図1ないし図3に、本発明の実施の形態の車載用電子装置1の外観が示されている。車載用電子装置1を示す各図では、Y1方向が前方でY2方向が後方、X1方向が右方向でX2方向が左方向、Z1方向が上方でZ2方向が下方である。
車載用電子装置1は、装置本体10と、この装置本体10の前部に着脱自在に設けられた着脱パネル20とを有している。
装置本体10は筐体11を有している。筐体11は、金属シャーシ12と、金属シャーシ12の前部に固定された合成樹脂製の化粧枠13とから構成されている。
図3に示すように、化粧枠13は、金属シャーシ12の前方の開口部を覆う閉鎖部13aと、閉鎖部13aの左右両側部から前方へ一体に突出する一対の側方壁部13b,13bと、閉鎖部13aの上部から前方へ一体に突出する上部壁部13c、ならびに閉鎖部13aの下部から前方へ一体に突出する下部壁部13dを有している。
図3に示すように、装置本体10では、化粧枠13の前方にパネル支持部30が設けられており、着脱パネル20はパネル支持部30に着脱自在に保持される。
筐体11には、パネル支持部30の姿勢を変化させる姿勢切換え機構15が設けられている。姿勢切換え機構15は、第1の切り換えアーム16と第2の切り換えアーム17を有している。姿勢切換え機構15は、右方向(X1方向)と左方向(X2方向)のそれぞれに1組ずつ設けられている。
パネル支持部30の左右両側部には、第1の連結軸30aと第2の連結軸30bが一体に形成されており、左右のそれぞれに位置する第1の切り換えアーム16の先部が第1の連結軸30aに回動自在に連結され、それぞれの第2の切り換えアーム17の先部が第2の連結軸30bに回動自在に連結されている。
姿勢切換え機構15では、筐体11の内部に設けられたモータの動力によって第1の切り換えアーム16が前後後方へ進退自在に駆動され、第2の切り換えアーム17が進退自在で且つ回動自在に駆動される。
図1では、第1の切り換えアーム16がY2方向へ後退し、第2の切り換えアーム17がY2方向へ後退するとともに時計方向へ回動している。このとき、図6にも示すように、パネル支持部30は筐体11の前部にほぼ密着し且つ底板11aと天井板11bに対して垂直な初期姿勢(v)となる。図2と図3では、第1の切り換えアーム16がY1方向へ前進し、第2の切り換えアーム17がY1方向へ前進するとともに反時計方向へ回動している。このとき、図7にも示すように、パネル支持部30は、下端部が上端よりも前方へ移動する突出姿勢(vi)となる。
図2と図3ならびに図7では、突出姿勢(vi)となったパネル支持部30が、ほぼ水平姿勢であるが、姿勢切換え機構15では、第1の切り換えアーム16と第2の切り換えアーム17の移動量を制御することで突出姿勢(vi)となるパネル支持部30の角度を自由に変化させることが可能である。
なお、本発明では、パネル支持部30が突出姿勢(vi)となったときに、パネル支持部30の上端部が下端部よりも前方へ移動した傾斜姿勢となってもよい。これは、車載用電子装置1が、自動車の天井部に設定されるときなどに適用される。
図3と図4に示されているパネル支持部30は、複数の部材が組み合わされて構成されている。
パネル支持部30は、合成樹脂製の支持ブラケット31を有している。支持ブラケット31は、装着パネル部31aと、左右両側部から前方へ一体に突出している側壁部31b,31bと、上端部から前方へ一体に突出している上壁部31cならびに下壁部31dを有している。それぞれの側壁部31bの外側面に、前述した第1の連結軸30aと第2の連結軸30bが一体に突出している。
支持ブラケット31の装着パネル部31aには、左右両側に離れた2か所に開口部32,32が形成され、それぞれの開口部32に保持部材40が設けられている。
図5に、保持部材40が拡大して示されている。保持部材40は合成樹脂材料で一体に形成されている。それぞれの保持部材40は、左右方向に対向する一対の軸受け部41,42を有している。支持ブラケット31には、開口部32を横断して左右方向に延びる支持軸33が固定されており、前記軸受け部41,42が支持軸33にα―β方向へ回動自在に支持されている。
図5、図6および図8に示すように、保持部材40には、保持突起43と保持突起44とが回動方向へ対向して一体に設けられており、保持突起43と保持突起44との間に保持凹部45が形成されている。図8に示すように、保持凹部45の一方の内縁45a、すなわち保持突起43のα方向に向けられた内縁に、仮支持部46が、α方向へ向けて一体に突出形成されている。
図5に示すように、保持部材40の一方の軸受け部41にストッパ部47が一体に形成されている。このストッパ部47が、支持ブラケット31の背部で規制されることにより、保持部材40は、図6と図7において実線で示され且つ図8(A)に示される保持位置(i)と、図6と図7において破線で示され且つ図8(B)に示される保持解除位置(ii)との間の範囲内で回動可能となっている。
図5に示すように、それぞれの保持部材40の軸受け部41と軸受け部42との間では、支持軸33の外周にばね部材であるトーションばね48が装着されている。トーションばね48の一方の巻き終端から延びる腕部48aは保持部材40に掛けられ、他方の巻き終端から延びる腕部48bは、図4に示すように、支持ブラケット31の前記開口部32の前縁に掛けられている。その結果、それぞれの保持部材40は反時計方向(α方向)へ付勢され、すなわち、保持解除位置(ii)に向けて付勢されている。
図4に示すように、支持ブラケット31の装着パネル部31aに第1の案内開口部34と、一対の第2の案内開口部35,35が形成されている。図4と図6ならびに図7に示すように、支持ブラケット31の背部に規制部材として機能する操作部材50が支持されている。操作部材50は合成樹脂材料で一体に形成されている。
操作部材50の表面に、第1の突部51と一対の第2の突部52,52が一体に形成されている。図4に示すように、第1の突部51が第1の案内開口部34に裏側から挿入され、一対の第2の突部52,52が第2の案内開口部35,35に裏側から挿入されている。第1の突部51と第2の突部52,52が、第1の案内開口部34と第2の案内開口部35,35の内部で動ける範囲において、操作部材50は、支持ブラケット31の背部で第1の方向(a)と第2の方向(b)へ往復移動自在に支持されている。
図5に示すように、操作部材50と、支持ブラケット31の背面との間に、操作ばね部材として一対の引っ張りコイルばね53,53が掛けられており、操作部材50は、引っ張りコイルばね53,53によって第1の方向(a)へ常に付勢されている。
図5に示すように、操作部材50の第1の方向(a)の端部に、押圧操作部54が一体に形成されている。図4に示すように、支持ブラケット31の下壁部31dの左右方向での中央部には、背部側から凹状に形成された操作開口部31eが形成されており、この操作開口部31eに、前記操作部材50の押圧操作部54が露出している。
図6に示すように、姿勢切換え機構15の動作によって、パネル支持部30が初期姿勢(v)に設定されているときは、押圧操作部54が筐体11の一部を構成する化粧枠13の下部壁部13dの内側に入り込んでおり、外部から押圧操作部54を押圧操作できないようになっている。一方、図2と図7に示すように、パネル支持部30が突出姿勢(vi)になると、パネル支持部30を構成している支持ブラケット31の下壁部31dが前方へ突出し、外部から押圧操作部54を押圧操作できるようになる。
図5に示すように、操作部材50の左右両側部には、第1の方向(a)に向けられた規制突部55が一体に形成されている。図6と図7ならびに図8に示すように、それぞれの保持部材40には、前記保持凹部45よりもβ側に規制凹部49が形成されている。また、規制凹部49よりもβ側に緩やかな曲面の規制案内部49aが形成されている。図8(A)に示すように、保持部材40がβ方向へ回動して保持位置(i)に至ると、規制突部55が規制案内部49aを摺動して規制凹部49に導かれ、規制突部55と規制凹部49とが凹凸嵌合して、保持部材40が保持位置(i)で固定される。
図5に示すように、操作部材50には、左右方向の中央部において第2の方向(b)へ向けて突出するスイッチ押圧部56が一体に形成されている。パネル支持部30を構成する支持ブラケット31の背部には、検知スイッチ57が固定されている。操作部材50が押されて第2の方向(b)に向けて移動すると、スイッチ押圧部56によって検知スイッチ57のアクチュエータ57aが押され、検知スイッチ57が非検知状態から検知状態に切り換えられる。
図4に示すように、パネル支持部30では、支持ブラケット31の装着パネル部31aの内側に、合成樹脂製の補助プレート60が重ねられている。補助プレート60には、左右方向に間隔を空けた位置に、位置決め構造部61a,61bが一体に形成されている。X1側に位置する位置決め構造部61aとX2側に位置する位置決め構造部61bは、左右方向で面対称構造である。
図4と図8に示すように、位置決め構造部61a,61bのそれぞれには、第1の方向(a)側で、装着パネル部31aから立ち上がる第1の位置決め規制部62と、第2の方向(b)側で、装着パネル部31aから立ち上がる第2の位置決め規制部63とが設けられている。それぞれの位置決め構造部61a,61bでは、第1の位置決め規制部62と第2の位置決め規制部63が(a)−(b)方向で対向し、第1の位置決め規制部62と第2の位置決め規制部63との対向部に位置決め空間部64が形成されている。
図8に示すように、第1の位置決め規制部62と第2の位置決め規制部63は、第1の方向(a)と第2の方向(b)に対して直交する前後方向(c)、すなわち装着パネル部31aと垂直な向きに延びている。また、位置決め空間部64も前後方向(c)に延びている。
図8に示すように、第1の位置決め規制部62の先部には、第2の方向(b)、すなわち、第2の位置決め規制部63の存在する方向に向けて浅く突出する仮位置決め部65が一体に形成されている。
図4に示すように、X1側に位置する位置決め構造部61aでは、第1の位置決め規制部62のX1方向に向く側面62aと、第2の位置決め規制部63のX1方向に向く側面63aとが位置決め面となっている。X2側に位置する位置決め構造部61bでは、第1の位置決め規制部62のX2方向に向く側面62aと、第2の位置決め規制部63のX2方向に向く側面63aとが位置決め面となっている。
図3では、パネル支持部30が突出姿勢(vi)となった状態で、着脱パネル20がパネル支持部30から取り外されている。
図3に示すように、着脱パネル20は、合成樹脂製のパネルケース21を有している。着脱パネル20の表部20aでは、前記パネルケース21に表示窓21aが開口している。パネルケース21の内部に液晶表示装置や有機エレクトロクロミック表示装置などの表示装置22が収納されており、その表示部(表示画面)が表示窓21aに現れている。また、表示装置22の表示部には透明なタッチセンサが備えられている。着脱パネル20の表部20aでは、パネルケース21の下部に、複数の操作部(操作釦)23が設けられている。
本明細書での着脱パネル20は、表部20aに、表示部と操作部の少なくとも一方が備えられているものである。
図4には、着脱パネル20の背部20bに現れる背面パネル24が示されている。背面パネル24は、板金材料でプレス成形されており、背面部24aと両側面部24b,24b、上面部24cならびに下面部24dを有している。背面パネル24の背面部24aと上面部24cとの境界部に一対の係止窓24e,24eが開口している。
図6と図7に示すように、着脱パネル20の背部20bでは、背面パネル24の内側に合成樹脂製のサポート部材25が重ねられて設けられている。サポート部材25の第2の方向(b)に向く端部には、左右方向に間隔を空けて一対の支点掛止部25aが一体に形成されている。支点掛止部25a,25aは、背面パネル24に形成された前記係止窓24e,24eの内部に位置している。
図4に示すように、支持ブラケット31の上壁部31cには、X1−X2方向に間隔を空けて掛止支持部31f,31fが一体に形成されている。掛止支持部31f,31fは、上壁部31cと一体で第1の方向(a)に向けて突出している。
図4に示すように、着脱パネル20の背部20bに設けられた背面パネル24には、下面部24dに接近した位置で左右方向に間隔を空けて保持開口部24f,24fが形成されている。それぞれの保持開口部24fの内縁部に軸支持部26a,26bが設けられている。X1側の軸支持部26aでは、X1側に第1の支持部29aが折り曲げられ、X2側に第2の支持部29bが折り曲げられている。X2側の軸支持部26bでは、X2側に第1の支持部29aが一対折り曲げられ、X1側に第2の支持部29bが一対折り曲げられている。
X1側に位置する軸支持部26aとX2側に位置する軸支持部26bに、金属製の保持軸27が取り付けられている。保持軸27の両端部は、保持開口部24fを左右方向へ横断し、それぞれの端部が前記第1の支持部29aと第2の支持部29bに固定されている。保持軸27は、保持掛止部として機能するものであり、保持掛止部である保持軸27と前記支点掛止部25aは、(a)−(b)方向へ間隔を空けて配置されている。
図6と図7に示すように、パネル支持部30に着脱パネル20が装着されている状態では、支点掛止部25aが掛止支持部31fに掛止されている。さらに、図8(A)に示すように、着脱パネル20の背部に設けられた保持軸27が、保持部材40の保持凹部45に挿入されて保持され、また、保持軸27が位置決め構造部61a,61bの位置決め空間部64,64の内部に挿入されている。
図4と図6ならびに図7に示すように、パネル支持部30では、支持ブラケット31に一対の本体側コネクタ36が固定されている。本体側コネクタ36はソケット型コネクタであり、それぞれ複数の挟持接点36aを有している。本体側コネクタ36のそれぞれの挟持接点36aは、柔軟なケーブルを介して、金属シャーシ12内の回路基板に導通させられている。
図6と図7に示すように、着脱パネル20の内部に設けられたサポート部材25に一対のパネル側コネクタ28が固定されている。パネル側コネクタ28はプラグ型コネクタであり、複数の突出接点28aを有している。それぞれの突出接点28aは、着脱パネル20の内部に設けられた回路基板に導通させられている。
図6と図7において実線で示すように、パネル支持部30に着脱パネル20が装着されて装着姿勢(iii)になると、それぞれのパネル側コネクタ28の突出接点28aが、本体側コネクタ36の挟持接点36aに介入して、突出接点28aと挟持接点36aとが個別に導通させられる。
次に、車載用電子装置1における着脱パネル20の装着動作と離脱動作について説明する。
着脱パネル20がパネル支持部30から外されている状態では、図6と図7において破線で示し、さらに図8(B)に示すように、パネル支持部30に設けられている保持部材40がα方向へ回動した保持解除位置(ii)となっている。このとき、操作部材50に設けられた規制突部55が規制部材の規制部として機能し、保持部材40の規制凹部49から外れて規制案内部49aに当接している。
図1と図6に示すように、パネル支持部30が、筐体11の前部にほぼ密着して底板11aや天井板11bに対して垂直な初期姿勢(v)となった状態で、着脱パネル20がパネル支持部30に装着される。
着脱パネル20をパネル支持部30に装着するには、図6において破線で示すように、着脱パネル20の背部20bの上端部に設けられた支点掛止部25aを、パネル支持部30に設けられた掛止支持部31fに掛止させる。そして、支点掛止部25aと掛止支持部31fとの掛止部(連結部)を支点として、着脱パネル20を反時計方向へ回動させて、図6において実線で示すように、着脱パネル20の背部20bを、パネル支持部30の支持ブラケット31の装着パネル部31aに押し付けるべく、着脱パネル20を押し込む。
この装着動作の際に、着脱パネル20の背部20bに設けられた保持掛止部である保持軸27が、図6に破線で示し且つ図8(B)に示す保持解除位置(ii)の保持部材40の保持突起43に当たって、保持部材40がトーションばね48の弾性力に対抗してβ方向へ回動させられ、保持軸27が保持部材40の保持凹部45の内部に導かれる。また、保持部材40のβ方向への回動に伴って、保持軸27が、パネル支持部30に設けられた位置決め構造部61a,61bの第1の位置決め規制部62と第2の位置決め規制部63との間の位置決め空間部64の内部に導かれる。
図6に実線で示すように、着脱パネル20の背部20bが支持ブラケット31の装着パネル部31aに押し付けられると、図8(A)に示すように、保持軸27によって保持部材40が保持位置(i)まで回動させられる。このとき、引っ張りコイルばね53によって第1の方向(a)へ付勢されている操作部材50の規制突部55が、保持部材40の規制案内部49aを摺動して、規制凹部49に入り込み、保持部材40が保持位置(i)で固定される。
図8(A)に示すように、保持部材40が保持位置(i)で固定されると、着脱パネル20の背部に設けられた保持軸27が、保持部材40の保持凹部45の内部で保持されるとともに、パネル支持部30に設けられた第1の位置決め規制部62と第2の位置決め規制部63との間の位置決め空間部64の内部に保持され、保持軸27が互いに交差(ほぼ直交する)する2方向に位置決めされる。
図6と図8(A)に示すように、パネル支持部30を基準とした方向においては、保持軸27が、位置決め空間部64によって、装着パネル部31aに沿う方向である第1の方向(a)と第2の方向(b)に向けてほとんどがたつきが生じないように保持される。また、保持部材40の保持凹部45によって、(a)−(b)方向と直交する前後方向(c)にほとんどがたつきが生じないように保持される。
着脱パネル20の背部20bに設けられた一対の保持軸27が、パネル支持部30において、互いに交差する2方向へ位置決めされて保持されるため、着脱パネル20がパネル支持部30に装着された装着姿勢(iii)では、着脱パネル20が、パネル支持部30に対して、前後方向(c)に向けてがたつきが生じない状態に保持されるとともに、着脱パネル20が、保持軸27を基準として(a)−(b)方向へ位置決めされる。
パネル支持部30において位置決め空間部64の位置が精度良く構成され、着脱パネル20の背部20bにおいて、保持軸27の取り付け位置が高精度に決められる。そのため、着脱パネル20とパネル支持部30の(a)−(b)方向の相対位置を高精度に決めることができる。
仮に、位置決め空間部64が存在していないと、着脱パネル20は、支点掛止部25aと保持掛止部である保持軸27の2か所で、パネル支持部30に掛止されることになる。この場合は、2か所の掛止部の寸法誤差などによって、着脱パネル20が(a)−(b)方向へがたついたり、(a)−(b)方向に位置ずれを生じやすくなる。しかし、この実施の形態では、このような不都合は生じにくい。
さらに、着脱パネル20がパネル支持部30に装着された装着姿勢(iii)では、図4に示す背面パネル24の軸支持部26aにおいてX1側に形成された第1の支持部29aが、支持ブラケット31の位置決め構造部61aに設けられた第1の位置決め規制部62のX1方向に向く側面62a、ならびに第2の位置決め規制部63のX1方向に向く側面63aに当接する。また、背面パネル24の軸支持部26bにおいてX2側に形成された第1の支持部29aが、支持ブラケット31の位置決め構造部61bに設けられた第1の位置決め規制部62のX1方向に向く側面62a、ならびに第2の位置決め規制部63のX1方向に向く側面63aに当接する。
そのため、装着姿勢(iii)では、着脱パネル20がパネル支持部30に対して左右方向(X1−X2方向)へがたつきを生じないように位置決めされる。
すなわち、着脱パネル20がパネル支持部30に装着された装着姿勢(iii)では、着脱パネル20とパネル支持部30とが一体化されるとともに、位置決め構造部61a,61bと保持軸27,27を基準として、着脱パネル20が(a)−(b)方向と(c)方向、ならびにX1−X2方向の、互いに交差する3方向に位置決めされる。
なお、図6に示されている合成樹脂製のサポート部材25に、X1側とX2側の第1の支持部29aのそれぞれを覆う被覆部または第1の支持部29aに接触する板部が一体に形成され、この被覆部または板部が、第1と第2の位置決め規制部62,63の側面62a,63aに当たって、着脱パネルがX1−X2方向へ位置決めされる構造であってもよい。
また、着脱パネル20がパネル支持部30に装着されると、パネル側コネクタ28の突出接点28aが、本体側コネクタ36の挟持接点36aに挟持され、突出接点28aと挟持接点36aとが個別に導通させられる。
なお、図3と図7に示すように、パネル支持部30が、その下端部が前方へ移動した突出姿勢(vi)となった状態であっても、前記と同様にして、着脱パネル20をパネル支持部30に装着することが可能である。
図6に示すように、着脱パネル20がパネル支持部30に装着された状態で、パネル支持部30が初期姿勢(v)になっていると、パネル支持部30に支持されている操作部材50の押圧操作部54が、筐体11の一部を構成する化粧枠13の下部壁部13dの内側に隠れている。したがって、パネル支持部30が初期姿勢(v)のときには、外部から押圧操作部54を押圧操作することができず、誤って押圧操作部54が操作されて、着脱パネル20がパネル支持部30から不用意に外れてしまうのを防止できる。
したがって、例えば、図1に示す状態で、表示装置22の表示部に画像が表示されているときに、誤って着脱パネル20がパネル支持部30から外れるのを防止できる。これにより、通信中の本体側コネクタ36とパネル側コネクタ28の導通が断たれて、各種操作が中断されたり、または回路の突然の遮断による故障などを防止できるようになる。
着脱パネル20をパネル支持部30から取り外すときは、表示装置22の表示部の表示内容に基づいて画面のタッチセンサを操作し、または操作部23のいずれかを操作して、筐体11の内部に設けられた制御装置でパネル離脱モードを設定する。または、自動車のアクセサリースイッチをOFFにしたときに、自動的に、パネル離脱モードが設定されてもよい。
パネル離脱モードが設定されると、まず着脱パネル20の表示装置22の画像表示が消え、本体側コネクタ36とパネル側コネクタ28との間での信号の伝達が停止させられる。そして、筐体11の内部に設けられたモータが始動して姿勢切換え機構15が動作させられる。
姿勢切換え機構15が動作すると、図3と図7に示すように、第1の切り換えアーム16がY1方向へ向けて前進し、第2の切り換えアーム17が前進し且つ反時計方向へ回動して、着脱パネル20が装着されているパネル支持部30が突出姿勢(vi)となる。突出姿勢(vi)では、パネル支持部30は、その下端部が上端部よりも前方(Y1方向)へ向けて移動した傾斜姿勢または水平姿勢となる。
図3と図7に示すように、パネル支持部30が突出姿勢になると、支持ブラケット31の下壁部31dが前方(Y1方向)に向けられ、下壁部31dの中央部に露出している押圧操作部54が前方から押圧操作可能な姿勢となる。
パネル支持部30が突出姿勢(vi)のときに押圧操作部54が押されると、図8(B)に示すように、操作部材50が第2の方向(b)へ移動させられ、規制突部55が保持部材40の規制凹部49から外れ、保持部材40がトーションばね48の付勢力によってα方向へ回動する。
保持部材40がα方向へ向けて回動すると、保持部材40の保持突起43によって保持軸27が、パネル支持部30から離れる方向へ押し出され、着脱パネル20は、支持掛止部25aと掛止支持部31fとの掛止部を支点として時計方向へ回動させられる。図7で破線で示すように、着脱パネル20が仮支持姿勢(iv)まで回動すると、図8(B)に示すように、保持軸27が、保持部材40の保持突起43の先部に設けられた仮支持部46に掛止されて、着脱パネル20が図7において破線で示す仮支持姿勢(iv)で軽ロックされる。
また、図8(B)に示すように、着脱パネル20が仮支持姿勢(iv)のときに、保持軸27が、位置決め構造部61a,61bの第1の位置決め規制部62に形成された仮位置決め部65と保持部材40の仮支持部46との間で挟まれるため、仮支持姿勢(iv)の着脱パネル20は、パネル支持部30から容易には離脱しないように図7において破線で示す姿勢で保持される。
仮支持姿勢(iv)の着脱パネル20が手で保持されて持ち上げられると、保持部材40が図8(B)に示す保持解除位置(ii)からβ方向へわずかに回動して、保持軸27が仮支持部46から離れる。さらに支点掛止部25aが掛止支持部31fから離れ、図3に示すように、着脱パネル20をパネル支持部30から離脱させることができる。
この車載用電子装置1は、保持部材40が、着脱パネル20を装着姿勢(iii)で保持する機能と、着脱パネル20をパネル支持部30から離れる方向へ押し出す機能と、着脱パネル20を仮支持姿勢(iv)で仮支持する機能を有している。保持部材40と操作部材50との組み合わせで、これらの動作を全て制御できるため、部品点数を削減でき、パネル支持部30と着脱パネル20との対面部の領域を有効に使用することができる。
また、図8(A)に示すように、保持部材40は操作部材50によって保持位置(i)で固定される。保持部材40が操作部材50によって直接に制御されるため、操作部材50が操作されたときに、保持部材40を保持位置(i)から保持解除位置(ii)へ向けて確実に移動させることが可能である。
次に、パネル支持部30を図1に示す初期姿勢(v)から図2に示す突出姿勢(vi)へ移動させ、さらに、着脱パネル20が離脱した後に、パネル支持部30を初期姿勢(v)に復帰させるための制御動作を、図9に示すフローチャートに基づいて説明する。
図9に示すそれぞれのステップ「ST」は、金属シャーシ12の内部に設けられた制御装置の制御動作によって実行される。
図1に示すように、着脱パネル20が装着されたパネル支持部30が初期姿勢(v)のときに、表示装置22の表示部の表示内容を参照しながら、画面のタッチパネルでパネル離脱の操作を行い、または操作部23のいずれかを操作すると、制御装置ではST1においてパネル離脱モードが設定される。または、自動車を停車させてアクセサリースイッチがOFFとされたときに、パネル離脱モードが自動的に設定されてもよい。
パネル離脱モードが設定されると、ST2において姿勢切換え機構15が始動し、図2と図7に示すように、着脱パネル20が装着されたパネル支持部30が突出姿勢(vi)へ移行させられる。ST3では、タイマーによって待機時間T0の計測が開始される。待機時間T0は、パネル支持部30が突出姿勢(vi)に移行した後に、操作部材50を操作して着脱パネル20を仮支持姿勢(iv)とし、さらに仮支持姿勢(iv)となった着脱パネル20をパネル支持部30から離脱させる操作を行うのに十分な時間が選択される。例えば待機時間T0は20〜60秒程度に設定される。
ST3においては、パネル支持部30の突出姿勢(vi)への移動が完了したときに待機時間T0の計測を開始する。
ただし、待機時間T0の計測を開始するタイミングは、タッチパネルや操作部23が操作されてST1でパネル離脱モードが設定されたとき、アクセサリースイッチがOFFとされたとき、ST2で初期姿勢(v)のパネル支持部30が突出姿勢(vi)へ向けて動き始めたとき、などのいずれのタイミングでもよい。すなわち、待機時間T0の計測を開始するタイミングは、タッチパネルや操作部23で着脱パネル20を離脱させるための操作が行われたときを起点とし、あるいはアクセサリースイッチがOFFとされたときを起点として、パネル支持部30の突出姿勢(vi)への移動が完了したときまでのどのタイミングであってもよい。
ST4では、図2と図7に示す突出姿勢(vi)において、前方へ向けられている操作部材50の押圧操作部54が押圧操作されたか否かを監視する。これは、操作部材50によって、図5に示す検知スイッチ57が切り替えられたか否かを監視することによって行われる。
ST5では、前記待機時間T0の時間内で操作部材50の押圧操作部54の操作が行われたか否かを監視する。ST4において操作部材50が操作されないまま待機時間T0を経過したら、着脱パネル20を離脱させる操作が行なわれないと判断してST6へ移行する。ST6では、姿勢切換え機構15が逆方向へ駆動され、着脱パネル20が装着されたままのパネル支持部30が図1に示す初期姿勢(v)へ復帰させられる。そしてST7に移行して、スタンバイ処理となる。
ST4において、操作部材50が操作されて検知スイッチ57が切り替えられたと判断したらST8に移行する。ST4において、押圧操作部54が押されて操作部材50が第2の方向(b)へ移動させられると、図8(B)に示すように、保持部材40がβ方向へ回動して保持解除位置(ii)となり、図7に破線で示すように、着脱パネル20が仮支持姿勢(iv)となる。
ST8では、ST3の時間計測開始から検知スイッチ57が切り替えられるまでの時間が、操作限界時間tを経過したか否か判断される。操作限界時間tは、前記待機時間T0よりも短い時間であり、次の基準で決められる。
操作限界時間tを経過した後では、待機時間T0が終了するまでの時間が短すぎて、仮支持姿勢(iv)となった着脱パネル20を手で保持してパネル支持部30から離脱させる操作を余裕を持って行えないと予測して、操作限界時間tが決められる。逆に言うと、操作限界時間tに至っていない時点では、待機時間T0の終了までに十分に時間があり、仮支持姿勢(iv)の着脱パネル20をパネル支持部30から離脱させる操作を余裕を持って行えると予測して、操作限界時間tが決められる。
すなわち、時間(T0−t)よりも短い時間では、仮支持姿勢(iv)の着脱パネル20をパネル支持部30から離脱させる操作を余裕を持って行うことができないと予想して、前記操作限界時間tが設定される。
例えば、時間(T0−t)が10秒以下、あるいは5秒以下に設定される。あるいは、T0/2≦t≦T0またはT0(2/3)≦t≦T0となるように操作限界時間tが設定される。
ST8において、操作限界時間tを経過していないときは、ST9に移行し、待機時間T0が終了するのを待って、ST6に移行する。ST6では、姿勢切換え機構15を動作させて、パネル支持部30を図1と図6に示す初期姿勢(v)に復帰させる。この条件では、操作部材50が操作され着脱パネル20が仮支持姿勢(iv)となってから、パネル支持部30が初期姿勢(v)に戻るまでに時間の余裕があるため、手で仮支持姿勢(iv)の着脱パネル20を保持して取り外す操作を余裕を持って行うことができる。そのため、仮支持姿勢(iv)の着脱パネル20を取り外している途中で、パネル支持部30が初期姿勢(v)に向けて動き出すなどの問題が生じにくい。
ST8において、検知スイッチ57が切り替えられたのが操作限界時間tを経過した後だと判断されたときは、ST10に移行し、延長時間T1を設定する。延長時間T1は、5秒以上または10秒以上で、30秒以下程度に設定される。ST11では延長時間T1が経過するのを待ってから、ST6に移行し、姿勢切換え機構15を動作させて、パネル支持部30を図1と図6に示す初期姿勢(v)に復帰させる。
図7で破線で示すように、操作部材50が操作され、着脱パネル20が仮支持姿勢(iv)となったのが、操作限界時間tを経過した後であると、残り時間(T0−t)が非常に短くなり、着脱パネル20を手で保持して取り外そうとし始めたとき、または取り外している途中で、パネル支持部30が初期姿勢(v)に向けて移動を開始するおそれがある。そこで、ST10において延長時間T1を設定することにより、着脱パネル20を取り外すのに十分な時間を確保でき、図7に示すように、パネル支持部30が突出姿勢(vi)のときに、着脱パネル20を余裕を持って取り外すことができる。
なお、ST4において操作部材50が操作され、着脱パネル20が仮支持姿勢(iv)となった後に、ST9において待機時間T0が終了したら、またはST11において延長時間T1が経過したら、着脱パネル20が取り外されたか否かにかかわらず、ST6に移行して、パネル支持部30が初期姿勢(v)へ戻される。
ST9までの期間、またはST11までの期間に着脱パネル20が取り外されなくても、図6に示すように、パネル支持部30が初期姿勢(v)に戻った後に、仮支持姿勢(iv)の着脱パネル20を取り外すことが可能である。または、パネル支持部30が初期姿勢(v)のときに、着脱パネル20を押し込んで、着脱パネル20を装着姿勢(iii)に戻すことも可能である。
また、図9では、ST4において検知スイッチ57が切り替えられたか否かを監視して、着脱パネル20が仮支持姿勢(iv)となったか否かを判断しているが、ST4において、本体側コネクタ36とパネル側コネクタ28の接続が断たれたことを電気信号で検知し、これにより、着脱パネル20が仮支持姿勢(iv)に至ったと判断してもよい。この場合、検知スイッチ57は不要である。
あるいは、着脱パネル20が、支持ブラケット31の装着パネル部31aに接近しているかを検知するスイッチが設けられ、ST4において、このスイッチの切り換え信号を監視して、着脱パネル20が仮支持姿勢(iv)となったか否かを判断してもよい。