JP3581902B2 - ヒンジ支持構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、乗用車等の車両において、タワーコンソールに固設されたヒンジアームを介して、テレビジョンドアを回動可能に支持するのに好適なヒンジ支持構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図7は、従来のこの種のタワーコンソール1を装備した例を示している。このタワーコンソール1の背面側にはテレビジョン(TV)ドア10が回動可能(両矢印参照)に支持されている。図示のようにTVドア10を回動させて開くことで、タワーコンソール1に組み込まれたTVを見ることができる。
【0003】
TVドア10の概略構成において、図8に示されるようにインナボックス11とこれに重合するアッパプレート12を含み、外側がアウタカバー13で覆われることで箱型を呈している。タワーコンソール1にはヒンジアーム2(図8)が固設されており、このヒンジアーム2を介してTVドア10を回動可能に支持することができる。TVドア10を開くと、図8のようにアッパプレート12がほぼ水平に配置されるようになっている。また、TVドア10を閉めると、図11のようにタワーコンソール1に閉合する。
【0004】
ところで、TVドア10のヒンジ結合部まわり(図7、P部)には、TVドア10が回動する際にヒンジアーム2と干渉しないように、インナボックス11およびアッパプレート12の所定部位を切り欠いて成る逃げ用スリット14が形成されている。ところが、このようなスリット14を設けると、そのままではTVドア10の開時に内部が見えてしまい、またスリット14から小物等がTVドア10の内部に落下する場合がある。
【0005】
そこで、図9に示すように、スリット14にインナボックス11の内側からフェルト材あるいはゴム材で成る小薄片15をあてがい、スリット14を塞ぐようにしたものが知られている。小薄片15は、図10に示したようにインナボックス11の内側に熱カシメ16等によって固定される。この場合、小薄片15の長手方向に沿ってヒンジアーム2の板厚とほぼ同程度の切込(もしくはスリット)15aを形成することで、TVドア10が回動する際にヒンジアーム2と干渉しないようにする必要があった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来のタワーコンソール1あるいはTVドア10において、逃げ用スリット14を隠すべくスリット14に小薄片15を設けているが、小薄片15は前述のようにインナボックス11の内側からあてがわれているため、図9から明らかなようにスリット14自体が凹状に深く見え、TVドア10の開時に必ずしもヒンジ結合部まわりの良好な外観を得ることができなかった。
【0007】
また、小薄片15の切込15aは極力狭く形成するのが好ましいが、このように形成すると、TVドア10が回動する際にヒンジアーム2との間で擦れ音等の発生原因になる。一方、小薄片15の切込15aの幅を広げると、小薄片15が柔らかい材料(フェルト材等)で形成されていることもあって、小物等がTVドア10内部に落下する危険がある。
【0008】
本発明は以上の点に鑑み、この種のタワーコンソールにおいて外観上の見栄えを向上させ得るヒンジ支持構造を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明は、固定部材に固設されたヒンジアームを介して、被支持体を固定部材に対して回動可能に支持するヒンジ支持構造であって、被支持体はインナボックスとこれに重合するアッパプレートと、を含み、さらに、被支持体は、そのヒンジ結合部まわりに形成されるヒンジアームに対する逃げ用スリットとこの逃げ用スリットに装着されていてヒンジアームに追従作動する可動遮蔽手段とを備え、可動遮蔽手段は逃げ用スリットを閉塞するプレート材で成り、プレート材は逃げ用スリットが形成されたヒンジ結合部におけるインナボックスおよびアッパプレート間にスライド可能に挿入されると共に、ヒンジアームに弾接するように弾性付勢されていることを特徴とする。
【0012】
請求項2に記載の発明は、タワーコンソールに固設されたヒンジアームを介して、タワーコンソールに対して回動可能に支持されるテレビジョンドアであって、上記請求項1に記載のヒンジ支持構造を介して、タワーコンソールに回動可能に支持されることを特徴とする。
また、請求項3に記載のタワーコンソールは、所定部位にヒンジアームを有し、このヒンジアームを介してテレビジョンドアを回動可能に支持するようにしている。
【0013】
本発明によれば、タワーコンソールにTVドアを回動可能に支持する際に好適なヒンジ支持構造が提供される。TVドアの逃げ用スリットに対してインナボックスおよびアッパプレート間に遮蔽手段としてのプレート材が設定される。このプレート材はヒンジアームに弾接するように弾性付勢されることで、ヒンジアームに追従作動するかたちでスライドし、これにより常時逃げ用スリットを閉塞することができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、図1〜図6に基づき、前述した従来例の場合と実質的に同一または対応する部材には同一符号を用いて、本発明によるヒンジ支持構造の好適な実施の形態を説明する。
【0015】
この実施形態において、既に説明したように、固定部材、本例ではタワーコンソール1に固設されたヒンジアーム2を介して、TVドア10を回動可能に支持するヒンジ支持構造に本発明を適用するものとし、ヒンジ支持構造の基本構成は従来例のものと実質的に同一である。従って、図1に示すように、TVドア10はインナボックス11とこれに重合するアッパプレート12を含み、アウタカバー13で覆われるようになっている。これらの部材を一体的に結合することで、TVドア10が構成される。一方、タワーコンソール1にはヒンジアーム2が固設されており、このヒンジアーム2を介してTVドア10を回動可能に支持することができる。
【0016】
また、TVドア10のヒンジ結合部まわりには、TVドア10が回動する際にヒンジアーム2と干渉しないように、インナボックス11およびアッパプレート12の所定部位を切り欠いて成る逃げ用スリット14が形成されている。
【0017】
さて、逃げ用スリット14が形成されているヒンジ結合部において、インナボックス11およびアッパプレート12間に逃げ用スリット14に対する遮蔽手段としてのプレート材17がスライド可能に挿入される。このプレート材17は適宜のプレスチック材料で形成することができ、後述のようにヒンジアーム2に弾接するように弾性付勢される。
【0018】
図3〜図5は、逃げ用スリット14におけるプレート材17の装着構造例を示している。アッパプレート12には逃げ用スリット14に沿ってガイド溝18が形成され、プレート材17はガイド溝18によってスライドガイドされる。プレート材17の一端17aは、インナボックス11に開設した長穴19からインナボックス11内部に突出する。プレート材17の一端17aおよびインナボックス11の内端部11a間にコイルスプリング20が張架され、プレート材17はコイルスプリング20の弾力によってヒンジアーム2側へ付勢される。
【0019】
上記構成において、TVドア10を開くと、図2のようにアッパプレート12がほぼ水平に配置される。このときヒンジアーム2は、プレート材17と干渉しないように実質的に逃げ用スリット14から退避している。プレート材17は、コイルスプリング20の弾力によってヒンジアーム2側の移動端へガイド溝18に沿ってスライドし、図3のように逃げ用スリット14を完全に閉塞する。
【0020】
このようなTVドア10の開時、逃げ用スリット14が完全に閉塞されているためTVドア10の内部が見える心配がなく、良好な外観上の見栄えを得ることができる。また、スリット14から小物等がTVドア10内部に落下することがない。また、プレート材17はアッパプレート12の上表面近くに配置されており、従来の小薄片15のようにインナボックス11の内側にあてがわれるのとは異なり、この点でも良好な外観見栄えを確保する。さらに、プレート材17自体において、ヒンジアーム2に対する逃げ用の切込等がないため、外観がすっきりすると共にそのような切込等から小物等が落下する心配がない。
【0021】
TVドア10の開閉の際、図6のように回動途中においてプレート材17は、コイルスプリング20の弾力によって付勢されることで、ヒンジアーム2に弾接する。TVドア10がヒンジアーム2に対して如何なる回動位置にあるときでも常に、プレート材17はヒンジアーム2に追従作動するかたちでガイド溝18に沿ってスライドし、これにより常時逃げ用スリット14を閉塞する。
【0022】
このようにTVドア10の開時あるいは開閉動作の途中で常に、逃げ用スリット14が完全に閉塞されるので良好な外観上の見栄えを確保すると共に、小物等の落下を確実に防止することができる。また、ヒンジアーム2に対する逃げ用の切込等を設けていないため、特にTVドア10の回動時に従来のような擦れ音等が発生することがない。
【0023】
なお、上記実施形態においてタワーコンソール1にヒンジアーム2を介して、TVドア10を回動可能に支持する場合に本発明を適用する例を説明したが、本発明はこのような例にのみ限定されるものではない。すなわち、固定部材に固設されたヒンジアームを介して、被支持体を固定部材に対して回動可能に支持するその他のヒンジ支持構造においても、本発明を有効に適用可能であり、上記実施形態と同様な作用を得ることができる。
【0024】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、TVドアのヒンジ結合部の逃げ用スリットに対して材遮蔽手段としてのプレート材を設定することにより、常に逃げ用スリットが完全に閉塞されるので、ヒンジ結合部まわりの良好な外観上の見栄えが確保されると共に、小物等の落下を確実に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のヒンジ支持構造の実施形態における全体構成例を示す分解斜視図である。
【図2】本発明のヒンジ支持構造の実施形態におけるTVドアの部分斜視図である。
【図3】本発明のヒンジ支持構造に係る逃げ用スリットにおけるプレート材の装着構造例を示す要部斜視図である。
【図4】図3のB−B線に沿う断面図である。
【図5】図3のC−C線に沿う断面である。
【図6】本発明のヒンジ支持構造の実施形態におけるTVドアの回動動作の状態を示す部分斜視図である。
【図7】従来のヒンジ支持構造に係るタワーコンソールの斜視図である。
【図8】従来のヒンジ支持構造におけるTVドアの部分斜視図である。
【図9】従来のヒンジ支持構造におけるヒンジ結合部まわりの要部斜視図である。
【図10】図9のA−A線に沿う断面図である。
【図11】従来のヒンジ支持構造におけるTVドアの回動動作の状態を示す部分斜視図である。
【符号の説明】
1 タワーコンソール
2 ヒンジアーム
10 TVドア
11 インナボックス
12 アッパプレート
13 アウタカバー
14 逃げ用スリット
17 プレート材
18 ガイド溝
19 長穴
20 コイルスプリング
Claims (3)
- 固定部材に固設されたヒンジアームを介して、被支持体を上記固定部材に対して回動可能に支持するヒンジ支持構造であって、
上記被支持体はインナボックスとこれに重合するアッパプレートと、を含み、さらに、上記被支持体は、そのヒンジ結合部まわりに形成される上記ヒンジアームに対する逃げ用スリットと、該逃げ用スリットに装着されていて上記ヒンジアームに追従作動する可動遮蔽手段と、を備え、
上記可動遮蔽手段は上記逃げ用スリットを閉塞するプレート材で成り、該プレート材は上記逃げ用スリットが形成された上記ヒンジ結合部における上記インナボックスおよび上記アッパプレート間にスライド可能に挿入されると共に、上記ヒンジアームに弾接するように弾性付勢されていることを特徴とする、ヒンジ支持構造。 - タワーコンソールに固設されたヒンジアームを介して、前記タワーコンソールに対して回動可能に支持されるテレビジョンドアであって、
請求項1に記載のヒンジ支持構造を介して、上記タワーコンソールに回動可能に支持されることを特徴とするテレビジョンドア。 - 所定部位にヒンジアームを有し、このヒンジアームを介して請求項2に記載のテレビジョンドアを回動可能に支持することを特徴とするタワーコンソール。
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