JP3595492B2 - 構造物打音検査装置およびトンネル用打音検査装置 - Google Patents

構造物打音検査装置およびトンネル用打音検査装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、構造物として、例えば、トンネルあるいは橋梁などのコンクリート構造物の検査面を叩き、その際に発生する叩打音に基づいて構造物の状態を検査する構造物検査装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
構造物として、例えば、道路用トンネル、あるいは鉄道用トンネル101などのコンクリート壁102の壁面102aおよびその内部102bの状態を検査する場合、その検査作業は、一般には、特殊な検査作業に熟練した作業員103による手作業で行われる。具体的には、図5に示すように、鉄道用トンネル101の内部空間101aをレール104に沿って移動できる作業用移動車輌105を、コンクリート壁102の検査開始場所の壁面102a付近まで移動させる。この作業用移動車輌105には、複数の作業員103が乗って所定の範囲内で自由に動き回ることができる作業用足場106が設けられている。各作業員103は、作業用足場106の上を歩きまわりつつ、各自が所持する検査用ハンマー107を用いてコンクリート壁102の検査場所の壁面102aを略まんべんなく、かつ、こまめに叩き、その叩打音の一つ一つを耳で聞き取る。
【0003】
コンクリート壁102の壁面102aに、その表面から肉眼では認識することが困難な微細なひび割れ108が生じていたり、あるいはコンクリート壁102の内部102bに空洞109などが存在する場合には、そのような異常部110を検査用ハンマー107で叩いた際の叩打音が、コンクリートが密に充填されて固まっている正常な部分を検査用ハンマー107で叩いた際の叩打音と異なる。各作業員103は、それらの叩打音のわずかな差異を聞き分けることにより、コンクリート壁102の壁面102aおよびその内部102bの状態の正常あるいは異常を把握する。各作業員103が、止まっている作業用移動車輌105の作業用足場106から検査できる範囲を検査し終わると、次の検査場所に作業用移動車輌105ごと各作業員103を移動させて、前述と同様の打音検査作業を行う。以後は、検査範囲すべてを検査し終わるまで前述と同様の打音検査作業および移動作業を繰り返す。
【0004】
また、コンクリート製品、例えば、ALC製品などの内部欠陥の有無を、高精度をもって検出することを可能とする非破壊検査方法およびその非破壊検査装置として、特開平7−20097号公報に開示の発明が提案されている。
【0005】
この発明に係るコンクリート製品の内部欠陥の非破壊検査方法は、コンクリート製品をハンマーで軽打し、その時発生された音の音圧を計測して電気信号に変換し、該電気信号の音圧レベルを良品と欠陥品のピーク値の差を検出することにより、コンクリート製品の内部欠陥の有無を判定できるようにしたことを特徴とするものである。それとともに、この発明方法を実施する検査装置として、コンクリート製品が搬送されるコンベアと、該コンクリート製品を検知するセンサーとセンサーの信号によりコンクリート製品の長手方向両側面を等間隔で槌打する打撃装置と、打撃装置に設けられたなだらかな凸面の打撃面を有したハンマーと、該ハンマーで槌打されたコンクリート製品の打音の音圧を検出する装置とを有する検査装置を提案している。
【0006】
また、建物の外壁の劣化の具合を打音の変化によって自動的に検出する外壁診断方法及び装置として、特許第2954491号公報に開示の発明が提案されている。
【0007】
この発明に係る外壁診断方法は、建物の上部に設けられた屋上移動台車からワイヤを介して吊り下げられた昇降移動台車を昇降させ、前記昇降移動台車に設けられた壁面打ち手段により前記建物の壁面を打つことにより前記壁面の診断を行い、前記ワイヤと係合する前記昇降移動台車の各巻取りプーリの回転バランスを差動歯車で行うことを特徴とするものである。それとともに、この発明方法を実施する外壁診断装置は、建物の上部に設けられた横行移動自在な屋上移動台車と、前記屋上移動台車からアーム及び複数のワイヤを介して吊り下げられ上部壁面打ち手段及びマイクロホンを有する昇降移動台車と、前記屋上移動台車に設けられた前記各ワイヤと係合する巻取りプーリと、前記各巻取りプーリに接続された差動歯車機構により前記各巻取りプーリの回転バランスを得る構成としたことを特徴している。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
鉄道用トンネル101を打音検査する場合、鉄道の運行スケジュールに支障をきたさないように、例えば、深夜から早朝にかけての限られた短い時間内で殆どすべての打音検査作業を済まさなければならない。よって、鉄道用トンネル101のコンクリート壁102のような重厚長大な構造物を、前述した熟練の作業員103による完全な手作業で打音検査する場合、打音検査作業を短時間で行うためには、例えば、単純に作業員103の人数を増やすことが考えられる。しかし、一台の作業用移動車輌105に乗ることができる作業員103の人数には限界がある。それとともに、作業用移動車輌105に複数の作業員103を乗せた状態においては、作業員103の安全を確保するために、検査場所を移動する際の作業用移動車輌105の移動速度は、徐行程度が好ましい。
【0009】
作業速度を上げるために、例えば、一つの鉄道用トンネル101内に複数台の作業用移動車輌105を配置することが考えられる。しかし、この場合においても、作業員103の完全な手作業による打音検査の検査速度の遅さ、および各作業用移動車輌105の徐行程度でしかない移動速度の遅さに比べると、作業員103の人数および作業用移動車輌105の台数を増やしたことによる作業効率を向上させる効果はあまり期待できない。場合によっては、作業員103の人数および作業用移動車輌105の台数を増やしたことにより、鉄道用トンネル101内が混雑し、検査場所の移動を円滑に行うことができなくなるなど、作業効率がかえって低下してしまう。また、過密な鉄道用トンネル101内において、手作業で打音検査作業を行わなければならない作業員103の安全を確保できなくなるおそれが生じる。
【0010】
また、鉄道用トンネル101の最も高い位置にある検査場所も作業員103が手作業で打音検査できるように、作業用足場106はその最も高い検査場所付近の高さ位置まで組み上げられている。これにより、高い位置にある作業用足場106から作業員103が打音検査中に足を滑らせて落ちるおそれがある。
【0011】
すなわち、作業員103の人数および作業用移動車輌105の台数を増やしても、検査作業に掛かる人件費や設備費が多くなる割には、その作業効率および安全性は殆ど向上できる見込みがない。
【0012】
さらに、前述した検査用ハンマー107を用いた打音検査作業は、各叩打音のわずかな差異を各作業員103が直接自分達の耳で聞いて判別しなければならない極めて特殊な作業であるため、熟練を必要とする。しかも、熟練した作業員103の絶対数は少ないので、打音検査に熟練した作業員103の人数を安定して確保することが困難である。
【0013】
また、前述した特開平7−20097号公報に開示の発明は、その検査対象がコンベアで搬送される長さ1200mm〜6000mm、幅300mm〜600mm、厚さ75mm〜150mm程度の大きさのコンクリート製品に限られているため、前述した鉄道用トンネル101のような、重厚長大な構造物の内部状態を検査することは殆ど不可能である。
【0014】
さらに、前述した特許第2954491号公報に開示の発明は、その診断対象が、殆ど凹凸の無い平面から形成されている建物の外壁に限られていることはもとより、この発明の外壁診断方法および装置においては、建物の屋上に配置される屋上移動台車からワイヤによって吊り下げられる昇降移動台車を上下方向に沿って昇降移動させつつ、建物の各外壁面を、その幅方向の一端部から他端部まで順次診断するものであるので、前述した鉄道用トンネル101のように、曲面から構成されている構造物の内部状態を診断することは殆ど不可能である。
【0015】
よって、本発明が解決しようとする第1の課題は、構造物についての打音検査を効率よく、かつ、安全に検査できる構造物打音検査装置を得ることにある。
【0016】
また、本発明が解決しようとする第2の課題は、トンネル壁についての打音検査を円滑に、効率よく、かつ、安全に検査できるトンネル用打音検査装置を得ることにある。
【0017】
【課題を解決するための手段】
前記第1の課題を解決するために、本発明に係る構造物打音検査装置は、構造物の検査面を叩く叩打子および叩打音を検出する叩打音検出用センサを有する検査ヘッドと、この検査ヘッドを支持して起倒および旋回可能に形成され、前記検査ヘッドを前記検査面に押し付けつつ移動させるヘッド移動手段と、このヘッド移動手段を搭載した自走車輌とを具備してなり、前記ヘッド移動手段は、前記自走車輌に搭載された移動手段支持架台に旋回可能に設けられた旋回台と、この旋回台上に起倒可能に設けられた起倒アームと、この起倒アームの先端部において前記検査ヘッドを姿勢制御可能に支持するヘッド支持部と、このヘッド支持部と前記検査ヘッドとにわたって設けられたヘッド姿勢制御用シリンダとをさらに具備するとともに、前記検査ヘッドは、前記ヘッド姿勢制御用シリンダによる制御で前記検査面から突出している凸部を回避できるようにその姿勢を変化できることを特徴とするものである。
【0018】
本発明を実施するにあたり、前記ヘッド移動手段には、前記旋回台と前記起倒アームとにわたってアーム起倒用シリンダがさらに設けられている構成とするとよい。
【0019】
また、本発明を実施するにあたり、前記ヘッド姿勢制御用シリンダおよび前記アーム起倒用シリンダの少なくとも一方がエアシリンダである構成とするとよい。
【0020】
また、本発明を実施するにあたり、前記検査ヘッドと前記ヘッド支持部とを連結するヘッド支持軸に取り付けられて前記ヘッド支持部に対する前記検査ヘッドの姿勢を認識するヘッド姿勢検出用センサと、前記起倒アームと前記旋回台とを連結する起倒軸に取り付けられて前記旋回台に対する前記起倒アームの起倒角度を検出する起倒角度検出用センサと、前記旋回台と前記移動手段支持架台とを連結する旋回軸に取り付けられて前記移動手段支持架台に対する前記旋回台の旋回角度を検出する旋回角度検出用センサと、前記自走車輌に取り付けられて前記構造物に対する前記自走車輌の走行位置を検出する車輌位置検出用センサと、前記車軸に取り付けられて前記自走車輌の移動距離を検出する車輌移動距離検出用センサと、をさらに具備する構成とするとよい。
【0021】
また、本発明を実施するにあたり、前記検査ヘッドに前記検査面に接する回転自在な回転体を複数個設けた構成とするとよい。
【0022】
また、本発明を実施するにあたり、前記検査ヘッドが、前記叩打子と、これと対をなす前記叩打音検出用センサとを複数組具備している構成とするとよい。
【0023】
さらに、本発明を実施するにあたり、前記叩打子と、前記叩打音検出用センサとがそれぞれ1個ずつであって、かつ、一体的に連結されていて、この一体物を前記検査ヘッドの長手方向に沿って往復動可能に設けた構成とするとよい。
【0024】
また、前記第2の課題を解決するために、本発明に係るトンネル用打音検査装置は、トンネルの検査面を叩く叩打子および叩打音を検出する叩打音検出用センサを有する検査ヘッドと、この検査ヘッドを支持して起倒および旋回可能に形成され、前記検査ヘッドを前記検査面に押し付けつつ移動させるヘッド移動手段と、このヘッド移動手段を搭載した自走車輌とを具備してなり、前記ヘッド移動手段は、前記自走車輌に搭載された移動手段支持架台に旋回可能に設けられた旋回台と、この旋回台上に起倒可能に設けられた起倒アームと、この起倒アームの先端部において前記検査ヘッドを姿勢制御可能に支持するヘッド支持部と、このヘッド支持部と前記検査ヘッドとにわたって設けられたヘッド姿勢制御用シリンダとをさらに具備するとともに、前記検査ヘッドは、前記ヘッド姿勢制御用シリンダによる制御で前記検査面から突出している凸部を回避できるようにその姿勢を変化できることを特徴とするものである。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下、図1〜図3に示す本発明の第1の実施の形態に係る構造物打音検査装置は、構造物としてのコンクリート壁2により形成されたトンネル、特に鉄道用トンネル3の打音検査を行うことができるトンネル用打音検査装置1である。
【0027】
図1および図2を用いた以下の説明において、後述する軌陸車輌7の前後左右上下の向きと、鉄道用トンネル3および本実施形態のトンネル用打音検査装置1の前後左右上下の向きとは同じである。
【0028】
トンネル用打音検査装置1は、図1および図2に示すように、鉄道用トンネル3の検査面4を叩くことにより打音検査する検査ヘッド5と、この検査ヘッド5を支持して起倒および旋回可能に形成されているとともに、検査ヘッド5を検査面4に押し付けつつ移動させるヘッド移動手段6と、このヘッド移動手段6が搭載される自走車輌7とを具備している。
【0029】
自走車輌7には、図示しない道路を走行できるとともに、鉄道用トンネル3内に敷設されているレール8上を走行できる軌陸車輌7が用いられる。
【0030】
この軌陸車輌7は、2本の道路走行用前輪9a(図1において、右側の1本のみ図示する。)および2本の道路走行用後輪9b(同じく図1において、右側の1本のみ図示する。)からなる4本の道路走行用車輪9を有している。2本の道路走行用後輪9bは、ともに車軸としての1本の道路走行用後輪駆動軸10によって連結されて支持されている。この軌陸車輌7は、図示しないエンジンおよび駆動力伝達装置によって、2本の道路走行用後輪9bが回転駆動される後輪駆動車であり、これら道路走行用後輪9bが回転駆動されることにより、前進、あるいは後進できる。
【0031】
軌陸車輌7は、2本の図示しないレール走行用前輪および2本のレール走行用後輪11(同じく図1において、右側の1本のみ図示する。)からなる4本のレール走行用車輪を有している。2本のレール走行用前輪は、ともに車軸としての図示しない1本のレール走行用前輪支持軸によって連結されて支持されている。それとともに、2本のレール走行用後輪11は、ともに車軸としての1本のレール走行用後輪駆動軸12によって連結されて支持されている。この軌陸車輌7では、レール8上を走行する場合においても、エンジンおよび駆動力伝達装置によって、2本のレール走行用後輪11が回転駆動される。これらレール走行用後輪11が回転駆動されることにより、軌陸車輌7は、レール8上を前進、あるいは後進することができる。この場合、各レール走行用車輪がレール8上に載ることにより、これらレール走行用車輪よりも車輌の軸方向外側にある各道路走行用車輪9がレール8上から外れるとともに、鉄道用トンネル3内の地面から浮き上がるように配置され、レール走行時の妨げとはならない。また、エンジンおよび駆動力伝達装置は、図示しない制御部に接続されている。
【0032】
軌陸車輌7は、運転者が運転席から駆動力伝達装置の切り換え装置を操作することにより、エンジンの駆動力の伝達先を随時、選択して切り換えることができ、それに伴い、道路走行用後輪駆動軸10、あるいはレール走行用後輪駆動軸12のいずれか一方に、エンジンの駆動力を伝達させることができる。
【0033】
また、この軌陸車輌7には、図1に示すように、検査する鉄道用トンネル3に対する軌陸車輌7の走行位置を正確に検出するための車輌位置検出用センサ13、および軌陸車輌7の移動距離を正確に検出するための移動距離検出用センサ14が取り付けられている。
【0034】
車輌位置検出用センサ13は、この軌陸車輌7が有している前述した道路走行用の車軸およびレール走行用の車軸のそれぞれに接続されているエンコーダ13aと、この軌陸車輌7に搭載されている車輌位置同定装置13bとから構成されている。これらエンコーダ13aおよび車輌位置同定装置13bは、制御部に接続されている。
【0035】
エンコーダ13aは、道路走行用の車軸としての道路走行用後輪駆動軸10、およびレール走行用の車軸としてのレール走行用後輪駆動軸12にそれぞれに接続されており、軌陸車輌7が図示しない自動車用トンネル、あるいは同じく図示しない自動車用橋梁などを含めた道路上などを走行するに伴い、道路走行用後輪駆動軸10の回転角度、回転数、および角速度などを検出する。同様に、軌陸車輌7がレール8上を走行する場合に使用されるエンコーダ13aは、レール走行用後輪駆動軸12の回転角度、回転数、および各速度などを検出し、軌陸車輌7の検査出発地点からの位置を正確に検出できる。
【0036】
車輌位置同定装置13bは、その図示しないセンサ部が、鉄道用トンネル3に予め所定の間隔を置いて設けられている図示しない車輌位置検出用マーカ(場所表示用マーカとも称する。)のマーカ位置検出信号を検出できるように軌陸車輌7の所定の位置に配置されて搭載されている。この車輌位置同定装置13bのセンサ部は、例えば、赤外線、あるいはレーザー光線などにより車輌位置検出用マーカのマーカ位置検出信号を検出できるものとする。これにより、軌陸車輌7が鉄道用トンネル3を通過する場合には、車輌位置同定装置13によって軌陸車輌7の出発地点からの相対的な位置を正確に検出できる。
【0037】
以上説明したエンコーダ13aおよび車輌位置同定装置13bから構成されている車輌位置検出用センサ13を使用することにより、鉄道用トンネル3に対する軌陸車輌7の相対的な位置をより正確に把握できる。
【0038】
また、移動距離検出用センサ14は、前述したエンコーダ13aと同様に、道路走行用の車軸としての道路走行用後輪駆動軸10、およびレール走行用の車軸としてのレール走行用後輪駆動軸12にそれぞれに接続されている。また、この移動距離検出用センサ14は、制御部に接続されている。軌陸車輌7が道路上を走行する場合には、移動距離検出用センサ14は、道路走行用後輪駆動軸10の回転角度、回転数、および角速度などを検出し、予め設定されている軌陸車輌7の出発地点からの走行方向に沿った移動距離(走行距離)を正確に検出して測定できる。また、軌陸車輌7がレール8上を走行する場合には、移動距離検出用センサ14は、レール走行用後輪駆動軸12の回転角度、回転数、および各速度などを検出し、予め設定されている軌陸車輌7の出発地点からの走行方向に沿った移動距離を、正確に検出して測定できる。このトンネル用打音検査装置1においては、移動距離検出用センサ14には、エンコーダ、あるいはポテンショメータなどの精度の高い角度検出器が用いられることが好ましい。また、この移動距離検出用センサ14に用いられる角度検出器は、軌陸車輌7が有している図示しないオドメータよりも、軌陸車輌7の走行距離をより精度よく検出して測定できるように設定されているものとする。これにより、鉄道用トンネル3に対する軌陸車輌7の出発地点からの走行方向に沿った移動距離を、より正確に検出して測定できる。
【0039】
以上説明したように、車輌位置検出用センサ13および移動距離検出用センサ14を具備している軌陸車輌7は、鉄道用トンネル3に対する相対的な位置、および移動距離をより正確に把握できるので、この軌陸車輌7を有しているトンネル用打音検査装置1は、後述する打音検査作業によって、鉄道用トンネル3の検査面4、あるいはその内部に異常な箇所を発見した際に、その異常な箇所の位置をより正確に把握できる。よって、このトンネル用打音検査装置1を用いることにより、検査対象としての鉄道用トンネル3の検査面4あるいは内部の状態を記録した図示しないビットマップをより高い精度で作成できる。それとともに、一度この精度の高いビットマップを作成すれば、その後、このビットマップのデータを用いることにより、鉄道用トンネル3の補修作業、あるいは保守・点検作業などをより効率よく行うことができる。
【0040】
また、トンネル用打音検査装置1は、図1に示すように、軌陸車輌7に、制御部を介して図示しない自立航行用ジャイロ装置を備えたGPS用受信機47を取り付けた構成とすることが好ましい。これにより、鉄道用トンネル3に対する軌陸車輌7の相対的な位置、および移動距離をさらに正確に把握できる。それとともに、前述したビットマップをさらに高い精度で作成できる。また、このGPS用受信機47を、インターネット、あるいは鉄道用トンネル3の打音検査作業を行う事業主が有するイントラネットなどの専用の無線LANなどから、作業現場付近の各種情報をリアルタイムで得ることができるシステムとして構築することが好ましい。これにより、例えば、作業現場付近の台風などの天候情報、あるいは地震情報などを、図示しない現場の作業員などがリアルタイムで知ることができるので、作業員の安全を容易に確保して打音検査作業を行うことができる。
【0041】
また、トンネル用打音検査装置1は、図1に示すように、軌陸車輌7に、この軌陸車輌7の無線操縦も含めて、トンネル用打音検査装置1の各種動作を制御部を介した無線通信により遠隔操縦可能とするための受信機48を取り付けた構成とすることが好ましい。それとともに、このトンネル用打音検査装置1に、その各種動作が容易に分かる視野を確保できる所定の複数箇所に、制御部を介した無線通信による遠隔作動が可能な図示しないCCDカメラ、あるいは赤外線カメラなどの監視手段を設置し、これらCCDカメラ、あるいは赤外線カメラなどを図示しないモニタなどに接続することが好ましい。これにより、落盤のおそれがある鉄道用トンネル3などを打音検査する場合、例えば、現場の作業員を鉄道用トンネル3の外に待機させるとともに、このトンネル用打音検査装置1だけを鉄道用トンネル3の内部に入れる。この状態で、鉄道用トンネル3の外部に待機している作業員などが、CCDカメラ、あるいは赤外線カメラなどから送られてくる鉄道用トンネル3の内部映像をモニタなどで観察しつつ、遠隔操縦用受信機48を用いた無線通信による遠隔操作で、容易に、かつ、円滑に鉄道用トンネル3の打音検査作業を行うことができる。したがって、このトンネル用打音検査装置1を用いた打音検査の作業効率を殆ど妨げることなく、打音検査作業中における作業員の安全を容易に確保できる。
【0042】
さらに、トンネル用打音検査装置1は、その打音検査作業中の安定性高めるために、軌陸車輌7の下部に、図示しない油圧シリンダなどにより突没自在の図示しないジャッキを複数本設けた構成とすることが好ましい。例えば、軌陸車輌7が有する2本の道路走行用前輪9aのそれぞれの前方、および2本の道路走行用後輪9bのそれぞれの後方に1本ずつ、合計4本のジャッキを設ける。軌陸車輌7を移動させる際には、現場の作業員が操作部を操作することにより、制御部を介してこれら4本のジャッキすべてが地面などから離れるように、車輌内に収納する。また、軌陸車輌7を検査場所付近まで移動させて打音検査を行う際には、現場の作業員が操作部を操作することにより、制御部を介してこれら4本のジャッキすべてが地面などに確実に設地するように、車輌内から突出させる。これにより、軌陸車輌7の移動性能を殆ど妨げることなく、トンネル用打音検査装置1の作業中の安定性を高めることができる。よって、このトンネル用打音検査装置1を用いた打音検査の作業効率を殆ど妨げることなく、打音検査作業中における作業員の安全を容易に確保できる。
【0043】
ヘッド移動手段としてのヘッド移動装置6は、図1および図2に示すように、軌陸車輌7の荷台15の上に搭載されている。このヘッド移動手段6は、軌陸車輌7の荷台15の上に取り付けられている移動手段支持架台としての移動装置支持架台16の上に旋回可能に設けられている旋回台17と、この旋回台17の上に起倒可能に設けられている起倒アーム18と、この起倒アーム18の先端部18aにおいて検査ヘッド5を姿勢制御可能に支持するヘッド支持部19とを具備している。
【0044】
旋回台17は、図1および図2に示すように、軌陸車輌7の荷台15に据え付けられている移動装置支持架台16の上に、旋回軸20を介して所定の範囲内で旋回可能に取り付けられている。旋回台17は、例えば、移動装置支持架台16の内部に設置されている図示しない旋回駆動力源としての電動モータあるいは油圧モータなどに、同じく図示しない旋回駆動力伝達装置を介して接続されている。これらの電動モータあるいは油圧モータ、および旋回駆動力伝達装置は、制御部を介して操作部に接続されている。作業員が操作部を操作して、旋回駆動力源の駆動力を制御部および旋回駆動力伝達装置を介して旋回台17に伝達させることによって、旋回台17は所定の旋回速度で旋回駆動される。旋回駆動力源は、旋回台17を微少角度ずつ旋回させることができるように、その駆動力の大きさを、操作部および制御部を介して微妙に変化させて設定できるものである。これと同様に、旋回駆動力伝達装置も、旋回台17を微少角度ずつ旋回させることができるように、旋回駆動力源の駆動力を旋回台17に伝達する駆動力伝達効率を、操作部および制御部を介して細かく制御して設定できる。また、この旋回台17の旋回方向は、図1中矢印Aで示されているように、軌陸車輌7の進行方向と直交する方向、すなわち鉄道用トンネル3の長手方向と直交する方向に設定されている。これにより、旋回台17は、これに取り付けられている後述する起倒アーム18を、旋回軸20を旋回中心として、移動装置支持架台16の左右両側へ、かつ移動装置支持架台16と略同等の高さからその上方に向かって、所定の範囲内で旋回させることができる。
【0045】
旋回軸20には、移動装置支持架台16に対する旋回台17の旋回角度を検出する旋回角度検出用センサとしての旋回角度検出器21が接続されている。また、この旋回角度検出器21は制御部に接続されている。このトンネル用打音検査装置1においては、旋回角度検出器21には、エンコーダ、あるいはポテンショメータなどの精度の高い角度検出器が用いられることが好ましい。これにより、例えば、まず、旋回台17を、これに搭載されている起倒アーム18が鉛直面内において起倒する状態、すなわち旋回台17を移動装置支持架台16に対して正立させた状態(以下の説明において、この状態を旋回台17の初期状態と称する。)に設定する。それとともに、この初期状態おける旋回台17の移動装置支持架台16に対する旋回角度を0°と初期設定する。すると、その後、移動装置支持架台16を旋回中心および対称中心として、これに対して旋回台17を左右に何度旋回させたかを正確かつ容易に知ることができる。すなわち、打音検査作業中において、起倒アーム18、ひいては後述する検査ヘッド5を鉛直面内から左右に何度旋回させたかを正確かつ容易に知ることができる。
【0046】
よって、この旋回角度検出器21と、前述した旋回駆動力源および旋回駆動力伝達装置とを用いることにより、制御部を介して検査ヘッド5の旋回角度を微少な角度ずつ精度よく設定できる。また、鉄道用トンネル3の特定の範囲の検査場所を入念に打音検査したい場合には、その検査範囲をもれなく包含するように検査ヘッド5の旋回角度を設定して、その設定した旋回角度の範囲内で、制御部を介して検査ヘッド5を正確に往復旋回させることができる。
【0047】
なお、旋回台17を旋回させるために、旋回駆動力源として、前述した電動モータあるいは油圧モータなどの代わりに、軌陸車輌7が有しているエンジンの駆動力を利用する構成としても構わない。これにより、より強大な駆動力を得ることができるとともに、その駆動力を、旋回台17を微少角度ずつ旋回させることができるように、前述した旋回駆動力伝達装置を介して旋回台17に伝達できる。よって、旋回台17に搭載されている起倒アーム18および検査ヘッド5の重量が嵩んだ場合においても、旋回台17を安定した状態で精度よく旋回させることができる。
【0048】
起倒アーム18は、図1および図2に示すように、旋回台17に設けられている起倒アーム支持台24に起倒軸22を介して起倒可能に取り付けられている。起倒アーム18は、その長さが、図2に示すように、打音検査する鉄道用トンネル3の検査面4に検査ヘッド5を押し付けることができる大きさに予め形成されている。起倒アーム18は、作業員が操作部を操作して、アーム起倒用シリンダ(起伏シリンダとも称する。)25を作動させることによって起倒される。アーム起倒用シリンダ25には、エアシリンダが用いられており、以下の説明において、これをアーム起倒用エアシリンダ25と称する。起倒アーム18は、様々な大きさおよび形状からなる、うねりや不整などの起伏を有している鉄道用トンネル3の検査面4を、適正な状態で打音検査を行うことができるように、検査面4に対する検査ヘッド5の姿勢を所定の状態に配置して保持できる。すなわち、起倒アーム18は、検査ヘッド5が検査面4に弾力的(柔軟)に接触できるように押し付けることができるとともに、検査ヘッド5を検査面4の起伏に追従させつつ円滑に移動させることができる。このために、アーム起倒用エアシリンダ25は、検査ヘッド5が検査面4に接触する際の衝撃、検査ヘッド5が検査面4上を走査する際の振動、あるいは打音検査作業中における検査ヘッド5の作動に伴う振動などを、減衰させて吸収できるだけの十分な弾性を有している空気ばねとしての機能も兼ねている。
【0049】
アーム起倒用エアシリンダ25は、アーム起倒用シリンダボディ25aと、アーム起倒用シリンダボディ25aの一端からその外部に突出したり、あるいはアーム起倒用シリンダボディ25aの一端からその内部に没入するアーム起倒用ピストンロッド25bとから構成されている。また、アーム起倒用エアシリンダ25は、図示しないコンプレッサおよび圧力調整弁などに接続されている。これらのコンプレッサおよび圧力調整弁は、制御部を介して操作部に接続されている。作業員が操作部を操作して、コンプレッサおよび圧力調整弁などを制御部を介して作動させることにより、アーム起倒用シリンダボディ25a内からその外部にアーム起倒用ピストンロッド25bを突出させたり、あるいはアーム起倒用シリンダボディ25a内にその外部からアーム起倒用ピストンロッド25bを没入させることができる。
【0050】
このアーム起倒用エアシリンダ25は、起倒アーム18の後方において、アーム起倒用シリンダボディ25aのアーム起倒用ピストンロッド25bが突没する側とは反対側の端部が、アーム起倒用シリンダボディ取り付け軸26を介して起倒アーム支持台24に回動可能に取り付けられている。このアーム起倒用シリンダボディ取り付け軸26は、前述した起倒軸22よりも後方かつ下方に位置するように、起倒アーム支持台24に取り付けられている。それとともに、このアーム起倒用エアシリンダ25は、アーム起倒用ピストンロッド25bのアーム起倒用シリンダボディ25a内に収納されている側とは反対側の端部が、アーム起倒用ピストンロッド取り付け軸28を介して、起倒アーム18の後部一側面の長手方向中間部に設けられているアーム起倒用ピストンロッド取り付け部27に回動自在に取り付けられている。
【0051】
また、この起倒アーム18の旋回方向は、図1中矢印Bで示されているように、旋回台17の旋回方向Aと直行する方向、すなわち、軌陸車輌7の進行方向および鉄道用トンネル3の長手方向、並びに鉄道用トンネル3の高さ方向に設定されている。これにより、起倒アーム18は、起倒軸22を起倒中心として、旋回台17の後方から前方に向かって、かつ旋回台17と略同等の高さからその上方に向かって、アーム起倒用シリンダボディ25a内から突没するアーム起倒用ピストンロッド25bの長さに応じて、所定の範囲内で起倒できる。
【0052】
起倒アーム18は、アーム起倒用エアシリンダ25のアーム起倒用シリンダボディ25a内に、アーム起倒用ピストンロッド25bがその没入が止められるまで収納されている状態、すなわち、アーム起倒用エアシリンダ25のシリンダ長が最短となっている状態の角度から、アーム起倒用シリンダボディ25a内から、アーム起倒用ピストンロッド25bがその突出が止められるまで伸びた状態(換言すれば、アーム起倒用エアシリンダ25のシリンダ長が最長となっている状態)の角度まで起倒できる。もちろん、起倒アーム18は、アーム起倒用エアシリンダ25のシリンダ長が最長となる状態の角度まで起倒する間に、その先端側に設けられている検査ヘッド5が鉄道用トンネル3のコンクリート壁2に当接する場合には、その当接状態を保持するように、その起倒角度をアーム起倒用エアシリンダ25によって保持される。
【0053】
起倒軸22には、旋回台17および起倒アーム支持台24に対する起倒アーム18の起倒角度を検出する起倒角度検出用センサとしての起倒角度検出器23が接続されている。この起倒角度検出器23は制御部に接続されている。このトンネル用打音検査装置1においては、起倒角度検出器23には、エンコーダ、あるいはポテンショメータなどの精度の高い角度検出器が用いられることが好ましい。これにより、例えば、まず、アーム起倒用エアシリンダ25を、アーム起倒用シリンダボディ25a内にアーム起倒用ピストンロッド25bがその没入が止められるまで収納されている状態、すなわち、アーム起倒用エアシリンダ25を、そのシリンダ長が最短となっている状態(以下の説明において、この状態を起倒アーム18の初期状態と称する。)に設定する。それとともに、この初期状態における起倒アーム18の水平方向からの起倒角度を予め測定し、この角度を初期角度として初期設定する。すると、その後、旋回台17および起倒アーム支持台24に対して起倒アーム18を上下方向および前後方向に何度起倒させたかを正確かつ容易に知ることができる。すなわち、打音検査作業中において、起倒アーム18、ひいては検査ヘッド5を水平方向から上下方向および前後方向に何度起倒させたかを正確かつ容易に知ることができる。よって、この起倒角度検出器23を用いることにより、検査ヘッド5の起倒角度を微少な角度ずつ精度よく測定して、検査ヘッド5の地面などからの高さ位置などを精度よく測定できる。
【0054】
なお、この起倒アーム18を起倒作動させるために、アーム起倒用シリンダ25には、前述したエアシリンダの代わりに、油圧シリンダを用いる構成としても構わない。これにより、起倒アーム18に取り付けられている検査ヘッド5の重量が嵩んだ場合においても、起倒アーム18を安定した状態で円滑に起倒させることができる。また、本実施形態の起倒アーム18は、検査する鉄道用トンネル3の内部空間の大きさに合わされて、所定の長さの伸縮不可能な形状および構造に予め形成されているが、伸縮可能な形状および構造に形成しても構わない。起倒アーム18を、例えば、消防用はしご車のはしご部のように、複数段のはしごからなる伸縮可能な多段形の構造とすることにより、鉄道用トンネル3に限らず、様々な大きさの構造物3を打音検査できる。すなわち、起倒アーム18を伸縮可能な多段形の構造とすることにより、その検査可能対象物の範囲(利用可能範囲)を広げることができる。
【0055】
ヘッド支持部19は、図1および図2に示すように、起倒アーム18の先端部18aに支持部支持軸29を介して回動可能に取り付けられている。ヘッド支持部19は、その側面視において長手方向一端部付近が直角に折り曲げられたL字形状に形成されている。ヘッド支持部19は、その折れ曲がり部19bに、その折れ曲がり方向とは垂直な方向に支持部支持軸29が通されることによって、起倒アーム18の先端部18aに回動可能に支持されている。また、旋回台17の姿勢が前述した初期状態にある場合には、前述した起倒アーム18の起倒角度に拘らず、ヘッド支持部19は、その折れ曲がり部19bから遠い側の端部であるヘッド取り付け側端部19aに向かう方向が鉛直方向上向きとなるように、その姿勢を保持されて起倒アーム18の先端部18aに回動可能に支持されている。それとともに、ヘッド支持部19は、その折れ曲がり部19bから近い側の端部であるリンク部材取り付け側端部31に向かう方向が水平方向前向きとなるように、その姿勢を保持されて起倒アーム18の先端部18aに回動可能に支持されている。
【0056】
詳しく述べると、ヘッド支持部19は、支持部支持軸29を介して起倒アーム18の先端部18aに回動可能に取り付けられているとともに、平行リンク部材30を介して起倒アーム支持台24に回動可能に取り付けられている。平行リンク部材30は、その長手方向一端部であるリンク部材ヘッド側端部30aが、リンク部材ヘッド側支持軸32を介してヘッド支持部19のリンク部材取り付け側端部31に回動自在に取り付けられている。それとともに、平行リンク部材30は、その長手方向他端部であるリンク部材旋回台側端部30bが、リンク部材旋回台側支持軸33を介して起倒アーム支持台24に回動自在に取り付けられている。平行リンク部材30は、長尺の平板形状に形成されており、その長手方向に沿った長さが起倒アーム18の長手方向に沿った長さと略等しい大きさに形成されている。それとともに、平行リンク部材30を支持するリンク部材ヘッド側支持軸32とリンク部材旋回台側支持軸33との間の距離が、起倒アーム18に取り付けられている起倒軸22と支持部支持軸29との間の距離と略等しい大きさに設定されている。
【0057】
また、例えば、旋回台17の姿勢が初期状態にある場合には、リンク部材旋回台側支持軸33は起倒軸22に対して常に前方かつ上方に位置しているように起倒アーム支持台24に回動自在に取り付けられている。同様に、旋回台17の姿勢が初期状態にある場合には、リンク部材ヘッド側支持軸32は支持部支持軸29に対して常に前方かつ上方に位置しているようにヘッド支持部19のリンク部材取り付け側端部31に取り付けられている。さらに、旋回台17の旋回角度および起倒アーム18の起倒角度に拘らず、起倒軸22とリンク部材旋回台側支持軸33とを結ぶ方向は、支持部支持軸29とリンク部材ヘッド側支持軸32とを結ぶ方向に常に平行となっているように設定されている。このように、旋回台17の旋回角度および起倒アーム18の起倒角度に拘らず、起倒軸22、リンク部材旋回台側支持軸33、リンク部材ヘッド側支持軸32、および支持部支持軸29は、常に一定の形状の平行四辺形を形成しているように、それぞれが互いに相対的な位置を予め決められて取り付けられている。すなわち、旋回台17の旋回角度および起倒アーム18の起倒角度に拘らず、平行リンク部材30は、その長手方向が起倒アーム18の長手方向に沿うように、かつ、起倒アーム18に対して常に平行に位置するように、その起倒アーム18に対する相対的な姿勢を保持されて、リンク部材取り付け側端部31および起倒アーム支持台24に回動自在に取り付けられている。
【0058】
以上説明した起倒アーム18に対する平行リンク部材30の取り付け状態によれば、例えば、旋回台17の姿勢が初期状態にある場合には、起倒アーム18の起倒角度に拘らず、ヘッド支持部19は、その折れ曲がり部19bからヘッド取り付け側端部19aに向かう方向が鉛直方向上向きとなるように、その姿勢を保持されて起倒アーム18の先端部18aに回動可能に支持される。同様に、旋回台17の姿勢が初期状態にある場合には、起倒アーム18の起倒角度に拘らず、ヘッド支持部19は、その折れ曲がり部19bからリンク部材取り付け側端部31に向かう方向が水平方向前向きとなるように、その姿勢を保持されて起倒アーム18の先端部18aに回動可能に支持される。
【0059】
なお、本実施形態の平行リンク部材30は、前述した起倒アーム18と同様に、検査する鉄道用トンネル3の内部空間の大きさに合わされて、所定の長さの伸縮不可能な形状および構造に予め形成されているが、伸縮可能な形状および構造に形成しても構わない。起倒アーム18を、例えば、前述した消防用はしご車のはしご部のように、複数段のはしごからなる伸縮可能な多段形の構造とするとともに、そのような構造の起倒アーム18に合わせて平行リンク部材30を伸縮可能な多段形の構造とすることにより、様々な大きさの構造物3を打音検査する場合にも、ヘッド支持部19を前述した一定の姿勢に保持できる。
【0060】
以上説明した旋回台17、起倒アーム18、ヘッド支持部19、旋回角度検出器21、および起倒角度検出器23などから構成されているヘッド移動装置6によれば、移動装置支持架台16に対する検査ヘッド5の相対的な位置を正確かつ容易に把握できる。それとともに、このヘッド移動装置6によれば、軌陸車輌7の進行方向に対して垂直な方向、すなわち、左右方向においては、検査ヘッド5を微少な角度ごとに精度よく旋回させることができるので、鉄道用トンネル3の検査面4を適正な状態で打音検査を行うことができるように、検査面4に対する検査ヘッド5の姿勢を適正な状態に配置できる。したがって、このヘッド移動装置6を有しているトンネル用打音検査装置1は、鉄道用トンネル3の検査面4、あるいはその内部を適正な状態で正確に打音検査できる。それとともに、このヘッド移動装置6を有しているトンネル用打音検査装置1は、打音検査作業を行う際に、後述するヘッド姿勢制御用シリンダ36を一定の状態に保持しておく限り、検査ヘッド5の姿勢を一定に保持できるので、打音検査作業を安定して行うことができる。
【0061】
なお、検査場所の移動時など非検査時に軌陸車輌7を走行させる際、あるいは後述するトンネル内障害物46の回避作業時において大型のトンネル内障害物46を回避する際には、アーム起倒用エアシリンダ25を縮めて起倒アーム18を倒すことにより、検査ヘッド5を鉄道用トンネル3のコンクリート壁面2から大きく引き離す。これにより、検査ヘッド5に過度な衝撃が加わるおそれを回避できるので、検査ヘッド5の機能を正常な状態に保持して、検査ヘッド5の寿命、ひいてはトンネル用打音検査装置1の寿命を延ばすことができる。
【0062】
また、このヘッド移動装置6は、トンネル用打音検査装置1の周りにいる現場の作業員が直接人手により操作部を操作して操縦するだけでなく、前述した軌陸車輌7の場合と同様に、遠隔操縦用受信機48、ならびにCCDカメラ、あるいは赤外線カメラなどの監視手段を使用して、無線通信により遠隔操縦することも可能である。
【0063】
検査ヘッド5は、図1および図2に示すように、ヘッド支持部19の先端部19aにヘッド支持軸34を介して姿勢制御可能に取り付けられている。検査ヘッド5は、作業員が操作部を操作して、ヘッド姿勢制御用シリンダ36を作動させることによって回動される。ヘッド姿勢制御用シリンダ36には、エアシリンダが用いられており、以下の説明において、これをヘッド姿勢制御用エアシリンダ36と称する。検査ヘッド5は、ヘッド移動装置6によって、様々な大きさおよび形状からなる、うねりや不整などの起伏を有している鉄道用トンネル3の検査面4を、適正な状態で打音検査を行うことができるように、検査面4に対する姿勢を所定の状態に配置されて保持される。すなわち、ヘッド移動装置6によって、検査ヘッド5は、検査面4に弾力的(柔軟)に接触できるように押し付けられるとともに、検査面4の起伏に追従させられつつ円滑に移動させられる。このために、ヘッド姿勢制御用エアシリンダ36は、前述したアーム起倒用エアシリンダ25と同様に、検査ヘッド5が検査面4に接触する際の衝撃、検査ヘッド5が検査面4上を走査する際の振動、あるいは打音検査作業中における検査ヘッド5の作動に伴う振動などを、減衰させて吸収できるだけの十分な弾性を有している空気ばねとしての機能も兼ねている。
【0064】
トンネル用打音検査装置1を用いた打音検査作業中において、現場の作業員などが操作部を操作して、ヘッド移動装置6が有しているアーム起倒用エアシリンダ25およびヘッド姿勢制御用エアシリンダ36のそれぞれの伸縮動作(伸縮操作)を適宜組み合わせることにより、検査ヘッド5は、起伏を有している鉄道用トンネル3の検査面4に追従しつつ円滑に移動して、適正な状態で打音検査を行うことができる。これにより、このトンネル用打音検査装置1は、極めて安定した状態で打音検査を行うことができるので、極めて精度よく鉄道用トンネル3の異常箇所を発見してその位置を把握できるとともに、極めて精度の高いビットマップを作成できる。
【0065】
ヘッド姿勢制御用エアシリンダ36は、ヘッド姿勢制御用シリンダボディ36aと、ヘッド姿勢制御用シリンダボディ36aの一端からその外部に突出したり、あるいはヘッド姿勢制御用シリンダボディ36aの一端からその内部に没入するヘッド姿勢制御用ピストンロッド36bとから構成されている。また、ヘッド姿勢制御用エアシリンダ36は、前述したアーム起倒用エアシリンダ25と同様に、コンプレッサおよび圧力調整弁などに接続されている。これらのコンプレッサおよび圧力調整弁は、制御部を介して操作部に接続されている。作業員が操作部を操作して、コンプレッサおよび圧力調整弁などを制御部を介して作動させることにより、ヘッド姿勢制御用シリンダボディ36a内からその外部にヘッド姿勢制御用ピストンロッド36bを突出させたり、あるいはヘッド姿勢制御用シリンダボディ36a内にその外部からヘッド姿勢制御用ピストンロッド36bを没入させることができる。
【0066】
ヘッド姿勢制御用エアシリンダ36は、ヘッド姿勢制御用シリンダボディ36aのヘッド姿勢制御用ピストンロッド36bが突没する側とは反対側の端部を、図示しないヘッド姿勢制御用シリンダボディ取り付け軸を介して、軌陸車輌7の進行方向前方に向かって右側であるヘッド支持部19の右側部に回動可能に取り付けられている。すなわち、ヘッド姿勢制御用シリンダボディ36aは、その一端部を、ヘッド支持部19の長手方向中間部に設けられているヘッド姿勢制御用シリンダボディ取り付け部37に回動可能に取り付けられている。それとともに、ヘッド姿勢制御用エアシリンダ36は、ヘッド姿勢制御用ピストンロッド36bのヘッド姿勢制御用シリンダボディ36a内に収納されている側とは反対側の端部を、図示しないヘッド姿勢制御用ピストンロッド取り付け軸を介して、軌陸車輌7の進行方向前方に向かってヘッド支持軸34よりも右側である検査ヘッド5の起倒アーム18側の一端面に回動可能に取り付けられている。すなわち、ヘッド姿勢制御用ピストンロッド36bは、その一端部を、検査ヘッド5の長手方向一端部付近に設けられているヘッド姿勢制御用ピストンロッド取り付け部38に回動自在に取り付けられている。
【0067】
また、検査ヘッド5の回動方向は、図1中矢印Cで示されているように、旋回台17の旋回方向Aと同じ方向、すなわち、軌陸車輌7の進行方向および鉄道用トンネル3の長手方向に直交する方向に設定されている。これにより、検査ヘッド5は、ヘッド支持軸34を回動中心として、ヘッド姿勢制御用シリンダボディ36a内から突没するヘッド姿勢制御用ピストンロッド36bの長さに応じて、所定の範囲内で回動できる。
【0068】
検査ヘッド5は、ヘッド姿勢制御用エアシリンダ36のヘッド姿勢制御用シリンダボディ36a内に、ヘッド姿勢制御用ピストンロッド36bがその没入が止められるまで収納された状態の角度から、ヘッド姿勢制御用シリンダボディ36a内から、ヘッド姿勢制御用ピストンロッド36bがその突出が止められるまで突き出された状態の角度まで回動できる。すなわち、検査ヘッド5は、ヘッド姿勢制御用エアシリンダ36のシリンダ長が最短となっている状態の角度から、ヘッド姿勢制御用エアシリンダ36のシリンダ長が最長となっている状態の角度まで回動できる。もちろん、検査ヘッド5は、ヘッド姿勢制御用エアシリンダ36のシリンダ長が最長となる状態の角度まで回動する間に、その両端に設けられている後述する検査ヘッド案内ローラ45が鉄道用トンネル3のコンクリート壁2に当接する場合には、その当接状態を保持するように、その回動角度をヘッド姿勢制御用エアシリンダ36によって保持される。
【0069】
ヘッド支持軸34には、ヘッド支持部19に対する検査ヘッド5の回動角度、すなわち検査ヘッド5の姿勢を検出するヘッド姿勢検出用センサとしてのヘッド姿勢検出器35が接続されている。このヘッド姿勢検出器35は、制御部に接続されている。このトンネル用打音検査装置1においては、ヘッド姿勢検出器35には、エンコーダ、あるいはポテンショメータなどの精度の高い角度検出器が用いられることが好ましい。これにより、例えば、まず、ヘッド姿勢制御用エアシリンダ36を、ヘッド姿勢制御用シリンダボディ36a内にヘッド姿勢制御用ピストンロッド36bがその没入が止められるまで収納されている状態、すなわち、ヘッド姿勢制御用エアシリンダ36を、そのシリンダ長が最短となっている状態(以下の説明において、この状態を検査ヘッド5の初期状態と称する。)に設定する。また、この初期状態における検査ヘッド5の水平方向からの回動角度が0°となるように、ヘッド姿勢制御用エアシリンダ36のシリンダ長、ならびに検査ヘッド5およびヘッド支持部19に対するヘッド姿勢制御用エアシリンダ36の取り付け位置および取り付け角度を予め設定する。すると、その後、ヘッド支持部19に対して検査ヘッド5を左右方向に何度回動させたかを正確かつ容易に知ることができる。すなわち、このヘッド姿勢検出器35を用いることにより、打音検査作業中において、検査ヘッド5の回動角度を微少な角度ずつ精度よく測定できる。
【0070】
なお、この検査ヘッド5を回動させるために、ヘッド姿勢制御用シリンダ36には、前述したエアシリンダの代わりに、油圧シリンダを用いる構成としても構わない。これにより、検査ヘッド5の重量が嵩んだ場合においても、検査ヘッド5を安定した状態で円滑に回動させることができる。
【0071】
検査ヘッド5は、図3に示すように、長尺の直方体形状に形成されている検査ヘッドカバー50により、その主要部が覆われて保護されている。この検査ヘッドカバー50の長手方向に沿った一端面は、打音検査する鉄道用トンネル3のコンクリート壁2に対向する構造物対向面5aとなっており、この構造物対向面5aから鉄道用トンネル3の検査面4に向けて、後述する叩打子39のハンマー部40が突没自在に出入りする。また、この検査ヘッドカバー50の長手方向両端面の構造物対向面5a寄りには、鉄道用トンネル3の検査面4に回転しつつ接触するとともに、検査ヘッド5を検査面4に沿って円滑に案内する回転体としての検査ヘッド案内ローラ45が、それぞれ1個ずつ回転自在に取り付けられている。検査ヘッド5は、これら一対の検査ヘッド案内ローラ45、ならびに前述したアーム起倒用エアシリンダ25およびヘッド姿勢制御用エアシリンダ36が有している空気ばねの機能によって、鉄道用トンネル3のコンクリート壁2の検査面4に向けて押し付けられた状態のまま、検査面4上をその起伏に沿って円滑に移動しつつ適正な状態で打音検査を行うことができる。
【0072】
この検査ヘッド5の検査ヘッドカバー50の内部には、構造物対向面5aの長手方向に沿って、鉄道用トンネル3の検査面4を叩打する叩打子39、およびこの叩打子39と対をなして叩打音を検出する叩打音検出用検査としての叩打音集音用マイク43がそれぞれ複数個ずつ並べられて取り付けられている。本実施形態の検査ヘッド5においては、それら複数組の叩打子39および叩打音集音用マイク43が5組具備されている。
【0073】
5個の叩打子39は、検査ヘッドカバー50の内部において、その長手方向に沿って、その両端に渡って設けられている長尺の叩打用シリンダ固定部材42に、それぞれが有している後述する叩打用シリンダ41の側部を固定されることにより、検査ヘッド5に取り付けられている。叩打用シリンダ固定部材42は、検査ヘッドカバー50の内部において、叩打用シリンダ41が有している後述する叩打用ピストンロッド41bの先端に取り付けられているハンマー部40が、構造物対向面5aを経て検査ヘッドカバー50の内部からその外部へ突出して、検査面4を確実に叩打できる位置に設けられている。また、5個の叩打子39は、構造物対向面5aの長手方向に沿って、隣接する各叩打用シリンダ41同士の間隔を互いに所定の大きさだけ離されて、叩打用シリンダ固定部材42に固定されている。
【0074】
同様に、5個の叩打音集音用マイク43は、検査ヘッドカバー50の内部において、その長手方向に沿って、その両端に渡って設けられている長尺の叩打音集音用マイク固定部材44に固定されることにより、検査ヘッド5に取り付けられている。叩打音集音用マイク固定部材44は、検査ヘッドカバー50の内部において、各叩打子39が有している各ハンマー部40が検査面4を叩打する各叩打位置に、各叩打音集音用マイク43が近接して配置される位置に設けられている。また、5個の叩打音集音用マイク43は、構造物対向面5aの長手方向に沿って、隣接する叩打音集音用マイク43同士の間隔を互いに所定の大きさだけ離されて、叩打音集音用マイク固定部材44に固定されている。これら隣接する叩打音集音用マイク43同士の間隔の大きさは、前述した隣接する各叩打用シリンダ41同士の間隔の大きさに略合わされている。
【0075】
また、各叩打音集音用マイク43は、各叩打子39のハンマー部40が検査面4を叩打させることにより発生させた叩打音を録音する図示しない録音装置、および録音装置が録音した叩打音を基にしてデータ解析する叩打音解析装置に接続されている。叩打音解析装置には、録音装置が録音した叩打音を基にして、打音検査する構造物3の材質、形状、および厚さ、ならびに各叩打子39のハンマー部40の材質、形状、および大きさ、さらに、各ハンマー部40が検査面4を叩打する際の叩打力の強さ、スピード、および叩打間隔などの諸条件(測定パラメータ)を考慮して、それらの各測定パラメータの任意の組み合わせに応じて構造物3の内部状態を正確に把握できる各種構造解析プログラムが予め多数搭載されている。もしくは、前記各種測定パラメータに合わせて、それらの解析に最適な前記各種構造解析プログラムが記録されている図示しないフロッピーディスク、CD−ROM、あるいは光磁気ディスクなどの各種記録媒体を選んで叩打音解析装置に挿入することにより、最適な種構造解析プログラムを叩打音解析装置に読み込ませる構成としても構わない。あるいは、前述したインターネット、イントラネット、および専用の無線LANなどに接続されているGPS用受信機47を介して、前記各種測定パラメータに合わせて、それらの解析に最適な前記各種構造解析プログラムを随時、叩打音解析装置に取り込む構成としても構わない。これにより、叩打音解析装置は、各叩打音集音用マイク43を通して録音装置が録音した叩打音を基にして、構造物3の検査面4およびその内部状態を正確に評価できるので、その正常箇所、および空洞やクラックなどの異常箇所を正確に解析して把握できる。
【0076】
また、この叩打音解析装置は、前述した車輌位置検出用センサ13を構成しているエンコーダ13aと車輌位置同定装置13b、移動距離検出用センサ14、GPS用受信機47、旋回角度検出器21、起倒角度検出器23、およびヘッド姿勢検出器35などから送られてくる検査ヘッド5の各種位置データおよび各種角度データなども併せて記録できる。よって、打音検査した構造物3の検査面4およびその内部状態の極めて正確なビットマップを作成できる。また、この叩打音解析装置は、後述するトンネル内障害物46の正確な位置データなども併せて記録できる。これら録音装置および叩打音解析装置は、ともに制御部に接続されている。
【0077】
以上説明したように、叩打子39と叩打音集音用マイク43とを対をなして5組具備するとともに、各叩打音集音用マイク43を各叩打子39の叩打位置に近接して取り付けた構成からなる検査ヘッド5によれば、少なくとも検査ヘッド5の構造物対向面5aと略等しい面積の検査面4を短時間でまんべんなく叩打して打音検査できるとともに、それらの叩打音を正確に集音できる。よって、この検査ヘッド5を有しているトンネル用打音検査装置1は、検査場所としての鉄道用トンネル3の検査面4あるいは内部に異常な箇所を発見した際に、その異常な箇所の位置を迅速に、かつ、より正確に把握できる。よって、このトンネル用打音検査装置1を用いることにより、検査対象としての鉄道用トンネル3の検査面4あるいは内部の状態を記録した図示しないビットマップを迅速に、かつ、より高い精度で作成できる。
【0078】
本実施形態においては、5個の叩打子39を、図3に示すように、トンネル用打音検査装置1の進行方向前方に向かって、その右側から左側に向けて、第1叩打子39a、第2叩打子39b、第3叩打子39c、第4叩打子39d、および第5叩打子39eと称する。また、これら第1〜第5の各叩打子39a〜39eがそれぞれ有する、検査面4を叩打する叩打部としてのハンマー部40を、それぞれ第1ハンマー部40a、第2ハンマー部40b、第3ハンマー部40c、第4ハンマー部40d、および第5ハンマー部40eと称する。それとともに、第1〜第5の各叩打子39a〜39eと対をなして取り付けられている5個の叩打音集音用マイク43を、図3に示すように、トンネル用打音検査装置1の進行方向前方に向かって、その右側から左側に向けて、第1叩打音集音用マイク43a、第2叩打音集音用マイク43b、第3叩打音集音用マイク43c、第4叩打音集音用マイク43d、および第5叩打音集音用マイク43eと称する。前述した叩打子39と叩打音集音用マイク43との相対的な配置状態によれば、第1ハンマー部40aが検査面4を叩打して発生させた叩打音の大部分は、主に第1叩打音集音用マイク43aにより収集されて録音される(集音される)。同様に、第2ハンマー部40b、第3ハンマー部40c、第4ハンマー部40d、および第5ハンマー部40eのそれぞれが、検査面4を叩打して発生させた各叩打音の大部分は、それぞれ主に第2叩打音集音用マイク43b、第3叩打音集音用マイク43c、第4叩打音集音用マイク43d、および第5叩打音集音用マイク43eにより集音される。
【0079】
前述した第1〜第5の各叩打子39a〜39eは、第1〜第5の各ハンマー部40a〜40e、およびこれら第1〜第5の各ハンマー部40a〜40eを検査面4に向けて突出させる叩打用シリンダ41などから構成されている。叩打用シリンダ41には、エアシリンダが用いられており、以下の説明において、これを叩打用エアシリンダ41と称する。
【0080】
第1〜第5の各ハンマー部40a〜40eは、略球形状に形成されている。これら第1〜第5の各ハンマー部40a〜40eは、検査する構造物3の材質、形状、厚さなどの諸条件を考慮して、検査面4を叩打した際に、それらの特徴を把握し易く、かつ、正常な箇所と異常な箇所とを容易に区別できる打音を得ることができる材質によって形成されることが好ましい。これら第1〜第5の各ハンマー部40a〜40eは、第1〜第5の各叩打子39a〜39eがそれぞれ有している、後述する各叩打用ピストンロッド41bの叩打用エアシリンダ41側とは反対側の端部に取り付けられている。
【0081】
各叩打用エアシリンダ41は、叩打用シリンダボディ41aと、叩打用シリンダボディ41aの一端からその外部に突出したり、あるいは叩打用シリンダボディ41aの一端からその内部に没入する叩打用ピストンロッド41bとから構成されている。また、各叩打用エアシリンダ41は、前述したアーム起倒用エアシリンダ25およびヘッド姿勢制御用エアシリンダ36と同様に、互いに独立に駆動力伝達手段としての図示しないエアーチューブなどを介して、コンプレッサおよび圧力調整弁などにそれぞれ接続されている。これらのコンプレッサおよび圧力調整弁は、制御部を介して操作部に接続されている。これにより、各叩打用エアシリンダ41は、作業員が操作部を操作して、コンプレッサおよび圧力調整弁などを制御部を介して作動させることにより、各エア圧力(作動空気圧力)を随時、互いに独立に所定の大きさに設定して保持できる。したがって、例えば、各叩打用エアシリンダ41を、すべて一定のエア圧力に設定して、叩打用シリンダボディ41a内からその外部に叩打用ピストンロッド41bを突出させたり、あるいは叩打用シリンダボディ41a内にその外部から叩打用ピストンロッド41bを没入させることができる。すなわち、これら第1〜第5の各叩打子39a〜39eによれば、それらが有する第1〜第5の各ハンマー部40a〜40eの各叩打力を、打音検査すべき鉄道用トンネル3の材質、形状、厚さなどの諸条件を考慮して、その打音検査に適した所定の大きさに随時設定して、かつ、その大きさに保持しつつ検査面4を叩打できる。
【0082】
また、これら第1〜第5の各叩打子39a〜39eは、作業員が操作部を操作して、コンプレッサおよび圧力調整弁などを制御部を介して作動させることにより、それらが有する第1〜第5の各ハンマー部40a〜40eのそれぞれが検査面4を叩打する順番およびタイミングなどを随時、互いに独立に設定して保持できる。したがって、例えば、第1〜第5の各叩打子39a〜39eが有する第1〜第5の各ハンマー部40a〜40eが検査面4を叩打する順番を、第1番目が第1ハンマー部40a、第2番目が第2ハンマー部40b、第3番目が第3ハンマー部40c、第4番目が第4ハンマー部40d、第5番目が第5ハンマー部40e、そして再び第1番目の第1ハンマー部40aに戻り、以後はこの順番で繰り返し検査面4を叩打するように設定できる。この設定において、第1〜第5の各ハンマー部40a〜40eのそれぞれが検査面4を叩打する間隔を長くしたり、あるいは短くしたりできる。このような構成からなる各第1〜第5の各叩打子39a〜39eによれば、打音検査すべき鉄道用トンネル3の材質、形状、厚さなどの諸条件を考慮して、それらが有する第1〜第5の各ハンマー部40a〜40eの叩打間隔を随時、その打音検査に適した所定の大きさに設定して、かつ、その大きさに保持しつつ検査面4を叩打できる。
【0083】
以上説明した構成からなる第1〜第5の各叩打子39a〜39eを有する検査ヘッド5によれば、前述した軌陸車輌7の移動速度と併せて、第1〜第5の各叩打子39a〜39eがそれぞれ有している第1〜第5の各ハンマー部40a〜40eの叩打間隔などを随時、任意の値に設定することにより、打音検査の精度、すなわち打音検査の検査密度を随時、任意の値に設定できる。
【0084】
なお、第1〜第5の各ハンマー部40a〜40eで検査面4を叩打するために、各叩打用シリンダ41には、前述したエアシリンダの代わりに、油圧シリンダを用いる構成としても構わない。これにより、第1〜第5の各ハンマー部40a〜40eを剛性および密度の高い重金属などで形成して、それらの重量が嵩んだ場合においても、第1〜第5の各ハンマー部40a〜40eによって安定した状態で円滑に検査面4を叩打できる。
【0085】
さらに、検査ヘッド5の内部には、図1および図2に示すように、このトンネル用打音検査装置1が有している軌陸車輌7の進行方向前方、すなわち検査ヘッド5の走査方向前方に位置している、鉄道用トンネル3の検査面4から突出している凸部46を検出するための障害物検出用センサとしての障害物検出器49を取り付けた構成とすることが好ましい。この障害物検出器49が凸部46を検出する手段は、例えば、赤外線、あるいはレーザー光線など、前述した第1〜第5の各ハンマー部40a〜40eが発生させる叩打音と互いに干渉し合わない手段であることが好ましい。このトンネル用打音検査装置1においては、障害物検出器49が凸部46を検出する手段には、精度が高く、かつ、遠くまで届かせることができるレーザー光線を用いるものとする。これにより、このトンネル用打音検査装置1が全長数キロもある長い鉄道用トンネル3を打音検査する場合に、そのコンクリート壁2の検査面4から突出している、例えば、架線、あるいは移動通信体用のアンテナなどの凸部としてのトンネル内障害物46を、その大きさや形状に拘らずに、走査方向の遥か手前側から、十分に余裕を持って検出できる。この障害物検出器49は、制御部を介して図示しない警告装置、あるいはモニタなどに接続されている。
【0086】
障害物検出器49がトンネル内障害物46を検出すると、そのことが制御部を介して警告装置、あるいはモニタなどに伝えられる。例えば、現場の作業員が打音検査作業中において、警告装置による警告、あるいはモニタによる監視作業により、検査ヘッド5の走査方向前方にトンネル内障害物46が存在することを検知した場合、作業員が操作部を操作して、前述したヘッド移動装置6を作動させて、検査ヘッド5を、その走査線上からトンネル内障害物46が外れる位置に達するまでずらす。そして、この状態を保持したまま、トンネル内障害物46が検査ヘッド5よりも後方に位置するまで軌陸車輌7を前進させる。トンネル内障害物46が検査ヘッド5よりも後方に位置した状態になったことを軌陸車輌7の近くにいる現場の作業員が確認した後、作業員が操作部を操作して、ヘッド移動装置6を作動させて、検査ヘッド5を再び元の走査線上に戻し、中断した打音検査作業を継続する。以後、障害物検出器49が、検査ヘッド5の走査方向前方にトンネル内障害物46が存在することを検出した際には、前述した障害物回避作業を随時行うことにより、トンネル内障害物46を回避しつつ、目的の検査範囲をむらなく打音検査できる。
【0087】
また、トンネル内障害物46からの検査ヘッド5の回避作業は、軌陸車輌7の近くにいる現場の作業員が直接人手により操作部を操作して行うだけでなく、前述したヘッド移動装置6の場合と同様に、遠隔操縦用受信機48、およびCCDカメラ、あるいは赤外線カメラなどの監視手段、ならびにモニタなどを併用して、無線通信により遠隔操縦することも可能である。特に、鉄道用トンネル3内において、打音検査作業を肉眼で確認しつつ行うことができるような十分な量の可視光線が届く作業現場では、CCDカメラを用いることにより、現場の作業員が肉眼で確認するのと略同じ程度の正確さでトンネル内障害物46を検出できる。よって、トンネル内障害物46からの検査ヘッド5の回避作業を、CCDカメラを用いて遠隔操縦で行うことが可能な場所においては、トンネル内障害物46からの検査ヘッド5の回避作業を、その作業効率および検査精度を殆ど妨げることなく、より安全に、かつ、円滑に行うことができる。
【0088】
あるいは、トンネル内障害物46からの検査ヘッド5の回避作業は、このトンネル用打音検査装置1が有している制御部による自動制御により行われる構成としても構わない。例えば、障害物検出器49あるいはCCDカメラ、あるいは赤外線カメラなどの監視手段が、検査ヘッド5の走査方向線上にトンネル内障害物46を検出した際には、検査ヘッド5がトンネル内障害物46と接触しない位置に移動するように、制御部が有しているハードウェア(ROM、RAMなどの各種メモリ、あるいはトンネル内障害物46の回避作業専用のCPUなど)に予め障害物回避用プログラムを搭載しておく。制御部には、軌陸車輌7のエンジン、駆動力伝達装置、旋回台17を旋回駆動させる電動モータあるいは油圧モータ、および旋回駆動力伝達装置、起倒アーム18を起倒させるとともに、検査ヘッド5を回動させるコンプレッサおよび圧力調整弁などのトンネル用打音検査装置1の各種駆動装置が接続されている。
【0089】
これにより、障害物検出器49などによってトンネル内障害物46が検出されると、検査ヘッド5がトンネル内障害物46と接触しない位置まで移動するように、制御部は障害物回避用プログラムに基づいて、これに接続されているトンネル用打音検査装置1の各種駆動装置を作動させる。制御部は、検査ヘッド5を、その走査線上にトンネル内障害物46が乗っていない位置までずらした状態に保持したまま、トンネル内障害物46が検査ヘッド5よりも後方に位置するまで軌陸車輌7を前進させる。障害物検出器49が、トンネル内障害物46が検査ヘッド5よりも後方に位置した状態になったことを検出すると、そのことが制御部に伝達される。すると、制御部はこれに接続されているトンネル用打音検査装置1の各種駆動装置を作動させて、検査ヘッド5を再び元の走査線上に戻す。その後、制御部は検査ヘッド5などを作動させて、中断した打音検査作業を再開する。以後、障害物検出器49が、検査ヘッド5の走査方向前方にトンネル内障害物46が存在することを検出した際には、前述した障害物回避作業を制御部が自動で随時行うことにより、トンネル内障害物46を回避しつつ目的の検査範囲をむらなく自動で打音検査できる。この制御部によるハードウェア的な自動制御によれば、トンネル内障害物46からの検査ヘッド5の回避作業をより安全に行うことができる。ひいては、検査ヘッド5がトンネル内障害物46に接触するのを回避しつつ、目的の検査範囲をむらなく、より安全に打音検査できる。
【0090】
さらに、後述する打音検査作業により、検査すべき鉄道用トンネル3の内部状態のビットマップを一度作成した後は、その鉄道用トンネル3の打音検査作業におけるトンネル内障害物46からの検査ヘッド5の回避作業は、ソフトウェアを用いた自動制御により行われる構成とすることも可能である。例えば、制御部に接続されている前述した叩打音解析装置が作成した、所望の鉄道用トンネル3のビットマップのデータを、フロッピーディスク、CD−ROM、あるいは光磁気ディスクなどの各種記録媒体、もしくはインターネット、イントラネット、および専用の無線LANなどに接続されているGPS用受信機47を介して、再び叩打音解析装置に読み込ませる。この読み込ませた所望の鉄道用トンネル3のビットマップ・データには、前回打音検査した際の鉄道用トンネル3の検査面4およびその内部状態の正常箇所、および空洞やクラックなどの異常箇所が、検査ヘッド5の詳細な各種位置データおよび各種角度データなどと併せて記録されている。それとともに、この読み込ませた所望の鉄道用トンネル3のビットマップ・データには、前回打音検査した際の鉄道用トンネル3の検査面4から突出しているトンネル内障害物46の正確な位置データなども記録されている。それとともに、前述した制御部のハードウェア的な自動制御によるトンネル内障害物46の回避作業と同様の障害物回避用プログラムを、叩打音解析装置に所望の鉄道用トンネル3の過去のビットマップのデータを読み込ませた場合と同様の所定の方法により、制御部に接続されている図示しない記憶装置に読み込ませる。ただし、このソフト的障害物回避用プログラムには、随時、叩打音解析装置に読み込ませた過去のビットマップ・データにアクセスして、トンネル内障害物46の正確な位置を確認し、これと検査ヘッド5とが接触しないようにトンネル用打音検査装置1の各種駆動装置を作動させるコマンドが具備されているものとする。
【0091】
この制御部によるソフトウェア的な自動制御によれば、前述した制御部のハードウェア的な自動制御によるトンネル内障害物46の回避作業と同様に、トンネル内障害物46からの検査ヘッド5の回避作業をより安全に行うことができる。ひいては、検査ヘッド5がトンネル内障害物46に接触するのを回避しつつ、目的の検査範囲をむらなく、より安全に打音検査できる。また、打音検査を行う毎に予め検査範囲を設定してプログラムに盛り込んでおくことが容易なので、複数の不連続な検査場所を検査する際にも、それらの検査場所を予め設定することにより、所定の検査範囲をきめ細かに、かつ、無駄、あるいはむらなく自動で打音検査できる。
【0092】
それとともに、一度ビットマップを作成した後は、打音検査する鉄道用トンネル3に合わせて、その過去のビットマップ・データを叩打音解析装置に読み込ませればよい。これにより、極めて多数の鉄道用トンネル3に対応できる。実際には、このようなトンネル用打音検査装置1は、ある一定の地域を管轄している所定の車輌保管場所(区)に所有されている。すなわち、1台のトンネル用打音検査装置1が検査する鉄道用トンネル3は、予め略決まっている。よって、それらの鉄道用トンネル3を、それぞれ一度ずつ打音検査して、それぞれのビットマップ・データを作成すれば、その後は、検査する鉄道用トンネル3が大幅な改修工事などを受けない限り、その過去のビットマップ・データを基に、このトンネル用打音検査装置1を用いて無人で打音検査できる。
【0093】
以上説明した構成からなるトンネル用打音検査装置1によれば、打音検査する構造物としての鉄道用トンネル3のコンクリート壁2に沿った広い範囲の任意の検査場所の打音検査データを、所定の安定した条件下において、まんべんなく、かつ、効率よく収集して解析できる。すなわち、このトンネル用打音検査装置1によれば、鉄道用トンネル3の検査面4、あるいはその内部の状態を円滑に、効率よく、安全に、かつ正確に打音検査できる。また、このトンネル用打音検査装置1によれば、鉄道用トンネル3の検査面4、あるいはその内部にクラックや空洞などの異常な箇所が存在する場合、それらの異常な箇所の位置を極めて正確に検出できる。さらに、このトンネル用打音検査装置1によれば、鉄道用トンネル3の検査面4、あるいはその内部の状態を記録したビットマップを極めて高い精度で作成できるので、鉄道用トンネル3の異なる検査部分ごとの対比を極めて容易に、かつ、極めて高い精度で行うことができる。それとともに、このトンネル用打音検査装置1によれば、鉄道用トンネル3の同一の検査部分を、所定の時間間隔を置いて定期的に打音検査して、その同一の検査部分のビットマップを極めて高い精度で作成することにより、時間経過に伴うその同一部分の状態変化などを極めて容易に、かつ、極めて高い精度で把握できる。したがって、このトンネル用打音検査装置1によれば、このトンネル用打音検査装置1が作成した鉄道用トンネル3のビットマップを、鉄道用トンネル3の劣化診断などに極めて有効に役立てることができるので、一度この精度の高いビットマップを作成すれば、その後、このビットマップのデータを用いることにより、鉄道用トンネル3の修理作業、あるいは保守・点検作業などをより効率よく行うことができる。
【0094】
次に、トンネル用打音検査装置1を用いたトンネルの打音検査作業の一実施例についての概略を、図1および図2に基づいて説明する。
【0095】
まず、トンネル用打音検査装置1の旋回台17、起倒アーム18、および検査ヘッド5を、それぞれ前述した初期状態に保持して、鉄道用トンネル3のコンクリート壁面2から検査ヘッド5を引き離した状態のまま、軌陸車輌7をレール8上を走行させて、打音検査を行う検査開始場所付近までトンネル用打音検査装置1を移動させる。次に、現場の作業員が操作部を操作して、ヘッド移動装置6の各可動部を作動させて、図1に示すように、検査ヘッド5を、適正な状態で打音検査を行うことができる姿勢に配置して保持する。すなわち、現場の作業員が操作部を操作して、前記初期状態からそれぞれ慎重に角度調整を行いつつ、旋回台17を旋回させ、起倒アーム18を起こし、検査ヘッド5を回動させる。これにより、検査ヘッド5を、その構造物対向面5aが検査面4に略正対するようにその姿勢を保持するとともに、2個の検査ヘッド案内ローラ45がコンクリート壁2と回転可能に接触するように、コンクリート壁2に向けて押し付ける。この状態において、検査ヘッド5は、検査開始位置、もしくは検査方向に沿って、検査開始位置よりも僅かに後方に位置しているものとする。
【0096】
この後、所望の検査精度が得られるように予め計算されて設定された一定の低速度で、軌陸車輌7をレール8上を検査方向前方に向かって走行させる。それとともに、現場の作業員が操作部を操作して、所望の検査精度が得られるように予め計算されて設定されたエア圧力(作動空気圧力)、および叩打順番、叩打間隔、およびタイミングなどで、検査ヘッド5が有している5個の第1〜第5の各叩打子39a〜39eをそれぞれ作動させる。この打音検査作業においては、第1〜第5の各叩打子39a〜39eが有する第1〜第5の各ハンマー部40a〜40eが検査面4を叩打する順番を、第1番目が第1ハンマー部40a、第2番目が第2ハンマー部40b、第3番目が第3ハンマー部40c、第4番目が第4ハンマー部40d、第5番目が第5ハンマー部40e、そして再び第1番目の第1ハンマー部40aに戻り、以後はこの順番で繰り返し検査面4を叩打するように設定する。第1〜第5の各ハンマー部40a〜40eが検査面4を叩打することにより発生する各叩打音を、第1〜第5の各叩打子39a〜39eとそれぞれ対をなして検査ヘッド5の内部に取り付けられている5個の第1〜第5の各叩打音集音用マイク43a〜43eにより順次集音する。以後は、前述のように設定された検査ヘッド5を打音検査する一定区間の検査面4に追従させつつ、その開始端から終了端まで、鉄道用トンネル3の長手方向に沿って走査させればよい。
【0097】
また、打音検査する検査面4が、一回の検査ヘッド5の走査で検査しきれない大きさの幅を有している場合には、鉄道用トンネル3内で軌陸車輌7を往復動させるとともに、その往動、復動を切り替える毎に、現場の作業員が操作部を操作して、ヘッド移動装置6の各可動部を作動させて、検査ヘッド5の高さ位置を、例えば、より低い位置からより高い位置に向けて順次設定し直せばよい。
【0098】
検査ヘッド5が有している障害物検出器49が、検査ヘッド5の走査線上の前方に、図2に示すように、トンネル内障害物46が位置していることを検出すると、これを警告装置などで現場の作業員に警告する。この警告を認識した現場の作業員は、操作部を操作して、ヘッド移動装置6の各可動部を作動させて、検査ヘッド5を、トンネル内障害物46と接触しない位置までずらして回避させる。トンネル内障害物46の大きさが、例えば、検査面4と検査ヘッド5の構造物対向面5aとの隙間程度の大きさである場合には、現場の作業員は操作部を操作して、検査ヘッド5がトンネル内障害物46に接触しない向きに回動するように、ヘッド姿勢制御用エアシリンダ36を伸縮させればよい。また、トンネル内障害物46の大きさが、図2に示すように、検査ヘッド5自体の大きさと同程度、もしくはそれ以上の大きさである場合には、このトンネル用打音検査装置1が有している起倒アーム18は、伸縮不可の構造となっているため、現場の作業員は操作部を操作して、検査ヘッド5がトンネル内障害物46と接触しないように、検査ヘッド5が斜め後方に向かって下降するように、ヘッド移動装置6を作動させる。
【0099】
以下、そのような大型のトンネル内障害物46の回避作業時における起倒アーム18の動作を、図2に示すように、複線からなる鉄道用トンネル3内において、軌陸車輌7が走行する側のレール8に近い側のコンクリート壁面2の検査面4を、このトンネル用打音検査装置1を用いて打音検査を行う場合について説明する。
【0100】
この場合、旋回台17の旋回中心は、図2中十字印によって示されている鉄道用トンネル3の径方向の中心部から、軌陸車輌7が走行している側に偏心して位置している。この状態において、検査ヘッド5およびヘッド移動装置6の姿勢が、図2中実線で示されている状態にあるとともに、大型のトンネル内障害物46が検査ヘッド5の走査線上の前方に位置しているとする。起倒アーム18は、伸縮不可の構造となっているため、その回動半径は一定である。また、起倒アーム18の回動中心である旋回台17の旋回軸20から、このトンネル用打音検査装置1が打音検査している検査面4までの距離は、図2中上方から下方に向かうにしたがって短くなっている。よって、図2中実線で示されている状態の起倒アーム18の起倒角度を変えることなく、旋回台17のみを軌陸車輌7の進行方向前方に向かって左側に旋回させると、ある高さ位置において、検査ヘッド5がコンクリート壁2に対して突かえてしまい、移動不可の状態となる。このような事態を回避するために、現場の作業員は操作部を操作して、旋回台17を検査ヘッド5の高さが低くなる向きに旋回させる以前、あるいは、そのような旋回台17の旋回動作に並行して、アーム起倒用エアシリンダ25を、そのシリンダ長が短くなる向きに作動させる。すなわち、アーム起倒用エアシリンダ25を縮ませて、起倒アーム18を、その初期状態に戻る向きに倒す。このような操作により、検査ヘッド5は、軌陸車輌7の進行方向前方に向かって、斜め後方に向かって下降されたことになる。
【0101】
以上説明したように、検査ヘッド5が斜め後方に向かって下降するように、ヘッド移動装置6を作動させることにより、検査ヘッド5は、大型のトンネル内障害物46と接触することなく、打音検査を行う検査面4をまんべんなく検査できる。
【0102】
検査ヘッド5は、アーム起倒用エアシリンダ25およびヘッド姿勢制御用エアシリンダ36が有している空気ばねの作用により、検査面4にうねりや微少な段差などが存在する場合にも、検査面4に追従して移動できる。それとともに、検査ヘッド5が有している5個の第1〜第5の各叩打子39a〜39eを、すべて殆ど同じ条件で作動させることができる。これにより、トンネル用打音検査装置1は、打音検査する鉄道用トンネルの大きさ、あるいは形状などに拘らず、略一定の安定した条件の下で叩打音のデータを収集して解析できる。よって。トンネル用打音検査装置1によれば、鉄道用トンネル3の検査面4、あるいはその内部にクラックや空洞などの異常な箇所が存在する場合、それらの異常な箇所の位置を極めて正確に検出できる。さらに、このトンネル用打音検査装置1によれば、鉄道用トンネル3の検査面4あるいは内部の状態を記録したビットマップを極めて高い精度で作成できる。
【0103】
次に、本発明の第2の実施の形態に係る構造物打音検査装置としてのトンネル用打音装置51を、図4に基づいて説明する。
【0104】
この第2実施形態のトンネル用打音検査装置51は、これが有している検査ヘッド52の構造が、前述した第1実施形態のトンネル用打音検査装置1が有している検査ヘッド5の構造と異なっているだけで、その他の構成、作用、および効果は同様である。よって、その異なっている部分について説明し、前述した第1実施形態と同一の構成部分についての説明は省略する。また、図面についても、同一の図面は省略し、本実施形態の検査ヘッド52の構造の特徴をよく理解することのできる図面のみを示し、この図4において、前述した第1実施形態と同一部分には同一符号を付してある。
【0105】
本実施形態のトンネル用打音検査装置51が有している検査ヘッド52は、図4に示すように、叩打子39と、これと対をなす叩打音集音用マイク43とがそれぞれ1個ずつであって、かつ、一体的に連結されていて、この一体物が検査ヘッド52の長手方向に沿って往復動可能に設けられている。
【0106】
1個の叩打子39と、1個の叩打音集音用マイク43とは、側面視がL字形状に形成されている叩打音集音用マイク連結部材53により一体的に連結されている。叩打音集音用マイク43は、叩打音集音用マイク連結部材53の一端部に取り付けられている。それとともに、この叩打音集音用マイク連結部材53は、その他端部が、叩打用エアシリンダボディ41bの側部の所定の位置に固定されている。具体的には、叩打音集音用マイク連結部材53の他端部は、叩打子39が有しているハンマー部40が検査面4を叩打する叩打位置の近傍において、叩打音集音用マイク43が、その叩打位置に対して常に一定の位置に位置しているように、叩打用エアシリンダボディ41bの側部に固定されている。
【0107】
この単一の叩打子39および叩打音集音用マイク43から構成されている一体物は、検査ヘッドカバー50の内部において、その長手方向に沿ってその両端に渡って設けられているとともに、長尺の板形状に形成されている叩打子案内部材としての位置検出機能付きリニアガイド55に、叩打子支持部材54を介して摺動自在に嵌め込まれて支持されている。それとともに、単一の叩打子39および叩打音集音用マイク43から構成されている一体物は、検査ヘッドカバー50の内部において、その長手方向に沿ってその両端に渡って設けられているとともに、長尺の丸棒形状に形成されている叩打子摺動部材としての立体カム56に、叩打子支持部材54を介して往復動可能に係合されている。
【0108】
叩打子支持部材54は、叩打用エアシリンダボディ41aの側部に固定されるとともに、位置検出機能付きリニアガイド55に嵌め込まれる、略平板形状に形成されている支持部材嵌合部54aと、同じく叩打用エアシリンダボディ41aの側部に固定されるとともに、立体カム56が有している後述する叩打子案内溝としての螺旋溝56aに溝係合される、略円筒形状に形成されている支持部材係合部54bとから構成されている。
【0109】
位置検出機能付きリニアガイド55は、検査ヘッドカバー50の内部において、叩打用エアシリンダ41が有している叩打用ピストンロッド41bの先端に取り付けられているハンマー部40が、構造物対向面5aを経て検査ヘッドカバー50の内部からその外部へ突出して、検査面4を確実に叩打できる位置に設けられている。それとともに、この位置検出機能付きリニアガイド55には、これに摺動自在に嵌合されている叩打子支持部材54の支持部材嵌合部54aの、位置検出機能付きリニアガイド55の長手方向に沿った位置を正確に検出できる機能が設けられている。すなわち、この位置検出機能付きリニアガイド55には、単一の叩打子39および叩打音集音用マイク43から構成されている一体物の、位置検出機能付きリニアガイド55の長手方向に沿った位置を正確に検出できる機能が設けられている。また、この位置検出機能付きリニアガイド55は、制御部に接続されている。
【0110】
立体カム56は、検査ヘッドカバー50の内部において、単一の叩打子39および叩打音集音用マイク43から構成されている一体物を、位置検出機能付きリニアガイド55の長手方向に沿って往復動させることができるように、位置検出機能付きリニアガイド55の近傍に、位置検出機能付きリニアガイド55と平行に配置されている。この立体カム56は、その長手方向両端部を、検査ヘッドカバー50の長手方向両端面の内側に設けられている叩打子摺動部材支持部材としての立体カム支持部材57によって回転自在に支持されて、検査ヘッドカバー50の内部に取り付けられている。この立体カム56の側面には、その略全面に渡って、叩打子支持部材54を立体カム56の長手方向に沿って、その全長と略等しい距離を往復動させるための螺旋溝56aが形成されている。叩打子支持部材54は、その支持部材係合部54bの中空部分が立体カム56の螺旋溝56aと溝係合するように、立体カム56に取り付けられる。
【0111】
また、この立体カム56は、検査ヘッドカバー50の長手方向の一端面の内側に設けられている叩打子摺動部材駆動装置としての立体カム駆動用モータ58によって回転駆動される。この立体カム駆動用モータ58は制御部に接続されており、作業員が操作部を操作することにより、その回転速度および回転トルクなどを任意の大きさに設定して駆動させることができる。これにより、叩打子支持部材54は、立体カム駆動用モータ58の回転速度および回転トルクなどに応じた所定の速度で、立体カム56によって、位置検出機能付きリニアガイド55の長手方向に沿って往復動される。
【0112】
作業員が操作部を操作して、立体カム駆動用モータ58を駆動させて、例えば、図4中矢印Dで示されている向きに、立体カム56を回転駆動させる。これにより、叩打子支持部材54は、図4中矢印Eで示されているように、立体カム56の長手方向に沿って、その全長と略等しい距離を往復動できる。したがって、単一の叩打子39および叩打音集音用マイク43から構成されている一体物は、位置検出機能付きリニアガイド55により、その長手方向沿って摺動自在に案内されつつ、立体カム56により、検査ヘッド52の構造物対向面5aの長手方向に沿って、その長さと略等しい距離を連続して往復動できる。
【0113】
叩打子39が有している叩打用エアシリンダ41の叩打用エアシリンダボディ41aには、叩打用シリンダ駆動力伝達手段としての、エアーチューブ59が接続されている。このエアーチューブ59は、検査ヘッド52の内部における叩打用エアシリンダ41の往復動に追従しつつ、叩打用エアシリンダボディ41aにエアーを確実に供給できる可撓性および耐座屈性を有している材質により形成されていることが好ましい。また、このエアーチューブ59は、そのエアー供給ラインがコンプレッサおよび圧力調整弁としての図示しない電磁弁などに接続されている。これらのコンプレッサおよび電磁弁は、制御部を介して操作部に接続されている。これにより、作業員が操作部を操作して、コンプレッサおよび電磁弁などを制御部を介して作動させることにより、叩打用エアシリンダ41のエア圧力(作動空気圧力)を随時、任意の大きさに設定して保持できる。したがって、この叩打子39によれば、ハンマー部40の叩打力を随時、打音検査すべき構造物3の材質、形状、厚さなどの諸条件を考慮して、その打音検査に適した所定の大きさに設定して、かつ、その大きさに保持しつつハンマー部40に検査面4を叩打させることができる。
【0114】
また、叩打子39は、作業員が操作部を操作して、コンプレッサおよび電磁弁などを制御部を介して断続的に作動させることにより、叩打用エアシリンダボディ41a内へのエアーの供給、あるいは叩打用エアシリンダボディ41a内からのエアーの排出などを随時、任意の一定の時間間隔に設定して断続的に行うことができる。すなわち、この叩打子39によれば、ハンマー部40が検査面4を叩打するタイミングなどを随時、任意の一定の時間間隔に設定して、ハンマー部40に検査面4を断続的に叩打させることができる。
【0115】
なお、ハンマー部40を、検査面4を叩打させるために、叩打用シリンダ41には、前述したエアシリンダの代わりに、油圧シリンダを用いる構成としても構わない。これにより、ハンマー部40を剛性および密度の高い重金属などで形成して、それらの重量が嵩んだ場合においても、ハンマー部40を安定した状態で円滑に検査面4に叩打させることができる。
【0116】
この第2実施形態のトンネル用打音検査装置51は、以上説明した点以外は、すべて第1実施形態のトンネル用打音検査装置1と同じである。よって、この第2実施形態のトンネル用打音検査装置51を用いることにより、本発明の第1の課題を解決できるのは勿論であるが、前記構造の検査ヘッド52を具備している第2実施形態は、以下の点で優れている。
【0117】
このトンネル用打音検査装置51によれば、検査ヘッド52が有している単一の叩打子39および叩打音集音用マイク43を、叩打音集音用マイク連結部材53により一体的に連結して、一体物を構成した。それとともに、叩打音集音用マイク43を、叩打子39が有しているハンマー部40が検査面4を叩打する叩打位置の近傍において、その叩打位置に対して常に一定の位置に位置しているように、叩打音集音用マイク連結部材53を介して叩打子39に取り付けた。これにより、ハンマー部40が検査面4を叩打する際に発生する叩打音を、その叩打場所に対して相対的に常に一定の位置から、叩打音集音用マイク43により集音できる。よって、この検査ヘッド52を用いることにより、叩打音を略一定の条件の下でより確実に、かつ、ばらつきを殆ど無くして集音できる。それとともに、そのばらつきの殆ど無い叩打音を解析データとして用いることにより、叩打音の解析をより高い精度で行うことができるので、構造物としての鉄道用トンネル3の内部構造の状態などを、より高い精度で検査できる。
【0118】
また、このトンネル用打音検査装置51によれば、単一の叩打子39および叩打音集音用マイク43から構成されている一体物を、検査ヘッド52の長手方向に沿って任意の速度で往復動させることができる構成とした。それとともに、ハンマー部40が検査面4を叩打する時間間隔を任意の大きさに設定できる、すなわち、ハンマー部40が検査面4を一定の時間間隔で断続的に叩打できるように設定できる構成とした。これにより、単一の叩打子39および叩打音集音用マイク43から構成されている一体物の往復速度、およびハンマー部40の叩打タイミングなどを、それぞれ任意の大きさに設定して組み合わせることにより、打音検査の精度、すなわち打音検査の検査密度を随時、任意の値に設定できる。
【0119】
なお、本発明に係るトンネル用打音検査装置(構造物打音検査装置)1,51は、前述した第1および第2の実施の形態には制約されない。例えば、前記第1および第2の実施の形態の説明においては、構造物打音検査装置1を、構造物としてのコンクリート壁2により形成された鉄道用トンネル3の打音検査に適したトンネル用打音検査装置として説明したが、この構造物打音検査装置1は、鉄道用トンネル以外の構造物3にも当然、適用できる。例えば、この構造物打音検査装置1が有している軌陸車輌7は、レール8上だけではなく、道路なども走行可能な構成を有している。よって、この軌陸車輌7を道路上を走行させることによって、前述した鉄道用トンネル3の場合と同様に、図示しない構造物としての自動車用トンネルの打音検査を行うことも可能である。したがって、この構造物打音検査装置1を用いることにより、自動車用トンネルの劣化診断なども極めて容易、かつ、極めて正確に行うことができる。また、この構造物打音検査装置1を用いることによって、自動車用トンネルのみならず、様々な大きさおよび形状に形成されている構造物3、例えば、一般のコンクリート製の橋梁の橋脚部分や、あるいは高欄部分などの劣化診断も極めて容易、かつ、極めて正確に行うことができるのはもちろんである。
【0120】
さらに、この構造物打音検査装置1が有している叩打音解析装置によれば、これが解析する測定パラメータのうち、打音検査する構造物3の材質に関する測定パラメータを、その材質に応じて任意の値に設定できる。これにより、この構造物打音検査装置1は、打音検査する構造物3の材質に拘らずに打音検査を行うことができるので、この構造物打音検査装置1を用いることにより、コンクリート製以外の構造物3、例えば、煉瓦造りの建物、あるいは巨大な石を積み上げて作られている城壁や遺跡などの歴史的建造物の劣化診断も極めて容易、かつ、極めて正確に行うことができる。
【0121】
【発明の効果】
本発明に係る構造物打音検査装置においては、構造物を叩いて検査する検査ヘッドを、ヘッド移動手段を用いて構造物の検査面に押し付けつつ移動させるとともに、ヘッド移動手段を搭載した自走車輌を移動させつつ所定の検査範囲を連続した一連の動作で打音検査できる。よって、多くの人手を要することなく、構造物の検査面および内部の状態を効率よく、かつ、安全に検査できる。
【0122】
この発明の構造物打音装置において、ヘッド移動手段が、旋回可能な旋回台、起倒可能な起倒アーム、および検査ヘッドを姿勢制御可能に支持するヘッド支持部を具備する構成によれば、たとえ構造物の検査面が曲がっていても、その検査面に沿って検査ヘッドを追従させることができるので、構造物の検査面および内部の状態を効率よく、かつ、安全に検査できる。
【0123】
この発明の構造物打音装置において、検査ヘッドの姿勢を制御するヘッド姿勢制御用シリンダ、および起倒アームを起倒させるアーム起倒用シリンダをそれぞれエアシリンダとした構成によれば、検査ヘッドが構造物の検査面と接触する際および起伏した検査面をトレースする際などの衝撃を緩衝しつつ構造物の検査面および内部の状態を効率よく、かつ、安全に検査できる。
【0124】
この発明の構造物打音装置において、検査ヘッドが、ヘッド姿勢制御用シリンダによる制御で、構造物の検査面から突出している凸部を回避できるように、その姿勢を変化できる構成によれば、凸部により検査作業中が中断されるおそれを少なくして効率よく、かつ、安全に検査できる。
【0125】
この発明の構造物打音装置において、検査ヘッドの姿勢を認識するヘッド姿勢検出用センサ、起倒アームの起倒角度を検出する起倒角度検出用センサ、旋回台の旋回角度を検出する旋回角度検出用センサ、自走車輌の走行位置を検出する車輌位置検出用センサ、および自走車輌の移動距離を検出する車輌移動距離検出用センサを具備する構成によれば、それら各センサにより、構造物の検査場所に対する検査ヘッドの位置、および構造物に対する自走車輌の位置などを正確に検出できるので、構造物の検査面および内部の状態を効率よく、かつ、安全に検査できる。
【0126】
この発明の構造物打音装置において、検査ヘッドに検査面に接する回転自在な回転体を複数個設けた構成によれば、検査ヘッドを構造物の検査面に沿ってより円滑に追従させることができるので、構造物の検査面および内部の状態を効率よく、かつ、安全に検査できる。
【0127】
この発明の構造物打音装置において、叩打子と、これと対をなす叩打音検出用センサとを複数組具備している構成によれば、構造物の検査面の複数の場所を叩打して、それぞれの叩打音を正確に検出できるので、構造物の検査面および内部の状態を効率よく、かつ、安全に検査できる。
【0128】
この発明の構造物打音装置において、それぞれ1個ずつの叩打子と叩打音検出用センサとを一体的に連結するとともに、この一体物を検査ヘッドの長手方向に沿って往復動可能に設けた構成によれば、叩打子に対して、これが発生させた叩打音を検出する叩打音検出用センサの位置を常に一定に保持できるので、構造物の検査面および内部の状態を効率よく、かつ、安全に検査でき、しかも、検査ヘッドの構成部品が少なく、検査ヘッドの構造を簡素化できる。
【0129】
また、本発明に係るトンネル用打音検査装置においては、トンネルを叩いて検査する検査ヘッドを、ヘッド移動手段を用いてトンネルの検査面に押し付けつつ移動させるとともに、ヘッド移動手段を搭載した自走車輌を移動させつつ、所定の検査範囲を連続した一連の動作で打音検査できる。よって、多くの人手を要することなく、トンネルの検査面および内部の状態を効率よく、かつ、安全に検査できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係るトンネル用打音検査装置を簡略して示す斜視図。
【図2】図1に示されているトンネル用打音検査装置が有している検査ヘッドの作動状態を移動車輌の後部から簡略して示す正面図。
【図3】図1に示されているトンネル用打音検査装置が有している検査ヘッドの内部構造を簡略して示す斜視図。
【図4】本発明の第2の実施の形態に係るトンネル用打音検査装置が有している検査ヘッドの内部構造を簡略して示す斜視図。
【図5】従来の技術に係る構造物の検査作業を簡略して示す正面図。
【符号の説明】
1,51…トンネル用打音検査装置(構造物打音検査装置)
3…鉄道用トンネル(トンネル、構造物)
4…検査面
5,52…検査ヘッド
6…ヘッド移動装置(ヘッド移動手段)
7…軌陸車輌(自走車輌)
10…道路走行用後輪駆動軸(車軸)
12…レール走行用後輪駆動軸(車軸)
13…車輌位置検出用センサ
13a…エンコーダ(車輌位置検出用センサ)
13b…車輌位置同定装置(車輌位置検出用センサ)
14…移動距離検出用センサ
16…移動装置支持架台(移動手段支持架台)
17…旋回台
18…起倒アーム
18a…起倒アーム先端部
19…ヘッド支持部
19a…ヘッド支持部先端部
20…旋回軸
21…旋回角度検出器(旋回角度検出用センサ)
22…起倒軸
23…起倒角度検出器(起倒角度検出用センサ)
25…アーム起倒用エアシリンダ(アーム起倒用シリンダ)
34…ヘッド支持軸
35…ヘッド姿勢検出器(ヘッド姿勢検出用センサ)
36…ヘッド姿勢制御用エアシリンダ(ヘッド姿勢制御用シリンダ)
39…叩打子
39a…第1叩打子
39b…第2叩打子
39c…第3叩打子
39d…第4叩打子
39e…第5叩打子
43…叩打音集音用マイク(叩打音検出用センサ)
43a…第1叩打音集音用マイク
43b…第2叩打音集音用マイク
43c…第3叩打音集音用マイク
43d…第4叩打音集音用マイク
43e…第5叩打音集音用マイク
45…検査ヘッド案内ローラ(回転体)
46…トンネル内障害物(凸部)

Claims (8)

  1. 構造物の検査面を叩く叩打子および叩打音を検出する叩打音検出用センサを有する検査ヘッドと、
    この検査ヘッドを支持して起倒および旋回可能に形成され、前記検査ヘッドを前記検査面に押し付けつつ移動させるヘッド移動手段と、
    このヘッド移動手段を搭載した自走車輌とを具備してなり、
    前記ヘッド移動手段は、前記自走車輌に搭載された移動手段支持架台に旋回可能に設けられた旋回台と、この旋回台上に起倒可能に設けられた起倒アームと、この起倒アームの先端部において前記検査ヘッドを姿勢制御可能に支持するヘッド支持部と、このヘッド支持部と前記検査ヘッドとにわたって設けられたヘッド姿勢制御用シリンダとをさらに具備するとともに、前記検査ヘッドは、前記ヘッド姿勢制御用シリンダによる制御で前記検査面から突出している凸部を回避できるようにその姿勢を変化できることを特徴とする構造物打音検査装置。
  2. 前記ヘッド移動手段には、前記旋回台と前記起倒アームとにわたってアーム起倒用シリンダがさらに設けられていることを特徴とする請求項1に記載の構造物打音検査装置。
  3. 前記ヘッド姿勢制御用シリンダおよび前記アーム起倒用シリンダの少なくとも一方がエアシリンダであることを特徴とする請求項1または2に記載の構造物打音検査装置。
  4. 前記検査ヘッドと前記ヘッド支持部とを連結するヘッド支持軸に取り付けられて前記ヘッド支持部に対する前記検査ヘッドの姿勢を認識するヘッド姿勢検出用センサと、
    前記起倒アームと前記旋回台とを連結する起倒軸に取り付けられて前記旋回台に対する前記起倒アームの起倒角度を検出する起倒角度検出用センサと、
    前記旋回台と前記移動手段支持架台とを連結する旋回軸に取り付けられて前記移動手段支持架台に対する前記旋回台の旋回角度を検出する旋回角度検出用センサと、
    前記自走車輌に取り付けられて前記構造物に対する前記自走車輌の走行位置を検出する車輌位置検出用センサと、
    前記車軸に取り付けられて前記自走車輌の移動距離を検出する車輌移動距離検出用センサと、
    をさらに具備することを特徴とする請求項1〜3のうちのいずれか1項に記載の構造物打音検査装置。
  5. 前記検査ヘッドに前記検査面に接する回転自在な回転体を複数個設けたことを特徴とする請求項〜4のうちのいずれか1項に記載の構造物打音検査装置。
  6. 前記検査ヘッドが、前記叩打子と、これと対をなす前記叩打音検出用センサとを複数組具備していることを特徴とする請求項1〜5のうちのいずれか1項に記載の構造物打音検査装置。
  7. 前記叩打子と、前記叩打音検出用センサとがそれぞれ1個ずつであって、かつ、一体的に連結されていて、この一体物を前記検査ヘッドの長手方向に沿って往復動可能に設けたことを特徴とする請求項1〜6のうちのいずれか1項に記載の構造物打音検査装置。
  8. トンネルの検査面を叩く叩打子および叩打音を検出する叩打音検出用センサを有する検査ヘッドと、
    この検査ヘッドを支持して起倒および旋回可能に形成され、前記検査ヘッドを前記検査面に押し付けつつ移動させるヘッド移動手段と、
    このヘッド移動手段を搭載した自走車輌とを具備してなり、
    前記ヘッド移動手段は、前記自走車輌に搭載された移動手段支持架台に旋回可能に設けられた旋回台と、この旋回台上に起倒可能に設けられた起倒アームと、この起倒アームの先端部において前記検査ヘッドを姿勢制御可能に支持するヘッド支持部と、このヘッド支持部と前記検査ヘッドとにわたって設けられたヘッド姿勢制御用シリンダとをさらに具備 するとともに、前記検査ヘッドは、前記ヘッド姿勢制御用シリンダによる制御で前記検査面から突出している凸部を回避できるようにその姿勢を変化できることを特徴とするトンネル用打音検査装置。
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