JP3319786B2 - プレスのブレークスルー緩衝装置およびその制御方法 - Google Patents

プレスのブレークスルー緩衝装置およびその制御方法

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JP3319786B2 JP25906792A JP25906792A JP3319786B2 JP 3319786 B2 JP3319786 B2 JP 3319786B2 JP 25906792 A JP25906792 A JP 25906792A JP 25906792 A JP25906792 A JP 25906792A JP 3319786 B2 JP3319786 B2 JP 3319786B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、プレスのブレークスル
ー緩衝装置およびその制御方法に係わり、特には、機械
プレスで素材打抜き加工時に発生する騒音、振動を低減
するプレスのブレークスルー緩衝装置およびその制御方
法の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】従来技術として、例えば特公昭60−2
1832号公報、特開昭52−19376号公報があ
り、これらは、ロッド、ピストン、シリンダ、および絞
り弁等を設け、シリンダ室から流出する油が絞り弁を通
過する際に発生する流れ抵抗を緩衝力として利用し、ブ
レークスルーを低減している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、ブレー
クスルーを緩衝し騒音を効果的に低減するためには、素
材の打ち抜きタイミングに対し緩衝力の発生のタイミン
グの微妙な調整が必要になり、従来はロッド等にスペー
サを付加して調整しているが、最適なタイミング、打
ち抜き条件(素材板厚さ、パンチ形状、大きさ、素材材
質、あるいは温度等)に応じて変化するものであり
記従来の方法では条件が変化する毎に、その都度作業者
が最適タイミングを試行錯誤で見出して設定しなければ
ならない。また、一旦設定しても加工中の条件(温度
等)の変化により最適なタイミングがズレてしまう問題
もあり、実用上のネックになっている。もう一つの問題
点は、絞りによる流れ抵抗を利用しているため、ブレー
クスルーの後に、スライドはこの流れ抵抗に打ち勝って
下降しなければならずプレスに余分な仕事をさせてし
まう欠点がある。図15は従来の絞りを用いないで緩衝
を行った場合の打ち抜き状態における状態を示し、図1
5(a)はプレスの負荷、即ち、打ち抜き時にプレスに
掛かる荷重を示している。図15(b)は緩衝シリンダ
内の油圧を示し、圧力が変動していない。図15(c)
はスライドの変位を、そして図15(d)は騒音の波形
(音圧)を示している。図15では騒音レベルが高いこ
とを示している。図16には従来の絞りを用いて緩衝を
行った場合で、図16(a)はプレスの負荷を、図16
(b)は緩衝シリンダ内に発生する油圧のデータを示す
が、図16(a)に示すごとく、明らかにブレークスル
ーの後にプレスは余分な仕事(Wの斜線部)をしてい
る。
【0004】本発明は、上記従来の問題点に着目し、機
械プレスで素材打抜き加工時に発生する騒音、振動を低
減することができるプレスのブレークスルー緩衝装置お
よびその制御方法の改良の提供を目的としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明の第1発明では、機械プレスにおける素材打
ち抜き加工の際に生じるブレークスルーを緩衝するプレ
スのブレークスルー緩衝装置において、プレスの上型の
下方に配設されブレークスルー時の上型の緩衝を行う
緩衝機本体と、緩衝機本体に連結されブレークスルー
時の緩衝機本体の緩衝タイミングを調整するタイミング
調整装置と、プレスのブレークスルー時に発生する騒音
またはスライド等の振動を検出する検出装置と、前記検
出装置により検出された前回までの騒音または振動に基
づいて、ブレークスルー時の騒音または振動が小さくな
る緩衝タイミング調整方向を判定し、この小さくなる方
向にタイミング調整装置に調整位置の指令を出す制御装
置とを備えている。
【0006】また、第2発明は、第1発明において
記緩衝機本体はシリンダとピストンとを有し、このピス
トンがスライド側の一部に当接して前記シリンダ内の流
体を圧縮することによりブレークスルー時の緩衝を行
い、前記タイミング調整装置は前記緩衝機本体のシリン
ダに配管で連結されたシリンダとピストンとを有し、こ
のピストンの位置を調整することにより緩衝タイミング
を調整するようにし、前記緩衝機本体を複数設け、該複
数の緩衝機本体とタイミング調整装置とを連結する前記
配管は、各々独立して直結されるか、または複数の緩衝
機本体からの各配管が合流してタイミング調整装置に直
されることを特徴としている。
【0007】さらに、第3発明は、第1または第2発明
において、緩衝機本体のシリンダ径と、該緩衝機本体の
シリンダ及びタイミング調整装置のシリンダの間を連結
する配管径との比が、緩衝機本体のシリンダが2個の
場合にはほぼ10:1で、緩衝機本体のシリンダが4個
の場合にはほぼ3:1であることを特徴としている。
【0008】第4発明では、機械プレスにおける素材打
ち抜き加工の際に生じるブレークスルーを緩衝するプレ
スのブレークスルー緩衝装置の制御方法において、プレ
スのブレークスルー時に発生する騒音またはスライド等
の振動を検出この検出した前回までの騒音または振
動に基づいて、ブレークスルー時の騒音または振動が小
さくなる緩衝タイミング調整方向を判定し、この小さく
なる方向にタイミング調整装置に指令を出して緩衝機本
体の緩衝タイミングを調整しブレークスルー時の騒音
またはスライド等の振動が最小になるように制御する
法としている。
【0009】
【作用】上記構成によれば、緩衝タイミングの調整に関
しては、騒音あるいは騒音と相関の高い信号(例えば、
スライド振動)を素材加工の度に検出し、前回までの測
定値に基づいて(例えば何回かの平均値に基づき)騒音
または振動が小さくなる緩衝タイミング調整方向を判定
し、この小さくなる方向にタイミング調整装置へ指令信
号を出力するアルゴリズムを備えたコントローラと、そ
の信号を受けて緩衝機本体の緩衝ピストンの上下位置
(タイミング調整位置)を設定するタイミング調整装置
とを具備している。また、緩衝ピストン径と、該緩衝ピ
ストン及びタイミング調整装置のタンクの間を絞りを介
さずに直結する配管との比を適度に選定することに
より、油圧衝撃作用を有効に利用して騒音レベルを最小
にすることができると共に、従来の流れ抵抗を利用した
ものに比べ、ブレークスルーの後のプレスへの負荷を低
減でき動力の節約ができる。その理由は、油圧衝撃はブ
レークスルーのような速い動きに対して発生するもので
あるため、ブレークスルー後のスライドの低速な下降時
にはほとんど発生しないためである。
【0010】
【実施例】以下に、本発明に係わるプレスのブレークス
ルー緩衝装置およびその制御方法の実施例につき、図面
を参照して詳細に説明する。図1は本発明に係わるプレ
スのブレークスルー緩衝装置を装着した実施例を示すプ
レスの正面図、図2は側面図、および、図3はブレーク
スルー緩衝装置と制御装置の概念図を示す。
【0011】図1、図2において、機械プレス1には、
図示しないクランク、コンロッド等の駆動機構の駆動に
より上下動するスライド2に上型3が固設され、上型3
には、パンチ4が取着され、またガイドポスト5固設
されている。また、上型3に対向して下型6がプレスフ
レーム7にボルスタ8を介して取着され、また下型6に
はダイス9取着されている。
【0012】さらに、機械プレス1の上型3の下方に
は、ブレークスルー時の上型の緩衝を行う緩衝機本体2
0がガイドポスト5に対向して下型6に配設され、緩衝
機本体20には配管30を介してブレークスルー時の緩
衝機本体20の緩衝タイミングを調整するタイミング調
整装置40が連結されている。また、図3に示すよう
に、タイミング調整装置40には、ブレークスルー時の
緩衝タイミングの位置を調整する制御指令が制御装置6
から出力されている。緩衝機本体20は、緩衝シリン
ダ21と、緩衝ピストン22とを備えており、上型3の
下方で、下型6に複数個が配設されている。
【0013】図4、図5はタイミング調整装置40を示
し、図4は側面図を、図5は平面図をそれぞれ示す。タ
イミング調整装置40は、制御装置60からの指令によ
作動するステッピングモータ41と、ステッピングモ
ータ41により回転され軸受41aにより支持される
ウオームギヤー42と、軸受43により回転自在に保持
されるナット45を回転させるウオームギヤー42に
噛み合うウオームホイール44と、回転するナット45
の内方のネジ45aに螺合しナット45の回転により
図面の上下方向に移動する外周にネジ46aを備えた
ガイド46と、一端はガイド46に当接する爪48aを
有し、他端にはピストン47を有する緩衝タイミング調
整ピストン48と、緩衝タイミング調整ピストン48が
内蔵され、かつ、緩衝タイミング調整ピストン48の一
方のタンク空気室(A)にはエア圧を、他方油圧室
(H)には油を収納するタンク49とを備えている。
、タンク49のタンク空気室(A)側には、エア圧を
発生する図示しないエア源への配管51が、油圧室
(H)側には緩衝機本体20への配管30がそれぞれ
着されている。
【0014】緩衝機本体20は、例えば図3に示すよう
に、ガイドポスト5に対向して下型6に2個配設され、
緩衝機本体20からの配管30は緩衝シリンダ21から
出た後、各々独立にタンク49に直結されるか、また
、図示しないが緩衝機本体20からの各配管がタイミ
ング調整装置40の前で合流した後にタンク49に直結
される。また、緩衝機本体20をボルスタに配設しタン
ク49に直結することにより、より効果的に油圧緩衝を
利用することができる。
【0015】このとき、図6(図1のZーZ矢視面を
)に示すように、緩衝シリンダ21からタンク49に
配管30で連結する場合には、緩衝シリンダ21が2個
(21a、21b)のときには、後述する理由から、緩
衝シリンダ径:配管径はほぼ10:1に、緩衝シリンダ
21が4個(21a、21b、21c、21d)のとき
には、緩衝シリンダ径:配管径はほぼ3:1にしてい
る。
【0016】図3に示すように、制御装置60は、ブレ
ークスルー時に発生する騒音を測定する騒音計61と、
クランク回転角度を検出する角度検出計62と、騒音計
61及び角度検出計62からの信号に基づき緩衝機本体
20緩衝タイミングを調整し騒音を最小にするため、
の指令をタイミング調整装置40のステッピングモ
ータ41に出力するコントローラ63とを備えている
このコントローラ63はプレスフレーム7に配設されて
いる。なお、上記において、ブレークスルー時に発生す
る騒音を測定したが、スライド等の振動を加速度計65
で測定し振動が小さくなるように制御してもよい。
【0017】上記構成において、まず、タイミング調整
装置40の調整の作動について説明する。図4に示すよ
うに、タイミング調整装置40は、ステッピングモータ
41がコントローラ63からの指令信号を受け、所定の
一定角度だけ回転するとウオームギヤー42が回転し、
それにより調整ピストン48の軸を中心としてウオーム
ホィール44とナト45ウオームギヤー42とウオ
ームホィール44のギヤー比に応じて一定角度回転す
る。その結果、内周にネジ45aを備えたナト45の
回転に伴い、このネジ45aに螺合している外周にネジ
46aを備えたガイド46が所定の一定距離だけ上下方
向に移動する。このガイド46の上下方向の移動に
い、当接している爪48aを上下に移動させる。
【0018】このとき、タンク49の空気室(A)には
常に空気圧5Kg/cm 2 程度の圧力があり調整ピス
トン48は常時下向きに押し下げられている。したがっ
て、ガイド46の上面が調整ピストン48の爪48aに
対してストッパーとなり調整ピストン48の下限位置
が決まる。これによりタンク49、配管30、そして
緩衝シリンダ21の油圧室(H)の油を介して緩衝ピス
トン22の上限位置が決定される。このように、本発明
によると、打ち抜き作業で必要な常に最適な状態(騒音
最小)の緩衝ピストン22の上限位置が人手を介するこ
となく設定出来る。
【0019】次に、この設定位置を指令する方法説明
する。第1実施例を図7のフローチャートよって説明
する。 まず、ステップ1で作動を開始するとコントロー
ラ63が動作状態に入り、「i=1,n=1,A0=
0」等の引数初期化処理を行う。次に、ステップ2でプ
レスの角度検出計62によりクランク角度を検出し、そ
信号を取り込む。ステップ3では、この角度信号をト
リガーとして(つまり、所定角度範囲で)打ち抜き毎に
騒音を測定(例えば図7のステップ4に示すように最大
値と最小値との差値を測定値aiとする)し、ステップ
4で、打ち抜き数回(回)の測定aiをコントロー
ラ63で平均化し、平均値(Bi=(1/i)×(Σa
i))を求める。次に、ステップ5で、引数iを1だけ
増加し、ステップ6で、「i≦N」かをチェックし、
「i≦N」のときにはステップ2に戻って測定回数がN
回になるまで繰り返す。そして、ステップ6で測定回数
がN回(i>N)になったら、このときの最終の平均値
Biを平均値Anとして記憶しておく。(An=(1/
N)×(Σai))
【0020】次に、ステップ7では、この今回の平均値
(An)と前回の平均値(An−1、但しn=1のとき
にはA0=0とする)との差Δ(=An−An−1)
求め、ステップ8で、その大小および正負の符号により
タイミング調整装置40への指令信号を決定し、ステッ
プ9、10でタイミング調整装置40への指令信号を出
力する。すなわち、ステップ8での判定で、差Δがゼロ
よりも小さいときには前回のタイミング調整方向が振動
が小さくなる方向であると判断し、ステップ9で前回の
指令と同一方向への指令を出力する。また、差Δがゼロ
よりも大きいときには前回のタイミング調整方向が振動
が大きくなる方向であると判断し、ステップ10で前回
の指令とは逆方向への指令を出力する。次に、ステップ
11で、「i=0、n=n+1」と更新し、前記ステッ
プ2から繰り返す。これにより、同様にして打ち抜き毎
の騒音を測定(ai)し、次のn回目の打ち抜き回数N
回の測定平均値(An=(1/N)×(Σai))を求
め、ステップ9およびステップ10を繰り返し、騒音
ベルが最低値となるようにタイミング調整装置40を調
整する。
【0021】例えば、図8に示すように、まず、No.1
の点の測定データを得て、次の指令に緩衝タイミングを
遅くする方向の指令をタイミング調整装置40に出力
し、緩衝ピストン22の作動を遅くして次のNo.2のデ
ータが得られたとする。この場合に、騒音レベルNo.1
とNo.2の差がゼロよりも小さいために、次の指令は前
回の指令と同一方向、即ち、緩衝タイミングを遅くする
方向への指令を出す。
【0022】同様に、この時の騒音レベルを測定し、N
o.2より低いレベルのNo.3の騒音レベルが得られたと
すると、さらに、騒音レベルが反転するまで、この場合
では、前回測定した騒音レベルの差がゼロよりも大き
くなるまで、この作業を続行する。反転した時点でその
の騒音レベルの最小値の位置に緩衝タイミングを合
わせるようにタイミング調整装置40に出力し、緩衝ピ
ストン22の位置を調整することにより、最低の騒音レ
ベルが得られる。
【0023】次に、本発明の第2実施例を図9に示す。
なお、第1実施例と同一部品には同一記号を付与して説
明は省略する。第1実施例では、図3に示すように、タ
イミング調整装置40は緩衝機本体20とは別置してい
るが、第2実施例では、タイミング調整装置70は、緩
衝機本体20の緩衝ピストン22に当接し、下型6に配
設している。図9において、外周にネジ71aが削成さ
れているガイド71は、ウオームホイール44と固定
れて回転するナット45の内方のネジ45aに螺合し、
ナット45の回転により図面の上下方向に緩衝ピストン
22に当接しながら移動する。
【0024】ガイド71の中央部にはガイドポスト5が
貫通される穴71bが削成されており、作用時にガイド
ポスト5の先端部が緩衝ピストン22に当接するように
なっている。また、ガイド71には、ケース72に対し
てガイド71の回転を拘束する回転拘束機構73(例え
ば、キー溝ピン溝)が配設され、ガイド71を上下方向
にスライド自在としている。さらに、ガイド71の下端
面71cは緩衝ピストン22に当接している。またタイ
ミング調整装置40には、軸受43を固定するととも
に、ガイドポスト5を案内するガイド部材74がケース
72に取着されている。
【0025】上記構成において、緩衝ピストン22の上
下方向の位置の決定を緩衝ピストン22で直接に行う。
すなわち、図4と同様に、タンク49の空気室(A)に
かかる空気圧5Kg/cm 2 程度の圧力により、配管30を
介して接続される油圧室(H)の油により緩衝機本体2
0の緩衝ピストン22が上に押し上げられ、タイミン
グ調整装置70のガイド71の下端面71cが緩衝ピス
トン22のストッパになり、緩衝ピストン22の上限位
置決めを行っている。
【0026】次に、本発明の第3実施例を図10に示
す。ブレークスルー時の上型の緩衝を行う緩衝機本体8
0はガイドポスト5に対向して下型6に配設され、緩衝
機本体80には配管30を介してブレークスルー時の緩
衝機本体80の緩衝タイミングを調整するタイミング調
整装置90が連結されている。また、タイミング調整装
置90には、ブレークスルー時の緩衝タイミングの位置
を調整する制御指令が制御装置60から出力されてい
る。
【0027】緩衝機本体80は、緩衝シリンダ81と、
緩衝ピストン82と、緩衝ピストン82を押すバネ8
3と、このバネ83を受けるケース84とを備え、上型
3の下方で、下型6に複数個が配設されている。ケース
84の中央部にはガイドポスト5が貫通される穴84b
が削成され、作用時にガイドポスト5の先端部が前記
衝ピストン82に当接するようになっている
【0028】タイミング調整装置90は、制御装置60
からの指令により作動する電磁比例切換弁91と、電磁
比例切換弁91を介して圧力源92からのエア圧を受け
て緩衝機本体80に圧油を送る圧力伝達器93とを備え
。圧力伝達器93には内方にピストン94が配設さ
れ、ピストン94の一方端には空気室(A)にエアが、
他方端には油圧室(H)に油がそれぞれ収納されてい
る。また、圧力伝達器93の空気室(A)は配管95を
介して電磁比例切換弁91に、油圧室(H)は配管30
を介して緩衝シリンダ81に接続している。
【0029】上記構成において、緩衝ピストン82の上
下方向の位置の決定は緩衝ピストン82に加わる油圧と
バネ力により行われる。すなわち、制御装置60からの
指令により電磁比例切換弁91を制御して、空気室
(A)のエアを圧力Paとする。このとき、空気室
(A)の受圧面積をSa、油圧室(H)の受圧面積をS
hとすると、油圧室(H)の油圧Phは、Ph=〔(P
a×Sa)/Sh〕となる。この油圧Phが緩衝ピスト
ン82の下面に作用する。
【0030】今、緩衝ピストン82に作用するバネ83
のバネ定数をK、自由長からの撓みをy、緩衝ピストン
82の受圧面積をSpとすると、バネ83の撓みyは、
y=〔(−Ph×Sp)/K〕となり、所定の位置で平
衡状態となる。したがって、エア圧力Paを電磁比例切
換弁91により制御することにより、バネ83の撓みy
が制御され、緩衝ピストン82の位置を制御することが
できる。
【0031】なお、上記実施例では、ピストン94の
方端にエア圧を用いたが、油圧に置き換えてもよい。ま
た、一方端のエア圧を電磁比例切換弁で制御したが、一
方端のエア圧を密封にして他方端の油圧を電磁比例切換
弁で制御してもよい。また、電磁比例切換弁を用いたが
電磁比例圧力制御弁でもよい
【0032】また、上記の実施例では緩衝本体は下型
内に収められているが、必ずしも下型内である必要はな
く、単体として図11のごとく上下型間またはスライダ
2、ボルスタ8間に設置してもよい。また、図12に示
すようにボルスタ8内に設置してもよい
【0033】次に緩衝シリンダの内径Dと緩衝シリ
ンダからタンクへの配管径dの比について調査した
結果について説明する。緩衝シリンダ21の内径Dとタ
ンク49への配管30の径dとの比を変えて調査した
所、図13に示すような結果が得られた。図13に示す
調査結果では、緩衝シリンダ21が2個の場合には
(Y)示すようにほぼ10:1のとき個の場合に
は(示すようにほぼ3:1のとき、騒音レベルが
最低であることが判明した。
【0034】さらに、上記の調査において、緩衝シリン
ダ21内の油圧、スライドの変位、騒音を測定した結
果、図14に示す結果が得られた。図14(a)はプレ
スの負荷を、図14(b)は緩衝シリンダ内の油圧衝撃
圧を、図14(c)はスライドの変位を、図14(d)
は騒音レベルの音圧を、それぞれ時間またはプレスの角
度に対して示している。
【0035】この結果より、前述した図15(d)の従
来の音圧と比べても、低い振幅の音圧レベルの値が得ら
れている。また、発明の油圧衝撃を利用したプレスに
かかる負荷と、図16(a)に示すように、従来の絞り
により騒音を低減するもののプレスにかかる負荷とを比
べても図16中の斜線部(W)負荷が低減され、ブレー
クスルーの後のプレス負荷を低減できることが判明し
た。
【0036】このように、本発明では、絞りの代わりに
油圧衝撃作用を利用し、緩衝シリンダの内径Dと該緩衝
シリンダ及びタンクを連結する配管径dとを適度に
選定することにより、油圧衝撃を有効に利用でき、しか
も、油圧衝撃は速い動きに対応して発生するものである
ためブレークスルー時のみに発生し、その後のスライド
の低速な下降時にはほとんど発生しない。このため、ブ
レークスルーの後のプレス負荷を低減でき、動力も節約
できる。
【0037】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
騒音または騒音と相関の高い信号(例えば、スライド振
動)を素材加工の度に検出し、この測定値に基づき騒音
レベルが最小となるようにタイミング調整装置へ指令信
号を出力し、その信号を受けて緩衝機本体の緩衝ピスト
ンの上下位置を設定するタイミング調整装置を作動する
ために、自動的に最低の騒音レベルが得られる。また、
緩衝シリンダ径と該緩衝 シリンダおよびタイミング調整
装置のタンクの間を直結する配管との比を適度に選
定することにより、上述の最低の騒音レベルを更に小さ
くできるとともに、ブレークスルーの後のプレス負荷を
低減でき、動力の節約ができるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係わるブレークスルー緩衝装置を装着
した実施例を示すプレスの正面図である。
【図2】本発明に係わるブレークスルー緩衝装置を装着
した実施例を示すプレスの側面図である。
【図3】本発明に係わるブレークスルー緩衝装置と制御
装置の概念図を示す。
【図4】本発明に係わるタイミング調整装置の断面図を
示す。
【図5】本発明に係わるタイミング調整装置の平面図を
示す。
【図6】図1のZ−Z矢視図である。
【図7】本発明に係わるフローチャートある。
【図8】緩衝タイミングと騒音レベルとの関係を説明す
る図である。
【図9】本発明に係わる第2実施例のタイミング調整装
置の断面図を示す。
【図10】本発明に係わる第3実施例のタイミング調整
装置の概念図を示す。
【図11】本発明に係わるブレークスルー緩衝装置を装
着した他の実施例を示すプレスの正面図である。
【図12】本発明に係わるブレークスルー緩衝装置を装
着した他の実施例を示すプレスの正面図である。
【図13】緩衝シリンダ径と配管径の比に対する騒音
レベルの関係を示す図である。
【図14】本発明の効果を説明する図である。
【図15】従来の実施例の結果を説明する図である。
【図16】従来の他の実施例の結果を説明する図であ
る。
【符号の説明】
機械プレススライド上型パン
ガイドポスト下型プレスフレー
ボルスタダイス20,80緩衝機本
21緩衝シリンダ30配管40,70,9
タイミング調整装置60制御装置
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 岩崎 茂樹 神奈川県平塚市万田1200 株式会社小松 製作所 研究所内 (72)発明者 諏訪 達徳 神奈川県平塚市万田1200 株式会社小松 製作所 研究所内 審査官 神崎 孝之 (56)参考文献 実開 平4−94198(JP,U) 実開 平4−94200(JP,U) 実開 平3−36399(JP,U) 実開 平2−127397(JP,U) 実公 昭63−2181(JP,Y2) 実公 昭58−28655(JP,Y2) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B30B 15/28 B21D 28/34 B30B 15/00 B30B 15/02

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 機械プレスにおける素材打ち抜き加工の
    際に生じるブレークスルーを緩衝するプレスのブレーク
    スルー緩衝装置において、 プレスの上型の下方に配設されブレークスルー時の上
    型の緩衝を行う緩衝機本体と、緩衝機本体に連結され
    ブレークスルー時の緩衝機本体の緩衝タイミングを調整
    するタイミング調整装置と、プレスのブレークスルー時
    に発生する騒音またはスライド等の振動を検出する検出
    装置と、前記検出装置により検出された前回までの騒音
    または振動に基づいて、ブレークスルー時の騒音または
    振動が小さくなる緩衝タイミング調整方向を判定し、こ
    の小さくなる方向にタイミング調整装置に調整位置の指
    令を出す制御装置とを備えたことを特徴とするプレスの
    ブレークスルー緩衝装置。
  2. 【請求項2】 前記緩衝機本体はシリンダとピストンと
    を有し、このピストンがスライド側の一部に当接して前
    記シリンダ内の流体を圧縮することによりブレークスル
    ー時の緩衝を行い、 前記タイミング調整装置は前記緩衝機本体のシリンダに
    配管で連結されたシリンダとピストンとを有し、このピ
    ストンの位置を調整することにより緩衝タイミングを調
    整するようにし、 前記緩衝機本体を複数設け、 該複数の 緩衝機本体とタイミング調整装置とを連結する
    前記配管は、各々独立して直結されるか、または複数の
    緩衝機本体からの各配管が合流してタイミング調整装置
    に直結されることを特徴とする請求項1記載のプレスの
    ブレークスルー緩衝装置。
  3. 【請求項3】 緩衝機本体のシリンダ径と、該緩衝機本
    体のシリンダ及びタイミング調整装置のシリンダの間を
    連結する配管径との比が、緩衝機本体のシリンダが2
    個の場合にはほぼ10:1で、緩衝機本体のシリンダが
    4個の場合にはほぼ3:1であることを特徴とする請求
    項1または2記載のプレスのブレークスルー緩衝装置。
  4. 【請求項4】 機械プレスにおける素材打ち抜き加工の
    際に生じるブレークスルーを緩衝するプレスのブレーク
    スルー緩衝装置の制御方法において、 プレスのブレークスルー時に発生する騒音またはスライ
    ド等の振動を検出この検出した前回までの騒音または振動に基づいて、ブ
    レークスルー時の騒音または振動が小さくなる緩衝タイ
    ミング調整方向を判定し、 この小さくなる方向に タイミング調整装置に指令を出し
    て緩衝機本体の緩衝タイミングを調整しブレークスル
    ー時の騒音またはスライド等の振動が最小になるように
    制御することを特徴とするプレスのブレークスルー緩衝
    装置の制御方法。
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