JPH0977108A - リッドの開閉構造 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 ハウジングに開閉可能に設置されるリッドの
開閉構造において、設置する板バネのスプリング強度を
高めることにより、リッドの確実な保持を行なうととも
に、リッドの開閉操作を円滑に行なうことを課題とす
る。 【解決手段】 ハウジング３０にヒンジ結合されるリッ
ド４０に異形カム面４２ａ，４２ｂ，４２ｃを表面に備
えたカム片４２を一体成形し、ハウジング３０側に両持
ち式の板バネ５０を設置し、板バネ５０の脚片５１と切
り起し形成したバネ片５２両者のスプリング効果によ
り、リッド４０のカム片４２と板バネ５０との係合力を
高め、リッド４０の確実な保持と円滑な操作性を図ると
ともに、板バネ５０の薄肉化を可能とし、板バネ５０の
厚みを可変させて、リッド４０の係合力を調整する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】この発明は、自動車用サンバ
イザに装備されるバニティミラーユニット等に好適なリ
ッドの開閉構造に関する。

【０００２】

【従来の技術】例えば、図８は、乗用車の補助席前方側
に設置される日除け機能をもつ自動車用サンバイザ１を
示すものであって、使い勝手を向上させるために、サン
バイザ１の表面側（サンバイザの使用時、補助席乗員と
対向する面側）にバニティミラーユニット２を採用した
ものが多い。

【０００３】このバニティミラーユニット２の構成は、
図９に示すように、前面にバニティミラー３を取付けた
本体パネル４と、本体パネル４の背後に取付けられるバ
ックカバー５と、バニティミラー３の前面側を覆うよう
に本体パネル４に開閉可能に取付けられている開閉リッ
ド６とから構成されており、この開閉リッド６は回転軸
の両側にピン７を介して本体パネル４に軸支されている
とともに、この軸支部分において、開閉リッド６にはカ
ム片８が形成されており、本体パネル４とバックカバー
５に取付けられている断面略Ｕ字状の板バネ９とカム片
８とが弾接することにより、開閉リッド６の閉鎖状態、
ならびに開放状態をそれぞれ保持するようにしている。

【０００４】すなわち、図９に示す開閉リッド６の閉鎖
状態においては、板バネ９に対してカム片８の第１カム
面８ａが弾接し、開閉リッド６は、その閉鎖方向に付勢
され、ているとともに、図１０に示すように、開閉リッ
ド６を開放した状態では、カム片８の第２カム面８ｂと
板バネ９とが弾接することにより、開閉リッド６をその
開放方向にバネ付勢している。

【０００５】なお、板バネ９の取付については、本体パ
ネル４に対してバックカバー５を熱融着固定したのち、
開閉リッド６を組付け、その後、板バネ９を所定箇所に
挿入するという順序で組立てている。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】このように、従来のバ
ニティミラーユニット２においては、開閉リッド６に設
けたカム片８とＵ字状の板バネ９との弾接作用により、
開閉リッド６の閉鎖状態ならびに開放状態を保持するよ
うにしているが、例えば、図１０に示す開閉リッド６の
開放状態においては、カム片８における第２カム面８ｂ
と板バネ９との係合力だけでは、開閉リッド６を支持す
ることはできず、開閉リッド６は、本体パネル４の上縁
コーナー部４ａに突き当たり、この部位で開閉リッド６
を支持しているのが実情である。

【０００７】したがって、開閉リッド６と本体パネル４
の上縁コーナー部４ａとの突き当てにより、開閉リッド
６が損傷を受けやすく、外観品質の低下を招きやすいと
いう欠点が指摘されている。

【０００８】また、開閉リッド６の開放状態では、開閉
リッド６と本体パネル４の上縁コーナー部４ａとの当接
作用により保持しているため、開閉リッド６がグラつき
やすく、使い勝手の悪さにもつながっていた。

【０００９】この発明は、このような事情に鑑みてなさ
れたもので、自動車用サンバイザに装備されるバニティ
ミラーユニット等のリッドの開閉構造において、開閉リ
ッドの開放状態時、開閉リッドに設けたカム片と板バネ
との間の係合力のみで開閉リッドの開放状態を支持で
き、外観不良が生じない使い勝手の優れたリッドの開閉
構造を提供することを目的としている。

【００１０】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明は、樹脂成形体からなるハウジングにヒンジ
機構により開閉可能に取り付けられるリッドの開閉構造
において、前記リッドには、異形カム面を有するカム片
が一体成形されており、このカム片に対応するハウジン
グ側には、板バネが設置され、板バネは両側の脚片をハ
ウジングの壁部の逃げ孔に遊嵌状に差し込み、揺動状に
支持されるとともに、切起し形成したバネ片をリッドの
カム片に弾接させたことを特徴とする。

【００１１】ここでハウジングとリッドとのヒンジ機構
とは、リッドの両側にヒンジピンを設定し、ハウジング
側にこのヒンジピンを回動可能に軸受けする軸受部を設
定してもよく、同様にハウジング側の両側に互いに向き
合うヒンジピンを設定し、リッドの両側にこのヒンジピ
ンを軸受けする軸受部を設定するようにしても良い。

【００１２】また、リッドに一体成形されるカム片は、
ヒンジピンよりやや内側に一対成形されており、このカ
ム片はその表面に異形カム面が形成されている。

【００１３】一方、ハウジング側に設置される板バネ
は、板バネの両側の脚片先端をハウジングの壁部に開設
された逃げ孔に遊びをもたせて挿入させることにより、
両持ち式で、かつ、揺動状態で取り付けられるととも
に、板バネにバネ片が切起し形成されている。

【００１４】そして、リッドのカム片と板バネのバネ片
とが弾接状態となるように構成されている。

【００１５】以上の構成から明らかなように、ハウジン
グ側に両持ち式の板バネが揺動状態で設置され、この板
バネに切起し形成されたほぼフラットな当接面を有する
バネ片とリッドのカム片における異形カム面とが弾接す
るため、この板バネの脚片及びバネ片のスプリング効果
により、リッドの開放状態並びに閉鎖状態それぞれの保
持を確実に行なうことができる。

【００１６】

【発明の実施の形態】以下、本発明に係るリッドの開閉
構造を車両用サンバイザに設置されるバニティミラーユ
ニットに適用した形態について、添付図面を参照しなが
ら詳細に説明する。

【００１７】図１は本発明を適用したバニティミラーユ
ニットを装備した自動車用サンバイザの正面図、図２は
本発明を適用したバニティミラーユニットの斜視図、図
３は同バニティミラーユニットの構成を示す断面図、図
４は本発明のバニティミラーユニットに使用する板バネ
の一実施形態を示す斜視図、図５，図６はそれぞれリッ
ドの開放・閉鎖状態をそれぞれ示す断面図、図７は板バ
ネの別の実施形態を示す斜視図である。

【００１８】図１において、符号１０は乗用車の補助席
側に設置される自動車用サンバイザであり、このサンバ
イザ１０は、回動用シャフト１１の軸廻りに上下方向に
回動可能であり、かつ、回動用シャフト１１が車体側に
固定されているブラケット１２内に回動可能に挿通され
ているため、回動用シャフト１１をブラケット１２内で
回動操作させることにより、左右方向回動可能であるこ
とから、サンバイザ１０は天井面への格納状態、並びに
フロントウインドウおよびサイドウインドウを遮蔽でき
るように上下，左右方向に回動可能である。

【００１９】ところで、本発明は、このようなサンバイ
ザ１０に設置されるバニティミラーユニット２０に適用
したものであり、バニティミラーユニット２０は、図
２，図３に示すように、ポリプロピレン樹脂，ＡＢＳ樹
脂等の合成樹脂の射出成形体からなるハウジング３０
と、このハウジング３０に対して開閉可能に取り付けら
れ、バニティミラー３１を覆うリッド４０とから大略構
成されている。

【００２０】更に詳しくは、ハウジング３０の上部両側
には軸受部３２が設置されており、この軸受部３２の軸
孔内にリッド４０の回動軸側両側に設置されたヒンジピ
ン４１が回動可能に挿通されることにより、ハウジング
３０に対してリッド４０が開閉可能に支持されている。

【００２１】そして、このリッド４０の内面には、左右
のヒンジピン４１のやや内側にカム片４２がリッド４０
と一体に成形されており、このカム片４２は、その表面
に異形カム面４２ａ，４２ｂ，４２ｃがそれぞれ形成さ
れている。

【００２２】尚、異形カム面４２ａ，４２ｃはほぼフラ
ット面であり、それらに挾まれた残る異形カム面４２ｂ
は湾曲面に設定されている。

【００２３】更に、リッド４０のカム片４２を収容でき
るようにハウジング３０側にはその上縁に沿って溝部３
３が開設されているとともに、この溝部３３に両持ち式
の板バネ５０が揺動状態で取り付けられている。

【００２４】この板バネ５０は、図４に示すように、ハ
ウジング３０の溝部３３の上部側壁３４の逃げ孔３５内
に挿入される脚片５１を両側に備えており、中央を斜め
に切り起し、弾性力を有するバネ片５２が形成されてい
る。

【００２５】そして、板バネ５０のバネ片５２に対して
リッド４０のカム片４０、すなわち、異形カム面４２
ａ，４２ｂ，４２ｃを常時弾接させ、脚片５１とバネ片
５２双方のスプリング効果により、リッド４０の優れた
開閉操作性およびリッド４０の閉鎖時、開放時、それぞ
れの状態を保持するようにしている。

【００２６】すなわち、図５に示すように、リッド４０
を閉鎖状態にしてハウジング３０のバニティミラー３１
を覆う場合には、板バネ５０のバネ片５２に対してリッ
ド４０のカム片４２はほぼフラット面である異形カム面
４２ａが弾接しており、板バネ５０のバネ力により、リ
ッド４０の閉鎖状態を確実に保持できる。

【００２７】そして、リッド４０を開放操作するに従
い、板バネ５０のバネ片５２をリッド４０の湾曲状の異
形カム面４２ｂが押圧するが、このとき板バネ５０にか
かる負荷に対して板バネ５０の脚片５１が逃げ孔３５内
で撓むため、脚片５１とバネ片５２双方のスプリング効
果により、板バネ５０の理想的な弾発力が得られ、リッ
ド４０の円滑な開閉操作が可能となる。

【００２８】次いで、図６に示すように、リッド４０を
開放状態にした場合、リッド４０のフラットな異形カム
面４２ｃが板バネ５０のバネ片５２と弾接し、両者の係
合力により、リッド４０の開放状態を確実に保持でき
る。

【００２９】尚、板バネ５０の形状として、中央にスリ
ットを開設して、左右側の一方を脚片５１、他方をバネ
片５２としても良い。

【００３０】このように、両持ち式の板バネ５０のバネ
片５２とリッド４０に一体成形したカム片４２における
異形カム片４２ａ，４２ｃとの係合力により、リッド４
０の閉鎖状態および開放状態を確実に保持できるととも
に、湾曲状の異形カム面４２ｂと板バネ５０のバネ片５
２との弾接作用、並びに脚片５１のスプリング力により
適度なクリックアクション力が得られ、リッド４０の開
閉操作を円滑に行なうことができ、操作性が向上する。

【００３１】更に、板バネ５０は、脚片５１とバネ片５
２との２箇所でスプリング効果が得られるため、板バネ
５０の弾発力を上げることができ、板バネ５０の厚みも
一般仕様の厚み１ｍｍに比べ０．３ｍｍのように極薄に
設定することができ、板バネ５０の厚み調整により、板
バネ５０の弾発力の調整が可能となる。

【００３２】また、図８に示すように、脚片５１を補強
メンバー５３により連結することにより、板バネ５０の
形状を変更することも可能である。

【００３３】以上、自動車用サンバイザ１０のバニティ
ミラーユニット２０におけるリッド４０の開閉構造につ
いて本発明を適用したが、ハウジングにヒンジ機構を介
して開閉可能に設置されるリッドであれば特にその用途
は限定されない。

【００３４】

【発明の効果】以上説明した通り、本発明に係るリッド
の開閉構造は、以下に記載する格別の作用効果を有す
る。

【００３５】（１）本発明は、リッドに設けたカム片の
異形カム面とハウジング側に設置した両持ち式の板バネ
に切起し形成したほぼフラットなバネ片との係合作用に
より、リッドの開放状態、閉鎖状態を確実に保持すると
ともに、開閉操作におけるリッドの適度なクリックアク
ション力を付与するというものであるから、従来のよう
に開閉リッドの開放状態時、本体パネル上縁コーナー部
でリッドを付当て支持することがなく、リッドに本体パ
ネル側と接触させた際に生ずるライン上の痕跡等が形成
されず、外観性能の向上を図るとともに、リッドの開放
状態時におけるグラツキがなく、使い勝手が向上すると
いう効果を有する。

【００３６】（２）本発明に係るリッドの開閉構造は、
ハウジング側に両持ち式の板バネを設置し、板バネの脚
片と切り起したカム面との２箇所のスプリング効果によ
り、リッドの開閉操作に伴なうリッドの異形カム面と板
バネとの係合作用を利用するというものであるから、優
れたスプリング効果が期待でき、かつ、板バネの薄肉化
も可能となり、板バネの厚みを変化させることにより、
リッドの保持力や操作力を任意に調整することができる
という効果を有する。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施形態であるバニティミラーユニ
ットを装備した自動車用サンバイザを示す正面図。

【図２】本発明の一実施形態であるバニティミラーユニ
ットを示す斜視図。

【図３】同バニティミラーユニットの構成を示す断面
図。

【図４】本発明に使用する板バネを示す斜視図。

【図５】本発明に係るリッドの閉鎖状態を示す断面図。

【図６】本発明に係るリッドの開放状態を示す断面図。

【図７】本発明に使用する板バネの別の実施形態を示す
斜視図。

【図８】バニティミラーユニットを装備した従来の自動
車用サンバイザを示す正面図。

【図９】従来のバニティミラーユニットにおけるリッド
の閉鎖状態を示す断面図。

【図１０】従来のバニティミラーユニットにおけるリッ
ドの開放状態を示す断面図。

【符号の説明】

１０ 自動車用サンバイザ ２０ バニティミラーユニット ３０ ハウジング ４０ リッド ４２ カム片 ４２ａ，４２ｂ，４２ｃ 異形カム面 ５０ 板バネ ５１ 脚片 ５２ バネ片

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 樹脂成形体からなるハウジング（３０）
   にヒンジ機構により開閉可能に取り付けられるリッド
   （４０）の開閉構造において、 前記リッド（４０）には、異形カム面（４２ａ，４２
   ｂ，４２ｃ）を有するカム片（４２）が一体成形されて
   おり、このカム片（４２）に対応するハウジング（３
   ０）側には、板バネ（５０）が設置され、板バネ（５
   ０）は両側の脚片（５１）をハウジング（３０）の壁部
   （３４）の逃げ孔（３５）に遊嵌状に差し込み、揺動状
   に支持されるとともに、切起し形成したバネ片（５２）
   をリッド（４０）のカム片（４２）に弾接させたことを
   特徴とするリッドの開閉構造。