JP3535121B2 - サンマエキスおよびその製造方法 - Google Patents

サンマエキスおよびその製造方法

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JP3535121B2
JP3535121B2 JP2001251939A JP2001251939A JP3535121B2 JP 3535121 B2 JP3535121 B2 JP 3535121B2 JP 2001251939 A JP2001251939 A JP 2001251939A JP 2001251939 A JP2001251939 A JP 2001251939A JP 3535121 B2 JP3535121 B2 JP 3535121B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、サンマエキスおよ
びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】日本の伝統食品の中で節といえば。その
代表食品としてカツオ節がある。その製造法は、まず、
カツオを生切りにして煮熟する。煮熟は、90℃程度の
湯でカツオの大きさに応じて1〜2時間行う。これは、
カツオの腐敗を防止すると同時にたんぱく質を完全に凝
固するために行う。次に、骨抜きを行い、水切りし、焙
乾する。焙乾は節の内部の水分が30%以下になるまで
行い、焙乾とあん蒸を何度も繰り返す。次に、なまり節
を造り、更に焙乾、日乾を繰り返す。こうして裸節を造
った後に、カビ付けを行う。カビ付けは、裸節に数回、
カビを付けることにより、節の内部の水分量を18%程
度まで落とす作業である。これにより、本枯節を造る。
しかしながら、この方法では、カツオからカツオ節にな
るまで60〜80日を要する。
【0003】ところで、節には、味が濃厚で色が濃いそ
うだ節、ソフトで上品な香りのマグロ節、あっさりとし
た味のサバ節、まろやかでだし汁の色はごく淡く、レモ
ン色で香りはごくうすいむろ節、煮熟しただけで製造す
る香ばしく深みの香りを持ち、だし汁は黄味で濃い香り
の味があるうるめ節、いわし節等がある。また、従来、
サンマを用いたサンマ節がある。
【0004】ところで、醤油は、日本の食品の文化を構
築したと云っても過言ではない調味料である。醤油は、
たんぱく質原料を酵素で加水分解して成る調味料であ
る。しかしながら、醤油は、腐敗防止の点から仕込み初
期から高濃度の食塩下で製造されるため、酵素によるた
んぱく質原料の分解には自ずと限界があった。酵素分解
による製品の窒素濃度は1.8%であり、通常の天然の
醸造法による窒素濃度の2%を越える醤油を製造するこ
とは至難とされている。
【0005】また、魚介類及びその節から得られる調味
エキスとして、カツオエキス、カツオ節エキス、ホタテ
エキス、カキエキス、まぐろエキス、エビエキス、グチ
エキス、オキアミエキス、サケエキス、カニエキスな
ど、多種多様な調味エキスが食品業界においては存在す
る。しかしながら、一般的には、エキスと言えばカツオ
エキスに代表されるごとく、カツオ節から得られるエキ
スが食品業界では確固たる存在となっている。
【0006】さらに、魚介類のたんぱく質から生成され
るグルタミン酸などのアミノ酸を豊富に含み、複雑で伸
びのある濃厚な旨味をもつ調味料として、魚醤油があ
る。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
サンマ節は、油分の多いサンマを煮熟しただけでは油の
除去が不十分なため、節がベタベタし、商品価値が著し
く低いものとなることが多かった。その解決策として、
サンマを煮熟後、加圧し、油の大部分を除去した上で日
乾又は火力乾燥する方法で、サンマ節は造られていた。
しかしながら、この方法では、できあがったサンマ節
は、魚体が変形したり、貯蔵中にサンマ節の油の酸化が
ひどく、本来の芳香性の豊かなサンマ節を造ることが出
来なかった。このように、従来は、品質が良く、油焼け
のない、長期の保存に耐えるサンマ節を得ることは困難
であった。
【0008】ところで、魚醤油は、魚介類特有の熟成時
の腐敗細菌の繁殖による腐敗臭や、魚油に由来する不飽
和脂肪酸の酸化生成物によると考えられる臭気等によ
り、不快な臭気を有する。また、魚醤油は、酵素処理に
より新たに苦み成分を有している。このため、魚醤油
は、大豆、小麦等の穀類などを原料とした通常の醤油の
ようには用いられていないのが現状である。今日まで、
サンマから得られるエキスに関しては、新鮮なサンマを
使用してエキスを製造しても、3 週間ぐらい経過すると
アンモニア、硫化水素、インドール等の不快臭が発生し
ていた。サンマのエキス中から油を除去して、味および
芳香性が良く、長期の貯蔵に耐えられるサンマエキスを
得ることはできなかった。
【0009】本発明は、このような課題を解決するため
になされたもので、味および芳香性が良好で品質が良
く、油焼けのない、長期の保存に耐えるサンマエキスお
よびその製造方法を提供することを目的としている。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明に係るカビ付けを
行わないサンマ節の製造方法は、K値が10%未満のサ
ンマを90℃で10分以上20分以下煮熟後、水分量が
15重量%以下になるまで燻煙処理により焙乾すること
を特徴とする。
【0011】本発明に係るサンマ節の製造方法によれ
ば、生あるいは凍結したサンマを用いても良質なサンマ
節を造ることが可能となる。中でも、サンマの鮮度が良
いものほど、良好なサンマ節ができる。すなわち、原料
のサンマには、サンマの鮮度の指標であるK値の低いも
のほど、良好なサンマ節ができるため、好ましい。魚介
類の筋肉における生化学的死後変化として主要なもの
に、ATPの分解がある。この過程で、ATP、AD
P、AMPは、速やかに分解し、イノシンとヒポキサン
チンを蓄積する。これが鮮度低下と良く一致することか
ら、ATP関連化合物の総量に対するイノシンとヒポキ
サンチンの割合を示す値が魚肉の生鮮度を表す指標とし
て用いられ、K値として示される。本発明に係るサンマ
節の製造方法では、K値が10%以下の値の場合に、初
めて良質なサンマ節の製造が可能となる。
【0012】一般に、魚介類の感覚的な鮮度評価とK値
との関係をみたとき、超高鮮度品(天然の自然の旨味に
あふれているもの)のK値は5〜10%とされ、良高鮮
度品(刺身や生食以外で加熱調理して食べられる範囲の
もの)のK値は20〜40%とされている。しかしなが
ら、サンマの場合は、油の含有量が時期、地域により1
0%〜20%と異なり、而も鮮度の低下が極めて激しい
ため、今日まで良好なサンマ節が出来なかった。
【0013】本発明に係るサンマ節の製造方法では、サ
ンマのシングルK値(K値が10%未満)のものであれ
ば、油の含有量が20%近くの値であっても良好なサン
マ節が出来る。K値が10%以上の場合、煮熟による脱
脂を行う際に、腹部分が破裂し、身くずれを起こすた
め、十分な脱脂が出来ず、形の整った良好なサンマ節を
造ることが困難である。K値が10%未満であれば、サ
ンマ中の油を90℃にて10分〜13分煮熟処理を行う
ことで、20%近くの油が存在しても加圧することなく
サンマ中の油を除去する事が可能である。本発明に係る
サンマ節の製造方法では、通風乾燥工程を採ることによ
り、サンマの品温を徐々に下げ、100%楢の木にて8
〜9回燻すことが好ましい。その際、乾燥ムラを防ぐた
め、火を2〜3回休ませることがさらに好ましい。火種
とサンマの具合を確認するこの工程が、サンマ節の品質
に大きく影響を与える。
【0014】一般的にカツオ節の場合は、カビ付けを行
い、節の中の水分をカビにより低下させる工程を採る。
カビ付けの意義は、以下のとおりである。(a)カビに
より節の内部の水を吸収し、カビの菌糸を経て表面から
水分を蒸発させる。(b)カビにより脂肪の分解を起こ
させる。(c)香気が改善される。(d)だし汁が透明
になる。これに対し、本発明に係るサンマ節の製造方法
では、このカビ付けを行わない。このため、本発明に係
るサンマ節の製造方法では、短期間に良好なサンマ節を
造ることが可能である。
【0015】本発明に係るサンマ節の製造方法では、解
凍時のサンマを手作業にて軽く洗浄することに留意する
ことが好ましい。これは、仕上がり時に血水のついた部
分に斑点がつくのを防ぐことと、鱗のまわりの皮が分離
して表面が凹凸になって見栄えが悪くなるのを防ぐため
である。
【0016】煮熟条件は、80℃以上100℃未満の温
度で15分以内の煮熟条件が好適であり、90℃で10
分〜13分の条件が最適である。80℃未満の温度では
身の締まりが悪くなり、仕上がりまでに身崩れを起こし
て形が悪くなる。100℃では、煮熟中において湯の中
で身崩れを起こし、仕上がりの形が悪くなる。
【0017】一般的に焙乾の意義としては乾燥効果があ
り、細菌が発育出来る必要水分含量が40%で15%以
下になるとカビの繁殖が妨げられる。燻煙の効果は、以
下のとおりである。(a)香気の付与で、広葉樹の薪の
燻煙成分中のフェノール系化合物、カルボニール類の有
機酸類が“燻煙臭”で魚体の生臭さをマスキングする。
(b)水分の減少により保存性の向上、微生物の増殖抑
制、微生物の侵入防止をする。(c)燻煙成分中のフェ
ノール系化合物が節中の脂質の酸化防止、魚臭の発現を
抑制し、油焼けや渋みの発生などを防止する。(d)燻
煙中のカルボニール化合物が節の中のアミノ酸と反応し
て、良好な色沢を造る。
【0018】焙乾は、水分量が15重量%以下、好まし
くは10重量%以下になるまで行う。焙乾の際に用いる
木材としては、くり、桜、椚などがあるが、楢の木が好
ましい。楢の木を用いた場合、最も火力が一定し、製品
の仕上がりにムラがなくなるためである。請求項1の本
発明に係るサンマエキスは、K値が10%未満のサンマ
を90℃で10分以上20分以下煮熟して油を除去後、
水分量が15重量%以下になるまで燻煙処理により焙乾
して、カビ付けを行わないサンマ節を製造し、このサン
マ節を粉砕し、水を加え、pHを6以上7以下に調整
し、アミノペプチダーゼおよびサブチリシンで酵素分解
することを特徴とする。請求項2の本発明に係るサンマ
エキスは、請求項1の本発明に係るサンマエキスにおい
て、酵素分解した後、熟成を行うことを特徴とする。請
求項3の本発明に係るサンマエキスの製造方法は、K値
が10%未満のサンマを90℃で10分以上20分以下
煮熟して油を除去後、水分量が15重量%以下になるま
で燻煙処理により焙乾して、カビ付けを行わないサンマ
節を製造し、このサンマ節を粉砕し、水を加え、pHを
6以上7以下に調整し、アミノペプチダーゼおよびサブ
チリシンで酵素分解することを特徴とする。請求項4の
本発明に係るサンマエキスの製造方法は、請求項3の本
発明に係るサンマエキスの製造方法において、酵素分解
した後、熟成を行うことを特徴とする。特に、本発明に
係るサンマエキスの製造方法は、pHを6以上7以下に
調整した後、サブチリシンで酵素分解してからアミノペ
プチダーゼで酵素分解することが好ましい。
【0019】アミノペプチダーゼ(IUB No.:
3.4.11.1、CAS No.:9001−61−
0、EINECS No.:232−618−3)およ
びサブチリシン(IUB No.:3.4.21.6
2、CAS No.:9014−01−1、EINEC
S No.:232−752−2)は、それぞれ酵素タ
ンパク質の一種である。
【0020】K値の低いサンマで製造したサンマ節であ
れば、長期の貯蔵に耐えられる風味の良いサンマエキス
の製造が可能となる。サンマ節からサンマエキスを造る
場合、サンマ節の粉砕を十分行わずに、たん白質分解酵
素であるプロテアーゼを作用させた場合、十分なる酵素
の働きが出来ない。そのため、たんぱく質の分解が不十
分となり、苦味の出現が高く、品質の良い調味液を造る
ことが難しい。そのため、予めサンマ節を粉砕し、酵素
を作用させてエキスの製造を行うことが好ましい。
【0021】しかしながら、ただサンマ節を粉砕するだ
けでは、たんぱく質分解酵素を十分に作用させることが
出来ず、酵素の働きが不十分なため、エキスの収率は例
えば34.2などの低いものとなる。従って、サンマエ
キスの製造方法では、その収率を高めるため、サンマ節
を粉砕後、膨潤工程を行って柔らかくすることが好まし
い。例えば、サンマエキスを製造する際、サンマ節を粉
砕した後の一次処理として、アルカリ剤によりpHを
7.5〜8.0の領域で数時間保持し、軟化させた後
に、乳酸でpHを調整し、プロテアーゼを作用させるこ
とが好ましい。
【0022】しかしながら、その場合、収率は42.6
%と上げることは出来るが、風味が悪く且つアルカリ臭
が強く、品質の良いサンマエキスを作ることが出来な
い。このため、サンマエキスを製造する場合、サンマ節
をミートチョッパーにて粉砕処理した後、マスコロイダ
ーにて更に微粉砕し膨潤率を高めることが好ましい。さ
らに、このサンマ節の微粉末を15%の濃度に懸濁溶解
し、pH を6.0〜7.0に調整して、その溶液(基
質)を50℃の条件に保持し、第一段階としてサブチリ
シンを作用させ、その後にアミノペプチダーゼを作用さ
せることが好ましい。その後、酵素失活を90℃にて行
い、フィルタープレスを用いて固液を分離し、2日間の
熟成を行うことが好ましい。その後、その溶液を濾過す
れば、透明なサンマエキスを例えば60%近い高収率で
得ることができる。
【0023】このように、本発明に係るサンマエキスの
製造方法によれば、従来必要とされていたアルカリ処理
することなく、而も、高収率で、サンマ節から油分を除
去した透明で芳香性の良いサンマエキスを造ることが可
能となる。本発明に係るサンマエキスの製造方法により
得られたサンマエキスは、ホタテエキスのアミノ酸がグ
リシン、アラニン、エビエキスのアミノ酸がグリシンと
中性のアミノ酸が主であるのに対して、リジン、ヒスチ
ジンと塩基性のアミノ酸が主なアミノ酸で、アジエキス
と同様なアミノ酸組成を示し、比較的酵母エキスに近い
遊離アミノ酸パターンを示している。
【0024】
【実施例1】図1に示すように、冷凍サンマを流水解凍
により解凍具合が均等になるように手ほぐしをしながら
解凍する。解凍時の血水を洗い流し、鱗を手作業にて軽
く洗浄する。洗浄後のサンマを煮籠に並べ、煮込み準備
を行う。原料の具合を見ながら、サンマを煮籠ごと90
℃で10〜13分煮熟する。煮熟後のサンマをセイロに
並べ、扇風機による通風乾燥で、温度を下げる。通風乾
燥後のサンマを焙乾する。焙乾は、100%の楢の木で
8〜9回燻すことにより行う。このとき、乾燥ムラを防
ぐため、火を2〜3回休ませ、火種とサンマの具合を確
認する。こうしてできたサンマ節を計量し、箱詰めす
る。
【0025】
【試験例1】冷凍サンマを解凍洗浄後、80℃、90
℃、100℃の温度で10分、15分、20分煮熟し、
官能検査によりサンマの状態を観察した。その結果を表
1に示す。表1は、サンマの魚体の状況を官能的に評価
したものである。表1の結果の如く、80℃の場合、加
熱時間が20分以内では身の締まりが悪く、100℃の
場合、身崩れが激しく良好な前処理を施すことが出来な
かった。この結果から、サンマの脂を加熱により除去す
る条件は、90℃の条件が最も好ましいと判断された。
【0026】
【表1】
【0027】
【試験例2】冷凍サンマを解凍洗浄後、80〜100℃
の温度域で10分加熱した。そのサンマ5匹に対し、常
温にて24時間、1kgの分銅で荷重をかけ、油の流出
の状況を確認した。その結果を表2に示す。表2に示す
ように、温度が上昇するごとにサンマ中の油は減少傾向
にあった。この結果から、煮熟温度は90℃以上が好ま
しく、サンマの脱脂を行うには、90℃、15分の条件
が最も好ましいと判断された。
【0028】
【表2】
【0029】
【試験例3】冷凍サンマを解凍後、80〜100℃の温
度域で15分加熱した。そのサンマを30℃の恒温器で
5日間保管後、油焼けの程度を官能的に評価した。その
結果を表3に示す。表3に示すように、煮熟温度が高く
なるにしたがって、油の除去率が高くなるためにサンマ
節の油焼けの程度が少なくなった。但し、100℃で
は、身崩れを起こした。このため、90℃、15分の煮
熟条件のものが油焼けおよび身崩れを起こさないことか
ら、最適であった。
【0030】
【表3】
【0031】
【試験例4】冷凍サンマを解凍後、90℃にて30分加
熱した。その後、サンマに通風乾燥を行い、徐々に温度
を下げてから、100%楢の木で9回燻した。その際、
乾燥ムラを防ぐために、火を2〜3回休ませ、火種とサ
ンマの具合を観察しながら、サンマ節を製造した。製造
したサンマ節について焼きムラの程度を調べた。その結
果を表4に示す。
【0032】
【表4】
【0033】表4から、サンマ節の製造における燻煙回
数と火種の休止回数の、サンマ節の品質、特に、表面の
焼きムラの状態への影響がわかる。表4に示すように、
火種の休止回数が3回以下であれば、明らかにサンマ節
の焼きムラが出来ることが分かった。しかしながら、火
種の休止回数が3回以上であっても燻煙回数が8回以下
であれば、サンマ節の焼きムラが表面に出来ることが確
認された。また、燻煙回数が11回以上であれば、サン
マ節が乾燥しすぎ、良好なサンマ節を得ることが出来な
いことがわかった。
【0034】
【試験例5】K値が異なる生鮮サンマを90℃にて13
分煮熟した後に通風乾燥を行い、所定の方法によりサン
マ節を製造した。そのサンマ節の品質と原料のサンマの
K値との関係を表5に示す。
【0035】
【表5】
【0036】表5に示すように、さんまのK値が高くな
るにつれて、できあがったサンマ節の状態が悪かった。
明らかにK値が10%未満でなくては、良好なサンマ節
を製造することができなかった。K値が4%および7%
のサンマから得られたサンマ節は、エキス分が高くて、
油焼けの少ない、品質の良好なものであった。
【0037】
【実施例2】サンマ節500gを40〜60メッシュに
砕き、水1500gを加え、懸濁溶解させた。この液を
Bx:15%、pH6.0〜7.0に調整した後、50
℃に昇温させた。この液に液状プロテアーゼ製剤のサブ
チリシン(商品名:Alcalase2.4LFG)を
1時間作用させ、その後、液状プロテアーゼ製剤のアミ
ノペプチダーゼ(商品名:FLAVOURZYME50
0L)を15時間以上作用させた。この液を加熱して酵
素失活を行った後、濾過し、所定のサンマエキスを得
た。また、サブチリシンおよびアミノペプチダーゼの代
わりに、アルカリ処理を必要とする他のプロテアーゼを
使用し、同様の処理でサンマエキスを得た。得られたサ
ンマエキスの各種酵素の違いによるエキスの収率および
その風味を表6に示す。なお、エキスの収率は、エキス
の収率(%)=〔(エキスの重量)/(総仕込み重
量)〕×100 の式で求めた。
【0038】
【表6】
【0039】表6に示すように、サブチリシンとアミノ
ペプチダーゼを用いた区は他のプロテアーゼを使用した
区に比べて、エキスの収率が高く、且つエキスの香り、
味、共に他のプロテアーゼを使用した区より良好であっ
た。この原因は、一般のプロテアーゼを使用する場合
は、酵素を作用させる前にサンマ節を事前に柔らかくす
る為に、懸濁液のpHを苛性ソーダを用いて7.5〜
8.0に調整する必要があることから、アルカリ臭が残
るものと考えられる。
【0040】
【実施例3】図2に示すように、さんま節をミートチョ
ッパーにて粉砕処理した後にマスコロイダー にて微粉
砕した。微粉砕したサンマ節500kgに水1500k
gおよび並塩300kgを加え、攪拌した。その後に液
温を45〜55℃に設定し、サブチリシン4kgおよび
アミノペプチダーゼ2kgを加え、酵素分解を3 時間行
った。この溶液の液温を90℃まで昇温して完全に酵素を
失活させた後、フィルタープレスにより圧搾して固液分
離を行った。その後、常温にて2日間放置、熟成(澱引
き)を行い、濾過してサンマエキス1 ,600 kgを得
た。その原材料の配合を表7に示す。また、得られたサ
ンマエキスの成分分析結果を表8に、アミノ酸分析結果
を表9に示す。
【0041】
【表7】
【0042】
【表8】
【0043】
【表9】
【0044】表9に示すように、サンマエキスの遊離ア
ミノ酸は、バリン、メチオニン、イソロイシン、リジ
ン、ヒスチジン、アルギニンが主で、ホタテエキスやエ
ビエキスとは明らかに異なるアミノ酸パターンを示し、
比較的酵母エキスに近い遊離アミノ酸パターンを示して
いる。
【0045】
【実施例4】レトルトおでんのダシに実施例3で製造し
たサンマエキスを使用して、表10に示す配合でおでん
を造り、パネル10名による官能検査により評価を行っ
た。比較対照として鰹エキス−A、Bを用いた。その結
果を表11に示す。なお、嗜好評価の結果は、下段の数
字がパネル数を、上段の数字が嗜好者数を表す。表11
に示すように、サンマエキスを用いたおでんは、鰹エキ
スを用いた処方区より透明感があり、味が濃くて風味が
良いとの評価であった。
【0046】
【表10】
【0047】
【表11】
【0048】
【実施例5】実施例3で製造したサンマエキスを使用し
て、表12に示す配合でうどんのつゆを造り、パネル1
0名による官能検査により評価を行った。比較対照とし
て鰹エキス−A、Bを用いた。その結果を表13に示
す。なお、嗜好評価の結果は、下段の数字がパネル数
を、上段の数字が嗜好者数を表す。表13に示すよう
に、うどんつゆにサンマエキスを用いた方が、液に透明
感があり、芳香性が良く、コクミがあるとの評価であっ
た。
【0049】
【表12】
【0050】
【表13】
【0051】
【発明の効果】本発明によれば、味および芳香性が良好
で品質が良く、油焼けのない、長期の保存に耐えるサン
マエキスおよびその製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1のサンマ節の製造工程を示す
フローチャートである。
【図2】本発明の実施例3のサンマ節エキスの製造工程
を示すフローチャートである。
フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭63−137639(JP,A) 特開 平10−127222(JP,A) 特開 平9−163924(JP,A) 特開2001−197868(JP,A) 特開 平11−196813(JP,A) 特開 昭62−275643(JP,A) 特開 昭60−130366(JP,A) 特開 昭64−74963(JP,A) 特開2002−220(JP,A) 特公 昭36−17393(JP,B1) 国際公開01/028353(WO,A1) 福場博保、他1名編,調味料・香辛料 の事典,株式会社朝倉書店,1991年 7 月15日,初版,p.373−374 主婦の友社編,料理食材大事典,株式 会社主婦の友社,1996年 7月27日, p.156 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) A23B 4/00 - 5/22 A23L 1/22 - 1/237 A23L 1/24 A23L 1/31 - 1/322 JICSTファイル(JOIS)

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】K値が10%未満のサンマを90℃で10
    分以上20分以下煮熟して油を除去後、水分量が15重
    量%以下になるまで燻煙処理により焙乾して、カビ付け
    を行わないサンマ節を製造し、このサンマ節を粉砕し、
    水を加え、pHを6以上7以下に調整し、アミノペプチ
    ダーゼおよびサブチリシンで酵素分解することを特徴と
    するサンマエキス。
  2. 【請求項2】酵素分解した後、熟成を行うことを特徴と
    する請求項1記載のサンマエキス。
  3. 【請求項3】K値が10%未満のサンマを90℃で10
    分以上20分以下煮熟して油を除去後、水分量が15重
    量%以下になるまで燻煙処理により焙乾して、カビ付け
    を行わないサンマ節を製造し、このサンマ節を粉砕し、
    水を加え、pHを6以上7以下に調整し、アミノペプチ
    ダーゼおよびサブチリシンで酵素分解することを特徴と
    するサンマエキスの製造方法。
  4. 【請求項4】酵素分解した後、熟成を行うことを特徴と
    する請求項3記載のサンマエキスの製造方法。
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