖、乳果オリゴ糖、ビートオリゴ糖、ゲンチオオリゴ糖、ニゲロオリゴ糖などが挙げられる。
【0051】
オリゴ糖の配合量は、10重量部のケール末に対して、好ましくは、0.5〜30重量部、より好ましくは1〜20重量部である。
【0052】
乳酸菌は、オリゴ糖と同様、腸内環境を整備すると考えられている。
【0053】
乳酸菌としては、Lactobacillus acidophilus、Lactobacillus casei、Lactobacillus bulgaricus、Streptococcus thermophilus、Streptococcus faecalis、Streptococcus faecium、Bacillus coagulans、Bifidobacterium longum(ビフィズス菌)などが用いられる。乳酸菌を用いる場合は、粉末、液状の食品が好ましく、適切な培地で培養後、凍結乾燥して、加工食品に添加すると、水分を与えられた場合に生育可能となる。
【0054】
乳酸菌の配合量は、10重量部のケール末に対して、乳酸菌が乾燥粉末の場合、好ましくは0.1〜10重量部、より好ましくは0.5〜5重量部である。
【0055】
上記のようにして配合された健康食品は、そのまま用いられるか、あるいは賦形剤、増量剤、結合剤、増粘剤、乳化剤、着色料、香料、食品添加物、調味料などと混合され得る。例えば、栄養補助剤として、ローヤルゼリー、ビタミン、プロテイン、キトサン、レシチンなどが配合され、さらに糖液や調味料を加え、味を整えることができる。そしてこれらは、必要に応じて、ハードカプセル、ソフトカプセルのようなカプセル剤、錠剤、もしくは丸剤としてか、または粉末状、顆粒状、飴状などの形状に成形され得る。そしてこれらは、その形状または好みに応じて、そのまま食されても良いし、水、お湯、牛乳などに溶いて飲んでも良い。
【0056】
【実施例】
以下に実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明がこの実施例により制限されないことはいうまでもない。
【0057】
1包あたり、2gの難消化性デキストリンと1gのケール末を含有し、さらに0.5gの緑茶粉末、0.1gのスピルリナ末、および味を整えるために麦芽糖とショ糖とを合計0.7gが添加された4.3gの粉末の健康食品を試験食とした。
【0058】
難消化性デキストリンをマルトデキストリンに置き換えたこと以外は、試験食と同じ組成の健康食品を対照食とした。
【0059】
71人のボランティアを募り被験者とした。本発明の健康食品の胃腸に対する効果については便性を指標とし、また美容効果については肌質の変化を指標として評価を行った。
【0060】
(胃腸に対する効果の評価)
試験スケジュールを図1に示した。被験者を無作為にA群(33人)とB群(38人)に分け、対照食を用いたシングルブラインド・クロスオーバー試験で実施した。
【0061】
非摂取期間1(1週間)を設定した後、摂取期間1(2週間)、非摂取期間2(1週間)、摂取期間2(2週間)の日程で試験を行った。A群は摂取期間1に試験食を、摂取期間2に対照食を、B群は摂取期間1に対照食を、摂取期間2に試験食を摂取させた。試験食、対照食はそれぞれ1包を水100mlに溶解して、1日当たり3包摂取させた。
【0062】
被験者に、便性の調査項目を記載したアンケート用紙を配布し、自己記入方式により記入させた。また、調査は排便の有無に関係なく毎日記入することを義務付けた。
【0063】
調査項目は(1)排便回数、(2)排便量、(3)便の形状、(4)便の色、(5)便の匂い、および(6)排便後感覚の6項目とし、排便のたびに記入することを義務付けた。
【0064】
排便量は、ピンポン玉(直径40mm)の大きさを基準に目測で記入させた。ピンポン玉はあらかじめ各被験者に見せて、大きさを確認させた。便の形状は、コロコロ状(1点)、カチカチ状(2点)、バナナ状(3点)、半練り状(4点)、ドロ状(5点)、および水状(6点)の6種類から選択させた。また、便の色は黄褐色(3点)、茶褐色(2点)、および黒褐色(1点)の3種類から選択させた。便の形状、色についてはあらかじめ被験者にカラーイラストにて糞便の状態を示したものを配布した。便の匂いは通常の匂いと比較して、甘酸っぱい(3点)、匂い少ない(3点)、普通(2点)、およびくさい(1点)の4種類から選択させた。排便後感覚はスッキリした(3点)、普通(2点)、および残便感あり(1点)の3種類から選択させた。また、備考欄には腹痛があった、出そうで出なかった、ガスが出た、膨満感があった、腹がグルグルなったなどの胃腸症状の有無や、その他の体調変化の有無を記入させた。
【0065】
得られた結果について、排便回数は1週間当たりの排便回数、排便量はピンポン玉の大きさに換算した値として表した。便の形状、便の色、便の匂い、排便後感覚はそれぞれ点数化処理を行うことにより、排便1回当たりの値を求めた。胃腸症状に関しては1週間当たりの出現回数を表した。各項目は平均値±標準偏差で表示した。また、有意差検定はウイルコクソンの符号付順位検定により統計解析し、p<0.05を有意差ありと判定した。統計解析ソフトにはStatView ver.5.0(SAS Institute Inc.)を使用した。
【0066】
非摂取期間1、試験食摂取期間(A群では摂取期間1、B群では摂取期間2)、非摂取期間2、対照食摂取期間(A群では摂取期間2、B群では摂取期間1)のそれぞれにおける1週間当たりの排便回数および排便量を表1に示す。非摂取期間1における1週間の排便回数が6回以下の者を便秘傾向者、7〜8回を通常排便者、9回以上を多排便傾向者とした。
【0067】
【表1】
【0068】
便秘傾向者の1週間当たりの排便回数は、非摂取期間1の4.2回と対照食摂取期間の4.6回に対して、試験食摂取期間では5.8回と有意に(p<0.01)増加していた。1週間当たりの排便量は、ピンポン玉(直径40mm)を基準に目測により測定し、非摂取期間1が13.4個、対照食摂取期間が14.5個であったのに対し、試験食摂取期間では18.4個と有意に(それぞれp<0.01、p<0.05)増加が見られた。
【0069】
通常排便者の1週間当たりの排便量は、非摂取期間1の22.2個、対照食摂取期間の24.5個に対し、試験食摂取期間では27.4個と有意に増加していた。
【0070】
多排便傾向者では、排便回数、排便量とも有意差は認められなかった。
【0071】
便の形状、便の色、便の匂い、および排便後感覚については、各期間の平均点数を表2に示す。便秘傾向者、通常排便者、および多排便傾向者とも、いずれの項目においても試験食摂取による特徴的な変化は認められなかった。
【0072】
【表2】
【0073】
アンケート調査による各試験期間において見られた胃腸症状を、1週間当たりの回数にまとめて表3に示す。
【0074】
【表3】
【0075】
試験食摂取期間において「ガスが出た」が非摂取期間1、非摂取期間2、対照食摂取期間と比較して有意に多く見られた(それぞれ、p<0.01、p<0.01、p<0.05)。また、「膨満感があった」も非摂取期間1、非摂取期間2、対照食摂取期間と比較して有意に多く見られた(p<0.05)。いずれも3〜4日程度の一過性のものであった。対照食摂取期間においては、対照食摂取による影響と思われる症状は認められなかった。
【0076】
以上の結果より本発明の健康食品は、便秘傾向者において、試験食摂取によって排便回数および排便量が増加することが確認された。また、多排便傾向者において、排便回数および排便量が変化しなかったことは、試験食の安全性の点でも望ましいことと考えられる。
【0077】
また、試験食摂取期間において「ガスが出た」、「膨満感があった」が他の期間と比較して有意に多く見られたことは、腸内環境の変化を示唆している。
【0078】
(美容効果に対する評価)
本発明の食品の美容効果について評価した。すなわち、上記試験において、摂取期間1を終えた際に、A群およびB群に属していたそれぞれ10人の女性に対して肌質に関するアンケートをとった。結果を表4に示す。表中の数字は、そう思うと答えた人数である。
【0079】
【表4】
【0080】
試験食を摂取したA群では半数以上が肌の調子が良くなったように感じたのに対し、対照食を摂取したB群では、A群ほどには肌の調子が良くなったように感じなかったことがわかる。すなわち、表4の結果は、本発明の健康食品が美容効果に優れていることを示す。
【0081】
【発明の効果】
本発明の、ケール末と難消化性デキストリンとを含有する健康食品は胃腸の調子を整え、かつ美容効果に優れている。そして、スピルリナ、または緑茶や抹茶粉末を加えることにより、さらに栄養性や嗜好性が向上した健康食品として提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の健康食品の評価の試験スケジュールを示す図である。
Claims (3)
- ケール末と難消化性デキストリンとを含有する、便通改善用食品。
- さらにスピルリナを含有する、請求項1に記載の便通改善用食品。
- さらに緑茶粉末または抹茶を含有する、請求項1または2に記載の便通改善用食品。
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