JP2016142420A - 熱交換器用多孔質部材 - Google Patents
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Abstract
【課題】通風抵抗と熱伝達率とのバランスの取れた三次元網目状構造を有する熱交換器用多孔質部材を提供する。【解決手段】アルミニウムもしくはアルミニウム合金等からなる三次元状に連結する骨格を有するとともに、その骨格により三次元状に連通する連通孔を有する三次元網目状構造体であって、構造体の気孔率を92〜98%、連通孔の大きさを800〜2000μmとする。【選択図】図1
Description
本発明は、三次元状に連結する骨格を有し、その骨格により三次元状に連結する気孔が形成される三次元網目状構造を有する熱交換器用多孔質部材に関する。
三次元状に連結する骨格を有し、その骨格により三次元状に連結孔が形成される三次元網目状構造を有する多孔質体は、連結孔にガスあるいは液体等の流体を通過させるとともに、これらの流体を濾過処理するフィルター(特許文献1、2等)や、これらの流体を骨格表面に担持した触媒により改質する触媒用担体等(特許文献2等)に用いられている。
このような三次元網目状構造を有する多孔質体は、連通孔を有する発泡樹脂骨格表面を導電化処理して電気メッキした後、加熱して樹脂を分解除去する方法(特許文献3等)や、連通孔を有する発泡樹脂に有機高分子結合剤と金属微小体との混練物を浸漬、スプレー等して塗着した後、加熱して樹脂を分解除去するとともに金属微小体を焼結する方法(特許文献1、2、4等)や、連通孔を有する発泡樹脂の骨格表面に粘着性を付与して粉体を被着させた後、加熱して樹脂を分解除去するとともに粉体を焼結する方法(特許文献5等)により製造される。
このような三次元網目状構造を有する多孔質体は、流体との接触面積が大きいことから、熱交換器の熱交換部品への適用が検討されている(特許文献6等)。熱交換器は、温度の高い物体から低い物体へ効率的に熱を移動させて加熱や冷却の用途に用いられる機器であり、一般に、熱交換の媒体として液体や気体等の流体を用いて流体に熱を与える(加熱)もしくは流体から熱を奪う(冷却)ことで加熱や冷却を行う。このような熱交換器においては、熱伝導率の高い金属材料で構成されたフィン等を伝熱部材に設けるなどして流体との接触面積を増加させて、熱交換の効率を高めているが、フィン等に替えて熱伝導率の高い金属材料で構成された三次元網目状構造を有する多孔質体を用い、その連通する気孔に流体を通過させれば、熱伝導率の高い金属材料と流体との接触面積をさらに大きくできるため、熱交換の効率がさらに大きくなるものと考えられる。
高気孔率で三次元網目状構造のポーラス体は、高比表面積を有し、また細い金属骨格により構成される複雑な流路を持つため、前縁効果と乱れによる伝熱促進が期待できる。しかし、複雑な流路であることから、通風抵抗が市販の平板フィンの中でも流路が複雑とされるルーバーフィン、もしくはコルゲートフィンの場合よりもかなり大きく、熱交換器として適用することは困難である。
通風抵抗の小さいルーバーフィンやコルゲートフィンについては、加工限界の問題から、これ以上、複雑流路を形成することは困難であり、大幅な熱伝達率の向上は望めないのが現状である。
以上のことから、本発明は、通風抵抗と熱伝達率とのバランスの取れた三次元網目状構造を有する熱交換器用多孔質部材を提供することを目的とする。
本発明の熱交換器用多孔質部材は、三次元状に連結する骨格を有するとともに前記骨格により三次元状に連通する連通孔を有する三次元網目状構造体であって、前記構造体の気孔率が92〜98%であり、さらに前記連通孔の大きさが800〜2000μmであることを特徴とする。なお、本発明での連通孔の“大きさ”は、円相当径のことである。
上記の熱交換器用多孔質部材においては、骨格の熱伝導の観点から、骨格の相対密度は90%以上であることが好ましい。骨格の密度測定は、アルキメデス法による実測が不可能なため、画像分析ソフトウエア(三谷産業製WinRoof等)を用いて、骨格断面の画像を自動二値化処理したり、該画像をグレースケールに変換して適当な閾値を設定したりすることにより、測定を行うことができる。
上記構造体を得るには、三次元状に連結する樹脂製の骨格を有し、樹脂製の骨格により三次元状に連通する連通孔が形成された樹脂製の三次元網目状構造体を基体とし、基体の樹脂製の骨格表面に、例えばアルミニウム粉末および/またはアルミニウム合金粉末を付着させた後、非酸化性雰囲気中で、アルミニウム粉末またはアルミニウム合金粉末の融点以上に加熱して、基体を消失除去するとともにアルミニウム粉末またはアルミニウム合金粉末を溶融するといった方法で製造することができる。この場合のアルミニウムは、Al:95質量%以上で残部がC、N、O等の不純物からなり、他の金属元素を含まないものとする。
上記のような製造方法においては、三次元状に連結する樹脂製の骨格を有し、樹脂製の骨格により三次元状に連通する連通孔が形成される樹脂製の三次元網目状構造を基体とし、この基体の樹脂製の骨格表面に、アルミニウム粉末および/またはアルミニウム合金粉末を付着させた後、非酸化性雰囲気中で加熱して樹脂製の基体を消失除去する点は、上記特許文献4と同様であるが、本発明においては、加熱温度をアルミニウム粉末および/またはアルミニウム合金粉末の融点以上としてアルミニウム粉末および/またはアルミニウム合金粉末を溶融させる加熱工程を行うことが特徴である。
加熱する前の基体の樹脂製の骨格表面にアルミニウム粉末および/またはアルミニウム合金粉末を付着させた状態では、アルミニウム粉末および/またはアルミニウム合金粉末の表面は酸化被膜で覆われ、酸化被膜を介して各粉末粒子が接触している。そして、骨格表面にアルミニウム粉末および/またはアルミニウム合金粉末を付着させた基体を融点以上に加熱すると、昇温過程で樹脂製の基体が分解して消失するとともに、溶融したアルミニウムおよび/またはアルミニウム合金は、粉末の表面の酸化被膜を破って粉末表面を濡らして覆う。このとき粉末表面に形成されていた酸化被膜が代用骨格となり、溶融したアルミニウムおよび/またはアルミニウム合金がこの代用骨格の外側で濡れることにより、隣り合う粉末どうしが溶融したアルミニウムおよび/またはアルミニウム合金により結合される。このため、加熱後に得られるアルミニウム系多孔質体は、強固に金属結合しており、充分な結合を実現することができる。なお、本発明者等が銅粉末を用いて同様の実験を行ったところ、銅粉末が溶融して落下し、多孔質体を形成することができなかった。したがって、粉末を溶融させても形態を保持できるのは、酸化被膜を有するアルミニウムおよびアルミニウム合金特有の効果と言うことができる。
このようにして得られるアルミニウム系多孔質体の骨格は、密度比が90%以上であるとともに、元の粉末表面に形成されていた酸化被膜すなわちアルミナ(Al2O3)が内部に分散するアルミニウムもしくはアルミニウム合金として形成される。アルミナは硬質であり、基地となるアルミニウムもしくはアルミニウム合金に分散して基地を強化する結果、アルミニウムもしくはアルミニウム合金は、高い強度を示すものとなる。また、骨格は、樹脂製の骨格が存在していた部分に空洞を有する中空状をなしているので、軽量化が求められる用途に有効である。
最終的なアルミニウム系多孔質体の三次元網目状構造は、基体の骨格表面に付着させて担持したアルミニウム粉末および/またはアルミニウム合金粉末を溶融することにより構成される。このため、基体の三次元網目状構造が、最終的なアルミニウム系多孔質体の三次元網目状構造に影響する。したがって、基体の三次元網目状構造を変更することで、所望の三次元網目状構造を有するアルミニウム系多孔質体を得ることができる。
三次元網目状構造のアルミニウム系多孔質体の骨格は、細過ぎるとアルミニウム系多孔質体の強度が低下する。一方、太過ぎると強度は向上するが、連通する気孔を通過する流体の流れを阻害して通風抵抗が大きくなる。強度と通風抵抗の両面から、アルミニウム系多孔質体の熱交換器への応用を考慮すると、骨格の太さは100〜150μmとすることが好ましい。
また、アルミニウム系多孔質体の骨格は、基体の樹脂製の骨格の表面にアルミニウム粉末および/またはアルミニウム合金粉末を付着させ、溶融させて形成するが、基体の樹脂製の骨格の表面に付着させるアルミニウム粉末および/またはアルミニウム合金粉末の量が多くなると、溶融するアルミニウムおよび/またはアルミニウム合金の量が過多となり、表面張力による保形が難しくなり、型崩れが生じ易くなる。この観点から、樹脂製の骨格表面に付着させるアルミニウム粉末および/またはアルミニウム合金粉末は、樹脂製の骨格の表面からの厚さが100〜1000μmとなるように付着させると、溶融の後に形成されるアルミニウムおよび/またはアルミニウム合金の骨格の太さが100〜150μmに形成されることとなるので好ましい。
本発明の熱交換器用多孔質部材によれば、従来の熱交換器用の金属フィンに比べて、同等の通風抵抗でありながら大幅な伝熱量の向上が図られ、通風抵抗と熱伝達率のバランスの取れた三次元網目状構造を有するといった効果が奏される。
[基体]
基体は、三次元状に連結する骨格を有し、その骨格により三次元状に連結する気孔が形成される三次元網目状構造体を用いる。この基体は骨格表面に例えばアルミニウム粉末および/またはアルミニウム合金粉末を付着させて担持するものであり、加熱されて分解、消失すべきものであることから、樹脂により構成される。具体的には、基体としてポリウレタンフォームが最も一般的に用いられるが、他にシリコーン樹脂、ポリエステル樹脂のフォームなどを用いることができる。
基体は、三次元状に連結する骨格を有し、その骨格により三次元状に連結する気孔が形成される三次元網目状構造体を用いる。この基体は骨格表面に例えばアルミニウム粉末および/またはアルミニウム合金粉末を付着させて担持するものであり、加熱されて分解、消失すべきものであることから、樹脂により構成される。具体的には、基体としてポリウレタンフォームが最も一般的に用いられるが、他にシリコーン樹脂、ポリエステル樹脂のフォームなどを用いることができる。
[アルミニウム粉末またはアルミニウム合金粉末]
基体の樹脂骨格に付着させる粉末は、上記のとおり、熱伝導率および比重のバランスの観点からアルミニウム粉末が好適に用いられるが、アルミニウム粉末に替えて、アルミニウムを強化する成分を予め合金化したアルミニウム合金粉末を用いてもよい。AlにCu、Mn、Mg、Si等の合金化元素を予合金化したアルミニウム合金粉末を用いた場合は、アルミニウム系多孔質体の骨格がアルミニウム合金で形成され、アルミニウム系多孔質体の強度を向上することができる。AlにCu、Mn、Mg、Si等の合金化元素を添加することにより、熱伝導率はAl単体の場合よりも低下するが、ベース金属がAlであるため、充分に高い熱伝導率を維持することができる。アルミニウム粉末またはアルミニウム合金粉末は、一般的なもの、すなわち表面に10Å程度の酸化被膜(アルミナ:Al2O3)を有するものを用いる。
基体の樹脂骨格に付着させる粉末は、上記のとおり、熱伝導率および比重のバランスの観点からアルミニウム粉末が好適に用いられるが、アルミニウム粉末に替えて、アルミニウムを強化する成分を予め合金化したアルミニウム合金粉末を用いてもよい。AlにCu、Mn、Mg、Si等の合金化元素を予合金化したアルミニウム合金粉末を用いた場合は、アルミニウム系多孔質体の骨格がアルミニウム合金で形成され、アルミニウム系多孔質体の強度を向上することができる。AlにCu、Mn、Mg、Si等の合金化元素を添加することにより、熱伝導率はAl単体の場合よりも低下するが、ベース金属がAlであるため、充分に高い熱伝導率を維持することができる。アルミニウム粉末またはアルミニウム合金粉末は、一般的なもの、すなわち表面に10Å程度の酸化被膜(アルミナ:Al2O3)を有するものを用いる。
基体の樹脂骨格に付着させるアルミニウム粉末またはアルミニウム合金粉末は、細い基体の樹脂骨格表面に密に付着できることから微細なものが好ましい。粉末が大きくなると基体の樹脂骨格表面に密に付着させることが難しくなるとともに、粉末の質量が増加することにより、基体の樹脂骨格表面に付着し難くなり、脱落し易くなる。この観点から、アルミニウム粉末および/またはアルミニウム合金粉末は、平均粒径が20μm以下のものを用いることが好ましい。さらに、平均粒径が20μm以下であるとともに、粒径が100μmを超える粉末を含まないものであることが好ましい。ただし、Alは活性な金属であるため、あまりに微細な粉末は取扱いが難しくなる。この観点から、アルミニウム粉末および/またはアルミニウム合金粉末は、平均粒径が0.1μm以上のものを用いることが好ましい。
[付着工程]
上記特許文献1、2、4等に記載された方法であり、アルミニウム粉末またはアルミニウム合金粉末を分散媒中に分散させた分散液を作製し、この分散液中に基体を浸漬した後、基体を乾燥させる方法である。分散媒としては、アルコール等の揮発性を有する液体や水を溶媒とし、これに結着剤を溶解した液を用いることができる。この場合、粉末が沈降しないよう分散媒に分散剤や他の元素を添加してもよい。また、分散媒としては、フェノール樹脂等の高分子有機物の溶液を用いてもよい。
上記特許文献1、2、4等に記載された方法であり、アルミニウム粉末またはアルミニウム合金粉末を分散媒中に分散させた分散液を作製し、この分散液中に基体を浸漬した後、基体を乾燥させる方法である。分散媒としては、アルコール等の揮発性を有する液体や水を溶媒とし、これに結着剤を溶解した液を用いることができる。この場合、粉末が沈降しないよう分散媒に分散剤や他の元素を添加してもよい。また、分散媒としては、フェノール樹脂等の高分子有機物の溶液を用いてもよい。
[加熱工程]
骨格表面にアルミニウム粉末またはアルミニウム合金粉末を付着させた基体は、非酸化性雰囲気中で、前記アルミニウム粉末または前記アルミニウム合金粉末の融点以上に加熱される。この融点までの昇温過程で、樹脂製の基体は分解し除去されて消失する。
骨格表面にアルミニウム粉末またはアルミニウム合金粉末を付着させた基体は、非酸化性雰囲気中で、前記アルミニウム粉末または前記アルミニウム合金粉末の融点以上に加熱される。この融点までの昇温過程で、樹脂製の基体は分解し除去されて消失する。
加熱温度がアルミニウムの融点(660.4℃)もしくはアルミニウム合金の融点を超えると、アルミニウム粉末もしくはアルミニウム合金粉末が内部で溶融する。すなわち、アルミニウム粉末もしくはアルミニウム合金粉末の表面は酸化被膜(アルミナ=Al2O3)で覆われており、アルミナの融点は2072℃と高いためアルミニウム粉末もしくはアルミニウム合金粉末の表面の酸化被膜が溶融せず、これらの粉末の内部が溶融する。このようにして内部で溶融したアルミニウムまたはアルミニウム合金は、図1に示すように、粉末の表面の酸化被膜を破って粉末表面に濡れて覆うとともに、各粉末から発生した溶融アルミニウムまたは溶融アルミニウム合金が混ざり合い結合する。このとき粉末表面に形成されていた酸化被膜が代用骨格となり、骨格の形状を維持するとともに、互いに結合した溶融アルミニウムまたは溶融アルミニウム合金の表面張力により、骨格表面は比較的滑らかとなりネック部が消失して連続する金属表面となる。
このようにして得られるアルミニウム系多孔質体の骨格は、元の粉末表面に形成されていた酸化被膜すなわちアルミナ(Al2O3)が内部に分散するアルミニウムもしくはアルミニウム合金として形成される。このアルミナは硬質であり、基地となるアルミニウムもしくはアルミニウム合金に分散して基地の強化に寄与する。また、骨格は、樹脂製の骨格が存在していた部分に空洞を有する中空状をなしているので、軽量化が求められる用途に有効である。
一方、加熱温度がアルミニウムもしくはアルミニウム合金の融点未満の場合には、図2に示すように、アルミニウム粉末またはアルミニウム合金粉末の表面に形成された強固な酸化被膜がバリヤとなって、アルミニウム粉末どうし、またはアルミニウム合金粉末どうしの拡散による接合を阻害して焼結が進行しない。
[第1実施例]:気孔(連通孔)の大きさと圧力損失、熱伝達率との関係
三次元網目状構造を有する樹脂製の基体として、縦100mm、横100mm、厚さ10mmのポリウレタンフォームを用意した。このポリウレタンフォームは、気孔率(全体の体積に対する連通孔の体積の割合)が95%であり、連通孔の大きさは、円相当径で2500μm、2000μm、1250μm、800μm、および625μmの5種を用いた。
三次元網目状構造を有する樹脂製の基体として、縦100mm、横100mm、厚さ10mmのポリウレタンフォームを用意した。このポリウレタンフォームは、気孔率(全体の体積に対する連通孔の体積の割合)が95%であり、連通孔の大きさは、円相当径で2500μm、2000μm、1250μm、800μm、および625μmの5種を用いた。
次いで、分散媒として樹脂分2質量%のポリビニルアルコール(商品名:ゴーセノール、日本合成化学工業株式会社製)を用意し、平均粒径6μmのアルミニウム粉末を用意した分散媒に質量比1:1、2:1、4:1で混合し、アルミニウム粉末分散液を作製した。作製したアルミニウム粉末分散液中に用意した基体を浸漬した後、余分なスラリーをロールにより除去してから、80℃にて120分乾燥させて、アルミニウム粉末が付着した基体を用意した。このようにして作製したアルミニウム粉末が付着した基体を、圧力が10−3Paの減圧雰囲気(真空雰囲気)の下、665℃にて210分間加熱し、アルミニウム多孔質体の試料を作製した。
これらのアルミニウム多孔質試料について、マイクロスコープと光学顕微鏡にて観察し、画像分析ソフトウエア(三谷産業製WinRoof)を用いて、気孔(連通孔)の大きさについて測定するとともに三次元網目構造の気孔(連通孔)の円相当直径について求め、その平均値を求めた。これらの結果を表1に示す。
表1の各試料について、圧力損失を求める通風抵抗試験と熱伝達率を求める伝熱量測定私見を行った。通風抵抗試験については、風洞試験機を用いて、各試料を縦50mm、横50mm、高さ5mmの大きさに切り出し、隙間をウレタンフォームで埋め、測定ユニットに設置し、ユニット通過前後の圧力を測定し、圧力損失(Pa)を求めた。また、伝熱量測定試験については、セラミックヒーターにより、前記の通風抵抗試験ユニットに設置された試料を加熱し、ユニット通過前後の気体温度を測定し、熱伝達率(W/℃)を求めた。これらの結果を表1に示すとともに図3および図4のグラフにまとめた。
上記結果によれば、気孔の大きさが635μmの場合では圧力損失が現行ルーバーフィンの10倍程度となってしまうため、気孔の大きさは圧力損失が2倍程度となる800μm以上にするのが妥当である。また、気孔の大きさが小さくなるほど熱伝達率が大きくなり、635μmでは熱伝達率が現行ルーバーフィンの3〜5倍程度となっている。逆に、気孔の大きさが2540μmでは伝熱量が現行ルーバーフィンよりも小さくなってしまう。よって、気孔の大きさは、800〜2000μmが妥当である。
[第2実施例]:気孔率と圧力損失、熱伝達率との関係
三次元網目状構造を有する樹脂製の基体として、縦100mm、横100mm、厚さ10mmであり、円相当径が1250μmで、気孔率が90%、92%、94%、98%、および99%の5種類のポリウレタンフォームを用意した。これら基体を元に、第1実施例と同様にしてアルミニウム多孔質体試料を作製するとともに通風抵抗試験と伝熱量測定試験を行った。これらの結果を表2に示すとともに図5および図6のグラフにまとめた。
三次元網目状構造を有する樹脂製の基体として、縦100mm、横100mm、厚さ10mmであり、円相当径が1250μmで、気孔率が90%、92%、94%、98%、および99%の5種類のポリウレタンフォームを用意した。これら基体を元に、第1実施例と同様にしてアルミニウム多孔質体試料を作製するとともに通風抵抗試験と伝熱量測定試験を行った。これらの結果を表2に示すとともに図5および図6のグラフにまとめた。
上記結果によれば、気孔率が92%以上にならないと圧力損失が低下せず、また、気孔率が98%を超えると熱伝達率が確保されない。よって、気孔率は92〜98%の範囲が適切である。
本発明の熱交換器用多孔質部材は、通風抵抗が小さく、かつ伝熱量が大きいことから、自動車用をはじめ、産業用の空調機やクーリングユニット等の熱交換部材として有効である。
Claims (4)
- 三次元状に連結する骨格を有するとともに前記骨格により三次元状に連通する連通孔を有する三次元網目状構造体であって、
前記構造体の気孔率が92〜98%であり、さらに前記連通孔の大きさが800〜2000μmであることを特徴とする熱交換器用多孔質部材。 - 前記骨格の太さが100〜150μm以下であることを特徴とする請求項1に記載の熱交換器用多孔質部材。
- 前記骨格が、密度比が90%以上のアルミニウムもしくはアルミニウム合金からなることを特徴とする請求項1または2に記載の熱交換器用多孔質部材。
- 前記骨格が中空状をなすことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の熱交換器用多孔質部材。
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