JP3542032B2 - 直流モータのサーボ制御法および装置 - Google Patents

直流モータのサーボ制御法および装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は直流モータのサーボ制御方法および装置に係り、詳しくは、制御形態を位置制御,速度制御,トルク制御の相互に迅速に切り替えることができるようにしたサーボ制御方法およびそのための装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
サーボ電源用動力線に介在させた電力供給器にPWM(Pulse Width Modulation )信号を供給し、デューティ比を変えることによって位置制御,速度制御,トルク制御に必要な電力を直流モータに供給するようにしたサーボ制御装置がある。図59は、直流モータのためのPWM式サーボ制御器の代表的な構成を示すブロック図で、制御入力情報としての位置目標値DPとモータ2で検出された電流Cm や出力軸の位置信号Ea ,Eb からPWM目標値を演算し、そのPWM目標値に見合ったPWM信号Ma ,Mb により供給電力を制御して、直流モータ2を駆動するようにしている。
【0003】
図59中の90は、直流モータ2のPWMサーボ制御器である。7はロボットや走行台車等の図示しない機構体を動かすための主制御装置からの指令を受けて、PWMサーボ制御器90に位置目標値DPを与える上位制御機器である。直流モータ2は言うまでもなくロボットアームといった可動部品を動かすための動力源であり、PWMサーボ制御のために動力線62に介在された電力供給器3にはPWMサーボ制御器90からのPWM信号が供給される。なお、31は直流モータ2の電流を検出する電流検出器、1はエンコーダ等の位置検出器、46はPWM信号Ma ,Mb を電力供給器3に出力するPWM指令部である。
【0004】
直流モータ2の出力軸に関する位置はエンコーダ1から発生するパルスのカウントをもとにして制御されるが、図59から分かるように、その位置のサーボ制御を行うために、電流計測部43を設けた電流のフィードバック系が使用される。この制御系において、電流制御の目標値は電流フィードバック系の外側に構成された速度のフィードバック制御の演算値により与えられ、速度制御の目標値は速度フィードバック系の外側に構成された位置のフィードバック制御の演算値として与えられ、位置制御の目標値は上位制御機器7から与えられるようになっている。
【0005】
また、出力軸に関する速度のサーボ制御のためにも電流フィードバック系と速度フィードバック系が使用され、速度の目標値は上位制御機器7から与えられる。トルクのサーボ制御のためにも電流フィードバック系が使用され、トルクの目標値は上位制御機器7から指示される。
【0006】
ちなみに、直流モータは、電流Cm に比例したトルクTを発生する。この関係は直流モータ固有のトルク定数Kt を使って、T=Cm ×Kt と表すことができる。発生したトルクTによりモータを含めた負荷のイナーシャJに対応する加速度が発生し、時間の積分で回転速度は変化し、さらに時間積分で回転の位置θも変化する。これを、回転速度に比例した粘性抵抗Cv とばね定数Kと摩擦力Mとを考慮した運動方程式で表すと、次式のように与えられる。
【数1】
Figure 0003542032
従来の制御においては、この運動方程式に基づいて直流モータを制御するようしているため、図59に示す多重ループの制御が必要となっている。
【0007】
前述したように、電流ループと速度ループと位置ループとは時間的な積分関係にあるために、各々の過渡特性も大きく異なる。電流ループでは100Hz以上の高速応答が可能であるが、速度ループでは20〜90Hzの応答、位置ループでは10〜20Hzの応答となる。このために従来技術だけでは制御形態を切り替えたときに大きな衝撃が発生することになり、これを回避するには高度な演算が必要となる。なお、位置情報をもとにしてモータ電流の目標値を直接算出し制御することは可能であるが、目標位置に移動する回転速度にばらつきが生じる。この技術だけでは直流モータの安定した回転を得ることができず、その実用化は困難であった。
【0008】
ところで、直流モータで機構体の動きを柔軟に制御するためには、モータの制御形態を自由に切り替えることが望まれる。例えば、平面走行する走行台車をゆっくりと移動させて所望する場所で精度よく停止させるためには、走行用直流モータを位置制御するだけで充分である。しかし、高速移動が要求される場合には、最初に直流モータの最大トルクを発揮する電流制御によって加速させ、所望の速度に達すると速度制御により定速走行させ、停止すべき位置が近づくと位置制御で徐々に停止させるといった制御形態の切り替えが望まれる。他の例として、重量物を持上げる機械においては、最初は直流モータを電流制御することによって機械に作用する負荷に耐える大きなトルクを発揮させて持ち上げ、目標点に近づくと位置制御に切り替えて精度良く停止させることが望まれる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
図59における制御では、各演算部が直列に配置されている。そのため、電流制御(トルク制御)から速度制御に切り替えるには、速度演算部による演算を必要とする。従って、切り替えのための演算に時間を要して速度制御に移るのが遅れる。また、電流制御から位置制御に切り替えるには、位置演算部による演算と速度演算部による演算とを必要とし、制御の切り替え遅れはより一層甚だしくなる。いずれの場合も、切り替え時のモータ出力軸に回転数やトルクの急変が強いられ、大きな衝撃が発生する。電流制御から位置制御に迅速かつスムーズに切り替えるためには常時位置演算部を作動させておき、トルクの制御のために必要のない現在位置を算出するようにしておかなければならないので、電流制御から位置制御の切り替えは実用に至っていない。
【0010】
もちろん、トルクセンサや速度センサを装着しておき、所望するセンサからの情報に基づいて位置の補正情報を算出すれば、位置制御を主体とした制御は不可能でない。しかし、制御に要する情報が多岐にわたるためにシステムが複雑化してモータの応答性が低くなり、また制御システムの高騰をも招く。
【0011】
ところで、特公昭62−32715号公報には、エンコーダ付モートルのデジタル制御方法が開示されている。これは、回転速度検出用カウンタと位置検出用カウンタとを一つのカウンタで兼用させることができるようにして、構成の簡素化を図っている。しかし、少なくとも一つのカウンタは装着せざるを得ず、制御装置の小型化を阻んでいる。
【0012】
また、特公昭59−27013号公報(米国特許第4,323,832号)には、磁気テープ送りモータの速度制御方式が提案されている。これは、速度検出器からの速度信号によって割り込み信号を発生させ、その時点で速度制御プログラムを実行させるようにしたものである。しかし、割り込み制御を採用するために予め決められている演算に遅れが生じることになり、全ての演算を設定時間内に完了させるといった時間管理能力の高いサーボ制御は不可能となる。また、割り込みを想定すれば制御システム中に空白時間帯を確保しておくことも必要となり、応答性が低下するといった問題も生じる。
【0013】
さらに、特許第2542141号公報(米国特許第5,218,276号:には、多機能直流モータ駆動集積回路が説明されている。この発明は、無線で送り出される固有番号を有した信号が、その固有番号と同じ番号の付された受信機のみで受信できるようにされており、その信号をもとにして該当する直流モータのみが制御されるようになっている。しかし、無線設備を備えるために高価となり、また外部からのノイズの影響も受けやすく、システムの信頼性を損ないやすい。
【0014】
上記したごとくの電流制御から速度制御への切り替えに際して大きな衝撃を発生させるという問題を解決する発明として、特開平10−84686号公報に記載されたサーボ制御装置の切替方法がある。この発明では、各ループ特有の伝達特性を持つ演算器によって補正信号を発生させ、その補正信号を制御目標値に加算することにより切り替え時のショックを和らげるようにしている。そのために、電流フィードバック系の上流に信号補正手段が設けられる。しかし、補正信号の生成と加算操作に時間を要して速度制御への移行が遅れ、機構体を機敏に動かすことが容易でなくなる。
【0015】
本発明は上記の問題に鑑みなされたもので、その目的は、一つの制御装置で直流モータのトルク制御,速度制御や位置制御を可能にして、直流モータのパワーを所望する制御形態に合せて迅速に発揮させることができるようにすること、制御形態の切り替えに時間遅れのない処理を可能にすること、制御形態の切り替え時にモータの回転数や発生トルクに急激な変化が生じて衝撃を発生させることのないようにすること、MPUのみを使用して制御装置の小型化を推進できること、また、複数の直流モータを組み込んだ機構体と上位制御機器との間の配線接続を簡易化して高い信頼性を確保すること、を実現した直流モータのサーボ制御方法および装置を提供することである。
【0016】
【課題を解決するための手段】
本発明は、モータを駆動するためのPWM目標値を演算し、そのPWM目標値に見合ったPWM信号によりモータを制御するため予め定められた時間を一周期とする制御時間帯を使って供給電力を制御し、直流モータを駆動するようにした制御方法に適用される。その特徴とするところは、図1を参照して、モータ2から検出された現在位置,現在速度,モータ電流のいずれか二つ以上の現状情報と、制御目標値および制御形態からなる制御入力情報とにより、PWM信号Ma ,Mb が割り当てられる周期Tの制御時間帯Ωをn等分して得られる細時間帯Φ1 ,Φ2 ,Φ3 ,・・・,Φn-1 ,Φn のうちの異なる一つまたは連続する複数の細時間帯を使って、演算しようとする全ての制御形態F-NについてのPWM目標値Pr-P,Pr-V,Pr-Tのそれぞれを個別に演算する(図28,図29,図30を参照)。演算された全てのPWM目標値Pr-P,Pr-V,Pr-Tの中から、指定のあった制御形態F-Nに対応する一つをPWM選択値Pr-SL として現在の制御時間帯Ωj 内で選択する(図31を参照)。直前の制御時間帯Ωj+1 において選択されているPWM選択値Pr-SL に見合うPWM信号Ma ,Mb を、現在の制御時間帯Ωj の全ての細時間帯Φ1 ,Φ2 ,Φ3 ,・・・,Φn-1 ,Φn を使って出力する(図14および図24を参照)。そして、細時間帯Φごとに割り当てられた処理または演算を予め決められたタイミングで開始させると共に、全ての処理および演算を一つの制御時間帯Ω内で完了させるようにしたことである(図7を参照)。
【0017】
図37および図42に示すように、PWM目標値Pr−P,Pr−V,Pr−Tの中からPWM選択値Pr−SL を選択する際、制御入力情報によって指定された制御形態F−Nに該当するPWM目標値が、モータの最大許容電流に対応するPWM最大許容値例えばPral−max −Pを越える場合に、他の制御形態F−Nに該当するPWM値であって当該他の制御形態におけるPWM最大許容値例えばPral−max −Vを越えない値を、PWM選択値Pr −SL として選択する。
【0018】
図44の(a)および図45を参照して、PWM選択値Pr−SL が変更前のPWM選択値Pr−SL と異なる場合、後続する幾つかの制御時間帯Ω(Ω,Ωを参照)を使って、変更後のPWM選択値Pr−SL に徐々に近づけるためのPWM漸変値Pr−GR (=Re−4)を求め、そのPWM漸変値に見合ったモータに衝撃を加えることのないPWM信号Ma ,Mb を出力するようにするとよい。
【0019】
図33を参照して、モータ2から検出された現在位置,現在速度,モータ電流のいずれか一つの現状情報と、制御目標値である制御入力情報とにより、制御形態に応じたPWM目標値Pr-P,Pr-V,Pr-Tを個別に演算できるようにしておくため、PWM信号Ma ,Mb が割り当てられる周期Tの制御時間帯Ωをn等分して得られる細時間帯Φのうちの異なる一つまたは連続する複数の細時間帯を、演算可能とした全ての制御形態F-NについてのPWM目標値ごとにそれぞれ確保する(図7を参照)。制御入力情報によって指定された制御目標値とその制御目標値によって自ずと決まる制御形態のみに従うPWM目標値Pr-P,Pr-V,Pr-Tの演算を、周期Tの現在の制御時間帯Ωj で完了する。直前の制御時間帯Ωj+1 において演算されているPWM目標値例えばPr-Vに見合うPWM信号Ma ,Mb を、現在の制御時間帯Ωj の全ての細時間帯Φ1 ,Φ2 ,Φ3 ,・・・,Φn-1 ,Φn を使って出力する(図7を参照)。そして、細時間帯Φごとに割り当てられた処理または演算を予め決められたタイミングで開始させることができると共に、指定された制御目標値のPWM目標値を得るための処理および演算を一つの制御時間帯内で完了させるようにしたことを特徴とする直流モータのサーボ制御法。
【0020】
この場合も、PWM目標値Pr−P,Pr−V,Pr−Tが変更前のPWM目標値と異なる場合に、後続する幾つかの制御時間帯Ωを使って変更後のPWM目標値に徐々に近づけるためのPWM漸変値Pr−GR を求め、そのPWM漸変値に見合ったモータに衝撃を加えることのないPWM信号Ma ,Mb を出力するようにしておくとよい(図11を参照)。
【0021】
制御目標値は、位置制御,速度制御,トルク制御のうちの少なくとも二種のための目標値であればよい。
【0022】
図13を参照して、サーボ制御開始後最初の制御時間帯Ωにおける演算を開始する前に、演算の対象となる全ての制御目標値DP,DV,DTと制御形態F−Nについて暫定値を与え、サーボ制御開始後予め決められた時間uが経過した時点から最初の制御時間帯Ωにおける演算を実行させることが好ましい。
【0023】
図8に示すように、モータ2から検出された検出情報のうち位置情報は、モータ出力軸の現在位置を演算する細時間帯Φから遡るn個の細時間帯Φ,Φ,Φ,・・・で検出されている出力軸位置信号Ea ,Eb を積算して得られた増減値dPを、時間T遡った直前の制御時間帯Ωj−1 における細時間帯Φで求められている位置情報Pに加算して得ることができる(図26の(a)のステップ5501を参照)。
【0024】
図26の(b)に示すように、モータから検出された検出情報のうち位置情報は、直前の制御時間帯Ωj−1 の全細時間帯Φ,Φ,Φ,・・・,Φn−1 ,Φで検出されているモータ出力軸の位置信号Ea ,Eb が積算して得られた増減値dp(図34のステップ72Aを参照)を、2周期前の制御時間帯Ωj−2 で求められている位置情報Pに加算して得るようにしてもよい。
【0025】
図26の(a)のステップ5502または図27の(b)のステップ5704aのように、モータから検出された検出情報のうち速度情報は、出力軸の位置信号の増減値dPまたはdpを充てておけばよい。
【0026】
図7に示すように、各細時間帯Φ,Φ,Φ,・・・,Φn−1 ,Φでは、少なくとも出力軸の位置信号Ea ,Eb の検出とPWM信号Ma ,Mb の出力とが実行される。
【0027】
位置信号Ea ,Eb の検出とPWM信号Ma ,Mb の出力の何れか一方の処理は、細時間帯Φ,Φ,Φ,・・・,Φn−1 ,Φの開始当初に実行され、他方の処理は一方の処理が完了した直後に開始するようにしておく。
【0028】
図2を参照して、制御装置に係る発明は、モータ情報検出器35からの現状情報と制御目標値DP,DV,DT(図1を参照)を含む上位制御機器7から指令された制御入力情報とによりPWM目標値を演算し、そのPWM目標値に見合ったPWM信号を電力供給器3に出力するPWM制御手段4を備えたサーボ制御装置85に適用される。その特徴とするところは、PWM制御手段4が、同期管理部41,PWM演算部50,PWM目標値選択部45,PWM指令部46を備えることである。同期管理部41は、モータ2への供給電力を決定するPWM信号Ma ,Mb が割り当てられる周期Tの制御時間帯Ω中に予め決められた全ての処理および演算を完了させると共に、その制御時間帯をn等分して得られる細時間帯Φ,Φ,Φ,・・・,Φn−1 ,Φごとに割り当てられた処理または演算の開始を指示する(図7を参照)。PWM演算部50は、複数のPWM目標値Pr−P,Pr−V,Pr−Tのそれぞれを、周期Tの一つの制御時間帯内で異なる一つまたは複数の細時間帯Φを使って個別に演算する。PWM目標値選択部45は、制御形態F−N(図1を参照)ごとに演算されたPWM目標値Pr−P,Pr−V,Pr−Tの中から一つをPWM選択値として現在の制御時間帯Ω内で選択する。そして、PWM指令部46は、直前の制御時間帯Ωj−1 において選択されているPWM選択値Pr−SL をPWM指令値Pr−SM として受け、そのPWM指令値Pr−SM に見合ったPWM信号Ma ,Mb を現在の制御時間帯Ωの全ての細時間帯Φ,Φ,Φ,・・・,Φn−1 ,Φ を使って出力するようになっている。
【0029】
PWM目標値選択部を図4に示すが、各制御目標値DP,DV,DTをもとにして演算されたPWM目標値Pr−P,Pr−V,Pr−Tの中から、制御入力情報で指定されている制御形態F−Nに該当するPWM目標値をPWM選択値Pr−SL として選択する指定形態目標値選択部451としておけばよい。
【0030】
図32に示すように、指定形態目標値選択部451に入力される全てのPWM目標値Pr−P,Pr−V,Pr−Tは、モータの最大許容電流に対応するPWM最大許容値Pral−max以下に制限しておくことが好ましい。
【0031】
異なるPWM目標値選択部を図37に示すが、制御目標値DP,DV,DT(図1を参照)をもとに演算されたPWM目標値Pr−P,Pr−V,Pr−Tの中から、制御入力情報で指定されている制御形態F−Nに該当するPWM目標値として選択された目標値が、モータの最大許容電流に対応するPWM最大許容値Pral−maxを越えている場合には、他の制御形態F−Nに該当するPWM目標値であって他の制御形態F−NにおけるPWM最大許容値を越えない目標値を、PWM選択値Pr−SL として選択する形態自動変更目標値選択部451bとしておくこともできる。
【0032】
図42のように、形態自動変更目標値選択部451bに入力されるPWM目標値を、少なくともトルクに関して演算されたPWM目標値Pr−Tがモータの最大許容電流に対応するトルク制御におけるPWM最大許容値Pral−max −T以下に制限しておくとよい。
【0033】
図2または図43に示すように、PWM値選択部45とPWM指令部46との間には、PWM選択値Pr−SL が変更前のPWM選択値Pr−SL と異なる場合に、後続する幾つかの制御時間帯Ωを使って変更後のPWM選択値Pr−SL に徐々に近づけるためのPWM漸変値Pr−GR を求め(例えば図44の(a)を参照)、そのPWM漸変値をPWM指令値Pr−SM としてPWM指令部46に出力するPWM漸変値算出部452が設けられる。その漸変値をもとにしてPWM信号Ma ,Mb を出力させれば、モータで発生する衝撃を可及的に少なくしておくことができる。
【0034】
サーボ制御装置は、図33に示すように、PWM制御部4が、PWM指令部46へ直接PWM目標値を出力するPWM演算部50を備えたものとしておいてもよい。この装置における同期管理部41(図7を参照)は、モータへの供給電力を決定するPWM信号Ma ,Mb が割り当てられる周期Tの制御時間帯Ω中に予め決められた処理および演算を完了させると共に、その制御時間帯Ωをn等分して得られる細時間帯Φ,Φ,Φ,・・・,Φn−1 ,Φごとに割り当てられた処理または演算の開始を指示する。PWM演算部50は、複数のPWM目標値Pr−P,Pr−V,Pr−Tのそれぞれを、周期Tの一つの制御時間帯内で異なる一つまたは複数の細時間帯Φを使って個別に演算することができるようになっているが、制御入力情報によって指定された制御形態F−N のみに従うPWM目標値演算周期Tの現在の制御時間帯Ωで演算する。PWM指令部46(図7を参照)は、直前の制御時間帯Ωj−1 において演算されているPWM目標値をPWM指令値Pr−SM として受け、そのPWM指令値に見合ったPWM信号Ma ,Mb を現在の制御時間帯Ωの全細時間帯Φ,Φ,Φ,・・・,Φ を使って出力する。
【0035】
図10に示すように、PWM演算部50(図2を参照)から出力されるPWM目標値Pr−P,Pr−V,Pr−Tは、モータ2の最大許容電流に対応するPWM最大許容値Pral−max −P,Pral−max −V,Pral−max −T以下に制限しておくとよい。
【0036】
図2または図43を参照して、PWM演算部50とPWM指令部46との間には、PWM目標値Pr−P,Pr−V,Pr−Tが変更前のPWM目標値と異なる場合に、後続する幾つかの制御時間帯Ω(図45中のΩ,Ωを参照)を使って変更後のPWM目標値に徐々に近づけるためのPWM漸変値Pr−GR を求め、そのPWM漸変値をPWM指令値Pr−SM としてPWM指令部46に出力するPWM漸変値算出部452が設けられ、モータに衝撃を加えることのないPWM信号Ma ,Mb が出力されるようにしたことである。
【0037】
図4を参照して、PWM演算部50の構成は、位置のPWM目標値演算部441P、速度のPWM目標値演算部442V、トルクのPWM目標値演算部443Tのうちの少なくとも二つからなっていることである。
【0038】
位置のPWM目標値演算部441Pには、位置算出部421と制御位置演算部441とが設けられる。位置算出部421は、位置信号計測部42の情報をもとにモータ出力軸2s(図5を参照)の現在位置を算出する。制御位置演算部441は、その位置算出部421の情報と位置の制御目標値DPとをもとに達成すべき位置を演算すると共に、その達成位置に対応したPWM目標値Pr−Pを演算するようになっている。
【0039】
速度のPWM目標値演算部442Vには、速度算出部422と制御速度演算部442とが設けられる。速度算出部422は、位置信号計測部42の情報をもとにモータの現在速度を算出する。制御速度演算部442は、その速度算出部422の情報と速度の制御目標値DVとをもとに達成すべき速度を演算すると共に、その達成速度に対応したPWM目標値Pr−Vを演算する。
【0040】
トルクのPWM目標値演算部443Tには、電流計測部43の情報とトルクの制御目標値DTとをもとに達成すべきトルクを演算すると共に、その達成トルクに対応したPWM目標値Pr−Tを演算する。
【0041】
PWM制御部4と上位制御機器7との間で情報伝達するための情報入出力部5を設け、その情報入出力部には、同期管理部41からの指示に従って上位制御機器7(図2を参照)から制御目標値DP,DV,DTや制御形態F−Nを含む制御入力情報を取り込み、情報ごとにPWM演算部50の格納部に設定する受信部51が備えられている。
【0042】
情報入出力部5には、受信部51を介して問い合わせのあった位置,速度,電流のいずれかの現時点でのデータを、同期管理部41からの指示に従い上位制御機器7に送り出す送信部52が備えられている。
【0043】
電力供給器3を構成するトランジスタTr(図6を参照)は、直流モータ2が装着されている機構体75(図52を参照)の可動部材75aに取り付けられ、その可動部材の動きによってトランジスタが自然空冷され、トランジスタの放熱を促進できるようにしておく。
【0044】
図51を参照して、情報入出力部5は固有の番号を有して複数設けられると共に、シリアル通信用回線61で上位制御機器7に接続される。情報入出力部5ごとに設置された直流モータ2のそれぞれに対して、位置制御,速度制御もしくはトルク制御のいずれかをシリアル通信用回線61を介して、個別に指令しまた変更することができる。
【0045】
図52に示すように、直流モータ2の近傍に情報入出力部5,PWM制御部4,電力供給器3が配置され、複数の直流モータ2を組み込んだ機構体75と上位制御機器7を含む主制御体76とが、シリアル通信用回線61とサーボ電源用動力線62によって接続される。
【0046】
図2に示すPWM制御部4と情報入出力部5とは一つのMPUで構成され、そのMPUには位置検出器1から出力される位置信号Ea ,Eb と電流検出器31から出力される電流信号Cm とが直接入力される一方、電力供給器3へはPWM信号Ma ,Mb を直接出力でき、上位制御機器7と直接に交信できるようになっている。
【0047】
図55に示すように、モータはブラシレス直流モータ2Nとしおくこともできる。
【0048】
【発明の実施の態様】
以下に、本発明に係る直流モータのサーボ制御方法および装置を、その実施の形態を表した図面をもとにして詳細に説明する。図3は、サーボ制御装置85を含むモータ駆動装置88の全体構成を表したブロック図である。これは、サーボ制御装置85が上位制御機器7との間で情報のやり取りをすると共に電力供給器3にPWM信号Ma ,Mb を出力し、直流電源63で直流モータ2を駆動制御することができるようになっている。
【0049】
そのサーボ制御装置85の主たる構成は、図2に示すようにPWM制御部4である。このPWM制御部は、モータ情報検出器35からの現在の情報と上位制御機器7からの制御目標値を含む制御入力情報とによりPWM目標値を演算し、そのPWM目標値に見合ったPWM信号Ma ,Mb を電力供給器3に出力するものである。
【0050】
そのPWM制御部4は、処理指令部4Aと演算処理部4Bとからなる。処理指令部4Aは制御入力情報をもとにした演算処理部4Bでの処理動作を支配するもので、処理統括部40,初期化部411,同期管理部41を有している。演算処理部4BはPWM目標値を求め、その値に見合ったPWM信号Ma ,Mb を生成するもので、その主たる構成はPWM演算部50,PWM目標値選択部45,PWM指令部46である。
【0051】
本発明に係る制御の基本思想は、例えば400μSといった後述する図7に示す極めて短い時間Tの間に予め決められた幾つかの演算を実行させるための制御時間帯Ωという概念を導入していることである。これによって、モータを制御している間は所定の演算を制御時間帯Ωごとに繰り返させることになる。そして、その制御時間帯Ωをn等分した細時間帯Φという概念も導入される。各細時間帯にはt=T/nの時間内に遂行できる処理や演算が割り当てられ、トルク,速度,位置のいずれの制御形態に関する演算も、制御時間帯Ωの単位で見れば並行して処理されるようになっている。これによって、制御形態の変更指令を受ければ、時間遅れを伴うことなく該当する制御形態に移行することが可能となる。
【0052】
上記した制御を可能とするために、本発明においては以下の機能を持った同期管理部41(図2を参照)なる要素が不可欠となる。同期管理部41は、時間tごとに同期管理トリガを発生する。このトリガ信号は、モータへの供給電力を決定するデューティ比を持ったPWM信号Ma ,Mb が割り当てられる周期Tの制御時間帯Ω中に予め決められた全ての処理や演算を行わせると共に、その制御時間帯Ωをn等分して得られる細時間帯Φ,Φ,Φ,・・・,Φn−1 ,Φごとに割り当てられた処理や演算の開始タイミングを教えるものである(図7を参照)。
【0053】
すなわち、一つの制御時間帯Ωは、nが32とすれば理屈上32種類のパルス幅を持ったPWM信号を発生させることができる。しかも、制御目標値に応じた制御形態ごとのPWM目標値を、モータから検出された電流や出力軸の位置検出信号を用いて32のうちのいずれか一つもしくは複数の細時間帯Φを費やして演算するという制御も可能にしている。例えば、後で述べる図7で説明する制御位置演算部441の処理に、二つの細時間帯ΦとΦとが使用される。
【0054】
同期管理部41は、上記したように、各細時間帯Φごとに割り当てられた処理や演算を予め決められたタイミングで開始させるものであるので、全ての演算が一つの制御時間帯Ω内で完了され、割り込み演算もなければ演算時間の引延ばしもなく、全く時間遅れのない処理が実現されるようになっている。この同期管理部41からのトリガ信号に従って演算される制御時間帯Ωにおけるタイミングチャートおよびフローチャートは図7および図22に表されている。なお、nは大きいほどモータに与える実効電流の精度を向上させる。しかし、nを例えば64とすると、一つの制御時間帯Ωにおいて図7に示す位置信号計測部42とPWM指令部46との処理に要する時間が二倍となり、他の予定する各種の演算に充てる時間を大きく減らしてしまう。
【0055】
図2を参照して、前記したPWM演算部50は、制御形態ごとの制御目標値に応じたPWM目標値を、モータ情報検出器35により検出された現状情報を用いて異なる細時間帯Φで演算するものである。PWM演算部50で実行される演算には、位置のPWM目標値の演算,速度のPWM目標値の演算,トルクのPWM目標値の演算と多くて三種類の演算を行う。図2には、位置のPWM目標値演算部441P,速度のPWM目標値演算部442V,トルクのPWM目標値演算部443Tの三つが表されているが、本発明は制御形態の切り替えを円滑にすることを目的の一つとするので、少なくとも二つ演算部を備えていれば、本発明を適用することができる。しかし、制御形態の切り替えを対象としない場合には、例えば位置のPWM目標値演算部441Pのみを備えるサーボ制御装置とすることもできる。なお、各PWM目標値演算部の詳細は後述する。
【0056】
前記したPWM目標値選択部45は、制御入力情報によって指定された制御形態に従い、PWM演算部50で演算されたPWM目標値の中から一つを選択し、それをPWM選択値Pr−SL として出力するものである。図に表されたPWM漸変値算出部452がない場合には、そのPWM選択値Pr−SL はPWM指令値Pr−SM としてPWM指令部46に直ちに入力されることになる。このPWM目標値選択部45には、図4に示すように、指定制御形態格納部451aと指定形態目標値選択部451とが備えられる。この指定形態目標値選択部451は、後述する形態自動変更目標値選択部451bと置き替えてもよい。指定形態目標値選択部は図1中の符号451からも目視的に理解できるように、制御入力情報で指定された指定制御形態格納部451aに格納されている制御形態F−Nに従い、各PWM目標値演算部で演算されたPWM目標値Pr−P,Pr−V,Pr−Tの中から一つを選択するものである。
【0057】
前記したPWM指令部46は、従来技術を説明した図59のところで述べたものと同じ機能を有している。しかし、後で詳しく述べるが、直前の制御時間帯Ωj−1 において選択されたPWM選択値Pr−SL をPWM指令値Pr−SM として受け、そのPWM指令値に見合ったPWM信号Ma ,Mb を現在の制御時間帯Ω中の各細時間帯Φでオン・オフ信号として出力するものである。
【0058】
図2のPWM制御部4に、少なくとも同期管理部41,PWM演算部50,PWM目標値選択部45,PWM指令部46が備わっていると、次のような動作が実現される。まず、制御形態F−N=1,2,3の図1に示す制御目標値DP,DV,DTに応じたそれぞれのPWM目標値Pr−P,Pr−V,Pr−Tが、モータから検出された現状情報Cm を用いてそれぞれ異なる細時間帯Φで演算される。これは、図7の中の番号43,421,422,441,442,443の欄の白い箱で示された時期に処理される。制御入力情報によって指定された制御形態F−Nに従い、PWM目標値Pr−P,Pr−V,Pr−Tの中から一つを現在の制御時間帯Ω内でPWM選択値Pr−SL として選択する。これは、図7中の番号45の欄の白い箱で示された時期に処理される。その一方で、直前の制御時間帯Ωj−1 において選択されたPWM選択値Pr−SL に見合うPWM信号Ma ,Mb は、現在の制御時間帯Ω中の全ての細時間帯Φ,Φ,Φ,・・・,Φ31,Φ32(n=32の場合)で出力される。これは、図7中の番号46の欄の白い箱の時間帯で処理される。その詳しい説明は後で述べる。
【0059】
各細時間帯Φ,Φ,・・・,Φ31,Φ32に割り当てられた処理、例えば位置のPWM目標値の演算,速度のPWM目標値の演算,トルクのPWM目標値の演算は、後述する位置信号計測部42およびPWM指令部46の処理の後に開始される。位置信号計測部42およびPWM指令部46は同期管理部41の欄の黒い棒(図7を参照)で示す予め決められたタイミングで開始されるので、細時間帯Φにおける残り時間でPWM目標値の演算や選択が実行される。なお、各PWM目標値の演算の量は、それぞれの細時間帯内で完了できる程度にとどめられている。従って、一つの細時間帯Φで処理しきれない場合には、複数の細時間帯Φが割り当てられることは既に述べた。このようにして、一つの制御時間帯Ωにおいて、全ての処理が完遂される。
【0060】
上記したように各制御時間帯Ωは32の細時間帯Φ,Φ,・・・,Φ32を持ち、各細時間帯でオンかオフかのPWM信号が出力され、一つの制御周期Tにおいては1/32ないし32/32のデューティ比、すなわち1から32のいずれかの幅を持つパルスが電力供給器3に出力される。後述する図9において、左側の制御時間帯Ω,Ωj+1 では6のパルス幅で正転するPWM信号Ma が、右側の制御時間帯Ωj+8 ,Ωj+9 では3のパルス幅で逆転するPWM信号Mb が示されている。なお、左側と右側とでパルス幅や回転方向が異なっているのは、左右の中間部分にある図示しない制御時間帯例えばΩj+5 において、制御目標値および/または制御形態が変更されているからである。
【0061】
本発明の基本的な思想は以上のとおりであるが、ここで具体的な構成要素について個々に説明する。前記したモータ2の現在の情報を検出するモータ情報検出器35は、モータ出力軸の位置信号Ea ,Eb (図3を参照)を検出する図2に示した位置検出器1および/またはモータに供給されている電流Cm を検出する電流検出器31である。なお、速度検出器は設けられておらず、後述するが、時間Tの間に位置検出器1で検出された位置の増減値dPがモータ速度に充てられる(図26の(a)のステップ5502を参照)。
【0062】
図5の(a)は、位置検出器1の一例である。これは、一回転当りN個、例えば100の位置信号Ea ,Eb を発生する回転ディスク11と、相互に対面する二組のセンサ12,13とからなるエンコーダである。回転ディスク11はモータ2の出力軸2sに固定され、N個のスリット11aがピッチα=360°/Nで形成されている。各組のセンサは発光素子12a,13aと受光素子12b,13bからなり、スリットのピッチの四分の一(α/4)で配置される。その結果、位置信号Ea ,Eb は90度の位相差を持って発生する。出力軸2sが正転するときは図5の(b)に示すように信号Ea がEb より先行し、逆転すると図5の(c)のように信号Ea がEb より遅れる。ちなみに、図5の(b)および(c)には、図5の(a)の状態に相当する部分が白矢印で示されている。この位置検出器1の出力信号は後述する位置信号計測部42(図2を参照)で処理される。
【0063】
図3に示す電流検出器31は、直流モータ2を流れる電流Cm を検出するものであることは言うに及ばない。この電流検出器31で検出された信号は、図2に示す電流計測部43に内蔵した図示しないA/D変換器でデジタル値に変換して計測される。こうして計測された電流値は、トルクのPWM目標値の演算に供せられる。
【0064】
サーボ制御装置85と直流モータ2との間には、モータ情報検出器35と共に電力供給器3も設けられている。この電力供給器3も、従来技術を説明した図59のところで述べたものと同じ機能を有している。図6は電力供給器3の一例を示す。ブラシ付き直流モータの場合、4つのトランジスタが使用されている。PWM信号Ma がオンになるとトランジスタTr1とTr4とが導通してサーボ電圧VsrがアースGndとの間にかかり、一点鎖線で示す方向に電流が発生して、直流モータ2を回転させる。PWM信号Mb がオンするとトランジスタTr2とTr3とがオンし、直流モータ2は逆転する。前述した制御時間帯においてデューティ比が大きければ、PWM信号はオンとなる時間が長く、直流モータ2に流す実効電流は大きくなる。
【0065】
ちなみに、トランジスタは放熱が悪いと、電力供給器3としての機能を損なう。そこで、トランジスタを直流モータ2が装着されている機構体75(後述する図52を参照)の可動部材に取り付けるようにしておくことが好ましい。可動部材とはモータで動かされるロボットアーム75aや走行台車それ自体を指す。部材が動けばトランジスタに空気が自然供給され、トランジスタを空冷できるからである。
【0066】
従来は、トランジスタを動くことのない上位制御機器に取り付けておき、電力供給器にフィンを設けて放熱をしやすくしていた。上記のようにトランジスタが可動部材に取り付けられると放熱フィンは不要となり、制御装置の小型化が図られる。一つの上位制御機器で複数のモータを制御するような場合に、電力供給器が上位制御機器に取り付けられていると、上位制御機器上の電力供給器と機構体上のモータとを接続する配線がモータごとに必要となる。それゆえに、ワイヤ本数が多くなったりハーネスが太くなるといった問題がある。しかし、後述する図51や図52に示すように、電力供給器3を可動部材75aに取り付けてモータ2の近傍に設けるようにすれば、ワイヤ本数を減らすことができるだけでなく、後述するシリアル通信も可能となる。
【0067】
次に、PWM制御4の構成を説明する。制御時間帯Ωの周期をT秒、分割数をnとすれば、一つの細時間帯Φに割り当てられる時間tはT/nとなる。同期管理部41の指示のもとに、t秒ごとの細時間帯Φで実行される演算の種類とT秒の制御時間帯Ωで順次処理される例を、図7のタイミングチャートを用いて説明する。
【0068】
図2に表されている位置信号計測部42での処理は、一つの制御時間帯Ωの全ての細時間帯Φ,Φ,Φ,・・・,Φ31,Φ32で実行される(図7の位置信号計測部42の欄を参照)。すなわち、t秒ごとに発せられる同期管理トリガを受けた直後に、出力軸の位置信号の検出が開始される。この処理のフローチャートは図23に示され、後述する図8の要領によって位置の増減値が計測される。図23を参照して簡単に述べると、位置検出器(エンコーダ)から位置信号Ea ,Eb を取り込み、Ea =0,Eb =0のときは記憶値P=0、Ea =1,Eb =0のときはP=1、Ea =1,Eb =1のときはP=2、Ea =0,Eb =1のときはP=3と置かれる。これらの記憶値をもとにして、位置の増減値dPが算出されるようになっている。
【0069】
図7に示すように、後述する位置算出部421は周期T秒の一つの制御時間帯Ωにおいて一回実行される。すなわち5番目の細時間帯Φにおいて、図示しない直前の制御時間帯Ωj−1 における細時間帯Φから現在の制御時間帯Ωにおける細時間帯Φまでの時間Tに等しい期間の位置増減値dPをもとにして、モータ出力軸の現在位置Pが算出される。この増減値dPは、エンコーダのカウント数に対応する。現在位置Pの算出は、図26の(a)のフローチャートに従う。なお、エンコーダのカウントは、スリットの1ピッチの間に上記したP=0,P=1,P=2,P=3の四種類が現れる。従って、計測精度λpは360度/(N×4)=90/N [度] となる。それゆえ、計測誤差は、N=100の場合、0.9度にとどまる。
【0070】
図7に示した細時間帯Φ(i=6)で実行される速度算出部422での演算は図27の(a)のフローチャートに示され、現在の制御時間帯Ωの細時間帯Φで算出された最新の増減値dPに基づく速度Vとそれ以前の時間Tに等しい三つの期間(制御時間帯Ωj−4 のΦからΩj−3 のΦまで、制御時間帯Ωj−3 のΦからΩj−2 のΦまで、制御時間帯Ωj−2 のΦからΩj−1 のΦまでの期間)における増減値に基づく速度の平均値 をもって、直流モータの回転速度とされる。直流モータ2が1分間に一回転しているときの信号の変化回数So は、(N×4)×60[ 回/rpm] となる。従って、(T×4)秒の間に計測された回転速度Vを用いて、直流モータ2の回転速度NrはV/So で与えられる。
【数2】
Figure 0003542032
計測精度λvは、Vに1を代入した値であって、次のように表される。
【数3】
Figure 0003542032
測定可能な最大速度Nrmax は、Vにn×4を代入した値であり、以下のようになる。
【数4】
Figure 0003542032
ちなみに、速度計測の範囲は1:(4×n)である。
【0071】
図7に表されているPWM指令部46は位置信号計測部42での処理の直後に開始され、PWM信号Ma ,Mb のオンまたはオフの信号を出力する。これも、一つの制御時間帯Ωの全ての細時間帯Φ,Φ,Φ,・・・,Φ31,Φ32において実行される。処理のタイミングが図9に、フローチャートは図24に示される。この結果、電流指令の範囲は1ないしnとなる。よって、最大電流をImax とすれば最小電流Imin はImax /n [A] と表される。ちなみに、制御周波数Hは1/T/1,000 [KHz] である。
【0072】
制御性能の実用性を示すために、具体的な数値例を掲げる。例えば、制御周期Tを400μS、制御の分割数nを32、エンコーダ1のスリット11aの数を100、モータに供給される最大電流を3A(アンペア)とする。制御周期は以下のようになる。
【数5】
Figure 0003542032
最小の同期指示信号の発生時間tは、次のとおりである。
【数6】
Figure 0003542032
速度の計測精度λvは、以下のようになる。
【数7】
Figure 0003542032
測定可能な最大速度Nrmax は、次のとおりとなる。
【数8】
Figure 0003542032
最小電流Imin は3/32=0.094となり、約0.1Aを実現することができる。
【0073】
図2に戻って、PWM制御部4における上記した以外の構成を述べる。図2に示したトルクのPWM目標値演算部443Tには、図4に表したように、トルク目標値格納部443a,制御トルク演算部443および制御トルク演算用データ記憶部443bが設けられる。制御トルク演算部443は、電流計測部43の情報とトルク目標値格納部443aに格納されたトルク制御目標値DTとをもとに、達成すべきトルクTdをPI演算(比例積分演算)する。そして、その演算トルクTdに対応したPWM目標値Pr−Tを演算し、前記した指定形態目標値選択部451に出力するようになっている。なお、電流計測部43における処理を表わしたフローチャートは次に説明する図25に示され、制御トルク演算部443におけるPI演算によるPWM目標値を生成するフローチャートは、図30に示されている。
【0074】
図22を参照して、電流計測部43の処理には長い時間を要するので、二つの細時間帯Φが使用される。細時間帯Φ(i=3)においては、図25のステップ5102でA/D変換器による計測を開始するための各種設定が行われる。そして、次の細時間帯ΦでA/D変換器のデータを取り込み(S5301)、現在のトルクTが演算される(S5302)。この値は後述する式(7)のPI演算に供せられる。
【0075】
いま、電力供給器3に供給する直流電源のサーボ電圧をVsrとする。Vsrは直流モータの定格電圧Vrated より充分大きく設定される。直流モータの抵抗をRmot ,インダクタンスをLmot ,誘起電圧定数をKe とし、モータの角速度をωで表すと、直流電圧Vsrの供給を受けて直流モータ2に電流Cm が流れている状態は、次式で表される。
【数9】
Figure 0003542032
電流Cm が最大値Cm −maxとなるのは、直流モータの回転速度ωが0のときであり、次式で表現される。
【数10】
Figure 0003542032
【0076】
ところで、直流モータには、最大電流Cm −maxよりも小さい電磁気的に許容し得る最大許容電流Cm al−maxが仕様として決められている。この値は直流モータの機種によって異なり、直流モータはこの最大許容電流Cm al−maxを越えると、性能の劣化や破損を起す。そこで、制御トルク演算部443で演算されたPWM目標値Pr−TがPWM指令値Pr−SM として選択される前に、最大電流Cm −maxに対応するPWM最大値Pr−max −Tより小さいPWM最大許容値Pral−max −Tを越えることがないように設定しておく必要がある。最大許容値Pral−max −Tは、次式で与えられる。
【数11】
Figure 0003542032
【0077】
nは一つの制御時間帯Ωの分割数であり、int は端数を切捨てることによって得られた整数を示す。直流モータ2に最大許容電流Cm −maxを流したときに発生する最大トルクTM−max は、直流モータのトルク定数Kt で決まり、次式で表される。
【数12】
Figure 0003542032
上位制御機器7は、当然この状況を把握してモータ制御の目標値DTを指示する。よって、原則的には、次式を満たすDTが与えられる。
【数13】
Figure 0003542032
【0078】
制御時間帯Ωにおいてトルクの目標値がDTのときに演算されるトルク値は、直後の制御時間帯Ωj+1 におけるPWM制御のデューティ比を与えるもとになる。このデューティ比によって得られる制御幅Pr−Tは正負の符号を持ち、絶対値は0から前述したPral−max −Tの範囲内で与えられる。静的には、次式のように表される。
【数14】
Figure 0003542032
【0079】
しかし、式(1)には角速度ωが存在するので、制御の即応性や安定性を考慮して、動的にはトルクのPWM目標値Pr−Tを次式で示すPI演算で算出することにする。
【数15】
Figure 0003542032
ただし、KptはPI演算の比例定数であり、Kitは積分定数である。
【0080】
式(7)の制御幅Pr−Tはトルク制御のPWM目標値を意味しており、これがトルク演算値 にほぼ比例する関係にある。それが図10の(c)に表されている。デューティ比の最大はn=32としたことから32/32になるが、このデューティ比では上記したようにモータ性能の劣化や破損を惹き起こすことになるので、Pral−max −Tとして例えば28/32のデューティ比をもって最大値とされる。従って、Pr−Tとして28より大きな値が出るようなことがあれば、それは28にとどめられる。これによって、トルクに関して演算されたPWM目標値はモータ2の最大許容電流に対応するPWM最大許容値Pral−max −T以下に制限されることになる。
【0081】
以上説明した制御トルク演算部443における演算を図30のフローチャートに示す。フローチャートにおける演算の例は、CT−1ないしCT−4のデータで示すように、遡る四つの制御時間帯Ωj−4 ,Ωj−3 ,Ωj−2 ,Ωj−1 における誤差の積分として示されている。フローチャート内に記載した二つの比較器(ステップ6709と6710を参照)は、トルクのPWM目標値が最大許容電流を超えない範囲にあるかどうかを確認している。超えている場合には、最大許容値Pral−max −Tでとどめられることは上記のとおりである(ステップ6711,6712を参照)。
【0082】
次に、図2に示した位置のPWM目標値演算部441Pについて説明する。位置のPWM目標値演算部441Pには、図4に示すように、位置目標値格納部441a,位置算出部421,制御位置演算部441および制御位置演算用データ記憶部441b,位置算出用データ記憶部421bが設けられる。位置算出部421は位置信号計測部42の情報をもとにモータ2の現在位置を算出するもので、その処理は図26の(a)のフローチャートに示される。なお、位置信号計測部42の処理のフローチャートは図23に示されている。制御位置演算部441は位置算出部421の情報と位置目標値格納部441aに格納されている位置制御目標値DPとをもとにして、達成すべき位置PdをPI演算する。そして、その演算位置に対応したPWM目標値Pr−Pを演算して指定形態目標値選択部451に出力するようにしている。
【0083】
この処理のフローチャートは、図28に表されている。まず、位置制御の目標位置がDPとして指示され、直前の時間Tにおける増減値dPを加味した出力軸の位置P 、位置算出部421の演算(図26の(a)のステップ5501を参照)使用される。目標位置との差分による比例項と時間Tに等しい四つの期間における誤差の積分を用いて、次式に基づきPWM目標値Pr−Pが演算される。
【数16】
Figure 0003542032
ただし、KppはPI演算の比例定数であり、Kipは積分定数である。
【0084】
式(8)のPr−Pは位置制御におけるPWM目標値を意味しており、これは位置演算値 とほぼ比例する関係にあって、図10の(a)に表されている。デューティ比の最大は32/32となるが、Pral−max −Pとしては、PWM最大値Pr−max −Pよりは小さい例えば28/32のデューティ比をもって最大値とされる。従って、Pr−Pは28より大きい値となることはなく、位置に関して演算されるPWM目標値は、モータ2の最大許容電流に対応するPWM最大許容値Pral−max −P以下に制限される。
【0085】
以上説明した制御位置演算部441における演算を、図28のフローチャートに示す。フローチャートにおける積分の例はCP−1ないしCP−4のデータで示すように、時間Tからなる連続して遡る四つの期間における誤差の積分として示される。フローチャート内に記載した二つの比較器(ステップ6003と6004を参照)は、位置のPWM目標値が最大許容電流を超えない範囲にあるかどうかを確認している。超えている場合には、最大許容値Pral−max −Pにとどめられる(ステップ6005,6006を参照)。
【0086】
図26の(a)のフローチャートにおいて後で述べるが、モータから検出された出力軸の位置情報は、制御時間帯Ωにおける出力軸の現在位置を演算する細時間帯Φから遡るn個の細時間帯Φで検出されている出力軸の位置信号Ea ,Eb を積算して得られた増減値を、時間T遡った細時間帯Φすなわち直前の制御時間帯Ωj−1 における細時間帯Φで求められている位置情報Pに加算して得るようにしている。これを、図22で説明すると、位置算出部42はカウンタのiが5のとき、すなわち細時間帯Φで動作するようにスケジュールされている。一方、位置信号計測部42はいずれの細時間帯Φにおいても動作する(ステップ44を参照)。それゆえ、位置算出部42では、位置算出部42より先にスケジュールされている位置信号計測部42がi=5のとき検出した信号をも使用して、増減値dPを演算することができる。従って、現在位置を算出するための増減値dPを与える信号は、直前の制御時間帯Ωj−1 における細時間帯Φ,Φ,・・・,Φ31,Φ32と現在の制御時間帯ΩでのΦ,Φ,・・・,Φで検出されたものが充てられる。
【0087】
ここで、図23を考慮しながら図8を参照して、位置信号Ea ,Eb から位置の増減値dPを求める過程を説明する。いま、制御時間帯Ωj−1 におけるi=6の細時間帯Φに着目する。エンコーダ信号Ea オフであり、Eb はオンであるからEa =0,Eb =1であり、現在位置記憶値Pは3となる。図の例では直前のPも3であるので、Pが3と置かれる。i=7では、i=6と同じくEa =0,Eb =1である。現在位置記憶値Pは3となる。i=6のときのPが3であるので、i=7のときのPも3と置かれる。i=8ではEa ,Eb 共にオフであるから、Ea =0,Eb =0であり、現在位置記憶値Pは0となる。直前のPが3であるので、Pは3と置かれる。i=9では、i=8と同じくEa =0,Eb =0である。現在位置記憶値Pは0となる。i=8のときのPが0であるので、i=9のときのPも0と置かれる。i=10では信号Ea が立ち上がってオンであり、Eb は依然としてオフであるからEa =1,Eb =0であり、現在位置記憶値Pは1となる。i=9のときのPが0であるので、i=10のときのPも0と置かれる。i=11では、i=10と同じくEa =1,Eb =0である。現在位置記憶値Pは1となる。i=10のときのPが1であるので、i=11のときのPも1と置かれる。i=12では、i=11と同じようにEa =1,Eb =0である。現在位置記憶値Pは1となる。i=11のときのPが1であるので、i=12のときのPも1と置かれる。i=13では信号Ea は依然としてオンであるが、Eb は立ち上がってオンとなっているからEa =1,Eb =1であり、現在位置記憶値Pは2となる。i=12のときのPが1であるので、i=13のときのPも1と置かれる。i=14では、i=13と同じくEa =1,Eb =1である。現在位置記憶値Pは2である。i=13のときのPが2であるので、i=14のときのPは2と置かれる。i=15では信号Ea が下がってオフであり、Eb は依然としてオンであるからEa =0,Eb =1であり、現在位置記憶値Pは3となる。i=14のときのPが2であるので、i=15のときのPも2と置かれる。
【0088】
ところで、いずれの細時間帯Φにおいても、現在記憶値Pと前回の記憶値Pとの差Pi−0 が求められる。その値は1,−3,−1,3以外0である。0をオフとみなして、0以外をオンと扱い、そのオンの数を積算すると位置の増減値dPを得ることができる。なお、i=6からi=15までの信号Ea ,Eb の1サイクルにおけるP,Pを図8を用いて上で説明したが、その間に信号が変化する回数は4であることが分かる。図8の例では、制御時間帯Ωj−1 におけるi=29(細時間帯Φ29)までは位置信号Ea がEb に先行しているので正転している。i=30(細時間帯Φ30)以降は位置信号Ea がEb に遅れているので逆転している。従って、例えば制御時間帯Ωj−1 のi=6から制御時間帯Ωのi=5までの32個の細時間帯Φの増減値dPは9−3=6となっている。言うまでもなく、9は正転時の積算数であり、3は逆転時の積算数である。ちなみに、制御時間帯Ωj−1 のi=1からi=32までを見るならば、その増減値dPは11−2=9である。
【0089】
次に、図2に示した速度のPWM目標値演算部442Vについて、その構成を述べる。速度のPWM目標値演算部442Vには、図4に示すように、速度目標値格納部442a,速度算出部422,制御速度演算部442,および速度算出データ記憶部422b,制御速度演算データ記憶部442bが設けられている。速度算出部422は、図27の(a)に表されているフローチャートに従い、位置信号計測部42の情報をもとにモータ2の現在速度を算出する。なお、上記したモータ出力軸の位置信号Ea ,Eb の増減値dPはそのまま出力軸の速度を意味するので、図26の(a)の位置算出部421の処理を示すフローチャートでは、現在位置を演算し終えた後のステップ5502において増減値dPを速度とすべくV=dPと置いて、このVが図27の(a)の速度算出部422の処理を示すフローチャートのステップ5704で使用されるようにしている。
【0090】
速度算出部422での処理をもう少し詳しく述べる。直流モータの回転速度Vは、時間Tからなる連続して遡る四つの期間における平均速度として算出される。速度算出部42での処理は、図27の(a)のごとくに扱われる。直流モータ2が1秒間に一回転しているときの信号の変化回数So は、次式で与えられる。
【数17】
Figure 0003542032
直前の時間Tの期間における位置の変化dP(=V)をもとに、それより遡る時間Tに等しい三つの期間における速度の総和から、直流モータ2の回転速度Vは、次式で算出される。
【数18】
Figure 0003542032
【0091】
次に、制御速度演算部442は、速度算出部422の情報と速度制御目標値DVとをもとに達成すべき速度を演算すると共に、その達成速度に対応したPWM目標値Pr−Vを演算する。
【0092】
直流モータに定格電圧Vrated を印加した定格状態では、定格回転数Nrated で回転する。ここでは回転速度をrpsで扱う。本発明において定格状態を維持するには、サーボ電圧Vsrが実効値でVrated となるようにPWM制御の幅が設定される。このための、速度演算値Pr−V ratedは、次式となる。
【数19】
Figure 0003542032
よって、目標とする直流モータの速度がDVの場合、静的な速度演算値は、以下のようになる。
【数20】
Figure 0003542032
しかし、トルク制御と同様に制御の即応性や安定性を考慮して、速度演算値は次式で示すPI演算によるものとする。
【数21】
Figure 0003542032
ただし、KpvはPI演算の比例定数であり、Kivは積分定数である。
【0093】
式(13)のPr−Vは速度制御におけるPWM目標値を意味しており、これは速度演算値 とほぼ比例する関係にある。それが図10の(b)に表されている。Pral−max −Vとしては、PWM最大値Pr−max −Vよりは小さい例えば26/32のデューティ比をもって最大値とされる。従って、Pr−Vとして26より大きな値が算出されるようなことがあれば、それは26にとどめられる。これによって、速度に関して演算されたPWM目標値がモータ2の最大許容電流に対応するPWM最大許容値Pral−max −V以下に制限される。
【0094】
以上説明した制御速度演算部442における演算を図29のフローチャートに示す。フローチャートにおける積分は、CV−1ないしCV−4のデータで示すように、時間Tからなる連続して遡る四つの期間における誤差DV−Vを積分した例となっている。フローチャート内に記載した二つの比較器(ステップ6503,6504を参照)は、速度のPWM目標値が最大許容電流を超えない範囲にあるかどうかを確認している。超えている場合には、最大許容値Pral−max −Vでとどめられる(ステップ6505,6506を参照)。
【0095】
ところで、PWM制御部4は上位制御機器7との間で直接情報伝達してもよいが、図2に示すように、サーボ制御装置85に情報入出力部5を設けておくとよい。この情報入出力部5は、図4に示すように、受信部51と送信部52とから構成されるが、受信部51のみであってもよい。受信部51は、同期管理部41からの指示に従い上位制御機器7の送信部72(図3を参照)から制御目標値DP,DV,DTや制御形態F−Nを含む制御入力情報を取り込み、情報ごとにPWM演算部50の格納部に設定するものである。なお、送信部52は、受信部51を介して問い合わせのあった位置,速度,電流のいずれかの現時点でのデータを同期管理部41からの指示に従い上位制御機器7の受信部71(図3を参照)へ送り出すものであるが、その動作については、図14,図15,図16のタイミングチャートを用いて後述することにする。図3において符号の64はコンデンサであり、モータ起動時の電流が急激に大きく立ち上がらないようにして電圧降下を防止しておくためのものである。ちなみに、上位制御機器7では、直流電源63の操作によってPWM制御部4および情報入出力部5を起動してから少なくとも一つの制御周期以上の時間が経過した後に、情報入出力部5へ制御入力情報の信号が、送られるように設定されている。
【0096】
ここで、図2の処理指令部4Aに含まれている初期化部411について説明する。本発明に係るサーボ制御装置は幾つものソフトウエアを複合して形成したものであるが、演算に先だち情報入出力部5をリセットしたり、演算上必要となる初期値もしくは暫定値を与えておくことが必要となる。すなわち、サーボ制御開始後最初の制御時間帯Ωにおける演算を開始する前に、演算の対象とする全ての制御目標値DP,DV,DTと制御形態F−Nについて暫定値を与える。そのために、サーボ制御開始後は予め決められた時間u(図13の上部分を参照)を消費することになる。従って、最初の制御時間帯Ωにおける演算は、時間uが経過した時点から実行される。
【0097】
以上述べたPWM制御部4と情報入出力部5とは、一つのマイクロプロセシングユニットMPUで構成される。このMPUには位置検出器1から出力される位置信号Ea ,Eb と電流検出器31から出力される電流信号Cm とが直接入力される一方、電力供給器3へはPWM信号Ma ,Mb を直接出力できる。そのうえ、上位制御機器7とは直接交信もできる。従って小さなチップ一つを用いて直流モータをサーボ制御できることになり、位置や速度を検出するためのカウンタを必要とせず、MPUに直接信号を取り込むことにより、極めて小型で簡単なハードウェアの制御装置とすることができる。さらには、外部からの信号に基づく割り込み処理を伴わず、同期管理部の指令に基づいて外部信号の取り込み,演算,生成信号の出力を行うことができる。これによって、全ての処理が予め設定した時間内に確実に実行され、また割り込み処理のための時間的余裕を設けておく必要もなく、無駄時間の少ない極めて信頼性の高いサーボ制御が実現される。
【0098】
次に、サーボ制御装置による処理を、直流モータで動く走行台車が平地を加速,定速走行,減速,停止するまでに当てはめて説明する。説明を簡単にするために、走行台車が始動してから停止するまで図11に示すように、37個の制御時間帯を消費するものとする。初期化の後、制御時間帯ΩからΩ12まではトルク制御によって走行台車を出発位置から加速させ、制御時間帯Ω13からΩ32までは速度制御によって移動させ、制御時間帯Ω33からΩ37までは位置制御によって減速し、停止させようとするものとする。理解を深めるために、制御時間帯Ω23で速度制御の制御目標値をも変更する例としている。実線で示すPWM指令値Pr−SM は、図12中のPr−SM の欄の数字に対応している。また、図13,図14,図15,図16のタイミングチャートも図11に対応して表されている。なお、図14,図15,図16では、図13に表されている細時間帯Φ14ないしΦが割愛されている。
【0099】
以下にフローチャートも参照しながら、全体の動作を説明する。図17は全体の流れを極めて大雑把に示している。図3に示す上位制御機器7が直流電源63のスイッチを入れると、直流モータ2をサーボ制御するPWM制御部4および情報入出力部5を構成するマイクロプロセシングユニットMPUへは、動力線62からDC/DC変換器65を介して電力が供給される(フローチャートのステップ1、以下S1などと記す)。図13の左上部分に示すようにMPUの電源電圧が上昇すればパワーオンリセットとなり、初期化部411が作動してPWM制御部4と情報入出力部5とが初期化される(S20)。初期化のために時間uを消費するが(S30)、その後はPWM制御部4の処理指令部4Aからの指令を受けて、演算処理部4Bが動作を開始する(S40)。上位制御機器7からの指令を受けて電力の供給が途絶えるまでは(S80)、処理指令部4Aの同期管理部41が予め決められた処理の実行を繰り返させるように同期管理トリガを発する。
【0100】
図18は、サーボ制御装置85の初期化のためのフローチャートである。まず、初期化部411がサーボ制御装置を構成するハードウエアのリセットを指令する(S21)。この処理は、図19に示すように、受信部51に記憶されたデータを消去し(S211)、送信部52に記憶されたデータも消去する(S212)。そして、電流計測部43内のA/D変換器もリセットされる(S213)。
【0101】
ハードウエアのリセットが終了すると、図18に戻って、制御対象である直流モータ2の現状確認が行われる(S22)。これは、図5に示したエンコーダ1におけるセンサ12,13と回転ディスク11のスリット11aとの初期位置関係を予め記憶しておくためである。この初期位置関係は信号計測部42の動作を説明する図23の前半部分と同じ挙動であり、図20のような過程を経て検出される。図5の(a)のような位置関係の場合には、Ea が1であってEb が0であるので、ステップ221からステップ223をたどり、P=1となる(S226)。従って、後述する図23のステップ4408の演算に供されるPが1であると位置検出用データ記憶部42b(図4を参照)に記憶される。
【0102】
直流モータ2の現状確認が終了すると、図18に戻って、サーボ制御装置85を構成するソフトウエアのリセットが指令される(S23)。図21に示すように、まず、位置目標値格納部441a(図4を参照)に納められている位置目標値DPが0と置かれ、図28の制御位置演算部441での演算に供される記憶値CP−1,CP−2,CP−3も0にセットして、制御位置演算用データ記憶部441bに記憶される(S231)。速度目標値格納部442aに納められている速度目標値DVは最大許容速度Val−max、例えば165rpsと設定され、図29の制御速度演算部442での演算に供される記憶値CV−1,CV−2,CV−3は0にセットして、制御速度演算用データ記憶部442bに記憶される(S232)。トルク目標値格納部443aに納められているトルク目標値DTも最大許容値Tal−max例えば2kgf・cm(≒0.2N・m)と設定され、図30の制御トルク演算部443での演算に供される記憶値CT−1,CT−2,CT−3は0にセットして、制御トルク演算用データ記憶部443bに記憶される(S233)。続いて、図31における選択操作に供されるF−Nが0と置かれて、指定制御形態格納部451aに記憶される(S234)。これによって、位置制御,速度制御,トルク制御のいずれもが行われない状態に置かれる。
【0103】
図23のステップ4412,4413の演算に供されるdPが0と置かれ(S235)、これが位置検出用データ記憶部42bに記憶される。図26において位置算出に供されるPも0と置かれ、位置算出用データ記憶部421bに記憶される(S236)。さらに、図27の(a)の速度算出のための演算上の記憶値であるV−1,V−2,V−3も0と置かれ、速度算出用データ記憶部422bに記憶される(S237)。そして、図24に基づいた演算に供されるPWM選択値Pr−SL が0と置かれ、PWM指令用データ記憶部46bに記憶される(S238)。なお、まだ殆ど説明していないPWM漸変値算出部452が設けられている場合には、図44の(a)に基づいた演算に供されるPWM選択値Pr−SL やRe−1,Re−2,Re−3も0と置かれ、漸変値算出用データ記憶部452bに記憶される(S238a,S238b)。
【0104】
以上の初期化動作は図13のタイミングチャートにも表されているとおりであるが、初期化部411が動作を始めたときからタイマが作動するようになっている。タイマに設定された時間は、図18のステップ21からステップ23の初期化を完了させるに充分な例えば500μSに設定される。図17に戻って、所定時間uが経過すると(S30)、同期管理部41は演算処理部4Bにおける連続した繰り返し処理を実行させる(S40)。
【0105】
同期管理部41は以下のような繰り返し処理を指令し、それによって直流モータ2がサーボ制御される。図22においてカウンタのiが0と置かれる(S41)。このカウンタiはnになるまで順次1が加算されるが(S42)、nを前述したごとく32とすると、同期管理部41からT/n=400/32=12.5μSごとに同期管理トリガが出力され(S43)、所定の処理や演算が実行される。
【0106】
同期管理トリガがあると、まず位置信号計測部42の作動が指令され(S44)、図23に従う処理が行われる。直流モータはまだ動いておらず、従って図5の(a)の状態にある。すなわち図20の初期化のステップ226でP=1を得たときの同じく、Ea がオンでありEb はオフである。これが図8の制御時間帯Ω(=Ωj−1 )におけるi=1(細時間帯Φ)の矢印A(左上部分)のところに表されている。図23においてはステップ4401からステップ4403をたどり、Pi は1と置かれる(S4406)。そこで、ステップ4408においては、いま検出されたPi から記憶値P(図20のステップ226を参照)の差であるPi−0 が計算される。Pi−0 =1−1=0であり、ステップ4409で位置信号計測部42における処理は終了する。すなわち、モータの出力軸の位置の増減はなかったと判定され、従って位置の増減値を表すdPは初期化のステップ235(図21を参照)で0と置かれたままとされる。
【0107】
この位置信号計測部42における処理が終了すると、図22のステップ45に入り、同期管理部41によって直ちにPWM指令部46の作動が指令され、図24に従った処理が行われる。いまはi=1であるので(S4501)、初期化時に0と設定されているPr−SL によって、Pr−SM は0と置かれる(S4502)。ステップ4503でPr−SM が0より大きくないと判定されるので、ステップ4506でMs =1、ステップ4507でMn =0、ステップ4508でMn =−1とされ、このMn の値が記憶される。ステップ4509をたどってMa =0,Mb =0が選定され(S4511)、これがPWM信号として電力供給器3に出力される(S4514)。図6に示す電力供給器3にMa =0,Mb =0が入るといずれのトランジスタTr,Tr,Tr,Trもオフのままとされ、結局は直流モータを回転させることがない。ステップ4514が終了した時点で同期管理部41は、図22において次の処理を指令する。まだi=1であるので(S46)、受信部51の処理が開始される(S47)。しかし、初期化の直後であるので、受信部51は図19のステップ211でリセットされた状態にある。制御の目標値や制御形態の種類を受け取ることができず、各格納部に初期化したときの暫定値を残したまま、制御はリターンされる。図22のステップ42でカウントに1が加算された後(i=2)、同期管理トリガの到来を待つ。
【0108】
12μSが経過して次のトリガ信号があると(S43)、細時間帯Φに入り、再度位置信号計測部42が図23に基づいて動作する(S44)。モータは動いていないので、ステップ4401からの処理はi=1のときと同じである。続いて、PWM指令部46が図24に基づいて動作する(S45)。いまはi=2であるのでステップ4501からステップ4508へ跳び、Mn は記憶されている「−1」から1が引かれて「−2」となる。ステップ4509をたどってMa =0,Mb =0が選定され(S4511)、これがPWM信号として電力供給器3に出力される(S4514)。図6に示す電力供給器3においてはMa =0,Mb =0が入るので依然として直流モータ2に電力が供給されることはない。なお、以後iが3,4,・・・,32と変遷してもMn はマイナスの値を増やすだけであり、直流モータ2が回り出すことはない。いまはi=2であるので(図22のステップ48を参照)、送信部52の処理が開始される(S49)。初期化の直後であって送信部52は図19のステップ212でリセットされた状態にあり、位置や速度や電流の現在情報を送り出すことはできず、制御はリターンされる。図22のステップ42でカウントに1が加算された状態で(i=3)、同期管理トリガの到来を待つ。
【0109】
細時間帯Φに入ると、位置信号計測部42が図23に基づいて動作する(S44)。モータは動いていないので、ステップ4401からの処理はi=1のときと同じである。続いて、PWM指令部46が図24に基づいて動作する(S45)。iが1でないので、ステップ4501からの処理はi=2のときと同じである。いまはi=3であるので(S50)、電流計測部43の前半部分の処理が開始される(S51)。図25のステップ5102で計測を開始するための各種設定がA/D変換器で行われ、計測可能な状態に置かれて制御はリターンされる。
【0110】
細時間帯Φに入ると、位置信号計測部42はi=1のときと同じ動作を繰り返し、PWM指令部46はi=2のときと同じ動作を繰り返す。いまはi=4であるので(S52)、ステップ53で電流計測部43の後半部分である図25のステップ5301,5302の処理がステップ5101を経て開始される。しかし、モータは回転していないので、検出電流Cm は0であり、現在トルクTは0と演算され、制御はリターンされる。細時間帯Φに入り、位置信号計測部42はi=1のときと同じ動作を繰り返し、PWM指令部46はi=2のときと同じ動作を繰り返す。いまはi=5であるので(S54)、位置算出部421での処理が開始される(S55)。これは、図26の(a)に基づき処理される。モータ出力軸の現在位置Pや位置の増減値dPは図21のステップ236や235で0と置かれているので、ステップ5501でPは0とされる。そして、ステップ5502で回転速度Vも0と置かれる。このようにしてモータに動きのないことを確認して、制御はリターンされる。
【0111】
細時間帯Φに入り、位置信号計測部42はi=1のときと同じ動作を繰り返し、PWM指令部46はi=2のときと同じ動作を繰り返す。i=6であるので(S56)、速度算出部422での処理が開始される(S57)。この処理は、図27の(a)に基づいて処理される。V−1,V−2,V−3が図21のステップ237で0と置かれ、Vは図26のステップ5502ですでに0と置かれているので、図27の(a)のステップ5701ないし5704においてV−4,V−3 −2,V−1はいずれも0となる。従って、A=ΣV−iは0となり(S5705)、モータの回転速度Vも0となる(S5706)。このようにしてモータに速度のないことを確認して、制御はリターンされる。
【0112】
細時間帯Φに入り、位置信号計測部42はi=1のときと同じ動作を繰り返し、PWM指令部46はi=2のときと同じ動作を繰り返す。i=7であるので(S58)、制御位置演算部441での前半部分の処理が開始される(S59)。これは、図28に基づき処理される。いまはi=7であるので(S5901)、図28のステップ5902から5907の処理がなされる。図21のステップ231でDPが0、図26の(a)のステップ5501でPが0と演算されているので、図28のステップ5902でCP=0となる。図21のステップ231でCP−1,CP−2,CP−3が0と置かれているので、図28のステップ5903ないし5906においてCP−4,CP−3,CP−2,CP−1は0となる。従って、ステップ5907においてA=0となる。
【0113】
制御がリターンされて細時間帯Φに入り、位置信号計測部42はi=1のときと同じ動作を繰り返し、PWM指令部46はi=2のときと同じ動作を繰り返す。i=8であるので(S60)、制御位置演算部441での後半部分の処理が開始される(S61)。図28のステップ6001の処理がなされてB=0が与えられ、ステップ6002ではPI演算により求められた値Cは0となる。それゆえ、ステップ6003,6004を経てPWM目標値Pr−Pが0となる(S6007)。
【0114】
細時間帯Φに入り、位置信号計測部42はi=1のときと同じ動作を繰り返し、PWM指令部46はi=2のときと同じ動作を繰り返す。i=9であるので(S62)、制御速度演算部442の前半部分の処理が開始される(S63)。これは、図29に基づき処理される。いまi=9であるので(S6301)、図29のステップ6302から6307の処理がなされる。図21のステップ232でDVがVal−maxであり、図27の(a)のステップ5706で既に求められているV=0とから、図29のステップ6302でCV=Val−maxとなる。図21のステップ232でCV−1,CV−2,CV−3が0と置かれているので、図29のステップ6303ないし6306においてCV−4,CV−3,CV−2は0となり、CV−1=Val−maxとなる。従って、ステップ6307においてAは0以外の値となる。
【0115】
細時間帯Φ10に入り、位置信号計測部42はi=1のときと同じ動作を繰り返し、PWM指令部46はi=2のときと同じ動作を繰り返す。i=10であるので(S64)、制御速度演算部442の後半部分の処理が開始される(S65)。図29のステップ6501の処理でBは0以外の値をとり、ステップ6502でPI演算により求められた値Cは、ステップ6505,6506,6507のうちの該当するPr−Vが与えられる。
【0116】
細時間帯Φ11に入り、位置信号計測部42はi=1のときと同じ動作を繰り返し、PWM指令部46はi=2のときと同じ動作を繰り返す。i=11であり(S66)、制御トルク演算部443での処理が開始される(S67)。これは、図30に基づき、ステップ6701から6713の処理がなされる。図21のステップ233でDTがTal−maxであり、図25のステップ5302でT=0が求められているから、図30のステップ6701でCT=Tal−maxとなる。図21のステップ233でCT−1,CT−2,CT−3が0と置かれているので、図30のステップ6702ないし6705においてCT−4,CT−3,CT−2は0となり、CT−1=Tal−maxとなる。従って、ステップ6706においてAは0以外の値となる。続いて、Bが0以外の値をとり(S6707)、ステップ6708ではPI演算により求められた値Cは、ステップ6711,6712,6713のうちの該当するPr−Tが与えられる。
【0117】
細時間帯Φ12に入り、位置信号計測部42はi=1のときと同じ動作を繰り返し、PWM指令部46はi=2のときと同じ動作を繰り返す。i=12であるので(S68)、PWM目標値選択部45での処理が開始され(S69)、図31のステップ6901から6907の処理がなされる。図21のステップ234で制御形態F−Nが0と置かれているので、図31のステップ6901,6902,6903を経てPr−SL =0が選択される(S6907)。なお、図31の処理に先だつ図の24のステップ4502でPr−SM =0とするためにPr−SL =0が既に使用されている。しかし、演算上Pr−SL =0が求まるのは図31のステップ6907に来てはじめてであるので、図24のステップ4502の処理をするために、前述したごとく、図21のステップ238においてPr−SL =0が予め登録されているのである。
【0118】
細時間帯Φ13に入り、位置信号計測部42はi=1のときと同じ動作を繰り返し、PWM指令部46はi=2のときと同じ動作を繰り返す。i=13であるので(S70)、PWM漸変値算出部452での処理が開始される(S71)。しかし、今までに説明した構成ではPWM漸変値算出部452が採用されないことを前提にしているので、ここではステップ71の説明を省く。
【0119】
細時間帯Φ14に入り、位置信号計測部42はi=1のときと同じ動作を繰り返し、PWM指令部46はi=2のときと同じ動作を繰り返す。i=14であるので、ステップ72においてi≠n(n=32)と判断され、制御はリターンされる。細時間帯Φ15に入ったときも、i=14と同じ動作となる。
【0120】
細時間帯Φ32における位置信号計測部42とPWM指令部46との最後の処理が実行されると、ステップ72からステップ73へ進められ、i=0と置き替えられて(S73)、制御時間帯Ωが完了する。ステップ42に戻ってカウンタiが1と置かれ、同期管理トリガが現れれば直ちに次の制御時間帯Ωに入り、上記の一連の処理が繰り返される。
【0121】
以上の一連の処理はPr−SL (=Pr−SM )=0となる計算をしているが、直流モータ2が回転している場合も同様の経緯をたどることは言うまでもない。これらの処理を図13のタイミングチャートを用いて説明する。図21の初期化の処理は制御時間帯Ωの開始前に行われている。初期化部411の欄(図13を参照)から分かるように、初期化はMPUが立ち上がったときに開始され、タイマが所定時間uを経過したときに同期管理部41からの指令によって制御時間帯Ωが開始される。制御時間帯Ωにおいては、図22に従い図13中の黒いところのみが具体的に動作したことを示す。制御時間帯Ωの各細時間帯Φ,Φ,Φ,・・・,Φ31,Φ32で、PWM指令部46から電力供給器3に出力されたPWM信号Ma ,Mb はオフである。一方、制御時間帯ΩのPWM目標値選択部45で選択されたPr−SL も0であるので、矢印Y12で示すごとく制御時間帯Ωの各細時間帯Φ,Φ,Φ,・・・,Φ31,Φ32で電力供給器3に出力されるPWM信号Ma ,Mb もオフとなる。従って制御時間帯Ωにおいても直流モータは停止したままである。
【0122】
図14の制御時間帯Ωから分かるように、例えば細時間帯ΦからΦ11までを消費することにより、情報入出力部5の受信部51内のバッファに、上位制御機器7(図3を参照)の送信部72から送られてきたトルク制御に関する制御入力情報が格納される。しかし、この制御時間帯Ωにおける受信部51の起動(i=1)は制御入力情報の格納開始前であるので、受信部51での処理は何も行われない。制御時間帯Ωの全ての処理は制御時間帯Ωの場合と同じく、最終的にPWM指令値Pr−SM =0となる演算ばかりを行う。制御処理帯域Ωが終了してカウンタを1に置き替え、直ちに制御時間帯Ωが始まる。同期管理部41は制御時間帯Ωのときと同じように、各細時間帯Φにおいて位置信号計測部42やPWM指令部46の処理の実行を命令するが、前者は依然としてモータに回転のないことを検出し、後者も依然としてオフばかりのPWM信号Ma ,Mb を出力する。
【0123】
細時間帯Φにおいて、受信部51内のバッファに格納されている制御入力情報が、位置信号計測部42とPWM指令部46における処理の後に読み出され、その後に受信部51はリセットされる。読み出された信号は解読され、制御形態F−N=1が図4に示す指定制御形態格納部451aに、トルク目標値DTはトルク目標値格納部443aに取り込まれ、それぞれの暫定値と置き替えられる。なお、位置の目標値や速度の目標値は来ていないので、位置目標値格納部441aおよび速度目標値格納部442aでは、初期化時に与えられた暫定値が残される。細時間帯Φに進んで送信部52が起動されるが、i=2の時点では上位制御機器7からは現在の情報を求める問い合わせが来ていないので、制御はリターンされる。
【0124】
細時間帯Φ,Φに進んでも、モータは回転していないから電流Cm が0であることを検出する。細時間帯ΦからΦ10に到るまでは先に述べた処理と同じで、最終的にはPr−SL =0を計算する。細時間帯Φ11に入ると、図30のステップ6701においてCT=DTとなる。制御時間帯ΩのときにCT−1=Tal−max、ΩでCT−2=Tal−maxとなっていて、初期化時の記憶値CT−3はまだ0であるので、ステップ6701から6705において、CT−4=0,CT−3=Tal−max,CT−2=Tal−max,CT−1=DTとなる。ステップ6706,6707,6708のA,B,Cは0以外の値となる。Cがステップ6709以降で判定され、図32の上段の箱内の黒い線上に存在する値がトルクのPWM目標Pr−Tとして出力される(S6711,6712,6713)。細時間帯Φ12に到ると、図31のステップ6901から6907の間に選択されるPWM選択値Pr−SL として、制御形態F−N=1に対応するPWM目標値Pr−Tが充てられる(S6906)。
【0125】
このPWM選択値Pr−SL はPWM指令値Pr−SM と扱われ、そのままPWM指令部46に入力される。図11や図12の制御時間帯Ωにおける矢印Bは、このPWM指令値Pr−SM が25(デューティ比25/32)であることを示している。図9はデューティ比が6/32や3/32を示しているが、PWM指令値Pr−SM が25であれば、図9の場合と同様に、制御時間帯Ωの最初の25個の細時間帯Φ,Φ,・・・,Φ25でオンのMa 信号が出力され、細時間帯Φ26,・・・,Φ32ではオフの信号が出力される。この25のパルス幅によって決まる実効電流が、直流モータ2を流れることは言うまでもない。ちなみに、図24には表されていないが、細時間帯Φで電力供給器3に出力されるPWM信号Ma ,Mb は、次の細時間帯Φi+1 のPWM信号Ma ,Mb が電力供給器3に入力されるまで保持されるようになっている。
【0126】
モータに電力が供給されることによって機構体に作用する負荷に打ち勝ってモータは加速し始める。制御時間帯がΩ,Ω,Ω,・・・と進展する間もそれぞれの細時間帯Φでは実際のトルクTが計測され、それが図1および図30のステップ6701に示すようにフィードバックされる。このようにして、モータは上位制御機器7から要求されたトルク目標値DTを実現するように制御される。これらのPWM信号Ma によってモータが駆動されている間の制御時間帯Ω,Ω,Ω,・・・の細時間帯ΦないしΦ12においても、制御時間帯Ωの場合と同じく初期化された値をもとにして位置や速度の演算が実行される。
【0127】
トルク制御を続けるうちに、モータがそのトルクと釣り合う速度に到達するが、その速度は安定を欠く。トルク制御によって所望する速度に到達したときには速度制御に切り替えることができるように、上位制御機器7はモータの現在の速度を問い合わせることができるようにしている。言うまでもなく各制御時間帯Ωにおける全部の細時間帯Φにおいて位置信号計測部42が働いているので、図27の(a)の手順によって速度算出部422が現在速度を把握している(S5706)。図14を参照して、制御時間帯Ωの細時間帯Φから制御時間帯Ωの細時間帯Φにかけて受信部51には速度の問い合わせが来ている。この問い合わせは制御時間帯Ωの細時間帯Φにおいて呼び出すことができるので、細時間帯Φで送信部52を起動させることにより、制御時間帯Ωの細時間帯Φで算出された速度が送り出される。このようにして、上位制御機器7は、受信部71を介してリアルタイムでモータの速度を得ることができる。ちなみに、制御時間帯Ωにおける細時間帯Φで受信部51を起動させても、問い合わせ情報は格納中であるので、その受信は次の制御時間帯Ωに先送りされることになっている。
【0128】受信部51での問い合わせの受信と送信部52での現在情報の送出を繰り返す間に、上位制御機器7は常時モータ速度を検知することができる。モータが予定した速度に到達したことを検知すると、図15に示すように、上位制御機器7は制御時間帯Ω12の例えば細時間帯ΦないしΦ11を費やして速度制御のための制御入力情報を送信部72から送る。この情報は制御時間帯Ω13の細時間帯Φで読み取ることができるので、i=1における位置信号計測部42とPWM指令部46の処理の後に読み出される。これらは解読され、制御形態F−N=2が図4に示す指定制御形態格納部451aに、速度目標値DVは速度目標値格納部442aに取り込まれ、今まで格納されていた値と置き替えられる。なお、トルク目標値DTはトルク目標値格納部443aに残される。
【0129】
細時間帯Φで演算されたモータ速度Vと速度目標値DVとを用いて、図29に従う手順により図32の中段の箱内の黒い線上のPWM目標値Pr−Vが演算され、細時間帯Φ において出力される(S6505,6506,6507)。細時間帯Φ12に到ると、図31のステップ6901から6907の間に選択されるPWM選択値Pr−SL に、制御形態F−N=2に対応するPWM目標値Pr−Vが充てられる(S6905)。このPWM選択値Pr−SL はPWM指令値Pr−SM と扱われ、そのままPWM指令部46に入力される。図11や図12の制御時間帯Ω13における矢印B13は、このPWM指令値Pr−SM が18であることを示している。
【0130】
このようにして速度制御を続けるうちに、モータ出力軸の位置が目的地までの距離のパルスカウント数L(図11を参照)に近づく。停止させるためには減速する必要があり、また目的とする位置で可及的正確に止めることが望まれる。そこで、速度制御によって所望する位置に接近したときには位置制御に切り替えることができるように、上位制御機器7はモータの現在の位置を逐一問い合わすようにしている。言うまでもなく各制御時間帯Ωにおける全部の細時間帯Φにおいて位置信号計測部42が働いているので、図26の(a)の手順によって位置算出部421が現在位置を把握している(S5501)。時間Tの間の位置の増減値dPのカウントは、図8で説明したとおりである。図15を参照して、制御時間帯Ω13の細時間帯ΦからΦ11にかけて受信部51には現在位置の問い合わせが来ている。この問い合わせは制御時間帯Ω14の細時間帯Φにおいて呼び出すことができるので、細時間帯Φで送信部52が起動されると制御時間帯Ω13の細時間帯Φで算出された現在位置の情報が送り出される。このように、送信部52が、上位制御機器7から問い合わせのあった制御時間帯Ωの後のできるだけ早い時期に問い合わせに対する回答を送り出すようにしていれば、上位制御機器7の受信部71はリアルタイムでモータの現在位置を得ることができる。
【0131】
このような問い合わせに関する受信と送信を繰り返す間に、上位制御機器7は受信部71を介して逐次モータ出力軸の位置を検知することができる。モータが予定した位置に接近したことが検知されると、図16に示すように上位制御機器7は制御時間帯Ω32の例えば細時間帯ΦないしΦ11を費やして位置制御のための制御入力情報を受信部51へ送る。この情報は制御時間帯Ω33の細時間帯Φで読み取ることができるので、i=1における位置信号計測部42とPWM指令部46の処理の後に読み出される。これらは解読され、制御形態F−Nが図4に示す指定制御形態格納部451aに、位置目標値DPは位置目標値格納部441aに取り込まれる。なお、速度目標値DVは速度目標値格納部442aに残され、先のトルク目標値DTもトルク目標値格納部443aに残されたままとされる。
【0132】
制御時間帯Ω33の細時間帯Φ において、細時間帯Φで演算された現在位置Pと位置目標値DPとを用いて図28に従う手順により、図32の下段の箱内の黒い線上の値がPWM目標値Pr−Pとして出力される(S6005,6006,6007)。細時間帯Φ12に到ると、図31のステップ6901から6907の間に選択されるPWM選択値Pr−SL に、制御形態F−N=3に対応するPWM目標値Pr−Pが充てられる(S6904)。このPWM選択値Pr−SL はPWM指令値Pr−SM と扱われ、そのままPWM指令部46に入力される。図11や図12の制御時間帯Ω33における矢印B33は、このPWM指令値Pr−SM が23であることを示している。
【0133】
モータを停止させるためには、上位制御機器7が現在位置を常時検知し、目的位置までの残存距離(残存パルスカウント数)から、新たな位置目標値DPを受信部51に送る。それに基づいて上記の位置制御が繰り返される。図12からも分かるように、制御時間帯Ω35では、変更された位置目標値DPをもとに演算したPWM目標値Pr−P=14が使用されている。順次目標値を小さくして、遂には制御時間帯Ω37で停止させるべくPWM目標値Pr−Pは0となり、従ってPWM指令値Pr−SM も0となっている。なお、図11はPWM指令値Pr−SM を表示しているだけである。従って、PWM信号Ma ,Mb によって直流モータ2に流される電流は、制御時間帯ΩからΩ38ということになる。
【0134】
このような一連の処理において、例えば図16の制御時間帯Ω33では黒い部分の位置算出部421(Φ)と制御位置演算部441(Φ,Φ)だけが実行されているのでないことは上で述べた。制御時間帯Ω33では制御時間帯Ω32まで適用されていた速度制御が継続して適用されているとみなして、その細時間帯Φでは速度算出部422が、Φ,Φ10では制御速度演算部442が実行される。制御時間帯Ω34の細時間帯Φ,Φ,Φ10においても制御時間帯Ω33における演算結果を使用しながら、速度制御の演算が続けられる。
【0135】
このように制御形態が位置制御に変更になっても速度制御のための演算を継続させておけば、図29のステップ6302の演算に基づき、ステップ6303ないし6306における各記憶値CV−1ないしCV−4が更新される。いま、制御時間帯Ω34から位置制御となった後の制御時間帯Ω36で、上位制御機器7から速度制御への制御形態の変更と速度目標値が提供されたとすれば、制御時間帯Ω32,Ω33,Ω34,Ω35において更新されている記憶値を用いて、制御時間帯Ω36ではモータの現状を反映したPWM選択値Pr−SL が演算される。従って、制御時間帯Ω37では現在の速度を基点にしていち早く速度目標値に到達するPWM信号Ma ,Mb を出力することができる。例えばモータを停止させようとして位置制御していたが、停止する直前になって現在と異なる速度によって停止予定位置を通過させたい場合に適用することができる。
【0136】
ところで、上位制御機器7から来る制御入力情報は、制御形態F−Nと制御目標値の両方であるとは限らない。制御時間帯Ω34から位置制御となっている後の制御時間帯Ω36の時点で、上位制御機器7から速度制御への制御形態の変更だけを指令することもできる。例えばモータを停止させようとして位置制御していたが、停止する直前になってそのときの速度を維持して前進を続けたい場合に適用することができる。
【0137】
トルク制御から速度制御に変更になった制御時間帯Ω12の後の制御時間帯Ω13,Ω14,Ω15,・・・Ω32,Ω33,・・・においても、トルク制御の演算が続けられる。図30のステップ6701の演算に基づきステップ6702ないし605における記憶値CT−1ないしCT−4は更新される。位置制御から速度制御もしくはトルク制御に変更されたときも位置制御の演算が続けられ、図28のステップ5902の演算に基づきステップ5903ないし5906における記憶値CP−1ないしCP−4が更新される。
【0138】
以上の説明から分かるように、位置のPWM目標値演算部441P,速度のPWM目標値演算部442V,トルクのPWM目標値演算部443Tは異なる細時間帯Φで実行されるが、制御時間帯Ωの単位で見れば並行して実行されている。従って、指定形態目標値選択部451には図32に示すように、トルクのPWM目標値Pr−T,速度のPWM目標値Pr−V,位置のPWM目標値Pr−Pが与えられているので、上位制御機器7から指令があれば指定形態目標値選択部451は即座に指定された制御形態に該当するPWM目標値を選択でき、遅れなくPWM指令値Pr−SM を発して、所望の制御形態による運転に移ることができる。
【0139】
ちなみに、上記したごとく三つのPWM目標値の演算を、並行しないで実行させることも可能である。例えば図15の制御時間帯Ω13でトルク制御から速度制御に演算対象が変更になると、トルク制御のための演算を制御時間帯Ω12で停止させ、制御時間帯Ω13では速度制御の演算のみを行う。また、図16の制御時間帯Ω32で速度制御から位置制御に演算対象が変更になると、速度制御の演算は制御時間帯Ω32で停止させ、制御時間帯Ω33では位置制御の演算のみを行う。すなわち、一つの制御時間帯Ωにおいて三種類の制御形態を対象とした演算を図22に従って処理することは可能であるが、上位制御機器7から指定されなかった制御形態の演算はパスさせるのである。そのためには、図28の処理では、図示しないが、ステップ5901の前に、F−Nが3であればステップ5901へ進み、3でないならリターンする比較器を設ければよい。図29の場合には、ステップ6301の前に、F−Nが2であればステップ6301へ進み、2でないならリターンする比較器を設ければよい。図3の場合には、ステップ6701の前に、F−Nが1であればステップ6701へ進み、1でないならリターンする比較器を設けておけばよい。
【0140】
このような制御は、上位制御機器7が制御目標値を情報入出力部5に送り出すとき、常に制御形態を抱き合わせている場合に可能となる。PWM演算部50は常時いずれか一つの制御形態に関わる演算をするだけであるので、前述した指定形態目標値選択部451はあえて設ける必要がない。上位制御機器7が例えば制御形態F−N=2,速度目標値20rpsを受信部51に入力してくれば、それに見合ったPWM目標値Pr−Vが演算され、それがPWM指令値Pr−SM と扱われ、そのままPWM指令部46に出力される。図33はその制御ブロック図を示している。
【0141】
以上の説明では、直流モータ2から検出された検出情報のうち電流情報は、現在の制御時間帯Ωにおいて検出されている電流である。しかし、直前の制御時間帯Ωj−1 において検出されている電流であっても差し支えない。また、制御形態F−Nや制御目標値は、直前の制御時間帯Ωj−1 で指定されているものを使用している。これは、例えば図14の制御時間帯Ωから分かるように制御入力情報の受信に多くの時間を必要とするからある。しかし、細時間帯ΦからΦ12にかけて行われる処理を、例えば細時間帯Φ24からΦ31に移しておけば、iが1から23までの間に受信できた制御入力情報については現在の制御時間帯Ωで処理することができるようになる。なお、後述する図35には、PWM目標値選択部45とPWM漸変値算出部452の処理を、i=30および31で処理する例が示されている。
【0142】
ところで、各細時間帯Φ,Φ,Φ,・・・,Φn−1 ,Φでは少なくとも出力軸2sの位置信号Ea ,Eb の検出とPWM信号Ma ,Mb の出力とが実行される。しかも、この二つの処理は各細時間帯Φの開始当初に実行される。この二つの処理は、常に時間t(12.5μS)の間隔で実行することが要求されるからである。これらの処理の後に実行される処理の種類は図7から分かるように細時間帯Φごとに異なり、しかもその処理に要する時間も異なっていることに注意すべきである。なお、位置信号の計測に要する時間およびPWM信号Ma ,Mb を出力するに要する時間はそれぞれ一定であるので、PWM指令部46の処理を位置信号計測部42の処理より先行させても差し支えない。位置信号Ea ,Eb の検出を一定の時間間隔で行えば増減値dPの計測は正確となり、PWM信号Ma ,Mb の出力を一定の時間間隔で行えば、デューティ比が維持されている間は全く同じ幅のパルスを発生させることができることになる。
【0143】
ところで、モータ出力軸の現在位置を求めるにあたり、図23のところで述べたように、現在位置を演算する細時間帯Φから遡る時間Tの間のn個の細時間帯Φh−1 ,Φh−2 ,Φh−3 ,・・・で検出されている位置信号Ea ,Eb を積算して増減値をカウントしている。そして、図26の(a)のステップ5501において、その増減値を時間T遡った直前の制御時間帯Ωj−1 における細時間帯Φで求められている位置情報Pに加算して現在位置を得ている。このことは、図8において制御時間帯Ωj−1 における細時間帯Φから制御時間帯Ωにおける細時間帯Φまでの増減値dPが6となることを用いて説明した。しかし、直前の制御時間帯Ωj−1 の全細時間帯Φ,Φ,Φ,・・・,Φn−1 ,Φで検出されているモータ出力軸の位置信号Ea ,Eb を積算して増減値を得ておき、それを2周期前の制御時間帯Ωj−2 で求められている位置情報Pに加算して得るようにしてもよい。この場合、図22に相当する処理は、図34に表されたフローチャートで実行することができる。
【0144】
図22のときと同じ要領でi=n(n=32)までの処理を終えてステップ72に到ると、iが1から32に到るまでの間に位置信号計測部42が計測した増減値dP(図23のステップ4412または4413を参照)がdpと置かれる(S72A)。そして、dPをステップ72Bで0にリセットしてステップ73からステップ42へ進み、次の制御時間帯Ωj+1 の開始を待つようにすればよい。dPを0にリセットしたことにより、次の制御時間帯Ωj+1 に実行される位置信号計測部42の処理においては、制御時間帯Ωの細時間帯Φ以降に積み上げられた増減値dPが使用される。i=5において、位置算出部421は図26の(b)に従って出力軸の位置を演算する(S5501a)。すなわち従前の位置Pに制御時間帯Ωj−1 で積算されたdpが加算される。その加算値は図28のステップ5902で使用されるPとして供される。位置の情報としては図22のフローチャートに基づく場合よりもt×5(=62.5μS)分古くなるが、制御に影響を及ぼすほどのことはない。なお、速度算出部422においては、図27の(a)に代えて(b)に示すフローチャートが適用される。
【0145】
ちなみに、図22のフローチャートに代えて、図35のフローチャートを採用してもよい。これは同期管理トリガの代わりにタイマを直接働かせたものである。t(=T/n=12.5μS)ごとにカウンタのiが更新されるようになっていれば、各細時間帯Φにおける処理に何らの影響を与えるものでない。図34のフローチャートに図35の思想を適用することができるのも、言うに及ばない。
【0146】
図4のブロック図において、指定形態目標値選択部451を形態自動変更目標値選択部451と置き替えてもよいことを既に述べた。この形態自動変更目標値選択部451は、各制御目標値DP,DV,DTをもとに演算されたPWM目標値Pr−P,Pr−V,Pr−Tの中から、制御入力情報で指定されている制御形態F−Nに該当するPWM目標値として選択された値が、モータ2の最大許容電流に対応するPWM最大許容値Pral−maxを越えている場合には、他の制御形態F−Nに該当するPWM目標値であって他の制御形態におけるPWM最大許容値を越えない値を、PWM選択値Pr−SL として選択しようとするものである。
【0147】
これを目視的に表すと、図36に示すように、図1の指定形態目標値選択部451に選択変更指令部451bと許容範囲内確認部451bを付加させた構成となる。言うまでもなく、後者は選択されたPWM目標値がその制御形態における最大許容値内にあるかどうかを判定するものである。範囲内にあればPWM選択値Pr−SL として出力し、これがPWM指令値Pr−SM と扱われてPWM指令部46へ送り出される。範囲内になければ選択変更が指令され、上位制御機器7で指定されなかった他の制御形態のPWM目標値を選びだし、その目標値がその制御形態における最大許容値内にあるかどうか判定される。このようにして、図37に示すように、通常は、位置について判定した後に速度について判定され、速度でも範囲外ならばトルクのPWM目標値が採用されるという順になる。その処理が、図41のフローチャートに表されている。
【0148】
図37の左側の三つのブロックから分かるように、位置のPWM目標値演算部,速度のPWM目標値演算部,トルクのPWM目標値演算部においては最大許容値内に規制したPWM目標値を出力する必要がないので、それぞれの演算部443,442,441での処理は図38,図39,図40のフローチャートの手順となる。いずれのフローチャートにも、図30,図29,図28に表された比較器6709,6710,6503,6504,6003,6004は設けられていない。従って、全てのPWM目標値が最大許容値外となっていることもあり得るので、その場合にはトルクの最大許容値で規制が掛けられるようにしている(図41のステップ6908,6909を参照)。図42は、トルクに関してのみ最大許容範囲内のPWM目標値を制御トルク演算部443から出力させるようにしたものである。すなわち、形態自動変更目標値選択部451bに入力されるPWM目標値として、位置または速度に関して演算されたPWM目標値Pr−P,Pr−V,は制限されないが、トルクに関して演算されたPWM目標値Pr−Tだけは、モータ2の最大許容電流に対応するPWM最大許容値Pral−max −T以下に制限される。位置や速度で満たされるPWM目標値が存在しないためにトルクに到れば、もはやトルクに代わる制御は存在しないからである。
【0149】
こうした処理は、長い距離を目標にして移動しようとする走行台車に適用される。すなわち、長距離のために位置制御に基づく演算値Pr−Pでは最大許容値Pral−max −Pを越え、大きな電流が要求されることになって、その演算値Pr−Pを採用することができない。そこで、速度制御に基づく演算値Pr−Vを用いて、最大値許容値Pral−max −V以下の線形範囲で一定速度に保持しようとする目的で、形態自動変更目標値選択部451が自動的に位置制御を速度制御に切り替えるのである。
【0150】
速度制御による演算値Pr−Vが最大許容値Pral−max −Vを越える場合には、自動的にトルク制御による演算値Pr−Tに切り替えられることになる。このような処理を行う例は、前述の走行台車を位置制御で動かし始めようとする場合に起こる。長距離のために、位置制御に基づく演算値Pr−Pが最大許容値Pral−max −Pを越える。速度制御に切り替えても、走行速度が遅いために速度制御に基づく演算値Pr−Vも最大値許容値Pral−max −Vを越える。そこで、トルク制御に切り替えられる。トルク制御に基づく演算値Pr−Tが最大許容値Pral−max −Tを越えるならば、最大許容値Pral−max −Tにとどめられる。この場合、上位制御機器7が位置制御を指定していても、形態自動変更目標値選択部451によって、直流モータを加速するために自動的にトルク制御に切り替えられることになる。トルク制御によって走行台車の速度が増すと、速度制御による演算値Pr−Vが最大許容値Pral−max −V以内の線形範囲に入ってくる。形態自動変更目標値選択部451bは自動的に速度制御に切り替えて、一定速度で走行台車を走行させる。目的位置に近づくと、位置制御による演算値Pr−Pが最大許容値Pral−max −P 内の線形範囲に入ってくる。形態自動変更目標値選択部451bは自動的に位置制御に切り替え、所定の位置で精度よく停止させることができるというようになる。
【0151】
図43は、PWM漸変値算出部452を設けた場合の処理系統を表したブロック図である。このPWM漸変値算出部452は図2や図4のブロック図にも表されているとおり、PWM指令部46の直ぐ手前に配置される。これは、PWM目標値選択値Pr−SL をなだらかに変化させようとするものである。すなわち、制御入力情報で指定されている制御形態F−Nの変更によるPWM選択値Pr−SL が、変更前の制御形態F−Nに従うPWM選択値Pr−SL と異なる場合に、制御形態変更指令を受けた後の制御時間帯Ωから幾つかの制御時間帯Ωj+1 ,Ωj+2 ,・・・を使って変更後のPWM選択値Pr−SL に徐々に近づけるためのPWM漸変値Pr−GR を求めるためのものである。従って、PWM目標値選択部45から出力されたPWM選択値Pr−SL をPWM漸変値Pr−GR に置き替え、それをPWM指令値Pr−SM と扱ってPWM指令部46に出力するようにしている。これによって、衝撃を伴うことなくモータ2の制御形態F−Nを変更することができる。
【0152】
このPWM漸変値算出部452は、図44のフローチャートに従って処理される。図11では、実線のPWM指令値Pr−SM が制御時間帯Ω,Ω13,Ω23,Ω33,Ω35,Ω36,Ω37で急変している。その値は、図12のPr−SM の欄に記載されているとおりである。しかし、このように急激に変化するPr−SM をもとにしてPWM指令部46からPWM信号Ma ,Mb を出力させると、直流モータ2を流れる電流も急変する。従って、制御形態を変更した時点で出力軸の回転数が急変したり軸トルクが急変すれば、モータで駆動されている機構体は衝撃を受けることになる。漸変値を算出する目的は、図11中に破線で示すようにPWM指令値Pr−SM を滑らかに変化させることによって、衝撃の発生を緩和させようとするものである。
【0153】
このPWM漸変値算出部452においては、指定形態目標値選択部451から出力されたPWM選択値Pr−SL を滑らかに変化させるための段数が、モータのみならず機構体を含めた機械系に対して期待する過渡応答特性が得られる程度までに衝撃を和らげることができる速度を想定して決定される。例えば、制御周期Tが400μSであれば4mS程度のトルク応答を想定し、それより早い変化による衝撃を緩和するために設定される段の数は、概ね4mSを制御周期Tで割って得られる10とされる。なお、そのための処理手順の一例を図44の(a)のフローチャートに示す。このチャートは、上記のごとく10段を採用すると長くなるので、4段にとどめて表されている。PWM選択値Pr−SL を段数の4で割り、その商が各段の式に平等に分配されている。
【0154】
このようなPWM漸変値算出部452が設けられる場合には、図21のソフトウエアのリセットにおいて、ステップ238におけるPr−SL =0をPWM指令用データ記憶部46bに入れることに代えて、Pr−SL =0をステップ238aで漸変値算出部用データ記憶部452bに入れる。加えて、ステップ238bにおいて図44の(a)で使用される演算上の記憶値であるRe−1,Re−2,Re−3が0と置かれ、これらもまた漸変値算出部用データ記憶部452bに格納される。図21におけるその他の初期化は異なるところがない。もちろん、図23から図31までや、図38から図41までのフローチャートはそのまま適用することができる。
【0155】
図22のフローチャートにおいてi=13(細時間帯Φ13)に到ると、前述したように位置信号計測部42はi=1のときと同じ動作を繰り返し、PWM指令部46はi=2のときと同じ動作を繰り返す。その後にステップ70を経てPWM漸変値算出部452の処理が開始される(S71)。図44の(a)を参照して、ステップ701におけるPr−SL はi=12の指定形態目標値選択部451の処理(図31,図41を参照)で求められているので、それを4で割り、その整数がRe−0と置かれる。Re−1,Re−2,Re−3には0が与えられているので、ステップ702から705においてRe−4,Re−3,Re−2,Re−1が求められる。このRe−4,Re−3,Re−2,Re−1は特に意味をなすものではないが、Re−4(=Pr−GR )のみがPr−SL の修正値として採用されることになる。
【0156】
図45の選択値Pr−SL の欄を参照して、制御時間帯Ωにおいて0であったPr−SL を、制御時間帯Ωにおいて25に変更する場合について述べる。図44の(a)のステップ702から705までにおいて、Re−4,Re−3,Re−2,Re−1が求められる。この計算を幾つかの制御時間帯Ωで繰り返すと、ステップ702のRe−4が徐々に増大する。すなわち、制御時間帯ΩではRe−4=6,ΩではRe−4=12となる。ΩになるとRe−4=25が与えられる。Re−4である6,12,18,25が図11中のZaの部分の始動時の漸変値Pr−GR に相当し、これらはPWM選択値Pr−SM と扱って、そのままPWM指令部46へ出力される。図46は、制御時間帯Ω12においてトルク制御用に25であったPr−SL を、制御時間帯Ω13において速度制御用の18に変更している場合を示している。図47は、制御時間帯Ω22において速度制御用に18であったPr−SL を、制御時間帯Ω23において速度制御用の15に変更している場合を示す。この場合、制御形態はF−N=2のままとされているので、変更後は異なる速度で走行することを意図している。図48は、制御時間帯Ω32において速度制御用に15であったPr−SL を、制御時間帯Ω33において位置制御用の23に変更している場合を示している。制御時間帯Ω35においては14に、Ω36においては5に、Ω37においては0にそれぞれ変更されている。図46,図47,図48の最下段にPWM漸変値Pr−GR が示され、それをPWM指令値Pr−SM とみなした変化が、図11中のZb,Zc,Zdの部分に表されている。なお、漸変値を算出する式の他の例が図44の(b)に示されている。漸変用段数は3であるが、PWM選択値Pr−SL を段数より1つ多い4で割り、その商に異なる重みをつけて各段の式に分配されている。
【0157】
図49および図50は、速度制御しているときに、上位制御機器7が制御形態としてF−N=0を送信してきた例である。制御時間帯Ω17ではPWM選択値Pr−SL が例えば18であり、制御時間帯Ω18A ではPr−SL がなしとなる。Pr−SL がない場合には位置制御,速度制御,トルク制御のいずれもが行われない。PWM選択値Pr−SL =18のPWM信号Ma ,Mb が出力される制御時間帯Ω18A まではモータが速度制御に基づいて駆動されるが、制御時間帯Ω19A からは図6に示すトランジスタTrの全部がオフとなり、慣性力のみで出力軸が回転するに過ぎない。制御形態F−Nが0になったとはいえ、図33の場合を除けば、制御時間帯Ω18A 以降もPWM演算部50における各種制御の演算は続けられる。従って、F−N=2が受信されたり、F−N=2と速度目標値DVを受信したりすると、惰走中の現在速度を考慮したうえで演算される速度で始まる速度制御が再開される。PWM漸変値算出部452設けられている場合には、図44の(a)で値のないPr−SL を処理することのないように、ステップ701の前にステップ700が設けられる。このように速度制御をしている最中に上位制御機器7が制御形態F−Nとして0を送信してくる例として、走行中にブレーキを掛けるにあたり、モータを非駆動状態にしておきたい場合を挙げることができる。なお、F−N=0のときでも、上位制御機器7から速度や位置の問い合わせがあれば、それを次回または次々回の制御時間帯において送信部52から上位制御機器7へ送り出すことは前述の例と変わるところがない。ちなみに、このPWM漸変値算出部452は、図33や図36に示した構成のサーボ制御においても適用することができる。
【0158】
図51は1つの上位制御機器7から複数の直流モータを本発明に係るサーボ制御方法によって制御しようとするモータ駆動装置89の構成を表したブロック図である。情報入出力部5が固有の番号を有して複数設けられると共に、シリアル通信用回線61で接続されている。そして、情報入出力部5ごとに設置された直流モータ2のそれぞれに対して、位置制御,速度制御もしくはトルク制御のいずれかの制御を、シリアル通信用回線61を介して個別に指令しまた変更できるようになっている。このような装置は、例えば図52に示すロボットアーム75aに適用される。図示のロボットアームは5つの関節を有して人間の腕を実現したものであるが、その各関節を動かすために直流モータ2も5つ備えられる。もちろん、各モータにはエンコーダ1,電力供給器3,PWM制御手段4,情報入出力部5からなるサーボ制御装置85が付随されており、上位制御機器7からシリアル通信用回線61を通して制御に関するコマンドを受けると、それぞれのモータには図11に示した運転をさせることができる。
【0159】
上位制御機器7と各直流モータ2との間の情報処理は、上述したように各情報入出力部5にID番号を付しておくことによって可能となる。モータは複数存在するにもかかわらず、一つの回線で順次全てのモータに指令を与え、また位置,速度,トルクの現在情報を上位制御機器7へ返すことができるようになる。言うまでもないが、「1」なる数字の与えられたID番号53のモータは第1関節における「 otion −1」を支配することを表している。その動作を具体的に述べれば、各PWM制御手段4には、他のそれと区別するためのID番号が予め定められ、各情報入出力部5にそのID番号53が予め記憶される。コントローラ7は、直流電源63を投入した後それぞれのPWM制御手段4が初期化するための時間を見込んで暫く待機し、その後に予め決められている通信を行う。図51および図53を参照して、「1」のID番号53が付されたモータ1を例えば位置制御する場合、ID=1を付記した位置制御のコマンドが送信部72から全ての情報入出力部5に供給される。全てのモータの情報入出力部5は同時にコマンドを受け取るが、ID番号が一致する情報入出力部5のみが、そのコマンドに基づきPWM制御手段で位置制御の演算を行う態勢を整える。他のモータの情報入出力部はID番号が一致しないことから、受信したコマンドを無視する。続いて、ID=2を付記した速度制御のコマンドが、全ての情報入出力部5に提供される。ID番号が一致する情報入出力部5のみが、そのコマンドに基づきPWM制御手段で速度制御演算を行う態勢を整える。順次、同様にID=kを付記した速度制御のコマンドが、全てのモータの情報入出力部5に提供され、ID番号が一致する情報入出力部5のみが、そのコマンドに基づきPWM制御手段が該当する制御演算に入る態勢を整える。なお、各情報入出力部5の受信部51内のバッファに格納された制御入力情報は、それぞれのPWM演算部50の各制御時間帯Ωの細時間帯Φにおいて読み出され、細時間帯Φ以降で所定の制御が実行されることは言うまでもない。
【0160】
ちなみに、k個のモータを使用した場合の同期には、厳密に言ってT(制御周期)×kの時間的ずれが生じる。しかし、PWM漸変値算出部452(図44のフローチャートを参照)が設けられていれば、期待する過渡応答特性が得られる時間よりT×kが小さい場合に、このずれによる遅れは許容できることになる。図54は、各モータのPWM制御手段4への情報の問い合わせの例を示している。ID番号53が「1」であるモータ2の現在位置を問い合わせるには、ID=1を付記した位置の問い合わせコマンドが全てのモータの情報入出力部5に供給される。全てのモータの情報入出力部5は同時にそのコマンドを受け取るが、ID番号が一致する情報入出力部5のみが、そのコマンドに基づきPWM制御手段が回答する態勢を整える。他のモータの情報入出力部はID番号が一致しないことから、受信したコマンドを無視する。PWM制御手段においては、直前の制御時間帯Ωj−1 における細時間帯Φで算出した位置の回答コマンドにID=0を付記したうえで、現在の制御時間帯Ωの細時間帯Φにおいて送信部52から、「0」のID番号73を持った上位制御機器7の受信部71へ送信する(図51を参照)
【0161】
上述したごとく直流モータ2は情報入出力部5,PWM制御手段4,電力供給器3と共に機構体75に配置され、複数の直流モータ2が組み込まれた機構体75と上位制御機器7を含む主制御体76とは、シリアル通信用回線61とサーボ電源用動力線62によって接続されている。このようにしておくと、前にも述べたが、電力供給器3を可動部材75a(図52を参照)に取り付けておくことによって、その可動部材の動きによってトランジスタを自然冷却し、電力供給器3の動作の安定を図ることができる。PWM制御手段4と情報入出力部5とを一つのMPUで構成しておくことができ、その場合、MPUには位置検出器1から出力される位置信号Ea ,Eb と電流検出器31から出力される電流信号Cm とを直接入力でき、また電力供給器3へはPWM信号Ma ,Mb を直接出力でき、さらには上位制御機器7とも直接に交信することができるようになる。従って、交信には無線装置が必要でなく、シリアル通信用回線61で直接信号を授受することから、極めて安価に信頼性の高いシステムが構築される。シリアル通信の採用でワイヤ本数が著しく少なくなり、細いハーネスゆえに機構体への艤装も容易となる。サーボ電源のための動力線62についても同様である。
【0162】
図55は本発明を適用することができるブラシレス直流モータ2Nと、それに電力を供給する電力供給器3Nとを示している。サーボ制御用に使用されるブラシレス直流モータ2Nは、主として、三相交流を与えるとモータ軸を中心にした回転磁界を発生させる三相巻線2fと、永久磁石により構成される回転子2rとからなる。その回転子2rは、永久磁石が作る磁界と回転磁界との磁気的吸引力が動力となって、回転磁界の回転に同期して回転するようになっている。
【0163】
ここで、直流を交流に変換するインバータを用いて、ブラシレス直流モータ2Nを駆動する基本原理を述べる。図55には電圧型インバータの主回路構成の一例が表され、図56にはインバータ制御のためのスイッチングパターンとそれによって生成された合成磁界の向きの変化が示されている。Maはスイッチング素子Trへのスイッチ指令信号であり、Ma’はスイッチング素子Trへのスイッチ指令信号である。説明を簡単にするために、MaがオンのときMa’はオフ、MaがオフのときMa’はオンになるものとする。MbとMb’、McとMc’も同様とする。図56に示すように各相のスイッチはそれぞれ180度間隔でオン・オフを繰り返し、a相,b相,c相はそれぞれ120度のずれのある位相でもってスイッチング動作する。これによって、a相,b相,c相のスイッチングモードはIないしVIの6通りとなる。
【0164】
スイッチングモードIの場合のスイッチング素子の動作を図57の(a)に示す。スイッチング素子Tr,Tr,Trがオンとなり、a相およびc相では巻線2f,2fへ向かう電流が流れ、b相からは巻線2fを介して電流が流れ出る。このときそれぞれの相電流により作られる合成磁界の向きは、b相の向きと一致する(210°)。スイッチングモードIIの場合には、図57の(b)に示すように、スイッチング素子TrがオフでTrがオンとなる。c相からも電流が流れ出るようになり、合成磁界はa相の向きと正反対になる(270°)。スイッチングモードIに比べると合成磁界の向きは60度進む。同様にスイッチングモードが順次変わると、合成磁界のベクトルは図56の下部分に示したように60度ずつ移行する。このスイッチングモードの繰り返しにより、磁界は回転するようにして誘起され、相電圧波形は合成磁界の向きを表したものと同じ形となる。なお、ブラシレス直流モータの発生トルクは、回転磁界による磁界と永久磁石により構成される回転子の磁界との相互作用により求まる。
【0165】
このようなスイッチングパターンによりモータに与えられる相電圧波形は階段状に変化し、電流も同じ波形となる。図56中に表されているスイッチ指令信号Ma,Ma’等はデューティ比が1のPWM信号に相当するものである。従って、図示された信号Maの幅が一つの制御時間帯Ωに相当し、Ma’の幅が次の制御時間帯Ωj+1 に相当することになる。それゆえ、スイッチ指令信号Maを発生させるPWM指令値Pr−SM は現在の制御時間帯Ωで演算しても、PWM指令部46によってPWM信号Ma として出力されるのは次々回の制御時間帯Ωj+2 ということになる。他のスイッチ指令信号Ma’,Mb,Mb’,Mc,Mc’についても同様である。
【0166】
ところで、ブラシレス直流モータをサーボ制御するためには、一つの制御時間帯Ωの中でスイッチ指令信号Ma,Mb,Mcの幅を変化させればよい。信号幅を小さくすることは、デューティ比を1より小さくすることを意味する。本発明においては制御時間帯Ωをn個の細時間帯Φに分割しているので、デューティ比が50%であっても、オンとなる細時間帯Φを16個(=32×0.50)連続させることができるだけでなく、図58のように、幾つかの細時間帯Φに分散させることもできる。合成磁界の向きを表した階段状の波形の個々の幅fが磁界の強さを表しているので、図58の場合の回転磁界の強さは図56の場合の半分となり、デューティ比に対応することは言うまでもない。
【0167】
PWM指令値Pr−SM を発生させる演算手順は、基本的にブラシ付きモータの場合と同様である。制御目標値が変更されたり制御形態が変更されるなどしてデューティ比が変わった場合にも、ブラシ付きモータの場合と同様に、PWM漸変値算出部452を機能させれば、回転速度の変化やトルク変化による衝撃の発生を可及的に抑制することができる。なお、図7に示した処理以外のブラシレス直流モータ特有の処理や演算のためには、各制御時間帯Ωにおける細時間帯Φ14からΦ32の全部もしくは一部をあてがえばよい。また、例えば細時間帯ΦとΦの間にブラシレス直流モータ特有の処理の一部を挿入した場合は、細時間帯Φ以降を繰り下げるといったことも行うことができる。
【0168】
上記したように、発生トルクは回転磁界による磁界と永久磁石により構成される回転子の磁界との相互作用により求まるので、ブラシレス直流モータを制御する場合、回転磁界および永久磁石による磁界を測定する必要がある。回転磁界は、図55に示した電流検出器31a,31b,31cで各の電流を検出すれば、間接的に検出することができる。回転子2rの位置はエンコーダ1で検出すればよく、モータ情報検出器35による現況情報の取り込みや、その後の処理を同期管理部に支配させることも、ブラシ付きモータの場合と変わるところがない。
【0169】
【発明の効果】
以上の詳細な説明から分かるように、本発明によれば、位置,速度,トルクの制御に関わる全ての演算を細分化し、一つの制御時間帯内に全ての演算や処理を可能とし、直流モータの動力を所望する制御形態に合せて迅速に引き出すことができる。具体的には、モータへの供給電力を決定するPWM信号が割り当てられる周期の制御時間帯をn等分して細時間帯を規定し、その細時間帯のうちの異なる一つまたは複数の細時間帯を使って複数のPWM目標値のそれぞれを個別に演算するようにしているので、制御形態に応じたPWM目標値の演算を制御時間帯の単位で眺めて並列に処理することができる。すなわち、いずれのPWM目標値も常時演算されているので、制御形態の変更や制御目標値の変更の指令があっても変更に伴う割り込み処理は必要でなくなる。外部からの不定期な信号による割り込みを採用しないので、細時間帯ごとに予め決められた処理や演算を割り当てておくことができ、しかも割り込み処理のために一つの制御時間帯に長い時間を確保しておく必要もなく、応答性のよい制御が実現されるようになる。
【0170】
いずれのPWM目標値もモータの現状を反映させたうえで並列的に準備しておくことができ、変更のための演算に長い時間を要せず、迅速に移行させることが可能となる。さらには、何時制御形態の変更指令があっても現状を加味した演算に基づく移行となり、移行時の衝撃は少なくなる。制御入力情報によって指定された制御形態に従い、演算されたPWM目標値の中から一つを現在の制御時間帯内で選択し、選択されたPWM目標値に見合うPWM信号を、直後の制御時間帯の全ての細時間帯で出力するようにしているので、細時間帯ごとに割り当てられた処理または演算を予め決められたタイミングで開始させ、全ての処理および演算を一つの制御時間帯内で完了させることができる。このように処理や演算の対象とその時期および所要時間が管理されるので、処理や演算に時間的な安定性が図られ、極めて信頼性の高いサーボ制御が可能となる。それのみならず、回転速度検出用カウンタや位置検出用カウンタを必要としないので、極めて小型で簡単なハードウェア構成とすることができる。
【0171】
幾つかのPWM目標値の中から一つを選択する場合、制御入力情報によって指定された制御形態に該当するPWM目標値が、モータの最大許容電流に対応するPWM最大許容値を越えるならば、指定されていない制御形態のPWM値であっても、それが該当する制御形態のPWM最大許容値を越えていないかぎり、PWM選択値として選択するようにしておくことができる。この場合、モータの稼働状況から見てより好ましい制御形態に自動的に移行させることになり、無駄時間を節約した運転を実現することができる。もちろん、過大電流の供給を回避して、モータの劣化や性能低下を防止することもできる。
【0172】
PWM選択値が変更前のPWM選択値と異なる場合に、後続する幾つかの制御時間帯を使って変更後のPWM選択値に徐々に近づけるためのPWM漸変値を求め、そのPWM漸変値に見合ったモータに衝撃を加えることのないPWM信号を出力すれば、モータの回転数やトルクの急変が回避され、可及的滑らかな移行が実現される。これは、各制御演算で求められたPWM選択値が直前のそれに比べて大きな差があっても、直流モータに加える電流をトルクループの時定数の範囲内で徐々に変化させることができるからである。従って、いずれかの制御形態から他の制御形態へ移行させる場合でも、モータを装着した機構体にモータが発振源となる振動や衝撃が生じるのを抑えることが可能となる。PWM漸変値は制御時間帯を単位として変化するので制御形態も極めて高速に移行されることになる。これから分かるように、衝撃を回避するために電流フィードバック系の上流に信号補正手段を設ける必要もなく、随時いずれの制御形態へも切り替えることが可能となる。
【0173】
PWM制御部と上位制御機器との間に情報伝達するための情報入出力部を設け、これに受信部と送信部とを備えておく場合には、上位制御機器から制御目標値や制御形態を含む制御入力情報を取り込み、情報ごとにPWM演算部の格納部に設定することを、同期管理部からの指示に従って行うことができる。また、受信部を介して問い合わせのあった位置,速度,電流のいずれかの現時点でのデータを上位制御機器に送り出すことも、同期管理部4からの指示によって可能となる。
【0174】
電力供給器を構成するトランジスタを直流モータが装着されている機構体の可動部材に取り付けておけば、可動部材の動きによってトランジスタが自然空冷され、トランジスタの放熱を促進することができる。放熱フィンは不要となり、制御装置の小型化が図られる。一つの上位制御機器で複数のモータを制御するような場合に電力供給器を上位制御機器に取り付けておくと、上位制御機器との間でのシリアル通信も行いやすくなる。
【0175】
機構体に複数の直流モータを搭載し、モータそれぞれのサーボ制御装置の情報入出力部に固有の番号を付しておくと、上位制御機器との間でシリアル通信が可能となり、その結果、モータごとに位置制御,速度制御もしくはトルク制御のいずれかの制御を個別に並行して指令することができるようになる。そのためのシリアル通信用回線とサーボ電源用動力線とは、モータの搭載数にかかわりなく最小本数で済ませることができる。しかも、高価な無線設備は必要でなく、ノイズの影響を受けることもなく、システムの信頼性を向上させることができる。
【0176】
PWM制御部と情報入出力部とは一つのMPUで構成しておくことができ、それによって、MPUにはモータ情報検出器からの情報を直接取り込み、電力供給器へはPWM信号を直接出力でき、上位制御機器とも直接交信できるようになる。MPUを使用すれば、装置の著しい小型化が図られることも言うまでもない。直流モータとしてはブラシ付きモータにかぎらず、ブラシレス直流モータ特有の演算を制御時間帯に組み込んでおけば、ブラシレス直流モータに対しても本発明を適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る直流モータのサーボ制御方法におけるPWM制御部の処理工程を表したブロック図。
【図2】サーボ制御方法を実現する装置を表したブロック図。
【図3】モータ駆動装置の全体構成を概略的に表したブロック図。
【図4】PWM制御部の詳細な構成を表したブロック図。
【図5】位置検出器としてのエンコーダの一例の構成図およびその検出波形図。
【図6】トランジスタからなる電力供給器の構成図。
【図7】同期管理部の指令を受けて各細時間帯での処理や演算のスケジールを表したタイミングチャート。
【図8】エンコーダの検出信号とそれに基づくモータ出力軸の位置の増減値のカウント要領を表したタイミングチャート。
【図9】制御時間帯ごとに与えられるPWM指令値と、同期管理トリガを受けて送出されるPWM信号Ma ,Mb との関係を表したタイミングチャート。
【図10】PWM演算部で演算されたPWM目標値であって、(a)は位置に関する演算値とその制限を表したグラフ、(b)は速度に関する演算値とその制限を表したグラフ、(c)はトルクに関する演算値とその制限を表したグラフ。
【図11】直流モータの始動から停止までの一連の動きとモータの制御を表したグラフ。
【図12】位置,速度,トルクを並行して演算したそれぞれのPWM目標値と、制御形態に基づいて選択されたPWM選択値とを示す一覧表。
【図13】サーボ制御開始当初に行われる初期化時の処理を表したタイミングチャート。
【図14】図13に続く処理であって、初期化後に同期管理トリガに基づきトルク制御しているときのタイミングチャート。
【図15】図14に続く処理であって、同期管理トリガに基づきトルク制御から速度制御に変更しているときのタイミングチャート。
【図16】図15に続く処理であって、同期管理トリガに基づき位置制御によって停止するまでのタイミングチャート。
【図17】サーボ制御装置の始動から停止までの概略を表したフローチャート。
【図18】サーボ制御装置の初期化時の全体手順を表したフローチャート。
【図19】ハードウエア関係の初期化を表したフローチャート。
【図20】モータ出力軸の初期位置を検出する工程を表したフローチャート。
【図21】演算上必要となる各種の記憶値を初期化しておくためのフローチャート。
【図22】同期管理トリガの指令を受けて一つの制御時間帯内で展開される処理や演算の種類とその開始タイミングを表したフローチャート。
【図23】位置信号計測部における処理を表したフローチャート。
【図24】PWM指令部における処理を表したフローチャート。
【図25】電流計測部における処理を表したフローチャート。
【図26】位置算出部における処理を表し、(a)は遡るn個の細時間帯で検出されている位置の増減値を使用した場合のフローチャート、(b)は直前の制御時間帯で検出されている位置増減値を使用した場合のフローチャート。
【図27】速度算出部における処理を表し、(a)は時間Tからなる連続して遡る四つの期間に検出されている位置の増減値をもとにした速度を使用する場合のフローチャート、(b)は連続して遡る四つの制御時間帯で検出されている位置の増減値をもとにした速度を使用する場合のフローチャート。
【図28】位置のPWM目標値演算部における処理を表したフローチャート。
【図29】速度のPWM目標値演算部における処理を表したフローチャート。
【図30】トルクのPWM目標値演算部における処理を表したフローチャート。
【図31】指定形態目標値選択部における選択処理を表したフローチャート。
【図32】指定形態目標値選択部におけるPWM選択値の選択の様子を目視的に表したブロック図。
【図33】指定形態目標値選択部を備えないPWM制御部における処理工程を表したブロック図。
【図34】図22に代わる制御を表したフローチャート。
【図35】図22に代わる他の制御を表したフローチャート。
【図36】形態自動変更目標値選択部を備えたPWM制御部における処理工程を表したブロック図。
【図37】形態自動変更目標値選択部におけるPWM選択値の選択の様子を目視的に表したブロック図。
【図38】形態自動変更目標値選択部に出力されるトルクのPWM目標値を演算するためのフローチャート。
【図39】形態自動変更目標値選択部に出力される速度のPWM目標値を演算するためのフローチャート。
【図40】形態自動変更目標値選択部に出力される位置のPWM目標値を演算するためのフローチャート。
【図41】形態自動変更目標値選択部における選択処理を表したフローチャート。
【図42】形態自動変更目標値選択部におけるPWM選択値の選択の様子を目視的に表した他の例のブロック図。
【図43】PWM漸変値算出部を備えたPWM制御部における処理工程を表したブロック図。
【図44】PWM漸変値算出部における処理を示し、(a)は漸変用段数を4とした例のフローチャート、(b)は漸変用段数を3とした例のフローチャート。
【図45】トルク制御によって出発するときの漸変値一覧表。
【図46】トルク制御から速度制御に変更するときの漸変値一覧表。
【図47】速度制御中に速度目標値を変更したときの漸変値一覧表。
【図48】速度制御から位置制御に変更するときの漸変値一覧表。
【図49】速度制御状態から慣性力走行になったときのタイミングチャート。
【図50】速度制御状態から慣性力走行になったときの各制御時間帯における選択値を示す一覧表。
【図51】本発明に係るサーボ制御装置を備える複数の直流モータをシリアル通信用回線によって接続したときの概略構成を表したブロック図。
【図52】シリアル通信用回線によって接続された複数の直流モータが装着されているロボットアームの駆動システム図。
【図53】ID番号を付記した制御入力情報を上位制御機器から各モータの情報入出力部に送信しているときのタイミングチャート。
【図54】ID番号を付記した現在情報をモータの情報入出力部から上位制御機器に送信しているときのタイミングチャート。
【図55】ブラシレス直流モータのための電圧型インバータの主回路構成図。
【図56】インバータ制御のためのスイッチングパターンとそれによって生成された合成磁界の向きの変化を表したタイミングチャート。
【図57】電圧型インバータにおけるスイッチング素子の動作を示し、(a)はスイッチングモードIの場合の動作図、(b)はスイッチングモードIIの場合の動作図。
【図58】本発明が適用されたインバータ制御のためのスイッチングパターンとそれによって生成された合成磁界の向きの変化を表したタイミングチャート。
【図59】従来技術におけるPWM式サーボ制御器の代表的な構成を示したブロック図。
【符号の説明】1…位置検出器(エンコーダ)、2…直流モータ、2N…ブラシレス直流モータ、2s…モータ出力軸、3…電力供給器、4…PWM制御部、5…情報入出力部、7…上位制御機器、31…電流検出器、35…モータ情報検出器、41…同期管理部、42…位置信号計測部、45…PWM目標値選択部、46…PWM指令部、50…PWM演算部、51…受信部、52…送信部、61…シリアル通信用回線、62…サーボ電源用動力線、75…機構体、75a…ロボットアーム(可動部材)、85…サーボ制御装置、421…位置算出部、422…速度算出部、441…制御位置演算部、441P…位置のPWM目標値演算部、442…制御速度演算部、442V…速度のPWM目標値演算部、443…制御トルク演算部、443T…トルクのPWM目標値演算部、451…指定形態目標値選択部、451b…形態自動変更目標値選択部、452…PWM漸変値算出部、Cm …電流信号、DP,DV,DT…制御目標値、dP…位置の増減値、Ea ,Eb …モータ出力軸の位置信号、F−N…制御形態、Ma ,Mb …PWM信号、Pr−P,Pr−V,Pr−T…PWM目標値、Pr−SL …PWM選択値、Pral−max…PWM最大許容値、Pr−SM …PWM指令値、Pr−GR …PWM漸変値、P…位置情報、Pral−max…PWM最大許容値、T…周期、Tr〜Tr…トランジスタ、u…予め決められた時間、Ω…制御時間帯、Φ…細時間帯。

Claims (32)

  1. モータを駆動するためのPWM目標値を演算し、そのPWM目標値に見合ったPWM信号によりモータを制御するため予め定められた時間を一周期とする制御時間帯を使って供給電力を制御し、直流モータを駆動するようにした制御方法において、
    モータから検出された現在位置,現在速度,モータ電流のいずれか二つ以上の現状情報と、制御目標値および制御形態からなる制御入力情報とにより、前記PWM信号が割り当てられる周期Tの制御時間帯をn等分して得られる細時間帯のうちの異なる一つまたは連続する複数の細時間帯を使って、演算しようとする全ての制御形態についてのPWM目標値のそれぞれを個別に演算し、
    演算された全てのPWM目標値の中から、指定のあった制御形態に対応する一つをPWM選択値として現在の制御時間帯内で選択し、
    直前の制御時間帯において選択されているPWM選択値に見合うPWM信号を、現在の制御時間帯の全ての細時間帯を使って出力し、
    前記細時間帯ごとに割り当てられた処理または演算を予め決められたタイミングで開始させると共に、全ての処理および演算を一つの制御時間帯内で完了させるようにしたことを特徴とする直流モータのサーボ制御法。
  2. 前記PWM目標値の中からPWM選択値を選択する際、制御入力情報によって指定された制御形態に該当するPWM目標値が、モータの最大許容電流に対応するPWM最大許容値を越える場合に、他の制御形態に該当するPWM値であって当該他の制御形態におけるPWM最大許容値を越えない値を、前記PWM選択値として選択することを特徴とする請求項1に記載された直流モータのサーボ制御法。
  3. 前記PWM選択値が変更前のPWM選択値と異なる場合には、後続する幾つかの制御時間帯を使って変更後のPWM選択値に徐々に近づけるためのPWM漸変値を求め、該PWM漸変値に見合ったモータに衝撃を加えることのないPWM信号を出力するようにしたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載された直流モータのサーボ制御法。
  4. モータを駆動するためのPWM目標値を演算し、そのPWM目標値に見合ったPWM信号によりモータを制御するため予め定められた時間を一周期とする制御時間帯を使って供給電力を制御し、直流モータを駆動するようにした制御方法において、
    モータから検出された現在位置,現在速度,モータ電流のいずれか一つの現状情報と、制御目標値である制御入力情報とにより、制御形態に応じたPWM目標値を個別に演算できるようにしておくため、前記PWM信号が割り当てられる周期Tの制御時間帯をn等分して得られる細時間帯のうちの異なる一つまたは連続する複数の細時間帯を、演算可能とした全ての制御形態についてのPWM目標値ごとにそれぞれ確保しておき、
    前記制御入力情報によって指定された制御目標値と該制御目標値によって自ずと決まる制御形態のみに従うPWM目標値の演算を、前記周期Tの現在の制御時間帯で完了し、
    直前の制御時間帯において演算されているPWM目標値に見合うPWM信号を、現在の制御時間帯の全ての細時間帯を使って出力し、
    前記細時間帯ごとに割り当てられた処理または演算を予め決められたタイミングで開始させることができると共に、指定された制御形態に従うPWM目標値を得るための処理および演算を一つの制御時間帯内で完了させるようにしたことを特徴とする直流モータのサーボ制御法。
  5. 前記PWM目標値が変更前のPWM目標値と異なる場合には、後続する幾つかの制御時間帯を使って変更後のPWM目標値に徐々に近づけるためのPWM漸変値を求め、該PWM漸変値に見合ったモータに衝撃を加えることのないPWM信号を出力するようにしたことを特徴とする請求項4に記載された直流モータのサーボ制御法。
  6. 前記制御目標値は位置制御,速度制御,トルク制御のうちの少なくとも二種のための目標値であることを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか一項に記載された直流モータのサーボ制御法。
  7. サーボ制御開始後最初の制御時間帯における演算を開始する前に、演算の対象となる全ての制御目標値と制御形態について暫定値を与えておき、サーボ制御開始後予め決められた時間が経過した時点から最初の制御時間帯における演算を実行することを特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれか一項に記載された直流モータのサーボ制御法。
  8. 前記モータから検出された検出情報のうち位置情報は、モータ出力軸の現在位置を演算する細時間帯から遡るn個の細時間帯で検出されている出力軸位置信号を積算して得られた増減値を、時間T遡った細時間帯で求められている位置情報に加算して得ることを特徴とする請求項1ないし請求項7のいずれか一項に記載された直流モータのサーボ制御法。
  9. 前記モータから検出された検出情報のうち位置情報は、直前の制御時間帯の全細時間帯で検出されているモータ出力軸の位置信号が積算して得られた増減値を、2周期前の制御時間帯で求められている位置情報に加算して得ることを特徴とする請求項1ないし請求項7のいずれか一項に記載された直流モータのサーボ制御法。
  10. 前記モータから検出された検出情報のうち速度情報は、前記出力軸の位置信号の増減値であることを特徴とする請求項8または請求項9に記載された直流モータのサーボ制御法。
  11. 前記各細時間帯では少なくとも出力軸の位置信号の検出とPWM信号の出力とを実行することを特徴とする請求項1ないし請求項10のいずれか一項に記載された直流モータのサーボ制御法。
  12. 前記出力軸の位置信号の検出とPWM信号の出力の何れか一方の処理は前記細時間帯の開始当初に実行され、他方の処理は前記一方の処理が完了した直後に開始されることを特徴とする請求項11に記載された直流モータのサーボ制御法。
  13. モータ情報検出器からの現状情報と制御目標値を含む上位制御機器から指令された制御入力情報とによりPWM目標値を演算し、そのPWM目標値に見合ったPWM信号を電力供給器に出力するPWM制御手段を備えた直流モータのサーボ制御装置において、
    上記PWM制御手段には、
    モータへの供給電力を決定するPWM信号が割り当てられる周期Tの制御時間帯中に予め決められた全ての処理および演算を完了させると共に、該制御時間帯をn等分して得られる細時間帯ごとに割り当てられた処理または演算の開始を指示する同期管理部と、
    複数のPWM目標値のそれぞれを、前記周期Tの一つの制御時間帯内で異なる一つまたは複数の細時間帯を使って個別に演算するPWM演算部と、
    制御形態ごとに演算されたPWM目標値の中から一つをPWM選択値として現在の制御時間帯内で選択するPWM目標値選択部と、
    直前の制御時間帯において選択されているPWM選択値をPWM指令値として受け、該PWM指令値に見合ったPWM信号を現在の制御時間帯の全ての細時間帯を使って出力するPWM指令部と、
    が備えられていることを特徴とする直流モータのサーボ制御装置。
  14. 前記PWM目標値選択部は、各制御目標値をもとに演算されたPWM目標値の中から、制御入力情報で指定されている制御形態に該当するPWM目標値をPWM選択値として選択する指定形態目標値選択部であることを特徴とする請求項13に記載された直流モータのサーボ制御装置。
  15. 前記指定形態目標値選択部に入力される全てのPWM目標値は、モータの最大許容電流に対応するPWM最大許容値以下に制限されることを特徴とする請求項14に記載された直流モータのサーボ制御装置。
  16. 前記PWM目標値選択部は、各制御目標値をもとに演算されたPWM目標値の中から、制御入力情報で指定されている制御形態に該当するPWM目標値として選択された目標値が、モータの最大許容電流に対応するPWM最大許容値を越えている場合には、他の制御形態に該当するPWM目標値であって当該他の制御形態におけるPWM最大許容値を越えない目標値を、PWM選択値として選択する形態自動変更目標値選択部であることを特徴とする請求項13に記載された直流モータのサーボ制御装置。
  17. 前記形態自動変更目標値選択部に入力されるPWM目標値は、少なくともトルクに関して演算されたPWM目標値が、モータの最大許容電流に対応するトルク制御におけるPWM最大許容値以下に制限されていることを特徴とする請求項16に記載された直流モータのサーボ制御装置。
  18. 前記PWM目標値選択部とPWM指令部との間には、PWM選択値が変更前のPWM選択値と異なる場合に、後続する幾つかの制御時間帯を使って変更後のPWM選択値に徐々に近づけるためのPWM漸変値を求め、該PWM漸変値をPWM指令値としてPWM指令部に出力するPWM漸変値算出部が設けられ、モータに衝撃を加えることのないPWM信号が出力されるようにしたことを特徴とする請求項13ないし請求項17のいずれか一項に記載された直流モータのサーボ制御装置。
  19. モータ情報検出器からの現状情報と制御目標値を含む上位制御機器から指令された制御入力情報とによりPWM目標値を演算し、そのPWM目標値に見合ったPWM信号を電力供給器に出力するPWM制御部を備えた直流モータのサーボ制御装置において、
    上記PWM制御部には、
    モータへの供給電力を決定するPWM信号が割り当てられる周期Tの制御時間帯中に予め決められた処理および演算を完了させると共に、該制御時間帯をn等分して得られる細時間帯ごとに割り当てられた処理または演算の開始を指示する同期管理部と、
    複数のPWM目標値のそれぞれを、前記周期Tの一つの制御時間帯内で異なる一つまたは複数の細時間帯を使って個別に演算することができるようになっていると共に、前記制御入力情報によって指定された制御形態のみに従うPWM目標値演算を前記周期Tの現在の制御時間帯で演算するPWM演算部と、
    直前の制御時間帯において演算されているPWM目標値をPWM指令値として受け、該PWM指令値に見合ったPWM信号を現在の制御時間帯の全ての細時間帯を使って出力するPWM指令部と、
    が備えられていることを特徴とする直流モータのサーボ制御装置。
  20. 前記PWM演算部から出力されるPWM目標値は、モータの最大許容電流に対応するPWM最大許容値以下に制限されていることを特徴とする請求項19に記載された直流モータのサーボ制御装置。
  21. 前記PWM演算部とPWM指令部との間には、PWM目標値が変更前のPWM目標値と異なる場合に、後続する幾つかの制御時間帯を使って変更後のPWM目標値に徐々に近づけるためのPWM漸変値を求め、該PWM漸変値をPWM指令値としてPWM指令部に出力するPWM漸変値算出部が設けられ、モータに衝撃を加えることのないPWM信号が出力されるようにしたことを特徴とする請求項19または請求項20に記載された直流モータのサーボ制御装置。
  22. 前記PWM演算部は、位置のPWM目標値演算部、速度のPWM目標値演算部、トルクのPWM目標値演算部のうちの少なくとも二つからなっていることを特徴とする請求項13ないし請求項21のいずれか一項に記載された直流モータのサーボ制御装置。
  23. 位置のPWM目標値演算部には、位置信号計測部の情報をもとにモータ出力軸の現在位置を算出する位置算出部と、該位置算出部の情報と位置制御目標値とをもとに達成すべき位置を演算すると共に該達成位置に対応したPWM目標値を演算する制御位置演算部と、が設けられていることを特徴とする請求項22に記載された直流モータのサーボ制御装置。
  24. 速度のPWM目標値演算部には、位置信号計測部の情報をもとにモータの現在速度を算出する速度算出部と、該速度算出部の情報と速度制御目標値とをもとに達成すべき速度を演算すると共に該達成速度に対応したPWM目標値を演算する制御速度演算部と、が設けられていることを特徴とする請求項22に記載された直流モータのサーボ制御装置。
  25. トルクのPWM目標値演算部には、電流計測部の情報とトルク制御目標値とをもとに達成すべきトルクを演算すると共に該達成トルクに対応したPWM目標値を演算する制御トルク演算部が、設けられていることを特徴とする請求項22に記載された直流モータのサーボ制御装置。
  26. 前記PWM制御部と上位制御機器との間で情報伝達するための情報入出力部が設けられ、該情報入出力部には前記同期管理部からの指示に従い上位制御機器から制御目標値や制御形態を含む制御入力情報を取り込み、情報ごとに前記PWM演算部の格納部に設定する受信部が備えられていることを特徴とする請求項13ないし請求項25のいずれか一項に記載された直流モータのサーボ制御装置。
  27. 前記情報入出力部には、前記受信部を介して問い合わせのあった位置,速度,電流のいずれかの現時点でのデータを前記同期管理部からの指示に従い前記上位制御機器に送り出す送信部が備えられていることを特徴とする請求項26に記載された直流モータのサーボ制御装置。
  28. 前記電力供給器を構成するトランジスタは直流モータが装着されている機構体の可動部材に取り付けられ、該可動部材の動きによってトランジスタが自然空冷され、トランジスタの放熱を促進できるようにしたことを特徴とする請求項13ないし請求項27のいずれか一項に記載された直流モータのサーボ制御装置。
  29. 前記情報入出力部は固有の番号を有して複数設けられると共にシリアル通信用回線で接続され、情報入出力部ごとに設置された直流モータのそれぞれに対して、位置制御,速度制御もしくはトルク制御のいずれかの制御を前記シリアル通信用回線を介して、個別に指令しまた変更できるようになっていることを特徴とする請求項13ないし請求項28のいずれか一項に記載された直流モータのサーボ制御装置。
  30. 前記直流モータの近傍に情報入出力部,PWM制御部,電力供給器が配置され、複数の直流モータを組み込んだ機構体と上位制御機器を含む主制御体とが、シリアル通信用回線とサーボ電源用動力線によって接続されていることを特徴とする請求項29に記載された直流モータのサーボ制御装置。
  31. 前記PWM制御部と前記情報入出力部とは一つのMPUで構成され、該MPUには位置検出器から出力される位置信号と電流検出器から出力される電流信号とが直接入力される一方、前記電力供給器へはPWM信号を直接出力でき、前記上位制御機器と直接に交信できるようになっていることを特徴とする請求項13ないし請求項30のいずれか一項に記載された直流モータのサーボ制御装置。
  32. 前記モータはブラシレス直流モータであることを特徴とする請求項13ないし請求項31のいずれか一項に記載された直流モータのサーボ制御装置。
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