JP2004050200A - 金属多孔質体、その製造方法およびその製造装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】金属多孔質体を、安価で簡易に製造できる製造方法を提供する。
【解決手段】本発明の金属多孔質体の製造方法は、吸着ガスを伴う酸化物(切削屑等)を金属溶湯中に混在させた酸化物混在溶湯を調製する溶湯調製行程と、その酸化物混在溶湯を鋳型のキャビティへ充填する充填行程と、少なくともその充填工程中または充填工程後に酸化物混在溶湯を減圧雰囲気にし、吸着ガスの発泡により空孔を生じた酸化物混在溶湯を該キャビティ内で冷却凝固させる凝固行程とからなる。
これにより、空孔が内在した金属多孔質体を、切削屑等を利用して、安価で簡易に得ることができる。
【選択図】図1
【解決手段】本発明の金属多孔質体の製造方法は、吸着ガスを伴う酸化物(切削屑等)を金属溶湯中に混在させた酸化物混在溶湯を調製する溶湯調製行程と、その酸化物混在溶湯を鋳型のキャビティへ充填する充填行程と、少なくともその充填工程中または充填工程後に酸化物混在溶湯を減圧雰囲気にし、吸着ガスの発泡により空孔を生じた酸化物混在溶湯を該キャビティ内で冷却凝固させる凝固行程とからなる。
これにより、空孔が内在した金属多孔質体を、切削屑等を利用して、安価で簡易に得ることができる。
【選択図】図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、切削屑の再利用等により得られる金属多孔質体とその製造方法およびその製造装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
マグネシウム合金やアルミニウム合金等の軽合金を利用した、各種部材の軽量化が進められている。さらに、その軽量化を一層進めるために、軽合金からなる多孔質体が利用されつつある。このような多孔質体に関する提案自体は、古くから多数なされており、例えば、特公昭36−20351号公報、特公昭39−803号公報、特公昭50−31082号公報、特開平7−233428号公報、特開平9−241780号公報、特開2001−342503号公報等にその開示がある。その他、Mg(合金)溶湯中にH2ガスを強制吹き込みして多孔質体を製造する方法や、多孔質の石膏型を用いてMg合金の多孔質体を製造する方法(Y.Yamada、K.Shimojima、et al.、J.Master.Sci.Lett、18(1999)、1477)等も提案されている。しかし、このような方法はいずれも、水素化チタン等の高価な発泡剤を必要としたり、大型化の設備を要したり、危険な作業を伴うものであったりして、低コストで簡易に多孔質体を製造できるものではない。
【0003】
最近では、そのような軽量化等のみならず、環境意識の高揚等に伴い、資源の有効活用への要望も強い。このような観点から、例えば、工場等で大量に生じる金属の切削屑の再利用(リサイクル)等が進められている。切削屑を再利用するものとして、特開平6−23423号公報や特開平8−260075号公報等に、その関連した提案がなされている。それらによると、粒状にした切削屑を押出成形して、高強度の成形材としている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
もっとも、従来の切削屑の再利用の多くは、再溶解により行われている。切削屑は、通常、表面が酸化皮膜で覆われており、さらに、切削油等も付着している。この切削屑を再溶解のために加熱していくと、切削油等の有機物は焼失し、Al合金等のベース金属は500〜700℃程度で溶解を始める。しかし、前述の酸化皮膜等の酸化物は、その程度の温度では分解せず、金属溶湯中に残存する。具体的には、多量の酸化物と金属溶湯との混在層が坩堝上部にできる。この混在層から、健全な金属溶湯と酸化物とを分離して酸化物のみを取出すことは困難である。そこで、酸化物と金属溶湯とを含有した混在層は、掬い取られて廃棄されるのが通常である。このとき、混在層を絞ってそこに含まれる金属溶湯量を少なくしても、依然、多量の金属溶湯がそこに残存する。そして、その残存した金属溶湯も含めて酸化物等の浮遊物が廃棄されていた。
しかし、これでは、資源の有効利用が十分に図られているとはいえず、また、環境上も好ましいものではない。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものである。すなわち、切削屑等を効率的に再利用でき、比較的容易に低コストで製造できる金属多孔質体およびその製造方法並びにその製造装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段および発明の効果】
そこで、本発明者はこの課題を解決すべく鋭意研究し、試行錯誤を重ねた結果、酸化物の混在した金属溶湯が減圧下で発泡することを見出し、これに基づき、本発明を完成するに至った。
(金属多孔質体の製造方法)
すなわち、本発明の金属多孔質体の製造方法は、吸着ガスを伴う酸化物を金属溶湯中に混在させた酸化物混在溶湯を調製する溶湯調製行程と、この酸化物混在溶湯を鋳型のキャビティへ充填する充填行程と、少なくとも充填工程中または充填工程後に酸化物混在溶湯を減圧雰囲気にし、吸着ガスの発泡により空孔を生じた酸化物混在溶湯をキャビティ内で冷却凝固させる凝固行程とからなり、空孔が内部に分散した金属多孔質体が得られることを特徴とする。
【0007】
金属表面を被覆する酸化皮膜等の酸化物は、表面に多くのガスを吸着していることが多い。この酸化物は、通常、金属母材の溶解温度付近で分解等せず、加熱溶解した場合、金属母材の金属溶湯中に混在した状態となって酸化物が残存する。また、酸化物のほとんどは、金属溶湯中に混在した状態で坩堝内溶湯上部に偏在している。これは酸化物が多くの吸着ガスを伴っているために、比重が金属溶湯よりも小さいからである。
この酸化物の混在した溶湯(酸化物混在溶湯)は、溶湯温度にも依るが、通常、大気圧以上の雰囲気で発泡状態となることはない。しかし、その酸化物混在溶湯を大気圧よりも気圧の低い減圧雰囲気におくと、前述した吸着ガスが膨張し気泡が結合して発泡を生じるようになる。その結果、酸化物混在溶湯中には、その発泡により多数の空孔が形成される。この状態のまま、酸化物混在溶湯を冷却凝固すると、内部に多数の空孔が分散した多孔質体が得られる。
【0008】
本発明では、凝固行程が完了するまでに吸着ガスが発泡し、それにより空孔が形成されれば良く、必ずしも充填工程の前から発泡を生じている必要はない。もっとも、この酸化物混在溶湯は、酸化物および吸着ガスの存在によって、通常、高粘度で、流動性が非常に悪い。このため、吸着ガスが未発泡状態であるとしても、酸化物混在溶湯を鋳型に注湯等して充填させることは容易ではない。また、溶湯が高粘度であるため、発泡したガスが外部へ放出されることもほとんどない。
そこで、酸化物混在溶湯を減圧雰囲気としたときに、酸化物混在溶湯が吸着ガスの発泡によって著しい体積膨張を起すことを利用すれば、鋳型への酸化物混在溶湯の充填を容易に行うことができる。
すなわち、前記充填工程が、減圧雰囲気下で吸着ガスの発泡により体積膨張した酸化物混在溶湯を鋳型のキャビティへ導入する工程であると好適となる。これにより、酸化物混在溶湯のキャビティへの充填と吸着ガスの発泡とが同時に行われることとなる。また、キャビティ内を減圧雰囲気とすると、鋳造方案を工夫することで、流動性の低い酸化物混在溶湯であっても複雑なキャビティ内への導入、充填も比較的容易となる。
【0009】
ところで、酸化物混在溶湯中での吸着ガスの発泡の程度は、減圧雰囲気の気圧に大きく影響される。この減圧(負圧)の程度が大きい程、発泡が進み易い。また、キャビティ内を減圧するとき、その減圧の程度が大きい程、キャビティへの酸化物混在溶湯の充填時間は短くなり、充填工程がスムーズに進行し易い。もっとも、減圧の程度が大き過ぎると、気泡の結合が進んで大きな空孔が形成され、鋳型内壁面の近傍では歪んだ形状の空孔となりがちである。逆に、減圧の程度が小さいと、発泡の進行が遅れ、キャビティへ酸化物混在溶湯の充填時間も長くなるが、微細でほぼ均一な空孔が形成され易い。
このような観点から、所望する多孔質体の形態(空孔径や分散の程度等)や強度、質量等を考慮して、減圧レベルを適宜決定すれば良い。このように、減圧レベルを調整することで、多孔質体の形態等を制御可能である。本発明者が種々実験したところ、その減圧雰囲気は、大気圧より20〜99kPa、より望ましくは50〜95kPa低い雰囲気であると、空孔の形態や充填性等のバランスがとれて好ましい。気圧でいうなら、キャビティ等の内部圧力が、0.8〜0.01気圧、より望ましくは0.5〜0.05気圧であると好適である。
【0010】
なお、このような減圧雰囲気は、鋳型の内壁面で、酸化物混在溶湯の凝固が終了するまで保持されていれば十分である。鋳型内壁面での凝固が終了した後に、大気開放等しても、空孔が収縮することはない。外周囲の凝固面がシェルターの役割を果すからである。そのとき、内部の気泡も結合して粗大化することもほとんどない。酸化物混在溶湯が内部で未凝固であっても、その粘性は非常に大きいため、気泡の自由な移動が抑制されるからである。
【0011】
また、酸化物混在溶湯の充填性や多孔質体の形態等の制御は、上記減圧に依るのみならず、酸化物混在溶湯の溶湯温度を調整しても行える。すなわち、溶湯温度が高いと、酸化物混在溶湯の流動性が向上して、キャビティへの充填性が向上し、発泡は促進される。もっとも、溶湯温度が高くなり過ぎると、粗大な気泡が形成され易くなり、溶湯の低粘度化によって、気泡が外部に放出される場合も生じ得る。一方、溶湯温度が低いと、その流動性が低下して、キャビティへの充填性が悪化し、発泡も抑制される。特に、溶湯温度が低すぎると、キャビティへ最初に充填された溶湯先端部分が、鋳型によって冷却され凝固してしまう。このため、キャビティの末端部分への充填が不十分となり得る。本発明者が種々実験したところ、酸化物混在溶湯の溶湯温度は、少なくとも前記充填工程中において、溶解温度(液相線温度)よりも10〜150℃、より望ましくは20〜100℃高い温度であると好適である。
なお、この溶解温度は、酸化物混在溶湯が凝固を開始する温度である。
【0012】
(金属多孔質体の製造装置)
本発明は、さらに、上記製造方法を実現するための製造装置としても把握できる。
すなわち、本発明は、吸着ガスを伴う酸化物を金属溶湯中に混在させた酸化物混在溶湯を入れる坩堝と、該坩堝の開口部に配設され該坩堝内部と内通したキャビティを有する鋳型と、少なくとも該キャビティ内を減圧できる減圧手段とを備え、該キャビティ内を減圧雰囲気にして該吸着ガスの発泡により空孔を生じた該酸化物混在溶湯を冷却凝固することにより金属多孔質体を得ることができることを特徴とする製造装置であっても良い。
【0013】
(金属多孔質体)
本発明は、上記製造方法や製造装置に限らず、最終的に得られた金属多孔質体としても把握できる。この金属多孔質体の用途や形態等は、特に問題ではない。また、本発明でいう金属多孔質体は、バルク状等の単なる素材に限らず、多孔質部分をもつ金属多孔質部材をも含む。例えば、パイプ内に金属多孔質体が充填、凝固されてできた柱状部材も本発明でいう金属多孔質体に含まれる。また、金属多孔質体の用途は、軽量化、衝撃吸収、遮音、防音、断熱等特に拘らない。その形態等も問わず、板状、棒状、塊状等の素材でも、それらを加工した加工物等であっても良い。
【0014】
なお、本発明の多孔質体または酸化物混在溶湯中に形成される空孔内には、吸着ガスが存在することになる。この吸着ガスは、大気圧雰囲気であれば、通常、水素、窒素、炭酸ガス等である。もっとも、吸着ガスはこれらに限られないし、酸化物を特定ガス雰囲気に置くことにより、吸着ガスの種類を替えたり、選択したりすることも可能である。
【0015】
【発明の実施の形態】
次に、実施形態を挙げ、本発明をより詳しく説明する。なお、以下に述べる内容は、本発明に係る金属多孔質体のみならず、その製造方法や製造装置についても適宜該当するものである。
(1)溶湯調製行程
溶湯調製行程は、酸化物混在溶湯を調製する工程である。この酸化物混在溶湯は、金属溶湯中に酸化物が混在したものである。酸化物を含む金属(例えば、切削屑等)をそのまま原料として加熱溶解させてその溶湯を調製しても良いし、金属溶湯中に酸化物や酸化物を含む金属を添加、攪拌して調製しても良い。
本発明でいう酸化物は、基本的には金属酸化物である。このような金属酸化物は種々の方法により形成、製造され、どのような酸化物でも良い。例えば、市場回収した金属部品の酸化金属片でも良い。大気雰囲気中にある酸化金属片は、通常、酸化皮膜で被覆された状態となっている。いずれにしても、酸化物の形態は、粒状でも、繊維状ても、ストリップ状でも良い。
もっとも本発明の最も優れた点の一つは、機械加工工場等で大量に生じる切削屑等を再利用可能な点である。すなわち、上記酸化金属片をわざわざ製作するまでもなく、工場等から排出される金属材料の切削屑を、酸化物混在溶湯の原料として利用できる。
【0016】
ここで、工場等で収集された切削屑は、母材に応じて分別回収されることが多いが、使用材料毎に詳細に分別回収されるとは限らない。例えば、鉄系、アルミニウム系等の分別はされても、その組成に応じた分別がされる訳ではない。しかも、場合によっては、それらが混在している場合もあり得る。また、例えば、アルミニウム系材料の切削屑といっても、その組成により必ずしもアルミニウムの酸化物ばかりが生じているとは限らない。このような観点から、酸化物中の金属元素と、金属溶湯を形成する金属元素とが同一である必要は必ずしもない。そして、金属多孔質体の用途にも依るが、必ずしも、厳しい組成管理が要求される訳でもないため、本発明では種々の酸化物(切削屑等)、金属溶湯を使用できる。このような酸化物は、少なくとも、吸着ガスを金属溶湯中に取込むための媒体として作用すれば良いからである。
酸化物や金属溶湯の主成分となる金属元素には、Al、Mg、鉄(Fe)、Ti等がある。本発明では、酸化物混在溶湯の成分を問わないが、AlやMgを主成分とするものであれば、溶湯温度が比較的低いため取扱性に優れる。特に、Alを主成分とするものであれば、発火等の危険も少なく、より取扱性に優れる。
【0017】
また、前述のように切削屑を使用した場合、意図せずに酸化物や金属溶湯中に種々の元素が混在することもあるが、逆に、意図的に成分元素の異なる酸化物を添加して、金属多孔質体の特性改善を図っても良い。それにより、例えば、金属多孔質体の強度、耐熱性等を改善できることもある。また、酸化物を添加する場合に限らず、種々の補強材を添加して、さらなる金属多孔質体の所望特性の向上を図っても良い。このような補強材には、SiC、TiB2 、Al2O3、Si3N4、B4C等の各種セラミクッス、C、Al、Mg、Ca、Mn、Mo、Ti、Zn、Sn、Sr、Sb、Zr、Si、希土類元素(RE)等の添加元素を含む添加剤等がある。また、その形態には、粉末状、繊維状、ウイスカ状等、種々のものがある。どのような補強材を使用するかは、所望特性、金属溶湯中での安定性、濡れ性等を考慮して決定すれば良い。特に、金属多孔質体は内部に多数の空孔を有するため、中実部材に比較して機械的強度等が劣ることが多い。しかし、そのような補強材の添加により、機械的強度等の改善を容易に図れる。なお、このような補強材自体も表面にガスを吸着していることが多いため、前述の酸化物と同様の機能をも果す。
【0018】
前述したように、本発明の製造方法では、金属切削屑等をも原料とすることを考えているため、その切削屑の形態、吸着ガス量、発泡に必要な切削屑量等を一概に規定することは困難である。十分な量の切削屑を加熱溶解させた場合、通常は坩堝上部に吸着ガスを内在した酸化物混在溶湯ができる。そして、切削屑の種類や投入量等に拘ることなく、本発明の金属多孔質体を十分に製造可能である。
【0019】
(2)充填工程
充填工程は、酸化物混在溶湯を鋳型のキャビティへ充填する行程である。この鋳型のキャビティ形状等は問わない。もっとも、酸化物混在溶湯は高粘度で充填性が悪いので、狭いキャビティや複雑なキャビティへ酸化物混在溶湯を直接注湯することは容易ではない。そこで、キャビティ内を減圧しつつ、そのキャビティへ酸化物混在溶湯を注湯または充填すれば、容易に充填性を向上させ得る。このとき、その減圧レベルに応じて、キャビティ内で酸化物混在溶湯は発泡も生じる。
【0020】
また、前述したように、減圧雰囲気下の酸化物混在溶湯の体積膨張を利用して、その酸化物混在溶湯をキャビティへ充填させても良い。例えば、キャビティの一部を酸化物混在溶湯の入った坩堝内へ開口させた状態で、その坩堝上部に鋳型を配設する。そして、そのキャビティ内を減圧する。
このキャビティ内の減圧は、例えば、砂型のように通気性をもつ鋳型の場合は、鋳型周囲から真空排気して行うこともできる。すなわち、本発明は、前記鋳型が通気性のある砂型である場合、前記充填工程および/または前記凝固行程を、この砂型を配設したチャンバ内を減圧する工程とするものでも良い。
【0021】
また、キャビティ内の減圧は、そのキャビティ内に直接通じる排気口から真空排気して行うこともできる。すなわち、本発明は、前記鋳型が、酸化物混在溶湯をキャビティへ充填する充填口とこのキャビティ内を真空排気する排気口とを備える場合、前記充填工程および/または前記凝固行程を、その排気口から排気して鋳型内を減圧雰囲気とする工程とするものでも良い。なお、このとき、排気口からの酸化物混在溶湯の流出を防止するために、前記排気口が、酸化物混在溶湯の流出を防止する流出防止フィルタを備えると好適である。この流出防止フィルタは、例えば、セラミックスフィルター、ガラス繊維フィルター等である。
【0022】
(3)凝固行程
凝固行程は、吸着ガスが発泡して空孔を形成した状態にある酸化物混在溶湯を冷却凝固させる工程である。この冷却は空冷、水冷等を問わない。冷却速度が速い程、結晶組織の微細化が生じ易いのは、通常の鋳造の場合と同様である。
また、凝固収縮等によって、従来なら鋳造割れ等を生じていたキャビティ形状であっても、本発明の金属多孔質体の場合には、内部の空孔が凝固時に作用する応力を緩和するため、鋳造割れ等を生じ難い。
【0023】
なお、鋳型に砂型等を使用した場合、この凝固行程後に、その砂型から金属多孔質体を取出す取出工程が必要となるのは言うまでもない。しかし、外殻をなすケース状または筐体状の鋳型へ酸化物混在溶湯を充填し、凝固させ、その鋳型と内部の金属多孔質体とを一体化した部材(一体成形品)とする場合なら、上記取出工程は不要となる。
【0024】
(4)金属多孔質体の用途
本発明に係る金属多孔質体は、前述したように、軽量構造部材、衝撃吸収部材、防音・消音部材等に利用されるが、より具体的には、自動車のバンパー、防音断熱壁、クラッシュボックス、エネルギー吸収ポット、人工骨等に利用される。本発明の製造方法を用いれば、このような金属多孔質体が安価に生産できる。また、金属多孔質体のネットシェイプ化も可能となり、加工費等の削減も可能である。
金属多孔質体中に占める空孔の体積割合である空隙率は、吸着ガス量、酸化物量、減圧レベル、溶湯温度等により変化することは前述した通りである。本発明によれば、この空隙率を自在に調整できるが、概ね、30〜90%となる。
【0025】
なお、この空隙率は、次のようにして求められる。
本発明の製造方法を用いて、酸化物混在溶湯から得られた金属多孔質体の重量および体積を測定し、その見掛け上の密度(ρ)を求める。一方、同じ酸化物混在溶湯を用いて、減圧による発泡を生じさせずに鋳造した空孔のない鋳造体の密度(真密度:ρ0)を求める。そして、それらから、1−(ρ/ρ0)により空隙率を求める。
【0026】
【実施例】
次に、実施例を挙げて、本発明をより具体的に説明する。
(実施例1)
先ず、本実施例で用いた金属多孔質体の製造装置およびその成形手順の概要を図1に示した。この製造装置は、切削屑(切り粉)を入れる黒鉛坩堝と、この黒鉛坩堝を加熱する電気熔解炉と、この黒鉛坩堝および電気熔解炉を囲繞するチャンバ(密閉容器)と、チャンバに設けた通気孔に接続される真空ホースと、その真空ホースからチャンバ内を排気して減圧する真空ポンプ(減圧手段)とから主になる。
【0027】
次に、上記黒鉛坩堝中にアルミニウム合金の切削屑を入れ、これをチャンバ内の電気溶解炉で加熱溶解した(溶湯調製行程)。なお、この切削屑は、約3〜10mm程度のストリップ状であった。また、その金属母材であるアルミニウム合金の組成は、Al−11%Si−2.5%Cu(JIS ADC12)であった。
【0028】
その切削屑を黒鉛坩堝に順次投入して、一定量の溶湯とした。そして、溶湯温度を680℃として、黒鉛棒により十分に攪拌を行った。この十分な溶湯攪拌は、酸化物混合溶湯中へのガス量の増加をもたらすと同時に、皮膜状の酸化物を分断して溶湯中での酸化物の均一分散をもたらす。これによりガス発泡時の発泡サイトが分散し、形成される多孔質体中の空孔も均一分散化される。なお、前記溶湯温度は、黒鉛坩堝の上部にある溶湯の温度を測定したものである。
これにより、Al2O3等の酸化物を多く含む溶湯(酸化物混在溶湯)が、黒鉛坩堝の上部に集った。また、黒鉛坩堝の下部には、その酸化物の少ないAl合金溶湯が溜った。なお、このとき必要に応じて窒素ガス等を吹き込み、酸化物混在溶湯中のガス量を増加させても良い。また、黒鉛坩堝の下部にあるAl合金溶湯は、そのまま、または精錬して、通常のAl系鋳物の原料として使用すれば良い。
【0029】
上記溶湯温度を630℃(液相線温度+50℃)とした後、その溶湯の上面を、中央部に開口を有する断熱材(耐火レンガ)で覆った。その断熱材の上方から所望形状(凸部を有する円筒形状:約φ50×150mm)のキャビティをもつ、通気性のある砂型を配設した。
このとき、断熱材の開口部にキャビティの下方にある開口部(充填口)を合わせた。これにより、キャビティの開口部は酸化物混在溶湯の上面にほぼ接するようになる。なお、断熱材を溶湯上面に設けたのは、溶湯の保温以外に、チャンバ内を減圧したときに砂型以外へ溶湯が膨張流出したり、砂型以外の部分からガスが放出されたりすることを防止するためである。また、溶湯上面に設けた断熱材および砂型は、減圧時の溶湯膨張により持上げられないようにするために、おもし等により固定しておくと良い。
【0030】
この状態で、チャンバの蓋を閉じて内部を密閉した後、チャンバの通気孔から真空ポンプで排気し、チャンバ内を0.2気圧(20kPa)まで減圧した。このとき、砂型を通じてキャビティ内も減圧され、黒鉛坩堝の上部にあった溶湯が発泡し体積膨張を生じつつ、キャビティの開口部からキャビティ内へ吸引充填された(充填工程)。
【0031】
この約1分後、その通気孔からチャンバ内へ空気を導入し、チャンバ内を大気圧に戻した。そして、チャンバの蓋を開け、前記砂型をそのチャンバ内から大気雰囲気中に移動させた。その状態で十分に空冷した後(凝固行程)、砂型を崩してAl多孔質体(金属多孔質体)を取出した(取出工程)。このAl多孔質体の空隙率を測定したところ、約60%であった。また、そのAl多孔質体を切断して空孔の形態を調べたところ、直径約1〜5mmの楕球状または扁平状の空孔がほぼ均一に分散していることが確認された。
【0032】
なお、切削屑の溶解は、必ずしも黒鉛坩堝内で行う必要はない。別の溶解炉で溶解した溶湯を、その黒鉛坩堝へ注湯して、以降の各工程を行っても良い。また、砂型に通気用の孔を適宜設けておけば、キャビティ内の減圧を短時間で行うことも可能である。また、チャンバ内から溶湯を充填した砂型を取り出す際に、別の新しい砂型をセットする作業を繰返せば、連続した多孔質体の製造が可能である。
【0033】
(実施例2)
本実施例で用いた金属多孔質体の製造装置およびその成形手順の概要を図2に示す。本実施例は、上記実施例1に対して、使用する鋳型と、そのキャビティ内の減圧方法が異なる。
すなわち、本実施例で使用した鋳型は、黒鉛坩堝の内径に合わせた外径をもつ円環状の底部とこの底部中央から上方に延在し両端側が開口した円筒部とを有する、鋼板製の金型である。その円筒部の上端側の開口には、溶湯の流出を防止するためのセラミックスフィルターが設けてある。
このキャビティ内の減圧は、真空ポンプの真空ホースを上記円筒部の上端側の開口(排気口)に取付けて、上記フィルタを介して排気できるようにした。このため、本実施例では、実施例1のようなチャンバが不要である。
【0034】
この装置を用いて金属多孔質体の成形を実施例1と同様に行った。すなわち、実施例1と同様の切削屑を用い、同じように溶解し、酸化物混在溶湯を調製した(溶湯調製行程)。そして、この溶湯温度を上記液相線温度+80℃にした。
この溶湯上面を、上記金型の底部で覆い、フィルタを介して、キャビティ内を真空引きした。この減圧により、実施例1の場合と同様に、金型の下端側の開口(充填口)から溶湯(酸化物混在溶湯)がキャビティ内へ充填された(充填工程)。このときのキャビティ内は、0.1気圧(10kPa)とした。
この充填後、真空引きを止め、真空ホースを上記金型の上端側の開口から外して、大気開放した。そして、その金型を黒鉛坩堝から大気雰囲気中に移動させて十分に空冷した(凝固行程)。その後、上記金型の底部とフィルタとを取外した。
【0035】
こうして、金型の円筒部のみにAl多孔質体が充填された、柱状部材を得た。そのAl多孔質体(金属多孔質体)の空隙率を測定したところ、約80%であった。また、そのAl多孔質体を切断して空孔の形態を調べたところ、直径約3〜10mmの楕球状の空孔がほぼ均一に分散していた。
このような柱状部材は、非常に軽量であると共に、衝撃吸収能が大きい。このため、例えば、自動車衝突時の衝撃緩和部材等に利用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1に係る金属多孔質体の製造装置およびその成形手順を示す概要図である。
【図2】本発明の実施例2に係る金属多孔質体の製造装置およびその成形手順を示す概要図である。
【発明の属する技術分野】
本発明は、切削屑の再利用等により得られる金属多孔質体とその製造方法およびその製造装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
マグネシウム合金やアルミニウム合金等の軽合金を利用した、各種部材の軽量化が進められている。さらに、その軽量化を一層進めるために、軽合金からなる多孔質体が利用されつつある。このような多孔質体に関する提案自体は、古くから多数なされており、例えば、特公昭36−20351号公報、特公昭39−803号公報、特公昭50−31082号公報、特開平7−233428号公報、特開平9−241780号公報、特開2001−342503号公報等にその開示がある。その他、Mg(合金)溶湯中にH2ガスを強制吹き込みして多孔質体を製造する方法や、多孔質の石膏型を用いてMg合金の多孔質体を製造する方法(Y.Yamada、K.Shimojima、et al.、J.Master.Sci.Lett、18(1999)、1477)等も提案されている。しかし、このような方法はいずれも、水素化チタン等の高価な発泡剤を必要としたり、大型化の設備を要したり、危険な作業を伴うものであったりして、低コストで簡易に多孔質体を製造できるものではない。
【0003】
最近では、そのような軽量化等のみならず、環境意識の高揚等に伴い、資源の有効活用への要望も強い。このような観点から、例えば、工場等で大量に生じる金属の切削屑の再利用(リサイクル)等が進められている。切削屑を再利用するものとして、特開平6−23423号公報や特開平8−260075号公報等に、その関連した提案がなされている。それらによると、粒状にした切削屑を押出成形して、高強度の成形材としている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
もっとも、従来の切削屑の再利用の多くは、再溶解により行われている。切削屑は、通常、表面が酸化皮膜で覆われており、さらに、切削油等も付着している。この切削屑を再溶解のために加熱していくと、切削油等の有機物は焼失し、Al合金等のベース金属は500〜700℃程度で溶解を始める。しかし、前述の酸化皮膜等の酸化物は、その程度の温度では分解せず、金属溶湯中に残存する。具体的には、多量の酸化物と金属溶湯との混在層が坩堝上部にできる。この混在層から、健全な金属溶湯と酸化物とを分離して酸化物のみを取出すことは困難である。そこで、酸化物と金属溶湯とを含有した混在層は、掬い取られて廃棄されるのが通常である。このとき、混在層を絞ってそこに含まれる金属溶湯量を少なくしても、依然、多量の金属溶湯がそこに残存する。そして、その残存した金属溶湯も含めて酸化物等の浮遊物が廃棄されていた。
しかし、これでは、資源の有効利用が十分に図られているとはいえず、また、環境上も好ましいものではない。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものである。すなわち、切削屑等を効率的に再利用でき、比較的容易に低コストで製造できる金属多孔質体およびその製造方法並びにその製造装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段および発明の効果】
そこで、本発明者はこの課題を解決すべく鋭意研究し、試行錯誤を重ねた結果、酸化物の混在した金属溶湯が減圧下で発泡することを見出し、これに基づき、本発明を完成するに至った。
(金属多孔質体の製造方法)
すなわち、本発明の金属多孔質体の製造方法は、吸着ガスを伴う酸化物を金属溶湯中に混在させた酸化物混在溶湯を調製する溶湯調製行程と、この酸化物混在溶湯を鋳型のキャビティへ充填する充填行程と、少なくとも充填工程中または充填工程後に酸化物混在溶湯を減圧雰囲気にし、吸着ガスの発泡により空孔を生じた酸化物混在溶湯をキャビティ内で冷却凝固させる凝固行程とからなり、空孔が内部に分散した金属多孔質体が得られることを特徴とする。
【0007】
金属表面を被覆する酸化皮膜等の酸化物は、表面に多くのガスを吸着していることが多い。この酸化物は、通常、金属母材の溶解温度付近で分解等せず、加熱溶解した場合、金属母材の金属溶湯中に混在した状態となって酸化物が残存する。また、酸化物のほとんどは、金属溶湯中に混在した状態で坩堝内溶湯上部に偏在している。これは酸化物が多くの吸着ガスを伴っているために、比重が金属溶湯よりも小さいからである。
この酸化物の混在した溶湯(酸化物混在溶湯)は、溶湯温度にも依るが、通常、大気圧以上の雰囲気で発泡状態となることはない。しかし、その酸化物混在溶湯を大気圧よりも気圧の低い減圧雰囲気におくと、前述した吸着ガスが膨張し気泡が結合して発泡を生じるようになる。その結果、酸化物混在溶湯中には、その発泡により多数の空孔が形成される。この状態のまま、酸化物混在溶湯を冷却凝固すると、内部に多数の空孔が分散した多孔質体が得られる。
【0008】
本発明では、凝固行程が完了するまでに吸着ガスが発泡し、それにより空孔が形成されれば良く、必ずしも充填工程の前から発泡を生じている必要はない。もっとも、この酸化物混在溶湯は、酸化物および吸着ガスの存在によって、通常、高粘度で、流動性が非常に悪い。このため、吸着ガスが未発泡状態であるとしても、酸化物混在溶湯を鋳型に注湯等して充填させることは容易ではない。また、溶湯が高粘度であるため、発泡したガスが外部へ放出されることもほとんどない。
そこで、酸化物混在溶湯を減圧雰囲気としたときに、酸化物混在溶湯が吸着ガスの発泡によって著しい体積膨張を起すことを利用すれば、鋳型への酸化物混在溶湯の充填を容易に行うことができる。
すなわち、前記充填工程が、減圧雰囲気下で吸着ガスの発泡により体積膨張した酸化物混在溶湯を鋳型のキャビティへ導入する工程であると好適となる。これにより、酸化物混在溶湯のキャビティへの充填と吸着ガスの発泡とが同時に行われることとなる。また、キャビティ内を減圧雰囲気とすると、鋳造方案を工夫することで、流動性の低い酸化物混在溶湯であっても複雑なキャビティ内への導入、充填も比較的容易となる。
【0009】
ところで、酸化物混在溶湯中での吸着ガスの発泡の程度は、減圧雰囲気の気圧に大きく影響される。この減圧(負圧)の程度が大きい程、発泡が進み易い。また、キャビティ内を減圧するとき、その減圧の程度が大きい程、キャビティへの酸化物混在溶湯の充填時間は短くなり、充填工程がスムーズに進行し易い。もっとも、減圧の程度が大き過ぎると、気泡の結合が進んで大きな空孔が形成され、鋳型内壁面の近傍では歪んだ形状の空孔となりがちである。逆に、減圧の程度が小さいと、発泡の進行が遅れ、キャビティへ酸化物混在溶湯の充填時間も長くなるが、微細でほぼ均一な空孔が形成され易い。
このような観点から、所望する多孔質体の形態(空孔径や分散の程度等)や強度、質量等を考慮して、減圧レベルを適宜決定すれば良い。このように、減圧レベルを調整することで、多孔質体の形態等を制御可能である。本発明者が種々実験したところ、その減圧雰囲気は、大気圧より20〜99kPa、より望ましくは50〜95kPa低い雰囲気であると、空孔の形態や充填性等のバランスがとれて好ましい。気圧でいうなら、キャビティ等の内部圧力が、0.8〜0.01気圧、より望ましくは0.5〜0.05気圧であると好適である。
【0010】
なお、このような減圧雰囲気は、鋳型の内壁面で、酸化物混在溶湯の凝固が終了するまで保持されていれば十分である。鋳型内壁面での凝固が終了した後に、大気開放等しても、空孔が収縮することはない。外周囲の凝固面がシェルターの役割を果すからである。そのとき、内部の気泡も結合して粗大化することもほとんどない。酸化物混在溶湯が内部で未凝固であっても、その粘性は非常に大きいため、気泡の自由な移動が抑制されるからである。
【0011】
また、酸化物混在溶湯の充填性や多孔質体の形態等の制御は、上記減圧に依るのみならず、酸化物混在溶湯の溶湯温度を調整しても行える。すなわち、溶湯温度が高いと、酸化物混在溶湯の流動性が向上して、キャビティへの充填性が向上し、発泡は促進される。もっとも、溶湯温度が高くなり過ぎると、粗大な気泡が形成され易くなり、溶湯の低粘度化によって、気泡が外部に放出される場合も生じ得る。一方、溶湯温度が低いと、その流動性が低下して、キャビティへの充填性が悪化し、発泡も抑制される。特に、溶湯温度が低すぎると、キャビティへ最初に充填された溶湯先端部分が、鋳型によって冷却され凝固してしまう。このため、キャビティの末端部分への充填が不十分となり得る。本発明者が種々実験したところ、酸化物混在溶湯の溶湯温度は、少なくとも前記充填工程中において、溶解温度(液相線温度)よりも10〜150℃、より望ましくは20〜100℃高い温度であると好適である。
なお、この溶解温度は、酸化物混在溶湯が凝固を開始する温度である。
【0012】
(金属多孔質体の製造装置)
本発明は、さらに、上記製造方法を実現するための製造装置としても把握できる。
すなわち、本発明は、吸着ガスを伴う酸化物を金属溶湯中に混在させた酸化物混在溶湯を入れる坩堝と、該坩堝の開口部に配設され該坩堝内部と内通したキャビティを有する鋳型と、少なくとも該キャビティ内を減圧できる減圧手段とを備え、該キャビティ内を減圧雰囲気にして該吸着ガスの発泡により空孔を生じた該酸化物混在溶湯を冷却凝固することにより金属多孔質体を得ることができることを特徴とする製造装置であっても良い。
【0013】
(金属多孔質体)
本発明は、上記製造方法や製造装置に限らず、最終的に得られた金属多孔質体としても把握できる。この金属多孔質体の用途や形態等は、特に問題ではない。また、本発明でいう金属多孔質体は、バルク状等の単なる素材に限らず、多孔質部分をもつ金属多孔質部材をも含む。例えば、パイプ内に金属多孔質体が充填、凝固されてできた柱状部材も本発明でいう金属多孔質体に含まれる。また、金属多孔質体の用途は、軽量化、衝撃吸収、遮音、防音、断熱等特に拘らない。その形態等も問わず、板状、棒状、塊状等の素材でも、それらを加工した加工物等であっても良い。
【0014】
なお、本発明の多孔質体または酸化物混在溶湯中に形成される空孔内には、吸着ガスが存在することになる。この吸着ガスは、大気圧雰囲気であれば、通常、水素、窒素、炭酸ガス等である。もっとも、吸着ガスはこれらに限られないし、酸化物を特定ガス雰囲気に置くことにより、吸着ガスの種類を替えたり、選択したりすることも可能である。
【0015】
【発明の実施の形態】
次に、実施形態を挙げ、本発明をより詳しく説明する。なお、以下に述べる内容は、本発明に係る金属多孔質体のみならず、その製造方法や製造装置についても適宜該当するものである。
(1)溶湯調製行程
溶湯調製行程は、酸化物混在溶湯を調製する工程である。この酸化物混在溶湯は、金属溶湯中に酸化物が混在したものである。酸化物を含む金属(例えば、切削屑等)をそのまま原料として加熱溶解させてその溶湯を調製しても良いし、金属溶湯中に酸化物や酸化物を含む金属を添加、攪拌して調製しても良い。
本発明でいう酸化物は、基本的には金属酸化物である。このような金属酸化物は種々の方法により形成、製造され、どのような酸化物でも良い。例えば、市場回収した金属部品の酸化金属片でも良い。大気雰囲気中にある酸化金属片は、通常、酸化皮膜で被覆された状態となっている。いずれにしても、酸化物の形態は、粒状でも、繊維状ても、ストリップ状でも良い。
もっとも本発明の最も優れた点の一つは、機械加工工場等で大量に生じる切削屑等を再利用可能な点である。すなわち、上記酸化金属片をわざわざ製作するまでもなく、工場等から排出される金属材料の切削屑を、酸化物混在溶湯の原料として利用できる。
【0016】
ここで、工場等で収集された切削屑は、母材に応じて分別回収されることが多いが、使用材料毎に詳細に分別回収されるとは限らない。例えば、鉄系、アルミニウム系等の分別はされても、その組成に応じた分別がされる訳ではない。しかも、場合によっては、それらが混在している場合もあり得る。また、例えば、アルミニウム系材料の切削屑といっても、その組成により必ずしもアルミニウムの酸化物ばかりが生じているとは限らない。このような観点から、酸化物中の金属元素と、金属溶湯を形成する金属元素とが同一である必要は必ずしもない。そして、金属多孔質体の用途にも依るが、必ずしも、厳しい組成管理が要求される訳でもないため、本発明では種々の酸化物(切削屑等)、金属溶湯を使用できる。このような酸化物は、少なくとも、吸着ガスを金属溶湯中に取込むための媒体として作用すれば良いからである。
酸化物や金属溶湯の主成分となる金属元素には、Al、Mg、鉄(Fe)、Ti等がある。本発明では、酸化物混在溶湯の成分を問わないが、AlやMgを主成分とするものであれば、溶湯温度が比較的低いため取扱性に優れる。特に、Alを主成分とするものであれば、発火等の危険も少なく、より取扱性に優れる。
【0017】
また、前述のように切削屑を使用した場合、意図せずに酸化物や金属溶湯中に種々の元素が混在することもあるが、逆に、意図的に成分元素の異なる酸化物を添加して、金属多孔質体の特性改善を図っても良い。それにより、例えば、金属多孔質体の強度、耐熱性等を改善できることもある。また、酸化物を添加する場合に限らず、種々の補強材を添加して、さらなる金属多孔質体の所望特性の向上を図っても良い。このような補強材には、SiC、TiB2 、Al2O3、Si3N4、B4C等の各種セラミクッス、C、Al、Mg、Ca、Mn、Mo、Ti、Zn、Sn、Sr、Sb、Zr、Si、希土類元素(RE)等の添加元素を含む添加剤等がある。また、その形態には、粉末状、繊維状、ウイスカ状等、種々のものがある。どのような補強材を使用するかは、所望特性、金属溶湯中での安定性、濡れ性等を考慮して決定すれば良い。特に、金属多孔質体は内部に多数の空孔を有するため、中実部材に比較して機械的強度等が劣ることが多い。しかし、そのような補強材の添加により、機械的強度等の改善を容易に図れる。なお、このような補強材自体も表面にガスを吸着していることが多いため、前述の酸化物と同様の機能をも果す。
【0018】
前述したように、本発明の製造方法では、金属切削屑等をも原料とすることを考えているため、その切削屑の形態、吸着ガス量、発泡に必要な切削屑量等を一概に規定することは困難である。十分な量の切削屑を加熱溶解させた場合、通常は坩堝上部に吸着ガスを内在した酸化物混在溶湯ができる。そして、切削屑の種類や投入量等に拘ることなく、本発明の金属多孔質体を十分に製造可能である。
【0019】
(2)充填工程
充填工程は、酸化物混在溶湯を鋳型のキャビティへ充填する行程である。この鋳型のキャビティ形状等は問わない。もっとも、酸化物混在溶湯は高粘度で充填性が悪いので、狭いキャビティや複雑なキャビティへ酸化物混在溶湯を直接注湯することは容易ではない。そこで、キャビティ内を減圧しつつ、そのキャビティへ酸化物混在溶湯を注湯または充填すれば、容易に充填性を向上させ得る。このとき、その減圧レベルに応じて、キャビティ内で酸化物混在溶湯は発泡も生じる。
【0020】
また、前述したように、減圧雰囲気下の酸化物混在溶湯の体積膨張を利用して、その酸化物混在溶湯をキャビティへ充填させても良い。例えば、キャビティの一部を酸化物混在溶湯の入った坩堝内へ開口させた状態で、その坩堝上部に鋳型を配設する。そして、そのキャビティ内を減圧する。
このキャビティ内の減圧は、例えば、砂型のように通気性をもつ鋳型の場合は、鋳型周囲から真空排気して行うこともできる。すなわち、本発明は、前記鋳型が通気性のある砂型である場合、前記充填工程および/または前記凝固行程を、この砂型を配設したチャンバ内を減圧する工程とするものでも良い。
【0021】
また、キャビティ内の減圧は、そのキャビティ内に直接通じる排気口から真空排気して行うこともできる。すなわち、本発明は、前記鋳型が、酸化物混在溶湯をキャビティへ充填する充填口とこのキャビティ内を真空排気する排気口とを備える場合、前記充填工程および/または前記凝固行程を、その排気口から排気して鋳型内を減圧雰囲気とする工程とするものでも良い。なお、このとき、排気口からの酸化物混在溶湯の流出を防止するために、前記排気口が、酸化物混在溶湯の流出を防止する流出防止フィルタを備えると好適である。この流出防止フィルタは、例えば、セラミックスフィルター、ガラス繊維フィルター等である。
【0022】
(3)凝固行程
凝固行程は、吸着ガスが発泡して空孔を形成した状態にある酸化物混在溶湯を冷却凝固させる工程である。この冷却は空冷、水冷等を問わない。冷却速度が速い程、結晶組織の微細化が生じ易いのは、通常の鋳造の場合と同様である。
また、凝固収縮等によって、従来なら鋳造割れ等を生じていたキャビティ形状であっても、本発明の金属多孔質体の場合には、内部の空孔が凝固時に作用する応力を緩和するため、鋳造割れ等を生じ難い。
【0023】
なお、鋳型に砂型等を使用した場合、この凝固行程後に、その砂型から金属多孔質体を取出す取出工程が必要となるのは言うまでもない。しかし、外殻をなすケース状または筐体状の鋳型へ酸化物混在溶湯を充填し、凝固させ、その鋳型と内部の金属多孔質体とを一体化した部材(一体成形品)とする場合なら、上記取出工程は不要となる。
【0024】
(4)金属多孔質体の用途
本発明に係る金属多孔質体は、前述したように、軽量構造部材、衝撃吸収部材、防音・消音部材等に利用されるが、より具体的には、自動車のバンパー、防音断熱壁、クラッシュボックス、エネルギー吸収ポット、人工骨等に利用される。本発明の製造方法を用いれば、このような金属多孔質体が安価に生産できる。また、金属多孔質体のネットシェイプ化も可能となり、加工費等の削減も可能である。
金属多孔質体中に占める空孔の体積割合である空隙率は、吸着ガス量、酸化物量、減圧レベル、溶湯温度等により変化することは前述した通りである。本発明によれば、この空隙率を自在に調整できるが、概ね、30〜90%となる。
【0025】
なお、この空隙率は、次のようにして求められる。
本発明の製造方法を用いて、酸化物混在溶湯から得られた金属多孔質体の重量および体積を測定し、その見掛け上の密度(ρ)を求める。一方、同じ酸化物混在溶湯を用いて、減圧による発泡を生じさせずに鋳造した空孔のない鋳造体の密度(真密度:ρ0)を求める。そして、それらから、1−(ρ/ρ0)により空隙率を求める。
【0026】
【実施例】
次に、実施例を挙げて、本発明をより具体的に説明する。
(実施例1)
先ず、本実施例で用いた金属多孔質体の製造装置およびその成形手順の概要を図1に示した。この製造装置は、切削屑(切り粉)を入れる黒鉛坩堝と、この黒鉛坩堝を加熱する電気熔解炉と、この黒鉛坩堝および電気熔解炉を囲繞するチャンバ(密閉容器)と、チャンバに設けた通気孔に接続される真空ホースと、その真空ホースからチャンバ内を排気して減圧する真空ポンプ(減圧手段)とから主になる。
【0027】
次に、上記黒鉛坩堝中にアルミニウム合金の切削屑を入れ、これをチャンバ内の電気溶解炉で加熱溶解した(溶湯調製行程)。なお、この切削屑は、約3〜10mm程度のストリップ状であった。また、その金属母材であるアルミニウム合金の組成は、Al−11%Si−2.5%Cu(JIS ADC12)であった。
【0028】
その切削屑を黒鉛坩堝に順次投入して、一定量の溶湯とした。そして、溶湯温度を680℃として、黒鉛棒により十分に攪拌を行った。この十分な溶湯攪拌は、酸化物混合溶湯中へのガス量の増加をもたらすと同時に、皮膜状の酸化物を分断して溶湯中での酸化物の均一分散をもたらす。これによりガス発泡時の発泡サイトが分散し、形成される多孔質体中の空孔も均一分散化される。なお、前記溶湯温度は、黒鉛坩堝の上部にある溶湯の温度を測定したものである。
これにより、Al2O3等の酸化物を多く含む溶湯(酸化物混在溶湯)が、黒鉛坩堝の上部に集った。また、黒鉛坩堝の下部には、その酸化物の少ないAl合金溶湯が溜った。なお、このとき必要に応じて窒素ガス等を吹き込み、酸化物混在溶湯中のガス量を増加させても良い。また、黒鉛坩堝の下部にあるAl合金溶湯は、そのまま、または精錬して、通常のAl系鋳物の原料として使用すれば良い。
【0029】
上記溶湯温度を630℃(液相線温度+50℃)とした後、その溶湯の上面を、中央部に開口を有する断熱材(耐火レンガ)で覆った。その断熱材の上方から所望形状(凸部を有する円筒形状:約φ50×150mm)のキャビティをもつ、通気性のある砂型を配設した。
このとき、断熱材の開口部にキャビティの下方にある開口部(充填口)を合わせた。これにより、キャビティの開口部は酸化物混在溶湯の上面にほぼ接するようになる。なお、断熱材を溶湯上面に設けたのは、溶湯の保温以外に、チャンバ内を減圧したときに砂型以外へ溶湯が膨張流出したり、砂型以外の部分からガスが放出されたりすることを防止するためである。また、溶湯上面に設けた断熱材および砂型は、減圧時の溶湯膨張により持上げられないようにするために、おもし等により固定しておくと良い。
【0030】
この状態で、チャンバの蓋を閉じて内部を密閉した後、チャンバの通気孔から真空ポンプで排気し、チャンバ内を0.2気圧(20kPa)まで減圧した。このとき、砂型を通じてキャビティ内も減圧され、黒鉛坩堝の上部にあった溶湯が発泡し体積膨張を生じつつ、キャビティの開口部からキャビティ内へ吸引充填された(充填工程)。
【0031】
この約1分後、その通気孔からチャンバ内へ空気を導入し、チャンバ内を大気圧に戻した。そして、チャンバの蓋を開け、前記砂型をそのチャンバ内から大気雰囲気中に移動させた。その状態で十分に空冷した後(凝固行程)、砂型を崩してAl多孔質体(金属多孔質体)を取出した(取出工程)。このAl多孔質体の空隙率を測定したところ、約60%であった。また、そのAl多孔質体を切断して空孔の形態を調べたところ、直径約1〜5mmの楕球状または扁平状の空孔がほぼ均一に分散していることが確認された。
【0032】
なお、切削屑の溶解は、必ずしも黒鉛坩堝内で行う必要はない。別の溶解炉で溶解した溶湯を、その黒鉛坩堝へ注湯して、以降の各工程を行っても良い。また、砂型に通気用の孔を適宜設けておけば、キャビティ内の減圧を短時間で行うことも可能である。また、チャンバ内から溶湯を充填した砂型を取り出す際に、別の新しい砂型をセットする作業を繰返せば、連続した多孔質体の製造が可能である。
【0033】
(実施例2)
本実施例で用いた金属多孔質体の製造装置およびその成形手順の概要を図2に示す。本実施例は、上記実施例1に対して、使用する鋳型と、そのキャビティ内の減圧方法が異なる。
すなわち、本実施例で使用した鋳型は、黒鉛坩堝の内径に合わせた外径をもつ円環状の底部とこの底部中央から上方に延在し両端側が開口した円筒部とを有する、鋼板製の金型である。その円筒部の上端側の開口には、溶湯の流出を防止するためのセラミックスフィルターが設けてある。
このキャビティ内の減圧は、真空ポンプの真空ホースを上記円筒部の上端側の開口(排気口)に取付けて、上記フィルタを介して排気できるようにした。このため、本実施例では、実施例1のようなチャンバが不要である。
【0034】
この装置を用いて金属多孔質体の成形を実施例1と同様に行った。すなわち、実施例1と同様の切削屑を用い、同じように溶解し、酸化物混在溶湯を調製した(溶湯調製行程)。そして、この溶湯温度を上記液相線温度+80℃にした。
この溶湯上面を、上記金型の底部で覆い、フィルタを介して、キャビティ内を真空引きした。この減圧により、実施例1の場合と同様に、金型の下端側の開口(充填口)から溶湯(酸化物混在溶湯)がキャビティ内へ充填された(充填工程)。このときのキャビティ内は、0.1気圧(10kPa)とした。
この充填後、真空引きを止め、真空ホースを上記金型の上端側の開口から外して、大気開放した。そして、その金型を黒鉛坩堝から大気雰囲気中に移動させて十分に空冷した(凝固行程)。その後、上記金型の底部とフィルタとを取外した。
【0035】
こうして、金型の円筒部のみにAl多孔質体が充填された、柱状部材を得た。そのAl多孔質体(金属多孔質体)の空隙率を測定したところ、約80%であった。また、そのAl多孔質体を切断して空孔の形態を調べたところ、直径約3〜10mmの楕球状の空孔がほぼ均一に分散していた。
このような柱状部材は、非常に軽量であると共に、衝撃吸収能が大きい。このため、例えば、自動車衝突時の衝撃緩和部材等に利用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1に係る金属多孔質体の製造装置およびその成形手順を示す概要図である。
【図2】本発明の実施例2に係る金属多孔質体の製造装置およびその成形手順を示す概要図である。
Claims (14)
- 吸着ガスを伴う酸化物を金属溶湯中に混在させた酸化物混在溶湯を調製する溶湯調製行程と、
該酸化物混在溶湯を鋳型のキャビティへ充填する充填行程と、
少なくとも該充填工程中または該充填工程後に該酸化物混在溶湯を減圧雰囲気にし、該吸着ガスの発泡により空孔を生じた該酸化物混在溶湯を該キャビティ内で冷却凝固させる凝固行程とからなり、
該空孔が内部に分散した金属多孔質体が得られることを特徴とする金属多孔質体の製造方法。 - 前記酸化物混在溶湯は、少なくとも酸化皮膜をもつ酸化金属片を加熱溶解して得られたものである請求項1に記載の金属多孔質体の製造方法。
- 前記酸化金属片は、金属材料を切削した際に生じる切削屑である請求項2に記載の金属多孔質体の製造方法。
- 前記酸化物混在溶湯は、アルミニウム(Al)またはマグネシウム(Mg)を主成分とする請求項1〜3のいずれかに記載の金属多孔質体の製造方法。
- 前記酸化物混在溶湯は、さらに、前記金属溶湯中に補強材を混在させてなる請求項1または4に記載の金属多孔質体の製造方法。
- 前記充填工程は、減圧雰囲気下で前記吸着ガスの発泡により体積膨張した該酸化物混在溶湯を該鋳型のキャビティへ導入する工程である請求項1に記載の金属多孔質体の製造方法。
- 前記減圧雰囲気は、大気圧より20〜99kPa低い雰囲気である請求項1または6に記載の金属多孔質体の製造方法。
- 前記酸化物混在溶湯は、少なくとも前記充填工程中の溶湯温度が溶解温度よりも10〜150℃高い請求項1または6に記載の金属多孔質体の製造方法。
- 前記鋳型は、通気性のある砂型であり、
前記充填工程および/または前記凝固行程は、該砂型を配設したチャンバ内を減圧する工程である請求項1または6に記載の金属多孔質体の製造方法。 - 前記鋳型は、前記酸化物混在溶湯を前記キャビティへ充填する充填口と該キャビティ内を真空排気する排気口とを備え、
前記充填工程および/または前記凝固行程は、該排気口から排気して該鋳型内を減圧雰囲気とする工程である請求項1または6に記載の金属多孔質体の製造方法。 - 前記排気口は、前記酸化物混在溶湯の流出を防止する流出防止フィルタを備える請求項10に記載の金属多孔質体の製造方法。
- 吸着ガスを伴う酸化物を金属溶湯中に混在させた酸化物混在溶湯を調製する溶湯調製行程と、
該酸化物混在溶湯を鋳型のキャビティへ充填する充填行程と、
少なくとも該充填工程中または該充填工程後に該酸化物混在溶湯を減圧雰囲気にし、該吸着ガスの発泡により空孔を生じた該酸化物混在溶湯を該キャビティ内で冷却凝固させる凝固行程とを経て得られることを特徴とする金属多孔質体。 - 前記鋳型と一体化したものである請求項12に記載の金属多孔質体。
- 吸着ガスを伴う酸化物を金属溶湯中に混在させた酸化物混在溶湯を入れる坩堝と、
該坩堝の開口部に配設され該坩堝内部と内通したキャビティを有する鋳型と、
少なくとも該キャビティ内を減圧できる減圧手段とを備え、
該キャビティ内を減圧雰囲気にして該吸着ガスの発泡により空孔を生じた該酸化物混在溶湯を冷却凝固することにより金属多孔質体を得ることができることを特徴とする金属多孔質体の製造装置。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2002208080A JP2004050200A (ja) | 2002-07-17 | 2002-07-17 | 金属多孔質体、その製造方法およびその製造装置 |
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2008501855A (ja) * | 2004-06-03 | 2008-01-24 | アルライト インターナショナル ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング | 軽金属部材のリサイクル方法 |
JP2012124391A (ja) * | 2010-12-09 | 2012-06-28 | Mitsubishi Materials Corp | 伝熱制御部材 |
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2002
- 2002-07-17 JP JP2002208080A patent/JP2004050200A/ja active Pending
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