JP2001131845A - パイル経糸の張力制御方法 - Google Patents

パイル経糸の張力制御方法

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JP2001131845A
JP2001131845A JP30517199A JP30517199A JP2001131845A JP 2001131845 A JP2001131845 A JP 2001131845A JP 30517199 A JP30517199 A JP 30517199A JP 30517199 A JP30517199 A JP 30517199A JP 2001131845 A JP2001131845 A JP 2001131845A
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pile warp
pile
period
warp
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Kiichi Sawa
喜一 沢
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Tsudakoma Corp
Tsudakoma Industrial Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 パイル織機で、パイル形成時のパイル経糸の
張力を定常時より低い値に正確に設定することにより、
所望高さのパイルを確実に形成する。 【解決手段】 パイル経糸送り出し装置1において、テ
ンションロール6の機械的な支持系(8、9)に電気量
−力の変換手段(15)を連結し、少なくともパイルを
発生させる筬打ち期間Tbを含むように定める所定期間
Tsでは、上記電気量−力の変換手段(15)に電気信
号を入力してその出力を変化させ、上記電気量−力の変
換手段(15)の力の変化分をテンションロール6がパ
イル経糸2の張力Tを減じる方向に上記機械的な支持系
(8、9)に与えることにより、パイル経糸2の張力T
を定常時の張力よりも低い張力に設定する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の技術分野】本発明は、パイル織機において、パ
イル経糸を積極的に送り出す装置に関し、特に、パイル
の形成時に、パイル経糸の張力をパイル形成する各織り
工程に対応して設定するための制御方法に関する。
【0002】
【従来の技術】特許2710046号の技術は、パイル
経糸のテンションロールを機械的な支持系により前後方
向に変位自在に設けて、送り出しビームからのパイル経
糸を上記テンションロールに巻き掛け、テンションロー
ルにパイル経糸の張力と釣り合う方向の力を作用させる
とともに、パイル経糸の消費量に応じて送り出しビーム
を送り出し方向に回転させる送り出し装置を備える。上
記テンションロールの機械的な支持系に電気量−力の変
換手段が連結されている。
【0003】そして、特許2710046号の公報は、
布の前後移動にともなうテンションロールの前後方向変
位時に、前記電気量−力の変換手段を介しテンションロ
ールの前後方向の変位にともなう慣性を打ち消す方向の
力をテンションロールの機械的支持系に与えることによ
り、パイル経糸の張力を目標張力に保つ技術を開示す
る。
【0004】上記技術によると、緯入れ時に経糸開口不
良で緯入れミスが生じないように、パイル経糸の張力を
設定する必要がある。これに合わせた張力設定では、パ
イル形成時、設定した高さよりも低いパイルが形成され
るという問題が生じ、逆にパイル形成に合わせた低い張
力設定では、今度は前記のように開口不良による緯入れ
ミスで、パイル織機が頻繁に停台するという相反する問
題がある。しかも、パイル経糸形成のために、パイル経
糸張力を積極的に変更させる点について、上記公報は、
何ら言及していない。
【0005】また、特開昭54−34467号公報は、
パイル経糸の張力をパイル結節の必要時に、周期的に弛
緩する方向にカムパターンに従って、揺動バーを揺動さ
せる技術を開示する。
【0006】さらに、特許2902669号公報は、パ
イル経糸に対し経糸張力ピックアップを設け、予め作成
されたパターンに基づいてテンションロールを所定量駆
動するとともに、検出した経糸張力に基づいて駆動量を
補正する技術、およびパイル経糸張力をパイルを発生さ
せるパイルのプッシュアップ時に揺動パイルローラをパ
イル張力が弛緩する方向に所定量駆動し、パイル経糸の
張力を減少させることを開示する。
【0007】上記の両技術によれば、補正すべき目標の
パイル経糸の張力がテンションロールの移動量として与
えられるため、補正後の張力は必ずしも目標の張力とは
一致しない。つまり、移動量とパイル経糸の張力とが必
ずしも正しい比例関係にないため、正確な目標張力にな
る移動量(駆動量)の設定は困難である。しかも、パイ
ル織機のように織機の主軸が数回転するうち、1回だけ
弱い張力でパイル経糸を送り出すような不連続な制御で
は、製織中に、パイル経糸の張力が微妙に変化するた
め、パイル高さも不揃いになり、正確な所望高さのパイ
ル形成が困難である。
【0008】
【発明の目的】本発明の目的は、パイル織機で、パイル
経糸の張力をパイル織り工程に対応する所望の値に正確
に設定することにより、織機の稼働に影響を与えること
なく、しかも所望高さのパイルを確実に形成することで
ある。
【0009】
【発明の解決手段】そこで、本発明は、織機フレームに
対してパイル経糸のテンションロールを機械的な支持系
により前後方向に変位自在に設けて、送り出しビームか
らのパイル経糸を上記テンションロールに巻き掛け、テ
ンションロールにパイル経糸の張力に対し釣り合う方向
の力を作用させるとともに、パイル経糸の消費量に応じ
て送り出しビームを送り出し方向に回転させるパイル経
糸の送り出し装置において、上記テンションロールの機
械的な支持系に電気量−力の変換手段を連結するととも
に、パイル形成する1リピート期間内に複数の所定期間
およびその期間における上記電気量−力の変換手段から
のトルクをそれぞれ設定しておき、上記所定期間に、上
記電気量−力の変換手段に電気信号を入力してその出力
を変化させ、上記電気量−力の変換手段の力の変化分を
テンションロールがパイル経糸の張力を変化させる方向
に上記機械的な支持系に与えることにより、パイル経糸
の張力を異なる値に設定するようにしている。
【0010】上記テンションロールの機械的な支持系
は、支点軸により織機フレームに対して回動自在なテン
ションレバーにより構成され、上記電気量−力の変換手
段は、テンションロールの支点軸に回転力として作用さ
せる。
【0011】好ましくは、複数の所定期間のうち1つ
を、少なくともパイルを発生させる筬打ち期間を含むよ
うに定める第1の期間として定め、この第1の期間にお
けるパイル経糸張力をこれ以外の期間におけるパイル経
糸張力よりも低い値になるように、前記トルクを設定す
ることができる。
【0012】前記第1の期間の終点は、前記筬打ち期間
よりも後の時点であって、パイル保持力が得られる時点
に定める。前記第1の期間は、前記筬打ち期間近傍の緯
入れされない期間内にそれぞれ定める。
【0013】また好ましくは、前記複数期間のうち1つ
を、パイル経糸開口量が変化する期間を含むように第2
の期間として定め、前記第2の期間におけるパイル経糸
張力を、これ以外の期間におけるパイル経糸張力よりも
高い値になるように前記トルクをそれぞれ設定すること
ができる。前記複数の所定期間では、パイル経糸の張力
が定常時の張力値から対応する張力値に向かって徐々に
低くなるように前記電気信号を発生させる。
【0014】また、製織条件に対応して、複数のトルク
が予め設定されており、前記複数の所定期間では、製織
条件の切り換わりに対応して前記の1つのトルクを選択
し、前記電気信号として出力させる。
【0015】
【発明の実施の形態】図1は、本発明のパイル経糸の張
力制御方法をパイル経糸の送り出し装置1に応用した例
を示している。多数のパイル経糸2は、送り出しビーム
3の外周に織り幅にわたって、シート状に巻き付けられ
ており、送り出しモータ4の回転によってギヤなどを介
し積極的に送り出され、ガイドロール5およびテンショ
ンロール6の外周に巻き掛けられた後、織り前7の方向
に供給される。
【0016】上記ガイドロール5およびテンションロー
ル6は、ともに、織機フレーム10に対し、機械的な支
持系としてのテンションレバー8および支点軸9によっ
て、前後方向に回動自在に支持されている。このテンシ
ョンレバー8は、支点軸9によって織機フレーム10の
定位置で回動自在に支持されており、これの一端と織機
フレーム10のスプリング掛け11との間に設けられた
張力スプリング12によって、パイル経糸2に対し常に
張力を掛ける方向に付勢されている。なお、この張力ス
プリング12は、引きスプリングでなく、圧縮スプリン
グとして構成することもできる。
【0017】上記支点軸9は、図2に示すように、ギヤ
13a、13bによって、電気量−力の変換手段、例え
ばACサーボモータ15によって駆動されるようになっ
ている。このACサーボモータ15は、後述するよう
に、張力制御装置56によって制御されるようになって
おり、本発明のパイル経糸の張力制御方法に基づいて、
いずれかの方向に回転し、停止状態でも、電流値に比例
した所定の力として、回転力を発生し続ける。このよう
に、電気量−力の変換手段(ACサーボモータ15)
は、張力制御装置56の出力としての電気信号を当該電
気信号の大きさに比例した力に変換する。
【0018】そして、前記送り出しモータ4は、送り出
し制御装置16の制御下に置かれている。この送り出し
制御装置16は、変位検出器17によって検出されるテ
ンションレバー8の変位を所定の周期でサンプリングす
ることで、パイル経糸2の製織の進行にともなう消費量
を間接的に測定し、測定された消費量に応じて、送り出
しモータ4を送り出し方向に駆動し、パイル経糸2を送
り出していく。
【0019】送り出し制御装置16は、送り出しモータ
4を回転数N〔rpm〕により駆動する。上記回転数N
は、後述されているように、基本回転数としてのモータ
回転数Noと、自動制御系の出力としての出力Mpとの
和から計算される。したがって、パイル経糸2の送り出
しは、常時、基本回転数としてのモータ回転数Noで行
われている。そして、送り出し量は、モータ回転数No
に応じた量と、テンションレバー8の前後方向の変位つ
まり出力Mpに応じた量との和となる。したがって、パ
イル経糸2の送り出しは、製織中に、常時行われてい
る。
【0020】なお、送り出し制御装置16は、フィード
バック制御系であり、通常、大きな時定数で応答するた
め、開口運動時、あるいはパイル形成時の一時的なテン
ションロール6の前後方向の変位を制御の対象としてい
ない。この送り出し制御装置16の内部構成は、後に図
4とともに詳記されている。
【0021】一方、地経糸18は、従来と同様に、地経
糸送り出しビーム19によって供給され、地経糸テンシ
ョンロール20に巻き掛けられ、前方に案内されて、ヘ
ルド21に通され、それらのヘルド21の上下運動によ
って、パイル経糸2とともに開口22を形成し、この開
口22の位置で緯糸23と交錯し、筬28によって筬打
ちされた緯糸23とともに、パイル組織の布24とな
る。
【0022】この布24は、前後方向に変位可能なクロ
スロール25、定位置の巻取りロール26および複数の
案内ロール25a、25bを経て、巻取りビーム27の
外周に巻き取られていく。
【0023】布移動式のパイル製織のため、地経糸テン
ションロール20も、支点軸30に対し、回動自在の地
経糸テンションレバー29によって、クロスロール25
と同様に、前後方向に変位自在に支持されており、張力
スプリング31によって地経糸18に所定の張力を与え
る方向に付勢されている。しかも、支点軸30は、支持
アーム30aによって織機フレーム10に対し支点軸3
0bにより前後方向に揺動可能な状態で支持されてい
る。
【0024】布移動式のパイル織機で、筬打ちの位置
は、常に一定であるが、織り前7および布24は、前後
方向に移動する。布24に対するクロスロール25およ
び地経糸18に対する地経糸テンションロール20は、
前記の通り、前後方向に変位可能な状態で支持されてお
り、通常、パイルモーション発生用の確動カム機構によ
って、織機の主軸55の回転と同期した状態で、ファー
ストピックの筬打ち後に前方向に移動することにより、
織り前7を前(布巻き取り側)方向に移動させ、2回の
ルーズピックで適当な筬逃量dを与える。
【0025】パイル経糸2の送り出しは、クロスロール
25や地経糸テンションロール20の前後方向の動きと
直接関係せず、前記のように、基本の速度で送り出しを
行いつつ、テンションレバー8の動きに応動して、送り
量を増加または減少させる制御により行われる。
【0026】地経糸送り出しビーム19や巻取りロール
26および巻取りビーム27の回転は、電動モータまた
は機械式の送り出し機構あるいは巻取り機構によって駆
動されるようになっているが、それらの構成は、従来と
同様であるので、ここでは省略することとする。
【0027】パイル織機の運転により、製織が進行する
と、パイル経糸2が布24に織り込まれ、順次前方へ移
動するため、パイル経糸2の張力は、次第に高まってい
く。それに伴って、テンションレバー8は、張力スプリ
ング12に抗して、図1で時計方向に回動する。このと
きのテンションレバー8の変位は、変位検出器17によ
って変位量に比例する電気的な信号として常時検出され
ている。なお、この検出は、常時連続的に行われている
が、検出された電気的な信号は、後述するように、サン
プリングの技法により所定のサンプリング周期ごとに不
連続な状態として、送り出し制御に利用される。
【0028】そして、変位検出器17により検出された
信号は、送り出し制御装置16の入力となるため、送り
出し制御装置16は、送り出しモータ4を積極的に回転
させることによって、パイル経糸2の送り出しビーム3
を送り出し方向に回転させ、パイル経糸2を送り出すこ
とにより、パイル経糸2の張力の高まりを抑えるととも
に、テンションレバー8の変位を解消して行く。
【0029】また、地経糸18の送り出しは、前記のよ
うに、電動モータ式の送り出し機構あるいは機械式の送
り出し機構によって送り出される。電動モータ式の送り
出し機構であれば、その制御装置は、地経糸18を基本
速度に対応する指令速度で常時、継続的に送り出してお
り、送り出し過程で、地経糸18の張力を検出し、検出
した張力と目標の張力とを比較して、地経糸18の張力
を目標の張力値となるように、基本速度を補正し、この
補正結果を指令速度として出力させる。このように、地
経糸18の送り出し動作は、常時連続的に行われてお
り、その速度は、目標の張力値に対する高低に応じて変
化する。
【0030】布移動式のパイル製織の動作は、以下の通
りである。例えば、3本緯タオルのパイル組織の製織で
は、1繰り返しは3ピックすなわち織機の主軸55の3
回転であり、図3に見られるように、(1)の布前進時
・ルーズピックの筬打ち時、(2)のルーズピックの筬
打ち・布後退開始時、(3)の布後退中・ファーストピ
ックの筬打ち開始時、(4)のパイル形成筬打ち時、お
よび(5)の布前進時の過程を経て、最初の(1)の布
前進時・ルーズピックの筬打ち時に戻る。
【0031】緯入れタイミングは、図6に見られるよう
に、例えば織機の主軸55の織機角度θで、95度から
240度の間で行われ、緯糸23は、パイル経糸2およ
び地経糸18の開口状態で、開口22内を飛走する。パ
イル経糸2および地経糸18の開口状態は、図6に見ら
れる通りである。
【0032】布24の織り前7の前方への移動の時期
は、図6に見られる通り、1、2ピック目をルーズピッ
クとするために、1ピック目の45度から315度(終
了)に設定されている。また、織り前7(布24)の後
方への移動時期は、3ピック目をファーストピックとす
るために、3ピック目の45度から315度(終了)の
間に行われる。
【0033】また、筬打ちは、第1および第2番目の緯
入れで、通常の組織と同じように、筬打ちされるが、第
3番目の緯入れでは、いわゆるテリーモーションという
特殊な筬打ちが行われる。図3に見られるように、筬打
ち点は、常に定位置であり、1、2ピック目((1)、
(2))では、織り前7が筬打ち位置より前進して、離
れているため、緯糸23は、不完全に筬打ちされるが、
3ピック目では、織り前7が後退して、筬打ち位置にあ
るため、筬打ちは完全な状態となる。この完全な筬打ち
により、パイル経糸2は、筬逃量d(不完全な筬打ち時
の織り前7と筬打ち位置との離間距離)に応じた長さの
パイルを形成する。
【0034】パイル経糸2の送り出し量は、以下の演算
により求められる。前記の通り、3本緯タオルのパイル
組織では、1繰り返しが3ピックすなわち織機の主軸5
5の3回転であり、第1および第2の緯入れでは、パイ
ルが形成されないので、普通の組織と同じような筬打ち
が行われるが、第3番目の緯入れでは、パイルが形成さ
れるため、いわゆるテリーモーションという特殊な筬打
ちが行われ、このテリーモーションという特殊な筬打ち
のときに、パイル経糸2をパイルの形成に必要な長さだ
け急速に送り出す必要がある。
【0035】パイル経糸2の送り出し量は、つぎの計算
式によって求められる。今、送り出しビーム3の回転数
をω〔rpm〕、パイル経糸2の巻き付け半径をR〔m
m〕とすると、パイル送り出しビーム3の周速度vは、
下記の計算式によって求められる。 v=R・2π(ω/60)〔mm/sec〕
【0036】一方、織機の主軸55の回転数をn〔rp
m〕とし、緯糸23の打込数をB〔本/cm〕とすれ
ば、1ピック当りの送り量は、10/B〔mm〕である
から、筬逃量d〔mm〕を用いると、3ピックで必要な
経糸送り量Lは、下記の式によって与えられる。 L=3(10/B)+d
【0037】3ピックに要する時間は、3×(60/
n)〔sec〕であるから、周速度vは、下記のように
書き改められる。 v=L/(180/n)=(n/180){(30/
B)+d}
【0038】以上の2式から周速度vを消去すると、回
転数ωは、下記のようになる。 ω=(60/2π)(1/R)(n/180){(30/B)+d} =(1/6π)(n/R){(30/B)+d}
【0039】ここで、送り出しモータ4からパイル経糸
2の送り出しビーム3までのギヤ比をmとすれば、モー
タ回転数No〔rpm〕は下記の式で求められる。 No=mω=(m/6π)(n/R){(30/B)+
d}
【0040】上記の式がパイル経糸2の基本演算式であ
り、上記ギヤ比mはシステムに固有の値であるから、巻
き付け半径R、回転数n、打込数Bおよび筬逃量dを与
えれば、基本のモータ回転数Noは、上記の式から演算
可能となる。
【0041】図4は、送り出し制御装置16の一例であ
り、このような基本的なモータ回転数Noを求める一連
の過程をブロックにより示している。すなわち、主軸5
5の回転数n、打込数Bおよび筬逃量dは、設定器33
によりパラメータとして入力され、予め設定される。ま
た、送り出しビーム3の位置で、パイル経糸2の巻き付
け半径Rは、公知の巻径検出器32によって常に測定さ
れている。そこで、演算器34は、これらの数値を入力
とし、上記の基本演算式による計算をして、モータ回転
数Noをデジタル量として算出する。
【0042】一方、基本演算式に自動制御系の出力Mp
が一定の割り合いで加えられる。すなわち、最終的な回
転数N〔rpm〕は、下記の式によって求められる。 N=No{1+(Mp/100)} =(m/6π)(n/R){(30/B)+d}{1+(Mp/100)}
【0043】自動制御系の出力Mpは、主軸55の3回
転つまり1繰り返し(サンプリング周期)中の一定の回
転角ごとに3r回サンプリングして得られるテンション
レバー8の変位xiを平均して得られるPID出力であ
り、下記のように表される。なお、上記rは、サンプリ
ング回数を設定する変数であり、自然数1、2、3、・
・・として与えられる。例えばr=1として設定された
とき、主軸55の1回転中の所定のサンプリング回転角
で変位xiを1回だけ検出するので、変位xiは、主軸
55の3回転つまり1繰り返し(サンプリング周期)で
合計3回取り込まれることになる。 Mp=Kp〔X(k)+(1/Ti)ΣX(m)+Td
{X(k)−X(k−1)}〕 なお、上記ΣX(m)で、m=0〜kである。 X(k)=(1/3r)ΣXi なお、上記ΣXiで、i=1〜3rである。
【0044】図4は、同様に以上の過程をブロックで例
示している。すなわち、変位検出器17の出力は、サン
プルホールド回路35によって、所定のサンプリング回
転角ごとに保持され、A/D変換器36によりアナログ
量からデジタル量の出力Xiに変換され、さらに平均化
回路37により、あるサンプリング回数kについての平
均値X(k)となる。もちろん、この一連のサンプリン
グ・平均値動作は、変位検出タイミング検出器38によ
って、織機の主軸55の所定のサンプリング回転角毎に
1繰り返し(サンプリング周期)中にサンプリング回数
kに応じて実行される。
【0045】そして、平均値X(k)は、PID制御器
39によって、比例・積分・微分動作のもとに出力Mp
となり、加算演算器40により、最終的にデジタル的な
指令の回転数Nとなる。このあと、回転数Nの信号は、
D/A変換器41によって、アナログ量に変換され、加
え合わせ点42を経て、駆動増幅器43で増幅された後
に、直流の送り出しモータ4を駆動する。このときの送
り出しモータ4の回転は、フィードバック制御系のタコ
ジェネレータ44によって検出され、加え合わせ点42
に負帰還される。
【0046】一方、テンションレバー8に与えられる力
は、図5から下記のようにして求められる。パイル経糸
2の張力Tの合成力のテンションレバー8に垂直な方向
の成分をFt、張力スプリング12によってテンション
レバー8に垂直な方向の成分をFoとすると、モーメン
トの釣り合いの式は下記のようになる。 R1・Fo=R2・Ft Fo=K・αx
【0047】ここで、αは垂直方向の有効成分を示す係
数で、Kはばね定数で、xは変位量である。またR1、
R2は、それぞれ支点軸9から各作用点までの有効長さ
を示す。パイル経糸2は、上記の関係を保ちながら、変
位検出器17によるフィードバック制御により、一定の
低い張力Tで送り出されていく。
【0048】クロスロール25が筬逃量dだけ前方へ移
動するときに、テンションロール6は、前方へ移動す
る。このとき張力スプリング12が変位量Δxだけ伸び
たとすれば、次の式が成り立つ。 R1・Kα(x+Δx)=R2(Ft+ΔFt) ∴ΔFt=(R1/R2)KαΔx
【0049】すなわち、パイル経糸2の張力Tが増大
し、これが大きいと、パイル抜けが発生することにな
る。そこで、ACサーボモータ15は、支点軸9を図5
で時計方向に回動させ、テンションレバー8に回転力T
mを付与して、パイル経糸2の張力Tを減じ、パイル経
糸2の張力Tを定常時よりも低くする。このとき、上記
式は、下記の通り書き改められる。 R1・Kα(x+Δx)=R2(Ft+ΔFt)+Tm ∴ΔFt=(1/R2)(R1・Kα・Δx−Tm)
【0050】したがって、回転力Tm=R1・K・α・
Δxで求められる値のトルクを支点軸9に与えれば、Δ
Ft=0となり、所定期間Tsで、張力Tは増大しな
い。さらに、回転力Tm>R1・K・α・Δxとすれ
ば、ΔFt<0、すなわち張力Tを減少させ、弱くする
ことも可能であり、そのように設定すれば、パイル形成
時に、パイル抜けは、確実に防止でき、パイルは、定常
時よりも弱い張力値のもとで所望の高さで正確に形成さ
れる。本発明は、このような知見にもとづいて具体化さ
れている。
【0051】このとき、張力スプリング12の伸縮とパ
イル経糸2の張力Tの関係として、張力スプリング12
の見掛け上のばね定数をK’とすれば、下記のような式
が成立する。すなわち、張力スプリング12の見掛け上
のばね定数K’は、この場合に事実上小さくなってい
る。 R1・K’α(x+Δx)=R2・Ft=R1・kαx ∴K’=k(1/{1+(Δx/x)}
【0052】さて、本発明のパイル経糸の張力制御方法
は、前記の知見に基づいて、複数の所定期間のうち1つ
である少なくともパイルを発生させる筬打ち期間Tbを
含むように定める第1の期間Tsを定め、第1の期間T
sでは、電気量−力の変換手段としてのACサーボモー
タ15に電気信号を入力して、ACサーボモータ15の
出力を変化させ、ACサーボモータ15の回転力Tmの
変化分をパイル経糸2の張力Tを減じる方向に支点軸9
に与えることにより、パイル経糸2の張力Tを定常時の
張力Tよりも低い張力値に設定する。
【0053】第1の期間Tsの終点は、前記筬打ち期間
Tbよりも後の時点であり、パイル保持力が得られる時
点に定める。しかも、第1の期間Tsの始点および終点
は、筬打ち期間Tb近傍の緯入れされない期間内にそれ
ぞれ定める。第1の期間Tsでは、パイル経糸2の張力
が定常時の張力値から対応する張力値に向かって徐々に
低くなるように前記電気信号を滑らか発生させることも
できる。なお、この第1の期間Tsは、少なくともパイ
ルを形成する筬打ち期間であり、図3で(3)から
(4)までの区間を含むように定める。
【0054】上記のように、第1の期間Tsは、筬打ち
期間Tbと同一に定めてもよいし、余裕を持たせて始点
を筬打ち期間Tbのそれよりも前方に、また終点を筬打
ち期間Tbのそれよりも後方に定めてもよい。なお、
「筬打ち期間Tb」は、図6の矢印で示す筬打ちのタイ
ミングを含む期間である。
【0055】第1の期間Tsは、パイル織機の稼働・パ
イル織物の品質に支障を来さない範囲で可能である。具
体的には、パイル経糸2の開口不良で緯入れミスが発生
しないように、第1の期間Tsの始点および終点を定め
たり、あるいは形成したパイル組織からパイル経糸2が
引き出され、パイル高さを崩さないように、換言すれ
ば、地経糸18の開口量が増加する期間に第1の期間T
sの終点を定める。第1の期間Tsにおける電気信号の
出力値、すなわち定常値からどれだけの変化値を出力さ
せるか、換言すればパイル経糸2の張力Tを定常時の張
力値よりもどれだけ低くするかは、実機状態を見て、あ
るいは経験により得られたデータを基に設定する。
【0056】図6は、3ピック1繰り返しのパイル組織
で、横軸に機械角度θをとり、縦軸に筬打ちタイミン
グ、緯入れタイミング、地経糸開口およびパイル経糸開
口、布移動との関連で、電気量−変換手段としてのAC
サーボモータ15の回転力Tmの設定態様、つまりトル
クパターンをパターン1、2、3、4、5、6、7とし
て示している。ここで、布移動は、そのまま布24の織
り前7の位置の移動と対応している。なお、丸付き数字
は、1繰り返しのサイクルを示す。
【0057】図6のパターン1は、第1の期間Tsを筬
打ち期間Tbに対応して設定した例である。この例で、
ACサーボモータ15は、図5のように機械的付勢手段
(張力スプリング12)に抗する方向に回転力Tmを発
生させる。このため、図6のパターン1は、縦軸方向に
進むにつれて、テンションレバー8の見掛けトルクが後
方に生じるようになっている。換言すれば、テンション
レバー8の回転力Tmは、前方に作用していたトルクを
減じる。パイル経糸2の張力Tは、図示のパイル経糸張
力のように、布移動開始/終了時のテンションロール6
系の運動慣性により一時的にオーバーシュートするが、
第1の期間Tsで定常時よりも低くなっている。なお、
慣性が小さければ、オーバーシュートの影響は生じにく
い。
【0058】図6のパターン2(ステップ状の実線)
は、第1の期間Tsを緯入れされない期間に設定する例
である。第1の期間Tsでパイルを形成する筬打ち期間
には、確実に目標張力にするために、緯入れ期間中より
張力Tを減少させたり、筬打ち後の次の緯入れ期間中に
かけて張力Tを元に戻すようにしてもよい。ただし緯入
れに支障を来さぬように、図6のパターン2の傾斜状の
破線のように設定してもよい。また、張力Tは、せっか
く形成したパイルを崩さないように設定してもよい。ス
テップ状・傾斜状の2つのパターンの組み合わせて、ト
ルクのパターンを設定してもよい。なお、パイル織機の
運転に支障なければ、第1の期間Tsの起点・終点を自
由に設定できる。
【0059】緯糸23が織り前7の位置に達してから筬
打ちされるまでの期間の張力Tは、図6のパターン1、
2の一定値に限らず、図6のパターン3のように、回転
により連続的に滑らかに変化する値としてもよい。
【0060】既に明らかなように、布移動式パイル織機
では、製織運動と同期して、パイル組織の布24が移動
し、クロスロール25が前後方向に移動しており、この
クロスロール25が再び後方へ移動するとき、これに伴
ってテンションロール6も従動的に移動する。このと
き、テンションロール6自体、およびその機械的な支持
系(テンションレバー8および支点軸9)の静止の慣性
が大きいと、テンションロール6が充分に後退しないた
め、パイル経糸2または地経糸18が必要以上に緩み、
開口不良となって、緯入れができなくなる。また、テン
ションロール6が後方へ移動しきった位置で、テンショ
ンロール6が運動の慣性によって必要以上にオーバーラ
ンすると、張力Tが異常に高くなり、開口不良が発生し
たり、均一なパイルの形成ができなくなったりする。
【0061】そこで、張力制御装置56は、必要に応じ
て、本発明のパイル経糸の張力制御方法に加えて、機械
的な支持系の慣性を打ち消す制御をする。図6のパター
ン4は、布移動の開始・終了に際しテンションロール6
の慣性による一時的な張力過不足を解消するトルクパタ
ーンを加味している。これにより、パイル経糸2の張力
Tは、図示のパイル経糸張力のように、布移動の開始・
終了に際してもテンションロール6の慣性による一時的
な張力過不足の影響を受けず、安定する。
【0062】図6のパターン5は、筬打ち後の布24の
前進時には、パイル経糸2の張力Tの急激な高まりを阻
止するため、テンションロール6の移動方向に加勢す
る。なお、パターン設定は、1段階の変更に限らず多段
階の変更でもよい。図6のパターン6のように、トルク
パターンは、多段階にかつステップ状に設定できる。
【0063】図6のパターン6、7は、製織条件とし
て、織機回転数・打込密度・緯糸種類などに対応してト
ルクをパターン状に複数設定しておき、製織条件の変化
に対応するトルクパターンを選択し駆動する例である。
なお、パターン6に対し、パターン7は、パイル織機の
低速回転に対応するトルクパターンである。
【0064】このように、布移動運動によって、パイル
経糸2の張力Tが目標張力から増大または減少するが、
このとき、電気量−力の変換手段としてのACサーボモ
ータ15は、それらの慣性力を打ち消す方向に回転力T
mを作用させるから、パイル経糸2の張力は、布移動の
初期および終期で、テンションロール6の慣性力に影響
されず、目標値に正確に設定できる。
【0065】また、パイル経糸2には、通常の開口運
動、筬打ち運動による張力変動の以外に、布24の移動
による張力変動などが複雑な位相関係をもって現れる。
このような複雑な張力変動も、トルクパターンの設定に
よって相殺できる。なお、地織りの部分では、布24の
移動を禁止するとともに、テンションロール6への強制
的な張力付与も停止させる。
【0066】前記例では、複数の所定期間のうちの1つ
をパイルを形成する筬打ち期間を含む第1の期間に定
め、この第1の期間におけるパイル経糸張力を、これ以
外の期間における値よりも低くするようにしたが、所定
期間の数およびこの期間に対応するパイル経糸張力の設
定は、上記以外にも種々考えることができる。
【0067】例えば、複数の所定期間のうちの1つを、
パイル経糸の開口量が変化する期間すなわちパイル経糸
開口量が増加あるいは減少する期間のうち少なくともい
ずれかを含むように第2の期間を定め、第2の期間にお
けるパイル経糸張力を、この第2の期間以外の期間にお
ける値よりも高い値になるように、トルクを設定し電気
信号を出力することができる。
【0068】図10は、パイル組織が3本緯タオルの場
合のパイル経糸ならびに地経糸の開口状態、第2の期間
および各期間における設定トルク、パイル経糸張力を示
す。パイル組織が3本緯タオルの場合、パイルを形成す
る1リピートが緯糸3ピック期間に相当し、パイル経糸
開口量が増加する期間は、2箇所、すなわち丸付き数字
1のサイクルのパイル経糸開口量がゼロになる時点から
丸付き数字2のサイクルのパイル経糸開口量が最大にな
る時点まで、ならびに丸付き数字2のサイクルのパイル
経糸開口量がゼロになる時点から丸付き数字3のサイク
ルのパイル経糸開口量が最大になる時点までである。
【0069】パイル経糸開口量の増加期間(第2の期
間)中は、すなわちパイル経糸の開口途上にあり、筬や
ヘルドなどの機料品や経糸同士の摩擦から緯糸飛走路近
傍の経糸に対して経糸張力が充分作用せず開口不良が発
生することがある。しかし、トルクパターン8のように
第2の期間におけるパイル経糸張力を、これ以外の期間
におけるパイル経糸張力よりも積極的に高い値にするこ
とにより、杼口を形成する経糸に対しても、張力が充分
に作用して経糸さばき具合が良くなり、従来のような開
口不良による緯入れミスが生じない。したがって従来の
ように開口不良による緯入れミスで停台することなく、
効率よくパイル織物を製織できる。
【0070】なお、第2の期間を開口量の増加中に定め
た場合を前記したが、開口量減少中についても同様であ
る。したがって開口量減少中の期間を第2の期間として
定めても良いし、減少中および増加中の双方を含む期間
を第2の期間として設定しても良い。第2の期間の起点
および終点は、必要に応じて前後に変更することもでき
る。3本緯タオル組織の場合、1リピート中にはパイル
経糸開口量が変化する期間が2箇所存在するが、一方の
期間のみを第2の期間に定めても良いし、各期間それぞ
れを第2の期間として定め、それぞれトルク設定しても
良い。また、上記した第2の期間の設定トルクは、パイ
ル経糸張力が所望の値になるように適切に設定される。
さらに第2の期間におけるトルク設定は、前述例の第1
の期間に対する設定のように、ステップ状や傾斜状のパ
ターンを組み合わせても良いし、テンションロール6の
慣性を打ち消すようにしても良いし、その期間内におい
て多段階にかつステップ状に設定しても良いし、製織条
件に対応して複数設定しても良いことは言うまでもな
い。
【0071】複数定める所定期間での設定トルク、およ
び設定されるパイル経糸張力は、上記した態様に限定さ
れない。また、第2の期間におけるパイル経糸張力を高
く設定する技術、ならびに前記第1の期間におけるパイ
ル経糸張力を低く設定する技術、さらには上記以外の態
様はそれぞれ単独で用いても、組み合わせで用いても良
い。
【0072】図7の回路例は、張力制御装置56によっ
て、電気量−力の変換手段すなわちACサーボモータ1
5を所定のトルクパターンで駆動するときの基本的な構
成を示している。すなわち、関数発生器45は、所定の
トルクパターンを記憶しており、角度検出器46によっ
て織機の主軸55の1回転中の織機角度θを検出し、そ
の角度に応じてトルクパターンの出力を読み出し、これ
を加え合わせ点47を介し駆動増幅器48に出力してい
る。そこで、この駆動増幅器48は、その入力信号に応
じて、ACサーボモータ15を駆動していく。一方、こ
のACサーボモータ15の回転は、タコジェネレータ4
9によって回転速度に比例する電気量の信号として検出
され、上記加え合わせ点47に負帰還されている。この
ようにして、駆動増幅器48は、関数発生器45で指定
されるトルクパターンにもとづいて、フィードバック制
御の下に、ACサーボモータ15の回転力Tmを制御し
ていく。
【0073】図8の回路例は、ACサーボモータ15に
対する複数のトルクパターンと対応し、複数の関数発生
器45a、45b・・45nを用意し、これらの出力側
の接点50a、50b・・50nをパターン選択回路5
1によって、択一的にオンの状態に設定し、加え合わせ
点47に出力する例を示している。ここで、パターン選
択回路51は、主軸55のシャフトエンコーダ52から
の信号に基づいて、複数の関数発生器45a、45b・
・45nのいずれかを選択していく。同時に、このパタ
ーン選択回路51は、予め設定された入力情報に基づい
て、開口運動の指令、緯糸23の選択、打込数(密度)
Bの選択などの制御をも行っていく。なお、この例で、
ACサーボモータ15の回転は、パルスジェネレータ5
3によって、パルス信号として検出され、F/V変換器
54によって、パルス周波数に比例する電圧の信号に変
換され、加え合わせ点47に負帰還されている。
【0074】図9の回路例は、主軸55の回転速度に応
じて、ACサーボモータ15に対する駆動パターンを選
択する例である。パイル織機の高速運転または低速運転
に応じて、接点50a、50bが選択的にオンの状態と
なり、関数発生器45a、45bから、図6で示すよう
なトルクパターンが選択的に出力される。
【0075】
【発明の他の実施の形態】また、以上の例は、テンショ
ンロール6をテンションレバー8によって前後方向に回
動運動可能な状態で支持しているが、このテンションロ
ール6の支持形態は、例えば前後方向の直線に沿って変
位可能な状態で支持してもよい。したがって、電気量−
力の変換手段は、回転力に限らず、直線方向の力を発生
するものであってもよい。
【0076】さらに、電気量−力の変換手段が張力スプ
リング12の弾力をも負担する形式のものであれば、張
力スプリング12は、省略することもできる。すなわ
ち、テンションレバー8に対して張力スプリング12と
ACサーボモータ15とが作用している形式のもので
は、張力スプリング12の付勢力は、常時、パイル経糸
2に対して基本の張力を常時継続的に与えるように作用
しており、これに対して、ACサーボモータ15は、所
定期間Tsで一時的に力を作用させる。したがってAC
サーボモータ15の力は、テンションレバー8に張力ス
プリング12により常時作用している力に対して、特定
のときにのみ、重畳的に減算されることになる。ここ
で、ACサーボモータ15が張力スプリング12に代わ
って、常時、テンションレバー8に対してパイル経糸2
に対し必要な基本の張力に対応する力を与えておれば、
張力スプリング12は不要となる。張力スプリング12
を省略するときには、ACサーボモータ15は、張力ス
プリング12の弾力に対応する基力的な力と、所定期間
Tsでの回転力Tmとを同時に作用させるよう働くこと
になる。
【0077】前提技術であるパイル形成方法は、布移動
式に限定せず、筬打ち式(ソード打ち)でもよい。な
お、布移動式パイル織機で、例えば3本緯タオル組織で
は、布を前進させた位置で2本(ルーズピック)緯入れ
・筬打ちし、布を後退させて1本(ファーストピック)
緯入れ・筬打ちする。
【0078】筬打ち期間Tbおよび前記複数の所定期間
Tsは、織機角度θを基準に設定したり、基準タイミン
グ(織機角度)からの経過時間として定めてもよい。電
気信号を出力する構成は、図7の構成(織機角度θに対
応するトルクパターン設定/出力の方式)に限定され
ず、マイコンにより演算し、出力する方式とすることも
できる。
【0079】
【発明の効果】本発明によれば、パイルを形成する1リ
ピート期間内に複数の所定期間およびその期間における
上記電気量−力の変換手段からのトルクをそれぞれ設定
しておき、所定期間に、電気量−力の変換手段は、電気
信号に対応してその出力を変化させ、その力の変化分を
テンションロールがパイル経糸張力を変化させる方向に
機械的な支持系に与え、テンションロールからの力をパ
イル経糸張力と釣り合わせることができるから、パイル
経糸張力を異なる目標張力に確実に設定でき、織機の稼
働を損なうことなく確実に所望高さのパイルを形成でき
る。
【0080】また複数の所定期間のうち1つを、少なく
ともパイルを発生させる筬打ち期間を含むように第1の
期間として定めておき、第1の期間におけるパイル経糸
張力をこれ以外の期間におけるパイル経糸張力よりも低
い値になるように、トルクを設定することにより、従来
のように、常にパイル形成のための低い張力設定で頻繁
に開口不良による緯止まりなどで織機を停台させたり、
駆動量としてテンションロールを駆動する機構であるが
ゆえにパイル形成期間中の経糸張力が微妙に変化し、パ
イル高さが不揃いになるようなことがない。つまり、稼
働率を維持したまま所望高さのパイルを確実に形成でき
る。
【0081】前記第1の期間の終点を、前記筬打ち期間
よりも後の時点であって、地経糸の開口量が増加する期
間内の時点に定めると、地経糸による緯糸保持力、換言
すればパイル経糸保持力が充分に高まってから、定常時
の設定張力に戻すから、定常時の経糸張力設定時に、せ
っかく形成したパイル組織からパイル経糸を引き出して
パイル高さが減少するという不都合が生じない。
【0082】前記第1の期間の始点および終点を前記筬
打ち期間近傍の緯入れされない期間内に定めると、緯入
れ中にパイル経糸張力を変更しないから、張力変更にと
もなって開口不良が発生し緯入れミスを頻発させるとい
う不都合を未然に防止でき、所望の稼働率を維持でき
る。
【0083】前記複数期間のうち1つを、パイル経糸開
口量が変化する期間を含むように第2の期間として定
め、前記第2の期間におけるパイル経糸張力を、これ以
外の期間におけるパイル経糸張力よりも高い値になるよ
うに前記トルクをそれぞれ設定すれば、パイル経糸開口
量の変化中は、開口途上にあるパイル経糸に対して筬や
ヘルドなどの機料品や経糸同士の摩擦により、経糸張力
が杼口を形成する経糸部分に対して充分に作用しない状
況下でも高い値の経糸張力設定により、経糸さばきが良
くなって従来のような開口不良による緯入れミスが生じ
ない。したがって織機の稼働率を損なうことなく、効率
よく制御できる。
【0084】前記複数の所定期間では、パイル経糸張力
が現在の張力値から対応する張力値に向かって徐々に低
くなるように前記電気信号を発生させると、張力の急激
な変更でパイル経糸にダメージを与えない。
【0085】製織条件としての織機回転速度、打込密
度、緯糸品種などに対応して複数のトルクを設定してお
き、前記複数の所定期間では、製織条件の切り換わりに
対応して前記トルクを選択駆動すると、1枚のタオル製
織期間に複数種類のパイル高さが異なるパイル組織が混
在する織物についても、パイル組織のそれぞれに対応す
るパイル経糸張力を設定できるから、いずれのパイル織
り時にも所望高さのパイルを確実に形成できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】送り出し装置の概略的な側面図である。
【図2】回転力伝達部分の一部の断面図である。
【図3】パイル製織の説明図である。
【図4】送り出し制御装置のブロック線図である。
【図5】テンションレバーに作用するモーメントの説明
図である。
【図6】製織動作およびトルクパターンの説明図であ
る。
【図7】張力制御装置のブロック線図である。
【図8】張力制御装置のブロック線図である。
【図9】張力制御装置のブロック線図である。
【図10】製織動作およびトルクパターンの説明図であ
る。
【符号の説明】
1 パイル経糸の送り出し装置 2 パイル経糸 3 送り出しビーム 4 送り出しモータ 5 ガイドロール 6 テンションロール 7 織り前 8 テンションレバー 9 支点軸 10 織機フレーム 11 スプリング掛け 12 張力スプリング 13a、13b ギヤ 15 ACサーボモータ 16 送り出し制御装置 17 変位検出器 18 地経糸 19 地経糸送り出しビーム 20 地経糸テンションロール 21 ヘルド 22 開口 23 緯糸 24 パイル組織の布 25 クロスロール 25a、25b 案内ロール 26 巻取りロール 27 巻取りビーム 28 筬 29 地経糸テンションレバー 30 支点軸 30a 支持アーム 30b 支点軸 31 張力スプリング 32 巻径検出器 33 設定器 34 演算器 35 サンプルホールド回路 36 A/D変換器 37 平均化回路 38 変位検出タイミング検出器 39 PID制御器 40 加算演算器 41 D/A変換器 42 加え合わせ点 43 駆動増幅器 44 タコジェネレータ 45、45a、45b・・45n 関数発生器 46 角度検出器 47 加え合わせ点 48 駆動増幅器 49 タコジェネレータ 50a、50b・・50n 接点 51 パターン選択回路 52 シャフトエンコーダ 53 パルスジェネレータ 54 F/V変換器 55 織機の主軸 56 張力制御装置

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 織機フレームに対してパイル経糸のテン
    ションロールを機械的な支持系により前後方向に変位自
    在に設けて、送り出しビームからのパイル経糸を上記テ
    ンションロールに巻き掛け、テンションロールにパイル
    経糸の張力の消費量に応じて送り出しビームを送り出し
    方向に回転させるパイル経糸張力の送り出し装置におい
    て、 上記テンションロールの機械的な支持系に電気量−力の
    変換手段を連結するとともに、パイル形成する1リピー
    ト期間内に複数の所定期間およびその期間における上記
    電気量−力の変換手段からのトルクをそれぞれ設定して
    おき、 上記所定期間に、上記電気量−力の変換手段に上記設定
    トルクに対応する電気信号を入力してその出力を変化さ
    せ、 上記電気量−力の変換手段の力の変化分をテンションロ
    ールがパイル経糸の張力を変化させる方向に上記機械的
    な支持系に与えることにより、パイル経糸の張力を異な
    る値に設定することを特徴とするパイル経糸の張力制御
    方法。
  2. 【請求項2】 上記テンションロールの機械的な支持系
    を支点軸により織機フレームに対して回動自在なテンシ
    ョンレバーにより構成し、上記電気量−力の変換手段を
    テンションロールの支点軸に回転力として作用させるこ
    とを特徴とする請求項1記載のパイル経糸の張力制御方
    法。
  3. 【請求項3】 前記複数の所定期間のうち1つを、少な
    くともパイルを発生させる筬打ち期間を含むように第1
    の期間として定めておき、 前記第1の期間におけるパイル経糸張力をこれ以外の期
    間におけるパイル経糸張力よりも低い値になるように、
    前記トルクを設定することを特徴とする請求項1記載の
    パイル経糸の張力制御方法。
  4. 【請求項4】 前記第1の期間の終点を、前記筬打ち期
    間よりも後の時点であって、地経糸の開口量が増加する
    時点に定めることを特徴とする請求項3記載のパイル経
    糸の張力制御方法。
  5. 【請求項5】 前記第1の期間を、緯入れされない期間
    に定めることを特徴とする請求項3または4記載のパイ
    ル経糸の張力制御方法。
  6. 【請求項6】 前記複数の所定期間のうち1つを、パイ
    ル経糸開口量が変化する期間を含むように第2の期間と
    して定め、前記第2の期間におけるパイル経糸張力を、
    これ以外の期間におけるパイル経糸張力よりも高い値に
    なるように前記トルクをそれぞれ設定することを特徴と
    する請求項1、2、3、4または5記載のパイル経糸の
    張力制御方法。
  7. 【請求項7】 前記複数の所定期間における経糸張力が
    現在の張力から対応する張力値に向かって徐々に変化す
    るように前記電気信号を出力することを特徴とする請求
    項1、2、3、4、5または6記載のパイル経糸の張力
    制御方法。
  8. 【請求項8】 予め製織条件に対応して複数のトルクを
    設定しておき、前記複数の所定期間では製織条件に対す
    るトルクに基づいて前記電気信号を出力することを特徴
    とする請求項1、2、3、4、5、6または7記載のパ
    イル経糸の張力制御方法。
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