JPH09111310A - 多孔質焼結金属板及びその製造方法 - Google Patents

多孔質焼結金属板及びその製造方法

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JPH09111310A
JPH09111310A JP7272499A JP27249995A JPH09111310A JP H09111310 A JPH09111310 A JP H09111310A JP 7272499 A JP7272499 A JP 7272499A JP 27249995 A JP27249995 A JP 27249995A JP H09111310 A JPH09111310 A JP H09111310A
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porous sintered
slurry
sintered metal
molding
plate
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Koji Hoshino
孝二 星野
Yoshiyuki Mayuzumi
良享 黛
Toru Kono
通 河野
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Mitsubishi Materials Corp
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    • H01M4/02Electrodes composed of, or comprising, active material
    • H01M4/64Carriers or collectors
    • H01M4/70Carriers or collectors characterised by shape or form
    • H01M4/80Porous plates, e.g. sintered carriers
    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
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Abstract

(57)【要約】 【課題】巻回使用する電極に適すると共に、金属組成の
自由度が高く、かつ比表面積が非常に大きい多孔質焼結
金属板及びその製造方法を提供する。 【解決手段】金属粉末を含む発泡性スラリーを調製する
スラリー調製工程と、該発泡性スラリーをドクターブレ
ード法にて板状に成形する成形工程と、板状成形体を乾
燥する乾燥工程と、乾燥した板状成形体を焼成する焼成
工程とを有する多孔質焼結金属板の製造方法であって、
ドクターブレードの間隙を一方の端から他方の端に亘っ
て漸次大きくし、一方の端縁から他方の端縁にかけて厚
さが漸次増大する成形体を形成する。これにより、一方
の端から他端にかけて気孔率が連続的に変化する多孔質
金属板を得る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、二次電池電極の基
板などに有用な発泡構造を有する多孔質焼結金属板及び
その製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】密閉型ニッケルカドミニウム電池などの
ニッケル極板には、焼結式の多孔質の電極板が広く用い
られている。この電極板は、ニッケル塩等の活物質を充
填し、円筒型の電池として用いる場合には、カドミニウ
ムなどの負極板とセパレーターとを重ね合わせて渦巻き
状に巻回して用いられることが多い。
【0003】ところが、巻回の初期では巻回の半径が小
さいために、しばしば電極板が破断することが生じる。
また、完全に破断しない場合でも、亀裂が入れば導電性
が低下し、高率放電時に劣化が大きくなるという問題が
ある。このため、発泡ウレタン樹脂にニッケルメッキを
施してスポンジ状ニッケル多孔体を製造する際のニッケ
ルメッキ時に、ニッケル極と樹脂との距離を段階的に変
化させて、金属骨格が一端側から他端側にかけて段階的
に細くなるスポンジ状ニッケル電極板を製造し、これを
用いて巻回する際に、巻き始めには骨格が太く、巻き終
わりには骨格が細くなる方向に巻回する提案がなされて
いる(特開平4−184866号公報)。
【0004】これは、巻き始めの初期では巻回半径が小
さいのに対応させ、巻き始めの段階では電極板の金属骨
格を太くし、電極板の強度を高めて破断し難くし、捲回
が進むにつれて捲回半径が大きくなる部分の電極は、骨
格を細くし、これにより活物質充填量を大きくしてエネ
ルギー密度を高くするものである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、この方
法は、メッキ法を用いているために、製造できる多孔質
金属板の金属組成がメッキ可能な金属に制限されてしま
うという問題がある。また、製造方法が複雑で、しかも
得られる多孔質金属板の骨格構造が、被メッキ物の発泡
ウレタン樹脂の骨格形状に制限され、それほど比表面積
が大きくないという問題がある。
【0006】本発明は、上記事情に鑑みなされたもの
で、巻回使用する電極に適すると共に、金属組成の自由
度が高く、かつ比表面積が非常に大きい多孔質焼結金属
板及びその製造方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記目的を達
成するため、次の多孔質焼結金属板及びその製造方法を
提供する。 (1)金属粉末を含む発泡性スラリーを調製するスラリ
ー調製工程と、該発泡性スラリーをドクターブレード法
にて板状に成形する成形工程と、板状成形体を乾燥する
乾燥工程と、乾燥した板状成形体を焼成する焼成工程と
を有する多孔質焼結金属板の製造方法であって、ドクタ
ーブレードの間隙を一方の端から他方の端に亘って漸次
大きくし、一方の端縁から他方の端縁にかけて厚さが漸
次増大する成形体を形成することを特徴とする多孔質焼
結金属板の製造方法。 (2)得られた多孔質焼結金属板を更にスキンパス圧延
する上記(1)記載の多孔質焼結金属板の製造方法。 (3)金属粉末が焼結した発泡構造を有し、一方の端部
から他方の端部に亘って漸次気孔率が増加していること
を特徴とする多孔質焼結金属板。 (4)気孔率が85%以上である上記(3)記載の多孔
質焼結金属板。
【0008】本発明の多孔質焼結金属板は、金属粉末の
焼結体であり、一方の端部から他方の端部に亘って漸次
気孔率が増加する発泡構造を有する。このため、巻回電
極板を製造する場合、気孔率が小さい側から巻き始める
と、この気孔率が小さい部分は骨格が太く丈夫であるの
で、巻回の初期の巻回半径が小さい場合でも破断するお
それは少ない。また、金属粉末が焼結した発泡構造であ
るため、骨格自体が多孔質であり、このため比表面積が
非常に大きくなる。また、焼結する金属ならば全て使用
可能であるので、金属組成の自由度は非常に高い。
【0009】このような多孔質焼結金属板は、金属粉末
を含む発泡性スラリーを調製し、該発泡性スラリーをド
クターブレード法にて板状に成形した後、乾燥、焼成し
て多孔質焼結金属板を製造する際に、ドクターブレード
のブレードとキャリアシートとの間隙を、一方の端から
他方の端に亘って漸次大きくして成形する。これによっ
て、ドクターブレードから押し出されてきた直後の成形
体は、幅方向の一端から他端にかけて漸次厚みが増して
いるが、発泡が進み成形体の厚みが増加してくるにつれ
てこの厚みの差が少なくなり、乾燥後はほとんど厚みの
差がなくなってしまう。結局、成形体の厚みが少ない側
が発泡倍率が高くなり、幅方向の一方の端から他端にか
けて気孔率が漸次大きくなる発泡構造を持つようにな
る。
【0010】このような発泡構造を有する多孔質焼結金
属板を更にスキンパス圧延することによって、厚みを均
一化することができる。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て具体的に説明する。本発明の多孔質焼結金属板は、図
2のフローチャートに示すように、発泡性スラリー調製
工程、成形工程、発泡工程、乾燥工程、脱脂工程、焼結
工程により製造することができる。
【0012】まず、発泡性スラリーの調製は、例えば金
属粉末、水溶性樹脂結合剤、発泡剤、界面活性剤、水等
を含有するスラリーを調製する。ここで、金属粉末の種
類には限定はなく、例えばニッケル、銅、鉄、SUS、
クロム、コバルト、金、銀等の焼結する金属及び合金全
てが使用可能である。金属粉末の粒径は、平均粒径が5
00μm以下、特に0.5〜100μmの範囲が好まし
い。平均粒径が0.5μmより小さいと、気孔率が小さ
くなる場合があり、一方、平均粒径が500μmより大
きいと、できあがる多孔質焼結金属板の強度が弱くなり
すぎる場合がある。金属粉末のスラリー中における配合
量は、5〜80%(重量%、以下同様)、特に30〜8
0%の範囲が望ましい。
【0013】水溶性樹脂結合剤は、スラリーを乾燥させ
たときに多孔質成形体の形状を保持させる働きを有す
る。また、スラリーの粘度調整剤としても機能する。水
溶性樹脂結合剤としては、メチルセルロース、ヒドロキ
シプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロ
ース、カルボキシメチルセルロースアンモニウム、エチ
ルセルロース、ポリビニルアルコール等を例示すること
ができる。水溶性樹脂結合剤の配合量は、0.5〜20
%、特に2〜10%の範囲が好ましい。0.5%より配
合量が少ないと、乾燥成形体の強度が弱く、ハンドリン
グに差し支える場合があり、一方、20%より多いと、
粘度が高くなりすぎて成形が困難になる場合がある。
【0014】発泡剤は、ガスを発生して気泡を形成する
ことができればよく、一定の温度で分解してガスを発生
する化合物や、揮発性の有機溶剤などを選択することが
できる。揮発性の有機溶剤としては、例えば炭素数5〜
8の炭化水素系有機溶剤を挙げることができる。このよ
うな有機溶剤は常温で液体であり、揮発性で、スラリー
中においては界面活性剤の作用でミセルを形成し、常温
又は加熱下で気化して微細な気泡を形成する。炭素数5
〜8の炭化水素系有機溶剤としては、例えばペンタン、
ネオペンタン、ヘキサン、イソヘキサン、イソヘプタ
ン、ベンゼン、オクタン、トルエン等を挙げることがで
きる。発泡剤の配合量は、0.05〜10%、特に0.
5〜5%の範囲が好ましい。0.05%より少ない配合
量では、気泡の発生が不十分になり、気孔率が高くなら
ない場合があり、一方、10%より配合量を多くする
と、ミセルが大径化し、これに伴い成形体中に形成され
る気泡も大径化するため、得られる成形体及び焼結体の
強度が低下する場合がある。なお、発泡剤を使用する代
わりに、空気などの気体を激しく混合させる方法によっ
て、発泡性スラリーを調製することも可能である。
【0015】界面活性剤は、発泡状態を安定化し、発泡
剤のミセルを形成する作用があり、アルキルベンゼンス
ルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、アルキル硫
酸エステル塩、アルキルエーテル硫酸エステル塩、アル
カンスルホン酸塩等のアニオン系界面活性剤、ポリエチ
レングリコール誘導体、多価アルコール誘導体等の非イ
オン系界面活性剤等を例示することができる。界面活性
剤の配合量は、0.05〜5%、特に0.5〜3%の範
囲が好ましい。0.05%より配合量が少ないとミセル
の形成が不安定となり、微細な気泡を保つことが困難に
なる場合があり、一方、5%より多いとそれ以上の効果
が見られない場合がある。
【0016】本発明にかかる発泡性スラリーには、以上
の成分以外に、可塑剤、気孔形成促進用可燃剤等を配合
することができる。可塑剤は、成形体に可塑性を付与す
るためのもので、エチレングリコール、ポリエチレング
リコール、グリセリンなどの多価アルコール、鰯油、菜
種油、オリーブ油などの油脂、石油エーテル等のエーテ
ル類、フタル酸ジエチル、フタル酸ジNブチル、フタル
酸ジエチルヘキシル、フタル酸ジオクチル、ソルビタン
モノオレート、ソルビタントリオレエート、ソルビタン
パルミテート、ソルビタンステアレートなどのエステル
類等を例示することができる。可塑剤の配合量は、0.
1〜15%、特に2〜10%の範囲が好ましい。配合量
が0.1%より少ないと、可塑作用が不十分になる場合
があり、一方、15%より多いと、成形体の強度が不十
分になる場合がある。
【0017】また、気孔形成促進用可燃剤は、乾燥成形
体の焼成時に、消失させることによって、気孔の形成を
促進するためのものである。従って、粉末、繊維状など
の形状を保ち、焼成時に消失するものを選定することが
できる。具体的には、0.1〜200μm程度の粉末状
のもの、長さが200μm以下、好ましくは30〜12
0μm程度の繊維状のものがよい。材料としては、パル
プ、綿、糸くず、コーンスターチ、カルボキシメチルセ
ルローズ、非水溶性セルロース繊維、ポリビニルブチラ
ル樹脂、ポリビニル樹脂、アクリル樹脂、ポリエチレン
樹脂などを例示することができる。
【0018】本発明にかかる発泡性スラリーは、上記成
分を混合することによって得ることができる。この場
合、混合順序に制限はないが、混合中はできる限り発泡
を制限するために、発泡剤は最後に混合することが好ま
しい。なお、スラリーが発泡するとスラリーの粘度が低
下して成型性が悪くなるが、発泡剤を添加してからスラ
リーが発泡するまでの時間は、発泡剤の種類、添加量、
及び温度でコントロールが可能であり、これを適度にコ
ントロールし、流動性があるうちに成形することができ
る。また、スラリーの粘度は、20℃で、20000c
ps〜70000cpsの範囲、特に、30000〜5
5000cpsの範囲が好ましい。20000cpsよ
り粘度が低いと、乾燥時に発泡構造が崩壊する場合があ
り、一方、70000cpsより粘度が高いと、粘性が
大きくなりすぎて成形が困難になる場合がある。
【0019】次に、このように調製した発泡性スラリー
を板状に成形する。成形方法はドクターブレード法が適
している。ドクターブレード装置の概要を図3に示す。
この装置は、キャリアーシート10が巻かれた第1ロー
ル20と、これから送り出されたキャリアシート10を
巻き取る第2ロール21とを具備し、これら第1ロール
20と第2ロール21間を搬送するキャリアシート10
がいわばベルトコンベヤーの働きをする。そして、第1
ロール20側から第2ロール21側に、順にスラリー溜
30、発泡ゾーン40、乾燥ゾーン50が設けられてい
る。スラリー溜30は、第1ロール20近傍のキャリア
シートの上面に接して四角箱状であり、このスラリー溜
30のキャリアシート進行方向側の壁は、キャリアシー
トと調整可能な間隙を持って離間するドクターブレード
60が設けられ、成形体の厚さは、このドクターブレー
ド60とキャリアシート10との間の間隙で調整する。
スラリー溜30に調製した発泡性スラリーSを入れ、キ
ャリアーシート10を搬送させると、発泡性スラリーS
は、ドクターブレード60とキャリアシート10の間隙
から押し出されて所定の厚さを持った板状成形体1Aに
成形され、この板状成形体1Aはキャリアシート10に
運ばれて次の発泡ゾーン40に移動する。
【0020】本発明においては、図1に示すように、ド
クターブレードDBとキャリアシート10の間隙を幅方
向の一方の端部aから他方の端部bにかけて漸次大きく
なるようにする。具体的には、ドクターブレードDBの
幅wは、電極として巻回する長さ以上とすることが好ま
しく、また、ドクターブレードのキャリアシートとの最
小間隙h1 は0.2〜1.5mmの範囲、最大間隙h2
は、0.3〜2.0mmの範囲、h1 /h2 が、1.3
〜2.0の範囲とすることが好ましい。
【0021】このようなキャリアシート10に対して先
端を斜めに設置したドクターブレードを用いることによ
り、間隙から出てくる成形体1Aは、幅方向の一方の端
縁aから他方の端縁bにかけて漸次厚みが増大する。ま
た、ドクターブレード60として、図4に示すような、
二枚刃のブレードを用いることが好ましい。これは、2
枚の刃の間隙から大きい泡が除かれ、2枚目のブレード
とキャリアシートとの間隙から押し出されてくる板状成
形体に大きな泡が入らないこと、発泡性スラリーを入れ
た高さによらず成形体の厚さを均一にできるという知見
による。この場合、キャリアシート10下流側の1枚目
の第1ブレードB1の刃先とキャリアシートとの間隙G
1は、第2ブレードB2(図1におけるDB)の刃先の
キャリアシートとの間隙G2より大きくすることが好ま
しい。また、第1ブレードB1と第2ブレードB2の隙
間Dは、例えば5〜20mm程度とすることが好まし
い。
【0022】発泡ゾーンは、成形体を乾燥させる前に、
十分に発泡を完了させる工程である。成形直後に乾燥さ
せると、成形体表面が先に乾燥され、表皮が生じた状態
になり、成形体内部の発泡や水分の蒸発が妨げられて、
発泡が不均一になる場合がある。このため、成形工程と
乾燥工程の間に、発泡工程を設けることが好ましい。
【0023】発泡の条件は、発泡と同時に乾燥させる
と、成形体表面に亀裂が生じやすいので、発泡中はでき
る限り乾燥を防止するため、高湿度の雰囲気下で行うこ
とが好ましい。具体的には、例えばスラリー粘性が35
000cps以上の時、湿度は65%以上、好ましくは
湿度は80%以上である。湿度が65%より低いと、乾
燥時に成形体表面に割れが入るおそれがある。発泡温度
は15〜65℃、特に28〜40℃の範囲が好ましい。
発泡温度が15℃より低いと、発泡に例えば2時間以上
かかる場合があり、65℃を超えると成形体が発泡しす
ぎて成形体が崩壊する場合がある。発泡時間は、通常1
0〜45分の範囲である。
【0024】発泡成形体1Bは、発泡ゾーン40に続い
て乾燥ゾーン50に搬送され、ここで乾燥される。乾燥
前の気泡は、水膜が存在することによって維持されてい
る。このとき、スラリーは気泡と気泡との界面に凝集
し、骨格構造(発泡体構造)を形成する。そのままの状
態で水膜が割れると骨格を形成しているスラリーが流動
し、骨格構造が崩壊してしまう。そのような崩壊が起こ
らないように乾燥すれば、発泡体構造の成形体を得るこ
とができる。できる限り水膜の崩壊を生じさせないよう
に乾燥するためには、速やかに乾燥させる。これには遠
赤外線乾燥が適している。また、スラリー中の水分がほ
んの少し蒸発すると粘性が著しく増大するようなスラリ
ー組成としておくことが好ましい。
【0025】乾燥工程の具体的な条件は、例えば遠赤外
線を用い、ヒーター温度120〜180℃、雰囲気温度
40〜80℃、乾燥時間20〜120分の条件を採用す
ることができる。これにより、板状の乾燥成形体1Cを
得ることができる。この乾燥成形体1Cの厚さは、発泡
により、通常、成形体の厚さの3〜8倍の厚さになる。
本発明による成形体1Aは、上述したように、幅方向の
一端から他端にかけて漸次厚さが増大するように成形さ
れるが、これらの発泡工程と乾燥工程で、厚みの少ない
端部側の発泡が、厚みがある他方の端部側よりも進み、
全体として厚さが均一に近い乾燥成形体1Cが得られ
る。このため、乾燥成形体1Cの厚みを薄くして成形し
た側の部分が発泡率が高く、その結果気孔率が高くな
り、成形体の厚みを厚くして成形した側の部分の発泡率
が低くなり、その結果気孔率が低くなり、一方の端縁か
ら他方の端縁にかけて気孔率が漸次高くなる乾燥成形体
1Cとなる。
【0026】図3に示したドクターブレード装置では、
乾燥成形体1Cを乗せたキャリアシート10を下側直角
方向に折曲させながら搬送させることで、乾燥成形体
(グリーン体)1Cとキャリアシート10とを分離して
いる。続いて乾燥成形体1Cは、カッター70により所
定の長さ毎に切断され、次の焼成工程に送られる。な
お、説明では、成形工程、発泡工程及び乾燥工程を連続
で行う例を説明したが、これらの工程をそれぞれ別個の
装置を用いても良いことは勿論である。
【0027】次に、乾燥成形体1Cを焼成する。焼成工
程は、脱脂工程と焼結工程との2段階の工程とすること
が好ましい。脱脂工程は、有機物(バインダー等)を揮
散させる工程であり、焼結は、金属粉末を焼結させる工
程である。また、これらの工程は連続とすることができ
る。
【0028】脱脂工程は、例えば空気雰囲気下あるいは
水素ガスなどの還元ガス雰囲気下で、300〜700℃
程度の温度で10〜60分の時間焼成することができ
る。また、焼結工程は、金属粉末の種類に応じて、アン
モニア分解ガス雰囲気、水素ガスのような還元性雰囲気
下、あるいは真空中、さらには空気中の雰囲気で、80
0〜1400℃程度の温度で20〜120分間焼成する
ことが好ましい。脱脂・焼結時に、体積が約20%収縮
するので、脱脂、焼結は、グラファイト板などの滑りの
よい敷板に乗せて行うことが好ましい。
【0029】焼結工程後、スキンパス圧延などで厚さを
変えても良く、これにより厚みを平坦化することができ
る。かくして表面積が大きく、一方に端から他方の端に
かけて気孔率が連続的に変化する発泡構造の多孔質焼結
金属板を得ることができる。かかる多孔質焼結金属板
は、図4に示すようなスラリーの調製方法、発泡方法、
乾燥方法、焼成方法等の違いにより、例えば図5(A)
に示すような泡一層、(B)に示すような閉気孔構造、
(C)に示すような表面が閉口した構造、(D)に示す
ような表面が開口した構造など種々の細孔構造とするこ
とが可能である。
【0030】本発明の多孔質焼結金属板は、三次元網状
骨格が金属粉末の焼結体であるので、骨格自体が多孔質
である。このため、表面積が非常に大きく、例えばBE
T比表面積が300〜1500cm2 /cm3 の範囲の
多孔質焼結金属板となる。また、発泡体の孔径が非常に
小さく、100μm未満の孔径を有するものを容易に得
ることができ、具体的には、平均孔径が60〜600μ
mの範囲のもので、気孔率が80容量%以上のものを製
造することができる。
【0031】本発明の多孔質焼結金属板は、上記特徴を
有するため、例えばアルカリ二次電池の電極の活物質保
持材として、巻回使用する用途に適している。例えば、
水酸化ニッケル等の活物質を浸漬などの方法で多孔質焼
結金属板の空孔に充填し、セパレーターと共に他の金属
電極板との3層とした状態で巻回し、円筒型電池を構成
するスパイラル状電極とすることができる。この場合、
本発明の多孔質焼結金属板は、気孔率が一方の端部から
他方の端部にかけて連続的に増加している。このため、
気孔率の小さい側を内側にして巻回することで、巻回半
径が小さく、応力が強くかかるスパイラルの内側におい
て、多孔質焼結金属板の強度の高い部分を用いることが
でき、破断や亀裂の発生を可及的に防止することができ
る。
【0032】また、本発明の多孔質焼結金属板は、二次
電池の電極のみならず、多孔質焼結金属板の一般的な用
途、例えば、水電解電極、石油暖房機器の灯油噴霧化部
材、磁気シールドパッキン、爆薬を使用するエアクッシ
ョンの気体膨張緩衝材、吸音材、浄化機の水電解フィル
ター、空気浄化機の静電フィルター、エンジン排ガスの
オイルミストフィルター、石油ストーブなどの燃焼機器
の脱臭触媒、高温排気集塵フィルター、アルミニウムを
気孔中に高圧充填した複合材(CRM)の基材、工業用
触媒、坦体等に使用可能である。
【0033】
【実施例】以下、具体的に本発明の実施例について説明
する。金属粉末、水溶性樹脂結合剤(バインダー)、発
泡剤及び界面活性剤を表1に示す配合組成(重量%)に
て調製した。
【0034】
【表1】 *HPMC:ヒドロキシプロピルメチルセルロース MC :メチルセルロース CMCA:カルボキシメチルセルロースアンモニウム DBS :ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム このように調製した発泡性スラリーを、図3に示したよ
うなドクターブレード装置を用いて板状成形体を得た。
この場合、図1に示すように、キャリアシートに対して
ブレードの刃を垂直方向斜めに設置し、図中aの最小間
隙h1 を1.0mm、bの最大間隙h2 を1.5mmに
配置した。ドクターブレードの幅wは20cmである。
【0035】次に、成形体を40℃に30分間保持して
成形体を発泡させた。その後、ヒーター温度160℃に
設定した遠赤外線乾燥機を用いて乾燥ゾーンを通過させ
て乾燥成形体(グリーン体)を得た。次いで、この成形
体を進行方向と直角に切断し、グラファイト板上に乗
せ、空気中、450℃で30分間保持して脱脂した。次
いで、水素ガス雰囲気下で1300℃に1時間保持して
焼結し、発泡構造を有する多孔質焼結金属板を得た。焼
結によって、焼結体は、全体にグリーン体よりも長さで
約20%収縮していた。
【0036】また、得られたそれぞれの多孔質焼結金属
板の一方の端部の厚さと他方の端部の厚さを測定し、次
いで一部を切り出し、樹脂埋めし、断面を研磨し、画像
解析装置を用いて、一方の端部から他方の端部に至る2
cm毎の気孔率の変化を測定した。この結果を図6及び
表2に示した。また、BET法で比表面積を測定した。
結果を表2に併記する。
【0037】更に、得られた多孔質焼結金属板を更にス
キンパス圧延し、同じように一方の端部から他方の端部
に至る気孔率の変化を2cm毎に測定した。結果を表3
に示す。
【0038】
【表2】
【0039】
【表3】
【0040】
【発明の効果】本発明の多孔質焼結金属板の製造方法に
よれば、一方の端から他端にかけて気孔率が連続的に変
化し、金属組成の自由度が高く、比表面積が大きい発泡
構造の多孔質焼結金属板を容易に得ることができる。
【0041】また、本発明の多孔質焼結金属板は、一方
の端部から他方の端部にかけて気孔率が連続的に変化す
ると共に、比表面積が大きく、巻回使用する円筒型電池
の電極として好適である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明方法におけるドクターブレードの配置を
示す概略図である。
【図2】本発明方法の製造工程を示すフローチャートで
ある。
【図3】ドクターブレード装置の概略を示す断面図であ
る。
【図4】2枚刃のドクターブレードを示す概略断面図で
ある。
【図5】本発明方法により得られた多孔質焼結金属の発
泡構造の例を示す概略断面図である。
【図6】実施例で作製した多孔質焼結金属板の幅方向の
気孔率の変化を示すグラフである。
【符号の説明】
DB ドクターブレード 1A 成形体 1B 発泡体 1C 乾燥成形体 h1 ドクターブレードの最小間隙 h2 ドクターブレードの最大間隙

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】金属粉末を含む発泡性スラリーを調製する
    スラリー調製工程と、該発泡性スラリーをドクターブレ
    ード法にて板状に成形する成形工程と、板状成形体を乾
    燥する乾燥工程と、乾燥した板状成形体を焼成する焼成
    工程とを有する多孔質焼結金属板の製造方法であって、 ドクターブレードの間隙を一方の端から他方の端に亘っ
    て漸次大きくし、一方の端縁から他方の端縁にかけて厚
    さが漸次増大する成形体を形成することを特徴とする多
    孔質焼結金属板の製造方法。
  2. 【請求項2】得られた多孔質焼結金属板を更にスキンパ
    ス圧延する請求項1記載の多孔質焼結金属板の製造方
    法。
  3. 【請求項3】金属粉末が焼結した発泡構造を有し、一方
    の端部から他方の端部に亘って漸次気孔率が増加してい
    ることを特徴とする多孔質焼結金属板。
  4. 【請求項4】気孔率が85%以上である請求項3記載の
    多孔質焼結金属板。
JP7272499A 1995-09-27 1995-10-20 多孔質焼結金属板及びその製造方法 Withdrawn JPH09111310A (ja)

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DE69620699T DE69620699T2 (de) 1995-09-27 1996-09-26 Verfahren und Vorrichtung zur Herstellung von porösen Metallplatten
TW85111915A TW381981B (en) 1995-09-27 1996-09-26 Method and apparatus for making sintered porous metal plate
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005311349A (ja) * 2004-03-25 2005-11-04 Sumitomo Bakelite Co Ltd 配線基板
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CN114734065A (zh) * 2022-06-13 2022-07-12 天津大学 具有多级可调刮粉功能的金属粉末增材制造装置和方法

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