JP3576999B2 - 織機における織段防止方法及び装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、停止中の織機を起動させた際に生じる織段(緯糸の密度ムラ)の発生を防止する方法及び装置に関する。
【0002】
本発明においては、経糸及び織布の移動方向における下流側(織布の巻取側)を「前方」といい、上流側(経糸の供給側)を「後方」という。
【0003】
【従来の技術】
織布の品質を向上させる技術の1つとして、織機を停止させる際に、織機の惰走回転中(すなわち、織機が停止のための制動力を受けて回転する間)から織機の停止後にかけて、ワープビーム(経糸の送出ビーム)を経糸張力が緩和する方向へ回転駆動させる経糸弛緩装置が知られている(特開昭54−106661号公報)。この装置において、織前の位置は停止指令が発生するたびにワープビームの回転にともなう経糸張力の弛緩により前方に変位され、これにより停止時間が長くなっても、経糸の伸縮性が悪化せず、織物の品質の低下が防止される。
【0004】
織布の品質を向上させる技術の他の1つとして、織機の惰走回転による停止の後に織機を低速度で逆転又は正転させる際に、織前位置を予め前方に変位させて、筬打ちを回避する技術が知られている。
【0005】
一方、本発明者らの研究によれば、織機における織段の発生防止の面からは、停台原因により惰走回転中に筬打ちを、行った方がよい場合と、行わない方がよい場合とがあることがわかった。例えば、緯入れミス時には、その後の筬打ちを回避すべきである。より具体的には、経糸がかりに起因する緯入れミスの場合には、同じ開口内に緯糸が存在する箇所と存在しない箇所とがあるから、惰走回転中に筬打ちが行われると、織段が発生する。
【0006】
また、経糸切れ等のように、緯入れが正常に行われているような停止原因発生時においては、その後の惰走回転中に、筬打ちが行われても問題は生じないように見えるが、別の問題、より詳細には惰走回転にともなって開口運動等も行われることから、この間にワープビームを駆動させると、経糸開口量の変化の影響を受けて織前位置の変位量が相殺され、織前位置のばらつきが織機起動時における織段発生の原因になる。このような場合には、通常運転中と同様に織前位置を前方に変位させることなく、そのまま筬打ちを行ったほうがより織段の発生が解消される。
【0007】
【解決しようとする課題】
上記から明らかなように、両従来技術は、いずれも惰走回転中における筬打ち時には、織前位置に対応する筬打ち力を適切にすべきにもかかわらず、同じように筬打ちが行われる結果、織段が発生することを避けることができない。
【0008】
本発明の目的は、織機の惰走回転中の筬打ちに起因する織段の発生を防止することにある。
【0009】
【解決手段、作用、効果】
本発明に係る織機における織段防止方法は、停止信号の発生にともなって織前位置を織前位置変位部材により前方に変位させる第1及び第2の変位量パターンを予め設定しておき、停止信号の発生により、織機を停止させると共に、停台原因に応じた前記第1又は第2の変位量パターンを選択し、選択した変位量パターンにしたがって前記織前位置変位部材を駆動させることを含む。
【0010】
本発明に係る織機における織段防止装置は、駆動回路に入力される駆動量信号にしたがって織前位置を変位させる織前位置変位手段と、織前位置を前方に変位させる第1及び第2の変位量パターンを設定する設定器と、前記設定器からの変位量パターンにしたがって前記駆動回路に駆動量信号を出力する信号発生器であって織機の停止信号及び運転状況信号が入力される信号発生器とを含む。前記信号発生器は、停止信号の入力により、運転状況信号に対応する変位量パターンを選択して、選択した変位量パターンに対応する駆動量信号を出力する。
【0011】
本発明に係る織段防止方法及び装置においては、いずれも、前記第1の変位量パターンは惰走回転中の筬打ちタイミングより後の期間内に定められ、前記第2の変位量パターンは、停止信号発生時から前記筬打ちタイミングまでの間の期間内と、前記筬打ちタイミングより後の期間内とに定められる。
【0012】
第1の変位量パターンが選択されると、織前が前方に変位される前に筬打ちされる。これに対し、第2の変位量パターンが選択されると、織前がある程度前方に変位された後に筬打ちされる。このため、変位量パターンを停台原因に応じて選択することにより、惰走回転中の筬打ち力を停台原因に応じて選択することができる。その結果、本発明によれば、織機の惰走回転中の筬打ちに起因する織段の発生を防止することができる。
【0013】
前記筬打ちタイミングより後に定められる期間の終期は、遅くとも織機の寸動又は逆転の開始時期より前に定めることができる。このようにすれば、織機停止後に行われる寸動時又は逆転時に、織前に対する筬打ち力を低減又は回避することができるから、織段の発生を防止することができる。
【0014】
前記第1の変位量パターンを停台原因が緯入れミス以外のときに選択し、前記第2の変位量パターンを停台原因が緯入れミスのときに選択することができる。
【0015】
前記第1及び第2の変位量パターンの少なくとも一方を、停台原因発生サイクルにおける製織パラメータに対応して複数設定し、前記停止信号の発生に対して前記製織パラメータに対応するパターンを選択してもよい。
【0016】
前記織前位置変位手段は送出モータ及び巻取モータの少なくとも一方を含むことができる。
【0017】
【発明の実施の形態】
図1を参照するに、織機10において、経糸12は、これが巻かれている送出ビーム14から、バックローラ16、複数の綜絖18及び筬20を経て織前22に繋がっている。製織された織布24は、織前22から、ガイドロール26を介して服巻ロール28に達し、服巻ロール28と一対のプレスロール30とにより布巻ビーム32に送り出されて布巻ビーム32に巻き取られる。
【0018】
送出ビーム14は、送出モータ34により回転されて複数の経糸12をシートの形で送出する。各綜絖18は、主軸モータ36により回転される主軸38の回転運動を受ける運動変換機構40により上下に往復移動されて、経糸12を上下に開口させる。筬20は、主軸36の回転運動を受ける運動変換機構42により揺動されて、経糸12の開口に緯入れされた緯糸を織前22に打ち付ける。服巻ロール28は、巻取モータ44により回転されて、織布24を布巻ビーム32に送り出す。モータ36,44は、主軸36と同期して回転される。
【0019】
図2を参照するに、主軸制御器50、巻取制御器52及び送出制御器54は、それぞれ、織機の主制御装置56の制御を受けつつ、主軸モータ36、巻取モータ44及び送出モータ34を回転させる。制御器50,52,54並びに主制御装置56には、主軸38の回転角度を表す回転角度信号θ1がロータリー式のエンコーダ58から供給される。
【0020】
主制御装置56には、また、織機を停止させる各種の停止指令信号S1が図示しない緯糸フィーらや経糸切れセンサ等の各種の検出装置から供給される。主制御装置56は、織機を運転させる運転ボタン60、織機を寸動させる寸動ボタン62、織機を逆転させる逆転ボタン64、織機を停止させる停止ボタン66等、各種の指令を手動入力するための複数の押しボタンスイッチに接続されている。
【0021】
主制御装置56は、上記のような各種停止指令信号S1又は押しボタン指令や、製織パラメータ等の予め設定されている各種のデータにしたがって織機を運転させ、必要に応じて織機を停止させる。より詳しくは、主制御装置56は、織機運転ボタン60が押下されると、先ず起動準備信号S4を制御器52,54に出力し、それら制御器に織機の起動時の所定の制御を実行させる。次いで、織機運転信号S2を制御器50,52,54、さらには図示しない緯入れ装置や開口装置等にON出力してこれら装置を運転状態にし、織機を運転させる。その後、上記した糸切れセンサ等の各種検知装置からの停止指令が入力されると、主制御装置56は、織機運転信号S2をOFF出力すると共に停止信号S7を制御器50,52,54に出力し、上記した制御器50,52,54を織機停止時の所定制御に移行させ、織機を停止させる。
【0022】
運転信号S2は、織機の運転状態に対応して出力される信号である。つまり、運転信号S2のON出力は織機の運転状態に対応しており、運転信号S2のOFF出力は織機の停止状態に対応している。停止信号S7は、織機の運転状態から停止状態に移るときに出力される。運転状況信号S3は停台原因、さらには緯糸の糸種、打ち込み密度、経糸張力、織物組織等の織前位置に影響を与える製織パラメータに対応する信号を含む。起動準備信号S4は、織機を再起動させる際に、織機の惰走回転中及び停止後に行った前方への織前位置の変位量分だけ織前位置を元に戻す、いわゆる織前位置の補正を行う指令を含む。
【0023】
図3を参照するに、巻取モータ44の回転量は、速度発電機70により検出されて、巻取モータ44の回転量を表す速度信号Tgとして出力される。織機の惰走回転中及び停止後に織前22の位置を前方に変位させる変位量データは、複数の変位量パターンとして、巻取制御器52及び送出制御器54毎に前方変位量設定器72に予め設定されている。
【0024】
変位量データは、停台原因が緯入れミス以外のときに用いる第1の変位量パターンAと、停台原因が緯入れミスのときに用いる第2の変位量パターンBとを含む。
【0025】
第1及び第2の変位量パターンは、予め定められた作動期間にわたり、設定された変位量にしたがって織前位置が前方に変位するように、織前位置変位部材に対する駆動量がパターン状に設定されたものである。設定器72には、第1及び第2の変位量パターンを生成するための必要なデータ、すなわち織前位置の前方変位量及びそれぞれに対応する作動期間が予め設定されており、設定器72はそのように設定された必要データを基に変位量パターンをそれぞれ生成することができる。
【0026】
例えば、停台原因が緯入れミス以外のときには、織機停止後、緯糸を除去しないまま、織機は再運転される。このため、織機停止時における惰走回転中に織前に対する筬打ちを行い、好ましくは口合わせのために織機停止後に行われる織機の寸動又は逆転前に、織前位置を前方に変位させることが織前に対する筬打ち力をより低減させることとなり、結果として織段の発生が解消される。したがって、これに対応する第1の変位量パターン換言すればこのパターンにおける作動期間(第1の作動期間)は、筬打ちタイミングより後の期間に定められ、変位量パターンが設定される。
【0027】
これに対し、停台原因が緯入れミスのときには、織機停止後、緯入れミス位置が除去されて織機は再運転される。織機停止時における惰走回転中に筬打ちを行うと、例えば緯糸が存在する箇所と存在しない箇所とが生じたまま筬打ちされ、緯入れミス糸を筬打ちすることに起因する織段が発生する可能性が高い。換言すれば、織機停止時における惰走回転中の筬打ちを回避又は低減させ、しかも好ましくは織機停止後に行われる緯入れ糸の除去、さらには口合わせのための織機の寸動又は逆転前に、織前位置を前方に変位させることが織前に対する筬打ち力をより低減させることとなり、結果として織段の発生が解消される。したがって、これに対応する第2の変位量パターン換言すればこのパターンにおける作動期間(第2の作動期間)は、停止信号発生時から惰走回転中の筬打ちタイミングまでの間の期間ないと、筬打ちタイミングよりも後の期間内とに定められ、変位量パターンが設定される。
【0028】
上記した第1及び第2の変位量パターンは、いずれも、主軸の回転角度を基準に設定される。したがって、後述するように、変位量信号発生器76は、送り込まれた変位量パターンに基づいて検出した主軸の回転角度に対応する駆動量(速度指令)を出力することができる。
【0029】
第1の変位量パターンA1は、図4(C)に示すように、作動タイミング(作動の開始角度及び終了角度)θとして設定されると共に、筬打ちタイミングより後の期間内に定められる。
【0030】
第2の変位量パターンB1は、図5(D)に示すように、織前位置の変位量(モータの回転速度)V及び作動タイミング(開始角度及び終了角度)θとして設定されると共に、停止信号発生時から惰走回転中の筬打ちタイミングまでの間の期間内と、筬打ちタイミングより後の期間内とに定められる。
【0031】
作動タイミングとして、作動開始時の主軸の角度と作動終了時の主軸の角度とを設定する代わりに、作動開始時の主軸の角度と時間Tとを設定してもよい。図4及び図5において、主軸の回転角度θ1が0°のときを筬打ちのタイミングとして示す。
【0032】
いずれの変位量パターンも、巻取モータ44と送出モータ34とに共通に用いられる。しかし、巻取モータ44用の変位量パターンと送出モータ34用の変位量パターンとを異なるように設定してもよい。作動タイミングは、作動開始角度θと作動時間Tであってもよい。いずれの変位量パターンも、手動で設定されるか、又は記憶媒体を利用して設定されるか、もしくは関数発生器により自動的に設定される。
【0033】
巻取制御器52は、エンコーダ58から出力される主軸の回転角度信号θ1と図2に示す主制御装置56から出力される巻取モータ44の目標回転数や打ち込み密度等の各種の信号S5とを速度発生器74に受けると共に、設定器72に設定された変位量データすなわち変位量パターンV,θと、図2に示す主制御装置56から出力される運転状況信号S3とを変位量信号発生器76に受ける。打ち込み密度信号S5は、織機の通常運転時における緯糸の打ち込み密度を表す信号である。
【0034】
速度発生器74は、回転角度信号θ1及び打ち込み密度S5に応じた巻取モータ44の基本速度を表す基本速度信号V20を加算部78の一方の入力端子に出力する。
【0035】
変位量信号発生器76は、停止信号S7が入力されると、停台信号を含む運転状況信号S3を基に停台原因に対応した変位量パターンを選択し、織前位置を前方へ変位させるための駆動量信号V21を速度信号としてリレーの接点80に出力する。
【0036】
接点80は、織機停止信号の発生時から織機が再起動されるまでの間オンにされるリレーの常開接点であり、入力する変位量信号V21を加算部78の他方の入力端子に出力する。
【0037】
加算部78は、両入力信号V20,V21を加算し、加算信号V22(V20+V21)を減算部82の正側入力端子に出力する。減算部82は、巻取モータ44の回転速度信号Tgを負側入力端子に受け、両入力信号V22,Tgの差に対応する信号V23をドライバー84に出力する。
【0038】
ドライバー84は、減算部82からの信号に対応して駆動電流を出力し、値が正であれば巻取モータ44を正転させ、負であれば巻取モータ44を逆転させる。
【0039】
送出制御器54は、図2に示す主制御装置56から出力される送出モータ34の目標回転数や緯糸の打ち込み密度等の各種の信号S6を速度発生器86に受け、受けた各種の信号S6を基に送出モータ34の基本速度を表す基本速度信号V30を速度発生器86で発生し、基本速度信号V30を加算部88の一方の入力端子に供給する。
【0040】
送出制御器54は、また、張力設定器90に設定された経糸張力の目標値と張力センサ91から出力される経糸張力の実際値との差を減算部92で減算し、減算した張力を基に張力修正値V31を張力制御器(PID)94において算出し、算出した張力修正値V31を加算部88の他方の入力端子に出力する。加算部88で加算された信号V32は、巻径補正器96に供給される。
【0041】
巻径補正器96は、図示しない巻径センサから出力される経糸の巻径を表す巻径信号Dを受け、受けた両信号V32,Dを基に「V32/f(D)」の演算を行って巻径による速度の修正値V33をリレーの接点98に出力する。
【0042】
送出制御器54は、さらに、回転角度信号θ1と、巻径信号Dと、変位量パターンV,θと、停止信号S7と、起動準備信号S4と、運転状況信号S3とを変位量信号発生器100に受ける。変位量信号発生器100は、停台原因に応じた変位量パターンに基づいてさらには巻径Dによる速度修正を行って、これを駆動信号V34としてリレーの接点102に所定のタイミングで出力する。
【0043】
接点98は、運転状態の間にオンになるリレーの常開接点であり、加算部104の一方の入力端子に接続されている。接点102は、織機停止時から起動準備の間にオンになるリレーの常開接点であり、加算部104の他方の入力端子に接続されている。
【0044】
加算部104は、各リレー接点を介して供給される両入力信号V33,V34を加算した信号V35をドライバー106に出力する。ドライバー106は、加算部104からの信号に対応して、値が正であれば送出モータ34を正転させ、負であれば送出モータ34を逆転させる。
【0045】
巻取制御器52及び送出制御器54は、それぞれ、織機の運転中は、接点98が閉路しているのに対し、接点80及び102が開路しているから、基本速度発生器74及び巻径補正器96の出力信号で対応するモータ44及び34を駆動させる。
【0046】
これに対し、巻取制御器52及び送出制御器54は、それぞれ、停止信号発生後の惰走回転中及びそれに続く停止中は、接点98が開路しているのに対し、接点80及び102が閉路しているから、変位量信号発生器76及び100の出力信号で対応するモータ44及び34を駆動させる。
【0047】
織機停止時には、巻取制御器52及び送出制御器54は、同じように動作する。よって、先ず、図4を参照して、緯入れミス以外の理由で停止信号が発生されたときの送出制御器54の動作を以下に説明する。ただし、以下においては、巻取制御器52の対応する回路及び信号の符号をかっこ内に記載する。
【0048】
時刻t1に図4(A)に示すように停止信号S7が発生されると、接点98が開路され、その代わりに送出制御器54の接点102(80)が閉路され、さらに主軸制御器50は織機を停止させるべく主軸モータ36に制動をかける。これにより、巻径補正器96の出力信号V33がドライバー106に供給されず、織機は惰走回転して、織機の回転数は図4(B)に示すように変化する。
【0049】
この間、変位量信号発生器100(76)は、停止信号S7の入力にともない運転状況信号S3中の停台原因に応じて、図4(C)に示す第1の変位量パターンを選択し、選択した第1の変位量パターンにしたがって駆動量信号V34(V21)を出力する。これにより、織前22は、筬打ち後に前方へ変位される。
【0050】
緯入れミスにより停台したときは、図5(D)に示す第2の変位量パターンが変位量信号発生器100(76)において選択され、選択された変位量パターンにしたがって駆動量信号が出力される。
【0051】
これにより織機の惰走回転中の筬打ち時には、織前位置が前方に変位しているため、織前に対する筬打ち力が低減され、さらなる織前位置の前方変位により、織機停止後に行われる寸動時、逆転時の筬打ちが回避される。
【0052】
さて、第1及び第2の変位量パターンについて、さらに図4(D)及び(E)、図5(E)及び(F)に示すように設定することも可能である。図4に示す第1の変位量パターンは、いずれも、筬打ち後に設定されている。これに対し、図5に示す第2の変位量パターンは、いずれも、停止信号の発生直後から筬打ち後にわたる期間に設定されている。
【0053】
図4(C)に示す変位量パターンA1によれば、駆動量信号は、筬打ち後の惰走回転の途中にある角度θS1から織機の停止後にわたる時間T1の間連続して出力される。図4(D)に示す変位量パターンA2によれば、駆動量信号は、筬打ち後の惰走回転中の角度θS1より時間T2と織機の停止後の時間T4とに分けて出力される。図4(E)に示す変位量パターンA3によれば、駆動量信号は、織機の停止後から時間T6の間連続して出力される。
【0054】
図5(D)に示す変位量パターンB1によれば、駆動量信号は、停止信号の発生直後の筬打ち前の角度θS2から織機の停止後にわたる時間T11の間連続して出力される。図5(E)に示す変位量パターンB2によれば、駆動量信号は、停止信号の発生直後から筬打ち前までの時間T12と織機の惰走回転中から織機の停止後の時間T14とに分けて出力される。図5(F)に示す変位量パターンB3によれば、駆動量信号は、停止信号の発生直後から筬打ち前までの時間T15と織機の停止後の時間T17とに分けて出力される。
【0055】
上記のように、変位量パターンを停台原因に応じて選択するならば、惰走回転中の筬打ち力を停台原因に応じて選択することができ、その結果織機の惰走回転中の筬打ちに起因する織段の発生を防止することができる。
【0056】
そして、作業者は、このように停止した織機に対し、停台原因を修復する。修復作業にともない、織機が寸動又は逆転されることがあるが、先の停止時における駆動により織前位置は既に前方に変位しているため、筬打ちを回避、又は筬打ち力を低減されており、これに起因する織段の発生は防止される。
【0057】
停台原因修復後、作業者が運転ボタンを操作すると、起動準備信号が主制御装置56から出力されて、送出制御器54及び巻取制御器52は、織前位置を元に戻す駆動を行い、その後運転信号S2が出力されて、主軸制御器50は織機の主軸を回転させ、送出制御器54及び巻取制御器52は所定の運転を行い、織機の運転が再開される。
【0058】
好ましくは、上記した第1及び第2の変位量パターンの少なくとも一方を、周期的に変更される製織パラメータに対応させて複数設定しておき、停止信号発生時には、その停止原因が発生した製織サイクルの製織パターンに対応する変位量パターンを選択して、織前位置を前方に変位させることもできる。パラメータとして、例えば、緯糸糸種、打ち込み密度、経糸張力、織物組織等、織前位置に影響を与える製織パラメータが考えられ、これらパラメータは運転状況信号S3として変位量信号発生器100(76)に入力される。
【0059】
織機で製織される織物について、常に同じパターンのもとで製織を続けるものもあれば、周期的に例えば所定長単位又は所定ピック単位で1以上の上記パラメータが変更される、いわゆる変わり織りが行われるものもある。後者の場合、製織パラメータの変更にともなって定常運転中の織前位置が前後方向に変位するため、停止信号発生後の惰走回転中の筬打ちタイミングにおける織前位置、又は織機停止後の織前位置のいずれかが変化してしまう。このような場合、前記したような同一変位量パターンを用いるのでは、織前位置を適切な位置に変位させることができず、織段の発生が解消されないことが考えられる。しかし、上記のように製織パラメータに対応する変位量パターンを選択するならば、織段の発生が確実に解消される。
【0060】
なお、製織パラメータに対応する変位量パターンは、上記した停台原因に対応する第1及び第2の変位量パターンのいずれか一方又は双方に対して設定することができ、上記パラメータに対応する変位量は駆動後の織前位置の変位量が実質的に異なるように定められる。
【0061】
上記した実施例について、以下のように変更可能である。経糸送出側の制御、つまり上記した送出制御器54は、停止信号S2の発生後、直ちに接点98を開路させて運転状態の制御を行わないようにしているが、惰走回転が停止するタイミングまで運転状態の制御を継続するように、開路タイミングを遅らせるように構成してもよい。
【0062】
織前位置を前方へ変位させる織前位置変位部材は、送出モータ及び巻取モータのいずれか一方であってもよいし、それらモータの代わりに開口装置のような他の機構を用いてもよい。また、変位量パターンにより定まる変位量信号は、一定の値である必要はなく、経時的に変化する信号であってもよい。さらに、変位量パターンを、主軸の回転角度に関係付ける代わりに、停止信号の発生時からの経過時間に関係付けてもよい。
【0063】
本発明は、上記実施例に限定されず、その趣旨を逸脱しない限り、種々変更することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る織段防止技術を実行する織機の一実施例を示す図である。
【図2】本発明に係る織段防止装置を備えた織機の電気回路の一実施例を示すブロック図である。
【図3】図2に示す装置における巻取制御器及び送出制御器の具体例を示すブロック図である。
【図4】緯入れミス以外により停台したときの図3に示す制御器の動作を説明するための図である。
【図5】緯入れミスにより停台したときの図3に示す制御器の動作を説明するための図である。
【符号の説明】
10 織機
12 経糸
14 送出ビーム
16 バックローラ
18 綜絖
20 筬
22 織前
24 織布
26 ガイドロール
28 服巻ロール
30 プレスロール
32 布巻きロール
34 送出モータ
36 主軸モータ
38 主軸
40,42 運動変換機構
44 巻取モータ
58 エンコーダ

Claims (6)

  1. 停止信号の発生にともなって織前位置を織前位置変位部材により前方に変位させる第1及び第2の変位量パターンを予め設定しておき、
    停止信号の発生により、織機を停止させると共に、停台原因に応じた前記第1又は第2の変位量パターンを選択し、選択した変位量パターンにしたがって前記織前位置変位部材を駆動させることを含み、
    前記第1の変位量パターンは、惰走回転中の筬打ちタイミングより後の期間内に定められ、
    前記第2の変位量パターンは、停止信号発生時から前記筬打ちタイミングまでの間の期間内と、前記筬打ちタイミングより後の期間内とに定められる、織機における織段防止方法。
  2. 前記筬打ちタイミングより後に定められる期間の終期は、遅くとも織機の寸動又は逆転の開始時期より前に定められる、請求項1に記載の織段防止方法。
  3. 前記第1の変位量パターンは停台原因が緯入れミス以外のときに選択され、前記第2の変位量パターンは停台原因が緯入れミスのときに選択される、請求項1又は2に記載の織段防止方法。
  4. 前記第1及び第2の変位量パターンの少なくとも一方は、停台原因発生サイクルにおける製織パラメータに対応して複数設定され、前記停止信号の発生に対して前記製織パラメータに対応するパターンが選択される、請求項1,2又は3に記載の織段防止方法。
  5. 駆動回路に入力される駆動量信号にしたがって織前位置を変位させる織前位置変位手段と、
    織前位置を前方に変位させる第1及び第2の変位量パターンを設定する設定器と、
    前記設定器からの変位量パターンにしたがって前記駆動回路に駆動量信号を出力する信号発生器であって織機の停止信号及び運転状況信号が入力される信号発生器とを含み、
    前記第1の変位量パターンは惰走回転中の筬打ちタイミングより後の期間内に定められ、
    前記第2の変位量パターンは、停止信号発生時から前記筬打ちタイミングまでの間の期間内と、前記筬打ちタイミングより後の期間内とに定められており、
    前記信号発生器は、前記停止信号の入力により、前記運転状況信号に対応する変位量パターンを選択して、選択した変位量パターンにしたがって駆動量信号を出力する、織機における織段防止装置。
  6. 前記織前位置変位手段は送出モータ及び巻取モータの少なくとも一方を含む、請求項5に記載の織段防止装置。
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