JP2001162641A - ガスアシスト射出成形品 - Google Patents

ガスアシスト射出成形品

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JP2001162641A
JP2001162641A JP35052199A JP35052199A JP2001162641A JP 2001162641 A JP2001162641 A JP 2001162641A JP 35052199 A JP35052199 A JP 35052199A JP 35052199 A JP35052199 A JP 35052199A JP 2001162641 A JP2001162641 A JP 2001162641A
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Japan
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apatite
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polyamide
calcium
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JP35052199A
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English (en)
Inventor
Katsushi Watanabe
克史 渡辺
Masaaki Aramaki
政昭 荒巻
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Asahi Kasei Corp
Original Assignee
Asahi Kasei Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ガスアシスト射出成形に優れ、かつ剛性、強
度、靭性、耐熱性に優れるポリアミド製ガスアシスト射
出成形品の提供。 【解決手段】 ポリアミドと、アパタイト型化合物から
なることを特徴とするガスアシスト射出成形品。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はガスアシスト射出成
形品に関し、更に詳しくは、剛性、強度、靭性、耐熱性
に優れ、かつガスアシスト射出成形性に優れるポリアミ
ドとアパタイト型化合物とからなるガスアシスト射出成
形品に関するものである。
【0002】
【従来の技術】ポリアミド樹脂は、優れた機械的特性や
耐熱性を有しており、日用部品、自動車材料部品や電気
材料部品として、ポリアミド樹脂製の射出成形品が広く
使用されているが、近年の産業の発達に伴い、これら各
種部品に要求される物性レベルは一層向上し、またその
形状は大型化かつ複雑化してきている。要求される物性
レベルの向上に対しては、ポリアミド樹脂が本来有する
機械的特性を高めることを目的にして、ポリアミド樹脂
に種々の充填剤、例えばガラス繊維や炭素繊維などの無
機繊維、あるいは炭酸カルシウム、雲母、タルク、モン
モリロナイト、膨潤性フッ素雲母など無機化合物などを
配合することが行われてきた。しかしながら、これらの
手法では、得られる成形品の剛性、強度あるいは耐熱性
が向上する点では有効であるものの、ポリアミド樹脂と
充填剤との親和性が低いため、ポリアミド樹脂の特徴で
ある靭性が著しく損なわれるという欠点があった。
【0003】形状の大型化、複雑化に対しては、金型に
設けられたキャビティ内に溶融樹脂を射出している間
に、あるいは溶融樹脂の射出完了後に、キャビティ内の
溶融樹脂中に加圧流体を注入することにより成形品内部
に中空部を形成するガスアシスト射出成形法が注目さ
れ、各種樹脂の成形に広く実用化されている。この成形
法を用いることにより、そり、ひけあるいは外観不良が
発生しやすい大型成形品や形状が複雑な成形品でも、あ
る程度その欠点を改善することができる。
【0004】ところが、このガスアシスト射出成形法を
用いて、ポリアミド樹脂を成形した場合、ポリアミド樹
脂の溶融粘度が低いため、注入した加圧流体が溶融樹脂
層を突き抜けてしまう、いわゆるガス抜けが生じるとい
う問題が発生しやすい。また、ガラス繊維などの充填剤
を配合した強化ポリアミド樹脂を用いた場合には、ポリ
アミド樹脂に比べ溶融粘度が高くなるために、ガス抜け
の問題をある程度改善できるものの、得られた成形品の
靭性が著しく低下して脆くなったり、繊維状充填剤の中
空部内面への露出が起こり中空部がうまく形成されず、
ガスアシスト射出成形法の本来の目的である成形品のそ
り、ひけの解消や外観の改善ができないなどの問題が発
生する。
【0005】このように、従来のポリアミド樹脂製のガ
スアシスト射出成形品は、靭性が低かったり、ガスアシ
スト射出成形性が不十分であるなどの問題があり、その
応用は著しく制限されており、十分に満足できるもので
はなかった。したがって、靭性の低下を引き起こすこと
なく、剛性、強度及び耐熱性が向上し、更にはガスアシ
スト射出成形性に優れた成形品が非常に期待されてい
た。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、剛
性、強度、靭性、耐熱性に優れ、かつガスアシスト射出
成形性に優れるポリアミド製のガスアシスト射出成形品
を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決すべく鋭意検討した結果、ポリアミドに特定量の
アパタイト型化合物を含有させた特定のポリアミド樹脂
組成物を用いることにより、上記課題を解決できること
をを見出し、本発明に至った。すなわち本発明は、
(1)ポリアミドと、アパタイト型化合物からなること
を特徴とするガスアシスト射出成形品、(2)ポリアミ
ド50〜99.5重量%と、フェノール溶媒に不溶な有
機物を含有するアパタイト型化合物0.5〜50重量%
からなり、該有機物がアパタイト型化合物100重量部
あたり0.5〜100重量部であることを特徴とするガ
スアシスト射出成形品、
【0008】(3)ポリアミド形成成分50〜99.5
重量%と、アパタイト型化合物形成成分0.5〜50重
量%とを配合し、ポリアミドの重合反応およびアパタイ
ト型化合物の合成反応を進行させて得られるポリアミド
樹脂組成物を用いることを特徴とするガスアシスト射出
成形品、(4)有機物の少なくとも一部がポリアミドで
あることを特徴とする上記1記載のガスアシスト射出成
形品、(5)ポリアミドの重量平均分子量が1万〜10
0万であることを特徴とする上記1または2記載のガス
アシスト射出成形品、(6)アパタイト型化合物の平均
粒子径が1μm以下であることを特徴とする上記1また
は2記載のガスアシスト射出成形品、
【0009】(7)アパタイト型化合物を構成するリン
に対する金属元素のモル比が0.9〜10.0であるこ
とを特徴とする上記1または2記載のガスアシスト射出
成形品(8)上記2記載のポリアミド樹脂組成物100
重量部に対して、繊維状強化剤が0.5〜300重量部
配合された強化ポリアミド樹脂組成物からなることを特
徴とするガスアシスト射出成形品、(9)アパタイト型
化合物が、広角X線(CuKα:波長λ=0.1542
nm)散乱による回折角(2θ)が25.5〜26.5
度の(002)面ピークと、回折角(2θ)が32.5
〜33.5度の(300)面ピークを持つ結晶性アパタ
イト型化合物であることを特徴とする上記1または2記
載のガスアシスト射出成形品、
【0010】(10)アパタイト型化合物が下記一般式
で示されることを特徴とする上記1あるいは2記載のガ
スアシスト射出成形品、 (A)10-z(HPO4z(PO46-z(X)2-z・nH2
O (上式において、0≦z<2、0≦n≦16であり、A
は金属元素、またXは陰イオンまたは陰イオン化合物で
ある。) (11)金属元素が元素周期律表の2A族元素の1種以
上であることを特徴とする上記6記載のガスアシスト射
出成形品、(12)金属元素がカルシウムであることを
特徴とする上記6記載のガスアシスト射出成形品、
【0011】(13)ポリアミド形成成分が重合可能な
アミノ酸、重合可能なラクタム、重合可能なジアミン・
ジカルボン酸塩、または重合可能な前記化合物のオリゴ
マー群から選ばれる1種以上であることを特徴とする上
記2記載のガスアシスト射出成形品、(14)アパタイ
ト型化合物形成成分が、リン酸系金属化合物またはリン
酸系金属化合物と非リン酸系金属化合物との混合物であ
ることを特徴とする上記2記載のガスアシスト射出成形
品、(15)アパタイト型化合物形成成分のリンに対す
る金属元素のモル比が0.9〜10.0であることを特
徴とする上記2記載のガスアシスト射出成形品、
【0012】(16)アパタイト型化合物形成成分の金
属元素が元素周期律表の2A族元素の1種以上であるこ
とを特徴とする上記13または14記載のガスアシスト
射出成形品、(17)アパタイト型化合物形成成分の金
属元素がカルシウムであることを特徴とする上記13ま
たは14記載のガスアシスト射出成形品、(18)ポリ
アミドの重合反応およびアパタイト型化合物の合成反応
が、40〜300℃の温度下で行われることを特徴とす
る上記2記載のガスアシスト射出成形品、である。以
下、本発明について詳細に説明する。
【0013】本発明は、ポリアミドにアパタイト型化合
物を含有させたポリアミド樹脂組成物からなるガスアシ
スト射出成形品に係る。本発明で用いるポリアミドは、
主鎖中にアミド結合(−NHCO−)を有する重合体で
ある。
【0014】本発明において好ましく用いるポリアミド
は、ポリカプロラクタム(ナイロン6)、ポリテトラメ
チレンアジパミド(ナイロン46)、ポリヘキサメチレ
ンアジパミド(ナイロン66)、ポリヘキサメチレンセ
バカミド(ナイロン610)、ポリヘキサメチレンドデ
カミド(ナイロン612)、ポリウンデカメチレンアジ
パミド(ナイロン116)、ポリウンデカラクタム(ナ
イロン11)、ポリドデカラクタム(ナイロン12)、
ポリトリメチルヘキサメチレンテレフタルアミド(ナイ
ロンTMHT)、ポリヘキサメチレンイソフタルアミド
(ナイロン6I)、ポリノナンメチレンテレフタルアミ
ド(9T)、ポリヘキサメチレンテレフタルアミド(6
T)、ポリビス(4−アミノシクロヘキシル)メタンド
デカミド(ナイロンPACM12)、ポリビス(3−メ
チル−アミノシクロヘキシル)メタンドデカミド(ナイ
ロンジメチルPACM12)、ポリメタキシリレンアジ
パミド(ナイロンMXD6)、ポリウンデカメチレンヘ
キサヒドロテレフタルアミド(ナイロン11T
(H))、およびこれらのうち少なくとも2種の異なっ
たポリアミド成分を含むポリアミド共重合体、およびこ
れらの混合物などである。
【0015】これらのポリアミドのうち、本発明課題を
達成するのにより好ましいポリアミドは、ポリカプロラ
クタム(ナイロン6)、ポリヘキサメチレンアジパミド
(ナイロン66)、ポリヘキサメチレンドデカミド(ナ
イロン612)、ポリヘキサメチレンイソフタルアミド
(ナイロン6I)、およびこれらのうち少なくとも2種
の異なったポリアミド成分を含むポリアミド共重合体、
およびこれらの混合物などである。
【0016】前記ポリアミド形成成分(原料)として
は、重合可能なアミノ酸、重合可能なラクタム、あるい
は重合可能なジアミン・ジカルボン酸塩、および重合可
能な前記化合物のオリゴマーを挙げることができる。重
合可能なアミノ酸としては、例えば6−アミノカプロン
酸、11−アミノウンデカン酸、12−アミノドデカン
酸、パラアミノメチル安息香酸をより具体的に挙げるこ
とができる。本発明では、これらの重合可能なアミノ酸
を1種で用いても良いし、2種類以上組み合わせて用い
ても良い。
【0017】重合可能なラクタムとしては、例えばブチ
ルラクタム、ピバロラクタム、カプロラクタム、カプリ
ルラクタム、エナントラクタム、ウンデカノラクタム、
ドデカノラクタムなどをより具体的に挙げることができ
る。本発明では、これらの重合可能なラクタムを1種で
用いても良いし、2種類以上組み合わせて用いても良
い。
【0018】重合可能なジアミン・ジカルボン酸塩のジ
アミンとしては、例えばテトラメチレンジアミン、ヘキ
サメチレンジアミン、ウンデカメチレンジアミン、ドデ
カメチレンジアミン、2−メチルペンタメチレンジアミ
ン、ノナンメチレンジアミン、2,2,4−トリメチル
ヘキサメチレンジアミン、2,4,4−トリメチルヘキ
サメチレンジアミン、5−メチルノナメチレンジアミ
ン、2,4−ジメチルオクタメチレンジアミン、メタキ
シリレンジアミン、パラキシリレンジアミン、1,3−
ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、
【0019】3,8−ビス(アミノメチル)トリシクロ
デカン、1−アミノ−3−アミノメチル−3,5,5,
−トリメチルシクロヘキサン、ビス(4−アミノシクロ
ヘキシル)メタン、ビス(3−メチル−4−アミノシク
ロヘキシル)メタン、2,2−ビス(4−アミノシクロ
ヘキシル)プロパン、ビス(アミノプロピル)ピペラジ
ン、アミノエチルピペラジンなどを挙げることができ
る。本発明では、これらの重合可能なジアミンを1種で
用いても良いし、2種類以上組み合わせて用いても良
い。
【0020】重合可能なジアミン・ジカルボン酸塩のジ
カルボン酸としては、例えばマロン酸、ジメチルマロン
酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、2−メチルア
ジピン酸、トリメチルアジピン酸、ピメリン酸、2,2
−ジメチルグルタル酸、3,3−ジエチルコハク酸、ア
ゼライン酸、セバシン酸、スベリン酸、ドデカン二酸、
エイコジオン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタ
レンジカルボン酸、2−クロロテレフタル酸、2−メチ
ルテレフタル酸、5−メチルイソフタル酸、5−ナトリ
ウムスルホイソフタル酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、
ヘキサヒドロテレフタル酸、ジグリコール酸などを挙げ
ることができる。本発明では、これらの重合可能なジカ
ルボン酸は1種で用いても良いし、2種類以上組み合わ
せて用いても良い。
【0021】本発明のポリアミド形成成分(原料)に
は、さらに分子量調節あるいは耐熱水性向上のために公
知の末端封止剤を添加することができる。末端封止剤と
しては、モノカルボン酸またはモノアミンが好ましい。
その他、無水フタル酸などの酸無水物、モノイソシアネ
ート、モノ酸ハロゲン化物、モノエステル類、モノアル
コール類などを挙げることができる。
【0022】末端封止剤として使用できるモノカルボン
酸としては、アミノ基との反応性を有するものであれば
特に制限はないが、例えば酢酸、プロピオン酸、酪酸、
吉草酸、カプロン酸、カプリル酸、ラウリン酸、トリデ
シル酸、ミリスチル酸、パルミチン酸、ステアリン酸、
ピバリン酸、イソブチル酸などの脂肪族モノカルボン
酸、シクロヘキサンカルボン酸などの脂環式モノカルボ
ン酸、安息香酸、トルイル酸、α−ナフタレンカルボン
酸、β−ナフタレンカルボン酸、メチルナフタレンカル
ボン酸、フェニル酢酸などの芳香族モノカルボン酸など
を挙げることができる。本発明では、これらのモノカル
ボン酸を1種で用いても良いし、2種類以上組み合わせ
て用いても良い。
【0023】末端封止剤として使用するモノアミンとし
ては、カルボキシル基との反応性を有するものであれば
特に制限はないが、例えばメチルアミン、エチルアミ
ン、プロピルアミン、ブチルアミン、ヘキシルアミン、
オクチルアミン、デシルアミン、ステアリルアミン、ジ
メチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジ
ブチルアミンなどの脂肪族モノアミン、シクロヘキシル
アミン、ジシクロヘキシルアミンなどの脂環式モノアミ
ン、アニリン、トルイジン、ジフェニルアミン、ナフチ
ルアミンなどの芳香族モノアミンなどを挙げることがで
きる。本発明では、これらのモノアミンを1種で用いて
も良いし、2種類以上組み合わせて用いても良い。
【0024】本発明のポリアミドの分子量は、成形性お
よび物性がより優れていることから、重量平均分子量
(Mw)にして、1万〜100万であることが好まし
く、更には2万〜50万、最も好ましくは3万〜20万
のものである。重量平均分子量は、例えば、溶媒として
ヘキサフルオロイソプロパノール(HFIP)を用い、
分子量標準試料としてポリメタクリル酸メチル(PMM
A)を用いて、ゲルパーミッショクロマトグラフィー
(GPC)により求めることができる。本発明で好まし
く用いられるアパタイト型化合物は、下記一般式で示さ
れる。 (A)10-z(HPO4z(PO46-z(X)2-z・nH2
O ここで、0≦z<2、0≦n≦16であり、Aは金属元
素、またXは陰イオンまたは陰イオン化合物であるが、
成形性および物性の観点から0≦z<1、0≦n≦4で
あることがより好ましい。
【0025】好ましい金属元素(A)としては、元素周
期律表の1A、2A、3A、4A、5A、6A、7A、
8、1B、2B、3B族元素およびスズ、鉛を挙げるこ
とができる。これら金属元素は1種であっても、2種以
上であってもかまわない。本発明においては、得られる
樹脂組成物の経済性、安全性および物性の点から、2A
族元素であるマグネシウム、カルシウム、ストロンチウ
ム、バリウム、あるいはこれらの2種以上からなる混合
物であることが特に好ましい。
【0026】前記一般式中のXで示される陰イオンまた
は陰イオン化合物としては、水酸イオン(OH-)、フ
ッ素イオン(F-)、塩素イオン(Cl-)などを挙げる
ことができる。これら陰イオン元素または陰イオン化合
物は1種であっても、2種以上であってもかまわない。
また、本発明においては、前記一般式中のリン酸水素イ
オン(HPO4 2-)、リン酸イオン(PO4 3-)、あるい
はXの一部が炭酸イオン(CO3 2-)に置換した炭酸含
有アパタイトであってもよい。
【0027】本発明においては、前記アパタイト型化合
物の中、金属元素Aがカルシウムである水酸アパタイト
(Xが水酸イオン)、フッ素化アパタイト(Xの一部ま
たは全部がフッ素イオン)、塩素化アパタイト(Xの一
部または全部が塩素イオン)、炭酸含有水酸アパタイ
ト、炭酸含有フッ素化アパタイト、炭酸含有塩素化アパ
タイト、さらには、これらの混合物が最も好ましく用い
られる。かかるアパタイト型化合物形成成分(原料)と
しては、リン酸系金属化合物や、リン酸系金属化合物と
非リン酸系金属化合物とからなる混合物などを挙げるこ
とができるが、本発明では、リン酸系金属化合物と非リ
ン酸系金属化合物とからなる混合物であることがより好
ましい。本発明では、アパタイト型化合物形成成分のリ
ンに対する金属元素のモル比が0.9〜10.0であれ
ばよく、より好ましくは1.2〜5.0、さらに好まし
くは1.5〜2.0である。
【0028】前記リン酸系金属化合物のリン酸類として
は、オルトリン酸、ピロリン酸、トリポリリン酸、メタ
リン酸、亜リン酸、次亜リン酸などを挙げることができ
る。より具体的には、リン酸系金属化合物としては、リ
ン酸一水素カルシウム(CaHPO4・mH2O、但し0
≦m≦2である。)、二リン酸二水素カルシウム(Ca
227)、リン酸二水素カルシウム一水和物(Ca
(H2PO42・H2O)、二リン酸カルシウム(α−お
よびβ−Ca227)、リン酸三カルシウム(α−お
よびβ−Ca3(PO42)、リン酸四カルシウム(C
4(PO42O)、リン酸八カルシウム五水和物(C
82(PO46・5H2O)、亜リン酸カルシウム一
水和物(CaHPO3・H2O)、次亜リン酸カルシウム
(Ca(H2PO22)、リン酸マグネシウム第二・三
水和物(MgHPO4・3H2O)、リン酸マグネシウム
第三・八水和物(Mg3(PO42・8H2O)、リン酸
バリウム第二(BaHPO4)などを挙げることができ
る。
【0029】これらの中でも、本発明では経済性および
物性により優れる点から、リン酸とカルシウムの化合物
が好ましく用いられ、中でもリン酸一水素カルシウム
(CaHPO4・mH2O、但し0≦m≦2である。)が
より好ましく用いられ、特に無水リン酸一水素カルシウ
ム(CaHPO4)とリン酸一水素カルシウム二水和物
(CaHPO4・2H2O)が最も好ましく用いられる。
これらのリン系金属化合物は、1種であっても良いし、
2種以上の組み合わせであっても良い。
【0030】2種以上組み合わせる場合には、例えば、
リン酸一水素カルシウム二水和物(CaHPO4・2H2
O)と二リン酸二水素カルシウム(CaH227)と
を用いるように、同種の金属元素を含有する化合物の組
み合わせや、リン酸一水素カルシウム二水和物(CaH
PO4・2H2O)とリン酸マグネシウム第二・三水和物
(MgHPO4・3H2O)とを用いるように、異種の金
属元素を含有する化合物の組み合わせなどが例示される
が、いずれでも差し支えない。
【0031】本発明におけるリン酸系金属化合物は、リ
ン酸一水素カルシウム(CaHPO 4・mH2O、但し0
≦m≦2である。)を例にとると、Phosphoru
sand its Compounds,1(195
8)で記載されているVanWazerによるCaO−
2O−P25系の状態図が示すように、水の存在下、
リン酸化合物とカルシウム化合物を混合することによる
公知の方法で得ることができる。より具体的には、例え
ば、20〜100℃の温度下、リン酸二水素カリウム溶
液に、リン酸アルカリ溶液および塩化カルシウム溶液を
滴下し反応させ合成する方法や、炭酸カルシウムまたは
水酸化カルシウムとリン酸水溶液を混合する方法などに
よれば良い。
【0032】ところで、本発明者らは、前記リン酸類の
かわりに、砒素(As)やバナジウム(V)からなる化
合物、すなわち砒酸類やバナジウム酸類を用いても、本
発明と同様な効果が得られるものと推察している。しか
しながら、本発明では、原料成分の安定性、形成成分の
入手容易性、安全性の点で優れることから、リン酸類を
用いることが最も好ましい。
【0033】本発明における非リン酸系金属化合物とし
ては、前記リン酸類以外で金属元素と化合物を形成する
ものであれば特に制限はなく、金属水酸化物(水酸化カ
ルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化ストロンチウ
ム、水酸化バリウム、水酸化リチウム、水酸化ナトリウ
ム、水酸化カリウム、水酸化アルミニウム、水酸化鉄、
水酸化マンガンなど)、金属塩化物(塩化カルシウム、
塩化マグネシウム、塩化ストロンチウム、塩化バリウ
ム、塩化リチウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩
化アルミニウム、塩化鉄、塩化マンガンなど)、
【0034】金属フッ化物(フッ化カルシウム、フッ化
マグネシウム、フッ化バリウム、フッ化ストロンチウ
ム、フッ化リチウム、フッ化ナトリウム、フッ化カリウ
ム、フッ化アルミニウムなど)、金属臭化物(臭化カル
シウムなど)、金属ヨウ化物(ヨウ化カルシウム、ヨウ
化カリウム、ヨウ化銅など)、金属炭化物(炭化カルシ
ウムなど)、金属酸化物(酸化カルシウム、酸化マグネ
シウムなど)、炭酸金属塩(炭酸カルシウム、炭酸マグ
ネシウム、炭酸ストロンチウム、炭酸バリウム、炭酸リ
チウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸アルミニ
ウムなど)、硫酸金属塩(硫酸カルシウムなど)、硝酸
金属塩(硝酸カルシウムなど)、
【0035】ケイ酸金属塩(ケイ酸カルシウム、ヘキサ
フルオロケイ酸ナトリウムなど)などの無機金属化合物
や、金属元素とモノカルボン酸との化合物(酢酸カルシ
ウム、酢酸銅、安息香酸カルシウム、ステアリン酸カル
シウムなど)、金属元素とジカルボン酸との化合物(し
ゅう酸カルシウム、酒石酸カルシウムなど)、金属元素
とトリカルボン酸との化合物(クエン酸カルシウムな
ど)などを挙げることができる。
【0036】本発明では、これらの非リン酸系金属化合
物は、1種であっても良いし、2種以上組み合わせても
良い。2種以上組み合わせる場合には、例えば水酸化カ
ルシウムと炭酸カルシウムとの混合物のように、同種の
金属元素を含有する化合物を組み合わせても良いし、例
えば、炭酸カルシウムと水酸化マグネシウムとの混合物
のように、異種の金属元素を含有する化合物を組み合わ
せても良い。本発明では、これら化合物の中でも、経済
性および物性がより優れていることから、金属水酸化
物、金属フッ化物、金属塩化物、炭酸金属塩、金属酸化
物、あるいはこれらの混合物が好ましく用いられる。特
に元素周期律表の2A族元素であるカルシウム、マグネ
シウム、ストロンチウム、バリウムの水酸化物、フッ化
物、塩化物、炭酸塩、あるいはこれらの混合物がより好
ましく、その中でもカルシウムの水酸化物、フッ化物、
塩化物、炭酸塩、酸化物、あるいはこれらの混合物が最
も好ましく用いられる。
【0037】本発明のアパタイト型化合物形成成分であ
るリン酸系金属化合物や非リン酸系金属化合物は、好ま
しい平均粒子径が100μm以下、より好ましくは50
μm以下、さらに好ましくは25μm以下である。平均
粒子径の測定は、アパタイト型化合物形成成分を純水あ
るいはアルコール類中に分散させ、レーザ回折/散乱式
粒度分布装置で測定する方法や、走査型電子顕微鏡(S
EM)による観察を用いて測定する方法によれば良い。
【0038】本発明のポリアミド樹脂組成物の製造方法
は、ポリアミド形成成分(原料)に、アパタイト型化合
物形成成分(原料)を配合し、次いでポリアミドの重合
とアパタイト型化合物の合成を行う方法であれば良い。
ポリアミドの重合とアパタイト型化合物の合成の好まし
い方法は、ポリアミド形成成分とアパタイト型化合物形
成成分との配合物を加熱し、ポリアミド形成成分をアパ
タイト型化合物形成成分の存在下に重合し、その後アパ
タイト型化合物を合成する方法や、あるいはアパタイト
型化合物形成成分をポリアミド形成成分の存在下に反応
させ、その後ポリアミドを重合する方法である。
【0039】より好ましい方法は、前記両形成成分の配
合物を40〜300℃の温度下で、ポリアミドの重合反
応およびアパタイト型化合物の合成反応を進行させる方
法であり、最も好ましい方法は、前記両形成成分の配合
物を加圧下、40〜300℃の温度下で、ポリアミドの
重合反応およびアパタイト型化合物の合成反応を同時並
行的に進行させる方法である。ポリアミド形成成分とア
パタイト型化合物の形成成分との配合方法としては、固
体状のポリアミド形成成分とアパタイト型化合物の形成
成分を直接混合する方法、ポリアミド形成成分の水溶液
とアパタイト型化合物形成成分の水溶液や懸濁液とを配
合する方法などのいずれによっても良い。また、アパタ
イト型化合物の分散性を向上させるために、必要に応じ
て、ポリアミド形成成分やアパタイト型化合物形成成分
に分散剤や錯化剤などの化合物を添加しても良い。
【0040】本発明では、前記分散剤の種類を、特に制
限するものではなく、公知の分散剤を用いることができ
る。例えば、「分散・凝集の解明と応用技術,1992
年」(北原文雄監修・株式会社テクノシステム発行)の
232〜237ページに記載されているようなアニオン
系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、両性界面活性
剤、非イオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤など
を用いることができる。これらの中でもアニオン系界面
活性剤、非イオン系界面活性剤を用いることが好まし
く、特に、価格および物性の観点から、クエン酸ナトリ
ウム、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリアクリル酸アン
モニウム、スチレン−無水マレイン酸共重合体、エチレ
ン−無水マレイン酸などのオレフィン−無水マレイン酸
共重合体、ショ糖ステアリン酸エステルなどのショ糖エ
ステル類などを用いることがより好ましい。
【0041】錯化剤としては、金属イオンと錯体を形成
する化合物であれば特に制限されることがなく、例え
ば、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ニトリロ三
酢酸、シクロヘキサンジアミン四酢酸、グリコールエー
テルジアミン四酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸、ク
エン酸、グルコン酸、酒石酸、リンゴ酸、コハク酸、エ
チレンジアミンなどの脂肪族アミン、尿素などを用いる
ことができる。これらの中でも、価格および物性の観点
からクエン酸、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、
エチレンジアミン(en)が特に好ましい。
【0042】前記ポリアミドの重合は、公知の方法を用
いることができる。例えば、11−アミノウンデカン酸
などの水に難溶な成分を形成成分とし、40〜300℃
で加熱し重縮合する方法、ε−カプロラクタムを形成成
分とし、その水溶液を必要に応じてモノカルボン酸など
の末端封鎖剤、あるいはε−アミノカプロン酸などの反
応促進剤を加えて、不活性ガスを流通させながら、40
〜300℃に加熱し重縮合するラクタム類の開環重縮合
法、ヘキサメチレンアジパミドなどのジアミン・ジカル
ボン酸を形成成分とし、その水溶液を40〜300℃の
温度下、加熱濃縮し、発生する水蒸気圧を常圧〜1.9
6MPa(ゲージ圧)の間の圧力に保ち、最終的には圧
力を抜き常圧あるいは減圧し重縮合を行う熱溶融重縮合
法などを用いることができる。
【0043】さらには、ジアミン・ジカルボン酸固体塩
や重縮合物の融点以下の温度で行う固相重合法、ジカル
ボン酸ハライド成分とジアミン成分とを溶液中で重縮合
させる溶液法なども用いることができる。これらの方法
は必要に応じて組合わせてもかまわない。また、重合形
態としては、バッチ式でも連続式でもかまわない。ま
た、重合装置も特に制限されるものではなく、公知の装
置、例えば、オートクレーブ型の反応器、タンブラー型
反応器、ニーダーなどの押出機型反応器などを用いるこ
とができる。
【0044】本発明のアパタイト型化合物の確認は、例
えば、ポリアミド樹脂組成物やガスアシスト射出成形品
を用いて、広角X線回折、赤外吸収スペクトルなどで直
接確認する方法や、ポリアミド樹脂組成物やガスアシス
ト射出成形品をフェノールなどのポリアミドが可溶な溶
媒に浸しポリアミド樹脂を溶出・分離し、残った成分を
広角X線回折、赤外吸収スペクトルなどで確認する方法
などによれば良い。本発明のガスアシスト射出成形品中
に含有されるアパタイト型化合物は、結晶性アパタイト
型化合物であっても、非晶性アパタイト型化合物であっ
てもかまわないが、物性の観点から、結晶性アパタイト
型化合物であることがより好ましい。
【0045】アパタイト型化合物が結晶性であること
は、ポリアミド樹脂組成物やガスアシスト射出成形品な
どの広角X線回折を測定して確認することができる。ま
た、ポリアミド樹脂組成物やガスアシスト射出成形品な
どをフェノールなどのポリアミドが可溶な溶媒に浸し、
ポリアミド樹脂を溶出し、残った分離成分の広角X線回
折を測定して確認することもできる。より具体的に説明
すると、X線の線源として、銅Kα(波長λ=0.15
42nm)を用いて、前記分離成分の広角X線回折を測
定し、回折角(2θ)が25.5〜26.5度に(00
2)面ピークが存在し、さらに回折角(2θ)が32.
5〜33.5度に(300)面ピークが存在することを
確認すればよい。本発明では、上記のように確認される
結晶性アパタイト型化合物であることが特に好ましい。
【0046】本発明のアパタイト型化合物の含有量は、
0.5〜50重量%である必要があり、より好ましくは
0.5〜40重量%、更には0.5〜25重量%、特に
好ましくは1〜15重量%である。アパタイト型化合物
の含有量は、例えば、ポリアミド樹脂組成物やガスアシ
スト射出成形品などをJIS R3420に従って強熱
減量(Ig.loss)を測定し、その重量減少量から
求めることができる。具体的には、ポリアミド樹脂組成
物やガスアシスト射出成形品を十分乾燥した後、白金皿
に約1g秤量し、650±20℃の電気炉で灰化し、冷
却後、その重量を秤り、アパタイト型化合物の含有量を
定量する。アパタイト型化合物の含有量が0.5重量%
未満の場合には、ガスアシスト射出成形品の剛性、強度
および耐熱性の改良効果が本発明の目的を達成し得る程
に顕著でなく、一方50重量%を越えた場合には、靭性
が低下する恐れや成形加工がしにくくなるなどの問題が
発生しやすい。
【0047】本発明のアパタイト型化合物のリンに対す
る金属元素の比は、モル比にして0.9〜10.0であ
ることが好ましく、より好ましくは1.2〜5.0、特
に好ましくは、1.3〜2.5である。金属元素の定量
は、金属元素としてカルシウムの場合について具体的に
説明すると、まずポリアミド樹脂組成物やガスアシスト
射出成形品0.5gを白金皿に秤量し、電気炉を用いて
500℃で炭化する。炭化物を冷却後、それに塩酸5m
lおよび純水5mlを加えヒーター上で煮沸溶解する。
再びこれを冷却し、純水を加え500mlとし、この試
料中のカルシウムを高周波誘導結合プラズマ(ICP)
発光分析(特性波長317.933nm)によって定量
すればよい。他の金属元素については、特性波長を選択
することにより、同様な方法で定量できる。
【0048】一方、リンの定量は、ポリアミド樹脂組成
物やガスアシスト射出成形品0.5gを秤量し、これに
濃硫酸を20ml加え、ヒーター上で湿式分解し、冷却
後、過酸化水素5mlを加え、ヒーター上で加熱し、全
量が2〜3mlになるまで濃縮する。これを再び冷却
し、純水で500mlとし、高周波誘導結合プラズマ
(ICP)発光分析(特性波長213.618nm)に
よって定量すればよい。このようにして求めた定量結果
をもとに、リンに対する金属元素のモル比を算出するこ
とができる。この比が0.9未満の場合には、押出や成
形加工時に気泡の混入や発泡が起こりやすくなり、ガス
アシスト射出成形品の収率が低下する懸念がある。ま
た、この比が10.0を越えた場合には、靭性の低下が
著しくなる恐れがある。
【0049】本発明のポリアミド樹脂組成物およびガス
アシスト射出成形品は、アパタイト型化合物を含有し、
ポリアミドとアパタイト型化合物の界面が極めて良好に
固着、接着しているという特徴を持つ。アパタイト型化
合物の合成は、例えば水酸アパタイトを例にとると、一
般的には、水酸化カルシウムとリン酸などとを約PH8
の水溶液中で反応させる湿式法、リン酸一水素カルシウ
ムなどを約200℃、1.47Mpa(ゲージ圧)の高
温高圧条件下で行う水熱法などが用いられているが、こ
のアパタイト型化合物の合成条件はポリアミドの重合条
件に、非常に似通っている。
【0050】本発明者らは、この点に着目した。すなわ
ち本発明のガスアシスト射出成形品に用いるポリアミド
組成物は、ポリアミドの形成成分とアパタイトの形成成
分を混合し、ポリアミドの重合する過程のいずれかの段
階で、アパタイト型化合物の合成も行い、得られたもの
である。このようにすることで、重合されていくポリア
ミドと合成されていくアパタイト型化合物との両者間
に、イオン結合反応、吸着反応あるいはグラフト化反応
などの物理的、化学的相互作用が起こり、アパタイト型
化合物粒子の内部や表面部に、ポリアミド形成成分(原
料)やポリアミド成分が取り込まれる。これら反応生成
物(有機物)を介して合成されたアパタイト型化合物
は、マトリックスであるポリアミド中に、均一かつ微細
に分散し、またポリアミドとアパタイト型化合物との界
面は、驚くべきほど良好に固着、接着する。このため、
得られるガスアシスト射出成形品は、優れた剛性、強
度、靭性、耐熱性およびガスアシスト射出成形性を発揮
するのである。
【0051】本発明のポリアミド樹脂組成物のマトリッ
クスであるポリアミドはフェノール溶媒に溶出するのに
対して、前記反応生成物(有機物)はフェノール溶媒に
溶出・溶解しないという性質を有する。すなわち、フェ
ノール溶媒で溶出・溶解させても、溶出・溶解せず、前
記有機物はアパタイト型化合物と共に残存する。本発明
では、アパタイト型化合物に残存する前記フェノール溶
媒に不溶な有機物は、アパタイト型化合物100重量部
あたり、0.5〜100重量部であることが必要であ
る。より好ましくは、1〜100重量部、更には3〜1
00重量部、特に好ましくは4〜50重量部である。前
記有機物が、アパタイト型化合物100重量部あたり
0.5重量部未満の場合には、得られるガスアシスト射
出成形品の靭性の低下が大きくなる恐れがある。また1
00重量部を越えた場合には、成形加工性が劣ることに
なる懸念がある。
【0052】本発明の前記有機物は、ポリアミド形成成
分および/またはポリアミドがアパタイトと物理的、化
学的相互作用の結果、形成されるものであり、フェノー
ル溶媒に溶出し得ない性質を有するが、特にマトリック
スであるポリアミドとの固着、接着性がより向上する点
から、前記有機物の少なくとも一部はポリアミドである
ことが好ましい。また、前記有機物には、水が含有され
てもかまわない。前記有機物は、分離したアパタイト型
化合物を、例えば熱分解ガスクロマトグラフィーおよび
該熱分解成分のマススペクトル(MS)を測定すること
により確認できる。また、分離したアパタイト型化合物
の赤外吸収スペクトル、核磁気共鳴(NMR)によって
も確認することができる。本発明者らの検討によれば、
本発明における前記有機物は、熱分解ガスクロマトグラ
フィーおよび該分解成分のマススペクトル(MS)や赤
外吸収スペクトルの測定結果から、ポリアミド形成成
分、ポリアミド、あるいはこれらの反応生成物である。
【0053】有機物の同定は、ポリアミド樹脂組成物あ
るいはガスアシスト射出成形品を90重量%フェノール
水溶液で溶出した後、分離したアパタイト型化合物の熱
分解成分の中に、ポリアミド形成成分やポリアミドなど
の熱分解成分と一致する特徴的な成分の存在を確認する
ことにより行うことができる。例えば、ポリアミド形成
成分としてアジピン酸・ヘキサメチレンジアミン塩を用
いた場合を例にとると、得られたポリアミド樹脂組成物
あるいはガスアシスト射出成形品を90重量%フェノー
ル水溶液で溶出した後、分離したアパタイト型化合物の
550℃の熱分解成分に、シクロペンタノンを確認でき
れば、前記有機物がアジピン酸を含有することを示し、
また、アジポニトリルを確認できれば、前記有機物がヘ
キサメチレンジアミンを含有することを示している。ま
た、熱分解成分にシクロペンタノンとアジポニトリルと
を同時に確認できれば、前記有機物がポリヘキサメチレ
ンアジパミド(ナイロン66)を含有することを示して
いる。
【0054】本発明の前記有機物の量は、具体的には以
下のような(a)アパタイト型化合物の分離操作、
(b)分離したアパタイト型化合物の熱減量率の測定、
(c)熱分解成分の測定による有機物の定量、を行うこ
とによって求めることができる。 (a)アパタイト型化合物の分離操作 ポリアミド樹脂組成物あるいはガスアシスト射出成形品
10gを秤量し、90重量%フェノール200mlと混
合し、40℃で2時間攪拌し、遠心分離器を用いて分離
操作を行い、上澄み溶媒を除去する。さらに200ml
のフェノールを加え、以後同様な溶解操作と遠心分離器
を用いた分離操作を4回繰り返し行う。引き続き、9
9.5重量%エタノール200mlを加えて、23℃で
2時間攪拌し、遠心分離器を用いて分離操作を行い、上
澄み溶媒を除去する。この操作をさらに4回繰り返した
後、減圧乾燥器中で乾燥し、アパタイト型化合物を得
る。
【0055】(b)分離したアパタイト型化合物の熱減
量率(X(重量部/アパタイト型化合物100重量
部))の測定 得られたアパタイト型化合物5〜15mgを秤量し、熱
重量分析(TGA)装置により、30℃から550℃ま
で99.9℃/minで昇温後、550℃で1時間保持
する。30℃における初期重量(W0)と、550℃で
1時間保持した後の最終重量(W1)を用いて、下式に
熱減量率Xを算出できる。 熱減量率X(重量部/アパタイト型化合物100重量
部)=(W0−W1)×100/W1
【0056】(c)熱分解成分の測定による有機物の定
量 前記(a)により得られたアパタイト型化合物を1〜1
0mg秤量し、熱分解ガスクロマトグラフィーにより、
熱分解温度550℃、カラム温度50〜320℃(昇温
速度20℃/min)の条件下で測定する。得られた熱
分解ガスクロマトグラフィーのパイログラムを、保持時
間2min未満と2min以上に分けそのピーク面積を
算出する。2min以下の成分は二酸化炭素などの低分
子量成分であるため、この低分子量成分を全体から差し
引き、有機物の量とした。具体的には、それぞれの面積
Sa(2min未満)とSb(2min以上)を算出
し、前記(b)の熱減量率Xを用いて、下式にて有機物
の量を算出する。 有機物の量(重量部/アパタイト型化合物100重量
部)=X・Sb/(Sa+Sb)
【0057】本発明のアパタイト型化合物の平均粒子径
は、好ましくは1μm以下、より好ましくは0.1μm
以下である。本発明における平均粒子径は、電子顕微鏡
写真法により求めることができ、該平均粒子径は次のよ
うにして算出することができる。すなわち、ポリアミド
樹脂組成物あるいはガスアシスト射出成形品から切り出
した超薄切片の透過型電子顕微鏡(TEM:写真倍率
2.5万倍)を撮影し、アパタイト型化合物の粒子径d
、粒子数nを求め、次式により平均粒子径を算出す
る。 平均粒子径=Σd・n/Σn この場合、粒子径が球状とみなせない場合には、その短
径と長径を測定し、両者の和の1/2を粒子径とする。
また、平均粒子径の算出には最低2000個の粒子径を
測定する。
【0058】本発明においては、本発明のポリアミド樹
脂組成物に繊維状強化材、例えばガラス繊維、炭素繊維
などを配合した強化ポリアミド樹脂組成物も用いて自動
車内装部品とすることができる。繊維状強化材の中で
も、特にガラス繊維が好ましく用いられる。具体的に
は、ポリアミド50〜99.5重量%と、フェノール溶
媒に不溶な有機物を含有するアパタイト型化合物0.5
〜50重量%からなり、該有機物がアパタイト型化合物
100重量部あたり0.5〜100重量部であるポリア
ミド樹脂組成物と、繊維状強化材との強化ポリアミド樹
脂組成物からなるガスアシスト射出成形品である。
【0059】繊維状強化材の種類は、特に制限はない
が、樹脂強化用に使用されているものが好ましく用いら
れ、特に表面処理したものが好ましく用いられる。表面
処理としては、カップリング剤やフィルム形成剤を用い
て行うが、カップリング剤としてはシラン系カップリン
グ剤、チタン系カップリング剤を挙げることができる。
【0060】シラン系カップリング剤としては、トリエ
トキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)
シラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラ
ン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、β
−(1,1−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメト
キシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプ
ロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルト
リエトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピル
トリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメト
キシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、
【0061】γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、
γ−アミノプロピル−トリス(2−メトキシ−エトキ
シ)シラン、N−メチル−γ−アミノプロピルトリメト
キシシラン、N−ビニルベンジル−γ−アミノプロピル
トリエトキシシラン、トリアミノプロピルトリメトキシ
シラン、3−ウレイドプロピルトリメトキシシラン、3
−4,5ジヒドロイミダゾールプロピルトリエトキシシ
ラン、ヘキサメチルジシラザン、N,O−(ビストリメ
チルシリル)アミド、N,N−ビス(トリメチルシリ
ル)ウレアなどを挙げることができる。
【0062】この中でもγ−アミノプロピルトリメトキ
シシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロ
ピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルト
リメトキシシラン、β−(1,1−エポキシシクロヘキ
シル)エチルトリメトキシシランなどのアミノシランお
よびエポキシシランが経済性に優れ、取り扱い易いた
め、好ましく用いられる。
【0063】チタン系カップリング剤は、イソプロピル
トリイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリド
デシルベンゼンスルホニルチタネート、イソプロピルト
リス(ジオクチルパイロホスフェート)チタネート、テ
トライソプロピルビス(ジオクチルホスファイト)チタ
ネート、テトラオクチルビス(ジトリデシルホスファイ
ト)チタネート、テトラ(1,1−ジアリルオキシメチ
ル−1−ブチル)ビス(ジトリデシル)ホスファイトチ
タネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)オキ
シアセテートチタネート、
【0064】ビス(ジオクチルパイロホスフェート)エ
チレンチタネート、イソプロピルトリオクタノイルチタ
ネート、イソプロピルジメタクリルイソステアロイルチ
タネート、イソプロピルイソステアロイルジアクリルチ
タネート、イソプロピルトリ(ジオクチルホスフェー
ト)チタネートイソプロピルトリクミルフェニルチタネ
ート、イソプロピルトリ(N−アミドエチル、アミノエ
チル)チタネート、ジクミルフェニルオキシアセテート
チタネート、ジイソステアロイルエチレンチタネートな
どを挙げることができる。
【0065】フィルム形成剤としては、ウレタン系ポリ
マー、アクリル酸系ポリマー、無水マレイン酸とエチレ
ン、スチレン、α−メチルスチレン、ブタジエン、イソ
プレン、クロロプレン、2,3ジクロロブタジエン、
1,3−ペンタジエン、シクロオクタジエンなどの不飽
和単量体とのコポリマー、エポキシ系ポリマー、ポリエ
ステル系ポリマー、酢酸ビニル系ポリマー、ポリエーテ
ル系ポリマーなどの重合体を挙げることができる。この
中でも、経済性と性能が優れるという観点から、ウレタ
ン系ポリマー、アクリル酸系ポリマー、ブタジエン無水
マレイン酸コポリマー、エチレン無水マレイン酸コポリ
マー、スチレン無水マレイン酸コポリマー、およびこれ
らの混合物が特に好ましく用いられる。
【0066】このようなカップリング剤およびフィルム
形成剤を用いて、繊維状強化材の表面処理を行うには、
公知の方法によればよく、上記カップリング剤およびフ
ィルム形成剤の有機溶媒溶液あるいは懸濁液をいわゆる
サイジング剤として繊維状強化材表面に塗布するサイジ
ング処理、ヘンシェルミキサー、スーパーミキサー、レ
ーディミキサー、V型ブレンダーなどを用いて塗布する
乾式混合、スプレーにより塗布するスプレー法、さらに
は、インテグラルブレンド法、ドライコンセントレート
法を挙げることができる。
【0067】また、これらの方法を組合せた方法、例え
ばカップリング剤とフィルム形成剤の一部をサイジング
処理により塗布した後、残りのフィルム形成剤をスプレ
ーする方法なども挙げることができる。この中でも、経
済性に優れるという観点から、サイジング処理、乾式混
合、スプレー法およびこれらを組合せた方法が好ましく
用いられる。繊維状強化材の配合量は、本発明のポリア
ミド樹脂組成物100重量部に対して、0.5〜300
重量部、好ましくは5〜200重量部である。配合量が
少ない場合には、強度、剛性が低くくなる傾向にあり、
また配合量が多い場合には、成形できないなどの問題が
発生する場合がある。
【0068】繊維状強化材の形状は、取り扱い易さの観
点から、平均直径3〜30μm、平均長さ1〜10m
m、集束本数500〜5000本のチョップドタイプの
短繊維が最も好ましく用いられる。ポリアミド樹脂組成
物と繊維状強化材を混練する装置としては、特に制限さ
れるものではなく、公知の装置を用いることができる、
例えば単軸あるいは2軸押出機、バンバリーミキサーお
よびミキシングロールなどの溶融混練機が好ましく用い
られる。
【0069】混練方法としては、ポリアミド樹脂組成物
と繊維状強化材とをヘンシュルなどを用いて混合し、該
溶融混練機に供給し混練する方法や、単軸または2軸押
出機で溶融状態にしたポリアミド樹脂組成物にサイドフ
ィダーから繊維状強化材を配合する方法などが例示でき
る。特に好ましく用いられる方法は、高い特性を発現す
るという点から、ポリアミド樹脂組成物と繊維状強化材
の一部を混合し、単軸または2軸押出機に供給し、さら
に残りの繊維状強化材を押出機の先端から供給する方法
である。
【0070】得られるガスアシスト射出成形品中の繊維
状強化材の数平均繊維径は、3〜30μm、重量平均繊
維長が100〜750μmであり、重量平均繊維長数と
平均繊維径との比(L/D)が10〜500、好ましく
は25〜100の範囲において、高い特性を発現するこ
とができる。繊維状強化材の数平均繊維径および重量平
均繊維長の測定は、成形品をギ酸などのポリアミドが可
溶な溶媒で溶解し、得られた不溶成分の中から、例えば
100本以上の繊維状強化材を任意に選択し、光学顕微
鏡や走査型電子顕微鏡などで観察し、求めることができ
る。
【0071】本発明におけるガスアシスト射出成形と
は、特公昭57−14968号公報(旭化成(株)の出
願)に記載の成形方法であり、金型に設けられたキャビ
ティ内に溶融樹脂を射出している間に、あるいは溶融樹
脂の射出完了後に、キャビティ内の溶融樹脂中に加圧流
体を注入することにより、成形品内部に中空部を形成す
る成形法である。本発明のガスアシスト射出成形法にお
いて、加圧流体の注入箇所に特に制限はなく、樹脂注入
部に加圧流体注入部を配置しても良いし、樹脂注入部か
ら離して加圧流体注入部を配置しても良い。加圧流体と
しては、常温、常圧下でガス状であり、成形時に溶融樹
脂と反応や混合しないものであればよく、好ましい加圧
流体としては、窒素ガス、空気、炭酸ガス、ヘリウム等
が挙げられる。キャビティ内に射出する溶融樹脂の体積
は、所望の射出成形品を成形できる体積であればよく、
中空部の占める面積等に依存する。
【0072】本発明の射出成形品における中空部は、射
出成形品の主要部であっても一部であっても良い。本発
明においては、金型のキャビティ内に溶融樹脂を射出
中、もしくは射出完了後に、キャビティ内の溶融樹脂中
に加圧流体を注入する。金型を固定金型部と可動金型部
とから構成する場合、溶融樹脂の射出開始から加圧流体
の注入完了までの間、キャビティの容積が不変となるよ
うに、固定金型部と可動金型部を保持し続けても良い。
あるいはまた、溶融樹脂のキャビティ内への射出開始
前、射出中もしくは射出完了後に、可動金型部を移動さ
せて、キャビティの体積を増加させても良い。この場合
にも、加圧流体の注入開始は、溶融樹脂のキャビティ内
への射出開始前、射出中もしくは射出完了後とすればよ
い。
【0073】本発明のガスアシスト射出成形品を構成す
るポリアミド樹脂組成物には、必要に応じて本発明の目
的を損なわない範囲で通常のポリアミド樹脂に用いられ
る充填剤、例えばマイカ、タルク、粘土鉱物、アルミ
ナ、シリカなどの無機フィラー、三酸化アンチモン、水
酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、ホウ酸亜鉛、
すず酸亜鉛、ヒドロキシすず酸亜鉛、ポリリン酸アンモ
ニウム、シアヌル酸メラミン、サクシノグアナミン、ポ
リリン酸メラミン、硫酸メラミン、フタル酸メラミン、
芳香族系ポリフォスフェート、複合ガラス粉末などの難
燃剤、チタンホワイトなどの顔料や着色剤、亜リン酸ソ
ーダやヒンダードフェノールに代表される熱安定剤、ス
テアリン酸やパラフィンワックスなどの滑剤、種々の可
塑剤、耐候性向上剤や帯電防止剤などの各種添加剤を含
有させることができる。
【0074】さらに必要に応じて、本発明の目的を損な
わない範囲で通常ポリアミド樹脂にブレンドされる熱可
塑性樹脂やエラストマー、例えばポリブタジエン、ブタ
ジエン−スチレン共重合体、アクリルゴム、エチレン−
プロピレン共重合体、エチレン−プロピレン−ジエン共
重合体、天然ゴムおよびこれらの無水マレイン酸などに
よる酸変性物、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ス
チレン−フェニルマレイミド共重合体、ポリエチレン、
ポリプロピレン、ブタジエン−アクリロニトリル共重合
体、ポリエチレンテレフタレートやポリブチレンテレフ
タレートなどのポリエステル樹脂、他のポリアミド樹
脂、芳香族ポリエステル樹脂、ポリフェニレンエーテル
樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、フェノール樹
脂、エポキシ樹脂などを含有させても良い。
【0075】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を実施
例により具体的に説明するが、本発明はその要旨を越え
ない限り、以下の実施例に制限されるものではない。な
お、以下の実施例、比較例において記載した物性評価
は、以下のように行った。 1.ポリアミド形成成分とアパタイト型化合物形成成分
の特性 (1−1)アパタイト型化合物形成成分の含有量(重量
%) ポリアミド形成成分とアパタイト型化合物形成成分の配
合量から算出した。 (1−2)アパタイト型化合物形成成分のリンに対する
金属元素のモル比 アパタイト型化合物形成成分の配合量とその分子量か
ら、リンに対する金属成分のモル比を算出した。
【0076】2.ポリアミド樹脂組成物の特性 (2−1)重量平均分子量(Mw) ゲルパーミッショクロマトグラフィー(GPC)により
求めた。装置は東ソー(株)製HLC−8020、検出
器は示差屈折計(RI)、溶媒はヘキサフルオロイソプ
ロパノール(HFIP)、カラムは東ソー(株)製TS
Kgel−GMHHR−Hを2本とG1000HHRを
1本用いた。溶媒流量は0.6ml/min、サンプル
濃度は、1〜3(mgサンプル)/1(ml溶媒)であ
り、フィルターでろ過し、不溶分を除去し、測定試料と
した。得られた溶出曲線をもとに、ポリメタクリル酸メ
チル(PMMA)換算により、重量平均分子量(Mw)
を算出した。
【0077】(2−2)アパタイト型化合物の含有量の
定量(重量%) ポリアミド樹脂組成物やガスアシスト射出成形品を10
0±20℃で8時間乾燥し冷却する。組成物を白金皿に
1g秤量し、650±20℃の電気炉で灰化し、冷却
後、その重量を秤り、アパタイト型化合物の含有量を定
量した。
【0078】(2−3)リンに対する金属元素のモル比 (a)金属元素の定量:以下、金属元素としてカルシウ
ムの場合につき説明するが、他の金属元素についても同
様にして求めることができる。ポリアミド樹脂組成物や
ガスアシスト射出成形品0.5gを白金皿に秤量し、5
00℃電気炉で炭化する。冷却後、塩酸5mlおよび純
水5mlを加えヒーター上で煮沸溶解する。再び冷却
し、純水を加え500mlとした。装置はThermo
JarrellAsh製IRIS/IPを用いて、高
周波誘導結合プラズマ(ICP)発光分析により、波長
317.933nmにて定量した。
【0079】(b)リンの定量:ポリアミド樹脂組成物
やガスアシスト射出成形品0.5gを秤量し濃硫酸を2
0ml加え、ヒーター上で湿式分解した。冷却後、過酸
化水素5mlを加え、ヒーター上で加熱し、全量が2〜
3mlになるまで濃縮した。再び冷却し、純水で500
mlとした。装置はThermo Jarrell A
sh製IRIS/IPを用いて、高周波誘導結合プラズ
マ(ICP)発光分析により、波長213.618(n
m)にて定量した。
【0080】(2−4)有機物量(重量部/アパタイト
型化合物100重量部) a)アパタイト型化合物の分離操作:ポリアミド樹脂組
成物やガスアシスト射出成形品10gを秤量し、90重
量%フェノール200mlと混合し、40℃で2時間攪
拌し、遠心分離器〔国産遠心器(株)製H103RL
H〕を用いて20000rpmで1時間、分離操作を行
い、上澄み溶媒を除去した。さらに200mlのフェノ
ールを加え、以後同様な溶解操作と遠心分離器を用いた
分離操作を4回繰り返し行った。引き続き、99.5重
量%エタノール200mlを加えて、23℃で2時間攪
拌し、遠心分離器を用いて20000rpmで1時間、
分離操作を行い、上澄み溶媒を除去する。この操作をさ
らに4回繰り返した後、減圧乾燥器中で80℃で12時
間乾燥し、目的のアパタイト型化合物を得た。
【0081】(b)分離したアパタイト型化合物の熱減
量率(X(重量部/アパタイト型化合物))測定:(2
−4)の(a)で得られたアパタイト型化合物10mg
を秤量し、熱重量分析(TGA)装置により熱減量率X
を求めた。装置は島津製作所製TGA−50、温度条件
としては、30℃から550℃まで99.9℃/min
で昇温後、550℃で1時間保持した。30℃における
初期重量(W)と、550℃で1時間保持した後の最
終重量(W)を用いて、下式により、有機物量を算出
した。 熱減量率X(重量部/アパタイト型化合物100重量
部)=(W−W)×100/W
【0082】(c)有機物の定量:(2−4)の(a)
で得たアパタイト型化合物を3mg秤量し、以下の条件
で熱分解クロマトグラフィー(GC)および熱分解GC
/MSのパイログラムを得た。 ・熱分解 装置:フロンティア社ダブルショットパイロライザーP
Y−2010D 熱分解温度:550℃ ・ガスクロマトグラフィー(GC) 装置:HEWLETT PACKARD社製HP−58
90 カラム:J&W社製DURABOND DB−1(0.
25mmI.D.×30m、膜厚0.25μm) カラム温度:50℃→320℃(昇温速度20℃/mi
n) 注入口温度:320℃ 検出器温度:320℃ ・マススペクトル(MS) 装置:JEOL社製 AutoMS SystemII イオン化:EI(70V) 測定質量範囲:m/z=10〜400 温度:200℃
【0083】得られた熱分解GCのパイログラムを、保
持時間2min未満と2min以上に分け、それぞれの
ピーク面積Sa(2min未満)とSb(2min以
上)を算出し、(2−4)の(b)で求めた熱減量率X
を用いて、下式にて有機物の量を算出した。 有機物の量(重量部/アパタイト型化合物100重量
部)=X・Sb/(Sa+Sb) また、マススペクトル(MS)から熱分解成分の同定を
行った。
【0084】(2−5)赤外吸収スペクトル (2−4)の(a)で得たアパタイト型化合物の赤外吸
収スペクトルを測定した。装置はPerkin Elm
er社製 1640、分解能は4cm−1で測定した。
【0085】(2−6)X線回折によるアパタイト型化
合物の生成の確認 (2−4)の(a)で得たアパタイト型化合物のX線回
折を測定した。測定条件は以下の通りである。 X線:銅Kα 波数:0.1542nm 管電圧:40KV 管電流:200mA 走査速度:4deg./min 発散スリット:1deg. 散乱スリット:1deg. 受光スリット:0.15mm
【0086】3.ガスアシスト射出成形品の物性評価 (3−1)物性評価用成形品の作成 成形品は、射出成形機を用いて作成した。装置は日精樹
脂(株)製PS40E、シリンダー温度280℃、金型
温度80℃に設定し、射出17秒、冷却20秒の射出成
形条件で、厚み3.0mm、長さ130mm、幅30m
mの物性評価用成形品を得た。 (3−2)曲げ弾性率および曲げ強度(Mpa) ASTM D790に準じて行った。
【0087】(3−3)引張り強度(Mpa)および引
張伸度(%) ASTM D638に準じて行った。 (3−4)ノッチ付きIzod衝撃強度(J/m) ASTM D256に準じて行った。 (3−5)荷重たわみ温度(℃) ASTM D648に準じて行った。荷重は1.82M
paで行った。
【0088】4.ガスアシスト射出成形品の成形性評価 (4−1)成形性評価用成形品の作成 成形機は旭エンジニアリング(株)製中空射出成形用ガ
ス注入設備を設置した住友重工(株)製SG220を用
い、加圧流体としては窒素ガスを用い、ノズル注入方式
を採用した。シリンダー温度280℃、金型温度80
℃、射出圧力140MPa、ガス圧力200MPa、遅
延時間1秒、ガス注入時間3秒、保持時間30秒の射出
成形条件にて、図1〜3に示す骨状のガスチャンネルを
有する細長平板(厚さ3mm、長さ500mm、幅20
0mm)を得た。この成形品の各ガスチャンネル部を軸
線に沿って鋸で切断して、以下の項目のガスアシスト射
出成形性を評価した。
【0089】(4−2)ガスのはみ出し 各ガスチャンネル部からの平均ガスはみ出し長さをノギ
スにて測定した。 2mm以上のはみ出し:× 2mm未満のはみ出し:○ (4−3)中空形成性 各ガスチャンネルの中空部肉厚(図3のE)をマイクロ
メーターで測定し、肉厚のバラツキを測定した。 バラツキ0.5mm以上(偏り有り):× 0.5mm
未満(偏り無し):○ (4−3)中空内面粗さ 各ガスチャンネルの中空部内壁面(図3のF)の粗さを
表面粗度計(ミツトヨ製Surftest−201型)
を用いて、平均粗度を測定した。 平均粗度1μm未満:○ 5μm未満:△ 10μm以
上:×
【0090】
【実施例1】ポリアミド形成成分として、1.5Kgの
ヘキサメチレンジアミン・アジピン酸等モル固体塩を用
いた。該固体塩を50℃の純水1.5Kgに溶解し、水
溶液として用いた。アパタイト型化合物形成成分とし
て、平均粒子径10μmリン酸一水素カルシウム二水和
物(CaHPO・2HO)の25重量%懸濁液を6
00g(リン酸一水素カルシウム二水和物:純水=15
0g:450g)、および平均粒子径1.5μm重質炭
酸カルシウム(CaCO)の25重量%懸濁液を23
2g(炭酸カルシウム:純水=58g:174g)用い
た。
【0091】該ポリアミド形成成分の水溶液とアパタイ
ト型化合物形成成分の懸濁液とを、5リットルのオート
クレーブ中に仕込み、50℃の温度下、よく攪拌した。
用いた成分の量から、アパタイト型化合物形成成分の含
有量は12.2重量%、リンに対する金属元素の比はモ
ル比にして1.67と算出される。十分窒素で置換した
後、温度を50℃から270℃まで昇温した。この際、
オートクレーブ内の圧力は、ゲージ圧にして1.77M
Paになるが、圧力が1.77MPa以上にならないよ
う水を系外に除去しながら加熱を1時間続けた。その後
加熱を止め、室温まで冷却し、オートクレーブを開け、
約1.5Kgのポリマーを取出し、粉砕機により粉砕
し、80℃の窒素気流中で24時間乾燥した。
【0092】該粉砕ポリマーを用いて、ガスアシスト射
出成形品の物性評価用成形品、成形性評価用成形品を作
製した。該成形品の重量平均分子量(Mw)は3600
0であり、灰化による測定から、アパタイト型化合物の
含有量は10.2重量%であった。さらに高周波誘導結
合プラズマ発光分析によるカルシウムとリンの定量の結
果、リンに対するカルシウムのモル比は1.67と算出
された。透過型顕微鏡の観察結果から、アパタイト型化
合物の平均粒子径は0.32μmであった。90重量%
フェノール水溶液を用いた溶出・分離操作により得られ
たアパタイト型化合物の広角X線回折の測定結果を図4
に示す。この図からわかるように、結晶性アパタイト型
化合物の生成を確認できる。
【0093】また該溶出・分離操作により得られたアパ
タイト型化合物は、熱重量分析による熱減量率Xが6.
38(重量部/アパタイト型化合物100重量部)、熱
分解ガスクロマトグラフィー(GC)によるSb/(S
a+Sb)=0.80となり、有機物の量は5.1(重
量部/アパタイト100重量部)と算出された。また、
熱分解GC/マススペクトルの解析結果から、アパタイ
ト型化合物に残存する有機物の熱分解成分の1つとし
て、シクロペンタノンが確認された。さらに、赤外吸収
スペクトルの観察から、比較例1には見られない154
8cm−1に有機物の存在を示すピークが確認された。
ところで、この該赤外吸収スペクトルには、1416c
−1と1455cm−1に炭酸含有アパタイト型化合
物であることを示すピークが同時に確認された。得られ
た評価結果を表1に示す。
【0094】
【比較例1】旭化成工業社製レオナ1300(ナイロン
66)を9Kgと、平均粒子径25μmの太平化学産業
(株)製ヒドロキシアパタイト1Kgを配合し、二軸押
出機(東芝機械(株)社製TEM35)にて温度280
℃にて溶融混練し、ノズルからストランド状に取り出し
た混練物を水冷、カッティングし、ポリアミド樹脂組成
物を得た。該ポリアミド樹脂組成物を用いて、実施例1
と同様にして物性評価用成形品、成形性評価用成形品を
作製した。該成形品の重量平均分子量は36000であ
った。灰化による測定結果から、アパタイト型化合物の
含有量は10.1重量%であった。高周波誘導結合プラ
ズマ発光分析によるリンとカルシウムを定量した結果、
リンに対するカルシウムのモル比は1.66と算出され
た。
【0095】透過型顕微鏡の観察結果から、アパタイト
型化合物の平均粒子径は3.2μmであった。90重量
%フェノールを用いた溶出・分離操作により、得られた
アパタイト型化合物の広角X線回折結果を図6に示す。
該アパタイト型化合物は、熱重量分析による熱減量率X
が2.50(重量部/アパタイト型化合物100重量
部)、熱分解GC/MSによるSb/(Sa+Sb)=
0.06となり、有機物の量は0.15(重量部/アパ
タイト型化合物100重量部)と算出された。熱分解G
C/マススペクトルの解析結果から、アパタイト型化合
物に存在する有機物の熱分解成分は、ポリアミド形成成
分(ヘキサメチレンジアミンおよびアジピン酸)、ポリ
ヘキサメチレンアジパミドの熱分解成分と一致するもの
は確認できなかった。また、赤外吸収スペクトルは、配
合したアパタイト型化合物である太平化学産業(株)製
ヒドロキシアパタイトとほぼ同じスペクトルであり、有
機物の存在を示すピークを確認することができなかっ
た。得られた評価結果を表1に示す。
【0096】本比較例と例えば実施例1とでは、ポリア
ミド樹脂が共にN66であり、アパタイト型化合物量が
共に10重量%と同じであるにもかかわらず、得られた
成形品の特性は、著しく相違することが表1より明らか
である。即ち、表1より、実施例1が示す本発明による
ガスアシスト射出成形品は、高靭性を保持しつつ、剛
性、耐熱性に優れ、かつガスアシスト射出成形性が著し
く向上していることが理解される。すなわち、ドアハン
ドル、ルーフレール、ドアミラーベース、椅子の脚等な
ど、急激な操作や無理な力がかかりやすい部品におい
て、折れるなどの問題発生の可能性が極めて低く、また
ガスアシスト射出成形性に優れるため外観が良好な成形
品が得られることが明らかである。
【0097】
【参照例1】比較例1に用いた太平化学産業社製ヒドロ
キシアパタイト(リンに対するカルシウムのモル比1.
67)を、減圧条件下、80℃で乾燥後、熱重量分析の
測定の結果、熱減量率Xは2.23(重量/アパタイト
型化合物100重量部)であった。熱分解GCの2分以
上のパイログラムには、ピークは全く検出されず、Sb
/(Sa+Sb)=0.0となり、有機物の量は0.0
(重量部/アパタイト型化合物100重量部)と算出さ
れた。
【0098】
【実施例2】ポリアミド形成成分として、ヘキサメチレ
ンジアミン・アジピン酸等モル固体塩1.2Kgと、ヘ
キサメチレンジアミン・イソフタル酸等モル固体塩0.
3Kgとを用いた。該固体塩に純水1.5Kgに加え溶
解し、水溶液として用いた以外は、実施例1と同様にし
て行った。得られた評価結果を表1に示す。
【0099】
【実施例3】ポリアミド形成成分として、ヘキサメチレ
ンジアミン・ドデカン酸等モル固体塩1.5Kgを用い
た。該固体塩に純水1.5Kgに加え溶解し、水溶液と
して用いた以外は、実施例1と同様にして粉砕ポリマー
を得た。得られた評価結果を表1に示す。
【0100】
【実施例4】ポリアミド形成成分として、ヘキサメチレ
ンジアミン・アジピン酸等モル固体塩1.2Kgと、ε
−カプロラクタム0.3Kgとを用いた。該固体塩に純
水1.5Kgに加え溶解し、水溶液として用いた以外
は、実施例1と同様にして行った。得られた評価結果を
表1に示す。
【0101】
【実施例5】ポリアミド形成成分として、ε−カプロラ
クタム1.5Kgを用いた。純水1.0Kgに溶解し、
水溶液として用いた。アパタイト型化合物形成成分とし
て、平均粒子径10μmリン酸一水素カルシウム二水和
物の25重量%懸濁液を600g(リン酸一水素カルシ
ウム二水和物:純水=150g:450g)、および平
均粒子径1.5μm重質炭酸カルシウムの25重量%懸
濁液を232g(炭酸カルシウム:純水=58g:17
4g)用いた。該ポリアミド形成成分とアパタイト型化
合物形成成分とを、5リットルのオートクレーブ中に仕
込み、80℃の温度下、よく攪拌した。
【0102】次いで温度を260℃に上昇させ、1.4
7MPaの加圧下で1時間撹拌した。その後放圧し、水
分をオートクレーブから除去しながら、常圧下、260
℃で2時間反応を行い、さらに51.6KPaの減圧下
で1時間反応させた。反応終了後、底部ノズルから生成
物をストランド状に取り出し、水冷、カッティングを行
いペレットを得た。得られたペレットを80℃の窒素気
流中で24時間乾燥した。得られた評価結果を表1に示
す。
【0103】
【実施例6】ポリアミド形成成分としてヘキサメチレン
ジアミン・アジピン酸等モル固体塩3.0Kgを用い
た。アパタイト型化合物形成成分として平均粒子径10
μmのリン酸一水素カルシウム二水和物を200g用い
た。ポリアミド形成成分とアパタイト型化合物形成成分
とをヘンシェルミキサーで良く攪拌し、5リットルのオ
ートクレーブ中に仕込んだ。アパタイト型化合物形成成
分の含有量は6.3(重量%)、リンに対する金属元素
の比はモル比にして1.00と算出される。十分窒素で
置換した後、圧力をゲージ圧にして0.49MPaに設
定し、温度を室温から190℃まで昇温し、その状態を
2時間保った。
【0104】この際、オートクレーブ内の圧力は、ゲー
ジ圧にして1.47MPaになる。引き続き圧力を0.
049MPaまで減圧し、温度を240℃に昇温し、そ
の状態を8時間保った。この一連の操作において、圧力
を0.049MPaに保つために、生成する水は分縮器
により除去した。冷却後、オートクレーブを開け、ポリ
マーを取出し粉砕した。粉砕したポリマーは、80℃の
窒素気流中で24時間乾燥した。その後、小型2軸押出
機(東洋精機(株)製ラボプラストミルME型)を用い
て、シリンダー温度280℃、スクリュー回転数70r
pm、押出レート4Kg/hrの条件でペレットにし
た。該ペレットを用いて実施例1と同様にして成形品を
作製した。
【0105】得られたペレットは80℃の窒素気流中で
24時間乾燥した。得られたペレットの重量平均分子量
は210000であった。灰化による測定結果から、ア
パタイト型化合物の含有量は5.2重量%であった。高
周波誘導結合プラズマ発光分析によるカルシウムとリン
の定量の結果、リンに対するカルシウムのモル比は1.
01と算出された。透過型顕微鏡の観察結果からアパタ
イト型化合物の平均粒子径は0.25μmであった。9
0重量%のフェノール水溶液を用いた溶出・分離操作に
より得られたアパタイト型化合物のX線回折結果を図5
に示す。
【0106】この図からアパタイト型化合物の生成を確
認できる。熱重量分析による熱減量率Xは5.67(重
量部/アパタイト100重量部)、熱分解GCによるS
b/(Sa+Sb)が0.72となり、有機物の量は
4.1(重量部/アパタイト100重量部)と算出され
た。熱分解GC/マススペクトルの解析結果から、アパ
タイト型化合物の熱分解成分に、アジポニトリルが確認
された。また、赤外吸収スペクトルの観察から、165
0cm−1に有機物の存在を示すピークが確認された。
得られた評価結果を表2に示す。
【0107】
【実施例7】アパタイト型化合物形成成分として、平均
粒子径10μmのリン酸一水素カルシウム二水和物10
0gを用いる以外は、実施例6と同様にして行った。得
られたガスアシスト射出成形品評価用成形品の重量平均
分子量は520000であった。灰化による測定結果か
ら、アパタイト型化合物の含有量は2.5重量%であっ
た。得られた評価結果を表2に示す。
【0108】
【比較例2】アパタイト型化合物形成成分として平均粒
子径10μmのリン酸一水素カルシウム二水和物10.
5gを用いる以外は、実施例6と同様にして行った。ア
パタイト型化合物形成成分の含有量は0.35重量%、
リンに対するカルシウムのモル比は1.00と算出され
る。得られた成形品の重量平均分子量は、70000で
あった。灰化による測定結果から、アパタイトの含有量
は0.21重量%であった。高周波誘導結合プラズマ発
光分析によるカルシウムとリンの定量の結果、リンに対
するカルシウムのモル比は0.95と算出された。得ら
れた評価結果を表2に示す。
【0109】
【参照例2】ヘキサメチレンジアミン・アジピン酸等モ
ル固体塩1.5Kgを純水1.5Kgに溶解した水溶液
を3Kgのみ、すなわちポリアミド形成成分のみを、5
リットルのオートクレーブ中に仕込んだ。以後操作は実
施例1と同様な方法で行った。得られた成形品の重量平
均分子量は35000であった。得られた評価結果を表
2に示す。
【0110】
【実施例8】ポリアミド形成成分として、1.0Kgの
ヘキサメチレンジアミン・アジピン酸等モル固体塩を用
いた。該固体塩を50℃の純水1.0Kgに溶解し、水
溶液として用いた。アパタイト型化合物形成成分とし
て、平均粒子径10μmリン酸一水素カルシウム二水和
物の25重量%懸濁液を1.0Kg(リン酸一水素カル
シウム二水和物:純水=250g:750g)、および
平均粒子径1.5μm重質炭酸カルシウムの25重量%
懸濁液を387g(炭酸カルシウム:純水=97g:2
90g)用いた。
【0111】該ポリアミド形成成分とアパタイト型化合
物形成成分とを、5リットルのオートクレーブ中に仕込
み、50℃の温度下、よく攪拌した。アパタイト型化合
物形成成分の含有量は25.8重量%、リンに対する金
属元素の比はモル比にして1.67と算出される。十分
窒素で置換した後、温度を50℃から270℃まで昇温
した。この際、オートクレーブ内の圧力は、ゲージ圧に
して18Kg/cmになるが、圧力が18Kg/cm
以上にならないよう水を系外に除去しながら加熱を1
時間続けた。その後加熱を止め、室温まで冷却し、オー
トクレーブを開け、ポリマーを取り出し、粉砕機により
粉砕し、80℃の窒素気流中で24時間乾燥した。
【0112】得られたポリマーを用いて、実施例1と同
様にして成形品を作製した。成形品の重量平均分子量は
35000であった。灰化による測定結果から、アパタ
イト型化合物の含有量は22.3重量%であった。高周
波誘導結合プラズマ発光分析によるカルシウムとリンの
定量の結果、リンに対するカルシウムのモル比は1.6
7と算出された。得られた評価結果を表3に示す。
【0113】
【実施例9】ポリアミド形成成分として、750gのヘ
キサメチレンジアミン・アジピン酸等モル固体塩を、5
0℃の純水750gに溶解した水溶液を用いた。アパタ
イト型化合物形成成分として、平均粒子径10μmリン
酸一水素カルシウム二水和物の25重量%懸濁液を1.
5Kg(リン酸一水素カルシウム二水和物:純水=37
5g:1125g)、および平均粒子径1.5μm重質
炭酸カルシウムの25重量%懸濁液を580g(炭酸カ
ルシウム:純水=145g:435g)用いた。
【0114】該ポリアミド形成成分とアパタイト型化合
物形成成分とを、5リットルのオートクレーブ中に仕込
み、50℃の温度下、よく攪拌した。アパタイト型化合
物形成成分の含有量は40.9重量%と算出される。以
後の操作は実施例8と同様にして行った。得られた成形
品の重量平均分子量は32000であった。灰化による
測定結果から、アパタイト型化合物の含有量は39.1
(重量%)であった。得られた評価結果を表3に示す。
【0115】
【比較例3】ポリアミド形成成分として、400gのヘ
キサメチレンジアミン・アジピン酸等モル固体塩を、5
0℃の純水400gに溶解した水溶液を用いた。アパタ
イト型化合物形成成分として、平均粒子径10μmリン
酸一水素カルシウム二水和物の25重量%懸濁液を2.
0Kg(リン酸一水素カルシウム二水和物:純水=50
0g:1500g)、および平均粒子径1.5μm重質
炭酸カルシウムの25重量%懸濁液を772g(炭酸カ
ルシウム:純水=193g:579g)用いた。
【0116】該ポリアミド形成成分とアパタイト型化合
物形成成分とを、5リットルのオートクレーブ中に仕込
み、50℃の温度下、よく攪拌した。アパタイト型化合
物形成成分の含有量は63.4重量%と算出される。以
後の操作は実施例12と同様にして行った。オートクレ
ーブから取出し、粉砕・乾燥したポリマーの重量平均分
子量は14000であった。灰化による測定結果から、
アパタイト型化合物の含有量は61.2重量%であっ
た。該ポリマーを二軸押出機を用いて、ペレット化する
ことを試みたが、押出時のストランドが極めて不安定な
状態であり、ペレットとして得ることができなかった。
また成形品も得ることができなかった
【0117】
【実施例10】ポリアミド形成成分として、1.5Kg
のヘキサメチレンジアミン・アジピン酸等モル固体塩を
用いた。該固体塩を50℃の純水1.5Kgに溶解し、
水溶液としてを用いた。アパタイト型化合物形成成分と
して、平均粒子径10μmリン酸一水素カルシウム二水
和物の25重量%懸濁液を600g(リン酸一水素カル
シウム二水和物:純水=150g:450g)、および
平均粒子径1.5μm重質炭酸カルシウムの25重量%
懸濁液を232g(炭酸カルシウム:純水=58g:1
74g)用いた。
【0118】該ポリアミド形成成分とアパタイト型化合
物形成成分とを、5リットルのオートクレーブ中に仕込
み、さらに分子量調節剤として、酢酸(CHCOO
H)4.5gを添加し、50℃の温度下、よく攪拌し
た。十分窒素で置換した後、温度を50℃から270℃
まで昇温した。この際、オートクレーブ内の圧力は、ゲ
ージ圧にして1.77MPaになるが、圧力が1.77
MPa以上にならないよう水を系外に除去しながら加熱
を1時間続けた。
【0119】その後、1時間かけ、圧力を大気圧まで下
げ、底部よりストランド状でポリマーを抜き出し、水
冷、カッティングし、ペレットにした。得られたポリマ
ーの重量平均分子量は12500であった。このポリマ
ーを10リットルのタンブラー型の反応器に入れ、20
0℃の温度下、5リットル/minの窒素を常時流通さ
せながら8時間保持した。冷却後、ポリマ−を取出し
た。得られたポリマーの重量平均分子量は42000で
あった。該ポリマーを用いて、実施例1と同様にして成
形品を作製した。得られた評価結果を表4に示す。
【0120】
【実施例11】ポリアミド形成成分として、1.5Kg
のヘキサメチレンジアミン・アジピン酸等モル固体塩を
用いた。該固体塩を50℃の純水1.5Kgに溶解し、
水溶液として用いた。アパタイト型化合物形成成分とし
て、平均粒子径10μmリン酸一水素カルシウム二水和
物の25重量%懸濁液を600g(リン酸一水素カルシ
ウム二水和物:純水=150g:450g)、および平
均粒子径1.5μm重質炭酸カルシウムの25重量%懸
濁液を232g(炭酸カルシウム:純水=58g:17
4g)用いた。
【0121】該ポリアミド形成成分とアパタイト型化合
物形成成分とを、5リットルのオートクレーブ中に仕込
み、さらに分子量調節剤として、アジピン酸(COOH
(CHCOOH)9.7gを添加し、50℃の温
度下、よく攪拌した。十分窒素で置換した後、温度を5
0℃から270℃まで昇温した。この際、オートクレー
ブ内の圧力は、ゲージ圧にして1.77MPaになる
が、圧力が1.77MPa以上にならないよう水を系外
に除去しながら加熱を1時間続けた。その後、1時間か
け、圧力を大気圧まで下げ、底部よりストランド状でポ
リマーを抜き出し、水冷、カッティングし、ペレットに
した。
【0122】得られたポリマーの重量平均分子は145
00であった。ニーダー型反応器(プラスチック工学研
究所製、プラボーBT−30−S2−60−L(L/D
=60))を用いて、290℃の温度下、4Kg/hr
の吐出量で押出した。得られたポリマーの重量平均分子
量は37000であった。該ポリマーを用いて、実施例
1と同様にして成形品を作製した。得られた評価結果を
表4に示す。
【0123】
【実施例12】分子量調節剤として、酢酸の代わりに、
ステアリルアミン(CH(CH 16CH
)20gを用いる以外は、実施例10と同様にして
行った。得られた評価結果を表4に示す。
【0124】
【実施例13】分子量調節剤として、酢酸の代わりに、
アニリン(CNH)14gを用いる以外は、実
施例11と同様にして行った。得られた評価結果を表4
に示す。
【0125】
【実施例14】アパタイト型化合物形成成分として、平
均粒子径10μmリン酸一水素カルシウム二水和物の2
5重量%懸濁液を600g(リン酸一水素カルシウム二
水和物:純水=150g:450g)、および平均粒子
径1.5μm重質炭酸カルシウムの25重量%懸濁液を
104g(炭酸カルシウム:純水=26g:78g)用
いる以外は実施例1と同様にして行った。アパタイト型
化合物形成成分の含有量は10.4重量%、リンに対す
る金属元素の比はモル比にして1.30と算出される。
得られた成形品の重量平均分子量は38000であり、
灰化による測定から、アパタイト型化合物の含有量は
9.2重量%であった。さらに高周波誘導結合プラズマ
発光分析によるカルシウムとリンの定量の結果、リンに
対するカルシウムのモル比は1.28と算出された。得
られた評価結果を表5に示す。
【0126】
【実施例15】アパタイト型化合物形成成分として、平
均粒子径10μmリン酸一水素カルシウム二水和物の2
5重量%懸濁液を469g(リン酸一水素カルシウム二
水和物:純水=117g:351g)、および平均粒子
径1.5μm重質炭酸カルシウムの25重量%懸濁液を
232g(炭酸カルシウム:純水=58g:174g)
用いる以外は実施例1と同様にして行った。アパタイト
型化合物形成成分の含有量は10.4重量%、リンに対
する金属元素の比はモル比にして1.85と算出され
る。得られた成形品の重量平均分子量は32000であ
り、灰化による測定から、アパタイト型化合物の含有量
は9.3重量%であった。さらに高周波誘導結合プラズ
マ発光分析によるカルシウムとリンの定量の結果、リン
に対するカルシウムのモル比は1.88と算出された。
得られた評価結果を表5に示す。
【0127】
【実施例16】アパタイト型化合物形成成分として、平
均粒子径10μmリン酸一水素カルシウム二水和物の2
5重量%懸濁液を100g(リン酸一水素カルシウム二
水和物:純水=25g:75g)、および平均粒子径
1.5μm重質炭酸カルシウムの25重量%懸濁液を2
32g(炭酸カルシウム:純水=58g:174g)用
いる以外は実施例1と同様にして行った。アパタイト型
化合物形成成分の含有量は5.2重量%、リンに対する
金属元素の比はモル比にして5.0と算出される。得ら
れた成形品の重量平均分子量は26000であり、灰化
による測定から、アパタイト型化合物の含有量は4.3
重量%であった。さらに高周波誘導結合プラズマ発光分
析によるカルシウムとリンの定量の結果、リンに対する
カルシウムのモル比は5.2と算出された。得られた評
価結果を表5に示す。
【0128】
【実施例17】アパタイト型形成成分として、平均粒子
径1.0μm無水リン酸一水素カルシウム(CaHPO
)の25重量%懸濁液を600g(無水リン酸一水素
カルシウム:純水=150g:450g)、および平均
粒子径10μm水酸化カルシウム(Ca(OH))の
25重量%懸濁液を216g(水酸化カルシウム:純水
=54g:162g)用いた以外は実施例1と同様にし
て行った。得られた評価結果を表6に示す。
【0129】
【実施例18】アパタイト型形成成分として、平均粒子
径10μmリン酸三カルシウム(Ca (PO
の25重量%懸濁液を600g(リン酸三カルシウム:
純水=150g:450g)、および平均粒子径10μ
m水酸化カルシウムの25重量%懸濁液を60g(水酸
化カルシウム:純水=12g:48g)用いた以外は実
施例1と同様にして行った。得られた評価結果を表6に
示す。
【0130】
【実施例19】アパタイト型形成成分として、平均粒子
径10μm二リン酸二水素カルシウム(CaH
)の25重量%懸濁液を600g(二リン酸二水素カ
ルシウム:純水=150g:450g)、および平均粒
子径10μm水酸化カルシウムの25重量%懸濁液を4
00g(水酸化カルシウム:純水=100g:300
g)用いた以外は実施例1と同様にして行った。得られ
た評価結果を表6に示す。
【0131】
【実施例20】アパタイト型形成成分として、平均粒子
径10μmリン酸二水素カルシウム一水和物(Ca(H
PO・HO)の25重量%懸濁液を300g
(リン酸二水素カルシウム一水和物:純水=75g:2
25g)、および平均粒子径1.5μm重質炭酸カルシ
ウムの25重量%懸濁液を288g(炭酸カルシウム:
純水=72g:216g)用いた以外は実施例1と同様
にして行った。得られた評価結果を表6に示す。
【0132】
【実施例21】アパタイト型形成成分として、平均粒子
径10μm二リン酸カルシウム(Ca )の2
5重量%懸濁液を600g(二リン酸カルシウム:純水
=150g:450g)、および平均粒子径1.5μm
重質炭酸カルシウムの25重量%懸濁液を320g(炭
酸カルシウム:純水=80g:240g)用いた以外は
実施例1と同様にして行った。得られたガスアシスト射
出成形品評価用成形品の物性測定結果を表6に示す。
【0133】
【実施例22】アパタイト型化合物形成成分として、平
均粒子径10μmリン酸一水素カルシウム二水和物の2
5重量%懸濁液を600g(リン酸一水素カルシウム二
水和物:純水=150g:450g)、平均粒子径1.
5μm重質炭酸カルシウムの25重量%懸濁液を220
g(炭酸カルシウム:純水=55g:165g)、およ
び平均粒径5.0μmフッ化カルシウム(CaF)の
25重量%懸濁液を10g(フッ化カルシウム:純水=
2.5g:7.5g)を用いた以外は実施例1と同様に
して行った。得られた成形品の評価結果を表7に示す。
【0134】
【実施例23】アパタイト型化合物形成成分として、平
均粒子径10μmリン酸一水素カルシウム二水和物の2
5重量%懸濁液を600g(リン酸一水素カルシウム二
水和物:純水=150g:450g)、平均粒子径1.
5μm重質炭酸カルシウムの25重量%懸濁液を176
g(炭酸カルシウム:純水=44g:132g)、およ
び平均粒径5.0μmフッ化カルシウム(CaF)の
25重量%懸濁液を44g(フッ化カルシウム:純水=
11g:33g)を用いた以外は実施例1と同様にして
行った。得られた成形品の評価結果を表7に示す。
【0135】
【実施例24】アパタイト型化合物形成成分として、平
均粒子径10μmリン酸一水素カルシウム二水和物の2
5重量%懸濁液を600g(リン酸一水素カルシウム二
水和物:純水=150g:450g)、平均粒子径1.
5μm重質炭酸カルシウムの25重量%懸濁液を200
g(炭酸カルシウム:純水=50g:150g)、およ
び平均粒径5.0μm塩化カルシウム(CaCl)の
25重量%懸濁液を36g(塩化カルシウム:純水=9
g:27g)を用いた以外は実施例1と同様にして行っ
た。得られた成形品の評価結果を表7に示す。
【0136】
【実施例25】アパタイト型化合物形成成分として、平
均粒子径10μmリン酸一水素カルシウム二水和物の2
5重量%懸濁液を600g(リン酸一水素カルシウム二
水和物:純水=150g:450g)、平均粒子径1.
5μm重質炭酸カルシウムの25重量%懸濁液を200
g(炭酸カルシウム:純水=50g:150g)、およ
び平均粒径10μm炭酸ストロンチウム(SrCO
の25重量%懸濁液を48g(炭酸ストロンチウム:純
水=12g:36g)を用いた以外は実施例1と同様に
して行った。得られた成形品の評価結果を表7に示す。
【0137】
【実施例26】アパタイト型化合物形成成分として、平
均粒子径10μmリン酸一水素カルシウム二水和物の2
5重量%懸濁液を600g(リン酸一水素カルシウム二
水和物:純水=150g:450g)、平均粒子径1.
5μm重質炭酸カルシウムの25重量%懸濁液を200
g(炭酸カルシウム:純水=50g:150g)、およ
び平均粒径10μm炭酸バリウム(BaCO)の25
重量%懸濁液を64g(炭酸バリウム:純水=16g:
48g)を用いた以外は実施例1と同様にして行った。
得られた成形品の評価結果を表7に示す。
【0138】
【実施例27】アパタイト型化合物形成成分として、平
均粒子径10μmリン酸一水素カルシウム二水和物の2
5重量%懸濁液を540g(リン酸一水素カルシウム二
水和物:純水=135g:405g)、平均粒子径5.
0μmリン酸マグネシウム第二・三水和物(MgHPO
・3HO)の25重量%懸濁液を60g(リン酸マ
グネシウム第二・三水和物:純水=15g:45g)、
平均粒子径10μm重質水酸化カルシウムの25重量%
懸濁液を172g(水酸化カルシウム:純水=43g:
129g)、を用いた以外は実施例1と同様にして行っ
た。得られた成形品の評価結果を表7に示す。
【0139】
【実施例28】アパタイト型化合物形成成分として、平
均粒子径10μmリン酸一水素カルシウム二水和物の2
5重量%懸濁液を600g(リン酸一水素カルシウム二
水和物:純水=150g:450g)、平均粒子径10
μm水酸化カルシウムの25重量%懸濁液を160g
(水酸化カルシウム:純水=40g:120g)、およ
び平均粒径10μm塩化鉄(II)四水和物(FeCl
・4HO)の25重量%懸濁液を32g(塩化鉄
(II)四水和物:純水=8g:24g)を用いた以外
は実施例1と同様にして行った。得られた成形品の評価
結果を表8に示す。
【0140】
【実施例29】アパタイト型化合物形成成分として、平
均粒子径10μmリン酸一水素カルシウム二水和物の2
5重量%懸濁液を600g(リン酸一水素カルシウム二
水和物:純水=150g:450g)、平均粒子径10
μm水酸化カルシウムの25重量%懸濁液を160g
(水酸化カルシウム:純水=40g:120g)、およ
び平均粒径10μm塩化鉄(III)六水和物(FeC
・6HO)の25重量%懸濁液を44g(塩化鉄
(III)六水和物:純水=11g:33g)を用いた
以外は実施例1と同様にして行った。得られた成形品の
評価結果を表8に示す。
【0141】
【実施例30】アパタイト型化合物形成成分として、平
均粒子径10μmリン酸一水素カルシウム二水和物の2
5重量%懸濁液を600g(リン酸一水素カルシウム二
水和物:純水=150g:450g)、平均粒子径10
μm水酸化カルシウムの25重量%懸濁液を160g
(水酸化カルシウム:純水=40g:120g)、およ
び平均粒径10μmヨウ化銅(CuI)の25重量%懸
濁液を32g(ヨウ化銅:純水=8g:24g)を用い
た以外は実施例1と同様にして行った。得られた成形品
の評価結果を表8に示す。
【0142】
【実施例31】アパタイト型化合物形成成分として、平
均粒子径25.0μmリン酸一水素カルシウム二水和物
の25重量%懸濁液を600g(リン酸一水素カルシウ
ム二水和物:純水=150g:450g)、平均粒子径
1.5μm重質炭酸カルシウムの25重量%懸濁液を2
32g(炭酸カルシウム:純水=58g:174g)を
用いた以外は実施例1と同様にして行った。成形品の透
過型顕微鏡の観察結果から、アパタイト型化合物の平均
粒子径は0.52μmであった。得られた成形品の評価
結果を表9に示す。
【0143】
【実施例32】アパタイト型化合物形成成分として、平
均粒子径75.0μmリン酸一水素カルシウム二水和物
の25重量%懸濁液を600g(リン酸一水素カルシウ
ム二水和物:純水=150g:450g)、平均粒子径
1.5μm重質炭酸カルシウムの25重量%懸濁液を2
32g(炭酸カルシウム:純水=58g:174g)を
用いた以外は実施例1と同様にして行った。成形品の透
過型顕微鏡の観察結果から、アパタイト型化合物の平均
粒子径は0.88μmであった。得られた評価結果を表
9に示す。
【0144】
【実施例33】アパタイト型化合物形成成分である平均
粒子径3.0μmリン酸一水素カルシウム二水和物の2
5重量%懸濁液と、平均粒子径0.25μm重質炭酸カ
ルシウムの25重量%懸濁液を、それぞれ、40℃の温
度下、超音波処理を30分間行った以外は、実施例1と
同様にして行った。得られた成形品の評価結果を表10
に示す。
【0145】
【実施例34】アパタイト型化合物形成成分である平均
粒子径3.0μmリン酸一水素カルシウム二水和物の2
5重量%懸濁液と、平均粒子径0.25μm重質炭酸カ
ルシウムの25重量%懸濁液を、それぞれ、60℃の温
度下、ホモジナイザーによる処理を10分間行った以外
は、実施例1と同様にして行った。得られた成形品の評
価結果を表10に示す。
【0146】
【実施例35】アパタイト型化合物形成成分である平均
粒子径3.0μmリン酸一水素カルシウム二水和物の2
5重量%懸濁液に分散剤としてポリアクリル酸アンモニ
ウム塩(第一工業製薬(株)製セラモD−134)6g
を添加し、また平均粒子径0.25μm重質炭酸カルシ
ウムの25重量%懸濁液にポリアクリル酸アンモニウム
塩2.32gを添加後、それぞれ、40℃の温度下、超
音波処理を30分間行った以外は、実施例1と同様にし
て行った。
【0147】得られた成形品を90重量%のフェノール
水溶液を用いた溶出・分離操作により得られたアパタイ
ト型化合物の熱重量分析による熱減量率Xは12.7
(重量部/アパタイト100重量部)、熱分解GCによ
るSb/(Sa+Sb)が0.75となり、有機物の量
は9.5(重量部/アパタイト100重量部)と算出さ
れた。熱分解GC/マススペクトルの解析結果から、ア
パタイト型化合物の熱分解成分に、シクロペンタノンと
アジポニトリルの両熱分解成分が確認された。また、赤
外吸収スペクトルの観察から、1550cm−1と16
50cm−1に有機物の存在を示すピークが確認され
た。得られた成形品の評価結果を表10に示す。
【0148】
【実施例36】アパタイト型化合物形成成分である平均
粒子径3.0μmリン酸一水素カルシウム二水和物の2
5重量%懸濁液に分散剤としてポリアクリル酸ナトリウ
ム塩(第一工業製薬(株)製シャロールAN−103
P)6gを添加し、また平均粒子径0.25μm重質炭
酸カルシウムの25重量%懸濁液にポリアクリル酸ナト
リウム塩2.32gを添加後、それぞれ、40℃の温度
下、超音波処理を30分間行った以外は、実施例1と同
様にして行った。得られた成形品の評価結果を表10に
示す。
【0149】
【実施例37】アパタイト型化合物形成成分である平均
粒子径3.0μmリン酸一水素カルシウム二水和物の2
5重量%懸濁液に分散剤としてクエン酸ナトリウム塩
(昭和化工(株)製)1.2gを添加し、また平均粒子
径0.25μm重質炭酸カルシウムの25重量%懸濁液
にクエン酸ナトリウム塩0.46gを添加後、それぞ
れ、40℃の温度下、超音波処理を30分間行った以外
は、実施例1と同様にして行った。得られた評価結果を
表10に示す。
【0150】
【実施例38】アパタイト型化合物形成成分である平均
粒子径3.0μmリン酸一水素カルシウム二水和物の2
5重量%懸濁液に分散剤としてショ糖ステアリン酸エス
テル(第一工業製薬(株)DKエステル)6gを添加
し、また平均粒子径0.25μm重質炭酸カルシウムの
25重量%懸濁液にショ糖ステアリン酸エステル2.3
2gを添加後、それぞれ、40℃の温度下、超音波処理
を30分間行った以外は、実施例1と同様にして行っ
た。得られた評価結果を表10に示す。
【0151】
【実施例39】ポリアミド形成成分として、1.5Kg
のヘキサメチレンジアミン・アジピン酸等モル固体塩
を、50℃の純水1.5Kgに溶解した水溶液を用い
た。アパタイト型化合物形成成分として、平均粒子径
3.0μmリン酸一水素カルシウム二水和物の25重量
%懸濁液を600g(リン酸一水素カルシウム二水和
物:純水=150g:450g)、および平均粒子径
1.5μm重質炭酸カルシウムの25重量%懸濁液を2
32g(炭酸カルシウム:純水=58g:174g)用
いた。該ポリアミド形成成分とアパタイト型化合物形成
成分とを、5リットルのオートクレーブ中に仕込み、さ
らに錯化剤として、エチレンジアミン四酢酸(EDT
A)を6g添加し、50℃の温度下、よく撹拌した。以
後の操作は実施例1と同様にして行った。得られた評価
結果を表11に示す。
【0152】
【実施例40】錯化剤として、エチレンジアミン四酢酸
(EDTA)6gの代わりに、エチレンジアミン(e
n)1.3gを用いる以外は、実施例39と同様にして
行った。得られた成形品の評価結果を表11に示す。
【0153】
【実施例41】実施例1と同様にして得られたポリアミ
ド樹脂組成物100重量部に対して、ガラス繊維(旭フ
ァイバーグラス(株)製JAFT2A)35重量部を2
90℃の温度で2軸押出機(東芝機械(株)TEM35
を用いて溶融混練して、ガラス繊維濃度25重量%の強
化ポリアミド樹脂組成物ペレットを得、成形品を作製し
た。得られた評価結果を表12に示す。
【0154】
【比較例4】ナイロン66(旭化成工業(株)社製レオ
ナ1300)を用いる以外は、実施例41と同様にし
て、ガラス繊維濃度25重量%の強化ポリアミド樹脂組
成物ペレットを得、成形品を作製した。得られた成形品
の評価結果を表12に示す。本比較例のように単にナイ
ロン66にガラス繊維を配合して得られた成形品は、実
施例41の本発明のポリアミド製成形品に比べて、中空
形成性が著しく悪化するため、外観の劣悪な成形品が得
られるなどの不具合が生じる。
【0155】
【実施例42】実施例1と同様にして得られた粉砕(乾
燥)ポリマーを4Kgとゴム(旭化成工業(株)タフテ
ックM1943:無水マレイン酸変性ゴム)1Kgとを
配合し、二軸押出機((株)東芝機械製TEM35)を
用いて280℃の温度下押出し、ペレットとし、成形品
を得た。得られた成形品の評価結果を表12に示す。
【0156】
【比較例5】市販ナイロン66(旭化成工業(株)社製
レオナ1300)4Kgとゴム(旭化成工業(株)タフ
テックM1943:無水マレイン酸変性ゴム)1Kgと
を配合し、二軸押出機((株)東芝機械製TEM35)
を用いて280℃の温度下押出し、ペレットとし、成形
品を得た。得られた評価結果を表12に示す。
【0157】
【実施例43】実施例1と同様にして得られた粉砕(乾
燥)ポリマーを4Kgとゴム(三井化学(株)タフマー
MA8510:無水マレイン酸変性ゴム)1Kgとを配
合し、二軸押出機((株)東芝機械製TEM35)を用
いて280℃の温度下押出し、ペレットとし、成形品を
得た。得られた評価結果を表12に示す。
【0158】
【比較例6】市販ナイロン66(旭化成工業(株)社製
レオナ1300)4Kgとゴム(三井化学(株)タフマ
ーMA8510:無水マレイン酸変性ゴム)1Kgとを
配合し、二軸押出機((株)東芝機械製TEM35)を
用いて280℃の温度下押出し、ペレットとし、成形品
を得た。得られた評価結果を表12に示す。
【0159】
【表1】
【0160】
【表2】
【0161】
【表3】
【0162】
【表4】
【0163】
【表5】
【0164】
【表6】
【0165】
【表7】
【0166】
【表8】
【0167】
【表9】
【0168】
【表10】
【0169】
【表11】
【0170】
【表12】
【0171】
【発明の効果】本発明は、マトリックスであるポリアミ
ド中に均一にかつ微細に分散し、その界面においてポリ
アミドに極めて良好に固着、接着しているアパタイト型
化合物を含有するポリアミド樹脂組成物からなるガスア
シスト射出成形品である。したがって、本発明のガスア
シスト射出成形品は、剛性、強度、靭性、耐熱性に優
れ、かつガスアシスト射出成形性に優れるという特徴を
有する。このために、例えば、アウタードアハンドル、
ホイールキャップ、ルーフレール、ドアミラーベース、
ルームミラーアーム、サンバイザーアーム、サンルーフ
デフレクター等の自動車部品用途、及び机や椅子の脚、
座受け、肘掛け等の各種オフィス部品用途、更には、車
椅子部品、ドアハンドル、手摺り、浴室等の握り棒、窓
用ノブ、グレーティング材等工業用途などのガスアシス
ト射出成形品として非常に有用であることが期待され
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のガスアシスト射出成形性評価に用いる
成形品の平面図である。
【図2】図1のX―Y断面図である。
【図3】図1のM−N断面図である。
【図4】実施例1の物性評価用成形品から分離したアパ
タイト型化合物の広角X線回折測定結果である。
【図5】実施例6の物性評価用成形品から分離したアパ
タイト型化合物の広角X線回折測定結果である。
【図6】比較例1の物性評価用成形品から分離したアパ
タイト型化合物の広角X線回折測定結果である。
【図7】参照例1で用いた市販ヒドロキシアパタイトの
広角X線回折測定結果である。
【符号の説明】 A ガスチャンネル B ゲート入口 C 中空部 D 中空部長さ E 中空部肉厚 F 中空部内壁面 R8 直径8mmの半円状のガスチャンネル

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリアミドと、アパタイト型化合物から
    なることを特徴とするガスアシスト射出成形品。
  2. 【請求項2】 ポリアミド50〜99.5重量%と、フ
    ェノール溶媒に不溶な有機物を含有するアパタイト型化
    合物0.5〜50重量%からなり、該有機物がアパタイ
    ト型化合物100重量部あたり0.5〜100重量部で
    あることを特徴とするガスアシスト射出成形品。
  3. 【請求項3】 ポリアミド形成成分50〜99.5重量
    %と、アパタイト型化合物形成成分0.5〜50重量%
    とを配合し、ポリアミドの重合反応およびアパタイト型
    化合物の合成反応を進行させて得られるポリアミド樹脂
    組成物を用いることを特徴とするガスアシスト射出成形
    品。
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