JP3424958B2 - シールドフラットケーブル及びその製造方法 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、シールドフラットケー
ブルの構造の改良及びその製造方法に関するものであ
る。特に、本発明は、アース線（グランド線）との導通
が容易でかつ摺動特性に優れた、薄肉化が可能なシール
ドフラットケーブル並びにその製造方法に関するもので
ある。

【０００２】

【従来の技術及び課題】従来、通信機、コンピュータな
どの装置内及び装置間のインターフェースの信号伝送に
フラットケーブルが、撚り線や同軸線に代わって使用さ
れているが、電磁波シールド化が課題となっており、そ
のための技術が種々開発されているが、十分なものでは
ない。そのシールドフラットケーブルとして金属箔を用
いたものが知られているが、その構造は図３に示すよう
に金属箔２を使用しており、また、フラットケーブルと
接着させるために、金属箔の表面に絶縁性の接着剤層３
を設けていた。図３を用いて、従来のシールドフラット
ケーブルの構造について説明する。

【０００３】すなわち、図３において、 (イ)は従来のシ
ールドフラットケーブルの横断面を示す概略図であり、
(ロ)は外被基材１の上に金属箔２を介して接着剤３を塗
布してなる従来の代表的なシールドテープの構造を示す
断面概略図であり、 (ハ)はこのシールドテープを巻付後
のフラットケーブルの構造を示す断面概略図であり、
(ニ)このフラットケーブルの横断面を示す概略図であ
る。このように、従来は、シールド層として金属箔を用
い、シールドテープ巻き付け後に〔図３の (ハ)〕、絶縁
性の接着剤により接着して導電させるためには、スポッ
ト溶接など特殊な加工により、図３の (ニ)の横断面で分
かるように接着剤層を取り除いて導電させる必要があっ
た。

【０００４】

【課題を解決するための手段】本発明者は、かかる課題
について鋭意検討した結果、 (イ)共通の絶縁被覆層１０
で覆われた複数の導体４とグランド線５とが一体になっ
たフラットケーブル３０において、 (ロ)前記グランド線
５が連続的又は部分的に露出しており、 (ハ)プラスチッ
クフィルム基材１に金属フィラーを含有する特定の導電
性接着性樹脂層をコーティングしたシールドテープを薄
膜シールド層２’とし、 (ニ)薄膜シールド層２’がフラ
ットケーブルに巻き付けられ、加熱・加圧して、 (ホ)導
電性接着性樹脂層２’がフラットケーブル３０の絶縁被
覆層１０とグランド線５（導体４）の両方に接着する、
しかも (ヘ)前記薄膜シールドテープ（導電性接着性樹脂
層とプラスチックフィルム）の厚みが２１μｍ以下とし
たフラットケーブル３０とすることにより、シールド層
（テープ）２０をグランド線５（導体４）と接触させて
簡単な加熱・加圧をするだけで、接着と導通の両方を満
足させることができ、且つ薄肉化が可能で摺動特性も優
れていることを見出し、本発明を完成させるに至った。

【０００５】すなわち、本発明は； 共通の絶縁被覆
層で覆われた複数の導体とグランド線とが一体になった
フラットケーブルにおいて、前記グランド線が連続的又
は部分的に露出しており、前記フラットケーブルにプラ
スチックフィルムを基材として金属フィラーを含有する
酢酸ビニル系、ポリエステル系、又はポリアミド系ホッ
トメルト系接着剤や；アクリル系、ポリビニルエーテ
ル、シリコーン系粘着剤からなる導電性接着性樹脂層を
コーティングした薄膜シールドテープを巻き付けた後、
加熱・加圧することにより、前記導電性接着性樹脂層を
フラットケーブルに接着・形成させ、且つグランド線を
導通させたものであって、しかも、前記導電性接着性樹
脂層とプラスチックフィルムとの厚みが２１μｍ以下で
ある、シールドフラットケーブルの製造方法を提供す
る。また、 共通の絶縁被覆層で覆われた複数の導体
とグランド線とが一体になったフラットケーブルにおい
て、前記グランド線が連続的又は部分的に露出してお
り、前記フラットケーブルの周囲に巻き付け設けられた
導電性接着性樹脂層を備え、しかも前記グランド線が銅
又はスズメッキ銅からなり、且つ前記導電性接着性樹脂
層が金属フィラーを含有する酢酸ビニル系、ポリエステ
ル系、又はポリアミド 系ホットメルト系接着剤や；アク
リル系、ポリビニルエーテル、シリコーン系粘着剤から
なる薄膜シールド層を形成し、前記導電性接着性樹脂層
が前記フラットケーブルの前記絶縁被覆層と前記グラン
ド線の両方に対して加熱・加圧により接着するものであ
って、しかも、前記導電性接着性樹脂層とプラスチック
フィルムとの厚みが２１μｍ以下である、シールドフラ
ットケーブルを提供する。また、 前記シールドテー
プの基材が難燃性エンジニアプラスチックフィルムで構
成されている点にも特徴を有する。

【０００６】以下、本発明を図面に基いて詳細に説明す
る。図１において、 (イ)は本発明のシールドフラットケ
ーブルを製造するためのシールドテープの構造を示す概
略図であり、 (ロ)はフラットケーブルに該シールドテー
プ巻付後のシールドフラットケーブルの構造を示す上面
図であり、 (ハ)はその横断面図である。

【０００７】図１− (イ)に示されるように、フラットケ
ーブルの絶縁被覆層１０及びグランド線５の両方に対し
て接着性を有する、金属フィラーを含有する酢酸ビニル
系、ポリエステル系、又はポリアミド系ホットメルト系
接着剤や；アクリル系、ポリビニルエーテル、シリコー
ン系粘着剤からなる導電性接着性樹脂層２’をプラスチ
ックフィルムからなる基材にコーティングして薄膜シー
ルドテープ２０を製造する。前記薄膜シールドテープ
（導電性接着性樹脂層とプラスチックフィルム）の厚み
は、実施例から分かるように、２１μｍ以下と薄肉であ
る点に特徴を有する。次に、図１− ( ロ )に示されるよう
に、連続的又は部分的に露出したグランド線５と複数の
導体４が一定のピッチ幅で共通の絶縁被覆層１０で覆わ
れたフラットケーブル３０の周りに、上記シールドテー
プ２０を巻き付けた後、簡単に加熱・加圧して導電性接
着性樹脂層２’をフラットケーブル３０に接着・形成さ
せ、且つ導電性接着性樹脂層２’をグランド線５と導通
させることにより、本発明に係るシールドフラットケー
ブル３１を製造する。この基材１として難燃性エンジニ
アプラスチックフィルムを用いることにより、出来上が
ったシールドフラットケーブル３１、即ちテープ電線が
ＵＬ規格の難燃性試験に合格させることができた。

【０００８】本発明に用いる接着性樹脂としては、例え
ば酢酸ビニル系、ポリエステル系、又はポリアミド系の
ホットメルト系接着剤や；アクリル系、ポリビニルエー
テル系、シリコーン系の粘着剤等を挙げることができ
る。該接着性樹脂としては、フラットケーブル３０の絶
縁被覆層１０とグランド線５（導体４）の両方に対して
接着性を有することが必要である。特に、ポリエステル
系ホットメルト系接着剤の使用が好ましい。

【０００９】金属フィラーとしては、ニッケル、銅、銀
等の金属粉、ハンダ等の合金粉、金属ウイスカー、金属
メッキを施したガラス繊維等やカーボンを挙げることが
出来る。接着性樹脂への金属フィラーの配合割合は、こ
れらによって形成される電磁波シールドが有効に作用す
れば、特に制限されない。具体的には、金属フィラーの
種類、形状、大きさ、比重などを考慮して決定される
が、接着性樹脂１００重量部に対して２０〜３００重量
部、好ましくは１００〜２００重量部である。以上の接
着性樹脂をシールド層として形成させる方法としては、
予めシールド基材１に塗布しておく方法がよい。そし
て、シールド基材として、ＰＰＳ，ポリアミドイミド，
ポリエーテルイミド，ポリアリレートなど難燃性（耐熱
性）エンジニアプラスチックフィルムやポリエステルフ
ィルムを使用すれば出来上がったフラットケーブルをＵ
Ｌの難燃試験に合格するものとすることができる。導体
としては、一般に銅又はスズメッキ銅等が例示できる。

【００１０】

【実施例】本発明を実施例により具体的に説明するが、
これらは本発明の範囲を制限しない。図１は、本発明に
従うシールドフラットケーブルの横断面を示す概略図で
ある。０．１ｍｍ厚み、０．８ｍｍ巾の平角スズメッキ
軟銅箔を導体間ピッチ１．２５ｍｍで複数本並べた構造
のフラットケーブルの１本の導体を長さ方向に連続に片
面を露出させてグランド線５とし、他は導体４とした。
厚さ９μｍのポリエステルテープ基材１に、銀フィラー
を含んだポリエステル系ホットメルト接着剤を厚さ１２
μｍをコートしたシールドテープ２０をフラットケーブ
ル３０の周りに巻き付け、加熱・加圧することにより、
シールドフラットケーブル３１を製造した。該シールド
テープ２０はフラットケーブル３０と容易に接着させる
ことができ、かつ露出した導体であるグランド線５との
導通も容易にとることができた。基材１として、ポリエ
ステルフィルムを用いたが、その他にＰＰＳフィルム、
ポリアミドイミドフィルム，ポリエーテルイミドフィル
ム，ポリアリレートフィルムなども使用出来る。

【００１１】この場合に、金属フィラーを含有させたの
で、従来法の金属箔の場合に比較して２１μｍ以下の薄
肉化が可能となり、可動部での摺動特性が、図２に示す
ように移動距離２５ｍｍ、移動スピード１０００回／分
で１５Ｒの曲がりの場合でも表１に示すように優れた摺
動特性を表すことが分かった。

【表１】 (注) 導体が断線に至るまでの回数。

【００１２】

【発明の効果】以上述べたように、本発明のシールドフ
ラットケーブルは、 (イ)グランド線を連続的又は部分的
に露出させたので、シールド層とアース線（グランド
線）との導通が簡単な加熱・加圧により容易になる。 (ロ)また、本発明のシールドフラットケーブルは、金属
フィラーを含有する導電性接着性樹脂をシールド層とし
たので、従来法の金属箔等を使用する場合に比較して薄
肉化が可能であり、摺動特性も優れている。 (ハ)また、シールド層を構成する接着性樹脂として酢酸
ビニル系、ポリエステル系、又はポリアミド系ホットメ
ルト系接着剤やアクリル系、ポリビニルエーテル、シリ
コーン系粘着剤のような親水性樹脂を使用したので、フ
ラットケーブルの絶縁被覆層とグランド線（導体）の両
方に対して簡単な加熱・加圧により容易に接着させるこ
とができる。 (ニ)シールドテープの基材として難燃性エンジニアプラ
スチックフィルムを用いることにより、ＵＬの難燃性試
験に合格させることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明によるシールドフラットケーブルの横断
面を示す概略図である。

【図２】シールドフラットケーブルを構成する薄膜シー
ルドテープを一定の曲率で曲げて摺動させた時の状態を
示す状態図である。

【図３】従来のシールドフラットケーブルの横断面を示
す概略図である。

【符号の説明】

１ 基材（外被基材） ２ 金属箔 ２’金属フィラー含有接着性樹脂 ３ 接着剤 ４ 導体 ５ グランド線６ 空隙等 １０ 絶縁被覆 ２０ シールドテープ ２１ 巻き付けオーバーラップ部 ３０ フラットケーブル ３１ シールドフラットケーブル

フロントページの続き (56)参考文献 特開 平４−4518（ＪＰ，Ａ) 特開 平４−33211（ＪＰ，Ａ) 実開 平１−95014（ＪＰ，Ｕ) 実開 昭61−18518（ＪＰ，Ｕ) 実開 昭54−114782（ＪＰ，Ｕ) 実開 平４−102120（ＪＰ，Ｕ)

Claims (3)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 共通の絶縁被覆層で覆われた複数の導体
   とグランド線とが一体になったフラットケーブルにおい
   て、前記グランド線が連続的又は部分的に露出してお
   り、前記フラットケーブルにプラスチックフィルムを基
   材として金属フィラーを含有する酢酸ビニル系、ポリエ
   ステル系、又はポリアミド系ホットメルト系接着剤や；
   アクリル系、ポリビニルエーテル、シリコーン系粘着剤
   からなる導電性接着性樹脂層をコーティングした薄膜シ
   ールドテープを巻き付けた後、加熱・加圧することによ
   り、前記導電性接着性樹脂層をフラットケーブルに接着
   ・形成させ、且つグランド線を導通させたものであっ
   て、しかも、前記導電性接着性樹脂層とプラスチックフィル
   ムとの厚みが２１μｍ以下であることを特徴とする、シ
   ールドフラットケーブルの製造方法 。
2. 【請求項２】 共通の絶縁被覆層で覆われた複数の導体
   とグランド線とが一体になったフラットケーブルにおい
   て、前記グランド線が連続的又は部分的に露出してお
   り、前記フラットケーブルの周囲に巻き付け設けられた
   導電性接着性樹脂層を備え、しかも前記グランド線が銅
   又はスズメッキ銅からなり、且つ前記導電性接着性樹脂
   層が金属フィラーを含有する酢酸ビニル系、ポリエステ
   ル系、又はポリアミド系ホットメルト系接着剤や；アク
   リル系、ポリビニルエーテル、シリコーン系粘着剤から
   なる薄膜シールド層を形成し、前記導電性接着性樹脂層
   が前記フラットケーブルの前記絶縁被覆層と前記グラン
   ド線の両方に対して加熱・加圧により接着するものであ
   って、しかも、前記導電性接着性樹脂層とプラスチックフィル
   ムとの厚みが２１μｍ以下であることを特徴とする、シ
   ールドフラットケーブル 。
3. 【請求項３】 前記シールドテープの基材が難燃性エン
   ジニアプラスチックフィルムで構成されていることを特
   徴とする、請求項２記載のシールドフラットケーブル。