JP3604156B2 - 電気化学的電池 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の分野】
本発明は負極を備え、その電気化学的活性物質が、水素とともに水素化物(hydride) を形成するCaCu5 構造を有する金属間化合物を有する電気化学的電池に関するものである。
【0002】
本発明はまたこのような電池に用いる電気化学的活性物質及びこのような物質を製造する方法に関するものである。
【0003】
【発明の背景】
このような電気化学的電池は大気と開放連通してもよく、又は大気から封止されていてもよい。大気から封止されている電池は所定の圧力で作動するような大きさの弁(valve)を備えることができる。
【0004】
封止型の再充電可能な電池において、正極の電気化学的活性物質は、たとえば水酸化ニッケル、酸化銀又は酸化マンガンとすることできるが、実用上の理由から水酸化ニッケルが好ましい。
【0005】
電池内で用いる電解質は一般に、例えば水酸化リチウム、水酸化ナトリウム及び水酸化カリウムのような一種以上のアルカリ金属水酸化物の水溶液でpHが7よりも大きなものからなる。
【0006】
このような電気化学的電池はセパレータを備え、このセパレータは両電極を電気的に分離するが、イオン及びガスを通すことができる。このセパレータは例えば、ポリアミド繊維またはポリプロピレン繊維のような合成樹脂繊維(織布又は不織布)で構成することができる。
【0007】
このような電気化学的電池は米国特許明細書4487817 号に開示されている。この明細書には、組成式ABm Cn からなる電気化学的活性物質を用い、この組成式においてAは例えば希土類金属を、Bは例えばニッケルNi及びコバルトCoの混合物のような元素の混合物を示し、CはアルミニウムAl及びクロムCr及びシリコンSiの少なくとも一つからなる。nの値は0.05と0.6との範囲である。m+nの値はこの物質がCaCu5構造を有する値に選択する。m+nの限界はA、B及びCの元素の選択に依存する。m+nの値は常に4.8 と5.4 との間の範囲であるが、多くの場合5.0 に近似している。このようなCaCu5構造を有する金属間化合物は水素の多量を水素化物の形成により吸蔵することができる特性を示す。既知の化合物は溶融液(melt)を冷却することにより得られ、室温で安定である。前記米国特許明細書による物質は非常に大きな安定性を有するので、電気化学的電池は長い使用期間(寿命)を有する。ランタン・ニッケルのような化合物と比較して、初期の蓄電容量の部分はこの目的のために犠牲にされてきた。これらの既知の物質の他の欠点は、反応性(reactivity)がランタン・ニッケル(LaNi5)の反応性よりも小さく、この結果この電池の負荷能力もより小さく、特に低温では小さい。
【0008】
【発明の概要】
本発明の目的はとりわけ高い活性(活量または活動度)を有する電気化学的電池及び電気化学的活性物質を提供することであり、その容量は350mA/gの負荷で最大15mAh/gであり、又好ましくは10mAh/g以下であり、35mA/gの負荷より小さい。他の目的は、これと同時に大きな安定性(stability)を達成することであり、電気化学的電池の容量は、400 回の充放電サイクルの後初期充電容量の少なくとも50%であり、好ましくは少なくとも初期充電容量の75%である。本発明の更に他の目的は、これと同時に初期容量の大きな物質を提供することである。特に、負極の電気化学的物質の重さにも関連し、電池を400 回充放電した後の電気化学的容量が少なくとも200mAh/gである物質を提供することが望まれている。本発明の更に他の目的は、前述した電気化学的活性物質を製造する簡便で効果的な方法を提供することである。
【0009】
本発明によれば、高い負荷能力を有する電池及び大きな活性を有する物質を提供する目的は、冒頭に記載のような電気化学的電池及び電気化学的活性物質により達成され、前記金属間化合物は、準安定相(metastable phase)を有し、mが5.1よりも大きな組成ABm(但し、BはNi,Co,Cu,Pd及びSiからなる群から選定される一種以上の元素)を有するタイプである。この準安定相の組成は電気化学的電池の動作温度、例えば− 20 °から+ 60 °Cの温度範囲で前記金属間化合物の存在範囲(existence range) ら外れている。因みに、このように低い温度では前記金属間化合物の存在範囲の幅は温度に対して大きな依存性はない。
【0010】
本発明による方法ではmが略5.1 より大きい場合に効果的であるが、mが5.4 よりも大きな場合に明らかに改良された結果が得られる。mの上限値は状態図により決定することができる。なぜなら、mの値が非常に高い場合にはCaCu5構造の化合物は全く形成することができないからである。
【0011】
このような発明の概念の使用は水素化物形成物質(hydride−forming materials)に大変有益であるが、このような水素化物形成物質の組成は、例えば米国特許明細書第4487817 号に開示される既知の物質の組成と非常に異なるものではない。この明細書で、金属間化合物ABmはミッシュメタルからなるか、又はY,Ti,Hf,Zr,Ca,Th,La及び他の希土類金属からなる群から選定される少なくとも一種の元素の成分Aからなり、元素Y, Ti, Hf 及びZrの原子の総数量はAの40%よりも小さい。本発明によれば、電気化学的活性物質の安定性及び電気化学的電池の使用期間(寿命)に関して最もよい結果は、BがニッケルNi及びコバルトCoの少なくとも一個からなる場合に得られ、この場合にCu,Pd及びSiよりなる群から選択される元素の少なくとも1種を加えてもよい。
【0012】
大変高い電気化学的蓄電容量を有する物質を得るために、ABmにおけるニッケルNiの原子の数量は、Aの1モル当たり少なくとも4.0モルである。
【0013】
非常に安定で活性のある電気化学的物質を得るために、銅Cuの原子の数量はAの1モル当たり少なくとも0.5モルである。
【0014】
CaCu5構造を有する水素化物形成化合物(hydride−forming compound)に加
えて電気化学的活性物質も、例えば触媒又は安定化効果を有する第二の相を有していてもよい。
【0015】
本発明によれば、水素と水素化物(hydride)を形成し、組成ABmを有するCaCu構造の金属間化合物からなる電気的活性物質を製造する方法を提供する目的は、成分Aとこの成分A1モルに対して5.1モルよりも多量の成分Bとを互いに混合し溶融し次いで冷却し、冷却中に、mが5.1よりも大きな組成ABmが位置付けられる均質性の範囲内を横切り、この冷却の後に前記組成ABm を有する非化学量論相(non-stoichiometric phase)が形成されるような速度で前記物質を冷却し、この非化学量論相は室温において準安定(metastable)である。急激な冷却操作により、例えば水中に入れて急冷することにより、一般に原子比1:5からのほんのわずかな偏差があり得る範囲内で化合物ABの近傍の存在範囲内の組成を有して熱力学的に安定な物質(thermodynamically stable material)を分離することを回避する。
【0016】
調製中の温度処理の一部として、前記物質は組成ABmが均質性の範囲内に位置付けられる温度で再アニール(reanneal)するのが好ましい。顕著な非化学量論特性(non−stoichiometric character)を有する組成を得るために、過剰な成分
Bを溶融液(melt)中に有することが効果的で、冷却中にこれらの成分の析出物は前記ABm物質の粒界上に形成される。
【0017】
前記ABm物質中の銅Cuの使用は、最も適切な再アニール温度の減少となり、また均質性の範囲を拡大する。
【0018】
本発明を図面を参照して典型的な実施例及び比較例を用いて説明する。図において図1は本発明による封鎖型充電可能な電気化学的電池の一部側面及び一部断面を示し、図2は本発明による電気化学的活性物質の概略状態図である。
【0019】
【実施例】
充放電型電池の構造の例
図1は、大気から封鎖された電池(cell)を示し、この電池はカバー2を有するステンレス鋼のような金属の適切なハウジング1を用いて製造し、このカバー2の中に導電体3及び4用のアパーチャーを形成する。前記導電体を金属ハウジング1、2から合成樹脂リング5を用いて絶縁する。前記のハウジングの外径は例えば22mmで、高さ41mmである。負極6、セパレータ7及び正極8のロールは、ハウジングの内部のスペースに収容され、この組立てを例えばポリ塩化ビニルのような電気的絶縁性の合成樹脂箔9により取り囲み、さらにポリ塩化ビニルのような電気的絶縁性物質のディスク10で支持する。
【0020】
負極6は既に述べた水素化物形成金属間化合物からなり、導電体3に接続している。負極6は適切な元素の適当量を同時に溶融し、このようにして形成された金属間化合物を微粉砕し、これを例えばポリビニルアルコールのようなポリマーバインダー物質を用いてニッケルキャリアに付けることにより製造する。金属間化合物を例えば粉砕(grinding) により微粉砕(pulverize)することが出来、約40μmの粒径にする。電池が水素の吸着及び脱着の繰り返しにより活性化される場合、この粒径は1μmのオーダーまで更に減少する。
【0021】
正極8は従来の焼結型の水酸化ニッケル電極で、これを導電体4に接続する。水酸化カリウム溶液の6規定水溶液(6N)を電解質として用いる。この電解質はセパレータ7に吸収され、前記2個の電極の電気化学的活性物質と湿潤接触する。このセパレータ7はポリアミド繊維の不織布膜の形態である。
【0022】
電池内の自由ガス雰囲気空間は約5cm3である。このような型の封鎖型電池は1.2ないし1.4Vの起電力(EMF)を有する。本発明による電池は従来の方法で組み立てることが出来、例えばいくつかの直列に配置した電池(cell)を含む蓄電池(battery)を形成することができる。
【0023】
典型的な実施例1
負極用電気化学的活性物質は、色々な成分の必要とされる量を混合することにより総組成LaNi5Cuから形成され、次いで、これらはアルゴン雰囲気中で一緒に溶融し、冷却し、約6時間1050°Cで再アニール(reanneal)し次いで急速に冷却する。このようにして得られる電気化学的物質はCaCu5構造を有する水素化物形成活性相を含有し、その組成はLaNi4.54Cu0.89である。ニッケルNi及び銅Cuの残留量は析出物の形態で水素化形成物質の粒界上に存在する。
【0024】
この水素化物形成活性物質は室温で金属間化合物の存在範囲の外側にある。組成式ABmのmは5.43の値を有する。
【0025】
製造された電気化学的活性物質は反復水素吸蔵及び脱着により、更に粉砕されて微粉砕される。形成された粉体は約0.25m/gの表面領域を有する。次いで、例えば既に述べたように電極を形成し、電池に組み込まれる。
【0026】
負極の特性を350mA/gの割合で電池を完全に充電及び放電することにより25°Cで測定する。この負極の充電容量は35mA/gの割合で付加的に放電操作することにより決まる。この重さは負極の電気化学的物質に関係する。電池の容量は前記電気化学的活性物質の増大する活性化の結果、第1回の充放電サイクルで増大する。初期容量は少なくとも10ないし20回の充放電サイクルの後の容量を充放電0回のサイクルに外挿することにより決まる。多数回の充放電の後、電池の容量は減少(恐らく腐食のような老化工程の結果であろう)し、また電気的抵抗性は増加する。400 回の充放電サイクルの後、充電容量を測定することにより、安定性(stability)を測定し、この測定値を初期充電容量の割合として表す。活性係数(activity factor)を35mA/g及び350mA/gの放電比率で充電容量の差を測定することにより、決定する。この容量は高い放電速度では低い。電気化学的活性物質はこの充電容量の差がより小さくなるに従いより活性となる。大きな活性は、高い負荷特性を与え、特に比較的低い温度でも得られる。
【0027】
上記の実施例によれば、初期容量は268mAh/gであった。この安定性は81%であり、400回の充放電サイクルの後の充電容量はまだ211mAh/gであった。活性係数はほんの少ししか変化せず、この試料を180回の充放電サイクルの後に測定した場合5mAh/gであった。従って、この実施例における電気化学的活性物質及びこの物質によって形成された電気化学的電池は、本発明の目的に適合するものである。
【0028】
図2は前記ABm型の化合物の概略状態図の一部を示す。本発明によればxが5.1より大きく、全体として組成式ABxを有する溶融物M(melt)を冷却する間、均質性の範囲H(homogeneity range)を横切ることが出来る。温度Tを適切に選択する場合、組成ABmを有する相がmが5−pと5+qの間の範囲で形成することが出来る。xの値が例えば5+qを越える場合、ABmのような組成を有する相に加えてB成分の偏析(segregation)を形成することが出来る。
【0029】
前記均質性の範囲(homogeneity)の範囲以下に温度をさらにゆっくりと下げることにより、室温で熱力学的に安定である化学量論的化合物ABを形成する。AとBとの成分の間の比は1:5からいくらか離れることもあるが、一般にこの値の近傍で、すなわち室温での存在範囲は非常に狭い。
【0030】
本発明によれば、十分に高い速度での前記均質性の範囲(homogeneity)から冷却により、組成ABmの相、あるいは室温で存在範囲から外れている組成の相、あるいは非化学量論組成(non-stoichiometric)の相を形成することが出来る。このような相は熱力学的(thermodynamically)には不安定ではあるが運動力学的(kinetically)には安定である(準安定状態)。この準安定状態(metastable)の相は、CaCu5構造を有し、水素の多量を水素化物(hydride)の形で結合することが出来る。
【0031】
均質性の範囲の実際の形態及び対応する温度区間は成分A及びBの選択による。Bが完全に或いは実質的にニッケルNiからなる場合には、前記均質性の範囲はBの大部分が銅Cuからなる場合に比較してより高い温度にある。
【0032】
典型的な実施例2ないし6
電気化学的活性物質は上記の典型的な実施例において述べたのと同じ方法で製造され、電極が形成されて電気化学的電池に組み込まれる。下の表1において溶融液(melt)の総組成(overall compositions)、初期容量(initial capacity)C(O)、180 回の充放電サイクルの後の活性係数(activity factor)A(180)及び400回の充放電サイクルの後の安定性(stability)S(400)が示されており、これらのパラメーターは上記典型的な実施例1と同様にして測定される。
【0033】
【表1】
Figure 0003604156
【0034】
上記の組成を溶融液(melt)から急激に、冷却する間に、CaCu5構造を有する非化学量論相(non-stoichiometric phase)は粒界上で残留物質の析出物と共に
形成される。実施例2、3及び4において、水素化物形成相の組成は各々LaNi4.70Cu0.46(AB5.16),LaNi 4.49Cu1.25(AB5.74),LaNi4.34Cu1.63(AB5.97)であった。
【0035】
上記典型的な実施例2ないし4を前記典型的な実施例1及び比較例V1と比較することにより、少量の銅(実施例2)は、すでに活性及び安定性の改善につながり、またこの効果は銅の量が増大するに従ってより大きくなることは明らかである。初期容量は銅がより多量の場合には減少するので、最適値は上記典型的実施例1の組成に非常に近似した組成にある。さらに、上記典型的な実施例2による特性は再アニール処理(reannealing処理)即ち、温度、処理時間、冷却速度により更に改善することが出来る。
【0036】
実施例5及び6から、ABmの置換均質混合物(例えばLaをNdに、NiをCoに置換する)により,本発明による方法が効果的であることもまた明らかである。
【0037】
組成2ないし6は全て非常に大きな活性を示し、従って本発明の重要な目的をほとんど全て満たすことになる。安定性は非常に大きく、特に組成3ないし5の場合に大きく、一方組成6は高い初期容量で非常に大きな活性を有する。
【0038】
典型的な実施例7
電気化学的活性物質は総組成LaNi5.5Si0.5を有する溶融液(melt)から製造され、典型的な実施例1により電極が形成され、この電極は電気化学的電池に組み込まれる。この電池の初期容量は240mAh/gであり、活性係数は180 回の充放電サイクルの後は11mAh/gであり、400 回の充放電サイクルの後の蓄電容量は191mAh/gで、すなわち初期容量の80%であった。従って、この物質及びこの物質から製造された電池は本発明の目的に適合する。さらにまた、この物質は活性化が高速であることを示し、従って電気化学的電池の蓄電容量が少数回の充放電のサイクル後にすでに最大値に達する。
【0039】
典型的な実施例8
電気化学的活性物質は総組成LaNi5.0Pdを有する溶融液(melt)から製造され、次いで典型的な実施例1により電極が形成され、この電極は電池に組み込まれる。この電池の初期容量は190mAh/gであり、活性係数は180回の充放電サイクルの後に8mAh/gであり、蓄電容量は400回のサイクルの後に186mAh/gで、従って初期容量の98%であった。この物質は大変活性で非常に高い安定性を示し、蓄電容量は2000回の充放電サイクルの後でもまだ165mAh/gであった。
【0040】
典型的な実施例9ないし13電気化学的活性物質は上記実施例1において述べたのと同様な方法で製造し、電極が形成されて電池に組み込まれる。下の表2に、溶融液の総組成、初期容量C(O)、活性係数A(180)及び安定度S(400)が示されており、これらは典型的な実施例1において示されたのと同様な方法で測定された。
【0041】
【表2】
Figure 0003604156
【0042】
上記組成を上記溶融液から急激に急冷する場合、CaCu5構造を有する非化学量論相が粒界上に形成される残留物質の析出物と共に得られる。大きな初期容量を有するこれらの物質は大きな活性を示す結果、本発明の初期の目的を十分に満たす。安定性は各組成が表面的には異なる最適温度を有する電気化学的活性物質の再アニール処理を適応することによりさらに改善することが出来ることが見出された。
【0043】
実施例9*による物質は実施例9と同じ総組成を有するが、再アニール処理を1200°Cで96時間行ない、水中で急冷する。実施例9における水素化物形成相の組成はLaNi5.1であり、実施例9*の組成はLaNi5.5であった。異なる再アニール処理の結果、実施例9*の物質の組成は化学量論的組成LaNiからより大きく異なる。この結果、初期容量はいくらか減少するが、しかし水素化物形成相の活性度及び安定度は非常に改善される。
【0044】
比較例V1ないしV3電気化学的活性物質を現在の既知の方法で製造し、次いで電極が製造され、この電極を電気化学的電池に組み込む。下の表3において、物質の組成、初期容量C(O)、活性係数A(180)、及び安定性S(400)を表に示す。これらは典型的な実施例1において示したのと同様にして測定された。
【0045】
【表3】
Figure 0003604156
【0046】
V1ないしV3の組成は適切な金属間化合物の存在範囲内にあり、室温で熱力学的に平衡である。組成V1は非置換性LaNi均質混合物であり、大きな初期容量および十分に大きな活性度を有するが、非常に小さな安定性である。
【0047】
組成V2は、前記米国特許第4484817 号により製造され、非常に改善された安定性を有するが活性度は比較的小さい。
【0048】
組成V3は、本発明より先に出願された同一出願人のオランダ特許出願第8901776号により組成LA0.8Nd0.2Ni2.9Co2.4Si0.1Mo0.1の組成を有する溶融液(melt)から製造される。この物質は二相(two-phase)で、水素化物の形態で水素を吸蔵することのできるCaCu構造を有する熱力学的に安定な相及び多少のニッケルが存在してもよいがMoCoの組成との触媒相からなる。触媒相の存在により、この物質は非常に大きな活性を示すが、しかし安定性は比較例V2に比較していくらか減少している。
【0049】
既知のこれらのV1及びV2に比較して、本発明による水素化物形成物質は高い安定性と合わせて非常に大きな活性を示す。この新しい物質は先の出願による物質V3に対する適切な代用物である。上記状態図を更に研究することにより、また温度処理の採用の結果及びABmの均質混合物の成分の選択により、本発明は水素化物形成物質の電気化学的特性及びこれにより製造される電気化学的電池の最適化が可能となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による封鎖型充電可能な電気化学的電池の一部側面及び一部断面を示す。
【図2】本発明による電気化学的活性物質の概略状態図である。
【符号の説明】
1、2…金属ハウジング
3、4…導電体
5…合成樹脂リング
6…負極
7…セパレータ
8…正極
9…合成樹脂箔
10…ディスク

Claims (8)

  1. 負極を備え、その電気化学的活性物質が、水素とともに水素化物を形成するCaCu構造を備えた金属間化合物を有する電気化学的電池において、前記金属間化合物は、準安定相を有し、mが5.1よりも大きな組成ABm(但し、A はミッシュメタルからなるか、又は Y Ti Hf Zr Ca Th La 及びその他の希土類金属からなる群から選定される少なくとも一種の元素からなり、元素 Y Ti Hf 及び Zr の原子の総数量は A 40 %よりも少なく、BはNi,Co,Cu,Pd及びSiからなる群から選定される一種以上の元素であり、 Ni 又は Co が必須である)を有するタイプであることを特徴とする電気化学的電池。
  2. 水素とともに水素化物を形成するCaCu構造を備えた金属間化合物を有する電気化学的活性物質において、前記金属間化合物は、準安定相を有し、mが5.1よりも大きな組成ABm(但し、A はミッシュメタルからなるか、又は Y Ti Hf Zr Ca Th La 及びその他の希土類金属からなる群から選定される少なくとも一種の元素からなり、元素 Y Ti Hf 及び Zr の原子の総数量は A 40 %よりも少なく、BはNi,Co,Cu,Pd及びSiからなる群から選定される一種以上の元素であり、 Ni 又は Co が必須である)を有するタイプであることを特徴とする電気化学的活性物質。
  3. 請求項2に記載の電気化学的活性物質において、前記金属間化合物は、mが5.4 よりも大きな組成ABmを有するタイプであることを特徴とする電気化学的活性物質。
  4. 請求項2に記載の電気化学的活性物質において、ABmにおけるニッケルNiの原子の数量は、Aの1モル当たり少なくとも4.0 モルであることを特徴とする電気化学的活性物質。
  5. 請求項2に記載の電気化学的活性物質において、ABmにおける銅Cuの原子の数量は、Aの1モル当たり少なくとも0.5 モルであることを特徴とする電気化学的活性物質。
  6. 水素とともに水素化物を形成し組成ABmを有するCaCu5構造を備える金属間化合物を有する電気化学的活性物質を製造する方法において、前記金属間化合物は、準安定相を有し、mが 5. 1よりも大きな組成 ABm (但し、 A はミッシュメタルからなるか、又は Y Ti Hf Zr Ca Th La 及びその他の希土類金属からなる群から選定される少なくとも一種の元素からなり、元素 Y Ti Hf 及び Zr の原子の総数量は A 40 %よりも少なく、 B Ni Co Cu Pd 及び Si からなる群から選定される一種以上の元素であり、 Ni 又は Co が必須である)を有するタイプであり、成分Aとこの成分A1モルに対して5.1モルよりも多量の成分Bとを互いに混合し溶融し次いで冷却し、冷却中に、mが5.1よりも大きな組成ABmが位置付けられる均質性の範囲内を横切り、この冷却の後に前記組成ABm を有する相が形成されるような速度で前記物質を冷却し、この相は室温において準安定であることを特徴とする電気化学的活性物質を製造する方法。
  7. 請求項に記載の方法において、前記組成ABmが均質性の範囲内に位置付けられる温度で前記物質を再アニールすることを特徴とする電気化学的活性物質を製造する方法。
  8. 請求項又はに記載の方法において、過剰な成分Bが前記溶融液にあり、前記冷却中これら成分の析出物を前記ABm物質の粒界上に形成することを特徴とする電気化学的活性物質を製造する方法。
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