JP3647325B2 - 操作部材の着脱装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、車載用などのような機器本体に操作部材が着脱自在に取付けられた電子機器に係り、特に機器本体から操作部材を簡単に取り外すことができるようにした操作部材の着脱装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
車載用の電子機器では、機器本体が車両内から盗難されるのを未然に防ぐように前記機器本体から操作部材のみを離脱させて車外へ携帯できるようにしたものがある。また車載用あるいは家庭用などの各種電子機器においては、操作部材を機器本体に装着した状態で使用でき、さらに操作部材を機器本体から離脱させたときにこの操作部材を遠隔操作装置として使用できるようにしたものがある。
【0003】
図9は、このような電子機器における操作部材の着脱装置の一例を示した部分平面図である。図9では紙面に垂直な奥方向が重力の作用する方向である。
【0004】
図9に示すものでは、機器本体1の前面に装着凹部1aが形成されており、この装着凹部1a内に操作部材2が装着される。操作部材2の前面2aには押釦などの各種操作部材2dが配列しており、また前記前面2aには液晶表示パネルなどの表示画面が設けられている。また前記操作部材2の背面2bと、前記装着凹部1aとの間には、操作部材2の内部の電子部品と機器本体1側の電子回路とを接続するためのコネクタが設けられる。
【0005】
図9の図示右側では、操作部材2の側端部に掛止突起2cが設けられている。また図示左側では、操作部材2を保持するロック部材3が軸4を中心として回動自在に支持され、且つロック部材3はばね5により時計方向へ付勢されている。また前記ロック部材3の近傍には突出部材6が設けられている。この突出部材6には長穴6aが形成されて、機器本体1に設けられた支持軸7に前記長穴6aが摺動自在に支持されている。また、機器本体1には、突出部材6を機器本体1の前方へ付勢するとともに、この突出部材6を反時計方向へ付勢するためのばね8が設けられている。
【0006】
図9に示す着脱装置において、操作部材2を装着するときに、図示右側の掛止突起2cを機器本体1に掛止させ、前記掛止突起2cと機器本体1との掛止部を支点として操作部材2を(i)方向へ回動させながら機器本体1の装着凹部1a内に装着する。このとき、操作部材2により突出部材6が機器本体1内に押し込められ、さらに前記ロック部材3の先端のフック部3aが操作部材2の背面2bに掛止されて操作部材2が装着凹部1a内に保持される。
【0007】
操作部材2を離脱させるときは、操作部材2に設けられた離脱操作釦、または機器本体1に設けられた離脱操作釦を押してロック部材3を反時計方向へ回動させる。これによりロック部材3と操作部材2との掛止が外れ、操作部材2のロック(保持)が解除される。このとき突出部材6がばね8の力で機器本体1の前方へ突出し、操作部材2は前記掛止突起2cと機器本体1との掛止部を支点として(ii)方向へ回動するように押出される。操作部材2が図9に示す位置まで回動すると、操作部材2が前記突出部材6の先端のフック部6bに掛止されて、図9に示す姿勢で操作部材2が仮止めされる。
【0008】
図9に示すように、操作部材2が機器本体1の前方へ回動して仮止めされた状態から、操作部材2を手で保持してさらに前方へ引張ると、前記フック部6bと操作部材2との掛止が外れ、操作部材2を機器本体1から完全に離脱させることができる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、図9に示す従来の操作部材の着脱装置には、以下に列記する問題点がある。
(1)図9に示すように、操作部材2が掛止突起2cの掛止部を支点として(ii)方向へ回動して仮止めされた状態で、突出部材6がばね8により反時計方向((iii)方向)へ付勢されている。そのため、突出部材6のフック部6bが操作部材2を右方向へ押すことになり、操作部材2の掛止突起2cが機器本体1に対して図示右方向(F方向)へ押し付けられている。したがって、図9の状態から操作部材2を手で保持して取り外すときに、フック部6bの掛止付勢力や、前記掛止突起2cの前記F方向への押し付け力が大きな抵抗として作用する。よって、図9の状態から操作部材2を取り外しにくいという欠点がある。
(2)また、装着状態の操作部材2のロックが外れ突出部材6が突出して操作部材2が(ii)方向へ回動し終わったときの衝撃によって、突出部材6が時計方向へ回動し、突出部材6のフック部6bと操作部材2との掛止が外れ、その結果操作部材2が機器本体1の前方から脱落することがある。すなわち、図9に示す従来例は、前記(1)で述べたように、図9の状態で操作部材2を取り外しにくい構造であるにもかかわらず、図9に至ったときにフック部6bが操作部材2から外れやすいという欠点がある。
(3)前記(2)に示す欠点を解消するためには、ばね8の弾性力を強くし、突出部材6の(iii)方向への付勢力を強くして、フック部6bの掛止付勢力を強くすることが必要である。しかし、この場合には、図9の状態で、操作部材2が図示右方向(F方向)へ押し付けられる力が過大になり、ますます操作部材2を取り外しにくくなる。
【0010】
本発明は上記従来の課題を解決するものであり、操作部材が機器本体の前方へ突出して仮止めされた状態で、操作部材を容易に取り外すことができるようにした操作部材の着脱装置を提供することを目的としている。
【0011】
また本発明は、突出部材と操作部材の嵌合力をばねなどを用いて強くしなくても、突出部材が突出したときに、この突出部材に対して操作部材を確実に仮止めできるようにした操作部材の着脱装置を提供することを目的としている。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明は、機器本体と、前記機器本体に着脱自在に装着される操作部材と、前記操作部材の一方の側端部を前記機器本体に掛止する掛止部と、前記掛止部から離れた位置で前記操作部材を前記機器本体に保持するロック手段と、前記ロック手段による保持を解除したときに機器本体の前方へ突出して前記操作部材を前記掛止部を支点として前方へ回動させる突出部材と、前記突出部材を機器本体の前方へ突出させるばね部材とが設けられている操作部材の着脱装置において、
前記突出部材と操作部材の一方には、重力方向に沿う上向きに突出する凸部または下向きに突出する凸部が設けられ、他方には重力方向において前記凸部と対向し且つ前記凸部と離脱自在に嵌合する凹部が設けられており、
前記凸部と前記凹部とが嵌合した状態で、前記突出部材によって押出された前記操作部材が、前記突出部材により重力方向で支えられることを特徴とするものである。
【0013】
上記本発明では、突出部材によって操作部材が機器本体の前方で支えられたときに、突出部材と操作部材とが上下方向への嵌合力により嵌合する。よって、突出部材を機器本体の前方へ突出させるばねなどの付勢力が、突出部材と操作部材との仮止め嵌合に大きく寄与することがない。したがって、突出部材により仮止めされた操作部材を機器本体の前方へ取り外すときの抵抗力が小さくなり、操作部材を突出部材から容易に取り外すことができる。
【0015】
このように構成すると、操作部材の自重が、突出部材と操作部材との仮止め嵌合を強固にするように機能し、突出部材が機器本体の前方へ突出したときの衝撃などで、操作部材と突出部材との嵌合が外れにくくなり、操作部材の仮止めを確実にできる。
【0016】
ただし、本発明では、前記突出部材の上面で、操作部材の自重を受けるようにし、突出部材の下から下向きに突出した凸部と操作部材の凹部とを上下方向から嵌合させてもよい。
【0017】
また、前記凸部と前記凹部の少なくとも一方には、操作部材を機器本体の前方へ引いたときに前記凸部と前記凹部の嵌合がスムーズに外れるための傾斜面または曲面が形成されていることが好ましい。
【0019】
本発明では、図9に示す従来例のように、突出部材を突出させるためのばねで操作部材を一方向へ押すことが無く、前記掛止部による掛止が増強されることがないため、仮止め状態の操作部材を突出部材から簡単に外せるようになる。
【0021】
さらに、前記突出部材が設けられている箇所と、前記掛止部が設けられている箇所との中間において、操作部材と機器本体との間には、前記突出部材により操作部材が機器本体の前方へ押出された状態で互いに嵌まり合う凸部および凹部とから成る第2の仮止め手段が設けられていることが好ましい。
【0022】
この第2の仮止め手段を設けると、ロック手段によるロックが解除された操作部材が前記仮止め手段と第2の仮止め手段の双方により、確実に仮止めされるようになり、突出部材が突出したときの衝撃があっても操作部材の仮止めが外れにくくなる。
【0023】
また、この場合にも、前記第2の仮止め手段の前記凸部と前記凹部の少なくとも一方には、操作部材を機器本体の前方へ引いたときに前記凸部と前記凹部の嵌合がスムーズに外れるための傾斜面または曲面が形成されていることが好ましい。
【0024】
【発明の実施の形態】
図1は本発明の実施の形態を示すものであり、車載用電子機器の機器本体の前面部と、操作部材とを示す斜視図、図2は、ロック手段と突出部材の構造を示す部分分解斜視図、図3と図4はロック手段と突出部材の動作を示すものであり、図3は操作部材の装着状態、図4は操作部材が機器本体の前方で仮止めされた状態を示す部分平面図、図5と図6は掛止部と第2の仮止め手段の構造を示すものであり、図5は操作部材の装着状態、図6は操作部材が機器本体の前方で仮止めされた状態を示す部分平面図、図7は図4のVII−VII線の断面図、図8は図6のVIII−VIII線の断面図である。
【0025】
図1に示すように、車載用電子機器の機器本体10は、カーステレオ、ディスクチェンジャのコントローラ、カーナビゲーションシステムのコントローラなどとして使用されるものである。機器本体10は、筐体11とこの筐体11の前部に取付けられた合成樹脂製のノーズ部12とから構成されている。前記筐体11はいわゆる1DINサイズであり、自動車の車室内のインストルメントパネルまたはダッシュボード内などに埋設され、このとき前記ノーズ部12が前記インストルメントパネルまたはダッシュボードの前面に現れる。
【0026】
前記ノーズ部12は、操作部材が装着される装着凹部12aと、この装着凹部12aの周囲を囲む枠体12bとを有している。また、前記装着凹部12a内には装着ベース13が固定されている。この装着ベース13は板金材料で凹状に形成されたものであり、図3などに示すように、この装着ベース13は、前記装着凹部12a内および前記枠体12bの内側に設置されて固定されている。
【0027】
操作部材20は、合成樹脂製のケース内に各種電子部品が収納されたものであり、その前面21には液晶表示パネルなどの表示部材22が設けられている。また前記前面21で表示部材22が設けられていない部分に各種操作釦23が設けられている。また操作部材20の前面21の図示左側の側部には、操作部材20を機器本体10から離脱させるための操作を行う離脱操作部材(離脱操作釦)24が設けられている。
【0028】
操作部材20の背部には矩形状の装着突出部20aが形成されており、操作部材20が機器本体10に装着される際に、この装着突出部20aが前記ノーズ部12の装着凹部12a内に嵌着される。
【0029】
前記ノーズ部12の装着凹部12aの底部にはコネクタ14が設けられ、このコネクタ14が、前記装着ベース13に開口する窓13a内に現れている。一方、前記操作部材20の装着突出部20aの背面にはコネクタ25が設けられている。図4に示すように、ノーズ部12側のコネクタ14には、複数の接続ピン14aがばねの力により機器本体10の前方へ突出するように付勢されている。図3に示すように、操作部材20が機器本体10に装着されたときには、操作部材20側のコネクタ25に前記接続ピン14aが弾圧されて、コネクタ14とコネクタ25とが接続される。この状態で、操作部材20内の各種電子部品と、筐体11内の各種電子回路とが電気的に接続される。
【0030】
図1および図5、図6に示すように、操作部材20の前記装着突出部20aの図示右側の側端部には、掛止突起26が一体に形成されており、またノーズ部12の装着凹部12a内では、装着ベース13の図示右側の端部に掛止穴13bが開口している。図5および図6に示すように、前記掛止突起26が掛止穴13bに嵌合することにより、操作部材20の右側の側端部を機器本体10の図示右側部分で掛止する掛止部Aが形成されている。
【0031】
前記装着ベース13の図示左側部分には、突出窓13cが開口しており、この突出窓13c内にロック手段Bを構成するロック部材31が設けられている。図2に示すように、このロック部材31は合成樹脂製であり、後部に上下に貫通する軸支持穴31a,31aが形成されている。一方、装着ベース13の突出窓13cの上下縁部には、筐体11の方向へ折り曲げられた支持片13d,13eが設けられている。前記ロック部材31の前記軸支持穴31a,31aに挿入された軸39の上下端が、前記支持片13d,13eに穿設された支持穴13f,13fに固定される。その結果、前記ロック部材31は、前記支持片13dと支持片13eの間で、前記軸39によって回動自在に支持されている。
【0032】
前記ロック部材31には、前記装着ベース13の前方へ突出するフック部32が一体に形成されている。また前記ロック部材31には、ロック解除用の突起33が一体に突出形成されている。前記装着ベース13の図示左側には丸穴13gが開口しており、図3に示すように前記ロック部材31が軸39に回動自在に支持された状態で、前記突起33が丸穴13g内に挿入される。
【0033】
前記軸39の中腹部にはトーションばね34が設けられ、前記軸39はトーションばね34の巻き中心部に挿入されている。このトーションばね34の一方の腕34aが前記ロック部材31の背面に弾圧することにより、ロック部材31は常に反時計方向((iv)方向)へ付勢されている。図3に示すように、前記ロック部材31の前記突起33が設けられていない部分が、装着ベース13の前記丸穴13gと突出窓13cとの境界部13hへ背部側から当たることにより、ロック部材31の前記(iv)方向への回動限界が決められている。よって、ロック部材31は図3の状態から時計方向へ前記トーションばね34の弾性力に対抗しながら回動可能である。
【0034】
装着ベース13の前記突出窓13c内には、前記ロック部材31と並んで突出部材35が設けられている。この突出部材35には、上下に貫通する軸支持穴35a,35aが穿設されている。突出部材35が前記ロック部材31内に挟まれた状態で、前記軸39が軸支持穴35a,35aに挿入されている。よって突出部材35は、前記ロック部材31と共通の軸39に対して回動自在に支持されている。
【0035】
なお、前記トーションばね34は、前記突出部材35の軸支持穴35aと軸支持穴35aとの間で、前記軸39の外周に設けられている。そしてこのトーションばね34の他方の腕34bが、前記突出部材35の背面に弾圧されている。このトーションばね34の腕34bの弾性力により、突出部材35は時計方向((v)方向)へ付勢されている。
【0036】
突出部材35の上面にはストッパ突起36が一体に形成されている。図4に示すように、このストッパ突起36が、前記装着ベース13の突出窓13cの上縁片13i(図2参照)に当たることにより、突出部材35の前記(v)方向への回動限界が決められている。すなわち、突出部材35は、図4に示す状態から、前記トーションばね34の弾性力に対抗しながら反時計方向へ回動自在である。
【0037】
前記突出部材35には、前記突出窓13cから機器本体10の前方へ突出する突出片37が一体に形成されており、この突出片37の上面に、表面が球面状または凸曲面状の凸部38が一体に形成されている。
【0038】
図3と図4に示すように、前記操作部材20の装着突出部20aの背面には、合成樹脂製の背面板41が設けられている。この背面板41において、前記ロック部材31に対向する位置には窪み部42が形成されており、この窪み部42の側部にロック掛止部42aが形成されている。図3に示すように、操作部材20がノーズ部12の装着凹部12a内に装着されたときに、前記ロック部材31のフック部32が前記ロック掛止部42aに掛止されて、操作部材20が装着凹部12a内でロック保持される。
【0039】
図7に示すように、前記背面板41において、前記突出部材35と対向する位置にも窪み部43が形成されており、前記突出部材35の突出片37がこの窪み部43内に入り込めるようになっている。図4および図7に示すように、突出部材35の(v)方向の回動により操作部材20が機器本体10の前方へ押出された状態で、前記窪み部43の天井面43aが前記突出片37の上面において重力方向へ支えられる。また前記天井面43aには凹部44が形成されており、前記突出片37の上面に形成された球面状または凸曲面状の前記凸部38が、前記凹部44内に嵌合できるようになっている。この凸部38および凹部44により、操作部材20を機器本体10の前方で仮止めする仮止め手段Cが形成されている。
【0040】
図3に示すように、操作部材20の図示左側には、前記離脱操作部材24が前方へ突出しているが、この離脱操作部材24には離脱押圧体24aが一体に形成されている。図3に示すように、操作部材20が装着凹部12a内に装着された状態で、前記離脱押圧体24aは、装着ベース13の丸穴13g内に位置している前記ロック部材31の前記突起33に対向する。
【0041】
図1に示すように、ノーズ部12の装着凹部12a内に設けられた前記装着ベース13の下部折曲片13kでは、前記掛止部Aと前記突出部材35との中間で、且つ掛止部A寄りの位置に、凸部13jが形成されている。また、前記操作部材20の装着突出部20aの下面では、前記凸部13jに対向する位置に凹部46が形成されている。図8に示すように前記凸部13jは装着ベース13の下部折曲片13kから上方へ隆起形成されたものであり、その上面は、操作部材20の着脱方向に向けて凸曲面状である。
【0042】
図5および図6に示すように、操作部材20が機器本体10に装着されているとき、および操作部材20が機器本体10の前方へ突出して仮止めされているときの双方において、前記凸部13jは前記凹部46内に入り込んでいる。特に図6に示すように、操作部材20が機器本体10の前方へ回動した状態では、図8に示すように、前記凸部13jと凹部46とが嵌合していると共に、操作部材20が前記下部折曲片13kによって重力方向へ支えられている。前記凸部13jと凹部46とにより、操作部材20に対する第2の仮止め手段Dが形成されている。
【0043】
次に、操作部材20の着脱操作について説明する。
図1は操作部材20が装置本体10から離脱した状態を示している。この状態から操作部材20を機器本体10に装着するためには、まず操作部材20の装着突出部20aの右側の側端部を機器本体10の装着凹部12a内に入れ、掛止突起26を掛止穴13bに挿入して、掛止部Aにおいて操作部材20の図示右側端部を掛止させる。
【0044】
操作部材20を前記掛止部Aを支点として時計方向((i)方向)へ回動させると、図7に示すように、突出部材35の突出片37が、操作部材20の背面の窪み部43内に入り、凸部38が凹部44内に入り込む。このとき同時に、図6に示すように、機器本体10の装着凹部12aの下に設けられている凸部13jが、操作部材20の装着突出部20aの下面に形成された凹部46内に入り込む。
【0045】
その状態から、操作部材20を、前記掛止部Aを支点としてさらに(i)方向へ回動させるように押し込むと、図7に示す窪み部43の内面43bによって、突出部材35の突出片37の先端が機器本体10の方向((i)方向)へ押され、突出部材35がトーションばね34の弾性力に対抗して反時計方向((v)方向と逆方向)へ回動させられる。そのまま操作部材20を装着凹部12a内に押し込むと、図3に示すように、機器本体10に設けられたロック部材31のフック部32が操作部材20のロック掛止部42aに掛止されて、操作部材20が装着凹部12a内で保持される。
【0046】
操作部材20が装着凹部12a内に保持されている間、トーションばね34の弾性力を受けて、前記突出部材35から操作部材20に対して常に機器本体10の前方への押出し力が与えられている。また、このとき図5に示すように、第2の仮止め手段Dを構成する装置本体10側の凸部13jが、操作部材20側の凹部46に入り込んでいる。さらに、機器本体10側のコネクタ14の接続ピン14aがばねの力で操作部材20側のコネクタ25の接点に加圧されており、コネクタ14とコネクタ25を介して操作部材20内の電子部品と機器本体10内の電子回路とが導通させられている。
【0047】
操作部材20を離脱させるときには、図3の状態で、操作部材20の前面21から突出している離脱操作部材24を押圧操作する。この離脱操作部材24の離脱押圧体24aにより、ロック部材31の突起33が押され、ロック部材31が時計方向((iv)方向と逆方向)へ回動して、フック部32が操作部材20のロック掛止部42aから外れる。
【0048】
その瞬間に、トーションばね34の弾性力を受けて(v)方向へ回動しようとする突出部材35の突出片37により操作部材20が前方へ押出される。このときコネクタ14の接続ピン14aもばねにより突出し、操作部材20のコネクタ25に対して前方への押出し力を与える。よって、操作部材20が右側端部の掛止部Aを支点として機器本体10の前方((ii)方向)へ回動させられる。そして、操作部材20が図4と図6に示す位置まで前方へ突出すると、仮止め手段Cにおいて、凸部38と凹部44との嵌合で操作部材20が仮止めされる。また図6に示すように、掛止部A寄りに位置する第2の仮止め手段Dにおいても、機器本体10側の凸部13jと操作部材20の凹部46とが嵌合しており、操作部材20が前方へ回動した状態で仮止めされている。
【0049】
図4と図7に示すように、操作部材20が掛止部Aを支点として前方へ回動した状態では、突出部材35の突出片37から上方へ突出する凸部38が、操作部材20の凹部44に対して下側から嵌合している。この仮止め手段Cでは、突出部材35と操作部材20が、ばねなどの力を受けることなく上下から重力を受けて嵌合した状態である。よって図4の状態から操作部材20を手で保持して機器本体10の前方へ引張ると、球面状または凸曲面状の凸部38から凹部44が軽い力で簡単に外れる。そのまま操作部材20を前方へ引張ると、掛止部Aでの掛止も軽く外れる。さらに図6と図8に示す第2の仮止め手段Dにおいても、機器本体10の凸部13jと操作部材20の凹部46とが重力方向へ嵌合しているだけであるので、簡単に外すことができる。
【0050】
この点について説明すると、図9に示す従来例では、操作部材2が機器本体1の前方へ回動して仮止めされた状態で、ばね8の付勢力を受ける突出部材6のフック部6bによって、操作部材2にF方向の押し付け力が作用している。したがって、仮止め状態の操作部材2を引張って外すときの抵抗力が非常に大きくなる。これに比較して、本発明の実施の形態では、突出部材35を付勢しているトーションばね34の力が、突出部材35と操作部材20との嵌合力として作用することがない。すなわち、仮止め手段Cでの凸部38と凹部44との嵌合方向は上下方向であり、突出部材35の回動付勢方向と無関係な方向となっている。したがって、図4の仮止め状態において、操作部材20はばね力などの抵抗を受けることなく簡単に取り外すことができる。
【0051】
また図4と図7の仮止め状態では、所定の重量を有する操作部材20が、突出部材35の突出片37の上面によって重力方向から支えられている。よって、凸部38と凹部44は操作部材20の自重Gを受けながら嵌合することになり、その嵌合は確実なものとなる。したがって、突出部材35の(v)方向への回動により、操作部材20が図3に示す装着状態から図4に示すように前方へ突出したときの衝撃によって、前記凸部38と凹部44との嵌合が外れにくい。
【0052】
さらに、図6と図8に示すように、操作部材20が前方へ回動したときには、第2の仮止め手段Dにおいても、上向きの凸部13jと凹部46とが、操作部材20の自重Gを受けながら嵌合している。このように、操作部材20が前方へ突出させられたときには、仮止め手段Cと第2の仮止め手段Dの双方において、操作部材20の自重Gが凹凸嵌合力として作用しているため、操作部材20は、前方へ回動した仮止め状態で外れにくくなる。
【0053】
しかも、仮止め手段Cでの凸部38と、第2の仮止め手段Dでの凸部13jは、ともに上面が球面または凸曲面であるため、操作部材20を前方へ引張ると凹凸嵌合が容易に外れる。またこのとき操作部材20をやや上方へ引き上げるようにして引張ると、さらに操作部材20を軽い力で取り外すことができる。
【0054】
なお、前記凸部38と13jの上面が、操作部材20の装脱方向に向けて傾斜面となっていてもよいし、あるいは前記凸部38,13jと嵌合する凹部44と46の縁部が前記装脱方向へ向けて曲面または傾斜面となっていてもよい。
【0055】
また、図7において、突出部材35の突出片37の下面に凸部38が設けられ、操作部材20にはこの凸部38と嵌合する上向きの凹部が形成されてもよい。この場合、操作部材20の自重が突出部材35の突出片37の上面によって支えられた状態で、しかも前記凸部と凹部とが嵌合する。そのため、前記実施の形態と同様に、仮止め状態の操作部材20を前方へ取り外すときの負荷を小さくできる。この場合に、突出片37から下向きに突出する突起38が、ばねの力で操作部材側の凹部に対して下向き状態で嵌合してもよい。
【0056】
さらに図7において、操作部材20側に凸部が設けられ、突出部材35側に前記凸部と嵌合する凹部が形成されてもよい。また図5と図6に示す第2の仮止め手段Dにおいても、機器本体10側に凹部が、操作部材20側に凸部が設けられていてもよい。
【0057】
【発明の効果】
以上のように本発明では、操作部材の保持が解除されて、この操作部材が機器本体の前方で仮止めされたときに、操作部材を手で保持して軽い抵抗力で取り外すことができる。しかも、前記仮止め状態で操作部材が確実に支持されるようになり、操作部材が仮止め状態に突出したときの衝撃により、仮止めが外れて操作部材が脱落するなどの問題が生じない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態を示すものであり、車載用電子機器の機器本体の前面部と、操作部材とを示す斜視図、
【図2】ロック手段と突出部材の構造を示す部分分解斜視図、
【図3】ロック手段と突出部材の動作を示すものであり、操作部材の装着状態を示す部分平面図、
【図4】操作部材が機器本体の前方で仮止めされた状態を示す部分平面図、
【図5】掛止部と第2の仮止め手段の構造を示すものであり、操作部材の装着状態を示す部分平面図、
【図6】操作部材が機器本体の前方で仮止めされた状態を示す部分平面図、
【図7】図4のVII−VII線の断面図、
【図8】図6のVIII−VIII線の断面図、
【図9】従来の操作部材の着脱装置を示す平面図、
【符号の説明】
A 掛止部
B ロック手段
C 仮止め手段
D 第2の仮止め手段
10 機器本体
11 筐体
12 ノーズ部
12a 装着凹部
13 装着ベース
13b 掛止穴
13c 突出窓
13j 凸部
14,25 コネクタ
20 操作部材
20a 装着突出部
24 離脱操作部材
26 掛止突起
31 ロック部材
32 フック部
33 ロック解除用の突起
34 トーションばね
34a 一方の腕
34b 他方の腕
35 突出部材
37 突出片
38 凸部
41 背面板
42a ロック掛止部
44 凹部
Claims (6)
- 機器本体と、前記機器本体に着脱自在に装着される操作部材と、前記操作部材の一方の側端部を前記機器本体に掛止する掛止部と、前記掛止部から離れた位置で前記操作部材を前記機器本体に保持するロック手段と、前記ロック手段による保持を解除したときに機器本体の前方へ突出して前記操作部材を前記掛止部を支点として前方へ回動させる突出部材と、前記突出部材を機器本体の前方へ突出させるばね部材とが設けられている操作部材の着脱装置において、
前記突出部材と操作部材の一方には、重力方向に沿う上向きに突出する凸部または下向きに突出する凸部が設けられ、他方には重力方向において前記凸部と対向し且つ前記凸部と離脱自在に嵌合する凹部が設けられており、
前記凸部と前記凹部とが嵌合した状態で、前記突出部材によって押出された前記操作部材が、前記突出部材により重力方向で支えられることを特徴とする操作部材の着脱装置。 - 前記突出部材と、機器本体の前方へ突出した操作部材とが、前記ばね部材の力を受けることなく嵌合する請求項1記載の操作部材の着脱装置。
- 前記突出部材は機器本体に回動自在に支持され且つ前記ばね部材により回動方向へ付勢されており、前記掛止部を支点とする操作部材の回動方向と、前記ばね部材で付勢された突出部材の回動方向とが互いに逆向きである請求項1または2記載の操作部材の着脱装置。
- 前記凸部と前記凹部の少なくとも一方には、操作部材を機器本体の前方へ引いたときに前記凸部と前記凹部の嵌合がスムーズに外れるための傾斜面または曲面が形成されている請求項1ないし3のいずれかに記載の操作部材の着脱装置。
- 前記突出部材が設けられている箇所と、前記掛止部が設けられている箇所との中間において、操作部材と機器本体との間には、前記突出部材により操作部材が機器本体の前方へ押出された状態で互いに嵌まり合う凸部および凹部とから成る第2の仮止め手段が設けられている請求項1ないし4のいずれかに記載の操作部材の着脱装置。
- 前記第2の仮止め手段の前記凸部と前記凹部の少なくとも一方には、操作部材を機器本体の前方へ引いたときに前記凸部と前記凹部の嵌合がスムーズに外れるための傾斜面または曲面が形成されている請求項5記載の操作部材の着脱装置。
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