JP3489869B2 - メチルアミン類の製造方法 - Google Patents

メチルアミン類の製造方法

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JP3489869B2
JP3489869B2 JP06847894A JP6847894A JP3489869B2 JP 3489869 B2 JP3489869 B2 JP 3489869B2 JP 06847894 A JP06847894 A JP 06847894A JP 6847894 A JP6847894 A JP 6847894A JP 3489869 B2 JP3489869 B2 JP 3489869B2
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【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はメチルアミン類の製造方
法、より詳細には、メタノールとアンモニアからトリメ
チルアミンの生成を充分に抑制したメチルアミン類の製
造方法に於いて、メチルアミン合成触媒に供給する合成
原料中に少量含まれるアルデヒド類、特にホルムアルデ
ヒドに対して耐久性のあるメチルアミン製造触媒を使用
したメチルアミン類の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】メチルアミン類、即ちモノメチルアミ
ン、ジメチルアミンおよびトリメチルアミンはメタノー
ルまたはメタノールとジメチルエーテルの混合物をアン
モニアと反応させる方法や、青酸を接触還元する方法等
で製造される。而して、これらのメチルアミン類はモ
ノ、ジ、およびトリメチルアミンの混合物として生成
し、各々に対応した用途を持つ。 −方、これらのメチ
ルアミン類の需要は、ジメチルアミン、またはモノメチ
ルアミンに偏つており、トリメチルアミンの需要は現状
では少ない。 通常の非晶質シリカアルミナを触媒とし
てメタノールとアンモニアの反応で得られるメチルアミ
ン類は、トリメチルアミンが主生成物であり、需要の多
いジメチルアミンの取得量が少ない難点があつた。これ
らの難点を克服するために、炭素数1〜18のアルコー
ルとアンモニアとの反応に孔径5〜10オングストロー
ムの値を持つ脱水した結晶性アルミノシリケート(ゼオ
ライト)を触媒に用いると、モノ、およびジアミンがト
リアミンより優先的に生成することが開示されている。
また、上記した反応に適したゼオライトの種類とし
て、天然ゼオライトおよび合成ゼオライトが示されてい
る。天然ゼオライトとして、フォージャス石、アナルサ
イト、クリノプチルライト、フェリエライト、チャバザ
イト、グメリナイト、レビナイト、エリオナイトおよび
モルデナイト等が適当であると開示されている。 合成
ゼオライトとしては、X型、 Y型およびA型等が適当
であると開示されている(USP.,3,384,66
7; 1968年)。
【0003】メタノールとアンモニアを特定割合で混合
し、モルデナイト等の触媒存在下に反応させモノメチル
アミンを特異的に多く取得する方法(特開昭56−11
3747)、およびNaモルデナイトから選ばれる結晶
質アルミノシリケートで、モノメチルアミンを不均化し
ジメチルアミンを高選択的に得る(特開昭56−468
46)方法も開示されている。上記のUSP.,3,3
84,667と同様な方法で使用するモルデナイトに天
然産の鉱物を使用する方法(特開昭57−16944
4)、ランタンイオンでイオン交換したモルデナイトを
触媒に使用する方法(特開昭58−49340)、アル
カリ金属のイオン交換量を特定の範囲に限定したモルデ
ナイトを触媒に使用する方法(特開昭59−21005
0)、触媒にスチーム処理したモルデナイトを使用する
方法(特開昭59−227841)、低バインダー含有
量のA型ゼオライトを触媒として使用する方法(特開昭
58−69846)または、Rho型(ZK−5)ゼオ
ライトを触媒とする方法等も開示されている。
【0004】以上の方法でゼオライト系の触媒を使用す
るとトリメチルアミンの生成量を抑制することができる
が、更にトリメチルアミンの生成量をゼロないし実質的
にゼロとする目的でモルデナイトの細孔を四塩化珪素の
CVD処理で修飾したものを触媒として使用する方法も
知られている(特開平03−262540; J.Ca
tal.,131巻,482(1991).)。チャバ
ザイト、エリオナイト、ZK−5およびRho型ゼオラ
イト上にケイ素、アルミニウム、燐またはホウ素の化合
物を沈澱させ変性したものを触媒にする方法(特開昭6
1−254256)でトリメチルアミンの生成を低減す
る方法もある。また、非ゼオライト系モレキュラーシー
ブのSAPOを触媒としてアルコールとアンモニアを反
応させアルキルアミンとする方法(特開平 2−73
4)も知られている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上述の如く、従来開示
されている種々なゼオライト系触媒をメタノールとアン
モニアとの反応に使用することで、需要の少ないトリメ
チルアミンの生成量を低く抑制し、需要の多いジメチル
アミンの取得量を高めることができるようになってい
る。しかしながら、これらのゼオライト系の化合物を触
媒に使用すると、トリメチルアミンの生成を抑制する形
状選択性を発現させるために、触媒のミクロポアーは生
成物分子の大きさと略同一であり、極く僅かのタール様
物質または炭素質等が触媒のミクロポアーに沈着したり
析出すると触媒の活性は低下し、徐々に目的物の生成量
が低減して実用的な生産ができなくなるに至る。
【0006】メタノールとアンモニアからゼオライト特
にモルデナイトを触媒としてメチルアミン類を製造する
際には炭素質の生成を抑制するために300℃以下の比
較的低い反応温度での操業でも触媒活性の経時的な低下
は著しく大きく、工業的操業の場合触媒寿命は2〜3ケ
月程度でゼオライト触媒の効率的な使用は、非常に困難
となつている、と記載されている(特開平2−6355
4;USP.,5,068,442)。また、上記明細
書には、モルデナイト等のゼオライト触媒でメチルアミ
ンの合成を行う際にも、メタン、エタンなどの炭化水
素、水素、ジメチルエーテル、ホルムアルデヒド等のア
ルデヒド類等が副生し、これらのうちで特にホルムアル
デヒド等のアルデヒド類が炭素質の析出原因となり触媒
活性の逐時的な低下をもたらすと記載されている。そこ
で、ゼオライト触媒の寿命を延長させるには触媒層に供
給する反応原料中のホルムアルデヒド量を0.15g/
h.kg−cat.以下に抑制することが肝要であると
が開示されている。また、これらのアルデヒド類は未反
応メタノール留分中に主に混在し、未反応メタノールを
触媒層にリサイクルした場合特異的に触媒寿命を著しく
短くする、との開示もされている(特開平2−6355
4;USP.,5,068,442;化学工学56巻4
21頁1990年)。以上の理由で形状選択性を持つゼ
オライト触媒と共に通常のシリカアルミナ触媒を組み合
わせ、リサイクルメタノールを形状選択性を持たない通
常のシリカアルミナ触媒に供給して混在するホルムアル
デヒド類を分解除去する複雑な合成経路を持つメチルア
ミン類製造法も提案されている。本発明の第一の目的
は、触媒層に供給する反応原料中に含まれる不純物、特
に触媒活性を特異的に著しく劣化するとされているホル
ムアルデヒド類に対して耐久力のある、トリメチルアミ
ンの生成を抑制したメチルアミン類合成触媒を提供する
ことである。ホルムアルデヒド類に対して耐久力のある
触媒が得られれば、原料メタノールに通常のメタノール
のみならずホルムアルデヒド製造工場からの排出メタノ
ール、またはメチルエステル類製造工場からの排出メタ
ノール等をメチルアミン類製造の出発原料として有効利
用することも可能となる。
【0007】本発明の第二の目的はメタノールとアンモ
ニアからメチルアミン類を製造する際に微量副生するホ
ルムアルデヒド類の生成量が少ない、トリメチルアミン
の生成を抑制したメチルアミン類の製造触媒を提供する
ことにある。通常、メタノールとアンモニアからメチル
アミン類を製造する際に、モルデナイト等のゼオライト
触媒の存在下300℃程度の反応温度に於いてホルムア
ルデヒド等のアルデヒド化合物は生成ガス中に約200
〜300ppm、またはそれ以上存在し、これを生成系
で分離除去するのは、通常の操作を行う限り容易でない
こと、アルデヒド化合物の殆どは回収メタノールに混入
し、これのリサイクルによる反応系へのアルデヒド化合
物の混入量はホルムアルデヒド換算で0.4g/h.k
g−catまたはそれ以上であること等が開示されてい
る(特開平2−63554;USP.,5,068,4
42)。よつて、ホルムアルデヒドの副生量の多いメチ
ルアミン類の合成触媒を用い、ホルムアルデヒドの混入
しているメタノール、例えばホルムアルデヒド製造工場
の排出メタノールをメチルアミン類の製造原料に使用し
た場合には更にホルムアルデヒドの蓄積が進行するとい
う問題が生じる。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者は、アンモニア
とメタノールからトリメチルアミンの生成を抑制したメ
チルアミン類の製造に際し、触媒層に供給する反応原料
中に微量混在するアルデヒド類、特にホルムアルデヒド
に対して耐久力があり、また同時にアンモニアとメタノ
ールとからトリメチルアミンの生成を抑制したメチルア
ミン類の製造に際し微量副生するホルムアルデヒド類の
生成量が少ないメチルアミン類の製造触媒に関し種々研
究した。その結果、メタノールとアンモニアとを反応さ
せる際に使用する触媒に、Na2O含有量が0.3wt
%以下、より好ましくは0.2wt%以下である、モル
デナイトもしくはクリノプチルライトを触媒として使用
すれば、(1)メチルアミン合成反応の原料中に従来既
知の触媒では触媒活性の低下が激しく工業的な使用が困
難であるレベルのアルデヒド類、特にホルムアルデヒド
が混入していても触媒活性が実質的に低下しないこと、
(2)メチルアミン合成反応の際に副生するホルムアル
デヒドの量も従来既知の触媒を用いた場合より少ないこ
とを見いだし本発明を完成するに至つた。
【0009】即ち、本発明は、メタノールとアンモニア
を反応させメチルアミン類を製造するに際し、Na2
含有量0.3wt%以下とした後、Si(OR)
(Rはメチル基、エチル基又はイソプロピル基を表す)
で表されるケイ素のアルコキサイドにより外表面がシリ
ル化処理されたモルデナイトもしくはクリノプチルライ
トを触媒として使用することを特徴とするメチルアミン
類の製造方法である。
【0010】通常、モルデナイトもしくはクリノプチル
ライト中のナトリウムイオンを本発明の方法に示した範
囲にまで水素イオンに交換したものを触媒として使用す
る。このような状態にある、モルデナイトもしくはクリ
ノプチルライトはメタノールとアンモニアからのメチル
アミン類の合成反応触媒に使用した場合トリメチルアミ
ンの生成を抑制する能力に乏しい。従来、モルデナイト
系の触媒にトリメチルアミン生成を抑制する能力を付与
する目的でモルデナイトにある範囲の定められた量のナ
トリウムイオンをイオン交換した触媒を使用することが
広く実施されている(特公平2−16743;US
P.,4,578,516;J.Catal.,103
巻、20頁、1987年)。この種の触媒を用いた場合
には本発明のナトリウム含有量の範囲より遥かにナトリ
ウム量が過大なため、トリメチルアミンの生成抑制には
有効であつても、反応原料中に不純物としてホルムアル
デヒドが混在すると触媒が被毒され且つ生成メチルアミ
ン類中に存在するホルムアルデヒドの副生が多大で本発
明の目的には使用できない。そのために、本発明の方法
では他の手段によりメチルアミン合成触媒にトリメチル
アミンの生成抑制能力を付与することが必要となる。本
発明の目的に使用可能なトリメチルアミンの抑制方法は
種々の方法が有るが、使用するモルデナイトもしくはク
リノプチルライトの外表面をシリル化剤によりシリル化
処理する方法が多用される。
【0011】従来メタノールとアンモニアからメチルア
ミン類を製造する反応に多用されている通常のモルデナ
イトはNa8 (Al8 Si4096)・24H2 Oで表さ
れる結晶状のアルミノシリケートである( ATLAS
OF ZEOLITESTRUCTURE TYPE
S, W.M.Meier and D.H.Olso
n, 1987,Butterworths )。ま
た、Me1/n (AlSi512)・3H2 O ,(Me
はn価のアルカリまたはアルカリ土類原子または水素を
表す。)で表記されている(特開昭57−16944
4; 特開昭59−210050 等)場合もある。
【0012】いずれの場合においても、通常のモルデナ
イトでは天然品または合成品(Norton社Zeol
on、UCC社LZM−8、La Grande Pa
roisse社CM−180、等)を問わず、そのSi
/Al比は5、(シリカ/アルミナ)比(SiO2 /A
23 )で示すと10の近傍であつて、(シリカ/ア
ルミナ)比で11を越えるものは特殊な合成品をのぞき
知られていない。
【0013】然るに、本発明の方法で使用するモルデナ
イトは(シリカ/アルミナ)比が10または10以上の
ものである。(シリカ/アルミナ)比が10前後のもの
であれば通常の合成または天然モルデナイトを使用す
る。(シリカ/アルミナ)比が11以上のものは、通常
のモルデナイトに酸処理、スチーム処理などの常法をほ
どこすことで得ることもできるし、ケイ酸ソーダ水溶液
と塩化アルミニウム水溶液で (10+n)Na2
(3+n)Al23 (87−n)SiO2(ここでn
は0〜4)の組成を持つゲル状のスラリーを調製し、こ
れを130〜250℃で10時間〜数日間水熱合成する
ことにより製造する(Am.Mineral.65巻,
1012(1972))。クリノプチルライトはNa6
(Al6Si3072)24H2Oの組成である。このまま
の(シリカ/アルミナ)比で使用してもよいし、または
酸処理、スチーム処理等により(シリカ/アルミナ)比
を高めたものを使用してもよい。
【0014】本発明の方法に於いて、使用するモルデナ
イトもしくはクリノプチルライトは通常水素イオン型の
ものを使用する場合が多い。合成または天然のモルデナ
イトもしくはクリノプチルライトは、通常Naイオン型
として得られる。本発明の方法に於いては上記ゼオライ
ト中のナトリウム含有量をNa2Oで示して0.3wt
%以下にすると同時に水素イオン型に転換する。アルカ
リ金属またはアルカリ土類等のカチオンで交換されてい
る上記ゼオライトのナトリウム含有量を上記の値以下に
し同時に水素イオン型に転換するには、硝酸アンモニウ
ム、塩化アンモニウム等のアンモニウム塩水溶液中にイ
オン交換すべき上記ゼオライトを投入しイオン交換す
る。アンモニウム塩水溶液の濃度は0.1〜2規定の範
囲が多用され、ゼオライト中のイオン交換すべきカチオ
ン量の2〜10倍のアンモニウム塩に対応する量のアン
モニウム塩水溶液を使用する。イオン交換する際の温度
は室温〜アンモニウム塩水溶液の沸点である。イオン交
換に要する時間は1〜30時間の範囲が多用される。イ
オン交換は上記した操作を1回以上通常2〜3回繰り返
すことで上記ゼオライト中のナトリウム含有量をNa2
O換算で0.2wt%以下に低減することができる。ア
ンモニウム塩でイオン交換した上記ゼオライトは脱イオ
ン水で洗浄後、固液分離し乾燥、500〜700℃に焼
成して触媒の先駆体とする。
【0015】使用する上記ゼオライト中のナトリウム含
有量を所定の値以下にし、水素イオン型にするには、ア
ンモニウム塩水溶液で処理する方法以外に、直接、酸水
溶液でイオン交換処理する方法も多用される。この際に
使用する酸は塩酸、硝酸または硫酸等である。酸水溶液
の濃度は6規定以下、特に0.5〜4規定の範囲が多用
される。使用する酸の量は交換すべきゼオライト中のカ
チオンの2〜10倍量が使用される。酸によるイオン交
換処理の場合もイオン交換の操作を1回以上繰り返すこ
とでナトリウム含有量をNa2O換算で0.2wt%以
下とすることができる。酸水溶液によりイオン交換した
ゼオライトも同様に脱イオン水で洗浄後固液分離し、乾
燥後400〜700℃に焼成し触媒先駆体とする。
【0016】ナトリウム含有量を所定の値以下に調製し
たモルデナイトもしくはクリノプチルライトの上記ゼオ
ライトにトリメチルアミンの生成抑制能を付与するため
に上記ゼオライトの外表面をシリル化剤によりシリル
処理をおこなう。上記ゼオライトのシリル化処理に使用
するシリル化剤は、ケイ素のアルコキサイドSi(O
R)4 (Rはメチル、エチルまたはイソプロピルなどの
低級アルキル基を表す。)が便利であつて、特にテトラ
メチルオルソシリケート、テトラエチルオルソシリケー
ト等が本発明の方法に於いて多用される。これらのケイ
素アルコキサイドは、工業原料として容易に得られる
し、四塩化ケイ素とメタノールまたはエタノール等のア
ルコール類との反応、または金属ケイ素とアルコールと
の反応で簡単に製造することができる。
【0017】上記ゼオライトのシリル化剤による処理の
方法は特に限定されないが、液層中における処理や、C
VD法による気層中に於ける処理等がある。その中で、
上記ゼオライトのシリル化処理を液層中で実施する場
合、ケイ素のアルコキサイドを溶解せしめる溶媒には水
と均一相を成すアルコール性の溶媒を使用する場合と、
水と二液相を成すベンゼンやトルエン等を溶媒として使
用する場合とが多用される。水と均一相を成す溶媒とし
てはメタノール、エタノール、イソプロピルアルコール
等の低級アルコールが多用される。その他にメチルセロ
ソルブ、エチルセロソルブ等の化合物を溶媒として使用
しても良い。また、使用する溶媒中の水分が多いと、ケ
イ素アルコキシドが加水分解され、無駄に消費されるの
で、溶媒中の水はできるだけ少ないほうが好ましい。ケ
イ素のアルコキシドを上記したアルコール溶媒に溶解さ
せて使用するが、その溶解量は0.1〜50wt%、特
に1〜30wt%の範囲が多用される。
【0018】上記した、ケイ素アルコキシドのアルコー
ル溶液に上記ゼオライトを懸濁させてゼオライトの外表
面上にケイ素化合物を析出固定させる。ケイ素化合物に
よる処理に先立つて、処理するゼオライトの含水量を4
%以下になるように乾燥することが好ましい。ケイ素ア
ルコキシドの使用量はモルデナイトの重量に対し0.5
〜30%、特に1〜20%の範囲が多用される。シリル
化処理を実施する際の温度は室温ないしアルコール溶液
の沸点であり、通常20〜90℃の範囲が多用される。
加圧下で処理する場合には更に処理温度を高くすること
もできる。処理に要する時間は主に処理温度により変化
するが室温近傍では3〜30時間、60〜90℃では1
〜10時間の範囲が多用される。
【0019】水と二液相を成す溶媒、例えばベンゼンま
たはトルエンを使用する際には、ケイ素アルコキシドの
使用量、処理条件等は水と均一相を成す溶媒を使用する
場合と同様であるが、処理に供するゼオライト中の含水
量を3〜20wt%に調節することが好ましい。更にゼ
オライト中に上記した範囲の水と共に微量の酸、例えば
塩酸、硝酸、硫酸、または有機酸などを混在させてから
ケイ素アルコキシドで処理する方法はより好ましい実施
様態である。
【0020】処理を終了したゼオライトは、ろ過または
遠心分離等の常法により処理溶液から分離し窒素等の不
活性ガス雰囲気下に加熱するか、減圧下に加熱し付着、
または吸着している有機溶媒等を除去する。 次いで、
空気または酸素雰囲気下に400〜700℃に加熱処理
し触媒とする。 出発原料のモルデナイトが粒状または
錠剤に成型済みであればそのまま触媒として使用に供す
る。粉状の場合には常法により押し出し、または打錠成
型して触媒とする。
【0021】本発明の方法で使用する反応原料は、メタ
ノールまたはメタノールとジメチルエーテルとの混合物
とアンモニアである。この他に反応原料中にモノメチル
アミンを加えることもできる。アンモニアとメタノール
のモル比は0.5対1、ないし5対1の範囲が多用され
る。触媒層に供給する反応ガスの量は200〜2000
l/hr.l−cat.の範囲が多用され、反応の圧力
は0〜40kg/cm2G.、特に10〜30kg/cm2G.の範
囲が多用される。反応を実施する際の触媒層の温度は2
50〜400℃、好ましくは250〜350℃が多用さ
れる。
【0022】
【実施例】以下、実施例および比較例により本発明をよ
り具体的に説明する。 実施例1 水熱合成で製造したナトリウム型の合成モルデナイト5
00gを1規定硝酸アンモニウム水溶液2.5l中に投
入し、オイルバス上で加熱し8時間リフラツクスした。
固液を分離し、脱イオン水で洗浄後、新たな2規定硝酸
アンモニウム水溶液2.5lを加え同様に8時間リフラ
ツクスした。固液分離後脱イオン水で洗浄、乾燥後、空
気流通下に600℃で5時間焼成し触媒前駆体のモルデ
ナイトとした。得られたモルデナイト中のナトリウム含
有量はNa2Oとして0.12wt%であつた。これを
打錠し3mm×3mmの円筒状に成型した。次いで、
0.1規定の硝酸水溶液中に投入後30分放置してから
固液分離、風乾後140℃で6時間乾燥後、室温で空気
中に10時間放置した。この状態でモルデナイト細孔内
に10wt%の水分と微量の硝酸が吸蔵されていた。2
30mmolのテトラエチルオルソシリケートを含むト
ルエン1l中に上記モルデナイトを投入し室温で8時間
緩やかに震とうしモルデナイトのシリル化処理を実施し
た。固液分離後、減圧下に140℃で5時間乾燥、次い
で空気雰囲気下に600℃で5時間焼成し触媒を調製し
た(触媒No.01)。
【0023】比較例1 実施例1と同じモルデナイト500gを実施例1と同様
にアンモニウム塩水溶液で処理し、一度ナトリウムを充
分にアンモニウムイオンに交換した。次いで、0.02
規定硝酸ナトリウムの水溶液2lに投入し1分間緩やか
に震とうし、直ちに固液分離、脱イオン水洗浄後乾燥
し、600℃で焼成し触媒前駆体のモルデナイトとし
た。得られたモルデナイト中のナトリウム含有量はNa
2Oとして0.75wt%であつた。これを3mm×3
mmの円筒状に成型した。後の操作は実施例1と同様の
処理をし、触媒を調製した(触媒No.02)。
【0024】実施例2 実施例1で得た触媒(触媒No.01)50gを内径25
mmのステンレス鋼製反応管に充填し、外部より砂流動
浴で290℃に加熱した。メタノールを毎時30gとア
ンモニアを毎時36gとを触媒層に圧入し圧力20kg/c
m2G.でメチルアミンの合成反応を試験した。触媒層の
最高温度は294〜296℃を示した。使用した工業用
メタノール中に混入していたホルムアルデヒドは15p
pm(メタノールの米国連邦規格、federal s
pecification. アセトンおよびアルデヒ
ドの合計30ppm以下)であつた。反応器出口成分を
分析した結果、反応100時間後、メタノールの転化率
94.8%、モノメチルアミンの選択率34.0%、ジ
メチルアミンの選択率63.2%、トリメチルアミンの
選択率2.8%であり、ホルムアルデヒドの副生量は約
90ppmであつた。更に反応を継続し、1402時間
後のメタノール転化率は92.2%、モノメチルアミン
の選択率35.4%、ジメチルアミンの選択率61.6
%、トリメチルアミンの選択率3.0%であつた。
【0025】実施例3 実施例1で製造した触媒(触媒No.01)を実施例2と
同様の反応器と反応条件によりメチルアミンの合成反応
を試験した。但し、使用するメタノールは工業用メタノ
ールにホルムアルデヒド製造工程から回収したものを一
部混合して、ホルムアルデヒド含有量670ppmのも
のを調製して使用した。触媒層へのホルムアルデヒドの
送入量は0.4g/hr.kg−catに相当する。反
応開始100時間後のメタノール転化率は94.2%、
モノメチルアミンの選択率34.2%、ジメチルアミン
の選択率63.1%、トリメチルアミンの選択率2.7
%であつた。更に反応を継続し1406時間後のメタノ
ール転化率は91.9%であり、モノメチルアミンの選
択率35.2%、ジメチルアミンの選択率61.9%、
トリメチルアミンの選択率2.9%であつた。
【0026】即ち、670ppmのホルムアルデヒドが
混入したメタノール(触媒層に送入されるホルムアルデ
ヒド量=0.4g/hr.kg−cat)でも、本発明
の方法では、純粋なメタノールを原料に使用した場合と
比較(実施例の比較)して、触媒活性の経時的変
化に実質的な差は認められない。よつて、本発明の方法
によれば、従来既知の方法では使用し難い濃度のホルム
アルデヒドが混入したメタノールでも、メチルアミン類
の合成原料として使用することができることが明らかで
ある。また、メチルアミン合成のに副生するホルムア
ルデヒドの生成量も100ppmと従来報告されている
触媒系より少ない。
【0027】比較例2 比較例の触媒(触媒No.02)50gを実施例2と同
様の反応装置に充填し、実施例2と同様の反応条件でメ
チルアミンの合成反応を試験した。使用したメタノール
は工業用メタノールで、そのホルムアルデヒド濃度は1
5ppmであつた。反応開始100時間後のメタノール
転化率は92.1%、モノメチルアミン選択率35.4
%、ジメチルアミン選択率62.5%、トリメチルアミ
ン選択率2.0%であり、ホルムアルデヒドの副生量は
約200ppmであつた。反応を更に継続し、反応開始
1400時間後のメタノール転化率は88.0%、モノ
メチルアミン選択率38.2%、ジメチルアミン選択率
60.0%、トリメチルアミン選択率1.8%であつ
た。即ち、ナトリウム含有量が本発明の範囲を外れた触
媒系ではメチルアミン合成反応の際に副生するホルムア
ルデヒドの量が多い。
【0028】比較例3 比較例2と同様の触媒、反応装置、反応条件で使用する
メタノールを実施例3と同様670ppmのホルムアル
デヒドを含有するものに代えて、メチルアミンの合成試
験を実施した。反応開始100時間後のメタノール転化
率は86.2%、モノメチルアミンの選択率39.9
%、ジメチルアミン選択率59.0%、トリメチルアミ
ン選択率1.1%であつた。反応を更に継続し、反応開
始700時間後のメタノール転化率は70.8%、モノ
メチルアミン選択率50.2%、ジメチルアミン選択率
49.0%、トリメチルアミン選択率0.8%であつ
た。即ち、ナトリウム含有量が本発明の範囲を外れた触
媒系では、供給原料中にアルデヒド化合物が混在すると
触媒活性の劣化が著しいことが認められる。
【0029】実施例4 天然産クリノプチルライト(クリノプチルライト含有量
74%、粒径2.5〜3.5mm)500gを4規定塩
酸2.5lに投入し、室温で8時間緩やかに震とうし
た。固液分離後、新たな4規定塩酸2.5lを使用し、
更に15時間同様の処理をし、固液分離、脱イオン水洗
浄、乾燥後600℃で焼成し触媒先駆体を調製した(N
2O含有量0.1wt%)。これを実施例1と同様の
ケイ素化合物処理を施し触媒とした。本触媒を実施例2
と同様の反応装置に充填し、実施例3と同様の反応条件
でメチルアミンの合成反応を試験した。反応開始100
時間後のメタノール転化率は88.1%、モノメチルア
ミン選択率41.7%、ジメチルアミン選択率55.5
%、トリメチルアミンの選択率2.8%であつた。更に
反応を継続し反応開始700時間後のメタノール転化率
は84.0%、モノメチルアミン選択率43.1%、ジ
メチルアミン選択率55.0%、トリメチルアミン選択
率1.9%であつた。
【0030】
【発明の効果】本発明の方法に於いては、従来メチルア
ミン類製造触媒に提案されている様な高純度なメタノー
ルのみでなくホルムアルデヒド等のアルデヒド化合物が
少量混入したメタノールを通常の工業用メタノールと混
合して使用しても、触媒活性の実質的な低下無しに操業
できる。アルデヒド類をホルムアルデヒドで示した場合
従来提案されている触媒の場合、触媒活性を維持するた
めには触媒層に流入するホルムアルデヒド量を0.15
g/hr.kg−cat.以下に制限することが要求さ
れている(特開平2−63554;USP.,5,06
8,442)。然るに、本発明の触媒を使用した場合に
は、触媒層に流入するホルムアルデヒド量が0.5g/
hr.kg−cat.程度までは触媒活性の実質的な低
下無しにメチルアミン類の製造を実施できる。また、本
発明の触媒はメタノールとアンモニアからメチルアミン
類を製造する際に微量副生するホルムアルデヒドの生成
量が既往の触媒では200〜300ppmまたはそれ以
上であるとされている(特開平2−63554;US
P.,5,068,442)のに対し、副生するホルム
アルデヒド量は100ppm程度またはそれ以下の値で
ある。

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 メタノールとアンモニアを反応させメチ
    ルアミン類を製造するに際し、Na2O含有量0.3
    wt%以下とした後、Si(OR) (Rはメチル
    基、エチル基又はイソプロピル基を表す)で表されるケ
    イ素のアルコキサイドにより外表面がシリル化処理され
    モルデナイトもしくはクリノプチルライトを触媒とし
    て使用することを特徴とするメチルアミン類の製造方
    法。
  2. 【請求項2】 モルデナイトもしくはクリノプチルライ
    トのNa2O含有量が、0.2wt%以下のものである
    請求項1記載の方法。
  3. 【請求項3】 シリル化処理を液層で行う請求項1又は2
    記載の方法。
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