JP5083936B2 - 金属多孔質体の製造方法 - Google Patents
金属多孔質体の製造方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP5083936B2 JP5083936B2 JP2006179091A JP2006179091A JP5083936B2 JP 5083936 B2 JP5083936 B2 JP 5083936B2 JP 2006179091 A JP2006179091 A JP 2006179091A JP 2006179091 A JP2006179091 A JP 2006179091A JP 5083936 B2 JP5083936 B2 JP 5083936B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- skeleton
- slurry
- metal
- porous body
- powder
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
Landscapes
- Powder Metallurgy (AREA)
Description
また、例えば、燃料電池等の触媒担体用部品に金属多孔質体を用いる場合には、骨格部の表面に触媒を担持させて反応物質との接触面積を増やし、これにより反応を増大させるために使用される。また、金属多孔質体は、非金属に比べて延性、靭性、耐衝撃性に優れており、壊れやすい触媒を保護する効果もある。
本発明におけるスラリー製造工程は、分散媒と、平均粒径15μm以下の金属粉末と、分散媒に不溶性の平均粒径10μm以下の熱可塑性樹脂粉末とを含むスラリーを製造する工程とする。具体的には、基準量の分散媒を適当な攪拌槽に入れ、上述の金属粉末と熱可塑性樹脂粉末とを、分散媒に対して各々所要量を添加混合して攪拌し、ほぼ均一に分散させ、スラリーとする等の手段で製造できる。
分散媒としては、コンタミなどの異物や不純物の混入が極めて少ない超純水や純水が好ましい。ここでいう純水とは、実質的に不純物を検出できない純度の水のことで、含有イオンを除去した水をさらに蒸留する等の方法で製造できるものである。超純水や純水以外でも、含有イオンや不純物の点で純水よりもやや不利なイオン交換水、蒸留水、上水等も使用できる。あるいは、エタノール等のアルコール類や、純水とエタノール等の混合液等も使用できる。
スラリー製造工程:
分散媒として超純水を、金属粉末として平均粒径7μmのSUS310Sを、熱可塑性樹脂粉末として平均粒径0.25μmのアクリル酸エステル共重合体を分散させたエマルジョン液であるLDM7512(ニチゴー・モビニール株式会社製、樹脂固形分50%)を使用し、各々の配合比率を質量%で7%、71%、21%として容器内に投入した。そして、十分に混合して攪拌し、金属粉末および熱可塑性樹脂粉末が分散媒にほぼ均一に分散するスラリー(以下、スラリーAという)を得た。
スラリーAと、発泡樹脂フォームとして空孔率97%、セル数8、長さ130mm、幅130mm、厚さ20mmの発泡ウレタンフォーム(以下、発泡ウレタンUという)を使用し、発泡ウレタンUの周りにSUS310S粉末の相互にアクリル酸エステル共重合体からなる融着層が架橋した骨格を形成した。使用した発泡ウレタンUの構造の一例を図3に示す。具体的には以下の手順で実施した。まず、容器内でスラリーAを攪拌しながら発泡ウレタンUを浸漬し、スラリーAを発泡ウレタンUの内側にも十分に浸透させた。この後に発泡ウレタンUを取り出し、発泡ウレタンUの周りに付着したスラリーAから超純水が蒸発する前に、平行ローラーを用いた加圧装置によって余剰のスラリーAを発泡ウレタンUから加圧除去した。そして、スラリーAが付着した発泡ウレタンUを槽内温度80℃の温風循環式乾燥機内に20分間静置して超純水を蒸発させた。これにより、アクリル酸エステル共重合体粉末が融着して粘着層が形成され、この粘着層がSUS310S粉末の相互に架橋して発泡ウレタンUの周りに1層の骨格が形成された。
上述のスラリーAと、1層の骨格を有する発泡ウレタンUを使用し、既存の1層の骨格の周りに、SUS310S粉末の相互にアクリル酸エステル共重合体からなる融着層が架橋した新たな骨格を形成し、骨格を2層とした。具体的には以下の手順で実施した。まず、容器内でスラリーAを攪拌しながら1層の骨格を有する発泡ウレタンUを浸漬し、スラリーAを発泡ウレタンUの内側に形成された骨格の周りにも十分に浸透させた。この後に1層の骨格を有する発泡ウレタンUを取り出し、既存の骨格の周りに付着したスラリーAから超純水が蒸発する前に、加圧空気を吹き付けて余剰のスラリーAを除去した。そして、スラリーAが付着した骨格を有する発泡ウレタンUを槽内温度80℃の温風循環式乾燥機内に20分間静置して超純水を蒸発させた。これにより、アクリル酸エステル共重合体粉末が融着して粘着層が形成され、この粘着層がSUS310S粉末の相互に架橋して既存の骨格の周りに新たな骨格が形成され、骨格が2層となった前駆体を得た。
得られた2層の骨格を有する前駆体を水素ガス雰囲気中の焼結炉に静置し、昇温速度60℃/hで600℃に昇温して加熱し、2h保持し、発泡ウレタンUおよびアクリル酸エステル共重合体からなる粘着層を気化あるいは分解して除去した。
前駆体加熱工程に引き続いて真空雰囲気中の焼結炉を使用し、昇温速度150℃/hで1250℃に昇温して加熱し、2h保持し、SUS310S粉末を焼結させて金属多孔質体P1を得た。
以上、上述の通り、スラリー製造工程、骨格形成工程、骨格多層化工程、前駆体加熱工程、および焼結工程を経て、本発明の実施例となる金属多孔質体P1を製造することができた。
本発明の実施例である2層、4層、6層および7層の骨格を有する前駆体から得た金属多孔質体P1〜P4の圧縮強度は、比較例である金属多孔質体Q1に比べ、金属多孔質体P1では1.6倍、他の金属多孔質体P2〜P4では2.6倍、4.4倍、8.6倍となっており、明らかに優位であった。また、前駆体において形成した骨格の層数が増すとともに圧縮強度が増大していた。これにより、前駆体の骨格を多層化する特徴を有する本発明の金属多孔質体の製造方法は、空孔率が大きく、機械強度に優れた金属多孔質体を生産性よく製造するために有効であることが確認できた。
本発明の実施例である金属多孔質体P5は、上述したスラリーAにおいて、使用する金属粉末の材質をSUS316Lに替えたスラリー(以下、スラリーBという)を使用した。すなわち、スラリーBは、分散媒として超純水を、金属粉末として平均粒径7μmのSUS316Lを、熱可塑性樹脂粉末として平均粒径0.25μmのアクリル酸エステル共重合体を分散させたエマルジョン液であるLDM7512(ニチゴー・モビニール株式会社製、樹脂固形分50%)を使用し、各々の配合比率を質量%で7%、71%、21%としたものである。
金属粉末にSUS316Lを使用した金属多孔質体P5は、その圧縮強度が6.3MPaであった。これに比べ、前駆体の骨格を同じ6層化し、金属粉末にSUS310Sを使用した金属多孔質体P3の圧縮強度は2.2MPaであり、その差は2.8倍であった。この結果より、使用する金属粉末の材質を適宜選定することにより、得られる金属多孔質体の圧縮強度が調整可能であることがわかった。
Claims (3)
- 分散媒と、平均粒径15μm以下の金属粉末と、前記分散媒に不溶性の平均粒径10μm以下の熱可塑性樹脂粉末とを含むスラリーを製造するスラリー製造工程と、容器内で攪拌している該スラリーに、空孔率が90%以上で長さ25mmの任意方向の直線と交差する空孔の平均個数であるセル数が5〜30個の発泡樹脂フォームを浸漬し、該発泡樹脂フォームの周りに前記スラリーを塗布するとともに空孔内に浸透した後、前記塗布したスラリーから分散媒を加熱して蒸発させることにより前記熱可塑性樹脂粉末を融着させて融着層を形成し、該融着層を前記金属粉末の相互に架橋させて該発泡樹脂フォームの周りに骨格を形成する骨格形成工程と、容器内で攪拌している前記スラリーに得られた前記骨格を有する発泡樹脂フォームを浸漬し、前記骨格の周りに前記スラリーを再塗布するとともに空孔内に浸透した後、前記再塗布したスラリーから分散媒を加熱して蒸発させることにより前記熱可塑性樹脂粉末を融着させて融着層を形成し、該融着層を前記金属粉末の相互に架橋させて前記骨格を多層化する骨格多層化工程と、該骨格多層化工程後得られた前駆体を加熱して前記発泡樹脂フォームおよび前記融着層を除去する前駆体加熱工程と、該前駆体加熱工程の後に金属粉末を焼結させて金属多孔質体を形成する焼結工程と、を有し、排気ガスに含まれる煤の除去用フィルタ部材として使用されることを特徴とする金属多孔質体の製造方法。
- 分散媒と、平均粒径15μm以下の金属粉末と、前記分散媒に不溶性の平均粒径10μm以下の熱可塑性樹脂粉末とを含むスラリーを製造するスラリー製造工程と、容器内で攪拌している該スラリーに、空孔率が90%以上で長さ25mmの任意方向の直線と交差する空孔の平均個数であるセル数が5〜30個の発泡樹脂フォームを浸漬し、該発泡樹脂フォームの周りに前記スラリーを塗布するとともに空孔内に浸透した後、前記塗布したスラリーから分散媒を加熱して蒸発させることにより前記熱可塑性樹脂粉末を融着させて融着層を形成し、該融着層を前記金属粉末の相互に架橋させて該発泡樹脂フォームの周りに骨格を形成する骨格形成工程と、容器内で攪拌している前記スラリーに得られた前記骨格を有する発泡樹脂フォームを浸漬し、前記骨格の周りに前記スラリーを再塗布するとともに空孔内に浸透した後、前記再塗布したスラリーから分散媒を加熱して蒸発させることにより前記熱可塑性樹脂粉末を融着させて融着層を形成し、該融着層を前記金属粉末の相互に架橋させて前記骨格を多層化する骨格多層化工程と、該骨格多層化工程後得られた前駆体を加熱して前記発泡樹脂フォームおよび前記融着層を除去する前駆体加熱工程と、該前駆体加熱工程の後に金属粉末を焼結させて金属多孔質体を形成する焼結工程と、を有し、水処理用フィルタ部材として使用されることを特徴とする金属多孔質体の製造方法。
- 前記骨格多層化工程を繰り返して骨格を多層化することを特徴とする請求項1または請求項2のいずれかに記載の金属多孔質体の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2006179091A JP5083936B2 (ja) | 2006-06-29 | 2006-06-29 | 金属多孔質体の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2006179091A JP5083936B2 (ja) | 2006-06-29 | 2006-06-29 | 金属多孔質体の製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2008007811A JP2008007811A (ja) | 2008-01-17 |
JP5083936B2 true JP5083936B2 (ja) | 2012-11-28 |
Family
ID=39066282
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2006179091A Expired - Fee Related JP5083936B2 (ja) | 2006-06-29 | 2006-06-29 | 金属多孔質体の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP5083936B2 (ja) |
Families Citing this family (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN102573704B (zh) * | 2009-08-19 | 2016-03-16 | 史密夫和内修有限公司 | 多孔植入物结构 |
JP6058723B2 (ja) * | 2015-03-23 | 2017-01-11 | 三機工業株式会社 | 水噴霧加湿装置 |
Family Cites Families (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH07138609A (ja) * | 1993-09-14 | 1995-05-30 | Katayama Tokushu Kogyo Kk | 金属多孔体および該金属多孔体の製造方法 |
EP1231951B8 (en) * | 1999-11-15 | 2006-02-01 | Phillips-Origen Ceramic Technology, LLC. | Process for producing rigid reticulated articles |
-
2006
- 2006-06-29 JP JP2006179091A patent/JP5083936B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2008007811A (ja) | 2008-01-17 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
US5304330A (en) | Preparation of mixed fiber composite structures | |
KR101642539B1 (ko) | 알루미늄 다공질 소결체를 갖는 알루미늄 복합체의 제조 방법 | |
JP7148645B2 (ja) | 電極付きアルカリ水電解用隔膜、その製造方法、及び水電解装置 | |
JP5573110B2 (ja) | 電気化学部材用焼結金属シート材及び電気化学部材用焼結金属シート材の製造方法 | |
US20080031767A1 (en) | Open Porous Metallic Foam Body And Method For Manufacturing | |
EP1735122A2 (en) | A metal foam body having an open-porous structure as well as a method for the production thereof | |
US20070202001A1 (en) | Method Of Manufacturing Of A Sintered Metal Fiber Medium | |
WO2016132811A1 (ja) | ニッケル合金多孔体の製造方法 | |
JPWO2007126118A1 (ja) | 木材を原料とするマクロポーラス炭素材料とメソポーラス炭素材料およびその製造方法、ならびにポーラス金属炭素材料とその製造方法 | |
JP6132026B2 (ja) | アルミニウム系多孔質体の製造方法 | |
WO2015027746A1 (zh) | 粉末烧结金属多孔体、过滤元件及改善其渗透性的方法 | |
KR100768805B1 (ko) | 다공질 액체 흡수 유지 부재, 그의 제조 방법, 및 알코올흡수 유지 부재 | |
Kan et al. | 316L FFF binder development and debinding optimization | |
JP7205036B2 (ja) | 金属多孔体、燃料電池および金属多孔体の製造方法 | |
JP5083936B2 (ja) | 金属多孔質体の製造方法 | |
JP2008088461A (ja) | 複数の骨格層を有する金属多孔質体およびその製造方法 | |
JP2004521732A (ja) | 等級順に配列した構造を備えたフィルター及びそれを製造するための方法。 | |
JP2007177280A (ja) | 金属多孔質体の製造方法 | |
CN111270103A (zh) | 一种TiC颗粒增强Ni复合多孔材料及其制备工艺 | |
KR101061981B1 (ko) | 금속 다공질체, 수처리 및 전기도금용 다공질 불용성 전극,및 이들의 제조방법 | |
JP2004039516A (ja) | すぐれた接面通電性を長期に亘って発揮する固体高分子形燃料電池の多孔質金属ガス拡散シート | |
JP2008056979A (ja) | 金属多孔質体の製造方法 | |
Koo et al. | Effects of particle size and forming pressure on pore properties of Fe-Cr-Al porous metal by pressureless sintering | |
US10862137B2 (en) | Method for producing a current collector for a fuel cell, and fuel cell | |
JP2004047125A (ja) | すぐれた接面通電性を長期に亘って発揮する固体高分子形燃料電池の多孔質金属ガス拡散シート |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20090515 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20100618 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20111004 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20111125 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20120110 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20120831 |
|
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20120831 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20150914 Year of fee payment: 3 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |