JP3495057B2 - ポリエステル・エステルブロック共重合体及びその成形体の製造法 - Google Patents
ポリエステル・エステルブロック共重合体及びその成形体の製造法Info
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Description
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は透明性を有するポリエス
テルエラストマーに関する。更に詳しくは、ポリエステ
ル・エステルブロック共重合体にカルボン酸のナトリウ
ム塩などのアルカリ金属塩を添加することによる透明な
エラストマーに関する。 【0002】 【従来の技術】熱可塑性エラストマーは、近年その成形
性の良さから使用量が増加しており、その中でポリエス
テルエラストマーとして知られるテレフタル酸、テトラ
メチレングリコール、ポリテトラメチレングリコールを
主たる成分とするエラストマーは耐熱性、耐寒性などの
特徴を生かして各種の用途に使用されている。しかし、
この樹脂の欠点として、長期の耐熱劣化性、耐候劣化性
などが挙げられる。 【0003】これらの欠点を改良する方法として、ポリ
テトラメチレングリコールの代わりに、軟質ポリエステ
ルを使用する方法を本発明者らは以前に提案した。特
に、軟質ポリエステルとして、芳香族のジカルボン酸を
主たるジカルボン酸とし、炭素数5以上の長鎖脂肪族グ
リコールを主たるグリコール成分とするポリエステルを
用いたものは、耐加水分解性にも優れたポリエステルエ
ラストマーである。 【0004】ところが、このエラストマーは結晶性であ
るため透明な成形品が得られにくい。透明性は、例えば
チューブや容器などの用途では、内容物を確認するため
にも必要な性能であり、この性質が改良されるとその用
途範囲を広くする利点がある。 【0005】このような観点より、本発明者らは前にカ
ルボン酸ナトリウムを添加することによるポリエーテル
エステルエラストマーの透明性の改良されたエラストマ
ー組成物を提案した(特公昭59―5142号公報)。
ところが、この方法をポリエステル・エステルエラスト
マーに適用しても必ずしも透明性のよいものが得られる
とは限らないという事実が判明している。 【0006】 【解決しようとする課題】本発明の課題は、ポリエステ
ル・ポリエステルブロック共重合体を用いて、透明性の
高い成形品を得る方法を提供することである。 【0007】 【課題を解決する方法】本発明者らは、この課題を解決
する方法を検討した結果、ポリエステル・ポリエステル
ブロック共重合体にカルボン酸ナトリウムを添加して
も、ポリエステル・ポリエステルブロック共重合体の種
類によって透明な組成が得られる場合と、透明とならな
い場合があることを解明し、本発明に到達した。 【0008】 即ち、本発明は、テレフタル酸とテトラ
メチレングリコールを主たる構成成分とするハードセグ
メントと、イソフタル酸およびフタル酸から選ばれた芳
香族ジカルボン酸と炭素数5以上のグリコールとを主た
る構成成分とするソフトセグメントとからなるポリエス
テル・エステルブロック共重合体100重量部当たり、
炭素数6以上のカルボン酸のアルカリ金属塩を0.1〜
10重量部含有せしめてなり、溶融状態で透明であるポ
リエステル・エステルブロック共重合体組成物を溶融成
形するに際し、その成形体を冷却するための媒体を温度
70℃以下に冷却することを特徴とする成形体の製造方
法である。 【0009】本発明のブロック共重合体を説明する。こ
の共重合体は、テレフタル酸とテトラメチレングリコー
ルを主たる構成成分とするハードセグメントと、芳香族
ジカルボン酸と炭素数5以上のグリコールを主たる構成
成分とするソフトセグメントとからなるポリエステル・
エステルブロック共重合体である。そして、テレフタル
酸とテトラメチレングリコール以外のジカルボン酸、ジ
オールを30モル%未満の量で共重合することができ
る。また、芳香族ジカルボン酸、炭素数5以上のグリコ
ール以外のジカルボン酸、ジオールを40モル%未満の
量共重合すると、ソフトセグメントが得られ、このソフ
トセグメントは非晶性又は低結晶性であって、その融点
が50℃以下のものが好ましい。 【0010】ソグトセグメント成分として、前記の範囲
より芳香族成分が少ない場合は、透明性のあるものが得
られにくく、また炭素数5以上のグリコールが少ない場
合は共重合体が固くなりエラストマーとしての性能が得
られにくい。このソフトセグメントを構成するジカルボ
ン酸としては、例えばイソフタル酸、フタル酸等の芳香
族ジカルボン酸や脂肪族ジカルボン酸などの芳香族以外
のジカルボン酸が挙げられる。芳香族ジカルボン酸とし
て、テレフタル酸などの対称性の良いジカルボン酸は結
晶性であるのでソフトセグメントとはならない。 【0011】ハードセグメントとソフトセグメントの割
合は、20対80〜50対50、好ましくは30対70
〜40対60である。これよりハードセグメントが多い
と成形体が透明になりにくく、逆にソフトセグメントが
多過ぎると成形時粘着するなど好ましくない現象があら
われる。 【0012】ブロック共重合体は、通常のポリエステル
の重合法と同様の方法で製造されるソフトセグメントを
構成するポリエステルと、同様に製造されるハードセグ
メントを構成するポリエステルとを溶融混合して、ブロ
ック化させる方法などで製造し得るが、この方法に限定
されない。 【0013】本発明においてはブロック共重合体が透明
である必要がある。この透明性は、例えば溶融物を吐出
する際に見て透明であればよいと判断できるが、ガラス
板の間にポリマーを挟み、溶融状態での光線透過率を測
定すると精密に決定できる。つまり、カバーグラスの間
に0.2mmの厚みになるようにして挟み、溶融状態で
の光線透過率をシリコーンオイル等の熱媒体中で測定す
る方法である。本発明ではこの光線透過率が80%以
上、好ましくは90%以上である。 【0014】本発明で用いるブロック共重合体では固有
粘度(オルトクロルフェノール中、35℃で測定)が
0.6以上、好ましくは0.9以上のものを使用する。 【0015】本発明においてはブロック共重合体にカル
ボン酸のナトリウム塩を添加する。このカルボン酸のナ
トリウム塩としては脂肪族、脂環族又は芳香族のカルボ
ン酸のナトリウム塩が使用される。そして、特に脂肪族
カルボン酸が好ましく、炭素数6以上、好ましくは10
以上40以下の炭素数のモノカルボン酸塩が使用され
る。このナトリウム塩の使用量はブロック共重合体10
0重量部当たり、0.5〜5重量部である。 【0016】また、通常熱安定剤として使用される立体
障害フェノールや2,2―ビス(4―ヒドロキシフェニ
ル)プロパン等のビスフェノール類を0.5重量%以
上、好ましくは1〜5重量%添加すると、組成物の透明
性が向上する場合が多く、好ましい方法である。この量
の少ないときは透明性向上の効果が少なく、逆にあまり
多量に添加すると、透明性向上効果が上がらないばかり
か、成形体表面へのブリードアウトや成形体の機械的強
度の低下など好ましくない点が増加するためである。 【0017】カルボン酸塩及びフェノール化合物は、成
形までの任意の段階で混合することが可能であり、例え
ば重合の段階で添加する方法、押出機により溶融混練す
る方法、成形時に添加し成形と同時に混合する方法など
が挙げられる。 【0018】かくして得られる組成物は、通常の溶融成
形法、例えば射出成形、押出成形、ブロー成形により成
形して各種用途に使用される。この成形において、冷却
するための媒体例えば、射出成形の時の金型、押出成形
の際の冷却ドラム、サイジングダイ、冷却水などの温度
条件としては70℃以下、好ましくは10〜60℃であ
る。これより高い温度条件では、得られる成形体の透明
性が低下するからである。 【0019】 【効果】本発明を実施すると、透明な成形体の得にくか
った従来技術に較べて、ポリエステル・エステルブロッ
ク共重合体の透明な成形品が得られる。そして同時に本
来ポリエステル・ポリエステルブロック共重合体に備わ
っていた耐熱性、耐光性のよい柔軟な成形体が得られる
のである。 【0020】この組成物は、その透明性を利用して、シ
ート、チューブ等として使用されたり、射出成形した透
明な成形体として各種用途に使用される。 【0021】 【実施例】以下、実施例により、本発明を詳述する。な
お、本実施例中「部」とあるのは、「重量部」を示す。 【0022】 【実施例1】イソフタル酸ジメチル175部、セバシン
酸ジメチル23部及びヘキサメチレングリコール140
部をジブチル錫ジアセテート触媒でエステル交換反応
後、減圧下に重縮合して、固有粘度1.06のポリエス
テルを得た。このポリエステルに、別途同様に重縮合し
て得た固有粘度0.98のポリブチレンテレフタレート
のチップを乾燥して、107部添加し、240℃で更に
45分間反応させたのち、フェニルフォスフォン酸を
0.1部添加して、反応を停止させた。このブロックポ
リエステルを取出しチップ化して原料とした。このチッ
プの融点は190℃で、固有粘度は1.03であり、ま
たポリマー厚さが0.2mmになるようにして、顕微鏡
のカバーグラス間にこのポリマーを挟んで熱プレスして
得た試料を、220℃のシリコーンオイルバス中で光の
透過率を測定した結果、94%であった。 【0023】このチップ100部当たり、パルミチン酸
ナトリウム1.5部、テトラキス(4―ヒドロキシ―
3,5―ジ―t―ブチル―フェニル)メタン1.0部を
混合、240℃で押出機より押出しチップ化した。この
チップを乾燥後、シリンダー温度230℃で、金型温度
40℃で2mm厚の平板を成形した。 【0024】この成形品の曇度は42%であった。 【0025】 【実施例2〜4及び比較例1】実施例1において、パル
ミチン酸ナトリウムの代わりに表1に示したカルボン酸
塩を添加した。実施例1と同様に成形して得た2mm厚
の平板の曇度は表1の通りであった。 【0026】 【表1】 【0027】 【比較例2】実施例1において、イソフタル酸ジメチル
の代わりにセバチン酸ジメチル207部を用いた以外は
実施例1と同様にして、ブロック共重合体を製造した。
このブロック共重合体は吐出時半透明であり、溶融状態
における光透過率は75%であった。実施例1と同様
に、パルミチン酸ナトリウム、テトラキス(4―ヒドロ
キシ―3,5―ジ―t―ブチル―フェニル)メタンを混
合し、射出成形した。得られた平板の曇度は72%であ
った。 【0028】 【比較例3】ポリエステル・ポリエステルブロック共重
合体として、東洋紡績(株)製ペルプレンS1001を
100部準備し、実施例1と同様に、パルミチン酸ナト
リウム、テトラキス(4―ヒドロキシ―3,5―ジ―t
―ブチル―フェニル)メタンを添加した。実施例1と同
様に平板を射出成形し、曇度を測定した結果75%であ
った。 【0029】 【実施例5】実施例1において、イソフタル酸ジメチル
を、セバチン酸ジメチルの代わりにアゼライン酸ジメチ
ルを、ヘキサメチレングリコールの代わりに2―メチル
―1,8―オクタンジオールを用いて重合したポリエス
テルに、ポリブチレンテレフタレートを添加し、実施例
1と同様にブロック共重合体を得た。このブロック共重
合体は、吐出時透明であり、融点192℃、固有粘度
1.04であった。 【0030】 このブロック共重合体100部に、パル
ミチン酸ナトリウムを2部及びチバガイギー社製イルガ
ノックス1330を1部添加し、20℃の冷却ドラム上
に溶融押出して厚さ1mmのシートを得た。このシート
の曇度は21%であった。
テルエラストマーに関する。更に詳しくは、ポリエステ
ル・エステルブロック共重合体にカルボン酸のナトリウ
ム塩などのアルカリ金属塩を添加することによる透明な
エラストマーに関する。 【0002】 【従来の技術】熱可塑性エラストマーは、近年その成形
性の良さから使用量が増加しており、その中でポリエス
テルエラストマーとして知られるテレフタル酸、テトラ
メチレングリコール、ポリテトラメチレングリコールを
主たる成分とするエラストマーは耐熱性、耐寒性などの
特徴を生かして各種の用途に使用されている。しかし、
この樹脂の欠点として、長期の耐熱劣化性、耐候劣化性
などが挙げられる。 【0003】これらの欠点を改良する方法として、ポリ
テトラメチレングリコールの代わりに、軟質ポリエステ
ルを使用する方法を本発明者らは以前に提案した。特
に、軟質ポリエステルとして、芳香族のジカルボン酸を
主たるジカルボン酸とし、炭素数5以上の長鎖脂肪族グ
リコールを主たるグリコール成分とするポリエステルを
用いたものは、耐加水分解性にも優れたポリエステルエ
ラストマーである。 【0004】ところが、このエラストマーは結晶性であ
るため透明な成形品が得られにくい。透明性は、例えば
チューブや容器などの用途では、内容物を確認するため
にも必要な性能であり、この性質が改良されるとその用
途範囲を広くする利点がある。 【0005】このような観点より、本発明者らは前にカ
ルボン酸ナトリウムを添加することによるポリエーテル
エステルエラストマーの透明性の改良されたエラストマ
ー組成物を提案した(特公昭59―5142号公報)。
ところが、この方法をポリエステル・エステルエラスト
マーに適用しても必ずしも透明性のよいものが得られる
とは限らないという事実が判明している。 【0006】 【解決しようとする課題】本発明の課題は、ポリエステ
ル・ポリエステルブロック共重合体を用いて、透明性の
高い成形品を得る方法を提供することである。 【0007】 【課題を解決する方法】本発明者らは、この課題を解決
する方法を検討した結果、ポリエステル・ポリエステル
ブロック共重合体にカルボン酸ナトリウムを添加して
も、ポリエステル・ポリエステルブロック共重合体の種
類によって透明な組成が得られる場合と、透明とならな
い場合があることを解明し、本発明に到達した。 【0008】 即ち、本発明は、テレフタル酸とテトラ
メチレングリコールを主たる構成成分とするハードセグ
メントと、イソフタル酸およびフタル酸から選ばれた芳
香族ジカルボン酸と炭素数5以上のグリコールとを主た
る構成成分とするソフトセグメントとからなるポリエス
テル・エステルブロック共重合体100重量部当たり、
炭素数6以上のカルボン酸のアルカリ金属塩を0.1〜
10重量部含有せしめてなり、溶融状態で透明であるポ
リエステル・エステルブロック共重合体組成物を溶融成
形するに際し、その成形体を冷却するための媒体を温度
70℃以下に冷却することを特徴とする成形体の製造方
法である。 【0009】本発明のブロック共重合体を説明する。こ
の共重合体は、テレフタル酸とテトラメチレングリコー
ルを主たる構成成分とするハードセグメントと、芳香族
ジカルボン酸と炭素数5以上のグリコールを主たる構成
成分とするソフトセグメントとからなるポリエステル・
エステルブロック共重合体である。そして、テレフタル
酸とテトラメチレングリコール以外のジカルボン酸、ジ
オールを30モル%未満の量で共重合することができ
る。また、芳香族ジカルボン酸、炭素数5以上のグリコ
ール以外のジカルボン酸、ジオールを40モル%未満の
量共重合すると、ソフトセグメントが得られ、このソフ
トセグメントは非晶性又は低結晶性であって、その融点
が50℃以下のものが好ましい。 【0010】ソグトセグメント成分として、前記の範囲
より芳香族成分が少ない場合は、透明性のあるものが得
られにくく、また炭素数5以上のグリコールが少ない場
合は共重合体が固くなりエラストマーとしての性能が得
られにくい。このソフトセグメントを構成するジカルボ
ン酸としては、例えばイソフタル酸、フタル酸等の芳香
族ジカルボン酸や脂肪族ジカルボン酸などの芳香族以外
のジカルボン酸が挙げられる。芳香族ジカルボン酸とし
て、テレフタル酸などの対称性の良いジカルボン酸は結
晶性であるのでソフトセグメントとはならない。 【0011】ハードセグメントとソフトセグメントの割
合は、20対80〜50対50、好ましくは30対70
〜40対60である。これよりハードセグメントが多い
と成形体が透明になりにくく、逆にソフトセグメントが
多過ぎると成形時粘着するなど好ましくない現象があら
われる。 【0012】ブロック共重合体は、通常のポリエステル
の重合法と同様の方法で製造されるソフトセグメントを
構成するポリエステルと、同様に製造されるハードセグ
メントを構成するポリエステルとを溶融混合して、ブロ
ック化させる方法などで製造し得るが、この方法に限定
されない。 【0013】本発明においてはブロック共重合体が透明
である必要がある。この透明性は、例えば溶融物を吐出
する際に見て透明であればよいと判断できるが、ガラス
板の間にポリマーを挟み、溶融状態での光線透過率を測
定すると精密に決定できる。つまり、カバーグラスの間
に0.2mmの厚みになるようにして挟み、溶融状態で
の光線透過率をシリコーンオイル等の熱媒体中で測定す
る方法である。本発明ではこの光線透過率が80%以
上、好ましくは90%以上である。 【0014】本発明で用いるブロック共重合体では固有
粘度(オルトクロルフェノール中、35℃で測定)が
0.6以上、好ましくは0.9以上のものを使用する。 【0015】本発明においてはブロック共重合体にカル
ボン酸のナトリウム塩を添加する。このカルボン酸のナ
トリウム塩としては脂肪族、脂環族又は芳香族のカルボ
ン酸のナトリウム塩が使用される。そして、特に脂肪族
カルボン酸が好ましく、炭素数6以上、好ましくは10
以上40以下の炭素数のモノカルボン酸塩が使用され
る。このナトリウム塩の使用量はブロック共重合体10
0重量部当たり、0.5〜5重量部である。 【0016】また、通常熱安定剤として使用される立体
障害フェノールや2,2―ビス(4―ヒドロキシフェニ
ル)プロパン等のビスフェノール類を0.5重量%以
上、好ましくは1〜5重量%添加すると、組成物の透明
性が向上する場合が多く、好ましい方法である。この量
の少ないときは透明性向上の効果が少なく、逆にあまり
多量に添加すると、透明性向上効果が上がらないばかり
か、成形体表面へのブリードアウトや成形体の機械的強
度の低下など好ましくない点が増加するためである。 【0017】カルボン酸塩及びフェノール化合物は、成
形までの任意の段階で混合することが可能であり、例え
ば重合の段階で添加する方法、押出機により溶融混練す
る方法、成形時に添加し成形と同時に混合する方法など
が挙げられる。 【0018】かくして得られる組成物は、通常の溶融成
形法、例えば射出成形、押出成形、ブロー成形により成
形して各種用途に使用される。この成形において、冷却
するための媒体例えば、射出成形の時の金型、押出成形
の際の冷却ドラム、サイジングダイ、冷却水などの温度
条件としては70℃以下、好ましくは10〜60℃であ
る。これより高い温度条件では、得られる成形体の透明
性が低下するからである。 【0019】 【効果】本発明を実施すると、透明な成形体の得にくか
った従来技術に較べて、ポリエステル・エステルブロッ
ク共重合体の透明な成形品が得られる。そして同時に本
来ポリエステル・ポリエステルブロック共重合体に備わ
っていた耐熱性、耐光性のよい柔軟な成形体が得られる
のである。 【0020】この組成物は、その透明性を利用して、シ
ート、チューブ等として使用されたり、射出成形した透
明な成形体として各種用途に使用される。 【0021】 【実施例】以下、実施例により、本発明を詳述する。な
お、本実施例中「部」とあるのは、「重量部」を示す。 【0022】 【実施例1】イソフタル酸ジメチル175部、セバシン
酸ジメチル23部及びヘキサメチレングリコール140
部をジブチル錫ジアセテート触媒でエステル交換反応
後、減圧下に重縮合して、固有粘度1.06のポリエス
テルを得た。このポリエステルに、別途同様に重縮合し
て得た固有粘度0.98のポリブチレンテレフタレート
のチップを乾燥して、107部添加し、240℃で更に
45分間反応させたのち、フェニルフォスフォン酸を
0.1部添加して、反応を停止させた。このブロックポ
リエステルを取出しチップ化して原料とした。このチッ
プの融点は190℃で、固有粘度は1.03であり、ま
たポリマー厚さが0.2mmになるようにして、顕微鏡
のカバーグラス間にこのポリマーを挟んで熱プレスして
得た試料を、220℃のシリコーンオイルバス中で光の
透過率を測定した結果、94%であった。 【0023】このチップ100部当たり、パルミチン酸
ナトリウム1.5部、テトラキス(4―ヒドロキシ―
3,5―ジ―t―ブチル―フェニル)メタン1.0部を
混合、240℃で押出機より押出しチップ化した。この
チップを乾燥後、シリンダー温度230℃で、金型温度
40℃で2mm厚の平板を成形した。 【0024】この成形品の曇度は42%であった。 【0025】 【実施例2〜4及び比較例1】実施例1において、パル
ミチン酸ナトリウムの代わりに表1に示したカルボン酸
塩を添加した。実施例1と同様に成形して得た2mm厚
の平板の曇度は表1の通りであった。 【0026】 【表1】 【0027】 【比較例2】実施例1において、イソフタル酸ジメチル
の代わりにセバチン酸ジメチル207部を用いた以外は
実施例1と同様にして、ブロック共重合体を製造した。
このブロック共重合体は吐出時半透明であり、溶融状態
における光透過率は75%であった。実施例1と同様
に、パルミチン酸ナトリウム、テトラキス(4―ヒドロ
キシ―3,5―ジ―t―ブチル―フェニル)メタンを混
合し、射出成形した。得られた平板の曇度は72%であ
った。 【0028】 【比較例3】ポリエステル・ポリエステルブロック共重
合体として、東洋紡績(株)製ペルプレンS1001を
100部準備し、実施例1と同様に、パルミチン酸ナト
リウム、テトラキス(4―ヒドロキシ―3,5―ジ―t
―ブチル―フェニル)メタンを添加した。実施例1と同
様に平板を射出成形し、曇度を測定した結果75%であ
った。 【0029】 【実施例5】実施例1において、イソフタル酸ジメチル
を、セバチン酸ジメチルの代わりにアゼライン酸ジメチ
ルを、ヘキサメチレングリコールの代わりに2―メチル
―1,8―オクタンジオールを用いて重合したポリエス
テルに、ポリブチレンテレフタレートを添加し、実施例
1と同様にブロック共重合体を得た。このブロック共重
合体は、吐出時透明であり、融点192℃、固有粘度
1.04であった。 【0030】 このブロック共重合体100部に、パル
ミチン酸ナトリウムを2部及びチバガイギー社製イルガ
ノックス1330を1部添加し、20℃の冷却ドラム上
に溶融押出して厚さ1mmのシートを得た。このシート
の曇度は21%であった。
─────────────────────────────────────────────────────
フロントページの続き
(56)参考文献 特開 昭53−81596(JP,A)
Claims (1)
- (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 テレフタル酸とテトラメチレングリコー
ルを主たる構成成分とするハードセグメントと、イソフ
タル酸およびフタル酸から選ばれた芳香族ジカルボン酸
と炭素数5以上のグリコールとを主たる構成成分とする
ソフトセグメントとからなるポリエステル・エステルブ
ロック共重合体100重量部当たり、炭素数6以上のカ
ルボン酸のアルカリ金属塩を0.1〜10重量部含有せ
しめてなり、溶融状態で透明であるポリエステル・エス
テルブロック共重合体組成物を溶融成形するに際し、そ
の成形体を冷却するための媒体を温度70℃以下に冷却
することを特徴とする成形体の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP09763193A JP3495057B2 (ja) | 1993-04-23 | 1993-04-23 | ポリエステル・エステルブロック共重合体及びその成形体の製造法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP09763193A JP3495057B2 (ja) | 1993-04-23 | 1993-04-23 | ポリエステル・エステルブロック共重合体及びその成形体の製造法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH06306263A JPH06306263A (ja) | 1994-11-01 |
JP3495057B2 true JP3495057B2 (ja) | 2004-02-09 |
Family
ID=14197517
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP09763193A Expired - Fee Related JP3495057B2 (ja) | 1993-04-23 | 1993-04-23 | ポリエステル・エステルブロック共重合体及びその成形体の製造法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3495057B2 (ja) |
Families Citing this family (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2014508204A (ja) * | 2011-02-09 | 2014-04-03 | イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー | 向上した特性を有するポリエステル組成物 |
CN113429749A (zh) * | 2021-06-29 | 2021-09-24 | 会通新材料(上海)有限公司 | 一种高透明低熔指热塑性聚酯弹性体及其制备方法 |
-
1993
- 1993-04-23 JP JP09763193A patent/JP3495057B2/ja not_active Expired - Fee Related
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