JP5713058B2 - 金属多孔質体の製造方法 - Google Patents
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Description
また特許文献2では、燃料電池のガス拡散層において、触媒層に接する面に排水用の溝を設けることにより、フラッディングを防止している。
圧縮工程前において、空隙率を60%以上としたのは内部の流体流通性を確保するためであり、空隙率を99%以下としたのは金属多孔質体の強度を確保するためである。
また、前記圧縮工程前の前記焼結体において、前記凸部と前記凹部との厚さの差が20μm以上3mm以下とすることにより、凸部および凹部の強度を確保することができる。
また、前記金属多孔質体の前記最外面における前記空隙の開口率が5%以上99%以下、前記金属多孔質体の前記最外面における前記空隙の平均開口径が30μm以上1mm以下とすることにより、内部の空隙への入口面積を確保でき、かつ金属多孔質体の強度を確保できる。
なお、この製造方法によって、凹部を圧縮しないように焼結体を圧縮することにより、圧縮後においても凸部の厚さが凹部の厚さよりも大きい金属多孔質体と、凹部を圧縮しないように焼結体を圧縮することにより、圧縮後の凸部の厚さが圧縮前の凹部の厚さと等しく、圧縮後の全体の厚さが均一である金属多孔質体と、焼結体を圧縮する際に凸部だけでなく凹部も圧縮することにより、圧縮後の全体の厚さが均一である金属多孔質体と、の3通りの金属多孔質体を製造することができる。
また、この金属多孔質体の製造方法において、前記キャリヤシート上に塗布された前記発泡性スラリーの上面に、表面に凹凸形状を有する転写用ローラの前記表面を押しつけることにより、前記発泡性スラリーに前記凸部および凹部を形成してもよい。また、この金属多孔質体の製造方法において、前記キャリヤシートに凹凸形状を設けておき、前記キャリヤシート上の前記発泡性スラリーに前記凸部および凹部を形成してもよい。この場合も、焼結前のグリーンシートに凸部および凹部を形成することができる。
この製造方法によれば、下ローラの表面とブレードの先端面との間隔がキャリヤシート上の発泡性スラリーの厚さを決定するので、この間隔を変化させながらキャリヤシートを移動させることによって任意の形状の凸部および凹部を有する金属多孔質体を製造することができる。焼結前に凸部および凹部を形成することにより、表面を金属焼結体の骨格の側面によって滑らかに形成できるので、隣接する部材を損傷しない金属多孔質体を製造することができる。
また、この製造方法において、前記下ローラを偏心回転させることにより、前記成形工程において前記下ローラの前記表面と前記ブレードの前記先端面との間隔を変化させて前記凸部および凹部を形成してもよい。
また、この製造方法において、前記ブレードおよび前記下ローラの少なくとも一方を他方に向けて往復移動させることにより、前記成形工程において前記下ローラの前記表面と前記ブレードの前記先端面との間隔を変化させて前記凸部および凹部を形成してもよい。
の表面を撮影した25〜100倍顕微鏡写真を用いて、視野面積Aと、この視野中の最外面の全ての開口部12aの面積和Apとを測定し、次の式によって算出する。
開口率(%)=Ap/A×100
〈発泡性スラリー作成工程〉
まず、金属粉末と発泡剤とを含有する発泡性スラリーSを作成する。発泡性スラリーSは、骨格11を形成する金属粉末、バインダ(水溶性樹脂結合剤)、発泡剤および水と、必要に応じて界面活性剤および/または可塑剤とを混合することにより作成される。より具体的には、まず金属粉末、バインダおよび水を含有するスラリーを作成した後、このスラリーに発泡剤を添加し、ミキサーなどの攪拌装置で攪拌する。
〈成形工程〉
成形装置20は、ドクターブレード法を用いてシートを形成する装置であり、発泡性スラリーSが貯留されるホッパ21、ホッパ21から供給された発泡性スラリーSを移送するキャリヤシート22、キャリヤシート22を支持するローラ23、キャリヤシート22上の発泡性スラリーSを所定厚さに成形するブレード(ドクターブレード)24、発泡性スラリーSを発泡させる恒温・高湿度槽25、発泡したスラリーを乾燥させる乾燥槽26を備えている。なお、キャリヤシート22の下面は、支持プレートPによって支えられている。
次いで、表面に凸部および凹部が形成された薄板状の発泡性スラリーSは、所定条件(例えば温度30℃〜40℃、湿度75%〜95%)の恒温・高湿度槽25内を、例えば10分〜20分かけて移動しながら発泡する。続いて、この恒温・高湿度槽25内で発泡したスラリーSは、所定条件(例えば温度50℃〜70℃)の乾燥槽26内を例えば10分〜20分かけて移動し、乾燥される。これにより、表面に凸部および凹部を有するスポンジ状のグリーンシートが得られる。
このようにして得られたグリーンシートを脱脂・焼結することにより、表面に凸部10aおよび凹部10bを有する薄板状の焼結体10を形成する。具体的には、例えば真空中、温度550℃〜650℃、25分〜35分の条件下でグリーンシート中のバインダ(水溶性樹脂結合剤)を除去(脱脂)した後、さらに真空中、温度1200℃〜1300℃、60分〜120分の条件下で焼結する。これにより、図1に示すように、表面に凸部10aおよび凹部10bを有する焼結体10を得ることができる。
図6に、転写用ローラ28を付加した成形装置20を示す。この場合、凹凸形状を持たないブレード27で発泡性スラリーSをキャリヤシート22上に所定厚さで塗布した後に、表面に凹凸形状を有する転写用ローラ28を発泡性スラリーSの上面に押しつけ、転写用ローラ28の凹凸形状を発泡性スラリーSに転写することにより凸部および凹部を形成することができる。
なお、本発明は前記実施形態の構成のものに限定されるものではなく、細部構成においては、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。たとえば、前記実施形態では圧縮工程において凸部10aと凹部10bとを圧縮しているが、圧縮工程において凹部10bを圧縮せずに、表面に凹凸形状を有しかつ面方向に密度分布を有する金属多孔質体を製造してもよい。また、圧縮前の凹部10bの厚さに一致する厚さとなるように凸部10aを圧縮して、全体の厚さが均一であって面方向に密度分布を有する金属多孔質体を製造してもよい。
10a 凸部
10b 凹部
10c 高密度部
10d 低密度部
11 骨格
12 空隙
12a 開口部
13 金属多孔質体
20 成形装置
21 ホッパ
22 キャリヤシート
23 ローラ
24 ブレード
24a 先端面
25 恒温・高湿度槽
26 乾燥槽
27 ブレード
28 転写用ローラ
29 キャリヤシート
30 成形装置
33 下ローラ
33a 表面
34 ブレード
34a 先端面
37 下ローラ(偏心ローラ)
38 ブレード
38a 先端面
39 下ローラ
P 支持プレート
S 発泡性スラリー
Claims (4)
- 金属焼結体の骨格により辺が構成されてなる複数の多面体状の空隙が相互に連続状態に形成されている板状の金属多孔質体の製造方法であって、
金属粉末と発泡剤とを含有する発泡性スラリーを、キャリヤシート上に塗布し、前記キャリヤシートを移動させながら前記発泡性スラリーを薄板状に成形する成形工程と、
薄板状に成形した発泡性スラリーを発泡および乾燥させてグリーンシートを形成する発泡乾燥工程と、
前記グリーンシートを焼結して焼結体を形成する焼結工程と、
前記焼結体を所定の厚さとなるまで厚さ方向に圧縮する圧縮工程と、
を有し、
前記成形工程において前記キャリヤシート上の前記発泡性スラリーの表裏面の少なくとも一方に凸部および凹部を形成することにより、前記グリーンシートの表裏面の少なくとも一方に凸部および凹部を形成し、このグリーンシートを焼結することにより前記焼結体の表裏面の少なくとも一方に凸部および凹部を形成し、
前記圧縮工程において、前記焼結体の少なくとも前記凸部の厚さが小さくなるように圧縮することにより、
前記骨格の間に形成される空隙の空隙率が面方向に異なり、高密度部と低密度部とが面方向に交互に配列されている金属多孔質体を製造し、
前記圧縮工程前の前記焼結体において、前記空隙率は60%以上99%以下、前記凸部と前記凹部との厚さの差は20μm以上3mm以下、
前記圧縮工程後の前記金属多孔質体において、前記空隙率は50%以上98%以下、前記最外面における前記空隙の開口率は5%以上99%以下、前記最外面における前記空隙の平均開口径は30μm以上1mm以下
とすることを特徴とする金属多孔質体の製造方法。 - 前記キャリヤシート上の前記発泡性スラリーの上面に、先端面に凹凸形状を有するブレードの前記先端面を接触させることにより、前記発泡性スラリーに前記凸部および凹部を形成することを特徴とする請求項1に記載の金属多孔質体の製造方法。
- 前記キャリヤシート上に塗布された前記発泡性スラリーの上面に、表面に凹凸形状を有する転写用ローラの前記表面を押しつけることにより、前記発泡性スラリーに前記凸部および凹部を形成することを特徴とする請求項1または2に記載の金属多孔質体の製造方法。
- 前記キャリヤシートに凹凸形状を設けておき、前記キャリヤシート上の前記発泡性スラリーの表面に前記凸部および凹部を形成することを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の金属多孔質体の製造方法。
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