JP3635983B2 - りゅうず構造及びこれを備えた時計 - Google Patents

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はりゅうず構造及びこれを備えた時計に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、腕時計や懐中時計などにおいては、時計本体を構成する時計ケース(胴)の側部にりゅうずが取り付けられている。図5は従来の腕時計のりゅうず取付部分である側部の構造を示す拡大断面図である。時計ケース1の側面には貫通孔1aが形成され、この貫通孔1aには、巻真パイプ2が挿入され、ロウ付けなどの方法により時計ケース1に固定されている。りゅうず10は、時計ケース1の外側に突出する頭部11と、この頭部11から伸びる軸部12とから構成されている。軸部12は、頭部11に接続された基端12aから時計ケース1の内部に向かって伸びるように構成されている。軸部12は上記巻真パイプ2の内部を軸線周りに回転自在且つ軸線方向に摺動自在に挿通し、その先端12bが時計ケース1の内部に臨むように取り付けられている。時計ケース1の内部には図示しないムーブメントが収容配置され、軸部12の内端12bはムーブメント内の部品に係合した図示点線で示す軸部品3に接続(螺合)されている。
【0003】
りゅうず10の頭部11には、軸部12の基端12aの周囲に形成され、軸部12の延伸側に開口した環状溝部11aが形成されている。環状溝部11aは、時計ケース1の外側に突出した巻真パイプ2の管状突出部2aを収容するように形成されている。環状溝部11aの開口部側には、環状溝部11aの開口径を広げるように外側に広がった開口段部11bが形成されており、この開口段部11bにガタ防止リング13が嵌合されている。ガタ防止リング13のさらに開口部側にはさらに開口径を広げるように形成された開口段部11cが形成され、この開口段部11cには押さえリング14が嵌合している。押さえリング14は環状溝部11aの開口縁部に形成された縁枠部11dを内側にカシメ加工することによって固定されている。押さえリング14は、ガタ防止リング13をりゅうず10の頭部11に固定している。
【0004】
また、りゅうず10の軸部12には小径部12cが形成されており、この小径部12cにはリング状のパッキン15が装着されている。りゅうず10は、時計本体の内部に配置されたムーブメントを操作するための外部操作部材であり、図5の一点鎖線に示すように頭部11を一段外側に引き出し、軸線周りに回転させることによって例えば時計輪列を回転させて時刻修正を行うことができるように構成されている。また、機種によっては、りゅうず10を2段階で引き出すことができるように構成されたものもあり、この場合には、りゅうずの1段引き出し状態と、2段引き出し状態とに相互に異なる2種類の機能を割り振ることができる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来のりゅうず構造においては、図示一点鎖線で示すようにりゅうず10の頭部11を或る程度引き出すことによってガタ防止リング14が巻真パイプ2の突出部から外れてしまうため、この状態で時計本体を落下させたなどの理由によって頭部11に直接(頭部11が床などに直接に当たった場合)若しくは間接的(時計本体の他の部分が床などに当たった場合)に衝撃が加わると、りゅうず10の軸部12に曲がりが発生し、円滑に回転しなくなったり、回転不能になったりするという問題点がある。ガタ防止リング13を巻真パイプ2から外れないようにするには引き出し量を少なくすればよいが、引き出し量を少なくすると機械的余裕が少なくなり、また、操作性も悪化するという問題点がある。さらに、上記のように時計の機種によってはりゅうず10を2段階に引出可能に構成する場合もあり、この場合には、1段引き出し状態ではガタ防止リング13が巻真パイプ2から外れないように引き出し量を或る程度少なく設定することも可能であるが、2段引き出し状態では上記のようにガタ防止リング13が巻真パイプ2から外れてしまう。
【0006】
また、上記のように軸部12に小径部12cが形成されていると、小径部12cの剛性は他の部分よりも低いので、りゅうず10の頭部11に衝撃を受けた場合、小径部12cに変形が集中して起こることになり、軸部12の局部的な曲がりによってりゅうず10の動作不良が発生しやすいという問題点もある。
【0007】
上記の欠点を防止するために、りゅうずの頭部の周りを覆うように時計ケースに取り付けられた保護枠を設けることも可能である。しかし、りゅうずの操作性を確保するには、不要時にりゅうずの頭部から退避するように時計ケースに対して保護枠を可動に構成する必要があり、そのため、構造が複雑になり製造コストが上昇するという問題点がある。
【0008】
そこで本発明は上記問題点を解決するものであり、その課題は、りゅうず周りの構造を複雑化することなく、りゅうずの剛性を実質的に向上させることの可能なりゅうず構造を実現し、衝撃によるりゅうずの曲がりを防止若しくは低減することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために本発明のりゅうず構造は、頭部及び該頭部から伸びる軸部を備えてなり、前記頭部の内側に前記軸部の延伸方向に開口した環状溝部が形成され、該環状溝部の内側に前記軸部の基端が配置され、前記頭部には、前記環状溝部を挟んで前記基端に対向するガタ防止部材が取付られているりゅうず構造において、
前記環状溝部内には、環状若しくは円筒状の支持部材が嵌合固定され、該支持部材により前記ガタ防止部材が支持されており、
前記ガタ防止部材は、前記時計本体に固定された巻真パイプの前記環状溝部内に挿入される管状突出部に摺接するガタ防止リングであると共に、前記支持部材の内面に当接支持されていることを特徴とする。
【0010】
この発明によれば、環状溝部内に支持部材が嵌合固定され、この支持部材にガタ防止部材が支持されていることにより、あらかじめ環状溝部の溝幅を大きく形成し、この溝幅の一部を埋めるように支持部材を環状溝部内に嵌合固定させ、この支持部材によってガタ防止部材を環状溝部の径方向、深さ方向或いは両方向に支持することができるから、頭部に環状溝部を形成する場合、環状溝部の深さと溝幅との比率が小さくなるように設定することができるので、頭部に環状溝部を形成する加工が容易になるとともに、環状溝部をより深く形成することが可能になるから、ガタ防止部材が時計本体側の部品に摺接するりゅうずの引き出し範囲を大きくすることができる。したがって、りゅうずと時計本体との一体性をりゅうずの引き出し範囲の広い領域に亘り確保することができるため、りゅうずの操
作性を犠牲にすることなく、衝撃などによる機械的応力を受けた場合のりゅうずの変形を防止し、或いはりゅうずの変形量を低減することができる。
さらに、支持部材の内面にガタ防止部材が当接支持されていることにより、環状溝部の溝幅を大きく形成しても支持部材の径方向の厚さによってガタ防止部材を環状溝部の径方向に位置決めできる。
【0016】
上記各発明において、前記ガタ防止部材及び前記支持部材は、前記開口部近傍において前記頭部に対し固定された押さえ部材によって直接若しくは間接的に固定されていることが好ましい。
【0017】
この発明によれば、ガタ防止部材と支持部材の双方が環状溝部の開口部近傍において固定された押さえ部材によって固定されていることにより、ガタ防止部材と支持部材とを別々に固定する必要がなくなるので、構造が簡単になり、組立作業も容易になる。
【0018】
上記各発明において、前記軸部にはパッキン装着用の小径部が形成され、前記頭部の端部から前記小径部までの距離の前記小径部の直径に対する比が0.8以上になるように形成されていることが好ましい。頭部の端部から小径部までの距離の小径部の直径に対する比が0.8以上に設定されていることにより、応力の加わる頭部から変形しやすい小径部までの距離を長くとることができ、時計本体との一体性をより高めることができるため、りゅうずの変形量(曲がり量)を低減することができる。この場合、上記比としては1以上であることが好ましいが、時計本体の構造的制約や時計ケースの厚さなどの制約によって、上記の比は0.85〜1.3の範囲内であることが特に望ましい。
【0019】
次に、本発明の時計は、上記各発明のりゅうず構造と、前記軸部が挿通される貫通孔及び該貫通孔の開口縁部から突出した管状突出部を備えた時計本体とを有し、前記りゅうず構造が前記時計本体に対して所定範囲で出没可能に取り付けられ、前記管状突出部が前記環状溝部に挿入され前記ガタ防止部材に摺接するように構成されたものである。
さらに、本発明のりゅうず構造は、頭部及び該頭部から伸びる軸部を備えてなり、前記頭部の内側に前記軸部の延伸方向に開口した環状溝部が形成され、該環状溝部の内側に前記軸部の基端が配置されているりゅうず構造において、前記軸部にはパッキン装着用の小径部が形成され、前記頭部の端部から前記小径部までの距離が前記小径部の直径よりも長く形成されていることを特徴とする。そして、本発明の時計は、前記りゅうず構造と、前記軸部が挿通される貫通孔及び該貫通孔の開口縁部から突出した管状突出部を備えた時計本体とを有し、前記りゅうず構造が前記時計本体に対して所定範囲で出没可能に取り付けられ、前記管状突出部が前記環状溝部に挿入されるように構成されたものである。このように、頭部の端部から小径部までの距離が前記小径部の直径よりも長く形成されているとにより、応力の加わる頭部から変形しやすい小径部までの距離を長くとることができ、時計本体との一体性をより高めることができるため、りゅうずの変形量(曲がり量)を低減することができる。
【0020】
また、時計本体と、頭部及び該頭部から伸びる軸部を備えてなり、前記頭部の内側に前記軸部の延伸方向に開口した環状溝部が形成され、該環状溝部の内側に前記軸部の基端が配置され、前記軸部が前記時計本体内に挿入されているとともに前記頭部が前記時計本体の外側に配置されるように取り付けられ、前記時計本体に対して所定量だけ出没可能に構成されているりゅうずと、前記時計本体から突出し、前記環状溝部に挿入された管状突出部とを有し、前記頭部には、前記環状溝部内に挿入された前記管状突出部の外周面に摺接するガタ防止部が設けられている時計において、前記りゅうずは、前記所定量の出没範囲に亘って常に前記ガタ防止部が前記管状突出部の外周面に摺接するように構成されていることを特徴とする。
【0021】
この発明によれば、りゅうずを引き出しても常に頭部のガタ防止部が管状突出部の外周面に摺接しているため、りゅうずと時計本体との一体性が常に保持されているから、りゅうずの実質的な剛性が高くなり、りゅうずの変形を防止し、或いは変形量を低減することができる。
【0022】
この発明において、前記ガタ防止部は前記環状溝部内に固定されたガタ防止部材の内周面であることが好ましい。
【0023】
さらに、この場合には、前記ガタ防止部材は、前記環状溝部の外周側に嵌合固定された環状若しくは円筒状の支持部材に支持されていることが望ましい。
【0024】
上記の各発明の時計においても、前記軸部にはパッキン装着用の小径部が形成され、前記頭部の端部から前記小径部までの距離の前記小径部の直径に対する比が0.8以上になるように形成されていることが好ましい。頭部の端部から小径部までの距離の小径部の直径に対する比が0.8以上に設定されていることにより、応力の加わる頭部から変形しやすい小径部までの距離を長くとることができ、時計本体との一体性をより高めることができるため、りゅうずの変形量(曲がり量)を低減することができる。この場合、上記比としては1以上であることが好ましいが、時計本体の構造的制約や時計ケースの厚さなどの制約によって、上記の比は0.85〜1.3の範囲内であることが特に望ましい。
【0025】
【発明の実施の形態】
次に、添付図面を参照して本発明に係るりゅうず構造及びこれを備えた時計の実施形態について詳細に説明する。
【0026】
[第1実施形態]
図1は、本発明に係る第1実施形態の構造を示す拡大断面図である。本実施形態において、図5に示す従来構造と実質的に同様の部分には同一符号を付し、その説明は省略する。
【0027】
りゅうず20には時計ケース1の外側に配置された頭部21と軸部22が設けられている。この軸部22は頭部21に接続された基端22aから時計ケース1の貫通孔1a内に固定された巻真パイプ4の内部を時計本体内に向けて伸びている。頭部21には、軸部22の基端22aの周囲に形成された環状溝部21aが形成され、この環状溝部21aには、巻真パイプ4の管状突出部4aが挿入配置されている。管状突出部4aは巻真パイプ4のうちの時計ケース1から外側に突出した部分である。
【0028】
頭部21に形成された環状溝部21aは軸部22が延伸する側に開口部を備えており、この開口部の近傍には、環状溝部21aの奥部側に形成された開口段部21bと、環状溝部21aの開口部側に形成された開口段部21cとが設けられている。開口段部21bには断面長方形若しくは正方形状の支持リング16が嵌合されている。頭部21の径方向に見た支持リング16の厚さは、開口段部21bにおいて頭部21の径方向に形成された段差よりも薄く形成され、その結果、支持リング16の内周面と、開口段部21bとの間には更なる段差面が存在するようになっている。そして、この段差面にガタ防止リング13が嵌合されている。したがって、ガタ防止リング13は、環状溝部21aの深さ方向には開口段部21bの段差面によって当接支持され、また、頭部21の径方向には支持リング16の内周面によって当接支持されている。
【0029】
開口段部21cには押さえリング17が嵌合され、この押さえリング17は環状溝部21aの開口縁部に形成された縁枠部21dをカシメ加工することによって頭部21に固定されている。押さえリング17は径方向に幅広に形成され、この幅広形状によって上記の支持リング16及びガタ防止リング13を共に環状溝部21aの開口部側から押え付け、固定している。
【0030】
この実施形態では、頭部21に形成された環状溝部21aの開口部側に大きな開口段部21bが形成され、ここに支持リング16を嵌合させてガタ防止リング13を支持している。したがって、環状溝部21aの開口部近傍の溝幅A1を大きくすることができるので、環状溝部21aの奥部側に設けられた小さな溝幅A2を有する部分の深さB2を浅くしても、環状溝部21aの全体の深さB1を深く形成することができる。
【0031】
従来から一般に、図4に示すようにりゅうず10に環状溝部11aを形成する場合、環状溝部11aの溝幅に対する環状溝部11aの深さの比が2〜3程度までは切削加工、塑性加工などによって比較的容易に加工することができるが、上記の比が3を上回ると急激に加工が困難になる。特に、図4に示す形状のりゅうずでは開口部近傍にガタ防止リング13や押さえリング14を装着する必要性から比較的開口径が大きくなっているために開口部側の溝幅41は比較的大きく、上記の比B1/A1を3以下にすることも可能であるが、実際にはガタ防止リング13を環状溝部の深さ方向に位置決めする開口段部11bを形成しているために環状溝部11aの奥部側の溝幅A2は小さくなっており、この小さくなった溝幅A2に対応する環状溝部11aの深さB2と溝幅A2との比は約3前後と高くなる。また、開口部近傍の開口径の増大はわずかであり、環状溝部11aの奥部側の加工を容易にするほどのものではない。
【0032】
上記の比を小さくするために環状溝部11aを浅くした場合には、ガタ防止リング13が巻真パイプ2から外れない範囲内のりゅうずの引き出し量が小さくなってしまう。また、上記比を小さくするために環状溝部11aの溝幅を大きく形成した場合には、頭部11の剛性を確保するために頭部11の外径を大きくしなければならないので、りゅうず10のコンパクト化を図ることが困難になる。なお、図4に示した形状は従来形状でも本実施形態でもなく、仮想的な概略構造である。
【0033】
本実施形態では、開口段部21bの段差を大きく形成し、支持部材16によって開口段部21bの段差を浅くした後にガタ防止リング13を装着している。すなわち、開口部側の溝幅A1を従来より大きくするために形成された開口段部21bの大きな段差を支持リング16によって埋め、ガタ防止リング13を支持できるように構成している。そして、環状溝部21aの奥部側の溝幅A2に対する奥部側の深さB2の比B2/A2を3以下に設定している。このため、開口部近傍の開口径が大きいために奥部側の溝形状が加工しやすくなるとともに、奥部側の比もそれほど大きくないため、環状溝部21aの加工が容易に行われる。その結果、環状溝部21aの全体の深さB1を大きくすることが可能になっている。
【0034】
本実施形態では、上記のように環状溝部21aを深く形成していることに対応させて、巻真パイプ4の突出部4aの突出長さを長く形成してあり、これによって頭部21の環状溝部21a内に突出部4aが深く挿入されている。このため、頭部21を時計本体から引き出してもガタ防止リング13が突出部4aから外れにくくなる。特に、りゅうず20を1段引き出した場合のみならず、2段引き出した場合にもガタ防止リング13が巻真パイプ4から外れないだけの引き出しストロークCを備えている。したがって、りゅうず20の引き出し状態でもりゅうず20と巻真パイプ4との一体性が確保され、りゅうず20の衝撃などによって受ける応力に対する剛性が実質的に増大する。
【0035】
また、本実施形態においても従来例と同様にりゅうず20の軸部22に小径部22cが形成されているが、この小径部22cの形成位置は、従来よりも時計本体の内部側に配置されるように設計されている。すなわち、図5に示す従来例では、りゅうず10の頭部11の端部から小径部12cまでの距離と、軸部12の直径との比が0.25〜0.45程度になるように構成されている。しかし、本実施形態では、りゅうず20の端部から小径部22cまでの距離Eと軸部22の直径Dとの比が0.8以上、好ましくは1以上であり、特に、時計ケースの肉厚や他の寸法との関係によって0.85〜1.3であるように構成されている。例えば、従来は、軸部の直径Dが1.15mmであるとき、距離Eは0.3〜0.5mmであったのに対し、本実施形態では、軸部22の直径Dが1.15mmであるとき、距離Eは1.0〜1.5mm程度としている。
【0036】
このため、りゅうず20の頭部21が衝撃等によって応力を受けたとき、小径部22cで変形が発生するとしても、頭部21から小径部までの距離が長くなるとともに巻真パイプ4と一体的に応力を受ける軸部22の長さが長くなるため、小径部22cに集中的に発生する変形量(曲げ量)が低減される。
【0037】
[第2実施形態]
次に、図2を参照して本発明に係る第2実施形態の構造について詳細に説明する。この第2実施形態では、上記第1実施形態と異なるりゅうず30及びこれに一体化された部品を用いている点を除き、第1実施形態と同様であるので、同一部分には同一符号を付し、その説明は省略する。
【0038】
りゅうず30は、頭部31と、この頭部31に基端32aが接続されて時計本体内に延伸する軸部32とを備え、頭部31には基端32aの周囲に形成された環状溝部31aが軸部32の延伸方向に開口するように形成されている。軸部32には第1実施形態と同様に軸部品3に接続される先端32bと、小径部32cとが設けられている。
【0039】
頭部31に設けられた環状溝部31a内には、円筒状の支持リング18が挿入、嵌合されている。この支持リング18は、環状溝部31aの最奥部の突き当たり面に当接しているとともに、その外周面が環状溝部31aの外側内周面に密接している。環状溝部31aの開口部側の支持リング18の端面18aには、ガタ防止リング13が当接している。また、ガタ防止リング13の開口部側の端面には、押さえリング14の端面が当接している。押さえリング14は上記第1実施形態と同様に縁枠部31dによって頭部31に固定されている。したがって、押さえリング14によってガタ防止リング13及び支持リング18は間接的に頭部31に対して固定されている。
【0040】
この実施形態においては、開口溝部31aの全体の深さBにおける支持リング18を嵌合させる前の溝幅A1に対する比B/A1は3以下に設定されている。したがって、切削加工、塑性加工などによって容易に成形することができる。そして、開口溝部31aの内部に支持リング18を入れることによってガタ防止リング13を位置決めする段差面(端面18aによって構成される。)が構成されるとともに、開口溝部31aの溝幅を実質的にA2で示すように小さく形成することができる。
【0041】
また、支持リング18は環状溝部31aの外側内周面に密接し、環状溝部31aの深さに近い軸線方向の長さを備えているので、支持リング18によって頭部31の剛性が増大している。したがって、りゅうず30の外壁を薄く形成することができるので、頭部31の外径を小さく形成することができる。
【0042】
さらに、上記第1実施形態と同様に、環状溝部31aを深く形成し、これに対応させて巻真パイプ4の突出部を長く形成しているため、りゅうず30を大きく引き出してもガタ防止リング13が巻真パイプ4の外周面上から外れないように、りゅうずの引き出しストロークCを十分に確保している。特に、りゅうず30を1段引き出した場合のみならず、2段引き出した場合にもガタ防止リング13が巻真パイプ4から外れない。したがって、りゅうず30は常に巻真パイプ4によって内外両側で支持されていることとなり、りゅうず30が引き出し状態において衝撃を受けても、りゅうず30の軸部が曲がるなどの変形の発生を抑制することができる。
【0043】
この実施形態でも、上記第1実施形態と同様に、頭部31の端部から小径部32cまでの距離Eが軸部32の外径Dの0.8倍以上、好ましくは1倍以上でり、特に0.85〜1.3の範囲内になるように構成されている。したがって、りゅうず30が衝撃を受けたときの小径部32における変形量が低減される。
【0044】
[第3実施形態]
次に、図3を参照して本発明に係るりゅうず構造及びこれを用いた時計の第3実施形態について詳細に説明する。この実施形態においては、りゅうず40及びこれに一体化された部品以外は上記他の実施形態と同様であるので同一部分には同一符号を付し、その説明は省略する。
【0045】
第3実施形態においては、上記と同様に、りゅうず40の頭部41に環状溝部41aが形成されているとともに、軸部42の基端42aが頭部41に接続され、軸部42は環状溝部41aの開口部側に伸び、巻真パイプ4の内部を挿通している。巻真パイプ4の内部を挿通して時計本体内に臨む先端42b、巻真パイプ4の内側に配置された小径部42cが形成されている点も上記と同様である。
【0046】
この実施形態では、環状溝部41aの内部に円筒状の支持リング19が挿入され、嵌合している。支持リング19は、環状溝部41aの最奥部の突き当たり面に当接していると共に、その外周面が環状溝部41aの外側内周面に当接している。支持リング19の内周面上であって、環状溝部41aの開口部側の端部近傍の部分には内側段部19aが形成されている。この内側段部19aによって内径が拡大している部分にガタ防止リング13が嵌合されている。ガタ防止リング13は、その内端面が内側段部19aの段差面に当接しているとともに、その外周面が内側段部19aの開口部側の内周面に当接している。
【0047】
環状溝部41aの開口部には押さえリング17が開口段部41cに嵌合するように配置され、この押さえリング17は、カシメ加工された縁枠部41dによって頭部41に固定されている。また、押さえリング17によってガタ防止リング13及び支持リング19も頭部41に固定されている。
【0048】
この実施形態では、支持リング19がガタ防止リング13を環状溝部41aの奥部側及び外周側の双方から支持した構造となっており、ガタ防止リング13は、支持リング19によって環状溝部41aの深さ方向及び半径方向の双方に位置決めされている。
【0049】
開口溝部41aの深さBの溝幅A1に対する比B/A1は2或いは2以下であるため、頭部41の切削加工や塑性加工を容易に行うことができる。支持リング19を嵌合させた後の溝幅A2に対する深さBの比B/A2をとると、明らかに3を越える比率になっているが、このような比率で環状溝部41aを成形加工することはきわめて困難である。また、加工が容易であることによって環状溝部41aの外周側や奥部側の壁厚を薄くすることが可能になり、環状溝部41aの溝幅A1及び深さBを大きく形成しても、りゅうず40の頭部41を比較的コンパクトに形成することができる。
【0050】
なお、本実施形態においても、りゅうず40の引き出しストロークCを十分に確保することが可能であり、実際にりゅうず40を2段に引き出してもガタ防止リング13が巻真パイプ4の管状突出部4aの外周面から外れないように構成されている。また、軸部42には小径部42cが形成され、頭部41の端部から小径部42cまでの距離Eは、軸部42の外径Dの0.8倍以上、約1倍程度、特に0.85〜1.3の範囲内となっている。したがって、りゅうず40と巻真パイプ4の一体性をより高めることができ、衝撃などによって軸部42の曲がる方向に応力が加わっても軸部42の変形量を低減することができる。
【0051】
尚、本発明のりゅうず構造及びこれを備えた時計は、上述の図示例にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。また、上記各実施形態においては、いずれも時計ケース1の側面部の構造のみを説明したが、本発明は時計に適用できるものであって、特に腕時計、懐中時計などの携帯時計に用いることが好ましい。時計としては、時計ケースと、この時計ケース内に収容されたムーブメントとを有し、時計ケースには、時刻表示面が設けられる。時刻表示面には、必要に応じて時計ケースに固定された透光性を有する窓材が被覆される。また、時計ケース(胴)には、必要に応じて裏蓋が取り付けられる。
【0052】
【発明の効果】
以上、説明したように本発明によれば、頭部に環状溝部を形成する加工が容易になるとともに、環状溝部をより深く形成することが可能になるから、ガタ防止部材が時計本体側の部品に摺接するりゅうずの引き出し範囲を大きくすることができる。したがって、りゅうずと時計本体との一体性をりゅうずの引き出し範囲の広い領域に亘り確保することができるため、りゅうずの操作性を犠牲にすることなく、衝撃などによる機械的応力を受けた場合のりゅうずの変形を防止し、或いはりゅうずの変形量を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るりゅうず構造及びこれを備えた時計の第1実施形態の構造を示す拡大部分断面図である。
【図2】本発明に係るりゅうず構造及びこれを備えた時計の第2実施形態の構造を示す拡大部分断面図である。
【図3】本発明に係るりゅうず構造及びこれを備えた時計の第3実施形態の構造を示す拡大部分断面図である。
【図4】りゅうずの頭部の形状について示す説明図である。
【図5】従来のりゅうず構造を示すための腕時計の拡大部分断面図である。
【符号の説明】
1 時計ケース
1a 貫通孔
2,4 巻真パイプ
2a,4a 管状突出部
10,20,30,40 りゅうず
11,21,31,41 頭部
11a,21a,31a,41a 環状溝部
12,22,32,42 軸部
12a,22a,32a,42a 基端
12c,22c,32c,42c 小径部
13 ガタ防止リング
14,17 押さえリング
15 パッキン
16,18,19 支持リング

Claims (9)

  1. 頭部及び該頭部から伸びる軸部を備えてなり、前記頭部の内側に前記軸部の延伸方向に開口した環状溝部が形成され、該環状溝部の内側に前記軸部の基端が配置され、前記頭部には、前記環状溝部を挟んで前記基端に対向するガタ防止部材が取付られているりゅうず構造において、
    前記環状溝部内には、環状若しくは円筒状の支持部材が嵌合固定され、該支持部材により前記ガタ防止部材が支持されており、
    前記ガタ防止部材は、前記時計本体に固定された巻真パイプの前記環状溝部内に挿入される管状突出部に摺接するガタ防止リングであると共に、前記支持部材の内面に当接支持されていることを特徴とするりゅうず構造。
  2. 請求項1において、前記ガタ防止部材及び前記支持部材は、前記開口部近傍において前記頭部に対し固定された押さえ部材によって直接若しくは間接的に固定されていることを特徴とするりゅうず構造。
  3. 請求項1または請求項2において、前記軸部にはパッキン装着用の小径部が形成され、前記頭部の端部から前記小径部までの距離が前記小径部の直径よりも長く形成されていることを特徴とするりゅうず構造。
  4. 請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載されたりゅうず構造と、前記軸部が挿通される貫通孔及び該貫通孔の開口縁部から突出した管状突出部を備えた時計本体とを有し、前記りゅうず構造が前記時計本体に対して所定範囲で出没可能に取り付けられ、前記管状突出部が前記環状溝部に挿入され前記ガタ防止部材に摺接するように構成された時計。
  5. 頭部及び該頭部から伸びる軸部を備えてなり、前記頭部の内側に前記軸部の延伸方向に開口した環状溝部が形成され、該環状溝部の内側に前記軸部の基端が配置されているりゅうず構造において、
    前記軸部にはパッキン装着用の小径部が形成され、前記頭部の端部から前記小径部までの距離が前記小径部の直径よりも長く形成されていることを特徴とするりゅうず構造。
  6. 請求項5に記載されたりゅうず構造と、前記軸部が挿通される貫通孔及び該貫通孔の開口縁部から突出した管状突出部を備えた時計本体とを有し、前記りゅうず構造が前記時計本体に対して所定範囲で出没可能に取り付けられ、前記管状突出部が前記環状溝部に挿入されるように構成された時計。
  7. 時計本体と、
    頭部及び該頭部から伸びる軸部を備えてなり、前記頭部の内側に前記軸部の延伸方向に開口した環状溝部が形成され、該環状溝部の内側に前記軸部の基端が配置され、前記軸部が前記時計本体内に挿入されているとともに前記頭部が前記時計本体の外側に配置されるように取り付けられ、前記時計本体に対して所定量だけ出没可能に構成されているりゅうずと、
    前記時計本体から突出し、前記環状溝部に挿入された管状突出部とを有し、
    前記環状溝部内には、前記管状突出部の外周面に摺接するガタ防止部が設けられている時計において、
    前記りゅうずは、前記所定量の出没範囲に亘って常に前記ガタ防止部が前記管状突出部の外周面に摺接するように構成されていることを特徴とする時計。
  8. 請求項7において、前記ガタ防止部は前記環状溝部内に固定されたガタ防止部材の内周面であることを特徴とする時計。
  9. 請求項8において、前記ガタ防止部材は、前記環状溝部の外周側に嵌合固定された環状若しくは円筒状の支持部材に支持されていることを特徴とする時計。
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