JP3307959B2 - ポリアミド樹脂組成物およびその製造方法 - Google Patents

ポリアミド樹脂組成物およびその製造方法

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JP3307959B2
JP3307959B2 JP56298299A JP56298299A JP3307959B2 JP 3307959 B2 JP3307959 B2 JP 3307959B2 JP 56298299 A JP56298299 A JP 56298299A JP 56298299 A JP56298299 A JP 56298299A JP 3307959 B2 JP3307959 B2 JP 3307959B2
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政昭 荒巻
克史 渡辺
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Asahi Kasei Corp
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    • C08ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
    • C08KUse of inorganic or non-macromolecular organic substances as compounding ingredients
    • C08K3/00Use of inorganic substances as compounding ingredients
    • C08K3/32Phosphorus-containing compounds

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Description

【発明の詳細な説明】 技術分野 本発明は、様々な機械工業部品、電気電子部品などの
産業用材料として好適な強度、剛性が高く、かつ靱性に
優れ、更には、低吸水性、吸水時剛性、耐熱性、耐クリ
ープ性、低そり性、寸法安定性、成形性に優れるポリア
ミドとアパタイト型化合物とからなるポリアミド樹脂組
成物およびその製造方法に関するものである。
背景技術 従来よりポリアミド樹脂が本来有する強度や剛性をさ
らに高める目的で、ポリアミド樹脂に種々の充填剤、例
えばガラス繊維や炭素繊維などの無機繊維あるいは炭酸
カルシウム、雲母、タルクなどの無機化合物あるいはモ
ンモリロナイト、膨潤性フッ素雲母などの層状化合物を
配合することが行われてきた。しかしながら、これらの
手法には、得られる成形体の強度や剛性がより向上する
点では有効であるものの、ポリアミドと充填剤との親和
性が低いため、ポリアミド樹脂の特徴である靱性が著し
く損なわれるという欠点があった。一方、特開平03−21
7454号公報には、象牙に近い感触を持つ材料を得ること
を目的として、ポリアミド100重量部とアパタイト5〜3
00重量部とからなるポリアミド樹脂組成物が開示されて
いる。しかしながら、この組成物も、他の充填剤を添加
した組成物と同様に、得られる成形体の強度、剛性が向
上するものの、ポリアミドとアパタイト界面との親和性
が極めて低いため、靱性の低下、すなわち引張伸度の低
下が極めて大きく、産業用材料として用いることは困難
であった。
このように、ポリアミド樹脂の強度、剛性を改良する
目的で、ポリアミド樹脂を種々の無機充填剤で強化する
ことが提案されてきたが、従来の提案では靱性、すなわ
ち引張伸度の低下が著しく起こり、その応用が制限さ
れ、十分に満足できるものではなかった。従って、靱性
の低下を引き起こすことがなく、剛性および強度が向上
するポリアミド樹脂組成物が期待されていた。
本発明の目的は、従来、未解決であった上記の問題点
を解消し得る、すなわち、強度、剛性が高く、かつ靱性
に優れ、更には、低吸水性、吸水時剛性、耐熱性、耐ク
リープ性、低そり性、寸法安定性、成形性に優れるポリ
アミド樹脂組成物を提供することである。
発明の開示 本発明者らは、上記本発明課題を解決すべく鋭意検討
した結果、ポリアミドに、特定量のアパタイト型化合物
を含有させた特定のポリアミド組成物により、上記課題
を解決できることを見いだし、本発明を完成させるに至
った。
すなわち本発明は、 (1)リンに対する金属元素のモル比が1.2〜2.0である
アパタイト型化合物を0.5〜50重量%含有するポリアミ
ド樹脂組成物であって、該組成物をフェノール溶媒で溶
出し、ろ過し、残存する有機物がアパタイト型化合物10
0重量部あたり1〜100重量部であることを特徴とするポ
リアミド樹脂組成物、 (2)ポリアミドの重量平均分子量が1〜100万である
ことを特徴とする上記1記載のポリアミド樹脂組成物、 (3)有機物の少なくとも一部がポリアミドであること
を特徴とする上記1記載のポリアミド樹脂組成物、 (4)アパタイト型化合物の平均粒子径が1μm以下で
あることを特徴とする上記1記載のポリアミド樹脂組成
物、 (5)アパタイト型化合物が、広角X線(CuKα:波長
λ=1.542Å)散乱による回折角(2θ)が25.5〜26.5
度の(002)面ピークと、回折角(2θ)が32.5〜33.5
度の(300)面ピークを持つ、結晶性アパタイト型化合
物であることを特徴とする上記1〜4のいずれかに記載
のポリアミド樹脂組成物、 (6)アパタイト型化合物が下記一般式で示されること
を特徴とする上記1〜4のいずれかに記載のポリアミド
樹脂組成物、 A10-z(HPO4(PO46-z(X)2-z・nH2O (上式において、0≦z<2、0≦n≦16であり、Aは
金属元素、またXは陰イオンまたは陰イオン化合物であ
る。) (7)金属元素が元素周期律表の2A族元素の1種以上で
あることを特徴とする上記1記載のポリアミド樹脂組成
物、 (8)金属元素がカルシウムであることを特徴とする上
記1記載のポリアミド樹脂組成物、 (9)ポリアミド形成成分にポリアミドの重合条件下で
アパタイトを形成し、かつリンに対する金属元素のモル
比が1.2〜2.0のリン酸系金属化合物と非リン酸系金属化
合物との混合物からなるアパタイト型化合物形成成分を
配合し、ポリアミドの重合反応およびアパタイト型化合
物の合成反応を進行させ、重量平均分子量が1万〜100
万のポリアミド中に平均粒子径が1μm以下であるアパ
タイト型化合物が分散した組成物となすことを特徴とす
るポリアミド樹脂組成物の製造方法、 (10)ポリアミド形成成分が重合可能なアミノ酸、重合
可能なラクタム、重合可能なジアミン・ジカルボン酸
塩、あるいは重合可能な前記化合物のオリゴマー群から
選ばれる1種以上であることを特徴とする上記9記載の
ポリアミド樹脂組成物の製造方法、 (11)アパタイト型化合物が、広角X線(CuKα:波長
λ=1.542Å)散乱による回折角(2θ)が25.5〜26.5
度の(002)面ピークと、回折角(2θ)が32.5〜33.5
度の(300)面ピークを持つ、結晶性アパタイト型化合
物であることを特徴とする上記9記載のポリアミド樹脂
組成物の製造方法、 (12)アパタイト型化合物が下記一般式で示されること
を特徴とする上記9記載のポリアミド樹脂組成物の製造
方法、 A10-z(HPO4(PO46-z(X)2-zn・H2O (上式において、0≦z<2、0≦n≦16であり、Aは
金属元素、またXは陰イオンまたは陰イオン化合物であ
る。) (13)アパタイト型化合物形成成分の金属元素が元素周
期律表の2A族元素の1種以上であることを特徴とする上
記9に記載のポリアミド樹脂組成物の製造方法、 (14)アパタイト型化合物形成成分の金属元素がカルシ
ウムであることを特徴とする上記9に記載のポリアミド
樹脂組成物の製造方法、 (15)ポリアミドの重合反応およびアパタイト型化合物
の合成反応が、40〜300℃の温度下で行われることを特
徴とする上記9記載のポリアミド樹脂組成物の製造方
法、 である。
図面の簡単な説明 図1は、実施例1の組成物から分離したアパタイト型
化合物の広角X線回折測定結果である。図2は、比較例
2の組成物から分離したアパタイト型化合物の広角X線
回折測定結果である。図3は、比較例1の組成物から分
離したアパタイト型化合物の広角X線回折測定結果であ
る。図4は、参照例1で用いた市販ヒドロキシアパタイ
トの広角X線回折測定結果である。
発明を実施するための最良の形態 本発明は、ポリアミドにアパタイト型化合物を含有さ
せたポリアミド樹脂組成物に係る。
本発明におけるポリアミドは、主鎖中にアミド結合
(−NHCO−)を有する重合体でよい。本発明において好
ましく用いるポリアミドは、ポリカプロラクタム(ナイ
ロン6)、ポリテトラメチレンアジパミド(ナイロン4
6)、ポリヘキサメチレンアジパミド(ナイロン66)、
ポリヘキサメチレンセバカミド(ナイロン610)、ポリ
ヘキサメチレンドデカミド(ナイロン612)、ポリウン
デカメチレンアジパミド(ナイロン116)、ポリウンデ
カラクタム(ナイロン11)、ポリドデカラクタム(ナイ
ロン12)、ポリトリメチルヘキサメチレンテレフタルア
ミド(ナイロンTMHT)、ポリヘキサメチレンイソフタル
アミド(ナイロン6I)、ポリノナンメチレンテレフタル
アミド(9T)、ポリヘキサメチレンテレフタルアミド
(6T)、ポリビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン
ドデカミド(ナイロンPACM12)、ポリビス(3−メチル
−アミノシクロヘキシル)メタンドデカミド(ナイロン
ジメチルPACM12)、ポリメタキシリレンアジパミド(ナ
イロンMXD6)、ポリウンデカメチレンヘキサヒドロテレ
フタルアミド(ナイロン11T(H))、およびこれらの
うち少なくとも2種の異なったポリアミド成分を含むポ
リアミド共重合体、およびこれらの混合物などである。
これらのポリアミドのうち、本発明課題を達成するのに
より好ましいポリアミドは、ポリカプロラクタム(ナイ
ロン6)、ポリヘキサメチレンアジパミド(ナイロン6
6)、ポリヘキサメチレンドデカミド(ナイロン612)、
ポリヘキサメチレンイソフタルアミド(ナイロン6I)、
およびこれらのうち少なくとも2種の異なったポリアミ
ド成分を含むポリアミド共重合体は、およびこれらの混
合物などである。
前記ポリアミド形成成分(原料)としては、重合可能
なアミノ酸、重合可能なラクタム、あるいは重合可能な
ジアミン・ジカルボン酸塩、および重合可能な前記化合
物のオリゴマーを挙げることができる。
重合可能なアミノ酸としては、例えば6−アミノカプ
ロン酸、11−アミノウンデカン酸、12−アミノドデカン
酸、パラアミノメチル安息香酸をより具体的に挙げるこ
とができる。本発明では、これらの重合可能なアミノ酸
を1種で用いても良いし、2種類以上組み合わせて用い
ても良い。
重合可能なラクタムとしては、例えばブチルラクタ
ム、ピバロラクタム、カプロラクタム、カプリルラクタ
ム、エナントラクタム、ウンデカノラクタム、ドデカノ
ラクタムなどをより具体的に挙げることができる。本発
明では、これらの重合可能なラクタムを1種で用いても
良いし、2種類以上組み合わせて用いても良い。
重合可能なジアミン・ジカルボン酸塩のジアミンとし
ては、例えばテトラメチレンジアミン、ヘキサメチレン
ジアミン、ウンデカメチレンジアミン、ドデカメチレン
ジアミン、2−メチルペンタメチレンジアミン、ノナン
メチレンジアミン、2,2,4−トリメチルヘキサメチレン
ジアミン、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジアミ
ン、5−メチルノナメチレンジアミン、2,4−ジメチル
オクタメチレンジアミン、メタキシリレンジアミン、パ
ラキシリレンジアミン、1,3−ビス(アミノメチル)シ
クロヘキサン、3,8−ビス(アミノメチル)トリシクロ
デカン、1−アミノ−3−アミノメチル−3,5,5,−トリ
メチルシクロヘキサン、ビス(4−アミノシクロヘキシ
ル)メタン、ビス(3−メチル−4−アミノシクロヘキ
シル)メタン、2,2−ビス(4−アミノシクロヘキシ
ル)プロパン、ビス(アミノプロピル)ピペラジン、ア
ミノエチルピペラジンなどを挙げることができる。本発
明では、これらの重合可能なジアミンを1種で用いても
良いし、2種類以上組み合わせて用いても良い。
重合可能なジアミン・ジカルボン酸塩のジカルボン酸
としては、例えばマロン酸、ジメチルマロン酸、コハク
酸、グルタル酸、アジピン酸、2−メチルアジピン酸、
トリメチルアジピン酸、ピメリン酸、2,2−ジメチルグ
ルタル酸、3,3−ジエチルコハク酸、アゼライン酸、セ
バシン酸、スベリン酸、ドデカン二酸、エイコジオン
酸、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボ
ン酸、2−クロロテレフタル酸、2−メチルテレフタル
酸、5−メチルイソフタル酸、5−ナトリウムスルホイ
ソフタル酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、ヘキサヒドロ
テレフタル酸、ジグリコール酸などを挙げることができ
る。本発明では、これらの重合可能なジカルボン酸は1
種で用いても良いし、2種類以上組み合わせて用いても
良い。
本発明のポリアミド形成成分(原料)には、さらに分
子量調節あるいは耐熱水性向上のために公知の末端封止
剤を添加することができる。末端封止剤としては、モノ
カルボン酸またはモノアミンが好ましい。その他、無水
フタル酸などの酸無水物、モノイソシアネート、モノ酸
ハロゲン化物、モノエステル類、モノアルコール類など
を挙げることができる。
末端封止剤として使用できるモノカルボン酸として
は、アミノ基との反応性を有するものであれば特に制限
はないが、例えば酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、
カプロン酸、カプリル酸、ラウリン酸、トリデシル酸、
ミリスチル酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ピバリン
酸、イソブチル酸などの脂肪族モノカルボン酸、シクロ
ヘキサンカルボン酸などの脂環式モノカルボン酸、安息
香酸、トルイル酸、α−ナフタレンカルボン酸、β−ナ
フタレンカルボン酸、メチルナフタレンカルボン酸、フ
ェニル酢酸などの芳香族モノカルボン酸などを挙げるこ
とができる。本発明では、これらのモノカルボン酸を1
種で用いても良いし、2種類以上組み合わせて用いても
良い。
末端封止剤として使用するモノアミンとしては、カル
ボキシル基との反応性を有するものであれば特に制限は
ないが、例えばメチルアミン、エチルアミン、プロピル
アミン、ブチルアミン、ヘキシルアミン、オクチルアミ
ン、デシルアミン、ステアリルアミン、ジメチルアミ
ン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジブチルアミ
ンなどの脂肪族モノアミン、シクロヘキシルアミン、ジ
シクロヘキシルアミンなどの脂環式モノアミン、アニリ
ン、トルイジン、ジフェニルアミン、ナフチルアミンな
どの芳香族モノアミンなどを挙げることができる。本発
明では、これらのモノアミンを1種で用いても良いし、
2種類以上組み合わせて用いても良い。
本発明のポリアミド樹脂組成物中のポリアミドの分子
量は、成形性および物性がより優れていることから、重
量平均分子量(Mw)にして、1万〜100万であることが
好ましく、2万〜20万のものが特に好ましい。重量平均
分子量は、例えば、溶媒としてヘキサフルオロイソプロ
パノール(HFIP)を用い、分子量標準試料としてポリメ
タクリル酸メチル(PMMA)を用いて、ゲルパーミッショ
クロマトグラフィー(GPC)により求めることができ
る。
本発明で好ましく用いられるアパタイト型化合物は、
下記一般式で示される。
A10-z(HPO4(PO46-z(X)2-z・nH2O ここで、0≦z<2、0≦n≦16であり、Aは金属元
素、またXは陰イオンまたは陰イオン化合物であるが、
成形性および物性の観点から0≦z<1、0≦n≦4で
あることがより好ましい。
好ましい金属元素Aとしては、元素周期律表の1A、2
A、3A、4A、5A、6A、7A、8、1B、2B、3B族元素および
スズ、鉛を挙げることができる。これら金属元素は1種
であっても、2種以上であってもかまわない。本発明に
おいては、得られる樹脂組成物の経済性、安全性および
物性の点から、2A族元素であるマグネシウム、カルシウ
ム、ストロンチウム、バリウム、あるいはこれらの2種
以上からなる混合物であることが特に好ましい。
前記一般式中のXで示される陰イオンまたは陰イオン
化合物としては、水酸イオン(OH-)、フッ素イオン(F
-)、塩素イオン(Cl-)などを挙げることができる。こ
れら陰イオン元素または陰イオン化合物は1種であって
も、2種以上であってもかまわない。また、本発明にお
いては、前記一般式中のリン酸水素イオン(HPO4 2-)、
リン酸イオン(PO4 3-)、あるいはXの一部が炭酸イオ
ン(CO3 2-)に置換した炭酸含有アパタイトであっても
よい。
本発明においては、前記アパタイト型化合物の中、金
属元素Aがカルシウムである水酸アパタイト(Xが水酸
イオン)、フッ素化アパタイト(Xの一部または全部が
フッ素イオン)、塩素化アパタイト(Xの一部または全
部が塩素イオン)、炭酸含有水酸アパタイト、炭酸含有
フッ素化アパタイト、炭酸含有塩素化アパタイト、さら
には、これらの混合物が最も好ましく用いられる。
かかるアパタイト型化合物形成成分(原料)は、リン
酸系金属化合物と非リン酸系金属化合物とからなる混合
物である。本発明では、アパタイト型化合物形成成分の
リンに対する金属元素のモル比は1.2〜2.0である。
前記リン酸系金属化合物のリン酸類としては、オルト
リン酸、ピロリン酸、トリポリリン酸、メタリン酸、亜
リン酸、次亜リン酸などを挙げることができる。
より具体的には、リン酸系金属化合物としては、リン
酸一水素カルシウム(CaHPO4・mH2O、但し0≦m≦2で
ある。)、二リン酸水素カルシウム(CaH2P2O7)、リン
酸二水素カルシウム一水和物(Ca(H2PO4・H2O)、
二リン酸カルシウム(α−およびβ−Ca2P2O7)、リン
酸三カルシウム(α−およびβ−Ca3(PO4)、リン
酸四カルシウム(Ca4(PO42O)、リン酸八カルシウム
五水和物(Ca8H2(PO4・5H2O)、亜リン酸カルシウ
ム一水和物(CaHPO3・H2O)、次亜リン酸カルシウム(C
a(H2PO2)、リン酸マグネシウム第二・三水和物
(MgHPO4・3H2O)、リン酸マグネシウム第三・八水和物
(Mg3(PO4・8H2O)、リン酸バリウム第二(BaHP
O4)などを挙げることができる。これらの中でも、本発
明では経済性および物性により優れる点から、リン酸と
カルシウムの化合物が好ましく用いられ、中でもリン酸
一水素カルシウム(CaHPO4・mH2O、但し0≦m≦2であ
る。)がより好ましく用いられ、特に無水リン酸一水素
カルシウム(CaHPO4)とリン酸一水素カルシウム二水和
物(CaHPO4・2H2O)が最も好ましく用いられる。これら
のリン系金属化合物は、1種であっても良いし、2種以
上の組み合わせであっても良い。2種以上組み合わせる
場合には、例えば、リン酸一水素カルシウム二水和物
(CaHPO4・2H2O)と二リン酸二水素カルシウム(CaH2P2
O7)とを用いるように、同種の金属元素を含有する化合
物の組み合わせや、リン酸一水素カルシウム二水和物
(CaHPO4・2H2O)とリン酸マグネシウム第二・三水和物
(MgHPO4・3H2O)とを用いるように、異種の金属元素を
含有する化合物の組み合わせなどが例示されるが、いず
れでも差し支えない。
本発明におけるリン酸系金属化合物は、リン酸一水素
カルシウム(CaHPO4・mH2O、但し0≦m≦2である。)
を例にとると、Phosphorus and its Compounds,1(1
958)で記載されているVan WazerによるCaO−H2O−P2O
5系の状態図が示すように、水の存在下、リン酸化合物
とカルシウム化合物を混合することによる公知の方法で
得ることができる。より具体的には、例えば、20〜100
℃の温度下、リン酸二水素カリウム溶液に、リン酸アル
カリ溶液および塩化カルシウム溶液を滴下し反応させ合
成する方法や、炭酸カルシウムまたは水酸化カルシウム
とリン酸水溶液を混合する方法などによれば良い。
ところで、本発明者らは、前記リン酸類のかわりに、
砒素(As)やバナジウム(V)からなる化合物、すなわ
ち砒酸類やバナジウム酸類を用いても、本発明と同様な
効果が得られるものと推察している。しかしながら、本
発明では、化合物の安定性、原料成分の入手容易性、安
全性の点で優れることから、リン酸類を用いることが最
も好ましい。
本発明における非リン酸系金属化合物としては、前記
リン酸類以外で金属元素と化合物を形成するものであれ
ば特に制限はなく、金属水酸化物(水酸化カルシウム、
水酸化マグネシウム、水酸化ストロンチウム、水酸化バ
リウム、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カ
リウム、水酸化アルミニウム、水酸化鉄、水酸化マンガ
ンなど)、金属塩化物(塩化カルシウム、塩化マグネシ
ウム、塩化ストロンチウム、塩化バリウム、塩化リチウ
ム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化アルミニウ
ム、塩化鉄、塩化マンガンなど)、金属フッ化物(フッ
化カルシウム、フッ化マグネシウム、フッ化バリウム、
フッ化ストロンチウム、フッ化リチウム、フッ化ナトリ
ウム、フッ化カリウム、フッ化アルミニウムなど)、金
属臭化物(臭化カルシウムなど)、金属ヨウ化物(ヨウ
化カルシウム、ヨウ化カリウム、ヨウ化銅など)、金属
炭化物(炭化カルシウムなど)、金属酸化物(酸化カル
シウム、酸化マグネシウムなど)、炭酸金属塩(炭酸カ
ルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸ストロンチウム、炭
酸バリウム、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリ
ウム、炭酸アルミニウムなど)、硫酸金属塩(硫酸カル
シウムなど)、硝酸金属塩(硝酸カルシウムなど)、ケ
イ酸金属塩(ケイ酸カルシウム、ヘキサフルオロケイ酸
ナトリウムなど)などの無機金属化合物や、金属元素と
モノカルボン酸との化合物(酢酸カルシウム、酢酸銅、
安息香酸カルシウム、ステアリン酸カルシウムなど)、
金属元素とジカルボン酸との化合物(しゅう酸カルシウ
ム、酒石酸カルシウムなど)、金属元素とトリカルボン
酸との化合物(クエン酸カルシウムなど)などを挙げる
ことができる。本発明では、これらの非リン酸系金属化
合物は、1種であっても良いし、2種以上組み合わせて
も良い。2種以上組み合わせる場合には、例えば水酸化
カルシウムと炭酸カルシウムとの混合物のように、同種
の金属元素を含有する化合物を組み合わせても良いし、
例えば、炭酸カルシウムと水酸化マグネシウムとの混合
物のように、異種の金属元素を含有する化合物を組み合
わせても良い。本発明では、これら化合物の中でも、経
済性および物性がより優れていることから、金属水酸化
物、金属フッ化物、金属塩化物、炭酸金属塩、金属酸化
物、あるいはこれらの混合物が好ましく用いられる。特
に元素周期律表の2A族元素であるカルシウム、マグネシ
ウム、ストロンチウム、バリウムの水酸化物、フッ化
物、塩化物、炭酸塩、あるいはこれらの混合物がより好
ましく、その中でもカルシウムの水酸化物、フッ化物、
塩化物、炭酸塩、酸化物、あるいはこれらの混合物が最
も好ましく用いられる。
本発明のアパタイト型化合物形成成分であるリン酸系
金属化合物や非リン酸系金属化合物は、好ましくは平均
粒子径が100μm以下、より好ましくは50μm以下、さ
らに好ましくは25μm以下である。平均粒子径の測定
は、アパタイト型化合物形成成分を純水あるいはアルコ
ール類中に分散させ、レーザ回折/散乱式粒度分布装置
で測定する方法や、走査型電子顕微鏡(SEM)による観
察を用いて測定する方法によれば良い。
本発明のポリアミド樹脂組成物の製造方法は、ポリア
ミド形成成分(原料)に、アパタイト型化合物形成成分
(原料)を配合し、次いでポリアミドの重合とアパタイ
ト型化合物の合成を行う方法であれば良い。ポリアミド
の重合とアパタイト型化合物の合成の好ましい方法は、
ポリアミド形成成分とアパタイト型化合物形成成分との
配合物を加熱し、ポリアミド形成成分をアパタイト型化
合物形成成分の存在下に重合し、その後アパタイト型化
合物を合成する方法や、あるいはアパタイト型化合物形
成成分をポリアミド形成成分の存在下に反応させ、その
後ポリアミドを重合する方法である。より好ましい方法
は、前記両形成成分の配合物を40〜300℃の温度下で、
ポリアミドの重合反応およびアパタイト型化合物の合成
反応を進行させる方法であり、最も好ましい方法は、前
記両形成成分の配合物を加圧下、40〜300℃の温度下
で、ポリアミドの重合反応およびアパタイト型化合物の
合成反応を同時並行的に進行させる方法である。
ポリアミド形成成分とアパタイト型化合物の形成成分
との配合方法としては、固体状のポリアミド形成成分と
アパタイト型化合物の形成成分を直接混合する方法、ポ
リアミド形成成分の水溶液とアパタイト型化合物形成成
分の水溶液や懸濁液とを配合する方法などのいずれによ
っても良い。また、アパタイト型化合物の分散性を向上
させるために、必要に応じて、ポリアミド形成成分やア
パタイト型化合物形成成分に分散剤や錯化剤などの化合
物を添加しても良い。
本発明では、前記分散剤の種類を、特に制限するもの
ではなく、公知の分散剤を用いることができる。例え
ば、「分散・凝集の解明と応用技術、1992年」(北原文
雄監修・株式会社テクノシステム発行)の232〜237ペー
ジに記載されているようなアニオン系界面活性剤、カチ
オン系界面活性剤、両性界面活性剤、非イオン系界面活
性剤、ノニオン系界面活性剤などを用いることができ
る。これらの中でもアニオン系界面活性剤、非イオン系
界面活性剤を用いることが好ましく、特に、価格および
物性の観点から、クエン酸ナトリウム、ポリアクリル酸
ナトリウム、ポリアクリル酸アンモニウム、スチレン−
無水マレイン酸共重合体、エチレン−無水マレイン酸な
どのオレフィン−無水マレイン酸共重合体、ショ糖ステ
アリン酸エステルなどのショ糖エステル類などを用いる
ことがより好ましい。
錯化剤としては、金属イオンと錯体を形成する化合物
であれば特に制限されることがなく、例えば、エチレン
ジアミン四酢酸(EDTA)、ニトリロ三酢酸、シクロヘキ
サンジアミン四酢酸、グリコールエーテルジアミン四酢
酸、ジエチレントリアミン五酢酸、クエン酸、グルコン
酸、酒石酸、リンゴ酸、コハク酸、エチレンジアミンな
どの脂肪族アミン、尿素などを用いることができる。こ
れらの中でも、価格及び物性の観点からクエン酸、エチ
レンジアミン四酢酸(EDTA)、エチレンジアミン(en)
が特に好ましい。
前記ポリアミドの重合は、公知の方法を用いることが
できる。例えば、11−アミノウンデカン酸などの水に難
溶な成分を形成成分とし、40〜300℃で加熱し重縮合す
る方法、ε−カプロラクタムを形成成分とし、その水溶
液を、必要に応じてモノカルボン酸などの末端封鎖剤、
あるいはε−アミノカプロン酸などの反応促進剤を加え
て、不活性ガスを流通させながら、40〜300℃に加熱し
重縮合するラクタム類の開環重縮合法、ヘキサメチレン
アジパミドなどのジアミン・ジカルボン酸塩を形成成分
とし、その水溶液を、40〜300℃の温度下、加熱濃縮
し、発生する水蒸気圧を常圧〜20気圧の間の圧力に保
ち、最終的には圧力を抜き常圧あるいは減圧し重縮合を
行う熱溶融重縮合法などを用いることができる。さらに
は、ジアミン・ジカルボン酸固体塩や重縮合物の融点以
下の温度で行う固相重合法、ジカルボン酸ハライド成分
とジアミン成分とを溶液中で重縮合させる溶液法なども
用いることができる。これらの方法は必要に応じて組合
わせてもかまわない。また、重合形態としては、バッチ
式でも連続式でもかまわない。また、重合装置も特に制
限されるものではなく、公知の装置、例えば、オートク
レーブ型の反応器、タンブラー型反応器、ニーダーなど
の押出機型反応器などを用いることができる。
本発明のポリアミド樹脂組成物中に含有されるアパタ
イト型化合物の確認は、例えば、ペレットや成形品など
を用いて、広角X線回折、赤外吸収スペクトルなどで直
接確認する方法や、ペレットや成形品などをフェノール
などのポリアミドが可溶な溶媒に浸しポリアミド樹脂を
溶出し、残った分離成分を広角X線回折、赤外吸収スペ
クトルなどで確認する方法などによれば良い。
本発明のポリアミド樹脂組成物中に含有されるアパタ
イト型化合物は、結晶性アパタイト型化合物であって
も、非晶性アパタイト型化合物であってもかまわない
が、物性の観点から、結晶性アパタイト型化合物である
ことがより好ましい。アパタイト型化合物が結晶性であ
ることは、ペレットや成形品などの広角X線回折を測定
して確認することができる。また、ペレットや成形品な
どをフェノールなどのポリアミドが可溶な溶媒に浸し、
ポリアミド樹脂を溶出し、残った分離成分の広角X線回
折を測定して確認することもできる。より具体的に説明
すると、X線の線源として、銅Kα(波長λ=1.542
Å)を用いて、前記分離成分の広角X線回折を測定し、
回折角(2θ)が25.5〜26.5度に(002)面ピークが存
在し、さらに回折角(2θ)が32.5〜33.5度に(300)
面ピークが存在することを確認すればよい。本発明で
は、上記のように確認される結晶性アパタイト型化合物
であることが特に好ましい。
本発明のアパタイト型化合物のポリアミド組成物中の
含有量は、0.5〜50重量%である必要があり、より好ま
しくは2.5〜40重量%、特に好ましくは5〜30重量%で
ある。アパタイト型化合物の含有量は、例えば、ペレッ
トや成形品などをJIS R3420に従って強熱減量(Ig.los
s)を測定し、その重量減少量から求めることができ
る。具体的には、ポリアミド樹脂組成物を十分乾燥した
後、白金皿に約1g秤量し、650±20℃の電気炉で灰化
し、冷却後、その重量を秤り、アパタイト型化合物の含
有量を定量する。アパタイト型化合物の含有量が0.5重
量%未満の場合には、剛性、強度の向上が本発明の目的
を達成し得る程に顕著でなく、一方50重量%を越えた場
合には、押出や成形加工が困難になるなどの問題が発生
する恐れがある。
本発明のアパタイト型化合物のリンに対する金属元素
の比は、モル比にして1.2〜2.0である。金属元素の定量
は、金属元素としてカルシウムの場合について具体的に
説明すると、まずポリアミド樹脂組成物0.5gを白金皿に
秤量し、電気炉を用いて500℃で炭化する。炭化物を冷
却後、それに塩酸5mlおよび純水5mlを加えヒーター上で
煮沸溶解する。再びこれを冷却し、純水を加え500mlと
し、この試料中のカルシウムを高周波誘導結合プラズマ
(ICP)発光分析(特性波長317.933nm)によって定量す
ればよい。他の金属元素については、特性波長を選択す
ることにより、同様な方法で定量できる。一方、リンの
定量は、ポリアミド樹脂組成物0.5gを秤量し、これに濃
硫酸を20ml加え、ヒーター上で湿式分解し、冷却後、過
酸化水素5mlを加え、ヒーター上で加熱し、全量が2〜3
mlになるまで濃縮する。これを再び冷却し、純水で500m
lとし、高周波誘導結合プラズマ(ICP)発光分析(特性
波長213.618nm)によって定量すればよい。このように
して求めた定量結果をもとに、リンに対する金属元素の
モル比を算出することができる。この比が0.9未満の場
合には、押出や成形加工時に気泡の混入や発泡が起こり
やすくなり、成形品の収率が低下する懸念がある。ま
た、この比が10.0を越えた場合には、靱性の低下が著し
くなる恐れがある。
本発明のポリアミド樹脂組成物は、アパタイト型化合
物を含有し、ポリアミドとアパタイト型化合物の界面が
極めて良好に固着、接着しているという特徴を持つ。ア
パタイト型化合物の合成は、例えば水酸アパタイトを例
にとると、一般的には、水酸化カルシウムとリン酸など
とを約PH8の水溶液中で反応させる湿式法、リン酸一水
素カルシウムなどを約200℃、15気圧の高温高圧条件下
で行う水熱法などが用いられているが、このアパタイト
型化合物の合成条件はポリアミドの重合条件に、非常に
似通っている。本発明者らは、この点に着目した。すな
わち本発明のポリアミド組成物は、ポリアミドの形成成
分とアパタイトの形成成分を混合し、ポリアミドの重合
する過程のいずれかの段階で、アパタイト型化合物の合
成も行い、得られたものである。このようにすること
で、重合されていくポリアミドと合成されていくアパタ
イト型化合物との両者間に、イオン結合反応、吸着反応
あるいはグラフト化反応などの物理的、化学的相互作用
が起こり、アパタイト型化合物粒子の内部や表面部に、
ポリアミド形成成分(原料)やポリアミド成分が取り込
まれる。これら反応生成物(有機物)を介して合成され
たアパタイト型化合物は、マトリックスであるポリアミ
ド中に、均一かつ微細に分散し得るのである。このこと
により、得られるポリアミド樹脂組成物は、ポリアミド
とアパタイト型化合物との界面が、驚くべきほど良好に
固着、接着するのである。
本発明におけるポリアミド樹脂組成物のマトリックス
であるポリアミドはフェノール溶媒に溶出するのに対し
て、前記反応生成物(有機物)はフェノール溶媒に溶出
しないという性質を有する。すなわち、ポリアミド組成
物をフェノール溶媒で溶出し、ろ過すると、前記有機物
はアパタイト型化合物と共に残存する。本発明では、ア
パタイト型化合物に残存する前記有機物は、アパタイト
型化合物100重量部あたり、1〜100重量部であることが
必要である。より好ましくは、3〜100重量部、特に好
ましくは4〜50重量部である。前記有機物が、アパタイ
ト型化合物100重量部あたり1重量部未満の場合には、
得られる成形体の靱性の低下が大きくなる恐れがある。
また100重量部を越えた場合には、成形加工性が劣るこ
とになる懸念がある。
本発明の前記有機物は、ポリアミド形成成分および/
またはポリアミドがアパタイトと物理的、化学的相互作
用の結果、形成されるものであり、フェノール溶媒に溶
出し得ない性質を有するが、特にマトリックスであるポ
リアミドとの固着、接着性がより向上する点から、前記
有機物の少なくとも一部はポリアミドであることが好ま
しい。また、前記有機物には、水が含有されてもかまわ
ない。
前記有機物は、分離したアパタイト型化合物を、例え
ば熱分解ガスクロマトグラフィーおよび熱分解成分のマ
ススペクトル(MS)を測定することにより確認できる。
また、分離したアパタイト型化合物の赤外吸収スペクト
ル、核磁気共鳴(NMR)によっても確認することができ
る。本発明者らの検討によれば、本発明における前記有
機物は、赤外吸収スペクトル、熱分解ガスクロマトグラ
フィーおよび熱分解成分のマススペクトル(MS)の測定
結果から、ポリアミド形成成分、ポリアミド、あるいは
これらの反応生成物である。有機物の同定は、ポリアミ
ド樹脂組成物を90重量%フェノール水溶液で溶出した
後、分離したアパタイト型化合物の熱分解成分の中に、
ポリアミド形成成分やポリアミドなどの熱分解成分と一
致する特徴的な成分の存在を確認することにより行うこ
とができる。例えば、ポリアミド形成成分としてアジピ
ン酸・ヘキサメチレンジアミン塩を用いた場合を例にと
ると、得られたポリアミド樹脂組成物を90重量%フェノ
ール水溶液で溶出した後、分離したアパタイト型化合物
の550℃の熱分解成分に、シクロペンタノンを確認でき
れば、前記有機物がアジピン酸を含有することを示し、
またアジポニトリルを確認できれば、前記有機物がヘキ
サメチレンジアミンを含有することを示している。ま
た、熱分解成分にシクロペンタノンとアジポニトリルと
を同時に確認できれば、前記有機物がポリヘキサメチレ
ンアジパミド(ナイロン66)を含有することを示してい
る。
本発明の前記有機物の量は、具体的には、以下のよう
な(a)アパタイト型化合物の分離操作、(b)分離し
たアパタイト型化合物の熱減量率の測定、(c)熱分解
成分の測定による有機物の定量、を行うことによって求
めることができる。
(a)アパタイト型化合物の分離操作: ポリアミド樹脂組成物10gを秤量し、90重量%フェノ
ール200mlと混合し、40℃で2時間攪拌し、遠心分離器
を用いて分離操作を行い、上澄み溶媒を除去する。さら
に200mlのフェノールを加え、以後同様な溶解操作と遠
心分離器を用いた分離操作を4回繰り返し行う。引き続
き、99.5重量%エタノール200mlを加えて、23℃で2時
間攪拌し、遠心分離器を用いて分離操作を行い、上澄み
溶媒を除去する。この操作をさらに4回繰り返した後、
減圧乾燥器中で乾燥し、アパタイト型化合物を得る。
(b)分離したアパタイト型化合物の熱減量率の測定: 得られたアパタイト型化合物5〜15mgを秤量し、熱重
量分析(TGA)装置により、30℃から550℃まで99.9℃/m
inで昇温後、550℃で1時間保持する。30℃における初
期重量(W0)と、550℃で1時間保持した後の最終重量
(W1)を用いて、下式により熱減量率Xを算出できる。
熱減量率X(重量部/アパタイト型化合物100重量部)=(W0−W1)×100/W1 (c)熱分解成分の測定による有機物の定量: 前記(a)により得られたアパタイト型化合物を1〜
10mg秤量し、熱分解ガスクロマトグラフィーにより、熱
分解温度550℃、カラム温度50〜320℃(昇温速度20℃/m
in)の条件下で測定する。得られた熱分解ガスクロマト
グラフィーのパイログラムを、保持時間2min未満と2min
以上に分けそのピーク面積を算出する。2min以下の成分
は二酸化炭素などの低分子量成分であるため、この低分
子量成分を全体から差し引き、有機物の量とした。具体
的には、それぞれの面積Sa(2min未満)とSb(2min以
上)を算出し、前記(b)の熱減量率Xを用いて、下式
にて有機物の量を算出する。
有機物の量(重量部/アパタイト型化合物100重量部)=X・Sb/(Sa+Sb) 本発明によるポリアミド樹脂組成物中に含有されるア
パタイト型化合物はその平均粒子径が、好ましくは1μ
m以下、より好ましくは0.1μm以下である。本発明に
おける平均粒子径は、電子顕微鏡写真法により求めるこ
とができ、該平均粒子径は次のようにして算出すること
ができる。すなわち、成形品から切り出した超薄切片の
透過型電子顕微鏡(TEM:写真倍率2.5万倍)を撮影し、
アパタイト型化合物の粒子径di、粒子数niを求め、次式
により平均粒子径を算出する。
平均粒子径=Σdi・ni/Σni この場合、粒子が球状とみなせない場合には、その短
径と長径を測定し、両者の和の1/2を粒子径とする。ま
た、平均粒子径の算出には最低2000個の粒子について測
定する。
本発明のポリアミド樹脂組成物は、必要に応じて本発
明の目的を損なわない範囲で通常のポリアミド樹脂に用
いられる充填剤、例えばガラス繊維や炭素繊維などの無
機繊維、マイカ、タルク、粘土鉱物、アルミナ、シリカ
などの無機フィラー、三酸化アンチモン、水酸化アルミ
ニウム、水酸化マグネシウム、ホウ酸亜鉛、すず酸亜
鉛、ヒドロキシすず酸亜鉛、ポリリン酸アンモニウム、
シアヌル酸メラミン、サクシノグアナミン、ポリリン酸
メラミン、硫酸メラミン、フタル酸メラミン、芳香族系
ポリフォスフェート、複合ガラス粉末などの難燃剤、チ
タンホワイトなどの顔料や着色剤、亜リン酸ソーダやヒ
ンダードフェノールに代表される熱安定剤、ステアリン
酸やパラフィンワックスなどの滑剤、種々の可塑剤、耐
候性向上剤や帯電防止剤などの各種添加剤を含有させる
ことができる。
さらに必要に応じて、本発明の目的を損なわない範囲
で通常ポリアミド樹脂にブレンドされる熱可塑性樹脂や
エラストマー、例えばポリブタジエン、ブタジエン−ス
チレン共重合体、アクリルゴム、エチレン−プロピレン
共重合体、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体、天
然ゴムおよびこれらの無水マレイン酸などによる酸変性
物、スチレン−無水マレイン酸共重合体、スチレン−フ
ェニルマレイミド共重合体、ポリエチレン、ポリプロピ
レン、ブタジエン−アクリロニトリル共重合体、ポリエ
チレンテレフタレートやポリブチレンテレフタレートな
どのポリエステル樹脂、他のポリアミド樹脂、芳香族ポ
リエステル樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリフ
ェニレンスルフィド樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹
脂などを含有させても良い。
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、
本発明はその要旨を越えない限り、以下の実施例に制限
されるものではない。なお、以下の実施例、比較例にお
いて記載した物性評価は、以下のように行った。
1.ポリアミド形成成分とアパタイト型化合物形成成分の
特性 (1−1)アパタイト型化合物形成成分の含有量(重量
%) ポリアミド形成成分とアパタイト型化合物形成成分の配
合量から算出した。
(1−2)アパタイト型化合物形成成分のリンに対する
金属元素のモル比 アパタイト型化合物形成成分の配合量とその分子量か
ら、リンに対する金属成分のモル比を算出した。
2.ポリアミド樹脂組成物の特性 (2−1)ポリアミドの重量平均分子量(Mw) ゲルパーミッショクロマトグラフィー(GPC)により
求めた。装置は東ソー(株)製HLC−8020、検出器は示
差屈折計(RI)、溶媒はヘキサフルオロイソプロパノー
ル(HFIP)、カラムは東ソー(株)製TSKgel−GMHHR−
Hを2本とG1000HHRを1本用いた。溶媒流量は0.6ml/mi
n、サンプル濃度は、1〜3(mgサンプル)/1(ml溶
媒)であり、フィルターでろ過し、不溶分を除去し、測
定試料とした。得られた溶出曲線をもとに、ポリメタク
リル酸メチル(PMMA)換算により、重量平均分子量(M
w)を算出した。
(2−2)アパタイト型化合物の含有量の定量(重量
%) ポリアミド樹脂組成物を100±20℃で8時間乾燥し冷却
する。組成物を白金皿に1g秤量し、650±20℃の電気炉
で灰化し、冷却後、その重量を秤り、アパタイト型化合
物の含有量を定量した。
(2−3)リンに対する金属元素のモル比 (a)金属元素の定量: 以下、金属元素としてカルシウムの場合につき説明す
るが、他の金属元素についても同様にして求めることが
できる。
ポリアミド樹脂組成物0.5gを白金皿に秤量し、500℃
電気炉で炭化する。冷却後、塩酸5mlおよび純水5mlを加
えヒーター上で煮沸溶解する。再び冷却し、純水を加え
500mlとした。装置はThermo JarrellAsh製IRIS/IPを用
いて、高周波誘導結合プラズマ(ICP)発光分析によ
り、波長317.933nmにて定量した。
(b)リンの定量: ポリアミド樹脂組成物0.5gを秤量し濃硫酸を20ml加
え、ヒーター上で湿式分解した。冷却後、過酸化水素5m
lを加え、ヒーター上で加熱し、全量が2〜3mlになるま
で濃縮した。再び冷却し、純水で500mlとした。装置はT
hermo Jarrell Ash製IRIS/IPを用いて、高周波誘導結
合プラズマ(ICP)発光分析により、波長213.618(nm)
にて定量した。
(2−4)有機物の量 (a)アパタイト型化合物の分離操作: ポリアミド樹脂組成物10gを秤量し、90重量%フェノ
ール200mlと混合し、40℃で2時間攪拌し、遠心分離器
〔国産遠心器(株)製H103RLH〕を用いて20000rpmで1
時間、分離操作を行い、上澄み溶媒を除去した。さらに
200mlのフェノールを加え、以後同様な溶解操作と遠心
分離器を用いた分離操作を4回繰り返し行った。引き続
き、99.5重量%エタノール200mlを加えて、23℃で2時
間攪拌し、遠心分離器を用いて20000rpmで1時間、分離
操作を行い、上澄み溶媒を除去する。この操作をさらに
4回繰り返した後、減圧乾燥器中で80℃で12時間乾燥
し、目的のアパタイト型化合物を得た。
(b)分離したアパタイト型化合物の熱減量率測定: (2−4)の(a)で得られたアパタイト型化合物10
mgを秤量し、熱重量分析(TGA)装置により熱減量率X
を求めた。装置は島津製作所製TGA−50、温度条件とし
ては、30℃から550℃まで99.9℃/minで昇温後、550℃で
1時間保持した。30℃における初期重量(W0)と、550
℃で1時間保持した後の最終重量(W1)を用いて、下式
により、熱減量率を算出した。
熱減量率X(重量部/アパタイト型化合物100重量部)=(W0−W1)×100/W1 (c)有機物の定量: (2−4)の(a)で得たアパタイト型化合物を3mg
秤量し、以下の条件で熱分解クロマトグラフィー(GC)
および熱分解GC/MSのパイログラムを得た。
・熱分解 装置:フロンティア社ダブルショットパイロライザー
PY−2010D 熱分解温度:550℃ ・ガスクロマトグラフィー(GC) 装置:HEWLETT PACKARD社製HP−5890 カラム:J&W社製DURABOND DB−1 (0.25mmI.D.×30m、膜厚0.25μm) カラム温度:50℃→320℃(昇温速度20℃/min) 注入口温度:320℃ 検出器温度:320℃ ・マススペクトル(MS) 装置:JEOL社製 AutoMS System II イオン化:EI(70V) 測定質量範囲:m/z=10〜400 温度:200℃ 得られた熱分解GCのパイログラムを、保持時間2min未
満と2min以上に分け、それぞれのピーク面積Sa(2min未
満)とSb(2min以上)を算出し、(2−4)の(b)で
求めた熱減量率Xを用いて、下式にて有機物の量を算出
した。
有機物の量(重量部/アパタイト型化合物100重量部)=X・Sb/(Sa+Sb) また、マススペクトル(MS)から熱分解成分の同定を
行った。
(2−5)赤外吸収スペクトル (2−4)の(a)で得たアパタイト型化合物の赤外
吸収スペクトルを測定した。装置はPerkin Elmer社製
1640、分解能は4cm-1で測定した。
(2−6)X線回折によるアパタイト型化合物の生成の
確認 (2−4)の(a)で得たアパタイト型化合物のX線
回折を測定した。測定条件は以下のとうりである。
X線:銅Kα 波数:1.542Å 管電圧:40KV 管電流:200mA 走査速度:4deg./min 発散スリット:1deg. 散乱スリット:1deg. 受光スリット:0.15mm 3.ポリアミド樹脂組成物の物性 (3−1)曲げ弾性率および曲げ強度(Kg/cm2) ASTM D790に準じて行った。
(3−2)引張り強度(Kg/cm2)および引張伸度(%) ASTM D638に準じて行った。
(3−3)ノッチ付きIzod衝撃強度(Kg・cm/cm) ASTM D256に準じて行った。
(3−4)荷重たわみ温度(℃) ASTM D648に準じて行った。荷重は18.6Kg/cm2で行っ
た。
(3−5)吸水率(%) ASTM D570に準じて行った。条件は、23℃の水中に24
時間保持した後の重量変化で求めた。
(3−6)吸水特性 成形品を80℃の水中に8時間、23℃の水中に16時間保
持した後、さらに23℃、50%温度で4週間保持した後の
曲げ弾性率を測定した。
(3−7)圧縮クリープ(mm) ASTMに準じて測定した。厚み3mm、一辺10mmの射出成
形品を用いて、120℃、500Kg/cm2の条件で、100時間後
の歪み量を測定した。
(3−8)そり特性(mm) 厚み3mm、一辺130mmの金型を用いて射出成形した平板
を水平面に置き、水平面と最大隙間間隔を測定した。
(3−9)寸法特性(%) 厚み3mm、一辺130mmの金型を用いて射出成形し、得ら
れた平板の寸法を測定し、収縮率を求めた。
実施例1 ポリアミド形成成分として、1.5Kgのヘキサメチレン
ジアミン・アジピン酸等モル固体塩を用いた。該固体塩
を50℃の純水1.5Kgに溶解し、水溶液として用いた。ア
パタイト型化合物形成成分として、平均粒子径10μmリ
ン酸一水素カルシウム二水和物(CaHPO4・2H2O)の25重
量%懸濁液を600g(リン酸一水素カルシウム二水和物:
純水=150g:450g)、および平均粒子径1.5μm重質炭酸
カルシウム(CaCO3)の25重量%懸濁液を232g(炭酸カ
ルシウム:純水=58g:174g)用いた。該ポリアミド形成
成分の水溶液とアパタイト型化合物形成成分の懸濁液と
を、5リットルのオートクレーブ中に仕込み、50℃の温
度下、よく攪拌した。用いた成分の量から、アパタイト
型化合物形成成分の含有量は12.2重量%、リンに対する
金属元素の比はモル比にて1.67と算出される。十分窒素
で置換した後、温度を50℃から270℃まで昇温した。こ
の際、オートクレーブ内の圧力は、ゲージ圧にして18Kg
/cm2になるが、圧力が18Kg/cm2以上にならないよう水を
系外に除去しながら加熱を1時間続けた。その後加熱を
止め、室温まで冷却し、オートクレーブを開け、約1.5K
gのポリマーを取出し、粉砕機により粉砕し、80℃の窒
素気流中で24時間乾燥した。得られた乾燥した粉砕ポリ
マーを用いて、射出成形により成形品を作成した。該粉
砕ポリマーを用いて求めた重量平均分子量(Mw)は3600
0であり、灰化による測定から、アパタイト型化合物の
含有量は10.2重量%であった。さらに高周波誘導結合プ
ラズマ発光分析によるカルシウムとリンの定量の結果、
リンに対するカルシウムのモル比は1.67と算出された。
成形品の透過型顕微鏡の観察結果から、アパタイト型化
合物の平均粒子径は0.32μmであった。90重量%フェノ
ール水溶液を用いた溶出・分離操作により得られたアパ
タイト型化合物の広角X線回折の測定結果を図1に示
す。この図からわかるように、結晶性アパタイト型化合
物の生成を確認できる。また該溶出・分離操作により得
られたアパタイト型化合物は、熱重量分析による熱減量
率Xが6.38(重量部/アパタイト型化合物100重量
部)、熱分解ガスクロマトグラフィー(GC)によるSb/
(Sa+Sb)=0.80となり、有機物の量は5.1(重量部/
アパタイト100重量部)と算出された。また、熱分解GC/
マススペクトルの解析結果から、アパタイト型化合物に
残存する有機物の熱分解成分の1つとして、シクロペン
タノンが確認された。さらに、赤外吸収スペクトルの観
察から、比較例1には見られない1548cm-1に有機物の存
在を示すピークが確認された。ところで、この赤外吸収
スペクトルには、1416cm-1と1455cm-1に炭酸含有アパタ
イト型化合物であることを示すピークが同時に確認され
た。得られた成形品の物性測定結果を表1に示す。
比較例1 旭化成工業社製レオナ1300(ナイロン66)を9Kg、平
均粒子径25μmの太平化学産業(株)製ヒドロキシアパ
タイト1Kgを配合し、二軸押出機(東芝機械(株)社製T
EM35)にて温度280℃にて溶融混練し、ノズルからスト
ランド状に取り出した混練物を水冷、カッティングし、
ポリアミド樹脂組成物を得た。重量平均分子量は36000
であった。灰化による測定結果から、アパタイト型化合
物の含有量は10.1重量%であった。高周波誘導結合プラ
ズマ発光分析によるリンとカルシウムを定量した結果、
リンに対するカルシウムのモル比は1.66と算出された。
成形品の透過型顕微鏡の観察結果から、アパタイト型化
合物の平均粒子径は3.2μmであった。90重量%フェノ
ールを用いた溶出・分離操作により、得られたアパタイ
ト型化合物の広角X線回折結果を図3に示す。該アパタ
イト型化合物は、熱重量分析による熱減量率Xが2.50
(重量部/アパタイト型化合物100重量%)、熱分解GC/
MSによるSb/(Sa+Sb)=0.06となり、有機物の量は0.1
5(重量部/アパタイト型化合物100重量部)と算出され
た。熱分解GC/マススペクトルの解析結果から、アパタ
イト型化合物に存在する有機物の熱分解成分は、ポリア
ミド形成成分(ヘキサメチレンジアミンおよびアジピン
酸)、ポリヘキサメチレンアジパミドの熱分解成分と一
致するものは確認できなかった。また、赤外吸収スペク
トルは、配合したアパタイト型化合物である太平化学産
業(株)製ヒドロキシアパタイトとほぼ同じスペクトル
であり、有機物の存在を示すピークを確認することがで
きなかった。得られた成形品の物性測定結果を表1に示
す。
参照例1 比較例1に用いた太平化学産業社製ヒドロキシアパタ
イト(リンに対するカルシウムのモル比1.67)を、減圧
条件下、80℃で乾燥後、熱重量分析の測定の結果、熱減
量率Xは2.23(重量/アパタイト型化合物100重量部)
であった。熱分解GCの2分以上のパイログラムには、ピ
ークは全く検出されず、Sb/(Sa+Sb)=0.0となり、有
機物の量は0.0(重量部/アパタイト型化合物100重量
部)と算出された。
実施例2 ポリアミド形成成分として、ヘキサメチレンジアミン
・アジピン酸等モル固体塩1.2Kgと、ヘキサメチレンジ
アミン・イソフタル酸等モル固体塩0.3Kgとを用いた。
該固体塩に純水1.5Kgを加え溶解し、水溶液として用い
た以外は、実施例1と同様にして行った。得られた成形
品の物性測定結果を表1に示す。
実施例3 ポリアミド形成成分として、ヘキサメチレンジアミン
・ドデカン酸等モル固体塩1.5Kgを用いた。該固体塩に
純水1.5Kgを加え溶解し、水溶液として用いた以外は、
実施例1と同様にして行った。得られた成形品の物性測
定結果を表1に示す。
実施例4 ポリアミド形成成分として、ヘキサメチレンジアミン
・アジピン酸等モル固体塩1.2Kgと、ε−カプロラクタ
ム0.3Kgとを用いた。該固体塩に純水1.5Kgを加え溶解
し、水溶液として用いた以外は、実施例1と同様にして
行った。得られた成形品の物性測定結果を表1に示す。
実施例5 ポリアミド形成成分として、ε−カプロラクタム2.0K
gを用いた。純水1.0Kgを加え溶解し、水溶液として用い
た。アパタイト型化合物形成成分として、平均粒子径10
μmリン酸一水素カルシウム二水和物の25重量%懸濁液
を600g(リン酸一水素カルシウム二水和物:純水=150
g:450g)、および平均粒子径1.5μm重質炭酸カルシウ
ムの25重量%懸濁液を232g(炭酸カルシウム:純水=58
g:174g)用いた。該ポリアミド形成成分とアパタイト型
化合物形成成分とを、5リットルのオートクレーブ中に
仕込み、80℃の温度下、よく攪拌した。次いで温度を26
0℃に上昇させ、15Kg/cm2の加圧下で1時間撹拌した。
その後放圧し、水分をオートクレーブから除去しなが
ら、常圧下、260℃で2時間反応を行い、さらに400mmHg
の減圧下で1時間反応させた。反応終了後、底部ノズル
から生成物をストランド状に取り出し、水冷、カッティ
ングを行いペレットを得た。得られたペレットを80℃の
窒素気流中で24時間乾燥した。得られた成形品の物性測
定結果を表1に示す。
比較例2 ポリアミド形成成分としてヘキサメチレンジアミン・
アジピン酸等モル固体塩3.0Kgを用いた。アパタイト型
化合物形成成分として平均粒子径10μmのリン酸一水素
カルシウム二水和物を200g用いた。ポリアミド形成成分
とアパタイト型化合物形成成分とをヘンシェルミキサー
で良く攪拌し、5リットルのオートクレーブ中に仕込ん
だ。アパタイト型化合物形成成分の含有量は6.3(重量
%)、リンに対する金属元素の比はモル比にして1.00と
算出される。十分窒素で置換した後、圧力をゲージ圧に
して5Kg/cm2に設定し、温度を室温から190℃まで昇温
し、その状態を2時間保った。この際、オートクレーブ
内の圧力は、ゲージ圧にして15Kg/cm2になる。引き続き
圧力を0.5Kg/cm2まで減圧し、温度を240℃に昇温し、そ
の状態を8時間保った。この一連の操作において、圧力
を0.5Kg/cm2に保つために、生成する水は分縮器により
除去した。冷却後、オートクレーブを開け、ポリマーを
取出し粉砕した。粉砕したポリマーは、80℃の窒素気流
中で24時間乾燥した。その後、小型2軸押出機(東洋精
機(株)製ラボプラストミルME型)を用いて、シリンダ
ー温度280℃、スクリュー回転数70rpm、押出レート4Kg/
hrの条件でペレットにした。得られたペレットは80℃の
窒素気流中で24時間乾燥した。得られたペレットの重量
平均分子量は210000であった。灰化による測定結果か
ら、アパタイト型化合物の含有量は5.2重量%であっ
た。高周波誘導結合プラズマ発光分析によるカルシウム
とリンの定量の結果、リンに対するカルシウムのモル比
は1.01と算出された。成形品の透過型顕微鏡の観察結果
からアパタイト型化合物の平均粒子径は0.25μmであっ
た。90重量%のフェノール水溶液を用いた溶出・分離操
作により得られたアパタイト型化合物のX線回折結果を
図2に示す。この図からアパタイト型化合物の生成を確
認できる。熱重量分析による熱減量率Xは5.67(重量部
/アパタイト100重量部)、熱分解GCによるSb/(Sa+S
b)が0.72となり、有機物の量は4.1(重量部/アパタイ
ト100重量部)と算出された。熱分解GC/マススペクトル
の解析結果から、アパタイト型化合物の熱分解成分に、
アジポニトリルが確認された。また、赤外吸収スペクト
ルの観察から、1650cm-1に有機物の存在を示すピークが
確認された。得られた成形品の物性測定結果を表2に示
す。
比較例3 アパタイト型化合物形成成分として、平均粒子径10μ
mのリン酸一水素カルシウム二水和物100gを用いる以外
は、比較例2と同様にして行った。得られたペレットの
重量平均分子量は520000であった。灰化による測定結果
から、アパタイト型化合物の含有量は2.5重量%であっ
た。得られた成形品の物性測定結果を表2に示す。
比較例4 アパタイト型化合物形成成分として平均粒子径10μm
のリン酸一水素カルシウム二水和物10.5gを用いる以外
は、比較例2と同様にして行った。アパタイト型化合物
形成成分の含有量は0.35重量%、リンに対するカルシウ
ムのモル比は1.00と算出される。得られたペレットの重
量平均分子量は、70000であった。灰化による測定結果
から、アパタイトの含有量は0.21重量%であった。高周
波誘導結合プラズマ発光分析によるカルシウムとリンの
定量の結果、リンに対するカルシウムのモル比は0.95と
算出された。得られた成形品の物性測定結果を表2に示
す。
参照例2 ヘキサメチレンジアミン・アジピン酸等モル固体塩1.
5Kgを純水1.5Kgに溶解した水溶液を3Kgのみ、すなわち
ポリアミド形成成分のみを、5リットルのオートクレー
ブ中に仕込んだ。以後操作は実施例1と同様な方法で行
った。得られたペレットの重量平均分子量は35000であ
った。得られた成形品の物性測定結果を表2に示す。
実施例6 ポリアミド形成成分として、1.5Kgのヘキサメチレン
ジアミン・アジピン酸等モル固体塩を用いた。該固体塩
を50℃の純水1.5Kgに溶解し、水溶液として用いた。ア
パタイト型化合物形成成分として、平均粒子径10μmリ
ン酸一水素カルシウム二水和物の25重量%懸濁液を600g
(リン酸一水素カルシウム二水和物:純水=150g:450
g)、および平均粒子径1.5μm重質炭酸カルシウムの25
重量%懸濁液を232g(炭酸カルシウム:純水=58g:174
g)用いた。該ポリアミド形成成分とアパタイト型化合
物形成成分とを、5リットルのオートクレーブ中に仕込
み、さらに分子量調節剤として、酢酸(CH3COOH)4.5g
を添加し、50℃の温度下、よく攪拌した。十分窒素で置
換した後、温度を50℃から270℃まで昇温した。この
際、オートクレーブ内の圧力は、ゲージ圧にして18Kg/c
m2になるが、圧力が18Kg/cm2以上にならないよう水を系
外に除去しながら加熱を1時間続けた。その後加熱を止
め、室温まで冷却し、オートクレーブを開け、約1.5Kg
のポリマーを取出し、粉砕機により粉砕した。得られた
ポリマーの重量平均分子量は12500であった。このポリ
マーを10リットルのタンブラー型の反応器に入れ、200
℃の温度下、5リットル/minの窒素を常時流通させなが
ら8時間保持した。冷却後、ポリマーを取出し、射出成
形により成形品を作成した。得られたポリマーの重量平
均分子量は42000であった。得られた成形品の物性測定
結果を表3に示す。
実施例7 ポリアミド形成成分として、1.5Kgのヘキサメチレン
ジアミン・アジピン酸等モル固体塩を用いた。該固体塩
を50℃の純水1.5Kgに溶解し、水溶液として用いた。ア
パタイト型化合物形成成分として、平均粒子径10μmリ
ン酸一水素カルシウム二水和物の25重量%懸濁液を600g
(リン酸一水素カルシウム二水和物:純水=150g:450
g)、および平均粒子径1.5μm重質炭酸カルシウムの25
重量%懸濁液を232g(炭酸カルシウム:純水=58g:174
g)用いた。該ポリアミド形成成分とアパタイト型化合
物形成成分とを、5リットルのオートクレーブ中に仕込
み、さらに分子量調節剤として、アジピン酸(COOH(CH
24COOH)9.7gを添加し、50℃の温度下、よく攪拌し
た。十分窒素で置換した後、温度を50℃から270℃まで
昇温した。この際、オートクレーブ内の圧力は、ゲージ
圧にして18Kg/cm2になるが、圧力が18Kg/cm2以上になら
ないよう水を系外に除去しながら加熱を1時間続けた。
その後加熱を止め、室温まで冷却し、オートクレーブを
開け、約1.5Kgのポリマーを取出し、粉砕機により粉砕
した。得られたポリマーの重量平均分子は14500であっ
た。ニーダー型反応器(プラスチック工学研究所製、プ
ラボーBT−30−S2−60−L(L/D=60))を用いて、290
℃の温度下、4Kg/hrの吐出量で押出した。得られたポリ
マーの重量平均分子量は37000であった。得られた成形
品の物性測定結果を表3に示す。
実施例8 分子量調節剤として、酢酸の代わりに、ステアリルア
ミン(CH3(CH216CH2NH2)20gを用いる以外は、実施
例6と同様にして行った。得られた成形品の物性測定結
果を表3に示す。
実施例9 分子量調節剤として、酢酸の代わりに、アニリン(C6
H5NH2)14gを用いる以外は、実施例7と同様にして行っ
た。得られた成形品の物性測定結果を表3に示す。
実施例10 分子量調節剤として、酢酸を20gを用いた以外は実施
例6と同様にして行った。得られたポリマーの重量平均
分子量(Mw)は18000であった。得られた成形品の物性
測定結果を表3に示す。
実施例11 ポリアミド形成成分として、1.0Kgのヘキサメチレン
ジアミン・アジピン酸等モル固体塩を用いた。該固体塩
を50℃の純水1.0Kgに溶解し、水溶液として用いた。ア
パタイト型化合物形成成分として、平均粒子径10μmリ
ン酸一水素カルシウム二水和物の25重量%懸濁液を1.0K
g(リン酸一水素カルシウム二水和物:純水=250g:750
g)、および平均粒子径1.5μm重質炭酸カルシウムの25
重量%懸濁液を387g(炭酸カルシウム:純水=97g:290
g)用いた。該ポリアミド形成成分とアパタイト型化合
物形成成分とを、5リットルのオートクレーブ中に仕込
み、50℃の温度下、よく攪拌した。アパタイト型化合物
形成成分の含有量は25.8重量%、リンに対する金属元素
の比はモル比にして1.67と算出される。十分窒素で置換
した後、温度を50℃から270℃まで昇温した。この際、
オートクレーブ内の圧力は、ゲージ圧にして18Kg/cm2
なるが、圧力が18Kg/cm2以上にならないよう水を系外に
除去しながら加熱を1時間続けた。その後加熱を止め、
室温まで冷却し、オートクレーブを開け、約1.5Kgのポ
リマーを取出し、粉砕機により粉砕し、80℃の窒素気流
中で24時間乾燥した。得られた乾燥した粉砕ポリマー
を、280℃の温度下、二軸押出機((株)東芝機械製TEM
35)を用いてペレットにした。得られたペレットを射出
成形機を用いて、成形品を作成した。得られたポリマー
の重量平均分子量は35000であった。灰化による測定結
果から、アパタイト型化合物の含有量は22.3重量%であ
った。高周波誘導結合プラズマ発光分析によるカルシウ
ムとリンの定量の結果、リンに対するカルシウムのモル
比は1.67と算出された。得られた成形品の物性測定結果
を表4に示す。
実施例12 ポリアミド形成成分として、750gのヘキサメチレンジ
アミン・アジピン酸等モル固体塩を用いた。該固体塩を
50℃の純水750gに溶解し、水溶液として用いた。アパタ
イト型化合物形成成分として、平均粒子径10μmリン酸
一水素カルシウム二水和物の25重量%懸濁液を1.5Kg
(リン酸一水素カルシウム二水和物:純水=375g:1125
g)、および平均粒子径1.5μm重質炭酸カルシウムの25
重量%懸濁液を580g(炭酸カルシウム:純水=145g:435
g)用いた。該ポリアミド形成成分とアパタイト型化合
物形成成分とを、5リットルのオートクレーブ中に仕込
み、50℃の温度下、よく攪拌した。アパタイト型化合物
形成成分の含有量は40.9重量%と算出される。以後の操
作は実施例11と同様にして行った。得られたポリマーの
重量平均分子量は32000であった。灰化による測定結果
から、アパタイト型化合物の含有量は39.1(重量%)で
あった。得られた成形品の物性測定結果を表4に示す。
比較例5 ポリアミド形成成分として、400gのヘキサメチレンジ
アミン・アジピン酸等モル固体塩を用いた。該固体塩を
50℃の純水400gに溶解し、水溶液として用いた。アパタ
イト型化合物形成成分として、平均粒子径3.0μmリン
酸一水素カルシウム二水和物の25重量%懸濁液を2.0Kg
(リン酸一水素カルシウム二水和物:純水=500g:1500
g)、および平均粒子径1.5μm重質炭酸カルシウムの25
重量%懸濁液を772g(炭酸カルシウム:純水=193g:579
g)用いた。該ポリアミド形成成分とアパタイト型化合
物形成成分とを、5リットルのオートクレーブ中に仕込
み、50℃の温度下、よく攪拌した。アパタイト型化合物
形成成分の含有量は63.4重量%と算出される。以後の操
作は実施例11と同様にして行った。オートクレーブから
取出し、粉砕・乾燥したポリマーの重量平均分子量は14
000であった。灰化による測定結果から、アパタイト型
化合物の含有量は61.2重量%であった。該ポリマーを二
軸押出機を用いて、ペレット化することを試みたが、押
出時のストランドが極めて不安定な状態であり、ペレッ
トとして得ることができなかった。また成形品も得るこ
とができなかった。
実施例13 アパタイト型化合物形成成分として、平均粒子径10μ
mリン酸一水素カルシウム二水和物の25重量%懸濁液を
600g(リン酸一水素カルシウム二水和物:純水=150g:4
50g)、および平均粒子径1.5μm重質炭酸カルシウムの
25重量%懸濁液を104g(炭酸カルシウム:純水=26g:78
g)用いる以外は実施例1と同様にして行った。アパタ
イト型化合物形成成分の含有量は10.4重量%、リンに対
する金属元素の比はモル比にして1.30と算出される。得
られたポリマーの重量平均分子量は38000であり、灰化
による測定から、アパタイト型化合物の含有量は9.2重
量%であった。さらに高周波誘導結合プラズマ発光分析
によるカルシウムとリンの定量の結果、リンに対するカ
ルシウムのモル比は1.28と算出された。得られた成形品
の物性測定結果を表5に示す。
実施例14 アパタイト型化合物形成成分として、平均粒子径10μ
mリン酸一水素カルシウム二水和物の25重量%懸濁液を
469g(リン酸一水素カルシウム二水和物:純水=117g:3
51g)、および平均粒子径1.5μm重質炭酸カルシウムの
25重量%懸濁液を232g(炭酸カルシウム:純水=58g:17
4g)用いる以外は実施例1と同様にして行った。アパタ
イト型化合物形成成分の含有量は10.4重量%、リンに対
する金属元素の比はモル比にして1.85と算出される。得
られたポリマーの重量平均分子量は32000であり、灰化
による測定から、アパタイト型化合物の含有量は9.3重
量%であった。さらに高周波誘導結合プラズマ発光分析
によるカルシウムとリンの定量の結果、リンに対するカ
ルシウムのモル比は1.88と算出された。得られた成形品
の物性測定結果を表5に示す。
比較例6 アパタイト型化合物形成成分として、平均粒子径10μ
mリン酸一水素カルシウム二水和物の25重量%懸濁液を
100g(リン酸一水素カルシウム二水和物:純水=25g:75
g)、および平均粒子径1.5μm重質炭酸カルシウムの25
重量%懸濁液を232g(炭酸カルシウム:純水=58g:174
g)用いる以外は実施例1と同様にして行った。アパタ
イト型化合物形成成分の含有量は5.2重量%、リンに対
する金属元素の比はモル比にして5.0と算出される。得
られたポリマーの重量平均分子量は26000であり、灰化
による測定から、アパタイト型化合物の含有量は4.3重
量%であった。さらに高周波誘導結合プラズマ発光分析
によるカルシウムとリンの定量の結果、リンに対するカ
ルシウムのモル比は5.2と算出された。得られた成形品
の物性測定結果を表5に示す。
比較例7 アパタイト型化合物形成成分として、平均粒子径10μ
mリン酸一水素カルシウム二水和物の25重量%懸濁液を
80g(リン酸一水素カルシウム二水和物:純水=20g:60
g)、および平均粒子径1.5μm重質炭酸カルシウムの25
重量%懸濁液を464g(炭酸カルシウム:純水=116g:348
g)用いる以外は実施例1と同様にして行った。アパタ
イト型化合物形成成分の含有量は8.3重量%、リンに対
する金属元素の比はモル比にして11.0と算出される。得
られたポリマーの重量平均分子量は22000であり、灰化
による測定から、アパタイト型化合物の含有量は6.5重
量%であった。さらに高周波誘導結合プラズマ発光分析
によるカルシウムとリンの定量の結果、リンに対するカ
ルシウムのモル比は11.2と算出された。得られた成形品
の物性測定結果を表5に示す。
比較例8 ポリアミド形成成分としてヘキサメチレンジアミン・
アジピン酸等モル固体塩3.0Kgを用いた。アパタイト型
化合物形成成分として、平均粒子径10μmのリン酸一水
素カルシウム二水和物を200gと、リン酸28.5gとを用い
る以外は比較例2と同様にして行った。ポリアミド形成
成分とアパタイト型化合物形成成分とをヘンシェルミキ
サーで良く攪拌し、5リットルのオートクレーブ中に仕
込んだ。アパタイト型化合物形成成分の含有量は7.1重
量%、リンに対する金属元素の比はモル比にして0.8と
算出される。得られたポリマーの重量平均分子量は2000
0であり、灰化による測定から、アパタイト型化合物の
含有量は6.0重量%であった。さらに高周波誘導結合プ
ラズマ発光分析によるカルシウムとリンの定量の結果、
リンに対するカルシウムのモル比は0.79と算出された。
得られた成形品の物性測定結果を表5に示す。
実施例15 アパタイト型化合物形成成分として、平均粒子径1.0
μm無水リン酸一水素カルシウム(CaHPO4)の25重量%
懸濁液を600g(無水リン酸一水素カルシウム:純水=15
0g:450g)、および平均粒子径10μm水酸化カルシウム
(Ca(OH))の25重量%懸濁液を216g(水酸化カルシ
ウム:純水=54g:162g)用いた以外は実施例1と同様に
して行った。得られた成形品の物性測定結果を表6に示
す。
実施例16 アパタイト型化合物形成成分として、平均粒子径10μ
mリン酸三カルシウム(Ca3(PO4)の25重量%懸濁
液を600g(リン酸三カルシウム:純水=150g:450g)、
および平均粒子径10μm水酸化カルシウムの25重量%懸
濁液を60g(水酸化カルシウム:純水=12g:48g)用いた
以外は実施例1と同様にして行った。得られた成形品の
物性測定結果を表6に示す。
実施例17 アパタイト型化合物形成成分として、平均粒子径10μ
m二リン酸二水素カルシウム(CaH2P2O7)の25重量%懸
濁液を600g(二リン酸二水素カルシウム:純水=150g:4
50g)、および平均粒子径10μm水酸化カルシウムの25
重量%懸濁液を400g(水酸化カルシウム:純水=100g:3
00g)用いた以外は実施例1と同様にして行った。得ら
れた成形品の物性測定結果を表6に示す。
実施例18 アパタイト型化合物形成成分として、平均粒子径10μ
mリン酸二水素カルシウム一水和物(Ca(HPO4・H2
O)の25重量%懸濁液を300g(リン酸二水素カルシウム
一水和物:純水=75g:225g)、および平均粒子径1.5μ
m重質炭酸カルシウムの25重量%懸濁液を288g(炭酸カ
ルシウム:純水=72g:216g)用いた以外は実施例1と同
様にして行った。得られた成形品の物性測定結果を表6
に示す。
実施例19 アパタイト型化合物形成成分として、平均粒子径10μ
m二リン酸カルシウム(Ca2P2O7)の25重量%懸濁液を6
00g(二リン酸カルシウム:純水=150g:450g)、および
平均粒子径1.5μm重質炭酸カルシウムの25重量%懸濁
液を320g(炭酸カルシウム:純水=80g:240g)用いた以
外は実施例1と同様にして行った。得られた成形品の物
性測定結果を表6に示す。
実施例20 アパタイト型化合物形成成分として、平均粒子径10μ
mリン酸一水素カルシウム二水和物の25重量%懸濁液を
600g(リン酸一水素カルシウム二水和物:純水=150g:4
50g)、平均粒子径1.5μm重質炭酸カルシウムの25重量
%懸濁液を220g(炭酸カルシウム:純水=55g:165g)、
および平均粒子径5.0μmフッ化カルシウム(CaF2)の2
5重量%懸濁液を10g(フッ化カルシウム:純水=2.5g:
7.5g)を用いた以外は実施例1と同様にして行った。得
られた成形品の物性測定結果を表7に示す。
実施例21 アパタイト型化合物形成成分として、平均粒子径10μ
mリン酸一水素カルシウム二水和物の25重量%懸濁液を
600g(リン酸一水素カルシウム二水和物:純水=150g:4
50g)、平均粒子径1.5μm重質炭酸カルシウムの25重量
%懸濁液を176g(炭酸カルシウム:純水=44g:132g)、
および平均粒子径5.0μmフッ化カルシウム(CaF2)の2
5重量%懸濁液を44g(フッ化カルシウム:純水=11g:33
g)を用いた以外は実施例1と同様にして行った。得ら
れた成形品の物性測定結果を表7に示す。
実施例22 アパタイト型化合物形成成分として、平均粒子径10μ
mリン酸一水素カルシウム二水和物の25重量%懸濁液を
600g(リン酸一水素カルシウム二水和物:純水=150g:4
50g)、平均粒子径1.5μm重質炭酸カルシウムの25重量
%懸濁液を200g(炭酸カルシウム:純水=50g:150g)、
および平均粒子径5.0μm塩化カルシウム(CaCl2)の25
重量%懸濁液を36g(塩化カルシウム:純水=9g:27g)
を用いた以外は実施例1と同様にして行った。得られた
成形品の物性測定結果を表7に示す。
実施例23 アパタイト型化合物形成成分として、平均粒子径10μ
mリン酸一水素カルシウム二水和物の25重量%懸濁液を
600g(リン酸一水素カルシウム二水和物:純水=150g:4
50g)、平均粒子径1.5μm重質炭酸カルシウムの25重量
%懸濁液を200g(炭酸カルシウム:純水=50g:150g)、
および平均粒子径10μm炭酸ストロンチウム(SrCO3
の25重量%懸濁液を248g(炭酸ストロンチウム:純水=
12g:36g)を用いた以外は実施例1と同様にして行っ
た。得られた成形品の物性測定結果を表7に示す。
実施例24 アパタイト型化合物形成成分として、平均粒子径10μ
mリン酸一水素カルシウム二水和物の25重量%懸濁液を
600g(リン酸一水素カルシウム二水和物:純水=150g:4
50g)、平均粒子径1.5μm重質炭酸カルシウムの25重量
%懸濁液を200g(炭酸カルシウム:純水=50g:150g)、
および平均粒子径10μm炭酸バリウム(BaCO3)の25重
量%懸濁液を64g(炭酸バリウム:純水=16g:48g)を用
いた以外は実施例1と同様にして行った。得られた成形
品の物性測定結果を表7に示す。
実施例25 アパタイト型化合物形成成分として、平均粒子径10μ
mリン酸一水素カルシウム二水和物の25重量%懸濁液を
540g(リン酸一水素カルシウム二水和物:純水=135g:4
05g)、平均粒子径5.0μmリン酸マグネシウム第二・三
水和物(MgHPO4・3H2O)の25重量%懸濁液を60g(リン
酸マグネシウム第二・三水和物:純水=15g:45g)、平
均粒子径10μm重質水酸化カルシウムの25重量%懸濁液
を172g(水酸化カルシウム:純水=43g:129g)、を用い
た以外は実施例1と同様にして行った。得られた成形品
の物性測定結果を表7に示す。
実施例26 アパタイト型化合物形成成分として、平均粒子径10μ
mリン酸一水素カルシウム二水和物の25重量%懸濁液を
600g(リン酸一水素カルシウム二水和物:純水=150g:4
50g)、平均粒子径10μm水酸化カルシウムの25重量%
懸濁液を160g(水酸化カルシウム:純水=40g:120g)、
および平均粒子径10μm塩化鉄(II)四水和物(FeCl2
・4H2O)の25重量%懸濁液を32g(塩化鉄(II)四水和
物:純水=8g:24g)を用いた以外は実施例1と同様にし
て行った。得られた成形品の物性測定結果を表8に示
す。
実施例27 アパタイト型化合物形成成分として、平均粒子径10μ
mリン酸一水素カルシウム二水和物の25重量%懸濁液を
600g(リン酸一水素カルシウム二水和物:純水=150g:4
50g)、平均粒子径10μm水酸化カルシウムの25重量%
懸濁液を160g(水酸化カルシウム:純水=40g:120g)、
および平均粒子径10μm塩化鉄(III)六水和物(FeCl3
・6H2O)の25重量%懸濁液を44g(塩化鉄(III)六水和
物:純水=11g:33g)を用いた以外は実施例1と同様に
して行った。得られた成形品の物性測定結果を表8に示
す。
実施例28 アパタイト型化合物形成成分として、平均粒子径10μ
mリン酸一水素カルシウム二水和物の25重量%懸濁液を
600g(リン酸一水素カルシウム二水和物:純水=150g:4
50g)、平均粒子径10μm水酸化カルシウムの25重量%
懸濁液を160g(水酸化カルシウム:純水=40g:120g)、
および平均粒子径10μmヨウ化銅(CuI)の25重量%懸
濁液を32g(ヨウ化銅:純水=8g:24g)を用いた以外は
実施例1と同様にして行った。得られた成形品の物性測
定結果を表8に示す。
実施例29 アパタイト型化合物形成成分として、平均粒子径25.0
μmリン酸一水素カルシウム二水和物の25重量%懸濁液
を600g(リン酸一水素カルシウム二水和物:純水=150
g:450g)、平均粒子径1.5μm重質炭酸カルシウムの25
重量%懸濁液を232g(炭酸カルシウム:純水=58g:174
g)を用いた以外は実施例1と同様にして行った。成形
品の透過型顕微鏡の観察結果から、アパタイト型化合物
の平均粒子径は0.52μmであった。得られた成形品の物
性測定結果を表9に示す。
実施例30 アパタイト型化合物形成成分として、平均粒子径75.0
μmリン酸一水素カルシウム二水和物の25重量%懸濁液
を600g(リン酸一水素カルシウム二水和物:純水=150
g:450g)、平均粒子径1.5μm重質炭酸カルシウムの25
重量%懸濁液を232g(炭酸カルシウム:純水=58g:174
g)を用いた以外は実施例1と同様にして行った。成形
品の透過型顕微鏡の観察結果から、アパタイト型化合物
の平均粒子径は0.88μmであった。得られた成形品の物
性測定結果を表9に示す。
実施例31 アパタイト型化合物形成成分である平均粒子径10μm
リン酸一水素カルシウム二水和物の25重量%懸濁液と、
平均粒子径1.5μm重質炭酸カルシウムの25重量%懸濁
液を、それぞれ、40℃の温度下、超音波処理を30分間行
った以外は、実施例1と同様にして行った。得られた成
形品の物性測定結果を表10に示す。
実施例32 アパタイト型化合物形成成分である平均粒子径10μm
リン酸一水素カルシウム二水和物の25重量%懸濁液と、
平均粒子径1.5μm重質炭酸カルシウムの25重量%懸濁
液を、それぞれ、60℃の温度下、ホモジナイザーによる
処理を10分間行った以外は、実施例1と同様にして行っ
た。得られた成形品の物性測定結果を表10に示す。
実施例33 アパタイト型化合物形成成分である平均粒子径3.0μ
mリン酸一水素カルシウム二水和物の25重量%懸濁液に
分散剤としてポリアクリル酸アンモニウム塩(第一工業
製薬(株)製セラモD−134)6gを添加し、また平均粒
子径0.25μm重質炭酸カルシウムの25重量%懸濁液にポ
リアクリル酸アンモニウム塩2.32gを添加後、それぞ
れ、40℃の温度下、超音波処理を30分間行った以外は、
実施例1と同様にして行った。得られたポリマーを90重
量%のフェノール水溶液を用いて溶出・分離操作した。
得られたアパタイト型化合物の熱重量分析による熱減量
率Xは12.7(重量部/アパタイト100重量部)、熱分解G
CによるSb/(Sa+Sb)が0.75となり、有機物の量は9.5
(重量部/アパタイト100重量部)と算出された。熱分
解GC/マススペクトルの解析結果から、アパタイト型化
合物の熱分解成分に、シクロペンタノンとアジポニトリ
ルの両熱分解成分が確認された。また、赤外吸収スペク
トルの観察から、1550cm-1と1650cm-1に有機物の存在を
示すピークが確認された。得られた成形品の物性測定結
果を表10に示す。
実施例34 アパタイト型化合物形成成分である平均粒子径3.0μ
mリン酸一水素カルシウム二水和物の25重量%懸濁液に
分散剤としてポリアクリル酸ナトリウム塩(第一工業製
薬(株)製シャロールAN−103P)6gを添加し、また平均
粒子径0.25μm重質炭酸カルシウムの25重量%懸濁液に
ポリアクリル酸ナトリウム塩2.32gを添加後、それぞ
れ、40℃の温度下、超音波処理を30分間行った以外は、
実施例1と同様にして行った。得られた成形品の物性測
定結果を表10に示す。
実施例35 アパタイト型化合物形成成分である平均粒子径3.0μ
mリン酸一水素カルシウム二水和物の25重量%懸濁液に
分散剤としてクエン酸ナトリウム塩(昭和化工(株)
製)1.2gを添加し、また平均粒子径0.25μm重質炭酸カ
ルシウムの25重量%懸濁液にクエン酸ナトリウム塩0.46
gを添加後、それぞれ、40℃の温度下、超音波処理を30
分間行った以外は、実施例1と同様にして行った。得ら
れた成形品の物性測定結果を表10に示す。
実施例36 アパタイト型化合物形成成分である平均粒子径3.0μ
mリン酸一水素カルシウム二水和物の25重量%懸濁液に
分散剤としてショ糖ステアリン酸エステル(第一工業製
薬(株)DKエステル)6gを添加し、また平均粒子径0.25
μm重質炭酸カルシウムの25重量%懸濁液にショ糖ステ
アリン酸エステル2.32gを添加後、それぞれ、40℃の温
度下、超音波処理を30分間行った以外は、実施例1と同
様にして行った。得られた成形品の物性測定結果を表10
に示す。
実施例37 ポリアミド形成成分として、1.5Kgのヘキサメチレン
ジアミン・アジピン酸等モル固体塩を用いた。該固体塩
を50℃の純水1.5Kgに溶解し、水溶液として用いた。ア
パタイト型化合物形成成分として、平均粒子径3.0μm
リン酸一水素カルシウム二水和物の25重量%懸濁液を60
0g(リン酸一水素カルシウム二水和物:純水=150g:450
g)、および平均粒子径1.5μm重質炭酸カルシウムの25
重量%懸濁液を232g(炭酸カルシウム:純水=58g:174
g)用いた。該ポリアミド形成成分とアパタイト型化合
物形成成分とを、5リットルのオートクレーブ中に仕込
み、さらに錯化剤として、エチレンジアミン四酢酸(ED
TA)を10g添加し、50℃の温度下、よく撹拌した。以後
の操作は実施例1と同様にして行った。得られた成形品
の物性測定結果を表11に示す。
実施例38 錯化剤として、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)10g
の代わりに、エチレンジアミン(en)10gを用いる以外
は、実施例42と同様にして行った。得られた成形品の物
性測定結果を表11に示す。
実施例39 実施例1と同様にして得られた粉砕(乾燥)ポリマー
を4Kgとゴム(旭化成工業(株)タフテックM1943:無水
マレイン酸変性ゴム)1Kgとを配合し、二軸押出機
((株)東芝機械製TEM35)を用いて280℃の温度下押出
し、ペレットとし、射出成形し、成形品を得た。得られ
た成形品の物性測定結果を表12に示す。
実施例40 実施例1と同様にして得られた粉砕(乾燥)ポリマー
を3.75Kgと10μm径GF(旭ファイバーグラス(株)製FT
756)1Kgとを配合し、二軸押出機((株)東芝機械製TE
M35)を用いて280℃の温度下押出し、ペレットとし、射
出成形し、成形品を得た。得られた成形品の物性測定結
果を表12に示す。
比較例9 ナイロン66(旭化成工業(株)社製レオナ1300)4Kg
とゴム(旭化成工業(株)タフテックM1943:無水マレイ
ン酸変性ゴム)1Kgとを配合し、二軸押出機((株)東
芝機械製TEM35)を用いて280℃の温度下押出し、ペレッ
トとし、射出成形し、成形品を得た。得られた成形品の
物性測定結果を表12に示す。
比較例10 ナイロン66(旭化成工業(株)社製レオナ1300)3.75
Kgと10μm径GF(旭ファイバーグラス(株)製FT756)1
Kgとを配合し、二軸押出機((株)東芝機械製TEM35)
を用いて280℃の温度下押出し、ペレットとし、射出成
形し、成形品を得た。得られた成形品の物性測定結果を
表12に示す。
産業上の利用可能性 本発明は、マトリックスであるポリアミド中に均一に
かつ微細に分散し、その界面においてポリアミドに極め
て良好に固着、接着しているアパタイト型化合物を含有
するポリアミド樹脂組成物である。従って本発明のポリ
アミド樹脂組成物は、強度、剛性が高く、かつ靱性に優
れ、更には、低吸水性、吸水時剛性、耐熱性、耐クリー
プ性、低そり性、寸法安定性、成形性が極めて大きく改
善されたものであり、機械工業部品、電気電子部品など
の産業用材料として非常に有用であることが期待され
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08L 77/00 - 77/12 C08G 69/00 - 69/44 WPI(DIALOG)

Claims (15)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】リンに対する金属元素のモル比が1.2〜2.0
    であるアパタイト型化合物を0.5〜50重量%含有するポ
    リアミド樹脂組成物であって、該組成物をフェノール溶
    媒で溶出し、ろ過し、残存する有機物がアパタイト型化
    合物100重量部あたり1〜100重量部であることを特徴と
    するポリアミド樹脂組成物。
  2. 【請求項2】ポリアミドの重量平均分子量が1〜100万
    である請求の範囲第1項記載のポリアミド樹脂組成物。
  3. 【請求項3】有機物の少なくとも一部がポリアミドであ
    る請求の範囲第1項記載のポリアミド樹脂組成物。
  4. 【請求項4】アパタイト型化合物の平均粒子径が1μm
    以下である請求の範囲第1項記載のポリアミド樹脂組成
    物。
  5. 【請求項5】アパタイト型化合物が、広角X線(CuK
    α:波長λ=1.542Å)散乱による回折角(2θ)が25.
    5〜26.5度の(002)面ピークと、回折角(2θ)が32.5
    〜33.5度の(300)面ピークを持つ、結晶性アパタイト
    型化合物である請求の範囲第1項〜第4項のいずれかに
    記載のポリアミド樹脂組成物。
  6. 【請求項6】アパタイト型化合物が下記一般式で示され
    る請求の範囲第1項〜第4項のいずれかに記載のポリア
    ミド樹脂組成物。 A10-Z(HPO4(PO46-Z(X)2-Z・nH2O (上式において、0≦z<2、0≦n≦16であり、Aは
    金属元素、またXは陰イオンまたは陰イオン化合物であ
    る。)
  7. 【請求項7】金属元素が元素周期律表の2A族元素の1種
    以上である請求の範囲第1項記載のポリアミド樹脂組成
    物。
  8. 【請求項8】金属元素がカルシウムである請求の範囲第
    1項記載のポリアミド樹脂組成物。
  9. 【請求項9】ポリアミド形成成分にポリアミドの重合条
    件下でアパタイト型化合物を形成し、かつリンに対する
    金属元素のモル比が1.2〜2.0のリン酸系金属化合物と非
    リン酸系化合物との混合物からなるアパタイト型化合物
    形成成分を配合し、ポリアミドの重合反応およびアパタ
    イト型化合物の合成反応を進行させ、重量平均分子量が
    1万〜100万のポリアミド中に平均粒子径が1μm以下
    であるアパタイト型化合物が分散した組成物となすこと
    を特徴とするポリアミド樹脂組成物の製造方法。
  10. 【請求項10】ポリアミド形成成分が重合可能なアミノ
    酸、重合可能なラクタム、重合可能なジアミン・ジカル
    ボン酸塩、あるいは重合可能な前記化合物のオリゴマー
    群から選ばれる1種以上である請求の範囲第9項記載の
    ポリアミド樹脂組成物の製造方法。
  11. 【請求項11】アパタイト型化合物が、広角X線(CuK
    α:波長λ=1.542Å)散乱による回折角(2θ)が25.
    5〜26.5度の(002)面ピークと、回折角(2θ)が32.5
    〜33.5度の(300)面ピークを持つ、結晶性アパタイト
    型化合物である請求の範囲第9項記載のポリアミド樹脂
    組成物の製造方法。
  12. 【請求項12】アパタイト型化合物が下記一般式で示さ
    れる請求の範囲9項記載のポリアミド樹脂組成物の製造
    方法。 A10-Z(HPO4(PO46-Z(X)2-Z・nH2O (上式において、0≦z<2、0≦n≦16であり、Aは
    金属元素、またXは陰イオンまたは陰イオン化合物であ
    る。)
  13. 【請求項13】アパタイト型化合物形成成分の金属元素
    が元素周期律表の2A族元素の1種以上である請求の範囲
    第9項に記載のポリアミド樹脂組成物の製造方法。
  14. 【請求項14】アパタイト型化合物形成成分の金属元素
    がカルシウムである請求の範囲第9項に記載のポリアミ
    ド樹脂組成物の製造方法。
  15. 【請求項15】ポリアミドの重合反応およびアパタイト
    型化合物の合成反応が、40〜300℃の温度下で行われる
    請求の範囲第9項記載のポリアミド樹脂組成物の製造方
    法。
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