JP2012124391A - 伝熱制御部材 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】連続した骨格により形成される空孔が連通した三次元網目状構造を有する多孔質金属層2と、多孔質金属層2の片面に接合された緻密金属層3とを備えるとともに、多孔質金属層2は、30%〜98%の気孔率を有し、厚さが0.05mm〜50mmであり、緻密金属層3は、厚さが0.01mm〜0.1mmで多孔質金属層2より薄く形成される。
【選択図】 図1
Description
例えば、電子部品(発熱体)の温度変動よりも周辺環境の温度変動が大きい場合等に、電子部品の動作特性の安定等のために、周辺環境からの温度変動による電子部品への影響を緩和して、電子部品の温度を周辺環境温度に拘わらずにほぼ一定に維持するように制御する。また逆に、電子部品が温度変動する場合に、その温度変動の周辺環境温度への影響を低減するために、電子部品の温度変動に応じた放熱制御が必要になる。
また、代替案として、両伝熱ブロックの間に、複数の開口を有する輻射熱遮蔽板を移動可能に設けることも開示されている。
発泡金属は、連続した骨格と気孔による三次元網目状構造を容易に形成することができるとともに、発泡剤の発泡によって気孔率を広い範囲で調整することができ、要求される伝熱特性に合わせて好適な制御部材を提供することができる。
多孔質金属層の気孔率が厚さ方向に変化している状態とすることにより、気孔率が大きい部分では伝熱抑制作用が大きく、気孔率が小さい部分では伝熱抑制作用が小さくなり、これらを適宜に設計することにより、種々の伝熱特性のものを提供することができる。
多孔質金属層どうしを積層状態とすると、その接合部においては、金属からなる骨格の連続性が途切れるので、伝熱抑制効果を大きくしたい場合に有効である。
図1に示すように、本実施形態の伝熱制御部材1は、多孔質金属層2と、その片面を覆う緻密金属層3との二層構造からなっている。
多孔質金属層2はスラリー発泡法を用いて製造される。
金属粉末、バインダ(結着剤)、可塑剤、界面活性剤、発泡剤を溶媒の水とともに混練してスラリーを作製し、そのスラリーをドクターブレード法等により板状に成形し、脱脂、焼結することにより、多孔質金属体を作製する。
成形装置20は、ドクターブレード法を用いてシートを形成する装置であり、発泡性スラリーSが貯留されるホッパ21、ホッパ21から供給された発泡性スラリーSを移送するキャリヤシート22、キャリヤシート22を支持するローラ23、キャリヤシート22上の発泡性スラリーSを所定厚さに成形するブレード(ドクターブレード)24、発泡性スラリーSを発泡させる恒温・高湿度槽25、および発泡したスラリーを乾燥させる乾燥槽26を備えている。なお、キャリヤシート22の下面は、支持プレート27によって支えられている。
成形装置20においては、まず、発泡性スラリーSをホッパ21に投入しておき、このホッパ21から発泡性スラリーSをキャリヤシート22上に供給する。キャリヤシート22は図の右方向へ回転するローラ23および支持プレート27によって支持されており、その上面が図の右方向へと移動している。キャリヤシート22上に供給された発泡性スラリーSは、キャリヤシート22とともに移動しながらブレード24によって薄板状に成形される。
このようにして得られたグリーンシートGを例えば真空中、温度350℃〜650℃、25分〜35分の条件下で脱脂してグリーンシートG中のバインダを除去(脱脂)する。
そして、別に作製しておいた緻密金属層(金属箔)3をグリーンシートに重ねた状態とし、大気あるいは真空、不活性ガス、還元性ガス等の雰囲気下において、温度600℃〜1300℃、5分〜120分の条件下で焼結する。
焼結によりグリーンシートは、図2に示すように、連続した骨格4により形成される気孔5が連通した三次元網目状構造を有する多孔質金属層2となり、気孔率が70%〜98%とされる。この場合、グリーンシートにおいてキャリヤシートに接していた側とは反対側の表面に緻密金属層3が重ねられ、焼結により形成される多孔質金属層2は、緻密金属層3との接合面側から反対面にかけて厚さ方向に漸次気孔率が大きく(言い換えれば金属密度が小さく)なっている。
焼結工程後の多孔質金属層2は気孔率が70%以上であるが、70%以下の多孔質金属層2とする場合には、全体を圧延して厚さ方向に圧縮する。この圧縮により、気孔率を必要に応じて30%まで低下させる。
そして、多孔質金属層2の金属からなる骨格4による熱伝達作用と、緻密金属層3により覆われて気孔5内に閉じ込められた空気による伝熱抑制作用との両機能を適宜にバランスさせることにより、所望の伝熱特性を発揮することができる。
しかも、多孔質金属層2を緻密金属層3によって覆うだけの簡単な構成であり、安価な伝熱制御部材1とすることができる。
この図1に示す構造とは逆に、金属密度が小さい側を緻密金属層に接合し、金属密度が大きい側を発熱体に向けた仕様とすると、大きい金属密度により発熱体の熱を吸収し易くなり、放熱機能の方が重視された設計となる。
このように多孔質金属層2の全体の気孔率とともに、その気孔率(又は金属密度)が厚さ方向に差を有する構成とすることにより、幅広い伝熱特性のものを得ることができる。多孔質金属層2の気孔率を厚さ方向に段階的にあるいは漸次連続的に変化させる方法としては、例えば、グリーンシート成形時のキャリヤシートに離型剤を塗布するなどにより濡れ性を高めておくと、キャリヤシートに接していた側の気孔率を反対面側よりも大きく(金属密度を小さく)することができる。
なお、上記実施形態では、多孔質金属層として発泡金属を用いたが、これに限るものではなく、例えば、樹脂製スポンジの表面に金属めっきを施した後、樹脂製スポンジを焼失させることにより作製したり、樹脂製ビーズと金属粉末とを含むスラリーを板状に成形し、金属粉末を焼結するとともに樹脂製ビーズを焼失させることにより作製したりしてもよい。
また、多孔質金属層と緻密金属層とは、多孔質金属層の焼結時に両者を拡散接合することとしたが、これらの接合方法としては、多孔質金属層の焼結時に拡散接合する方法の他、多孔質金属層を焼結により作製した後に緻密金属層を拡散接合する方法、はんだ付け方法、ろう付け方法等の各種接合方法も適用可能である。
実施例1
まず、スラリー発泡法により多孔質金属層として多孔質ステンレスシートを作製した。
スラリー発泡法による多孔質ステンレスシートの具体的作製方法は、平均粒径20μmのSUS304ステンレス鋼の組成を持つ合金粉末を水アトマイズ法により作製し、結着剤としてポリビニルアルコールと、可塑剤としてグリセリンと、界面活性剤としてアルキルベンゼンスルホン酸塩と、発泡剤としてヘプタンとを、溶媒の水とともに混練することにより、スラリーを作製した。そのスラリーをドクターブレード法によりシート状に成形し、さらに100℃で20分乾燥することで溶媒を取り除きグリーンシート(焼結前駆体)を得た。これを真空脱気環境下において400℃で20分の脱脂、その後1000℃で1時間の焼成処理を施すことにより、多孔質ステンレスシート(多孔質金属層)を得た。得られた多孔質ステンレスシートの厚みは0.05mm、気孔率は30%、平均気孔径は50μmであった。
次に得られた多孔質ステンレスシートをSUS304ステンレス鋼の組成を持つ厚さ0.01mmのステンレス箔(緻密金属層)にはり合わせ、これを真空中、1000℃で1時間にて拡散接合し、図1に示す形状の、ステンレス箔(緻密金属層)と多孔質ステンレスシート(多孔質金属層)が一体化された実施例1の伝熱制御部材を得た。
まず、スラリー発泡法により多孔質金属層として多孔質アルミニウムシートを作製した。
スラリー発泡法による多孔質アルミニウムシートの具体的作製方法は、市販の平均粒径15μmのアルミニウム粉末(純度99%以上)と平均粒径10μmのチタン粉末(純度99%以上)を95:5の割合で乾式混合し、結着剤としてポリビニルアルコールと、可塑剤としてグリセリンと、界面活性剤としてアルキルベンゼンスルホン酸塩と、発泡剤としてヘプタンとを加え、溶媒の水とともに混練することにより、スラリーを作製した。そのスラリーをドクターブレード法によりシート状に成形し、さらに乾燥することで溶媒を取り除きグリーンシート(焼結前駆体)を得た。これをアルゴンガスフロー環境下において400℃で20分の脱脂、その後650℃で1時間の焼成処理を施すことにより、多孔質アルミニウムシート(多孔質金属層)を得た。得られた多孔質アルミニウムシートの厚みは50mm、気孔率は98%、平均気孔径は1000μmであった。
次に、緻密金属層として厚さ0.1mmのアルミニウム板(純度99%以上)を用意し、これに空気アトマイズ法により作製したAl−10mass%Si合金粉末と、カリウムとアルミニウム、フッ素を主成分とする市販のアルミニウムはんだ付け用フラックスとを95:5の割合で混合し、溶媒としてエタノールを用いペースト状としたろう材を塗布した。これに得られた多孔質アルミニウムシートをはり合わせ、アルゴンガスフロー環境中、600℃で20分にてろう付けし、実施例1と同様な形状の、アルミニウム板(緻密金属層)と多孔質アルミニウムシート(多孔質金属層)が一体化された実施例2の伝熱制御部材を得た。
まず、実施例2と同じ方法で多孔質アルミニウムシート焼結前駆体を2枚用意した。これらを重ね合わせ、実施例2と同じ方法で脱脂および焼成し、厚み方向の中間に多孔質アルミニウムシートどうしの接合面を持つ厚み2.0mm、気孔率70%、平均気孔径約300μmの多孔質アルミニウムシート(多孔質金属層)を作製した。
次に、緻密金属層として厚さ0.1mmのアルミニウム板(純度99%以上)を用意し、これに得られた多孔質アルミニウムシートを実施例2と同じ方法でろう付けし、図3に示す形状の、アルミニウム板と多孔質アルミニウムシートが一体化された実施例3の伝熱制御部材を得た。
比較例1として多孔質金属層を有しない緻密金属層のみとし、その緻密金属層として、厚さ0.06mmのSUS304ステンレス鋼の組成を持つステンレス板を用いた。
比較例2
比較例2として比較例1同様、多孔質金属層を有しない緻密金属層のみとし、その緻密金属層として、厚さ2.1mmのアルミニウム板(純度99%以上)を用いた。
まず、実施例1〜3の伝熱制御部材および比較例1〜2の部材を被試験体Xとして、図4に示すように断熱材31、制御熱源(発熱体)32、温度センサ33A、被試験体Xの順に積層した。また、被試験体Xから上方10mmの位置に温度センサ33Bを配置した。図4には被試験体Xとして実施例1の伝熱制御部材を用いたものを例示しており、図1と同様の符号を付した。なお、各被試験体Xおよび制御熱源32のサイズは40mm×40mmとした。
次に、制御熱源32を室温の20℃から一定の温度上昇率30℃/minで6分間昇温し、200℃まで加熱した。そのときの制御熱源32の温度と被試験体Xの上方の温度を測定した。測定温度から、制御熱源32と被試験体X上における温度上昇率を導いた。
実施例1〜3に示す伝熱制御部材および比較例1、2の部材を用いて評価した結果を表1に示す。なお伝熱制御部材上の温度上昇率は6分間の平均値とした。
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
2 多孔質金属層
3 緻密金属層
4 骨格
5 気孔
11 伝熱制御部材
2A,2B 多孔質金属層
Claims (4)
- 連続した骨格により形成される気孔が連通した三次元網目状構造を有する多孔質金属層と、該多孔質金属層の片面に接合された緻密金属層とを備えるとともに、前記多孔質金属層は、30%〜98%の気孔率を有し、厚さが0.05mm〜50mmであり、前記緻密金属層は、厚さが0.01mm〜0.1mmで前記多孔質金属層より薄いことを特徴とする伝熱制御部材。
- 前記多孔質金属層は金属粉末と発泡剤を含有する発泡性スラリーを成形して発泡及び焼結させてなる発泡金属であることを特徴とする請求項1記載の伝熱制御部材。
- 前記多孔質金属層は、その気孔率が厚さ方向に変化していることを特徴とする請求項1又は2記載の伝熱制御部材。
- 前記多孔質金属層は複数積層状態に接合されていることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の伝熱制御部材。
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