JPH0987706A - 多孔質金属体の接合方法 - Google Patents

多孔質金属体の接合方法

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JPH0987706A
JPH0987706A JP24990195A JP24990195A JPH0987706A JP H0987706 A JPH0987706 A JP H0987706A JP 24990195 A JP24990195 A JP 24990195A JP 24990195 A JP24990195 A JP 24990195A JP H0987706 A JPH0987706 A JP H0987706A
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porous metal
slurry
porous metallic
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JP24990195A
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Koji Hoshino
孝二 星野
Yoshiyuki Mayuzumi
良享 黛
Toru Kono
通 河野
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Original Assignee
Mitsubishi Materials Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】接合部分での構造の変化を可及的に防止しなが
ら種々の形状の多孔質金属体の接合体を製造できる多孔
質金属体の接合方法を提供する。 【解決手段】三次元網状骨格構造を有する多孔質金属体
3A、3B相互の接合すべき面に、接合剤として、金属
粉末、水溶性樹脂結合剤及び界面活性剤を含有するスラ
リー剤S’を塗布した後、これらの面を密着させて乾
燥、焼成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、発泡構造を有する
多孔質金属体を接合して所望の形状に組み立てる多孔質
金属体の接合方法に関する。
【0002】
【従来の技術】本発明者らは、金属粉末を含有する発泡
性スラリーを調製し、これを成形、乾燥、焼成して得る
発泡構造を有するスポンジ状の多孔質焼結金属体を開発
した。この多孔質燒結金属体は、成形後乾燥した乾燥成
形体(グリーン体)を焼結して製造するが、その焼結時
に全体が約20%程度収縮し、その収縮によって割れる
場合があるので、大面積の平板状のものを得ることが困
難である。
【0003】また、金属粉末を含む発泡性スラリーから
直接厚手のものを製造する場合、発泡工程に著しく時間
を要し(例えば厚さ3cmのものを製造しようとする
と、約4時間かかる)、工業的に不利である。このた
め、焼結時に割れない大きさの多孔質金属板を製造し、
これを接合して所望の大面積や、厚手のものを得る技術
が必要である。
【0004】従来、多孔質金属板の接合方法としては、
例えば金属多孔体シートと別の金属多孔体シートの端部
相互を熱可塑性樹脂を介在させて重ね合わせ、この熱可
塑性樹脂の軟化点以上の温度に加熱すると共に、シート
の重合部を加圧圧縮する方法がある(特公昭61−65
01号公報)。
【0005】また、接合すべき2個の発泡金属部材の被
接合端面相互を突き合わせて、この突き合わせ部に溶融
金属を流し込んで相互の発泡金属部材を接合する方法が
ある(特公平4ー68071号公報)。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前者の
方法は、接合部では発泡金属の密度は2倍になってしま
い、接合部での気孔率が小さくなって、得られる接合体
の細孔構造が不均一化するという問題がある。また、後
者の方法でも、接合部での密度が変化し、やはり接合部
で構造が不均一化するという問題がある。これら両者の
方法は、何れも接合部ではその他の部分と構造が相違し
てしまい、接合部での性能の低下は避けられない。
【0007】本発明は、上記事情に鑑みなされたもの
で、接合部分での構造の変化を可及的に防止しながら種
々の形状の多孔質金属体の接合体を製造できる多孔質金
属体の接合方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記目的を達
成するため、次の多孔質金属体の接合方法を提供する。 (1)三次元網状骨格構造を有する多孔質金属体相互を
接合する方法であって、前記多孔質金属体相互の接合す
べき面に、接合剤として、金属粉末、水溶性樹脂結合剤
及び界面活性剤を含有するスラリー剤を塗布した後、こ
れらの面を密着させて乾燥、焼成することを特徴とする
多孔質金属体の接合方法。 (2)接合剤として用いるスラリー剤が発泡剤を含有す
る上記(1)記載の多孔質金属体の接合方法。 (3)多孔質金属体が、金属粉末を含有する発泡性スラ
リーの調製、成形、乾燥、焼成によって得られるもので
ある上記(1)又は(2)記載の多孔質金属体の接合方
法。 (4)多孔質金属板の端面相互を接合する上記(1)〜
(3)いずれかに記載の多孔質金属体の接合方法。 (5)気孔率が異なる複数の多孔質金属体を重ね合わせ
て接合する上記(1)〜(3)いずれかに記載の多孔質
金属体の接合方法。
【0009】本発明の多孔質金属体の接合方法は、接合
剤として金属粉末、水溶性樹脂結合剤、及び界面活性剤
を含むスラリー剤を用いるものである。上述したよう
に、本発明者らは、金属粉末を含有する発泡性スラリー
を調製し、これを成形、乾燥、焼成して得る発泡構造を
有するスポンジ状の多孔質焼結金属体を開発したが、本
発明は、その原料である発泡性スラリーが金属多孔質体
の接合剤としても有効であるとの知見に基づくものであ
る。
【0010】即ち、該スラリー剤を塗布して多孔質金属
体相互を密着させて乾燥すると、水溶性有機バインダー
の働きでこれらの多孔質金属体を接着し、更に焼成する
と、水溶性有機バインダーは消失するが、水溶性有機バ
インダーに保持されていた金属粉末が多孔質金属体の骨
格と焼結し、また金属粉末同士が焼結し、これにより多
孔質金属体相互を接合できる。
【0011】この場合、スラリー剤に発泡剤が含まれて
いると、スラリーの発泡により、スラリーが多孔質金属
体の骨格内に入り込み、接合面での金属粉末の濃度が薄
くなるので、接合部分での多孔質金属体の気孔径などの
変化が少なくなる。また、かかる接合方法の対象となる
多孔質金属体は、その種類に制限はないが、本発明者ら
が提案した方法による多孔質金属体に対し、特に有効で
ある。
【0012】これにより、重ねて接合することにより厚
手のものを、多孔質金属板の端面相互を接合することに
より大面積のものを容易に得ることができる。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て具体的に説明する。本発明の多孔質金属体の接合法
は、上述したように、三次元網状骨格構造を有する多孔
質金属体相互を接合するものである。
【0014】ここで、多孔質金属体の種類に制限はな
く、例えば、発泡ウレタンフォームなどにメッキを施し
た後、焼成する方法(特開平4−002759号公
報)、接着剤を塗着した発泡ウレタンフォーム等に金属
粉末を付着させた後、焼成する方法(特開平3−188
203号公報)、微細水溶性結晶体を充填した容器内に
低融点金属を加圧注入して凝固させた後、水溶性結晶体
を水洗して除去する方法(特開昭59−001651号
公報)等の方法により得られた多孔質金属板を用いるこ
とができる。
【0015】特に、本発明者らが開発した金属粉末を含
有する発泡性スラリーを調製し、これを成形、乾燥、焼
成して得る発泡構造を有するスポンジ状の多孔質焼結金
属体が好ましい。この多孔質焼結金属体の製造方法につ
いて、具体的に説明すると、金属粉末を含有する発泡性
スラリーの調製、成形、発泡、乾燥、焼成によって得る
ことができる。
【0016】発泡性スラリーの調製は、例えば金属粉
末、水溶性樹脂結合剤(バインダー)、発泡剤、界面活
性剤、水等を含有するスラリーを調製する。ここで、金
属粉末の種類には限定はなく、例えばニッケル、金、
銀、銅、鉄、SUS、クロム、コバルト等の焼結する金
属及び合金全てが使用可能である。金属粉末の粒径は、
平均粒径が500μm以下、特に0.5〜100μmの
範囲が好ましい。平均粒径が0.5μmより小さいと、
気孔率が小さくなる場合があり、一方、平均粒径が50
0μmより大きいと、できあがる多孔質金属板の強度が
弱くなりすぎる場合がある。金属粉末のスラリー中にお
ける配合量は、5〜80%(重量%、以下同様)、特に
30〜80%の範囲が望ましい。
【0017】水溶性樹脂結合剤は、バインダーとしてス
ラリーを乾燥させたときに多孔質成形体の形状を保持さ
せる働きを有する。また、スラリーの粘度調整剤として
も機能する。水溶性樹脂結合剤としては、メチルセルロ
ース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキ
シエチルセルロース、カルボキシメチルセルロースアン
モニウム、エチルセルロース、ポリビニルアルコール等
を例示することができる。水溶性樹脂結合剤の配合量
は、0.5〜20%、特に2〜10%の範囲が好まし
い。0.5%より配合量が少ないと、乾燥成形体の強度
が弱く、ハンドリングに差し支える場合があり、一方、
20%より多いと、粘度が高くなりすぎて成形が困難に
なる場合がある。
【0018】発泡剤は、ガスを発生して気泡を形成する
ことができればよく、一定の温度で分解してガスを発生
する化合物や、揮発性の有機溶剤などを選択することが
できる。揮発性の有機溶剤としては、例えば炭素数5〜
8の炭化水素系有機溶剤を挙げることができる。このよ
うな有機溶剤は常温で液体であり、揮発性で、スラリー
中においては界面活性剤の作用でミセルを形成し、常温
又は加熱下で気化して微細な気泡を形成する。炭素数5
〜8の炭化水素系有機溶剤としては、例えばペンタン、
ネオペンタン、ヘキサン、イソヘキサン、イソヘプタ
ン、ベンゼン、オクタン、トルエン等を挙げることがで
きる。発泡剤の配合量は、0.05〜10%、特に0.
5〜5%の範囲が好ましい。0.05%より少ない配合
量では、気泡の発生が不十分になり、気孔率が高くなら
ない場合があり、一方、10%より配合量を多くする
と、ミセルが大径化し、これに伴い成形体中に形成され
る気泡も大径化するため、得られる成形体及び焼結体の
強度が低下する場合がある。なお、発泡剤を使用する代
わりに、空気などの気体を激しく混合させる方法によっ
て、発泡性スラリーを調製することも可能である。
【0019】界面活性剤は、発泡状態を安定化し、発泡
剤のミセルを形成する作用があり、アルキルベンゼンス
ルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、アルキル硫
酸エステル塩、アルキルエーテル硫酸エステル塩、アル
カンスルホン酸塩等のアニオン系界面活性剤、ポリエチ
レングリコール誘導体、多価アルコール誘導体等の非イ
オン系界面活性剤等を例示することができる。界面活性
剤の配合量は、0.05〜5%、特に0.5〜3%の範
囲が好ましい。0.05%より配合量が少ないとミセル
の形成が不安定となり、微細な気泡を保つことが困難に
なる場合があり、一方、5%より多いとそれ以上の効果
が得られない場合がある。
【0020】本発明にかかる発泡性スラリーには、以上
の成分以外に、可塑剤、気孔形成促進用可燃剤等を配合
することができる。可塑剤は、成形体に可塑性を付与す
るためのもので、エチレングリコール、ポリエチレング
リコール、グリセリンなどの多価アルコール、鰯油、菜
種油、オリーブ油などの油脂、石油エーテル等のエーテ
ル類、フタル酸ジエチル、フタル酸ジNブチル、フタル
酸ジエチルヘキシル、フタル酸ジオクチル、ソルビタン
モノオレート、ソルビタントリオレエート、ソルビタン
パルミテート、ソルビタンステアレートなどのエステル
類等を例示することができる。可塑剤の配合量は、0.
1〜15%、特に2〜10%の範囲が好ましい。配合量
が0.1%より少ないと、可塑作用が不十分になる場合
があり、一方、15%より多くすると、成形体の強度が
不十分になる場合がある。
【0021】また、気孔形成促進用可燃剤は、成形乾燥
体の焼成時に、消失させることによって、気孔の形成を
促進するためのものである。従って、粉末、繊維状など
の形状を保ち、焼成時に消失するものを選定することが
できる。具体的には、0.1〜200μm程度の粉末状
のもの、長さが200μm以下、好ましくは30〜12
0μm程度の繊維状のものがよい。材料としては、パル
プ、綿、糸くず、コーンスターチ、カルボキシメチルセ
ルローズ、非水溶性セルロース繊維、ポリビニルブチラ
ル樹脂、ポリビニル樹脂、アクリル樹脂、ポリエチレン
樹脂などを例示することができる。
【0022】本発明にかかる発泡性スラリーは、上記成
分を混合することによって得ることができる。この場
合、混合順序に制限はないが、混合中はできる限り発泡
を制限するために、発泡剤は最後に混合することが好ま
しい。なお、スラリーが発泡するとスラリーの粘度が低
下して成形性が悪くなるが、発泡剤を添加してからスラ
リーが発泡するまでの時間は、発泡剤の種類、添加量、
及び温度でコントロールが可能であり、これを適度にコ
ントロールし、流動性があるうちに成形することができ
る。また、スラリーの粘度は、20℃で、20000c
ps〜70000cpsの範囲、特に、30000〜5
5000cpsの範囲が好ましい。20000cpsよ
り粘度が低いと、乾燥時に発泡構造が崩壊する場合があ
り、一方、70000より粘度が高いと、粘性が大きく
なりすぎて成形が困難になる場合がある。
【0023】次に、このように調製した発泡性スラリー
を板状に成形する。成形方法には、特に制限はないが、
ドクターブレード法が適している。ドクターブレード装
置の概要を図3に示す。この装置は、キャリアーシート
10が巻かれた第1ロール20と、これから送り出され
たキャリアシート10を巻き取る第2ロール21とを具
備し、これら第1ロール20と第2ロール21間を搬送
するキャリアシート10がいわばベルトコンベヤーの働
きをする。そして、第1ロール20側から第2ロール2
1側に、順にスラリー溜30、発泡ゾーン40、乾燥ゾ
ーン50が設けられている。スラリー溜30は、第1ロ
ール20近傍のキャリアシートの上面に接して四角箱状
であり、このスラリー溜30のキャリアシート進行方向
側の壁は、キャリアシートと調整可能な間隙を持って離
間するドクターブレード60が設けられ、成形体の厚さ
は、このドクターブレード60とキャリアシート10と
の間の間隙で調整する。スラリー溜30に調製した発泡
性スラリーSを入れ、キャリアーシート10を搬送させ
ると、発泡性スラリーSは、ドクターブレード60とキ
ャリアシート10の間隙から押し出されて所定の厚さを
持った板状成形体2Aに成形され、この板状成形体2A
はキャリアシート10に運ばれて次の発泡ゾーン40に
移動する。
【0024】また、ドクターブレード60として、図4
に示すような、二枚刃のブレードを用いることが好まし
い。これは、2枚の刃の間隙から大きい泡が除かれ、2
枚目のブレードとキャリアシートとの間隙から押し出さ
れてくる板状成形体に大きな泡が入らないこと、発泡性
スラリーを入れた高さによらず成形体の厚さを均一にで
きるという知見による。この場合、キャリアシート10
下流側の1枚目の第1ブレードB1の刃先とキャリアシ
ートとの間隙G1は、第2ブレードB2の刃先のキャリ
アシートとの間隙G2より大きくすることが好ましい。
また、第1ブレードB1と第2ブレードB2の隙間D
は、例えば5〜20mm程度とすることが好ましい。更
に、第2ブレードB2のキャリアシート10との間隙G
2は、0.2〜2mmの範囲が適当である。
【0025】発泡ゾーンは、成形体を乾燥させる前に、
十分に発泡を完了させる工程である。成形直後に乾燥さ
せると、成形体表面が先に乾燥され、表皮が生じた状態
になり、成形体内部の発泡や水分の蒸発が妨げられて、
発泡が不均一になる場合がある。このため、成形工程と
乾燥工程の間に、発泡工程を設けることが好ましい。
【0026】発泡の条件は、発泡と同時に乾燥させる
と、成形体表面に亀裂が生じやすいので、発泡中はでき
る限り乾燥を防止するため、高湿度の雰囲気下で行うこ
とが好ましい。具体的には、例えばスラリー粘性が35
000cps以上の時、湿度は65%以上、好ましくは
80%以上である。湿度が65%より低いと、乾燥時に
成形体表面に割れが入るおそれがある。発泡温度は15
〜65℃、特に28〜40℃の範囲が好ましい。発泡温
度が15℃より低いと、発泡に例えば2時間以上かかる
場合があり、65℃を超えると成形体が発泡しすぎて成
形体が崩壊する場合がある。発泡時間は、通常10〜4
5分の範囲である。発泡により、発泡成形体1Bの厚さ
は発泡前の成形体の約3〜8倍程度に厚くなる。
【0027】発泡成形体2Bは、発泡ゾーン40に続い
て乾燥ゾーン50に搬送され、ここで乾燥される。乾燥
前の気泡は、水膜が存在することによって維持されてい
る。このとき、スラリーは気泡と気泡との界面に凝集
し、骨格構造(発泡体構造)を形成する。そのままの状
態で水膜が割れると骨格を形成しているスラリーが流動
し、骨格構造が崩壊してしまう。そのような崩壊が起こ
らないように乾燥すれば、発泡体構造の成形体を得るこ
とができる。できる限り水膜の崩壊を生じさせないよう
に乾燥するためには、速やかに乾燥させる。これには遠
赤外線乾燥が適している。また、スラリー中の水分がほ
んの少し蒸発すると粘性が著しく増大するようなスラリ
ー組成としておくことが好ましい。
【0028】乾燥工程の具体的な条件は、例えば遠赤外
線を用い、ヒーター温度120〜180℃、雰囲気温度
40〜80℃、乾燥時間20〜120分の条件を採用す
ることができる。これにより、板状の乾燥成形体2Cを
得ることができる。図3に示したドクターブレード装置
では、乾燥後の成形体2Cを乗せたキャリアシート10
を下側直角方向に折曲させながら搬送させることで、乾
燥成形体(グリーン体)2Cとキャリアシート10とを
分離している。続いて乾燥成形体2Cは、カッター70
により所定の長さ毎に切断され、次の焼成工程に送られ
る。なお、説明では、成形工程、発泡工程及び乾燥工程
を連続で行う例を説明したが、これらの工程をそれぞれ
別個の装置を用いても良いことは勿論である。
【0029】焼成工程は、2段階の工程とすることが好
ましい。第1段階は脱脂と呼ばれ、有機物を揮散させる
工程であり、第2段階は、金属粉末を焼結させる工程で
ある。また、これらの工程は連続とすることができる。
脱脂工程は、例えば空気雰囲気下あるいは水素ガスなど
の還元ガス雰囲気下で、300〜700℃程度の温度で
10〜60分の時間焼成することができる。また、焼結
工程は、アンモニア分解ガス雰囲気、水素ガスのような
還元性雰囲気下、あるいは真空中、さらには空気中の雰
囲気で、800〜1400℃程度の温度で20〜120
分間焼成することができる。脱脂・焼結時に、体積が約
20%収縮するので、脱脂、焼結は、グラファイト板な
どの滑りのよい敷板に乗せて行うことが好ましい。焼結
工程後、スキンパス圧延などで厚さを変えても良い。
【0030】次に、接合剤として用いるスラリー剤につ
いて説明する。このスラリー剤は、金属粉末、水溶性樹
脂結合剤(バインダー)、界面活性剤を含有し、好まし
くは発泡剤その他を配合したものが好ましい。具体的に
は、上述した多孔質金属体の製造に用いた発泡性スラリ
ーをそのまま接合剤として用いることが簡便である。こ
の場合、その成分、調製方法は、上記と同様とすること
ができる。これにより、同質の金属粉末を含む接合剤を
用いるので、最も効果的な焼結を行うことができる。ま
た、発泡剤によりスラリーが多孔質金属体の中に侵入
し、接合面に金属粉末が高濃度にならないので、接合面
の気孔径を変えるおそれが少ない。
【0031】スラリー剤に配合する金属粉末は、多孔質
金属体を構成する金属の種類と異なる種類の金属粉末を
用いてもよい。例えばより焼結しやすい金属を選定する
こともできる。金属粉末、水溶性有機バインダー、界面
活性剤、発泡剤、その他としては、上述したものを例示
することができ、配合量も同様である。
【0032】本発明の多孔質金属の接合方法は、多孔質
金属体相互の接合すべき面に、上記接合剤としてのスラ
リー剤を塗布した後、これらの面を密着させて乾燥、焼
成する。この場合、接合態様は種々あり、例えば図1に
示すように、多孔質金属板3A、3Bの端面相互を突き
合わせて接合する方法、図2に示すように、多孔質金属
板3A、3Bを重ね合わせて接合する方法などがある。
接合する複数の多孔質金属体は、同じものでなくともよ
く、製造方法、気孔率、金属の種類等異なる金属多孔体
を組み合わせることも可能である。
【0033】図1(1)に示すように、多孔質金属板3
A、3Bのいずれか一方又は両方(図では3Aに塗布)
の接合すべき面に上記スラリー剤S’を塗布した後、接
合すべき面を密着させ、図1(2)に示すように、乾燥
する。これにより、水溶性樹脂結合剤が固形化して多孔
質金属体3A、3B相互を接着する。乾燥の条件は、上
述した多孔質金属体製造時の成形体の乾燥条件と同じで
よい。
【0034】次に、焼成して水溶性樹脂結合剤を消失さ
せると共に、金属粉末を焼結させる。これにより、多孔
質金属体3A、3B相互をその密着面で接合し、接合体
1を得ることができる。焼結の条件は、やはり本発明者
らが開発した多孔質金属体を焼成する条件と同様とする
ことができ、脱脂と焼結の2段階で行うことができる。
【0035】得られた多孔質金属体の接合体は、例えば
大面積化、厚手化ができる上、異なる性質の多孔質金属
体を組み合わせ、例えば厚さ方向に気孔率が異なるもの
とすることができるため、多様な用途に利用できる。例
えば、フィルター、二次電池電極の基板、複合材の基材
などに応用が可能である。 [実施例1]表1に示す成分、配合量(重量%)で金属
粉末の種類が異なる2種の発泡性スラリーを調製した。
【0036】
【表1】 調製した発泡性スラリーをドクターブレード法を用いて
厚さ1mmに成形し、次いで湿度90%、温度40℃の
恒温恒湿器内に15分間保持して発泡させた。その後、
ヒーター温度160℃、雰囲気温度40℃の空気循環式
遠赤外線乾燥機中に1時間保持し、乾燥させてグリーン
体を作製した。このとき、グリーン体は前述の発泡工程
で膨らみ、その厚さは成形厚さの約5倍であった。得ら
れたグリーン体を20cm角に切りだし、グラファイト
板に窒化ホウ素(BN)をスプレー塗布した基板上に載
せ、空気中で温度380℃に2時間保持して脱脂(脱バ
インダー)した。次いで、表2に示す焼結条件で焼結
し、多孔質金属板を得た。
【0037】次に、得られた多孔質金属板を2枚用意
し、図1(1)に示すように、その端部にその多孔質金
属板製造に使用した発泡性スラリーを塗布し、2枚を突
き合わせて乾燥した。次いで、表2に示した焼成条件と
同様の条件で再度焼成し、多孔質金属板を接合した。
【0038】得られた多孔質金属接合体の接合部分及び
全体の気孔径を測定した。結果を表2に併記する。
【0039】
【表2】 得られた多孔質金属接合体の接合部での強度は十分であ
った。
【0040】
【発明の効果】本発明の多孔質金属体の接合方法によれ
ば、種々の形状の多孔質金属体を容易に得ることができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の接合方法の一態様を説明する概略断面
図である。
【図2】本発明の接合方法の他の態様を示す概略断面図
である。
【図3】ドクターブレード装置の概略を示す断面図であ
る。
【図4】2枚刃のドクターブレードを示す概略断面図で
ある。
【符号の説明】
1 接合体 3A、3B 接合すべき多孔質金属体 S’ スラリー剤

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】三次元網状骨格構造を有する多孔質金属体
    相互を接合する方法であって、 前記多孔質金属体相互の接合すべき面に、接合剤とし
    て、金属粉末、水溶性樹脂結合剤及び界面活性剤を含有
    するスラリー剤を塗布した後、これらの面を密着させて
    乾燥、焼成することを特徴とする多孔質金属体の接合方
    法。
  2. 【請求項2】接合剤として用いるスラリー剤が発泡剤を
    含有する請求項1記載の多孔質金属体の接合方法。
  3. 【請求項3】多孔質金属体が、金属粉末を含有する発泡
    性スラリーの調製、成形、乾燥、焼成によって得られる
    ものである請求項1又は2記載の多孔質金属体の接合方
    法。
  4. 【請求項4】多孔質金属板の端面相互を接合する請求項
    1〜3いずれかに記載の多孔質金属体の接合方法。
  5. 【請求項5】気孔率が異なる複数の多孔質金属体を重ね
    合わせて接合する請求項1〜3いずれかに記載の多孔質
    金属体の接合方法。
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