JP3303181B2 - 大きな比表面積を有する多孔質金属体の製造方法 - Google Patents

大きな比表面積を有する多孔質金属体の製造方法

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JP3303181B2 JP20282794A JP20282794A JP3303181B2 JP 3303181 B2 JP3303181 B2 JP 3303181B2 JP 20282794 A JP20282794 A JP 20282794A JP 20282794 A JP20282794 A JP 20282794A JP 3303181 B2 JP3303181 B2 JP 3303181B2
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  • Powder Metallurgy (AREA)
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、大きな比表面積を有
する多孔質金属体の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、一般に各種機械装置の構造部材で
ある、例えばアルカリ2次電電池の電極の活物質保持
材、水電解電極、石油暖房機器の灯油噴霧化部材、磁気
シールドパッキン、爆薬を使用するエアクッションの気
体膨脹緩衝材、吸音材、並びに浄化器の水電解フィルタ
ー、空気清浄機の静電フィルター、エンジン排気ガスの
オイルミストフィルター、および高温排気集塵フィルタ
ーなどの各種フィルターなどとして多孔質金属体が用い
られており、これが、例えば特開平5−6763号公報
に記載され、図2に概略説明図で示されるように、無孔
金属体のスケルトン(骨格)からなり、かつ比表面積:
5〜75cm2 /cm3 、気孔率:92〜96%をもつこと
が知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】近年の各種機械装置の
高性能化および高出力化、さらに軽量化の面から、多孔
質金属体にもより一段の多孔質化、すなわち比表面積の
増大が望まれている。
【0004】
【課題を解決するための手段】そこで、本発明者等は、
上述のような観点から、上記の従来多孔質金属体に比し
てより大きな比表面積を有する多孔質金属体を開発すべ
く研究を行なった結果、原料として、水に、基本的に炭
素数5〜8の非水溶性炭化水素系有機溶剤、界面活性
剤、水溶性樹脂結合剤、および平均粒径:0.5〜50
0μmの金属粉を配合し、混合してなる混合物、望まし
くは重量%(質量%)で[以下、%は重量%(質量%)
を示す]、 炭素数5〜8の非水溶性炭化水素系有機溶剤:0.05
〜10%、 界面活性剤:0.05〜5%、 水溶性樹脂結合剤:0.5〜20%、 平均粒径:0.5〜500μmの金属粉:5〜80%、 必要に応じて、多価アルコール、油脂、エーテル、およ
びエステルのうちの1種または2種以上からなる可塑
剤:0.1〜15%、 水:残り、 からなる配合組成を有する混合物を用い、この混合物か
ら、例えば公知のドクターブレード法やスリップキャス
ト法などの方法で所定形状の成形体を成形し、この成形
体を5℃以上の温度に保持すると、上記非水溶性炭化水
素系有機溶剤は水よりも大きい蒸気圧を有するので、こ
れが気化し、ガスとなって成形体から蒸発することか
ら、成形体内には微細にして整寸の気泡が多数発生した
多孔質成形体が形成されるようになり、この多孔質成形
体は、上記水溶性樹脂結合剤によってハンドリング可能
な強度をもち、また上記可塑剤によって可塑性も具備
し、この状態の前記多孔質成形体を焼結すると、図1に
概略説明図で示されるスケルトン(骨格)が有孔金属焼
結体で構成された多孔質金属体が得られ、この結果の多
孔質金属体は、前記スケルトンを構成する有孔金属焼結
体が30〜55%の高い気孔率をもつことから、従来多
孔質金属体のもつ92〜96%の気孔率に比して同等あ
るいはこれより低い80〜97%の全体気孔率であるに
もかかわらず、これに比して一段と大きい1000cm2
/cm3 以上の比表面積をもつようになるという研究結果
を得たのである。
【0005】この発明は、上記の研究結果にもとづいて
なされたものであって、原料として、水に、基本的に炭
素数5〜8の非水溶性炭化水素系有機溶剤、界面活性
剤、水溶性樹脂結合剤、および平均粒径:0.5〜50
0μmの金属粉を配合し、混合してなる混合物、望まし
くは、 炭素数5〜8の非水溶性炭化水素系有機溶剤:0.05
〜10%、 界面活性剤:0.05〜5%、 水溶性樹脂結合剤:0.5〜20%、 平均粒径:0.5〜500μmの金属粉:5〜80%、 必要に応じて、多価アルコール、油脂、エーテル、およ
びエステルのうちの1種または2種以上からなる可塑
剤:0.1〜15%、 水:残り、 からなる配合組成を有する混合物を用い、この混合物か
ら成形体を成形し、この成形体に気泡を発生させて、微
細にして整寸の気泡が多数発生した多孔質成形体を形成
し、この多孔質成形体を焼結して、30〜55%の気孔
率を有する有孔金属焼結体のスケルトン(骨格)を形成
することにより、80〜97%の全体気孔率を有する多
孔質金属体を形成することからなる、大きな比表面積を
有する多孔質金属体の製造方法に特徴を有するものであ
る。
【0006】なお、この発明の方法において、多孔質金
属体を構成する有孔金属焼結体の気孔率は、主として原
料中の金属粉の平均粒径によって調整することができ、
したがってその平均粒径が0.5μm未満では気孔率が
30%未満となってしまい、多孔質金属体自体の比表面
積を1000cm2 /cm3 以上、同気孔率を80%以上に
することが困難になり、一方その平均粒径が500μm
を越えると、気孔率が55%を越えて大きくなってしま
い、この場合多孔質金属体自体の気孔率も97%を越え
て大きくなってしまい、所望の強度を確保することがで
きなくなるという理由で、有孔金属焼結体の気孔率、並
びに多孔質金属体自体の比表面積および気孔率を上記の
通りに定めたのである。
【0007】
【実施例】つぎに、この発明の多孔質金属体の製造方法
を実施例により具体的に説明する。まず、金属粉として
表1,2に示される平均粒径および組成を有する各種の
金属粉、有機溶剤として、ネオペンタン(以下、A−1
という)、ヘキサン(同じくA−2という、以下同
じ)、イソヘキサン(A−3)、ヘプタン(A−4)、
イソヘプタン(A−5)、ベンゼン(A−6)、オクタ
ン(A−7)、およびトルエン(A−8)、界面活性剤
として上記の市販の台所用中性合成洗剤、水溶性樹脂結
合剤として、メチルセルロース(以下、B−1とい
う)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(同じくB
−2という、以下同じ)、ヒドロキシエチルメチルセル
ロース(B−3)、カルボキシメチルセルロースアンモ
ニウム(B−4)、エチルセルロース(B−5)、およ
びポリビニルアルコール(B−6)、可塑剤として、ポ
リエチレングリコール(以下、C−1という)、オリー
ブ油(同じくC−2という、以下同じ)、石油エーテル
(C−3)、フタル酸ジNブチル(C−4)、およびソ
ルビタンモノオレート(C−5)をそれぞれ用意し、こ
れらを表1,2に示される配合組成で水に配合し、通常
の条件で混合することにより混合原料A〜Pをそれぞれ
調製した。
【0008】ついで、これらの各種の混合原料を、それ
ぞれキャビティ面に複数の微小貫通孔が設けられた石膏
型に注入して成形体とし、この成形体にそれぞれ表3,
4に示される条件で気泡形成(多孔質成形体形成)、脱
脂、および焼結を施すことにより直径:50mmφ×長
さ:100mmの寸法をもった本発明多孔質金属体1〜1
6をそれぞれ製造した。
【0009】また、比較の目的で、市販のポリウレタン
フォームの片側面(内側面)に厚さ:0.5μmの厚さ
でNiを蒸着して前記ポリウレタンフォームに導電性を
付与し、この状態で硫酸ニッケル水溶液中に浸漬し、陰
極として1A/dm2 の電流密度でNi電気メッキ処理を
施し、前記ポリウレタンフォームの貫通孔表面に平均厚
さ:75μmのNiメッキ層を形成し、ついでこれを水
素気流中、温度:1100℃に0.5時間保持の条件で
加熱して前記ポリウレタンフォームを燃焼させることに
より同じく直径:50mmφ×長さ:100mmの寸法をも
った従来多孔質金属体を製造した。
【0010】つぎに、この結果得られた各種の多孔質金
属体について、画像解析装置を併用して全体気孔率を測
定し、かつBET法にて全体比表面積を測定した。なお
本発明多孔質金属体1〜16においては、前記全体気孔
率の中にスケルトンの気孔率も含むものである。これら
の測定結果を測定個所:30ヶ所の平均値として表5に
示した。
【0011】
【表1】
【0012】
【表2】
【0013】
【表3】
【0014】
【表4】
【0015】
【表5】
【0016】
【発明の効果】表5に示される結果から、本発明多孔質
金属体1〜16は、いずれもこれを構成するスケルトン
が図1に示される通りの有孔金属焼結体からなり、かつ
前記有孔金属焼結体は30〜55%の高い気孔率を有す
るので、スケルトンが図2に示される通りの無孔金属体
からなる従来多孔質金属体に比して著しく大きい比表面
積をもつことが明らかである。上述のように、この発明
の方法によって製造された多孔質金属体は、きわめて大
きい比表面積を有するので、これの各種機械装置への構
造部材としての適用に際してすぐれた性能を発揮し、各
種機械装置の高性能化および高出力化、さらに軽量化に
十分満足に対応することができるのである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明多孔質金属体を示す概略説明図である。
【図2】従来多孔質金属体を示す概略説明図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平3−127608(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B22F 5/00 B01D 39/20 H01M 4/80

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 原料として、水に、基本的に炭素数5〜
    8の非水溶性炭化水素系有機溶剤、界面活性剤、水溶性
    樹脂結合剤、および平均粒径:0.5〜500μmの金
    属粉を配合し、混合してなる混合物を用い、 この混合物から成形体を成形し、 この成形体に気泡を発生させて、微細にして整寸の気泡
    が多数発生した多孔質成形体を形成し、 この多孔質成形体を焼結して、30〜55%の気孔率を
    有する有孔金属焼結体のスケルトン(骨格)を形成する
    ことにより、 80〜97%の全体気孔率を有する多孔質金属体を形成
    することを特徴とする大きな比表面積を有する多孔質金
    属体の製造方法。
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JP5803091B2 (ja) * 2010-11-25 2015-11-04 三菱マテリアル株式会社 誘電体フィルタ及びその製造方法
JP2012124391A (ja) * 2010-12-09 2012-06-28 Mitsubishi Materials Corp 伝熱制御部材

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