JPH09118901A - 発泡性スラリーの製造方法及び製造装置 - Google Patents

発泡性スラリーの製造方法及び製造装置

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JPH09118901A
JPH09118901A JP27747195A JP27747195A JPH09118901A JP H09118901 A JPH09118901 A JP H09118901A JP 27747195 A JP27747195 A JP 27747195A JP 27747195 A JP27747195 A JP 27747195A JP H09118901 A JPH09118901 A JP H09118901A
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aqueous solution
slurry
foaming
mixer
foamable slurry
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JP27747195A
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English (en)
Inventor
Koji Hoshino
孝二 星野
Yoshiyuki Mayuzumi
良享 黛
Toru Kono
通 河野
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Mitsubishi Materials Corp
Original Assignee
Mitsubishi Materials Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】金属組成の自由度が大きく、かつ比表面積が大
きい多孔質焼結金属板を安定して製造できる発泡性スラ
リーの製造方法及びその製造装置を提供する。 【解決手段】発泡剤、界面活性剤及び水溶性樹脂結合剤
を含有する水溶液(A)と、金属粉末及び水溶性樹脂結
合剤を含有する水溶液(B)とを混合する。これによ
り、不要な発泡を抑制できる。また、水溶液(A)の成
分を混合する第1混合機と、水溶液(B)の成分を混合
する第2混合機と、これらの混合機から排出されたそれ
ぞれの混合液を更に混合して発泡性スラリーを調製する
と共に、成形機にこの発泡性スラリーを供給する第3混
合機とで発泡性スラリーの製造装置を構成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、フィルター、二次
電池電極の基板等に用いられるスポンジ状の多孔質焼結
金属の製造原料として用いられる発泡性スラリーの製造
方法及びその製造装置に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】従来よ
り、電池の電極、各種フィルター、触媒の坦体などに
は、三次元網状骨格を有する気孔率の高い多孔質金属板
が用いられている。このような多孔質金属板の製造方法
としては、従来、導電化した発泡ウレタンフォームなど
にメッキを施した後、焼成する方法(特開平4−002
759号公報)、接着剤を塗着した発泡ウレタンフォー
ム等に金属粉末を付着させた後、焼成する方法(特開平
3−188203号公報)、微細水溶性結晶体を充填し
た容器内に低融点金属を加圧注入して凝固させた後、水
溶性結晶体を水洗して除去することによって空隙を形成
する方法(特開昭59−001651号公報)等の方法
が知られている。
【0003】しかしながら、メッキや洗い流す方法で
は、金属組成の自由度がなく、用途が限定される。ま
た、樹脂フォームにメッキや金属粉末を付着させる方法
では、骨格に樹脂が消失した中空が生じ、有効な空間体
積が不十分である。更に、従来方法では、100μmよ
り小さい孔径の多孔質構造が得にくく、比表面積が小さ
いという問題がある。
【0004】これに対し、本発明者らは、従来の多孔質
金属の製造方法と全く異なる製造方法を開発した。これ
は、発泡剤、金属粉末、界面活性剤、水溶性樹脂結合
剤、水などを含有する発泡性スラリーを調製し、このス
ラリーを成形、乾燥、焼成することにより製造するもの
である。この方法により製造した多孔質金属は、金属組
成の自由度が高く、非常に多孔質で、比表面積も大きい
という特徴を有する。
【0005】しかしながら、発泡剤を含有するスラリー
水溶液を用いるため、成形する前に発泡剤がスラリー中
で発泡する場合があり、得られる発泡金属の特性が比較
的ばらつく傾向がある。本発明は、上記事情に鑑みなさ
れたもので、金属組成の自由度が大きく、かつ比表面積
が大きい多孔質焼結金属板を安定して製造できる発泡性
スラリーの製造方法及びその製造装置を提供することを
目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記目的を達
成するため、次の発泡性スラリーの製造方法及び製造装
置を提供する。 (1)(A)発泡剤、界面活性剤及び水溶性樹脂結合剤
を含有する水溶液と、(B)金属粉末及び水溶性樹脂結
合剤を含有する水溶液とを混合することを特徴とする発
泡性スラリーの製造方法。 (2)水溶液(A)中の発泡剤の含有量を、発泡性スラ
リー中における含有量が0.05〜10%重量%となる
ように配合する上記(1)記載の発泡性スラリーの製造
方法。 (3)水溶液(B)中の金属粉末の含有量を、発泡性ス
ラリー中における含有量が5〜80重量%となるように
配合する上記(1)又は(2)記載の発泡性スラリーの
製造方法。 (4)水溶液(A)と水溶液(B)の重量比(A)/
(B)が、0.5/9.5〜3/7の範囲である上記
(1)〜(3)いずれかに記載の発泡性スラリーの製造
方法。 (5)水溶液(A)の成分を混合する第1混合機と、水
溶液(B)の成分を混合する第2混合機と、これらの混
合機から排出されたそれぞれの混合液を更に混合して発
泡性スラリーを調製すると共に、成形機にこの発泡性ス
ラリーを供給する第3混合機とを具備することを特徴と
する発泡性スラリーの製造装置。
【0007】本発明の発泡性スラリーの製造方法は、発
泡性スラリーの成分を2つの水溶液に分割し、一方の水
溶液(A)には発泡剤を含有させ、他方の水溶液(B)
には金属粉末を含有させ、これらの水溶液を混合するこ
とで発泡性スラリーを製造するものである。このため、
成形機に供給する直前に発泡性スラリーを製造し、発泡
剤を混合後、すぐ成形することが可能になる。
【0008】従って、発泡剤が揮発性で、発泡性スラリ
ー中で幾分発泡するものであっても、発泡工程前におけ
る無駄な発泡を可及的に少なくすることができ、その結
果安定な特性を有する成形原料供給が可能になり、品質
の安定した多孔質燒結金属製造が可能となる。
【0009】また、本発明の発泡性スラリーの製造装置
は、上記水溶液(A)と水溶液(B)とを別々に製造
し、これらの水溶液を混合後直ちに成形機に発泡性スラ
リーを供給できる。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て図面をもって具体的に説明する。なお、以下の%の表
示は重量%を示す。本発明の発泡性スラリーの製造方法
は、上述したように、発泡性スラリーを構成する成分を
2つの水溶液に分割し、この2つの水溶液を混合する。
【0011】図1は、発泡性スラリーの製造から成形、
乾燥を連続的に行う装置の概要を示す図である。この装
置には、本発明の製造方法に用いる発泡性スラリー製造
装置2、及び搬送装置3、この搬送装置3上に設けられ
た樹脂膜形成装置4、成形装置5、発泡装置6、及び乾
燥装置7が含まれる。
【0012】本発明の発泡性スラリーの製造装置2は、
水溶液(A)を混合する第1混合機21と、水溶液
(B)を混合する第2混合機22と、これらの第1混合
機と第2混合機から排出されたそれぞれの水溶液(A)
と(B)とを更に混合して発泡性スラリーSを調製する
と共に、成形装置に調製した発泡性スラリーSを供給す
る第3混合機23とを具備する。また、第2混合機22
には2つのフィーダー25と26が設けられ、水溶液
(B)を構成する成分を第2混合機22に自動的に供給
できるようになっている。
【0013】第1混合機21に所定の割合となるように
供給された水溶液(A)の各構成成分は、第1混合機2
1で混合され、混合された水溶液(A)(図中、Aq
(A)と表示)は、排出管21aから所定の流量で第3
混合機23へ送られる。また、フィーダー25、26で
第2混合機22に所定の割合となるように供給された水
溶液(B)(図中、Aq(B)と表示)の各構成成分
は、第2混合機22で混合され、混合された水溶液
(B)は、排出管22aから水溶液(A)と同時に第3
混合機23へ所定の流量で送られる。第3混合機23で
水溶液(A)と水溶液(B)が混合され、ここで発泡性
スラリーSが製造され、次いで第3混合機23から排出
管23aによって、成形機5に発泡性スラリーSが供給
される。
【0014】ここで、発泡性スラリーSは、例えば金属
粉末、水溶性樹脂結合剤、発泡剤、界面活性剤、水等を
含有する。金属粉末は、発泡性スラリー中で、微細な気
泡を構成する薄い液体壁に集まる。そして、これを乾燥
すると、水溶性樹脂結合剤(バインダー)と共に気泡の
形状を維持しながら固化し、これを焼成すると、結合剤
が消失すると共に、金属粉末同士が焼結し、気泡形状を
持った発泡状の三次元網状構造を有する多孔質焼結金属
板が得られるものである。
【0015】このため、上記発泡性スラリーから製造さ
れる多孔質焼結金属は、金属粉末として、粉末化できる
と共に、焼結可能な全ての金属が使用可能であるので、
多種類のものを選定できると共に、多種類の金属を混合
することも可能であり、組成の自由度は非常に高い。ま
た、多孔質焼結金属を構成する三次元網状構造体は、金
属粉末が焼結したものであるので、骨格自体が多孔性で
あり、このため、比表面積は非常に大きいものとなる。
【0016】本発明においては、上記発泡性スラリーを
構成する成分を二液に分割し、その二液を成形機に供給
する直前に混合することによって、発泡剤の揮発を可及
的に防止するものである。二液の一方の水溶液(A)を
構成する成分としては、発泡剤、界面活性剤、水溶性樹
脂結合剤などが挙げられる。また、他方の水溶液(B)
を構成する成分としては、金属粉末、及び水溶性樹脂結
合剤等が挙げられる。
【0017】ここで、発泡剤としては、ガスを発生して
気泡を形成することができればよく、一定の温度で分解
してガスを発生する化合物や、揮発性の有機溶剤などを
選択することができる。揮発性の有機溶剤としては、例
えば炭素数5〜8の炭化水素系有機溶剤を挙げることが
できる。このような有機溶剤は常温で液体であり、揮発
性で、スラリー中においては界面活性剤の作用でミセル
を形成し、常温又は加熱下で気化して微細な気泡を形成
する。炭素数5〜8の炭化水素系有機溶剤としては、例
えばペンタン、ネオペンタン、ヘキサン、イソヘキサ
ン、イソヘプタン、ベンゼン、オクタン、トルエン等を
挙げることができる。発泡剤の配合量は、発泡性スラリ
ー中で、0.05〜10%、特に0.5〜5%の範囲と
なるように水溶液(A)中に配合することが好ましい。
0.05%より少ない配合量では、気泡の発生が不十分
になり、気孔率が高くならない場合があり、一方、10
%より配合量を多くすると、ミセルが大径化し、これに
伴い成形体中に形成される気泡も大径化するため、得ら
れる成形体及び焼結体の強度が低下する場合がある。
【0018】また、界面活性剤は、発泡状態を安定化
し、発泡剤のミセルを形成する作用があり、アルキルベ
ンゼンスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、ア
ルキル硫酸エステル塩、アルキルエーテル硫酸エステル
塩、アルカンスルホン酸塩等のアニオン系界面活性剤、
ポリエチレングリコール誘導体、多価アルコール誘導体
等の非イオン系界面活性剤等を例示することができる。
界面活性剤の水溶液(A)中における配合量は、発泡性
スラリー中における濃度が0.05〜5%、特に0.5
〜3%の範囲となるような量が好ましい。0.05%よ
り配合量が少ないとミセルの形成が不安定となり、微細
な気泡を保つことが困難になる場合があり、一方、5%
より多いとそれ以上の効果が見られない場合がある。な
お、界面活性剤は、水溶液(A)と水溶液(B)の両方
に配合しても差し支えない。
【0019】水溶性樹脂結合剤は、スラリーを乾燥させ
たときに多孔質成形体の形状を保持させる働きを有す
る。また、スラリーの粘度調整剤としても機能する。水
溶性樹脂結合剤としては、メチルセルロース、ヒドロキ
シプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロ
ース、カルボキシメチルセルロースアンモニウム、エチ
ルセルロース、ポリビニルアルコール等を例示すること
ができる。水溶性樹脂結合剤の水溶液(A)中における
配合量は、発泡性スラリー中における濃度が、水溶液
(B)中のものと合わせて0.5〜20%、特に2〜1
0%の範囲となるような量が好ましい。0.5%より配
合量が少ないと、乾燥成形体の強度が弱く、ハンドリン
グに差し支える場合があり、一方、20%より多いと、
粘度が高くなりすぎて成形が困難になる場合がある。
【0020】水溶液(A)の配合量の例を次に示す。 発泡剤 :0.05〜10%、特に0.5〜5%、 界面活性剤 :0.05〜5%、特に0.5〜3%、 水溶性樹脂結合剤:0.5〜20%、特に2〜10%。
【0021】水溶液(A)の粘度は、常温で10000
〜80000cp、特に20000〜40000cpの
範囲が好ましい。水溶液(A)は、上記成分などを第1
混合機21で混合することにより調製することができ
る。この第1混合機21としては、通常の撹拌翼を持つ
撹拌機、スタティックミキサー等の混合機を採用するこ
とができる。
【0022】他方の水溶液(B)は、上述したように、
金属粉末、水溶性樹脂結合剤等を構成成分とするもので
ある。ここで、金属粉末の種類には限定はなく、例えば
ニッケル、銅、鉄、SUS、クロム、コバルト、金、銀
等の焼結する金属及び合金全てが使用可能である。金属
粉末の粒径は、平均粒径が500μm以下、特に0.5
〜100μmの範囲が好ましい。平均粒径が0.5μm
より小さいと、気孔率が小さくなる場合があり、一方、
平均粒径が500μmより大きいと、できあがる多孔質
焼結金属板の強度が弱くなりすぎる場合がある。金属粉
末の水溶液(B)中における配合量は、発泡性スラリー
中における配合量が、5〜80%、特に30〜80%の
範囲となるような量が望ましい。
【0023】また、水溶性樹脂結合剤の種類としては、
上述したものを挙げることができる。水溶性樹脂結合剤
は粘度調整剤でもあるので、水溶液(B)の常温におけ
る粘度が、40000〜200000cp、好ましくは
80000〜150000cpとなるように配合するこ
とが望ましい。水溶液(B)の配合として、具体的に
は、次のような例を示すことができる。 金属粉末 :5〜80%、特に50〜70%、 水溶性樹脂結合剤:0.5〜20%、特に2〜10%。
【0024】このような成分を混合する第2混合機とし
ては、粘度が高いので、通常の撹拌翼を持つ撹拌機等の
混合機、混練機等を採用することができる。本発明にか
かる発泡性スラリーには、以上の成分以外に、可塑剤、
気孔形成促進用可燃剤等を配合することができ、これら
は水溶液(A)、水溶液(B)の何れにも配合すること
ができるが、水溶液(B)に配合する方が好ましい。
【0025】ここで、可塑剤は、成形体に可塑性を付与
するためのもので、エチレングリコール、ポリエチレン
グリコール、グリセリンなどの多価アルコール、鰯油、
菜種油、オリーブ油などの油脂、石油エーテル等のエー
テル類、フタル酸ジエチル、フタル酸ジNブチル、フタ
ル酸ジエチルヘキシル、フタル酸ジオクチル、ソルビタ
ンモノオレート、ソルビタントリオレエート、ソルビタ
ンパルミテート、ソルビタンステアレートなどのエステ
ル類等を例示することができる。可塑剤の配合量は、発
泡性スラリー中における濃度が、0.1〜15%、特に
2〜10%の範囲となるように、水溶液(A)及び/又
は水溶液(B)に配合することが好ましい。発泡性スラ
リー中における配合量が0.1%より少ないと、可塑作
用が不十分になる場合があり、一方、15%より多い
と、成形体の強度が不十分になる場合がある。
【0026】また、気孔形成促進用可燃剤は、乾燥成形
体の焼成時に、消失させることによって、気孔の形成を
促進するためのものである。従って、粉末、繊維状など
の形状を保ち、焼成時に消失するものを選定することが
できる。具体的には、0.1〜200μm程度の粉末状
のもの、長さが200μm以下、好ましくは30〜12
0μm程度の繊維状のものがよい。材料としては、パル
プ、綿、糸くず、コーンスターチ、カルボキシメチルセ
ルローズ、非水溶性セルロース繊維、ポリビニルブチラ
ル樹脂、ポリビニル樹脂、アクリル樹脂、ポリエチレン
樹脂などを例示することができる。
【0027】本発明の発泡性スラリーは、上記水溶液
(A)と水溶液(B)とを混合することによって得るこ
とができる。この場合、水溶液(A)と水溶液(B)の
重量比(A)/(B)は、、0.5/9.5〜3/7、
特に0.9/8〜1.8/7.5の範囲とすることが好
ましい。
【0028】この混合を行う第3混合機23の種類とし
ては、例えばスクリュー、Z形翼などを回転させる混合
機、インターナルミキサー等を例示することができる。
また、得られる発泡性スラリーの粘度は、20℃で、2
0000cps〜70000cpsの範囲、特に、30
000〜55000cpsの範囲が好ましい。2000
0cpsより粘度が低いと、乾燥時に発泡構造が崩壊す
る場合があり、一方、70000cpsより粘度が高い
と、粘性が大きくなりすぎて成形が困難になる場合があ
る。
【0029】本発明の発泡性スラリーの製造装置は、こ
のようにして第3混合機23で混合、調製されて得られ
た発泡性スラリーを成形機5に供給する。これにより、
発泡剤が発泡性スラリーに混合されてから発泡工程に入
るまでの時間を可及的に短くすることができる。
【0030】次に、図1に示した本実施形態における発
泡性スラリーの製造装置を除く乾燥成形板Gの連続製造
装置について説明する。この装置は、上述したように、
搬送装置3、この搬送装置3上に設けられた樹脂膜形成
装置4、成形装置5、発泡装置6、及び乾燥装置7を具
備する。
【0031】搬送装置3は、ベルトコンベヤーとして機
能するキャリアシート31を循環させるもので、図示し
ない駆動源により駆動する駆動ローラ32と33とで矢
印の向きにキャリアシート31を駆動、循環させる。そ
して、キャリアシート31の始端側から終端側にかけて
樹脂膜形成工程、成形工程、発泡工程、乾燥工程、及び
切断工程が行われる。
【0032】樹脂膜形成工程は、図1中のA−A線に沿
った断面図(A)に示すように、キャリアシート31の
表面に樹脂膜Rを形成するものである。発泡性スラリー
をこの樹脂膜R上に成膜し、発泡、乾燥し、図1中のB
−B線に沿った断面図(B)で示すように、乾燥成形体
(グリーン体)Gと樹脂膜Rとキャリアシート31との
積層体を形成し、次いでキャリアシート31から乾燥成
形体Gと樹脂膜Rとの積層体を剥がし、この乾燥成形体
Gと樹脂膜Rの積層体をカッターで切断する。乾燥成形
体Gと樹脂膜Rとの積層体を形成するのは、脆い乾燥成
形体Gの取扱を容易にするためである。この樹脂膜R
は、発泡乾燥成形体Mの焼成時に消失し、多孔質燒結金
属の特性に影響を与えない。
【0033】このような樹脂としては、発泡性スラリー
Sの発泡、乾燥工程で収縮しないものであると共に、焼
成時には完全に消失するものであることが好ましい。ま
た、キャリアシート31から容易に分離することが好ま
しい。かかる樹脂として、ウレタン樹脂が好適な例とし
て挙げることができるが、このほかにエポキシ樹脂、熱
硬化性ポリエステル、耐熱性のある熱可塑性樹脂、例え
ばポリビニル樹脂、ブチラール樹脂、アクリル樹脂など
を使用することができる。
【0034】本実施形態においては、樹脂膜形成装置4
として、ドクターブレード41を用いているが、その他
の樹脂膜形成装置としては、例えば押出成形方法なども
採用することができる。このようなドクターブレード4
1により、キャリアシート31上に、例えば0.05〜
0.2mm程度の厚さで液状の未硬化ポリウレタン液な
どを塗布し、次いで、乾燥装置42で乾燥硬化を終了
し、キャリアシート31表面に樹脂膜Rを形成する。な
お、樹脂膜を形成する工程を省いて樹脂フィルムを用
い、例えばこの樹脂フィルムを捲回したロールなどを用
い、このロールから繰り出した樹脂フィルムに発泡性ス
ラリーを成形するようにしてもよい。
【0035】次の成形工程では、上述した発泡性スラリ
ーの製造装置2で製造された発泡性スラリーSを樹脂膜
R上に薄板状に成形する。本実施形態においても、成形
装置としてドクターブレードを用いている。このドクタ
ーブレードにより、例えば0.1〜15mm、好ましく
は0.2〜2mm程度の厚さの成形体を製造する。
【0036】次の発泡工程は、成形体を乾燥させる前
に、十分に発泡を完了させる工程である。成形直後に乾
燥させると、成形体表面が先に乾燥され、表皮が生じた
状態になり、成形体内部の発泡や水分の蒸発が妨げられ
て、発泡が不均一になる場合がある。このため、成形工
程と乾燥工程の間に、発泡工程を設けることが好まし
い。
【0037】発泡の条件は、発泡と同時に乾燥させる
と、成形体表面に亀裂が生じやすいので、発泡中はでき
る限り乾燥を防止するため、高湿度の雰囲気下で行うこ
とが好ましい。具体的には、例えばスラリー粘性が35
000cps以上の時、湿度は65%以上、好ましくは
湿度は80%以上である。湿度が65%より低いと、乾
燥時に成形体表面に割れが入るおそれがある。発泡温度
は15〜65℃、特に28〜40℃の範囲が好ましい。
発泡温度が15℃より低いと、発泡に例えば2時間以上
かかる場合があり、65℃を超えると成形体が発泡しす
ぎて成形体が崩壊する場合がある。
【0038】発泡装置6は、この条件を満たす恒温高湿
装置とすることができるが、室内雰囲気条件がこれを満
たせば、特に装置を設けずに、室内雰囲気に晒すだけで
よい。発泡工程における滞留時間は、通常10〜45分
の範囲である。発泡成形体は、発泡工程に続いて乾燥工
程を行う乾燥装置7に搬送され、ここで乾燥される。乾
燥前の気泡は、水膜が存在することによって維持されて
いる。このとき、スラリーは気泡と気泡との界面に凝集
し、骨格構造(発泡体構造)を形成する。そのままの状
態で水膜が割れると骨格を形成しているスラリーが流動
し、骨格構造が崩壊してしまう。そのような崩壊が起こ
らないように乾燥すれば、発泡体構造の成形体を得るこ
とができる。できる限り水膜の崩壊を生じさせないよう
に乾燥するためには、速やかに乾燥させる。これには遠
赤外線乾燥が適している。また、スラリー中の水分がほ
んの少し蒸発すると粘性が著しく増大するようなスラリ
ー組成としておくことが好ましい。
【0039】乾燥機7の具体的な条件は、例えば遠赤外
線を用い、ヒーター温度120〜180℃、雰囲気温度
40〜80℃、乾燥時間20〜120分の条件を採用す
ることができる。これにより、図1中(B)に示すよう
に、樹脂膜R上に積層された板状の乾燥成形体Gを得る
ことができる。この乾燥成形体Gの厚さは、発泡によ
り、通常、成形直後の厚さの3〜8倍の厚さになる。
【0040】図1に示した連続成形装置では、樹脂膜R
上に形成された乾燥成形体Gを乗せたキャリアシート1
0をローラー33により下側に巻きとりながら移動させ
ることで、樹脂膜Rとキャリアシート31とを分離して
いる。続いて乾燥成形体Gと樹脂膜Rとの積層体は、カ
ッター8により所定の長さ毎に切断され、図示の如く積
み重ねられる。なお、説明では、成形工程、発泡工程及
び乾燥工程を連続で行う例を説明したが、これらの工程
をそれぞれ別個の装置を用いても良いことは勿論であ
る。また、必ずしも樹脂膜を形成する必要はなく、直接
キャリアシート31上に発泡性スラリーを成形しても良
い。
【0041】このようにして得られた発泡乾燥成形板G
と樹脂膜Rとの積層体は、その後の焼成工程により多孔
質燒結金属となる。焼成工程は、2段階の工程とするこ
とが好ましい。第1段階は脱脂と呼ばれ、有機物(バイ
ンダー等)を揮散させる工程であり、第2段階は、金属
粉末を焼結させる工程である。また、これらの工程は連
続とすることができる。
【0042】脱脂工程は、例えば空気雰囲気下あるいは
水素ガスなどの還元ガス雰囲気下で、300〜700℃
程度の温度で10〜60分の時間焼成することができ
る。また、焼結工程は、製造する金属の種類に応じて、
アンモニア分解ガス雰囲気、水素ガスのような還元性雰
囲気下、あるいは真空中、さらには空気中の雰囲気で、
800〜1400℃程度の温度で20〜120分間程度
焼成することが好ましい。
【0043】脱脂時に、樹脂膜Rは消失する。また、脱
脂・焼結時に、体積が約20%収縮するので、脱脂、焼
結は、グラファイト板などの滑りのよい敷板に乗せて行
うことが好ましい。焼結工程後、スキンパス圧延などで
厚さを変えても良い。また、図2に示すように、乾燥成
形体Gと樹脂膜Rとの積層体を2枚用い、これらの積層
体(C)の乾燥成形板G相互の面を密着させて焼成する
ことが可能である。これにより、乾燥成形板相互が一体
化し、厚手の多孔質焼結板Mを製造することができる。
更に、乾燥成形体Gの樹脂膜Rと接する面は、比較的表
面がきれいであるので、これらのきれいな表面が両方の
表側になるという利点もある。
【0044】かくして表面積の大きい、三次元網状骨格
構造を有するスポンジ状の多孔質焼結金属板を安定して
得ることができる。かかる多孔質焼結金属板は、三次元
網状骨格が金属粉末の焼結体であるので、骨格自体が多
孔質である。このため、表面積が非常に大きく、例えば
BET比表面積が300〜1500cm2 /cm3 の範
囲である。また、発泡体の孔径が非常に小さく、100
μm未満の孔径を有するものを容易に得ることができ、
具体的には、平均孔径が60〜600μmの範囲のもの
で、気孔率が90〜98容量%のものを製造することが
できる。
【0045】本発明の発泡性スラリーの製造方法により
得られる多孔質焼結金属板は、上記特徴を有するため、
例えばアルカリ二次電池の電極の活物質保持材、水電解
電極、石油暖房機器の灯油噴霧化部材、磁気シールドパ
ッキン、爆薬を使用するエアクッションの気体膨張緩衝
材、吸音材、浄化機の水電解フィルター、空気浄化機の
静電フィルター、エンジン排ガスのオイルミストフィル
ター、石油ストーブなどの燃焼機器の脱臭触媒、高温排
気集塵フィルター、アルミニウムを気孔中に高圧充填し
た複合材(CRM)の基材、工業用触媒、坦体等の有用
な用途を有する。
【0046】
【発明の効果】本発明の発泡性スラリーの製造方法によ
れば、金属組成の自由度が大きく、かつ比表面積が大き
い多孔質焼結金属板を安定して製造できる発泡性スラリ
ーを得ることができる。
【0047】また、本発明の発泡性スラリーの製造装置
は、該発泡性スラリーの製造に好適である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の発泡性スラリーの製造装置を含む発泡
性乾燥成形体を連続的に製造する装置の概要を示す説明
図である。
【図2】本発明にかかる積層体を2枚重ねして焼成する
様子を示す断面図である。
【符号の説明】
2 発泡性スラリー製造装置 21 第1混合機 22 第2混合機 23 第3混合機 Aq(A) 水溶液(A) Aq(B) 水溶液(B) 3 搬送装置 31 キャリアシート 4 樹脂膜形成装置 5 成形装置 6 発泡装置 7 乾燥装置 8 切断装置 R 樹脂膜 G 乾燥成形体

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(A)発泡剤、界面活性剤及び水溶性樹脂
    結合剤を含有する水溶液と、(B)金属粉末及び水溶性
    樹脂結合剤を含有する水溶液とを混合することを特徴と
    する発泡性スラリーの製造方法。
  2. 【請求項2】水溶液(A)中の発泡剤の含有量を、発泡
    性スラリー中における含有量が0.05〜10%重量%
    となるように配合する請求項1記載の発泡性スラリーの
    製造方法。
  3. 【請求項3】水溶液(B)中の金属粉末の含有量を、発
    泡性スラリー中における含有量が5〜80重量%となる
    ように配合する請求項1又は2記載の発泡性スラリーの
    製造方法。
  4. 【請求項4】水溶液(A)と水溶液(B)の重量比
    (A)/(B)が、0.5/9.5〜3/7の範囲であ
    る請求項1乃至3いずれかに記載の発泡性スラリーの製
    造方法。
  5. 【請求項5】水溶液(A)の成分を混合する第1混合機
    と、水溶液(B)の成分を混合する第2混合機と、これ
    らの混合機から排出されたそれぞれの混合液を更に混合
    して発泡性スラリーを調製すると共に、成形機にこの発
    泡性スラリーを供給する第3混合機とを具備することを
    特徴とする発泡性スラリーの製造装置。
JP27747195A 1995-09-27 1995-10-25 発泡性スラリーの製造方法及び製造装置 Pending JPH09118901A (ja)

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DE69620699T DE69620699T2 (de) 1995-09-27 1996-09-26 Verfahren und Vorrichtung zur Herstellung von porösen Metallplatten
EP96115421A EP0765704B1 (en) 1995-09-27 1996-09-26 Method and apparatus for making sintered porous metal plate
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2008050773A1 (en) 2006-10-24 2008-05-02 Mitsubishi Materials Corporation Raw-material mixture with high expansion rate for producing porous metallic sinter

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