JP2007177280A - 金属多孔質体の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 本発明の目的は、空孔率が大きく、均一な骨格を有する金属多孔質体を生産性よく製造するための金属多孔質体の製造方法の提供である。
【解決手段】 本発明は、分散媒と、平均粒径10μm以下の金属粉末と、アニオン系分散剤とを含むスラリーを、空孔率が90%以上で長さ25mmの任意方向の直線と交差する空孔の平均個数であるセル数が5〜30個の発泡樹脂フォームに塗布浸透させた後、乾燥させて前駆体を形成し、次いで、該前駆体の前記発泡樹脂フォームを消失させ、前記金属粉末を焼結させて金属多孔質体を形成する金属多孔質体の製造方法である。
【選択図】 図1

Description

本発明は、例えば、自動車等のディーゼルエンジンの排気ガスに含まれる煤の除去用フィルタや下水や工業用水等の水処理用フィルタ等の各種フィルタ、燃料電池の触媒担体用部品等に利用できる金属多孔質体の製造方法に関する。
発泡樹脂フォームを基材に製造した金属多孔質体は、金属による骨格部と空間である空孔部により構成され、一連の骨格とそれに囲まれた1個の空孔部をセルともいう。例えば、流体つまり気体や液体を金属多孔質体に通すと、流体に混在する異物粒子等は骨格部で吸着または捕集されて除去され、異物粒子等が除去された流体はセル部を通過していく。この場合、除去したい異物粒子等の大きさに応じてセルのサイズを選択する。このような機能を有する金属多孔質体は各種フィルタ部材として利用されている。
また、例えば、燃料電池等の触媒担体用部品に金属多孔質体を用いる場合には、骨格部の表面に触媒を担持させて反応物質との接触面積を増やし、これにより反応を増大させるために使用される。また、金属多孔質体は、非金属に比べて延性、靭性、耐衝撃性に優れており、壊れやすい触媒を保護する効果もある。
従来、上述のような金属多孔質体を形成する方法のひとつとして、例えば特許文献1が開示する、多孔質の発泡樹脂フォームに導電処理を施し、NiやCrを電気メッキした後に熱処理して発泡樹脂フォームを除去し、金属多孔質体を得る方法が知られている。しかしながら、このような電気メッキによる方法では、電気メッキ可能なNiやCr等の成分に限られてしまう。成分がNi単独の金属多孔質体の場合、電気的な反応を行う部品やある程度の耐食性が望まれる部品等の場合には適する方法である。しかし、Niの純度が高い場合には硬度が低く容易に変形してしまうことから、構造部品としては使用できないことがある。Niの上にCrをメッキして硬度および耐熱性を向上させた金属多孔質体ならば上述の課題を解消できるが、一般的にCrのメッキは環境負荷等の問題があって削減や廃止が検討されており、Crのメッキを行わない技術開発が望まれている。
上述の電気メッキとは別の方法としては、例えば、分散媒と金属粉末を含むスラリーを多孔質の発泡樹脂フォームに含浸させて乾燥させ、次いで発泡樹脂フォームを除去して焼結させ、金属多孔質体を得る方法が知られている。このようなスラリーを発泡樹脂フォームの内部に浸透させる方法では、スラリーに浸透可能な流動性を持たせるために多量の分散媒を要する。分散媒の密度は、金属粉末の密度に比べて極めて小さく、その密度差によって金属粉末は分離してしまい沈殿しやすい。このために、スラリーを発泡樹脂フォームに含浸して乾燥させる間に、発泡樹脂フォームの骨格に一旦付着した金属粉末が流れ落ちてしまい、定着しないといった不具合を生じることがあった。
この問題に対し、例えば特許文献2は、スラリーに対してゲル化セルロース、ポリビニルアルコール、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂等の結合剤を添加し、スラリーの粘度を高めつつ流動性を確保する提案をしている。
特開昭57−174484号公報 特開昭38−17554号公報
しかしながら、特許文献2が開示するような結合剤を添加して粘度を高めたスラリーでは、発泡樹脂フォームとともに結合剤を気化または分解して消失させるとき、残留する炭素量が増加し、金属多孔質体の組成に影響を及ぼすことがあった。また、スラリーに適度な流動性を持たせるために金属粉末の添加量に対し比較的多量の分散媒を添加することとなり、発泡樹脂フォームの骨格に対する金属粉末の定着状態が不均一になりやすく、形成される金属多孔質体にも部分的な欠落等を生じやすいといった問題があった。
また、上述の問題とは別に、微細な金属粉末は凝集しやすく、凝集したままで分散媒に投入すると金属粉末が分散媒中で解砕されず、スラリー内で金属粉末を均一に分散させることができないといった欠点もあった。
本発明の目的は、上述の問題点を解決し、空孔率が大きく、均一な骨格を有する金属多孔質体を生産性よく製造するための金属多孔質体の製造方法を提供することである。
本発明者は、金属粉末をスラリー内で凝集させずに均一に分散させることを検討し、金属粉末を含む分散媒に対してアニオン系分散剤を添加することにより、上述の問題点を解決できることを見出し本発明に想到した。
すなわち本発明は、分散媒と、平均粒径10μm以下の金属粉末と、アニオン系分散剤とを含むスラリーを、空孔率が90%以上で長さ25mmの任意方向の直線と交差する空孔の平均個数であるセル数が5〜30個の発泡樹脂フォームに塗布浸透させた後、乾燥させて前駆体を形成し、次いで、該前駆体の前記発泡樹脂フォームを消失させ、前記金属粉末を焼結させて金属多孔質体を形成する金属多孔質体の製造方法である。
本発明において用いるスラリーは、B型粘度計で測定した粘度が1.0〜5.0Pa・sであることが望ましい。また、質量%で、金属粉末が92.5〜82.5%、アニオン系分散剤が0.025〜0.5%添加されていることが望ましい。
本発明によれば、平均粒径10μm以下の金属粉末からなり、部分的な欠落等のない均一な骨格を有する、空孔率90%以上、セル数5〜38個の構造を有する金属多孔質体を形成することができる。これにより、この金属多孔質体のフィルタ機能や担持機能を利用し、例えば、排気ガス用や水処理用のフィルタ部材や、燃料電池等の各種部材を実用化するために欠くことのできない技術となる。
本発明における重要な特徴は、分散媒と平均粒径10μm以下の金属粉末を有するスラリーに対し、アニオン系分散剤を添加したことである。
本発明者は、従来使用していた平均粒径30μm程度の金属粉末がスラリー内で凝集することを抑止するための検討を行い、金属粉末を分散させるとされていた各種の分散剤を試してみた。しかしながら、アニオン系分散剤を添加したときにわずかに金属粉末の分散傾向が認められるのみで、それ以外の分散剤では金属粉末の分散傾向を確認できなかった。そこで、金属粉末の表面の電気的極性を調整して金属粉末の相互の反発力を高めることを検討し、平均粒径10μm以下の金属粉末を含む分散媒に対してアニオン系分散剤を添加したところ金属粉末の分散状態が格段に改善され、スラリー内で金属粉末を均一に分散させることができた。
これは、金属粉末が本来有するプラス極性をアニオン系分散剤が打ち消し、またさらに強いマイナス極性を付与することにより、平均粒径10μm以下といった軽量の金属粉末個々を相互に反発させて分散させることができる反発力が発生したためと考えられる。
上述のように本発明においては、分散媒と平均粒径10μm以下の金属粉末を有するスラリーに対し、従来のように分散媒を多量に添加せず、アニオン系分散剤を添加することにより、スラリー内で金属粉末を均一に分散させ、また金属粉末の凝集を抑止し、さらにスラリー投入前に凝集していた金属粉末を解砕することができる。
金属粉末は、金属多孔質体の骨格を形成する素材となるものであり、分散媒に比べて密度が極めて大きいためにスラリー内での沈降が速い。このため、本発明においては平均粒径10μm以下のものを使用する。使用する金属粉末の平均粒径が10μmを超えると、スラリーを発泡樹脂フォームに塗布浸透させて乾燥させる間に、金属粉末が沈降して分離してしまうことがある。
スラリーとは、液体に微細な固体を分散させた懸濁液のことで、一般にポンプ移送できる程度の流動性を有する混合体の呼称である。本発明においてスラリーは、上述のように分散媒と、平均粒径10μm以下の金属粉末と、アニオン系分散剤とを含むものである。このようなスラリーを発泡樹脂フォームに塗布浸透させることにより、金属粉末を発泡樹脂フォームの骨格に均一に付着させることができる。また、一旦骨格に付着させた金属粉末の流れ落ちを防止し、金属粉末を確実に定着させることができる。
スラリーのベースとなる分散媒は、分散の対象となる金属粉末を均一に浮遊させ、さらにスラリーに適度な流動性を付加する機能を有するものである。本発明において使用する分散媒は、アニオン系分散剤の働きを阻害する可能性のある物質の混入が少ない純水が好ましい。ここでいう純水とは、実質的に不純物を検出できない純度の水のことで、含有イオンを除去した水をさらに蒸留する等の方法で製造できるものである。また、純水以外でも、例えば、エタノール等のアルコール類や、純水とエタノール等の混合液、あるいは純水よりも含有イオンや不純物の点でやや不利であるもののイオン交換水、蒸留水、上水等も使用できる。
本発明においては、上述のスラリーを、空孔率が90%以上で長さ25mmの任意方向の直線と交差する空孔の平均個数であるセル数が5〜30個の発泡樹脂フォームに塗布浸透させる。発泡樹脂フォームとは、例えばスポンジ状の表面および内部に多数の空孔を有する樹脂製固体のことである。
本発明において発泡樹脂フォームが有するセル数は重要である。セルとは、一連の骨格とそれに囲まれた1個の空孔部のことである。また、セル数とは、一般には発泡樹脂フォームの空孔数を示す指標であって発泡樹脂フォームの構造を識別するために使用される。一般にセル数は、発泡樹脂フォームにおいて任意方向に長さ25mmの直線を仮想し、この直線と交差する空孔の平均個数として定義されるものである。
本発明において使用する発泡樹脂フォームのセル数は5〜30個とする。セル数が5未満では空孔の大きさが過大となり、例えば金属多孔質体をフィルタ用途に使用する場合、過大なフィルタメッシュでは異物の除去ができないことがある。また、例えば金属多孔質体を触媒担体用途に使用する場合、骨格部の総表面積が狭すぎて十分な量の触媒を担持できないことがある。一方、セル数が30個を超えると空孔の大きさが過小となり、スラリーを塗布浸透させ難くなるばかりか、空孔の目詰まりを生じやすくなる。なお、上述のセル数を空孔の平均直径に換算すると、セル数が5個ならば4.2〜6.2mm、セル数が30個ならば0.81〜0.86mmとなる。
また、本発明においては発泡樹脂フォームの空孔率を90%以上とする。空孔率とは、発泡樹脂フォームの密度(質量/体積)と発泡樹脂フォームを形成する材料の比重とで決まり、発泡樹脂フォームにおける空間部分の構成比を示す指標である。発泡樹脂フォームの空孔率が90%未満のものでは、形成される金属多孔質体の空孔部分が過少となって、例えばフィルタ、触媒担体といった用途では使用できないことがある。また、空孔率と上述のセル数とは、例えばセル数が同一の場合、空孔率が小さくなると骨格部分が太くなるといった関係となる。
上述の発泡樹脂フォームを使用する工程について、以下、詳細に説明する。
まず、発泡樹脂フォームに対して上述したスラリーを塗布浸透させる。その手段としては、例えば、発泡樹脂フォームをスラリーに浸漬させる、あるいは発泡樹脂フォームにスラリーを含浸または直接スプレー塗布する等が使用できる。これにより、発泡樹脂フォームの骨格に対して金属粉末を含むスラリーを付着させる。このとき、発泡樹脂フォームの骨格に付着したスラリー層の厚さが均一となるように調整することが好ましく、焼結後の金属多孔質体の骨格を健全に形成することができる。
また、好ましくは発泡樹脂フォームの骨格に対して均一の厚さでスラリー層を付着させることである。例えば、発泡樹脂フォームの空間部にスラリーを充満させた後に減圧雰囲気とし、発泡樹脂フォームの内部に残留する気泡を除去する等の手段を採用することが好ましい。そしてこの後、発泡樹脂フォームに付着させたスラリーが乾燥しない間に、例えば、発泡樹脂フォームを平板で挟み込んだり、あるいは平行ロール間を通過させたりといった加圧手段によって発泡樹脂フォームを圧縮処理する等の手段を採用することが好ましい。また、例えば加圧空気を吹き付ける等によって発泡樹脂フォームの表面の余剰スラリーを除去する手段を採用することもできる。
次いで、上述のようにスラリーを塗布浸透させた発泡樹脂フォームを、温風等により乾燥させて前駆体を形成する。本発明においては、乾燥工程において温度40〜100℃の送風手段を採用することが好ましく、発泡樹脂フォームの骨格に対し付着させたスラリー層のワレや剥離を防止できる。
そして、上述のように形成した前駆体から発泡樹脂フォームを消失させ、発泡樹脂フォームの骨格に付着する金属粉末を焼結させることにより金属多孔質体を形成する。
発泡樹脂フォームを消失させる手段としては、例えば焼結炉を用い、焼結工程に含めて実施すればよい。このような焼結工程としては、例えば、真空または不活性ガス雰囲気中の焼結炉内に前駆体を静置して昇温し、まず発泡樹脂フォームやスラリーに含まれる添加剤等を気化させ、あるいは分解して消失させる。そしてこの後、焼結温度に昇温し、金属紛末を焼結させるような工程とすることができる。また、昇温速度や保持温度等の諸条件は、前駆体の骨格に形成させたスラリー層に割れや剥離を生じることのない条件を選定すればよい。
また、(タップ密度/真密度)が0.5程度の値の金属粉末を焼結させるとき、一般には概ね2%〜20%の収縮を生じる。このため、形成される金属焼結体の形状寸法は、使用した発泡樹脂フォームの形状寸法よりも縮小される。具体的には、空孔は縮小し、セル数は増加することとなる。例えば、セル数30の発泡樹脂フォームを使用し、焼結時に20%の収縮を生じた場合、セル数が37〜38個である金属多孔質体を形成することができる。
本発明は、上述のような手段により、分散媒と平均粒径10μm以下の金属粉末とアニオン系分散剤とを含むスラリーを、空孔率が90%以上で長さ25mmの任意方向の直線と交差する空孔の平均個数であるセル数が5〜30個の発泡樹脂フォームに塗布浸透させた後、乾燥させて前駆体を形成し、次いで、この前駆体の発泡樹脂フォームを消失させ、金属粉末を焼結させて金属多孔質体を形成することができる。
次いで、本発明において好ましい構成について説明する。
アニオン系分散剤としては、例えば、ポリカルボン酸アンモニウム、ポリカルボン酸ナトリウム、ポリオキシエチレナルキルエーテルカルボン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩等を使用することが好ましく、スラリーに質量%で、0.025〜0.5%添加することが好ましい。本発明においてアニオン系分散剤は、上述のように金属粉末の極性を調整するために添加するため、0.025%未満では極性調整効果が弱くなって不利である。また、0.5%を超えて添加してもよいが、極性調整効果の向上は期待できず、アニオン系分散剤はそれ自体が液体であるため、スラリーが過流動となって不利である。
スラリーとしては、発泡樹脂フォームに塗布浸透させるため、金属粉末が沈降したり流れ落ちたりしない程度に粘度が低く流動性の良い範囲、例えば、B型粘度計で測定した粘度が1.0〜5.0Pa・sであることが好ましい。スラリーの粘度が1.0Pa・s未満では金属粉末を発泡樹脂フォームに付着させ難くなり、またスラリーの粘度が5.0Pa・sを超えるとスラリーの流動性が不足してスラリーを発泡樹脂フォームに浸透させにくくなって不利である。
また、上述したスラリーに対して各種の添加剤を加えることも好ましく、例えば、発泡樹脂フォームにスラリーを塗布浸透させた後、発泡樹脂フォームの骨格部に付着した金属粉末の接着強度の向上効果等を発現する添加剤が好ましい。このような添加剤としては、例えば、スラリーの粘度を高くするポリビニルアルコール、発泡樹脂フォームの骨格部に付着した金属粉末のフォーム変形時のクラック発生を防止するプロピレングリコール、発泡樹脂フォームとスラリーの濡れ性を向上させてスラリーの付着性を高める界面活性剤、発泡樹脂フォームの骨格部に付着したスラリーの金属粉末の垂れを防止する水溶性アラビアガム等を使用できる。
金属粉末は、好ましくは質量%で92.5〜82.5添加し、スラリーに好適な流動性を付与させる。スラリーの流動性は、主に、分散媒と、使用する金属粉末の形状、粒度分布、タップ密度(T/D)等によって決まる。上述の範囲で金属粉末を添加することにより、スラリーは好適な流動性を有することとなり、発泡樹脂フォームへの塗布浸透を好適に実施できる。
また、最大粒径10μmを超える金属粉末は混在しないことがよいが、混在する場合にはその構成比を5%以下とするのがよく、スラリーを発泡樹脂フォームに塗布浸透させるときの液ダレ等の不具合を低減させることができる。
また、金属粉末の材質としては、焼結可能であればどのような材質でも使用可能であるが、例えばFe、Ni、Al、Cu、Ti等の金属やこれらからなる合金、およびSUS等を使用できる。例えば水処理用途では、耐食性を考慮し、質量%でNiが12.0%以上、Crが16.0%以上、Moが2.0%以上含有されるSUS316L等のオーステナイト系ステンレス鋼を使用することが好ましい。また、例えばディーゼルエンジンの排ガス処理用途では、耐食性や耐酸化性を考慮し、質量%でNiが19.0%以上、Crが24.0%以上含有されるSUS310S等のオーステナイト系ステンレス鋼を使用することが好ましい。また、例えば電池の電極や反応基盤材料に用いられる質量%でNiが99.0%以上含有される純Niの多孔質体用途には、カーボニルNi等を使用できる。
発泡樹脂フォームとしては、例えば、入手しやすい発泡ウレタンフォームや、熱可塑性樹脂であるポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン等、あるいは熱硬化性樹脂であるフェノール樹脂等が好ましい。これらの発泡樹脂フォームを採用することにより、スラリーを塗布浸透させる工程等で損壊せず、金属粉末の焼結時にカーボン等の残留により金属多孔質体の強度を損ねるといった不具合を生じることがない。
本発明の実施例について、以下、具体的に説明する。
なお、表1には、スラリーに含有させる分散媒を含む溶媒(水溶液)の配合構成を示し、また表2には、作製した各種のスラリーの配合構成等を示す。
まず、表1に示す、純水100重量部に対し、水溶性高分子(PVA:ポリビニルアルコール)2重量部、PG(プロピレングリコール)1.2重量部、AG(アラビアゴム)1.2重量部、界面活性剤0.3重量部を添加し、撹拌混合した溶媒(水溶液)を作製した。
次に、表1に示す溶媒を用い、表2に示すスラリー(A)を作製した。具体的には、スラリー(A)は、底の平らな容器に、平均粒径3μmのSUS316Lの金属粉末100重量部に対し、上述の溶媒(水溶液)12重量部と、アニオン系分散剤であるポリカルボン酸アンモニウムを0.14重量部を添加し、十分に混合攪拌させたものである。得られたスラリー(A)は、質量%で金属粉末を89.2%、アニオン系分散剤を0.125%含有し、B型粘度計による粘度が1.5Pa・s(液温20℃)で、金属粉末がスラリー内にほぼ均一に分散する好適な流動性を有していた。
次いで、表3において番号1で示す空孔率97%、セル数8個、乾燥質量53g、長さ380mm、幅270mm、厚さ20mmの発泡ウレタンフォームを準備した。準備した発泡ウレタンフォームの骨格構造の一例を図2に示す。
そして、スラリー(A)の入った容器内を攪拌しながら準備した発泡ウレタンフォームをスラリー(A)に浸漬して十分に浸透させた。形成させる前駆体の目標質量を490g±15gとし、スラリー(A)を浸透させた発泡ウレタンフォームが乾燥しない間に、平行ローラーを用いた加圧装置によって余剰のスラリー(A)を加圧除去した。なお、スラリー(A)を含む発泡ウレタンフォームの乾燥前の湿潤質量は530gであった。この後、槽内温度を80℃に設定した温風循環式乾燥機内に1h静置して乾燥させて前駆体を得た。得られた前駆体は、表3において番号1で示すものであり、質量が503gで、目視にて金属粉末の剥がれや空孔の目詰まりを確認できない良好な前駆体であった。
次いで、得られた前駆体を水素ガス雰囲気中の焼結炉に静置し、昇温速度60℃/hで600℃に昇温して2h保持し、発泡ウレタンフォームや添加剤等を気化あるいは分解して消失除去した。引き続き、昇温速度150℃/hで1250℃に昇温して2h保持し、金属粉末を焼結させて金属多孔質体を得た。そして、得られた金属多孔質体は、表3において番号1で示す本発明の実施例となる金属多孔質体で、長さ305mm、幅215mm、厚さ16mm、空孔率が97.2%、質量402gで、目視にて金属骨格の欠損や割れ、空孔の目詰まりを確認できない良好な金属多孔質体であった。また、この金属多孔質体は、発泡ウレタンフォームや添加剤等が消失除去され、JIS−G4303等に規定されるSUS316Lの成分規格を満足していた。得られた金属多孔質体の骨格構造の一例を図1に示す。
次に、上述と同じスラリー(A)を用い、表3に番号2〜5及び8で示す発泡ウレタンフォームのセル数を5〜30個及び40個のものに替えた場合について、上述と同様な手順により金属多孔質体を作製した。得られた金属多孔質体は、本発明の実施例として番号2〜5で示すものは、空孔率が93.7〜97.4%で、上述の番号1のものと同じく良好な金属多孔質体であった。しかし、比較例として番号8で示す金属多孔質体は、目視にて欠損が確認された。
次に、スラリーに含有させる金属粉末の含有量を替えた表2に示すスラリー(B)(C)を用い、表3に本発明の実施例として番号6、7で示す金属多孔質体を作製した。得られた金属多孔質体は、いずれも目視にて金属骨格の欠損や割れ、空孔の目詰まりを確認できない良好な金属多孔質体であった。
また、スラリーに含有させる金属粉末の平均粒径を13μmとした表2に示すスラリー(P)を用い、表3に比較例として番号9で示す金属多孔質体を作製した。得られた金属多孔質体は、目視にて金属骨格に欠損が確認された。
さらに、アニオン系分散剤でない分散剤を用いた表2に示すスラリー(Q)(R)、分散剤を用いないスラリー(S)を作製し、表3に比較例として番号10〜12で示す金属多孔質体を作製した。得られた金属多孔質体は、目視にて金属骨格に欠損が確認され、特に番号12の場合には機械強度が脆弱であった。
本発明における金属多孔質体の骨格構造の一例を示す図である。 本発明において用いる発泡樹脂フォームの骨格構造の一例を示す図である。

Claims (4)

  1. 分散媒と、平均粒径10μm以下の金属粉末と、アニオン系分散剤とを含むスラリーを、空孔率が90%以上で長さ25mmの任意方向の直線と交差する空孔の平均個数であるセル数が5〜30個の発泡樹脂フォームに塗布浸透させた後、乾燥させて前駆体を形成し、次いで、該前駆体の前記発泡樹脂フォームを消失させ、前記金属粉末を焼結させて金属多孔質体を形成することを特徴とする金属多孔質体の製造方法。
  2. B型粘度計で測定した粘度が1.0〜5.0Pa・sとなるスラリーを用いることを特徴とする請求項1に記載の金属多孔質体の製造方法。
  3. 金属粉末が質量%で92.5〜82.5%添加されたスラリーを用いることを特徴とする請求項1または請求項2のいずれかに記載の金属多孔質体の製造方法。
  4. アニオン系分散剤が質量%で0.025〜0.5%添加されたスラリーを用いることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の金属多孔質体の製造方法。
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